JP2009085777A - 振動子チップ、検出センサ - Google Patents

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舜夫 昆野
Takeshi Ikehara
毅 池原
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貴之 高野
Takashi Mihara
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Abstract

【課題】構造材料の特性に起因した損失が生じにくい振動子チップ、検出センサを提供することを目的とする。
【解決手段】SOI基板を用い、その表面に形成する構造・配線層、振動子20を、SOI基板の高濃度Si層72によって形成した。さらに、高濃度Si層72上にメタルからなる導電体層73を形成し、この導電体層73に、検出電極30a、駆動電極40aと入出力電極30c、40cとを結ぶ信号配線を形成する配線導体57と、接地導体とを形成した。このような配線構造により、配線導体57と接地導体との間に一定の抵抗率を有する層が存在せず、高周波領域になっても信号配線による損失の増加が少なく、さらに信号の入出力間にできてしまう寄生結合容量を大きく減らすことが可能で、高性能な平面機械型の振動子20を有した振動子チップ100Bを提供できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、質量を有した物質の有無の検出、物質の質量の検出等を行うために用いるのに適した振動子チップ、検出センサに関する。
マイクロマシン/MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術などの微細加工技術の進展により、機械的な振動子を極めて小さく作ることが可能となっている。これにより振動子そのものの質量を小さく作ることが可能になったことから、分子レベルの極微小な物質(例えば分子やウイルス等)の付着による質量変化によっても、周波数やインピーダンス特性の変動が生ずるほどに高感度な振動子が実現しつつある。このような高感度な振動子を用いれば、極微小な物質の存在や量を検出できるセンサ等を構成することが可能となる。
機械的振動子の周波数変化等によって物質の量を検出する装置は、QCM(Quarts Crystal Micro balance: 水晶天秤)センサとして良く知られている。これは、水晶振動子に物質が付着すると、付着したその質量に応じて振動周波数が変動する(下がる)性質を利用したもので、微小な質量を計測する質量センサとして優れた性能を有しており、さらに膜厚計(蒸着モニタ)としてもよく用いられている。
このような振動子は、その大きさが大幅に小さくなったことにより、振動子の周波数がGHzレベルにまで高くなり、しかもSiを材料とすることができるため、半導体回路との一体化を目指した研究に発展しつつある。
また携帯電話などのパーソナル無線通信機等に盛んに用いられる高周波濾波器は、主に電気的共振器の小型化高性能化を図った誘電体共振器、音波の特性を利用した表面波濾波器(SAW Filter)、および水晶振動子の機械振動特性を用いた水晶濾波器(Quarts Crystal Filter)等があり、それぞれの特性を生かして携帯電話の高周波部などに広く用いられている。しかし、無線装置の更なる小型化や高周波数化などの高性能化と共に低価格化への要求も強いことから、これら従来の濾波器に変わり、半導体集積回路と一体化、すなわちOne-chip化による小型・低価格化が可能な新方式の高周波濾波器が求められている。MEMS加工技術で作成する機械振動子は、材料が半導体と同じSiを用いているため、その有力な候補である。そこで、MEMS振動子の高周波数化、高Q値(High Quality Factor)化等を目的とする基礎的な研究、このMEMS振動子を用いた高周波濾波器や発信器等への応用研究も盛んになってきた(例えば、非特許文献1参照。)。
このような振動子の一種として、ディスク状の振動子がある。ディスク状の振動子の機械的振動に関する基礎的研究は、古くから行われてきており、ディスク状の振動子の振動状態を規定する振動姿態(振動モード)等の基礎的研究は既に終了したと言っても良い。
C. T.-C. Nguyen, "Vibrating RF MEMS Technology : Fuel for an Integrated Microchemical Circuit Revolution?." The 13th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers `05), Korea, June 5-9, 2005 特開2006−329931号公報 特開2007−187485号公報
