JP2009089231A - 圧電薄膜共振子およびその製造方法 - Google Patents

圧電薄膜共振子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パッケージを低背化しながら振動部と蓋体との接触を無くし、信頼性を高めた圧電薄膜共振子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】圧電薄膜振動子101は基板11と蓋体30と構造体100とを備える。構造体100は振動部20と支持部21A,21Bとを備える。振動部20は一対の電極間に配置された圧電薄膜を備える。蓋体30は基板11との内部空間に構造体100を内包する。支持部21A,21Bは振動部20を支持し、梁部24A,24Bとポスト25A,25Bとを備える。梁部24A,24Bは基板21との間に下部クリアランスを設けて振動部20を弾性支持する。ポスト25A,25Bは蓋体30と梁部24A,24Bとの間の上部クリアランスの変化を制限する。
【選択図】図2

Description

この発明は、基板、圧電薄膜を有する振動部、および基板上で振動部を支持する支持部を備える圧電薄膜共振子およびその製造方法に関するものである。
従来、マイクロデバイスとして使用できる程度に小型化した拡がり振動型の圧電振動子が利用されることがあった。拡がり振動型の圧電振動子として、機械的品質係数Qmが高く、共振周波数が1〜10MHz程度の比較的低い周波数であるものが知られている(特許文献1参照。)。
図1は従来の拡がり振動型圧電振動子の構成を示す図である。
拡がり振動型圧電振動子191は、基板192と一対の支持部193,193と一対の支持梁194,194と振動部195とを備える。基板192はSi材料からなる。支持部193と支持梁194はSi材料からなるベース上に絶縁膜や圧電薄膜を配した構成である。支持部193,193は、基板192上に対向して設けられる。支持梁194,194は、支持部193,193間に設けられる。振動部195は、支持梁194,194間に設けられ、基板192に対して上側に浮上した状態で支持される。
振動部195は、振動板196と絶縁膜197と圧電薄膜198と上側電極199Aと下側電極200Aとから構成されている。振動板196は、Si材料から形成される。絶縁膜197は、振動板196上に設けられる。圧電薄膜198はZnO材料からなり、絶縁膜197上に設けられる。上側電極199Aと下側電極200Aとは、圧電薄膜198の上側表面と下側表面とにそれぞれ接触して配設される。支持部193,193には、端子部199B,200Bが形成される。端子部199B,200Bは、上側電極199A,下側電極200Aにそれぞれ導通し、外部からのリード線等が接続される。下側電極200の端子部200B上にはコンタクトホール200Cが形成される。
特開平8−186467号公報
図1に示した拡がり振動型圧電振動子は、梁部分が剛性の高いSi等の材料で厚く形成されるため、圧電薄膜に生じる応力が梁部分に集中しても、梁部分はほとんど撓まない。しかしながら、梁部分や振動部が厚いため、素子全体の低背化には限界があった。
一方、梁部分を剛性が低い材料や薄膜で構成する場合には、圧電薄膜に生じる応力が梁部分に集中した場合に梁部分が弾性変形して、振動部が基板に接触するおそれがある。また、梁部分の弾性係数がばらつき、梁部分の高さを製品毎に均一化することが困難である。したがって、振動部と基板との間の下部クリアランスを一定に制御することが難しく、下部クリアランスは予め広めに設定しておく必要がある。また、このような振動子をCSPなどの小型低背パッケージに封入する場合には、基板だけでなくパッケージの蓋体にも振動部が接触するおそれがあり、振動部とパッケージの蓋体との間の上部クリアランスを一定に制御することも困難である。したがって、上部クリアランスも予め広めに設定しておく必要があり、素子全体の低背化にはやはり限界があった。
