JP2009085711A - 車両のトルク検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出する車両のトルク検出装置において、安価かつ簡易なトルク検出を行う。
【解決手段】前記伝達トルクに対するストローク量の関係が予め求められるスプリングダンパー59と、該スプリングダンパー59よりもエンジン側の部材の回転を検出する第一パルサP1と、前記スプリングダンパー59よりも駆動輪側の部材の回転を検出する第二パルサP2とを備え、前記各パルサP1,P2の出力信号の位相差から前記スプリングダンパー59のストローク量を検出し、該ストローク量と前記予め求められた関係とから前記伝達トルクを検出する。
【選択図】図6

Description

この発明は、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出する車両のトルク検出装置に関する。
従来、上記トルク伝達装置において、エンジンとクラッチとの間の動力伝達部材(フライホイール)の歪に基づいて、該動力伝達部材に作用するトルクを検出するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−214773号公報
ところで、上記従来の技術では、動力伝達部材の歪を検出するべく比較的高価な歪センサが必要であると共に、その検出結果が温度、対象部材の塑性変形、及び磁気等の影響を受け易く、これらを補正するために制御が複雑になる傾向があった。
そこでこの発明は、エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出する車両のトルク検出装置において、安価かつ簡易なトルク検出を行うことを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、エンジン(例えば実施例のエンジン13)と駆動輪(例えば実施例の後輪11)との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出する車両(例えば実施例の自動二輪車1)のトルク検出装置において、前記動力伝達経路中に設けられて前記伝達トルクに対するストローク量の関係が予め求められるダンパー(例えば実施例のスプリングダンパー59)と、該ダンパーよりもエンジン側の部材(例えば実施例のプライマリドリブンギヤ58)の回転を検出する第一センサ(例えば実施例の第一パルサP1)と、前記ダンパーよりも駆動輪側の部材(例えば実施例のクラッチアウタ56)の回転を検出する第二センサ(例えば実施例の第二パルサP2)とを備え、前記各センサの出力信号の位相差から前記ダンパーのストローク量を検出し、該ストローク量と前記予め求められた関係とから前記伝達トルクを検出することを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記ダンパーは、前記エンジンの出力軸(例えば実施例のクランクシャフト21)に連結される伝動機構(例えば実施例のプライマリドライブギヤ58a,プライマリドリブンギヤ58)と、該伝動機構を介して前記出力軸に連結されるクラッチ(例えば実施例のツインクラッチ26)との間に設けられ、前記第一センサは、前記出力軸と同期回転する前記伝動機構(例えば実施例のプライマリドリブンギヤ58)の回転を検出し、前記第二センサは、前記クラッチにおける前記伝動機構と同期回転するクラッチ部材(例えば実施例のクラッチアウタ56)の回転を検出することを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、エンジン及び駆動輪間でトルク伝達を行うと、その伝達トルクに応じて前記ダンパーがストロークし、該ダンパーよりもエンジン側及び駆動輪側の各部材間に相対回転が生じ、各センサからの出力信号間に位相差が生じる。この位相差からダンパーのストローク量を検出すると共に、前記予め求められた関係から伝達トルクを検出することが可能となるため、比較的高価な歪センサや複雑な制御を用いることなく、安価かつ簡易なトルク検出を行うことができる。
請求項2に記載した発明によれば、前記伝動機構とクラッチとの間に設置される既存のダンパーに対し、伝動トルクに対するストローク量の関係を予め求めておくことで、該ダンパーを用いてより安価かつ簡易なトルク検出を行うことができる。しかも、前記ダンパー近傍の伝導機構及びクラッチ部材の間で位相差を検出することで、トルク検出精度を良好に確保できる。
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
図1に示すように、自動二輪車(鞍乗り型車両)1の前輪2を軸支するフロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して車体フレーム5前端部のヘッドパイプ6に操舵可能に枢支される。ステアリングステム4(又はフロントフォーク3)の上部には操向ハンドル4aが取り付けられる。ヘッドパイプ6からはメインフレーム7が後方に延びてピポットプレート8に連なる。ピボットプレート8にはスイングアーム9の前端部が上下揺動可能に枢支され、該スイングアーム9の後端部には後輪11が軸支される。スイングアーム9と車体フレーム5との間にはクッションユニット12が介設される。車体フレーム5の内側には、自動二輪車1の原動機であるエンジン(内燃機関)13が懸架される。
