JP2009096710A - 精密プレス成形用プリフォーム及び光学素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】精密プレス成形用プリフォーム及びこの精密プレス成形用プリフォームを用いた光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォーム。前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面であり、前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下であり、前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上である。この精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形することを含む、光学素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、精密プレス成形用プリフォーム、及びこのプリフォームを用いた光学素子の
製造方法に関する。
光学ガラス製のプリフォームを加熱し、プレス成形して型の成形面の形状をガラスに精密に転写し、非球面レンズなどの光学素子を生産する方法として精密プレス成形法(モールドプレス法ともいう。)が知られている。レンズなどの光学素子は、回転対称形状を有するため、プリフォームの形状も回転対称形状とし、対称軸方向からプリフォームをプレスしてプレス成形型内にガラスを均等に押し広げる。特許文献1、2には、このようなプリフォームと精密プレス成形法による光学素子の製造方法の一例が記載されている。
近年、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、平凹レンズなどの少なくとも一方の光学機能面が凹形状のレンズの需要が高まっている。特許文献3および4は、こうした一方または両方の光学機能面が凹形状のレンズの製造方法について開示する。特許文献3には、第1の型部材と第2の型部材とからなる1対の成形型を用いて、加熱下でガラスをプレス成形することによりメニスカス状の光学素子を製造する方法が記載されている。この方法は、光学素子成形用ガラス素材として、平面部を鏡面とした円柱状ガラスを、103 Pa以下の雰囲気で、前記ガラスの屈伏点以上の温度に加熱し、自重変形により、片面が凸形状、他面が凹形状になるように、熱変形させたものを用いることを特徴とする。特許文献4には、互いに対向する第1の型と第2の型とからなる一対の成形用型を用いて、ガラス素材を加熱下でプレス成形する光学素子の成形法が記載され、前記ガラス素材は、直径の異なる円柱状のガラス素材を2個以上、前記両型の間で、重ねられて、プレス成形されることを特徴とする。
特開2007−99529号公報 特開2003−40632号公報 特開平9−295817号公報 特開平9−249424号公報
凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、平凹レンズなどの少なくとも一方の光学機能面が凹形状のレンズの需要が高まっていることは、前述のとおりである。このようなレンズは、両凸レンズや平凸レンズと比較して、レンズ全体の体積中、光軸付近よりも光軸から離れた部分(レンズの周辺部分)の占める体積の割合が高い。つまり、こうしたレンズを成形する際、成形型内の空間は型の中心軸(成形されるレンズの光軸と一致する。)付近で狭く、軸から離れるにつれて広くなる。この空間内にガラスを押し広げようとすると、ガラスが成形面に沿って広がらず、側面方向に逃げてしまう。その結果、成形面全域にガラスが十分行き渡らず、光学機能面全域にわたり高い面精度を有するレンズが得られない。こうした傾向は、凹状の光学機能面の周辺部で特に顕著になる。
成形の際に上記のような問題がある凹メニスカスレンズ等について、面精度の優れたレンズを作製するためには、例えば、レンズ形状に近似する形状にプリフォームを加工し、精密プレス成形する方法が考えられる(第一の方法)。しかし、この方法では、プリフォームの被プレス面、すなわち、精密プレス成形時に成形型によって加圧される面の形状を精密に加工しないと、ガラスと成形面の間に雰囲気ガスが閉じ込められ(ガストラップという。)、その部分で成形面の形状をガラスに転写できないため、面精度が低下してしまうという問題がある。
他の方法として、中心肉厚の大きいプリフォームを使用する方法が考えられる(第二の方法)。この方法は、精密プレス成形時のガラス変形量を積極的に大きくすることにより、成形面全域にガラスを行き渡らせ、それにより、成形面全域をガラスに転写する方法である。しかし、この方法では、レンズの体積に比べてプリフォームの体積を大幅に大きくしなければならず、成形面の外側にはみ出すガラス(余肉という。)も多くせざるを得ない。こうした余肉が多い成形品を冷却すると、ヒケと呼ばれる現象によって余肉部分の体積収縮が大きくなり、光学機能面の余肉に近い部分が変形し、レンズの面精度が低下してしまう。
さらに、余肉部分が大きいと、プレス成形品を収容するため、プレス成形型を構成するスリーブ型の内径を大きくせざるを得ず、プレス成形型全体も大きくせざるを得なくなる。しかし、プレス成形型を大きくすると型の均熱性が低下し、レンズの面精度を十分高められない。また、プレス成形型はSiCや超硬材など高価な材料から作られるため、型の大型化は型材費用の増加につながる。また、型を大型化することにより加工費もアップしてしまう。
さらに、余肉が多いと芯取り加工に要する時間が増加し、生産コストを押し上げることになってしまう。さらに、精密プレス成形法の特長の一つであるガラスの利用率を高める観点からも、余肉の多い成形は好ましいとはいえない。
また、レンズ体積に比べてプリフォーム体積を大幅に大きくしなければならないので、プリフォームの加熱や精密プレス成形品の冷却に要する時間を長くしなければならず、スループットが低下してしまう、という問題も生じる。
こうした事情に照らして前記特許文献3及び4に記載の方法を検討すると、特許文献3に記載の方法は、加熱による自由変形を利用する方法であるため、直径に対して肉厚を大きく取れない。従って、特許文献3に記載の方法は、上記第2の方法に適さない。また、自由変形を利用する方法であるため、レンズ形状に極めて近似した形状のガラス素材を作ることも難しいため、第1の方法にも適さない。
特許文献4に記載の方法では、重ね合わせるガラスの枚数が多いと研磨時の手間やコストが増加し、反対に少ない場合には精密プレス成形のときの余肉が増えてレンズの面精度が低下したり、芯取り時の手間とコストが増加する。
精密プレス成形時に成形型によって加圧される面の形状を精密に加工することなしに、光学素子の体積に比べてプリフォーム体積を大幅に大きくすることなく、所定の面精度を有する光学素子、特にメニスカスレンズや両凹レンズなど凹状の光学機能面を備える光学素子を効率よく生産する新たな技術が必要とされているが、そのような技術が存在しないのが現状である。
さらに、上記のような凹形状の光学機能面を備えるレンズにおいては、光学設計上、高屈折率のガラスを用いることが好ましい。屈折率の高いガラスとしては、例えば、B23−La23系ガラスに代表される高屈折率中低分散ガラス、リン酸系ガラスに代表される高屈折率高分散ガラスが挙げられる。
高屈折率中低分散ガラスは、精密プレス成形に適した粘性に相当する温度幅が狭いので、プレス成形時の温度制御が難しい。温度が低すぎると必要なレンズの面精度が得られず、あるいはカン、割れが生じることがある。一方、温度が高すぎると、プレス成形型との融着を引き起こす。
高屈折率高分散ガラスは、プレス成形型との反応性が高く、型との融着を引き起こしやすい。また、型との反応によると思われる放射状の傷がレンズ表面に生じやすい。ガラスと型との反応を抑えるには、プレス成形時の温度を下げて、前記反応性を低下させることが望まれる。
こうしたトラブル(融着や放射傷の発生)を解消するには、精密プレス成形時のガラスの温度をなるべく低くすることが望ましい。そのため、高粘度状態のガラスをプレスすることになる。前述のようにプリフォーム表面に研削痕などの微細な傷が存在すると、精密プレス成形時にガラスの破損などの不良が生じやすい。また、ガラスの研磨では、水などの液体をガラス表面に適用しながら研磨を行うが、リン酸ガラスの場合、特に表面に水和層などの変質層が形成されやすく、この変質層が精密プレス成形時に型成形面との融着を助長してしまう。
こうした傾向は、高屈折率中低分散ガラスでは、ガラス転移温度(Tg)が540℃以上を超えるか屈折率(nd)が1.75以上になると顕著になり、高屈折率高分散ガラスでは、屈折率(nd)が1.75以上になると顕著になる。
いずれにしても面精度の高い光学素子を得るにあたり、ガラスの破損防止を確実に行う必要がある。
本発明はこうした問題を解決するためになされたものであり、
(1)精密プレス成形時に成形型によって加圧される面の形状を精密に加工することなしに、
(2)レンズ体積に比べてプリフォーム体積を大幅に大きくすることなく、
(3)ガラスを破損させることなく、
(4)所定の面精度を有する光学素子を効率的に生産することができる
精密プレス成形用プリフォームを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記精密プレス成形用プリフォームを用いた光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下のとおりである。
[1]回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォームであって、
