JP2009086309A - ポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細パターンの形成において、解像力に優れ、かつサーマルフロープロセスにおいてパターンの制御性に優れるポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(B)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び、(C)熱により分解し、分子量が低下する樹脂、を含有するポジ型感光性組成物、及びそれを用いたパターン形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶、サーマルヘッド等の回路基板の製造、さらにその他のフォトファブリケーション工程に使用されるポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは250nm以下、好ましくは220nm以下の遠紫外線などの露光光源、および電子線などによる照射源とする場合に好適なポジ型感光性組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。
化学増幅系感光性組成物は、遠紫外光等の放射線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする反応によって、活性放射線の照射部と非照射部の現像液に対する溶解性を変化させ、パターンを基板上に形成させるパターン形成材料である。
KrFエキシマレーザーを露光光源とする場合には、主として248nm領域での吸収の小さい、ポリ(ヒドロキシスチレン)を基本骨格とする樹脂を主成分に使用するため、高感度、高解像度で、且つ良好なパターンを形成し、従来のナフトキノンジアジド/ノボラック樹脂系に比べて良好な系となっている。
更なる短波長の光源、例えばArFエキシマレーザー(193nm)を露光光源として使用する場合は、芳香族基を有する化合物が本質的に193nm領域に大きな吸収を示すため、上記化学増幅系でも十分ではなかった。
このため、脂環炭化水素構造を有する樹脂を含有するArFエキシマレーザー用レジストが開発されてきている。
また近年、さらに微細なパターン形成を達成するための方法として、光学顕微鏡において解像力を高める技術を応用した液浸リソグラフィーが知られている。液浸リソグラフィーでは、投影レンズと試料の間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)を満たして露光する。
また、サーマルフローを用いた方法も模索されている。
サーマルフロープロセスは、リソグラフィーによりレジストパターンを形成した後、該レジストパターンに熱処理を行い、レジスト膜をフローさせてパターンサイズを微細化する方法である。パターン形成後の加熱によってレジストパターンを軟化させ、パターンの隙間方向にフローさせることによってパターンが形成されていない部分のサイズ(ホールパターンの孔径やラインアンドスペースパターンのスペース幅など)を小さくすることが可能である。
しかしながら従来のArFエキシマレーザーリソグラフィー等に使用される感光性組成物では、含有する樹脂のガラス転移温度(Tg)が高いために、サーマルフロープロセスにおける加熱温度でのベース樹脂の軟化が不充分であり、サーマルフロープロセスによるレジストパターンの微細化が困難であるという問題がある。そこで、特許文献1、2(特開2007-114412号公報、特開2007-114613号公報)において、樹脂に特定の酸分解性基を導入することでパターンサイズの制御が試みられている。
一方、アニオン重合によって得られるポリエステル樹脂が比較的低温で熱分解性を発現することが近年報告された(特許文献3;特開2006-206650号公報)。またマレイミドとフランからDiels-Alder反応によってえられるオキサノルボルネン骨格が比較的低温でレトロ-Diels-Alder反応により分解することを利用し、固体上への低分子化合物の担持と放出を試みる研究がなされている(非特許文献1;Tetrahedron Letters 46,(2005)1181-1184)。
特開2007-114412号公報 特開2007-114613号公報 特開2006-206650号公報 Tetrahedron Letters 46,(2005)1181-1184
このように、微細化、特にサーマルフローを行う場合には、熱によるフロー性能について、一層の向上が求められている。しかし、前述の特許文献1、2のような単純な方法でTgを下げた樹脂を含む感光性組成物を用いると、解像度等の諸性能(特に露光ラチチュード)が損なわれるという新たな問題が判明した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、100nm以下の微細パターンの形成においても、解像力に優れ、且つ、ラインエッジラフネス、パターンプロファイル改良されたポジ型感光性組成物に用いることが可能で、かつサーマルフロープロセスにおいてレジストパターンの制御性に優れたサーマルフロー用感光性組成物に好適に用いることのできる可能なポジ型感光性組成物を提供することにある。
本願発明者らは、熱により分解する樹脂を感光性組成物に含有することで、上記のような感度の低下といった問題もなく、高いフロー性と、露光ラチチュード等の性能を両立させることが可能となることを見出した。
即ち、本発明は下記構成よりなる。
<1> (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(B)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び、
(C)熱により分解し、分子量が低下する樹脂、
を含有するポジ型感光性組成物。
<2> 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(B)が、150〜250℃のガラス転移温度をもつことを特徴とする上記<1>に記載のポジ型感光性組成物。
<3>
熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、80℃〜250℃で分解を開始する樹脂であることを特徴とする、上記<1>または<2>に記載のポジ型感光性組成物。
<4>
熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、下記式(I)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする、上記<1>〜<3>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

式(I)中、
1、及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、C(=O)R7基、S(0)p7基、P(=O)(R72基、または、M(R73基を表す。
3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、有機基を表す。
6はハロゲン原子、炭化水素基を表す。
X、Yはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子を表す。
7は炭化水素オキシ基、炭化水素基、炭化水素チオ基、モノもしくはジ炭化水素アミノ基を表す。
Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子を表す。
mは1〜3のいずれかの整数を表す。
nは0または1〜3のいずれかの整数を表す。
但しm+n≦5である。
mが2以上の場合、R3同士、R4同士、R5同士、X同士、Y同士は同一または相異なっていてもよく、nが2以上の場合、R6同士は同一または相異なっていてもよい。pは0、1、または2のいずれかを表す。
<5>
熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、下記一般式(II)で表される構造をポリマー主鎖または側鎖に有することを特徴とする、上記<1>〜<4>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

式(II)中、
Xはメチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
Rq、Rr、Rx、Ry、Rzは、各々独立して、連結基または水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基を表す。
<6>
熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、下記式(II-a)〜(II-c)のいずれかで表される繰り返し単位を有することを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

式(II-a)〜(II-c)中、
Xはメチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
Lはアルキレン基またはポリエチレンオキシ基を表す。
Ra〜Rmは、各々独立して、水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基を表す。
<7>
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(B)が、下記一般式(pI)〜(pV)で表される酸の作用により脱離する基を有することを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
一般式(pI)〜(pV)に於いて、
11は、アルキル基を表す。
Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R14は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
15及びR16は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。また、R19、R21のいずれかは、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
<8>
樹脂(B)が、更に、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

一般式(AI)中、
b0は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。
bは、単結合、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
Vはラクトン構造を有する基を表す。
<9>
上記<1>〜<8>のいずれかに記載のポジ型感光性組成物により膜を形成し、該膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
<10>
現像後に、加熱することによってパターンの線幅を収縮させるサーマルフロー工程を含むことを特徴とする上記<9>に記載のパターン形成方法。
100nm以下等の微細パターンの形成において、解像力に優れ、かつサーマルフロープロセスにおいてパターンの制御性に優れるポジ型感光性組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明のポジ型感光性組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネート等を挙げることができる。
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表す。
-としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボニル基、ボロニル基等を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のアリール基を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルメチル基等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチルアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
-の非求核性アニオンとしては、スルホン酸のα位がフッ素原子で置換された脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子又はフッ素原子を有する基で置換された芳香族スルホン酸アニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、アルキル基がフッ素原子で置換されたトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンが好ましい。非求核性アニオンとして、より好ましくは炭素数4〜8のパーフロロ脂肪族スルホン酸アニオン、フッ素原子を有するベンゼンスルホン酸アニオン、更により好ましくはノナフロロブタンスルホン酸アニオン、パーフロロオクタンスルホン酸アニオン、ペンタフロロベンゼンスルホン酸アニオン、3,5−ビス(トリフロロメチル)ベンゼンスルホン酸アニオンである。
201、R202及びR203としての有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
