JP2009092105A - 車両用ホイール、車両用ホイールの製造方法、および車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法 - Google Patents
車両用ホイール、車両用ホイールの製造方法、および車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】加工誤差やエアバルブの装着などにより生ずるホイール重量バランスの偏りが調整された車両用ホイール、該車両用ホイールの製造方法、および車両用ホイールの調整方法を提案する。
【解決手段】スポーク部5の肉抜き凹部8に複数の結合調整穴20を形成し、ホイール重心位置Pをホイール中心と一致するように、結合調整穴20と所定重量の調整用錘体25とを選定し、該調整用錘体25を結合調整穴20に螺合することにより、ホイール重量バランスが調整された車両用ホイール1を得る。この車両用ホイール1は、ホイール重量バランスを均斉化した状態で比較的長期に維持され、所望の操安性や静粛性などを適正に発揮することができ得る。
【選択図】図1
【解決手段】スポーク部5の肉抜き凹部8に複数の結合調整穴20を形成し、ホイール重心位置Pをホイール中心と一致するように、結合調整穴20と所定重量の調整用錘体25とを選定し、該調整用錘体25を結合調整穴20に螺合することにより、ホイール重量バランスが調整された車両用ホイール1を得る。この車両用ホイール1は、ホイール重量バランスを均斉化した状態で比較的長期に維持され、所望の操安性や静粛性などを適正に発揮することができ得る。
【選択図】図1
Description
本発明は、車軸に連結するハブ取付部とスポーク部とを備えたディスク部と、タイヤを取り付けるリム部とからなる車両用ホイール、該車両用ホイールの製造方法、および車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法に関するものである。
自動車やオートバイなどの車両で用いられる車両用ホイールにあっては、そのホイール重心位置がホイール中心と一致している場合、該ホイール中心を通る回転軸線に対して周方向に安定して回転する。ところが、ホイール重心位置がホイール中心(回転軸線)から偏位している(すなわち、ホイール重量バランスに偏りが生じている)と、回転によって振動が発生するという問題がある。そして、ホイール重量バランスに偏りが存在したままで車両に取り付けられた場合、車両重量が付加されることにより、車両走行中の回転による振動が増幅されてしまう。これは、操安性や静粛性などを低減する一因となり得る。
ところで、車両用ホイールは、スチール製の板状基材をプレス加工して成形するものや、アルミニウム合金を鋳造成形してなるものが主流である。例えば、板状基材をプレス加工して成形するものでは、該板状基材の板厚誤差や製造時における加工精度の誤差等によって、ホイール重心位置がホイール中心から偏位してホイール重量バランスに偏りが生じてしまう。同様に、鋳造成形してなるものでも、加工精度の誤差などの影響によりホイール重量バランスに偏りが生じてしまう。このような製造工程で発生する加工誤差などを低減することには限界があり、ホイール重心位置をホイール中心と精度良く一致する車両用ホイールを製造することは極めて難しい。
このようなホイール重量バランスの偏りを是正する手段として、例えば、車両用ホイールのホイール重量バランスを所定の測定装置によって測定し、その測定結果に従って所定重量のバランスウエイトを当該車両用ホイールに接合するようにしている。ここで、バランスウエイトとしては、所定の粘着テープによって貼り付ける板状のものや、リムフランジ部などに打ち込んで固定するクリップタイプのものがよく知られている。また、例えば特許文献1のように、ホイール中心から偏心した所定位置を加工中心としてリム部の内周面を切削加工することにより、ホイール重量バランスを調整するようにしている手段も提案されている。
一方、車両の走行性能、安全性、耐久性、燃費等の各性能を所望のレベルに維持するためには、タイヤの空気圧(以下、タイヤ空気圧)が適正な圧力に保持されている必要がある。そのため、近年、タイヤ空気圧を監視するための空気圧監視装置を配設することへの要求が高まっている。この空気圧監視装置にあっては、タイヤ空気圧を検知するセンサと該検知したデータを信号として発信する発信器とを設けた空気圧検出装置と、該空気圧検出装置から発信されたデータ信号を受信して所定処理を実行する処理装置とを備えた構成が良く知られている。ここで、空気圧検出装置として、例えば、エアバルブと一体型の構成を成し、該エアバルブが車両用ホイールのリム部に形成されたバルブ孔に装着された状態で、該リム部の外周面に着座するように配されて、直接的にタイヤ空気圧を検出するものがある。
このようなエアバルブと空気圧検出装置とを車両用ホイールに装着した場合、該エアバルブと空気圧検出装置との各重量によって、バルブ孔付近が局部的に重量増加するため、ホイール重心位置が該バルブ孔方向へ偏位してホイール重量バランスに比較的大きな偏りを生じてしまう。バルブ孔付近が局部的に重量増加することに伴うホイール重量バランスの偏りを是正するために、例えば、上述したバランスウエイトを、バルブ孔と対向する位置に接合するようにした手段が実施されている。
特開2002−166702号公報
製品の寸法誤差や加工誤差又は空気圧検出装置の装着に伴うホイール重量バランスの偏りを是正するための手段として、上述した板状バランスウエイトを貼り付ける手段や、クリップタイプのバランスウエイトを取り付ける手段にあっては、作業者の手作業によってこれらバランスウエイトを取り付ける作業を実施する。そのため、この取り付け作業は作業者の技能による影響が大きく、これらバランスウエイトの取り付け位置の正確性や安定性に欠けるという問題がある。そして、ホイール重量バランスの偏りを是正する効果にも限界がある。また、クリップタイプのバランスウエイトは、通常、ホイール表側に取り付けるため、見栄えがよくなく、ホイールの意匠性を損なうという懸念もある。一方、板状バランスウェイトとしては、鉛製のものがこれまで使用されてきたが、近年の環境対応に基づき鉛製品の使用を制限する傾向にあることから、鉄製のもので代用するようになってきている。しかし、鉄は鉛よりも弾性限界が高いことから、鉄製のバランスウエイトをホイール表面形状に倣うように変形して貼り付けても、該変形前の状態に回復しようとするために剥がれ易く、当該バランスウエイトが脱落し易いという問題も生じている。
また、上述した特許文献1にかかる、ホイール中心(回転軸線)から偏心した所定の加工中心に従ってリム部の内周面を切削加工するようにした手段にあっては、ホイール重量バランスの測定を行った後に、所定の切削加工装置に車両用ホイールをセットしなければならない。そして、ホイール重量バランスの偏りは、上述したように加工精度の誤差によって生じることから車両用ホイール個別に異なって生じる場合もあり、そのような場合には切削加工の加工中心をそれぞれ設定せねばならない。そのため、このように切削加工を実施するための作業が繁雑化してしまう。また、切削加工の加工中心を設定する際に、設定誤差(加工誤差)を生じることもあるため、ホイール重量バランスの偏りを是正する効果に限界がある。
尚、この特許文献1にかかる手段を用いて、タイヤ空気圧の空気圧検出装置と一体型のエアバルブを取り付けた場合に生ずるホイール重量バランスの偏りを是正することもできる。すなわち、回転軸線からバルブ孔方向に偏心した位置を加工中心として、リム内径寸法によってバルブ孔近傍の内面を切削して、該バルブ孔近傍を薄肉化して軽量化することにより、エアバルブと空気圧検出装置とによる局部的な重量増加を相殺する。しかしながら、この場合にあっても、ホイール内周面を切削加工する加工中心を設定する際に生じ得る設定誤差のために、上記したようにホイール重量バランスの是正する効果に限界がある。
本発明は、上記した問題点を生じず、加工誤差や空気圧検出装置の装着などにより生じるホイール重量バランスの偏りが是正された車両用ホイール、該車両用ホイールの製造方法、および車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法を提案する。
本発明は、車軸に固定されるハブ取付部と該ハブ取付部の外周端から放射状に設けられた複数のスポーク部とを具備するディスク部と、タイヤを装着するリム部とを備えた車両用ホイールにおいて、前記スポーク部の裏側から表方へ窪む肉抜き凹部と、該肉抜き凹部に設けられた複数の結合調整穴とを備えると共に、結合調整孔に螺合されるタッピング式の雄ネジ部と該雄ネジ部を突成した所定重量の重錘体部とからなる調整用錘体を備えてなり、いずれかの結合調整穴に、所定重量の重錘体部からなる調整用錘体が螺合されて保持されることにより、ホイール重量バランスが調整されてなるものであることを特徴とする車両用ホイールである。