前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面であり、
前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下であり、
前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム。
[2]前記側面は熔融状態のガラスを固化して得られた面からなる[1]に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[3]前記ガラスのガラス転移温度(Tg)が540℃以上である[1]または[2]に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[4]前記ガラスの屈折率(nd)が1.75以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[5]前記2つの端面の一方または両方が、熔融状態のガラスを固化して得られた面からなることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[6]前記2つの端面の一方または両方が凸面であり、前記凸面の回転対称軸との交点を含む領域に凹部を備えることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[7]前記側面は、円柱の側面形状または円柱の側面形状に近似する形状、もしくは、裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似する形状を有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[8]少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形するために用いられる、[1]〜[7]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[9]前記側面において、2つの端面の一方側から他方側に向けて形成された複数の溝が形成されている[1]〜[8]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形することを含む、光学素子の製造方法。
[11]少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形する[10]に記載の光学素子の製造方法。
本発明によれば、高精度な光学素子を効率よく生産するための精密プレス成形用プリフォームとこのプリフォームを用いた光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明において、以下と記し、範囲を特定する場合、上限も前記範囲に含めることとし、以上と記し、範囲を特定する場合、下限も前記範囲に含めることとする。
[精密プレス成形用プリフォーム]
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォームである。さらに、本発明のプリフォームの前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面である。さらに、本発明のプリフォームは、前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下である。さらに、前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上である。
本発明のプリフォームは、回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える。
レンズのように光学機能面の形状が極めて高い回転対称性を有する光学素子を成形するには、回転対称軸を有するプリフォームを用いることが適切である。回転対称軸のまわりに任意の角度だけ回転する操作に対し、回転前後のプリフォームの輪郭を重ね合わせることができる。ただし、この回転対称性は、幾何学的に厳密である必要はなく、精密プレス成形によって所望の光学素子を作製できる程度であればよい。
本発明のプリフォームの典型的な形状は、円筒形であるが、純粋に円筒形であるものもみならず、2つの端面の一方または両方が凸面であることができる。さらに、側面が、回転対称軸と並行である場合と非並行である場合のいずれであることもできる。
精密プレス成形によってガラスを均等に押し広げ、偏肉の少ない光学素子を得るには、回転対称軸の方向を向く面、すなわち、端面を精密プレス成形時の被プレス面とする。端面は凸面または凹面とすることができる。例えば、2つの端面とも凸面としたり、2つの端面と凹面としたり、2つの端面のうち、一方を凸面、他方を凹面とする。端面を凸面とするか凹面とするかは、成形するレンズなどの光学素子の形状を考慮して決めればよく、例えば、凹メニスカスレンズや凸メニスカスレンズを成形する場合は、2つの端面とも凸面とするか、2つの端面のうち、一方を凸面、他方を凹面とすることが好ましく、両凹レンズを成形する場合は、2つの端面とも凸面とするか、2つの端面とも凹面とするか、2つの端面のうち、一方を凸面、他方を凹面とすることが好ましい。そして、端面の曲率をプレス成形型の成形面の形状にあわせて決めることにより、精密プレス成形時のガストラップを防止することができる。
端面が凸面または凹面である場合、その曲率は、プレス成形型の成形面が球面の場合には当該球面、前記成形面が非球面の場合には当該非球面の非球面式の基準曲率等を考慮して、適宜決定できる。2つの端面の曲率は、同一または異なることができる。
さらに、前記凸面には、凸面の回転対称軸との交点を含む領域に凹部を備えることもできる。凹部の大きさ(凸面に対する割合)は、レンズの光学機能面が球面であれば当該球面の曲率、非球面であれば当該非球面の非球面式の基準曲率等を考慮して適宜決定できる。例えば、前記レンズの光学機能面の直径をdとすると前記凹部の直径はd/3〜d/2の範囲とすることができる。凹部の深さはレンズの球欠等を考慮して適宜決定できる。例えば、高さhとすると凹部の深さはh/5〜h/4とすることができる。
また、端面(被プレス面)が凸面の場合、前記端面の回転対称軸との交点を含む領域に凹部を設けることにより、前記被プレス面を凸形状の型成形面でプレスする際、成形面の中心とプリフォームの中心を位置合せしやすくなる。また、精密プレス成形品の量産時、プレス成形型内にプリフォームを導入し、上記被プレス面の凹部を凸形状の成形面の頂部で押さえることにより、プリフォームを導入したプレス成形型を移動しても型内のプリフォームの位置を固定状態に保つこともできる。端面が凹面の場合であって、凹面の中心、すなわち、最も窪んだ部分が端面の回転対称軸との交点を含む領域である場合にもこうした効果を得ることができる。
本発明のプリフォームの側面の2つの外周縁は、2つの端面の外周のそれぞれに接続する。接続部分は、角を形成しているか、あるいは曲面であってもよい。あるいは、側面の2つの外周縁と端面の外周との間に、側面の2つの外周縁と端面の外周のそれぞれと接続する接続面が形成されていてもよい。
本発明のプリフォームの側面は、円柱の側面形状または円柱の側面形状に近似する形状、もしくは裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似する形状であることができる。このような形状のプリフォームによれば、充填率(V/V0)を一層高めることができる。円柱の側面形状とは、円柱断面の直径が断面のどの位置でも等しく、かつ側面の表面はなめらかな円柱に則したなめらかな曲面(曲平坦面)である。それに対して、円柱の側面形状に近似する形状とは、プリフォームの側面に後述する溝を備える場合など、幾何学的観点から厳密には円柱の側面形状ではないが、精密プレス成形やプリフォームの製造工程等の観点から円柱の側面形状と同等と見なせる形状を意味する。具体的には、円柱の側面形状に近似する形状とは、側面の表面に凹凸や溝(波状構造)を有するが、円柱断面のこれら凹凸や溝に外接または内接する円の直径が断面のどの位置でも等しい、形状を意味する。凹凸や溝の形状及び寸法は、成形するプリフォームの体積や当該円柱の高さhに対する直径φの比、および下面側の曲率を考慮して適宜決定できる。プリフォームの側面に凹凸や溝(及び山脈)を有することで、後工程である成形工程において、プリフォームの側面がガストラップになることを防止でき、あるいはなめらかな曲面(曲平坦面)である場合に比べて、変形に対する抵抗が大きくなり、余肉形成抑制に効果がある。
また、裁頭円錐の側面形状は、円柱断面の直径が、一方の端面から他方の端面に向かって、減少または増加し、かつ側面の表面はなめらかな円柱に則したなめらかな曲面(曲平坦面)である。円柱断面の直径の減少または増加の程度は、プリフォームに要求される形状を考慮して適宜決定されるが、裁頭円錐の側面を側面の一部とする仮想的な円錐の頂角(全角2α)を4°〜6°の範囲にすることが、プリフォームの徐冷工程へ取り出しやすさという観点から適当である。なお、上記αは仮想的な円錐の中心軸と母線のなす角度(内角)である。
