JP2009097414A - 圧電ポンプおよびその製造方法 - Google Patents

圧電ポンプおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009097414A
JP2009097414A JP2007269330A JP2007269330A JP2009097414A JP 2009097414 A JP2009097414 A JP 2009097414A JP 2007269330 A JP2007269330 A JP 2007269330A JP 2007269330 A JP2007269330 A JP 2007269330A JP 2009097414 A JP2009097414 A JP 2009097414A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diaphragm
pump
plate
piezoelectric
pump chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007269330A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4957504B2 (ja
Inventor
Atsuhiko Hirata
篤彦 平田
Takeshi Kamiya
岳 神谷
Midori Sunaga
みどり 須永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Murata Manufacturing Co Ltd filed Critical Murata Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2007269330A priority Critical patent/JP4957504B2/ja
Publication of JP2009097414A publication Critical patent/JP2009097414A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4957504B2 publication Critical patent/JP4957504B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Reciprocating Pumps (AREA)

Abstract

【課題】ダイヤフラムのたわみによる問題を解消して、高い圧力と流量を確保できる圧電ポンプを得る。
【解決手段】内径がポンプ室の内径よりも大きく開口した開口61を備え、四隅に切り込み65およびスリット66によるバネ構造を有する張力板60を、前記開口径が小さくなるように、治具70にしまりばめする。張力板60が治具70に取り付けられている状態で、張力板60にダイヤフラム構造体50のダイヤフラム51を貼り付ける。治具70から張力板60とともに前記ダイヤフラム構造体50を取り外す。これにより、ダイヤフラムの中央部から周辺方向へ張力が掛かった張力板付きダイヤフラム構造体を得る。
【選択図】図10

Description

この発明は、圧電ポンプ、特に圧電素子によって屈曲変形するダイヤフラムを用いた圧電ポンプに関するものである。
ノートパソコンなどの小型電子機器の冷却水輸送用ポンプや燃料電池の燃料輸送用ポンプなどに、圧電ポンプが用いられる。また、CPU等の冷却用ファンに代わる送風用ポンプ、あるいは燃料電池で発電するのに必要な酸素を供給するための送風用ポンプとしても、圧電ポンプを用いることができる。圧電ポンプは、圧電素子への電圧印加により屈曲変形するダイヤフラムを用いたポンプであり、構造が簡単で、薄型に構成でき、かつ低消費電力であるという利点がある(特許文献1参照)。
ここで、特許文献1の気体ポンプの断面図を図1に示す。この気体ポンプは、銅薄円板4cとその直径の小さい電歪セラミック円板4a,4bからなる電歪振動子4にオリフィス孔4dを設け、この電歪振動子4を、凹部2aを有するフランジの周縁2bに溶接し、この電歪振動子4とフランジとによってポンプ室3を構成し、電歪振動子を高周波で駆動し連続的に気体を吐出するものである。
特開昭60−17279号公報
