JP2009086651A - 位相差フィルム、円偏光板、およびこれを用いた表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融粘度が低く、環境負荷が小さく、流動性、成形性、耐熱性、波長分散性に優れた位相差フィルムを用いて、斜めから見てもコントラストが高く、青みを帯びることのない良好な視野角を実現できる円偏光板および表示装置の提供。
【解決手段】溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下であり、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルム。
【選択図】なし
【解決手段】溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下であり、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、光学補償用途、反射防止用途に好適な位相差フィルム、円偏光板、およびこれを用いた液晶表示装置、有機EL式表示装置に関する。
1/4波長板と偏光板とから構成される円偏光板は、偏光板側から入射した無偏光の光を円偏光へと変換する機能をもっている。現在、この機能を利用して、反射型および半透過型液晶表示装置の表示メカニズムや有機EL式表示装置の反射防止に使用されている。この円偏光板に用いられる1/4波長板は、位相差フィルムの位相差が全可視光領域の波長λ(nm)に対し波長の4分の1であることが望まれている。
従来、1/4波長板として、環状ポリオレフィンを用いる方法(例えば、特許文献1参照)が提案されており、1/2波長板と1/4波長板を特定の角度で積層することで、可視光領域の広帯域において正面からの入射光に対する位相差を1/4波長に近づけている。一方、斜めから入射光に対する位相差は、1/4波長から大きく異なるため、表示装置に組み込み斜めから見るとコントラストが低く、色調が変化するという問題があった。
また、ポリエステルを位相差フィルムとして用いる方法(例えば、特許文献2、3参照)が提案されているが、耐久性が不十分であるため、使用時における高温条件での長期の位相差安定性が不十分であるという問題や、可視光領域の広帯域で波長の4分の1の位相差を得られないため、円偏光板を表示装置に組み込み、正面及び斜めから見るとコントラストが低く、色調が変化するという問題があり、長期の位相差安定性と可視光領域の広帯域で位相差が1/4波長であることを同時に満足するものはなかった。
また、1枚で可視光領域の広帯域において、1/4波長に近い位相差が得られるフィルムとしてポリカーボネート(例えば、特許文献4、5参照)やセルロースアセテート(例えば、特許文献6、7参照)からなる熱可塑性フィルムを用いた円偏光板が知られているが、これらの樹脂は溶融粘度が高いため溶液流延法により製膜する必要があり、生産性が悪く、また用いる溶媒が環境に悪影響を与える問題があった。
特開2003−270435号公報
特開2007−4143号公報
特開2007−112980号公報
特開2005−156685号公報
特許第3325560号明細書
特開2000−137116号公報
特開2002−98837号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。したがって、本発明の目的は、溶融粘度が低く、環境負荷が小さく、流動性、成形性、耐熱性、長期の位相差安定性、波長分散性に優れた位相差フィルムを用いて、斜めから見てもコントラストが高く、青みを帯びることのない良好な表示を実現できる円偏光板および表示装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下であり、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルム(第1の発明)が提供される。
また、本発明によれば、溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルムを用いた円偏光板であって、波長λ(nm)、入射角0°の光に対する楕円率をA(λ)(%)、入射角45°の光に対する楕円率をB(λ)(%)としたとき、次式(C)〜(H)を満足する円偏光板(第2の発明)が提供される。ただし、入射角0°はフィルムの法線方向とし、入射角45°は偏光板の透過軸を傾斜軸としたとき、フィルムの法線と45°の角度をなす方向のことを示す。
A(480.4)(%)≧85% ・・・(C)
A(548.3)(%)≧90% ・・・(D)
A(628.2)(%)≧80% ・・・(E)
B(480.4)(%)≧80% ・・・(F)
B(548.3)(%)≧80% ・・・(G)
B(628.2)(%)≧80% ・・・(H)
さらに、本発明の表示装置は、上記の円偏光板または上記の位相差フィルムからなる円偏光板を用いてなることを特徴とする。
A(548.3)(%)≧90% ・・・(D)
A(628.2)(%)≧80% ・・・(E)
B(480.4)(%)≧80% ・・・(F)
B(548.3)(%)≧80% ・・・(G)
B(628.2)(%)≧80% ・・・(H)
さらに、本発明の表示装置は、上記の円偏光板または上記の位相差フィルムからなる円偏光板を用いてなることを特徴とする。
なお、本発明の位相差フィルムは、ガラス転移温度が120℃以上であること、波長548.3nmにおける複屈折をΔNとしたとき、ΔNが1.5×10−3以上、20×10−3以下であること、光弾性係数が−30×10−12 Pa−1以上、30×10−12 Pa−1以下であること、ポリエステル樹脂であること、下記化学式(1)、(3)、(5)、(6)で表される構造単位を含み、化学式(1)、(3)、(5)、(6)のモル分率(%)をそれぞれa〜dとしたとき、次式(A)、(B)を満たしている樹脂からなることが望ましい。
ただし、式中のR1は同一または異なる炭素数1〜4のアルキレン基であり、pは0〜3の整数を示す。R2、R3は同一または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、q、rは0〜4の整数を示す。
ただし、式中のR4は同一または異なる炭素数1〜30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、mは0〜4の整数を示す。
ただし、式中のR5は同一、または異なる炭素数1〜6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基を示し、nは0〜6の整数を示す。
ただし、式中のR6は炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基を示す。
80 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(A)
−0.4c + 40 < a<0.5c + 20・・・(B)
80 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(A)
−0.4c + 40 < a<0.5c + 20・・・(B)
本発明によれば、以下に説明するとおり、溶融粘度が低く、環境負荷が小さく、流動性、成形性、耐熱性、長期の位相差安定性、波長分散性に優れた位相差フィルムおよびこれを用いた円偏光板であり、斜めから見てもコントラストが高く、青みを帯びることのない良好な表示を実現できる円偏光板および表示装置を提供することができる。そのため、溶媒を用いて樹脂の粘度を低くする必要がなく、位相差フィルムの製造の際に、溶媒が環境に与える影響をなくすことができ、生産性が高い溶融製膜法を用いることができる。また、本発明の円偏光板は、使用時における高温条件での長期の位相差安定性を高くすることができる。
さらに、本発明によれば、光弾性係数が小さい位相差フィルムからなる円偏光板を提供することができる。そのため、液晶セルに円偏光板に貼り合わせたときの貼りムラや、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮などにより発生する応力によるフィルムの寸法変化や位相差変化を小さくすることができ、光の額縁漏れや色ムラをなくすことができる。
以下、本発明を具体的に説明する。まず、第1の発明について説明する。第1の発明では、溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下であり、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルムであることが必要である。
溶融粘度は好ましくは50Pa・s以上、800Pa・s以下であり、より好ましくは、100Pa・s以上、500Pa・s以下である。1000Pa・s以下の場合は、流動性、成形性に優れ、溶融粘度を下げるために溶融温度を高くする必要がなく、樹脂の熱分解を防ぐことができ、またフィルターにより異物が取り除けるため好ましい。1000Pa・sより大きい場合は、流動性、成形性に劣るため好ましくない。例えば、光学用フィルムとしては、ポリカーボネート、セルロースなどの樹脂からなるフィルムが挙げられるが、これらの樹脂は溶融粘度が高く、製膜可能な溶融粘度になるよう温度を上げるとポリマーが分解または劣化する問題があるため、樹脂を溶媒に溶かして粘度を下げ、溶液流延法を用いる必要がある。溶液流延法を用いる場合は、生産性が低くなるため好ましくなく、また用いる溶媒が環境に影響を与えることがあるためからも好ましくない。10Pa・sより小さい場合は、製膜が困難となるため好ましくない。
溶融粘度を10Pa・s以上にする方法として、本発明のフィルムを構成する樹脂がポリエステルである場合は、例えば、エステル交換反応を200〜220℃の温度でスタートさせることが好ましく、反応率が約50%を超えてから220〜235℃まで昇温することが好ましい。200℃未満でエステル交換反応を行う場合は、反応が進行せず溶融粘度が上がらないことがあるので好ましくなく、400℃を超えて行う場合は、樹脂の熱分解や着色が生じることがあり好ましくない。
溶融粘度を1000Pa・s以下にする方法として、例えば分子鎖の絡み合いを少なくする方法が挙げられる。ポリカーボネートのように剛直な構造からなる樹脂は、芳香環の立体障害のため分子の回転性が悪く、1000Pa・s以下とするためには、低分子量とすることで分子鎖の絡み合いを減らす必要があるが、製膜が困難となるため好ましくない。主鎖に回転性が良いメチレン基、エーテル基のような分子構造、例えばエチレングリコールを含む樹脂は、分子鎖が曲がりやすく、分子鎖の絡み合いを少なくできるため、溶融粘度を1000Pa・s以下とすることができ好ましい。
また、重合反応が進行し、樹脂の分子量が大きくなるに従い、溶融粘度が高くなるため、重合装置の攪拌トルクも上昇する。重合終了時の攪拌トルクと樹脂の溶融粘度との関係を求め、目的の溶融粘度を満足する攪拌トルクで重合反応を停止することが好ましい。また、樹脂の分子量は、溶融粘度と相関関係があり、樹脂の分子量と溶融粘度との関係を求めておくことで、溶融粘度から樹脂の分子量を推定することができる。
円偏光板に用いる位相差フィルムは、各波長における位相差が1/4となることが好ましい。波長628.2nmにおける位相差R(628.2)(nm)と波長548.3nmにおける位相差R(548.3)(nm)と波長480.4nmにおける位相差R(480.4)(nm)が次式を満たすことが理想であり、この理想値に近い場合を波長分散性が良いという。
R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm) = 1.146
R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm) = 0.8762
本発明の位相差フィルムは、位相差フィルムのR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であることが必要である。
R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm) = 1.146
R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm) = 0.8762
本発明の位相差フィルムは、位相差フィルムのR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であることが必要である。
より好ましくは、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.05以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.82以上、0.92以下であり、さらに好ましくはR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.08以上、1.17以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.84以上、0.90以下を満たすことである。
位相差フィルムを円偏光板に用いて、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、位相差フィルムが、一枚でR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下を満たしていると長波長の光漏れがほとんどないため、黒表示がわずかに赤みを帯びることもなく好ましく、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たしていると、短波長の光漏れがほとんどないため、黒表示がわずかに青みを帯びることや、コントラスト低下もほとんどなく好ましい。また、広範囲の可視光波長域で、正面および斜めからの入射光を円偏光に変換することができるため、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面だけでなく斜めから見ても、コントラスト低下や色相変化を少なくすることができるため好ましい。
R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たす方法としては、波長分散性の観点から、カルド構造、単環または多環の不飽和脂肪族環構造、および単環または多環の飽和脂肪族環構造の全てを有する位相差フィルムであることが好ましい。好ましくは、カルド構造および単環または多環の飽和脂肪族環構造のモル分率(%)をそれぞれa、cとしたとき、−0.4c + 40 < a<0.5c + 20を満たすことである。
a ≦ −0.4c + 40の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0未満となることや、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0より大きくなることがあり表示品質の観点から好ましくなく、また、耐熱性、位相差安定性が不十分であることがあり好ましくない。a ≧ 0.5c + 20の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.2より大きくなることや、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8未満となることがあり表示品質の観点から好ましくなく、また、フィルムの複屈折(以下、ΔNとする)が小さくなることがあり、位相差フィルムの薄膜化の観点から好ましくない。さらに、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.08以上、1.17以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.84以上、0.90以下を満たす方法としては、−0.4c + 40 < aかつ0.27c + 20 < a<0.38c + 20を満たすことである。
本発明の位相差フィルムは、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルムであることが必要である。より好ましくは、−4〜4%であり、さらに好ましくは−3〜3%である。変化率が−5%未満、または5%より大きい場合は、使用時における高温条件での長期の位相差安定性に劣ることがあり好ましくない。R(548.3)(nm)の変化率を−5〜5%とする方法としては、公知の製膜方法により製造した延伸フィルムを、(Tg−20)℃〜(Tg+10)℃の範囲のいずれかの温度で、0.5〜10%の収縮を延伸方向に対して行うことが好ましい。より好ましくは、(Tg−15)℃〜(Tg+5)℃であり、さらに好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg)℃の範囲のいずれかの温度である。ここで、Tgはガラス転移温度とする。(Tg−20)℃未満の場合は、収縮の際にフィルムが弛み平滑性が損なわれることがあり好ましくなく、(Tg+10)℃より高い温度の場合は、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくない。収縮率は、好ましくは1〜8%であり、さらに好ましくは2〜7%である。ここで、収縮率を
