JP2009083249A - レーザマーキング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザを用いて樹脂にマーキングを行うレーザマーキング方法において、発泡部における十分な白色度の向上を実現するとともに、発泡部表面への汚れの付着の防止や耐磨耗性の向上をも実現する。
【解決手段】本発明は、レーザ光20の照射により発泡する樹脂10にレーザ照射を行い、樹脂10にマーキングを行うレーザマーキング方法であって、樹脂10に1回目のレーザ照射を行い、当該照射により発泡した発泡部30が硬化した後に、発泡部30に向けて2回目のレーザ照射を行うレーザマーキング方法である。
【選択図】図2

Description

本発明は、レーザを用いて樹脂にマーキングを行うレーザマーキング方法に関する。
パーソナルコンピュータ(PC)のキーボードや携帯電話機の操作ボタン等における印字方法として、レーザ光の照射により発泡するABS樹脂等の発泡樹脂にレーザを照射してマーキングを行うレーザマーキング方法がある(例えば、特許文献1を参照)。このレーザマーキング方法においては、発泡樹脂へのレーザ光の照射により気泡が発生した部分(以下、「発泡部」という。)が光を乱反射させることにより、人が発泡部を白色として認識することを利用している。
ここで、発泡部の白色度を向上させてマーキングされた文字等をより明瞭にするためには、高パワーのレーザを用いて発泡量を増加させる必要がある。しかし、発泡量を増加させると、発泡部表面の強度が弱くなり、発泡部表面に汚れが付着しやすくなったり、発泡部の表面の凸部(発泡樹脂が突出した部分)が潰れることにより白色度が低下したりする。一方、発泡部への汚れの混入等を防止するためには、低パワーのレーザを用いて発泡量を抑制する必要がある。しかし、発泡量を抑制すると発泡部の厚みが薄くなるため、発泡部が光を透過し、発泡樹脂自体の色が発泡部表面に現れるので、十分な白色度を得ることができず、また、発泡樹脂内部の発泡量も減少するため、耐磨耗性が低下する。
特開2003−1442号公報
このように、発泡部における十分な白色度の向上と、発泡部表面への汚れの付着防止や耐磨耗性の向上とはトレードオフの関係にあり、現状では、両者をともに満足するようなレーザマーキング方法は存在しない、という問題があった。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、レーザを用いて樹脂にマーキングを行うレーザマーキング方法において、発泡部における十分な白色度の向上を実現するとともに、発泡部表面への汚れの付着の防止や耐磨耗性の向上をも実現することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、レーザ光の照射により発泡する樹脂にレーザ照射を行い、前記樹脂にマーキングを行うレーザマーキング方法であって、前記樹脂に1回目のレーザ照射を行い、当該照射により発泡した発泡部が硬化した後に、前記発泡部に向けて2回目のレーザ照射を行うレーザマーキング方法が提供される。
前記レーザマーキング方法において、前記発泡部は、前記樹脂の表面から突出した凸部と、前記樹脂の内部の内層部とからなり、前記内層部側の前記発泡部の硬化後の体積が、前記1回目のレーザ照射後よりも前記2回目のレーザ照射後の方が大きくなるように、レーザ照射を行うことが好ましい。
このように、硬化後の発泡部に向けて再度レーザ照射を行うことにより、1回目のレーザ照射により生成された発泡部の凸部の高さをほとんど変えずに、発泡部の内層部のみを発泡させ、内層部の発泡量を増加させることができる。従って、本発明に係るレーザマーキング方法によれば、樹脂表面側の発泡部(凸部)の高さを低くしたまま、内層部に深く密な発泡部を生成することができるので、発泡部における十分な白色度の向上という目的と、発泡部表面への汚れの付着の防止や耐磨耗性の向上という目的をともに実現することができる。
また、本発明に係るレーザマーキング方法によれば、発泡樹脂に照射するレーザのパワーを一般的なレーザマーキング方法と比較して、低く設定することができるため、レーザ照射による発泡部の幅(レーザ発泡ライン幅)を細くすることができる。従って、マーキングされた文字、記号、図形等の角部のRが小さくなり、文字、記号、図形等を詳細な部分まで明瞭に印字することができ、高精細なマーキングが可能となる。
