JP2009086052A - 帯電ローラの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】帯電ローラを感光体に従動回転させる構成の画像形成装置において、帯電ローラのスリップを防止する。
【解決手段】帯電ローラ61と帯電ローラ61に対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器92の放電電極94との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラ61の表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラ61の表面における水の接触角が感光体11の表面における水の接触角以下になるように設定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に備えられる帯電ローラの製造方法に関するものである。
複写機やレーザプリンタ等の画像形成装置に採用されている電子写真方式では、像担持体である感光体の表面を帯電装置にて帯電した後、露光装置にて露光して静電潜像を形成し、現像装置にて該静電潜像を現像してトナー像とする。そして、該トナー像を転写装置にて記録紙等の転写媒体に静電的に転写し、その後、記録紙上に転写されたトナー像を定着装置にて定着し、記録紙上に画像を形成する。
帯電装置としては、非接触帯電方式と接触帯電方式の2種類がある。非接触帯電方式では、いわゆるコロトロン帯電装置またはスコロトロン帯電装置などが用いられ、これらの帯電装置によってコロナ放電を発生させ、空気を媒介して感光体に電荷を供給する。このような非接触帯電方式では、帯電装置が感光体に接触しないため、感光体の汚染や磨耗を低減できるという利点があるが、その一方で、コロナ放電に伴ってオゾンなどの副生成物が発生するといった問題もある。
近年では、環境への配慮から、コロナ放電を用いない接触帯電方式の帯電装置が注目されている。接触帯電方式の帯電装置としては、例えば、電圧が印加されたローラ形状のゴム部材を感光体に当接させるものがあり、このゴム部材を含むローラは、一般に帯電ローラと呼ばれている。
ところが、接触帯電方式の帯電装置では、感光体と帯電部材とが直接接触しているので、感光体上の残留トナーや紙粉等の汚染物質が帯電部材に付着し、帯電不良を引き起こすという問題がある。
そこで、例えば特許文献1では、帯電ローラ(導電性ロール)表面における水の接触角を、感光体表面における水の接触角よりも大きく(疎水性を高く)することで、帯電ローラ表面への汚染物質の付着を防止する技術が提案されている。なお、水の接触角とは、図7に示すように、固体の面上に水滴の自由表面(気相との境界面)が接して平衡状態にあるとき、この接点で水滴表面が固体の表面となす角度(水滴を含む側の角度)のことである。
特開平6−175466号公報(1994年6月24日公開)
しかしながら、上記特許文献1の技術では、帯電ローラ表面における水の接触角を大きくすることによって、帯電ローラと感光体との間のグリップ力が低くなる。このため、帯電ローラを感光体に従動回転させる構成の場合、帯電ローラのスリップが生じてスリップに起因する黒筋状の画像欠陥が生じ易いという問題がある。
特に、プロセス速度が速い場合や感光体に潤滑剤を塗布している場合にはスリップが生じ易くなる。また、帯電ローラに対する印加電圧が直流電圧のみの場合には、スリップに起因する黒筋状の画像欠陥が顕在化しやすくなる。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、像担持体に従動回転するように画像形成装置に備えられる帯電ローラであって、像担持体に対してスリップが生じることを防止することのできる帯電ローラを提供することにある。
本発明の帯電ローラの製造方法は、上記の課題を解決するために、像担持体の表面に当接してこの像担持体を帯電させるための帯電ローラの製造方法であって、帯電ローラとこの帯電ローラに対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラの表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の上記帯電ローラの表面における水の接触角が上記像担持体の表面における水の接触角以下になるように設定することを特徴としている。
上記の方法によれば、コロナ放電処理時における帯電ローラとコロナ放電器との間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラの表面における水の接触角が像担持体の表面における水の接触角以下になるように設定する。後述する表1に示す実験結果から明らかなように、帯電ローラの表面における水の接触角が像担持体の表面における水の接触角以下である場合、像担持体と帯電ローラとの間のグリップ力が増大し、帯電ローラのスリップがほとんど生じない。したがって、上記の方法によれば、コロナ放電処理を施すことによって帯電ローラ表面の水の接触角を像担持体の表面における水の接触角よりも低減し、像担持体と帯電ローラとの間のグリップ力を向上させて帯電ローラのスリップを防止することができる。なお、コロナ放電処理による帯電ローラ表面の水の接触角の低減効果を向上させるためには、上記所定時間を長く設定すること、および帯電ローラとコロナ放電器との間に印加する電圧を大きくすることも考えられる。しかしながら、処理時間を長くしすぎると生産性が低下してしまう。また、印加電圧を大きくしすぎると、消費電力が増大するとともに、帯電ローラの表面に損傷を与えてしまう恐れがある。したがって、コロナ放電処理の処理時間を所定範囲内の時間に設定し、帯電ローラとコロナ放電器との間の印加電圧を所定範囲内の電圧に設定し、帯電ローラとコロナ放電器との間隔を調整することが好ましい。
また、上記所定の間隔を、コロナ放電処理を上記所定時間施した後の帯電ローラの表面における水の接触角の最大値と最小値との差が17°以下になるように設定してもよい。例えば、上記所定の間隔を2mm以上4.5mm以下に設定してもよい。
上記の構成によれば、像担持体と帯電ローラとの間のグリップ力を向上させて帯電ローラのスリップを防止するとともに、帯電ローラの表面における水の接触角の軸方向についてのばらつきに起因する帯電むらが生じることを防止できる。
