JP2009083582A - インバータ用配管配置構造 - Google Patents

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健史郎 芝
Masanori Matsuzaka
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Abstract

【課題】インバータ用配管配置構造において、インバータと車両前方構造体との間の空間を配管の配置のために利用すると共に、車両が受ける衝撃から配管を保護することを可能とすることである。
【解決手段】車両の前方側には、サイドメンバー16に固定されるインバータトレイ18の上にインバータ40が搭載され、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14にラジエータ12が支持される。二股形状ブラケット22は、根元部がラジエータサポートアッパー14に固定され、二股部において分岐するそれぞれの先端がインバータ40の上面に取り付け固定される。二股形状ブラケット22の分岐した先端部と、インバータ40の前方端面とによって周囲が囲まれた保護空間28が形成され、この囲まれた保護空間28に、インバータ用配管44が通される。
【選択図】図1

Description

本発明はインバータ用配管配置構造に係り、特に、車両前方側にインバータが配置される場合のインバータ用配管配置構造に関する。
ハイブリッド車両には、モータ・ジェネレータに接続される電源回路が配置される。特に、電源回路を構成するインバータは、高圧回路であり、作動により発熱するので、ケーブル及び冷却配管の取り扱いに工夫が要求される。
例えば、特許文献1には、ハイブリッド車でない車両をベース車としてハイブリッド車を製造する従来技術として、12Vバッテリを車両後部のトランクルームに移し、PCU(Power Control Unit)を12Vバッテリが配置されていたバッテリトレイのところ、すなわち、車両前部のエンジンルームの中における後方(客室側)に配置することが述べられている。この場合、モータ・ジェネレータとラジエータはエンジンルームの前方側に配置される。そして、この従来技術では、PCUからモータ・ジェネレータまでのパワーケーブルの長さ、PCUからラジエータまでの冷却水管路の長さが長くなると述べられている。そこで、エンジンルームの前方側でエキゾーストマニホールドの反対側に傾斜してPCUを配置することで、PCUからモータ・ジェネレータへの三相出力ケーブルの長さが短くなると共に、大きな曲率をもって配置でき、またPCUと電動ウオータポンプ及びラジエータの冷却水パイプ長を短くできることが開示されている。
特開2004−82940号公報
特許文献1の方法によれば、インバータを含むPCUを車両前方側に配置することで、回路ハイブリッド車でない車両とハイブリッド車との車体構造等の共通化を図りながら、パワーケーブルの長さ、冷却水管路の長さを短くできる。
ところで、特許文献1の方法において、冷却水管路は、共に車両前方側に配置されるPCUとラジエータを結ぶことを述べているが、インバータを含むPCUと、ラジエータが配置される車両前方構造体との間の空間を配管の配置のために利用することについては述べていない。
本発明は、インバータと車両前方構造体との間の空間を配管の配置のために利用できるインバータ用配管配置構造を提供することである。また、他の目的は、インバータと車両前方構造体との間の空間を配管の配置のために利用すると共に、車両が受ける衝撃から配管を保護することを可能とするインバータ用配管配置構造を提供することである。
本発明に係るインバータ用配管配置構造は、車両の前方側に配置される車両前方構造体と、前記車両前方構造体の後方側に車体に取り付けて配置されるインバータと、前記車両前方構造体と前記インバータとの間の前方空間に通されるインバータ用配管と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記インバータ用配管は、前記前方空間内であって、前記インバータと前記車体との相対位置を規制する規制手段によって囲まれた保護空間に通されることが好ましい。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記保護空間は、前記インバータを前記車体に接続するための複数の締結手段で囲まれた空間であることが好ましい。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記保護空間は、前記インバータを前記車体に接続するための二股形状ブラケットの二股形状で囲まれた空間であることが好ましい。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記保護空間は、前記インバータの筐体の複数の張出部分で囲まれた空間であることが好ましい。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記インバータ用配管は、前記インバータの上方側から下方側に通されることが好ましい。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記インバータ用配管は、前記インバータの前記上方側に設けられる冷却水リザーブタンクに一方端が接続されることが好ましい。