とする。収縮率が1%未満の場合は、残留応力の解消が不十分なことがあり、位相差安定性に劣る場合があるので好ましくなく、10%より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。また、収縮速度は好ましくは、0.1%/分以上、100%/分以下とすることであり、より好ましくは0.25%/分以上、80%/分以下であり、もっとも好ましくは0.5%/分以上、40%/分以下である。0.1%/分未満の場合は、目的の収縮率に達するまでに必要な時間が長くなるため、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、100%/分より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。また、R(548.3)(nm)の変化率を−5〜5%とする方法として、カルド構造および単環または多環の飽和脂肪族環構造のモル分率(%)をそれぞれa、cとしたとき、−0.4c + 40 < aとすることも有効である。さらにR(548.3)(nm)の変化率を−3〜3%とする方法としては−0.5c + 50 < aとすることも有効である。
本発明の位相差フィルムは、Tgが120℃以上であることが好ましい。より好ましくは125℃以上であり、最も好ましくは130℃以上である。120℃未満では、円偏光板の使用環境の条件にもよるが配向緩和等の問題が発生し、長期の位相差安定性が保てないことがあり好ましくない。一方、一般的に位相差フィルムの延伸はTg付近で行うので、Tgが高すぎると位相差フィルムの延伸に必要な温度が高くなる。そのため、コストが高くなり生産性が低下することがあり、上限は特にないが一般的には300℃以下であればよい。Tgを120℃以上にする方法としては、例えば、デカリン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、スピロ環構造のような剛直な構造の脂環構造、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、9,9−ビスフェニルフルオレン構造などの芳香族構造などを有していることが好ましい。
本発明の位相差フィルムのΔNが1.5×10−3以上、20×10−3以下であることが好ましい。より好ましくは、波長分散性および位相差フィルムの薄膜化の観点から1.6×10−3以上であり、さらに好ましくは1.7×10−3以上である。また、ハンドリング性、位相差の制御の観点から好ましくは15×10−3以下であり、さらに好ましくは10×10−3以下である。芳香族構造のモル分率が50%である場合はΔNが20×10−3以上となることがあり好ましくなく、カルド構造のモル分率が45%以上である場合はΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくない。ΔNを1.5×10−3以上、20×10−3以下とする方法として、例えば(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で、1.1〜10倍のいずれかの延伸倍率で、一軸延伸、ニ軸延伸などの方法で作製できる。好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+10)℃であり、より好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg+5)℃の範囲のいずれかの温度で延伸することであり、延伸倍率に特に限定はないが、好ましくは1.1〜5倍であり、より好ましくは1.5〜4倍のいずれかの延伸倍率で延伸することである。延伸温度が(Tg+40)℃の場合や、延伸倍率が1.1倍未満の場合はΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、延伸温度が(Tg−40)℃未満の場合はフィルム破れが生じることがあり好ましくなく、延伸倍率が10倍より大きい場合はクラックによる白化が生じることがあり好ましくない。延伸開始速度は好ましくは、50%/分以上、4000%/分以下とすることであり、より好ましくは100%/分以上、3000%/分以下であり、もっとも好ましくは200%/分以上、2000%/分以下である。延伸開始速度が50%/分未満の場合は、延伸による分子鎖の配向と同時に配向緩和が生じるため、ΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、4000%/分より大きい場合は応力集中によるフィルム破れやクラックによる白化が生じるため好ましくない。また、延伸開始後の延伸速度には特に限定はないが、50%/分以上、10000%/分以下が好ましい。
ΔNが1.5×10−3未満の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たさないことがあり、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下や色相変化が生じることがあり好ましくない。また、必要な厚みが大きくなり、本発明の位相差フィルムを用いた表示装置の薄型化、軽量化の観点で好ましくなく、また、ΔNが20×10−3を超える場合は、位相差の制御が困難になり好ましくない。
本発明の位相差フィルムは、光弾性係数(以下、Cσとする)が−30×10−12Pa−1以上、30×10−12 Pa−1以下であることが好ましい。より好ましくは−28×10−12Pa−1以上、28×10−12 Pa−1以下であり、もっとも好ましくは−27×10−12Pa−1以上、27×10−12 Pa−1である。Cσが−30×10−12Pa−1未満、または30×10−12 Pa−1より大きい場合は、円偏光板を液晶セルに貼り合わせたときの貼りムラや、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮などにより発生する応力により、位相差ムラが発生し、コントラストの低下や色相変化を起こすことがあり好ましくない。
Cσを−30×10−12 Pa−1以上、30×10−12 Pa−1以下にする方法としては、脂環構造をおよびカルド構造のいずれも有していることが好ましい。脂環構造としては、例えばシクロヘキサン構造、シクロペンタン構造、デカリン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、シクロヘキセン構造、シクロペンテン構造、ノルボルネン構造、スピロ環構造などが挙げられる。また、カルド構造としては、フルオレン環、9,9−ビスフェニルフルオレン構造などが挙げられる。Tgの向上を目的として芳香族構造を多く導入するとCσが大きくなる傾向にあり好ましくないが、9,9−ビスフェニルフルオレン構造からなる芳香族は、主鎖方向の芳香環と主鎖と直交する方向のフルオレン環(芳香環)が分極を打ち消しあうため、高いTgと小さいCσの両立が可能になるため好ましい。
さらに、Cσを−28×10−12 Pa−1以上、28×10−12 Pa−1以下にする方法としては、カルド構造および単環または多環の飽和脂肪族環構造のモル分率(%)をそれぞれa、cとしたとき、a < 0.5c+20とすることも有効であり、Cσを−27×10−12Pa−1以上、27×10−12 Pa−1以下にする方法としては、a < 0.38c+20とすることも有効である。
溶融粘度、波長分散性、Cσ、Tg、位相差発現性の観点から、本発明の位相差フィルムが、カルド構造および、単環または多環の不飽和脂肪族環構造および、単環または多環の飽和脂肪族環構造の全てを有する樹脂からなることが好ましい。より好ましくは、単環または多環の不飽和脂肪族環構造が、1つの不飽和構造を有することである。さらに好ましくは、位相差フィルムがポリエステル樹脂であることである。
本発明の位相差フィルムが、上記化学式(1)および下記化学式(2)で表される構造単位を含む樹脂からなることが好ましい。上記化学式(1)で表される構造単位は、好ましくはq=0、r=0である。R2、R3がアルキル基、アリール基、シクロアルキル基の場合は原料コストが高くなることや、Tgの低下があり好ましくない。p=1であることが好ましく、R1は同一でエチレン基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数が大きい場合はTgが下がり好ましくなく、p=0の場合は重合の反応性が悪くなり好ましくない。より好ましくは、下記化学式(7)で表される構造単位である。また、下記化学式(2)で表される構造単位の式中のXは、炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であることが好ましい。
上記化学式(1)で表される構造単位の誘導体としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられ、これらの中でも、Cσ、耐熱性、重合性の観点から9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、上記化学式(2)および下記化学式(4)で表される構造単位を含む樹脂からなることが好ましい。上記化学式(2)で表される構造単位は、好ましくはm=0であり、R4がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の場合は、原料コストが高くなることや、Tgの低下、樹脂の着色などがあり好ましくない。より好ましくは、下記化学式(8)で表される構造単位である。また、下記化学式(4)で表される構造単位の式中のYは、炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であることが好ましい。
上記化学式(2)で表される構造単位の誘導体としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物などの酸無水物、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸ジメチルなどの低級アルキルエステルなどなどが挙げられる。1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸を用いると、このフィルムからなる1/4波長位相差フィルムを用いた円偏光板は、広範囲の可視光波長域で光を円偏光に変換することができ、反射型または半透過型液晶表示装置および有機EL式表示装置に組み込んだ際の光漏れによるコントラスト低下や色相変化を少なくすることができ好ましい。
本発明の位相差フィルムは、上記化学式(4)および(5)で表される構造単位を含む樹脂からなることが好ましい。上記化学式(4)で表される構造単位の式中のYは、炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であることが好ましい。上記化学式(5)で表される構造単位は、好ましくはn=0であり、R5がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の場合は、原料コストが高くなることや、Tgの低下などがあり好ましくない。より好ましくは、下記化学式(9)で表される構造単位である。
上記化学式(5)で表される構造単位の誘導体としては、例えば2,6−デカリンジカルボン酸、1,5−デカリンジカルボン酸、1,6−デカリンジカルボン酸、2,7−デカリンジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルなどの低級アルキルエステルなどが挙げられる。波長分散性、光弾性係数、耐熱性の観点から2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、ジオール単位として上記化学式(6)で表される構造単位のR6は炭素数1〜50のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であることが好ましい。上記化学式(6)で表される構造単位の誘導体としては、例えばジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどの脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノールなどの環構造を有するジオールが挙げられる。位相差フィルムの延伸性、柔軟性の観点から好ましくはエチレングリコールであり、Cσの低減、耐熱性の観点から、好ましくは2.3−ブタンジオール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロピレングリコール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、1,2−デカリンジメタノール、1,3−デカリンジメタノール、1,4−デカリンジメタノール、1,6−デカリンジメタノール、2,7−デカリンジメタノールである。より好ましくはエチレングリコール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,6−デカリンジメタノールである。本発明の目的を損なわない範囲で、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができ、例えばエチレングリコール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,6−デカリンジメタノールを併用することで耐熱性、光学特性、柔軟性、機械特性を調節することができる。
本発明の位相差フィルムは、上記化学式(1)、(3)、(5)、(6)で表される構造単位を含み、化学式(1)、(3)、(5)、(6)のモル分率(%)をそれぞれa〜dとしたとき、下式(A)、(B)を満たしていることがより好ましい。より好ましくは、次式(I)、(J)を満たすことである。最も好ましくは、次式(W)、(X)を満たすことである。
80 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(A)
−0.4c + 40 < a<0.5c + 20・・・(B)
90 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(I)
−0.5c + 50 ≦ a<0.5c + 20・・・(J)
−0.5c + 50 ≦ a・・・(W)
0.27c + 20 < a<0.38c + 20・・・(X)
(a + b + c + d )が80未満の場合は、本発明の目的を損なうことがあり好ましくない。a ≦ −0.4c + 40、a ≧ −0.5c + 20の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たさないことがあり、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、コントラスト低下や色相変化が生じることがあり好ましくない。
80 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(A)
−0.4c + 40 < a<0.5c + 20・・・(B)
90 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(I)
−0.5c + 50 ≦ a<0.5c + 20・・・(J)
−0.5c + 50 ≦ a・・・(W)
0.27c + 20 < a<0.38c + 20・・・(X)
(a + b + c + d )が80未満の場合は、本発明の目的を損なうことがあり好ましくない。a ≦ −0.4c + 40、a ≧ −0.5c + 20の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たさないことがあり、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、コントラスト低下や色相変化が生じることがあり好ましくない。
また、a ≦ −0.4c + 40の場合は、位相差フィルムの使用環境の条件にもよるが、配向緩和等の問題が発生し、長期の位相差安定性を保てないことがあり好ましくない。また、Cσが−30×10−12 Pa−1未満、または30×10−12 Pa−1より大きくなることがあり、円偏光板を液晶セルに貼り合わせたときの貼りムラや、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮などにより発生する応力により、位相差ムラが発生し、コントラストの低下や色相変化を起こすことがあり好ましくない。
また、a≧ −0.5c + 20の場合は、延伸条件にもよるがΔNが1.5×10−3以上とすることが容易ではないことがあり、位相差発現性が悪く、円偏光板の厚みが厚くなり、液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
