JP2009088017A - 受光素子用保護シート - Google Patents
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Abstract
Description
光ピックアップ装置の受光素子上に保護シートを積層し、熱処理によって各部位を接続した後、受光素子が光を受光するか否かの検査を行うことができる。
この場合、従来技術による受光素子用保護シートは、有機フィルム上にシリコーン成分からなる粘着層を積層したものであった。
しかしながら、従来の受光素子用保護シートは、接着力は十分であったが、最終的に受光素子用保護シートを剥離する際に、受光素子上に粘着層の一部が残存してしまい、受光素子の感度が減少する問題を有していた。
また、本発明は、受光素子用保護シートが積層された個々の光ピックアップ装置において、半田リフロー等の加熱処理を行った後に、光ピックアップ装置から受光素子用保護シートを剥離する際に、前記受光素子上に粘着層の一部が残存する恐れのない受光素子用保護シートを提供することを目的とする。
さらにまた、本発明は、受光素子用保護シートが積層された個々の光ピックアップ装置において、半田リフロー等の加熱処理を行った後に、該光ピックアップ装置に十分な加熱処理が施されたか否かを容易に識別することができる受光素子用保護シートを提供することを目的とする。
また、半田リフロー等の加熱処理を行った後に、光ピックアップ装置から受光素子用保護シートを剥離する際に、前記受光素子上に粘着層の一部が残存する恐れのない受光素子用保護シートを提供することができる。
さらにまた、本発明は、受光素子用保護シートが積層された個々の光ピックアップ装置において、半田リフロー等の加熱処理を行った後に、該光ピックアップ装置からの剥離性の目安となる十分な加熱処理による発泡がなされたか否かを容易に識別することができる受光素子用保護シートを提供することができる。
本発明は、光ピックアップ装置上に積層する受光素子用保護シートである。
本発明を貼着する対象となる光ピックアップ装置とは、図1に示すように、基板10と受光素子11を有する光ピックアップ装置20である。受光素子11は基板10に1つ以上存在すればよいのであって、図1に示すものに制限されない。
図3に示すように、粘着層40上に剥離フィルム31を積層したものも本発明の受光素子用保護シート51である。該剥離フィルム31は、粘着層40へのゴミの付着を防止するためのものであって、光ピックアップ装置20を構成する基板10に貼着する際には剥離される。
粘着層40の発泡は加熱処理が十分でないと生じないため、受光素子用保護シート50に気泡が視認できるか否かにより、積層体61に加熱処理が十分に施されたか否かを目視によって識別することができる。
なお、本発明において加熱処理後の受光素子用保護シートの接着力を測定する方法は、加熱処理前の接着力の測定方法と同様の方法により測定した値をいう。
本発明における半田リフローとは、受光素子用保護シート50の粘着層40面を基板10と貼着した後、基板10面を金属メッシュ(7mm間隔のメッシュ)上に設置し、小型窒素リフロー炉(Asahi Electronics社製)上に載せ、計4分間加熱することを意味する。なお、上記小型窒素リフロー炉はゾーン1からゾーン4までを順次0.3m/minの速度で移動するものであり、各ゾーンにおける雰囲気温度は、200〜260℃の範囲内であれば好適に評価をすることができる。
本発明における受光素子用保護シート50の光透過率は、JIS−K7105に準じて測定した値をいう。
以下、本発明を構成する材料について説明する。
本発明を構成する粘着層は、発泡剤および樹脂成分を含有することが必要である。
本発明の粘着層の厚さは特に制限されないが、50μm以下であることが好ましい。より好ましくは25μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下である。50μm以下であれば、受光素子用保護シートと基板を半田リフローによって貼着した後、該受光素子用保護シートを基板から剥離しやすくなる。50μm超であると、光透過率が減少するため好ましくない。
発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p'オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、ヒドラゾジカルボンアミド、5,5−ビス−1H−テトラゾール、各種有機過酸化物等から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。これらの発泡剤は1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。本発明においては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p'オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、ヒドラゾジカルボンアミド、5,5−ビス−1H−テトラゾールが発泡量が多いため好ましい。アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンは発泡量に優れるため、さらに好ましい。これらの材料を粘着層に配合した受光素子用保護シートは、半田リフロー等の加熱処理時において発泡量が多いため基板から剥離しやすくなる。