さらに、裁頭円柱の側面形状に近似する形状とは、プリフォームの側面に後述する溝を備える場合など、幾何学的観点から厳密には裁頭円柱の側面形状ではないが、精密プレス成形やプリフォームの製造工程等の観点から裁頭円柱の側面形状と同等と見なせる形状を意味する。具体的には、円柱の側面形状に近似する形状の場合と同様に、側面の表面に凹凸や溝(波状構造)を有するが、円柱断面のこれら凹凸や溝に外接または内接する円の直径が一方の端面から他方の端面に向かって、減少または増加する形状を意味する。凹凸や溝の形状及び寸法は、プリフォームの徐冷工程へ取り出しやすさを考慮して適宜決定できる。プリフォームの側面に凹凸や溝(及び山脈)を有することで、後工程である成形工程において、プリフォームの側面がガストラップになることを防止でき、あるいはなめらかな曲面(曲平坦面)である場合に比べて、変形に対する抵抗が大きくなり、余肉形成抑制に効果がある。
プレス方向に対して直交する方向にガラスが逃げてしまう、すなわち、プレスしたときにガラスが前記直交する方向に専ら広がり、ガラスが成形面に十分行き渡らないことも、光学素子の面精度を低下させる要因となる。こうしたプレス時のガラスの挙動を抑制する上から、側面において、2つの端面の一方側から他方側に向けて形成された複数の溝が形成されているプリフォームが好ましい。上記溝が側面に存在することにより、プレス時にガラスが型成形面に行き渡りながらプレス成形型内の空間に広がっていくため、面精度の高い光学素子をいっそう容易に製造することができる。側面の複数の溝は等間隔に配列していることが好ましい。こうすることにより、精密プレス成形時、プリフォームの回転対称軸を中心にして等方にガラスの広がりを制御することができる。なお、上記溝は回転対称軸に平行に形成されていてもよいし、回転対称軸に対して各々一定の方向に形成されていてもよいが、精密プレス成形時、前記回転対称軸を中心にして等方にガラスの広がりを制御する上から上記溝は前記回転対称軸に平行に形成されていることが好ましい。なお、上記溝は後述する方法により得ることができる。
精密プレス成形では、高粘度のガラスを高い圧力でプレスする。そして、本発明のプリフォームはプレス時の変形量が大きいため、プリフォーム表面に研削痕や傷が存在すると、その部分を起点としてガラスが破損しやすい。こうしたトラブルを防ぐ上から、好ましくは少なくともプリフォームの側面を熔融状態のガラスを固化して得られた面、より好ましくは前記側面に加えて2つの端面(被プレス面)も熔融状態のガラスを固化して得られた面とする。熔融状態のガラスを固化して得られた面とは、プリフォーム全体あるいはプリフォームの母材となるガラス成形体全体を、熔融ガラスを冷却、固化して作ったときに得られるガラス表面を意味し、後述する火作り面、すなわち、ガラス表面のみを加熱、再熔融した後に固化して得られる面とは異なる。熔融状態のガラスを固化して得られた面には研削、研磨などの冷間加工が施されていないので、研削痕や研磨痕が存在せず、上記破壊の起点が存在しない。特に、上記観点から全表面が熔融状態のガラスを固化して得られた面であるプリフォームが好ましい。また、ガラス表面を再熔融した後、冷却、固化して得られる火作り面も、再熔融によって研削痕や研磨痕が修復されて、微視的にも平滑な面になるので、上記破壊の起点が存在しない。
火作り面はファイヤーポリッシュと呼ばれる方法で得られる。しかし、火作り面ではガラス表面を高温に再加熱するため、ガラス表面が変質するおそれがある。特に、B23、アルカリ金属、フッ素、塩素などの揮発しやすい成分を含むガラスでは、ファイヤーポリッシュ時に揮発によってガラス表面が変質しやすい。また、一端、所望の形状に成形したガラスを再加熱、再熔融するため、ガラスが所望形状から変形してしまう。このような理由で、火作り面と熔融状態のガラスを固化して得られた面とを比較すると後者のほうが格段優れている。鏡面研磨面は、荒ずり、砂かけなどのラッピング工程を経た後、ポリシングされた面である。ラッピングされた面には多数の研削痕、研磨痕が存在し、これらが上記破壊の起点になる。鏡面研磨面では、こうした起点のうち大きなものは除去されるが、潜傷と呼ばれる極めて微細な傷が存在するため、鏡面研磨面を有するプリフォームは、熔融状態のガラスを固化して得られた面や火作り面によって全表面が構成されるプリフォームに比べて耐破損性が低くなる。エッチング面も研削痕や研磨痕がエッチングにより除去されるので、表面がエッチング面のプリフォームも耐破壊性に優れている。ただし、潜傷がある表面をエッチングすると、傷が顕在化することにより耐破壊性が低下することがある。いずれにしても熔融状態のガラスを固化して得られる面とすることが格段と好ましい。
なお、熔融状態のガラスを固化して得られた面の例としては、自由表面、型成形面を熔融ガラスに転写して得られる型転写面などをあげることができる。自由表面は、例えば、熔融ガラス塊を浮上しながら成形することによって形成することができる。型転写面はプレス成形型でガラスをプレスしたり、熔融ガラスを鋳型に流し込むことによって形成することができる。
本発明のプリフォームは、形状を、プリフォームに外接する仮想的な円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下となるように調整したものである。比(φ/h)が1より小さいと、側面部分または側面と端面(被プレス面)の境界部分がレンズの有効径内に入ってしまい、レンズ表面の品質を低下させるおそれが高くなる。一方、比(φ/h)が3より大きいと、精密プレス成形時のガラスの変形量が小さくなり、ガラスを成形面全域に行き渡らせるのが難しくなる。また、プリフォームがプレス成形型の中で傾いて、レンズの偏肉・偏芯の原因になるおそれがある。したがって、比(φ/h)を上記範囲にするが、比(φ/h)の好ましい範囲は1〜2.6、より好ましい範囲は1〜2.4、さらに好ましい範囲は1〜2.0とする。
全表面が熔融状態のガラスを固化して得られた面であるプリフォームを作製する上からも、本発明のプリフォームの形状は好都合である。全表面が熔融状態のガラスを固化して得られた面であるプリフォームの作製では、後述するように熔融ガラス塊に風圧を加えて浮上させながら成形する。このとき、ガラス塊底面にガスを吹き付けて浮上させる風圧を得るが、φ/hが大きすぎると前記ガスがガラス塊の底面から側面に沿って抜けにくくなり、ガラス塊を安定して浮上させるのが困難になる。一方、φ/hが小さすぎるとガラス塊の底面に加わる風圧だけでガラス塊を浮上させることが困難になる。φ/hが本発明の範囲にあることにより、ガラス塊を安定して浮上させながら成形することもできる。なお、ガラス塊の浮上の安定化の観点からもφ/hの好ましい範囲は前述の範囲となる。
このようにして精密プレス成形時のガラスの変形量を確保した上で、ガラスの成形面からのはみ出し量を低減、抑制する上から、前記円柱の容積V0に対するプリフォームの体積Vの比(V/V0)を68%以上とする。比(V/V0)は仮想的円柱内のガラスの充填率とも言える量であり、光学機能面全域の面精度を良好にしつつ、使用するガラスの量を低減するための指標と考えることができる。上記効果を高める上から、比(V/V0)を69%以上にすることが好ましく、70%以上にすることがより好ましく、71%以上にすることがさらに好ましく、72%以上にすることが一層好ましい。充填率(V/V0)の上限は96%程度であり、後述する側面の溝や端面が曲面であることによる充填率の減少を考慮すると、前記充填率の上限を94%とすることが好ましく、92%とすることがより好ましく、90%とすることがさらに好ましく、88%とすることが一層好ましい。
プリフォームが回転楕円体の場合、充填率(V/V0)は2/3(66.7%)となり、プリフォームが球の場合も充填率(V/V0)は2/3(66.7%)となる。したがって、これらの形状のプリフォームでは精密プレス成形時のガラスの変形量を増加させるためにスケールアップしても、充填率(V/V0)は一定のため、ガラスの変形量を大きくできても、成形面からはみ出るガラスの量、すなわち、余肉の量も増加してしまう。その結果、余肉部分のヒケによってレンズの面精度が低下してしまう。また、余肉部分が大きいと、ガラスを収容するスリーブ型も大きくせざるを得ず、プレス成形型全体も大きくなるため、型の均熱性が低下して、光学機能面全域にわたり高い面精度の光学素子を作るのが難しくなる。
一方、本発明では、比(φ/h)を1以上かつ3以下とし、かつ(V/V0)を68%以上とするので、余肉の少ないプレス成形が可能になり、その結果、光学機能面全域にわたり面精度の高い光学素子を得ることができる。また、所定の光学素子に対してプレス成形型の大型化を抑えることができるので、型材費用や型の加工費を低減することもできる。さらに、芯取り加工によって除去されるガラスの量を削減するとともに、芯取り加工に要する時間を短縮化すること、ガラスの利用率を高めることができる。また、プリフォームの加熱や精密プレス成形品の冷却に要する時間を短縮し、スループットを上げることもで
きる。
φが成形面を平面視したときの直径よりも小さいプリフォームを使用すると、プリフォーの側面が精密プレス成形によって光学機能面になることがある。その場合でも、側面を鏡面にすることにより、平滑かつ面精度の高い光学機能面を成形することができる。ただし、平滑かつ面精度の高い光学機能面を成形し、精密プレス成形時のガラスの破損を低減、防止する上から、被プレス面と側面とが交わる稜を曲面とし、前記曲面も鏡面にしておくことが望ましい。ただし、平滑かつ面精度の高い光学機能面を成形する上から、φが成形面を平面視したときの直径よりも大きくなるようにすることが望ましい。
なお、側面の最大高さRy(JIS B0601-1994による)に比べて、被プレス面の最大高さRyを小さくすることが平滑な光学機能面を形成する上から好ましい。具体的には、側面の最大高さRyは、好ましくは1μm以下、概ね0.3μm〜1μmの範囲とし、被プレス面である端面の最大高さRyは、0.02μm以下、概ね0.01μm〜0.02μmの範囲とする。