尚、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、及び(ZI−3)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、一般式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
x及びRyとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができ、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基がより好ましい。
2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cにおけると同様のアルコキシ基を挙げることができる。
x及びRyは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
前記一般式(ZII)及び(ZIII)に於いて、
204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)に於いて、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、さらに好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、または1価のフッ素原子またはフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、または1価のフッ素原子またはフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaがpKa=−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤のポジ型感光性組成物中の含量は、ポジ型感光性組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
(B)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂
本発明のポジ型感光性組成物に用いられる樹脂は、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂であり、樹脂の主鎖又は側鎖、あるいは、主鎖及び側鎖の両方に、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、「酸分解性基」ともいう)を有する樹脂(「酸分解性樹脂」、「酸分解性樹脂(B)」又は「樹脂(B)」とも呼ぶ)である。
アルカリ可溶性基としては、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基を有する基等が挙げられる。
好ましいアルカリ可溶性基としては、カルボン酸基、フッ素化アルコール基(好ましくはヘキサフルオロイソプロパノール)、スルホン酸基が挙げられる。
酸で分解し得る基(酸分解性基)として好ましい基は、これらのアルカリ可溶性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
本発明のポジ型感光性組成物にArFエキシマレーザー光を照射する場合には、(B)成分の樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂であることが好ましい。
また樹脂(B)が、150〜250℃のガラス転移温度(Tg)をもつことが好ましい。
尚、本発明におけるガラス転移温度は、DSC法による算出値である。
単環又は多環の脂環炭化水素構造を有し、酸の作用により分解し、アルカリ現像液に対する溶解度が増加する樹脂(以下、「脂環炭化水素系酸分解性樹脂」ともいう)としては、下記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位及び下記一般式(II-AB)で示される繰り返し単位の群から選択される少なくとも1種を含有する樹脂であることが好ましい。
一般式(pI)〜(pV)中、
11は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基又はsec−ブチル基を表し、Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
12〜R16は、各々独立に、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、但し、R12〜R14のうち少なくとも1つ、もしくはR15、R16のいずれかはシクロアルキル基であることが好ましい。
17〜R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、但し、R17〜R21のうち少なくとも1つはシクロアルキル基であることが好ましい。また、R19、R21のいずれかは炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表す。
22〜R25は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜4個の、直鎖もしくは分岐のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、但し、R22〜R25のうち少なくとも1つはシクロアルキル基であることが好ましい。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
式(II-AB)中、
11'及びR12'は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Z'は、結合した2つの炭素原子(C−C)を含み、脂環式構造を形成するための原子団を表す。
また、上記一般式(II-AB)は、下記一般式(II−AB1)又は一般式(II−AB2)であることが更に好ましい。
式(II−AB1)、(II−AB2)中、
13'〜R16'は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOH、−COOR5、酸の作用により分解する基、−C(=O)−X−A'−R17'、アルキル基あるいはシクロアルキル基を表す。
ここで、R5は、アルキル基、シクロアルキル基又はラクトン構造を有する基を表す。
Xは、酸素原子、硫黄原子、−NH−、−NHSO2−又は−NHSO2NH−を表す。
A'は単結合又は2価の連結基を表す。
また、Rl3'〜R16'のうち少なくとも2つが結合して環を形成してもよい。nは0又は1を表す。
17'は、−COOH、−COOR5、−CN、水酸基、アルコキシ基、−CO−NH−R6、−CO−NH−SO2−R6又はラクトン構造を有する基を表す。
6は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
一般式(pI)〜(pV)において、R12〜R25におけるアルキル基としては、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基が好ましい。
11〜R25におけるシクロアルキル基或いはZと炭素原子が形成するシクロアルキル基は、単環式でも、多環式でもよい。具体的には、炭素数5以上のモノシクロ、ビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができる。その炭素数は6〜30個が好ましく、特に炭素数7〜25個が好ましい。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
好ましいシクロアルキル基としては、アダマンチル基、ノルアダマンチル基、デカリン残基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、ノルボルニル基、セドロール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデカニル基、シクロドデカニル基を挙げることができる。より好ましくは、アダマンチル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、テトラシクロドデカニル基、トリシクロデカニル基を挙げることができる。
これらのアルキル基、シクロアルキル基の更なる置換基としては、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)が挙げられる。上記のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基等が、更に有していてもよい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基を挙げることができる。
上記樹脂における一般式(pI)〜(pV)で示される構造は、アルカリ可溶性基の保護に使用することができる。アルカリ可溶性基としては、この技術分野において公知の種々の基が挙げられる。
具体的には、カルボン酸基、スルホン酸基、フェノール基、チオール基の水素原子が一般式(pI)〜(PV)で表される構造で置換された構造などが挙げられ、好ましくはカルボン酸基、スルホン酸基の水素原子が一般式(pI)〜(PV)で表される構造で置換された構造である。
一般式(pI)〜(pV)で示される構造で保護されたアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(pA)で示される繰り返し単位が好ましい。
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐のアルキル基を表す。複数のRは、各々同じでも異なっていてもよい。
Aは、単結合、アルキレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、ウレタン基、又はウレア基よりなる群から選択される単独あるいは2つ以上の基の組み合わせを表す。好ましくは単結合である。
Rp1は、上記式(pI)〜(pV)のいずれかの基を表す。
一般式(pA)で表される繰り返し単位は、最も好ましくは、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位である。
以下、一般式(pA)で示される繰り返し単位の具体例を示す。
上記R11'、R12'におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、沃素原子等を挙げることができる。
上記R11'、R12'におけるアルキル基としては、炭素数1〜10個の直鎖状あるいは分岐状アルキル基が挙げられる。
上記Z'の脂環式構造を形成するための原子団は、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素の繰り返し単位を樹脂に形成する原子団であり、中でも有橋式の脂環式炭化水素の繰り返し単位を形成する有橋式脂環式構造を形成するための原子団が好ましい。
形成される脂環式炭化水素の骨格としては、一般式(pI)〜(pVI)に於けるR11〜R25の脂環式炭化水素基と同様のものが挙げられる。
上記脂環式炭化水素の骨格には置換基を有していてもよい。そのような置換基としては、前記一般式(II−AB1)あるいは(II−AB2)中のR13'〜R16'を挙げることができる。
本発明に係る樹脂(B)においては、酸の作用により分解する基は、前記一般式(pI)〜一般式(pV)で示される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位、一般式(II-AB)で表される繰り返し単位、及び後記共重合成分の繰り返し単位のうち少なくとも1種の繰り返し単位に含有することができる。
酸分解性繰り返し単位は1種を用いてもよいが、酸脱離基の炭素数の異なる2種以上の酸分解性繰り返し単位を併用することが好ましい。これにより解像力、露光ラチチュードのバランスが良好になる。
上記一般式(II−AB1)あるいは一般式(II−AB2)におけるR13'〜R16'の各種置換基は、上記一般式(II-AB)における脂環式構造を形成するための原子団ないし有橋式脂環式構造を形成するための原子団Zの置換基ともなり得る。
上記一般式(II−AB1)あるいは一般式(II−AB2)で表される繰り返し単位として、下記具体例が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されない。
本発明の樹脂(B)は、ラクトン基を有することが好ましい。ラクトン基としては、ラクトン構造を含有していればいずれの基でも用いることができるが、好ましくは5〜7員環ラクトン構造を含有する基であり、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが好ましい。下記一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。また、ラクトン構造を有する基が主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては(LC1−1)(LC1−4)(LC1−5)(LC1−6)(LC1−13)(LC1−14)であり、特定のラクトン構造を用いることでラインエッジラフネス、現像欠陥が良好になる。
ラクトン構造部分は置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。n2が2以上の時、複数存在するRb2は同一でも異なっていてもよく、また、複数存在するRb2同士が結合して環を形成してもよい。