ところが、空気を吹き出す圧電ブロアの場合、実用上、人の非可聴域の周波数で動作させるために20kHz以上の周波数で共振駆動する必要がある。円形ポンプ室の一面を構成するダイヤフラムの中心に、円形圧電素子を配置した場合、ダイヤフラムのうち、円形圧電素子外周部とポンプ室壁面で囲まれたリング状エリアが上に凸と下に凸の変形を繰り返して動作する。圧電素子がダイヤフラムに取り付けられている中心部分は、ダイヤフラムのリング状エリアが上に凸に変形するときは下に凸に変形し、逆に、ダイヤフラムのリング状エリアが下に凸に変形するときは上に凸に変形する。
このように、所定の振動モードで、前記リング状エリアに大きなたわみがあると十分な振動が得られない。しかし、組み立て前の初期的なダイヤフラムの変形や、接着剤加熱硬化時の各部品の熱膨張量の差などにより、前記リング状エリアに大きなたわみが生じる場合がある。また、たとえ組み立て時に大きなたわみが生じなかったとしても、ダイヤフラムの材料や厚みによっては、実際の動作時に周辺環境の温度変化や駆動にともなう圧電素子の温度上昇などにより圧電ブロアの温度が温度ムラを伴いながら上昇するため、前記リング状エリアに大きなたわみが生じ、圧力と流量が低下してしまう。
そこで、この発明の目的は、ダイヤフラムの大きなたわみによる問題を解消して、高い圧力と流量を確保できるようにした圧電ポンプを提供することにある。
前記課題を解決するために、この発明は、次のように構成する。
(1)ポンプ本体と、外周部がポンプ本体に対して固定され、ダイヤフラムおよび圧電素子を有するダイヤフラム構造体と、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムとでポンプ室を構成し、前記圧電素子を駆動することにより前記ダイヤフラムを屈曲変形させる圧電ポンプにおいて、
前記ダイヤフラム構造体は、前記ダイヤフラムに対して、当該ダイヤフラムの中央部から周辺方向への引っ張り応力を掛ける張力板を備えたことを特徴とする。
この構成により、ダイヤフラムに常に張力を与えることができ、組み立て時にたわみが生じず、所定の振動モードでダイヤフラムを確実に振動させることができる。また、周辺環境の温度変化や、駆動にともなう圧電素子の温度上昇などにより圧電ブロアの温度が温度ムラを伴いながら上昇しても、前記リング状エリアにたわみが生じにくく、圧力と流量の劣化が少ない。むしろ、張力がかかっているダイヤフラム上で、圧電素子が振動するため流量が増大する。
(2)前記ポンプ本体は、前記ダイヤフラムに対向するポンプ室天板と、前記ダイヤフラムと前記ポンプ室天板との間に挟まれて空間を形成する枠体と、を備え、
前記張力板は、開口部と、当該開口部の内径を拡縮する方向に作用するバネ部と、を有し、当該張力板が前記ダイヤフラムに貼り付けて構成する。
この構成により、ダイヤフラムは張力板で常に一定の張力を受けることになり、周辺環境の温度変化や、駆動にともなう圧電素子の温度上昇などにより圧電ブロアの温度が温度ムラを伴いながら上昇しても、前記リング状エリアにたわみが非常に生じにくく、圧力と流量の劣化が極めて少なくなる。そのため、経時劣化しにくく、安定した流量が得られる。
(3)前記枠体は、例えばエラストマーの成型体で構成する。
これにより、枠体は張力板による張力で拡がろうとし、すなわち張力板による張力をブロックすることがないため、ダイヤフラムに対して所定の張力を効果的に与えることができる。
(4)ポンプ本体と、外周部がポンプ本体に対して固定され、ダイヤフラムおよび圧電素子を有するダイヤフラム構造体と、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムとでポンプ室を構成し、前記圧電素子を駆動することにより前記ダイヤフラムを屈曲変形させる圧電ポンプにおいて、
前記ダイヤフラム構造体は、前記ダイヤフラムに対して当該ダイヤフラムの中央部から周辺方向への引っ張り応力を掛ける張力板を備え、
前記ダイヤフラムと対向するポンプ室天板と、
前記ダイヤフラムの中心部と対向する前記ポンプ室天板の部位に形成され、ポンプ室の内部と外部とを連通する第1の開口部と、
前記ポンプ室天板を間にしてポンプ室と反対側に、ポンプ室天板と間隔をあけて設けられた天板と、
前記第1開口部と対向する天板の部位に形成された第2の開口部と、
前記ポンプ室天板と前記天板との間に形成され、一端がポンプ室の外部に連通され、他端が前記第1開口部および第2開口部に接続された流入通路とを備えることを特徴とする。