なお、本発明のプリフォームは後述する方法で作製できる他、ガラスを研削、研磨する方法によっても作製できるし、ガラスをプレス成形してから研削、研磨する方法などによっても作製することができる。
本発明のプリフォームは、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズの成形に好適に使用することができ、凹メニスカスレンズ、両凹レンズの成形に特に好適である。
凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズ等の材料として好ましいガラスは、ガラス成分としてB23およびLa23を含有するガラスである。こうしたガラスは、高屈折率低分散ガラスあるいは高屈折率中分散ガラスであり、前述のように精密プレス成形に適した粘度が得られる温度域が狭く、ガラス転移温度も高い。したがって、プレス成形温度が僅かに変動しただけで、プリフォーム側面に存在する破壊の起点から破壊がおきやすい。また、ガラス転移温度が高いガラスは、精密プレス成形時のプリフォーム加熱温度、プレス成形型の加熱温度も高くなるが、プレス成形型や型成形面に設ける離型膜の消耗を低減、防止する上から、プリフォーム、プレス成形型の両加熱温度をできるだけ低く抑えることが好ましい。こうした要望に応えると、ガラス変形量が大きい精密プレス成形において、高粘度のガラスをプレスすることになる。そのとき、表面に前述の破壊の起点が存在しない上記プリフォームであれば破損することなく、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズといった光学素子を成形することができる。
本発明のプリフォームの好ましい第1の具体例としては、ガラス転移温度(Tg)が540℃以上の光学ガラスにより構成されるプリフォーム、より好ましくはガラス転移温度(Tg)が570℃以上の光学ガラスにより構成されるプリフォーム、さらに好ましくはガラス転移温度(Tg)が590℃以上のガラスにより構成されるプリフォーム、より一層好ましくはガラス転移温度(Tg)が600℃以上のガラスにより構成されるプリフォームである。ただし、ガラス転移温度(Tg)が余りに高温になると精密プレス成形が困難になるおそれがあることから、ガラス転移温度(Tg)を690℃以下にすることが好ましい。
本発明の精密プレス成形用プリフォームを構成するガラスとして好ましいものは、例えば、以下の光学ガラスである。
本発明のプリフォームは、メニスカスレンズ、両凹レンズなど凹状のレンズ面を有するレンズの成形に適しているが、中でも凹メニスカスレンズ、両凹レンズといった負の屈折力を有するレンズの成形に好適である。こうしたレンズは、正の屈折力を有するレンズと組み合わせて色消しを行うのに適しており、正の屈折力を有するレンズを構成するガラスよりも低分散のガラスを使用することが望ましい。また、光学系のコンパクト化、およびレンズ面の曲率の絶対値を低減して精密プレス成形型の型加工や精密プレス成形を容易にする上から屈折率の高いガラスが望ましい。
こうした観点から、本発明のプリフォームを構成するガラスとしては、アッベ数νdが35以上の範囲では屈折率ndが1.70以上、アッベ数νdが35未満の範囲では、下記(1)式を満たす屈折率ndを有する光学ガラスが好ましい。
nd≧2.4−0.02×νd …… (1)
より好ましくは上記範囲内で屈折率ndが1.75以上のガラスが好ましい。
ただし、低分散性を維持しつつ屈折率をいっそう高めるとガラス安定性が低下するため、前記範囲内の光学特性のうち、下記(2)式を満たす範囲にすることが好ましく、下記(3)式を満たす範囲にすることがより好ましい。
nd≦2.48−0.012×νd(ただし、屈折率ndが2.2以下)…… (2)
nd≦2.42−0.012×νd(ただし、屈折率ndが2.2以下)…… (3)
(注)
(1)式はnd=1.90、νd=25とnd=1.7、νd=35を結ぶ直線
(2)式はnd=2.00、νd=45とnd=1.7、νd=65を結ぶ直線
(3)式はnd=2.00、νd=35とnd=1.7、νd=60を結ぶ直線
光学特性に加えて精密プレス成形用のガラスには比較的低いガラス転移温度を示すガラスが好ましい。こうした性質を実現するガラスとして、モル%表示において、ガラス成分として、
23 5〜70%、
SiO2 0〜50%、
ZnO 1〜50%、
La23 5〜30%、
Gd23 0〜22%、
23 0〜10%、
Yb23 0〜10%、
Li2O 0〜20%、
Na2O 0〜10%、
2O 0〜10%、
MgO 0〜10%、
CaO 0〜10%、
SrO 0〜10%、
BaO 0〜10%、
ZrO2 0〜15%、
Ta25 0〜20%、
WO3 0〜20%、
Nb25 0〜15%、
TiO2 0〜40%、
Bi23 0〜10%、
GeO2 0〜10%、
Ga23 0〜10%、
Al23 0〜10%、
を含む光学ガラスを例示することができる。
上記光学ガラスについて、以下に説明する。尚、以下、特記しない限り各成分の量はモル%にて表示するものとする。
23は必須成分であり、ガラス網目を形成する酸化物の役割を果たす。La23などの高屈折率成分を多く導入する場合、ガラスの形成のためにB23を5%以上導入して主なネットワーク構成成分とし、失透に対する十分な安定性を付与するとともに、ガラスの熔融性を維持する必要があるが、70%を超えて導入すると、ガラスの屈折率が低下し、高屈折率ガラスを得るという目的に適さなくなる。したがって、B23の導入量は5〜70%、好ましくは10〜65%、より好ましくは10〜60%、更に好ましくは15〜60%である。
SiO2は任意成分であり、La23などの希土類酸化物成分を多量に含有するガラスに対して、ガラスの液相温度を低下させ、高温粘性を向上させ、さらにガラスの安定性を大きく向上させるが、過剰の導入により、ガラスの屈折率が下がることに加え、ガラス転移温度が高くなり精密プレス成形が困難になる。そのため、SiO2の導入量は0〜50%、好ましくは0〜40%、より好ましくは0〜30%、更に好ましくは0〜25%である。
ZnOは必須成分であり、ガラスの熔融温度や液相温度及び転移温度を低下させ、屈折率の調整にも欠かせない。その含有量が1%未満だと上記効果が弱く、50%を超えて導入すると、分散が大きくなり、失透に対する安定性も悪化し、化学的耐久性も低下するので、その導入量は1〜50%の範囲とし、好ましい範囲は3〜45%、より好ましい範囲は5〜40%、更に好ましい範囲は10〜35%である。
La23も必須成分であり、ガラスの失透に対する安定性を低下させずに、または分散を高めずに、屈折率を高くし、化学的耐久性を向上させる。しかし、5%未満では十分な効果が得られず、30%を超えると失透に対する安定性が著しく悪化するため、その導入量は5〜30%、好ましくは5〜25%、より好ましくは5〜22%、更に好ましくは5〜20%とする。
Gd23は、La23と同様、ガラスの失透に対する安定性や低分散性を悪化させずにガラスの屈折率や化学的耐久性を向上させる成分である。Gd23は、22%を超えて導入すると失透に対する安定性が悪化し、ガラス転移温度が上昇して精密プレス成形性が悪化する傾向があるため、その導入量は0〜22%、好ましくは0〜20%、より好ましくは0〜18%、更に好ましくは0〜15%とする。
23、Yb23は、高屈折率・低分散なガラスを実現する任意成分であり、少量導入する場合、ガラスの安定性を高め、化学的耐久性を向上させるが、過剰の導入によりガラスの失透に対する安定性を大きく損ない、ガラス転移温度や屈伏点温度を上昇させる。そのため、Y23の含有量は0〜10%とし、Yb23の含有量は0〜10%とする。
Li2Oはガラス転移温度を低下させる効果が大きいが、過剰導入により屈折率が低下するとともに、ガラス安定性も低下する。したがって、Li2Oの量を0〜20%、好ましくは0〜15%、より好ましくは0〜10%、更に好ましくは0〜8%とする。なお、低温軟化性の付与を優先させる場合はLi2Oの量を0.1%以上とする。
Na2O、K2Oは熔融性を改善させる働きがあるが、過剰導入により屈折率やガラス安定性が低下するため、それぞれの導入量を0〜10%とする。
MgO、CaO、SrOも熔融性を改善させる働きがあるが、過剰導入により屈折率やガラス安定性が低下するため、それぞれの導入量を0〜10%とする。
BaOは屈折率を高める働きをするが過剰導入により、ガラス安定性が低下するため、その導入量を0〜10%とする。
ZrO2は、高屈折率なガラスを実現し、かつガラスの低分散性を維持するために使われる必須成分である。ZrO2を導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果が得られるが、15%を超えて導入すると液相温度が急激に上昇し、失透に対する安定性も悪化するので、その導入量は0〜15%、好ましくは0〜12%、より好ましくは0〜10%、更に好ましくは0〜8%とする。
Ta25は、高屈折率・低分散なガラスを実現する任意成分である。Ta25を導入することにより、ガラスの屈折率を低下させずに、高温粘性や失透に対する安定性を改善する効果があるが、20%を超えて導入すると液相温度が急激に上昇し、分散が増大するので、その導入量は0〜20%、好ましくは0〜17%、より好ましくは0〜14%、更に好ましくは0〜10%とする。
WO3は、ガラスの安定性、熔融性を改善し、屈折率を向上させるために適宜導入される成分であるが、その導入量が20%を超えると、分散が大きくなり、必要な分散特性が得られなくなり、ガラスの着色も増大するため、その導入量は0〜20%、好ましくは0〜18%、より好ましくは0〜16%、更に好ましくは0〜14%とする。