そこでこの発明の目的は、パッケージを低背化しながら振動部と蓋体との接触を無くし、信頼性を高めた圧電薄膜共振子およびその製造方法を提供することにある。
本発明の圧電薄膜振動子は、基板と振動部と蓋体と支持部とを備える。振動部は一対の電極間に配置された圧電薄膜を備える。蓋体は基板との内部空間に振動部を内包する。支持部は振動部を支持し、梁部と制限部とを備える。梁部は基板との間に空隙を設けて振動部を弾性支持する。制限部は蓋体と梁部との間隔の変化を制限する。
蓋体と基板との内部空間に振動部を封入しても、制限部によって蓋体と梁部との間隔(上部クリアランス)が制限されるので、圧電薄膜に生じる応力が梁部に集中した場合に梁部が弾性変形しても、上部クリアランスが狭まることが抑制される。したがって、振動部が撓んでも振動部の角や腹が蓋体と接触することを防げる。また、蓋体と梁部との間の上部クリアランスを製品毎に均一化でき、上部クリアランスを最小限に設定してパッケージサイズの低背化が図れる。例えば、振動部の撓み量が高々数μm程度であれば、上部クリアランスも同程度で若干大きくすればよく、パッケージサイズが低背化できる。
制限部は、柱形状であり梁部と蓋体との間に立設すると好適である。簡易な形状で蓋体と梁部との間の上部クリアランスの変化を制限できるためである。
制限部は、梁部上に成膜形成されたものであると好適である。製造時に、圧電薄膜や電極の薄膜形成工程に連続して制限部を形成でき、振動部の撓み量が高々数μm程度であれば、制限部の厚みも同程度でよく、薄膜形成工程で制限部が形成可能になる。
制限部は、蓋体に接着されたものであってもよい。これにより制限部を固定でき、支持部の構造強度を上げることができる。
制限部は導電部を備え、蓋体は外部接続端子を備えても良い。導電部は、制限部の蓋体側の一端から梁部側の一端まで設けられ、振動部の電極に導通する。外部接続端子は、ビアを介して導電部に導通する。したがって、蓋体に設けた外部接続端子と振動部の電極とを導電部を介して接続でき、配線経路長を短縮化できる。このようにして電気抵抗の増大や電気的特性の劣化を抑えられる。
制限部は、樹脂、Au、Cu、Al、Snのうち、いずれかの材料で構成されても良い。これらの、素材は他の素材に比べて柔らかく、梁部に付与する振動を吸収して、振動漏れによる特性の劣化をより効果的に抑制することができる。
振動部は略矩形状であり、支持部は、振動部の対向する2つの辺の両方に設けられてもよい。振動部が両持ち梁構造で支えられると、同一の加重に対する支持部の変形量が、片持ち梁構造に比べて小さくなる。したがって、振動部と基板との間の下部クリアランスを狭められる。また、形状の対称性が保たれ、振動部の線対称または点対称の振動モードに悪影響を与えることなく、良好な電気的特性が得られる。
振動部は略矩形状であり、支持部は、振動部の対向する2つの辺の一方に設けられてもよい。振動部が片持ち梁構造で支えられると、振動部の伸びを抑制するものがなくなり、振動部に撓みが殆ど生じないため、両持ち梁構造に比べて振動部の撓みが少なくなる。したがって、振動部と蓋体との間の上部クリアランスを狭められる。また、振動部の応力による破壊を防ぐことができる。
梁部はアーチ形状でその一端で基板に接続されても良い。梁部の根元が基板に固定されず弾性状態で保持されるので、振動漏れによる特性の劣化をより効果的に抑制することができる。梁部はアーチ形状でその両端で基板に接続されても良い。梁部の変形が小さくなるため、振動部と基板との間の間隙を狭められる。
振動部の膜の圧縮方向の残留応力の大きさが、梁部の膜の圧縮方向の残留応力の大きさに比べて小さいと好適である。梁部の反りの方が振動部の反りよりも大きくなって、振動部の角または腹が基板に接触するのをより効果的に防ぐことができるためである。