この構成により、流量および応力がさらに高まる。
(5)前記ダイヤフラムの共振周波数は、前記張力板による前記ダイヤフラムに与えられる張力によって、前記圧電素子の固有振動周波数に近似するものとする。
このように、ダイヤフラムは張力板によって中央部から周辺方向へ引っ張られることにより、その共振周波数が高まるが、これが圧電素子の固有振動周波数に近似することにより、ダイヤフラムの変位が大きくなり、より大きな流量が得られる。
(6)ポンプ本体と、外周部がポンプ本体に対して固定され、ダイヤフラムおよび圧電素子を有するダイヤフラム構造体と、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムとでポンプ室を構成し、前記圧電素子を駆動することにより前記ダイヤフラムを屈曲変形させる圧電ポンプの製造方法であって、
内径がポンプ室の内径よりも大きく開口し、四隅にバネ構造を有する張力板を、前記開口径が小さくなるように、治具にしまりばめする工程と、
前記張力板が前記治具に取り付けられている状態で、前記張力板に前記ダイヤフラム構造体の前記ダイヤフラムを貼り付ける工程と、
前記治具から前記張力板とともに前記ダイヤフラム構造体を取り外して、前記張力板付きのダイヤフラム構造体を得る工程と、
前記張力板付きダイヤフラム構造体と、前記ポンプ室本体とを接合し、ポンプ室を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
このような方法で製造することによって、ダイヤフラムに常に所定の張力が加えられた状態の圧電ポンプを安定的に形成することができる。
この発明によれば、ダイヤフラムのたわみによる問題を解消して、高い圧力と流量を確保できる圧電ポンプが得られる。
本発明の実施形態に係る圧電ポンプおよびその製造方法について各図を参照して説明する。
図2(A)は、同実施形態の圧電ポンプ100の断面図である。また、図2(B)は、圧電ポンプ100による流体の流れを説明する図である。ここでは、電子機器の空冷用途の圧電ポンプの構成例を示している。
圧電ポンプ100は、天板10、流路板20、ポンプ室天板30、枠体40、ダイヤフラム51、中間板53、圧電体素子54、および張力板60を備える。ダイヤフラム51は洋白(銅・亜鉛・ニッケル合金)で構成している。張力板60はベリリウム銅で構成している。枠体40は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)からなり、ポンプ室内径は16mm、ポンプ室高さは0.07mmである。
ダイヤフラム51と中間板53と圧電体素子54とは、熱硬化性接着剤を塗布し加熱することにより、予め熱接合していて、後述するダイヤフラム構造体(50)を構成している。なお、圧電ポンプ100のダイヤフラム構造体50を除く部材がポンプ本体である。
天板10は、その中心部に開口穴(第2開口部)11を備え、流路板20に接合している。この天板10の平面図を図3に示す。天板10は外形が四角形の平板であり、冷間圧延鋼板(SPCC)のような剛性のある材料で構成している。開口穴11は、圧電ポンプ100の外部と流路板20の流路中央室21とに通じている。
流路板20は、流路中央室21と流入通路22を備え、天板10とポンプ室天板30とに接合している。この流路板20の平面図を図4に示す。流路板20は天板10と同一外形を有する平板であり、天板10と同一材料で構成している。流路板20の中心部には、流路中央室21を形成し、流路中央室21から平板の四隅にかけて4本の流入通路22が形成している。流路中央室21は、開口穴11よりも大径であり、開口穴11とポンプ室天板30の開口穴(第1開口部)31とに通じている。また、流入通路22は、流路中央室21とポンプ室天板30の流入穴32とに通じている。流路中央室21には複数の流入通路22を通じさせているため、流入通路22での抵抗が低減され、気体は流路中央室21へ引き寄せられる。したがって、気体流量の増加を図ることができる。
