本発明の定着装置は、互いに圧接される定着ローラと加圧ローラとから構成される1対の定着部材の圧接部に、トナー像を担持する記録材を通過させることにより記録材にトナー像を定着する定着装置であって、電磁誘導加熱により発熱する誘導加熱層を有し、定着ローラの表面を外部から加熱する外部加熱ベルトと、外部加熱ベルトを回転可能に張架し、定着ローラよりも外径の小さい複数の支持ローラと、複数の支持ローラ間に張架された領域における外部加熱ベルトの外周面に沿って外側から対向して、外部加熱ベルトを電磁誘導加熱する誘導コイルとを備える。
このように、定着ローラ表面を外部加熱ベルトで加熱することにより、定着ローラ内部のみから加熱する場合と比較して、短時間で定着ローラの表面温度を設定温度まで昇温させることができる。また、連続動作時に紙に奪われる熱量を瞬時に補い、定着ローラの表面温度低下を防止することができる。さらに、電磁誘導加熱により外部加熱ベルトの誘導加熱層を発熱させるために支持ローラに熱源を設ける必要がなくなり、支持ローラからの熱伝導により外部加熱ベルトの表面温度が一時的に設定温度を大きく超えてしまうことを避けることができる。
また、支持ローラの外径が定着ローラの外径よりも小さくなるように構成されることにより、支持ローラの熱容量を低下させることができ、外部加熱ベルトの熱応答性を向上させることができる。また、装置を小型化することができる。
さらに、誘導コイルは、複数の支持ローラ間に張架された領域における外部加熱ベルトの外周面に沿って外側から対向するように設けられるため、外径の小さい支持ローラを用いた場合においても、外部加熱ベルトの誘導加熱層において充分な加熱範囲を得ることができる。また外部加熱ベルトの内周面に沿って内側から対向するように設けられる場合よりも、大型の誘導コイルを設置することができるため、より広い加熱範囲を得ることができる。したがって、誘導コイルに印加する高周波電流を増加させることで誘導コイルを高温になるまで上昇させることなく充分な発熱量を得ることができる。また、複数の支持ローラ間に張架された領域における外部加熱ベルトの外周面に沿う形状の誘導コイルを使用するため、複数の素線を束ねて形成されたリッツ線を周回して誘導コイルを形成する場合にも、安定した形状の誘導コイルを簡単な工程で安価に作製することができ、より安価で性能の安定した定着装置を得ることができる。
[定着装置]
図1は、本発明の第1の実施形態である定着装置100の構成を簡略化して示す断面図である。本発明の第1の実施形態である定着装置100は、未定着のトナー像Tが表面に形成された記録紙Pに対し、熱および圧力によりトナー像Tを熱溶融着して記録紙P上に定着させるものである。未定着のトナー像Tは、たとえば、非磁性トナーを含んで構成される非磁性一成分現像剤、非磁性トナーおよびキャリアを含んで構成される非磁性二成分現像剤、磁性トナーを含んで構成される磁性現像剤などの現像剤(以下、単に「トナー」と記す)によって形成される。
定着装置100は、図1に示すように、一対の定着部材であり、互いに圧接される定着ローラ101および加圧ローラ102、電磁誘導加熱により発熱する誘導加熱層を有し、定着ローラ101の表面を外部から加熱するための外部加熱ベルト103、外部加熱ベルト103を回転可能に張架し、定着ローラ101よりも外径の小さい2本の支持ローラ104a,104b、2本の支持ローラ104a,104b間に張架された領域の外部加熱ベルト103の外周面に外側から対向して、外部加熱ベルト103を電磁誘導加熱する誘導コイル105、定着ローラ101を内部から加熱する熱源であるヒータランプ106a,106b、加圧ローラ102を内部から加熱する熱源であるヒータランプ107、定着ローラ101の表面温度を検出するための温度センサであるサーミスタ108a,108b、加圧ローラ102の表面温度を検出するための温度センサであるサーミスタ109、外部加熱ベルト103の表面温度を検出するための温度センサであるサーミスタ110a,110b、ならびに定着ローラ101をクリーニングするためのウェブクリーニング装置111を備える。
定着ローラ101は、定着部材を構成する部材であって、所定の表面温度、本実施形態では190℃に加熱されて、定着ローラ101と加圧ローラ102とが互いに当接する部分である定着ニップ部N1を通過する未定着のトナー像Tが形成された記録紙Pを加熱する。定着ローラ101は、図示しない支持手段によって回転自在に支持され、かつ図示しない駆動手段によって矢符Gの方向に所定の速度で回転するローラ状部材であって、その内側から順に、芯金、弾性層および離型層が形成された3層構造からなる。芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属あるいはこれらの合金などが用いられる。弾性層には、たとえば、シリコンゴムやフッ素ゴムなどが用いられる。離型層には、たとえば、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂やこれらを混成した材料などが用いられる。
弾性層には、シリコンゴムを用いることが好ましい。弾性層がシリコンゴムを含むことにより、定着ニップ部N1の形状を定着ローラ101から記録紙Pが剥離しやすい逆ニップ形状、すなわち定着ローラ101の半径方向外方に凸状の形状とすることができると同時に、定着ニップ部N1の出口付近におけるシリコンゴムの急速な変形回復効果により記録紙Pの定着ローラ101からの剥離性能を向上させることができる。また、シリコンゴムが弾性変形することにより凹凸のある記録紙P上の未定着トナー像Tにかかる圧力の偏在を緩和して加熱定着できるため、定着画像の光沢の不均一さを改善して安定した高品位な画像を形成することができる。
なお、弾性層にシリコンゴムを用いる場合であって、定着ローラ101表面の設定温度が210℃を超える場合には、シリコンゴムが熱劣化して定着ローラ101の耐久性が低下してしまうという問題がある。本発明の定着装置100においては、外部加熱ベルト103により定着ローラ101表面に熱供給を行うとともに、定着ローラ101の内部に設けられる芯金による充分な蓄熱効果を得ることができるために、定着ローラの設定温度を210℃以下に抑えることができる。したがって、弾性層にシリコンゴムを用いても定着ローラ101の耐久性を維持することができる。
本実施形態では、定着ローラ101として、厚さ2mmのアルミニウム製芯金上に、厚さ2mmでJIS−A硬度が5度であるシリコンゴムから構成される弾性層が形成され、さらにその上に厚さ50μmのPFAチューブから構成される離型層が形成されたものであって、外径が50mmのものを使用する。
定着ローラ101の芯金の内部には、定着ローラ101を内部から加熱する熱源である2つのヒータランプ106a,106bが配置されている。ヒータランプ106a,106bは、制御回路(図示せず)から通電されることによって発光して赤外線を放射する。この輻射熱によって、定着ローラ101の内周面が加熱され、熱伝導により定着ローラ101全体が加熱される。ヒータランプ106aは、定着ローラ101の軸方向中央部付近、たとえば軸方向中央部を中心とした左右それぞれ120mm以内の範囲の定着ローラ101を主に加熱し、本実施形態では定格電力550Wのものを使用する。ヒータランプ106bは、定着ローラ101の軸方向両端部付近、たとえば軸方向中央部を中心とした左右120mm以内の範囲より外側の部分を主に加熱し、本実施形態では定格電力400Wのものを使用する。このように、定着ローラ101の軸方向に発熱分布の異なる2本のヒータランプ106a,106bを用いることにより、A4サイズの記録紙を長手方向(縦方向)に通紙して印字する場合や、B5サイズやA5サイズなどの小さいサイズの記録紙を通紙して印字する場合においても、これらの記録紙(以下、「小幅紙」と記す場合がある)が通紙されない部分である定着ローラ101の非通紙部、ここでは軸方向両端部の温度が高くなり過ぎることを防止することができる。なお、記録紙は記録材に相当し、非通紙部は非通過部に相当する。