本発明の圧電薄膜振動子の製造方法は、基板上に、所定形状の犠牲層と、一対の電極間に圧電薄膜が配置された振動部層と、制限部と、をこの積層順に形成し、基板上の膜構造を構成する工程と、前記基板上から、前記犠牲層を除去する工程と、下層の犠牲層が除去されて前記基板から浮く所定形状の構造体を内包するように、前記基板上に蓋体を裁置する工程と、を含む。
膜構造は、薄膜層に圧縮方向の残留応力をかけて形成すると好適である。
この発明によれば、制限部によって、蓋体と梁部との間の上部クリアランスの変化が制限されるので、支持部や支持梁が弾性変形しても、上部クリアランスが狭まることが抑制される。したがって、振動部が撓んでも振動部の角や腹が蓋体と接触することを防げる。制限部により、上部クリアランスを製品毎に均一化でき、上部クリアランスを最小限にしてパッケージサイズを低背化でき、信頼性を高めた圧電薄膜共振子およびその製造方法を提供できる。
《第1の実施形態》
第1の実施形態に係る圧電薄膜共振子について図2〜図5を参照して説明する。各図は圧電薄膜共振子の底面を水平面に設置した状態を示している。
図2(A)は圧電薄膜共振子101の斜視図である。図2(B)は圧電薄膜共振子101の蓋体30を除く主要部の斜視図である。
圧電薄膜共振子101は、基板(素子ウエハ)11と蓋体30と構造体100とを備える。蓋体30は、枠体31と天板32とから構成される。枠体31は蓋体30の側壁面を構成し、天板32は蓋体30の天井面を構成する。蓋体30は、基板11の上に配置される。
基板11と蓋体30との内部空間には、構造体100が収容される。構造体100は、振動部20と支持部21Aと支持部21Bとを備える。支持部21Aと支持部21Bとは、振動部20の両端を支持し、振動部20と基板11との間および振動部20と天板32との間に数μm程度のクリアランスを設ける。これらのクリアランスは後述する製造工程において、基板上に設けられた擬制層を除去することで形成される。
振動部20は、矩形状の平板であり、圧電薄膜の層を含む。振動部20は圧電薄膜の拡がり振動モード、または長さ振動モードで共振する。この実施形態では、振動部20への電気的な接続は、支持部21A,21Bと基板11とを介して行われる。
振動部20が支持部21A,21Bによって両持ち梁構造で支えられるため、構造体100の形状の対称性が保たれ、振動部20の線対称または点対称の振動モードに悪影響を与えることなく、良好な電気的特性が得られる。また、振動部20を片持ち梁構造で支える場合に比べて各支持部に付与される重量が小さくなるため、各支持部の変形量が小さくなり、振動部20と基板11との間の下部クリアランスを狭く設定していても、振動部20と基板11とが接触する危険性を低減できる。
支持部21A,21Bは、梁部24A,24Bとポスト25A,25Bとを備えている。
梁部24A,24Bは、ブリッジ22A,22Bとアーチ23A,23Bとから構成される。梁部24A,24Bは、詳細を後述するが、振動部20から連続する圧電薄膜層を含み、この圧電薄膜層は、基板11上にまで連続する。
アーチ23A,23Bは、上に凸な弓形状(アーチ形状)に撓んだ部材であり、その両端P,Pで基板11に保持されている。アーチ23A,23Bが、振動部20と基板11との間の下部クリアランスを約5μm程度に維持する。アーチ23A,23Bは、製造工程において基板と平行な方向に圧縮の残留応力をかけて形成され、下層に設けられる擬制層を除去することで圧縮の残留応力が開放されて弓形状になる。
ブリッジ22A,22Bは、アーチ23A,23Bの頂点または頂点近傍から基板11と平行に、且つ、アーチ23A,23Bの延設方向に略垂直に延びている。ブリッジ22A,22Bは、アーチ23A,23Bと振動部20との間に架設されている。
ポスト25A,25Bは、円柱形状であり、アーチ23A,23Bの頂点または頂点近傍から天井面側に延びている。ポスト25A,25Bの高さは、振動部20が最大限撓む場合であっても、振動部20と天板32とが接触することがないように設定されている。ポスト25A,25Bによって、天板32と梁部24A,24Bとの間の上部クリアランスの変化が制限され、この上部クリアランスがポスト25A,25Bの高さよりも狭まることが抑制される。したがって、振動部20が撓んでもその角や腹が天板32と接触することを防げる。