また、上記式(W)、(X)を満たすとき、Cσを−27×10−12Pa−1以上、27×10−12 Pa−1以下、Tgが130℃以上、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.08以上、1.17以下、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.84以上、0.90以下、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率を−3〜3%を同時に満たすために特に好ましい。
本発明の位相差フィルムの樹脂の重合方法に限定はなく、公知の重合法、例えば、ジカルボン酸とグリコールを誘導体とするエステル化法、ジカルボン酸ジエステルとグリコールを用いるエステル交換法などを用いることができる。
エステル交換法の場合、例えば2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、エチレングリコールを用いる場合、テレフタル酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコールを所定のポリマー組成となるように反応容器へ仕込む。この際、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加することにより反応性が良好になる。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガンを添加し撹拌する。150℃で、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。ついで235℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させる。その後200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸を加える。2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルのようにジカルボン酸のエステル形成性誘導体ではなく、ジカルボン酸やジカルボン酸無水物を用いる場合は、このように途中で加えることにより反応性を良好にすることができる。その後、再び235℃まで昇温することでエステル交換反応を実施する。
エステル反応終了後、トリメチルリン酸を加え、撹拌後に水を蒸発させる。さらに、二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧し、エチレングリコールを留出させる。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇するので、撹拌トルクが0.2Nmとなった時点で反応を終了し、重合装置から樹脂を水槽へ吐出する。攪拌トルクが0.2Nm未満で反応を終了すると、溶融粘度が低く、成形が困難になることがあるので好ましくなく、0.2Nmを大きく超えた場合は、溶融粘度が高くなりすぎるので、製膜可能な溶融粘度になるよう押出温度を上げる必要があるが、その際に樹脂の熱分解や着色が生じることがあるので好ましくない。吐出された樹脂は水槽で急冷し、カッターでチップとする。得られた樹脂は95℃の温水が満たされた水槽に投入して5時間水処理を行う。水処理後、脱水機を用いて樹脂から水分を除去する。
このようにして得た樹脂を用いて本発明の位相差フィルムを得ることができるが、上記方法に限定されるわけではない。樹脂の各構造単位のモル分率(%)は、例えば熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS)法や、樹脂を加水分解し、生成物をシリル化など誘導体化した後に、GC−MS法、及びNMRなどの方法を用いて測定することができる。
位相差フィルムを製膜する方法としては、公知の製膜方法を用いて製膜することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法などの製造方法が使用できるが、厚みムラ減少、異物削減の観点からT−ダイ法、流延法、ホットプレス法が好ましく使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいはニ軸押出しスクリューのついたエクストルーダ溶融押出し装置が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下のニ軸混練押出機が着色を防ぐことができる点で好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。特に本発明の樹脂は非晶性であるため乾燥が難しいため、ベント式押出機は乾燥せずに溶融押出しできる点で好ましく用いられる。押出温度としては(Tg + 100)〜(Tg + 200)℃の範囲のいずれかの温度で行うことができる。キャスト方法は溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸フィルムを得ることが好ましい。特に本発明の位相差フィルムは良好な平面性や均一な厚み、光学特性が要求されるため、静電印加法が特に好ましく用いられる。
上記に記載の製膜方法により製造した未延伸フィルムを、(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で、1.1〜10倍のいずれかの延伸倍率で、一軸延伸、ニ軸延伸などの方法で作製できる。二軸延伸の延伸方式は、特に限定はなく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法を用いることができる。
好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+10)℃であり、より好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg+5)℃の範囲のいずれかの温度で延伸することであり、延伸倍率に特に限定はなく、目的とした位相差に応じて決めることができるが、一軸延伸の延伸方式を用いる場合は、好ましくは1.1〜5倍であり、より好ましくは1.5〜4倍のいずれかの延伸倍率で延伸することが、波長分散性の観点から好ましい。延伸温度が(Tg+40)℃の場合や、延伸倍率が1.1未満の場合はΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、延伸温度が(Tg−40)℃未満の場合はフィルム破れが生じることがあり好ましくなく、延伸倍率が10倍より大きい場合はクラックによる白化が生じることがあり好ましくない。延伸開始速度は好ましくは、50%/分以上、4000%/分以下とすることであり、より好ましくは100%/分以上、3000%/分以下であり、もっとも好ましくは200%/分以上、2000%/分以下である。延伸開始速度が50%/分未満の場合は、延伸による分子鎖の配向と同時に配向緩和が生じるため、ΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、4000%/分より大きい場合は応力集中によるフィルム破れやクラックによる白化が生じるため好ましくない。また、延伸開始後の延伸速度には特に限定はないが、50%/分以上、10000%/分以下が好ましい。
延伸した位相差フィルムは、(Tg−20)℃〜(Tg+10)℃の範囲のいずれかの温度で、0.5〜10%の収縮を延伸方向に対して行うことが好ましい。より好ましくは、(Tg−15)℃〜(Tg+5)℃であり、さらに好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg)℃の範囲のいずれかの温度である。(Tg−20)℃未満の場合は、収縮の際にフィルムが弛み平滑性が損なわれることがあり好ましくなく、(Tg+10)℃より高い温度の場合は、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくない。収縮率は、好ましくは1〜8%であり、さらに好ましくは2〜7%である。ここで、収縮率を
とする。収縮率が1%未満の場合は、残留応力の解消が不十分なことがあり、位相差安定性に劣る場合があるので好ましくなく、10%より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。また、収縮速度は好ましくは、0.1%/分以上、100%/分以下とすることであり、より好ましくは0.25%/分以上、80%/分以下であり、もっとも好ましくは0.5%/分以上、40%/分以下である。0.1%/分未満の場合は、目的の収縮率に達するまでに必要な時間が長くなるため、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、100%/分より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。
本発明の位相差フィルムの厚みは1〜300μmであることが好ましい。より好ましくは7〜150μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。1μm未満の場合はフィルムのハンドリングが困難になることがあり、300μmを超える場合は光線透過率が低くなることがあり、また本発明の位相差フィルムを用いた液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
また、本発明の位相差フィルムは、流動性、成形性、耐熱性、位相差安定性、波長分散性に優れているので、偏光板と組み合わせ円偏光板として用いることができる。目的の位相差と波長分散性を得る方法としては、上記延伸方法を用いることができる。
また、本発明の位相差フィルムの波長分散および用いる表示装置にもよるが、波長548.3nmの楕円率向上の観点からは、本発明の位相差フィルムのR(548.3)が135〜139nmであることが好ましく、波長480.4nmの楕円率向上の観点からは、R(548.3)が136〜142nmであることが好ましい。また、本発明の位相差フィルムを用いた円偏光板は、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は、好ましくは40°〜50°であり、より好ましくは、42°〜48°であり、もっとも好ましくは43°〜47°である。
本発明の位相差フィルムを用いた円偏光板に用いられる偏光板に限定はなく、公知の偏光板、例えば、ヨウ素系偏光板、染料系偏光板、ワイヤーグリッド型偏光板などを用いることができる。偏光度の観点からヨウ素系偏光板が好ましく、耐熱性の観点から染料系偏光板が好ましい。ヨウ素系偏光板は、少なくとも偏光子の片面にトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを有していることが好ましく、耐久性の観点から偏光子の両面に保護フィルムを有していることが好ましく、薄膜化の観点からどちらか一方のみ保護フィルムを有していることが好ましい
本発明の位相差フィルムを用いた円偏光板の作成方法に限定はなく、公知の貼合方法、例えば市販の貼合機や貼合ロールを用いて偏光板と本発明の位相差フィルムとを積層することができ、接着層を介して積層することができる。偏光板が、偏光子の片面のみ保護フィルムを有する場合は、もう一方の面に本発明の位相差フィルムを積層することで円偏光板とすることができる。また、接着層に限定はなく、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの公知の接着剤および粘着剤を用いることができ、光学的に等方的であることが好ましい。薄膜化の観点から、UV硬化型樹脂を用いた接着剤が好ましく、透明性、光学的等方性、対熱性、耐湿熱性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
本発明の位相差フィルムを用いた円偏光板の作成方法に限定はなく、公知の貼合方法、例えば市販の貼合機や貼合ロールを用いて偏光板と本発明の位相差フィルムとを積層することができ、接着層を介して積層することができる。偏光板が、偏光子の片面のみ保護フィルムを有する場合は、もう一方の面に本発明の位相差フィルムを積層することで円偏光板とすることができる。また、接着層に限定はなく、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの公知の接着剤および粘着剤を用いることができ、光学的に等方的であることが好ましい。薄膜化の観点から、UV硬化型樹脂を用いた接着剤が好ましく、透明性、光学的等方性、対熱性、耐湿熱性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
第2の発明の円偏光板は、溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルムを用いた円偏光板であって、波長λ(nm)、入射角0°の光に対する楕円率をA(λ)(%)、入射角45°の光に対する楕円率をB(λ)(%)としたとき、次式(C)〜(H)を満足することが必要である。ただし、入射角0°はフィルムの法線方向とし、入射角45°は偏光板の透過軸を傾斜軸としたとき、フィルムの法線と45°の角度をなす方向のことを示す。
A(480.4)(%)≧85% ・・・(C)
A(548.3)(%)≧90% ・・・(D)
A(628.2)(%)≧80% ・・・(E)
B(480.4)(%)≧80% ・・・(F)
B(548.3)(%)≧80% ・・・(G)
B(628.2)(%)≧80% ・・・(H)
溶融粘度は好ましくは50Pa・s以上、800Pa・s以下であり、より好ましくは、100Pa・s以上、500Pa・s以下である。1000Pa・s以下の場合は、流動性、成形性に優れ、溶融粘度を下げるために溶融温度を高くする必要がなく、樹脂の熱分解を防ぐことができ、またフィルターにより異物が取り除けるため好ましい。1000Pa・sより大きい場合は、流動性、成形性に劣るため好ましくない。例えば、光学用フィルムとしては、ポリカーボネート、セルロースなどの樹脂からなるフィルムが挙げられるが、これらの樹脂は溶融粘度が高く、製膜可能な溶融粘度になるよう温度を上げるとポリマーが分解または劣化する問題があるため、樹脂を溶媒に溶かして粘度を下げ、溶液流延法を用いる必要がある。溶液流延法を用いる場合は、生産性が低くなるため好ましくなく、また用いる溶媒が環境に影響を与えることがあるためからも好ましくない。10Pa・sより小さい場合は、製膜が困難となるため好ましくない。
A(548.3)(%)≧90% ・・・(D)
A(628.2)(%)≧80% ・・・(E)
B(480.4)(%)≧80% ・・・(F)
B(548.3)(%)≧80% ・・・(G)
B(628.2)(%)≧80% ・・・(H)
溶融粘度は好ましくは50Pa・s以上、800Pa・s以下であり、より好ましくは、100Pa・s以上、500Pa・s以下である。1000Pa・s以下の場合は、流動性、成形性に優れ、溶融粘度を下げるために溶融温度を高くする必要がなく、樹脂の熱分解を防ぐことができ、またフィルターにより異物が取り除けるため好ましい。1000Pa・sより大きい場合は、流動性、成形性に劣るため好ましくない。例えば、光学用フィルムとしては、ポリカーボネート、セルロースなどの樹脂からなるフィルムが挙げられるが、これらの樹脂は溶融粘度が高く、製膜可能な溶融粘度になるよう温度を上げるとポリマーが分解または劣化する問題があるため、樹脂を溶媒に溶かして粘度を下げ、溶液流延法を用いる必要がある。溶液流延法を用いる場合は、生産性が低くなるため好ましくなく、また用いる溶媒が環境に影響を与えることがあるためからも好ましくない。10Pa・sより小さい場合は、製膜が困難となるため好ましくない。
溶融粘度を10Pa・s以上にする方法として、本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムを構成する樹脂がポリエステルである場合は、例えば、エステル交換反応を200〜220℃の温度でスタートさせることが好ましく、反応率が約50%を超えてから220〜235℃まで昇温することが好ましい。200℃未満でエステル交換反応を行う場合は、反応が進行せず溶融粘度が上がらないことがあるので好ましくなく、400℃を超えて行う場合は、樹脂の熱分解や着色が生じることがあり好ましくない。
溶融粘度を1000Pa・s以下にする方法として、例えば分子鎖の絡み合いを少なくする方法が挙げられる。ポリカーボネートのように剛直な構造からなる樹脂は、芳香環の立体障害のため分子の回転性が悪く、1000Pa・s以下とするためには、低分子量とすることで分子鎖の絡み合いを減らす必要があるが、製膜が困難となるため好ましくない。主鎖に回転性が良いメチレン基、エーテル基のような分子構造、例えばエチレングリコールを含む樹脂は、分子鎖が曲がりやすく、分子鎖の絡み合いを少なくできるため、溶融粘度を1000Pa・s以下とすることができ好ましい。
また、重合反応が進行し、樹脂の分子量が大きくなるに従い、溶融粘度が高くなるため、重合装置の攪拌トルクも上昇する。重合終了時の攪拌トルクと樹脂の溶融粘度との関係を求め、目的の溶融粘度を満足する攪拌トルクで重合反応を停止することが好ましい。また、樹脂の分子量は、溶融粘度と相関関係があり、樹脂の分子量と溶融粘度との関係を求めておくことで、溶融粘度から樹脂の分子量を推定することができる。