また、本発明に係るインバータ用配管配置構造において、前記インバータ用配管は、前記インバータの前記下方側に設けられる冷却水循環ポンプに他方端が接続されることが好ましい。
上記構成により、インバータ用配管配置構造は、インバータ用配管が、車両前方構造体とインバータとの間の前方空間に通される。したがって、インバータと車両前方構造体との間の空間を配管の配置のために利用できる。
また、インバータ用配管配置構造において、インバータ用配管は、前方空間内であって、インバータと車体との相対位置を規制する規制手段によって囲まれた保護空間に通される。規制手段に囲まれた保護空間にインバータ用配管を配置することで、車両が受ける衝撃から配管を保護することができる。
また、インバータ用配管配置構造において、インバータを車体に接続するための複数のボルト締結手段で囲まれた保護空間にインバータ用配管が通される。これにより、接続のための部材を用いて、車両が受ける衝撃から配管を保護することができる。
また、インバータ用配管配置構造において、インバータを車体に接続する取り付けるための二股形状ブラケットの二股形状で囲まれた保護空間にインバータ用配管が通される。このように、接続部材を二股形状とすることで、車両が受ける衝撃から配管を保護することができる。
また、インバータ用配管配置構造において、インバータの筐体の複数の張出部分で囲まれた保護空間にインバータ配管が通される。これにより、インバータの筐体の構造を利用して、車両が受ける衝撃から配管を保護することができる。
また、インバータ用配管配置構造において、インバータ用配管は、インバータの上方側から下方側に通される。これにより、配管におけるエア抜き性が向上する。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下では、インバータ筐体には、インバータ回路のほかに周辺素子が収納されるものとして説明するが、少なくともインバータ回路が収納されればよく、インバータ回路以外の電圧変換器等の回路が収納されるものとしてもよい。また、以下では、インバータよりも車両前方側にある車両前方構造体として、ラジエータサポートアッパーを説明するが、それ以外の車両構造体であってもよい。また、以下において、インバータ、冷却水リザーブタンク、冷却水循環ポンプ等の相対的配置関係は、説明のための例示であって、車両の具体的構造に適合するように変更することが可能である。また、以下では、インバータを冷却する冷媒を冷却水として説明するが、ここで冷却水とは広義で用いられ、水そのものの他に、他の成分を含むことができる。例えば、不凍液等を含むLLC(Long Life Coolant)等もここでいう冷却水に含まれる。
図1、図2は、インバータ用配管配置構造10を示す図である。図1は、車両の前方に配置されるエンジンルームの前方左側の部分を示す平面図で、ここでは、インバータ用配管配置構造10の構成要素ではないが、ランプ6、バンパー8が示されている。図2は、車両の前方から見た正面図であるが、インバータ用配管配置構造10に関連する要素のみを抜き出して示してある。
インバータ用配管配置構造10は、インバータ40の周辺において、インバータ40を冷却する冷却水循環路を構成する要素である冷却水リザーブタンク42、冷却水循環ポンプ46、この両者を接続するインバータ用配管44、ラジエータ12等の配置を、車両の前方に配置される構造体であるラジエータサポートアッパー14、サイドメンバー16等の関係において定める構造である。
ラジエータ12は、車両においてバンパー8のすぐ背後に配置される熱交換器で、フィンを有するラジエータ本体の内部に冷却水が循環し、車両前方からの空気を取り入れて、フィンを介して冷却水を冷却する機能を有する。
ラジエータサポートアッパー14は、ラジエータ12を枠状に支持する部材であるラジエータサポートの構成要素の1つで、特に車両においてラジエータ12の上方に配置された梁状の部材である。ラジエータ12は、その上部がこのラジエータサポートアッパー14で支持されることになる。ラジエータサポートアッパー14は、インバータ40の前方に配置され、車両において最も前方に配置される車両構造体であるので、これを車両前方構造体と呼ぶことができる。
サイドメンバー16は、車両の両側面に配置され、車体を構成する部材の1つである。図1では、車両の左側面に沿って配置されるものが図示されている。サイドメンバー16には、車両を構成する様々な部材、要素が取り付けられ、あるいは接続される。ここでは、インバータ40を乗せるインバータトレイ18が、サイドメンバー16に固定して取り付けられる様子が示されている。
インバータ40あるいはインバータトレイ18と、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14との間の前方空間20は、従来技術においては余り利用されることが少ない空間である。その理由の1つは、車両が前方からの衝撃を受ける際に、インバータ40が損傷しないように適当な空間を開けるためである。図1では、この前方空間20に、インバータ用配管44を、インバータ40の上方から下方に向かって通すことで、この空間の有効利用を図っている。