図3(A)は圧電薄膜共振子101の図3(B),(C)中のA−A部分の断面図(上断面図)であり、図3(B)は図3(A)中のB−B部分の断面図、図3(C)は図3(A)中のC−C部分の断面図である。
振動部20は、基板11側から順に、絶縁層12、下部電極13、圧電薄膜14、上部電極15、応力調整膜16、温度特性補償膜17が積層された膜構造を備える。ブリッジ22Aは、振動部20の膜構造から下部電極13を除いた膜構造である。ブリッジ22Bは、振動部20の膜構造から上部電極15を除いた膜構造である。アーチ23Aは、振動部20の膜構造から下部電極13と応力調整膜16とを除いた膜構造である。アーチ23Aのさらに上層には、ポスト25Aとなる層が積層される。アーチ23Bは、振動部20の膜構造から上部電極15と応力調整膜16とを除いた膜構造である。アーチ23Bのさらに上層には、ポスト25Bとなる層が積層される。なお、基板11は、抵抗率の高い材料の基材、例えば、ガラス基板、高抵抗Si基板、GaAs基板などであり、図示を省いているが、その上に、アーチ23A,23Bと同様の膜構造が形成されている。また、上部電極15はアーチ23Aの一端から、引出電極として基板11上に引き出される。また、下部電極13はアーチ23Bの一端から引出電極として基板11上に引き出される。
図中ではポスト25A,25Bは、天井面側の端部が天板32と間隔を隔てているが、この間隔はアーチ23A,23Bの撓み量に応じて変化する。アーチ23A,23Bの撓み量が極めて大きい場合には、ポスト25A,25Bは天板32に接触する。したがって、アーチ23A,23Bの撓み量がどの程度であっても、振動部20と天板32との間の上部クリアランス42は、少なくともポスト25A,25Bの高さ分だけ確保できる。このため、仮に製品毎にアーチ23A,23Bの高さがばらついていても、振動部20と天板32との間の上部クリアランス42を最小限に設定でき、パッケージサイズが低背化できる。例えば、振動部20の撓み量が高々1μmであるならば、ポスト25A,25Bの高さを1μmか、それより若干大きい程度にすることで、振動部と蓋体との間の上部クリアランス42を十分に確保できる。
なお、ポスト25A,25Bは、天板32に対して接着するようにしてもよい。その場合には、ポスト25A,25B、および梁部24A,24Bを天板32に対して固定でき、支持部21A,21B全体の構造強度を上げることができる。その場合、ポスト25A,25Bは、柔らかい材料で構成されると好適である。柔らかい材料としては、例えば、樹脂や金Au、銅Cu、アルミニウムAl、スズSnなどがある。ポスト25A,25Bに、このような材料を採用することによって、梁部24A,24Bに生じる振動をダンピングして、振動漏れによる特性の劣化を効果的に抑制することができる。
図4は、製造工程での基板11上の薄膜層の構成例を説明する図である。
図4(A)は犠牲層40の除去前の基板11を上面視した図であり、図4(B)は犠牲層40除去前のアーチ23Aの断面図であり、図4(C)は犠牲層40除去後のアーチ23Aの断面図である。
圧電薄膜共振子101の製造工程では、まず、基板11上に所定パターンの犠牲層40が成膜される。犠牲層40はレジスト材にて構成される。
そして、犠牲層40上と基板11上に図3で示した膜構造の薄膜層43が成膜される。犠牲層40上には、薄膜層43のうち、振動部20、ブリッジ22A,22B、ポスト25A,25B、およびアーチ23A,23Bの中央領域が形成される。基板11上には、薄膜層43のうち、アーチ23A,23Bの両端領域が形成される。
そして、犠牲層40がレジスト除去工程などにより除去される。