ポンプ室天板30は、開口穴31と流入穴32を備え、流路板20と枠体40とに接合している。このポンプ室天板30の平面図を図5に示す。ポンプ室天板30は流路板20と同一外形を有する平板であり、流路板20と同一材料で構成している。ポンプ室天板30の中心部には、開口穴31を形成し、平板の四隅には4つの流入穴32を形成している。開口穴31は開口穴11とほぼ同一径であり、流路中央室21と枠体40のポンプ室41とに通じている。また、流入穴32は、流入通路22と枠体40の流入穴42とに通じている。なお、開口穴31は開口穴11と径が異なっていても良いが、流路中央室21よりも小さい径であることが好ましい。また、ポンプ室天板30は、流路板20と異なる材料で構成していてもよく、例えば、ばね弾性を持つ材料で構成すると好適である。
枠体40はポンプ室41と流入穴42を備え、ポンプ室天板30とダイヤフラム51とに接合している。この枠体40の平面図を図6に示す。枠体40はポンプ室天板30と同一外形を有する平板であり、ポンプ室天板30と同一材料で構成している。枠体40の中心部には、円形のポンプ室41を形成し、平板の四隅には4つの流入穴42を形成している。ポンプ室41は流路中央室21よりも大径であり、開口穴31に連通している。また、流入穴42は、流入穴32とダイヤフラム51の流入穴52とに通じている。
ダイヤフラム51には、中間板53と圧電体素子54とを熱接合している。これらによってダイヤフラム構造体50を構成している。ダイヤフラム構造体50の平面図を図7(A)に示し、ダイヤフラム構造体50の図7(A)のA−A線における断面図を図7(B)に示す。
ダイヤフラム51は、その矩形板形状の四隅にそれぞれ2つずつ切り込み55を形成していて、それらの切り込みより相対的に突出する突出部内にスリット56をそれぞれ形成している。またダイヤフラム51の四隅には、スリット56にそれぞれ連続する流入穴52を備えている。
ダイヤフラム51は、枠体40と張力板60とに接合している。流入穴52は、流入穴32と張力板60の流入穴62とに通じている。中間板53は円形の外形を有する平板であり、ダイヤフラム51の中央部に熱接合している。圧電体素子54は、中間板53と同一外形を有する平板であり、中間板53に熱接合している。
張力板60は圧電体素子収容室である円形の開口61と流入穴62を備え、ダイヤフラム構造体50のダイヤフラム51に接合している。この張力板60の平面図を図8に示す。張力板60は、矩形板形状の四隅にそれぞれ2つずつ切り込み65を形成していて、それらの切り込みより相対的に突出する突出部内にスリット66をそれぞれ形成している。張力板60の中心部には、円形の開口61を形成し、平板の四隅には4つの流入穴62を形成している。上記スリット66は開口61と流入穴62とにつながり、連続している。このように、切り込み65およびスリット66によってバネ構造を構成している。
上記開口61は、ダイヤフラム構造体50の中間板53および圧電体素子54を収容する。また、流入穴62は、流入穴52に連通している。張力板60は、中間板53の厚みと圧電体素子54の厚みと圧電体素子54の変形量との合計より厚肉に構成していて、圧電ポンプ100の実装時に、圧電体素子54が実装基板などに接触することを防止している。
ここでダイヤフラム構造体50は、ダイヤフラム51の一面側にのみ圧電体素子54を設けてユニモルフ型の構造としている。なお、圧電体素子54を、2つ圧電体層で構成してバイモルフ型の構造としてもよい。圧電体素子54に交番電圧(正弦波または矩形波)を印加することによりダイヤフラム構造体50全体が板厚方向に屈曲する。またダイヤフラム構造体50の屈曲に伴ってポンプ室天板30が共振する。その結果、ダイヤフラム51とポンプ室天板30との距離が変化し、気体が開口穴31からポンプ室41内に流入または流出する。
圧電体素子54に印加する交番電圧は、ダイヤフラム構造体50の1次共振周波数または3次共振周波数とする。これにより、1次または3次共振周波数以外の周波数の交番電圧を印加する場合に比べて変位部材の変位体積を格段に大きくでき、流量を大幅に増加させることができる。
図9は、圧電ポンプ100の動作を説明する主要部模式断面図である。図中の矢印は気体の流れを示す。
同図(A)は、圧電体素子への交番電圧の非印加時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51はほぼ平坦である。
同図(B)は、交番電圧の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は下に凸に屈曲するのでダイヤフラム51とポンプ室天板30の開口穴31との距離が大きくなるので、開口穴31を介してポンプ室41内に流入通路22から気体が吸い込まれる。
