図1は、本発明の実施の形態に係るキーレスエントリーシステムの第1実施例を示すブロック図である。第1実施例は複数の携帯電話を含むシステムを構成しており、図1では、第1携帯電話1および第2携帯電話2を図示している。また、図1において第2携帯電話2内部の構成は簡略化して図示しているが、その内容は、基本的には第1携帯電話1と同一である。なお、図1では簡単のために2つの携帯電話のみ図示しているが、第三およびそれ以上の不特定多数の同様の構成の携帯電話が含まれていてよい。本発明の実施の形態に係るキーレスエントリーシステムは、さらに車両3および駐車場4を含む。
第1携帯電話1は、携帯電話全体を制御するコンピュータからなる第1携帯制御部6を有し、電話操作部8の操作に応じて、第1電話機能部10などを制御する。この第1携帯制御部6の機能は記憶部12に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部12は、また第1携帯電話1全体の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。第1携帯制御部6は、さらに表示部14を制御し、電話操作部8の操作と連携するGUI表示を行うとともに制御結果の表示を行う。
GPS部16は、GPSシステムに基づいて衛星または最寄の放送局より第1携帯電話1の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て第1携帯制御部6に送る。この絶対位置情報は、第1携帯制御部6の制御により地図とともに表示部14に表示され、ナビゲーション情報として提供される。
第1携帯電話1は、第1電話機能部10および第1電話通信部18により通常の通話を含む電話回線を介した無線通信を行うことができる。第1携帯電話1には、これと別に無線LANなどによる第1携帯近距離通信部20が備えられており、近距離通信圏内に存在する他の携帯電話等との無線通信が可能となっている。 この第1携帯近距離通信部20は法規制上問題のない規格に基づくものであって、通信圏は限られるが電話回線などのように料金が発生しないものである。
第1携帯近距離通信部20は、後述するエントリーコードの交信の他、上記のGPS部16において取得した絶対位置情報を他の機器のGPS部に送信すると共に、他の機器がそのGPS部で取得した絶対位置情報を受信することができる。これにより、表示部14において自分の位置だけでなく他の機器の位置についても同一の地図上で表示することが可能となり、両者の相対関係を地図上で確認できる。その詳細については、同一出願人による特許願2007−28393などに記載されている。後述するように、この機能によれば、例えば広大な駐車場4に止めてある車両3と第1携帯電話1を持つ自分の現在位置の関係がわかり、車両3に到達するのが容易となる。 また、第1携帯電話1は、カメラ部22を有し、撮影した画像を記憶部12に記憶することが可能であるとともに、第1電話通信部18によって画像を他の携帯電話に送信することができる。
第1携帯電話1は、充電式の主電源24によって給電されていると共に、記憶部12はさらにリチウム電池などからなる補助電源26によりバックアップされている。これによって、主電源24の放電や交換の際に記憶部12に記憶されている情報が揮発するのを防ぐ。 第1携帯電話1はさらに、キーレスエントリー通信部28、およびこれと協働するキーレスエントリーコード記憶部30を有している。これらは、補助電源26により給電されており、基本的には主電源24の充電状態およびそのオン・オフに係らず機能する。キーレスエントリー通信部28の消費電力は、第1近距離通信部20に比べ微弱なので、このように記憶部12の補助電源26を共用する。
この機能のため、第1携帯制御部6は、主電源24の電源がオフであっても、また主電源24の充電が通常の携帯電話機能のためには不充分と判断される状態であっても、キーレスエントリー操作のための電話操作部8の操作またはキーレスエントリー通信部28によって受信される車両3におけるエントリー操作を検出するための最低限の機能を行うよう低速省電力モードにて起動されている。 また、キーレスエントリーコード記憶部30は第1携帯制御部6にも接続されており、キーレスエントリーコード記憶部30に記憶されているエントリーコードに基づく車両3の施錠・開錠は、キーレスエントリー通信部28だけでなく第1携帯近距離通信部20によっても可能となっている。しかしながら、後述のように、基本的には、キーレスエントリー通信部28によって車両3の施錠・開錠が行われる。
図1の第1実施例は、上記のように、キーレスエントリー通信部28が第1携帯制御部6の制御を受ける形となっているが、変形の実施例として、キーレスエントリー通信部を完全に第1携帯制御部6とは無関係に構成することも可能である。この場合、キーレスエントリー操作を検出するための専用操作部を設けることが必要である。なお、このようなキーレスエントリー操作部として電話操作部8の一部の操作キーを兼用し、この操作キーの操作をキーレスエントリー通信部28が直接検出できるよう構成してもよい。
第2携帯電話2は、既に述べたように第1携帯電話1と同様の構成を持つものであり、重複を避けるため必要のない限り説明は省略する。また、既に述べたように、図1において、第2携帯電話2における構成は、第2携帯制御部32、第2電話通信部34および第2携帯近距離通信部36を除き、図示を省略している。 また、図1において、第1携帯電話1と第2携帯電話2が直接通信を行っているごとく図示しているが、周知のように携帯電話は通信回線のインフラストラクチャー通信によるものであり、実際には第1電話通信部18と第2電話通信部34とは、基地局を介して通信している。 一方、図1において、第1携帯電話1と第2携帯電話2とは、第1携帯近距離通信部20と第2携帯近距離通信部36によって直接のアドホック通信が可能である。
車両3は、車両全体を制御するコンピュータからなる車両制御部38を有し、車両操作部40の操作に応じて、車両機能部42などを制御する。この車両制御部38の機能は記憶部44に格納されたソフトウエアによって実行される。記憶部44は、また車両3の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。
GPS部46は、第1携帯電話1におけるGPS部16と同様のもので、GPSシステムに基づいて衛星または最寄の放送局より車両3の絶対位置情報である緯度、経度、および高度の情報を得て車両制御部38に送る。この絶対位置情報は、車両制御部38の制御により地図とともに不図示のカーナビゲーション画面に表示される。 車両3においても、無線LANなどによる車両近距離通信部48が備えられており、近距離通信圏内に存在する第1携帯近距離通信部20などとの無線通信が可能となっている。当然ながら、この車両近距離通信部48は第1携帯近距離通信部20と同一規格に基づくものであって、通信圏は限られるが電話回線などのように料金が発生しない。
