JP2009088625A - アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化が可能な円偏波アンテナを提供する。
【解決手段】アンテナ1は、平面2Aを有する接地導体2と、誘電体基板4の主表面4A上に形成される放射素子11〜14とを備える。接地導体2の平面2Aと誘電体基板4の主表面4Aとは平行である。放射素子11,12は互いに同一の矩形を有し、かつ直交する。放射素子13,14は互いに同一の矩形を有し、かつ直交する。各放射素子の端部は接地パターン15に接続される。誘電体基板4と接地導体2との間に金属スペーサが設けられ、誘電体基板4は複数の金属ネジ8により金属スペーサに取り付けられる。複数の金属ネジ8、接地パターン15および金属スペーサは各放射素子の端部を接地導体2に短絡するための短絡部を構成する。給電点P1〜P4の各々には給電線が接続される。よってアンテナ1は第1〜第4の逆F型アンテナを含むアンテナと等価になる。
【選択図】図3

Description

本発明はアンテナに関し、特に、円偏波アンテナに関する。
従来、円偏波アンテナの構造に関する様々な技術が提案されている。たとえば米国特許第6452560号明細書(特許文献1)には、スロットアレーアンテナが開示される。このスロットアレーアンテナは、絶縁基板と、接地板と、電波吸収材とを備える。絶縁基板の表面上の導電層には複数のスロット(細長い溝)が形成される。さらに電波吸収材は絶縁基板と接地板とに挟まれる。
特許第3898101号公報(特許文献2)にはスパイラルアンテナが開示される。このスパイラルアンテナは、グランドプレーン(接地面)と、スパイラル素子と、そのスパイラル素子を取り囲むようにグランドプレーン上に設置された、導体からなる壁とを備える。
特開2007−68096号公報(特許文献3)には、2段重ねのパッチアンテナを備える2周波共用アンテナが開示される。
米国特許第6452560号明細書 特許第3898101号公報 特開2007−68096号公報
従来の円偏波アンテナの場合、構造が複雑化するという課題、あるいはサイズが大きくなるという課題がある。
たとえば米国特許第6452560号明細書に開示されたスロットアレーアンテナの場合、電波吸収材によって、所望の偏波(たとえば右旋円偏波)と異なる成分(たとえば左旋円偏波)を打ち消すことができる。しかし電波吸収材が絶縁基板と接地板とに挟まれているので絶縁基板と接地板との間隔が大きくなる。
特許第3898101号公報に開示されたスパイラルアンテナの場合、所望の偏波と異なる成分を打ち消すために、スパイラル素子とグランドプレーンとの間隔が大きくなる。
特開2007−68096号公報に開示された2周波共用アンテナの場合、使用周波数帯が互いに異なる2つのパッチアンテナが重ねられる。しかしながら、この2周波共用アンテナは複雑な構造を有する。また2周波共用アンテナのサイズも大きくなる。
円偏波アンテナの構造を簡単にするための方法として、たとえばプリント基板の製造技術を用いることにより、誘電体基板の表面の導電体をアンテナの形状に加工する方法が考えられる。この方法により作製されたアンテナの代表例として、誘電体基板の表面に形成されたダイポールアンテナ(プリントダイポールアンテナ)を挙げることができる。
図14は、プリントダイポールアンテナにより構成された円偏波アンテナを示す図である。図14を参照して、アンテナ101は、誘電体基板104と、放射素子111〜114と、給電線115〜118とを備える。放射素子111〜114と給電線115〜118とは、誘電体基板104の主表面104A上に設けられた導電体をエッチング等の方法を用いて加工することにより形成される。
放射素子111,112は第1のダイポールアンテナを構成する。放射素子113,114は第2のダイポールアンテナを構成する。第1のダイポールアンテナおよび第2のダイポールアンテナは互いに直交するように誘電体基板104の主表面104A上に配置される。
位相遅延回路141は、第1のダイポールアンテナ(放射素子111,112)および第2のダイポールアンテナ(放射素子113,114)に給電するための給電回路である。位相遅延回路141は、第1のダイポールアンテナの給電の位相(0°とする)に対して第2のダイポールアンテナの給電の位相を90°遅延させる。これによりアンテナ101は、円偏波を受信(または送信)することができる。