図2を参照し、エンジン13は、クランクシャフト21の回転中心軸線C1を車幅方向(左右方向)に沿わせた並列四気筒エンジンであり、そのクランクケース14上にはシリンダ15が立設され、該シリンダ15内には各気筒に対応するピストン18が往復動可能に嵌装され、該各ピストン18の往復動がコンロッド19を介してクランクシャフト21の回転動に変換される。シリンダ15の後部にはスロットルボディ16が接続され、シリンダ15の前部には排気管17が接続される。
クランクケース14の後方にはミッションケース22が一体に連なり、該ミッションケース22内にはツインクラッチ式変速機23及びチェンジ機構24が収容される。ミッションケース22の右側部はクラッチケース25とされ、該クラッチケース25内にはツインクラッチ式変速機23のツインクラッチ26が収容される。エンジン13の動力源であるクランクシャフト21の回転動力は、前記ツインクラッチ式変速機23を介してミッションケース22左側に出力された後、例えばチェーン式の動力伝達機構を介して後輪11に伝達される。なお、図中符号C2,C3はツインクラッチ式変速機23のメインシャフト28及びカウンタシャフト29の回転中心軸線をそれぞれ示す。
図3に示すように、自動二輪車1には、エンジン13に連設される前記ツインクラッチ式変速機23と、前記チェンジ機構24に駆動機構39を設けてなるギヤシフト装置41と、前記ツインクラッチ式変速機23及びギヤシフト装置41を作動制御する電子コントロールユニット(ECU)42とを主にツインクラッチ式変速制御装置が構成される。
図4を併せて参照し、ツインクラッチ式変速機23は、内外シャフト43,44からなる二重構造の前記メインシャフト28と、該メインシャフト28と平行に配置される前記カウンタシャフト29と、メインシャフト28及びカウンタシャフト29に跨って配置される変速ギヤ群45と、メインシャフト28の右端部に同軸配置される前記ツインクラッチ26と、該ツインクラッチ26に作動用油圧を供給する油圧供給装置46とを有してなる。以下、メインシャフト28、カウンタシャフト29及び変速ギヤ群45からなる集合体をトランスミッション47とする。
メインシャフト28は、ミッションケース22の左右に渡る内シャフト43の右側部を外シャフト44内に相対回転可能に挿通してなる。内外シャフト43,44の外周には、変速ギヤ群45における六速分の駆動ギヤ48a〜48fが振り分けて配置される。一方、カウンタシャフト29の外周には、変速ギヤ群45における六速分の従動ギヤ49a〜49fが配置される。各駆動ギヤ48a〜48f及び従動ギヤ49a〜49fは、対応する変速段同士で互いに噛み合い、それぞれ各変速段に対応する変速ギヤ対45a〜45fを構成する。なお、各変速ギヤ対45a〜45fは、一速から六速の順に減速比が小さくなる(高速ギヤとなる)。
内シャフト43の左端部はミッションケース22の左側壁22aに至り、該左側壁22aにボールベアリング73を介して回転可能に支持される。
一方、内シャフト43の右側部は、ミッションケース22の右側壁22bを貫通してクラッチケース25内に臨み、該内シャフト43の左右中間部が、同じく右側壁22bを貫通する外シャフト44の左右中間部及びボールベアリング77を介して、ミッションケース22の右側壁22bに回転可能に支持される。
外シャフト44は内シャフト43よりも短く、その左端部はミッションケース22の左右中間部で終端する。外シャフト44における前記右側壁22bよりも左方に位置する部位には、変速ギヤ群45における偶数変速段(二,四,六速)に対応する駆動ギヤ48b,48d,48fが、左側から四速用、六速用、二速用の順に支持される。一方、内シャフト43における外シャフト44の左端部よりも左方に位置する部位には、変速ギヤ群45における奇数変速段(一,三,五速)に対応する駆動ギヤ48a,48c,48eが、左側から一側用、五速用、三速用の順に支持される。
カウンタシャフト29の左右端部は、ミッションケース22の左右側壁22a,22bにそれぞれボールベアリング82,86を介して回転可能に支持される。カウンタシャフト29の左端部は左側壁22aの左方に突出し、該左端部には前記後輪11への動力伝達機構のドライブスプロケット83が取り付けられる。
カウンタシャフト29におけるミッションケース22の内側に位置する部位には、変速ギヤ群45における各変速段に対応する従動ギヤ49a〜49fが、前記各駆動ギヤ48a〜48fと同様の順に支持される。
メインシャフト28(内シャフト43)及びカウンタシャフト29の内部には、エンジン13内各部へのオイル圧送用のメインオイルポンプ(不図示)からの油圧を供給可能な主供給油路71,72がそれぞれ形成され、該各主供給油路71,72を介して変速ギヤ群45に適宜エンジンオイルが供給される。
ツインクラッチ26は、互いに同軸に隣接配置される油圧式の第一及び第二ディスククラッチ(以下、単にクラッチということがある)51a,51bを有してなり、これら各クラッチ51a,51bに前記内外シャフト43,44がそれぞれ同軸に連結される。各クラッチ51a,51bが共有するクラッチアウタ56には、クランクシャフト21のプライマリドライブギヤ58aに噛み合うプライマリドリブンギヤ58が同軸に設けられ、これら各ギヤ58,58aを介して、クラッチアウタ56にクランクシャフト21からの回転駆動力が入力される。クラッチアウタ56に入力された回転動力は、各クラッチ51a,51bの断続状態に応じて内外シャフト43,44に個別に伝達される。各クラッチ51a,51bの断続状態は、前記油圧供給装置46からの油圧供給の有無により個別に制御される。