車両3は、さらにキーレスエントリー通信部50を有しており、第1携帯電話1のキーレスエントリー通信部28との間でエントリーコードの交信を行う。そしてキーレスエントリーコード記憶部30からキーレスエントリー通信部28を通じて送信されたエントリーコードがキーレスエントリー通信部50で受信され、これが正しいものであることがキーレスエントリーコード管理部52で認証されると、その結果が車両制御部38に通知される。これによって車両制御部38はドアロック部54に施錠・開錠の指示を行う。 さらに、第1携帯電話1の保持者が車両操作部40でエンジン始動操作を行った場合もキーレスエントリー通信部間の通信によりエンジンロックが解除されて始動が可能となる。つまり、この場合、第1携帯電話1の保持者は車両3の運転席にいるから、キーレスエントリー通信部28とキーレスエントリー通信部50の間の交信が可能となっている。そして、エンジン始動操作に応じて両者間の通信が行われ、キーレスエントリーコード記憶部30のエントリーコードが正しいものであることがキーレスエントリーコード管理部52で認証されると、その結果が車両制御部38に通知される。これに応じて、車両制御部38はエンジンロック部56のロックを解除してエンジン始動を可能とする。
なお、前述のように、第1携帯電話1のキーレスエントリーコード記憶部30におけるエントリーコードは、第1携帯制御部6を経由して第1携帯近距離通信部20から車両3の車両近距離通信部48に送信できる。これは、補助電源26が消耗している場合などに有効である。この場合、車両制御部38は、車両近距離通信部48が受信したエントリーコードをキーレスエントリーコード管理部52に送り、これが正しかどうか認証させる。そして、その結果に基づき、車両制御部38はドアロック部54に施錠・開錠の指示を行う。 上記の場合、エンジン始動操作を行ったときも、キーレスエントリーコード記憶部30のエントリーコードが第1携帯制御部6を経由して第1携帯近距離通信部20から車両3の車両近距離通信部48に送信される。そしてエントリーコードが正しいものであることがキーレスエントリーコード管理部52で認証されると、その結果が車両制御部38に通知される。これに応じて、車両制御部38はエンジンロック部56のロックを解除してエンジン始動を可能とする。
以上は、第1携帯電話1の所有者自身が車両3の所有者でもある場合として説明したが、次に、第2携帯電話2の所有者が車両3を所有しているとともに、第1携帯電話1が運転代行業者の所有物である場合について説明する。なお、既に述べたように、図1では図示が省略されているが、第2携帯電話2は第1携帯電話1と同様のものであって、キーレスエントリーコード記憶部、キーレスエントリー通信部他のすべての構成を備えている。 上記のような状況は、例えば、車両3の所有者が飲酒状態となり、運転代行業者に車両3の回送および自宅までの代行運転を依頼する場合などに生じる。このようなとき、車両3の所有者である第2携帯電話2の所有者は、電話回線を通じて第2電話通信部34から運転代行業者の第1電話通信部18に車両3の臨時エントリーコードを送信する。これによって、第1携帯電話のキーレスエントリーコード記憶部30には受信した臨時エントリーコードが記憶され、以下、上記に説明したのと同様にして第1携帯電話1による車両3のドアロック開錠およびエンジンロック解除が可能になる。従って、運転代行業者は、車両保有者のいる宴会場などに車両3を回送するとともに、車両保有者を拾ってその自宅まで車両3を代行運転することができる。なお、臨時エントリーコードは依頼した代行運転限りのものであって、それ以降は無効となる。臨時エントリーコードの送信等の詳細については後述する。
駐車場4は、駐車場全体を制御するコンピュータからなる駐車場制御部58を有し、記憶部60に格納されたソフトウエアによって制御を実行する。記憶部60は、また駐車場4の制御に必要な種々のデータを一時的に格納する。 駐車場4は、さらに駐車場内の異なる場所に設置された駐車場第1近距離通信部62および駐車場第2近距離通信部64を有する。なお、駐車場4には、駐車場内の通信圏を確保するため、必要に応じて第3およびそれ以上の数の近距離通信部が設けられる。図1では簡単のため二つの近距離通信部を図示している。
これら駐車場内の複数の近距離通信部は、通信圏をそれぞれ分担して確保するとともに、第1携帯近距離通信部20がいずれの近距離通信部と交信可能かを検知することによって第1携帯電話1が駐車場4のどこにあるかを駐車場制御部58が判定する。さらに第1携帯近距離通信部の電波を例えば駐車場第1近距離通信部62および第2携帯近距離通信部64が同時に受信することによって、三角点通信に基づき駐車場制御部58は第1携帯電話の位置をより正確に割り出すことができる。これによって第1携帯電話1が駐車場4の構内など衛星電波の圏外にあってGPS16が機能しなくても、第1携帯電話1の位置を検出することが可能となる。なお、駐車場制御部58が割り出した第1携帯電話1の位置は、最も近い駐車場近距離通信部から第1携帯近距離通信部20に伝えられる。 同様にして車両3の駐車位置についても、車両3のGPS部46が機能しないときは、車両近距離通信部48と周射場第2近距離通信部64などとの交信により駐車場制御部が検知し、第1携帯近距離通信部20に送信される。
上記のようにして、第1携帯電話1は自身のGPS部16によって自身の位置がわかるとととも
に、車両3のGPS部46が検知した車両3の位置情報を第1携帯近距離通信部20で得ることができるので、代行運転業者が車両3の位置を知らなくても、両者の位置関係を表示部14に表示することで車両3に到達することができる。 さらに、GPS部が機能しない場合でも、駐車場制御部58から自身の位置および車両3の位置の情報を第1携帯近距離通信部20で受信できるので、同様にして、両者の位置関係を表示部14に表示し、容易に車両3に到達することができる。 なお、車両3の位置情報の伝達は、第1携帯電話のキーレスエントリーコード記憶部に自身のエントリーコードまたは車両の所有者から受信した臨時エントリーコードが記憶されていない限り、第1携帯近距離通信部20で受信できない。従って、無用の第三者に車両3の位置が伝達されることはない。
図2は、図1の第1実施例における第1携帯制御部6の機能の基本フローチャートであり、第1携帯電話1への主電源24の装着、または主電源24への充電開始、または補助電源26の装着によってスタートする。フローがスタートすると、まずステップS2で補助電源26がOKかどうかをチェックする。「補助電源がOKでない」と判断すべきレベルは、補助電源26の消耗が進み、これ以上キーレスエントリー通信部への給電を行うと記憶部12およびキーレスエントリーコード記憶部のバックアップが保証できなくなる限界直前のレベルとする。つまり、キーレスエントリー通信部への給電を行わない限りはこのレベルでもバックアップそのものは当面可能なレベルとする。 ステップS2で補助電源がOKでなければステップS4に進み、主電源24の充電がOKかどうかのチェックをする。「主電源の充電がOKでない」と判断すべきレベルは、第1携帯制御部自体の最低限の動作は可能であるが通常の携帯電話動作を行うには充電不足なので携帯電話機能を強制停止させるべきレベルとする。ステップS4で主電源の充電がOKであればステップS6に進み、補助電源26の交換を促す警告表示を行う。そしてこの表示を継続しながらステップS8に進む。