これにより、振動部20とブリッジ22A,22Bとアーチ23A,23Bとの下部に下部クリアランス41が形成される。またアーチ23A,23Bは、圧縮の残留応力が開放されて膜が伸び、弓形状に変形する。
その後、蓋体30が基板11上に裁置される。アーチ23A,23Bの撓み量が大きい場合には、アーチ23A,23Bの最上部に設けられたポスト25A,25Bが蓋体30の天板32に接触し、アーチ23A,23Bの最上部が押し下げられる。したがって、振動部20と蓋体30との間の上部クリアランスが確保され、圧電薄膜共振子101が製造される。
次に、膜構造の詳細について説明する。
図5(A)は振動部20とブリッジ22A,22Bとの膜構造、図5(B)はアーチ23A,23Bの膜構造についてそれぞれ示している。
絶縁層12はSiO2からなり、厚さ1.7μmで、基板と平行な方向に180MPaの圧縮の残留応力が作用している。この絶縁層12の上部の圧電薄膜14はAlNからなり、厚さ1.6μmで、基板と平行な方向に80MPaの圧縮の残留応力が作用している。振動部20の圧電薄膜14の上下には上部電極15および下部電極13が存在するが、共に膜厚が薄く、残留応力の影響が小さいため、この図5では図示を省略している。応力調整膜16はAlNからなり、厚さ0.8μmで、基板と平行な方向に100MPaの引っ張りの残留応力が作用している。最上層の温度特性補償膜17はSiO2からなり、厚さ3.3μmで、基板と平行な方向に180MPaの圧縮の残留応力が作用している。
図5(A)に示すように振動部とブリッジとでは、圧縮の残留応力が作用する圧電薄膜14と引っ張りの残留応力が作用する応力調整膜16とが積層され、それらの間で残留応力が相殺される。したがって、振動部の膜の圧縮の残留応力の大きさがアーチの膜の圧縮の残留応力の大きさに比べて小さい。そのため振動部・ブリッジは大きく撓むことがなく、比較的平坦な状態を維持する。
一方、図5(B)に示すようにアーチには図5(A)の応力調整膜16が存在せず、アーチ23A,23Bはいずれも圧縮の残留応力が作用する絶縁層12、圧電薄膜14、および温度特性補償膜17で構成している。そのため、犠牲層の除去後、アーチは基板11の面方向に延び、それに伴い、基板11に対し垂直方向に持ち上がってアーチ状となる。このとき、アーチを確実に上方向に反らすために、アーチの膜の圧縮の残留応力を上方部と下方部とで比べた場合、上方部の方が大きくなるようにするとなお良い。その結果、図2に示したように振動部20はブリッジ22A,22Bで支持された状態で基板11上に下部クリアランス41を介して支持されることになる。アーチの撓み量(高さ)はアーチの長さおよび圧縮の残留応力の強度によって設定することができる。
なお、ここで示した膜構造は、あくまで例示であり、他の膜構造を採用しても良い。例えば、膜厚や残留応力の大きさ、膜の順番が異なる構成であってもよい。また、振動部に圧縮の残留応力のみが作用するように構成してもよい。また、アーチでも引っ張りの残留応力が作用する層を設けて構成してもよい。
また、図2・図3に示した構造によれば、振動部20への電気的な配線はアーチ23A,23B、ブリッジ22A,22B、および基板11を介して行うが、アーチ23A,23Bは基板11に対してそれぞれ両端P,Pで接しているため、それら2箇所から並行して配線することによって配線抵抗を減らすことができる。またそのことにより、アーチ23A,23Bに電極の段差が生じないので、その上に形成した膜において、電極の段差による膜の構造上の不連続性が生じることがなく、アーチ23A,23Bの機械的強度が増す。
但し、基板上への配線パターンの引回しの都合上アーチの片方から配線するようにしてもよい。また、2本の支持部21A,21Bのうち片方の支持部から上部電極15および下部電極13への配線を行ってもよい。そのことにより外部電極の取り出しを基板の片側に寄せることができ、全体のチップサイズを縮小化が容易となる。
《第2の実施形態》