しかし、上記したような、微小質量の付着によって振動特性が変化する振動子を用いたセンサや濾波器においては、さらなる高感度化、小型化、低価格化が常に求められている。そこで、ディスク状の振動子のMEMS化に伴う研究課題として、高感度化のためのQ値の向上、振動子の駆動・検出法、濾波器への応用を目的として振動子の組み合わせによる特性制御等があり、これらについては継続的に鋭意研究が行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、振動子の高感度化という観点から、振動子を駆動するための配線構造に改善の余地があることを見出した。
前述したように、MEMS化した振動子デバイスは、Siを材料としている。MEMSデバイスの適用周波数が高くなると、当然のことながら、デバイス材料に多用されているSOI基板の高周波損失特性やMEMS振動子の高周波対応構造が非常に重要になってくるのである。
一般に、半導体材料であるSiは導電特性を持つため、いわゆる誘電体材料に比べて損失を表す誘電正接tanδが非常に大きな値になる。すなわち導体や誘電体および磁性体の特性を決める材料定数である誘電率ε、導電率σや透磁率μはMaxwell’s equationでは以下のように関係付けられている。
Figure 2009085777
すなわち透磁率μの磁性体に磁界Hがあると、その周りに電界Eが存在し、導電率σ、誘電率εの材料に電界Eがあると、その周りに磁界Hが存在することを表している。ここで材料が誘電体材料として見ると式(1)の第2項は次式のように変形して考えることができる。
Figure 2009085777
ここにtanδは誘電正接であり、次式の通りである。
Figure 2009085777
このときこの誘電体による減衰定数αは式(1)の第1項の磁界Hの係数と式(2)の電界Eの係数を掛け算したものの平方根の実数部であり、次式の様になる。
Figure 2009085777
すなわち、導電率を持つ誘電体は、周波数が高くなるに従い材料内での損失が増加する。従ってMEMSの構造材料と言えども高周波数化に当たっては材料特性の選択や、材料損失が生じにくいMEMS構造が重要になってくる。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、構造材料の特性に起因した損失が生じにくい振動子チップ、検出センサを提供することを目的とする。
上記したような解決すべくなされた本発明の振動子チップは、ディスク状の振動子と、振動子に対して間隙を隔てて設けられ、静電結合により振動子に電圧を加えて振動子を駆動する駆動電極と、振動子に対して間隙を隔てて設けられ、静電結合により振動子の振動による電圧の変化を検出する検出電極と、が基板に形成され、基板において、駆動電極および検出電極の信号配線が形成される層に、接地導体が形成されていることを特徴とする。
ここで、駆動電極および駆動電極の信号配線と、検出電極および検出電極の信号配線との間に、接地導体が配置されているのが好ましい。
また、接地導体は、振動子、駆動電極、検出電極、信号配線を囲むように形成されたものとすることができる。
振動子の電気的ポテンシャルを、接地導体と同一とするのも有効である。
このような振動子チップは、いかなる目的、用途に用いることもできる。
本発明は、質量を有した物質の付着または吸着により振動特性が変化するディスク状の振動子と、振動子を振動させる駆動電極と、振動子における振動の変化を検出することで、物質を検出する検出電極と、が基板に形成され、基板において、駆動電極および検出電極の信号配線が形成される層に、接地導体が形成されていることを特徴とする検出センサとすることもできる。
ここで、振動子は、その表面に物質が付着するようにする。また、この検出センサは、振動子に付着した物質の量を検出することができる。
物質を付着または吸着させるには、例えば、振動子の表面に、分子の吸着を効率よく行えるような吸着材料を付加しても良い。これには、グローバルな認識材と、選択認識材がある。グローバルな認識材は、選択性は強くないが、ある特定の分子群、例えばアルコールやエーテル等を吸着するポリマーである。これらのポリマーをナノファイバー化したり、またポーラスにして表面積を増やすことも有効である。また選択性の強い認識材としては、抗原−抗体反応を起こすような生物由来の材料や、アクセプター−レセプターの組み合わせや、遺伝子やDNA、RNAとハイブリダイゼーションする特定の塩基配列を持ったプローブ等がある。また、脂質二重膜でも良い。