ここで、ホイール重量バランスが調整された構成としては、ホイール単体でホイール重心位置がホイール中心と一致している構成、エアバルブ等を取り付けた状態でホイール重心位置がホイール中心と一致するようにした構成、タイヤを組み付けた状態でホイール重心位置がホイール中心と一致するようにした構成等のいずれの構成とすることもできる。尚、ホイール中心は、当該車両用ホイールの回動軸線と直交する平面方向の中心であり、該回動軸線と等しい。
かかる構成にあっては、いずれかの結合調整穴に、所定重量の重錘体部を備える調整用錘体を螺合することによって、当該結合調整穴の位置を重量増加させ、この重量増加により、材料の寸法誤差や加工精度の誤差などにより生じるホイール重量バランスの偏りを精度良く是正するようにしたものである。本構成では、ホイール重量バランスの偏りを是正するために、上述した従来のリム内周面を切削加工する手段のように、該切削加工による加工誤差を生じることがない。また、予め設けられた結合調整穴に調整用錘体が螺合されているため、板状バランスウエイトを貼り付けた従来構成に比して脱落し難くなる。このように、本発明の構成は、ホイール製造にかかる誤差から生じるホイール重量バランスを精度良く是正することができると共に、車両に取り付けた後に調整用錘体が脱落することを防ぎ得る。そのため、ホイール重量バランスを均斉化した状態で比較的長期に保持でき、所望の操安性や静粛性などを適正に発揮することができ得る。
本構成にあって、所定重量の調整用錘体が螺合される結合調整穴は、一つであっても複数であっても良い。また、調整用錘体は、螺合される結合調整穴に応じて、適正な重量の重錘体部を有するものが用いられる。例えば、異なる重量の重錘体部を有する調整用錘体を準備して、適正な重量のものを選択して螺合されたものとすることができる。そして、調整用錘体が螺合される結合調整穴と、該結合調整穴に螺合される所定重量の調整用錘体とを、ホイール重量バランスの偏りを是正できるように定めることとなっている。すなわち、重量増加する位置と当該位置で増加する重量とを正確かつ安定して定めることによって、本発明の車両用ホイールは、ホイール重量バランスが高精度で均斉化された構成となり得る。尚、車両用ホイール毎に、調整用錘体が螺合された結合調整穴や、該結合調整穴に螺合された調整用錘体の重量が異なることともなり得る。
本構成にあって、調整用錘体は、重錘体部から突成するタッピング式の雄ネジ部を備えてなるものであり、該雄ネジ部が結合調整穴に切り込みながら螺合される。そのため、調整用錘体と結合調整穴との結合力が高く、螺合されている状態で保持する作用に優れる。これにより、本構成の車両用ホイールを車両に取り付けて使用した場合にあって、調整用錘体が脱落することを比較的長期に渡って防ぐことができ得る。尚ここで、調整用錘体の重錘体部としては、雄ネジ部を回動操作することができるようにした構成が好適である。これにより、雄ネジ部を結合調整穴に比較的容易かつ安定して螺合させることができ得る。
また、本構成にあっては、スポーク部の肉抜き凹部に結合調整穴を設けた構成であるため、該結合調整穴に保持した調整用錘体が、ホイール意匠面側から視認され難く、ホイールの意匠性を適正に保つことができる。特に、調整用錘体の重錘体部を肉抜き凹部内に保持するようにすれば、ホイール意匠面側から視認することができないため、ホイールの意匠性を全く損なうことがない。ここで、スポーク部の肉抜き凹部は、車両用ホイールとしての強度や耐久性に影響が少ないスポーク部を表裏方法に薄肉化して軽量化するために形成されている。そのため、この肉抜き凹部に結合調整穴を形成しても、車両用ホイールの強度や耐久性を損なうことがなく、車両用ホイールとしての所望の性能を充分に発揮できる。また、調整用錘体を肉抜き凹部内に配設されるようにすることにより、比較的大径のブレーキディスクや大型のブレーキパッドを備えた車両に取り付ける場合にあっても、これらに調整用錘体が接触することもないという利点も有する。
尚、肉抜き凹部に設けられた結合調整穴は、スポークの表面側に貫通しないように形成し、かつ該結合調整穴に螺合した調整用錘体もスポークの表面側に貫通しないようにする構成が好適である。これにより、車両用ホイールの意匠性が適正に保たれる。
上述した車両用ホイールにあって、調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなる構成が提案される。
ここで、ICチップに記憶される管理用データとして、材料、製造条件、製造工場、製造日時などの様々な製造にかかる情報を確認可能なロットナンバーや、製品の出荷に関する情報などをデータとして適宜用いることができる。さらには、本発明にかかるホイール重量バランスを示すデータを、管理用データの一つとして用いても良い。
このようなICチップを担持した重錘体部を有する調整用錘体を用いることにより、車両に取り付けられて使用した後にも、このICチップ内の管理用データを確認することで、車両用ホイールを明確かつ容易に識別できる。また、製品として在庫管理や出荷管理などにも用いることができ、製品管理を容易かつ正確に実施することが可能である。尚、重錘体部としては、ICチップを内臓するようにした構成が好適である。これは、ICチップを保護して、管理用データが損傷してしまうことを防ぐ作用に優れるためである。この場合には、重錘体部の大きさを、ICチップを内臓できるサイズに定まる。
上述した車両用ホイールにあって、結合調整穴が、各スポーク部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数列設されている構成が提案される。
ここで、スポーク部はハブ取付部から放射状に設けられていることから、複数の結合調整穴が、ホイール中央から放射状に設けられていることとなる。そのため、ホイール重心位置が、回転軸線と直交する平面方向でどこに偏位している場合にあっても、該ホイール重心位置をホイール中心(回転軸線上)に精度良く一致するように、結合調整穴のいずれかに所定重量の調整用錘体が螺合された構成となり得る。すなわち、本構成にあっては、ホイール重量バランスを高精度で調整されたものとなり得る。
尚、各スポーク部に複数の結合調整穴を均等間隔で列設した構成が好ましい。この構成では、それぞれ異なる同心円上に各スポーク部の結合調整穴が存在する構成とすることができる。そして、各同心円がその径寸法が等間隔となっている。すなわち、結合調整穴が、ホイール径方向と周方向とにそれぞれ均しく存在することとなるため、いずれかの結合調整穴に所定重量の調整用錘体を螺合してホイール重量バランスを調整する精度が一層向上したものとなり得る。また、結合調整穴は、各スポーク部に一列又は二列等の複数列のいずれで設けられていても良い。
また、リム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着するものであって、該空気圧検出装置の装着により生ずるホイール重量バランスの偏りを、所定重量の重錘体部からなる調整用錘体を所定の結合調整穴に螺合することによって調整されている構成が提案される。
かかる構成にあっては、空気圧検出装置を装着した場合に生ずるホイール重量バランスを偏りを、所定の結合調整穴に所定重量の調整用錘体を螺合することにより精度よく是正することができる。そして、空気圧検出装置だけでなく、材料の寸法誤差や加工精度の誤差などにより生じるホイール重量バランスの偏りを精度良く是正することができ得る。また、この空気圧検出装置としては、エアバルブと一体型となっている構成のものにあっては、該エアバルブの重量によるホイール重量バランスの偏りも是正するようにできる。
一方、本発明は、車軸に固定されるハブ取付部と該ハブ取付部の外周端から放射状に設けられた複数のスポーク部とを具備するディスク部と、タイヤを装着するリム部とを備えた車両用ホイールの製造方法において、前記スポーク部の裏側から表方へ窪む肉抜き凹部に、該スポーク部表面に貫通しない複数の結合調整穴を形成する調整穴加工工程と、前記結合調整孔に螺合されるタッピング式の雄ネジ部と該雄ネジ部を突成した重錘体部とからなる調整用錘体と、、前記結合調整穴とを夫々選定するための工程であって、ホイール重心位置がホイール中心となるように、いずれかの結合調整穴を選定し、且つ、当該結合調整穴に螺合する、所定重量の重錘体部を有する調整用錘体を選定する重量付加選定工程と、該重量付加選定工程で選定した結合調整穴に、選定した所定重量の調整用錘体を螺合して肉抜き凹部内で保持するようにした錘螺合工程とを備えていることを特徴とする車両用ホイールの製造方法である。