ここで、給電線115〜118は位相遅延回路141に接続される。さらに放射素子111〜113は、給電線115〜117にそれぞれ接続される。しかし給電線118と放射素子114とは直接的に接続できない。このため給電線116を跨ぐジャンパ119により放射素子114と給電線118とが接続される。しかしながら、ジャンパ119を設けることによってアンテナ101の構造が複雑になる。
なお、放射素子114と給電線118とを接続する配線を形成するためのスペースが確保されるよう、大きな主表面を有する誘電体基板を用いることも考えられる。しかしながら主表面104Aが大きくなることによってアンテナ101のサイズが大きくなる。
本発明の目的は、上述の課題を解決するためのものであって、その目的は、小型化が可能な円偏波アンテナを提供することである。
本発明は要約すれば、アンテナであって、第1の平面を有する接地導体と、第1の平面に平行な第2の平面上に配置される複数の放射素子とを備える。複数の放射素子は、互いに同一の矩形を有する第1および第2の放射素子を含む。第1および第2の放射素子は、第1の放射素子の長辺に沿った第1の放射素子の中心線である第1の直線と、第2の放射素子の長辺に沿った第2の放射素子の中心線である第2の直線との交点を回転中心として互いに90度回転対称である。第1の放射素子は、第1の給電点と、第1の給電点に対して第2の直線に近い側に位置する第1の端部とを有する。第2の放射素子は、第2の給電点と、第2の給電点に対して第1の直線に近い側に位置する第2の端部とを有する。アンテナは、第1の給電点に接続される第1の給電線と、第2の給電点に接続される第2の給電線と、第1および第2の端部ならびに接地導体に接続されることにより第1および第2の端部を接地導体に短絡する短絡部とをさらに備える。
好ましくは、複数の放射素子は、第2の平面上、かつ第2の直線に対して第1の放射素子の反対側に配置される第3の放射素子と、第2の平面上、かつ第1の直線に対して第2の放射素子の反対側に配置される第4の放射素子とをさらに含む。第3および第4の放射素子は、互いに同一の矩形を有するとともに、交点を回転中心として互いに90度回転対称である。第3の放射素子の長辺の長さは、第1の放射素子の長辺の長さと異なる。第3の放射素子は、第3の給電点と、第3の給電点に対して第2の直線に近い側に位置し、かつ短絡部に接続される第3の端部とを有する。第4の放射素子は、第4の給電点と、第4の給電点に対して第1の直線に近い側に位置し、かつ短絡部に接続される第4の端部とを有する。アンテナは、第3の給電点に接続される第3の給電線と、第4の給電点に接続される第4の給電線とをさらに備える。
好ましくは、アンテナは、第1の主表面と、第1の主表面の反対側に位置する第2の主表面とを有する誘電体基板をさらに備える。第2の平面は、第1の主表面である。複数の放射素子の各々は、第1の主表面に設けられた導電体である。
より好ましくは、誘電体基板は、第2の主表面が第1の平面に対向するように配置される。
より好ましくは、誘電体基板は、第1の主表面が第1の平面に対向するように配置される。
本発明によれば円偏波アンテナを小型化することが可能になる。
以下において、本発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態の円偏波アンテナの利用形態を説明するための図である。図1を参照して、アンテナ1は人工衛星50から送信された電波信号を受信するとともに、その電波信号を受信機20に出力する。この電波信号は円偏波であり、アンテナ1は円偏波アンテナである。
多くの衛星通信システムでは、人工衛星から円偏波が送信される。したがって円偏波を受信するためのアンテナが必要となる。図1に示すように、アンテナ1は衛星通信システムに適用することが可能である。