図6は第2の実施形態に係る圧電薄膜共振子102の断面図である。図3(B)に示した圧電薄膜共振子101と異なるのは、ポスト115A,115Bの構造、および天板112の構造である。
ポスト115A,115Bは、導電性材料で構成され、アーチに設けられた上部電極15または下部電極13から天板112に接触する位置まで形成されている。ポスト115A,115Bの材料は、金Au、銅Cu、アルミニウムAl、スズSnなどであると好ましい。ポスト115A,115Bは本発明の導電部を兼ねている。
天板112は、その天面に外部接続用の電極113A,113Bが形成され、その底面にポスト115A,115Bとの接続用の電極114A,114Bが形成され、電極113A,113Bと電極114A,114Bとがビア116A,116Bを介して導通する。
したがって、上部電極15はポスト115Aから、下部電極13はポスト115Bから、引出電極として天板の天面の電極113A,113Bに引き出している。これにより、天板112に設けた電極113A,113Bを外部接続端子として、上部電極15や下部電極13から外部接続端子までの配線経路長を短くできる。そのため、電気抵抗の増大や電気的特性の劣化を抑えられる。
また、振動部20の上部電極15や下部電極13から外部接続端子までの電気的接続を、基板11を介さずに行えるので、基板11の絶縁性が低くてもよくなり、基板11の材料選択の自由度が高まり、膜形成プロセスの自由度も高まる。
《第3の実施形態》
図7は第3の実施形態に係る圧電薄膜共振子103の主要部の斜視図である。図2に示した圧電薄膜共振子101と異なるのはアーチ123A,123Bの形状である。
振動部20は支持部121A,121Bによって両端が支持され、梁部124A,124Bによって、基板との間に所定の下部クリアランスが設けられている。支持部121Aは振動部20の一方の短辺中央から引き出したブリッジ22Aと一端が基板に接するアーチ123Aとで構成している。同様に支持部121Bは振動部20の他方の短辺中央から引き出したブリッジ22Bと一端が基板に接するアーチ123Bとで構成している。
アーチ123A,123Bはそれぞれ一端Pのみで基板に接続するので犠牲層の除去後の圧縮の残留応力の解放による撓みを利用することができない。そのためアーチ123A,123Bの下部の犠牲層は予め半弓形状(アーチ形状)に形成しておく。
2つのアーチ123A,123Bは、基板から立ち上がって延びる方向が同一方向であるが、互いに逆向きに延びるようにアーチの基板への接続位置を定めてもよい。
《第4の実施形態》
図8は第4の実施形態に係る圧電薄膜共振子104の主要部の斜視図である。図2に示した圧電薄膜共振子101において振動部20の一方の短辺の中央からのみ支持部21Aで支持するようにしたものに相当する。
このような片持ち梁構造とすれば支持部の基板上での占有面積を縮小化でき全体に小型化が図れる。また、振動部の片側が支持されていないので、振動部での膜構造の上方部と下方部との残留応力を等しくしておけば、振動部は平坦な状態を実現できる。
《第5の実施形態》
図9は第5の実施形態に係る圧電薄膜共振子105の主要部の斜視図である。図2に示した圧電薄膜共振子101と異なるのは支持部131A,131Bの構造である。
振動部20は支持部131A,131Bによって両端が支持され、梁部134A,134Bによって、基板との間に所定の下部クリアランスが設けられている。梁部134A,134Bは振動部20の短辺中央から引き出し、一端が基板に接する半弓形状のものである。
なお、第1〜第5のいずれの実施形態においても、振動部20は平坦であり且つ基板にほぼ平行であることが望ましいが、少なくとも振動部20が基板に接触しなければよい。この発明によれば、振動部20と基板11との間に十分な空隙部を形成することができるので、振動部20は上方向に凸、下方向に凸またはその複合された形状に多少撓んでいてもよい。また、基板に対して多少非平行であってもよい。
また、アーチの形状は、上面視して長方形であれば好適であるが、それ以外にも、例えばミアンダ形状としてもよい。