ステップS8では、補助電源26のこれ以上の消耗を防ぐため、予防的にキーレスエントリー通信部28の機能を停止し、通信を不可とする。これに対応し、ステップS10で第1携帯近距離通信部20によるキーレスエントリー通信を可能とする。第1携帯近距離通信部20によるキーレスエントリー通信は通常行わないが、上記のようにステップS2からステップS8に至った場合に限り、これを行うようにする。 これは、第1携帯近距離通信部20が主電源24によって給電されているためである。主電源24は通常の携帯電話機能への給電のため頻繁に充電を行う必要があるが、これを怠ると携帯電話1全体が機能しなくなり、これに伴って第1携帯近距離通信部20も機能しない。従って、仮に第1携帯近距離通信部20をキーレスエントリー機能に常用すると、頻繁に生じる可能性のある携帯電話1の電池切れによってキーレスエントリーをはじめとする車両3の操作ができなくなる。これは不便であるし、ある場合には危険でもある。従って、通常は、補助電源26により給電されていて主電源24の充電状態およびそのオン・オフに係らず機能するキーレスエントリー通信部28およびこれと協働するキーレスエントリーコード記憶部30によりキーレスエントリーを行う。 しかしながら、補助電源26も長年の使用により消耗することがあるので、その際の緊急手段として、ステップS2からステップS10へのフローが用意されている。これは、補助電源26が消耗したとき同時に主電源24も充電不足の状態となっている可能性は低いことを前提としている。
ステップS10で第1携帯近距離通信部20によるキーレスエントリー通信が可能となると、ステップS12に進み、第1携帯制御部6としてのキーレスエントリー割込を可能とする。この割込は、電話操作部8によりキーレスエントリー操作を行った場合にかかるものである。また、車両3の車両操作部40の一部をなす車両外部のロック解除ボタンが操作されたことを車両制御部38が検出し、車両近距離通信部48から第1携帯近距離通信部20にこれが通知されたときにもこの割込がかかる。ステップS12はこれらの割込を可能とするものであるが、通常はこれらの操作に基づく第1携帯制御部6への割込は禁止されており、これらの操作に基づくキーレスエントリー機能は、キーレスエントリー通信部28によって実行される。
次いで、ステップS14で携帯電話機能の初期処理を行い、フローを終了する。なお、ステップS2で補助電源26がOKであると判断されたときは、第1携帯電話制御部6がキーレスエントリー操作に応答する必要はないので、ステップS16に進み、キーレスエントリー通信部28による通常キーレスエントリー状態を確認してステップS14に至る。このステップS16は、第1携帯電話1への主電源24の装着、または主電源24への充電開始、または補助電源26の装着などの機会がある毎に、キーレスエントリー通信部28が正常に機能するかどうかのチェックを行うとともに、第1携帯制御部へのキーレスエントリー割込が可となっていた場合にこれを不可とするために設けられている。
また、ステップS4で主電源24がOKでなければ、ステップS18に進み、充電中かどうかのチェックをする。そして充電中であれば携帯電話1が機能可能なので、ステップS6に移行し、充電器から供給される電力によりステップS6以下の動作を行う。このような動作は、例えば携帯電話1が車両中で充電されている場合などに可能である。 一方、ステップS18で充電中でなければ携帯電話1の機能は不可能なので、直ちにフローを終了する。例えば、消耗した補助電源26を誤装着したときに主電源24が充電されていないか、または、補助電源26が消耗しているときに充電されていない主電源24を装着したときなどがこの場合に相当する。当然ながら、第1携帯制御部6になんらの給電もなされていなければ、図2のフロー自体がスタートしない。
図3は、図1の第1実施例の第1携帯制御部6におけるキーレスエントリー操作があったときの機能を示すフローチャートである。フローは、電話操作部8によりキーレスエントリー操作を行ったとき、または、車両3の車両操作部40の一部をなす車両外部のロック解除ボタンが操作されたこと等を車両制御部38が検出し、車両3のキーレスエントリー通信部50から第1携帯電話1のキーレスエントリー通信部28にこれが通知されたとき、または、車両3の車両操作部40の一部をなす車両外部のロック解除ボタンが操作されたこと等を車両制御部38が検出し、車両近距離通信部48から第1携帯近距離通信部20にこれが通知された場合のいずれかによりスタートする。 なお、車両操作部40によるエンジン始動操作が車両制御部38によって検出されたときにおいても、ロック解除ボタンの操作検出の場合と同様にして図3のフローがスタートする。
フローがスタートすると、ステップS22で補助電源26がOKかどうかをチェックする。OKでなければステップS24に進み、主電源24の充電がOKかどうかのチェックをする。ステップS24で主電源の充電がOKであればステップS26に進み、補助電源26の交換を促す警告表示を行う。そしてこの表示を継続しながらステップS28に進む。 ステップS28では、キーレスエントリー通信部28の機能を停止し、通信を不可としてステップS30に進む。ステップS30では、主電源24がオンでなければステップS32でこれをオンにしてステップS32に進む。これは、主電源24がオフされていれば第1携帯近距離通信部20への通電がなくキーレスエントリーの実行ができないからである。一方、ステップS30で主電源が既にオンであれば、直接ステップS34に移行する。
ステップS34では、第1携帯近距離通信部20による通信に基づいてドアロック部54の施錠・開錠やエンジンロックの解除などのキーレスエントリーを実行する。 次いで、ステップS36においてステップS32において主電源が自動ONされた履歴があるかどうかチェックし、履歴があればステップS38に進んで主電源を自動OFFしてフローを終了する。これは、キーレスエントリーの実行のために自動的にONした携帯電話の主電源を用済み後元に戻すためである。一方、ステップS36で主電源自動ONの履歴がなければキーレスエントリー操作の検出以前から携帯電話の主電源が元々ONであったことを意味するので、主電源のOFFは行わずにフローを終了する。
なお、ステップS22で補助電源26がOKであると判断されたときは、第1携帯電話制御部6がキーレスエントリー操作に応答する必要はないので、ステップS40に進み、キーレスエントリー通信部28による通常キーレスエントリー状態を確認してフローを終了する。このステップS40は、キーレスエントリー操作の機会がある毎に、キーレスエントリー通信部28が正常に機能するかどうかのチェックを行うとともに、第1携帯制御部へのキーレスエントリー割込が可となっていた場合にこれを不可とするために設けられている。 また、ステップS24で主電源の充電がOKでなかったときは、補助電源によっても主電源によってもいずれもキーレスエントリーの実行ができないので、直ちにフローを終了する。
図4は、図1の第1実施例において携帯電話の主電源がONされたときの第1携帯制御部6の機能を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS52で主電源の充電がOKかどうかをチェックする。充電がOKであればステップS54に進み、補助電源26がOKかどうかをチェックする。補助電源がOKでなければステップS56に進み、補助電源26の交換を促す警告表示を行う。そしてこの表示を継続しながらステップS58に進む。