同図(C)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は平坦に戻り、ダイヤフラム51とポンプ室天板30の開口穴31との距離が小さくなる。このため、ポンプ室41内の気体は開口穴31,11を通って押し出される。この開口穴11から流出する気流には、流入通路22の気体が巻き込まれ、また、開口穴11の外側でも、開口穴11周囲の気体が巻き込まれる。
同図(D)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は上に凸に屈曲し、ダイヤフラム51とポンプ室天板30の開口穴31との距離が小さくなる。このため、ポンプ室41内の気体は、開口穴31,11を通って押し出される。この開口穴11から流出する気流には、流入通路22の気体が巻き込まれ、また、開口穴11の外側でも、開口穴11周囲の気体が巻き込まれる。
同図(E)は、次の1/4周期経過時の主要部を示している。このとき、ダイヤフラム51は平坦に戻り、ダイヤフラム51とポンプ室天板30の開口穴31との距離が大きくなる。このため、流入通路22を流れる気体の一部は、開口穴31を通じてポンプ室41内に吸い込まれる。しかしながら、流入通路22を流れる気体のほとんどは、慣性により開口穴11から流出し続ける。
以上の変形をダイヤフラム51は周期的に繰り返す。ダイヤフラム51とポンプ室天板30の開口穴31との距離の増大により、流路中央室21、流入通路22、流入穴32、流入穴42、流入穴52、および、流入穴62を介して、ポンプ室41の内部に気体が流入し、ダイヤフラム51とポンプ室天板30の開口穴31との距離の減少により、ポンプ室41、開口穴31、流路中央室21、および開口穴11を介して、圧電ポンプの外部に気体が流出する。圧電体素子を高い周波数で振動させることにより、流入通路22を流れる気体の慣性が終息することなく、開口穴11から気体を連続して流出させられる。
この発明によれば、図2に示したダイヤフラム51は張力板60によって中央部から周辺方向へ常に引っ張られているので、ダイヤフラム51のうち、圧電体素子54および中間板53の外周部と張力板60で囲まれたリング状エリアが撓まず、所定の振動モードで振動するダイヤフラム構造体が得られる。
また、張力板の張力を確実にダイヤフラムで受けることができるため、周辺環境の温度変化や、駆動にともなう圧電素子の温度上昇などにより圧電ブロアの温度が温度ムラを伴いながら上昇しても、ダイヤフラムに撓みが極めて生じにくく、圧力と流量の劣化が極めて少ない。
また、枠体40をエラストマーの成型体で構成したことにより、枠体40は張力板60による張力で拡がろうとし、すなわち張力板による張力をブロックすることがないため、ダイヤフラム51に対して所定の張力を効果的に与えることができる。
また、張力板60が圧電ポンプの底板を兼ねるので、ダイヤフラムに対して張力を掛けるための部材として底板とは別に設ける必要がなく、部品点数の増大および大型化を回避できる。
また、ダイヤフラム51は張力によって膜が振動するのと同様の振動モードで振動するので、張力板60による張力の設定によって、ダイヤフラム51の共振周波数を設定することができ、その共振周波数を圧電体素子の固有の共振周波数に近似させることによってダイヤフラムの変位が大きくなり、より大きな流量が得られる。
なお、ダイヤフラム51を薄くする程、振動の伝播速度が張力に依存する。このため、ダイヤフラム51の共振周波数は、張力板60による張力に大きく依存する。しかし、20kHz以上の周波数で共振駆動させるような設計では、圧電素子に対してポンプ室を小さくする必要がある。その結果、上記リング状エリアの幅は狭くなり、ダイヤフラム構造体50の大半の厚みは前記リング状エリアの幅との比較において充分に薄いとは言えず、前記リング状エリアの振動は、張力による膜の振動ではなく、むしろ、板の曲げ振動となる。そのため、張力板60のバネ張力にバラツキがあっても、共振周波数がそれほど大きくずれることがなく、20kHz以上の所定の共振周波数で駆動することができる。
次に、圧電ポンプの製造方法、特にダイヤフラム構造体に対する張力板の取り付け方法について説明する。
図10は、ダイヤフラム構造体に対する張力板の取り付け手順を示す図である。