なお、上記構成において、定着ローラ101を内部から加熱する熱源として2つのヒータランプを用いたがこれに限定されるものではなく、用いる記録紙の用紙幅に対応した適切な配熱分布を有するヒータランプを1つのみ用いるようにしてもよい。
加圧ローラ102は、定着部材を構成する部材であって、定着ローラ101の鉛直方向下方に図示しない支持手段によって回転自在に支持され、定着ローラ101の回転に従動して矢符Hの方向に回転するローラ状部材である。加圧ローラ102は、定着ローラ101によるトナー像Tの記録紙Pへの加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録紙Pに対して押圧することによって、トナー像Tの記録紙Pへの定着を促進する。加圧ローラ102も定着ローラ101と同様に構成され、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属あるいはこれらの合金などから構成される芯金の外周面の表面にシリコンゴムなどから構成される弾性層が形成され、さらにその上にPFAやPTFEなどのフッ素樹脂から構成される離型層が形成されて構成される。本実施形態では、加圧ローラ102として、厚さ2mmのアルミニウム製芯金上に、厚さ2mmでJIS−A硬度が40度であるシリコンゴムから構成される弾性層が形成され、さらにその上に厚さ50μmのPFAチューブから構成される離型層が形成されたものであって、外径は定着ローラ101と同様の50mmのものを使用する。
加圧ローラ102の芯金の内部には、加圧ローラ101を内部から加熱する熱源であるヒータランプ107が設けられる。ヒータランプ107は、制御回路(図示せず)から通電されることによって発光して赤外線を放射する。この輻射熱によって、加圧ローラ102の内周面が加熱され、熱伝導により加圧ローラ102全体が加熱される。ヒータランプ107は、加圧ローラ102の軸方向の全長、すなわち加圧ローラ102の全幅にわたる発熱幅を有し、本実施形態では、定格電力が450Wのものを使用する。
定着ローラ101の外周面近傍における軸方向中央部および軸方向端部には、温度センサであるサーミスタ108a,108bがそれぞれ設けられる。また、加圧ローラ102の外周面近傍における軸方向中央部においても、温度センサであるサーミスタ109が設けられる。
サーミスタ108aは、定着ローラ101の軸方向中央部における表面温度を検知し、サーミスタ108bは、定着ローラ101の軸方向端部の表面温度を検知する。サーミスタ109は、加圧ローラ102の軸方向中央部における表面温度を検知する。サーミスタ108a,108b,109は、検出した温度データを信号として温度制御手段としての機能を有する制御回路(図示せず)に与える。制御回路は、上記信号に基づいて、定着ローラ101および加圧ローラ102の温度が所定の温度となるようヒータランプ106a,106b,107への通電を制御する。なお、106a,106b,107は、それぞれ独立した通電回路を備えるように構成される。
なお、本実施形態では、定着ローラ101の表面温度は190℃となるように制御されるがこれに限定されるものではなく、180℃〜210℃の範囲内となるように制御されることが好ましい。
定着ローラ101および加圧ローラ102は、所定の定着荷重、本実施形態では560Nで互いに圧接されて、両ローラの間に、定着ローラ101と加圧ローラ102とが互いに当接する部分である定着ニップ部N1を形成している。定着ニップ部N1における記録紙Pの搬送方向の幅である定着ニップ幅は、本実施形態では8mmである。この定着ニップ部N1に、表面に未定着のトナー像Tが形成された記録紙Pを給紙して通過させることで、記録紙Pにトナー像Tが定着される。記録紙Pが定着ニップ部N1を通過するときには、定着ローラ101は、記録紙Pのトナー像形成面に当接し、加圧ローラ102は記録紙Pのトナー像形成面とは反対の面に当接する。
定着ローラ101は、定着ニップ部N1を記録紙Pが通過するように定着ローラ101を回転駆動する駆動手段である駆動モータ(図示せず)によって回転駆動される。また加圧ローラ102は、定着ローラ101の回転に従動して回転する。したがって、定着ローラ101および加圧ローラ102は、図1に示すように互いに逆方向、すなわち定着ニップ部N1において対向する面では同方向になるように回転し、これにより記録紙Pは定着ニップ部N1を通過する。
定着ニップ部N1には、所定の定着速度および複写速度で未定着のトナー像Tが形成された記録紙Pが搬送され、熱と圧力により定着が行われる。定着速度とは、いわゆるプロセス速度のことであり、本実施形態では355mm/secである。また複写速度とは、1分あたりのコピー枚数のことであり、本実施形態ではA4サイズの記録紙を短手方向(横方向)に通紙する場合において70枚/分である。
外部加熱ベルト103は、無端状のベルトであって、外部加熱ベルト103に内接する2本の支持ローラ104a,104bによって回転可能に張架される。支持ローラ104a,104bは、定着ローラ101および加圧ローラ102の軸線と略平行な2つの軸線周りにそれぞれ回転可能に設けられる。支持ローラ104a,104bは、定着ローラ101の軸線に対して定着ニップ部N1の反対側に、定着ローラ101の外周面近傍であって、少なくとも外部加熱ベルト103が変位可能な間隔をあけるように、本実施形態ではそれぞれの軸間距離dが40mmとなるように配置される。
したがって外部加熱ベルト103は、定着ローラ101の回転方向に対して定着ニップ部N1の上流側に設けられ、さらに所定の押圧荷重、本実施形態では40Nで定着ローラ101に圧接されるように構成される。外部加熱ベルト103を定着ローラ101に圧接させるための機構である外部加熱ベルトユニットについては後述する。上述のようにして、外部加熱ベルト103と定着ローラ101との間には、外部加熱ベルト103と定着ローラ101とが互いに当接する部分である加熱ニップ部N2が形成される。加熱ニップ部N2における定着ローラ101の回転方向の幅である加熱ニップ幅は、本実施形態では18mmである。外部加熱ベルト103は、定着ローラ101の回転時には、定着ローラ101に従動して回転するように構成され、この外部加熱ベルト103の回転に従動して、支持ローラ104a,104bも回転するよう構成される。
外部加熱ベルト103は、誘導コイル105により外周面が所定の温度、本実施形態では印字動作時において220℃になるように加熱され、加熱された状態で定着ローラ101に当接することにより定着ローラ101を加熱する。
誘導コイル105は、励磁手段であり、支持ローラ104a,104b間に張架された領域の外部加熱ベルト103の外周面に沿って外側から所定の間隔を保って対向するように設けられる。これにより、外径の小さい支持ローラを用いた場合においても、外部加熱ベルト103の誘導加熱層において充分な加熱範囲を得ることができる。また外部加熱ベルト103の内周面に沿って内側から対向するように設けられる場合よりも、大型の誘導コイル105を設置することができるため、より広い加熱範囲を得ることができる。そのため、誘導コイル105に印加する高周波電流を増加させることで誘導コイル105を高温になるまで上昇させることなく充分な発熱量を得ることができる。また、支持ローラ104a,104b間に張架された領域における外部加熱ベルト103の外周面に沿う形状の誘導コイル105を使用するため、複数の素線を束ねて形成されたリッツ線を周回して誘導コイル105を形成する場合にも、安定した形状の誘導コイル105を簡単な工程で安価に作製することができ、より安価で性能の安定した定着装置を得ることができる。