前記レーザマーキング方法において、前記1回目のレーザ照射の走査方向と前記2回目のレーザ照射の走査方向とを所定角度で交差させるように、前記2回目のレーザ照射を行ってもよい。ここで、前記所定角度は、45°〜135°であることが好ましく、90°であることが更に好ましい。
このように、1回目のレーザ照射の走査方向と2回目のレーザ照射の走査方向とを所定角度で交差させるように2回目のレーザ照射を行うことにより、発泡樹脂を格子状に発泡させることができるため、発泡量が不足して白色度が低下することを抑制することができる。そのため、簡易な方法で、ムラのできにくい文字や図形等の印字データを作成することができる。
本発明によれば、レーザを用いて樹脂にマーキングを行うレーザマーキング方法において、発泡部における十分な白色度の向上を実現するとともに、発泡部表面への汚れの付着の防止や耐磨耗性の向上をも実現することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[第1の実施形態]
以下に、本発明の第1の実施形態に係るレーザマーキング方法について詳細に説明する。
(マーキングの原理)
まず、図1に基づいて、本実施形態に係るレーザマーキング方法におけるマーキングの原理について説明する。図1は、発泡樹脂にレーザ光を照射した際の発泡の様子を示す説明図である。
図1に示すように、本実施形態に係るレーザマーキング方法においては、レーザ光の照射により発泡現象が起きる発泡樹脂10に対してレーザ光20を照射すると、レーザ光20を照射した部分において樹脂の脱色とともに発泡現象が起きる。この発泡現象により発生した発泡部30中の気泡が光を乱反射させることにより、人は発泡部30を白く認識する。従って、本実施形態に係るレーザマーキング方法によれば、発泡部30の形状が所望の文字、記号、図形等を表すように、レーザ光20を走査することにより、発泡樹脂20表面にマーキング(印字)を行うことができる。
なお、発泡樹脂10に照射するレーザ光20は、図1に示すように、所定の集光手段により集光したものであってもよいが、これには限られず、拡散させた光であっても、平行光であっても差し支えない。
また、上述したように、発泡樹脂10に高パワーのレーザ光20を照射して発泡量を多くするほど、すなわち、発泡部30の鉛直方向の厚みを厚くするほど、発泡部の白色度を向上させたり、マーキングされた文字等に対する耐磨耗性を向上させることができるようになる反面、発泡部表面に汚れが付着しやすくなったり、発泡部の表面の凸部(発泡樹脂が突出した部分)が潰れることにより白色度が低下したりする。
このように、現状では、白色度や耐磨耗性の向上という目的と、発泡部表面への汚れの付着防止の目的とを同時に達成することは困難であった。これに対して、本発明者らは、白色度を向上できるかどうかは、発泡部30のうち、発泡樹脂10表面から突出した凸部の厚みに依存しており、一方、発泡部表面への汚れの付着を防止できるかどうかは、発泡部30のうち発泡樹脂30内部の内層部の厚みに依存していることを見出した。また、耐磨耗性については、内層部の厚みが十分な厚みであれば担保することができる。すなわち、発泡樹脂10にレーザ光20を照射する際に、内層部の発泡深さを十分に確保するとともに、発泡部30の表面側の凸部の高さを低く抑えることにより、白色度や耐磨耗性の向上という目的と、発泡部表面への汚れの付着防止の目的とを同時に達成することができる。以下、このような知見に基づいてなされた本発明の第1の実施形態に係るレーザマーキング方法について詳細に説明する。
(第1実施形態に係るレーザマーキング方法)
次に、図2に基づいて、上述した原理を用いた本実施形態に係るレーザマーキング方法の詳細について説明する。図2は、本実施形態に係るレーザマーキング方法の処理の流れを示す説明図である。
まず、図2(a)に示すように、発泡樹脂10表面に向けて、1回目のレーザ光20の照射を行う。この際、レーザ光20の照射により発泡した発泡部30の形状が所望の文字、記号、図形等を表すように、レーザ光20の走査を制御する。
