JP2009088100A - エレクトレット用材料及びこれを用いたエレクトレット部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属基材との密着性に優れ、高い耐熱電荷保持率を有するエレクトレット用材料及びこれを用いたエレクトレット部品を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明のエレクトレット用材料10は、金属基材1と、金属基材1の表面11に一体的に形成され、分子末端に活性官能基を有するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体からなる下地樹脂層2と、下地樹脂層2の表面21に一体に形成され、分子末端に活性官能基の数が所定範囲に抑えられたパーフルオロ樹脂からなるトップ樹脂層3と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のエレクトレット用材料10は、金属基材1と、金属基材1の表面11に一体的に形成され、分子末端に活性官能基を有するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体からなる下地樹脂層2と、下地樹脂層2の表面21に一体に形成され、分子末端に活性官能基の数が所定範囲に抑えられたパーフルオロ樹脂からなるトップ樹脂層3と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、エレクトレット用材料及びこれを用いたエレクトレット部品に関するものである。
従来、ヘッドホンやマイクロホンなどに使用されるエレクトレット用材料は、金属基材(金属シート)に耐熱性樹脂(フィルム)を形成(配置)し、この樹脂をエレクトレット化することにより製造されている。また、このエレクトレット用材料を必要な形状に打ち抜き加工、半田付けることによりエレクトレット部品が製造される(例えば、特許文献1または2を参照)。
具体的には、特許文献1のエレクトレット用材料は、金属基材の表面にポリイミドなどの耐熱バインダー(接着剤)を介在し、フッ素樹脂(FEP:テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)を積層することにより構成されている。
また、特許文献2のエレクトレット用材料は、変性PTFE(変性ポリテトラフルオロエチレン)フィルムを金属基材の表面にラミネート(熱圧着)することにより構成されている。
特開2004−128361号公報
特開2005−45553号公報
特許文献1の発明では、FEP樹脂は金属基材との接着性が良いため、エレクトレット素材として使用されていた。しかしながら、FEP樹脂は耐熱電荷保持率が小さいため、エレクトレット部品を製造する際に半田付けなどの加熱プロセスにおいて、温度の上昇によりエレクトレット電荷が消失するなどのエレクトレット機能の喪失の問題があった。
また、特許文献2の発明では、変性PTFEフィルムはエレクトレット素材として使用されていた。しかしながら、変性PTFEフィルムは、その分子の末端に金属親和性の高い活性官能基が少なく、金属との接着力が弱い。このため、熱圧着により金属基材の表面に変性PTFEフィルムを接着させる際に、金属基材の表面を予め粗面化するなどの前処理が必要となる上に、大きな圧力で変性PTFEフィルムを金属基材の表面に押し込まないと密着できないなどの問題があった。
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、金属基材との密着性に優れ、高い耐熱電荷保持率を有するエレクトレット用材料及びこれを用いたエレクトレット部品を提供することを課題とする。
本発明のエレクトレット用材料は、金属基材と、金属基材の表面に一体的に形成され、分子末端に活性官能基を有するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体からなる下地樹脂層と、下地樹脂層の表面に一体に形成され、分子末端に活性官能基の数が所定範囲に抑えられたパーフルオロ樹脂からなるトップ樹脂層と、を備えることを特徴とする。
本発明のエレクトレット用材料では、金属基材に一体的に形成された下地樹脂層は、パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA、以下単なるPFAと称する場合もある)により構成され、PFAの分子の末端に活性官能基を有している。これにより、下地樹脂層(PFA)は、高い金属親和性を有する活性官能基の存在により金属基材の表面との接着力が向上し、下地樹脂層と金属基材との間の密着性を確保することができる。