樹脂成分は、半田リフロー等の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有するものであればよく、例えば、シリコーン成分やポリエステル成分等を使用することができる。本発明を構成する粘着層には、シリコーン成分を含有する樹脂成分を使用することが好ましい。
シリコーン成分は、シリコーンオイル、シリコーンワニスおよびシリコーン樹脂のいずれも本発明に適用可能で、樹脂成分と発泡剤を混合した後、有機フィルム上に塗布することにより粘着層を作製することができる。粘着層を形成させるための加熱温度や加熱時間は制限されない。
本発明における有機フィルムとしては、例えば、ポリイミドフィルム、エポキシアクリレート樹脂フィルム、アラミドフィルム等を挙げることができる。これらの有機フィルムは、半田リフロー等の加熱処理時において、実質的に変形が生じないため本発明において好適に使用することができる。なお、本発明において実質的に変形が生じない有機フィルムとは、200〜260℃程度の加熱処理を有機フィルムに施した際に、その加熱前後の形状に全く変化がないフィルムであるか、若干の波うちが認められるもののその使用に際して問題を生じないフィルムをいう。
本発明においては、エポキシアクリレート樹脂フィルムを使用することが下記の理由で好ましい。
また、半田リフロー等の加熱処理により、エポキシアクリレート樹脂フィルムが発泡を生じるため、該加熱処理後の接着力を減少させることができる。
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ベンゾフェノン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モンフォリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
また、熱硬化の場合には、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロキシパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステル等の有機過酸化物が用いられる。
さらにまた、電子線照射による硬化の場合は、上記の光重合開始剤および上記の有機過酸化物を含有させることなく、硬化反応を進行させることができる。
本発明に使用する剥離フィルムとしては、上記に示した有機フィルムに加え、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン等のフィルムを使用することができる。これらのフィルムの片面または両面には、シリコーン成分を含有する剥離粘着層を設けてなるものであってもよい。
本発明の受光素子用粘着シートと基板の接着力を測定する際には、これらいずれかの材料からなる基板を使用すればよい。また、本発明の接着力を測定する際の基板は、これらの材料からなる基板であればよいのであって、受光素子の有無は問わない。基板上に糊残りが発生しなければ受光素子上にも糊残りが発生しない。
温度計、撹拌装置、分溜コンデンサー及びガス導入管を取り付けた1リットルのフラスコに下記材料を加えた。
・ビスフェノールAジエポキシ化合物 374.4g
・メタクリル酸 206.4g
・オクチル酸クロム 1.5g
・亜燐酸 0.15g
・ハイドロキノン 0.2g
然る後、該フラスコに窒素ガスを吹き込みながら120〜125℃で2時間反応させた。その後、酸価が11.0になった時点でフラスコ内容物を金属製バットに移して冷却し、エポキシアクリレート樹脂Aを得た。
・エポキシアクリレート樹脂A 70重量部
・メチルメタクリレート 10重量部
・スチレン 20重量部
・N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩 0.003重量部
・1,1,3,3−トリメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート 1.5重量部
・シリコーン粘着剤(主剤:東レ・ダウコーニング社製、商品名:SD4600FC) 100重量部
・硬化剤(東レ・ダウコーニング社製、商品名:BY24−741) 2.25重量部
・触媒(東レ・ダウコーニング社製、商品名:NC−25cat) 1.35重量部
・発泡剤(アゾジカルボンアミド) 3.3重量部
・トルエン 50重量部
次に、150℃、5分間の乾燥処理を行い、有機フィルム上に厚さ5μmの粘着層を形成した。この粘着層の上に、ポリエチレンテレフタレートフィルムにシリコーンワニスを塗布してなるシリコーン剥離フィルム(リンテック社製 商品名:PET5001)からなる剥離フィルムを積層し、図3に示す受光素子用保護シートを作製した。
・シリコーン粘着剤(主剤:東レ・ダウコーニング社製、商品名:SD4600FC) 100部
・硬化剤(東レ・ダウコーニング社製、商品名:BY24−741) 2.25重量部
・触媒(東レ・ダウコーニング社製、商品名:NC−25cat) 1.35重量部
・発泡剤(ジニトロソペンタメチレンテトラミン) 3.3重量部
・トルエン 50重量部
発泡剤を含有させなかった以外は実施例1と同様にして図3に示す受光素子用保護シートを作製した。
下記組成からなる粘着層形成用塗料を使用し、乾燥後の粘着層の膜厚が15μmであって、発泡剤の重量Xと膜厚との関係(X/Y)が0.07であること以外は、実施例1と同様にして図3に示す受光素子用保護シートを作製した。
・シリコーン粘着剤(主剤:東レ・ダウコーニング社製、商品名:SD4600FC) 100部
・硬化剤(東レ・ダウコーニング社製、商品名:BY24−741) 2.25重量部
・触媒(東レ・ダウコーニング社製、商品名:NC−25cat) 1.35重量部
・発泡剤(アゾジカルボンアミド) 1.0重量部