また、本発明の他の帯電ローラの製造方法は、像担持体の表面に当接してこの像担持体を帯電させるための帯電ローラの製造方法であって、帯電ローラとこの帯電ローラに対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラの表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、上記所定の間隔を、コロナ放電処理後の帯電ローラの表面における水の接触角の最大値と最小値との差が17°以下になるように設定することを特徴としている。
上記の構成によれば、上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラの表面における水の接触角の最大値と最小値との差が17°以下になるように設定する。これにより、帯電ローラの表面における水の接触角の軸方向についてのばらつきが帯電ローラの帯電特性に影響を及ぼすことを防止し、帯電むらが生じたることを防止できる。
また、上記所定時間は、10分以内の時間であることが好ましい。これにより、コロナ放電処理を施す時間が長くなって生産性が低下すること、およびコロナ放電にかかる消費電力が増大してしまうことを防止できる。
また、上記放電工程において、上記帯電ローラをこの帯電ローラの周方向に沿って回転させながらコロナ放電処理を施し、上記所定の間隔を上記帯電ローラの周速度に応じて設定するようにしてもよい。
上記の方法によれば、帯電ローラを周方向に沿って回転させながらコロナ放電処理を施すことで、帯電ローラの周方向に沿って一様にコロナ放電を発生させ、帯電ローラ表面における水の接触角を均一化することができる。また、帯電ローラとコロナ放電器との間隔は、帯電ローラの周速度に応じて設定することにより、帯電ローラを回転させながらコロナ放電処理を施す場合であっても、コロナ放電処理を所定時間施した後の上記帯電ローラの表面における水の接触角を上記像担持体の表面における水の接触角以下にすること、および/または、コロナ放電処理後の帯電ローラの表面における軸方向についての水の接触角のばらつきが当該帯電ローラの帯電特性に影響を及ぼさない範囲内になるように設定することができる。
また、上記コロナ放電器として、鋸歯形状の放電電極を有するコロナ放電器を用いてもよい。上記の構成によれば、コロナ放電器を安価に製造できるので帯電ローラの製造コストを低減することができる。また、コロナ放電処理を効率よく行うことができる。
また、上記コロナ放電器として、上記帯電ローラの軸方向に対して略平行な方向に張架されたワイヤー形状の放電電極を有するコロナ放電器を用いてもよい。上記の構成によれば、帯電ローラの表面にコロナ放電処理のむらが生じることを防止できる。
また、上記コロナ放電器として、先端が上記帯電ローラの方向を向くように配置された針形状の放電電極を有するコロナ放電器を用いてもよい。上記の構成によれば、コロナ放電器を安価に製造できるので帯電ローラの製造コストを低減することができる。また、コロナ放電処理をより効率よく行うことができる。
以上のように、本発明の帯電ローラの製造方法は、帯電ローラとこの帯電ローラに対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラの表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の上記帯電ローラの表面における水の接触角が上記像担持体の表面における水の接触角以下になるように設定する。
それゆえ、コロナ放電処理を施すことによって帯電ローラ表面の水の接触角を像担持体の表面における水の接触角よりも低減し、像担持体と帯電ローラとの間のグリップ力を向上させて帯電ローラのスリップを防止することができる。
また、本発明の他の帯電ローラの製造方法は、帯電ローラとこの帯電ローラに対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラの表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラの表面における軸方向についての水の接触角のばらつきが当該帯電ローラの帯電特性に影響を及ぼさない範囲内になるように設定する。
それゆえ、帯電ローラの表面における水の接触角の軸方向についてのばらつきが帯電ローラの帯電特性に影響を及ぼすことを防止し、帯電むらが生じたることを防止できる。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態にかかる画像形成装置1の概略構成を示す説明図である。画像形成装置1は、電子写真方式のカラー画像形成装置であり、例えばネットワークを介して外部から送信されてくる画像データや画像読取装置(図示せず)によって読み取った画像データ等に基づいて、記録紙に対して多色または単色の画像を形成するものである。
図2に示すように、画像形成装置1は、可視像形成ユニット10、記録紙搬送手段30、定着装置40、供給トレイ20を備えている。
可視像形成ユニット10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色に対応して、4つの可視像形成ユニット10Y・10M・10C・10Bが並設されている。つまり、可視像形成ユニット10は4つの可視像形成ユニット10Y・10M・10C・10Bからなり、可視像形成ユニット10Yはイエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Mはマゼンダ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Cはシアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Bはブラック(B)のトナーを用いて画像形成を行う。具体的な配置としては、供給トレイ20から定着装置40へ記録紙を搬送する搬送路に沿って、4組の可視像形成ユニット10Y・10M・10C・10Bが配設されており、搬送される記録紙に各色のトナーを多重転写するようになっている。
図1は、可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bの構成を示す断面図である。この図に示すように、可視像形成ユニット10Y・10M・10C・10Bは、それぞれ実質的に同一の構成を有する。すなわち、それぞれに、感光体(感光体ドラム、像担持体)11、帯電装置12、レーザ光照射手段13、現像装置14、転写ローラ15、クリーナユニット16、潤滑剤塗布装置17が設けられている。
