JP2009096710A - 精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォーム。前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面であり、前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下であり、前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上である。この精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形することを含む、光学素子の製造方法。
【選択図】図1
Description
製造方法に関する。
(1)精密プレス成形時に成形型によって加圧される面の形状を精密に加工することなしに、
(2)レンズ体積に比べてプリフォーム体積を大幅に大きくすることなく、
(3)ガラスを破損させることなく、
(4)所定の面精度を有する光学素子を効率的に生産することができる
精密プレス成形用プリフォームを提供することを目的とする。
[1]回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォームであって、
前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面であり、
前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下であり、
前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム。
[2]前記側面は熔融状態のガラスを固化して得られた面からなる[1]に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[3]前記ガラスのガラス転移温度(Tg)が540℃以上である[1]または[2]に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[4]前記ガラスの屈折率(nd)が1.75以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[5]前記2つの端面の一方または両方が、熔融状態のガラスを固化して得られた面からなることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[6]前記2つの端面の一方または両方が凸面であり、前記凸面の回転対称軸との交点を含む領域に凹部を備えることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[7]前記側面は、円柱の側面形状または円柱の側面形状に近似する形状、もしくは、裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似する形状を有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[8]少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形するために用いられる、[1]〜[7]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[9]前記側面において、2つの端面の一方側から他方側に向けて形成された複数の溝が形成されている[1]〜[8]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形することを含む、光学素子の製造方法。
[11]少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形する[10]に記載の光学素子の製造方法。
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォームである。さらに、本発明のプリフォームの前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面である。さらに、本発明のプリフォームは、前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下である。さらに、前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上である。
きる。
nd≧2.4−0.02×νd …… (1)
ただし、低分散性を維持しつつ屈折率をいっそう高めるとガラス安定性が低下するため、前記範囲内の光学特性のうち、下記(2)式を満たす範囲にすることが好ましく、下記(3)式を満たす範囲にすることがより好ましい。
nd≦2.48−0.012×νd(ただし、屈折率ndが2.2以下)…… (2)
nd≦2.42−0.012×νd(ただし、屈折率ndが2.2以下)…… (3)
(1)式はnd=1.90、νd=25とnd=1.7、νd=35を結ぶ直線
(2)式はnd=2.00、νd=45とnd=1.7、νd=65を結ぶ直線
(3)式はnd=2.00、νd=35とnd=1.7、νd=60を結ぶ直線
B2O3 5〜70%、
SiO2 0〜50%、
ZnO 1〜50%、
La2O3 5〜30%、
Gd2O3 0〜22%、
Y2O3 0〜10%、
Yb2O3 0〜10%、
Li2O 0〜20%、
Na2O 0〜10%、
K2O 0〜10%、
MgO 0〜10%、
CaO 0〜10%、
SrO 0〜10%、
BaO 0〜10%、
ZrO2 0〜15%、
Ta2O5 0〜20%、
WO3 0〜20%、
Nb2O5 0〜15%、
TiO2 0〜40%、
Bi2O3 0〜10%、
GeO2 0〜10%、
Ga2O3 0〜10%、
Al2O3 0〜10%、
を含む光学ガラスを例示することができる。
℃以上、更には580℃以上、600℃以上となる。
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、底部と前記底部の周囲を囲ように立設された側壁とを有する凹状のガラス成形部を備え、かつ前記底部は、前記ガラス塊に風圧を加えて浮上させるためのガスを噴出する複数のガス噴出口を有する成形型を用いて製造することができる。
ただし、より確実な成形を行う上から、側壁にガス流路を有する成形型が最も好ましい。
本発明の光学素子の製造方法は、上記本発明の精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
プレス成形型は、例えば、プリフォームをプレスする互いに対向する押し型と押し型の成形面を収容し、プレス時に押し型を案内するスリーブ型により構成する。一対の押し型のうち、一方を上型、他方を下型とすると、プリフォームの被プレス面の一方が上型成形面を向き、被プレス面の他方が下型成形面を向くように、かつ、プリフォームの回転対称軸が加圧方向に平行かつ、上下型の成形面の中心に一致するようにプレス成形型内にプリフォームを配置してプレス成形を行う。
(精密プレス成形法1)
この方法は、プレス成形型にプリフォームを導入し、プレス成形型とプリフォームを一緒に加熱し、精密プレス成形するというものである(精密プレス成形法1とういう)。精密プレス成形法1において、プレス成形型と前記プリフォームの温度をともに、プリフォームを構成するガラスが106〜1012dPa・sの粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。また前記ガラスが1012dPa・s以上、より好ましくは1014dPa・s以上、さらに好まくは1016dPa・s以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