また、下地樹脂層(PFA)の表面に一体に形成されたトップ樹脂層は、パーフルオロ樹脂により構成され、パーフルオロ樹脂の分子の末端には、活性官能基の数が所定範囲に抑制されている。つまり、本発明のエレクトレット用材料は、トップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂の分子の末端に活性官能基が少なく、活性官能基の存在による誘電率のアップを抑制することができる。なお、誘電率のアップを防げる理由とは、一般的に樹脂の表面(トップ樹脂層)が空気に暴露していることから、空気中の水分が樹脂(トップ樹脂層)の表面に付着し、樹脂表面(樹脂分子の末端)にある活性官能基が多数存在すると、表面放電によるエレクトレット用材料の耐熱電荷保持率が低下する。このため、本発明のエレクトレット用材料は、最外側(トップ樹脂層)の表面に、活性官能基がほとんど有さず誘電率の小さい樹脂(パーフルオロ樹脂)を配置(オーバーコート)することにより、耐熱電荷保持率の低下を防ぐことができ、高い耐熱電荷保持率を有することができる。
また、本発明のエレクトレット用材料の下地樹脂層を構成するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)の分子末端にある活性官能基の数は、パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)に含まれる炭素(C)原子数の毎106個当り10〜3000個であることが好ましい。PFAの活性官能基の数は少ないと、金属基材との親和性が低くなり、金属基材と樹脂層(PFA)の接着不良の原因となる。一方、PFAの活性官能基の数は極端に多くなると、表面放電傾向が強まり、耐熱電荷保持率が低下しやすくなる。
また、本発明のエレクトレット用材料の下地樹脂層を構成するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)の分子末端にある活性官能基のうち少なくとも一部は、酸アミド基であることが好ましい。
また、本発明のエレクトレット用材料のトップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂の分子末端にある活性官能基の数の所定範囲は、パーフルオロ樹脂に含まれる炭素(C)原子数の毎106個当り10個以下であることが好ましい。トップ樹脂層のパーフルオロ樹脂の活性官能基の数を所定範囲内に設定することにより、トップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂に活性官能基はほとんど存在しなくなり、エレクトレット用材料の誘電率のアップを抑制することができる。
また、本発明のエレクトレット用材料の金属基材は、銅、鉄、アルミニウム、チタン、これらの元素を基本構成元素とする合金、及び該合金にめっき又は金属蒸着されたもののうち少なくとも一つから構成されることが好ましい。
また、本発明のエレクトレット用材料のトップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。また、本発明のエレクトレット用材料のトップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂は、パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体であることが好ましい。
また、本発明のエレクトレット部品は、上述したエレクトレット用材料を用いて所定形状としたことを特徴とする。本発明のエレクトレット用材料を用いて、所定形状に打ち抜き加工すれば、耐熱電荷保持率及び熱安定性に優れたエレクトレット部品を得ることができる。
本発明のエレクトレット用材料によれば、金属基材に一体的に形成された下地樹脂層(PFA)は、高い金属親和性を有する活性官能基の存在により金属基材の表面との接着力が向上し、下地樹脂層と金属基材との間の密着性を確保することができる。また、下地樹脂層(PFA)の表面に一体に形成されたトップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂の分子の末端に活性官能基が少なく、活性官能基の存在による誘電率のアップを抑制することができ、高い耐熱電荷保持率を有することができる。このように、本発明のエレクトレット用材料によるエレクトレット部品は高い耐熱電荷保持率及び熱安定性を有するものである。
本発明のエレクトレット用材料は、金属基材と、金属基材の表面に一体的に形成され、分子末端に活性官能基を有するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)からなる下地樹脂層と、下地樹脂層の表面に一体に形成され、分子末端に活性官能基の数が所定範囲に抑えられたパーフルオロ樹脂からなるトップ樹脂層とを備える。
本発明のエレクトレット用材料の下地樹脂層はパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)からなるものとすることができる。PFAの分子末端に活性官能基を有することにより金属基材との接着性が向上する。なお、エレクトレット用材料の下地樹脂層のPFAは、その分子末端に―COF、−COOH、−CH2OH、−COOCH3などの官能基を不可避的に有しているが、アンモニアガスなどで処理することにより−CONH2などの安定な官能基に変化させ、本発明で使用する活性官能基を有するPFAが得られる。