本実施の形態では、人工衛星50はGPS(Global Positioning System)衛星である。よく知られているように、GPSは現在位置を測位するためのシステムである。GPSは、上空約2万kmを周回する24個のGPS衛星(6軌道面に4個ずつ配置)、GPS衛星の追跡と管制を行なう管制局、測位を行なうための受信機で構成される。たとえば航空機あるいは船舶は、4個以上のGPS衛星からの距離を同時に知ることにより、自分の位置等を測位することができる。GPS衛星からの距離は、GPS衛星から発信された電波が受信機に到達するまでに要した時間から求められる。
GPS衛星が送信する電波の周波数帯は、L1帯(周波数1.575GHz)およびL2帯(周波数1.228GHz)を含む。近年では測定精度を高めるためにL1帯およびL2帯の両方を用いた測位および測量が行なわれている。アンテナ1は、このような測位および測量のためにL1帯の電波およびL2帯の電波の両方を受信する2周波共用円偏波アンテナである。
次に、アンテナ1の構成について説明する。
図2は、アンテナ1の構成を示す斜視図である。
図3は、図2に示すアンテナ1の平面図である。
図4は、図3に示す矢印A方向のアンテナ1の側面図である。
図5は、図3に示す矢印B方向のアンテナ1の側面図である。
図2〜図5を参照して、アンテナ1は、接地導体2と、誘電体基板4と、金属スペーサ6と、複数の金属ネジ8とを備える。
接地導体2は板状の導電体であり、平面2Aを有する。誘電体基板4は、互いに平行な主表面4A,4Bを有する。誘電体基板4は、その主表面4Bが接地導体2の平面2Aと対向するように配置される。
金属スペーサ6は接地導体2と誘電体基板4とに挟まれる。複数の金属ネジ8の各々のネジ部分は誘電体基板4、金属スペーサ6および接地導体2を貫通する。複数の金属ネジ8によって誘電体基板4が金属スペーサ6に取り付けられるとともに、金属スペーサ6が接地導体2に取り付けられる。なお、複数の金属ネジ8の各々のネジ部分の先端は接地導体2を貫通せずに接地導体2の内部に位置してもよい。
金属スペーサ6は、誘電体基板4の主表面4Bに接する平面6Aと、接地導体2の平面2Aに接する平面6Bとを有する。平面6Aと平面6Bとは平行である。また、上述したように誘電体基板4の主表面4A,4Bは平行である。よって主表面4Aは平面2Aと平行である。
アンテナ1は、さらに、放射素子11〜14と、接地パターン15とを備える。放射素子11〜14と接地パターン15とは誘電体基板4の主表面4Aに配置される。放射素子11〜14と、接地パターン15とは、たとえば誘電体基板4の主表面4Aに設けられた導電体をエッチング等の方法を用いて加工することにより形成される。このような加工技術はプリント基板の製造では一般的に用いられている。よって、放射素子11〜14と接地パターン15とを容易に形成することができる。
放射素子11,12は互いに同一の長方形である。直線Xは、放射素子11の長辺に沿った放射素子11の中心線である。直線Yは、放射素子12の長辺に沿った放射素子12の中心線である。放射素子11,12は、直線X,Yの交点Oを回転中心として互いに90°回転対称である。したがって、放射素子11の長辺の方向と放射素子12の長辺の方向とは直交する。
放射素子13は直線Yに対して放射素子11と反対側に位置する。放射素子14は直線Xに対して放射素子12と反対側に位置する。放射素子13,14は同一の長方形である。
放射素子13の長辺に沿った放射素子13の中心線は直線Xである。放射素子14の長辺に沿った放射素子14の中心線は直線Yである。放射素子13,14は、直線X,Yの交点Oを回転中心として互いに90°回転対称である。したがって、放射素子13の長辺の方向と放射素子14の長辺の方向とは直交する。
なお、以下では、放射素子11の長辺の方向と放射素子12の長辺の方向とが直交することを「放射素子11と放射素子12とが直交する」と説明する。同様に、以下では、放射素子13の長辺の方向と放射素子14の長辺の方向とが直交することを「放射素子13と放射素子14とが直交する」と説明する。
放射素子11〜14は給電点P1〜P4をそれぞれ有する。放射素子11〜14は、さらに、端部11A〜14Aをそれぞれ有する。
端部11Aは、給電点P1に対して直線Yに近い側に位置する。
端部12Aは、給電点P2に対して直線Xに近い側に位置する。
端部13Aは、給電点P3に対して直線Yに近い側に位置する。