かかる方法にあっては、車両用ホイールを所定寸法形状に成形した後に、そのホイール重心位置をホイール中心と一致するように、各肉抜き凹部に設けた複数の結合調整穴から調整用錘体を取り付ける結合調整穴を選定すると共に、選定する結合調整穴に螺合する所定重量の重錘体部を有する調整用錘体を選定し、該調整用錘体を結合調整穴に螺合することにより、加工精度の誤差などにより生ずるホイール重量バランスの偏りを精度良く是正した車両用ホイールを得ることができる。ここで、選定する結合調整穴は、一つであっても複数であっても良く、また、調整用錘体も、予め夫々重量の異なる重錘体部を有するものを多種類準備し、選定した結合調整穴に応じて適正な重量のものを選定するようにできる。尚、複数の結合調整穴を選定した場合にあって、それぞれに異なる重量の調整用錘体を適宜取り付けることもできる。このように結合調整穴と調整用錘体とを選定することにより、高い精度でホイール重量バランスを調整することができ、該ホイール重量バランスを均斉化する効果に優れる。
本方法では、上述した従来のリム内周面を切削加工する手段のように、該切削加工による加工誤差を生じることがなく、ホイール重量バランスを高精度で均斉化することができ得る。
本方法の重量付加選定工程にあって、ホイール重心位置がホイール中心と一致する状態としては、車両用ホイール単体、車両用ホイールにエアバルブなどを取り付けている状態、タイヤを組み付けた状態のいずれを適用することもできる。そして、この重量付加選定工程および錘螺合工程としては、エアバルブなどと取り付ける前、エアバルブなどを取り付けた後のいずれで実施することもできる。
本発明にあって、重量付加選定工程では、予め設けられている複数の結合調整穴から調整用錘体を螺合するものを選定すると共に、該選定した結合調整穴に螺合する調整用錘体を選定する工程であるから、これら選定を所定の制御処理により自動化して実施することが可能である。また、錘螺合工程では、重量付加選定工程で選定した結合調整穴に、同じく選定した調整用錘体を螺合する作業を行う構成であるから、この作業を自動化することも可能である。さらには、調整穴加工工程では、複数の結合調整穴を形成する位置を設定しておくことができ、自動化することが可能である。このように、調整穴加工工程、重量付加選定工程、錘螺合工程は、夫々に制御処理する装置と作業を実施する装置とを適用することにより、比較的容易に自動化することができ得る。そして、ホイール重量バランスを調整する作業を自動化した工程で実施できることにより、これら工程を、ホイールの製造工程、又はタイヤの組み付け工程などに適正かつ容易に組み入れることができ、ホイール重量バランスを高精度かつ安定して調整できるという優れた利点も生ずる。さらに、このように自動化して製造できることにより、ホイール重量バランスを調整するための工程に要するコストを低減でき、車両用ホイールの市場競争力を向上でき得る。
本発明の製造方法により、上述したホイール重量バランスを調整した車両用ホイールを製造することができる。そのため、本方法により製造した車両用ホイールは、上述したように、ホイール重量バランスを均斉化した状態が保持され、所望の操安性や静粛性などを適正に発揮するという作用効果を有する。
また、本方法の調整用錘体にあっては、タッピング式の雄ネジ部を備えた構成であるから、該雄ネジ部が結合調整穴に切り込みながら螺合して保持されるため、該調整用錘体と結合調整穴との結合力が高く、調整用錘体を螺合した状態で保持する作用に優れる。そのため、本方法により製造された車両用ホイールは、調整用錘体が脱落することを比較的長期に渡って防ぐことができ得る。尚、重錘体部としては、雄ネジ部を回動操作できる構成とすることが好適である。これにより、錘螺合工程を容易に自動化することが可能である。そして、調整用錘体を回動する力を設定することにより安定して螺合することができ得る。さらに、本方法では、調整用錘体を回動して螺合することで螺合できるから、上記したエアバルブを装着した後やタイヤを組み付けた後でも、該エアバルブの装着状態が緩むことなく、容易に実施することができ得る。
さらには、結合調整穴を形成するスポーク部の肉抜き凹部は、車両用ホイールとしての強度や耐久性に影響が少ないスポーク部を薄肉化して軽量化するために設けられていることから、結合調整穴を形成しても、車両用ホイールの強度や耐久性を損なうことがない。また、結合調整穴がスポーク部の表面に貫通しないことから、ホイール意匠性も保つことができる。そして、ホイール意匠面側から視認し難いことから、ホイール意匠性を損なうことがない。さらに、調整用錘体を肉抜き凹部よりもホイール裏方へ突出しないように螺合することにより、比較的大径のブレーキ盤や大型のブレーキパッドを備えた車両に取り付ける場合にあっても、これらに調整用錘体が接触しないという利点も有する。
上述した車両用ホイールの製造方法にあって、調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものである方法が提案される。
ここで、ICチップには、上述した調整用錘体の重錘体部にICチップを担持した車両用ホイールと同様に、ロットナンバー等の各種情報をデータとして記憶することができる。そのため、車両に取り付けられて使用した後にも、このICチップ内の管理用データを確認することで、車両用ホイールを明確かつ容易に識別できる。かかる方法で製造した車両ホイールは、上述したICチップを担持した重錘体部を有する調整用錘体を螺合する構成と、同様の作用効果を発揮する。
上述した車両用ホイールの製造方法にあって、調整穴加工工程が、各スポーク部の肉抜き凹部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数の結合調整穴を形成するようにしている方法が提案される。
かかる方法にあっては、複数の結合調整穴を、ホイール径方向と周方向とに設けるようにしていることから、重量付加選定工程にあって、ホイール重心位置をホイール中心に一致するように結合調整穴と調整用錘体とを選定する精度が高まる。そのため、ホイール重量バランスを一層高い精度で調整することができ得る。
尚、調整穴加工工程としては、各スポーク部に複数の結合調整穴を均等間隔で列設するように形成することが好ましい。これにより、それぞれ異なる同心円上に各スポーク部の結合調整穴を形成できる。そして、各同心円がその径寸法が等間隔となる。このように結合調整穴を形成することにより、該結合調整穴がホイール径方向と周方向とにそれぞれ均しく存在することとなるため、ホイール重量バランスを高精度で調整するように結合調整穴を選定でき得る。結合調整穴は、各スポーク部に一列又は二列等の複数列のいずれで形成するようにしても良い。
また、リム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着する車両用ホイールの製造方法において、重量付加選定工程が、空気圧検出装置の装着によって生ずるホイール重量バランスの偏りを調整するように、結合調整穴の選定と所定重量の重錘体部を備えた調整用錘体の選定とを行うようにしている方法が提案される。
かかる方法にあっては、タイヤ空気圧を検出する空気圧検出装置を装着したことにより生ずるホイール重量バランスを精度よく調整することができ得る。本方法にあっては、空気圧検出装置を装着する前に、重量付加選定工程と錘螺合工程とを実施するようにしてもよいし、空気圧検出装置を装着した後に、重量付加選定工程と錘螺合工程とを実施するようにしてもよい。
ここで、前者の方法にあっては、空気圧検出装置はその構成が明らかであれば、予め重量を把握することができる。そして、空気圧検出装置の装着位置も予め設定できる。そのため、重量付加選定工程にあって、空気圧検出装置を装着した状態を予測して、当該状態でホイール重心位置がホイール中心となるように、結合調整穴と調整用錘体とを選定することが可能である。これにより、車両用ホイールの製造後に空気圧検出装置を装着することにより、当該ホイール重量バランスが精度よく均斉化された状態となる。
また、後者の方法では、空気圧検出装置を取り付けた状態で重量付加選定工程を実施するため、一層精度よくホイール重量バランスを均斉化することができ得る。尚、錘螺合工程が調整用錘体を予め形成した結合調整穴に螺合する作業を行うだけであるため、空気圧検出装置を取り付けた状態で実施しても、上述した従来の切削加工に比して、当該取り付け状態が緩むことがなく、さらに空気圧検出装置の作動にほとんど影響しない。
