JP2009090468A - 回路素子実装配線材及び液滴吐出ヘッド - Google Patents

回路素子実装配線材及び液滴吐出ヘッド Download PDF

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Abstract

【課題】配線材に実装されている回路素子から電気的負荷に伝わる熱によって、電気的負荷に温度の偏りが生じることを抑制する。
【解決手段】配線材4は、多数の駆動部を有する電気的負荷32と外部信号源とを接続し、電気的負荷32の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子50が実装され、回路素子50と電気的負荷32とを電気的に接続する多数の出力導線62が形成されている。そして、多数の出力導線62のうち、配線材4において回路素子50から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、出力導線が電気的負荷と重ならない領域で、他の出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線62aとした。
【選択図】図6

Description

本発明は、回路素子が実装された配線材と、この配線材によって外部信号源からの信号を、液滴を吐出させるためのアクチュエータに入力するように構成した液滴吐出ヘッドとに関するものである。
多数のノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドとして、例えば、インクジェットプリンタ等に用いられる吐出ヘッドの場合には、多数のノズルからのインクの吐出を個別に制御するために、インクに吐出圧力を与えるアクチュエータに、各ノズル毎に対応する多数の駆動部が設けられている(特許文献1参照)。そして、アクチュエータの表面には、駆動部と電気的に接続された表面電極が多数形成されている。特許文献1に示すように、フレキブル配線材には、回路素子と回路素子から延びる多数の出力導線とが設けられ、出力導線が多数の表面電極に接続されている。フレキシブル配線材から、各表面電極に駆動信号が個別に出力され、駆動部が駆動される。インクジェットプリンタでは記録の高速化や高密度化のために、吐出ヘッドに多数のノズルが設けられているため、アクチュエータの内部の駆動部と表面の表面電極が、いずれも高密度に形成され、それにともない、フレキシブル配線材の出力導線も高密度に配線されている。
特開2007−83707号公報(図6参照)
多数のノズルからインクを選択的に駆動させる吐出動作時には、フレキシブル配線材に実装された回路素子が発熱するために、回路素子の熱が出力導線を介してアクチュエータの表面電極に伝わり、さらに内部の駆動部に伝わる。
しかしながら、前述したように、フレキシブル配線材の出力導線は高密度に配置されているから、部分的に放熱度合いに差が生じる。つまり、フレキシブル配線材の幅方向の外側寄りに配置されている出力導線は、中央部に配置されているものよりも放熱され易い。従って、中央寄りの放熱され難い出力導線に接続された表面電極に繋がる駆動部は、他の駆動部よりも温度が高くなり、またその熱が放出され難いので、アクチュエータにおける駆動特性に部分的な差が生じることになる。さらに、そのアクチュエータに隣接しているキャビティ部に蓄えられているインクも、駆動部からの熱伝導によって部分的に温度差を生じ、多数のノズルにおいてインクの吐出特性にばらつきが生じることになる。
また、インクを外部から導入するキャビティ部の導入口の近傍では、比較的流れが速いことと、回路素子からの熱に影響されていない新しいインクが供給されることで、回路素子から熱が伝わってもインクの温度上昇が少なく、またそのインクの流れがアクチュエータの放熱を助ける。一方、導入口から遠い部分では、インクの流れが停滞し、回路素子からの熱によってインクが温度上昇しやすく、アクチュエータの放熱を助けることも少なくなる。さらに、多数のノズルにインクを分配するマニホールド室が3個以上平行にある場合、中央のマニホールド室のインクは、回路素子から熱が放出されにくい。
つまり、回路素子から出力導線を介してアクチュエータに伝わった熱は、アクチュエータの駆動部に部分的な温度差を生じさせることになる。この温度の偏りは、各駆動部の駆動特性に影響し、各駆動部の駆動にばらつきを生じさせる要因になっていた。
本発明は、上記問題を解消するものであり、配線材に実装されている回路素子から電気的負荷に伝わる熱によって、電気的負荷に温度の偏りが生じることを抑制し、各駆動部の駆動特性をほぼ均一にすることを目的とするものである。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明における配線材は、多数の駆動部を有する電気的負荷と外部信号源とを接続し、前記電気的負荷の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子が実装され、前記回路素子と前記電気的負荷とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材であって、前記多数の出力導線のうち、前記配線材において前記回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、少なくとも前記出力導線が前記電気的負荷と重ならない領域で、他の出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明における配線材は、多数の駆動部を有する電気的負荷と外部信号源とを接続し、前記電気的負荷の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子が実装され、前記回路素子と前記電気的負荷とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材であって、前記多数の出力導線のうち、前記配線材において前記回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、残部の出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の配線材において、前記熱伝導抑制用の出力導線は、前記多数の出力導線の並び方向の中央部に配置されている出力導線であることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、請求項1から3のいずれかに記載の電気的負荷であって前記多数のノズルに対応した前記多数の駆動部を有し前記駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、請求項1から3のいずれかに記載の配線材とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行に長く形成されており、前記導入口に近い部位と遠い部位とのうち、前記導入口から遠い部位の前記マニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続する出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とするものである。
また、請求項6に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行に長く形成されており、前記導入口に近い部位と遠い部位とのうち、前記導入口から遠い部位の前記マニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続する出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行で長くかつ互いに平行に3個以上形成されており、前記多数の出力導線は、前記回路素子から前記マニホールド室の長手方向と平行に延びて前記駆動部に接続され、その多数の出力導線のうち、前記3個以上のマニホールド室において内側のマニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続される出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とするものである。
また、請求項8に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行で長くかつ互いに平行に3個以上形成されており、前記多数の出力導線は、前記回路素子から前記マニホールド室の長手方向と平行に延びて前記駆動部に接続され、その多数の出力導線のうち、前記3個以上のマニホールド室において内側のマニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続される出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とするものである。
また、請求項9に記載の発明における配線材は、多数の駆動部を有する電気的負荷と外部信号源とを接続し、前記電気的負荷の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子が実装され、前記回路素子と前記電気的負荷とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材であって、前記電気的負荷の1つの平面には、前記多数の駆動部と接続しかつ前記出力導線が接続される表面電極が、前記回路素子からの距離を異にしたものを含んで多数分散して配置されており、全ての前記出力導線の全長が実質上同じになるように、前記出力導線は前記回路素子から前記表面電極を経由してさらに前記電気的負荷における前記回路素子と反対側の端縁近傍まで延長して配線されていることを特徴とするものである。
また、請求項10に記載の発明における液滴吐出ヘッドは、多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、請求項9に記載の電気的負荷であって前記多数のノズルに対応した前記多数の駆動部を有し前記駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、請求項9に記載の配線材とを備えることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、多数の出力導線のうち、配線材において回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、出力導線が電気的負荷と重ならない領域で、他の出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としている。線幅の細い部分を有する熱伝導抑制用の出力導線は、線幅の細い部分が熱を伝え難いから、これを用いて、回路素子と電気的負荷の駆動部とを接続することで、配線材において回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を経て回路素子から電気的負荷へ熱が伝わるのを抑え、他の領域の出力導線を経て電気的負荷に伝わる熱との均等化を図ることができる。これにより、電気的負荷における部分的な温度差が生じるのを抑え、各駆動部の駆動特性にばらつきが生じることを著しく改善することができる。