Nb25は、ガラスの安定性を維持しつつ屈折率を高める任意成分であるが、過剰導入により分散が増大するため、その導入量は0〜15%、好ましくは0〜13%、より好ましくは0〜10%、更に好ましくは0〜8%とする。
TiO2は、ガラスの屈折率の向上のため導入可能な任意成分であるが、過剰の導入によって分散が大きくなり、目的とする光学恒数を得ることができなくなったり、ガラスの着色が増大するため、その導入量は0〜40%。好ましくは0〜35%、より好ましくは0〜30%、更に好ましくは0〜25%とする。
Bi23は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの安定性を向上する働きをする任意成分であるが、過剰導入によりガラスの安定性が低下し、液相温度が上昇する。そのため、その導入量は0〜10%とする。
GeO2は、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラスの安定性を向上させる働きをする任意成分であり、その導入量は0〜10%とし、0〜8%とするのが好ましい。ただし、他の成分に比べて桁違いに高価であるため導入しないことがより好ましい。
Ga23も、ガラスの屈折率を高めるとともに、ガラスの安定性を向上させる働きをする任意成分であり、その導入量は0〜10%とし、0〜8%とするのが好ましい。ただし、他の成分に比べて桁違いに高価であるため導入しないことがより好ましい。
Al23は、ガラスの高温粘性を高めるとともに液相温度を低下させ、ガラスの成形性を向上する働きをし、化学的耐久性を向上させる働きもする任意成分である。しかし過剰導入により屈折率が低下し、失透に対する安定性も低下するので、その導入量は0〜10%とする。
この他、Sb23が脱泡剤として任意に添加されるが、全ガラス成分の合計含有量に対してSb23の添加量が1重量%を超えると、精密プレス成形時にプレス成形型の成形面が損傷を受けるおそれが生じるため、Sb23は全ガラス成分の合計含有量に対して0〜1重量%添加することが好ましく、0〜0.5重量%添加することがより好ましく、0〜0.1重量%添加することがさらに好ましい。
一方、ガラス成分として導入しないことが好ましいものとして、PbOが挙げられる。PbOは有害であるとともに、PbOを含むガラスからなるプリフォームを非酸化性雰囲気中で精密プレス成形すると、成形体の表面に鉛が析出して光学素子としての透明性が損なわれたり、析出した金属鉛がプレス成形型に付着するといった問題が生じる。
Lu23は、0〜3%と少量であれば導入することができる。しかし、一般に光学ガラスの成分としては、他の成分に比べて使用頻度が少なく、また、希少価値が高く光学ガラス原料としては高価であるため、コスト面から導入しないことが好ましい。
カドミウム、テルルなどの環境上問題となる元素、トリウムなどの放射性元素、ヒ素などの有毒な元素も導入しないことが望ましい。また、ガラス熔融時の揮発などの問題からフッ素も導入しないことが望ましい。
前述の範囲で所望の光学特性を得るため、上記説明にしたがって、上記組成範囲内で各成分の導入量を定めればよい。
上記のように屈折率が高いガラスを精密プレス成形する場合、成形型の温度やガラスの温度が高くなると、ガラス中の成分、特に高屈折率付与成分と成形型の成形面、あるいは前記成分とプリフォーム表面にコーティングした膜とが化学反応をおこし、ガラス表面にクモリや傷が生じたり、ガラスが成形型に貼りつくといったトラブルが生じやすい。こうしたトラブルを回避するには、プレス成形時の成形型やガラスの温度を低く抑えること、すなわち、粘度が比較的高いガラスをプレス成形することが望まれる。したがって、上記のガラスは、屈折率が低いガラスに比べてプレス成形時の許容温度域が狭い。
また、上記ガラスは、屈折率が低いガラスに比べて温度変化に対する粘度変化が大きく、温度が僅かに低下しただけで粘度が大幅に上昇し、硬いガラスをプレスすることになり、カン、割れがおきやすい。
その上、本発明は精密プレス成形におけるガラスの変形量が大きいため、尚更カン、割れがおきやすい。そこで、プリフォーム表面の傷や潜傷を無くすことにより、カン、割れを低減、防止することが望まれる。
前述のように高屈折率付与成分を含む上記ガラスは、成形型成形面との化学反応やプリフォーム表面をコーティングする膜との化学反応を抑えるため、ガラス転移温度Tgを低くすることが望まれる。ガラス転移温度の好ましい範囲は650℃以下、より好ましい好ましく、630℃以下がより好ましい。また、前述のように上記ガラスは高屈折率付与成分を含むため、精密プレス成形用の光学ガラスの中ではガラス転移温度が比較的高く、その転移温度は目安として520℃以上となる。屈折率がより高いガラスあるいは分散がより低いガラスでは、更にガラス転移温度が高く、540℃以上、ガラスによっては550
℃以上、更には580℃以上、600℃以上となる。
上記ガラスとしては、モル%表示にて、B23 20〜43%、La23 5〜24%、ZnO 22〜42%、Li2O 0〜15%、Gd23 0〜20%、SiO2 0〜20%、ZrO2 0〜10%、Ta25 0〜10%、WO3 0〜10%、Nb25 0〜10%、TiO2 0〜10%、Bi23 0〜10%、GeO2 0〜10%、Ga23 0〜10%、Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、Y23 0〜10%、Yb23 0〜10%、Sb23 0〜1%を含むガラスを例示することができる。
上記範囲の組成を有し、前述のようにガラス転移温度が高い光学ガラスを用いた上記プリフォームにより、高屈折率低分散ガラス製の凹メニスカスレンズ、両凹レンズなどの光学素子を精密プレス成形で高精度に作製することができる。
上記ガラスは屈折率(nd)が1.75以上、アッベ数(νd)が25〜55の光学特性を実現するガラスとして好適である。
本発明のプリフォームを構成するガラスの第2の具体例としては、リン酸ガラスを挙げることができる。高屈折率高分散特性を得るために、P25のほか、Nb25、TiO2、Bi23、WO3、Li2Oを含むリン酸ガラス、P25、Nb25、Bi23、Li2Oを含むリン酸ガラス、P25、Nb25、TiO2、Bi23、Li2Oを含むリン酸ガラス、P25、Nb25、TiO2、WO3、Li2Oを含むリン酸ガラスなどを例示することができる。これらのリン酸ガラスは、Nb25、TiO2、Bi23、WO3といった高屈折率高分散付与成分が含まれているので、プレス成形型と反応し、前述のようにガラスと型との融着、光学素子表面の放射状の傷などが発生しやすい。
こうしたトラブル(融着や放射傷の発生)を解消するには、精密プレス成形時のガラスの温度をなるべく低くすることが望ましい。そのため、高粘度状態のガラスをプレスすることになる。前述のようにプリフォーム表面に研削痕などの微細な傷が存在すると、精密プレス成形時にガラスの破損などの不良が生じやすい。また、ガラスの研磨では、水などの液体をガラス表面に適用しながら研磨を行うが、リン酸ガラスの場合、特に表面に水和層などの変質層が形成されやすく、この変質層が精密プレス成形時に型成形面との融着を助長してしまう。本発明によれば、プリフォームの側面、好ましくは前記側面に加えて2つの端面のうち一方、より好ましくは前記側面と2つの端面、さらに好ましくは全表面を熔融状態のガラスを固化して形成される面とすることにより、前記研削痕や変質層による精密プレス成形時の不具合を低減、解消することができる。
なお、リン酸ガラスは屈折率(nd)が1.75以上、アッベ数(νd)が25未満の光学特性を実現するガラスとして好適である。
[精密プレス成形用プリフォームの製造方法]
本発明の精密プレス成形用プリフォームは、底部と前記底部の周囲を囲ように立設された側壁とを有する凹状のガラス成形部を備え、かつ前記底部は、前記ガラス塊に風圧を加えて浮上させるためのガスを噴出する複数のガス噴出口を有する成形型を用いて製造することができる。
全成形型は、より具体的には、ガラス塊に風圧を加えて浮上させるためのガスを噴出するガス噴出口を有する底部と、前記底部の周囲を囲む側壁により構成される凹状のガラス成形部を備え、前記側壁の形状が円柱の側面形状または円柱の側面形状に近似する形状、もしくは、裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似した形状であり、前記側壁に、前記ガス噴出口から噴出するガスを前記ガラス成形部の開口方向に向けて流すガス流路が設けられている成形型であることができる。
前記成形型では、ガラス塊を浮上させるための風圧を、底部に設けたガス噴出口から噴出するガスによって得るため、底部に面するガラス表面に均等にガスを噴出することが好ましい。こうしたガス噴出を行うため、底部を多孔質体で形成ことが好ましく、多孔質体の背面にガスを供給するためのガス流路を備えることが好ましい。多孔質体の背面に高圧のガスを供給して多孔質体を透過させることにより、その表面から均等にガスを噴出させることができる。
底面と同様、側壁も多孔質体で構成し、多孔質体の背面にも高圧のガスを供給すると、側面から噴出するガスにより底面からの噴出ガスの抜け道が塞がれやすい。その結果、底面への十分な風圧が得られずガラスの浮上状態が悪化するおそれがある。そこで、底面と側壁のうち、底面のみにガス噴出口を設けることが好ましい。底面のみにガス噴出口を設けることで、ガラス塊を安定して浮上させることもできる。