そして、前記各クラッチ51a,51bの一方を接続状態とすると共に他方を切断状態とし、内外シャフト43,44の一方に連結された何れかの変速ギヤ対を用いてトランスミッション47内の動力伝達を行うと共に、内外シャフト43,44の他方に連結された変速ギヤ対の中から次に用いるものを予め選定し、この状態から前記各クラッチ51a,51bの一方を切断状態とすると共に他方を接続状態とすることで、トランスミッション47の動力伝達が前記予め選定した変速ギヤ対を用いたものに切り替わり、もってトランスミッション47のシフトアップ又はシフトダウンがなされる。
図3に示すように、油圧供給装置46は、ツインクラッチ26用の油圧発生源であるクラッチ用オイルポンプ32と、該クラッチ用オイルポンプ32の吐出口から延びる送給油路35と、該送給油路35の下流側に接続される第一及び第二クラッチアクチュエータ91a,91bと、該各クラッチアクチュエータ91a,91bから各クラッチ51a,51bの接続側油圧室54a,54b(図4参照)に至る第一及び第二供給油路92a,92bとを有してなる。
クラッチ用オイルポンプ32は前記メインオイルポンプとは別個に設けられ、クランクケース14下のオイルパン36内のエンジンオイルを吸入して送給油路35内に吐出する。送給油路35には該油路専用のオイルフィルタ89が設けられる。
なお、図中符号S6,S7は送給油路35内の油圧及び油温を検出する油圧センサ及び油温センサを、符号Rは送給油路35内の油圧の上昇を制御するリリーフバルブを、符号S8,S9は各供給油路92a,92b内の油圧すなわち各クラッチ51a,51bへの供給油圧を検出する油圧センサをそれぞれ示す。
送給油路35と第一及び第二供給油路92a,92bとは、各クラッチアクチュエータ91a,91bの作動により個別に連通可能であり、送給油路35と第一供給油路92aとが第一クラッチアクチュエータ91aを介して連通した際には、クラッチ用オイルポンプ32からの比較的高圧の油圧が第一供給油路92aを介して第一クラッチ51aの接続側油圧室54aに供給されて該第一クラッチ51aが接続状態となる。一方、送給油路35と第二供給油路92bとが第二クラッチアクチュエータ91bを介して連通した際には、クラッチ用オイルポンプ32からの油圧が第二供給油路92bを介して第二クラッチ51bの接続側油圧室54bに供給されて該第二クラッチ51bが接続状態となる。
送給油路35からは油圧逃がしバルブ95を有する油圧逃がし油路96aが分岐する。油圧逃がしバルブ95はバルブアクチュエータ95aにより作動し、油圧逃がし油路96aの開通、遮断を切り替える。バルブアクチュエータ95aは前記電子コントロールユニット42により作動制御され、例えばエンジン始動時には油圧逃がし油路96aを開通してクラッチ用オイルポンプ32からのフィード油圧をオイルパン36に戻し、エンジン始動後には油圧逃がし油路96aを遮断してツインクラッチ26に前記フィード油圧を供給可能とする。
なお、各クラッチアクチュエータ91a,91bには、送給油路35と第一及び第二供給油路92a,92bとの連通を遮断した際にクラッチ用オイルポンプ32からの油圧をオイルパン内に戻す戻し油路93a,93bがそれぞれ設けられる。
図3,5に示すように、チェンジ機構24は、各シャフト28,29と平行に配置されたシフトドラム24aの回転により複数(この実施例では四つ)のシフトフォーク24bを軸方向で移動させ、メインシャフト28及びカウンタシャフト29間の動力伝達に用いる変速ギヤ対(変速段)を切り替える。
各シフトフォーク24bは、メインシャフト28側に延びるものとカウンタシャフト29側に延びるものとでそれぞれ対をなし、これらの基端側が一対のシフトフォークロッド24cにそれぞれ軸方向で移動可能に支持される。各シフトフォーク24bの基端側には、シフトドラム24a外周の複数のカム溝24dの何れかに係合する摺動突部24eがそれぞれ設けられる。各シフトフォーク24bは、メインシャフト28側及びカウンタシャフト29側においてその先端部を変速ギヤ群45における後述のスライドギヤに係合させる。そして、シフトドラム24aの回転時には、各カム溝24dのパターンに沿って各シフトフォーク24bを軸方向で移動させ、前記スライドギヤを軸方向で移動させてトランスミッション47の変速段を変化させる。
シフトドラム24aの一端側には前記駆動機構39が設けられる。駆動機構39は、チェンジ機構24のシフトドラム24aに同軸固定されるピンギヤ39aと、該ピンギヤ39aに係合するウォーム状のバレルカム39bと、該バレルカム39bに回転駆動力を付与する電気モータ39cとを有してなり、前記電気モータ39cの駆動によりシフトドラム24aを適宜回転させてトランスミッション47の変速段を変化させる。
なお、図中符号S1はトランスミッション47の変速段検知用に駆動機構39の作動量を検出するセンサを、符号DSはシフトドラム24aの実際の回転角度を検出する回転角度センサを、符号DTはシフトドラム24aの変速段毎の回転角度を規定するディテントをそれぞれ示す。
図4に示すように、トランスミッション47は、各変速段に対応する駆動ギヤ48a〜48fと従動ギヤ49a〜49fとが常に噛み合った常時噛み合い式とされる。各ギヤは、その支持軸(各シャフト28,29)に対して一体回転可能な固定ギヤと、支持軸に対して相対回転可能なフリーギヤと、シャフトに対して一体回転可能かつ軸方向で移動可能なスライドギヤとに大別される。
具体的には、駆動ギヤ48a,48bは固定ギヤとされ、駆動ギヤ48c,48dはスライドギヤとされ、駆動ギヤ48e,48fはフリーギヤとされる。また、従動ギヤ49a〜49dはフリーギヤとされ、従動ギヤ49e,49fはスライドギヤとされる。以下、各ギヤ48c,48d,49e,49fをスライドギヤ、各ギヤ48e,48f,49a〜49dをフリーギヤということがある。