このような検出センサにおいては、検出対象となる物質を特定の分子、あるいは特定の特性または特徴を有する複数種の分子とすることができる。これにより、例えば、ガス検出センサ、匂いセンサ等に本検出センサを用いることができる。これには、特定の分子としてガスや生体由来の分子、生活空間の浮遊分子、揮発性分子等を対象とする場合、特定種の分子のみを高い選択性を持って検出するのが望ましい。また、このように選択性の高い検出センサを複数用い、複数種の分子を認識したり、用途の応用範囲を広げることができる。また、グローバル認識と称される、特定の特徴を持った分子群や、同じ側鎖を持つ分子群等を検出することもできる。この場合、検出センサを複数用い、これら複数の検出センサ間における検出能の差から、信号処理やソフトフェアを用いた処理等によって分子群の認識を行うようにしても良い。また、液中で動作するように構成を変更して、特定のたんぱく質や酵素、糖鎖等を検出しても良い。
微小質量の検出は、薄膜形成の際の膜厚モニタ、抗体抗原反応や蛋白質吸着作用などのバイオ研究にも用いることができる。本発明の検出センサは、このような用途に好適である。
また、小型で安定な高感度な家庭用や個人用のガスセンサや、携帯性に優れる使い捨て型で空気中などに浮遊する有害物質の検出等の用途にも、本発明の検出センサや振動子を用いることも考えられる。更に高感度化が進めばその応用範囲はさらに広がり、「におい」の検出識別が可能となるまで発展することが可能であり、さらにこれ以外の用途に対しても、本発明の検出センサの利用を妨げるものではない。
しかも本発明の検出センサは、いわゆるSi単結晶を構造材料として用いることで、MEMS技術により製造することができることから、Si半導体と同一チップ内への作り込むことも可能となる。その場合、極めて安価でしかも高性能な微小物質の検出装置とすることができる。
本発明によれば、駆動電極および検出電極の信号配線が形成される層に、接地導体が形成される配線構造により、信号配線と接地導体との間に一定の抵抗率を有する層が存在せず、高周波領域になっても信号配線による損失の増加が少なく、さらに信号の入出力間にできてしまう寄生結合容量を大きく減らすことが可能で、高性能な平面機械型の振動子を有した振動子チップが提供できることになる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるセンサ(検出センサ)10の基本的な構成を説明するための図である。
この図1に示すセンサ10は、ディスク状で、全体として円形、矩形、あるいは適宜他の形状を有し、質量を有した分子等の検出対象物が付着すると振動周波数が変化するディスク型の振動子(振動子)20を備えた振動子チップ100と、振動子20における振動特性の変化を検出する検出部30と、振動子20を振動させるための駆動部40と、を備えている。
本実施の形態における振動子20は、例えばSiによって形成され、外周部の所定位置が支持部20aによって支持固定された状態で、残る外周部が自由端となるように支持されている。
駆動部40は、外部の図示しないコントローラで発生する電流によって、駆動電極40a、40bと振動子20との間に生じる静電効果を用い、振動子20を振動させる。
検出部30は、検出電極30a、30bと振動子20との間に生じる静電効果により、駆動部40によって駆動された振動子20における振動を検出し、電気信号として出力するようになっている。このとき、振動子20に質量を有した物質が付着すると、その質量の影響を受けて振動子20の振動数が変化する。検出部30では、検出部30から出力される電気的な振動をモニタリングすることで、振動子20への物質の付着の有無、あるいは振動子20への物質の付着量を検出することが可能となっている。
このような、静電電気−機械変換を用いたデバイス構成においては、Vp(Polarization Voltage)が必要であるが、この例では支持部20aを介し、振動子20にこれを印加している。
この例のような静電駆動型では、検出電極30a、30b、駆動電極40a、40bと振動子20の間にできる静電容量は、駆動インピーダンスを下げて駆動効率を上げるために少しでも大きな値が必要で、このために非常に狭い間隙が求められ、100nm前後の間隙で作成されている。
ここで、前述の特許文献1に記載した本発明者らが提供した技術(以下、これを従来型と称することがある)においては、上記したようなセンサ10を実現するために、振動子チップ100を、以下に示すような基板構成としている。
図2に示すように、従来型の振動子チップ100Aは、全体の基板としてSiサブストレート51を用い、その表面に不純物Nを注入(ドーピング)してドーピング層52を形成することで高導電率化を図り、これらを接地層(Ground Plane)53としている。接地層53上に誘電体層(Isolation Oxide)54を積層し、誘電体層54上に、高周波信号配線やVp用の構造・配線層55を形成し、さらにその上にポリシリコンを用いて振動子20や検出電極30a、30b、駆動電極40a、40bを形成する構造としている。