請求項2に記載の発明によれば、多数の出力導線のうち、配線材において回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、出力導線が電気的負荷と重ならない領域で、他の出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としている。配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線は、配線の周囲に熱を放出するための空間が増えて放出し易いため、これを用いて、回路素子と電気的負荷の駆動部とを接続することで、配線材において回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を経て回路素子から電気的負荷へ熱が伝わるのを抑え、他の領域の出力導線を経て熱との均等化を図ることができる。これにより、電気的負荷における部分的な温度差が生じるのを抑え、各駆動部の駆動特性にばらつきが生じることを著しく改善することができる。
請求項3に記載の発明によれば、回路素子から電気的負荷に延びる多数の出力導線のうち、並び方向の中央部に配置されている出力導線を、熱伝導抑制用の出力導線としている。並び方向の中央部に配置されている出力導線は、両端部に配置されている出力導線に比べて、放熱空間が少ないので、電気的負荷に伝える熱量が多くなる。従って、並び方向の中央部に配置されている出力導線を、熱伝導抑制用の出力導線とすることで、電気的負荷に伝える熱量を均等化し、電気的負荷における部分的な温度差を小さくすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドにおいて、請求項1から3のいずれかに記載の配線材を、電気的負荷であるアクチュエータに接続しているから、回路素子が動作して発熱しても、アクチュエータに生じる部分的な温度差を極めて小さくできる。その結果、アクチュエータの各駆動部毎の駆動特性のばらつきが小さくなり、各ノズルからの液体の吐出特性を安定化させることができる。
請求項5に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドにおけるキャビティ部には、液体を多数のノズルに供給するマニホールド室が、液体を導入する導入口に連通し且つ多数のノズルの配置面と平行に長く形成されている。導入口に近い部位では新しい液体が供給され流速も比較的速いために、液体の温度上昇が少なくアクチュエータから液体へ放熱効果を発揮するが、導入口から遠い部位では液体が停滞し、液体が温度上昇しやすくアクチュエータから液体への放熱効果が少ない。
このため、導入口から遠い部位のマニホールド室に連通したノズルに対応する駆動部に接続する出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線とすることによって、その領域におけるアクチュエータや液体の温度がその他の領域に比べて高くなることを抑制し、各ノズルからの液体の吐出特性を安定化させることができる。
請求項6に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドにおいて上記のように導入口に近い部位と遠い部位とで温度差を生じるため、導入口から遠い部位のマニホールド室に連通したノズルに対応する駆動部に接続する出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線とすることによって、その領域におけるアクチュエータや液体の温度がその他の領域に比べて高くなることを抑制し、各ノズルからの液体の吐出特性を安定化させることができる。
請求項7に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドにおけるキャビティ部には、液体を多数のノズルに供給するマニホールド室が、液体を導入する導入口に連通し且つ多数のノズルの配置面と平行に長くかつ互いに平行に3個以上形成されている。3個以上のマニホール室のうち内側のマニホールド室のインクは、回路素子から受けた熱を放出し難い。このため、多数の出力導線のうち、3個以上のマニホール室のうち内側のマニホールド室に連通した前記ノズルに対応する駆動部に接続される出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線とすることによって、その領域におけるアクチュエータや液体の温度がその他の領域に比べて高くなることを抑制し、各ノズルからの液体の吐出特性を安定化させることができる。
請求項8に記載の発明によれば、液滴吐出ヘッドにおいて上記のように3個以上のマニホールド室で温度差を生じるため、3個以上のマニホールド室のうち内側のマニホールド室に連通したノズルに対応する駆動部に接続される出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線とすることによって、その領域におけるアクチュエータや液体の温度がその他の領域に比べて高くなることを抑制し、各ノズルからの液体の吐出特性を安定化させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、電気的負荷の1つの平面には、多数の駆動部と接続しかつ出力導線が接続される表面電極が、回路素子からの距離を異にしたものを含んで多数分散して配置され、さらに、全ての出力導線の全長が実質上同じになるように、出力導線を、回路素子から表面電極を経由してさらに電気的負荷における回路素子と反対側の端縁近傍まで延長して配線している。これにより、回路素子から表面電極までの距離にかかわらず、回路素子からの熱は、出力導線を経て電気的負荷の端縁近傍まで、電気的負荷に伝わりやすくなる。そのため、回路素子から表面電極までの距離差により電気的負荷において部分的な温度差が生じるのを抑え、駆動部の特性にばらつきが生じることを著しく改善することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の配線材を、電気的負荷であるアクチュエータに接続しているから、回路素子が動作して発熱しても、回路素子から表面電極までの距離差によりアクチュエータに生じる部分的な温度差を極めて小さくできる。その結果、アクチュエータの各駆動部毎の特性ばらつきが小さくなり、ノズルからの液体の吐出特性を安定化させることができる。