そして、前記チェンジ機構24により任意のスライドギヤを適宜スライド(軸方向で移動)させることで、何れかの変速段に応じた変速ギヤ対を用いた動力伝達が可能となる。
スライドギヤ48c,48dの一側には、これらと同様に支持軸に対して一体回転可能かつ軸方向で移動可能なスライドリングSc,Sdがそれぞれ一体に設けられる。各スライドリングSc,Sdは、フリーギヤ48e,48fにそれぞれ軸方向で隣接して設けられる。各スライドリングSc,Sdには、それぞれスライド側ドッグ(ダボ)D1c,D1dが設けられ、各フリーギヤ48e,48fには、それぞれ各スライド側ドッグD1c,D1dに対応するフリー側ドッグ(ダボ)D1e,D1fが設けられる。
また、スライドギヤ49e,49fの一側には、これらと同様に支持軸に対して一体回転可能かつ軸方向で移動可能なスライドリングSe,Sfが一体に設けられる。各スライドリングSe,Sfは、フリーギヤ49c,49dにそれぞれ軸方向で隣接して設けられる。各スライドリングSe,Sfには、それぞれスライド側ドッグ(ダボ)D2e,D2fが設けられ、各フリーギヤ49c,49dには、それぞれ各スライド側ドッグD2e,D2fに対応するフリー側ドッグ(ダボ)D2c,D2dが設けられる。
さらに、各スライドギヤ49e,49fの他側には、それぞれスライド側ドッグ(ダボ)D3e,D3fが設けられ、これらに軸方向で隣接するフリーギヤ49a,49bには、それぞれ各スライド側ドッグD3e,D3fに対応するフリー側ドッグ(ダボ)D3a,D3bが設けられる。
各スライド側ドッグ及びフリー側ドッグは、対応するスライドギヤ(スライドリング含む)及びフリーギヤ同士が近接した際に互いに相対回転不能に係合し、前記スライドギヤ及びフリーギヤ同士が離間した際に前記係合を解除する。
そして、各ドッグを介して各スライドギヤの何れかと対応するフリーギヤとが相対回転不能に係合することで、メインシャフト28及びカウンタシャフト29間で何れかの変速ギヤ対を選択的に用いた動力伝達が可能となる。
なお、各スライドギヤ及びフリーギヤ間の係合が全て解除された状態(図4に示す状態)では、両シャフト28,29間の動力伝達が不能となり、この状態がトランスミッション47のニュートラル状態となる。
図3に示すように、電子コントロールユニット42は、前記各センサからの情報の他に、スロットルボディ16のスロットルバルブの開度センサTS、サイドスタンド(又はセンタスタンド)の格納センサ(スイッチ)SS、及び前輪2の車輪速センサWS、並びに例えば操向ハンドル4aに設けたモードスイッチSW1、ギヤセレクトスイッチSW2、ニュートラル−ドライブ切り替えスイッチSW3等からの情報に基づき、ツインクラッチ式変速機23及びギヤシフト装置41の作動を制御してトランスミッション47の変速段(シフトポジション)を変化させる。
前記モードスイッチSW1により選択される変速モードは、車速(車輪速)及びエンジン回転数等の車両情報に基づきトランスミッション47の変速段を自動で切り替えるフルオートマチック(AT)モードと、運転者の意志に基づき前記ギヤセレクトスイッチSW2の操作のみでトランスミッション47の変速段を切り替え可能とするセミオートマチック(MT)モードとがある。現在の変速モード及び変速段は、例えば操向ハンドル4a近傍に設けたメータ装置Mに表示される。また、前記ニュートラル−ドライブ切り替えスイッチSW3の操作により、トランスミッション47を所定の変速段で動力伝達が可能な状態とニュートラル状態との間で切り替え可能である。
なお、図中符号S2は車速検知用にメインシャフト28の回転数を検出する(カウンタシャフト29と一体回転する従動ギヤ49eに噛み合う駆動ギヤ48eの回転数を検出する)車速センサを、符号S3はエンジン回転数(クランクシャフト21の回転数)検知用にプライマリドリブンギヤ58の回転数を検出する回転数センサをそれぞれ示す。電子コントロールユニット42は、燃料噴射装置用のECU42aと各センサからの情報を共有する。
図4に示すように、ツインクラッチ26は、奇数変速段用の変速ギヤ対に連結される第一クラッチ51aをクラッチケース25内の右側(車幅方向外側)に、偶数変速段用の変速ギヤ対に連結される第二クラッチ51bをクラッチケース25内の左側(車幅方向内側)にそれぞれ配置してなる。各クラッチ51a,51bは、その軸方向で交互に重なる複数のクラッチ板(各クラッチディスク61a,61b及び各クラッチプレート66a,66b)を有する湿式多板クラッチとされる。
各クラッチ51a,51bは、外部からの供給油圧によりプレッシャプレート52a,52bを軸方向で変位させて所定の係合力を得る油圧式とされ、前記プレッシャプレート52a,52bをクラッチ切断側に付勢する戻しスプリング53a,53bと、プレッシャプレート52a,52bにクラッチ接続側への押圧力を付与する接続側油圧室54a,54bと、プレッシャプレート52a,52bにクラッチ切断側への押圧力を付与してその戻り動作を補助する切断側油圧室55a,55bとをそれぞれ有する。
切断側油圧室55a,55bには、前記メインオイルポンプからの比較的低圧な油圧が常時供給され、接続側油圧室54a,54bには、油圧供給装置46(クラッチ用オイルポンプ32)からの比較的高圧な油圧が選択的かつ個別に供給される。