ステップS58では、補助電源26のこれ以上の消耗を防ぐため、予防的にキーレスエントリー通信部28の機能を停止し、通信を不可とする。これに対応し、ステップS60で第1携帯近距離通信部20によるキーレスエントリー通信を可能としてステップS62の通常携帯電話機能処理に移行する。そして通常電話機能処理が停止されるとフローを終了する。 なお、ステップS54で補助電源26がOKであると判断されたときは、第1携帯電話制御部6がキーレスエントリー操作に応答する必要はないので、直接ステップS62に移行する。また、ステップS52で主電源の充電がOKであることが検出されない場合は直ちにフローを終了する。 以上のようにして、携帯電話の主電源がONされるたびに補助電源がOKかどうかのチェックを行うことにより、補助電源によるキーレスエントリーができない事態を未然に察知する。また、万一補助電源がOKでない場合は、自動的にキーレスエントリーの機能をキーレスエントリー通信部から近距離通信部に切換え、補助電源がこれ以上消耗して記憶部12のバックアップができなくなることを防止する。
図5は、図1の第1実施例において、事前に登録されている代行運転者への電話発呼操作が電話操作部8によって行われたときの第1携帯制御部6の機能を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS72で登録されている代行運転者の電話番号への発呼が行われ、ステップS74で回線が接続されたかどうかチェックする。 接続が確認されるとステップS76に進み、電話操作部8によってエントリーコードを送信するための操作が行われたかどうかチェックする。そして、この操作が行われたことが確認されるとステップS78に進み、認証を要求する信号を電話の音声信号に重畳して送信してステップS80に進む。ステップS80では、認証要求信号の送信後所定時間が経過したかどうかをチェックしており、未経過ならばステップS82に進んで、要求に従って音声信号に重畳して返信される認証信号が抽出できたかどうかチェックする。
ステップS82で認証返信信号が音声信号
から抽出されるとステップS84に進んでこれを参照データと照合し、認証結果がOKかどうかチェックする。そして認証結果がOKならばステップS86に進む。一方、ステップS82で認証返信信号が抽出されない場合、またはステップS84で認証がOKでない場合はステップS80に戻り、以下、所定時間が経過するまでステップS80からステップS84を繰り返し、認証がOKとなるのを待つ。 認証がOKになるとステップS86では、臨時エントリーコードをキーレスエントリーコード記憶部30から読み出し、ステップS88でこれを音声信号に重畳して代行運転者の電話に送信する。そしてステップS90で送信後所定時間が経過したかどうかをチェックして、未経過ならばステップS92で臨時エントリーコードを受信した旨の確認信号が代行運転者の電話からの音声信号から抽出できたかどうかチェックする。そして、この抽出ができればステップS94に進むが、抽出ができない場合はステップS88に戻り、臨時エントリーコードを再度送信する。以下、所定時間が経過するまでステップS88からステップS92を繰り返し、受信確認信号の抽出を待つ。
ステップS92で受信確認信号が抽出されると臨時エントリーコードが代行運転者に確実に伝達されたことになるのでステップS94に進み、回線切断操作がなされたかどうかチェックする。そして、回線が切断された場合はステップS96に進む。一方ステップS94で回線の切断操作が検出されない場合はステップS76に戻り、以下ステップS76からステップS94を繰り返す。 なお、ステップS80またはステップS90で所定時間が経過したときはステップS94に進み、回線を切断してフローを終了する操作が行われたかどうかチェックする。ステップS94で回線切断が検出されない場合はステップS76に戻るので、エントリーコード送信操作からやり直すことができる。
ステップS96では、ステップS76からステップS94を経て行われた臨時エントリーコードの送信が成功したかどうかチェックする。そして成功していればステップS98に進み、その旨を車両3に報告してフローを終了する。 図1の車両3は、不図示の電話通信部を備えており、第1電話通信部18または第2電話通信部との電話回線による通信が可能である。車両3の電話通信部は第1電話通信部18が第1携帯制御部6に接続されているのと同様にして車両制御部38に接続されており、電話通信部によって行われる情報授受を必要に応じて車両3各部に伝達可能となっている。ステップS98における臨時エントリーコード送信成功の旨の車両への報告は通常このような電話回線を通じたデジタル信号通信によって行われるが、近距離通信が可能な場合は、第1携帯近距離通信部20または第2携帯近距離通信部36から車両近距離通信部48にデジタル信号を送信することによって行われる。 なお、所定時間経過しても車両への通信が確立できず、代行運転を依頼した旨の車両への報告ができない場合、ステップS98では報告を一旦断念し、フローを終了する。このような場合は、車両が無線通信圏外の駐車場に置かれているときなどに生じる。
ステップS96において臨時エントリーコード送信の成功が確認できなかったときは、そのままフローを終了する。これは、ステップS76、ステップS80、またはステップS90からステップS94に至って回線が切断された場合に該当する。なお、ステップS74で回線が接続できなかった場合も直ちにフローを終了する。
上記の第1実施例では、エントリーコードの送受信にあたりエントリーコードを音声信号に重畳して音声データとして取扱うよう構成しているが、これは、代行運転の依頼を代行運転業者との音声のやりとりにて行うことを前提とするとともに、このための音声回線が接続されない限りエントリーコードの送受信もできないよう構成することで、エントリーコードの漏洩や偽造による車両の盗難を防止するためである。また、この構成によって、代行業者との音声によるコミュニケーションと並行してエントリーコードの送受信をおこなうことが可能となる。 しかしながら、本発明の実施はこれに限られるものではなく、エントリーコードの通信を音声回線とは別のインターネット等のデータ通信システムによって行うように構成してもよい。この場合はエントリーコードの漏洩や偽造を防止するためその送受信にあたっては適宜セキュリティ処置を講ずる。
図6は、図5における代行運転者へのエントリーコード送信の前提として行われる代行運転者登録から図5のエントリーコード送信までに関する第1携帯制御部6の機能を示すフローチャートであり、電話操作部8により代行運転操作または代行運転者登録操作が行われることによりスタートする。なお、この代行運転操作は、代行運転業者への代行運転依頼だけではなく、友人等への私的な車両の貸与等にも対応できるよう構成されている。 フローがスタートすると、ステップS102で登録済の代行運転者があるかどうかのチェックが行われる。そして登録済の代行運転者がなければステップS104に進む。これは、フローが代行運転操作のためにスタートした場合であっても、登録済の代行運転者がなければまず代行運転者の登録が必要なためである。