インバータ40は、図1では図示されていないモータ・ジェネレータに接続される電源回路を構成するインバータ回路を内蔵するユニットである。インバータ40は、具体的には、インバータ筐体と、その内部に収納される電気部品とで構成される。電気部品の中で最も主要なものは上記のようにインバータ回路である。そのほかに、容量素子、容量素子を放電させるための抵抗素子、各種ハーネス等がインバータ筐体の中に収納される。インバータ回路は、周知のように、直流電力と交流電力との変換を行う回路で、例えば、2次電池等の直流電力を三相交流電力に変換してモータ・ジェネレータに駆動電力として供給し、あるいは逆にモータ・ジェネレータからの回生電力を直流電力に変換して2次電池等に充電電力として供給する機能を有する。
インバータ回路は作動によって発熱するので、インバータ筐体は、冷却水が循環できる構造を備えている。図1では、インバータ40において、後述するように、冷却水循環ポンプ46からの冷却水が供給される供給口と、ラジエータ12に向かって温度が高くなった冷却水が排出される排出口が示されている。
インバータトレイ18は、上記のように、サイドメンバー16に固定して取り付けられ、インバータ40が搭載される搭載台である。なお、ハイブリッド車両でない車両においては、このインバータトレイ18に低電圧蓄電池、例えば12Vバッテリが搭載される。換言すれば、一般車両において12Vバッテリを搭載するトレイを、ハイブリッド車両ではインバータ40を搭載するトレイとして転用したものである。これにより、ハイブリッド車両でない一般車両と、ハイブリッド車両との間で、車両構造を共通化することが可能となる。
冷却水リザーブタンク42は、重力方向から見てインバータ40の上方に配置され、インバータ用冷却水に一定の水頭圧を与えるためのタンクである。図1に示されるように、冷却水リザーブタンク42において、冷却水入力側は、ラジエータ12に接続され、冷却水出力側は、インバータ用配管44に接続される。
インバータ用配管44は、インバータ40の上方から下方に向かって配置される配管で、特に、インバータ40の前方と、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14の後方との間の空間である前方空間20に配置される配管である。
従来技術では、インバータ用配管は、インバータ40の側面側、すなわち図1の場合では、サイドメンバー16側の側面に沿って配置されることが多い。この場合には、車両の側面の方向からの衝撃に対する配管保護が必要であるが、図1のように前方空間20を利用してインバータ用配管44を配置することで、車両の側面の方向からの衝撃に対する配管保護の考慮の必要性を少なくすることができる。
冷却水循環ポンプ46は、重力方向から見てインバータ40の下方に配置され、インバータ用冷却水を循環するための小型電動ポンプである。図1に示されるように、冷却水循環ポンプ46において、冷却水入力側は、インバータ用配管44に接続され、冷却水出力側は、図示されていない他の冷却を要する車両要素を経て、インバータ40の冷却水供給口に接続される。他の冷却を要する車両要素としては、トランスアクスル、モータ・ジェネレータ等である。
ここで、インバータ用冷却水の循環径路をまとめると、ラジエータ12によって冷却された冷却水は、冷却水リザーブタンク42に入り、適当な水頭圧を与えられて、インバータ用配管44を通って冷却水循環ポンプ46に供給される。冷却水循環ポンプ46では、適当な吐出圧が冷却水に与えられ、上記の例ではトランスアクスル、モータ・ジェネレータ等を冷却し、その後にインバータ40の冷却水供給口に供給される。供給された冷却水はインバータ40の内部を流れてインバータ回路等の熱を奪い、温度が高くなった冷却水は排出口からラジエータ12に戻される。そしてラジエータ12において空冷され、温度が下げられた冷却水は再び冷却水リザーブタンク42に供給される。このように、冷却水の循環が繰り返される。
なお、上記のように、重力方向に対し、冷却水リザーブタンク42を上方側に、冷却水循環ポンプ46を下方側に配置し、その上下間にインバータ用配管44を接続することで、冷却水循環径路におけるエア抜き性を向上させることができる。
図1において、二股形状ブラケット22は、インバータ40の上面と、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14の上面との間を接続する部材で、車両前方からの衝撃対し、インバータ用配管44を保護する機能を有する。
図3は、二股形状ブラケット22の詳細図である。二股形状ブラケット22は、根元部23と、立上接続部24と、二股部25とから構成される。根元部23は、ラジエータサポートアッパー14の上面に取り付け固定される部分で、二股部25は、インバータ40の上面に取り付け固定される部分である。立上接続部24は、根元部23と二股部25とを接続する部分で、インバータ40の上面と、ラジエータサポートアッパー14の上面との間の高低差に相当する立上高さを有している。また、立上接続部24は、車両が前方からの衝撃を受けたときに、ラジエータサポートアッパー14とインバータ40との間の距離が変化することに応じて容易に変形する程度の強度となるように、その幅寸法等設定される。したがって、二股形状ブラケット22は、車両が前方から受ける衝撃を緩和してインバータ40に伝達する機能も有している。