尚、この空気圧検出装置がエアバルブと一体化した構成にあっても、同様に、ホイール重量バランスを精度よく均斉化することができる。特に、エアバルブは、その取り付け位置が正確に定まっていることから、エアバルブおよび空気圧検出装置を取り付ける前に実施する重量付加選定工程にあって、ホイール重心位置をホイール中心とするための選定を一層精度よく且つ安定して実施できる。
一方、本発明は、車軸に固定されるハブ取付部と該ハブ取付部の外周端から放射状に設けられた複数のスポーク部とを具備するディスク部と、タイヤを装着するリム部とを備えた車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法において、前記スポーク部の裏側から表方へ窪む肉抜き凹部に設けられた複数の結合調整穴を備えた車両用ホイールのホイール重心位置が、ホイール中心となるように、いずれかの結合調整穴を選定すると共に、結合調整穴に螺合されるタッピング式の雄ネジ部と該雄ネジ部を突成した所定重量の重錘体部とからなる調整用錘体を選定し、さらに、選定した結合調整穴に、選定した調整用錘体を螺合して保持することにより、ホイール重量バランスを調整するようにしていることを特徴とする車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法である。
かかる方法にあっては、複数の結合調整穴が設けられた車両用ホイールを、その製造後に、所定の結合調整穴を選定しかつ所定重量の調整用錘体を選定して螺合することにより、ホイール重量バランスを調整することができるようにしている。そして、車両用ホイールにタイヤを組み付けた後だけでなく、車両に取り付けて走行した後などにあっても、本方法によりホイール重量バランスを適正に調整すれば、車両の操安性などを長期的に維持することができる。
ここで、本方法を、車両用ホイールの製造工程内や製造工程後に実施することにより、加工精度の誤差などにより生ずるホイール重量バランスの偏りを精度良く是正した車両用ホイールを得ることができる。又は、タイヤの装着後に実施すれば、タイヤの有する重量バランスをも合わせて是正することが可能である。さらに、車両に取り付けて走行した後に実施することにより、走行により偏って摩耗したタイヤが装着している状態でのバランス調整を実施することができる。また、タイヤの交換により生ずるバランス調整を行うこともできる。いずれの場合にあっても、適宜、結合調整穴と調整用錘体とを選定することにより、高い精度でホイール重量バランスを調整することができ、該ホイール重量バランスを均斉化する効果に優れる。
尚、上述した車両用ホイールの製造方法と同様に、選定する結合調整穴は、一つであっても複数であっても良く、また、調整用錘体も、予め夫々重量の異なる重錘体部を有するものを多種類準備し、選定した結合調整穴に応じて適正な重量のものを選定するようにできる。
また、本方法にあっても、結合調整穴をスポーク部の肉抜き凹部に設けていることから、調整用錘体を結合調整穴に螺合しても、ホイール意匠面側から視認し難く、ホイールの意匠性を損なうことがない。また、調整用錘体を肉抜き凹部よりもホイール裏方へ突出しないように螺合することにより、比較的大径のブレーキ盤や大型のブレーキパッドを備えた車両に取り付ける場合にあっても、これらに調整用錘体が接触しないという利点も有する。
上述した車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法にあって、調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものである方法が提案される。
ここで、ICチップには、上述した調整用錘体の重錘体部にICチップを担持した車両用ホイールと同様に、ロットナンバー等の各種情報をデータとして記憶することができる。そのため、例えば、車両に装着されて実走行後にバランス調整する場合にあって、ICチップに記憶保持しているデータに基づいて、結合調整穴や調整用錘体を選定する作業を実施することができる。また、新たな調整作業の内容をICチップに記憶することにより、次回以降のメンテナンス作業に役立てることも可能である。
上述した車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法にあって、結合調整穴が、各スポーク部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数列設されている方法が提案される。
かかる方法にあっては、ホイール重量バランスを調整するように結合調整穴と調整用錘体とを選定する際に、ホイール重心位置をホイール中心に一致するように結合調整穴と調整用錘体とを選定する精度が高まる。そのため、ホイール重量バランスを一層高い精度で調整することができ得る。ここで、各スポーク部に複数の結合調整穴を均等間隔で列設するように形成することが好ましい。また、結合調整穴は、各スポーク部に一列又は二列等の複数列のいずれで形成するようにしても良い。
また、上述した車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法にあって、車両用ホイールが、そのリム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着するものであるとした方法が提案される。
かかる方法にあっては、タイヤ空気圧を検出する空気圧検出装置を装着したことにより生ずるホイール重量バランスを精度よく調整することができ得る。例えば、車両の走行後などに、新たに空気圧検出装置を取り付ける場合や、別の空気圧検出装置に付け替える場合などにあって、それぞれの空気圧検出装置によって生ずるホイール重量バランスを精度よく調整することができ得る。
本発明の車両用ホイールは、上述したように、スポーク部に設けられた肉抜き凹部に複数の結合調整穴を備えると共に、所定重量の重錘体部と前記結合調整孔に螺合されるタッピング式の雄ネジ部とからなる調整用錘体を備えてなり、いずれかの結合調整穴に所定重量の調整用錘体が螺合されて保持されることにより、ホイール重量バランスが調整されてなる構成である。本発明の車両用ホイールは、ホイール製造時の加工誤差やエアバルブの装着などにより生じたホイール重量バランスの偏りが精度良く是正されていると共に、タッピング式の雄ネジ部により結合調整穴に螺合されていることから、車両に取り付けた後に該調整用錘体が脱落してしまうことを防ぐ効果が高い。そのため、ホイール重量バランスを均斉化した状態で比較的長期に維持され、所望の操安性や静粛性などを適正に発揮することができ得る。また、結合調整穴が肉抜き凹部に設けられていることから、該結合調整穴に螺合された調整用錘体は、ホイール意匠面側から視認し難く、ホイールの意匠性を損なうことがない。
また、上述した調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるもの構成にあっては、車両に取り付けられて使用した後にも、このICチップ内の管理用データを確認することで、車両用ホイールを明確かつ容易に識別できる。
また、上述した結合調整穴が、各スポーク部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数列設されている構成にあっては、複数の結合調整穴がホイール径方向と周方向とに設けられていることから、いずれかの結合調整穴に調整用錘体が螺合されていることによって、ホイール重量バランスを高精度で調整されたものとなり得る。
また、リム部に空気圧検出装置を装着するものであって、該空気圧検出装置の装着により生ずるホイール重量バランスの偏りを、所定重量の重錘体部からなる調整用錘体を所定の結合調整穴に螺合することによって調整されている構成にあっては、空気圧検出装置の装着部位での局部的な重量増加をも、調整用錘体を結合調整穴に螺合することによって是正しており、上述した本発明にかかる作用効果を適正に発揮できる。
一方、本発明の車両用ホイールの製造方法は、スポーク部の肉抜き凹部に複数の結合調整穴を形成する調整穴加工工程と、ホイール重心位置がホイール中心となるように結合調整穴を選定し、且つ所定重量の重錘体部を有する調整用錘体を選定する重量付加選定工程と、調整用錘体を結合調整穴に螺合する錘螺合工程とを実行するようにした方法であるから、加工精度の誤差やエアバルブの装着などにより生ずるホイール重量バランスの偏りを、選定した結合調整穴に所定重量の調整用錘体を螺合することによって、精度良く是正することができ得る。また、調整穴加工工程、重量付加選定工程、錘螺合工程は、比較的容易に自動化することができるから、ホイール重量バランスを高精度かつ安定して調整できると共に、当該調整の工程に要するコストを低減できるため、車両用ホイールの市場競争力を向上でき得る。そして、本方法により製造された車両用ホイールは、上述したようにホイール重量バランスを均斉化した状態で比較的長期に維持され、所望の操安性や静粛性などを適正に発揮するという作用効果を有する