ステップS104では、登録すべき代行運転者を特に指名する入力操作があったかどうかチェックし、所定時間内にこの操作が検出されない場合はステップS106に進み、未登録の代行運転者の一覧が表示される。この一覧は、代行運転業から提供されるものであり、住所、年齢、性別など代行運転者のプロフィールとともにインターネット等を通じて予め携帯電話に提供されているものである。 この一覧表示を継続しながらフローはステップS108に進み、一覧表示の中から登録すべき代行運転業者を選択する操作が一覧表示開始から所定時間以内に行われたかどうかチェックする。そして所定時間以内にこの操作が検出されないときはステップS110に進み、所定のルールに従って登録すべき代行運転者を一覧表示の中から選択する代行運転者自動指定処理を行ってステップS112に至る。
以上のようにして、登録済の代行運転者がなかった場合には、フローがスタートして所定時間何も操作しなければ、自動的に登録すべき代行運転者が指定されてステップS112に至ることができる。従って、代行運転者として誰を登録するかにこだわらないならば、面倒な手順を知らない使用者でも代行運転依頼に必要な代行運転者の登録を自動的に進めることができる。 一方、ステップS104で登録すべき代行運転者を特に指名する入力操作があったときはステップS114に進み、入力どおりの代行運転者指定を実行してステップS112に至る。また、ステップS108において一覧表示からの選択操作を検出したときもステップS114に進み、選択どおりに登録すべき代行運転者の指定を実行してステップS112に至る。
ステップS112では、ステップS110またはステップS114で登録すべきものとされた代行運転者が車両を運転する上での自動車保険に問題がないかどうかチェックする。そして、登録しようとしている運転者が自動車保険の免責事由に該当して事故等に対応できないなどの問題がステップS112で検出されたときはステップS116に進んで臨時保険に自動加入した後ステップS118に移行する。この臨時保険は例えば3日間などの短い期間を限って登録された代行運転者を自動車保険でカバーするものである。一方、ステップS112で保険がOKである旨の確認ができたときは直接ステップS118に移行する。 ステップS118では、ステップS114またはステップS110で登録すべき新規の代行運転者が指定されたかどうかチェックし、該当があればステップS120に進む。ステップS120では、登録すべきものとされた代行運転者の登録処理を行い、ステップS122に移行する。一方、ステップS118で代行運転者の新規指定が検出されなかったときは、直接ステップS122に移行する。このような場合が生じる理由は後述する。
ステップS122では自動車保険でカバーする条件の範囲を拡大する操作が行われたかどうかをチェックし、該当すればステップS124に進んで保険契約変更処理を行ってステップS126に移行する。一方ステップS122で保険条件拡大操作が検出されなかったときは直接ステップS126に移行する。 ここで、上記の保険条件拡大操作について補足する。ステップS112で保険がOKでないことが検出されたときは緊急措置として当面臨時保険への加入がステップS116で行われているが、ステップS122で検出されるのは通常の保険契約において例えば家族限定を解除するなどの保険条件の拡大操作である。臨時保険への加入は自動で行われるのに対し、通常の保険条件拡大は手動操作によって行われる。
なお、ステップS102で登録済の代行運転者があることが検出されたときはステップS128に進み、フローが代行運転者登録操作によってスタートしたかどうかチェックする。そして、該当すればステップS104に移行し、以下上記に説明したフローに従って代行運転者を新規登録するための処理が行われる。
一方、図6のフローが代行運転者登録操作によってスタートしたのでない旨の検出がステップS128で行われた場合は、代行運転操作によってフローがスタートし且つ登録済代行運転者がある場合に該当する。この場合は基本的にはステップS126に移行するが、その前にステップS130が設けられており、自動車保険がOKかどうかのチェックが行われる。そしてOKの場合は直接ステップS126に移行するが、問題のある場合はステップS116に進む。 ステップS130が設けられている理由は、登録済代行運転者を想定した代行運転操作の場合であっても過去にその運転者を想定した保険条件拡大操作が行われず、且つ過去に自動加入した臨時保険も期限切れになっている場合があるからである。従ってこの場合は、既に説明したのと同様、まずはステップS116で臨時保険に再度自動加入した上で、ステップS122の保険条件拡大操作のチェックに進む。なお、この場合は代行運転者の新規指定には当たらないのでステップS120はスキップされる。
ステップS126では、図6のフローが代行運転操作によってスタートしたのかどうかのチェックが行われる。そして、該当すればステップS132に進み、代行運転者指名操作があったかどうかのチェックを行う。ステップS132の内容は、複数の登録済代行運転者がある場合はその一覧を表示した上、表示後所定時間内にその中から代行運転者を選択する操作が行われたかどうかのチェックを行う処理となる。そして一覧表示開始から所定時間内に指名操作がなかったときはステップS134に進み、所定の優先順に基づく代行運転者の自動指名を行って、ステップS136に移行する。一方、ステップS132で指名操作があったことが検出されるとステップS138に進み、操作どおりの指名を実行してステップS136に移行する。なお、登録代行運転者が一人であったときはステップS132から直ちにステップS134に進み自動指名処理をしてステップS136に移行する。
ステップS136では、指名された代行運転者に対して臨時キーレスエントリーコードを送信する処理を行い、フローを終了する。ステップS136の詳細は図5で説明したとおりである。 以上のように、図6のフローは、代行運転者が未登録の状態において単に代行運転操作を行い、以後何も操作しない場合であっても、ステップS110での代行運転者の自動指定、ステップS116における臨時自動車保険への自動加入、ステップS120における代行運転者の自動登録、さらにはステップS134での代行運転者自動指名を経て、ステップS136における指名された代行運転者への臨時エントリーコード送信処理までの実行が行われる。従って、代行運転者や代行運転依頼のための詳細な操作手順を知らないユーザであっても容易に代行運
転を依頼することができる。これは、飲酒後において急遽代行運転を依頼しなければならない事態に好適である。 図6のフローによる機能は、上記の他、ユーザの種々の要望に基づく手動操作にも対応することができるものである。
図7は、図1の車両3における車両制御部38の動作を示す基本フローチャートであり、車両のバッテリーからの通電によりスタートする。フローがスタートすると、ステップS142で車両の各部に問題がないかどうかのチェックが行われ、異常があればステップS144の以上対応処理に入り、対応処理が完了すればステップS146に移行する。また、ステップS142で車両各部がOKである旨確認できたときは直接ステップS146に進む。