上記の成形型では、側壁の形状をまたは円柱の側面形状に近似する形状、もしくは、裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似した形状とする。充填率の大きいプリフォームを成形するには、側壁が垂直または垂直に近い成形型が望ましい。こうした成形型では、ガラス成形部からプリフォームを円滑に取り出せるよう、側壁を上開き、すなわち、側壁の形状を裁頭円錐の側面形状または前記形状に近似する形状とし、開口部を底部よりも大きくすることが好ましい。こうすることにより、ガラス成形部からスムースにプリフォームを取り出すことができる。
あるいは、成形型の底部と側壁を別部材で構成し、熔融ガラス塊収容時、あるいはガラスを成形している時は、底部と側壁を合体してガラス成形部を構成し、プリフォームを取り出す時に、プリフォームを載せた底部と側壁とを分離し、プリフォームを取り出すようにしてもよい。このとき、底部と側壁は鉛直方向に分離するが、プリフォームを底部上に残すために側壁の形状を裁頭円錐の側面形状または前記形状に近似する形状とし、開口部を底部よりも小さくする、すなわち、側壁を下開き形状にすることが好ましい。こうすることにより、側壁からプリフォームをスムースに抜き出すことができる。
あるいは、側壁を複数の部材で構成し、熔融ガラス塊収容時、あるいはガラスを成形している時は、前記部材同士を合体してガラス成形部を構成し、プリフォームを取り出す時に、上記部材を分離して、プリフォームを取り出すようにしてもよい。
このような各種成形型を用いることにより、本発明のプリフォームまたはプリフォームの母材を高い生産性のもとに製造することができる。
成形型の側壁には、底部に設けられたガス噴出口から噴出するガスをガラス成形部の開口方向に向けて逃がすガス流路が設けられていることが好ましい。このガス流路はガラス成形部にガラス塊を導入したとき、ガラス塊と側壁の間に底面の噴出口から噴出するガスがガラス成形部の開口部から抜けるようにするためのものである。好ましいガス流路は側壁をセレーション状にすることによって得られる。なお、このような成形型の側壁にはガス噴出口やガス吸気口は形成されていない。
上記以外の成形型としては、側壁を多孔質体で形成した成形型を例示することができる。この態様は2つに大別される。一つは、成形型の底部と同様、側壁を構成する多孔質体からガスを噴出する方式である。この方式によれば、ガラスと側壁の融着を防止し、底部から噴出するガスの抜け道を確保できる。そのためには、底部のガス噴出圧力を側壁のガス噴出圧力よりも大きくすることが好ましい。底部から噴出するガスがガラスを浮上させるための大きな風圧を発生させるものであるのに対し、側壁から噴出するガスは、上記効果を得るための補助的なものである。なお、第1の方式では、成形型上のガラスを軟化状態にある間に、上方からプレスしてプリフォーム上面、すなわち、被プレス面の一方の形状を所望の形状に成形することもできる。例えば、凸状成形面を有するプレス型で上記ガラスを上方からプレス成形することにより、ガラス上面を凹面に成形することができる。他方の被プレス面の形状は成形型の成形部の底面を反転した形状に成形される。成形部の底面を凹面にすることにより、他方の被プレス面を凸面に成形することができ、成形部の底面を凸面にすることにより、他方の被プレス面を凹面に成形することができる。プレス後、プレス型をガラスから離せば、ガラス(プリフォームに成形されている。)は再び浮上し、プレスによってガラス表面が急冷されて皺が生じたとしても、ガラス内部の熱によってガラス表面が再加熱され、皺を消失させ、滑らかな表面を有するプリフォームを作製することができる。この方法では、上記ガス噴出圧力が高い場合、プレス時にガスがガラス中に進入せず、ガラスが多孔質体中に進入しない程度にプレス時のガス噴出圧力を調整することが好ましい。ただし、ガラスの浮上が可能であって、プレス時にガスがガラス中に進入せず、ガラスが多孔質体中に進入しない場合、プレス時にガス噴出圧力を調整しなくてもよい。
第2の方式は、多孔質体の微細な孔に存在するガスが高温のガラスが供給されることによって加熱され、急激に膨張することにより、側壁表面から噴出する現象を利用するものである。この方式でも、第1の方式と同様、軟化状態のガラスを上方からプレスし、被プレス面を所望の形状に成形することもできる。
ただし、より確実な成形を行う上から、側壁にガス流路を有する成形型が最も好ましい。
ガス流路は、側壁に等間隔に複数の溝を設けることにより形成することが好ましい。溝を等間隔に設けることで、ガラス成形部中のガラスの周りから均等にガスを逃がすことができ、より安定したガラスの浮上が可能になり、プリフォームなど高品質のガラス成形体をより安定して生産することができる。
ガラス成形部の底部および側壁は、軸対称形状であることが望ましい。軸対称形状のプリフォームやガラス成形体を成形しやすいからである。側壁の溝は上記対称軸に平行または前記軸に対して各々一定方向を向くように形成されていることが望ましい。こうすることにより更にガラスの安定した浮上が可能になる。
こうした成形型を用いることにより、側壁の溝の奥にはガスが流れているため、ガラスは溝の奥までは進入しにくいが、溝の一部に熔融状態のガラスが入り込み、側壁の形状が大まかにガラスに転写される。したがって、プリフォームやガラス成形体の側面において、側壁の溝が転写された部分は一方の端面から他方の端面に向かう山部になり、山部同士の間の谷が前述の溝になり、プレス時のガラスの伸びを制御する役割を果たすことになる。
上記製造方法により精密プレス成形用プリフォームの母材を作製した場合には、前記母材の少なくとも一部を研磨して精密プレス成形用プリフォームを製造できる。研磨は、両方の端面のみ行ってもよし、一方の端面のみ行ってもよい。こうした研磨は、予めガラス成形体を生産しておき、その後に、プリフォームの質量が光学素子の仕様から決まった後、ガラスの質量をプリフォームの質量に正確に一致させる質量調整工程として利用することもできる。なお、研磨は公知の方法を適用すればよい。
精密プレス成形用プリフォームまたは精密プレス成形用プリフォームの母材の製造方法は、熔融ガラスを流出して熔融ガラス塊を分離し、前記ガラス塊を成形型に設けられたガラス成形部で浮上状態にて保持し、前記ガラス塊が冷却する過程で精密プレス成形用プリフォームまたは精密プレス成形用プリフォームの母材に成形することで行われる。
ガラス成形部に保持したガラス塊の上面形状は、熔融ガラス塊の表面張力と自重などのバランスにより定まる形状が冷却、固化した形状になるが、前記上面形状を所望の形状に変えたい場合は、ガラス成形部に保持したガラス塊の上面をプレスして所望の形状に成形することもできる。特に熔融ガラス塊の表面張力と自重などのバランスにより定まる形状は緩やかな凸面になるため、上面を凹面にしたり、ガラス塊の回転対称軸と上面の交点付近に凹部を形成したいときに上記方法は有効である。上面はプリフォームあるいはガラス成形体の端面(被プレス面)の一方になる面であり、その形状については前述のとおりである。
なお、ガラス成形部の容積に対するガラス塊の体積の比率(ガラス塊の体積/ガラス成形部の容積)を40〜65%の範囲にすることが望ましい。前記比率が40%未満だと、成形型が不必要に大きくなり、型の上下動機構や移送機構に過剰な負担がかかるなどの問題が生じる。また、ガラス成形部の容積を大きくするとガラス成形部が深くなる。その結果、流出パイプから流出する熔融ガラスをガラス成形部に供給する際、流出パイプ先端をガラス成形部の奥まで入れなければならなくなる。しかし、パイプには、ガラスの粘度を適正範囲に保つため、加熱装置が取り付けられていたり、保温材で保温されているので、パイプ先端をガラス成形部の奥まで入れるのは困難である。したがって、前記比率を40%以上にしてこうした不都合を解消することが望ましい。一方、前記比率が65%を超えると、ガラス成形部内でガラス塊を安定して浮上させにくくなるため、上記比率を65%以下にすることが望ましい。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、上記本発明の精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形する光学素子の製造方法である。
プレス成形型は、例えば、プリフォームをプレスする互いに対向する押し型と押し型の成形面を収容し、プレス時に押し型を案内するスリーブ型により構成する。一対の押し型のうち、一方を上型、他方を下型とすると、プリフォームの被プレス面の一方が上型成形面を向き、被プレス面の他方が下型成形面を向くように、かつ、プリフォームの回転対称軸が加圧方向に平行かつ、上下型の成形面の中心に一致するようにプレス成形型内にプリフォームを配置してプレス成形を行う。
前述のように、余肉が少ないほうが余肉部分のヒケによる悪影響を低減することができるが、上下型成形面からのガラスのはみ出しが全く無くても、成形面全域を精密にガラスに転写することが難しくなる。そこで、スリーブ型内部の上下型成形面の外側に、前記成形面からはみ出したガラス、すなわち、余肉部分を収容する空間を設けることが望ましい。ただし、この空間を必要以上に大きくするとプレス成形型全体が大きくなり、型を均熱する上から好ましくないので、余肉部分を収容する空間を小さくすることが望ましい。
本発明は、レンズ、中でも凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズの製造に好適であり、特に凹メニスカスレンズ、両凹レンズの製造に好適である。少なくとも一方の光学機能面が凹面となるレンズ、特に凹メニスカスレンズや両凹レンズのようにレンズ中心の肉厚に比べてコバ厚と呼ばれる周辺部分の肉厚が厚いレンズでは、中心から周辺に行くにつれて成形面を精密に転写することが難しくなるが、本発明によれば、成形面全域をガラスに精密に転写することができ、その後の冷却過程におけるヒケによる面精度の低下も低減、防止することができる。したがって、本発明の好ましい態様は、こうした光学素子を製造するための方法であり、プレス成形型を構成し、プリフォームを加圧するための対向する型部材の少なくとも一方の成形面が凸面である方法である。