また、上述した調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものとした方法にあっては、車両に取り付けられて使用した後にも、このICチップ内の管理用データを確認することで、車両用ホイールを明確かつ容易に識別できる。
また、上述した調整穴加工工程が、各スポーク部の肉抜き凹部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数の結合調整穴を形成するようにしている方法にあっては、複数の結合調整穴をホイール径方向と周方向とに形成するため、重量付加選定工程にあって、ホイール重心位置をホイール中心に一致するように結合調整穴と調整用錘体とを選択する精度が高まり、ホイール重量バランスを一層高い精度で調整した車両用ホイールを得ることができる。
また、リム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着する方法であって、重量付加選定工程が、空気圧検出装置の装着によって生ずるホイール重量バランスの偏りを調整するように、結合調整穴の選定と所定重量の重錘体部を備えた調整用錘体の選定とを行うようにした方法である。この方法により、空気圧検出装置を装着したホイールのホイール重量バランスを精度よく調整することができ、該ホイール重量バランスが均斉化された車両用ホイールを得ることができる。
一方、本発明の車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法は、肉抜き凹部に設けられた複数の結合調整穴を備えた車両用ホイールのホイール重心位置が、ホイール中心となるように、いずれかの結合調整穴を選定すると共に、所定重量の重錘体部を有する調整用錘体を選定し、さらに、選定した結合調整穴に、選定した調整用錘体を螺合するようにした方法である。これにより、加工誤差、エアバルブ等の装着、タイヤの装着などによって生ずるホイール重量バランスを夫々に調整することが可能である。そして、車両に取り付けて走行した後などにあっても、本方法によりホイール重量バランスを適正に調整すれば、車両の操安性などを長期的に維持することができる。
また、上述した調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものとした方法にあっては、ICチップに記憶保持しているデータに基づいて、結合調整穴や調整用錘体を選定する作業を実施することができる。
また、上述した結合調整穴が、各スポーク部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数列設されているとした方法にあっては、複数の結合調整穴がホイール径方向と周方向とに設けられていることから、ホイール重量バランスを高精度で調整することができる。
ここで、車両用ホイールが、そのリム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着するものであるとした方法にあっては、空気圧検出装置を装着したホイールのホイール重量バランスを精度よく調整することができ、該ホイール重量バランスが均斉化された車両用ホイールを得ることができる。
本発明の実施例を添付図面を用いて詳述する。
図1は、本発明にかかる自動車用ホイール1を裏面側からみた平面図であり、図2は縦断面図である。この自動車用ホイール1は、アルミニウム合金を鋳造成形してなるものである。そして、自動車用ホイール1は、略円盤状のハブ取付部4と該ハブ取付部の外周縁から放射状に設けられた複数のスポーク部5とを具備するディスク部2と、タイヤを装着する異形円筒状のリム部3とから構成されている。
図1は、本発明にかかる自動車用ホイール1を裏面側からみた平面図であり、図2は縦断面図である。この自動車用ホイール1は、アルミニウム合金を鋳造成形してなるものである。そして、自動車用ホイール1は、略円盤状のハブ取付部4と該ハブ取付部の外周縁から放射状に設けられた複数のスポーク部5とを具備するディスク部2と、タイヤを装着する異形円筒状のリム部3とから構成されている。
ディスク部2のハブ取付部4には、その中央にハブ孔17が形成され、該ハブ孔17の径方向外側に位置して周方向に互いに均等間隔となるように複数個のボルト孔18が設けられている。さらに、ハブ取付部4の裏面に車軸のハブが圧着されるハブ取付面19を備えている。そして、このハブ取付部4の外周縁から放射状に5本のスポーク部5が設けられている。各スポーク部5は、周方向に均等間隔となっている。尚、このスポーク部5は、本発明の要部にかかり詳しくは後述する。
一方、リム部3は、その両端周縁にタイヤのビードを側方から保持するフランジ部10a、10bが形成され、各フランジ部10a、10bに、タイヤのビードを着座させて支持固定するビートシート部11a,11bが夫々に連成されている。さらに、両側のビードシート部11a,11bの間には、タイヤ装着時に、タイヤのビードを落とすためのドロップ部13が設けられている。さらに、ビードシート部11a,11bとドロップ部13とが夫々にウエル部14a,14bを介して連成されている。このリム部3は、表側フランジ部10aから表側ビードシート部11aに至る内側で、上記した各スポーク部5の外端に夫々連成されており、ディスク部2と一体の構造を成している。そして、表側ウエル部14aに、エアバルブを装着するためのバルブ孔15が設けられている。
尚、自動車用ホイール1にあっては、自動車に装着した状態で、上記したハブ孔17に嵌入される車軸(図示省略)を回転軸として周方向に回転する。すなわち、この車軸の中心を通る回転軸線Lを回転中心として、自動車用ホイール1が回転する。また、本実施例にあって、自動車用ホイール1が本発明にかかる車両用ホイールである。
次に本発明の要部について説明する。
本実施例の自動車用ホイール1にあっては、各スポーク部5に、その裏側から表側へ窪む肉抜き凹部8が夫々形成されている。この肉抜き凹部8によって、スポーク部5は断面コ字形となっており、該スポーク部5の中央部分をホイール表裏方向に薄肉化している。このように肉抜き凹部8を設けてスポーク部5を断面コ字形とすることにより、強度と剛性を確保しつつ、自動車用ホイール1を軽量化している。
本実施例の自動車用ホイール1にあっては、各スポーク部5に、その裏側から表側へ窪む肉抜き凹部8が夫々形成されている。この肉抜き凹部8によって、スポーク部5は断面コ字形となっており、該スポーク部5の中央部分をホイール表裏方向に薄肉化している。このように肉抜き凹部8を設けてスポーク部5を断面コ字形とすることにより、強度と剛性を確保しつつ、自動車用ホイール1を軽量化している。
尚、上記の肉抜き凹部8と同様の、軽量化を目的とした窪み形の凹部としては、該凹部を形成してもホイールとして充分な強度を有し得る部位に設けることもできる。例えば、リム部3の表側ビードシート部11aの内側に外方へ窪むように凹部(図示省略)を設けたり、ハブ取付部4の各ボルト孔18間に、裏側から表側へ窪むように凹部(図示省略)を設けることもできる。いずれの凹部にあっても、その寸法形状は、自動車用ホイール1が所望の強度と耐久性を充分に発揮し得るように設定されている。
上記した各スポーク部5の肉抜き凹部8には、その裏面から板厚方向(ホイール表裏方向)に複数の結合調整穴20が夫々に形成されている。ここで、各スポーク部5にはそれぞれ三個の結合調整穴20が設けられており、該スポーク部5のホイール径方向中心線Mに沿って等間隔で列設されている。そして、各スポーク部5の三個の結合調整穴20は、それぞれ異なる同心円上に配設されている。すなわち、各スポーク部5の最も内側に配された結合調整穴20は、回転軸線Lを中心とする所定径寸法の円周上に配設されており、同様に、他の二個も夫々同一円周上に配設されている。このように複数の結合調整穴20が、ホイール径方向と周方向とにそれぞれ等間隔で一様に配設されている。尚、この結合調整穴20は、スポーク部5を貫通しない所定深さで形成されている。
このような結合調整穴20のいずれかには調整用錘体25を螺合する。この調整用錘体25は、図3のように、所定重量の重錘体部26と該重錘体部26から突成された雄ネジ部27とから構成されている。ここで、雄ネジ部27は、タッピング式の雄ネジにより構成されており、結合調整穴20にねじ込むことにより螺合して、当該調整用錘体25を強固に螺合できるようになっている。この雄ネジ部27は、調整用錘体25を結合調整穴20に螺合した状態で、ホイール表面側に露出しないように、その長さ寸法を設定している。これにより、当該自動車用ホイール1の意匠性が損なわれないようになっている。