以下に本発明をインクジェット式の記録装置に適用した実施形態を説明する。図1は、記録装置1の概略平面図である。この記録装置1は、単独のプリンタ装置に適用しても、あるいは、ファクシミリ機能やコピー機能等の複数の機能を備えた多機能装置のプリンタ機能(記録部)に適用してもよい。
記録装置1には、図1に示すように、キャリッジ2が備えられ、このキャリッジ2には、吐出ヘッド3がそのノズル7をキャリッジ2の下面に露出させて搭載されている。キャリッジ2は、第1ガイド部材5及び第2ガイド部材6に主走査方向(Y軸方向)に移動可能に支持され、キャリッジモータ8に連結された駆動プーリ9と、従動プーリ10とに掛け渡されたタイミングベルト11によってY軸方向に沿って往復移動する。記録媒体である用紙は、キャリッジ2の下方において、主走査方向(Y軸方向)に直交する副走査方向(X軸方向)に搬送される。
装置本体12内には、交換式のインクカートリッジ13が静置されており、ここではインク色の数に応じて、ブラックインク用、シアンインク用、マゼンタインク用、イエローインク用の4つのインクカートリッジ13が備えられている。各インクカートリッジ13のインクは、供給管15を介して、それぞれ独立してキャリッジ2の後述するインク貯留部22に供給される。ここでは、供給管15として、可撓性を有する樹脂製のインク供給チューブを用いている。
キャリッジ2には、図2に示すように、上面を開放した略箱状の筐体すなわちヘッドホルダ20が備えられ、ヘッドホルダ20の底板21の下面側には、補強フレーム24を介在させて、吐出ヘッド3が固着される。ヘッドホルダ20の下面(記録媒体と対向する面)側における段差(凹凸)を緩和させるために、吐出ヘッド3を囲むようにフロントフレーム28(図3参照)が設けられ、このフロントフレーム28は補強フレーム24の下面に貼着されている。
ヘッドホルダ20の底板21の上面側には、インクカートリッジ13から供給されたインクを一旦貯留するインク貯留部22と、回路基板23とが搭載されている。回路基板23は、装置本体12に静置された制御装置(図示せず、請求項における外部信号源に相当)からフレキシブルな配線ケーブル(図示せず)を介して駆動信号を受け、コネクタ23aに接続されたフレキシブル配線材(請求項における配線材に相当)4を介して、吐出ヘッド3のアクチュエータ32に駆動信号を供給する。
フレキシブル配線材4は、この実施形態では、2つまたはそれ以上のフレキシブルな配線材41,51を直列に繋いで構成されているが、1つの配線材で構成してもよい。
ヘッドホルダ20の底板21には開口部21aが貫通形成されており、この開口部21aの内側では、インク貯留部22のインク流出口22aと、吐出ヘッド3の導入口31aとが、補強フレーム24の接続穴24aを介して接続され、インク貯留部22から吐出ヘッド3にインクが色毎に独立して供給される。
底板21には、ヘッドホルダ20の一方の側壁20a寄りの位置に、フレキシブル配線材4を挿通させるスリット孔25が穿設されている。また、底板21には、その下面側に吐出ヘッド3を固着させるための接着剤26を流し込むための貫通孔27が、側壁20aとこれに対向する側壁の両方に沿って、それぞれ複数個ずつ穿設されている。また、底板21には、後述する放熱体52を位置決め固定するためのピン21bが、2本立設されている。
吐出ヘッド3は、特開2005−322850号公報に記載の公知のものと同様で、図4及び図5に示すように、下面側にノズル7が開口し且つ上面側に各ノズル7毎の圧力室35を有するキャビティ部31と、プレート型のアクチュエータ32と、フレキシブル配線材4とを積層して構成されている。この実施形態では、図示していないが、ノズル7は、インク色毎にX方向にそれぞれ列をなし、Y方向に4列有している。また、圧力室35もノズル7に対応して設けられているため、インク色毎にX方向にそれぞれ列をなし、Y方向に4列有している。
キャビティ部31は、図4及び図5に示すように、複数の薄いプレートを積層して形成されており、その内部には、インク貯留部22からキャビティ部31の導入口31aへ導入されたインクが、マニホールド室34を介して、多数の圧力室35に分配されてノズル7に供給されるように一連のインク供給路が構成されている。各マニホールド室34は、X方向の圧力室35の列と平行で且つノズル7の配置面(すなわち下面)と平行にX方向へ長く形成されている。ここでは、マニホールド室34は、各色毎に対応して、全部で4つが互いに平行状に設けられている。また、導入口31aは、図2及び図6に示すように、キャビティ部31の上面におけるX方向の一方の端部に開口し、マニホールド室31aの長手方向の一端に連通している。
アクチュエータ32は、図4〜図6に示すように、全ての圧力室35にわたる大きさを有する扁平形状で且つその扁平な方向と直交する方向に積層された複数のセラミックス層36と、この複数のセラミックス層36間に配置された複数の電極とから構成されている。
電極は、圧力室35毎に形成された個別電極37と、複数の圧力室35に跨って形成されたコモン電極38とを含み、セラミックス層36間にその積層方向に交互に配置されている(図4及び図5参照)。積層方向の各個別電極37は相互に接続されて、アクチュエータ32の表面(フレキシブル配線材4と対向する面)に形成された個別用表面電極37a(図6参照)に、スルーホール等に充填された導電材を介して導通している。また、積層方向の各コモン電極38も相互に接続されて、前記表面に形成されたコモン用表面電極38a(図6参照)に導通している。コモン用表面電極38aは、アクチュエータ32の表面におけるX方向の両側縁寄りの位置に帯状に形成されている。個別用表面電極37aは、両コモン用表面電極38aに挟まれた領域に、キャビティ部31の各圧力室33の位置に実質上対応して設けられており、ノズル列と同様の複数の列状(ここでは4列)に形成されている。