再び図1と図2に戻り、二股形状ブラケット22は、根元部がラジエータサポートアッパー14に固定され、二股部において分岐するそれぞれの先端がインバータ40の上面に取り付け固定される。固定手段は、例えばボルト等を用いることができる。これによって、二股形状ブラケット22の分岐した先端部と、インバータ40の前方端面とによって周囲が囲まれた保護空間28が形成される。この囲まれた保護空間28に、インバータ用配管44が通される。これによって、インバータ用配管44は、二股形状ブラケット22の分岐した先端部と、インバータ40の前方端面によって周囲が保護される。例えば、車両が前方からの衝撃を受けても、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14が直接インバータ用配管44に衝突することがなく、ラジエータサポートアッパー14とインバータ40との間にインバータ用配管44が挟みこまれて損傷することが防止できる。
なお、二股形状ブラケット22に代えて、図4に示す三股形状ブラケット26のように、複数の分岐を有するブラケットを用いることもできる。これにより、保護空間28の確保を強固にすることができる。
上記では、二股形状ブラケットによって保護空間を形成した。車両が前方から受ける衝撃に対しインバータ用配管を保護する他の方法は、インバータと車両前方構造体とをしっかりした強度の部材で結合し、これにより保護空間を形成することである。図5、図6にそのような構造を示す。なお、以下では、図1、図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1、図2の符号を用いて説明する。
図5は、図1に対応するもので、エンジンルームの前方左側の部分を示す平面図である。図6は図2に対応するもので、車両の前方から見た正面図であり、インバータ用配管配置構造10に関連する要素のみが抜き出して示してある。
図5、図6に示されるインバータ用配管配置構造10において、図1、図2と異なるところは以下の通りである。すなわち、第1の相違点は、インバータ40において、前方側面、すなわち、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14に向かい合う側面に、ボス30が設けられる。このボス30の上面の高さ方向の配置位置は、ラジエータサポートアッパー14の上面の高さ位置と同じとすることが好ましい。第2の相違点は、ボス30の上面と、ラジエータサポートアッパー14の上面との間に、振れ止めブラケット32が接続されることである。
振れ止めブラケット32は、一方端がラジエータサポートアッパー14の上面に固定され、他方端がインバータ40のボス30の上面に固定される部材で、車両が前方からの衝撃を受けたとき等に、インバータ40がラジエータサポートアッパー14に対し振れて回転することを抑制する機能を有する。したがって、好ましくは、振れ止めブラケット32は、ラジエータサポートアッパー14とボス30との間を最短距離で接続固定することが好ましい。また、振れ止めブラケット32は、車両が受ける衝撃に対し、変形をしない程度の十分な剛性を有することが好ましい。
振れ止めブラケット32の配置は、図5に示されるように、サイドメンバー16と振れ止めブラケット32とで囲まれる空間にインバータ用配管44が通されるようにすることが好ましい。その意味で、サイドメンバー16と振れ止めブラケット32とで囲まれる空間は、前方空間20の中で、インバータ用配管44を衝撃から保護する保護空間と呼ぶことができる。
このようにすることで、インバータ用配管44は、この振れ止めブラケット32とサイドメンバー16とで形成される保護空間38によって保護される。例えば、車両が前方からの衝撃を受けても、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14が直接インバータ用配管44に衝突することがなく、ラジエータサポートアッパー14とインバータ40との間にインバータ用配管44が挟みこまれて損傷することが防止できる。
上記では、インバータと車両前方構造体との間に接続部材を設けて保護空間を形成した。車両が前方から受ける衝撃に対しインバータ用配管を保護する他の方法は、インバータの前方側面に前方に突き出す突起を設け、あるいは後方にくぼむくぼみを設け、これにより保護空間を形成することである。図7、図8にそのような構造を示す。なお、以下では、図1から図6と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1から図6の符号を用いて説明する。
図7は、図1、図5に対応するもので、エンジンルームの前方左側の部分を示す平面図である。図8は図2、図6に対応するもので、車両の前方から見た正面図であり、インバータ用配管配置構造10に関連する要素のみが抜き出して示してある。
図7、図8に示されるインバータ用配管配置構造10において、図1、図2と異なるところは以下の通りである。すなわち、第1の相違点は、インバータ40において、前方側面、すなわち、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14に向かい合う側面に、インバータ40をサイドメンバー16に固定するための突起34が設けられる。第2の相違点は、突起34に接続するために、インバータトレイ18と一体化した接続ブラケット36が設けられることである。換言すれば、接続ブラケット36は、サイドメンバー16に固定接続される。