ステップS146では、ドア開閉のためのキーレスエントリーコード発信を検出したかどうかを車両制御部38にてチェックする。そして検出があればこれを認証するためステップS148に進み、検出コードがキーレスエントリーコード管理部52に保持されている参照コードまたは臨時参照コードと一致するかどうかをキーレスエントリーコード管理部52にてチェックさせる。そして検出結果がいずれかと一致すれば認証OKとしてステップS150に進み、ドアロックを開錠または施錠する。そしてステップS152に移行する。これに対し、ステップS146での検出がないか、またはステップS148での検出結果の認証ができなければ、直接ステップS152に移行する。 ここで「参照コード」とは、車両保有者本人から送信されるエントリーコードに対応するものであり、これを認証するために車両側に保持されている参照用のエントリーコードである。一方、「臨時参照コード」とは、代行運転者または車両貸与者から送信される臨時エントリーコードに対応するものであり、これを認証するために車両側に保持されている参照用の臨時エントリーコードである。参照コードと臨時参照コードはそれぞれ別の管理手順に従って頻繁に更新され、更新日付とともに管理されるが、その詳細は後述する。
ステップS152では、エンジンロック解除のためのキーレスエントリーコード発信を検出したかどうかチェックする。そして検出があればこれを認証するためステップS154に進み、検出コードがキーレスエントリーコード管理部52に保持されている参照コードまたは臨時参照コードと一致するかどうかをキーレスエントリーコード管理部52にてチェックさせる。そして検出結果がいずれかと一致すれば認証OKとしてステップS156に進み、エンジンロックを解除する。そしてステップS158に移行する。これに対し、ステップS152での検出がないか、またはステップS154での検出結果の認証ができなければ、直接ステップS158に移行する。
ステップS158では、コード管理処理を行うこれは、エントリーコードの漏洩による車両の盗難等を防止するために携帯電話側と連携してエントリーコードを変更する処理であるが、その詳細は後述する。 次いでステップS160において運転操作の有無を検出し、操作が検出されればステップS162に進んで操作どおりの運転処理を実行してステップS142に戻る。一方、ステップS160で運転操作が検出されない場合は直接ステップS142に戻る。 以下フローはステップS142からステップS162を繰り返し、車両に関する種々の状況に対応する。
図8は、本発明の実施の形態に係るキーレスエントリーシステムの第2実施例を示すブロック図である。第2実施例は基本的には図1の第1実施例と共通の構成であるが第1携帯電話102を車両104のクレードル106に載せることにより携帯側コネクタ108を介して車両104から第1携帯電話102への充電および両者間の信号授受を行うための構成が付加されている。以下、第2実施例ではこの付加された構成を中心に説明し、第1実施例と共通の部分には共通の番号を付して説明を省略する。 また、図8の第2実施例では、図1のような第2携帯電話2および駐車場4が図示されていないが、これは簡単のため省略されているだけで、第2実施例も第1実施例と同様の第2携帯電話2および駐車場4を含むシステムとして構成されており、これらの点においては第1実施例と異なるものではない。また、図8では無線通信を示すシンポルも省略されているが、第1携帯近距離通信部20と車両近距離通信部48との間の無線通信、および第1携帯電話102のキーレスエントリー通信部28と車両104のキーレスエントリー通信部の間無線通信等については、第1実施例と異なるものではない。
図8において、車両104の電源110は車両各部に給電を行うものであり、説明を省略しているが第1実施例の車両3においても存在するものである。クレードル106は第1携帯電話102の底部を載せるよう構成されているものであり、電源接点112および信号接点114を有する。電源接点112は電源110からの充電用電力を外部に供給する。また信号接点114は車両制御部38に接続されており、外部との信号授受のインターフェースとなる。 携帯側コネクタ108は第1携帯電話102の底部に設けられており、第一携帯電話をクレードル106に載せたときクレードル106の電源接点112と接触する電源接点116およびクレードル106の信号接点114と接触する信号接点118を有する。電源接点116は主電源24に接続されており、車両104から供給される電力を受けて主電源24を充電する。また信号接点118は第1携帯制御部6に接続されており、外部との信号授受のインターフェースとなる。
クレードル106の信号接点と携帯側コネクタ108の信号接点118との間では携帯電話102と車両104との間で種々の情報交換が可能である。例えばカメラ部22で撮影され記憶部12で記憶されていた画像情報をこれより記憶容量の大きい車両104の記憶部44に移動またはコピーすることができる。このようにして記憶部44に入力された画像情報は、車両104に搭載される不図示のカーナビゲーション画面で鑑賞することができる。また、記憶部12の画像情報を直接カーナビゲーション画面で鑑賞することもできる。さらに第1携帯電話102によってインターネット経由で得られた観光情報等を車両104に送ることによりカーナビゲーションの目的地として設定することもできる。 さらに、充電のために第1携帯電話102を車両104のクレードル106に置くたびに信号接点114と信号接点118との間でキーレスエントリーコードを更新するための通信を行い、キーレスエントリーコードの漏洩や偽造への対策とすることができる。その詳細については後述する。 なお、上記第2実施例におけるクレードル106と携帯側コネクタ108は接点方式で構成されているが、これを電磁誘導による電力伝達および微弱電波による信号伝達を採用した無接点方式で構成してもよい。このような無接点方式であっても第1携帯電話102はクレードル106に載置するよう構成される。
また、図8の第2実施例は、電話回線通信部120を有する。これは、第1携帯電話102の第1電話機能部および第1電話通信部18と同様の構成のものであって、第1携帯電話との間で電話回線を介した無線通信を行うことができる。電話回線通信部120は車両電話として音声会話の通信もできるが、その構成の主な目的は第1携帯電話へのキーレスエントリーコード送信およびインターネットへのアクセス等の際のデータ通信にある。このような電話回線通信部120は図1の第1実施例にも設けられているが、図1では図示が省略されていたものである。 なお、図7の車両の基本フローチャートは、上記のような第2実施例における車両104における車両制御部38においても共通に適用可能なものである。
図9は、図7のステップS158におけるコード管理処理の詳細を示すフローチャートであり、図1の第1実施例および図2の第2実施例のいずれにも適用可能なものである。なお、一部のクレードル載置に関する機能は第2実施例に特有のものであるが、これに該当しない処理は単にスキップされるだけなので、冗長性はあるがそのまま第1実施例に適用しても差し支えない。また、必要に応じ、冗長なステップを省略して第1実施例に適用してもよい。