円偏光板は、フィルムの法線を0°としたとき、0°および斜め45°からの入射光に対して、各波長における楕円率が100%に近いほど、無偏光の光をより完全な円に近い円偏光へと変換することができ好ましい。ここで、斜め45°とは、偏光板の透過軸を傾斜軸として、フィルムの法線と45°の角度をなす方向のことである。
本発明の円偏光板は、上式(C)〜(H)を満足する円偏光板であることが必要である。より、好ましくは、次式(K)〜(P)を満たすことであり、さらに好ましくは次式(Q)〜(V)を満たすことである。
A(480.4)(%)≧88% ・・・(K)
A(548.3)(%)≧93% ・・・(L)
A(628.2)(%)≧83% ・・・(M)
B(480.4)(%)≧84% ・・・(N)
B(548.3)(%)≧84% ・・・(O)
B(628.2)(%)≧84% ・・・(P)
A(480.4)(%)≧91% ・・・(Q)
A(548.3)(%)≧96% ・・・(R)
A(628.2)(%)≧86% ・・・(S)
B(480.4)(%)≧88% ・・・(T)
B(548.3)(%)≧88% ・・・(U)
B(628.2)(%)≧88% ・・・(V)
円偏光板の楕円率が上式(C)〜(H)を満足していると、広範囲の可視光波長域で、正面および斜めからの入射光をより完全な円に近い円偏光へと変換することができ、特に、A(480.4)とA(548.3)の値が高いほど、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下や色相変化を少なくすることができ、好ましい。
A(548.3)(%)≧93% ・・・(L)
A(628.2)(%)≧83% ・・・(M)
B(480.4)(%)≧84% ・・・(N)
B(548.3)(%)≧84% ・・・(O)
B(628.2)(%)≧84% ・・・(P)
A(480.4)(%)≧91% ・・・(Q)
A(548.3)(%)≧96% ・・・(R)
A(628.2)(%)≧86% ・・・(S)
B(480.4)(%)≧88% ・・・(T)
B(548.3)(%)≧88% ・・・(U)
B(628.2)(%)≧88% ・・・(V)
円偏光板の楕円率が上式(C)〜(H)を満足していると、広範囲の可視光波長域で、正面および斜めからの入射光をより完全な円に近い円偏光へと変換することができ、特に、A(480.4)とA(548.3)の値が高いほど、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下や色相変化を少なくすることができ、好ましい。
円偏光板に用いる位相差フィルムは、各波長における位相差が1/4となることが好ましい。波長628.2nmにおける位相差R(628.2)(nm)と波長548.3nmにおける位相差R(548.3)(nm)と波長480.4nmにおける位相差R(480.4)(nm)が次式を満たすことが理想であり、この理想値に近い場合を波長分散性が良いという。
R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm) = 1.146
R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm) = 0.8762
式(C)〜(H)を満たす方法としては、円偏光板に用いられる位相差フィルムが、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、位相差フィルムのR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であることが必要である。
R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm) = 1.146
R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm) = 0.8762
式(C)〜(H)を満たす方法としては、円偏光板に用いられる位相差フィルムが、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、位相差フィルムのR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であることが必要である。
より好ましくは、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.05以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.82以上、0.92以下であり、さらに好ましくはR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.08以上、1.17以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.84以上、0.90以下を満たすことである。
位相差フィルムを円偏光板に用いて、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、位相差フィルムが、一枚でR(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下を満たしていると長波長の光漏れがほとんどないため、黒表示がわずかに赤みを帯びることもなく好ましく、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たしていると、短波長の光漏れがほとんどないため、黒表示がわずかに青みを帯びることや、コントラスト低下もほとんどなく好ましい。また、広範囲の可視光波長域で、正面および斜めからの入射光を円偏光に変換することができるため、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面だけでなく斜めから見ても、コントラスト低下や色相変化を少なくすることができるため好ましい。
R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たす方法としては、波長分散性の観点から、カルド構造、単環または多環の不飽和脂肪族環構造、および単環または多環の飽和脂肪族環構造の全てを有する位相差フィルムであることが好ましい。好ましくは、カルド構造および単環または多環の飽和脂肪族環構造のモル分率(%)をそれぞれa、cとしたとき、−0.4c + 40 < a<0.5c + 20を満たすことである。
a ≦ −0.4c + 40の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0未満となることや、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0より大きくなることがあり表示品質の観点から好ましくなく、また、耐熱性、位相差安定性が不十分であることがあり好ましくない。a ≧ 0.5c + 20の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.2より大きくなることや、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8未満となることがあり表示品質の観点から好ましくなく、また、フィルムの複屈折(以下、ΔNとする)が小さくなることがあり、位相差フィルムの薄膜化の観点から好ましくない。
さらに、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.08以上、1.17以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.84以上、0.90以下を満たす方法としては、−0.4c + 40 < aかつ0.27c + 20 < a<0.38c + 20を満たすことである。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムは、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5〜5%である位相差フィルムであることが必要である。より好ましくは、−4〜4%であり、さらに好ましくは−3〜3%である。変化率が−5%未満、または5%より大きい場合は、使用環境の条件にもよるが、円偏光板を液晶セルに貼り合わせ、長期間使用すると楕円率低下によるコントラストの低下や色相変化を起こすことがあり好ましくない。R(548.3)(nm)の変化率を−5〜5%とする方法としては、公知の製膜方法により製造した延伸フィルムを、(Tg−20)℃〜(Tg+10)℃の範囲のいずれかの温度で、0.5〜10%の収縮を延伸方向に対して行うことが好ましい。より好ましくは、(Tg−15)℃〜(Tg+5)℃であり、さらに好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg)℃の範囲のいずれかの温度である。(Tg−20)℃未満の場合は、収縮の際にフィルムが弛み平滑性が損なわれることがあり好ましくなく、(Tg+10)℃より高い温度の場合は、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくない。収縮率は、好ましくは1〜8%であり、さらに好ましくは2〜7%である。ここで、収縮率を
とする。収縮率が1%未満の場合は、残留応力の解消が不十分なことがあり、位相差安定性に劣る場合があるので好ましくなく、10%より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。また、収縮速度は好ましくは、0.1%/分以上、100%/分以下とすることであり、より好ましくは0.25%/分以上、80%/分以下であり、もっとも好ましくは0.5%/分以上、40%/分以下である。0.1%/分未満の場合は、目的の収縮率に達するまでに必要な時間が長くなるため、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、100%/分より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。また、R(548.3)(nm)の変化率を−5〜5%とする方法として、カルド構造および単環または多環の飽和脂肪族環構造のモル分率(%)をそれぞれa、cとしたとき、−0.4c + 40 < aとすることも有効である。さらにR(548.3)(nm)の変化率を−3〜3%とする方法としては−0.5c + 50 < aとすることも有効である。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムは、Tgが120℃以上であることが好ましい。より好ましくは125℃以上であり、最も好ましくは130℃以上である。120℃未満では、円偏光板の使用環境の条件にもよるが配向緩和等の問題が発生し、長期の位相差安定性が保てないことがあり好ましくない。一方、一般的に位相差フィルムの延伸はTg付近で行うので、Tgが高すぎると位相差フィルムの延伸に必要な温度が高くなる。そのため、コストが高くなり生産性が低下することがあり、上限は特にないが一般的には300℃以下であればよい。Tgを120℃以上にする方法としては、例えば、デカリン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、スピロ環構造のような剛直な構造の脂環構造、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、9,9−ビスフェニルフルオレン構造などの芳香族構造などを有していることが好ましい。
また、本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムのΔNが1.5×10−3以上、20×10−3以下であることが好ましい。より好ましくは、波長分散性および円偏光板の薄膜化の観点から1.6×10−3以上であり、さらに好ましくは1.7×10−3以上である。また、ハンドリング性、位相差の制御の観点から好ましくは15×10−3以下であり、さらに好ましくは10×10−3以下である。芳香族構造のモル分率が50%である場合はΔNが20×10−3以上となることがあり好ましくなく、カルド構造のモル分率が45%以上である場合はΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくない。ΔNを1.5×10−3以上、20×10−3以下とする方法として、例えば(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で、1.1〜10倍のいずれかの延伸倍率で、一軸延伸、ニ軸延伸などの方法で作製できる。好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+10)℃であり、より好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg+5)℃の範囲のいずれかの温度で延伸することであり、延伸倍率に特に限定はないが、好ましくは1.1〜5倍であり、より好ましくは1.5〜4倍のいずれかの延伸倍率で延伸することである。延伸温度が(Tg+40)℃の場合や、延伸倍率が1.1倍未満の場合はΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、延伸温度が(Tg−40)℃未満の場合はフィルム破れが生じることがあり好ましくなく、延伸倍率が10倍より大きい場合はクラックによる白化が生じることがあり好ましくない。
延伸開始速度は好ましくは、50%/分以上、4000%/分以下とすることであり、より好ましくは100%/分以上、3000%/分以下であり、もっとも好ましくは200%/分以上、2000%/分以下である。延伸開始速度が50%/分未満の場合は、延伸による分子鎖の配向と同時に配向緩和が生じるため、ΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、4000%/分より大きい場合は応力集中によるフィルム破れやクラックによる白化が生じるため好ましくない。また、延伸開始後の延伸速度には特に限定はないが、50%/分以上、10000%/分以下が好ましい。
ΔNが1.5×10−3未満の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たさないことがあり、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下や色相変化が生じることがあり好ましくない。また、必要な厚みが大きくなり、本発明の円偏光板を用いた表示装置の薄型化、軽量化の観点で好ましくなく、また、ΔNが20×10−3を超える場合は、位相差の制御が困難になり好ましくない。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムは、光弾性係数(以下、Cσとする)が−30×10−12 Pa−1以上、30×10−12 Pa−1以下であることが好ましい。より好ましくは−28×10−12Pa−1以上、28×10−12 Pa−1以下であり、もっとも好ましくは−27×10−12Pa−1以上、27×10−12 Pa−1である。Cσが−30×10−12Pa−1未満、または30×10−12 Pa−1より大きい場合は、円偏光板を液晶セルに貼り合わせたときの貼りムラや、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮などにより発生する応力により、位相差ムラが発生し、コントラストの低下や色相変化を起こすことがあり好ましくない。
Cσを−30×10−12 Pa−1以上、30×10−12 Pa−1以下にする方法としては、脂環構造をおよびカルド構造のいずれも有していることが好ましい。脂環構造としては、例えばシクロヘキサン構造、シクロペンタン構造、デカリン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、シクロヘキセン構造、シクロペンテン構造、ノルボルネン構造、スピロ環構造などが挙げられる。また、カルド構造としては、フルオレン環、9,9−ビスフェニルフルオレン構造などが挙げられる。Tgの向上を目的として芳香族構造を多く導入するとCσが大きくなる傾向にあり好ましくないが、9,9−ビスフェニルフルオレン構造からなる芳香族は、主鎖方向の芳香環と主鎖と直交する方向のフルオレン環(芳香環)が分極を打ち消しあうため、高いTgと小さいCσの両立が可能になるため好ましい。さらに、Cσを−28×10−12Pa−1以上、28×10−12 Pa−1以下にする方法としては、カルド構造および単環または多環の飽和脂肪族環構造のモル分率(%)をそれぞれa、cとしたとき、a < 0.5c+20とすることも有効であり、Cσを−27×10−12Pa−1以上、27×10−12 Pa−1以下にする方法としては、a < 0.38c+20とすることも有効である。