端部14Aは、給電点P4に対して直線Xに近い側に位置する。
各放射素子の端部(端部11A〜14A)は接地パターン15に接続される。接地パターン15は、複数の金属ネジ8の各々のネジ頭と接触する。上述したように金属ネジ8のネジ部分は金属スペーサ6および接地導体2を貫通する。複数の金属ネジ8によって、接地パターン15と金属スペーサ6と接地導体2とが短絡される。これにより各放射素子の端部(端部11A〜14A)は接地導体2と短絡される。すなわち、接地パターン15、複数の金属ネジ8、および金属スペーサ6は、各放射素子11の端部を接地導体2に短絡するための短絡部を構成する。
図4および図5を参照して、アンテナ1は、さらに、給電線21〜24と、コネクタ31〜34とを有する。
給電線21は、給電点P1とコネクタ31とを接続する。
給電線22は、給電点P2とコネクタ32とを接続する。
給電線23は、給電点P3とコネクタ33とを接続する。
給電線24は、給電点P4とコネクタ34とを接続する。
図6は、図4に示す給電線24の近傍をより詳細に説明する図である。図6を参照して、給電線24の一方端は、はんだ35によって放射素子14と接続される。これにより給電線24と給電点P4とが電気的に接続される。なお図4および図5に示すように給電線21〜23の各々の一方端も、はんだ35によって対応する放射素子に接続される。したがって給電線21〜24は、給電点P1〜P4とそれぞれ電気的に接続される。
本実施の形態のアンテナ1は、第1〜第4の逆Fアンテナを含むアンテナと等価である。
第1の逆Fアンテナは、接地導体2と、放射素子11と、給電線21と、短絡部(複数の金属ネジ8、接地パターン15、および金属スペーサ6)とにより構成される。
第2の逆Fアンテナは、接地導体2と、放射素子12と、給電線22と、短絡部とにより構成される。
第3の逆Fアンテナは、接地導体2と、放射素子13と、給電線23と、短絡部とにより構成される。
第4の逆Fアンテナは、接地導体2と、放射素子14と、給電線24と、短絡部とにより構成される。
放射素子11と放射素子12とは直交する。放射素子11と放射素子12とに給電し、かつ、放射素子11の給電の位相と放射素子12の給電の位相とを90°異ならせることにより、第1および第2の逆Fアンテナは円偏波を受信することができる。
同様に、放射素子13と放射素子14とは直交する。したがって放射素子13と放射素子14とに給電し、かつ、放射素子13の給電の位相と放射素子14の給電の位相とを90°異ならせることにより、第3および第4の逆Fアンテナは円偏波を受信することができる。
放射素子11,12の各々の長辺の長さはa1である。放射素子13,14の各々の長辺の長さはa2である。a1,a2は、使用周波数帯の中心波長の約1/4の長さに設定される。本実施の形態では、a1,a2は、第1および第2の逆Fアンテナからなる円偏波アンテナの使用周波数帯と、第3および第4の逆Fアンテナからなる円偏波アンテナの使用周波数帯とが異なるよう設定される。したがってアンテナ1を2周波共用アンテナとして用いることができる。図3に示すように本実施の形態ではa1はa2より小さい。
図7は、放射素子11〜14に給電するための給電回路を示す図である。図7を参照して、給電回路40は、位相遅延回路41と、位相遅延回路42とを含む。
位相遅延回路41は、コネクタ31,32に接続されることにより放射素子11,12に給電する。位相遅延回路41は、放射素子11の給電の位相(0°とする)に対して放射素子12の給電の位相を90°遅延させる。
位相遅延回路42は、コネクタ33,34に接続されることにより放射素子13,14に給電する。位相遅延回路42は、放射素子13の給電の位相(0°とする)に対して放射素子14の給電の位相を90°遅延させる。
このように、本実施の形態によれば、第1および第2の逆Fアンテナにより第1の円偏波アンテナが構成される。一般的に逆Fアンテナの放射素子の長さは約λ/4(λは使用周波数帯の中心波長)である。したがって、本実施の形態においても放射素子の長辺の長さは約λ/4となる。たとえば円偏波アンテナをクロスダイポールアンテナによって構成した場合、放射素子の長さは約λ/2となる。さらに、クロスダイポールアンテナの場合、2つのダイポールアンテナ(すなわち4つの放射素子)が必要である。本実施の形態によれば小型化された円偏波アンテナを実現できる。