一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のいずれかで表されるラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13'〜R16'のうち少なくとも1つが一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(LC1−1)〜(LC1−16)で表される基を表す)、又は下記一般式(AI)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
一般式(AI)中、
b0は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜4)を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基、ハロゲン原子が挙げられる。
b0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げることができる。Rb0は水素原子、メチル基が好ましい。
bは、単結合、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。好ましくは単結合、−Ab1−CO2−で表される連結基である。Ab1は直鎖、分岐アルキレン基、単環または多環のシクロアルキレン基であり、好ましくはメチレン基、エチレン基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基である。
Vは、ラクトン構造を有する基を表す。好ましくは一般式(LC1−1)〜(LC1−16)のうちのいずれかで示される基を表す。
ラクトン構造を有する繰り返し単位は通常光学異性体が存在するが、いずれの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度(ee)が90以上のものが好ましく、より好ましくは95以上である。
ラクトン構造を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマー中の全繰り返し単位に対し、15〜60mol%が好ましく、より好ましくは20〜50mol%、更に好ましくは30〜50mol%である。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
(式中RxはH、CH3、CH2OH、またはCF3を表す。)
ラクトン基を有する繰り返し単位として最も好ましくは下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン構造を選択することにより、パターンプロファイル、粗密依存性が良好となる。
本発明の樹脂(B)は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位を含有していることが好ましい。これにより基板密着性、現像液親和性が向上する。極性基で置換された脂環炭化水素構造の脂環炭化水素構造としてはアダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。極性基としては水酸基、シアノ基が好ましい。好ましい極性基で置換された脂環炭化水素構造としては(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)〜(VIIc)中、R2c〜R4cは、各々独立に水素原子又は水酸基、シアノ基を表す。ただし、R2c〜R4cのうち少なくとも1つは水酸基、シアノ基を表す。好ましくはR2c〜R4cのうち1つまたは2つが水酸基で残りが水素原子である。(VIIa)において更に好ましくはR2c〜R4cのうち2つが水酸基で残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−A)又は(II−B)中のR13'〜R16'のうち少なくとも1つが上記一般式(VII)で表される基を有するもの(例えば−COOR5のR5が一般式(VII)で表される基を表す)、又は下記一般式(AII)で表される繰り返し単位等を挙げることができる。
一般式(AIIa)(AIIb)中、R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基、ヒドロキメチル基を表す。
極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマー中の全繰り返し単位に対し、5〜40mol%が好ましく、より好ましくは5〜30mol%、更に好ましくは10〜25mol%である。
一般式(AIIa)(AIIb)で表される構造を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の樹脂(B)は、下記一般式(VIII)で表される繰り返し単位を含有してもよい。
上記一般式(VIII)に於いて、Z2は、−O−又は−N(R41)−を表す。R41は、水素原子、水酸基、アルキル基又は−OSO2−R42を表す。R42は、アルキル基、シクロアルキル基又は樟脳残基を表す。R41及びR42のアルキル基は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)等で置換されていてもよい。
上記一般式(VIII)で表される繰り返し単位として、以下の具体例が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
本発明の樹脂(B)は、アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を有することが好ましい。アルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビスルスルホニルイミド基、α位が電子吸引性基で置換された脂肪族アルコール(好ましくは下記一般式(F1)で表される構造)が挙げられ、カルボキシル基を有する繰り返し単位を有することがより好ましい。
一般式(F1)中、
50〜R55は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R50〜R55の内、少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、R50〜R55の全てがフッ素原子であることが好ましい。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位を含有することによりコンタクトホール用途での解像性が増す。アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接アルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖にアルカリ可溶性基が結合している繰り返し単位、さらにはアルカリ可溶性基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環または多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。最も好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有量は、ポリマー中の全繰り返し単位に対し、1〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
アルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示す。
本発明の樹脂(B)は、更に脂環炭化水素構造を有し、酸分解性を示さない繰り返し単位を含有してもよい。これにより液浸露光時にレジスト膜から液浸液への低分子成分の溶出が低減できる。このような繰り返し単位として、例えば1−アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の樹脂(B)は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにレジストの一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を含有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、樹脂(B)に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、
(2)製膜性(ガラス転移点)、
(3)アルカリ現像性、
(4)膜べり(親疎水性、アルカリ可溶性基選択)、
(5)未露光部の基板への密着性、
(6)ドライエッチング耐性、
等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
樹脂(B)において、各繰り返し構造単位の含有モル比はレジストのドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、レジストプロファイル、さらにはレジストの一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明の樹脂(B)の好ましい態様としては、以下のものが挙げられる。
(1) 上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位を含有するもの(側鎖型)。好ましくは(pI)〜(pV)の構造を有する(メタ)アクリレート繰り返し単位を含有するもの。
(2) 一般式(II-AB)で表される繰り返し単位を含有するもの(主鎖型)
但し、(2)においては例えば、更に以下のものが挙げられる。
(3) 一般式(II-AB)で表される繰り返し単位、無水マレイン酸誘導体及び(メタ)アクリレート構造を有するもの(ハイブリッド型)
樹脂(B)中、酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは20〜50モル%、更に好ましくは25〜40モル%である。
樹脂(B)中、一般式(II-AB)で表される繰り返し単位の含有量は、全繰り返し構造単位中10〜60モル%が好ましく、より好ましくは15〜55モル%、更に好ましくは20〜50モル%である。
また、上記更なる共重合成分の単量体に基づく繰り返し構造単位の樹脂中の含有量も、所望のレジストの性能に応じて適宜設定することができるが、一般的に、上記一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し構造単位と上記一般式(II-AB)で表される繰り返し単位の合計した総モル数に対して99モル%以下が好ましく、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。
本発明に用いる樹脂(B)として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート、繰り返し単位のすべてがアクリレート、メタクリレート/アクリレート混合のいずれのものでも用いることができる。より好ましくは一般式(pI)〜(pV)で表される脂環式炭化水素を含む部分構造を有する繰り返し単位20〜50%、上記ラクトン構造を含有する繰り返し単位20〜50%、上記極性基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位5〜30%含有する3元共重合ポリマー、または更にその他の繰り返し単位を0〜20%含む4元共重合ポリマーである。
本発明に用いる樹脂(B)は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。
例えば、一般的合成方法としては、モノマー種および開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。
反応溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の感光性組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシル基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。重合開始剤とともにチオール化合物などの連鎖移動剤を併用してもよい。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
本発明の樹脂(B)の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、更に好ましくは3,000〜20,000、最も好ましくは5,000〜15,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。 分子量分布は通常1〜5であり、好ましくは1〜3、更に好ましくは1〜2の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、レジスト形状が優れ、且つレジストパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明の感光性組成物において、本発明に係わる全ての樹脂の組成物全体中の配合量は、全固形分中60〜99質量%が好ましく、より好ましくは80〜98質量%である。
また、本発明において、樹脂(B)は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。
(C)熱分解性樹脂
本発明の感光性組成物は、さらに熱により分解し、分子量が低下する樹脂(C)(熱分解性樹脂、樹脂(C)とも呼ぶ)を含有する。
熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)としては、80〜250℃で分解を開始する(即ち分解開始温度が80〜250℃である)樹脂が好ましい。分解開始温度100℃以上200℃以下の樹脂がより好ましく、110℃以上180℃以下の樹脂が特に好ましい。
尚、本発明において分解開始温度は熱重量分析における重量減少が開始する温度である。
本発明の熱分解性樹脂を感光性組成物中に添加すると、サーマルフロー処理を行った際に、極めて良好なフロー性が発現する。この効果が得られるメカニズムは明らかではないが、熱分解性樹脂(C)が分解することで生じた低分子成分が、レジスト膜中で可塑剤として働き、膜中のTgを低下させる効果があるためと推定される。これにより、従来サーマルフローを行うことが困難であった比較的高いTgを有する樹脂(B)を用いても、優れたフロー性が得られ、フロー性と他の諸性能とを両立させることが可能となった。
本発明に用いられる熱分解性樹脂はポリマー主鎖が分解する主鎖分解型でも、ポリマー側鎖が分解する側鎖分解型のものでも良い。
本発明に用いられる熱分解性樹脂のうち主鎖分解型のものとしてはたとえば、一般式(I)で表される繰り返し単位を含有する樹脂を用いることができる。
式(I)中、
1、及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、C(=O)R7基、S(0)p7基、P(=O)(R72基、または、M(R73基を表す。
3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、有機基を表す。
6はハロゲン原子、炭化水素基を表す。
X、Yはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子を表す。
7は炭化水素オキシ基、炭化水素基、炭化水素チオ基、モノもしくはジ炭化水素アミノ基を表す。
Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子を表す。
mは1〜3のいずれかの整数を表す。
nは0または1〜3のいずれかの整数を表す。
但しm+n≦5である。
mが2以上の場合、R3同士、R4同士、R5同士、X同士、Y同士は同一または相異なっていてもよく、nが2以上の場合、R6同士は同一または相異なっていてもよい。
pは0、1、または2のいずれかを表す。
炭化水素基としては好ましくは炭素数1〜20(C1〜C20)のものである。
1、R2として具体的には、水素原子、フッ素原子、クロ原子、ブロム原子、ヨウ素原子であるハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−ブロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、s−ヘキシル基、s−ヘキシル基、1,1−ジメチル−n−ヘキシル基、n−へプチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等C1〜C20のアルキル基、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、4−オクテニル基等のC2〜C20のアルケニル基、エチニル基、プロパルギル基、1−メチル−プロピニル基等のC2〜C20のアルキニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、1−メチルアダマンチル基、2−アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基、ノルボルニル基等のC3〜C20の脂環式炭化水素基、フェニル基、1−ナフチル基、9−アントラセニル基等のC6〜C20の芳香族炭化水素基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−フラニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、1−ピロロ基、2−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、1−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、2−イミダゾリル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−トリアゾール−2−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル、ピラジン−2−イル、ピリダジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル、1,3,5−トリアジン−2−イル、1−ピロリジニル基、1−ピペリジル基、4−モルホリニル基、2−テトラヒドロフラニル基、4−テトラヒドロピラニル基等のヘテロ環基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のC1〜C20のアルコキシカルボニル基、メチルチオカルボニル基等のC1〜C20のアルキルチオカルボニル基、N,N−ジメチルカルバモイル基等の置換または無置換カルバモイル基、メチルスルフェニル基、フェニルスルフェニル基、メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、メチルスルフリル基、N,N−ジメチルスルファモイル基等の置換または無置換スルファモイル基、ジメチルホスホリル基、ビスメチルチオホスホニル基、テトラメチルアミノホスホニル基等のホスホニル基、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、トリメチルスタンニル基、トリフェニルプランバンニル基等を例示することができる。
1、R2の置換基各々は、適当な炭素上の位置さらに置換基を有することができる。更なる置換基としては、フッ素原子、クロ原子、ブロム原子、ヨウ素原子であるハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基等の置換フェニル基、プロパルギル基、2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、2−(エトキシメトキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基等の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、テトラヒドロピラニルオキシ基、フェノキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、トリメチルシリルオキシ基、t−ブトキシカルボニルメトキシ基等のアルコキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基等のアミノ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基等のアルキル、アリール、もしくはヘテロ環チオ基またはその酸化体、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等のC1〜C20のアルコキシカルボニル基、アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、2−ピリジルカルボニル基等のC2〜C20のアシル基、シアノ基、ニトロ基等を例示することができる。
これら置換基を有するR1、R2の具体例としては、クロロメチル基、フルオロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、ジブロモメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基等のハロアルキル基、テトラフルオロエテニル基、2,2−ジフロロエテニル基等のハロアルケニル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、フェノキシメチル基等のアルコキシアルキル基、メチルチオメチル基、フェニルチオメチル基等のアルキルチオアルキル基またはアリールチオアルキル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基、フェネチル基等のアラルキル基、ベンゾイルメチル基、アセチルメチル基等のアシルアルキル基、シアノメチル基等を例示することができる。
また、R1、R2の各置換基は、式(I)で表される各繰り返し単位全てにおいて同一である必要はなく、適宜2種以上を混合して用いることができる。
3、R4、R5はそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表す。
有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基;フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;フェニルスルホニル基、4−クロロフェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基;等が挙げられる。これらの中でも、前記R3〜R5は、それぞれ独立してC1〜C20の炭化水素基であるのが好ましい。
本発明における式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体とは、式(I)で表される繰り返し単位のみからなる重合体、並びに式(I)で表される繰り返し単位及び式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位からなる重合体を意味する。
式(I)で表される繰り返し単位の好適な具体例として以下のものを挙げることが出来る。
式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、具体的には、式(III)で表される繰り返し単位等を例示することができる。
式(III)中、
31、R32、R33は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基(好ましくはC1〜C20、フッ素等で置換されていても良い)を表す。
34は、水酸基、またはアルコキシ基で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(好ましくはC6〜C20)、またはCO235基を表す。
35は、炭化水素基(好ましくはC1〜C20)を表し、より好ましくは熱不安定基を表す。
この場合、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、n−オクチル基等を例示でき、特に炭素数1〜12、とりわけ炭素数1〜10のものが好ましい。なお、フッ素化されたアルキル基は、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル基などが挙げられる。
34は、水酸基、または水素か置換された水素基で置換されていてもよい芳香族炭化水素基(好ましくはC6〜C20)であり、具体的には、下記式(IV)で表される置換基を例示することができる。
式(IV)中、
40は直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜14)を示し、具体的には上記R31で例示したものと同様の置換基をがあげられる。
Xはフッ素原子を表す。
41は炭化水素基(好ましくはC1〜C20)を表し、R1で例示した置換基と同様の置換基を例示することができる。
a、b、c、dはそれぞれ0または1〜5の整数を表し、a+b+c+dは0〜5いずれかである。
熱不安定基としては種々選定されるが、具体的には下記式(V)、(VI)、もしくは(VII)で表される基、各アルキル基の炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を例示することができる。
尚、熱不安定基とは、上述した分解開始温度より高い温度で熱分解する基である。
式(V)、(VI)において、
51、R54は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
52、R53は水素原子又は直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子などのヘテロ原子を含んでもよい。
52とR53、R52とR54、R53とR54はそれぞれ結合して環を形成してもよい。
aは0または1〜10のいずれかの整数を表す。
より好ましくは、R51〜R54は下記の基であることがよい。
51が炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(VII)で示される基を示し、三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−5−オキソオキソラン−4−イル基等が挙げられる。
aは好ましくは0〜6のいずれかの整数である。
52、R53が水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R9は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には、4−ヒドロキシブチル基、2−ブトキシエチル基、4−ヒドロキシメチル−1−シクロヘキシルメチル基、2−ヒドロキシエトキシ−2−エチル基、6−ヒドロキシヘキシル基、1,3−ジオキソラン−2−オン−4−メチル基等の置換アルキル基等が例示できる。