このように電極が設けられたアクチュエータ32では、公知のように個別電極37とコモン電極38との間に挟まれたセラミックス層36の部分が分極され、駆動部として形成される。個別用表面電極37aは、各駆動部と対応して位置する。記録時には、個別用表面電極37aとコモン用表面電極38aとから、両電極37と38間に電圧を印加することで、駆動部が伸長して対応する圧力室35内のインクに圧力を加え、ノズル7からインクを吐出することができる。
フレキシブル配線材4の長手方向の中途部には、アクチュエータ32を駆動するためのICチップ化された回路素子50が実装されている。回路素子50は、外部信号源側から回路基板23を経てシリアル伝送された駆動信号を、多数の個別電極37に対応したパラレル信号に変換し、セラミックス層36の駆動に適した電圧として出力する。回路素子50は、記録時にノズルからインクを吐出する駆動信号を出力することで発熱する。
回路素子50の熱を放出するために、熱伝導率の高い(アルミニウム等)金属製の放熱体52が、ヘッドホルダ20の内側に配置されている。放熱体52は、底板21に略平行で回路素子50と密着する底部52aと、ヘッドホルダ20の側壁20aと略平行でフレキシブル配線材4を回路基板23側に案内する側部52bとが、側面視L字状をなすように形成された部材である。底部42には、取付穴52cが2箇所穿設されており、底板21に立設されたピン21bを取付穴52cに挿通して溶着等を行うことで、放熱体52がヘッドホルダ20に固定される。
フレキシブル配線材4は、アクチュエータ32にその長手方向の一端が接続され、他端がアクチュエータ32からY方向に引き出されて、回路素子50を底板21と放熱体52の底部52aとの間に位置させるように引き回されている。回路素子50は、ゴム状の弾性部材53(図3参照)の弾性力によって放熱体52に熱伝導可能に密着されている。
フレキシブル配線材4には、図6に示すように、回路基板23(外部信号源側)から入力された信号を回路素子50に入力するための入力導線61と、回路素子50からアクチュエータ32側に延びる出力導線62と、共通電位線63とが形成されている。共通電位線63は、フレキシブル配線材4の幅方向の両側縁に沿って広幅に配線され、グランド電位に接続される。入力導線61及び出力導線62は、両共通電位線63の間に、フレキシブル配線材4の幅方向に並んで多数配線されている。また、前述したように、駆動信号は、回路素子50によってシリアル信号から駆動部の数に対応したパラレル信号に変換されるので、出力導線62は入力導線61よりも本数が多く配線密度が高くなっている。
出力導線62及び共通電位線63は、これらを被覆する絶縁層がアクチュエータ32と対向する領域において部分的に除去されて、それぞれに接続電極64が形成されている。出力導線62の接続電極64は個別用表面電極37aに、共通電位線63の接続電極64はコモン用表面電極38aにそれぞれ図示していないバンプ体(導電性ろう材)または導電性接着剤を介して電気的に接続される。
前述したように、個別用表面電極37aは、アクチュエータ32の表面に複数の列状に配置されているから、回路素子50から各個別用表面電極37aまでの距離は多種類ある。また、多数の出力導線62は、アクチュエータ32と対向する領域の手前までは、略平行状に配線されているが、アクチュエータ32と対向する領域では、対応する個別用表面電極37aの位置にまで、複雑に屈曲して互いに重ならないように配線されている(図6では一部のみを図示している)。配線を交差させないために、出力導線62のうちその並び方向の外側寄りに位置する出力導線62は、アクチュエータ32のX方向の端部寄りに位置する個別用表面電極37aに接続される。また、出力導線62のうちその並び方向の中央部寄りに位置する出力導線62は、アクチュエータ32のX方向の中央部寄りに位置する個別用表面電極37aに接続されている。
前述したように、回路素子50の熱は、放熱体52で放熱しているものの十分に放出することは難しく、そのため、熱伝導性を有する出力導線62を介してアクチュエータ32側にも伝わる。多数の出力導線62のうち、中央部に配置されているものは、多数の出力導線において並び方向の両側の出力導線に挟まれて放熱空間が乏しいため、回路素子50から出力導線62を介して伝わる熱が放出され難い。また、このアクチュエータ32の中央部に配置された個別用表面電極37aは、周囲が他の多数の電極で囲まれていて放熱空間が少ないため、出力導線62から伝わった熱が放出され難い。
従って、アクチュエータ32の中央部に配置されている駆動部は、端部寄りに配置されているものよりも、温度が高くなって、複数の駆動部において温度分布の偏りが生じる。このため、各駆動部の駆動特性に影響し、また、インクの温度にも分布の偏りが生じ、インクの吐出特性にばらつきが生じる要因となる。
そこで、この実施形態では、多数の出力導線62のうち、アクチュエータ32の中央部の駆動部に接続される出力導線62、つまり出力導線の並び方向の中央部に配線されている出力導線62を、回路素子50の熱をアクチュエータ32に伝え難くした熱伝導抑制用の出力導線62aにしている。