さらに、本実施の形態によれば、第3および第4の逆Fアンテナによって、第1の円偏波アンテナと使用周波数帯が異なる第2の円偏波アンテナが構成される。第1の円偏波アンテナと第2の円偏波アンテナとを組合わせることにより2周波共用アンテナが構成される。これにより2周波共用円偏波アンテナを小型化することができる。
さらに、本実施の形態によれば、誘電体基板の主表面に形成された、互いに直交する2つの放射素子と、接地導体と、短絡部と、その2つの放射素子にそれぞれ給電するための2つの給電線とによって1つの円偏波アンテナを構成することができる。したがって、本実施の形態によれば円偏波アンテナの構造を簡単にすることができる。
さらに、本実施の形態のアンテナは簡単な構造を有するので、本実施の形態のアンテナの組立を容易に行なうことができる。
[本実施の形態のアンテナの特性]
本実施の形態のアンテナ1を作製し、そのアンテナの特性を測定した。図3を参照しながら本実施の形態のアンテナ1の具体的な構成を説明する。誘電体基板4にはガラスエポキシ樹脂基板を使用した。ガラスエポキシ樹脂基板の比誘電率εrは約4.5であった。また、ガラスエポキシ樹脂基板の厚さは約1.6mmであった。
誘電体基板4の主表面4A上の導電体をエッチングすることにより放射素子11〜14および接地パターン15を形成した。放射素子11,12の長辺の長さa1を約33mmとし、放射素子13,14の長辺の長さa2を約46.5mmとした。なお誘電体基板4の誘電率に起因する波長短縮効果によって、各放射素子の長辺の長さは中心波長の1/4よりも短くなる。また、放射素子11〜14を主表面4A上に配置させるため、一辺の長さが約90mmの正方形の誘電体基板を用いた。
次に図6を参照して、接地導体2の平面2Aからの誘電体基板4の主表面4Bの高さhを約8mmに設定した。また、金属スペーサ6と給電線24との間隔sを約3mmに設定した。なお、他の給電線(給電線21〜23)と金属スペーサ6との間隔も約3mmに設定した。
アンテナ1に、図7に示す位相遅延回路41,42を接続して、アンテナ利得を測定した。図8は、本実施の形態のアンテナ1の利得の測定結果を示す図である。図8に示すように、L1帯(周波数f=1.575GHz)のアンテナ利得およびL2帯(周波数f=1.228GHz)のアンテナ利得は、ともに約0(dBi)であった。
図9は、周波数f=1.228GHzでのアンテナ1の指向性の測定結果を示す図である。図10は、周波数f=1.575GHzでのアンテナ1の指向性の測定結果を示す図である。図9および図10を参照して、周波数fが1.228GHzの場合、および周波数fが1.575GHzの場合のいずれも、0°方向の放射強度が最大となる。なお0°方向とは、図4および図5に示す矢印の方向である。
[本実施の形態のアンテナの変形例]
図11は、本実施の形態のアンテナ1の変形例を示す図である。図11を参照して、アンテナ1Aは、誘電体基板4の主表面4Aが接地導体2の平面2Aと対向する点でアンテナ1と異なる。誘電体基板4の主表面4Aに形成される導電体のパターンは、図2,図3に示す放射素子11〜14および接地パターン15と同じである。さらに、アンテナ1Aの他の部分の構成はアンテナ1の対応する部分の構成と同様である。
誘電体基板4の主表面4Aを接地導体2の平面2Aと対向させることにより、接地パターン15と金属スペーサ6とを直接的に接触させることができる。これにより、放射素子11〜14の端部をより確実に接地導体2に短絡させることが可能になる。
アンテナ1の構成では、アンテナ1の複数の金属ネジ8のいずれかが十分に締め付けられていない場合に、誘電体基板4と金属スペーサ6との間に隙間が生じる可能性がある。誘電体基板4と金属スペーサ6との間に隙間が生じることによって放射素子11〜14の各々の端部の接地が十分でない場合、アンテナ1が受信すべき電波の周波数と、アンテナ1が実際に受信した電波の周波数との間にずれ(いわゆる周波数ずれ)が生じる。この変形例によれば、放射素子11〜14の端部をより確実に接地することができるため、周波数ずれを抑制することが可能になる。