また誘導コイル105は、支持ローラ104a,104b間に張架された領域の外部加熱ベルト105の外周面に平行な平面を有する形状であることが好ましい。これにより、複数の素線を束ねて形成されたリッツ線を周回して誘導コイル105を形成する場合にも、安定した形状の誘導コイル105をより一層簡単な工程で安価に作製することができ、より一層安価で性能の安定した定着装置100を得ることができる。
誘導コイル105は、一般的に用いられるものでよく特に限定されるものではない。本実施形態では、誘導コイル105として、表面を絶縁処理した外径0.15mmの銅線からなる線材を50本束ねて形成された線束(リッツ線)を、外部加熱ベルト103の軸方向に延伸するように周回して形成されたものを使用する。誘導コイル105の形状は、図1に示すように、支持ローラ104a,104b間に張架された領域の外部加熱ベルト103の外周面に平行な平面を有する板状形状であり、線束は互いに密着して10回周回している。
誘導コイル105は、対向する外部加熱ベルト103の形状に対応した形状であればよいが、特には平面を有する板状形状であることが好ましい。
誘導コイル105として、たとえば950Wの定格電力の誘導コイル105を用いる場合には、誘導電源(図示せず)から誘導コイル105へ20kHz〜40kHzの高周波電流が印加されて、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の誘導加熱層において電磁誘導によって渦電流が発生し、これにより生じるジュール熱により外部加熱ベルト103が加熱される。本実施形態の誘導コイル105には、誘導電源に相当する電圧共振形インバータである励磁回路から25kHzで最大電流振幅60A、最大電圧振幅600Vの交流電流が印加される。
誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側における軸方向中央部には、温度検知手段であるサーミスタ110aが設けられる。サーミスタ110aは、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面の軸方向中央部における表面温度を検知する。サーミスタ110aは、検出した温度データを信号として誘導電源(図示せず)に与える。誘導電源は、上記信号に基づいて、誘導コイル105に印加する高周波電流を、外部加熱ベルト103が所定の設定温度、たとえば220℃となるように制御する。
このように、サーミスタ110aからの信号に基づいて、誘導コイル105への通電が制御されることにより、誘導コイル105により電磁誘導加熱される部分の外部加熱ベルト103の温度に基づいて、誘導コイル105による外部加熱ベルト103の電磁誘導加熱を制御することができる。
したがって、外部加熱ベルト103の動作が停止した状態や外部加熱ベルト103が低速で回転している状態においても、外部加熱ベルト103を所定の温度に正確に加熱することができ、画像形成動作に備えて外部加熱ベルト103の予備加熱を容易に行うことができる。この結果、画像形成動作の開始時において、外部加熱ベルト103を昇温させるための時間を短縮することができる。
また、画像形成動作中に、何らかのアクシデントが生じて外部加熱ベルト103の回転動作が急停止した場合においても、上記通電制御により、外部加熱ベルト103が過加熱により熱変形および熱劣化することを防止できる。また、外部加熱ベルト103の内周面側に接触型センサであるサーミスタ110aが設けられるため、外部加熱ベルト103の外周面がサーミスタ110aによって磨耗することを防止できる。
また、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側の非通紙部には、非通紙部温度検知手段であるサーミスタ110bが設けられる。本実施形態では、サーミスタ110bは、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側の軸方向端部に設けられる。なお、上記非通紙部とは、小幅紙が通紙されない部分のことを示す。
サーミスタ110bは、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側における非通紙部の表面温度を検知する。サーミスタ110bは、検出した温度データを信号として制御回路(図示せず)に与える。制御回路は、上記信号に基づいて、後述する発熱分布制御手段の動作を制御する。
外部加熱ベルト103は、上述の電磁誘導加熱により発熱する誘導加熱層を有する構成であればよく、たとえばポリイミドなどの耐熱樹脂に、たとえば金、白金、銀および銅などの導電性材料を分散して導電性を付与したもの、あるいはステンレスやニッケルなどの金属材料からなる中空円筒状の基材の表面に、離型層として、耐熱性および離型性に優れた合成樹脂材料から構成される層、たとえば、PFAやPTFEなどのフッ素樹脂を単独でまたは混合して用いられる材料から構成される層が形成された2層構造のものを使用できる。また、外部加熱ベルト103の寄り力、すなわち外部加熱ベルト103を回転方向に対して垂直な方向に移動させるように作用する力を低減するために、ベルト基材の内周面に、フッ素樹脂などによるコーティングが施されていてもよい。
外部加熱ベルト103の離型層には、フッ素樹脂が用いられることが好ましい。これにより、定着ローラ101に付着するトナーが外部加熱ベルト103に付着することを防止することができる。これにより、外部加熱ベルト103に付着したトナーが再び定着ローラ101に付着して記録紙Pの画像面を汚すことを防ぐことができ、高品位な画像を安定して得ることができる。
なお、外部加熱ベルト103がフッ素樹脂を含んで構成される場合には、以下のような問題が生じるおそれがある。たとえば、内部にヒータランプなどの熱源が設けられた支持ローラを用いる定着装置において外部加熱ベルトを加熱する場合には、支持ローラの温度は外部加熱ベルトよりも高い温度、たとえば400℃を超える高温に保つ必要がある。そのため、加熱動作を急停止した場合などには、ヒータランプと支持ローラとが保有している熱量が外部加熱ベルトに伝わり、外部加熱ベルトの表面温度が、一時的に設定温度を大きく超える温度となってしまうおそれがある。また、外部加熱ベルト103表面の設定温度が230℃を超える場合には、オーバーシュートなどにより定着ローラおよび外部加熱ベルトの表面温度が一時的に240℃以上に上昇してしまうおそれがある。上述のようにして外部加熱ベルトの表面温度が上昇すると、フッ素樹脂が熱劣化して耐久性が低下してしまう。
本発明の定着装置100においては、昇温動作時に、定着ローラ101内部に設けられるヒータランプ106a,106bにより芯金を充分に加熱することができ、さらに芯金による充分な蓄熱効果を得ることができる。また支持ローラ104a,104bに熱源を設けず、電磁誘導加熱により外部加熱ベルト103を加熱するため支持ローラ104a,104bの温度を外部加熱ベルト103の設定温度以下とすることができる。したがって、外部加熱ベルト103の表面温度の上昇を防ぎ、さらに設定温度を低くすることができるためフッ素樹脂の耐久性を維持することができる。また、外部加熱ベルト103の設定温度を230℃以下に設定しても、定着性の不足しやすい昇温動作直後の印字時においても良好な定着性を得ることができる。
本明細書において、誘導加熱層とは電磁誘導加熱により発熱する層のことであり、ここでは、ポリイミドなどの耐熱樹脂に導電性材料を分散して導電性を付与したもの、またはステンレスやニッケルなどの金属材料からなる中空円筒状の基材のことを示す。
本実施形態では、外部加熱ベルト103として、電磁誘導加熱により発熱する誘導加熱層である厚さ40μmのニッケル製基材の表面に、離型層として、PTFEとPFAとが混合されたフッ素樹脂が厚さ20μmとなるように被覆されたものを使用する。また外部加熱ベルト103の幅、すなわち軸方向の長さは、定着ローラ101の定着面における幅と同じ320mmである。