上記した重錘体部26は、その重量により調整用錘体25の重量を規定している。すなわち、重錘体部26がその材料や大きさによって所定重量となるように設定されており、各重量の重錘体部26に、共通の雄ネジ部27が突成されている。このように、多種類の異なる重量の重錘体部26を夫々に備えた調整用錘体25が、それぞれ準備されている。本実施例にあっては、調整用錘体25として、所定グラム単位毎に多数種類の重量のものを設定している。また、この重錘体部26は、その雄ネジ部27を結合調整穴20に螺合した状態で、スポーク部5の肉抜き凹部8からホイール裏方へ突出しないように、その形状寸法を定めている(図2参照)。このように重錘体部26を肉抜き凹部8内に収まっていることにより、当該自動車用ホイール1が自動車に取り付けられている状態で、車軸に連結されているブレーキディスクやブレーキパッドなどに調整用錘体25が接触しないようにしている。さらに、重錘体部26が肉抜き凹部8内に収まっているため、当該調整用錘体25は、自動車用ホイール1の表側から視認できない。これにより、自動車用ホイール1の意匠性が損なわれない。
この重錘体部26は、その上面に十字形の溝が設けられており、ビス締め機やドライバーなどにより回動操作することによって、雄ネジ部27を結合調整穴20に螺合できるようになっている。
また、本実施例にあっては、上記した調整用錘体25の重錘体部26に、ICチップ29を内蔵している。このICチップ29には、自動車用ホイール1を製品管理のための管理用データを記憶保持する。この管理用データとしては、材料、製造条件、製造工場、製造日時などの様々な製造にかかる情報を確認可能なロットナンバーや、製品の出荷に関する情報などをデータとして適宜用いることができる。また、本実施例にあっては、後述するように、ホイール重量バランスを測定した結果、およびホイール重量バランスを調整するために選定した結合調整穴20および調整用錘体25に関するデータも記憶保持している。
ここで、調整用錘体25は、上述したように結合調整穴20に螺合されて保持されることから、自動車用ホイール1が自動車に取り付けられて使用されても脱落し難い。そのため、自動車用ホイール1の使用中および使用後であっても、各自動車用ホイール1の管理用データを比較的容易かつ確実に得ることが可能である。そのため、例えば、ICチップ29に記憶されているロットナンバーから自動車用ホイール1の製造にかかる情報を得ることができる。また、自動車用ホイール1の在庫管理や出荷管理にも用いることができ得る。
上述したような調整用錘体25としては、様々な材料のものを用いることができる。例えば、調整用錘体25として、鋼製やアルミニウム合金製のものを用いることができ、また、重錘体部26と雄ネジ部27とで夫々に異なる材料のものを螺合して一体化した構成のものを用いることもできる。これは、調整用錘体25が強度を要するものでないため、異なる材料の重錘体部26と雄ネジ部27とを螺合した構成にできるからである。具体的には、重錘体部26をアルミニウム合金製とし且つ雄ネジ部27をスチール製としたものとしても良い。尚、雄ネジ部27は、タッピング式の雄ネジであるため、自動車用ホイール1の材料と同等もしくはそれ以上の硬さを有しているものとする。
次に、本実施例の自動車用ホイール1の製造工程について説明する。
尚、本実施例にあっては、タイヤ空気圧の検知システムを装備する自動車に取り付ける自動車用ホイール1であって、図2のように、タイヤ空気圧を検知するセンサなどを備えた空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35をバルブ孔15に装着するものである。そして、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35の重量は、予め定まっている。また、このエアバルブ25は、バルブ孔15に装着するものであるから、取り付け位置も定まっている。すなわち、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35をバルブ孔15に取り付けることにより、バルブ孔15を設けた部位が局部的に所定重量増加することが予めわかっている。
尚、本実施例にあっては、タイヤ空気圧の検知システムを装備する自動車に取り付ける自動車用ホイール1であって、図2のように、タイヤ空気圧を検知するセンサなどを備えた空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35をバルブ孔15に装着するものである。そして、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35の重量は、予め定まっている。また、このエアバルブ25は、バルブ孔15に装着するものであるから、取り付け位置も定まっている。すなわち、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35をバルブ孔15に取り付けることにより、バルブ孔15を設けた部位が局部的に所定重量増加することが予めわかっている。
本実施例の自動車用ホイール1は、上記のように、アルミニウム合金を鋳造成形してなるものであり、アルミニウム合金の溶湯を鋳造する鋳造工程、所望の寸法形状に切削加工する切削工程、ホイール表面に所定の塗料を塗布する塗装工程が順次実施されて成形される。ここで、切削工程にあって、自動車用ホイール1の各スポーク部5の裏側に形成された肉抜き凹部8に、スポーク部5の径方向中心線Mに沿って三個の結合調整穴20を等間隔で形成する。各結合調整穴20は、スポーク部5の表面側に貫通しないように形成する(図2参照)。このように、本実施例の製造工程にあっては、切削工程で、結合調整穴20を形成しており、本発明にかかる調整穴加工工程を実施している。尚、この結合調整穴20は、調整用錘体25の螺合位置を位置決めするためのものである。
このように結合調整穴20を形成する以外は、従来と同様の鋳造工程、塗装工程を実施する。また、切削工程にあっても、結合調整穴20を形成する以外の切削加工は、従来と同様に実施する。そのため、これら各工程については、その詳細を省略する。
上述した塗装工程の後に、ホイール重量バランスを測定し、この測定結果に基づいてホイール重量バランスを調整する結合調整穴20と調整用錘体25とを選定する重量付加選定工程を実施する。この重量付加選定工程では、図4のように、塗装工程後の自動車用ホイール1の、回動軸線Lと直交するホイール平面方向における、ホイール重心位置P1を測定する。このホイール重心位置P1は、自動車用ホイール1の加工誤差などにより生じたホイール重量バランスの偏りによって定まっている。また、本実施例1にあっては、上述したように、バルブ孔15に、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35が取り付けられることから、これら重量によって、ホイール中心(回動軸線L)からバルブ孔15方向へ偏った位置にホイール重心位置P2が生ずる。このホイール重心位置P2は、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35の各重量が予めわかっていることから設定されている。そして、このエアバルブ35が取り付けられた場合には、そのホイール重心位置Pが、ホイール重心位置P1とホイール重心位置P2との合成により定まる。
そして、上記した切削工程で形成した複数の結合調整穴20のいずれかに所定重量を付加することによって、このホイール重心位置Pをホイール中心(回動軸線L)に一致するように、結合調整穴20の選定と所定重量の調整用錘体25の選定とを実行する。この選定する作業は、上述したホイール重心位置P1の測定結果と、予め決まっているホイール重心位置P2と、結合調整穴20の配設位置と、調整用錘体25の重量とから演算処理されて実行される。すなわち、ホイール重心位置Pがホイール中心位置へ移動するように、ホイール中心に対してホイール重心位置Pと反対側に所定重量を付加するための、結合調整穴20と所定重量の調整用錘体25とを選定する演算処理を行う。この演算処理は、所定の制御処理装置(図示省略)により実行され、該制御処理装置によって、ホイール重心位置P1を測定する装置(図示省略)をも作動制御するようにしている。すなわち、この制御処置装置によって、重量付加選定工程を実施している。
尚、調整用錘体25は、上述したように、様々な重量のものを準備しており、結合調整穴20に螺合するための所定重量のものを選定するようになっている。