52とR53、R52とR54、R53とR54はそれぞれ結合して環を形成してもよく、環を形成する場合にはR52、R53、R54はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表す。
式(V)としては、具体的にはt−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、t−アミロキシカルボニル基、t−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
上記式(VI)で示される熱不安的基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、1−エトキシ−エチル基、1−メトキシ−プロピル基、1−メトキシ−ブチル基、1−エトキシ−プロピル基、1−n−プロポキシ−エチル基、1−n−プロポキシ−プロピル基、1−n−ブトキシ−ブチル基、1−n−プロポキシ−ブチル基、1−シクロペンチルオキシ−エチル基、1−シクロヘキシルオキシ−エチル基、2−メトキシ−2−プロピル基、2−エトキシ−2−プロピル基等を例示することができる。
上記式(VI)で示される熱不安定基のうち環状のもとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。式(4)としては1−エトキシ−エチル基、1−n−ブトキシ−エチル基、1−エトキシ−n−プロピル基が好ましい。
式(VII)において、R55、R56、R57は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の一価炭化水素基であり、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子、フッ素原子等を含んでもよく、R55とR56、R55とR57、R56とR57とは互いに結合して環を結合してもよい。
式(VII)に示される三級アルキル基としては、t−ブチル基、1,1−ジエチル−n−プロピル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
また、式(VII)で表される三級アルキル基としては、下記に示す官能基を具体的に例示することができる。
ここで、R61、R64は、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基等を例示できる。
62は水素原子、炭素数1〜6のヘテロ原子を介してもよいアルキル基等の一価炭化水素基を示す。ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を挙げることができ、―OH、―OR(Rは炭素数1〜20、特に1〜16のアルキル基、以下同じ)、−O−、−S−。−S(=O)−,−NH2、−NHR、−NR2−、−NH−、−NR−として含有又は介在することができる。
63としては、水素原子、又は炭素数1〜20、特に1〜16のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基又はアルコキシアルキル基などを挙げることができ、これらは直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。具体的には、メチル基、ヒドロキシメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、メトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等を例示できる。
炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、3−オキソシクロヘキシル基、下記式で示される基が挙げられる。
更に、上記の熱不安定基は、下記式(VIII)または(IX)で表されるアセタール架橋基であってもよい。
式中、
71、R72は水素原子又は直鎖状、分岐状、もしくは環状のアルキル基(好ましくは炭素数1〜8)を示す。R71とR72は結合して環を形成していてもよく、環を形成する場合には、R71、R72は直鎖状又は分岐状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜8)を示す。
73は直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。
eは1〜7の整数、f、gは0または1〜10の整数である。
Aは、(e+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。
Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
式(VIII)、(IX)に示される架橋形アセタールは、具体的には下記式のものを例示することができる。
式(IV)で表される官能基を有する繰り返し単位(III)として、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、スチルベン、4−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−3−メチル−スチレン、4−tert−ブトキシ−スチレン、4−テトラヒドロピラニルオキシ−スチレン、4−フェノキシエトキシ−スチレン、4−トリメチルシリルオキシ−スチレン、4−トリメチルシリルオキシ−スチレン、4−t−ブトキシカルボニルオキシ−スチレン、4−t−ブトキシカルボニルメトキシ−スチレン、2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシスチレン、2,3−ジフルオロ−4−t−ブトキシ−スチレン、2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−スチレン、2,6−ジフルオロ−4−t−ブトキシ−スチレン、3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−スチレン、3,5−ジフルオロ−4−t−ブトキシ−スチレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−スチレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−t−ブトキシ−スチレン、2−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−スチレン、2−トリフルオロメチル−4−t−ブトキシ−スチレン、2−トリフルオロメチル−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−スチレン、2−トリフルオロメチル−6−フルオロ−4−t−ブトキシ−スチレン、3−トリフルオロメチル−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−スチレン、3−トリフルオロメチル−5フルオロ−4−t−ブトキシスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−スチレン、4−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)−スチレン、4−(2−エトキシメトキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)−スチレン、2,3−ジフルオロ−4−ヒドロキシスチレン、2,3−ジフルオロ−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−α−フルオロ−スチレン、2,6−ジフルオロ−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシ−α−フルオロ−スチレン、3,5−ジフルオロ−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−ヒドロキシ−α−フルオロ−スチレン、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、2−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシ−α−フルオロ−スチレン、2−トリフルオロメチル−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、2−トリフルオロメチル−6−フルオロ−4−ヒドロキシ−α−フルオロ−スチレン、2−トリフルオロメチル−6−フルオロ−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、3−トリフルオロメチル−5−フルオロ−4−ヒドロキシ−α−フルオロ−スチレン、3−トリフルオロメチル−5−フルオロ−4−t−ブトキシ−α−フルオロ−スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチル−スチレン、4−(2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)−α−フルオロ−スチレン、4−(2−エトキシメトキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)−α−フルオロ−スチレン等を例示することができる。
さらに、R34が、CO235基の場合において、R35は、R4で例示した置換基と同様の置換基を例示することができる。また、この場合、R31〜R33の組み合わせとして、下記式に示すような組み合わせを好ましく用いることができる。(下記化合物を重合したとき得られる繰り返し単位を表す。)
CO235基を有する繰り返し単位として、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸アミル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチルシクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−t−オクチル、クロルエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2,2−ジメチル−3−エトキシプロピルアクリレート、5−エトキシペンチルアクリレート、1−メトキシエチルアクリレート、1−エトキシエチルアクリレート、1−メトキシプロピルアクリレート、1−メチル−1−メトキシエチルアクリレート、1−(イソプロポキシ)エチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等のアクリルエステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、4−メトキシブチルメタクリレート、5−メトキシペンチルメタクリレート、2,2−ジメチル−3−エトキシプロピルメタクリレート、1−メトキシエチルメタクリレート、1−メチル−1−メトキシエチルメタクリレート、1−(イソプロポキシ)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸アミル、クロトン酸シクロヘキシル、クロトン酸エチルヘキシル、クロトン酸オクチル、クロトン酸−t−オクチル、クロルエチルクロトネート、2−エトキシエチルクロトネート、2,2−ジメチル−3−エトキシプロピルクロトネート、5−エトキシペンチルクロトネート、1−メトキシエチルクロトネート、1−エトキシエチルクロトネート、1−メトキプロピルクロトネート、1−メチル−1−メトキシエチルクロトネート、1−(イソプロポキシ)エチルクロトネート、ベンジルクロトネート、メトキシベンジルクロトネート、フルフリルクロトネート、テトラヒドロフルフリルクロトネート等のクロトン酸エステル類、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジアミル、イタコン酸ジシクロヘキシル、イタコン酸ビス(エチルヘキシル)、イタコン酸ジオクチル、イタコン酸−ジ−t−オクチル、ビス(クロルエチル)イタコネート、ビス(2−エトキシエチル)イタコネート、ビス(2,2−ジメチル−3−エトキシプロピル)イタコネート、ビス(5−エトキシペンチル)イタコネート、ビス(1−メトキシエチル)イタコネート、ビス(1−エトキシエチル)イタコネート、ビス(1−メトキシプロピル)イタコネート、ビス(1−メチル−1−メトキシエチル)イタコネート、ビス(1−(イソプロポキシ)エチル)イタコネート、ジベンジルイタコネート、ビス(メトキシベンジル)イタコネート、ジフルフリルイタコネート、ジテトラヒドロフルフリルイタコネート等のイタコン酸エステル類等から誘導される繰り返し単位を例示することができる。さらに、下記式で表される繰り返し単位を例示することができる。
さらに、式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位として、式(A)で表される繰り返し単位を例示することができる。
式中、
81、及びR82はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基(好ましくはC1〜C20)、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、C(=O)R7基、S(=O)p7基、P(=O)(R72基、M(R73基を表し、具体的には、R1で例示した置換基と同様の置換基を例示することができる。