熱伝導抑制用の出力導線62aは、図7(a)に示すように、他の出力導線よりも細い線幅の部分を有するように形成されており、アクチュエータ32と出力導線62とが重ならない領域で、つまり、アクチュエータ32の手前に、出力導線62の線幅を局部的に細くして、熱の伝わり難い部分を設けているのである。このようにすることで、熱が放出され難い位置に配置された出力導線62aを伝って、回路素子50の熱が、その出力導線62aに対応するアクチュエータ32の駆動部を温度上昇させることを抑え、アクチュエータ32における各駆動部の温度差や各部位におけるインクの温度差を小さくすることができる。その結果、各駆動部の駆動特性やインク吐出特性のばらつきを抑え、インクによる画像形成を高品質なものにすることができる。
熱伝導抑制用の出力導線62aの変形例として、図7(b)に示すように、線幅を局部的に細くするのではなく、全体として他の出力導線62よりも線幅を細くすることで、熱の伝導を抑制してもよい。また、図7(c)に示すように、熱伝導抑制用の出力導線62aを、他の部分の導線よりも、配線ピッチを粗くして、導線の周囲に放熱用の空間を確保することで、熱の伝導を抑制してもよい。上記2つを組み合わせて、熱伝導抑制用の出力導線62aを、他の部分の導線よりも、配線ピッチを粗くしかつ線幅を細くすることで、一層、熱の伝導を抑制することができる。さらに、図7(a)(b)のものにおいてフレキシブル配線材4の幅方向両側から中央に向け、各出力導線の線幅を徐々に細くするようにしてもよく、図7(c)のものにおいてフレキシブル配線材4の幅方向両側から中央に向け、配線ピッチを徐々に粗くするようにしてもよい。
なお、アクチュエータ32での外周寄り部分と中央部分との外部への放熱性の差を考慮して、アクチュエータ32の外周寄り部分の駆動部に接続する出力導線62よりも、中央部分の駆動部に接続する出力導線を、線幅を細く、あるいは配線ピッチを粗くすることもできる。
アクチュエータ32における温度の分布は、キャビティ部31におけるインクの流れにも影響される。これを図8(a)にもとづいて説明すると、マニホールド室34では、導入口31aに近い(上流側)部位71では、インクの流速が大きくかつ回路素子50の熱に影響されない新しいインクが導入口31aから供給されるが、導入口31aから遠い(下流側)部位72では、インクの流速が小さい。つまり、マニホールド室34における導入口31aに近い部位71に対応しているアクチュエータ32の領域は、インクの流れによる放熱効果の影響を受けるため、回路素子50から熱が伝わっても温度上昇が抑制される。一方、マニホールド室34における導入口31aに遠い部位72に対応しているアクチュエータ32の領域は、インクの流れが滞っているため放熱効果が乏しく、回路素子50から伝わる熱で温度上昇しやすい。
そのため、図8(a)に示すように、導入口31aから遠い部位72のマニホールド室34に連通したノズル7に対応する駆動部に接続する出力導線62bを、導入口31aに近い部位71のマニホールド室34に連通したノズル7に対応する駆動部に接続する出力導線62よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線とする。
これにより、導入口31aに近い部位71では、回路素子50からの熱が出力導線62を介して伝わりやすくても、上記のように温度の低い新しいインクが供給されかつその流速が速いので、温度上昇が少ない。一方、導入口31aから遠い部位72においては、そこの駆動部に接続する出力導線62bを伝わる回路素子50の熱を少なくし、同部位での温度上昇を抑えている。したがって、導入口31aに近い部位71と遠い部位72との温度差を少なくできる。
なお、図8(a)のものにおいて、図7(a)のようにアクチュエータ32と出力導線62とが重ならない領域で、出力導線62bの線幅を局部的に細くしてもよい。図7(c)のように、導入口31aから遠い部位72において、近い部位71よりも配線ピッチを粗くしてもよい。さらに、フレキシブル配線材4での放熱を考慮して、フレキシブル配線材4の幅方向の中央において両側よりも、出力導線62の線幅を細くすることもできる。この場合、フレキシブル配線材4の幅方向の両側の出力導線62であっても、導入口31aに近い側の出力導線62は、遠い側の出力線62bよりも線幅を太くする。同様の理由で配線ピッチを異ならせる場合には、導入口31aに近い側では、遠い側よりも配線ピッチを細かくする。
また、図8(b)のように、マニホールド室34が3個以上平行にある場合、回路素子50から伝わった熱は、両外側のマニホールド室34内のインクにおいては、外部へ放出されやすいが、中央に位置するマニホールド室34内のインクに蓄積され、そのインクの温度を上昇させる。これに対処するため、多数の出力導線62のうち、3個以上のマニホールド室34において内側のマニホールド室34に連通したノズル7に対応する駆動部に接続される出力導線62cを、他の駆動部に接続する出力導線62よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線とする。
図8(b)に示す実施形態では、フレキシブル配線材4及びその出力導線62が、マニホールド室34の長く延びる方向と同じ方向に、引き出されている。この場合、3個以上のマニホールド室34において内側のマニホールド室において、導入口31aから遠い部位73に連通したノズル7に対応する駆動部は、上記の細い線幅の出力導線62cに接続される。一方、内側のマニホールド室であっても、導入口31aに近い部位74の駆動部は、前述のように温度上昇が少ないから、両外側のマニホールド室34に連通したノズル7に対応する駆動部とともに、細い線幅の出力導線62cよりも線幅の太い出力導線62に接続される。
これにより、3個以上のマニホールド室34のうち両外側のマニホールド室に対応する部位および内側のマニホールド室であっても導入口31aに近い部位74では、回路素子50からの熱が出力導線62を介して伝わりやすくても、上記のように温度上昇が少ない。一方、内側のマニホールド室において導入口31aから遠い部位73においては、そこの駆動部に接続する出力導線62cを伝わる回路素子50の熱を少なくし、同部位での温度上昇を抑えている。したがって、両部位73,74での温度差を少なくできる。