感光体11はドラム形状をなし、図示しない筐体に回転可能に軸支されている。感光体11は、アルミニウム合金などの支持体の表面に感光層を形成したものである。感光体11としては、従来から公知のものを用いることができる。ただし、本実施形態では、後述するように、感光体11の表層における水の接触角が、帯電装置12に備えられる帯電ローラ61の表層における水の接触角以上のものを用いる。具体的には、感光体11として表面における水の接触角が100°のものを用い、帯電ローラ61として表面における水の接触角が100°以下のものを用いた。なお、感光体11として、ドラム形状からなる感光体の代わりに、ベルト状の感光体を用いてもよい。また、本実施形態では、プロセス速度、すなわち画像形成時における感光体11の回転速度(感光体11表面の移動速度)を355mm/sとしている。
帯電装置12は、感光体11の表面を所定の電位に均一に帯電させるものであり、本実施形態ではローラ形状からなる帯電ローラを感光体11の表面に接触させて帯電させる構成の帯電装置を用いている。なお、帯電装置12の詳細については後述する。
レーザ光照射手段13は、帯電装置12によって帯電させた感光体11の表面を画像データに応じて露光し、感光体11の表面に静電潜像を形成するものである。現像装置14は、感光体11の表面に形成された静電潜像を、トナーによって現像してトナー像を形成するものである。転写ローラ15は、トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加されており、感光体11に形成されたトナー像を、記録紙搬送手段30によって搬送される記録紙に転写させるものである。
クリーナユニット16は、転写ローラ15による転写処理の後に、感光体11の表面に残留したトナーを除去・回収し、感光体11の表面を清掃するものである。図1に示すように、クリーナユニット16は、ブレード(クリーニングブレード)51、ブラシローラ52、潤滑剤57、付勢部材58を、ケース54の内部または周囲に備えている。
ブレード51は、感光体11の表面に残留するトナーを回収するためのものであり、感光体11の軸方向を長手方向とする長尺状のゴム部材によって形成されている。このブレード51は、一方の長辺がケース54に設けられた開口部における感光体11の回転方向下流側に取り付けられ、他方の長辺のエッジ(角)が感光体11の表面に接触するよう配置されている。
潤滑剤(固形潤滑剤)57は、ブラシローラ52によって感光体11の表面に塗布されるものであり、感光体11の長さと略同じ長さ(幅)を長手方向に有した直方体の形状となっている。この潤滑剤57は、バネ等からなる付勢部材58によってブラシローラ52側に付勢されており、潤滑剤57の残量にかかわらず、ブラシローラ52が確実に潤滑剤57を掻き取って感光体11できるようになっている。また、潤滑剤57は、残量が少なくなった場合には交換可能になっている。
潤滑剤57としては、例えば、金属石鹸として知られている脂肪酸金属塩またはフッ素樹脂などを用いることができる。脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛(ジンクステアレート)、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉄、パルチミン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルチミン酸カルシウム、オレイン酸マンガン、またはオレイン酸鉛等の、比較的長鎖の脂肪酸の金属塩を挙げることができる。
ブラシローラ52は、感光体11と略同じ長さ(幅)を有した筒型形状のブラシであり、感光体11の表面にブラシの毛の先が当たるように、感光体11と互いの軸が平行になるように配置されている。また、ブラシローラ52は、モーター、ギア等の駆動手段(図示せず)によって感光体11と逆方向に回転駆動される。これにより、ブラシローラ52は、感光体11との接触部よりもブラシの回転方向の上流側に配された潤滑剤57を掻き取り、掻き取った潤滑剤を感光体11の表面に供給する。なお、ブラシローラ52によって掻き取られた潤滑剤は微粒子となって感光体11の表面に供給される。
このように、感光体11の表面に潤滑剤57の微粒子を塗布することにより、ブレード51と感光体11表面との間の摩擦係数を低減させることができるとともに、感光体11表面へのトナーの付着力を弱くし、ブレード51によるトナーの除去を効率よく行うことができる。
上記の構成により、各可視像形成ユニットにおいて、帯電装置12によって感光体11の表面を帯電し、帯電した感光体11の表面をレーザ光照射手段13で露光して静電潜像を形成し、静電潜像を現像装置14によって現像し、現像したトナー像を転写ローラ15によって記録紙に転写する処理が行われる。また、転写後に感光体11の表面に残ったトナー像は、クリーナユニット16によって除去回収される。そして、このような、記録紙に対するトナー像の転写を、各色の可視像形成ユニットにおいて順次行うことで、記録紙に各色のトナー像を多重転写するようになっている。
記録紙搬送手段30は、駆動ローラ31、アイドリングローラ32、搬送ベルト33からなり、記録紙に各可視像形成ユニットによってトナー像が転写されるように、記録紙を搬送するものである。駆動ローラ31およびアイドリングローラ32は、無端状の搬送ベルト33を張架するものであり、駆動ローラ31が所定の周速度で回転駆動されることで、搬送ベルト33が回転するようになっている。また、搬送ベルト33は、外側表面は所定の電位に帯電しており、記録紙を静電吸着しながら搬送する。
記録紙搬送手段30によって搬送されて各可視像形成ユニットを通過し、トナー像(未定着トナー像)を転写された記録紙は、駆動ローラ31の曲率によって搬送ベルト33から剥離され、定着装置40に搬送される。定着装置40は、記録紙に適度な熱と圧力とを与えて、記録紙上に転写されたトナーを溶解させて記録紙に定着させ、記録紙を排紙トレイ(図示せず)に排出する。
次に、帯電装置12の構成について説明する。図1に示したように、帯電装置12は、帯電ローラ61およびクリーニング部材62を備えている。
帯電ローラ61は、感光体11の軸方向の長さと同程度の長さを有し、感光体11の表面に接触するように感光体11と互いの軸が平行になるように配置され、電源(図示せず)から供給される直流電圧により感光体11の表面を均一に帯電させるものである。また、帯電ローラ61は回転可能に軸支されており、感光体11に従動回転するようになっている。
図3は帯電ローラ61の斜視図である。この図に示すように、帯電ローラ61は、円柱状の芯金81と、その周面上に形成されたゴム層(弾性層)82とからなる。また、ゴム層82は、表面処理が施された処理領域83と、表面処理が施されていない非処理領域84とを含む。なお、処理領域83は帯電ローラ61の表層側、非処理領域84は芯金81側となっている。