突起34は、上記のようにインバータ40の前方側面に設けられるが、少なくとも2つ、すなわち複数の突起34がインバータ40の前方側面に設けられる。なお、図7に示されるように、インバータ40の後方にも突起34を設けてもよい。
上記のように、インバータ40に設けられる突起34は、接続ブラケット36を介してインバータ40をサイドメンバー16に固定する機能、すなわち、インバータ40を車体に固定する機能を有する。さらに、インバータ40の前方側面に設けられる複数の突起34は、インバータ用配管44を保護する保護空間38を形成するための機能を有する。すなわち、複数の突起34の間の空間を保護空間38として、インバータ用配管44はその間を通るように配置される。したがって、保護空間38を形成できるように、各突起34の車両前方に向かう突出量、および隣接する突起34の間隔は、インバータ用配管44の外径よりも十分大きな寸法とされる。
このようにすることで、インバータ用配管44は、この突起34とインバータ40の前方側面とで形成される保護空間38によって保護される。例えば、車両が前方からの衝撃を受けても、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14が直接インバータ用配管44に衝突することがなく、ラジエータサポートアッパー14とインバータ40との間にインバータ用配管44が挟みこまれて損傷することが防止できる。
図7、図8の例では、インバータを車体に固定するための突起を利用して保護空間を形成した。インバータの前方側面に前方に突き出す突起を設け、あるいは後方にくぼむくぼみを設ける他の方法は、インバータ筐体のシールのための張出部を利用し、これに突起あるいはくぼみを設け、これにより保護空間を形成することである。図9、図10にそのような構造を示す。なお、以下では、図1から図8と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、以下では、図1から図8の符号を用いて説明する。
図9は、図1、図5、図7に対応するもので、エンジンルームの前方左側の部分を示す平面図である。図10は図2、図6、図8に対応するもので、車両の前方から見た正面図であり、インバータ用配管配置構造10に関連する要素のみが抜き出して示してある。
図9、図10に示されるインバータ用配管配置構造10において、図1、図2と異なるところは以下の通りである。すなわち、インバータ40において、前方側面、すなわち、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14に向かい合う側面に、インバータ筐体のシールのための張り出し、すなわち突起50が設けられる。この突起50は、インバータ40を形成するために用いられるもので、図7、図8で説明した突起34がインバータ40を車体に固定するためのものであったことと、この点で相違する。
図11は、インバータ40の斜視図である。インバータ40は、上下ほぼ同じ形状で、底部と側壁部とを有し、上方または下方に開口を有する箱状の部材を、開口を互いに合わせ、相互にかぶせるようにして、インバータ筐体が形成される。図11では、上下の箱の合わせ面がフランジ状の張り出し部51として示されている。そして、突起50は、この張り出し部を部分的に外側に突き出した形状で設けられる。
図9、図10に戻り、突起50は、ラジエータサポートアッパー14に向かい合う前方側面に2つ以上、すなわち複数設けられる。この突起50には、穴が設けられ、この穴を利用し、適当な締結部材54を用いて、インバータ筐体の上下の箱状部材が相互にシールされ固定される。
インバータ40の前方側面に設けられる複数の突起50は、インバータ用配管44を保護する保護空間52を形成するための機能を有する。すなわち、複数の突起34の間の空間を保護空間52として、インバータ用配管44はその間を通るように配置される。したがって、保護空間52を形成できるように、各突起50の車両前方に向かう突出量、および隣接する突起50の間隔は、インバータ用配管44の外径よりも十分大きな寸法とされる。
このようにすることで、インバータ用配管44は、この突起50とインバータ40の前方側面とで形成される保護空間52によって保護される。例えば、車両が前方からの衝撃を受けても、車両前方構造体であるラジエータサポートアッパー14が直接インバータ用配管44に衝突することがなく、ラジエータサポートアッパー14とインバータ40との間にインバータ用配管44が挟みこまれて損傷することが防止できる。
図12、図13は、その他の構成例を示す図である。以下では、図1から図11の符号を用いて説明する。
突起は、インバータの前方側面だけでなく、シールに必要な箇所に設けることができる。図12は、後方側面に突起56を設けたインバータ41の例を示す図である。図12において破線で示した領域が、インバータ41の内部収納空間の領域である。この場合、突起50,56は、インバータ41において、インバータ筐体のシール性を確保する機能を有するが、さらに、インバータ41の前方側面に設けられる複数の突起50は、その間の空間が保護空間52として機能する。インバータ用配管44は、この保護空間52を通るように配置される。
図13は、インバータ60の前方側面にくぼみ64を設け、このくぼみ64が保護空間となる例を示す図である。保護空間を形成できるように、このくぼみ64のくぼみ量、および幅寸法は、インバータ用配管44の外径よりも十分大きな寸法とされる。