図10(A)は張力板の平面図、10図(B)は張力板を嵌め込む治具の平面図である。治具70には張力板60を嵌め込む装着部71を備えている。この装着部71の前後左右の幅は張力板60の左右上下の幅より所定の寸法だけ予め狭く形成している。
この所定の寸法は、張力板の厚み、材質等によって異なるが、張力板60の開口径をポンプ室の内径よりも大きくしておき、治具に嵌め込まれた際の張力板の内径がポンプ室の内径と同程度になるように設計しておくと、ポンプ室の底面全体をダイヤフラム構造体で構成することができ、ダイヤフラムの屈曲変形を最大限生かすことができるため、好ましい。
この装着部71に張力板60を嵌め込むことによって、張力板60をしまりばめする。これにより、張力板60の前後左右の幅が所定の寸法だけ狭くなって、その分、開口61の開口径が小さくなる。
図10(C)は、治具70の装着部に張力板60を嵌め込んだ状態を示している。この状態では、張力板60のスリット66が狭まり、開口61の開口径が小さくなる。すなわちスリット66の形成部がバネ構造を成していて、そのバネ弾性によって張力板60がしまりばめされた状態となり、張力板60に圧縮応力がかかる。
図10(B)に示した治具70の装着部71の深さは張力板60の厚みとほぼ等しい。したがって、図10(C)に示した状態で張力板60の上面は治具70の上面とほぼ同一面をなす。
図10(D)は、治具70に装着された張力板60に対してダイヤフラム構造体50を接着した状態を示している。このように張力板60に対してダイヤフラム構造体50を接着した後、図10(E)のように、ダイヤフラム構造体50を治具70から取り外す。これにより、張力板60の前後左右が拡がるとともに、スリット66が元の幅にまで拡がろうとして、開口61の開口径が大きくなろうとする。この開口61の開口径の拡張によって、ダイヤフラム構造体50のダイヤフラム51は、中央部から周辺方向へ引っ張り応力が掛かる。その際、ダイヤフラム51のスリット56の間隙が拡がろうとし、ダイヤフラム51は面方向に均等に拡張する。すなわち、ダイヤフラム51には、その中央部から周辺方向へ引っ張り応力が掛かることになる。
このようにして、引っ張り応力が加えられたダイヤフラム構造体50を得る。
以上に示した製造方法によれば、ダイヤフラムに引っ張り応力を安定して加えることができ、組み立て時に、ダイヤフラム51のうち、圧電体素子54および中間板53の外周部と張力板60で囲まれたリング状エリアが、たわみ無く確実に組み立てられるため、所定の振動モードで振動するダイヤフラム構造体が得られる。
その後は、上記張力板付きダイヤフラム構造体と、枠体40と、ポンプ室天板30と、流路板20と、天板10とを接合する。このようにして圧電ポンプを製造する。
燃料電池の冷却用ポンプとして用いる圧電ポンプの具体的な構成例、およびそれによって得られた特性について示す。
投入電圧:16.4kHz、±60V〜±90Vの矩形波電圧
ダイヤフラム:厚み0.08mmの洋白板
中間板:厚み0.2mm、直径12.7mmのSUS板
圧電素子:厚み0.2mm、直径12.7mmのPZT板
ポンプ室:高さ0.07mm、直径16mm
天板:厚さ0.3mm、開口穴径0.6mm
張力板:厚さ0.8mm、内径約16.0mm(治具嵌め込み前16.4mm)
ポンプ室天板:厚さ0.8mm、開口穴径2.0mm
上記条件で圧電ポンプを駆動したところ、無負荷流量:0.6L/minを得ることができた。その結果、大流量の圧電ポンプが得られることが確かめられた。
なお、比較例としてバネ構造を有さず、内径がポンプ室と同内径であり、厚さが0.8mmの底板を用いた場合の無負荷流量を測定したところ、0.3L/minであった。
特許文献1に示されている気体ポンプの断面図である。 この発明の実施形態に係る圧電ポンプの断面図である。 同圧電ポンプの天板の平面図である。 同圧電ポンプの流路板の平面図である。 同圧電ポンプのポンプ室天板の平面図である。 同圧電ポンプの枠体の平面図である。 同圧電ポンプのダイヤフラム構造体の図である。 同圧電ポンプの張力板の平面図である。 同圧電ポンプの動作を説明する図である。 ダイヤフラム構造体に対する張力板の取り付け手順を示す図である。
符号の説明
10…天板
11…開口穴
20…流路板
21…流路中央室
22…流体通路
30…ポンプ室天板
31…開口穴
32…流入穴
40…枠体
41…ポンプ室
42…流入穴
50…ダイヤフラム構造体
51…ダイヤフラム
52…流入穴
53,73…中間板
54…圧電体素子