芯金81は、直径8mmのステンレス製の丸棒である。ただし、芯金81はこれに限らず、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル等の他の導電性金属を棒状に成形したものを用いてもよい。この芯金81には、感光体11を帯電させるための直流電圧が印加される。
ゴム層82は、厚さ6.5mmのエピクロルヒドリンゴムからなる。なお、本実施形態では、芯金81の周囲にエピクロルヒドリンゴムからなる厚さ6.5mmのゴム層82を形成し、このゴム層82にイソシアネート化合物、アクリルフッ素系ポリマー、およびアクリルシリコーン系ポリマーを含有する表面処理液を吹き付けて含浸させ、その後加熱することによって、ゴム層82に表面処理を施したものを用いた。なお、表面処理液が含浸したゴム層82の表層側部分が処理領域83となり、表面処理液が含浸しなかったゴム層82の内側部分が非処理領域84となる。このため、処理領域83と非処理領域84とは、明確な境界を有しているわけではない。この表面処理により、イオン導電剤などがゴム層82から染み出して感光体11を汚染してしまうのを防止することができる。
さらに、本実施形態では、上記のように表面処理を施した帯電ローラ61に対して後述するコロナ放電処理を5分間施した。コロナ放電処理後の帯電ローラ61表面における水の接触角は87°である。
クリーニング部材62は、帯電ローラ61の表面に接触するように配置され、帯電ローラ61の表面に付着したトナー,紙粉,余分な潤滑剤などを除去するためのものである。クリーニング部材62としては、例えばフェルト、スポンジ、マイラーシート等を用いることができる。なお、クリーニング部材62の形状は特に限定されるものではなく、例えばローラ状、板状、シート状のものなどを用いることができる。
なお、クリーニング部材62の位置を、帯電ローラ61に対して当接する位置と、帯電ローラ61から離間した位置との間で切り替える離接機構(図示せず)を設けてもよい。この離接機構の構成は特に限定されるものではなく、例えば、クリーニング部材62を支持する支持部材をモーター等の駆動源から供給される駆動力によって回転させることでクリーニング部材62を移動させてもよく、クリーニング部材62あるいはその支持部材に偏心カム(図示せず)を当接させておきこの偏心カムの回転を制御することによって離接させてもよく、ソレノイド等からなるアクチュエータ(図示せず)を用いて離接させてもよい。このような離接機構を設けることで、クリーニングを必要としないときにはクリーニング部材62を帯電ローラ61から離間させ、必要に応じて当接させることができ、クリーニング部材62による帯電ローラ61の磨耗を抑制できる。
次に、帯電ローラ61に施したコロナ放電処理について説明する。図4は、帯電ローラ61にコロナ放電処理を施すための帯電ローラ製造装置90の構成を示す説明図である。
この図に示すように、帯電ローラ製造装置90は、絶縁ドラム91、コロナ放電器92、電源95を備えている。
絶縁ドラム91は、帯電ローラ61と略同程度の長さを有する円筒状のドラムであり、少なくとも表面が絶縁材料からなる。また、この絶縁ドラム91は、モーター,ギア等の駆動手段(図示せず)によって回転駆動される。また、帯電ローラ61は帯電ローラ製造装置90の筐体等に回転可能に軸支されるようになっており、絶縁ドラム91はこの帯電ローラ61と互いの軸方向(延伸方向)が平行となり、かつ互いの表面が当接するように備えられている。これにより、絶縁ドラム91を回転させることで、帯電ローラ61が絶縁ドラム91に従動回転するようになっている。
コロナ放電器92は、ケース93と、このケース93内に収容された放電電極94とを備えている。
ケース93は、帯電ローラ61と略平行な方向に延伸しており、この延伸方向に垂直な断面が帯電ローラ61側に開口部を有する略コの字型になっている。なお、本実施形態では、このケース93は、ステンレス材料からなる。
放電電極94は、電源95から電圧を印加され、帯電ローラ61との間でコロナ放電を生じさせるものである。本実施形態では、放電電極94として、ステンレス等の金属材料からなる帯電ローラ61と略同程度の長さを有する板の一端側を鋸歯状に加工したものを用い、この鋸歯状部分の先端が帯電ローラ61と対向するように配置した鋸歯電極を用いた。ただし、放電電極94はこれに限るものではなく、例えば、金属材料等からなる多数の針状部材を、各針状部材の先端が帯電ローラ61の方向を向くように帯電ローラ61の延伸方向に沿って所定の間隔で並べたものを用いてもよい。あるいは、帯電ローラ61と平行に配置されたワイヤーからなる放電電極94を用いてもよい。
電源95は、放電電極94に電圧を印加し、放電電極94と帯電ローラ61との間でコロナ放電を生じさせるためのものである。なお、放電電極94と帯電ローラとの間に制御電極(グリッド電極)を設けてもよい。
本実施形態では、帯電ローラ61表面の回転速度(周速)が24mm/sとなるように絶縁ドラム91の回転数を設定し、放電電極94における鋸歯状部分の先端と帯電ローラ61との間隔を4mmに設定した。そして、放電電極94に対して−4.5kVの電圧を印加することで、放電電極94から帯電ローラ61及びケース93にトータル−800μAのコロナ放電電流を流した。
図5は、コロナ放電処理の処理時間と帯電ローラ61表面の水の接触角との関係を示すグラフである。この図に示すように、帯電ローラ61の表面における水の接触角は、コロナ放電処理を行う前は約112°であったのに対して、処理時間の経過とともに低下し、処理開始から2分後に感光体11と同じ100°となり、さらに処理を継続すると感光体11よりも低くなった。本実施形態では、上記したように、コロナ放電処理を5分間行い、帯電ローラ61の表面における水の接触角を87°とした。
次に、帯電ローラ61の表面における水の接触角と、帯電ローラ61を感光体11に従動回転させるときに生じるスリップとの関係を調査するために行った実験の結果を説明する。
この実験では、感光体11として表面の水の接触角が100°のものを用いた。また、帯電ローラ61としては、ステンレスからなる直径8mmのシャフトの周囲にエピクロヒドリンゴムからなる厚さ6.5mmのゴム層を形成し、表面処理(表面処理液を吹き付けて含浸させ、その後加熱する処理)を施したものを用いた。なお、上記したコロナ放電処理の処理時間を変化させることで、帯電ローラ61の表面における水の接触角を変化させた。