支持ローラ104a,104bは、高透磁率で高抵抗なフェライトなどの磁性粉を分散させた樹脂材料からなる中空円筒状の芯材から構成されるものが最も好ましい構成ではあるが、コスト面などを考慮すると、高透磁率でありかつ金属の中では比較的高抵抗である鉄系材料などの磁性材料からなる中空円筒状の金属製芯材を含んで構成されるものが好ましい。
上記支持ローラ104a,104bが、たとえばアルミニウムなどの非磁性材料であって低抵抗な材料から構成される場合には、この支持ローラ104a,104bは磁束遮蔽部材として振舞うようになるために、誘導コイル105と外部加熱ベルト103との電磁気的結合を阻害して外部加熱ベルト103の加熱効率を大きく低下させてしまう。
したがって、上述のように支持ローラ104a,104bが磁性材料から構成されることにより、誘導コイル105と外部加熱ベルト103との電磁気的な結合が向上して、電磁誘導加熱による外部加熱ベルト103の加熱効率を向上させることができる。また、定着ローラ101側に漏洩する磁束を抑制することができる。
また、支持ローラ104a,104bは、外部加熱ベルト103の寄り力を低減するために、金属製芯材の外周面に、フッ素樹脂などによるコーティングが施されていてもよい。
本実施形態では、支持ローラ104a,104bとして、ともに厚さ0.5mmの磁性材料である炭素鋼製芯材の表面にPTFEとPFAとが混合されたフッ素樹脂が厚さ20μmとなるように被覆されたものであって、外径15mmのものを使用する。このように、支持ローラ104a,104bの外径は、定着ローラ101の外径である50mmよりも小さくなるように構成される。これにより、支持ローラ104a,104bの熱容量を低下させることができ、外部加熱ベルト103の熱応答性を向上させることができる。
また支持ローラ104a,104bは、その外径が定着ローラ101の外径よりも小さくなるように構成されるとともに、厚さがより薄くなるように構成されることが好ましい。これにより、より一層支持ローラ104a,104bの熱容量を小さくすることができる。なお、支持ローラ104a,104bの外径が小さすぎると、支持ローラ104a,104bが屈曲しやすくなり、外部加熱ベルト103に対してストレスがかかるおそれがあるため、支持ローラ104a,104bの外径は、12mm以上に構成されることが好ましい。
なお、本実施形態では、外径の等しい支持ローラを2本使用する構成としたがこれに限定されるものではなく、たとえば、外径の異なる支持ローラ用いる構成であってもよいし、また支持ローラを3本あるいは4本用いる構成であってもよい。
ウェブクリーニング装置111は、クリーニングウェブと、送出ローラと、圧接ローラと、巻取りローラとを含む。クリーニングウェブは定着ローラ101表面に圧接してオフセットトナーを除去する。送出ローラはクリーニングウェブを送り出す。圧接ローラはクリーニングウェブを定着ローラ101表面に圧接する。巻取りローラは駆動手段(図示せず)からの駆動力を受けて回転駆動してクリーニングウェブを巻き取る。ウェブクリーニング装置111によれば、巻取りローラを回転駆動させることによって、送出ローラからウェブを送り出し、定着ローラ101表面に当接させてオフセットトナーを除去した後、定着ローラ101から離反させる。
以下に、発熱分布制御手段について図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態である定着装置100の一部の構成を簡略化して示す概略図である。図2(a)は、定着装置100の一部の構成を示す断面図であり、図2(b)は、定着装置100の一部の構成を示す上面図であり、図2(c)は、移動制御手段の構成を示す概略図である。
中空の支持ローラ104a,104bの内部には、図2(a)に示すように、磁性コア112と、磁束遮蔽部材113と、中心軸114とが一体に構成されて配置される。
磁性コア112は、たとえばフェライトなどの磁性材料から構成される略円筒形状の部材である。磁束遮蔽部材113は、たとえば銅、アルミニウム、銀、金などの低抵抗の金属から構成される板状部材であり、磁性コア112の外部加熱ベルト103の非通紙部に相当する部分、本実施形態においては軸方向両端部に貼り付けられる。磁束遮蔽部材113の大きさとしては、長さが磁性コア112の外周の約半分の長さであり、幅が、図2(b)に示すように、印字可能な最大幅を有する大幅紙の幅W1と小幅紙の幅W2との差よりも約2mm程度大きい幅のものが好ましい。本実施形態では、磁束遮蔽部材113として、厚さ0.2mmの銅板を使用する。
中心軸114は、ステンレス鋼などから構成される円柱状部材であり、磁性コア112の内部に設けられる。中心軸114の端部には、図2(c)に示すギア115に連結されたステッピングモータ(図示せず)が設けられ、このギア115およびステッピングモータにより中心軸114と一体の磁性コア112、磁束遮蔽部材113はその周方向に所定角度回転可能に構成される。ギア115およびステッピングモータは、第1の移動制御手段に相当する。
なお、上記構成では、第1の移動制御手段は、中心軸114をその周方向に回転させることにより、磁性コア112および磁束遮蔽部材113を回転移動させるが、これに限定されるものではなく、たとえば磁束遮蔽部材113のみを回転移動させる構成であってもよい。磁束遮蔽部材113のみを回転移動させる構成としては、たとえば、磁性コア112の外周と支持ローラ104a,104bとの間に、磁性コア112よりも軸方向に長い円筒状の樹脂に磁束遮蔽部材113を設け、この円筒状の樹脂のみを回転させる構成などが挙げられる。
このように、第1の移動制御手段は、磁性コア112および磁束遮蔽部材113、または磁束遮蔽部材113のみを、支持ローラ104a,104bの周方向に回転移動させることにより、電磁誘導加熱による外部加熱ベルト103の発熱分布を制御するために、支持ローラ104a,104bを軸方向に移動させるための空間を余分に設ける必要がなくなるため、装置をより小型化することができる。
支持ローラ104a,104bの芯材の内部に設けられる磁性コア112と、磁束遮蔽部材113と、中心軸114、ギア115およびステッピングモータは発熱分布制御手段に相当する。
このように、支持ローラ104a,104bに発熱分布制御手段が設けられることにより、誘導コイル105を分割したり、支持ローラ104a,104bを軸方向に移動させたりすることなく、外部加熱ベルト103の電磁誘導加熱による発熱分布を制御することができる。これにより、誘導コイル105および誘導コイル105に高周波電流を印加するための電源が簡単な構成になるとともに、安価で性能の安定した定着装置を得ることができる。
なお、上記構成においては、支持ローラ104a,104b両方ともに発熱分布制御手段が設けられるが、これに限定されるものではなく、たとえば支持ローラ104a,104bのうちいずれか一方のみに発熱分布制御手段が設けられる構成であってもよい。
図3は、支持ローラ104aにおける磁束Mの通過状態を簡略的に示す断面図であり、図3(a)は、磁束遮蔽部材113が誘導コイル105に対向する位置に移動したときの状態を示す断面図であり、図3(b)は、磁束遮蔽部材113が誘導コイル105に対向しない位置に移動したときの状態を示す断面図である。
図3(a)に示すように、第1の移動制御手段により、支持ローラ104aが周方向に所定角度回転して磁束遮蔽部材113が誘導コイル105に対向する位置に移動すると、支持ローラ104aの軸方向両端部において磁束Mが遮蔽されるために、外部加熱ベルト103の軸方向両端部における発熱量が低下する。一方、図3(b)に示すように、第1の移動制御手段により、支持ローラ104aが周方向に所定角度回転して磁束遮蔽部材113が誘導コイル105に対向しない位置に移動する場合には、磁束Mの遮蔽は行われず、外部加熱ベルト103は軸方向全領域において発熱する。