このようにして発泡樹脂10にレーザ光20を照射すると、図2(b)に示すように、発泡樹脂10のうちレーザ光20が照射された部分が発泡し、発泡部30が形成される。1回目のレーザ光20の照射後における発泡部30は、十分に白色化されていなくてもよい。すなわち、1回目のレーザ光20の照射(図2(a)の段階)では、発泡部30の凸部の厚みが厚くなりすぎないように、低パワーのレーザ光20を使用することが好ましい。具体的には、発泡樹脂の種類等によっても異なるが、例えば、発泡部30の凸部の高さが、20μm程度となり、かつ、内層部側の発泡部30の体積が2回目のレーザ照射の際にレーザ光を遮断しない程度の体積となるようにレーザ光20のパワーを調節することが好ましい。すなわち、1回目のレーザ照射後(図2(b)の段階)における内層部側の発泡部30の体積が大きすぎると(発泡部30における発泡が密であると)、樹脂中の完全に発泡してしまった部分はレーザ光を透過しにくくなる。そのため、2回目のレーザ照射の際に、1回目のレーザ照射により発生した発泡部30がレーザ光を遮断し、内層部側の発泡部30の深さを十分に確保することができない。従って、1回目のレーザ照射の際の発泡は、内層部側の発泡量が多くなりすぎないように、しかも、内層部の深い位置で発泡が起こるように行うことが好ましい。
このような発泡部30の状態を生成するためのレーザ照射条件としては、例えば、隣り合うレーザ照射点間の距離が縦横ともに0.05mm〜0.1mm程度であり、また、1回目のレーザ照射のレーザパワーを表面部に未発泡部分が残る程度のレーザパワー(例えば、2.5W〜2.8W程度)とすることができる。なお、発泡樹脂へのレーザ照射による発泡量は、隣り合うレーザ照射点間の距離と、各点に加わるレーザパワーにより決まり、隣り合うレーザ照射点間の距離が小さく、レーザパワーが大きいほど、発泡量は大きくなる。
次に、図2(c)に示すように、発泡状態の発泡部30が硬化した後に、図3(d)に示すように、硬化した発泡部30に向けて、2回目のレーザ光20の照射を行う。この2回目のレーザ光20の照射におけるレーザ光20のパワーは、1回目の照射の場合と同様に、発泡部30の凸部の厚みが厚くなりすぎないように、低パワーのレーザ光20を使用することが好ましい。また、1回目の照射におけるレーザ光20のパワーと2回目の照射におけるレーザ光20のパワーとは、同程度とすればよいが、異なっている場合であっても、発泡部30の凸部の厚みが厚くなりすぎないようなパワーであれば問題はない。
なお、ここで、発泡部30が硬化する前に2回目のレーザ光20の照射を行うと、発泡部30が更に膨張してしまい、発泡部30の凸部の高さが更に高くなってしまうため、発泡部30表面への汚れの付着や凸部の潰れることによる白色度の低下の問題が更に深刻になってしまい、本発明の効果を得ることはできない。
上記のように、硬化後の発泡部30に向けて再度レーザ光20を照射することにより、図2(e)に示すように、1回目のレーザ光20の照射により生成された発泡部30の凸部の高さをほとんど変えずに、発泡部30の内層部のみを発泡させ、内層部側の発泡部30の硬化後の体積を、1回目のレーザ光20の照射後よりも大きくすることができる。このように、発泡部30の内層部のみを発泡させることができるのは、2回目の照射によるレーザ光20が、1回目のレーザ光20の照射により形成された発泡量の少ない(体積の小さな)発泡部30を透過して、当該発泡部30の周辺にある未発泡の発泡樹脂10に到達し、その未発泡の発泡樹脂10の発泡が進むためであると考えられる。
そして、この2回目の照射により発泡した部分が硬化することにより、図2(f)に示すように、凸部の高さが低く抑えられるとともに、内層部の深さが十分に確保された発泡部30を形成することができる。
(発泡部の構造)
以下、図3に基づいて、このような新規な構造を有する、本実施形態に係るレーザマーキング方法を用いた場合の発泡部30の構造について説明する。図3は、本実施形態に係るレーザマーキング方法を用いた場合の発泡部の構造を示す説明図である。
まず、図3(a)を参照しながら、一般的なレーザマーキング方法を用いて形成された発泡部30’の構造について説明する。この例では、発泡樹脂10に対して高パワーのレーザ光を1回照射した場合について説明する。