各クラッチ51a,51bは、単一のクラッチアウタ56を共有して略同一径に構成される。クラッチアウタ56は右方に解放する有底円筒状をなし、その底部中央部が外シャフト44の左右中間部に相対回転可能に支持される。クラッチアウタ56の左内側には第一クラッチ51a用のクラッチセンタ57aが配置され、クラッチアウタ56の右内側には第二クラッチ51b用のクラッチセンタ57bが配置される。クラッチセンタ57aは内シャフト43の右端部に一体回転可能に支持され、クラッチセンタ57bは外シャフト44の右端部に一体回転可能に支持される。
クラッチアウタ56の底部左側には、スプリングダンパー59を介してプライマリドリブンギヤ58が取り付けられ、該プライマリドリブンギヤ58には、前記クランクシャフト21のプライマリドライブギヤ58aが噛み合う。すなわち、クラッチアウタ56には、クランクシャフト21の回転動力がスプリングダンパー59を介して入力される。クラッチアウタ56は、クランクシャフト21の回転に伴いメインシャフト28とは個別に回転する。
クラッチアウタ56におけるプライマリドリブンギヤ58よりも左側には、前記各オイルポンプ駆動用のドライブスプロケット56bが一体回転可能に設けられる。クラッチアウタ56の右内周には第一クラッチ51a用の複数のクラッチプレート61aが一体回転可能に支持され、クラッチアウタ56の左内内周には第二クラッチ51b用の複数のクラッチプレート61bが一体回転可能に支持される。
クラッチアウタ56の外周には軸方向に沿う複数の係合溝が形成されると共に、各クラッチプレート61a,61bの外周には前記各係合溝に対応する複数の係合突部が形成され、前記各係合溝に前記各係合突部が相対回転不能に係合することで、各クラッチプレート61a,61bがクラッチアウタ56に一体回転可能に支持される。
第一クラッチ51aのクラッチセンタ57a左側のフランジ部64aには、右方に向けて起立する内壁部65aが設けられ、該内壁部65aの外周には複数のクラッチディスク(フリクションプレート)66aが一体回転可能に支持される。
クラッチセンタ57aの外周には軸方向に沿う複数の係合溝が形成されると共に、各クラッチディスク66aの内周には前記係合溝に対応する複数の係合突部が形成され、前記各係合溝に前記各係合突部が相対回転不能に係合することで、各クラッチディスク66aがクラッチセンタ57aに一体回転可能に支持される。
フランジ部64aの右方には前記プレッシャプレート52aが対向配置され、このプレッシャプレート52aの外周側とフランジ部64aの外周側との間には、前記各クラッチプレート61a及び各クラッチディスク66aが、軸方向で交互に重なった積層状態で配置される。
プレッシャプレート52aの内周側とフランジ部64aの内周側との間には、前記切断側油圧室55aが形成されると共に、プレッシャプレート52aを右方(フランジ部64aから離間する側、クラッチ切断側)に付勢する戻しスプリング53aが配置される。
プレッシャプレート52aの内周側の右方には、クラッチセンタ57a右側の中央筒部62aの外周に設けられたサポートフランジ部67aが対向配置され、このサポートフランジ部67aとプレッシャプレート52aの内周側との間に、前記接続側油圧室54aが形成されると共に戻しスプリング53aが配置される。
一方、第二クラッチ51bのクラッチセンタ57b左側のフランジ部64bには、右方に向けて起立する内壁部65bが設けられ、該内壁部65bの外周には複数のクラッチディスク66bが一体回転可能に支持される。
クラッチセンタ57bの外周には軸方向に沿う複数の係合溝が形成されると共に、各クラッチディスク66bの内周には前記係合溝に対応する複数の係合突部が形成され、前記各係合溝に前記各係合突部が相対回転不能に係合することで、各クラッチディスク66bがクラッチセンタ57bに一体回転可能に支持される。
フランジ部64bの右方には前記プレッシャプレート52bが対向配置され、このプレッシャプレート52bの外周側とフランジ部64bの外周側との間には、前記各クラッチプレート61b及び各クラッチディスク66bが、軸方向で交互に重なった積層状態で配置される。
プレッシャプレート52bの内周側とフランジ部64bの内周側との間には、前記切断側油圧室55bが形成されると共に、プレッシャプレート52bを右方(フランジ部64bから離間する側、クラッチ切断側)に付勢する戻しスプリング53bが配置される。
プレッシャプレート52bの内周側の右方には、クラッチセンタ57b右側の中央筒部62bの外周に設けられたサポートフランジ部67bが対向配置され、このサポートフランジ部67bとプレッシャプレート52bの内周側との間に、前記接続側油圧室54bが形成されると共に戻しスプリング53bが配置される。
前記クラッチケース25の右側を構成するクラッチカバー69には、第一供給油路92a、第二供給油路92b、及びカバー内主供給油路71aがそれぞれ設けられる。また、内シャフト43の右中空部43a内には、前記各油路92a,92b,71aと個別に連通する油路が適宜形成される。
そして、第一供給油路92a等を通じてクラッチ用オイルポンプ32からの油圧が第二クラッチ51bの接続側油圧室54bに供給可能となり、カバー内主供給油路71等を通じて前記メインオイルポンプからの油圧が第一クラッチ51aの切断側油圧室55aに供給可能となり、第二供給油路92b等を通じてクラッチ用オイルポンプ32からの油圧が第一クラッチ51aの接続側油圧室54aに供給可能となる。なお、第二クラッチ51bの切断側油圧室55bには、主供給油路71等を通じて前記メインオイルポンプからの油圧が供給可能となる。