上述の発熱分布制御手段の動作は、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側の非通紙部に設けられるサーミスタ110bの温度信号に基づいて制御される。すなわち、サーミスタ110bにより温度データに基づく信号が与えられた制御回路は、信号による情報があらかじめ入力された所定温度よりも10℃以上高い場合には、磁束遮蔽部材113を誘導コイル105に対向する位置に移動させる。そして所定温度との温度差が10℃未満となると、磁束遮蔽部材113を元の位置、すなわち誘導コイル105に対向しない位置に移動させる。これにより、小幅紙の連続通紙時においても、外部加熱ベルト103の非通紙部における温度上昇を抑制することができる。
このように、本発明の定着装置100は、外部加熱ベルト103における記録紙Pが通紙されない部分である非通紙部の大きさに応じて、誘導コイル105の電磁誘導加熱による外部加熱ベルト103の発熱分布を変化させる発熱分布制御手段が備えられることにより、印字可能な最大幅を有する大幅紙よりも小さい幅を有する小幅紙の連続通紙時に、外部加熱ベルト103の非通紙部の温度が高くなり過ぎることを防止できる。これにより、小幅紙の連続通紙時に、外部加熱ベルト103の非通紙部における温度上昇を抑制するために、紙の通紙枚数を抑制する必要がなくなり、高いスループットを確保することができる。また、小幅紙の連続通紙後に、続けて印字可能な最大幅の記録紙を用いて画像形成を行う場合においても、定着ローラ101の温度ムラに起因する定着画像の光沢ムラなどの画像劣化を防止して高品位な画像を得ることができる。
また上述のように、制御回路は、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側における非通紙部に設けられるサーミスタ110bからの温度信号に基づいて発熱分布制御手段の動作を制御する。これにより、上述の発熱分布制御手段により得られる効果をより一層確実に得ることができる。
次いで、外部加熱ベルト103を定着ローラ101に圧接させるための機構である外部加熱ベルトユニット116の構成について、図4および図5を用いて詳細に説明する。図4および図5は、外部加熱ベルトユニット116の構成を示す概略図である。図4(a)は、支持ローラ104a,104bが定着ローラ101を圧接する位置にあるときの状態を示す正面図であり、図4(b)は、支持ローラ104a,104bが定着ローラ101から離間する位置にあるときの状態を示す正面図である。また図5(a)は、外部加熱ベルトユニット116の構成を示す上面図であり、図5(b)は、支持ローラ104bと寄り規制部材122bとの関係を示す概略図である。
外部加熱ベルトユニット116は、図4および図5に示すように、サイドフレーム117、軸受118a,118b、アーム119、コイルバネ120,偏芯カム121および寄り規制部材122a,122bを含んで構成される。
サイドフレーム117は、たとえば鋼板などから構成される板状部材であり、支持ローラ104a,104bの一端部をそれぞれ回転自在に支持するための軸受118a,118bを備える。
軸受118a,118bは、たとえばPPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂などのプラスチックから構成される部材であり、サイドフレーム117に所定の軸間距離d、本実施形態では40mmを隔てて支持ローラ104a,104bが平行になるように固定される。これにより、支持ローラ104a,104b間の平行度が確保される。本実施形態においては、支持ローラ104a,104bにおける平行度交差は100μm以下であることが好ましい。
また、誘導コイル105も軸受け118a、118bに固定され、外部加熱ベルト103および支持ローラ104a,104bと一体に構成されてアーム119に対して回転可能に支持される。
なお、図5には支持ローラ104a,104bの一端部側の構成のみを示すが、他方の一端部も同様に構成される。
サイドフレーム117は、その上部の中央部に設けられる支点Aを中心に回転自在にアーム119に軸支される。アーム119は、たとえば鋼板などから構成される板状部材であり、アーム119の中央部に設けられる支点Bを中心に回転自在に構成される。また、アーム119の支点Aまたは支点Aの近傍にはコイルバネ120が取り付けられる。このコイルバネ120によってアーム119に荷重が付与されることで、アーム119に取り付けられたサイドフレーム117が定着ローラ101の方向に付勢される。これにより、図4(a)に示すように、サイドフレーム117の軸受118a,118bによって軸支される支持ローラ104a,104bが、等しい荷重で外部加熱ベルト103を介して定着ローラ101に圧接される。以下、このときの支持ローラ104a,104bの位置を第1位置と記す。
アーム119の支点Aとは反対側の一端部付近であって、アーム119の上方には偏芯カム121が設けられる。偏芯カム121は、その中心が回転軸からずれた位置にくるように構成され、この偏芯カム121を回転させることによって、偏芯カム121の周面部を、アーム119に対してサイドフレーム117の付勢方向に当接または離間させる。
すなわち、図4(a)に示すように支持ローラ104a,104bが第1位置にある場合には、偏芯カム121周面部の短径部がアーム119に対して対向する位置にくるため、偏芯カム121とアーム119とは離間した状態にある。この状態に対して偏芯カム121を180°回転させると、図4(b)に示すように、偏芯カム121周面部の長径部がアーム119に対して対向する位置にくるため、偏芯カム121はアーム119に当接する状態となる。これにより、アーム119の支点Aとは反対側の一端部付近が偏芯カム121によって押さえつけられるため、コイルバネ120が伸張するとともにアーム119の支点Aまたは支点A近傍の部分が定着ローラ101から遠ざかり、これにより支持ローラ104a,104bが定着ローラ101から離間する。以下、このときの支持ローラ104a,104bの位置を第2位置と記す。このようにして支持ローラ104a,104bは偏芯カム121の回転動作により定着ローラ101に対して当接または離間することができ、これにより以下に述べる効果を得ることができる。
たとえば、図4(a)に示すように、支持ローラ104a,104bが第1位置にある場合において、定着ローラ101の表面温度を190℃、外部加熱ベルト103の表面温度を220℃となるように制御し、さらに定着速度を355mm/secとなるように制御したとき、外部加熱ベルト103は、定着ローラ101の回転に従動して回転する。
一方、図4(b)に示すように、支持ローラ104a,104bが第2位置にある場合において、上述と同様に定着ローラ101および外部加熱ベルト103の表面温度、ならびに定着温度を制御したときには、外部加熱ベルト103と定着ローラ101とは接触してはいるもののその接触圧が小さいため、定着ローラ101の回転により外部加熱ベルト103と定着ローラ101との間に生じる摩擦力が充分ではなく、定着ローラ101の回転に外部加熱ベルト103は従動しない。したがって、支持ローラ104a,104bが第2位置にある場合においては、外部加熱ベルト103の熱は定着ローラ101に供給されない。