本発明に係る実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す平面図である。 本発明に係る実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す正面図である。 本発明に係る実施の形態において、二股形状ブラケットを示す図である。 本発明に係る実施の形態において、三股形状ブラケットを示す図である。 他の実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す平面図である。 他の実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す正面図である。 別の実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す平面図である。 別の実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す正面図である。 さらに別の本発明に係る実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す平面図である。 さらに別の実施の形態において、インバータ用配管配置構造を示す正面図である。 さらに別の実施の形態において、インバータの斜視図である。 インバータの他の形態の例を示す図である。 インバータの別の形態の例を示す図である。
符号の説明
6 ランプ、8 バンパー、10 インバータ用配管配置構造、12 ラジエータ、14 ラジエータサポートアッパー、16 サイドメンバー、18 インバータトレイ、20 前方空間、22 二股形状ブラケット、23 根元部、24 立上接続部、25 二股部、26 三股形状ブラケット、28,38,52 保護空間、30 ボス、32 振れ止めブラケット、34,50,56 突起、36 接続ブラケット、40,41、60 インバータ、42 冷却水リザーブタンク、44 インバータ用配管、46 冷却水循環ポンプ、51 張り出し部、54 締結部材。

Claims (8)

  1. 車両の前方側に配置される車両前方構造体と、
    前記車両前方構造体の後方側に車体に取り付けて配置されるインバータと、
    前記車両前方構造体と前記インバータとの間の前方空間に通されるインバータ用配管と、
    を備えることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  2. 請求項1に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記インバータ用配管は、
    前記前方空間内であって、前記インバータと前記車体との相対位置を規制する規制手段によって囲まれた保護空間に通されることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  3. 請求項2に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記保護空間は、前記インバータを前記車体に接続するための複数の締結手段で囲まれた空間であることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  4. 請求項2に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記保護空間は、前記インバータを前記車体に接続するための二股形状ブラケットの二股形状で囲まれた空間であることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  5. 請求項2に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記保護空間は、前記インバータの筐体の複数の張出部分で囲まれた空間であることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記インバータ用配管は、前記インバータの上方側から下方側に通されることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記インバータ用配管は、前記インバータの前記上方側に設けられる冷却水リザーブタンクに一方端が接続されることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか1に記載のインバータ用配管配置構造において、
    前記インバータ用配管は、前記インバータの前記下方側に設けられる冷却水循環ポンプに他方端が接続されることを特徴とするインバータ用配管配置構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014129041A (ja) * 2012-12-28 2014-07-10 Toyota Motor Corp 車載機器の搭載構造
JP2017047766A (ja) * 2015-09-01 2017-03-09 トヨタ自動車株式会社 電力制御ユニット
JP2020203545A (ja) * 2019-06-14 2020-12-24 本田技研工業株式会社 車両

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