図3(a)に示すように、発泡樹脂10に対して高パワーのレーザ光を照射すると、発泡部30’が形成される。この発泡部30’は、発泡樹脂10の表面から突出した凸部32’と、発泡樹脂10の内部に位置する内層部34’とからなる。このように、高パワーのレーザ照射を行った場合には、発泡量が多くなり、凸部32’の高さH’と内層部34’の深さD’は、ともに大きくなる。凸部32’の高さH’及び内層部34’の深さD’がともに大きいため(例えば、発泡樹脂10としてABS樹脂を使用した場合には、高さH’は40〜60μm程度、深さD’は70〜100μm程度)、白色度を高くすることができ、耐磨耗性も高くすることができる。しかし、凸部32’の高さが高いために、発泡部30表面の強度が弱くなり、発泡部30に汚れが付着しやすくなったり、凸部32’が潰れることにより、白色度が低下したりする問題が発生する。
そこで、本実施形態に係るレーザマーキング方法では、上述したように、低パワーのレーザ照射を行い、発泡部30が硬化した後に、当該発泡部30に向けて再度レーザ照射を行うことにより、凸部32の高さを低く抑えるとともに、内層部34の深さ及び発泡量を十分に確保した発泡部30を形成している。以下、図3(b−1)及び(b−2)を参照しながら、このような本実施形態に係るレーザマーキング方法により形成された発泡部30の構造について詳細に説明する。
まず、発泡樹脂10に対して低パワーのレーザ光を照射すると、図3(b−1)に示すように、発泡部30が形成される。この発泡部30は、発泡樹脂10の表面から突出した凸部32と、発泡樹脂10の内部に位置する内層部34とからなる。このように、低パワーのレーザ照射(1回目)行った場合には、発泡量が少なくなり、1回目のレーザ照射後の凸部32の高さH−1は低くなる(例えば、発泡樹脂10としてABS樹脂を使用した場合には、高さH−1は20μm程度)。従って、この1回目の低パワーのレーザ照射後においては、凸部32の高さH−1が低くなるため、発泡部30表面に汚れが付着しにくいが、白色度が低く、また、耐磨耗性も低い。
次に、1回目のレーザ照射により形成された発泡部30が硬化した後に、この発泡部30に向けて、再度低パワーのレーザ光を照射すると、図3(b−2)に示すように、凸部32の高さH−2が、1回目のレーザ照射後の凸部32の高さH−1とほとんど変わらず(例えば、発泡樹脂10としてABS樹脂を使用した場合には、高さH−2が25μm程度)、内層部34の発泡量が多い、すなわち、発泡部30の内層部側の体積が大きな(例えば、発泡樹脂10としてABS樹脂を使用した場合には、高さD−2が、高パワーのレーザ照射を行った場合とほぼ同様の70〜100μm程度)発泡部30を形成することができる。
このように、2回目のレーザ照射後の発泡部30は、凸部32の高さH−2が低いため、発泡部30表面に汚れが付着しにくく、さらに、発泡部30表面の強度も弱くなることが抑制できるため、凸部32が潰れにくく、発泡部30の白色度が低下することも防止できる。さらに加えて、内層部34の発泡量が多くなる(発泡部30の内層部側の体積が大きくなる)ため、白色度を高くすることができるとともに、耐磨耗性も高くすることができる。
以上のように、本実施形態に係るレーザマーキング方法によれば、発泡部30における十分な白色度の向上という目的と、発泡部30表面への汚れの付着の防止や耐磨耗性の向上という目的をともに実現することができる。
また、本実施形態に係るレーザマーキング方法によれば、発泡樹脂10に照射するレーザ光20のパワーを一般的なレーザマーキング方法と比較して、低く設定することができるため、レーザ照射による発泡部30の幅(レーザ発泡ライン幅)を細くすることができる(例えば、発泡樹脂10としてABS樹脂を使用し、1回目のレーザ照射による発泡部30の凸部32の高さが20μm程度となるようなレーザパワーで照射した場合には、0.06mm程度)。従って、マーキングされた文字、記号、図形等の角部のRが小さくなり、文字、記号、図形等を詳細な部分まで明瞭に印字することができ、高精細なマーキングが可能となる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係るレーザマーキング方法について詳細に説明する。この第2の実施形態に係るレーザマーキング方法は、上述した第1の実施形態に係るレーザマーキング方法を用いた上で、さらにレーザ照射の走査方法を規定したものである。具体的には、本実施形態に係るレーザマーキング方法は、発泡樹脂への1回目のレーザ照射の走査方向と2回目のレーザ照射の走査方向とを所定角度で交差させるように、2回のレーザ照射を行うレーザ照射方法である。