またこの接地層53をパッケージや配線基板の接地であるメタル電極56の上にダイボンディングし、振動子20を実装することになる。このような実装構造は、図3(a)に示すような、検出電極30a、30b、駆動電極40a、40bへの入出力のための高周波信号の伝送配線を構成する配線導体(信号配線)57を備えた伝送配線構造として考えることができる。
ここでは伝送配線としての構造を表すために実装したことを想定して、接地層53であるシリコン基板の下にメタル電極56を設けた。このような場合の伝送特性については、文献(1)のFig.3(2)のDielectric quasi−TEM Modeがこれに該当し、等価回路であらわすと図3(b)の通りであると言われている(文献(1):H. Hasegawa M. Furukawa and H. Yanai, “Properties of Microstrip Line on Si-Sio2 System,” IEEE Trans, Microwave Theory Tech., vol.MTT-19, no. 11 pp. 869-881, 1971年)。
ここに、Rは伝送配線を構成する配線導体(Line Metal)57の抵抗値、Lは配線導体57の等価インダクタンス、Cssは配線導体57と誘電体層54とで形成される容量、Csubは配線導体57と接地層53で形成される容量である。
すなわち伝送配線の標準的な等価回路に、損失のある誘電体層(ここでは最下層の接地層53となるSiサブストレート51)のコンダクタンス成分と、誘電体層54からなる伝送配線と考えることができるとされている。
ここで図3(a)の高周波配線構造を伝送配線と考え、寸法などの代表的な値として、
配線導体57:配線幅W=30μm、厚さt=0.6μm、導電率σ =3×10S/m
誘電体層54:比誘電率ε=3.9、厚さh=1μm、比抵抗ρ=∞
接地層53:比誘電率ε=11.9、厚さh=400μm、比抵抗ρ=1,10,100および1000Ωcm,
接地導体(メタル電極56):配線幅Wg>>W,厚さt=0.6μm,導電率σ=3×10S/m
とした場合の伝送損を文献(1)に従い計算した。なお接地層53のコンダクタンスGsubは次式で表せることが文献(2)で示されており、コンダクタンスGsubの計算はこれに従った(文献(2):T. Shibata and E. Sano, “Characterization of MIS Structure Coplanar Transmission Lines for Investigation of Signal Propagation in Integrated Circuits,” IEEE Trans, Microwave Theory Tech., vol.MTT-38, no. 7, pp.881-890, 1990年)。
Figure 2009085777
このようにして求めた従来型の高周波配線構造の伝送損を図3(c)に示す。高周波信号は配線導体57とメタル電極56によって形成される信号配線を通じて伝わるが、配線導体57とメタル電極56の間に一定の抵抗率を有する接地層53を形成するSiサブストレート51が存在し、しかもその厚さhsは400μmと、配線導体57の厚さtや誘電体層54の厚hに比べて非常に厚い。このため、大きな静電エネルギがそこに存在し、その静電エネルギに比例して伝送損が発生する。
そこで、本実施の形態においては、振動子チップ100に、図4に示すような配線構造を採用した。
図4に示すように、本実施の形態における振動子チップ100Bの概略構成を示す。この振動子チップ100Bの基本的な構成は、図1に示したのと同様である。図4の例においては、(3,1)モードで振動させる場合の振動子20を例に挙げているため、振動子20に開口部が形成され、この振動子20を支持部20aにより6箇所で支持しているが、用いる振動モードに応じ、振動子20の形状、支持位置、支持箇所数等は適宜変更すればよい。
本実施の形態における振動子チップ100Bは、図2に示した構成と同様に、全体の基板としてSiサブストレート51を用い、その表面に不純物Nを注入(ドーピング)してドーピング層52を形成することで高導電率化を図り、これらを接地層(Ground Plane)53としている。接地層53上に誘電体層(Isolation Oxide)54を積層し、誘電体層54上に、高周波信号配線やVp用の構造・配線層55を形成し、さらにその上にポリシリコンを用いて振動子20や検出電極30a、30b、駆動電極40a、40bを形成する構造としている。
図4に示すように、この例では振動子チップ100Bの構造材料としてSOI基板を用い、その表面に形成する構造・配線層55、振動子20を、SOI基板の高濃度Si層(活性層)72によって形成した。さらに、高濃度Si層72上にメタルからなる導電体層73を形成し、この導電体層73に、検出電極30a、駆動電極40aと入出力電極30c、40cとを結ぶ信号配線を形成する配線導体57と、接地導体60とをパターニングにより形成した。