この方法では、プリフォームの被プレス面中央に凹部を設け、前記被プレス面を凸面の成形面でプレスすることが好ましい。被プレス面の凸面を凸面の成形面でプレスすると、プレス成形型内の適正な位置、方向からプリフォームが逃げて、加圧方向とプリフォームの回転対称軸がずれたり、成形面の中心とプリフォームの回転対称軸とがずれるなどして偏肉・偏芯の原因となるおそれがある。上記好ましい態様によれば、こうした不具合を防止することができる。ただし、ガストラップを防止する上から凸状の成形面の曲率半径の絶対値をプリフォーム被プレス面の凹部の曲率半径の絶対値よりも小さくしておくことが好ましい。
なお、プリフォームをプレス成形型内にセットして搬送したときに、プリフォームが適正な位置、方向からずれないようにするため、上型の自重あるいは上型とプリフォームの自重によりプリフォーム被プレス面の凹部を凸状の成形面で押さえるようにしてもよい。
プレス成形型としては、SiC製型、タングステンカーバイドなどの超硬型材を用いた型、サーメット製型などを用い、成形面に炭素含有膜、白金合金などの貴金属合金膜などを離型膜として適宜、成膜したものを使用すればよいが、高い耐熱性を有するSiC製型を使用することが好ましく、その成形面に炭素含有膜を設けたものが好ましい。精密プレス成形の一連の工程でプレス成形型が高温に晒される工程ではプレス成形型の酸化による劣化を防止するため、フォーミングガスなどの非酸化性雰囲気中で上記工程を行うことが好ましい。
次に本発明の光学素子の製造方法に特に好適な精密プレス成形法について説明する。
(精密プレス成形法1)
この方法は、プレス成形型にプリフォームを導入し、プレス成形型とプリフォームを一緒に加熱し、精密プレス成形するというものである(精密プレス成形法1とういう)。精密プレス成形法1において、プレス成形型と前記プリフォームの温度をともに、プリフォームを構成するガラスが106〜1012dPa・sの粘度を示す温度に加熱して精密プレス成形を行うことが好ましい。また前記ガラスが1012dPa・s以上、より好ましくは1014dPa・s以上、さらに好まくは1016dPa・s以上の粘度を示す温度にまで冷却してから精密プレス成形品をプレス成形型から取り出すことが望ましい。上記の条件により、プレス成形型成形面の形状をガラスにより精密に転写することができるとともに、精密プレス成形品を変形することなく取り出すこともできる。
(精密プレス成形法2)
この方法は、プレス成形型に予熱したプリフォームを導入し、精密プレス成形することを特徴とするものである(精密プレス成形法2という)。この方法では、プレス成形型とプレス成形用プリフォームを別々に予熱し、予熱されたプリフォームをプレス成形型に導入して精密プレス成形することが好ましい。この方法によれば、前記プリフォームをプレス成形型に導入する前に予め加熱するので、サイクルタイムを短縮化しつつ、表面欠陥のない良好な面精度の光学素子を製造することができる。
プレス成形型の予熱温度は前記プリフォームの予熱温度よりも低くすることが好ましい。このような予熱によりプレス成形型の加熱温度を低く抑えることができるので、プレス成形型の消耗を低減することができる。精密プレス成形法2において、前記プリフォームを構成するガラスが109dPa・s以下、より好ましくは109dPa・sの粘度を示す温度に予熱することが好ましい。また、前記プリフォームを浮上しながら予熱することが好ましく、さらに前記プリフォームを構成するガラスが105.5〜109dPa・s、より好ましくは105.5dPa・s以上109dPa・s未満の粘度を示す温度に予熱することがさらに好ましい。
またプレス開始と同時またはプレスの途中からガラスの冷却を開始することが好ましい。
なおプレス成形型の温度は、前記プリフォームの予熱温度よりも低い温度に調温させるが、前記ガラスが109〜1012dPa・sの粘度を示す温度を目安にすればよい。
この方法において、プレス成形後、前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上にまで冷却してから離型することが好ましい。
精密プレス成形された光学素子はプレス成形型より取り出され、必要に応じて徐冷される。成形品がレンズなどの光学素子の場合には、必要に応じて表面に光学薄膜をコートしてもよい。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図1に、本発明のプリフォームを回転対称軸を含む平面で切ったときの断面形状(左)と、従来の熔融ガラス塊を浮上状態で成形したプリフォームの断面形状(右)と、これらプリフォームを精密プレス成形して得られるプレス成形品(非球面凹メニスカスレンズ)の断面形状(中)を示す。プレス成形品の破線で示した輪郭が余肉部分に相当する。
これらプリフォームは、図2に示す側壁に等間隔に溝を形成した成形型を用いて、ガラス成形部に所望量の熔融ガラス塊を供給し、多孔質体で形成したガラス成形部の底部からガスを噴出してガラス塊を安定的に浮上しながら成形したものである。
図2の(A)に示すのは、本発明の成形型の一実施態様である成形型20である。成形型20は、底部基部材21、底部基部材21の中央の開口部に設けた多孔質材料により構成される底部形成部22及び、側壁構成部材23から構成される。側壁構成部材23は、内壁が、成形部の側壁を構成する。側壁構成部材23の下部は、底部基部材21の上部に設けられた凹部と対応する形状を有し、前記凹部に脱着可能に組み込んで組み立てることができる。さらに、底部基部材21の上部に設けられた凹部の内部には、磁石24を設け、側壁構成部材23を固定することもできる。さらに、側壁構成部材23の開口内部の側壁を構成する面23aには、縦方向に切られた溝からなるガス流路が成形されている。さらに、図2の(C)に示すように、側壁構成部材23の開口内部は、下側の開口が上側の開口より大きくなった、裁頭円錐形状(仮想の頂点が側壁構成部材23の上方にある)を有し、円錐の頂角の1/2に相当する角度αは、成形後、底部基部材21から側壁構成部材23を分離する際に、ガラス成形体が共に分離することがないように成形体の大きさを考慮して適宜決定でき、例えば、2〜3°の範囲にすることができる。なお、上記仮想の頂点とは、前記裁頭円錐の側面を側面の一部とする仮想的な円錐の頂点を意味し、円錐の頂角とは前記仮想的な円錐の頂角を意味する。成形後のガラス成形体の取り出しの際には、(B)に示すように、側壁構成部材23は取り外し、その後に、ガラス成形体搬入を容易にすることができる。
ガラス成形部への熔融ガラス塊の供給は、清澄、均質化した熔融ガラスを温度調整した流出パイプから一定流量で流出し、成形型のガラス成形部をパイプのガラス流出口に近づけて流出する熔融ガラス流の下端を受けて支持し、熔融ガラス流の途中に表面張力によってくびれを形成し、所定のタイミングで成形型を急降下することにより、ガラスの表面張力によりくびれ部分で熔融ガラスを分離し、分離部分より下の熔融ガラス塊をガラス成形部に得るという方法で行った。
成形したプリフォームを成形型から取り出す際は、ガラス成形部が上に向かって広がっている場合は、プリフォームの上面を吸引保持し、真上に持ち上げて取り出す。
ガラス成形部が下に向かって広がっている場合は、成形型を側壁部と底部とに分けられるような構造とし、その上で、側壁部を上方に移動するか、底部を下方に移動するかして側壁からプリフォームを抜き出し、底部上に残されたプリフォームを吸引保持して取り出す。取り出したプリフォームはアニールした後、洗浄し、必要に応じて表面に炭素含有膜、例えば水素化炭素膜などを成膜して精密プレス成形工程へと送る。
なお、プリフォーム側面には図には省略した溝が等間隔に複数、回転対称軸に平行に形成されている。この溝は精密プレス成形時にガラスの広がりを制御する役割を果たすものである。
表1に、各プリフォームの質量、体積、プリフォームを構成するガラスの比重、プリフォームに外接する仮想的円柱の直径、高さ、容積および充填率を示す。
上記の方法で以下の表2に示すガラスNo.1〜11、ならびに比重が4.421のリン酸ガラス1、比重が5.11のリン酸ガラス2の各ガラスについてガラス成形体(プリフォーム)を調製した。また、図3に表2に示すガラスの内、No.5、9及び12のガラスの粘性曲線を示す。
精密プレス成形時のガラスの粘度が、例えば107dPa・sとなるようにプレス成形型やプリフォームの加熱温度を設定すると、図3より明らかなように、温度変化に対する粘度変化の割合の絶対値(グラフの傾きの絶対値)はNo.12のガラスに比べると、No.5、9のガラスのほうが大きくなっている。つまり、No.5、9のガラスは温度が僅かに変化しただけで粘度が大幅に変化するという性質を有している。したがって、No.5、9のガラスはNo.12のガラスに比べて、精密プレス成形時の適正な温度域が狭く、成形時のカン、割れを低減、防止する上から本発明の適用がより一層好ましいガラスと言うことができる。
これらのプリフォームを下型成形面が凹面、上型成形面が凸面の成形型内に配置し、精密プレス成形した後、アニールして余肉部分を芯取り加工により除去して非球面凹メニスカスレンズ、非球面凸メニスカスレンズ、非球面両凹レンズの各種非球面レンズを得た。