[本実施の形態のアンテナの他の構成例]
図12は、本実施の形態のアンテナの他の構成例を示す斜視図である。
図13は、図12に示すアンテナの平面図である。
図12および図13を参照して、アンテナ1Bは、接地導体2と、放射部51A,52A,53A,54Aと、短絡部51B,52B,53B,54Bと、接続部51C,52C,53C,54Cとを含む。
放射部51A、短絡部51Bおよび接続部51Cは1枚の金属板を折り曲げることにより形成される。したがって放射部51Aの一端が短絡部51Bに接続され、短絡部51Bが接続部51Cに接続される。同様に、放射部51A、短絡部51Bおよび接続部51C以外の放射部、短絡部および接続部も一枚の金属板を折り曲げることにより形成される。よって各放射部の一端は対応する短絡部に接続され、その短絡部は対応する接続部に接続される。
接続部51C,52C,53C,54Cは、接地導体2の平面2Aに接続される。したがって放射部51A,52A,53A,54Aの各々の端部(短絡部に接続された端部)は、接地導体2に短絡される。
放射部51A,52A,53A,54Aは、接地導体2の平面2Aと平行な平面4C上に配置される。平面4Cは仮想的な平面である。
放射部51A,52Aは互いに同一の長方形である。直線Xは、放射部51Aの長辺に沿った放射部51Aの中心線である。直線Yは、放射部52Aの長辺に沿った放射部52Aの中心線である。放射部51A,52Aは、直線X,Yの交点Oを回転中心として互いに90°回転対称である。放射部51Aの長辺の長さ、および放射部52Aの長辺の長さはa1である。
放射部53Aは直線Yに対して放射部51Aと反対側に位置する。放射部54Aは直線Xに対して放射部52Aと反対側に位置する。放射部53A,54Aは同一の長方形である。
直線Xは、放射部53Aの長辺に沿った放射部53Aの中心線である。直線Yは、放射部54Aの長辺に沿った放射部54Aの中心線である。放射部53A,54Aは、直線X,Yの交点Oを回転中心として互いに90°回転対称である。放射部53Aの長辺の長さ、および放射部54Aの長辺の長さはa2である。
放射部51A〜54Aは、それぞれ給電点P1〜P4を有する。給電点P1〜P4の各々には給電線が接続される。ただし図が煩雑になるのを避けるために図12および図13には給電線は示されていない。
アンテナ1Bの構成要素とアンテナ1の構成要素との対応を以下に説明する。放射部51A〜54Aは、それぞれ放射素子11〜14に対応する。短絡部51B〜54Bと接続部51C〜54Cとは、アンテナ1の短絡部に対応する。したがってアンテナ1Bは第1〜第4の逆Fアンテナを含むアンテナと等価である。図12、図13に示すように、本実施の形態のアンテナに含まれる放射素子は、誘電体基板の主表面に形成された導電体に限定されない。
なお、本発明のアンテナは受信アンテナと限定されるものではなく、送信アンテナとして用いることも可能である。
また、本発明のアンテナは円偏波の受信または送信のために用いることが可能である。したがって、本発明のアンテナの用途は特に限定されない。
また、本実施の形態のアンテナは2周波共用アンテナである。しかし、本発明のアンテナは、2周波共用アンテナと限定されない。本発明のアンテナは、少なくとも、ある周波数帯の電波を受信(または送信)するための2つの逆Fアンテナを含んでいればよい。したがって、本実施の形態のアンテナも、第1および第2の逆Fアンテナのみからなる円偏波アンテナ(L1帯の電波を受信するアンテナ)、または第3および第4の逆Fアンテナのみからなる円偏波アンテナ(L2帯の電波を受信するアンテナ)として構成してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本実施の形態の円偏波アンテナの利用形態を説明するための図である。 アンテナ1の構成を示す斜視図である。 図2に示すアンテナ1の平面図である。 図3に示す矢印A方向のアンテナ1の側面図である。 図3に示す矢印B方向のアンテナ1の側面図である。 図4に示す給電線24の近傍をより詳細に説明する図である。 放射素子11〜14に給電するための給電回路を示す図である。 本実施の形態のアンテナ1の利得の測定結果を示す図である。 周波数f=1.228GHzでのアンテナ1の指向性の測定結果を示す図である。 周波数f=1.575GHzでのアンテナ1の指向性の測定結果を示す図である。 本実施の形態のアンテナ1の変形例を示す図である。 本実施の形態のアンテナの他の構成例を示す斜視図である。 図12に示すアンテナの平面図である。 プリントダイポールアンテナにより構成された円偏波アンテナを示す図である。