表1は、帯電ローラの表面における水の接触角および画像形成装置1のプロセス速度(感光体11表面の移動速度)を変化させたときの、帯電ローラ61のスリップ率、および黒筋状の画像欠陥の発生状況を示している。ここで、スリップ率とは、感光体11表面の移動速度V11と帯電ローラ61表面の移動速度V61との差を、感光体11表面の移動速度V11で割った値、すなわち(V11−V61)/V11である。また、黒筋状の画像欠陥については、画像形成後の記録紙に生じる画像欠陥の程度を目視により5段階に評価した。◎は画像欠陥が全く発生しなかったもの、○は画像欠陥がごくわずかに発生したものの肉眼ではほとんど観察できない程度のもの、△は画像欠陥がわずかに見られるものの肉眼では気にならない程度のもの、×は画像欠陥が明確に現れたもの、××は画像欠陥が著しく顕著なものを示している。
Figure 2009086052
この表に示すように、帯電ローラの表面における水の接触角が112°の場合、プロセス速度が122mm/sのときにはスリップ率は0.5%であり、黒筋状の画像欠陥は肉眼では確認できない程度であった。ところが、プロセス速度を173mm/sにすると、スリップ率が0.8%に上昇し、黒筋状の画像欠陥がも肉眼で確認できる程度になった。そして、プロセス速度を280mm/sにすると、スリップ率が1.1%となり、黒筋状の画像欠陥が明確に発生した。さらに、プロセス速度を355mm/sにすると、スリップ率が1.8%となり、黒筋状の画像欠陥が著しく発生した。
一方、帯電ローラの表面における水の接触角を105°、100°、87°、79°とし、プロセス速度を355mm/sに設定した場合のスリップ率および画像欠陥を調べたところ、スリップ率はそれぞれ1%、0.5%、0.1%、0%となった。そして、画像欠陥については、帯電ローラ表面における水の接触角が100°以下のとき、すなわち帯電ローラ表面における水の接触角が感光体11表面における水の接触角以下である場合には、画像欠陥が全くないか、あるいは肉眼では確認できない程度であった。
この実験結果から、帯電ローラの表面における水の接触角を、感光体11の表面における水の接触角以下とすることで、帯電ローラと感光体11とのグリップ力を向上させ、スリップの発生を抑制できることがわかる。
そこで、本実施形態にかかる画像形成装置では、帯電ローラ61の表面における水の接触角を感光体11の表面における水の接触角以下にしている。これにより、帯電ローラ61と感光体11との間のグリップ力を高くすることができ、プロセス速度を増加させても帯電ローラ61のスリップが生じることを抑制できる。したがって、黒筋状の画像欠陥が生じることを防止できる。
また、画像形成時における帯電ローラに対する印加電圧が直流電圧のみである場合、帯電ローラのスリップに起因する黒筋状の画像欠陥が特に顕在化しやすくなるが、本実施形態にかかる画像形成装置1では帯電ローラ61のスリップの発生を防止できるので、画像形成時に帯電ローラに直流電圧を印加する構成であるにも関わらず、黒筋状の画像欠陥が顕在化することを防止できる。なお、本実施形態では、画像形成時に帯電ローラ61に直流電圧を印加する構成について説明したが、これに限らず、例えば直流電圧に交流電圧を重畳させてもよい。また、画像形成時以外に(例えば画像形成の前後に)、交流電圧を印加することで、帯電ローラに対してこの帯電ローラの表面に付着したトナー等の汚染物質と同極性の電圧を印加し、帯電ローラの静電クリーニングを行う構成としてもよい。
また、本実施形態では感光体11の表面に潤滑剤を塗布している。これにより、感光体11の表面エネルギーを低下させ、感光体11のクリーニングブレードによる磨耗や、感光体11表面へのトナー等の汚染物質の付着量を低減できる。また、感光体11の表面から帯電ローラ61の表面に潤滑剤が移行することによって帯電ローラ61の表面エネルギーが低下するので、帯電ローラ61の表面へのトナー等の汚染物質の付着量を低減できる。
なお、本実施形態では、感光体11の回転方向に沿って転写ローラ15と感光体11との対向部よりも下流側、かつクリーニングブレード51と感光体11との対向部よりも上流側の位置で潤滑剤を塗布しているが、潤滑剤を塗布する位置はこれに限るものではない。例えば、クリーニングブレード51を通過した後、帯電ローラ61に当接する前の感光体11表面に塗布してもよい。また、帯電ローラ61の表面に潤滑剤を塗布し、帯電ローラ61から感光体11に潤滑剤が移行するようにしてもよい。また、感光体11および/または帯電ローラ61の表面における複数の位置で潤滑剤を塗布してもよい。
また、帯電装置12に、帯電ローラ61の表面に付着した余分な潤滑剤および汚染物質を除去するためのクリーニング手段を設けてもよい。これにより、帯電ローラ61の表面に過剰な潤滑剤が付着して帯電ローラから感光体11への電流のリークが生じることを防止できる。また、帯電ローラ61の表面に付着した汚染物質を除去することで、汚染物質の付着に起因する帯電ムラが生じることを防止できる。
また、本実施形態では、ゴム層82としてエピクロルヒドリンゴムに表面処理を施したものを用いているが、ゴム層82の構成はこれに限るものではなく、帯電ローラ61を感光体11に対して均一に密着させるための適切な弾性と、感光体11の表面を一様に帯電させるための適切な電気抵抗とを有するものを用いてもよい。
例えば、弾性層82として、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のゴム材料、あるいは、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の弾性材料中に、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物等の電子電導機構を有する導電剤、アルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン電導機構を有する導電剤などを適宜添加したものなどを用いることができる。
また、これらの材料からなる弾性層82に対して表面処理を施したものを用いてもよい。表面処理液としては、イソシアネート化合物、アクリルフッ素系ポリマー、およびアクリルシリコーン系ポリマーを含有するものを用いることができ、さらに、必要に応じてカーボンブラックなどの導電剤を添加してもよい。上記のイソシアネート化合物としては、例えば、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4′−ジイソシアネート(TODI)および前記記載の多量体および変性体などが挙げられる。