定着装置100において、記録紙Pの連続通紙時には記録紙Pに奪われる熱量を補うために、支持ローラ104a,104bが第1位置にくるように調整して、外部加熱ベルト103と定着ローラ101との接触面積を大きくすることが好ましい。一方、画像形成動作開始直後には、定着ローラ101は周方向の温度分布を均一にするために回転されるが、定着ニップ部N1に記録紙Pが通紙されないために、定着ローラ101から熱は奪われない。このような状態において、支持ローラ104a,104bが第1位置にあると、外部加熱ベルト103からの熱供給が過剰になるため定着ローラ101の温度が設定温度よりも高くなってしまうおそれがある。このような状況を回避するために、支持ローラ104a,104bが第2位置にくるように調整して、短時間で外部加熱ベルト103からの定着ローラ101への熱供給量を少なくすることが好ましい。また、画像形成動作終了時においても、画像形成動作を行わない放置時の定着ローラ101において、周方向の温度ムラが生じることを防止するために、支持ローラ104a,104bは第2位置にくるように調整されることが好ましい。
上述したように、本発明の定着装置100において画像形成動作終了後には、支持ローラ104a,104bを第2位置にくるように調整しておき、画像形成動作開始後に、記録紙Pが定着ニップ部N1に通紙されるタイミングに応じて支持ローラ104a,104bを第1位置にくるように調整することが好ましい。
なお、定着ローラ101表面の温度低下の程度および外部加熱ベルト103が従動するか否かは、外部加熱ベルト103と定着ローラ101との接触幅および圧接力、ならびに外部加熱ベルト103の回転しやすさなどによって変化する。これらは接触部分における表面材質、温度および周速度、外部加熱ベルト103の周長と支持ローラ104a,104bの軸間距離との関係、支点Aの位置、ならびに外部加熱ベルト103の巻き癖などに依存するため、外部加熱ベルトユニット116が組み立てる際に、支持ローラ104a,104bと定着ローラ101との離間の程度を適当に調整しながら組み立てることが好ましい。
このようにして構成された外部加熱ベルトユニット116によれば、支持ローラ104a,104bの位置が固定されたサイドフレーム117を移動させるため、支持ローラ104a,104bおよび外部加熱ベルト103が一体化した状態で、定着ローラ101に対して素早く当接または離間させることができる。
支持ローラ104a,104bの両端部付近には、外部加熱ベルト103の蛇行を防止するための寄り規制部材122a,122bが設けられる。寄り規制部材122a,122bは、たとえばPPS樹脂などのプラスチックから構成されるリング状の部材であって、支持ローラ104a,104bの半径方向外方に凸となるように、軸受118a,118bと外部加熱ベルト103との間に設けられる。また寄り規制部材122a,122bは支持ローラ104a,104bの回転方向に対して回転可能に構成され、さらに支持ローラ104a,104bの軸方向に対しても移動可能に構成される。寄り規制部材122a,122bの外部加熱ベルト103に臨む面部は、外部加熱ベルト103の幅方向端部付近の面部に対向して接しており外部加熱ベルト103に従動して回転する。これにより、外部加熱ベルト103が蛇行した際に外部加熱ベルト103の支持ローラ104a,104bの軸線方向の寄りを規制すると同時に、外部加熱ベルト103の幅方向端部の摺動による磨耗やわれを防止できる。
なお、本実施形態では、記録材として記録紙Pを用いたがこれに限定されるものではなく、定着ローラ101と加圧ローラ102との定着ニップ部N1に搬送可能な記録材であればよい。
また本実施形態では、小幅紙の非通紙部を定着ローラ101の軸方向両端部に相当する部分としたがこれに限定されるものではなく、たとえば記録紙Pの端部を定着ローラ101の軸方向一端部に合わせて通紙する場合には、定着ローラ101のもう一方の軸方向一端部に相当する部分が非通紙部となる。この場合、磁束遮蔽部材113は、磁性コア112の定着ローラ101のもう一方の軸方向一端部に相当する部分のみに設けられればよい。また、磁束遮蔽部材113の移動制御は本実施形態で用いた方法と同様にして行うことができる。
また本実施形態では、定着ローラ101のみに、外部加熱ベルト103、支持ローラ104a,104b、誘導コイル105およびサーミスタ110a,110bから構成される外部加熱手段が設けられるようにしたが、これに限定されるものではなく、定着ローラ101および加圧ローラ102ともに外部加熱手段が設けられる構成であってもよい。これにより、連続通紙時および待機時において、定着ローラ101表面および加圧ローラ102表面の温度を精度よく調整することができる。したがって、より高品位な画像を安定して形成できると同時に、より高いスループットを継続して得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における定着装置200ついて説明する。図6は、本発明の第2の実施形態である定着装置200の一部の構成を拡大して示す概略図であり、図6(a)は、定着装置200の一部を示す断面図であり、図6(b)は、定着装置200の一部を示す上面図である。定着装置200において、第1の実施形態における定着装置100と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
本発明の第2の実施形態である定着装置200において、本発明の第1の実施形態である定着装置100と異なるのは、図6に示すように、中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204を設けた部分である。中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204は、磁性部材に相当する。
中心コア201は、誘導コイル105の最内周部の内側、すなわち誘導コイル105の周回方向中心部に配設される直方体状部材である。平板コア202は、誘導コイル105に対して外部加熱ベルト103の反対側に、外部加熱ベルト103に対向しないように配設される板状部材である。端部コア203は、誘導コイル105の短手方向両端部を挟むようにして誘導コイル105の周回方向外側に配設される2つの直方体状部材である。
内側コア204は、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側に、内周面に沿うようにして設けられる板状部材である。
中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204は、外部加熱ベルト103の軸方向に連続して伸びるようにして構成される。
また上述のように各コアが設けられることにより、中心コア201、平板コア202、端部コア203、内側コア204および支持ローラ104a,104bは、磁束Mによる磁路を形成する。
これらのコアを構成する材料としては、たとえばフェライト、ケイ素鋼などの高透磁率で高抵抗の材料が用いられることが最も好ましい。ただし高透磁率でなくとも磁性材料であれば使用することは可能である。本実施形態において、中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204は全て高透磁率材料であるフェライトから構成されており、平板コア202および内側コア204は厚さ4mmの板状部材であり、中心コア201および端部コア203は縦4mm×横6mm×高さ320mmの直方体部材である。
誘導コイル105、中心コア201、平板コア202および端部コア203は、板状部材であるコイル保持部材205に接着されることにより上述の位置関係を保っている。コイル保持部材205を構成する材料としては、たとえばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂などの耐熱性に優れる樹脂が用いられることが好ましい。本実施形態において、コイル保持部材205は、PPS樹脂から構成される厚さ2mmの板状部材である。内側コア204は、両端に設けられる軸受118a,118bに固定されて支持される。