このように重量付加選定工程を行った後に、該重量付加選定工程で選定した結合調整穴20に、同じく選定した調整用錘体25を螺合する錘螺合工程を実施する。この錘螺合工程では、調整用錘体25を結合調整穴20(図4に追加)に螺合するための所定のビス締め機(図示省略)と、該ビス締め機を作動制御する制御処理装置(図示省略)を用いている。例えば、図4のように、上記した重量付加選定工程で、ホイール重心位置Pをホイール中心(回動軸線L)と一致するために、x位置とy位置との結合調整穴20を選定し、かつx位置に螺合する所定重量の調整用錘体25とy位置に螺合する所定重量の調整用錘体25とを選定したとする。この選定結果に従って、ビス締め機を制御処理装置により作動し、x位置に調整用錘体25を螺合すると共にy位置に調整用錘体25を螺合する。これにより、各調整用錘体25,25がスポーク部5の肉抜き凹部8,8内で保持された状態となる。尚、x位置とy位置とに螺合する調整用錘体25は、それぞれ異なる重量のものを選定している場合には、各重量に応じたものを選んで螺合する作動を実行する。
上述した重量付加選定工程と錘螺合工程とにより、ホイール重量バランスが調整された所望の自動車用ホイール1を得る。尚、この自動車用ホイール1は、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35を取り付けていない状態であることから、そのホイール重心位置がホイール中心に対してバルブ孔15の反対側に位置している。そして、この後に、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35を、バルブ孔15に取り付ける工程を実施する。この工程では、エアバルブ35が、リム部3の外周側からバルブ孔15に挿入されて、該エアバルブ35の先端がホイール意匠面に露出し、且つエアバルブ35と一体化した空気圧検出装置36がリム部3のドロップ部13表面に倣うようにして配されて固定される。このようにバルブ孔15にエアバルブ35および空気圧検出装置36を取り付けた状態で、自動車用ホイール1は、そのホイール重心位置がホイール中心(回動軸線L)と一致する。すなわち、自動車用ホイール1は、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35を装着した状態で、ホイール重量バランスが均斉化されたものとなる。
上述したように、重量付加選定工程と錘螺合工程とはホイール重量バランスを測定する装置、ビス締め機、それらを夫々作動制御する制御処理装置とにより実行しており、ホイール重量バランスの測定から調整用錘体25の取り付けまでを自動化している。これは、予め結合調整穴20を形成し、様々な重量の調整用錘体25を準備し、結合調整穴20に調整用錘体25を螺合することにより螺合するようにしていることから、結合調整穴20の選定、所定重量の調整用錘体25の選定、調整用錘体25の螺合する作動を比較的容易に自動化できるためである。このように重量付加選定工程と錘螺合工程とを自動化した工程として設定できることから、上述した従来のように作業者の手作業で板状バランスウエイトを貼り付ける手段やクリップタイプのバランスウエイトを取り付ける手段に比して、ホイール重量バランスの偏りを安定かつ精度良く是正することができる。さらに、ホイール重量バランスを調整する作業コストの低減と作業時間の短縮化とを実現できる。そのため、本実施例の自動車用ホイール1は、高い市場競争力を有するものと言える。
そして、重量付加選定工程にあって、ホイール重心位置P1を測定し、ホイール重心位置P2と合成したホイール重心位置Pをホイール中心と一致するように、結合調整穴20と調整用錘体25とを選定していることから、ホイール重量バランスを調整する精度が高い。すなわち、空気圧検出装置36を一体化したエアバルブ35を装着した状態で、自動車用ホイール1は、そのホイール重量バランスが高精度で均斉化されたものとして製造される。
このように製造された本実施例の自動車用ホイール1は、回転軸線Lに対して回転しても、当該回転による振動を生じない。そのため、タイヤを組み付けて自動車に装着しても、走行中の振動を抑制でき、操安性や静粛性等を高め得る。また、調整用錘体25は、そのタッピング式の雄ネジからなる雄ネジ部27を螺合して結合していることから、走行中の振動などによって外れ難く、比較的長期に渡って保持されてホイール重量バランスを適正に保つことができる。
また、調整用錘体25には、その重錘体部26にICチップ29を埋め込んでおり、該ICチップ29に上記した管理用データを記憶している。そのため、自動車に取り付けられて使用された後、当該自動車用ホイール1を回収して疲労特性などを調査する際に、製造時の条件などをフィードバックして調べ得るという利点も有する。
さらに、この調整用錘体25は、上述したように、スチール製やアルミニウム合金製とすることができる。いずれの材料から成形されたものであっても、その雄ネジ部27を螺合して螺合していることから、取り外すことも比較的容易に行い得る。そのため、ホイール自体と調整用錘体25とを容易に分別できるため、リサイクル可能であるという優れた利点も有している。
次に、このように製造された自動車用ホイール1にあって、随時、ホイール重量バランスを調整する方法について説明する。
ここで、ホイール重量バランスを調整する方法としては、上述した自動車用ホイール1の製造方法における重量付加選定工程と錘螺合工程と同様に実施するようにしている。すなわち、自動車用ホイール1のホイール重心位置を測定して、この測定したホイール重心位置をホイール中心と一致するように、いずれかの結合調整穴20を選定し且つ所定重量の調整用錘体25を選定する。そして、結合調整穴20に調整用錘体25を螺合する。このような調整方法には、上述と同様に、所定の制御処理装置(図示省略)やビス締め機(図示省略)を用いることができる。
ここで、ホイール重量バランスを調整する方法としては、上述した自動車用ホイール1の製造方法における重量付加選定工程と錘螺合工程と同様に実施するようにしている。すなわち、自動車用ホイール1のホイール重心位置を測定して、この測定したホイール重心位置をホイール中心と一致するように、いずれかの結合調整穴20を選定し且つ所定重量の調整用錘体25を選定する。そして、結合調整穴20に調整用錘体25を螺合する。このような調整方法には、上述と同様に、所定の制御処理装置(図示省略)やビス締め機(図示省略)を用いることができる。
このホイール重量バランスの調整は、自動車用ホイール1を製造後に、タイヤを取り付けた後に実施することにより、タイヤをも含めた総合的な重量バランスを均斉化することに用いることができる。また、自動車に取り付けて走行した後に、定期的なメンテナンスを行う際に実施して、走行によるタイヤの摩耗で生じた重量バランスの偏りを調整することに用いることも可能である。又は、タイヤを取り替える際に実施することによっても、同様の作用効果を奏する。さらには、上記した空気圧検出装置36を一体化したエアバルブ35を取り替える際に実施したり、新たに空気圧検出装置36を一体化したエアバルブ35を取り付けるようにした際に実施することにより、重量バランスを精度よく均斉化することができ得る。
この調整方法にあっては、上述したように、所定の制御処置装置やビス締め機などを用いて自動化して実施することができることから、比較的容易かつ安定して重量バランスを調整することができ得る。また、これら装置を持っていれば、自動車メーカーなどでなくとも、自動車用部品の販売店であっても確実に実施することができる。そして、いずれで実施しても同様に精度よく調整することができる。尚、ビス締め機の他にも、所定のドライバーによっても螺合可能である。
また、自動車に取り付けて走行した後に重量バランスを調整する場合には、既に螺合されている調整用錘体25に内蔵されているICチップ29から、所定の管理用データを読み込み、このデータを参考として調整作業を実施することができる。これにより、調整作業を効率的に実施することができると共に、走行によって生じた偏りから自動車の性能などを調査することも可能である。そして、このICチップ29に、調整したデータを新たに記憶しておくことにより、次回のメンテナンス作業に役立てることも可能である。
また、本実施例の調整用錘体25は、その雄ネジ部27をタッピング式の雄ネジから構成しているから、比較的容易に取り外すことも可能である。そのため、上記のように、自動車に取り付けて走行した後に実施する際に、それまで螺合していた調整用錘体25を取り外し、新たにホイール重量バランスを測定して改めて調整用錘体25を螺合することもできる。尚、既に螺合している調整用錘体25を取り外さずに、別の結合調整穴20に所定重量の調整用錘体25を新たに螺合することも当然行い得る。