また、本発明のエレクトレット用材料の下地樹脂層を構成するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)の分子末端にある活性官能基の数は、PFAに含まれる炭素原子数の毎106個当り10〜3000個とすることができる。好ましくは50〜2000個、より好ましくは100〜1000個である。
また、下地樹脂層を構成するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)の分子末端にある活性官能基のうち少なくとも一部を、酸アミド基とすることができる。PFAの分子末端の活性官能基として、−COF、−CONH2、−CH3、−COOH、−COOCH3などを例示することができるが、熱安定性、金属接着性などの点から酸アミド基(−CONH2)が好ましく採用できる。また、下地樹脂層のPFAの分子末端の活性官能基のうち少なく一部を酸アミド基(−CONH2)とすることにより、エレクトレット用材料が高温加工時に熱分解されにくく、金属基材との接着性も向上できる。また、下地樹脂層のPFAの分子末端の活性官能基のうちの酸アミド基(−CONH2)の割合が高ければ、高いほど熱安定性及び金属接着性を得ることができる。例えば、下地樹脂層のPFAの分子末端の活性官能基の全てを酸アミド基(−CONH2)に変化させた場合では、最も高い熱安定性及び金属基材との密着性を持つエレクトレット用材料を得ることができる。
本発明のエレクトレット用材料のトップ樹脂層はパーフルオロ樹脂からなるものとすることができる。トップ樹脂層は、誘電率が小さく耐熱性のあるものが必要であるため、パーフルオロ樹脂が最適である。なお、パーフルオロ樹脂に限定することなく、熱安定性を持ちかつ誘電率が小さい(分子末端に活性官能基の数が少ない)という条件を満たす任意種類の樹脂であれば採用できる。例えば、前記活性官能基をフッ素化して活性官能基を低下させることができる。例えば、特開平10−291520号公報、特開2002−003514号公報、又は特開2005−320497号公報などに記載されている公知の方法が採用できる。上記条件を満たすポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、上記フッ素化などの処理で活性官能基を低下させたパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)、FEPなども採用できる。中でも、耐熱性の観点から、PTFE、PFAが好ましく採用できる。
また、本発明のエレクトレット用材料のトップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂の分子末端にある活性官能基の数の所定範囲は、パーフルオロ樹脂に含まれる炭素(C)原子数の毎106個当り10個以下とすることができる。
本発明のエレクトレット用材料の金属基材は、銅、鉄、アルミニウム、チタン、これらの元素からなる合金及び該合金にめっき、金属蒸着されたもののうち少なくとも一つから構成されることができる。金属基材は、単一の元素金属である銅、鉄、アルミニウム又はチタンなどにより構成できると同時に、これらの単一の元素金属を基本構成元素とする合金、そしてこれらの合金にめっき又は金属蒸着されたものにより構成できる。例えば、洋白(Cu−Ni−Zn)、青銅(Cu−Sn−P)、黄銅(Cu−Zn)、ステンレスなどを例示することができる。つまり、前述した単一の金属元素、これらの金属元素を基本構成元素とする合金、及びこれらの合金にめっき又は金属蒸着されたもののうち少なくとも一つで本発明のエレクトレット用材料の金属基材を構成することができる。また、金属基材は、通常50〜500μm程度の厚みを持つ板状のものを採用できる。さらに、コーティング層との接着性を高めるために、予め金属基材の表面の前処理を行うことができる。なお、金属基材の表面の前処理方法として、一般的な表面処理方法(例えば、粗面化する方法など)を採用できる。
また、本発明のエレクトレット部品は、上記のエレクトレット用材料を用いて所定形状として加工することにより製造することができる。これにより、エレクトレット部品を半田付け加工などの際に、温度上昇によるエレクトレット機能喪失などのおそれを軽減することができる。
また、本発明のエレクトレット用材料の製造方法の一例として、金属基材の表面を脱脂、洗浄した後、下地樹脂層を構成し分子末端に活性官能基を有するPFA塗料(ディスパージョンも含む)を金属基材の表面にスプレー塗装、ディップ塗装、カーテンフローコート、スクーリーン印刷、グラビア印刷、或いは予め用意したPFAフィルムをラミネート(熱圧着)するなどの方法を挙げることができる。
塗装(カーテンフローコートを含む)または印刷方法の場合では、金属基材の表面に下地樹脂層を形成した後、60〜150℃で乾燥後にトップ樹脂層を同様な方法で形成し、乾燥を行う。そして、330〜380℃の温度で焼成することによりエレクトレット用材料を形成することができる。