フローがスタートすると、車両制御部38に内蔵されている時計機能に基づいて、コード管理処理をスタートした時刻が毎分0秒から5秒の時間幅に入っているかどうかチェックする。そして該当すれば、ステップS174でエントリーコード乱数を発生させ、その結果に基づいてステップS176で更新用エントリーコードレジスタを上書きしてステップS178に移行する。一方、ステップS172で該当がなければ直接ステップS178に移行する。 なお、図9のフローは図7のフローの一部であり、図7のフローは繰り返されているので、その度に上記のステップS172を通過する。このときの時刻が毎分0秒から5秒の時間幅に入る確率は1/12であるが、仮にステップS172を通過する頻度が平均毎分12回であるとすると、平均的に毎分1回ステップS172からステップS174に移行することになり、従って、更新用エントリーコードレジスタはステップS176において平均毎分1回程度で乱数に基づいて書き換えられることになる。図7のフローは、ステップS144やステップS162等に処理があるとステップS158のコード管理を通過する頻度が減るが、このような処理を行っているときにエントリーコードを更新して盗難等に備える必要はないので差し支えはない。逆に、車両が駐車中で何も処理がないときは、ステップS158の処理が高頻度で繰り返されるので図9のステップS176の交信用エントリーコードレジスタの書換も高頻度で行われる。
ステップS178では、参照コードの更新日付が当日のものかどうかチェックされる。そして当日のものでなければステップS180に進む。これは、参照コードが前日以前に更新された古いものである場合に該当する。 ステップS180では、更新用エントリーコードレジスタから最新の更新用エントリーコードを読み取ってキーレスエントリーコード管理部52に保持されている参照エントリーコードを更新する。次いでステップS182において、更新済みの参照エントリーコードと同じデータを更新エントリーコードとして車両保有者の携帯電話に無線送信する。この送信は、まず車両近距離無線通信部48によって試みられ、これが不能であれば電話回線通信部によって行われる。そしてステップS184にて送信後所定時間が経過したかどうかチェックし、未経過ならばステップS186で車両保有者の携帯電話からエントリーコードの更新を完了した旨の報告を受信したかどうかチェックする。携帯電話側ではエントリーコードの受信に基づいて更新からその完了報告送信までをすべて自動的に行う。従って保有者が何もしなくても携帯電話側のエントリーコードの更新は自動的に行われる。
ステップS186において更新完了報告の受信が確認できにないときは、ステップS178において更新用エントリーコードを再送する。以下、所定時間が経過するまでステップS182からステップS186を繰り返し、更新完了報告の受信を待つ。そしてステップS186で更新完了報告の受信が確認されるとステップS188に進む。一方、更新完了報告の受信が確認されないまま所定時間が経過したことがステップS184で確認されると、一旦送信を打ち切り、ステップS188に進む。 また、ステップS178で参照エントリーコードの更新日付が当日であればステップS190に進み、その参照エントリーコードにと同じデータを車両保有者に送信済みかどうかチェックする。そして送信済みであればステップS188に進む。このようにして、日付が変わる毎にステップS180で参照エントリーコードを更新し、これを携帯電話に伝える。なお、ステップS190でデータが送信済みでなければステップS182に移行し、送信を実行する。これは、参照エントリーコ
ード更新直後における車両保有者へのデータ送信が実行できなかった場合への対応に該当する。
ステップS188では、車両保有者の携帯電話が車両104のクレードル106に載置されたかどうかをチェックし、該当すればステップS192に進んで最新交信用エントリーコードへの更新制御処理を行う。車両保有者の携帯電話がクレードル106に載置された場合は、信号接点114および118を通じて携帯電話が車両制御部の制御下のドライブとして機能するので、ステップS192において携帯電話への更新エントリーコードの伝達や確認をリアルタイムで直接行うことができる。そしてス処理が完了するとステップS194に進み、上記に対応して車両側のキーレスエントリーコード管理部52に保持されている参照エントリーコードを更新してステップS196に移行する。一方、ステップS188で車両保有者の携帯電話がクレードル106に載置されたことが検出されなければ直接ステップS196に移行する。このようにして車両保有者の携帯電話が車両104のクレードル106に載置される毎にステップS192およびステップS194で携帯電話側のエントリーコードおよびこれに対応する車両側の参照エントリーコードの更新が行われる。
ステップS196では、臨時エントリーコード管理処理が行われる。ステップS178からステップS194は車両保有者の携帯電話によるキーレスエントリーに関するエントリーコードの管理に関するものであるが、ステップS196は代行運転者や車両貸与者等の携帯電話によるキーレスエントリーに関する臨時エントリーコードの管理に関するものである。その詳細は後述する。
図10は、図9のステップS196における臨時エントリーコード管理処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、ステップS202で臨時参照エントリーコードが車両のキーレスエントリーコード管理部52に保持されているかどうかチェックする。そして保持がなければ更新用エントリーコードレジスタからデータを読取ってこれをキーレスエントリーコード管理部52に新規入力して保持させる。 次いで、ステップS206において新規に入力したのと同じ臨時エントリーコードを車両保有者の携帯電話に送信する処理を行う。これは、車両側と車両保有者の携帯電話側で臨時エントリーコードを一致させるためである。ステップS206の内容は、図9のステップS182からステップS186に準じたものであり、送信完了の場合、または送信未了で所定時間経過の場合はステップS208に進む。
一方、ステップS202で臨時参照エントリーコードが既にキーレスエントリーコード管理部52保持されていることが確認できるとステップS210に進み、そのコードが既に車両保有者に送信済みであるかどうかチェックする。そして未送信であればステップS206に進んでこれを送信する処理に入る。未送信である場合とは、ステップS204で臨時参照エントリーコードを新規入力後ステップS206での送信処理がうまくいかなかった場合に相当する。
ステップS208では、代行運転依頼を行った旨の報告が車両保有者の携帯電話から送信され、これが車両で受信されているかどうかチェックする。そして受信されていれば、ステップS212に進み、代行運転依頼報告を受けてから24時間が経過しているかどうかチェックする。そして経過していれば、ステップS214に進み、24時間経過してから後に更新された臨時エントリーコードを送信済みかどうかチェックする。
さらに、更新臨時エントリーコードが送信済みでなければステップS216に進み、更新用エントリーコードレジスタからデータを読取ってキーレスエントリーコード管理部52に保持されている臨時参照エントリーコードを更新する。そして、更新した臨時エントリーコードを車両保有者の携帯電話に送信する処理をステップS218で行う。ステップS218の内容も、図9のステップS182からステップS186に準じたものであり、送信完了の場合、または送信未了で所定時間が経過した場合はフローを終了する。なお、送信未了でフローを終了した場合は、図7における基本フローの繰り返しの中で再度ステップS158のコード管理処理に入り、その中でステップS196の臨時エントリーコード管理処理に至ったとき、ステップS212からステップS218を実行することによって、再度更新された臨時エントリーコードの車両保有者への送信を試みる。