また、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーには、所定の溶剤に可溶でイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものを用いることができる。具体的には、アクリルフッ素系ポリマーは、水酸基、アルキル基、又はカルボキシル基を有する溶剤可溶性のフッ素系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸フッ化アルキルのブロックコポリマーやその誘導体等が挙げられる。また、アクリルシリコーン系ポリマーは、溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸シロキサンエステルのブロックコポリマーやその誘導体等が挙げられる。なお、必ずしも表面処理を行う必要はなく、表面処理を施していない材料からなる弾性層82を用いてもよい。
また、弾性層82の表層に、抵抗層をさらに設けてもよい。抵抗層としては、例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等、あるいはこれらの混合材料、または共重合体からなる材料に、電子電導機構を有する導電剤(例えば、導電性カーボン、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)、イオン電導機構を有する導電剤(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等)を適宜添加したものなどを用いることができる。ただし、抵抗層を形成する場合には、抵抗層の表面(帯電ローラ61の表面)における水の接触角が感光体11表面の水の接触角以上である材質を用いる場合、水の接触角を感光体11表面の水の接触角以下にするための処理(例えばコロナ放電処理)を施す必要がある。
図6は、コロナ放電器(放電電極94)と帯電ローラ61との間隔を変化させたときの、コロナ放電処理の処理時間と帯電ローラ61表面の水の接触角との関係を調べた実験結果を示すグラフである。なお、この実験では、放電電極94としてステンレス製の鋸歯電極を用いた。また、放電電極94と帯電ローラ61との間の電位差を−4.5kV(印加電圧4.5kV)とすることで、放電電極94から帯電ローラ61及びケース93にトータル−800μAのコロナ放電電流を流した。また、帯電ローラ61として、直径10mmのステンレス製丸棒に6.5mmのエピクロルヒドリンゴムを被覆し、表面処理液に含浸させた後加熱したものを用いた。また、コロナ放電器92および帯電ローラを気温20℃、湿度50%の大気中に配置してコロナ放電を生じさせた。また、コロナ放電処理中、帯電ローラ61を周速度24mm/sで回転させた。
この図に示すように、コロナ放電器92(放電電極94の先端)と帯電ローラ61との間隔を広くすると、水の接触角が低下しにくくなり、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を狭くすると、水の接触角が低下しやすくなる。また、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔をある一定以上に長くすると水の接触角がほとんど低下しなくなる。
したがって、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔は、所定時間経過後(例えば10分以内に設定される所定時間経過後)の帯電ローラ61表面における水の接触角が感光体11の水の接触角以下に低下するように設定することが好ましい。つまり、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を、所定時間経過後の帯電ローラ61表面における水の接触角が感光体11の水の接触角と一致する間隔よりも狭くすることが好ましい。
例えば、上記所定時間を10分間にする場合、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を4.5mm以下に設定することが好ましい。これにより、コロナ放電処理を所定時間(10分間)施した後の帯電ローラ表面の水の接触角を感光体11の水の接触角(100°)以下にすることができる。
次に、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を変化させたときの、帯電ローラ表面における水の接触角の軸方向についてのばらつきに関する実験結果を説明する。表2はこの実験の結果を示す表である。なお、実験条件は図6の実験と同様である。
Figure 2009086052
この表に示すように、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔が1mmのとき、水の接触角の軸方向についてのばらつき(水の接触角の最大値と最小値との差)は34°となり、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔が3mmのとき、水の接触角の軸方向についてのばらつきは4°であった。また、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を2mmにした場合には、水の接触角の軸方向についてのばらつきは17°となった。なお、水の接触角の軸方向についてのばらつきが17°よりも大きいと、帯電ローラに生じたコロナ放電むらが視認され、帯電安定性も悪くなった(軸方向に帯電むらが生じた)。一方、水の接触角の軸方向についてのばらつきが17°以下の場合には、コロナ放電むらは視認されず、帯電特性が低下したり不安定になったりすることもなかった。したがって、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔は、コロナ放電処理後の帯電ローラ61の表面における軸方向についての水の接触角のばらつきが帯電ローラ61の帯電特性に影響を及ぼさない範囲内に設定することが好ましい。具体的には、水の接触角の軸方向についてのばらつきが17°以下になるようにコロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を設定することで、コロナ放電むらが帯電ローラ61の帯電特性に影響を及ぼすこと(コロナ放電むらによって帯電ローラ1の帯電特性が低下したり不安定になったりすること)を防止できる。