なお、本実施形態では、中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204は、それぞれ外部加熱ベルト103の軸方向に連続して伸びるように構成されるがこれに限定されるものではなく、たとえば外部加熱ベルト103の軸方向に複数に分割されて隙間を有する形状であってもよい。
また本実施形態では、中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204が全て設けられるがこれに限定されるものではなく、少なくともこれらのコアのうちいずれか1つを用いる構成であってもよい。設けるコアの種類および数は、必要となる電力とコストとを考慮して設定すればよい。
このように、定着装置200は、少なくとも外部加熱ベルト103に対向しない位置、誘導コイル105の周回方向中心部、誘導コイル105の周回方向外側のうちいずれか一箇所に磁性材料から構成される磁性部材を備える。このように誘導コイル105の周辺に磁性部材を設けることにより、誘導コイル105と外部加熱ベルト103との電磁気的な結合が向上して、電磁誘導加熱による加熱効率を向上させることができる。また、外部加熱ベルト103に対向しない方向へ漏洩する磁束を抑制することもできる。
また定着装置200は、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側に、磁性材料から構成される磁性部材を備えることが好ましい。これにより、誘導コイル105と外部加熱ベルト103との電磁気的な結合が向上して、電磁誘導加熱による加熱効率を向上させることができる。また、定着ローラ101側へ漏洩する磁束を抑制することもできる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態における定着装置300ついて説明する。図7は、本発明の第3の実施形態である定着装置300の一部の構成を簡略化して示す概略図である。図7(a)は、定着装置300の一部の構成を示す断面図であり、図7(b)は、定着装置300の一部の構成を示す上面図であり、図7(c)は、移動制御手段の構成を示す概略図である。定着装置300において、第1の実施形態における定着装置100および第2の実施形態における定着装置200と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。
本発明の第3の実施形態である定着装置300において、本発明の第1の実施形態である定着装置100および第2の実施形態である定着装置200と異なるのは、発熱分布制御手段の構成である。
定着装置300において、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側に、内周面に沿うようにして設けられる内側コア204には、図7(a)に示すように、磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dおよびホルダ302a,302bが設けられる。
磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dは、たとえば銅、アルミニウム、銀、金などの低抵抗の金属から構成される板状部材であり、板状部材であるホルダ302a,302bの外部加熱ベルト103に対向する面であって、外部加熱ベルト103の非通紙部に相当する部分、本実施形態においては軸方向両端部に貼り付けられる。磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dの外部加熱ベルト103の軸方向の幅としては、図7(b)に示すように、印字可能な最大幅を有する大幅紙の幅W1と小幅紙の幅W2との差よりも約2mm程度大きい幅のものが好ましい。本実施形態では、磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dとして、厚さ0.2mmの銅板を使用する。
ホルダ302a,302bは、PPS樹脂などの絶縁体であって耐熱性を有する材料から構成される板状部材であり、内側コア204の外部加熱ベルト103に対向する面に設けられる。ホルダ302a,302bは、以下に述べる第2の移動制御手段により、外部加熱ベルト103の周方向に移動可能に構成される。
ホルダ302a,302bは、図7(c)に示すように、調整カム303に付勢バネ(板バネ)304により両側から当接されている。調整カム303は、断面形状が楕円形であり、その内部には、ステンレス鋼などから構成される円柱状部材である中心軸304が設けられる。中心軸304の端部には、ギア(図示せず)に連結されたステッピングモータ(図示せず)が設けられ、このギアおよびステッピングモータにより調整カム303はその周方向に所定角度回転可能に構成される。調整カム303が回転して調整カム303の長軸が水平状態になると、磁束遮蔽部材301a,301cと磁束遮蔽部材301b,301cとの間隔が広くなり、磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dが誘導コイル105の周回方向中心部に設けられる中心コア201に対向しない位置に移動する。一方、調整カム303の短軸が水平状態になると、磁束遮蔽部材301a,301cと磁束遮蔽部材301b,301cとの間隔が狭くなり、磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dが中心コア201に対向する位置に移動する。調整カム303、付勢バネ(板バネ)304、ギアおよびステッピングモータは、第2の移動制御手段に相当する。
このように、第2の移動制御手段は、磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dを、外部加熱ベルト103の周方向に移動させることにより、電磁誘導加熱による外部加熱ベルト103の発熱分布を制御するために、支持ローラ104a,104bを軸方向に移動させるための空間を余分に設ける必要がなくなるため、装置をより小型化することができる。
磁束遮蔽部材301a,301b,301c,301dと、ホルダ302a,302bと、第2の移動制御手段である調整カム303、付勢バネ(板バネ)304、ギアおよびステッピングモータとは、発熱分布制御手段に相当する。
このように、誘導コイル105に対向する部分の外部加熱ベルト103の内周面側に設けられる内側コア204の非通紙部に相当する部分に発熱分布制御手段が設けられることにより、誘導コイル105を分割したり、支持ローラ104a,104bを軸方向に移動させたりすることなく、外部加熱ベルト103の電磁誘導加熱による発熱分布を制御することができる。これにより、誘導コイル105および誘導コイル105に高周波電流を印加するための電源が簡単な構成になるとともに、安価で性能の安定した定着装置を得ることができる。
図8は、支持ローラ104aにおける磁束Mの通過状態を簡略的に示す断面図であり、図8(a)は、磁束遮蔽部材301a,301bが中心コア201に対向する位置に移動したときの状態を示す断面図であり、図8(b)は、磁束遮蔽部材301a,301bが中心コア201に対向しない位置に移動したときの状態を示す断面図である。
定着装置300では、中心コア201、平板コア202、端部コア203および内側コア204は、磁束Mによる磁路を形成している。
図8(a)に示すように、第2の移動制御手段により、調整カム303が周方向に所定角度回転して磁束遮蔽部材301a,301cが中心コア201に対向する位置に移動すると、支持ローラ104aの軸方向両端部において磁束Mが遮蔽されるために、外部加熱ベルト103の軸方向両端部における発熱量が低下する。一方、図8(b)に示すように、第2の移動制御手段により、調整カム303が周方向に所定角度回転して磁束遮蔽部材301a,301cが中心コア201に対向しない位置に移動する場合には、磁束Mの遮蔽は行われず、外部加熱ベルト103は軸方向全領域において発熱する。