上述した実施例にあっては、結合調整穴20を、各スポーク部5の径方向中心線に沿って形成した構成であるが、その他の構成として、各スポーク部5に形成する個数を二個や四個などとしたり、各スポーク部5の長手方向に沿って二列や三列で形成する構成としても良い。各スポーク部5に形成する結合調整穴20の個数が増加するに従って、ホイール重量バランスの調整を一層高い精度で実施可能となる。
また、上述した実施例の自動車用ホイール1の製造工程にあっては、結合調整穴20を形成する調整穴加工工程を、所望の寸法形状に切削加工する切削工程で実施するようにしているが、その他の方法として、例えば、調整穴加工工程を塗装工程の後に実施するようにしても良い。
また、上述した実施例にあっては、空気圧検出装置36と一体化したエアバルブ35を取り付けることを前提としている構成であるが、エアバルブのみを取り付ける構成であっても、同様に製造して得ることができる。また、空気圧検出装置と一体化したエアバルブを取り付ける構成にあって、上述した重量付加選定工程と錘螺合工程とを、エアバルブを取り付ける工程の後に実施するように設定した製造工程により得ることも可能である。この重量付加選定工程では、既にエアバルブが取り付けられていることから、加工誤差から生じる偏りやエアバルブ等の取り付けによる偏りによってホイール中心から偏位したホイール重心位置Pを直接測定する。そして、このホイール重心位置Pをホイール中心と一致するように結合調整穴20と所定重量の調整用錘体25とを選定し、錘螺合工程を行う。この場合には、エアバルブや空気圧検出装置が有している重量誤差をも含めて、ホイール重心位置Pを測定できるため、ホイール重量バランスを均斉化する精度がさらに向上する。尚、錘螺合工程は、調整用錘体25を螺合するだけであるから、エアバルブをバルブ孔に取り付けた後に実施しても、該エアバルブの取り付け状態が緩んでしまうこともない。また、タイヤを組み付けた後に、重量付加選定工程と錘螺合工程を実施するようにしても良い。この場合にあっては、自動車用ホイール1自体の加工精度による誤差と、エアバルブによる重量増加と、タイヤ自体の個別誤差とを、調整用錘体を取り付けることによって高精度で調整することができる。
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更することは勿論可能である。例えば、アルミニウム合金を鋳造成形したもの以外にも、スチール製の板状基材をプレス加工して成形するものにも適用できる。さらには、マグネシウム合金製や繊維強化プラスチック製の自動車用ホイールにも適用でき得る。
1 自動車用ホイール(車両用ホイール)
2 ディスク部
3 リム部
4 ハブ取付部
5 スポーク部
8 肉抜き凹部
20 結合調整穴
25 調整用錘体
26 重錘体部
27 雄ネジ部
29 ICチップ
36 空気圧検出装置
2 ディスク部
3 リム部
4 ハブ取付部
5 スポーク部
8 肉抜き凹部
20 結合調整穴
25 調整用錘体
26 重錘体部
27 雄ネジ部
29 ICチップ
36 空気圧検出装置
Claims (12)
- 車軸に固定されるハブ取付部と該ハブ取付部の外周端から放射状に設けられた複数のスポーク部とを具備するディスク部と、タイヤを装着するリム部とを備えた車両用ホイールにおいて、
前記スポーク部の裏側から表方へ窪む肉抜き凹部と、該肉抜き凹部に設けられた複数の結合調整穴とを備えると共に、
結合調整孔に螺合されるタッピング式の雄ネジ部と該雄ネジ部を突成した所定重量の重錘体部とからなる調整用錘体を備えてなり、
いずれかの結合調整穴に、所定重量の重錘体部からなる調整用錘体が螺合されて保持されることにより、ホイール重量バランスが調整されてなるものであることを特徴とする車両用ホイール。 - 調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものである請求項1に記載の車両用ホイール。
- 結合調整穴が、各スポーク部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数列設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ホイール。
- リム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着するものであって、
該空気圧検出装置の装着により生ずるホイール重量バランスの偏りを、所定重量の重錘体部からなる調整用錘体を所定の結合調整穴に螺合することによって調整されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の車両用ホイール。 - 車軸に固定されるハブ取付部と該ハブ取付部の外周端から放射状に設けられた複数のスポーク部とを具備するディスク部と、タイヤを装着するリム部とを備えた車両用ホイールの製造方法において、
前記スポーク部の裏側から表方へ窪む肉抜き凹部に、該スポーク部表面に貫通しない複数の結合調整穴を形成する調整穴加工工程と、
前記結合調整孔に螺合されるタッピング式の雄ネジ部と該雄ネジ部を突成した重錘体部とからなる調整用錘体と、前記結合調整穴とを夫々選定するための工程であって、ホイール重心位置がホイール中心となるように、いずれかの結合調整穴を選定し、且つ、当該結合調整穴に螺合する、所定重量の重錘体部を有する調整用錘体を選定する重量付加選定工程と、
該重量付加選定工程で選定した結合調整穴に、選定した調整用錘体を螺合するようにした錘螺合工程と
を備えていることを特徴とする車両用ホイールの製造方法。 - 調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものである請求項5に記載の車両用ホイールの製造方法。
- 調整穴加工工程が、各スポーク部の肉抜き凹部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数の結合調整穴を形成するようにしていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両用ホイールの製造方法。
- リム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着する車両用ホイールの製造方法において、
重量付加選定工程が、空気圧検出装置の装着によって生ずるホイール重量バランスの偏りを調整するように、結合調整穴の選定と所定重量の重錘体部を備えた調整用錘体の選定とを行うようにしていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の車両用ホイールの製造方法。 - 車軸に固定されるハブ取付部と該ハブ取付部の外周端から放射状に設けられた複数のスポーク部とを具備するディスク部と、タイヤを装着するリム部とを備えた車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法において、
前記スポーク部の裏側から表方へ窪む肉抜き凹部に設けられた複数の結合調整穴を備えた車両用ホイールのホイール重心位置が、ホイール中心となるように、いずれかの結合調整穴を選定すると共に、結合調整穴に螺合されるタッピング式の雄ネジ部と該雄ネジ部を突成した所定重量の重錘体部とからなる調整用錘体を選定し、
さらに、選定した結合調整穴に、選定した調整用錘体を螺合して保持することにより、ホイール重量バランスを調整するようにしていることを特徴とする車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法。 - 調整用錘体が、その重錘体部に、製品管理のための管理用データを記録したICチップを担持してなるものである請求項9に記載の車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法。
- 結合調整穴が、各スポーク部に、該スポーク部の径方向中心線に沿って複数列設されていることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法。
- 車両用ホイールが、そのリム部に、タイヤ空気圧を検知する空気圧検出装置を装着するものであることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の車両用ホイールのホイール重量バランス調整方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2007
- 2007-10-05 JP JP2007261535A patent/JP2009092105A/ja active Pending
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