本発明における式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体は、先に記載したように、式(I)で表される繰り返し単位のみからなる重合体、並びに式(I)で表される繰り返し単位および式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位からなる重合体を意味しており、式(I)で表され繰り返し単位とそれ以外の繰り返し単位の重合形式は特に限定されず、ランダム重合形式、ブロック重合形式、部分ブロック重合形式、交互重合形式のいずれの形式をもとることができる。
式(I)で表され繰り返し単位を有する樹脂はポリマー中に式(I)で表される繰り返し単位を100モル%〜1モル%有することができる。より好ましくは100モルモル%〜20モル%有することが好ましく、100モル%〜40モル%が特に好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、分解前、分解後の物性に顕著な差を見出すことを考慮すると、2,000〜150,000の範囲が好ましい。また重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である分子量分布も、特に制限はされないが、1.01〜3.00の範囲、さらには1.01〜1.50の範囲が好ましい。
式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体の製造方法として、具体的には、下記式(X)で表されるケテンおよび式(XI)で表されるアルデヒドを、アニオン重合開始剤存在下、アニオン重合を行う方法を例示することができる。
式中、R91はR1、R92はR2、R93はR3にそれぞれ対応しており、アニオン重合を行う上で、障害となる置換基、例えば、活性水素原子を有する置換基、アニオン重合開始剤と反応性を有する置換基等を除外した置換基を表す。
アニオン重合に用いられる溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば、特に制限されず、具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等のアニオン重合において通常使用される有機溶媒を挙げることができる。また、これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上の混合溶媒として用いることができる。
アニオン重合開始剤として、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を例示することができ、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ナトリウム−カリウム合金等を例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を使用することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,1−ジフェニルメチルカリウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を挙げることができこれらの化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
反応は、通常、アニオン重合開始剤に、(X)および(XI)で表される化合物を添加し、アニオンリビング重合を行う。これらの一連の反応は、アルゴンまたは窒素等の不活性ガス化、もしくは高真空化、−100℃〜0℃、好ましくは、−70℃〜−20℃の範囲で行われる。用いる式(X)で表されるケテンと式(XI)で表されるアルデヒドのモル比は特に制限されないが、99/1〜50/50の範囲で用いるのが好ましい。また、先にも述べたように、式(III)で表されるケテンおよび式(IV)で表されるアルデヒドは、それぞれ一種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する重合体は、以下の様に熱により容易に主鎖が開裂する性質を有する。
式中、R101はR1、R102はR2、R103はR3にそれぞれ対応しており、R1、R2、R3で例示したのと同様の置換基を例示することができる。
樹脂(C)は、下記一般式(II)で表される構造をポリマー主鎖または側鎖に有することも好ましい。
式(II)中、
Xはメチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
Rq、Rr、Rx、Ry、Rzは、各々独立して、連結基または水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基を表す。
連結基としては単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、ポリエチレンオキシ基、および以下一般式(II-L)で表される基が好ましい。
ここでPはポリマー主鎖を表し、Rpは炭素数1〜6のアルキレンまたはポリエチレンオキシ基を表す。
式(II)で表される構造は、以下の様に熱により分解する性質を有する。
式(II)で表される構造を有する構造のうち、主鎖分解型としては、例えば以下の構造を有する樹脂を挙げることができる。

式中、X、Xは各々独立して酸素原子または窒素原子を表す。
は単結合または連結基を表し、たとえば置換基を有していてもよいアルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基を表す。
式(II)で表される構造を有する構造のうち、側鎖分解型としては、下記式(II-a)〜(II-c)のいずれかで表される繰り返し単位が好ましい。
式(II-a)〜(II-c)中、
Lはアルキレン基またはポリエチレンオキシ基を表す。
Ra〜Rmは、各々独立して、水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基を表す。
式中、Xはメチレン基、酸素原子、硫黄原子を表す。
Lはアルキレン基またはポリエチレンオキシ基を表すがアルキレン基がより好ましい。好ましいアルキレン基としては炭素数1〜8であり、炭素数1から6がより好ましく、炭素数1から3が特に好ましい。R6は、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。
Ra〜Rmはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基、シアノ基、フェニル基を表す。ここでアルキル基とは直鎖、分岐、環状アルキル基を表し、置換基を有していてもよい。
好ましい直鎖、分岐アルキル基としては炭素数1〜8、より好ましくは1〜4であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。好ましい環状アルキル基としては炭素数3〜8、より好ましくは5〜6であり、シクロヘキシル基、シクロペンチル基が特に好ましい。
Ra〜Rmとしては特に水素原子、アルキル基がより好ましい。
式(II)の部分構造は、たとえばディールスアルダー反応等の一般的な方法で合成することができる。
一般式(II)で表される繰り返し単位の好ましい具体例を以下に示すが本発明はこれに限定されるものではない。
側鎖熱分解型樹脂は本発明の効果を損ねない範囲で任意の繰り返し単位を共重合させることができる。好ましい共重合成分としては、アルキル(メタ)アクリレート、ラクトン基を有する繰り返し単位、極性基を有する繰り返し単位が上げられる。ラクトン基を有する繰り返し単位、極性基を有する繰り返し単位はそれぞれ酸分解性樹脂(B)に含むことのできる構造が特に好ましい。
これら任意の共重合成分はポリマー中に樹脂(C)全量に対して0〜60モル%含むことができる。より好ましくは0〜50モル%特に好ましくは0〜40モル%である。
上記熱分解性樹脂は主鎖分解型、側鎖分解型ともに感光性組成物中の前固形分の重量に対して、0.1wt%〜50wt%の範囲で含むことが好ましい。より好ましくは0.1〜30wt%であり、特に好ましくは1〜20wt%である。
また好ましい分子量は特に制限は無いがMw1000〜50000が好ましく、Mw2000〜25000がより好ましく、Mw2000〜15000が特に好ましい。
本発明のポジ型感光性組成物が含みうるその他の成分について以下に説明する。
溶解抑止剤
本発明のポジ型感光性組成物は、アルカリ可溶性基、親水基、酸分解性基から選ばれるすくなくとも1つを有する、分子量3000以下の溶解制御化合物(以下、「溶解制御化合物」、「溶解制御剤」ともいう)を含有してもよい。
溶解制御化合物としては、カルボキシル基、スルホニルイミド基、α位がフロロアルキル基で置換された水酸基などのようなアルカリ可溶性基を有する化合物、水酸基やラクトン基、シアノ基、アミド基、ピロリドン基、スルホンアミド基、などの親水性基を有する化合物、または酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基または親水性基を放出する基を含有する化合物が好ましい。酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基または親水性基を放出する基としてはカルボキシル基あるいは水酸基を酸分解性基で保護した基が好ましい。溶解制御化合物としては220nm以下の透過性を低下させないため、芳香環を含有しない化合物を用いるか、芳香環を有する化合物を組成物の固形分に対し20wt%以下の添加量で用いることが好ましい。
好ましい溶解制御化合物としてはアダマンタン(ジ)カルボン酸、ノルボルナンカルボン酸、コール酸などの脂環炭化水素構造を有するカルボン酸化合物、またはそのカルボン酸を酸分解性基で保護した化合物、糖類などのポリオール、またはその水酸基を酸分解性基で保護した化合物が好ましい。
本発明における溶解制御化合物の分子量は、3000以下であり、好ましくは300〜3000、更に好ましくは500〜2500である。
溶解制御化合物の添加量は、感光性組成物の固形分に対し、好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。
以下に溶解制御化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
塩基性化合物
本発明のポジ型感光性組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減あるいは、露光によって発生した酸の膜中拡散性を制御するために、塩基性化合物を含有することが好ましい。
塩基性化合物としては含窒素塩基性化合物、オニウム塩化合物を挙げることができる。
好ましい含窒素塩基性化合物構造として、下記式(A)〜(E)で示される部分構造を有する化合物を挙げることができる。
ここでR250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、ここでR250とR251は互いに結合して環を形成してもよい。これらは置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基及びシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
式中、R253、R254、R255及びR256は、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。
好ましい化合物として、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
イミダゾール構造を有する化合物としてはイミダゾール、2、4、5−トリフェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール等があげられる。ジアザビシクロ構造を有する化合物としては1、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンなどがあげられる。オニウムヒドロキシド構造を有する化合物としてはトリアリールスルホニウムヒドロキシド、フェナシルスルホニウムヒドロキシド、2−オキソアルキル基を有するスルホニウムヒドロキシド、具体的にはトリフェニルスルホニウムヒドロキシド、トリス(t−ブチルフェニル)スルホニウムヒドロキシド、ビス(t−ブチルフェニル)ヨードニウムヒドロキシド、フェナシルチオフェニウムヒドロキシド、2−オキソプロピルチオフェニウムヒドロキシドなどがあげられる。オニウムカルボキシレート構造を有する化合物としてはオニウムヒドロキシド構造を有する化合物のアニオン部がカルボキシレートになったものであり、例えばアセテート、アダマンタン−1−カルボキシレート、パーフロロアルキルカルボキシレート等があげられる。トリアルキルアミン構造を有する化合物としては、トリ(n−ブチル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン等を挙げることができる。アニリン化合物としては、2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン等を挙げることができる。水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン等を挙げることができる。
これらの塩基性化合物は、単独であるいは2種以上で用いられる。塩基性化合物の使用量は、ポジ型感光性組成物の固形分を基準として、通常0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%である。十分な添加効果を得る上で0.001質量%以上が好ましく、感度や非露光部の現像性の点で10質量%以下が好ましい。