溶融粘度、波長分散性、Cσ、Tg、位相差発現性の観点から、本発明の位相差フィルムが、カルド構造および、単環または多環の不飽和脂肪族環構造および、単環または多環の飽和脂肪族環構造の全てを有する樹脂からなることが好ましい。より好ましくは、単環または多環の不飽和脂肪族環構造が、1つの不飽和構造を有することである。さらに好ましくは、位相差フィルムがポリエステル樹脂であることである。
溶融粘度、波長分散性、Cσ、Tg、位相差発現性の観点から、本発明の位相差フィルムが、カルド構造および、単環または多環の不飽和脂肪族環構造および、単環または多環の飽和脂肪族環構造の全てを有する樹脂からなることが好ましい。より好ましくは、単環または多環の不飽和脂肪族環構造が、1つの不飽和構造を有することである。さらに好ましくは、位相差フィルムがポリエステル樹脂であることである。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムが、上記化学式(1)および(2)で表される構造単位を含む樹脂からなることが好ましい。上記化学式(1)で表される構造単位は、好ましくはq=0、r=0である。R2、R3がアルキル基、アリール基、シクロアルキル基の場合は原料コストが高くなることや、Tgの低下があり好ましくない。p=1であることが好ましく、R1は同一でエチレン基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数が大きい場合はTgが下がり好ましくなく、p=0の場合は重合の反応性が悪くなり好ましくない。より好ましくは、上記化学式(7)で表される構造単位である。また、上記化学式(2)で表される構造単位の式中のXは、炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であることが好ましい。
上記化学式(1)で表される構造単位の誘導体としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−エチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジエチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−プロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソプロピルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジ−n−ブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジイソブチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ビス(1−メチルプロピル)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジフェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−ベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジベンジルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン9,9−ビス[4−(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン等が挙げられ、これらの中でも、Cσ、耐熱性、重合性の観点から9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが好ましい。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムは、上記化学式(2)および(4)で表される構造単位を含む樹脂からなることが好ましい。上記化学式(2)で表される構造単位は、好ましくはm=0であり、R4がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の場合は、原料コストが高くなることや、Tgの低下、樹脂の着色などがあり好ましくない。より好ましくは、上記化学式(8)で表される構造単位である。また、上記化学式(4)で表される構造単位の式中のYは、炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であることが好ましい。
上記化学式(2)で表される構造単位の誘導体としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物などの酸無水物、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸ジメチルなどの低級アルキルエステルなどなどが挙げられる。1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸を用いると、このフィルムからなる1/4波長位相差フィルムを用いた円偏光板は、広範囲の可視光波長域で光を円偏光に変換することができ、反射型または半透過型液晶表示装置および有機EL式表示装置に組み込んだ際の光漏れによるコントラスト低下や色相変化を少なくすることができ好ましい。
上記化学式(2)で表される構造単位の誘導体としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物などの酸無水物、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸ジメチルなどの低級アルキルエステルなどなどが挙げられる。1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸を用いると、このフィルムからなる1/4波長位相差フィルムを用いた円偏光板は、広範囲の可視光波長域で光を円偏光に変換することができ、反射型または半透過型液晶表示装置および有機EL式表示装置に組み込んだ際の光漏れによるコントラスト低下や色相変化を少なくすることができ好ましい。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムは、上記化学式(4)および(5)で表される構造単位を含む樹脂からなることが好ましい。上記化学式(4)で表される構造単位の式中のYは、炭素数1〜50のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基であることが好ましい。上記化学式(5)で表される構造単位は、好ましくはn=0であり、R5がアルキル基、シクロアルキル基、アリール基の場合は、原料コストが高くなることや、Tgの低下などがあり好ましくない。より好ましくは、上記化学式(9)で表される構造単位である。
上記化学式(5)で表される構造単位の誘導体としては、例えば2,6−デカリンジカルボン酸、1,5−デカリンジカルボン酸、1,6−デカリンジカルボン酸、2,7−デカリンジカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、ジカルボン酸に対応する酸クロライドのような酸ハライド、2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルなどの低級アルキルエステルなどが挙げられる。波長分散性、光弾性係数、耐熱性の観点から2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、ジオール単位として上記化学式(6)で表される構造単位のR6は炭素数1〜50のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基であることが好ましい。上記化学式(6)で表される構造単位の誘導体としては、例えばジオール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどの脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノールなどの環構造を有するジオールが挙げられる。位相差フィルムの延伸性、柔軟性の観点から好ましくはエチレングリコールであり、Cσの低減、耐熱性の観点から、好ましくは2.3−ブタンジオール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロピレングリコール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、1,2−デカリンジメタノール、1,3−デカリンジメタノール、1,4−デカリンジメタノール、1,6−デカリンジメタノール、2,7−デカリンジメタノールである。より好ましくはエチレングリコール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,6−デカリンジメタノールである。本発明の目的を損なわない範囲で、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができ、例えばエチレングリコール、3,9−ビス(2−ヒドロキシー1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,6−デカリンジメタノールを併用することで耐熱性、光学特性、柔軟性、機械特性を調節することができる。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムは、上記化学式(1)、(3)、(5)、(6)で表される構造単位を含み、化学式(1)、(3)、(5)、(6)のモル分率(%)をそれぞれa〜dとしたとき、下式(A)、(B)を満たしていることがより好ましい。より好ましくは、次式(I)、(J)を満たすことである。最も好ましくは、次式(W)、(X)を満たすことである。
80 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(A)
−0.4c + 40 < a<0.5c + 20・・・(B)
90 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(I)
−0.5c + 50≦ a<0.5c + 20・・・(J)
−0.5c + 50 ≦ a・・・(W)
0.27c + 20 < a<0.38c + 20・・・(X)
(a + b + c + d )が80未満の場合は、本発明の目的を損なうことがあり好ましくない。a ≦ −0.4c + 40、a ≧ −0.5c + 20の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たさないことがあり、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下や色相変化が生じることがあり好ましくない。
80 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(A)
−0.4c + 40 < a<0.5c + 20・・・(B)
90 ≦ a + b + c + d ≦ 100・・・(I)
−0.5c + 50≦ a<0.5c + 20・・・(J)
−0.5c + 50 ≦ a・・・(W)
0.27c + 20 < a<0.38c + 20・・・(X)
(a + b + c + d )が80未満の場合は、本発明の目的を損なうことがあり好ましくない。a ≦ −0.4c + 40、a ≧ −0.5c + 20の場合は、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下、かつR(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下を満たさないことがあり、反射型および半透過型液晶表示装置や有機EL式表示装置に組み込んだ際に、正面および斜めから見たとき、光漏れや、黒表示が青みを帯びることによるコントラスト低下や色相変化が生じることがあり好ましくない。
また、a ≦ −0.4c + 40の場合は、円偏光板の使用環境の条件にもよるが配向緩和等の問題が発生し、長期の位相差安定性を保てないことがあり好ましくない。また、Cσが−30×10−12 Pa−1未満、または30×10−12 Pa−1より大きくなることがあり、円偏光板を液晶セルに貼り合わせたときの貼りムラや、バックライトや外部環境からの熱を受けることによる構成材料間の熱膨張差、偏光フィルムの収縮などにより発生する応力により、位相差ムラが発生し、コントラストの低下や色相変化を起こすことがあり好ましくない。
また、a≧ −0.5c + 20の場合は、延伸条件にもよるがΔNが1.5×10−3以上とすることが容易ではないことがあり、位相差発現性が悪く、円偏光板の厚みが厚くなり、液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
また、上記式(W)、(X)を満たすとき、円偏光板に使用する位相差フィルムのCσを−27×10−12Pa−1以上、27×10−12 Pa−1以下、Tgが130℃以上、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.08以上、1.17以下、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.84以上、0.90以下、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率を−3〜3%を同時に満たし、また円偏光板が前記式(Q)〜(V)を満たすために特に好ましい。
本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムの樹脂の重合方法に限定はなく、公知の重合法、例えば、ジカルボン酸とグリコールを誘導体とするエステル化法、ジカルボン酸ジエステルとグリコールを用いるエステル交換法などを用いることができる。
エステル交換法の場合、例えば2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、エチレングリコールを用いる場合、テレフタル酸ジメチル、9,9−ビス(4−(2―ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、エチレングリコールを所定のポリマー組成となるように反応容器へ仕込む。この際、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加することにより反応性が良好になる。これらを150℃程度で溶融後、触媒として酢酸マンガンを添加し撹拌する。150℃で、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。ついで235℃まで徐々に昇温しながらメタノールを留出させる。その後200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸を加える。2,6−デカリンジカルボン酸ジメチルのようにジカルボン酸のエステル形成性誘導体ではなく、ジカルボン酸やジカルボン酸無水物を用いる場合は、このように途中で加えることにより反応性を良好にすることができる。その後、再び235℃まで昇温することでエステル交換反応を実施する。
エステル反応終了後、トリメチルリン酸を加え、撹拌後に水を蒸発させる。さらに、二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液を添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧し、エチレングリコールを留出させる。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇するので、撹拌トルクが0.2Nmとなった時点で反応を終了し、重合装置から樹脂を水槽へ吐出する。攪拌トルクが0.2Nm未満で反応を終了すると、溶融粘度が低く、成形が困難になることがあるので好ましくなく、0.2Nmを大きく超えた場合は、溶融粘度が高くなりすぎるので、製膜可能な溶融粘度になるよう押出温度を上げる必要があるが、その際に樹脂の熱分解や着色が生じることがあるので好ましくない。吐出された樹脂は水槽で急冷し、カッターでチップとする。得られた樹脂は95℃の温水が満たされた水槽に投入して5時間水処理を行う。水処理後、脱水機を用いて樹脂から水分を除去する。
このようにして得た樹脂からなる位相差フィルムを用いて本発明の円偏光板を得ることができるが、上記方法に限定されるわけではない。樹脂の各構造単位のモル分率(%)は、例えば熱分解ガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS)法や、樹脂を加水分解し、生成物をシリル化など誘導体化した後に、GC−MS法、及びNMRなどの方法を用いて測定することができる。