ラミネート方法の場合では、乾燥工程がなく、2枚のフィルム(下地樹脂層フィルム、トップ樹脂層フィルム)を同時に金属基材の表面に加熱圧着することによりエレクトレット用材料を形成することができる。
また、塗装、印刷方法で金属基材の表面に下地樹脂層を形成した場合でも、トップ樹脂層の形成方法として、ラミネート(熱圧着)方法が採用できる。
また、本発明のエレクトレット用材料の下地樹脂層(PFA)の膜厚は特に限定されないが、樹脂層(下地樹脂層)による表面放電をできるだけ抑える為、比較的に膜厚を小さく設定する必要があることから、下地樹脂層(PFA)の膜厚を1〜10μmの範囲に設定することができる。
また、本発明のエレクトレット用材料のトップ樹脂層の膜厚は特に限定されないが、5〜100μmの範囲に設定することができる。
さらに、これらの方法で得られたエレクトレット用材料は、所定形状、大きさに加工され、そしてコロナ放電などにより分極帯電された後、エージング処理が行われ、エレクトレット部品としてイヤホン、ヘッドホンまたはマイクロホンなどに利用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(第1実施例)
図1は、本実施例のエレクトレット用材料10の断面概念図である。なお、図1は、以下その他の全ての実施例にも適用する。
図1は、本実施例のエレクトレット用材料10の断面概念図である。なお、図1は、以下その他の全ての実施例にも適用する。
図1に示すように、本実施例のエレクトレット用材料10は、金属基材1の一方の表面11に下地樹脂層2が形成され、さらにその上面21には、トップ樹脂層3が形成されている。なお、本実施例では、金属基材1の一方の表面11に下地樹脂層2、トップ樹脂層3の順に樹脂層を形成しているが、金属基材1の他方の表面12にも、場合に応じて樹脂層を形成することができる。
本実施例の金属基材1は、50×50mm、厚み150μmの洋白を基材として使用している。
また、下地樹脂層2は、分子末端に活性官能基を有するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)からなる。なお、本実施例では、PFA樹脂として、AD−2CR(ダイキン工業製)を使用している。また、PFAの分子末端にある活性官能基の数は表1において記載される。
なお、表1は、本実施例を含む各実施例及び各比較例を対比して説明するものであり、説明しやすいため、本説明書の後半に示す。
トップ樹脂層3は、分子末端に活性官能基の数は所定範囲内であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる。なお、本実施例では、PTFE樹脂として、EK−3700C201(ダイキン工業製)を使用している。また、PTFEの分子末端にある活性官能基の数は表1において記載される。
次に、本実施例のエレクトレット用材料10の作成方法について具体的に説明する。
金属基材1を脱脂、洗浄した後に、その表面11にPFA塗料(AD−2CR)を塗装する。そして、80℃で15分間の乾燥を経て下地樹脂層2が完成する。
次に、下地樹脂層2の表面21に、PTFE塗料(EK−3700C201)を塗装する。そして、80℃で15分間の乾燥を経て、さらに360℃で30分間焼成を行いトップ樹脂層3が完成する。このように、本実施例のエレクトレット用材料10が作成された。
本実施例のエレクトレット用材料10の作成過程の中に、あらかじめ金属基材1の一部をマスキングし、金属基材1のその他の部分の表面に形成された下地樹脂層2及びトップ樹脂層3の膜厚を測定することができる。その測定結果は、下地樹脂層2のPFA樹脂(AD−2CR)の膜厚は5μmで、トップ樹脂層3のPTFE樹脂(EK−3700C201)の膜厚は15μmである。
また、本実施例のエレクトレット用材料10の下地樹脂層2、トップ樹脂層3の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果は、表1において示される。
(第2実施例)
本実施例のエレクトレット用材料10は、基本的に第1実施例のエレクトレット用材料10と同様であるが、下地樹脂層2を構成するPFA樹脂として、EM500CL(三井・デュポンフロロケミカル社製)を使用した。
本実施例のエレクトレット用材料10は、基本的に第1実施例のエレクトレット用材料10と同様であるが、下地樹脂層2を構成するPFA樹脂として、EM500CL(三井・デュポンフロロケミカル社製)を使用した。
第1実施例と同様な作成方法でエレクトレット用材料10を作成し、下地樹脂層2、トップ樹脂層3の膜厚を測定した。その測定結果は、下地樹脂層2のPFA樹脂(EM500CL)の膜厚は6μmで、トップ樹脂層3のPTFE樹脂(EK−3700C201)の膜厚は14μmである。
また、本実施例のエレクトレット用材料10の下地樹脂層2、トップ樹脂層3の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。
(第3実施例)