各クラッチ51a,51bは、エンジン停止状態(前記各オイルポンプの停止状態)では、各戻しスプリング53a,53bの付勢力によりプレッシャプレート52a,52bが右方に変位し、各クラッチプレート61a,61b及び各クラッチディスク66a,66bの摩擦係合が解除されたクラッチ切断状態となる。また、エンジン運転状態であっても油圧供給装置46からの油圧供給が停止した状態では、プレッシャプレート52a,52bに戻しスプリング53a,53bの付勢力及び各切断側油圧室55a,55bの油圧が作用し、前記同様にクラッチ切断状態となる。
一方、第一クラッチ51aにおいて、エンジン運転状態かつ油圧供給装置46から接続側油圧室54aに比較的高圧の油圧が供給される状態では、切断側油圧室55aの油圧及び戻しスプリング53aの付勢力に抗してプレッシャプレート52aが左方(フランジ部64a側、クラッチ接続側)に移動し、各クラッチプレート61a及び各クラッチディスク66aが挟圧されてこれらが摩擦係合することで、クラッチアウタ56とクラッチセンタ57aとの間でのトルク伝達が可能となったクラッチ接続状態となる。
同様に、第二クラッチ51bにおいて、エンジン運転状態かつ油圧供給装置46から接続側油圧室54bに比較的高圧の油圧が供給される状態では、切断側油圧室55bの油圧及び戻しスプリング53bの付勢力に抗してプレッシャプレート52bが左方(フランジ部64b側、クラッチ接続側)に移動し、各クラッチプレート61b及び各クラッチディスク66bが挟圧されてこれらが摩擦係合することで、クラッチアウタ56とクラッチセンタ57bとの間でのトルク伝達が可能となったクラッチ接続状態となる。
なお、各クラッチ51a,51bのクラッチ接続状態から接続側油圧室54a,54bへの油圧供給が停止すると、切断側油圧室55a,55bの油圧及び戻しスプリング53a,53bの付勢力によりプレッシャプレート52a,52bが左方に変位し、各クラッチプレート61a,61b及び各クラッチディスク66a,66bの摩擦係合が解除され、クラッチアウタ56とクラッチセンタ57a,57bとの間のトルク伝達が不能となった前記クラッチ切断状態となる。
各クラッチ51a,51bの切断側油圧室55a,55bに供給されたエンジンオイルは、内壁部65a,65b等に適宜形成された油路を介して油圧室外に導かれ、内壁部65a,65b外周の各クラッチプレート61a,61b及び各クラッチディスク66a,66bに適宜供給される。このように切断側油圧室55a,55b内の作動油を逃がすことで、切断側油圧室55a,55b内の油圧を所定の低圧状態に保ち、かつ切断状態にある各クラッチ51a,51bにおける各クラッチプレート61a,61b及び各クラッチディスク66a,66bの潤滑性及び冷却性を向上させる。
上記ツインクラッチ式変速機23において、自動二輪車1のエンジン始動後であっても、サイドスタンドが起立している等により停車状態であると判断される場合には、各クラッチ51a,51bの両者がクラッチ切断状態に保たれる。そして、例えばサイドスタンドが格納されたり各スイッチSW1,SW2,SW3が操作された場合には、自動二輪車1の発進準備としてトランスミッション47がニュートラル状態から一速ギヤ(発進ギヤ、変速ギヤ対45a)を用いての動力伝達を可能とした一速状態となり、この状態から例えばエンジン回転数が上昇することで、第一クラッチ51aが半クラッチを経てクラッチ接続状態となって自動二輪車1を発進させる。
自動二輪車1の走行時には、各クラッチ51a,51bにおける現在のシフトポジションに対応する一方のみが接続状態となり、他方は切断状態のままとなる。これにより、内外シャフト43,44の一方及び各変速ギヤ対45a〜45fの何れかを介しての動力伝達が行われる。このとき、車両情報に基づき電子コントロールユニット42がツインクラッチ式変速機23の作動を制御し、次のシフトポジションに対応する変速ギヤ対を用いての動力伝達が可能な状態を予め作り出す。
具体的には、現在のシフトポジション(変速段)が例えば奇数段(又は偶数段)であれば、次のシフトポジションは偶数段(又は奇数段)となるので、偶数段(又は奇数段)の変速ギヤ対を用いての動力伝達が可能な状態を予め作り出す。
このとき、第一クラッチ51aは接続状態だが第二クラッチ51b(又は第一クラッチ51a)は切断状態にあり、外シャフト44(又は内シャフト43)及び偶数段(又は奇数段)の変速ギヤ対にはエンジン出力(クランクシャフト21の回転動力)が伝達されない。
その後、電子コントロールユニット42がシフトタイミングに達したと判断した際には、前記第一クラッチ51a(又は第二クラッチ51b)を切断状態とすると共に前記第二クラッチ51b(又は第一クラッチ51a)を接続状態とすることのみで、予め選定した次のシフトポジションに対応する変速ギヤ対を用いた動力伝達に切り替わる。これにより、変速時のタイムラグや動力伝達の途切れを生じさせない迅速かつスムーズな変速が可能となる。
図6を参照し、クラッチアウタ56の底部左側に取り付けられるスプリングダンパー59は、エンジン13と駆動輪(後輪11)との間の動力伝達経路の一部を構成するツインクラッチ式変速機23に設けられる。スプリングダンパー59は、プライマリドリブンギヤ58に固定されるエンジン側部材と、クラッチアウタ56側に固定される駆動輪側部材と、これら両部材間に介装されるコイルスプリング等の弾性部材(変形部)とを有してなり(何れも不図示)、このスプリングダンパー59を介してプライマリドリブンギヤ58及びクラッチアウタ56間の動力伝達時(トルク伝達時)の緩衝がなされる。