この方法は、プレス成形型に予熱したプリフォームを導入し、精密プレス成形することを特徴とするものである(精密プレス成形法2という)。この方法では、プレス成形型とプレス成形用プリフォームを別々に予熱し、予熱されたプリフォームをプレス成形型に導入して精密プレス成形することが好ましい。この方法によれば、前記プリフォームをプレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度の光学素子を製造することができる。
なおプレス成形型の温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低い温度に調温させるが、前記ガラスが109〜1012dPa・sの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
図1に、本発明のプリフォームを回転対称軸を含む平面で切ったときの断面形状(左)と、従来の熔融ガラス塊を浮上状態で成形したプリフォームの断面形状(右)と、これらプリフォームを精密プレス成形して得られるプレス成形品(非球面凹メニスカスレンズ)の断面形状(中)を示す。プレス成形品の破線で示した輪郭が余肉部分に相当する。
一方、充填率が66.7%のプリフォームを使用して同様のレンズを作製したところ、面精度はP-V値で中心部0.25μm以下だったが、周辺部では0.4μmと面精度の低下が見られた。表2に示すガラスNo.1〜11、ならびにリン酸ガラス1、リン酸ガラス2の各ガラスからなり、充填率が68%未満であるか、比(φ/h)が3を超えるプリフォームを精密プレス成形して得た非球面凹メニスカスレンズの面精度を中央部におけるP-V値、周辺部におけるP-V値として示す。結果を表3に示す。これらレンズは、中央部においてP-V値が中心部0.25μm以下であったが、周辺部では0.4μm以上と面精度の低下が見られた。なお、非球面両凹レンズについても上記非球面凹メニスカスレンズと同様の結果であった。
実施例1と同様、表2に示すガラスNo.1〜11、リン酸ガラス1、リン酸ガラス2の各ガラスを用いて、表4に示すプリフォームを作製した。ただし、本実施例では成形型の成形部上にあるガラスを、ガラスが軟化状態にある間に上方から凸状の成形面を有する上型でプレスし、プリフォーム上面を凹面に成形した。プレス成形後、ガラスを再び浮上しながら冷却した。プリフォームの側面、下面は実施例1と同様の形状である。こうして得た各プリフォームに関するデータを表4に示す。表4に示すように、一方の被プレス面が凸面で、他方の被プレス面が凹面のプリフォームを加熱し、凸状成形面を有する上型と凹状成形面とスリーブ型を有する下型を備えたプレス成形型で精密プレス成形し、非球面凹メニスカスレンズを得た。各レンズの面精度を実施例1と同様の記法により表4に示す。精密プレス成形では、プリフォーム上面、すなわち、凹面が上型側、プリフォーム下面、すなわち、凸面が下型側を向くようにプリフォームをプレス成形型内に導入し、上型成形面の頂部でプリフォーム上面、すなわち、凹面の中心を押さえ、プリフォームがプレス成形型の中心位置からずれないようにした。なお、上型成形面の頂部でプリフォーム上面、すなわち、凹面の中心を押さえる際、プリフォームに加わる力は上型の自重のみとした。この状態でプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱し、精密プレス成形を行った。さらに、プレス成形型を非球面両凹レンズのプレス成形用のものに換えて、非球面両凹レンズを作製した。非球面両凹レンズにおいても非球面凹メニスカスレンズと同様、良好な面精度のレンズを得ることができた。
実施例2と同様にして、2つの被プレス面がともに凹面のプリフォームをプレス成形により得た。本実施例では、プリフォーム成形型の成形部を凸面とした。このように、表2に示すガラスNo.1〜11、リン酸ガラス1、リン酸ガラス2の各ガラスを用いてプリフォームを作製した。こうして得た各プリフォームに関するデータは表4に示すデータと概ね等しい。次に、2つの被プレス面がともに凹面のプリフォームを加熱し、凸状成形面を有する上型および下型を備えたプレス成形型で精密プレス成形し、非球面両凹レンズを得た。各レンズの面精度は実施例2と同様であった。精密プレス成形では、上下型成形面の頂部でプリフォーム上下面の中心を押さえ、プリフォームがプレス成形型の中心位置からずれないようにした。なお、上下型成形面の頂部でプリフォームの被プレス面の中心を押さえる際、プリフォームに加わる力は上型の自重のみとした。この状態でプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱し、精密プレス成形を行った。このようにして、良好な面精度を有する非球面両凹レンズを得ることができた。
Claims (11)
- 回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォームであって、
前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面であり、
前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下であり、
前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム。 - 前記側面は熔融状態のガラスを固化して得られた面からなる請求項1に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 前記ガラスのガラス転移温度(Tg)が540℃以上である請求項1または2に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 前記ガラスの屈折率(nd)が1.75以上である請求項1〜3のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 前記2つの端面の一方または両方が、熔融状態のガラスを固化して得られた面からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 前記2つの端面の一方または両方が凸面であり、前記凸面の回転対称軸との交点を含む領域に凹部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 前記側面は、円柱の側面形状または円柱の側面形状に近似する形状、もしくは、裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似する形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形するために用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 前記側面において、2つの端面の一方側から他方側に向けて形成された複数の溝が形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形することを含む、光学素子の製造方法。
- 少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形する請求項10に記載の光学素子の製造方法。
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