55,65…切り込み
56,66…スリット
60…張力板
61…開口(圧電体素子収容室)
62…流入穴
70…治具
71…装着部
100…圧電ポンプ

Claims (6)

  1. ポンプ本体と、外周部がポンプ本体に対して固定され、ダイヤフラムおよび圧電素子を有するダイヤフラム構造体と、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムとでポンプ室を構成し、前記圧電素子を駆動することにより前記ダイヤフラムを屈曲変形させる圧電ポンプにおいて、
    前記ダイヤフラム構造体は、前記ダイヤフラムに対して、当該ダイヤフラムの中央部から周辺方向への引っ張り応力を掛ける張力板を備えたことを特徴とする圧電ポンプ。
  2. 前記ポンプ本体は、前記ダイヤフラムに対向するポンプ室天板と、前記ダイヤフラムと前記ポンプ室天板との間に挟まれて空間を形成する枠体と、を備え、
    前記張力板は、開口部と、当該開口部の内径を拡縮する方向に作用するバネ部と、を有し、当該張力板が前記ダイヤフラムに貼り付けられている、請求項1に記載の圧電ポンプ。
  3. 前記枠体は、エラストマーの成型体である請求項2に記載の圧電ポンプ。
  4. ポンプ本体と、外周部がポンプ本体に対して固定され、ダイヤフラムおよび圧電素子を有するダイヤフラム構造体と、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムとでポンプ室を構成し、前記圧電素子を駆動することにより前記ダイヤフラムを屈曲変形させる圧電ポンプにおいて、
    前記ダイヤフラム構造体は、前記ダイヤフラムに対して当該ダイヤフラムの中央部から周辺方向への引っ張り応力を掛ける張力板を備え、
    前記ダイヤフラムと対向するポンプ室天板と、
    前記ダイヤフラムの中心部と対向する前記ポンプ室天板の部位に形成され、ポンプ室の内部と外部とを連通する第1の開口部と、
    前記ポンプ室天板を間にしてポンプ室と反対側に、ポンプ室天板と間隔をあけて設けられた天板と、
    前記第1開口部と対向する天板の部位に形成された第2の開口部と、
    前記ポンプ室天板と前記天板との間に形成され、一端がポンプ室の外部に連通され、他端が前記第1開口部および第2開口部に接続された流入通路とを備えることを特徴とする圧電ポンプ。
  5. 前記ダイヤフラムの共振周波数は、前記張力板による前記ダイヤフラムに与えられる張力によって、前記圧電素子の固有振動周波数に近似するものである請求項1〜4のいずれかに記載の圧電ポンプ。
  6. ポンプ本体と、外周部がポンプ本体に対して固定され、ダイヤフラムおよび圧電素子を有するダイヤフラム構造体と、前記ポンプ本体と前記ダイヤフラムとでポンプ室を構成し、前記圧電素子を駆動することにより前記ダイヤフラムを屈曲変形させる圧電ポンプの製造方法であって、
    内径がポンプ室の内径よりも大きく開口し、四隅にバネ構造を有する張力板を、前記開口径が小さくなるように、治具にしまりばめする工程と、
    前記張力板が前記治具に取り付けられている状態で、前記張力板に前記ダイヤフラム構造体の前記ダイヤフラムを貼り付ける工程と、
    前記治具から前記張力板とともに前記ダイヤフラム構造体を取り外して、前記張力板付きのダイヤフラム構造体を得る工程と、
    前記張力板付きダイヤフラム構造体と、前記ポンプ室本体とを接合し、ポンプ室を形成する工程と、を備えたことを特徴とする圧電ポンプの製造方法。
JP2007269330A 2007-10-16 2007-10-16 圧電ポンプおよびその製造方法 Active JP4957504B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007269330A JP4957504B2 (ja) 2007-10-16 2007-10-16 圧電ポンプおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007269330A JP4957504B2 (ja) 2007-10-16 2007-10-16 圧電ポンプおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009097414A true JP2009097414A (ja) 2009-05-07