本実施例のエレクトレット用材料10は、基本的に第1実施例のエレクトレット用材料10と同様であるが、トップ樹脂層3を構成するPTFE樹脂として、852−201(デュポン社製)を使用した。
本実施例のエレクトレット用材料10は、基本的に第1実施例のエレクトレット用材料10と同様であるが、トップ樹脂層3を構成するPTFE樹脂として、852−201(デュポン社製)を使用した。
第1実施例と同様な作成方法でエレクトレット用材料10を作成し、下地樹脂層2、トップ樹脂層3の膜厚を測定した。その測定結果は、下地樹脂層2のPFA樹脂(AD−2CR)の膜厚は4μmで、トップ樹脂層3のPTFE樹脂(852−201)の膜厚は15μmである。
また、本実施例のエレクトレット用材料10の下地樹脂層2、トップ樹脂層3の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。
(第4実施例)
本実施例のエレクトレット用材料10は、基本的に第1実施例のエレクトレット用材料10と同様であるが、本実施例のトップ樹脂層3はラミネート(熱圧着)により形成されている。なお、トップ樹脂層3は、PFAから構成される。また、トップ樹脂層3を構成するPFAとして、New PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製)を原料とするフィルムが使用される。
本実施例のエレクトレット用材料10は、基本的に第1実施例のエレクトレット用材料10と同様であるが、本実施例のトップ樹脂層3はラミネート(熱圧着)により形成されている。なお、トップ樹脂層3は、PFAから構成される。また、トップ樹脂層3を構成するPFAとして、New PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製)を原料とするフィルムが使用される。
具体的には、金属基材1の表面11に第1実施例と同様な方法で、下地樹脂層2を構成するPFA塗料(AD−2CR)を塗装し、80℃で15分間乾燥を行った。そして、360℃で30分間焼成を行った後、New PFA(三井・デュポンフロロケミカル社製)を原料とするフィルム(厚み25μm)を340℃でロールにてラミネート(熱圧着)しエレクトレット用材料10を作成した。
また、本実施例のエレクトレット用材料10の下地樹脂層2、トップ樹脂層3の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。
また、本発明のエレクトレット用材料10の性能を対比的に示す為に、比較実施例(比較例1〜4)を行った。
(第1比較例)
第1比較例は、金属基材1の表面11にFEP樹脂(ND−1、ダイキン工業社製)をスプレー塗装し、第1実施例と同様な条件で乾燥、焼成を行い、16μm膜厚のエレクトレット用材料を作成した。
第1比較例は、金属基材1の表面11にFEP樹脂(ND−1、ダイキン工業社製)をスプレー塗装し、第1実施例と同様な条件で乾燥、焼成を行い、16μm膜厚のエレクトレット用材料を作成した。
また、本比較例のエレクトレット用材料10の樹脂層の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。なお、本比較例の樹脂層は、実施例1〜4の下地樹脂層2及びトップ樹脂層3の両方に相当する。つまり、本比較例では、樹脂層は単一組成の層(FEP樹脂のみ)として形成される。
(第2比較例)
第2比較例は、金属基材1の表面11にPFA樹脂(AD−2CR、ダイキン工業社製)を塗装し、第1実施例と同様な条件で乾燥、焼成を行い、19μm膜厚のエレクトレット用材料を作成した。
第2比較例は、金属基材1の表面11にPFA樹脂(AD−2CR、ダイキン工業社製)を塗装し、第1実施例と同様な条件で乾燥、焼成を行い、19μm膜厚のエレクトレット用材料を作成した。
また、本比較例のエレクトレット用材料10の樹脂層の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。また、本比較例では、樹脂層は単一組成の層(PFA樹脂のみ)として形成される。
(第3比較例)
第3比較例は、金属基材1の表面11にPTFE樹脂(EK−3700C201、ダイキン工業製)を塗装し、第1実施例と同様な条件で乾燥、焼成を行い、21μm膜厚のエレクトレット用材料を作成した。
第3比較例は、金属基材1の表面11にPTFE樹脂(EK−3700C201、ダイキン工業製)を塗装し、第1実施例と同様な条件で乾燥、焼成を行い、21μm膜厚のエレクトレット用材料を作成した。
また、本比較例のエレクトレット用材料10の樹脂層の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。また、本比較例では、樹脂層は単一組成の層(PTFE樹脂のみ)として形成される。
(第4比較例)
第4比較例は、金属基材1の表面11にPI樹脂(ポリイミドワニス/Uワニス、宇部興業社製)を塗装し、120℃で30分間乾燥後に、PTFE樹脂(EK−3700C201、ダイキン工業製)を塗装し同様な条件で乾燥、焼成を行った。形成されたエレクトレット用材料は、ポリイミドの膜厚は4μmであり、PTFEの膜厚は17μmであった。