スプリングダンパー59は、自身に作用する伝達トルク(前記エンジン側及び駆動輪側部材間の伝達トルク、相対回転トルク)とストローク量(前記エンジン側及び駆動輪側部材間の相対回転量、相対変位量)との間に、図7に示す如く所定の相関関係を有する。すなわち、前記伝動トルク及びストローク量は共に増減する関係にある。この相関関係は、前記電子コントロールユニット42におけるトルク検出部42cに記憶されている。なお、前記ストローク量は、前記エンジン側及び駆動輪側部材間の相対回転角度、並びに前記弾性部材の変形量に比例する。
そして、ツインクラッチ式変速機23には、スプリングダンパー59よりもエンジン側の直近部材であるプライマリドリブンギヤ58の回転を検出する第一パルサP1と、スプリングダンパー59よりも駆動輪側の直近部材であるクラッチアウタ56の回転を検出する第二パルサP2とが設けられる。なお、第一パルサP1は、前記回転数センサS3(図3参照)を共用するようにしてもよい。
第一パルサP1は、プライマリドリブンギヤ58の外周に設けられたパルスロータP1aの回転に応じて所定のパルス信号を出力する。一方、第二パルサP2は、クラッチアウタ56の外周に設けられたパルスロータP2aの回転に応じて所定のパルス信号を出力する。各パルサPA,P2からのパルス信号は、前記電子コントロールユニット42における回転検出部42bに入力される。
回転検出部42bでは、各パルサP1,P2からのパルス信号の位相差が検出される。具体的には、図8に示すように、まずスプリングダンパー59にトルクが作用しない無負荷時において、各パルサP1,P2からのパルス信号の同期位置を検出し(図8(a)参照)、後にスプリングダンパー59へのトルク作用時において、前記同期位置間にズレ(遅れ)が生じた場合には(図8(b)参照)、このズレを前記位相差として検出する。回転検出部42bが検出した位相差は、電子コントロールユニット42における前記トルク検出部42cに入力される。
トルク検出部42cでは、回転検出部42bが検出した前記位相差、単位回転数あたりのパルス数、及び前記各パルスロータP1a,P2aの外径等に基づいて、スプリングダンパー59の前記ストローク量を算出し、この算出結果及び前記相関関係に基づいて、スプリングダンパー59に作用する前記伝達トルクを検出する。この伝達トルクの検出結果は、例えば負荷検知、駆動力抜け検知、ホッピング検知等に利用される。
なお、図8は各パルサP1,P2からのパルス信号の周波数が互いに同じ場合を示し、各パルス信号の波形毎に前記同期位置が検出される場合を示す。
一方、図9は各パルサP1,P2からのパルス信号の周波数が互いに異なる場合を示す。この場合でも、プライマリドリブンギヤ58とクラッチアウタ56とは互いに同期回転することから、スプリングダンパー59の無負荷時において、各パルス信号の同期位置を少なくとも単位回転数毎に検出し又は任意に設定し(図9(a)参照)、スプリングダンパー59のトルク作用時に前記同期位置にズレが生じた場合には(図9(b)参照)、このズレを前記位相差として検出すればよい。
また、各パルス信号の周波数が互いに異なる場合において、図10に示すように、スプリングダンパー59の無負荷時において、前記所定の同期位置の他に、該同期位置から次の同期位置までの間の波形のズレZ1,Z2,Z3…を予め検出し(図10(a)参照)、スプリングダンパー59のトルク作用時において、前記同期位置にズレが生じると共に前記波形のズレZ1,Z2,Z3…に変化が生じた場合には(図10(b)参照)、これらズレ及び変化を前記位相差として検出すればよい。この場合、位相差の検出をより細かいタイミングで行うことが可能である。
以上説明したように、上記実施例における自動二輪車1のトルク検出装置は、エンジン13と駆動輪(後輪11)との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出するものであって、前記動力伝達経路中に設けられて前記伝達トルクに対するストローク量の関係が予め求められるスプリングダンパー59と、該スプリングダンパー59よりもエンジン側の部材(プライマリドリブンギヤ58)の回転を検出する第一パルサP1と、前記スプリングダンパー59よりも駆動輪側の部材(クラッチアウタ56)の回転を検出する第二パルサP2とを備え、前記各パルサP1,P2の出力信号(パルス波形)の位相差から前記スプリングダンパー59のストローク量を検出し、該ストローク量と前記予め求められた関係とから前記伝達トルクを検出するものである。
この構成によれば、エンジン13及び駆動輪(後輪11)間でトルク伝達を行うと、その伝達トルクに応じて前記スプリングダンパー59がストロークし、該スプリングダンパー59よりもエンジン側及び駆動輪側の各部材間に相対回転が生じ、各パルサP1,P2からの出力信号間に位相差が生じる。この位相差からスプリングダンパー59のストローク量を検出すると共に、前記予め求められた関係から伝達トルクを検出することが可能となるため、比較的高価な歪センサや複雑な制御を用いることなく、安価かつ簡易なトルク検出を行うことができる。
また、上記トルク検出装置は、前記スプリングダンパー59は、前記エンジン13の出力軸(クランクシャフト21)に連結される伝動機構(プライマリドライブギヤ58a,プライマリドリブンギヤ58)と、該伝動機構を介して前記出力軸に連結されるツインクラッチ26との間に設けられ、前記第一パルサP1は、前記出力軸と同期回転する前記伝動機構のプライマリドリブンギヤ58の回転を検出し、前記第二パルサP2は、前記ツインクラッチ26における前記伝動機構と同期回転するクラッチ部材(クラッチアウタ56)の回転を検出するものである。