なお、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔が狭い場合に水の接触角の軸方向についてのばらつきが大きくなる理由は、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔が広い場合には帯電ローラ61の表面に対して軸方向に略均等にコロナ照射されるが、間隔が狭い場合にはコロナ処理されている部分とされていない部分が生じるためであると考えられる。
次に、コロナ放電器と帯電ローラ61との間に印加する電圧を3.7kV(電位差−3.7kV)に固定し、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔を変化させてコロナ放電処理を10分間施したときの、帯電ローラ表面のコロナ放電むらについて調べる実験を行った。表3はこの実験結果を示す表である。
Figure 2009086052
この表に示すように、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔が1mmの場合、帯電ローラの表面に筋状のコロナ放電むらが視認された。一方、コロナ放電器92と帯電ローラ61との間隔が2mmの場合にはコロナ放電むらは視認されなかった。
このことから、帯電ローラの表面にコロナ放電むらを生じさせないためには、コロナ放電器92との間の印加電圧V1〔V〕、および帯電ローラ61とコロナ放電器92との間隔をA〔mm〕を、|−1850×A|>V1>|−1000×A|の関係を満たすように設定すればいいことがわかる。
次に、コロナ放電器と帯電ローラ61との間に印加する電圧と帯電ローラ61表面の水の接触角との関係を調べた実験結果について説明する。
図8は、コロナ放電器(放電電極94)と帯電ローラ61との間隔を4mmとし、コロナ放電器と帯電ローラ61との間に印加する電圧(コロナ放電器と帯電ローラ61との間の電位差)を変化させたときの、コロナ放電処理の処理時間と帯電ローラ61表面の水の接触角との関係を調べた実験結果を示すグラフである。なお、コロナ放電器と帯電ローラ61との間隔を固定し、コロナ放電器と帯電ローラ61との間に印加する電圧を変化させた点以外は、図6と同様の実験条件とした。
この図に示すように、印加電圧が小さいほど水の接触角が低下しにくくなり、印加電圧(電位差の絶対値)が3.0kVよりも小さくなるとコロナ放電処理を10分以上行っても帯電ローラ61表面における水の接触角が感光体11の水の接触角以下に低下しなかった。
したがって、コロナ放電器と帯電ローラ61との間に印加する印加電圧は、所定時間経過後(例えば10分以内に設定される所定時間経過後)の帯電ローラ61表面における水の接触角が感光体11の水の接触角以下に低下するように設定することが好ましい。例えば、上記所定時間を10分間にし、コロナ放電器と帯電ローラ61との間隔を4mmとする場合、印加電圧を3.0kV以上に設定することが好ましい。これにより、コロナ放電処理を所定時間(10分間)施した後の帯電ローラ表面の水の接触角を感光体11の水の接触角(100°)以下にすることができる。
以上のように、本実施形態では、帯電ローラ61の表面に対してコロナ放電処理を行う。また、コロナ放電処理を行う際の帯電ローラ61とコロナ放電器92(放電電極94の先端)との間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラの表面における水の接触角が感光体11の表面における水の接触角以下になるように設定する。これにより、帯電ローラ61の表面における水の接触角を、感光体11の表面における水の接触角よりも確実に低くすることができ、感光体11と帯電ローラ61との間のグリップ力を向上させて帯電ローラ61のスリップを防止することができる。
また、本実施形態では、コロナ放電処理を行う際の帯電ローラ61とコロナ放電器92との間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラ61の表面における水の接触角の軸方向についてのばらつきが帯電ローラ61の帯電特性に実質的に影響を及ぼさない範囲内(帯電むらが視認されない範囲内)になるように設定する。これにより、帯電ローラ61の表面における軸方向についての処理むらを低減し、接触角のばらつきが生じることを防止できる。
また、本実施形態では、帯電ローラ61を回転させながらコロナ放電処理を行う。これにより、帯電ローラ61の周方向に沿って一様にコロナ放電を発生させ、簡単な構成で、効率よく、帯電ローラ61表面における水の接触角を均一化することができる。なお、帯電ローラ61の回転速度は特に限定されるものではないが、帯電ローラ61の表面に対して均一かつ安定してコロナ放電処理を行うためには、5mm/s以上350mm/s以下であることが好ましい。
なお、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラ61の表面における水の接触角を感光体11の表面における水の接触角以下にするための帯電ローラ61とコロナ放電器92との間隔、およびコロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラ61の表面における水の接触角の軸方向についてのばらつきを所定範囲内にするための帯電ローラ61とコロナ放電器92との間隔は、コロナ放電処理時の帯電ローラ61の周速度によって変化する。したがって、帯電ローラ61とコロナ放電器92との間隔は、帯電ローラ61の周速度に応じて上記各条件を満たすように設定することが好ましい。
また、コロナ放電処理時における帯電ローラ61とコロナ放電器92との間の印加電圧が小さすぎると帯電ローラ61表面の水の接触角を適切に低下させることが困難になる。また、印加電圧が大きすぎると帯電ローラ61の表面にコロナ放電むらが生じてしまう。このため、コロナ放電処理時における帯電ローラ61とコロナ放電器92との間の印加電圧は、帯電ローラ61表面の水の接触角を適切に低減でき、かつ帯電ローラ61の表面にコロナ放電むらが生じない範囲に設定することが好ましい。具体的には、コロナ放電処理時における帯電ローラ61とコロナ放電器92との間の印加電圧をV1〔V〕、帯電ローラ61とコロナ放電器92との間隔をA〔mm〕としたときに、|−1850×A|>V1>|−1000×A|の関係を満たすように印加電圧を設定することが好ましい。