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤
本発明のポジ型感光性組成物は、更に、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤、フッ素原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましい。
本発明のポジ型感光性組成物がフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤とを含有することにより、250nm以下、特に220nm以下の露光光源の使用時に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥の少ないレジストパターンを与えることが可能となる。
これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、特開2002−277862号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。
使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF176、F189、R08(大日本インキ化学工業(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)等のフッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤としては、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)もしくはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を有する重合体を用いた界面活性剤を用いることが出来る。フルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。また、ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476、F−472(大日本インキ化学工業(株)製)を挙げることができる。さらに、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C613基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(又はメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(又はメタクリレート)との共重合体、などを挙げることができる。
フッ素及び/又はシリコン系界面活性剤の使用量は、ポジ型感光性組成物の全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%、より好ましくは0.001〜1質量%である。
溶剤
本発明の感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤に溶解して用いる。
使用し得る有機溶剤としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。
本発明において、有機溶剤としては、単独で用いても混合して用いても良いが、異なる官能基を有する2種以上の溶剤を含有する混合溶剤を用いることが好ましい。これにより素材の溶解性が高まり、経時におけるパーティクルの発生が抑制できるだけでなく、良好なパターンプロファイルが得られる。溶剤が含有する好ましい官能基としては、エステル基、ラクトン基、水酸基、ケトン基、カーボネート基が挙げられる。異なる官能基を有する混合溶剤としては以下の(S1)〜(S5)の混合溶剤が好ましい。
(S1)水酸基を含有する溶剤と、水酸基を含有しない溶剤とを混合した混合溶剤、
(S2)エステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤とを混合した混合溶剤
(S3)エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤とを混合した混合溶剤
(S4)エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤とを混合した混合溶剤
(S5)エステル構造を有する溶剤とカーボネート構造を有する溶剤と水酸基を含有する混合溶剤
これによりレジスト液保存時のパーティクル発生を軽減でき、また、塗布時の欠陥の発生を抑制することができる。
水酸基を含有する溶剤としては、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル等を挙げることができ、これらの内でプロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルが特に好ましい。
水酸基を含有しない溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を挙げることができ、これらの内で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチルが特に好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンが最も好ましい。
ケトン構造を有する溶剤としてはシクロヘキサノン、2−ヘプタノンなどが挙げられ、好ましくはシクロヘキサノンである。
エステル構造を有する溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、酢酸ブチルなどが挙げられ、好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである。
ラクトン構造を有する溶剤としてはγ−ブチロラクトンが挙げられる。
カーボネート構造を有する溶剤としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートが挙げられ、好ましくはプロピレンカーボネートである。
水酸基を含有する溶剤と水酸基を含有しない溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜60/40である。水酸基を含有しない溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
エステル構造を有する溶剤とケトン構造を有する溶剤との混合比(質量)は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは40/60〜80/20である。エステル構造を有する溶剤を50質量%以上含有する混合溶剤が塗布均一性の点で特に好ましい。
エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤との混合比(質量)は、70/30〜99/1、好ましくは80/20〜99/1、更に好ましくは90/10〜99/1である。エステル構造を有する溶剤を70質量%以上含有する混合溶剤が経時安定性の点で特に好ましい。
エステル構造を有する溶剤とラクトン構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80重量%、ラクトン構造を有する溶剤を1〜20重量%、水酸基を含有する溶剤を10〜60重量%含有することが好ましい。
エステル構造を有する溶剤とカーボネート構造を有する溶剤と水酸基を含有する溶剤を混合する際は、エステル構造を有する溶剤を30〜80重量%、カーボネート構造を有する溶剤を1〜20重量%、水酸基を含有する溶剤を10〜60重量%含有することが好ましい。
パターン形成方法
本発明のポジ型感光性組成物は、上記の成分を所定の有機溶剤、好ましくは前記混合溶剤に溶解し、フィルター濾過した後、次のように所定の支持体上に塗布して用いる。フィルター濾過に用いるフィルターは0.1ミクロン以下、より好ましくは0.05ミクロン以下、更に好ましくは0.03ミクロン以下のポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のものが好ましい。
例えば、ポジ型感光性組成物を精密集積回路素子の製造に使用されるような基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法により任意の厚み(通常50〜500nm)で塗布する。塗布後、スピンまたはベークにより乾燥し、レジスト膜を形成する。ベーク温度は適宜設定できるが、通常60〜150℃であり、このましくは90〜130℃である。
ついでパターン形成のためマスクなどを通し、露光する。
露光量は適宜設定できるが、通常1〜100mJ/cm2である。露光後、好ましくはスピンまたは/かつベークを行い、現像、リンスを行い、パターンを得る。
活性光線又は放射線の照射時に感光性膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。また、液浸露光を行なう際に液浸媒体と感光性膜が直接触れ合わないようにするために感光性膜の上にさらにオーバーコート層を設けても良い。これにより感光性膜から液浸媒体への組成物の溶出が抑えられ、現像欠陥が低減する。
活性光線又は放射線としては、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、電子線等を挙げることができるが、好ましくは250nm以下、より好ましくは220nm以下の波長の遠紫外光、具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、電子ビーム等であり、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)、電子ビームが好ましい。
レジスト膜を形成する前に、基板上に予め反射防止膜を塗設してもよい。
反射防止膜としては、チタン、二酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム、カーボン、アモルファスシリコン等の無機膜型と、吸光剤とポリマー材料からなる有機膜型のいずれも用いることができる。また、有機反射防止膜として、ブリューワーサイエンス社製のDUV30シリーズや、DUV−40シリーズ、シプレー社製のAR−2、AR−3、AR−5等の市販の有機反射防止膜を使用することもできる。
現像工程では、アルカリ現像液を次のように用いる。感光性組成物のアルカリ現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
さらに、上記アルカリ現像液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
本発明のポジ型感光性組成物は、多層レジストプロセス(特に3層レジストプロセス)に適用してもよい。多層レジスト法は、以下のプロセスを含むものである。
(a) 被加工基板上に有機材料からなる下層レジスト層を形成する。
(b) 下層レジスト層上に中間層及び放射線照射で架橋もしくは分解する有機材料からなる上層レジスト層を順次積層する。
(c) 該上層レジスト層に所定のパターンを形成後、中間層、下層及び基板を順次エッチングする。
中間層としては、一般にオルガノポリシロキサン(シリコーン樹脂)あるいはSiO塗布液(SOG)が用いられる。下層レジストとしては、適当な有機高分子膜が用いられるが、各種公知のフォトレジストを使用してもよい。たとえば、フジフイルムアーチ社製FHシリーズ、FHiシリーズ或いは住友化学社製PFIシリーズの各シリーズを例示することができる。
下層レジスト層の膜厚は、0.1〜4.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μmであり、特に好ましくは0.25〜1.5μmである。0.1μm以上とすることは、反射防止や耐ドライエッチング性の観点で好ましく、4.0μm以下とすることはアスペクト比や、形成した微細パターンのパターン倒れの観点で好ましい。
また、本発明のレジスト組成物は、サーマルフロープロセスにおいても非常に優れた性質を示す。サーマルフローを行う場合は、例えば、本発明のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した後、パターン露光、加熱処理、現像処理を順治行い、所望よりやや大きなパターンを形成し、この半導体基板を130℃〜180℃に加熱し、レジスト膜を熱フローさせることで、所望のサイズのパターンを形成することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
本発明の実施例に使用した試薬の精製法について以下に述べる。
ケテン類は、酸クロライドにトリエチルアミンをTHF中室温で反応後、減圧下で蒸留した。アルデヒド類は、CaH2を添加後、減圧下で蒸留した。
n−ブチルリチウム(n−BuLi)は、市販のn−BuLiヘキサン溶液(1.6mol/l)をそのまま用いた。テトラヒドロフランは、市販の脱水溶媒を使用した。
合成例1エチルフェニルケテン(EPK)の合成
窒素雰囲気下において、トリエチルアミン 91g(0.9モル)のテトラヒドロフラン(THF)混合液に、2−フェニルブチリルクロライド55g(0.3モル)のTHF溶液を滴下した。一時間後析出したトリエチルアミン・塩酸塩をろ別除去した後、ろ液を減圧蒸留して、EPKを得た(60〜70℃/4mmHg)。収量 30g (収率70%)。
合成例2 4−(1’−エトキシエトキシ)ベンズアルデヒド(EEBA)の合成