一方、ステップS212で再考運転依頼報告受信後24時間経過していなければ直ちにフローを終了する。また、ステップS214において、更新された臨時エントリーコードを送信済みである場合も、直ちにフローを終了する。 上記のようにして、代行運転依頼報告を受信した場合には、その後24時間経過すると臨時エントリーコードが更新されるので、車両保有者の携帯電話から運転代行者に送信した臨時エントリーコードは無効となる。これによって、外部に送信した臨時エントリーコードが漏洩するような不測の事態が生じても、24時間経過すればその臨時エントリーコードによる車両へのエントリーは不可能となる。一方で、代行運転依頼をした場合、そのとき代行運転者に送信した臨時エントリーコードは24時間更新しないことが保証されるので、その間勝手に臨時エントリーコードが変更されて代行運転者がエントリーできなくなるようなことも生じない。これに対し、車両保有者本人用のエントリーコードの場合は、図9のステップS178およびステップS180におけるように日付が変わった場合や図9のステップS188からステップS194におけるように携帯電話が車両のクレードルに載置された場合に適宜変更される。
一方、ステップS208において代行運転依頼報告を受信していない場合は、ステップS220の安全処理に移行する。この安全処理は、代行運転が依頼されたにもかかわらず、通信環境によりその報告が車両に届いていない場合を想定したものであり、ステップS212からステップS216のように所定時間で自動的に臨時参照コードを更新しない代わりに、運転の安全を考慮しつつ所定の手順でエントリーコードの更新を行い、エントリーコードの漏洩や偽造による車両の盗難を防止するものである。
図11は、上記図10におけるステップS220の安全処理の詳細を示すフローチャートである。フローがスタートすると、キーレスエントリーが行われてその認証がOKとなったデータが臨時認証エントリーコードに該当するという場合が生じたかどうかチェックする。つまり、有効な臨時エントリーコードによるキーレスエントリーが行われたかどうかがチェックされる。 この時点でキーレスエントリーが行われていない場合や、車両保有者の携帯電話によりキーレスエントリーを行った場合はステップS232に該当せず、このような場合は安全処理を行う必要がないので直ちにフローを終了する。
一方、有効な臨時エントリーコードによるキーレスエントリーが行われた場合は、ステップS232からステップS234に進み、保有者の携帯電話が通信可能な圏内にあるかどうかチェックする。そして通信圏内であればステップS236で代行運転依頼確認処理が行われる。これは、ステップS98における車両への代行運転依頼報告処理と同様の意義をもつが、ステップS98で携帯電話側から車両に報告をしていたのに対し、ステップS236では車両側から携帯電話側に問い合わせる形となる。このように、例えば車両が通信圏外の駐車場に置かれていてステップS98の段階では代行運転依頼を行っている旨が車両に報告できなかった場合であっても、代行運転者が車両を移動させることで車両が通信圏内に入れば、ステップS234からステップS236が機能して自動的に代行運転依頼の旨の情報を車両が得るための処理が行われる。 そして次のステップS238で代行運転依頼をしている旨の確認ができたかどうかチェックされ、OKの場合は安全処理を行う必要がないのでステップS258に移行し、代行運転依頼報告を受信していたのと同じ扱いとしてフローを終了する。
これに対し、ステップS236において代行運転依頼の確認ができなかった場合は、ステップS238からステップS240に進み、告知アナウンスを行う。この告知アナウンスは、後述の所定の条件が成立すれば以後その車両へのエントリーまたはエンジン始動ができなくなることを車両の運転者に事前警告し、突然車両に入ることができなくなったり、エンジン始動ができなくなったりすることによる不測の事態を防止するためのものである。また、後述の所定の条件が成立して車両へのエントリーまたはエンジン始動ができなくなったときはその理由を運転者に告知するものである。 そして、ステップS242で臨時キーレスエントリーコードによるエンジン始動が行われたかどうかチェックする。エンジン始動がまだ行われていない段階では安全処理に入らず、直ちにフローを終了する。
一方、ステップS242でエンジン始動が行われたことが検出されると、以後、安全処理に入り、エンジンを始動した回数および最初のエンジン始動からの時間経過のカウントを既に開始済みであるかどうかをステップS244でチェックする。そして開始済みでなければステップS246に進み、エンジンを始動した回数および最初のエンジン始動からの時間経過のカウントを開始してステップS248に至る。一方、既に始動カウントが開始済みであることがステップS244で検出されたときは、直接ステップS248に進む。 ステップS248ではエンジンを始動した回数が所定回数(例えば3回)に達したかどうかをチェックし、未だ達していなければ、次にステップS250で最初のエンジン始動からの所定時間(例えば3時間)経過しただどうかチェックする。そしていずれも該当がなければ、フローを終了する。
これに対し、ステップS248でエンジンを始動した回数が所定回数に達するか、又はステップS250で最初のエンジン始動からの所定時間経過したことが検出されたときはステップS252に進み、最初のエンジン始動後更新した臨時エントリーコードを車両保有者に送信したかどうかチェックし、未送信であればステップS254に進んで臨時参照エントリーコードを更新する。これによって、以後は、元の臨時エントリーコードによって車両に入ったりエンジンを始動したりすることが不可能となる。 以上によって、車両への代行運転依頼報告ができないまま真性の代行運転者が車両を運転している場合における危険防止を図りながら、エントリーコードの漏洩や偽造による車両の盗難などの不正行為を防止する。
ステップS254において臨時参照エントリーコードの更新が行われるとステップS256に進み、更新した臨時エントリーコードを車両保有者の携帯電話に送信する処理を行う。ステップS256の内容も、図9のステップS182からステップS186に準じたものであり、送信完了の場合、または送信未了で所定時間経過の場合はフローを終了する。 なお、ステップS258の代行運転依頼報告扱いの処理においては、一度ステップS254を経由して臨時参照エントリーコードを更新してしまった場合でも、これをステップS242でエンジン始動した時点での臨時参照エントリーコードに戻し、その上で図10のステップS212からステップS218の処理によって臨時エントリーコードの管理を行う。従って、ステップS254によって一旦エントリーが不能になった場合でも、ステップS236からステップS238を経てステップS258に至ったときは、代行運転依頼から24時間経過していない限り、当初の臨時エントリーコードによるキーレスエントリーが可能な状態が復活する。