・トルエン 50重量部
粘着層の膜厚が15μmであって、発泡剤Xと膜厚との関係(X/Y)が0.22であること以外は、実施例1と同様にして図3に示す受光素子用保護シートを作製した。
実施例1〜3および比較例1〜3の受光素子用保護シートの加熱処理を半田リフローにより行った。半田リフローは、金属メッシュ(7mm間隔のメッシュ)上にこれらの受光素子用保護シートを設置した後、小型窒素リフロー炉(Asahi Electronics社製)上に載せ、金属メッシュおよび本発明を評価するための試料を計4分間加熱することにより行った。金属メッシュおよび本発明を評価するための試料は、ゾーン1からゾーン4よりなる上記小型窒素リフロー炉において、順次0.3m/minの速度で計4分間移動するものであり、各ゾーンにおける雰囲気温度は順に210℃、230℃、238℃、260℃であった。
室温下で十分に放冷した後、全光線透過率および405nmにおける光透過率を、JIS−K7105に準じた方法によって測定した。
実施例1〜3および比較例1〜3の受光素子用保護シートを構成するシリコーン剥離フィルムを剥離し、露出した粘着層面とSUSを貼着することにより、本発明を評価するための試料を作製し、以下に示す測定項目について評価した。
SUSと貼着した受光素子用保護シートをテンシロン万能試験機(ORIENTEC社製、商品名:RTC−1210A)にて、フルスケール10N(1kg)の条件によって、これらの積層体を構成する受光素子用保護シートをSUS表面から剥離し、粘着層とガラス板間の接着力を測定した。
接着力が2.5N/cm以上であったものを○とし、2.5N/cm未満であったものを×とした。
SUSと貼着した受光素子用保護シートの加熱処理を半田リフローにより行った。
半田リフローは、金属メッシュ(7mm間隔のメッシュ)上にSUS面を設置した後、小型窒素リフロー炉(Asahi Electronics社製)上に載せ、金属メッシュおよび本発明を評価するための試料を計4分間加熱することにより行った。金属メッシュおよび本発明を評価するための試料は、ゾーン1からゾーン4よりなる上記小型窒素リフロー炉において、順次0.3m/minの速度で計4分間移動するものであり、各ゾーンにおける雰囲気温度は順に210℃、230℃、238℃、260℃であった。
室温下で十分に放冷した後、SUSと貼着した受光素子用保護シートをテンシロン万能試験機(ORIENTEC社製、商品名:RTC−1210A)にて、フルスケール10N(1kg)の条件によって、これらの積層体を構成する受光素子用保護シートをSUS表面から剥離し、該受光素子用保護シートを構成する粘着層とSUS間の接着力を測定した。1N/cm以下であったものを○とし、1N/cm超であったものを×とした。
続いて、接着力測定後のSUS表面の糊残りを目視にて確認した。その判断基準は、糊残りが認められなかったものを○、糊残りが認められたものを×とした。
比較例1の受光素子用保護シートは、該受光素子用保護シートを構成する粘着層に発泡剤が含有されていないため、加熱処理後の接着力が1.0N/cmを越えるものであった。また、比較例1の受光素子用保護シートを剥離したSUSには糊残りが認められた。
比較例2〜3の受光素子用保護シートは、該受光素子用保護シートを構成する粘着層に含まれる発泡剤量を該粘着層の厚さで除した値が0.30未満であるため、加熱処理後の接着力がいずれも1N/cmを超えるものであり、比較例2〜3の受光素子用保護シートを剥離したSUSには、糊残りが認められた。
また、受光素子用保護シートが積層された個々の光ピックアップ装置において、半田リフロー等の加熱処理を行った後に、光ピックアップ装置から受光素子用保護シートを剥離する際に、前記受光素子上に粘着層の一部が残存する恐れのない受光素子用保護シートを提供することができ、且つ、受光素子用保護シートが積層された個々の光ピックアップ装置において、半田リフロー等の加熱処理を行った後に、該光ピックアップ装置に十分な加熱処理が施されたか否かを容易に識別することができる受光素子用保護シートを提供することができる。
11 受光素子
20、21 光ピックアップ装置
30 有機フィルム
31 剥離フィルム
40 粘着層
50、51 受光素子用保護シート
60、61 積層体
Claims (6)
- 前記発泡剤がアゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p'オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸水素ナトリウム、ヒドラゾジカルボンアミド、5,5−ビス−1H−テトラゾール、有機過酸化物、から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする受光素子用保護シート。
- 前記樹脂成分がシリコーン成分を含有することを特徴とする請求項1乃至2に記載の受光素子用保護シート。
- 前記有機フィルムがエポキシアクリレート樹脂であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の受光素子用保護シート。
- 前記エポキシアクリレート樹脂フィルムのガラス転移温度が70℃以上であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の受光素子用保護シート。
- 前記粘着層上に剥離フィルムが積層されてなることを特徴とする請求項1乃至5に記載の受光素子用保護シート。
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