ここで、接地導体60は、配線導体57および振動子20の周囲を囲うように形成した。また、振動子20は、支持部20aを介して接地導体60に接続されるようにした。このため、振動子20は、周囲の接地導体60と同様に接地とみなすことができる。したがって、振動子20自体も、2つの配線導体57の結合容量を下げることに役立つ構造になっている。なお、ポラリゼーションボルテージVpは入出力電極30c、40cに高周波信号と重畳して供給している。
また、この構造では信号配線と接地配線がすべて同一の層にあるため、いわゆるスルーホールが基本的に不必要であり製造プロセスの簡素化を図ることも可能である。
上記したような振動子チップ100Bの構成は、図5(a)に示すように模式化することができる。
すなわち、図5(a)に示すように、振動子チップ100Bを模式化すると、一定の抵抗率を有する接地層53を構成するSiサブストレート51に、図3(a)の例の場合と同様に誘電体層54を設け、その上に配線導体57と、接地導体60とを設けた構成となる。
このような配線構造は、配線導体57と接地導体60が同一層にあるため、これら二つ導体で作られる静電容量は、その一部は誘電体損が大きいSiサブストレート51を介して形成されるが、Siサブストレート51を全く介さずに形成されるものもある。従ってその等価回路は、図5(b)に示すように、Csgが新たな容量として付け加わり、この部分では誘電体損は発生しない。
なお、図3(a)の例と特性インピーダンスが同じなら、全体の容量はこれとほとんど同じ値になる。
先の例と同様に以下の条件で伝送損を計算した。
配線導体57:配線幅W=30μm、厚さt=0.6 μm、導電率σ=3×10S/m、間隔G=30μm
誘電体層54:比誘電率ε=3.9、厚さh=1μm、比抵抗ρ=∞
接地層53:比誘電率ε=11.9、厚さh=400μm、比抵抗ρ=1、10、100および1000Ωcm
接地導体60:配線幅Wg>>W、厚さt=0.6μm、導電率σ=3×10S/m
伝送損の計算結果を図5(c)に示す。
図5(c)の結果を図3(c)と比較すると、抵抗100Ωcmと1000Ωcmの場合には、伝送損の違いはほとんど判らないが、抵抗率が低い1Ωcmと10Ωcmの場合には高周波領域において明らかに図5(a)に示した配線構造のほうの損失が小さいことが判る。すなわち平面型の振動子20の場合、Siサブストレート51を用いてその上に誘電体層54を設け、さらに構造・配線層55を設ける構造が一般的であるが、この一般的な構造は、接地層53となるSiサブストレート51が大きいことが判る。
これに対し、図5(a)に示したような構造は、従来Siサブストレート51の下の設けていた接地導体60も構造・配線層55に設けることによって、高周波損失の面から有利であることが判った。
また、この接地導体60も構造・配線層55に設ける有利さは、入出力信号の分離(Isolation)にも多いに役立つ。
ここで、図6(a)に示すように、従来型に相当する試作品にて実験にて取得したデータによれば、入出力の配線導体57間の結合容量と思われる振動子20の共振特性に乱れを観測した。
この様子を図6(b)に示す。この特性は図6(a)に示す振動子20の配線導体(信号配線)57A、57Bの入出力端子部分の間の通過特性を測定した結果である。ここに下段の線は通過損、上段の線は通過位相である。下段の線により通過損特性を見ると、振動周波数はおよそ8.96MHzと観測されるが、波形は通常の共振特性とは大きく異なっている。
そこで、図7(a)に示すように、寄生容量Cpを打ち消す仮想的な容量−Cpを配線導体57A、57Bの間に挿入して同様のシミュレーションを行った。その結果、図7(b)に示すように、きれいな共振カーブを、実験値を基にしたデータから得ることができた。
ここで、従来型の配線構造と、本実施の形態における配線構造とにおいて、配線導体57A、57Bの間の静電容量C12を計算した。図8(a)は従来型の配線構造の具体例、図8(b)は本実施の形態における配線構造の具体例である。
ここで、配線導体57A、57Bは、共に幅W=30μm、配線導体57A、57Bの中心間隔を400μmとし、図3(a)および図5(a)と同様の層構造を持つものとした。図8(a)は、図3(a)のように表面に接地導体を持たない構造であり、二つの配線導体57A、57B間の結合容量は、この場合、
C12(配線間に接地導体が無い構造)= 7.83fF/mm
である。
一方、図8(b)に示したように、図5(a)のように配線表面に接地導体60を持ち、二つの配線導体57の中間に幅310μmの接地導体60を設けた構造では2つの配線導体57間に接地導体60が存在することで結合容量が大きく減少し、