符号の説明
1,1A,1B,101 アンテナ、2 接地導体、2A,4C,6A,6B 平面、4,104 誘電体基板、4A,4B,104A 主表面、6 金属スペーサ、8 金属ネジ、11〜14,111〜114 放射素子、11A〜14A 端部、15 接地パターン、20 受信機、21〜24,115〜118 給電線、31〜34 コネクタ、40 給電回路、41,42,141 位相遅延回路、50 人工衛星、51A〜54A 放射部、51B〜54B 短絡部、51C〜54C 接続部、119 ジャンパ、A,B 矢印、O 交点、P1〜P4 給電点、S 間隔、X,Y 直線。

Claims (5)

  1. 第1の平面を有する接地導体と、
    前記第1の平面に平行な第2の平面上に配置される複数の放射素子とを備え、
    前記複数の放射素子は、
    互いに同一の矩形を有する第1および第2の放射素子を含み、
    前記第1および第2の放射素子は、前記第1の放射素子の長辺に沿った前記第1の放射素子の中心線である第1の直線と、前記第2の放射素子の長辺に沿った前記第2の放射素子の中心線である第2の直線との交点を回転中心として互いに90度回転対称であり、
    前記第1の放射素子は、
    第1の給電点と、
    前記第1の給電点に対して前記第2の直線に近い側に位置する第1の端部とを有し、
    前記第2の放射素子は、
    第2の給電点と、
    前記第2の給電点に対して前記第1の直線に近い側に位置する第2の端部とを有し、
    前記第1の給電点に接続される第1の給電線と、
    前記第2の給電点に接続される第2の給電線と、
    前記第1および第2の端部ならびに前記接地導体に接続されることにより前記第1および第2の端部を前記接地導体に短絡する短絡部とをさらに備える、アンテナ。
  2. 前記複数の放射素子は、
    前記第2の平面上、かつ前記第2の直線に対して前記第1の放射素子の反対側に配置される第3の放射素子と、
    前記第2の平面上、かつ前記第1の直線に対して前記第2の放射素子の反対側に配置される第4の放射素子とをさらに含み、
    前記第3および第4の放射素子は、互いに同一の矩形を有するとともに、前記交点を回転中心として互いに90度回転対称であり、
    前記第3の放射素子の長辺の長さは、前記第1の放射素子の長辺の長さと異なり、
    前記第3の放射素子は、
    第3の給電点と、
    前記第3の給電点に対して前記第2の直線に近い側に位置し、かつ前記短絡部に接続される第3の端部とを有し、
    前記第4の放射素子は、
    第4の給電点と、
    前記第4の給電点に対して前記第1の直線に近い側に位置し、かつ前記短絡部に接続される第4の端部とを有し、
    前記アンテナは、
    前記第3の給電点に接続される第3の給電線と、
    前記第4の給電点に接続される第4の給電線とをさらに備える、請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記アンテナは、
    第1の主表面と、前記第1の主表面の反対側に位置する第2の主表面とを有する誘電体基板をさらに備え、
    前記第2の平面は、前記第1の主表面であり、
    前記複数の放射素子の各々は、前記第1の主表面に設けられた導電体である、請求項1または2に記載のアンテナ。
  4. 前記誘電体基板は、前記第2の主表面が前記第1の平面に対向するように配置される、請求項3に記載のアンテナ。
  5. 前記誘電体基板は、前記第1の主表面が前記第1の平面に対向するように配置される、請求項3に記載のアンテナ。
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