なお、図8(b)のものにおいて、図7(a)のようにアクチュエータ32と出力導線62とが重ならない領域で、部位73に接続する出力導線62cの線幅を局部的に細くしてもよい。図7(c)のように、部位73に接続する出力導線62cを、近い部位74よりも配線ピッチを粗くしてもよい。さらに、フレキシブル配線材4での放熱を考慮して、フレキシブル配線材4の幅方向の中央において両側よりも、出力導線62の線幅を細く、あるいは配線ピッチを粗くすることもできる。
また、上記図8(a)のものにおいて、図8(b)で説明したように、3個以上のマニホールド室34のうち両外側のマニホールド室での放熱性を考慮して、出力導線62の線幅あるいは配線ピッチを変更するようにしてもよい。
図9は、さらに他の実施形態を説明するもので、コモン用表面電極38aと接続する共通電位線63は省略している。
個別用表面電極37aは、アクチュエータ32の表面に、インク色毎に列をなす等、分散して形成されていて、回路素子50からの距離を異にしたものを多数含んでいる。通常は、図9(a)に示すように、フレキシブル配線材4には、各個別用表面電極37aと平面視において対向する位置に接続電極64を設け、接続電極64と個別用表面電極37aとを接続させるから、複数の出力導線62は、接続する個別用表面電極37aの位置に対応してその全長が異なる。
この場合、出力導線64は、回路素子50側から略平行状に延びるから、回路素子50に近い領域は、出力導線62が密集する密集領域75となり、回路素子50から遠い領域は出力導線62が少ない非密集領域76となる。従って、密集領域75に対応するアクチュエータ32の部位では、回路素子50の熱が多くの出力導線62によって伝わり、非密集領域76に対応するアクチュエータ32の部位では、回路素子50の熱を伝える出力導線62が少ないから、密集領域75に対応するアクチュエータ32の部位に比べて温度上昇が少ない。その結果、アクチュエータ32に部分的な温度差が生じ、第1実施形態と同様に、吐出特性がばらつくことになる。
そこで、本実施形態では、図9(b)に示すように、回路素子50に近い位置の個別用表面電極37aと接続する接続電極64を有する出力導線62を、接続電極64からアクチュエータ32における回路素子50と反対側の端縁付近まで延長して、個別用表面電極37aと接続する全ての出力導線62の全長を実質上同じになるようにしている。つまり、対応する個別用表面電極37aの位置に拘らず、全ての出力導線62を、アクチュエータ32における回路素子50と反対側の端縁近傍にまで延ばして長さを揃えているのである。
これにより、全体領域77において、出力導線62の密度が均一化するするとともに、回路素子50から遠い側のアクチュエータ32の端縁近傍まで、回路素子50の熱を多くの出力導線62によって伝えることができる。従って、アクチュエータ32における部分的な温度差を少なくし、各駆動部及びインクの特性のばらつきを抑え、インクによる画像形成を高品質なものにすることができる。
なお、図9(b)のものにおいて、前記各実施形態のように、フレキシブル配線材4での放熱を考慮して、フレキシブル配線材4の幅方向の中央において両側よりも、出力導線62の線幅を細く、あるいは配線ピッチを粗くすることもできる。また、マニホールドの配置やマニホールドの上流側及び下流側での温度差を考慮して、出力導線62の線幅を細く、あるいは配線ピッチを粗くすることもできる。
上記実施形態の回路素子実装配線材は、液滴吐出ヘッドに適用するだけでなく、多数の駆動部を有する他の電気的負荷、例えば、液晶表示パネルに接続してもよく、また必ずしもフレキシブルな配線材でなくてもよい。
上記各実施形態で説明した液滴吐出ヘッドは、用紙上に文字、図形などの画像を形成するだけでなく、インク以外の液体、例えば液晶表示装置のカラーフィルタなどを着色する着色液を吐出する装置、あるいは導電性液体を塗布して電気回路パターンを形成する装置などにも適用できる。
また、液滴吐出ヘッドは、上記実施形態の圧電方式だけでなく、静電気によって振動板を駆動するもの、ヒータによって液体を局部的に気化して圧力を発生するものなど各種の駆動方式を適用できる。
本発明をインクジェット式の記録装置に適用した概略平面図である。 キャリッジの分解斜視図である。 ヘッドホルダをY方向に沿って切断した縦断面図である。 吐出ヘッドをY方向に沿って切断した縦断面図である。 吐出ヘッドをX方向に沿って切断した縦断面図である。 吐出ヘッドと配線材とを示す分解斜視図である。 (a)配線材4に形成した出力導線を説明する模式的平面図、(b)は他例を説明する模式的平面図、(c)はさらに他例を説明する模式的平面図である。 (a)はマニホールド室と配線材との位置関係を示す模式的平面図。(b)は他例のマニホールド室と配線材との位置関係を示す模式的平面図である。 (a)従来の配線材の出力導線を説明する模式的平面図、(b)はさらに他の実施形態の配線材の出力導線を説明する模式的平面図である。
符号の説明
1 記録装置
2 キャリッジ
3 吐出ヘッド
4 フレキシブル配線材
31 キャビティ部
31a 導入口
32 アクチュエータ
34 マニホールド室
37a 個別用表面電極
38a コモン用表面電極
50 回路素子
62 出力導線
62a,62b,62c 熱伝導抑制用の出力導線

Claims (10)

  1. 多数の駆動部を有する電気的負荷と外部信号源とを接続し、前記電気的負荷の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子が実装され、前記回路素子と前記電気的負荷とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材であって、