C12(配線間に接地導体60を有する構造)= 0.802fF/mm
となり、図8(a)の場合に比べて、ほとんど10分の1まで減少する。これにより特別な処理を施さなくとも図7(a)に示すような理想的な共振特性が得やすくなり、高性能な平面機械型振動子の実現できることになる。
これまでの検討に従えば、表面に接地導体60を形成する配線構造により、高周波領域になっても信号配線による損失の増加が少なく、さらに信号の入出力間にできてしまう寄生結合容量を大きく減らすことが可能で、高性能な平面機械型の振動子20を有した振動子チップ100Bが提供できることになる。
振動子20とその保持部20aは、同じSOI(活性層)を加工して形成され、振動子20の電位が基本的に出来るだけ一定で同じであることが求められることから、高い導電率とするのが通例で、この場合、振動子20は高周波回路の接地導体と見ることができ、まさに図8(b)の接地導体(60)と同じように入出力電極やその配線の結合容量を少なくする働きをすることになるのは言うまでもない。
なお、上記実施の形態において、物質の付着を検出するためのセンサ10の振動子20を例に挙げたが、ディスク型であれば、振動子20を他の用途に用いることも可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本実施の形態のセンサの構成を示す図である。 振動子の層構造を示す図であり、図1のA−A断面図である。 (a)は従来型の振動子チップの配線構造、(b)はその等価回路、(c)はその伝送損を示す図である。 本実施の形態における振動子チップの概略構成図である。 (a)は図4に示した振動子チップの配線構造、(b)はその等価回路、(c)はその伝送損を示す図である。 (a)は試作した従来型の振動子チップを示す図、(b)は(a)に示す振動子の共振特性測定結果を示す図である。 (a)は図6(a)に示した振動子チップに仮想容量−Cpを挿入した図、(b)は図6(b)の測定結果に寄生容量を打ち消す仮想的な−Cpを加えて計算した共振特性の結果を示す図である。 結合容量を計算した配線構造の例を示す図であり、(a)は従来型の振動子チップの配線構造、(b)は本実施の形態に対応した振動子チップの配線構造を示す図である。
符号の説明
10…センサ(検出センサ)、20…振動子、30a、30b…検出電極、30c、40c…入出力電極、40a、40b…駆動電極、57、57A、57B…配線導体(信号配線)、60…接地導体、72…高濃度Si層、73…導電体層、100、100B…振動子チップ

Claims (8)

  1. ディスク状の振動子と、
    前記振動子に対して間隙を隔てて設けられ、静電結合により前記振動子に電圧を加えて前記振動子を駆動する駆動電極と、
    前記振動子に対して間隙を隔てて設けられ、静電結合により前記振動子の振動による電圧の変化を検出する検出電極と、が基板に形成され、
    前記基板において、前記駆動電極および前記検出電極の信号配線が形成される層に、接地導体が形成されていることを特徴とする振動子チップ。
  2. 前記駆動電極および前記駆動電極の前記信号配線と、前記検出電極および前記検出電極の前記信号配線との間に、前記接地導体が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の振動子チップ。
  3. 前記接地導体は、前記振動子、前記駆動電極、前記検出電極、前記信号配線を囲むように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の振動子チップ。
  4. 前記振動子の電気的ポテンシャルが前記接地導体と同一とされていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の振動子チップ。
  5. 質量を有した物質の付着または吸着により振動特性が変化するディスク状の振動子と、
    前記振動子を振動させる駆動電極と、
    前記振動子における振動の変化を検出することで、前記物質を検出する検出電極と、が基板に形成され、
    前記基板において、前記駆動電極および前記検出電極の信号配線が形成される層に、接地導体が形成されていることを特徴とする検出センサ。
  6. 前記振動子は、その表面に前記物質が付着することを特徴とする請求項5に記載の検出センサ。
  7. 前記振動子に付着した前記物質の量を検出することを特徴とする請求項5または6に記載の検出センサ。
  8. 前記物質が特定の分子、あるいは特定の特性または特徴を有する複数種の分子であることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の検出センサ。
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