上述の発熱分布制御手段の動作は、ユーザによりプリンタドライバから入力された用紙指定情報またはユーザにより複写機において入力された用紙指定情報に基づいて制御されるか、または実施例1と同様に、サーミスタ110bからの温度信号に基づいて制御される。
これにより、小幅紙の連続通紙時においても、外部加熱ベルト103の非通紙部における温度上昇を抑制することができる。
このように、本発明の定着装置100,200,300は、互いに圧接される定着ローラ101と加圧ローラ102とから構成される1対の定着部材の圧接部に、トナー像Tを担持する記録紙Pを通紙させることにより記録紙にトナー像を定着する定着装置であって、電磁誘導加熱により発熱する誘導加熱層を有し、定着ローラ101の表面を外部から加熱する外部加熱ベルト103と、外部加熱ベルト103を回転可能に張架し、定着ローラ101よりも外径の小さい支持ローラ104a,104bと、支持ローラ104a,104b間に張架された領域における外部加熱ベルト103の外周面に沿って外側から対向して、外部加熱ベルト103を電磁誘導加熱する誘導コイル105とを備える。これにより、安価で簡便に作製でき、小型化および外部加熱ベルトの熱応答性に優れ、充分な発熱量を得ることのできる定着装置を提供することができる。
なお、外部加熱ベルト103の昇温目標温度の決定方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば気温検知信号と紙の秤量による判定信号との両方に基づいて決定される。たとえば、気温が18℃以下であって、紙の坪量が90g/cm2を超える場合には、外部加熱ベルト103の昇温目標温度を225℃とし、気温が18℃を超える、または紙の坪量が90g/cm2以下の場合には、外部加熱ベルト103の昇温目標温度を215℃とする。
[画像形成装置]
図9は、本発明の定着装置100を備える画像形成装置1の構成の一例を示す概略図である。以下、画像形成装置1が備える定着装置について、本発明の第1の実施形態である定着装置100を代表例として示すが、第2の実施形態である定着装置200または第3の実施形態である定着装置300を、定着装置100に代えて使用することもできる。
画像形成装置1は、たとえば乾式電子写真方式のカラー画像形成装置であり、たとえばネットワーク上の各端末装置から送信される画像データに基づいて、所定の記録紙Pに対して多色または単色の画像を形成する。
画像形成装置1は、定着装置100、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10B(以下、総称して「可視像形成ユニット10」と記すことがある)、供給トレイ20および記録紙搬送手段30を備える。
画像形成装置1には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応して、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが並設されている。可視像形成ユニット10Yは、イエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Mは、マゼンダ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Cは、シアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Bは、ブラック(K)のトナーを用いて画像形成を行う。具体的な配置としては、記録紙Pの供給トレイ20と定着装置100とを繋ぐ記録紙Pの搬送路に沿って4組の可視像形成ユニット10を配設した、いわゆるタンデム式である。
可視像形成ユニット10は、扱うトナーの色が異なるだけで、それぞれ実質的に同一の構成を有し、それぞれに、感光体ドラム11の周囲に帯電ローラ12、レーザ光照射手段13、現像器14、転写ローラ15およびクリーナユニット16が設けられている。なお、可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bの現像器14には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーがそれぞれ収容されている。
感光体ドラム11は、形成されるトナー像を担持する。帯電ローラ12は、感光体ドラム11の表面を所定の電位に均一に帯電させる。レーザ光照射手段13は、画像形成装置1に入力された画像データに応じて、帯電ローラ12によって帯電された感光体ドラム11の表面を露光して、該感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。現像器14は、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像を、各色のトナーによって顕像化する。転写ローラ15は、トナーとは逆極性のバイアス電圧が印加されており、後述する記録紙搬送手段30によって搬送された記録紙Pに、形成されたトナー像を転写させる。クリーナユニット16は、現像器14での現像処理および感光体ドラム11に形成されたトナー像の転写後に、感光体ドラム11の表面に残留したトナーを、除去回収する。以上のような、記録紙Pに対するトナー像の転写は、4色について4回繰り返される。
可視像形成ユニット10は、以下のようにしてトナー像を記録紙P上に形成する。すなわち、感光体ドラム11表面を帯電ローラ12で均一に帯電した後、入力された画像データに応じてレーザ光照射手段13により感光体ドラム11表面を露光して静電潜像を形成する。その後、現像器14により感光体ドラム11表面の静電潜像を現像してトナー像を顕像化し、顕像化されたトナー像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ15によって、供給トレイ20から記録紙搬送手段30により搬送される記録紙Pに各色のトナー像を順次多重転写する。
供給トレイ20は、複数の記録紙Pを載置可能であり、供給トレイ20に載置された複数の記録紙Pを1枚ずつ分離して、最も供給トレイ20側の可視像形成ユニット10Yに供給する。
記録紙搬送手段30は、駆動ローラ31、アイドリングローラ32および搬送ベルト33を備え、記録紙Pに可視像形成ユニット10で形成されたトナー像が転写されるように、供給トレイ20から供給される記録紙Pを搬送する。駆動ローラ31およびアイドリングローラ32は、無端状の搬送ベルト33を架張する。駆動ローラ31は、駆動手段(図示せず)によって制御されて回転することによって、搬送ベルト33を所定の周速度、本実施形態では、335mm/sで搬送路に沿って回転させる。搬送ベルト33は、外側表面に静電気を発生させており、記録紙Pを静電吸着させながら搬送する。
記録紙Pは、このようにして、搬送ベルト33に搬送路に沿って搬送されながら、その表面にトナー像が転写されたあと、駆動ローラ31の曲率により搬送ベルト33から剥離され、定着装置100に搬送される。定着装置100は、記録紙Pに適度な熱と圧力とを与えて、トナーを溶融して記録紙P表面に固定することで、フルカラー画像を形成する。
このように、本発明の画像形成装置1は、本発明の定着装置100を備えることにより、定着性に優れ、安定した高品位な画像を形成することができる。
なお、本実施形態の画像形成装置は、記録紙Pを搬送してトナー像を転写する手段として搬送ベルト33を用いる構成としたが特にこれに限定されるものではなく、たとえば中間転写ベルトを用いる構成であってもよいし、感光体ドラム11から直接記録紙Pにトナー像を転写する構成であってもよい。
また本実施形態の画像形成装置は、弾性層を備える定着ローラ101を用いたカラー画像形成装置であるが、特にこれに限定されるものではなく、たとえば芯金上に直接離型層が形成されたハードローラを定着ローラ101として用いる単色画像形成装置であってもよい。