    前記多数の出力導線のうち、前記配線材において前記回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、少なくとも前記出力導線が前記電気的負荷と重ならない領域で、他の出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とする配線材。
  2. 多数の駆動部を有する電気的負荷と外部信号源とを接続し、前記電気的負荷の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子が実装され、前記回路素子と前記電気的負荷とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材であって、
    前記多数の出力導線のうち、前記配線材において前記回路素子から伝わる熱が放出されにくい領域の出力導線を、残部の出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とする配線材。
  3. 前記熱伝導抑制用の出力導線は、前記多数の出力導線の並び方向の中央部に配置されている出力導線であることを特徴とする請求項1または2に記載の配線材。
  4. 多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、請求項1から3のいずれかに記載の電気的負荷であって前記多数のノズルに対応した前記多数の駆動部を有し前記駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、請求項1から3のいずれかに記載の配線材とを備える液滴吐出ヘッド。
  5. 多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、
    前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行に長く形成されており、
    前記導入口に近い部位と遠い部位とのうち、前記導入口から遠い部位の前記マニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続する出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、
    前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行に長く形成されており、
    前記導入口に近い部位と遠い部位とのうち、前記導入口から遠い部位の前記マニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続する出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、
    前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行で長くかつ互いに平行に3個以上形成されており、
    前記多数の出力導線のうち、前記3個以上のマニホールド室において内側のマニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続される出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線よりも細い線幅の部分を有する熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、前記多数のノズルに対応した多数の駆動部を有しその駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、前記各駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子を実装しその回路素子と前記各駆動部とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材とを備え、
    前記キャビティ部には、液体を前記多数のノズルに供給するマニホールド室が、外部から前記液体を導入する導入口に連通して前記多数のノズルの配置面と平行で長くかつ互いに平行に3個以上形成されており、
    前記多数の出力導線のうち、前記3個以上のマニホールド室において内側のマニホールド室に連通した前記ノズルに対応する前記駆動部に接続される出力導線を、他の駆動部に接続する出力導線に比べて、隣接する出力導線間の配線ピッチを粗く設定した熱伝導抑制用の出力導線としたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 多数の駆動部を有する電気的負荷と外部信号源とを接続し、前記電気的負荷の駆動部を個別に駆動するための回路を備えた回路素子が実装され、前記回路素子と前記電気的負荷とを電気的に接続する多数の出力導線が形成された配線材であって、
    前記電気的負荷の1つの平面には、前記多数の駆動部と接続しかつ前記出力導線が接続される表面電極が、前記回路素子からの距離を異にしたものを含んで多数分散して配置されており、
    全ての前記出力導線の全長が実質上同じになるように、前記出力導線は前記回路素子から前記表面電極を経由してさらに前記電気的負荷における前記回路素子と反対側の端縁近傍まで延長して配線されていることを特徴とする配線材。
  10. 多数のノズルを有しそのノズルから吐出するための液体を蓄えるキャビティ部と、請求項9に記載の電気的負荷であって前記多数のノズルに対応した前記多数の駆動部を有し前記駆動部を駆動することによって前記ノズルから液体を吐出させるアクチュエータと、請求項9に記載の配線材とを備える液滴吐出ヘッド。
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