従来の圧電薄膜共振子の構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る圧電薄膜共振子の斜視図である。 同圧電薄膜共振子の断面図である。 同圧電薄膜共振子の製造工程を説明する図である。 同圧電薄膜共振子の膜構造の例を示す図である。 第2の実施形態に係る圧電薄膜共振子の断面図である。 第3の実施形態に係る圧電薄膜共振子の主要部の斜視図である。 第4の実施形態に係る圧電薄膜共振子の主要部の斜視図である。 第5の実施形態に係る圧電薄膜共振子の主要部の斜視図である。
符号の説明
11…基板
13…下部電極
14…圧電薄膜
15…上部電極
20…振動部
21A,21B,121A,121B,131A,131B…支持部
22A,22B…ブリッジ
23A,23B…アーチ
24A,24B…梁部
25A,25B,115A,115B…ポスト
30…蓋体
32…天板
40…犠牲層
41…下部クリアランス
42…上部クリアランス
100…構造体
101〜105…圧電薄膜共振子
116A,116B…ビア

Claims (11)

  1. 基板と、一対の電極間に圧電薄膜が配置された振動部と、前記基板との内部空間に前記振動部を内包する蓋体と、前記振動部を支持する支持部と、を備える圧電薄膜共振子であって、
    前記支持部は、前記基板との間に空隙を設けて前記振動部を弾性支持する梁部と、前記蓋体と前記梁部との間隔の変化を制限する制限部とを備える圧電薄膜共振子。
  2. 前記制限部は、柱形状であり前記梁部と前記蓋体との間に立設する、請求項1に記載の圧電薄膜共振子。
  3. 前記制限部は、前記梁部上に成膜形成された、請求項2に記載の圧電薄膜共振子。
  4. 前記制限部は、前記蓋体に接着された、請求項2または3に記載の圧電薄膜共振子。
  5. 前記制限部は、前記振動部の前記一対の電極の一方に導通する、前記蓋体側の一端から前記梁部側の一端まで設けられた導電部を備え、
    前記蓋体は、スルーホールを介して前記導電部に導通する外部接続端子を備える、請求項2〜4のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
  6. 前記制限部は、樹脂、Au、Cu、Al、Snのうち、いずれかの材料で構成された、請求項2〜5のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
  7. 前記振動部は略矩形状であり、
    前記支持部は、前記振動部の対向する2つの辺の一方、または両辺に設けられる、請求項1〜6のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
  8. 前記梁部は、第一端で前記基板に接続され第二端で前記振動部に接続されるアーチ形状、または、両端で前記基板に接続され略中央で前記振動部に接続されるアーチ形状である、請求項1〜7のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
  9. 前記振動部の膜の圧縮方向の残留応力の大きさが、前記梁部の膜の圧縮方向の残留応力の大きさに比べて小さい、請求項1〜8のいずれかに記載の圧電薄膜共振子。
  10. 基板上に、所定形状の犠牲層と、一対の電極間に圧電薄膜が配置された薄膜層と、制限部と、をこの積層順に形成し、基板上の膜構造を構成する工程と、
    前記基板上から前記犠牲層を除去する工程と、
    下層の犠牲層が除去されて前記基板から浮く所定形状の構造体を内包するように、前記基板上に蓋体を載置する工程と、を含む圧電薄膜共振子の製造方法。
  11. 前記膜構造は、前記薄膜層に圧縮方向の残留応力をかけて形成する請求項10に記載の圧電薄膜共振子の製造方法。
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