第4比較例は、金属基材1の表面11にPI樹脂(ポリイミドワニス/Uワニス、宇部興業社製)を塗装し、120℃で30分間乾燥後に、PTFE樹脂(EK−3700C201、ダイキン工業製)を塗装し同様な条件で乾燥、焼成を行った。形成されたエレクトレット用材料は、ポリイミドの膜厚は4μmであり、PTFEの膜厚は17μmであった。
また、本比較例のエレクトレット用材料10の下地樹脂層2、トップ樹脂層3の化学組成及びエレクトレット用材料の性能測定結果を表1に示す。
なお、分子末端にある活性官能基の測定方法は、特開2005−320497号公報に記載の赤外吸収スペクトル分析方法を使用した。密着性はJISK5600にて測定した。なお、分子末端活性官能基の数は、樹脂層に含まれる炭素(C)原子数の毎106個当りの個数である。
耐熱電荷保持率の測定は、作成されたエレクトレット用材料10を5φの大きさに打ち抜きコロナ放電にて、電荷をかけ分極処理しNK−5001(春日電機株式会社製)で初期電荷を測定した。そして、270℃で5分間加熱後、室温度(約25℃)で1分間放冷を3サイクル繰り返した後、電荷を測定し保持率を算出した。
表1に示すように、実施例1〜4において、下地樹脂層2を構成するPFAに、分子末端活性官能基が多数存在し、そのうち、酸アミド基(−CONH2)の割合は20〜45%を占める。また、トップ樹脂層3の構成樹脂として、分子末端に活性官能基が殆ど存在しないPTFE或いはPFAが採用されている。また、実施例1〜4のエレクトレット用材料10は、高い金属密着性、初期電荷及び耐熱電荷保持率を有することが分かった。
一方、比較例1〜4において、耐熱電荷保持率の測定結果は、実施例1〜4に比べ大きく劣っていることが分かった。特に、比較例3では、実施例1〜4に比べ、金属密着性及び初期電荷などのエレクトレット性能は劣っていることが分かった。
このように、実施例1〜4のエレクトレット用材料10は、金属密着性及び耐熱電荷保持率において、比較例1〜4のエレクトレット用材料10に比べ、数段優れており、各種エレクトレット応用部品に適用することができる。これにより、本発明のエレクトレット用材料10は、優れたエレクトレット性能を持ち、高い工業価値を有している。
本発明のエレクトレット用材料は、エレクトレット部品の製造、及びエレクトレット部品を用いた各種の静電型音響センサーなどの分野に使用することができる。
10:エレクトレット用材料
1:金属基材 2:下地樹脂層 3:トップ樹脂層
11:(一方の)表面、12:(他方の)表面 21:上面
1:金属基材 2:下地樹脂層 3:トップ樹脂層
11:(一方の)表面、12:(他方の)表面 21:上面
Claims (8)
- 金属基材と、
前記金属基材の表面に一体的に形成され、分子末端に活性官能基を有するパーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体からなる下地樹脂層と、
前記下地樹脂層の表面に一体に形成され、分子末端に活性官能基の数が所定範囲に抑えられたパーフルオロ樹脂からなるトップ樹脂層と、を備えることを特徴とするエレクトレット用材料。 - 前記下地樹脂層を構成する前記パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体の分子末端にある活性官能基の数は、前記パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体に含まれる炭素原子数の毎106個当り10〜3000個である請求項1に記載のエレクトレット用材料。
- 前記下地樹脂層を構成する前記パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体の分子末端にある活性官能基のうち少なくとも一部は、酸アミド基である請求項1に記載のエレクトレット用材料。
- 前記トップ樹脂層を構成する前記パーフルオロ樹脂の分子末端にある活性官能基の数の所定範囲は、前記パーフルオロ樹脂に含まれる炭素原子数の毎106個当り10個以下である請求項1に記載のエレクトレット用材料。
- 前記金属基材は、銅、鉄、アルミニウム、チタン、これらの元素を基本構成元素とする合金及び該合金にめっき又は金属蒸着されたもののうち少なくとも一つから構成される請求項1に記載のエレクトレット用材料。
- 前記トップ樹脂層を構成する前記パーフルオロ樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載のエレクトレット用材料。
- 前記トップ樹脂層を構成するパーフルオロ樹脂は、パーフルオロビニールエーテル/テトラフルオロエチレン共重合体である請求項1に記載のエレクトレット用材料。
- 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載のエレクトレット用材料を用いて所定形状としたことを特徴とするエレクトレット部品。
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