上記方法で得られたプリフォームを、プレス成形型を構成する下型および上型の間に設置した後、石英管内を窒素雰囲気としてヒーターに通電して石英管内を加熱した。プレス成形型内部の温度を成形されるガラスが106〜1010dPa・sの粘度を示す温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒を降下させて上型を押して成形型内にセットされたプリフォームをプレスした。プレスの圧力は8MPa、プレス時間は30秒とした。プレスの後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下型および上型と接触させたままの状態で前記ガラスの粘度が1012dPa・s以上になる温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷してガラス成形品を成形型から取り出し非球面レンズを得た。下型と上型とは、スリーブ型により位置合せされており、スリーブ型によって上型、下型の移動が案内されるようになっている。
このようにして非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凹レンズを作製した。上記レンズは撮像光学系を構成するレンズとして好適なものであった。これらの各レンズの面精度はP-V値で中心部0.25μm以下、周辺部0.35μm以下の規格内の結果であった。表1に各プリフォームを用いて得られた非球面凹メニスカスレンズの面精度を中央部におけるP-V値、周辺部におけるP-V値として示す。P-V値は、非球面レンズの非球面に関して、非球面式(設計式)で表される理論(x,y)座標と成形したレンズの前記非球面を実測して得られた(x,y)座標の差で、非球面式に対して最も出っ張った点と、最も凹んだ点の差に相当する。なお、これらレンズを成形する際に、ガラスの破損はおきなかった。また、非球面両凹レンズについても非球面凹メニスカスレンズと同様の結果を得た。ここで、非球面凹メニスカスレンズを成形する場合、下型成形面は凹面、上型成形面は凸面とし、非球面両凹レンズを成形する場合、下型成形面および上型成形面は凸面とした。
(比較例)
一方、充填率が66.7%のプリフォームを使用して同様のレンズを作製したところ、面精度はP-V値で中心部0.25μm以下だったが、周辺部では0.4μmと面精度の低下が見られた。表2に示すガラスNo.1〜11、ならびにリン酸ガラス1、リン酸ガラス2の各ガラスからなり、充填率が68%未満であるか、比(φ/h)が3を超えるプリフォームを精密プレス成形して得た非球面凹メニスカスレンズの面精度を中央部におけるP-V値、周辺部におけるP-V値として示す。結果を表3に示す。これらレンズは、中央部においてP-V値が中心部0.25μm以下であったが、周辺部では0.4μm以上と面精度の低下が見られた。なお、非球面両凹レンズについても上記非球面凹メニスカスレンズと同様の結果であった。
(実施例2)
実施例1と同様、表2に示すガラスNo.1〜11、リン酸ガラス1、リン酸ガラス2の各ガラスを用いて、表4に示すプリフォームを作製した。ただし、本実施例では成形型の成形部上にあるガラスを、ガラスが軟化状態にある間に上方から凸状の成形面を有する上型でプレスし、プリフォーム上面を凹面に成形した。プレス成形後、ガラスを再び浮上しながら冷却した。プリフォームの側面、下面は実施例1と同様の形状である。こうして得た各プリフォームに関するデータを表4に示す。表4に示すように、一方の被プレス面が凸面で、他方の被プレス面が凹面のプリフォームを加熱し、凸状成形面を有する上型と凹状成形面とスリーブ型を有する下型を備えたプレス成形型で精密プレス成形し、非球面凹メニスカスレンズを得た。各レンズの面精度を実施例1と同様の記法により表4に示す。精密プレス成形では、プリフォーム上面、すなわち、凹面が上型側、プリフォーム下面、すなわち、凸面が下型側を向くようにプリフォームをプレス成形型内に導入し、上型成形面の頂部でプリフォーム上面、すなわち、凹面の中心を押さえ、プリフォームがプレス成形型の中心位置からずれないようにした。なお、上型成形面の頂部でプリフォーム上面、すなわち、凹面の中心を押さえる際、プリフォームに加わる力は上型の自重のみとした。この状態でプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱し、精密プレス成形を行った。さらに、プレス成形型を非球面両凹レンズのプレス成形用のものに換えて、非球面両凹レンズを作製した。非球面両凹レンズにおいても非球面凹メニスカスレンズと同様、良好な面精度のレンズを得ることができた。
(実施例3)
実施例2と同様にして、2つの被プレス面がともに凹面のプリフォームをプレス成形により得た。本実施例では、プリフォーム成形型の成形部を凸面とした。このように、表2に示すガラスNo.1〜11、リン酸ガラス1、リン酸ガラス2の各ガラスを用いてプリフォームを作製した。こうして得た各プリフォームに関するデータは表4に示すデータと概ね等しい。次に、2つの被プレス面がともに凹面のプリフォームを加熱し、凸状成形面を有する上型および下型を備えたプレス成形型で精密プレス成形し、非球面両凹レンズを得た。各レンズの面精度は実施例2と同様であった。精密プレス成形では、上下型成形面の頂部でプリフォーム上下面の中心を押さえ、プリフォームがプレス成形型の中心位置からずれないようにした。なお、上下型成形面の頂部でプリフォームの被プレス面の中心を押さえる際、プリフォームに加わる力は上型の自重のみとした。この状態でプリフォームとプレス成形型を一緒に加熱し、精密プレス成形を行った。このようにして、良好な面精度を有する非球面両凹レンズを得ることができた。
なお、実施例1〜3において、プリフォームの全表面が熔融状態のガラスを固化して得られた面としたので、プリフォームを成形してから精密プレス成形するまで、プリフォームが破損することはなかった。また、実施例2、3においてプリフォームを上型で押さえても、プリフォームが破損することもなかった。
本発明は、精密プレス成形用プリフォームを製造するに適した成形型及びこの成形型を用いる精密プレス成形用プリフォーム等の成形体の製造分野に有用である。
本発明のプリフォームを、回転対称軸を含む平面で切ったときの断面形状(左図)と、従来の熔融ガラス塊を浮上状態で成形したプリフォームの断面形状(右図)と、これらプリフォームを精密プレス成形して得られる精密プレス成形品(非球面レンズ)の断面形状を示す。 プリフォーム成形用の成形型を示す。 表2に示すガラスの内、No.5、9及び12のガラスの粘性曲線を示す。

Claims (11)

  1. 回転対称軸を有し、かつ前記回転対称軸と各々交差する2つの端面及び前記2つの端面の外周に接続する1つの側面を備える、ガラス製の精密プレス成形用プリフォームであって、
    前記2つの端面は、被プレス面であり、かつ独立に凸面または凹面であり、
    前記回転対称軸に一致する軸を有し、かつ前記プリフォームに外接する仮想的な円柱を想定したときに、当該円柱の高さhに対する直径φの比(φ/h)が1以上かつ3以下であり、
    前記円柱の容積V0に対する前記プリフォームの体積Vの比(V/V0)が68%以上であることを特徴とする精密プレス成形用プリフォーム。
  2. 前記側面は熔融状態のガラスを固化して得られた面からなる請求項1に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  3. 前記ガラスのガラス転移温度(Tg)が540℃以上である請求項1または2に記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  4. 前記ガラスの屈折率(nd)が1.75以上である請求項1〜3のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  5. 前記2つの端面の一方または両方が、熔融状態のガラスを固化して得られた面からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  6. 前記2つの端面の一方または両方が凸面であり、前記凸面の回転対称軸との交点を含む領域に凹部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  7. 前記側面は、円柱の側面形状または円柱の側面形状に近似する形状、もしくは、裁頭円錐の側面形状または裁頭円錐の側面形状に近似する形状を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  8. 少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形するために用いられる、請求項1〜7のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  9. 前記側面において、2つの端面の一方側から他方側に向けて形成された複数の溝が形成されている請求項1〜8のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォーム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の精密プレス成形用プリフォームを、プレス成形型を用いて精密プレス成形することを含む、光学素子の製造方法。
  11. 少なくとも上型の成形面が凸形状である成形型を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凹レンズのいずれかを成形する請求項10に記載の光学素子の製造方法。
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