円偏光板に用いられる位相差フィルムを製膜する方法としては、公知の製膜方法を用いて製膜することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法などの製造方法が使用できるが、厚みムラ減少、異物削減の観点からT−ダイ法、流延法、ホットプレス法が好ましく使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいはニ軸押出しスクリューのついたエクストルーダ溶融押出し装置が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下のニ軸混練押出機が着色を防ぐことができる点で好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。特に本発明の樹脂は非晶性であるため乾燥が難しいため、ベント式押出機は乾燥せずに溶融押出しできる点で好ましく用いられる。押出温度としては(Tg + 100)〜(Tg + 200)℃の範囲のいずれかの温度で行うことができる。キャスト方法は溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸フィルムを得ることが好ましい。特に本発明の円偏光板の位相差フィルムは良好な平面性や均一な厚み、光学特性が要求されるため、静電印加法が特に好ましく用いられる。
円偏光板に用いられる位相差フィルムを製膜する方法としては、公知の製膜方法を用いて製膜することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法などの製造方法が使用できるが、厚みムラ減少、異物削減の観点からT−ダイ法、流延法、ホットプレス法が好ましく使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいはニ軸押出しスクリューのついたエクストルーダ溶融押出し装置が使用できる。好ましくはL/D=25以上120以下のニ軸混練押出機が着色を防ぐことができる点で好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。特に本発明の樹脂は非晶性であるため乾燥が難しいため、ベント式押出機は乾燥せずに溶融押出しできる点で好ましく用いられる。押出温度としては(Tg + 100)〜(Tg + 200)℃の範囲のいずれかの温度で行うことができる。キャスト方法は溶融した樹脂をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸フィルムを得ることが好ましい。特に本発明の円偏光板の位相差フィルムは良好な平面性や均一な厚み、光学特性が要求されるため、静電印加法が特に好ましく用いられる。
上記に記載の製膜方法により製造した未延伸フィルムを、(Tg−40)℃〜(Tg+40)℃の範囲のいずれかの温度で、1.1〜10倍のいずれかの延伸倍率で、一軸延伸、ニ軸延伸などの方法で作製できる。二軸延伸の延伸方式は、特に限定はなく、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの方法を用いることができる。好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+10)℃であり、より好ましくは(Tg−5)℃〜(Tg+5)℃の範囲のいずれかの温度で延伸することであり、延伸倍率に特に限定はなく、目的とした位相差に応じて決めることができるが、一軸延伸の延伸方式を用いる場合は、好ましくは1.1〜5倍であり、より好ましくは1.5〜4倍のいずれかの延伸倍率で延伸することが、波長分散性の観点から好ましい。延伸温度が(Tg+40)℃の場合や、延伸倍率が1.1未満の場合はΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、延伸温度が(Tg−40)℃未満の場合はフィルム破れが生じることがあり好ましくなく、延伸倍率が10倍より大きい場合はクラックによる白化が生じることがあり好ましくない。延伸開始速度は好ましくは、50%/分以上、4000%/分以下とすることであり、より好ましくは100%/分以上、3000%/分以下であり、もっとも好ましくは200%/分以上、2000%/分以下である。延伸開始速度が50%/分未満の場合は、延伸による分子鎖の配向と同時に配向緩和が生じるため、ΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、4000%/分より大きい場合は応力集中によるフィルム破れやクラックによる白化が生じるため好ましくない。また、延伸開始後の延伸速度には特に限定はないが、50%/分以上、10000%/分以下が好ましい。
延伸した位相差フィルムは、(Tg−20)℃〜(Tg+10)℃の範囲のいずれかの温度で、0.5〜10%の収縮を延伸方向に対して行うことが好ましい。より好ましくは、(Tg−15)℃〜(Tg+5)℃であり、さらに好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg)℃の範囲のいずれかの温度である。(Tg−20)℃未満の場合は、収縮の際にフィルムが弛み平滑性が損なわれることがあり好ましくなく、(Tg+10)℃より高い温度の場合は、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくない。収縮率は、好ましくは1〜8%であり、さらに好ましくは2〜7%である。ここで、収縮率を
とする。収縮率が1%未満の場合は、残留応力の解消が不十分なことがあり、長期の位相差安定性に劣る場合があるので好ましくなく、10%より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。また、収縮速度は好ましくは、0.1%/分以上、100%/分以下とすることであり、より好ましくは0.25%/分以上、80%/分以下であり、もっとも好ましくは0.5%/分以上、40%/分以下である。0.1%/分未満の場合は、目的の収縮率に達するまでに必要な時間が長くなるため、分子鎖の配向緩和によりΔNが1.5×10−3未満となることがあり好ましくなく、100%/分より大きい場合はフィルムの平滑性が悪化することがあるので好ましくない。
本発明の位相差フィルムの厚みは1〜300μmであることが好ましい。より好ましくは7〜150μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。1μm未満の場合はフィルムのハンドリングが困難になることがあり、300μmを超える場合は光線透過率が低くなることがあり、また本発明の円偏光板を用いた液晶ディスプレイの薄型化、軽量化の観点で好ましくない。
また、本発明の円偏光板の位相差フィルムの波長分散および用いる表示装置にもよるが、波長548.3nmの楕円率向上の観点からは、本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムのR(548.3)が135〜139nmであることが好ましく、波長480.4nmの楕円率向上の観点からは、R(548.3)が136〜142nmであることが好ましい。また、本発明の円偏光板は、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は、好ましくは40°〜50°であり、より好ましくは、42°〜48°であり、もっとも好ましくは43°〜47°である。
また、本発明の円偏光板の位相差フィルムの波長分散および用いる表示装置にもよるが、波長548.3nmの楕円率向上の観点からは、本発明の円偏光板に用いられる位相差フィルムのR(548.3)が135〜139nmであることが好ましく、波長480.4nmの楕円率向上の観点からは、R(548.3)が136〜142nmであることが好ましい。また、本発明の円偏光板は、位相差フィルムの遅相軸と偏光板の吸収軸とのなす角は、好ましくは40°〜50°であり、より好ましくは、42°〜48°であり、もっとも好ましくは43°〜47°である。
本発明の円偏光板に用いられる偏光板に限定はなく、公知の偏光板、例えば、ヨウ素系偏光板、染料系偏光板、ワイヤーグリッド型偏光板などを用いることができる。偏光度の観点からヨウ素系偏光板が好ましく、耐熱性の観点から染料系偏光板が好ましい。ヨウ素系偏光板は、少なくとも偏光子の片面にトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを有していることが好ましく、耐久性の観点から偏光子の両面に保護フィルムを有していることが好ましく、薄膜化の観点からどちらか一方のみ保護フィルムを有していることが好ましい
本発明の円偏光板の作成方法に限定はなく、公知の貼合方法、例えば市販の貼合機や貼合ロールを用いて偏光板と本発明の位相差フィルムとを積層することができ、接着層を介して積層することができる。偏光板が、偏光子の片面のみ保護フィルムを有する場合は、もう一方の面に本発明の位相差フィルムを積層することで円偏光板とすることができる。また、接着層に限定はなく、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの公知の接着剤および粘着剤を用いることができ、光学的に等方的であることが好ましい。薄膜化の観点から、UV硬化型樹脂を用いた接着剤が好ましく、透明性、光学的等方性、対熱性、耐湿熱性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
本発明の円偏光板の作成方法に限定はなく、公知の貼合方法、例えば市販の貼合機や貼合ロールを用いて偏光板と本発明の位相差フィルムとを積層することができ、接着層を介して積層することができる。偏光板が、偏光子の片面のみ保護フィルムを有する場合は、もう一方の面に本発明の位相差フィルムを積層することで円偏光板とすることができる。また、接着層に限定はなく、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系などの公知の接着剤および粘着剤を用いることができ、光学的に等方的であることが好ましい。薄膜化の観点から、UV硬化型樹脂を用いた接着剤が好ましく、透明性、光学的等方性、対熱性、耐湿熱性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
本発明の円偏光板は、表示装置に用いることができる。特に、反射型および半透過型液晶表示装置における表示メカニズムへの利用や、有機EL式表示装置における表面反射の抑制のための反射防止フィルムなどの用途に用いると斜めから見てもコントラストが高く、青みを帯びることがなく好ましい。本発明の円偏光板の使用方法や配置は、従来の円偏光板に代えて、本発明の円偏光板を使用する以外は特に制限されず、従来公知の構成、配置が適用できる。本発明の液晶表示装置は、例えば、液晶セルの片面又は両面、特に、少なくとも表示画面側に、本発明の円偏光板が配置されていることが好ましい。本発明の有機EL式表示装置には、円偏光板を表示画面側に配置することが好ましい。これによって、例えば、電極により反射された外光を除去し、明るい環境下であっても視認性を向上できる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定は次の方法に従って行った。
なお、物性の測定は次の方法に従って行った。
(1)溶融粘度
JIS−K7210−1976(参考試験)に準処して測定した。測定には、下記測定器、および条件にて行った。
JIS−K7210−1976(参考試験)に準処して測定した。測定には、下記測定器、および条件にて行った。
装置:フローテスター CFT−500(島津製作所製)
ダイの長さ:10mm
ダイの内径:1.0mm
予熱時間:5分
温度:270℃
荷重:10kgf、50kgfおよび100kgf
サンプル:5mm角に裁断したフィルム。
ダイの長さ:10mm
ダイの内径:1.0mm
予熱時間:5分
温度:270℃
荷重:10kgf、50kgfおよび100kgf
サンプル:5mm角に裁断したフィルム。
サンプル調整:10−3Pa−1以下に減圧した真空乾燥機を用いて、100℃、24時間の乾燥を行った。
測定結果:各荷重、3回測定を行った。せん断速度をx、溶融粘度をyとする。Y=lny、X=lnx、A=lnaとし、最小二乗法を用いて直線Y=AX+bを求めた。さらに、求めたAよりaを導き、累乗近似式y=axbを用いて、せん断速度が100s−1の際の溶融粘度を算出した。
(2)波長分散、複屈折、楕円率
下記測定器を用いて測定した。
下記測定器を用いて測定した。
装置:自動複屈折計 KOBRA−21ADH/DSP (王子計測機器製)
サンプルホルダー:ADH−05−5(0.5mm以下)、φ5mm
吸収端波長:0nm
測定波長:480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nm
波長分散、複屈折
測定モード:波長分散特性測定
入射角:0°
サンプル:1〜200μmのいずれかの厚みのフィルム。
サンプルホルダー:ADH−05−5(0.5mm以下)、φ5mm
吸収端波長:0nm
測定波長:480.4nm、548.3nm、628.2nm、752.7nm
波長分散、複屈折
測定モード:波長分散特性測定
入射角:0°
サンプル:1〜200μmのいずれかの厚みのフィルム。
サンプルの厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出した。
測定結果:波長λ(nm)の時の位相差をR(λ)(nm)と記載した。各サンプル5回測定を行い、その平均値を有効数字3桁で算出し、波長分散とΔNを導いた。
波長分散:R(628.2)/R(548.3)、R(480.4)/R(548.3)より算出した。
ΔN:R(548.3)(nm)/(フィルム厚み)(nm)より算出した。
楕円率
測定モード:楕円偏光板測定
入射角:0°、45°(偏光板の透過軸を傾斜軸とする)
サンプル:円偏光板。
楕円率
測定モード:楕円偏光板測定
入射角:0°、45°(偏光板の透過軸を傾斜軸とする)
サンプル:円偏光板。
(3)ガラス転移温度
測定には、下記測定器および条件にて行った。
測定には、下記測定器および条件にて行った。
装置:示差走査熱量計 DSC−7型(Perkin Elmer社製)
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
サンプル:フィルム
サンプル量:5mg
測定結果:JIS−K7121−1987の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に準処して、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。測定は5回行い、その平均値を有効数字3桁で算出した。
測定条件:窒素雰囲気下
測定範囲:25〜300℃
昇温速度:20℃/分
サンプル:フィルム
サンプル量:5mg
測定結果:JIS−K7121−1987の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に準処して、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス単位の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。測定は5回行い、その平均値を有効数字3桁で算出した。
(4)光弾性係数
下記測定器および測定方法にて測定した。
下記測定器および測定方法にて測定した。
装置:セルギャップ検査装置 RETS−1200(大塚電子株式会社製)
サンプル:または1〜200μmのいずれかの厚みのフィルム
サンプルサイズ:30mm×50mm
サンプル厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出しd(nm)とした。
サンプル:または1〜200μmのいずれかの厚みのフィルム
サンプルサイズ:30mm×50mm
サンプル厚み:フィルム厚みは5点測定し、その平均値を有効数字3桁で算出しd(nm)とした。
測定スポット径:φ5mm
光源:589nm
測定方法:サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を冶具で挟み、長手方向に9.8×106Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差R(nm)を測定した。
光源:589nm
測定方法:サンプルの厚みをd(nm)とし、長手方向の両端を冶具で挟み、長手方向に9.8×106Paの応力σ(Pa−1)をかけた。この状態で、位相差R(nm)を測定した。
測定結果:張力をかける前の位相差をR1、かけた後の位相差をR2とした。
光弾性係数(Cσ):Cσ=(R2―R1)/(σ×d)より、光弾性係数(Cσ)(Pa−1)を計算した。5枚のフィルムを測定し、その平均値を有効数字2桁で算出した。
(5)位相差変化率
下記方法にて、位相差変化率(%)を求めた。
位相差フィルムを2.5cm×2.5cmに切り出し、ガラス板(厚み1.1mm、3cm×3cm)に粘着剤(綜研化学製SK−1478)を介して、貼合ロールを用いて貼合した。これを80℃のオーブンにいれ、100時間保管した。100時間保管前後のRe(548.3)(nm)を測定し、その変化率(%)を求めた。ここで、変化率を
下記方法にて、位相差変化率(%)を求めた。