JP4957504B2 JP4957504B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=40700657

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007269330A Active JP4957504B2 (ja) 2007-10-16 2007-10-16 圧電ポンプおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4957504B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102900658A (zh) * 2012-10-16 2013-01-30 南京航空航天大学 一种多锥型腔无阀压电泵
CN109424519A (zh) * 2017-08-31 2019-03-05 研能科技股份有限公司 微机电的流体控制装置
US10883487B2 (en) 2017-08-31 2021-01-05 Microjet Technology Co., Ltd. Micro-electromechanical fluid control device
WO2023132250A1 (ja) * 2022-01-07 2023-07-13 オムロンヘルスケア株式会社 ポンプの構造体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102900658A (zh) * 2012-10-16 2013-01-30 南京航空航天大学 一种多锥型腔无阀压电泵
CN109424519A (zh) * 2017-08-31 2019-03-05 研能科技股份有限公司 微机电的流体控制装置
US10883487B2 (en) 2017-08-31 2021-01-05 Microjet Technology Co., Ltd. Micro-electromechanical fluid control device
WO2023132250A1 (ja) * 2022-01-07 2023-07-13 オムロンヘルスケア株式会社 ポンプの構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP4957504B2 (ja) 2012-06-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5110159B2 (ja) 圧電マイクロブロア
US9482217B2 (en) Fluid control device
US9714651B2 (en) Vibrating device and piezoelectric pump
JP5177331B1 (ja) ポンプ装置
JP6278099B2 (ja) 流体制御装置
US9109592B2 (en) Piezoelectric micro-blower
US10006452B2 (en) Fluid control apparatus and method for adjusting fluid control apparatus
EP2568176B1 (en) Fluid control device
JP5170250B2 (ja) 圧電ポンプ
US20090232682A1 (en) Piezoelectric micro-blower
JP4957504B2 (ja) 圧電ポンプおよびその製造方法
JP4957501B2 (ja) 圧電マイクロブロア
TWI625469B (zh) 低共振音頻之合成噴流結構
JP5169693B2 (ja) 圧電ポンプ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120221

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120223

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120305

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4957504

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150