なお、本実施形態では、コロナ放電器92の放電電極94として鋸歯形状の電極を用いている。鋸歯形状の放電電極は容易かつ安価に製造できる。したがって、鋸歯形状の放電電極を用いることにより、帯電ローラの製造コストを低減できる。また、鋸歯形状の放電電極は、先端が尖っているので放電が生じやすい。したがって、低い印加電圧で効率的にコロナ放電処理を行うことができる。また、鋸歯形状の放電電極は、放電によって生じるオゾン量が少ないという利点もある。また、針状電極を用いる場合よりも電極の耐久性を高めることができる。
ただし、放電電極の形状はこれに限るものではない。例えば、先端が帯電ローラの方向に向くように配置された多数の針状電極を放電電極として用いてもよい。針状電極を用いる場合、鋸歯形状の放電電極を用いる場合よりもさらに低い印加電圧で効率的にコロナ放電処理を行うことができ、オゾン量がさらに低減できるという利点もある。
また、帯電ローラの軸方向に対して略平行な方向に張架されたワイヤー形状の放電電極を用いてもよい。この場合、帯電ローラの軸方向に対して略一様に放電を生じさせることができるので、帯電ローラの表面にコロナ処理のむらが生じることを防止できる。また、ワイヤー形状の放電電極は、針状や鋸歯形状の放電電極よりも容易かつ安価に製造できるので、帯電ローラの製造コストを針状や鋸歯形状の放電電極を用いる場合よりもさらに低減できる。また、また、針状電極や鋸歯形状の電極を用いる場合よりも電極の耐久性をさらに高めることができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、電子写真方式の画像形成装置に備えられる帯電ローラ、この帯電ローラの製造方法および製造装置に適用できる。
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置に備えられる可視像形成ユニットの構成を示す断面図である。 本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかる画像形成装置に備えられる帯電ローラの斜視図である。 本発明の一実施形態における帯電ローラ製造装置の構成を示す説明図である。 図4の帯電ローラ製造装置を用いた場合のコロナ放電処理の処理時間と帯電ローラ表面の水の接触角との関係を示すグラフである。 図4の帯電ローラ製造装置を用い、コロナ放電器と帯電ローラの距離を変えた場合のコロナ放電処理の処理時間と帯電ローラ表面の水の接触角との関係を示すグラフである。 水の接触角を説明するための説明図である。 図4の帯電ローラ製造装置を用い、コロナ放電器と帯電ローラとの間に印加する電圧を変えた場合のコロナ放電処理の処理時間と帯電ローラ表面の水の接触角との関係を示すグラフである。
符号の説明
11 感光体(像担持体)
12 帯電装置
17 潤滑剤塗布装置(塗布手段)
52 ブラシローラ(塗布手段)
57 潤滑剤
61 帯電ローラ
62 クリーニング部材
81 芯金
82 ゴム層(弾性層)
90 帯電ローラ製造装置
91 絶縁ドラム(放電手段、放電電極)
92 コロナ放電器(放電手段)
93 ケース(筐体)
94 放電電極
95 電源
100 帯電ローラ製造装置
101 ケーシング(遮蔽部材)
101a 蓋部(遮蔽部材)
102 蓋回転軸
103 オゾン排出口
104 回転ローラ(ローラ部材、回転手段)
110 帯電ローラ製造装置
111 スプロケット(保持手段、搬送手段、支持部材)
112 チェーン(保持手段、無端部材)
112a リンク部
112b ローラ部(保持手段、規制部材)
113 高摩擦部材(当接部材、回転手段)

Claims (9)

  1. 像担持体の表面に当接してこの像担持体を帯電させるための帯電ローラの製造方法であって、
    帯電ローラとこの帯電ローラに対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラの表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、
    上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の上記帯電ローラの表面における水の接触角が上記像担持体の表面における水の接触角以下になるように設定することを特徴とする帯電ローラの製造方法。
  2. 上記所定の間隔を、コロナ放電処理を上記所定時間施した後の帯電ローラの表面における水の接触角の最大値と最小値との差が17°以下になるように設定することを特徴とする請求項1に記載の帯電ローラの製造方法。
  3. 上記所定の間隔が2mm以上4.5mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の帯電ローラの製造方法。
  4. 像担持体の表面に当接してこの像担持体を帯電させるための帯電ローラの製造方法であって、
    帯電ローラとこの帯電ローラに対して所定の間隔を隔てて対向配置されたコロナ放電器との間でコロナ放電を生じさせて帯電ローラの表面にコロナ放電処理を施す放電工程を含み、
    上記所定の間隔を、コロナ放電処理を所定時間施した後の帯電ローラの表面における水の接触角の最大値と最小値との差が17°以下になるように設定することを特徴とする帯電ローラの製造方法。
  5. 上記所定時間は10分以内の時間であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電ローラの製造方法。
  6. 上記放電工程において、上記帯電ローラをこの帯電ローラの周方向に沿って回転させながらコロナ放電処理を施し、上記所定の間隔を上記帯電ローラの周速度に応じて設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の帯電ローラの製造方法。
  7. 上記コロナ放電器として、鋸歯形状の放電電極を有するコロナ放電器を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の帯電ローラの製造方法。
  8. 上記コロナ放電器として、上記帯電ローラの軸方向に対して略平行な方向に張架されたワイヤー形状の放電電極を有するコロナ放電器を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の帯電ローラの製造方法。
  9. 上記コロナ放電器として、先端が上記帯電ローラの方向を向くように配置された針形状の放電電極を有するコロナ放電器を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の帯電ローラの製造方法。
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