(一般的なレーザ照射の走査方法)
まず、本実施形態に係るレーザマーキング方法を説明する前に、その前提として、図4及び図5に基づいて、一般的なレーザ照射の走査方法について説明する。図4は、レーザ照射の走査方法の代表的な例を示す説明図であり、図5は、図4(b)の走査方法を用いてレーザマーキングを行った例を示す説明図である。
文字や図形等を作成する際のレーザ光の照射軌道は、外形線の作成と、その外形線の内部の塗りつぶしによって行われる。塗りつぶしの方法としては、図4(a)に示すように、レーザ照射軌道(塗りつぶし軌道)22が渦巻状の線を描くように行われる一筆書きによる方法や、図4(b)に示すように、レーザ照射軌道22が複数の平行線を描くように行われるハッチングによる手法等がある。図4(a)及び図4(b)には、長方形の形状を有する印字データ24の外形線の内部を塗りつぶす例を示している。
しかし、これらの一筆書きやハッチングのような方法では、印字データ24の外形の形状によっては、レーザ光のパワーがかかりにくい部分があり、このようなパワーのかかりにくい部分では、発泡量が不足して白色度が低い部分(場合によっては、白く見えない部分)が発生する可能性がある。
具体的には、図5に示すように、アルファベットの“R”のような形状を有する印字データ24の外形線の内部の塗りつぶしを、レーザ照射軌道22が複数の互いに平行な水平線を描くように行われるハッチングを用いて行う場合等を例示できる。このような場合には、図5の矢印Pで示したような、レーザ照射軌道22の長さが長くなる部分では、単位時間当たりにかかるレーザのパワーが低くなる。従って、このような部分では、発泡量が不足して白色度が低い部分(場合によっては、白く見えない部分)が発生する可能性がある。一方、図5の矢印Qで示したような、レーザ照射軌道22の長さが短くなる部分では、単位時間当たりにかかるレーザのパワーが高くなる。従って、このような部分では、十分な発泡量があり、白色度も高くなり、上述した矢印Pで示した部分が存在するとムラのある印字データ24となってしまう。特に、発泡樹脂10に照射するレーザ光のパワーが弱い場合には、このようなムラの発生はより顕著なものとなる。
これに対して、このような発泡量が不足する部分がある場合には、一般的に、その部分へのレーザ照射の追加など印字データ24の修正が必要となる。具体的には、マーキングの状態(白色度やムラの有無など)をその都度確認しながら、レーザ照射軌道22を変更していく作業が必要となり、非常に煩雑となる。
そこで、本実施形態に係るレーザマーキング方法においては、レーザ照射軌道22の作成方法、すなわち、レーザ照射の走査方法を工夫することにより、簡易な方法で、ムラのない印字データ24を作成できるようにしている。
(第2実施形態に係るレーザ照射の走査方法)
以下、図6に基づいて、本実施形態に係るレーザマーキング方法について、レーザ照射の走査方法を中心に説明する。図6は、本実施形態に係るレーザ照射の走査方法を示す説明図である。
本実施形態に係るレーザマーキング方法は、上述した第1の実施形態に係るレーザマーキング方法を利用して、1回目のレーザ照射の走査方向(例えば、1回目のレーザ照射におけるレーザ照射軌道22の方向)と2回目のレーザ照射の走査方向(例えば、2回目のレーザ照射におけるレーザ照射軌道22の方向)とを所定角度で交差させるように、2回目のレーザ照射を行うものである。
この場合に、1回目のレーザ照射の走査方向と2回目のレーザ照射の走査方向とを交差させる角度(上記の所定角度)は、白色度の低下や印字データ24のムラの発生を防止するという観点から、45〜135°であることが好ましく、90°であることがさらに好ましい。以下、図6を参照しながら、アルファベットの“R”の形状を有する印字データ24の塗りつぶしを行うに際し、1回目のレーザ照射の走査方向と2回目のレーザ照射の走査方向とを90°で交差させた場合を例に挙げて、本実施形態に係るレーザマーキング方法(レーザ照射の走査方向)について詳細に説明する。
図6に示すように、まず、レーザ照射軌道22−1が所定の方向となるように、1回目のレーザ照射を行い、印字データ24−1を作成する。このレーザ照射軌道22−1の方向は、任意の方向とすることができるが、本実施形態では、照射されるレーザのパワーがかかりにくい部分が極力発生しないように、水平方向(または鉛直方向)に対し45°の角度をなすように、レーザを照射している。