窒素雰囲気下において、4−ヒドロキシベンズアルデヒド 100g(0.82モル)をTHF(500ml)に溶解後、ビニルエチルエーテル236g(3.3モル)、4M HClジオキサン溶液4ml(16mmol)を加え、室温で一夜攪拌した。Na2CO3水溶液を加え中和後、分液し、上層をpH=7になるまで水洗した。有機層をMgSO4で脱水濾過後、減圧濃縮した。得られた残渣を減圧蒸留しEEBA(83〜85℃、0.04mmHg)を無色油状物質として得た。収量129g(収率81%)。
合成例3 重合体(T−1)の合成
(式(I)で、R1=エチル基、R2=フェニル基、R3=水素原子、R4=メチル基、R5=エチル基、X=Y=酸素原子、m=1、n=0、アセタール基はパラ位である熱分解性重合体:EPKとEEBAの共重合体)
窒素雰囲気下、塩化リチウム0.64g(15ミリモル)THF(100ml)溶液を−40℃まで冷却した。更にEEBA32ミリモル とEPK4.4g(30ミリモル)を添加した後、n−BuLiのヘキサン溶液 0.31ml (0.5ミリモル)を加え、−40℃で30分間反応を継続した。メタノールを加えて反応を停止した後、大量のメタノールに加えて再沈殿し、生じた沈殿をろ過、減圧乾燥することにより、白色粉末状のポリマー(a)を得た。ポリマー(a)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す)分析したところ、Mn=4800、Mw/Mn=1.25の単分散ポリマーであった。
合成例4 化合物A・Bの合成
3−フランメタノール20g(東京化成(株)製)およびN−シクロヘキシルマレイミド36g(アルドリッチ社製)を窒素雰囲気下75℃で8時間加熱攪拌し、化合物Aを85%の収率で得た。次に得られた化合物A50gおよびトリエチルアミン20gをTHF200gに溶解させメタクリル酸クロリド18gと反応させることによって化合物Bを98%の収率で得た。
合成例5
窒素気流下シクロヘキサノン43gを3つ口フラスコに入れこれを80℃に加熱した。これにγブチロラクトンメタクリレート6.6g、3−ヒドロキシアダマンチル−1−メタクリレート6.1g、下記モノマーC11.8g、開始剤V−601(和光純薬製)をモノマーに対し4.5mol%をシクロヘキサノン82gに溶解させた溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後メタノール900m/水100mlの混合液に20分かけて滴下し、析出した粉体をろ取、乾燥すると樹脂(P−1)が20g得られた。得られた樹脂の重量平均分子量は標準ポリスチレン換算で11000、分散度(Mw/Mn)は1.65であった。
他の樹脂P−2〜P−3、T−2〜T−4についても同様の手法を用いて合成した。重量平均分子量は開始剤の量を変更することで調整した。
樹脂(B)
尚、ガラス転移温度(Tg)は、以下の通りである。
(P-1)Tg=170℃
(P-2)Tg=190℃
(P-3)Tg=185℃
樹脂(C)
尚、樹脂(C)の分解開始温度を熱重量分析によって測定した結果を以下に示す。測定はティ・エイ・インスツルメント社製熱重量分析装置(Q500)を用いて行った。
実施例及び比較例
<レジスト調製>
下記表に示す成分を溶剤に溶解させ、それぞれについて固形分濃度7質量%の溶液を調製し、これを0.1μmのポリエチレンフィルターで濾過してポジ型レジスト溶液を調製した。調製したポジ型レジスト組成物を下記の方法で評価し、結果も下記表に示した。
<レジスト評価>
シリコンウエハー上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で、60秒間ベークを行い、78nmの反射防止膜を形成した。その上に調製したポジ型レジスト組成物を塗布し、110℃で、60秒間ベークを行い、160nmのレジスト膜を形成した。得られたウエハーをArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Annular(σo/σi=0.89/0.65))を用いてパターン露光した。その後110℃で、60秒間加熱した後、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液(2.38質量%)で30秒間現像し、純水でリンスした後、スピン乾燥してレジストパターンを得た。
パターン倒れ評価法:
85nmラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量からさらに露光量を増大させて形成されるラインパターンの線幅を細らせた際に、パターンが倒れずに解像する線幅(nm)をもって定義した。値が小さいほど、より微細なパターンが倒れずに解像することを表し、パターン倒れが発生しにくいことを示す。
露光ラチチュード評価法:
85nmラインアンドスペースのマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、露光量を変化させた際にパターンサイズが85nm±10%を許容する露光量幅を求め、この値を最適露光量で割って百分率表示した。値が大きいほど露光量変化による性能変化が小さく、露光ラチチュードが良好である。
ラインエッジラフネス(LER)評価法:
ラインエッジエッジラフネスの測定は測長走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して120nmの孤立パターンを観察し、ラインパターンの長手方向のエッジが5μmの範囲についてエッジのあるべき基準線からの距離を測長SEM((株)日立製作所S−9260)により50ポイント測定し、標準偏差を求め、3σ(nm)を算出した。値が小さいほど良好な性能であることを示す
サーマルフロー適性評価法:
85nmラインアンドスペースのパターンを形成した後、150℃、160℃、170℃でそれぞれ90秒間ベークし、線幅の収縮を測長SEM((株)日立製作所S−9260)により測定した。値は測定した測定した3温度のうちで元の線幅よりも10%以上収縮したもっとも低い温度が150℃の場合をフロー性◎、160℃の場合○、170℃の場合△、170℃でも元の線幅よりも10%以上の収縮が見られなかった場合を×とした。
表中の略号は、上述したものおよび下記を表す。
〔塩基性化合物〕
TPSA:トリフェニルスルホニウムアセテート
DIA:2,6−ジイソプロピルアニリン
TEA:トリエタノールアミン
DBA:N,N−ジブチルアニリン
PBI:2−フェニルベンズイミダゾール
TMEA:トリス(メトキシエトキシエチル)アミン
PEA:N−フェニルジエタノールアミン
PBMA:2−[2−{2‐(2,2‐ジメトキシ‐フェノキシエトキシ)エチル}‐ビス‐(2−メトキシエチル)]−アミン
〔界面活性剤〕
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)
W‐4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
S2:2−ヘプタノン
S3:シクロヘキサノン
S4:γ−ブチロラクトン
S5:プロピレングリコールメチルエーテル
S6:乳酸エチル
S7:プロピレンカーボネート
〔比較用樹脂〕 (Q−1のTgは190℃、Q−2のTgは135℃。)

Claims (10)

  1. (A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
    (B)酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂、及び、
    (C)熱により分解し、分子量が低下する樹脂、
    を含有するポジ型感光性組成物。
  2. 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(B)が、150〜250℃のガラス転移温度をもつことを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性組成物。
  3. 熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、80℃〜250℃で分解を開始する樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポジ型感光性組成物。
  4. 熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、下記式(I)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

    式(I)中、
    1、及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、C(=O)R7基、S(0)p7基、P(=O)(R72基、または、M(R73基を表す。
    3、R4、及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、有機基を表す。
    6はハロゲン原子、炭化水素基を表す。
    X、Yはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子を表す。
    7は炭化水素オキシ基、炭化水素基、炭化水素チオ基、モノもしくはジ炭化水素アミノ基を表す。
    Mは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子、スズ原子、鉛原子を表す。
    mは1〜3のいずれかの整数を表す。
    nは0または1〜3のいずれかの整数を表す。
    但しm+n≦5である。
    mが2以上の場合、R3同士、R4同士、R5同士、X同士、Y同士は同一または相異なっていてもよく、nが2以上の場合、R6同士は同一または相異なっていてもよい。pは0、1、または2のいずれかを表す。
  5. 熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、下記一般式(II)で表される構造をポリマー主鎖または側鎖に有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

    式(II)中、
    Xはメチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
    Rq、Rr、Rx、Ry、Rzは、各々独立して、連結基または水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基を表す。
  6. 熱により分解し分子量が低下する樹脂(C)が、下記式(II-a)〜(II-c)のいずれかで表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。


    式(II-a)〜(II-c)中、
    Xはメチレン基、酸素原子または硫黄原子を表す。
    Lはアルキレン基またはポリエチレンオキシ基を表す。
    Ra〜Rmは、各々独立して、水素原子、アルキル基、エステル基、カルボキシル基、水酸基を表す。
  7. 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解度が増大する樹脂(B)が、下記一般式(pI)〜(pV)で表される酸の作用により脱離する基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。
    一般式(pI)〜(pV)に於いて、
    11は、アルキル基を表す。
    Zは、炭素原子とともにシクロアルキル基を形成するのに必要な原子団を表す。
    12〜R14は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    15及びR16は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    17〜R21は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。また、R19、R21のいずれかは、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    22〜R25は、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。また、R23とR24は、互いに結合して環を形成していてもよい。
  8. 樹脂(B)が、更に、下記一般式(AI)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポジ型感光性組成物。

    一般式(AI)中、
    b0は、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を表す。
    bは、単結合、アルキレン基、単環または多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシル基、又はこれらを組み合わせた2価の基を表す。
    Vはラクトン構造を有する基を表す。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポジ型感光性組成物により膜を形成し、該膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
  10. 現像後に、加熱することによってパターンの線幅を収縮させるサーマルフロー工程を含むことを特徴とする請求項9に記載のパターン形成方法。
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