位相差フィルムを2.5cm×2.5cmに切り出し、ガラス板(厚み1.1mm、3cm×3cm)に粘着剤(綜研化学製SK−1478)を介して、貼合ロールを用いて貼合した。これを80℃のオーブンにいれ、100時間保管した。100時間保管前後のRe(548.3)(nm)を測定し、その変化率(%)を求めた。ここで、変化率を
とする。変化率(%)が、−5〜5%の場合を△、−4〜4%の場合を○、−3〜3%の場合を◎とした。
[円偏光板の製造例]
実施例1〜7、比較例1〜7で記載した方法で作成した位相差フィルムとヨウ素系偏光板とを、粘着剤(綜研化学製SK−1478)を介して、貼合ロールを用いて貼合した。
[円偏光板の製造例]
実施例1〜7、比較例1〜7で記載した方法で作成した位相差フィルムとヨウ素系偏光板とを、粘着剤(綜研化学製SK−1478)を介して、貼合ロールを用いて貼合した。
[実施例1]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル102質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン153質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis-1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を17質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル102質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン153質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis-1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を17質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
二酸化ゲルマニウムを0.04質量部添加後、反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度を90分かけて235℃から290℃まで昇温しながら、装置内圧力を常圧から真空へ減圧しエチレングリコールを留出させた。重合反応の進行にしたがって反応物の粘度が上昇し、撹拌トルクが0.2Nmとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出した。吐出された樹脂は水槽で急冷後、カッターでチップとした。
得られた樹脂のチップを減圧乾燥した後、次のようなホットプレス法を用いて製膜した。金属板の上にポリイミドフィルムを重ね、そのポリイミドフィルム上に内側の枠が12cm四方である金属の枠を重ねた。金属の枠内の中央部にチップ3.5gを乗せた。さらにポリイミドフィルムと金属板を重ね、270℃で2分間予熱の後、10kgf/cm2の圧力で10秒間プレスした。
プレス終了後、フィルムを挟んだ金属板を水につけてフィルムを冷却固化し、金属枠からフィルムを切り出した。さらに切り出したフィルムを長方形に切り、長手方向の両端を保持して、125℃のオーブン中で、200%/分の延伸速度、2.7倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、120℃のオーブン中で、3.3%/分の収縮速度で3.3%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[実施例2]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル114質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン153質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis-1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を9質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル114質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン153質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis-1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を9質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、135℃のオーブン中で、225%/分の延伸速度、2.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、125℃のオーブン中で、3.0%/分の収縮速度で3.0%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[実施例3]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル90質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン154質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis-1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を26質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル90質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン154質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis-1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を26質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、125℃のオーブン中で、200%/分の延伸速度、2.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、120℃のオーブン中で、3.3%/分の収縮速度で3.3%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[実施例4]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル127質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン175質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル127質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン175質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、140℃のオーブン中で、280%/分の延伸速度、2.8倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、135℃のオーブン中で、3.3%/分の収縮速度で3.3%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[実施例5]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル127質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン131質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル127質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン131質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、135℃のオーブン中で、180%/分の延伸速度、1.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、125℃のオーブン中で、3.0%/分の収縮速度で3.0%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[実施例6]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル76質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン132質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を34質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル76質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン132質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を34質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、110℃のオーブン中で、180%/分の延伸速度、1.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、105℃のオーブン中で、2.7%/分の収縮速度で2.7%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[実施例7]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル102質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン132質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を17質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、120℃のオーブン中で、240%/分の延伸速度、2.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、115℃のオーブン中で、3.3%/分の収縮速度で3.3%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル102質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン132質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を17質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、120℃のオーブン中で、240%/分の延伸速度、2.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行った後、115℃のオーブン中で、3.3%/分の収縮速度で3.3%の収縮を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例1]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル76質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン175質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を34質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル76質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン175質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を34質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、130℃のオーブン中で、250%/分の延伸速度、3.2倍の延伸倍率で一軸延伸を行い1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例2]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル102質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン198質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を17質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル102質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン198質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を17質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、145℃のオーブン中で、200%/分の延伸速度、3.1倍の延伸倍率で一軸延伸を行い1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例3]
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル64質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン132質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を43質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
2,6−デカリンジカルボン酸ジメチル64質量部、エチレングリコール62質量部、9,9−ビス(4−(2ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン132質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温しながらメタノールを留出させた。その後、60分かけて200℃まで反応容器内の温度を下げ、cis−1,2,3,6―テトラヒドロフタル酸を43質量部の割合で加えた。再び60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、110℃のオーブン中で、200%
/分の延伸速度、2.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
/分の延伸速度、2.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例4]
テレフタル酸ジメチル49質量部、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル50質量部、エチレングリコール62質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、55℃のオーブン中で、150%/分の延伸速度、2.2倍の延伸倍率で一軸延伸を行い1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
テレフタル酸ジメチル49質量部、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル50質量部、エチレングリコール62質量部の割合でそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込み、内容物を150℃で溶融した後、触媒として酢酸マンガンを0.15質量部添加し撹拌した。30分かけて200℃まで昇温し、さらに60分かけて235℃まで昇温し、触媒の失活剤としてトリメチルリン酸を0.04質量部加え、水を蒸発させた。
その後は実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、55℃のオーブン中で、150%/分の延伸速度、2.2倍の延伸倍率で一軸延伸を行い1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例5]
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これにビスフェノールAと9,9−ビス(4−(3−メチルフェニル))フルオレンを50:50(モル%)の比率で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次に塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間撹拌して反応を終了させた。反応終了後有機相を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。