この構成によれば、前記伝動機構とツインクラッチ26との間に設置される既存のスプリングダンパー59に対し、伝動トルクに対するストローク量の関係を予め求めておくことで、該スプリングダンパー59を用いてより安価かつ簡易なトルク検出を行うことができる。しかも、このスプリングダンパー59の直近の部材であるプライマリドリブンギヤ58及びクラッチアウタ56の間で位相差を検出することで、トルク検出精度を良好に確保できる。
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば図11に示すように、スプリングダンパー59よりもエンジン側の部材(詳細にはスプリングダンパー59の弾性部材よりもエンジン側の部材)として、前記第一パルサP1が、プライマリドライブギヤ58aの回転を検出するようにしてもよい。
また、図12に示すように、スプリングダンパー59よりも駆動輪側の部材(詳細にはスプリングダンパー59の弾性部材よりも駆動輪側の部材)として、前記第二パルサP2が、トランスミッション47の最もツインクラッチ26寄りかつメインシャフト28と一体形成される駆動ギヤ(この実施例では二速用の駆動ギヤ)48bの回転を検出する構成としてもよい。
ここで、第二パルサP2が前記駆動ギヤ48bの回転を検出する場合、ツインクラッチ26(第二クラッチ51b)が接続するまではパルス信号が発生しないので、半クラッチ状態の伝達トルクを検出することはできず、かつクラッチ切断により各パルサP1,P2からのパルス信号の同期が解除されてしまうため、クラッチ接続中(走行中等)に同期位置を検出し直す必要がある反面、微少領域や高負荷検出に特化した非線バネレート仕様等に好適であるといえる。
さらにこの発明は、例えばツインクラッチ26ではなく単独のクラッチを有する車両にも適用でき、クラッチの係合力や作動力をスプリング、モータ、ソレノイド等より得る車両にも適用でき、かつ乾式クラッチや単板クラッチを有する車両にも適用できる。
また、単気筒エンジン、V型エンジン、及び水平対向エンジン、並びにクランクシャフトを車両前後方向に沿わせた縦置きエンジン等、各種形式のエンジンを有する車両に適用してもよい。
しかも、自動二輪車に限らず、三輪又は四輪の鞍乗り型車両、あるいは低床の足載せ部を有するスクータ型車両に適用してもよい。ここで、この発明は、エンジンや変速機に限らず、エンジン又は変速機から駆動輪までの間の動力伝達経路中に適用することも可能である。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、四輪の乗用車等にも適用できることはもちろん、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
この発明の実施例における自動二輪車の右側面図である。 上記自動二輪車のエンジンの右側面図である。 上記自動二輪車のツインクラッチ式変速制御装置の構成図である。 上記自動二輪車のツインクラッチ式変速機の断面図である。 上記ツインクラッチ式変速機を作動させるチェンジ機構の断面図である。 上記ツインクラッチ式変速制御装置のトルク検出装置の構成図である。 上記トルク検出装置のスプリングダンパーの伝達トルクとストローク量との関係を示すグラフである。 上記スプリングダンパーのエンジン側及び駆動輪側に設けたパルサからのパルス波形図であり、(a)は無負荷時を、(b)はトルク作用時をそれぞれ示す。 図8の変形例を示すパルス波形図であり、(a)は無負荷時を、(b)はトルク作用時をそれぞれ示す。 図9の応用例を示すパルス波形図であり、(a)は無負荷時を、(b)はトルク作用時をそれぞれ示す。 上記トルク検出装置の変形例を示す図6に相当する構成図である。 上記トルク検出装置の他の変形例を示す図6に相当する構成図である。
符号の説明
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
11 後輪(駆動輪)
13 エンジン
21 クランクシャフト(出力軸)
26 ツインクラッチ(クラッチ)
56 クラッチアウタ(ダンパーよりも駆動輪側の部材)
58 プライマリドリブンギヤ(ダンパーよりもエンジン側の部材、伝動機構)
58a プライマリドライブギヤ(ダンパーよりもエンジン側の部材、伝動機構)
59 スプリングダンパー(ダンパー)
P1 第一パルサ(第一センサ)
P2 第二パルサ(第二センサ)

Claims (2)

  1. エンジンと駆動輪との間の動力伝達経路中の伝達トルクを検出する車両のトルク検出装置において、
    前記動力伝達経路中に設けられて前記伝達トルクに対するストローク量の関係が予め求められるダンパーと、該ダンパーよりもエンジン側の部材の回転を検出する第一センサと、前記ダンパーよりも駆動輪側の部材の回転を検出する第二センサとを備え、
    前記各センサの出力信号の位相差から前記ダンパーのストローク量を検出し、該ストローク量と前記予め求められた関係とから前記伝達トルクを検出することを特徴とする車両のトルク検出装置。
  2. 前記ダンパーは、前記エンジンの出力軸に連結される伝動機構と、該伝動機構を介して前記出力軸に連結されるクラッチとの間に設けられ、
    前記第一センサは、前記出力軸と同期回転する前記伝動機構の回転を検出し、前記第二センサは、前記クラッチにおける前記伝動機構と同期回転するクラッチ部材の回転を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両のトルク検出装置。
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