この共重合体とメルク社製のシアノビフェニル系混合液晶「BL007」をそれぞれ、96:4(質量部)の比率でメチレンクロライドに溶解させ、溶液を作製した。この溶液からキャストフィルムを作製した。さらにフィルムを長方形に切り、長手方向の両端を保持して、220℃のオーブン中で、180%/分の延伸速度、1.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行い1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これにビスフェノールAと9,9−ビス(4−(3−メチルフェニル))フルオレンを50:50(モル%)の比率で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次に塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間撹拌して反応を終了させた。反応終了後有機相を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。
この共重合体とメルク社製のシアノビフェニル系混合液晶「BL007」をそれぞれ、96:4(質量部)の比率でメチレンクロライドに溶解させ、溶液を作製した。この溶液からキャストフィルムを作製した。さらにフィルムを長方形に切り、長手方向の両端を保持して、220℃のオーブン中で、180%/分の延伸速度、1.9倍の延伸倍率で一軸延伸を行い1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例6]
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500重量部に、1−ヘキセン0.82重量部、ジブチルエーテル0.15重量部、トリイソブチルアルミニウム0.30重量部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)80重量部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)50重量部、及びテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(以下、TCDと略記)70重量部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40重量部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06重量部とイソプロピルアルコール0.52重量部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100重量部に対して、シクロヘキサン270重量部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5重量部を加え、水素により5MPaに加圧して攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/TCD開環重合体水素化ポリマーを20重量%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液に添加して溶解させた(重合体100重量部あたり0.1重量部)。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去しつつ水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500重量部に、1−ヘキセン0.82重量部、ジブチルエーテル0.15重量部、トリイソブチルアルミニウム0.30重量部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、DCPと略記)80重量部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(以下、MTFと略記)50重量部、及びテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(以下、TCDと略記)70重量部からなるノルボルネン系モノマー混合物と、六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)40重量部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06重量部とイソプロピルアルコール0.52重量部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100重量部に対して、シクロヘキサン270重量部を加え、さらに水素化触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5重量部を加え、水素により5MPaに加圧して攪拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/TCD開環重合体水素化ポリマーを20重量%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製;イルガノックス1010)を、得られた溶液に添加して溶解させた(重合体100重量部あたり0.1重量部)。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去しつつ水素化ポリマーを溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化して回収した。
その後は、プレス温度を240℃とする以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得たのち、140℃のオーブン中で、150%/分の延伸速度、1.3倍の延伸を行い、1/4波長位相差フィルムを得た。この1/4波長位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が45°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(A)、図2(A)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[比較例7]
比較例6と同様にして未延伸フィルムを得たのち、140℃のオーブン中で、150%/分の延伸速度、1.3および1.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行い、1/4波長位相差フィルム、および1/2波長位相差フィルムを得た。
この1/2位相差フィルム、および1/4位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/2位相差フィルムの遅相軸のなす角が15°、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が75°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(B)、図2(B)に示す。
比較例6と同様にして未延伸フィルムを得たのち、140℃のオーブン中で、150%/分の延伸速度、1.3および1.5倍の延伸倍率で一軸延伸を行い、1/4波長位相差フィルム、および1/2波長位相差フィルムを得た。
この1/2位相差フィルム、および1/4位相差フィルムを用い、円偏光板の製造例に記載の方法で、偏光板の吸収軸と1/2位相差フィルムの遅相軸のなす角が15°、偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角が75°になるよう円偏光板を作成した。円偏光板の貼り合わせ構成を、図1(B)、図2(B)に示す。
延伸したフィルムのTg、光弾性係数、溶融粘度、位相差、波長分散性、および円偏光板の楕円率の測定を行い、表1、2に示した。
[円偏光板の表示性能の評価]
アクティブマトリックス式有機ELを採用している株式会社iriver製、携帯オーディオプレイヤー(Clix2)のディスプレイの観察者側の前面に貼付している円偏光板を剥離し、この剥離した箇所に元々貼付されていた偏光板の吸収軸と同一にして、実施例1〜7および比較例1〜7で得た円偏光板を、位相差フィルムがディスプレイ側となるように貼付した。
この実施例1〜7得た円偏光板を有するディスプレイは、正面から見ても、斜め45°から見ても、光漏れがなく、黒表示における着色が少なくコントラストが良好で視認性に優れることを確認できた。ここで、正面はフィルムの法線方向であり、斜め45°とは偏光板の透過軸を傾斜軸として、フィルムの法線と45°の角度をなす向きのことである。また、比較例1、2、4および6で得た円偏光板は正面からみても斜め45°から見ても、光漏れが大きく、黒表示が着色していたため、コントラストが悪く、視認性に劣っていた。また、比較例3、5、および7で得た円偏光板は、正面から見ると光漏れがなく、コントラストが良好で視認性に優れていたが、斜め45°から見ると、光漏れが大きく、黒表示が着色していたためコントラストが悪く、視認性に劣っていた。
アクティブマトリックス式有機ELを採用している株式会社iriver製、携帯オーディオプレイヤー(Clix2)のディスプレイの観察者側の前面に貼付している円偏光板を剥離し、この剥離した箇所に元々貼付されていた偏光板の吸収軸と同一にして、実施例1〜7および比較例1〜7で得た円偏光板を、位相差フィルムがディスプレイ側となるように貼付した。
この実施例1〜7得た円偏光板を有するディスプレイは、正面から見ても、斜め45°から見ても、光漏れがなく、黒表示における着色が少なくコントラストが良好で視認性に優れることを確認できた。ここで、正面はフィルムの法線方向であり、斜め45°とは偏光板の透過軸を傾斜軸として、フィルムの法線と45°の角度をなす向きのことである。また、比較例1、2、4および6で得た円偏光板は正面からみても斜め45°から見ても、光漏れが大きく、黒表示が着色していたため、コントラストが悪く、視認性に劣っていた。また、比較例3、5、および7で得た円偏光板は、正面から見ると光漏れがなく、コントラストが良好で視認性に優れていたが、斜め45°から見ると、光漏れが大きく、黒表示が着色していたためコントラストが悪く、視認性に劣っていた。
[円偏光板の耐久性の評価]
実施例1〜7、および比較例1〜7で得た円偏光板とガラス板とを粘着剤(綜研化学製SK−1478)を介して、貼合ロールを用いて貼合した。これを80℃のオーブンにいれ、100時間保管後した。円偏光板の表示性能の評価と同様にして、100時間保管後の円偏光板を携帯オーディオプレイヤー(Clix2)のディスプレイに貼付し、100時間保管前後の光漏れの変化の有無を目視で確認した。
実施例1〜7、および比較例1、2、5〜7の円偏光板は保管前後と光漏れの量に変化がなく、長期の位相差安定性に優れていることがわかった。比較例3、4の円偏光板は、保管前後の光漏れの量が異なっており、長期の位相差安定性に劣っていることがわかった。
実施例1〜7、および比較例1〜7で得た円偏光板とガラス板とを粘着剤(綜研化学製SK−1478)を介して、貼合ロールを用いて貼合した。これを80℃のオーブンにいれ、100時間保管後した。円偏光板の表示性能の評価と同様にして、100時間保管後の円偏光板を携帯オーディオプレイヤー(Clix2)のディスプレイに貼付し、100時間保管前後の光漏れの変化の有無を目視で確認した。
実施例1〜7、および比較例1、2、5〜7の円偏光板は保管前後と光漏れの量に変化がなく、長期の位相差安定性に優れていることがわかった。比較例3、4の円偏光板は、保管前後の光漏れの量が異なっており、長期の位相差安定性に劣っていることがわかった。
本発明の位相差フィルムおよび円偏光板は、正面および斜めからの広帯域の入射光において楕円率が高く、構成する位相差フィルムの光弾性係数が小さく、耐熱性、長期の位相差安定性に優れ、薄膜化を可能にする位相差発現性を十分に有することから、表示装置、特に反射型および半透過型液晶ディスプレイの直線偏光の円偏光への変換などの用途や有機EL式ディスプレイに対する表面反射の抑制のための反射防止用フィルムとして、有効に用いることができる。
1:偏光板
2:接着層
3:1/4位相差フィルム
4:1/2位相差フィルム
5:接着層
6:偏光板の吸収軸
7:1/4位相差フィルムの遅相軸
8:偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角
9:1/2位相差フィルムの遅相軸
10:偏光板の吸収軸と1/2位相差フィルムの遅相軸のなす角
11:偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角
2:接着層
3:1/4位相差フィルム
4:1/2位相差フィルム
5:接着層
6:偏光板の吸収軸
7:1/4位相差フィルムの遅相軸
8:偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角
9:1/2位相差フィルムの遅相軸
10:偏光板の吸収軸と1/2位相差フィルムの遅相軸のなす角
11:偏光板の吸収軸と1/4位相差フィルムの遅相軸のなす角
Claims (15)
- 溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下である樹脂からなり、波長λ(nm)の光に対するフィルム面内の位相差をR(λ)(nm)としたとき、R(628.2)(nm)/R(548.3)(nm)が1.0以上、1.2以下であり、R(480.4)(nm)/R(548.3)(nm)が0.8以上、1.0以下であり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5以上、5%以下であることを特徴とする位相差フィルム。
- ガラス転移温度が120℃以上である請求項1に記載の位相差フィルム。
- 波長548.3nmにおける複屈折をΔNとしたとき、ΔNが1.5×10−3以上、20×10−3以下である請求項1または2に記載の位相差フィルム。
- 光弾性係数が−30×10−12 Pa−1以上、30×10−12 Pa−1以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 樹脂がポリエステル樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
- 樹脂が上記化学式(1)、(3)、(5)、(6)で表される構造単位を含み、化学式(1)、(3)、(5)、(6)のモル分率(%)をそれぞれa〜dとしたとき、次式(W)、(X)を満たしている樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
−0.5c + 50 < a・・・(W)
0.27c + 20 < a<0.38c + 20・・・(X) - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の位相差フィルムを用いた円偏光板。
- 溶融粘度が、温度が270℃、せん断速度100s−1において10Pa・s以上、1000Pa・s以下である樹脂からなり、80℃の環境下、100時間経過後のR(548.3)(nm)の変化率が−5以上、5%以下である位相差フィルムを用いた円偏光板であって、波長λ(nm)、入射角0°の光に対する楕円率をA(λ)(%)、入射角45°の光に対する楕円率をB(λ)(%)としたとき、次式(C)〜(H)を満足することを特徴とする円偏光板。ただし、入射角0°はフィルムの法線方向とし、入射角45°は偏光板の透過軸を傾斜軸としたとき、フィルムの法線と45°の角度をなす方向のことを示す。
A(480.4)(%)≧85% ・・・(C)
A(548.3)(%)≧90% ・・・(D)
A(628.2)(%)≧80% ・・・(E)
B(480.4)(%)≧80% ・・・(F)
B(548.3)(%)≧80% ・・・(G)
B(628.2)(%)≧80% ・・・(H) - 請求項11または12に記載の円偏光板を用いた表示装置。
- 請求項13に記載の表示装置である反射型または半透過型液晶表示装置。
- 請求項13に記載の表示装置である有機EL式表示装置。
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WO2023176693A1 (ja) * | 2022-03-14 | 2023-09-21 | 日東電工株式会社 | 表示システム、表示方法、表示体および表示体の製造方法 |
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-
2008
- 2008-09-05 JP JP2008227821A patent/JP2009086651A/ja active Pending
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