次に、この1回目のレーザ照射による発泡部(図示せず)が硬化した後に、2回目のレーザ照射を行い、印字データ24−2を作成する。この際、本実施形態では、上述したように、レーザ照射軌道22−2の方向がレーザ照射軌道22−1の方向と90°の角度をなすように、レーザ照射軌道22−1とレーザ照射軌道22−2とを交差させる。
このようにレーザ照射の走査を制御することにより、図6の右図に示すように、2つのレーザ照射軌道22が直交した印字データ24を作成することができる。従って、本実施形態に係るレーザマーキング方法によれば、2つの交差する平行線、すなわち、レーザ照射軌道22−1とレーザ照射軌道22−2とにより、発泡樹脂(図示せず)を格子状に発泡させることができるため、発泡量が不足して白色度が低下することを抑制することができる。そのため、ムラのできにくい文字や図形等の印字データ24を作成することができる。
また、各レーザ照射軌道22−1、22−2のそれぞれは、単純な平行線のデータであり、レーザ照射の走査としては、これら2つの単純な平行線のデータを交差させるように行うのみであるので、ムラのない印字データ24を、簡易な方法で機械的に作成することができる。
以上、本発明に係るレーザマーキング方法の好適な実施の形態について詳細に説明したが、以下に、本発明に係るレーザマーキング方法の効果を確認するための試験を行った結果について、より具体的な例を挙げて説明する。
(発泡部の白色度の評価)
まず、発泡樹脂にレーザ照射を行った際に発生する発泡部の白色度の評価を行った実験結果について説明する。
この実験においては、白色度を表す指標として、「明るさ度合い(L*)」を用い、下記の(1)及び(2)の関係を調べた。
(1)レーザのパワー(レーザ機器電流設定値(A)により制御)と明るさ度合い(L*)との関係、及び、レーザのパワーと発泡部の凸部の高さ(μm)との関係
(2)発泡部の凸部の高さ(μm)と明るさ度合いL*との関係
なお、本実施例において、「明るさ度合い(L*)」は、LAB表色系と呼ばれる色差の表記方法であり、L*が大きくなるほど白色度が大きくなることを示している。明るさ度合いL*の測定は、市販の色差計(例えば、ミノルタ社製 CM−503d、CM−512m3等)によって行った。
上記実験の結果を図7及び図8に示した。図7は、レーザのパワーと、明るさ度合い(L*)及び発泡部の凸部の高さ(μm)との関係を示すグラフであり、図8は、発泡部の凸部の高さ(μm)と明るさ度合いL*との関係を示すグラフである。なお、図7及び図8において、「1回照射」、「2回照射」とあるのは、それぞれ、レーザ照射を1回のみ行った場合(比較例)、レーザ照射を2回行った場合(本発明の実施例)を意味している。また、「発泡高さ」とは、発泡部の凸部の高さ、「クロスハッチング」及び「パラレルハッチング」は、2回のレーザ照射をハッチングにより行った場合の2つのレーザ照射軌道を、それぞれ、交差させた場合、平行な方向とした場合を示している。
まず、図7に示すように、レーザ照射を1回行った場合と2回行った場合とでは、明るさ度合いL*の値に約15ポイントの差があることがわかった。これにより、本発明に係るレーザマーキング方法のように、2回のレーザ照射を行うことにより、同じレーザのパワーでも、1回のレーザ照射を行った場合よりも、顕著に白色度が大きくなるということが示唆された。換言すれば、本発明に係るレーザマーキング方法によれば、従来よりも低パワーのレーザを用いても、十分に高い白色度を有することができることが示唆された。
また、発泡部の凸部の高さについては、レーザ照射を1回のみ行った場合と2回行った場合とでほとんど変化がなく、本実験で行ったレーザパワーの範囲では、発泡部の凸部の高さを抑制できることがわかった。この結果から、レーザパワーが比較的低い場合には、本発明に係るレーザマーキング方法のように、レーザ照射を2回行うことにより、十分に高い白色度を有するとともに、発泡部の強度を高くすることができることが示唆された。
次に、図8に示すように、同じ明るさ度合いL*で比較すると、レーザ照射を1回のみ行った場合の発泡部の凸部の高さは、レーザ照射を2回行った場合の凸部の高さよりも遥かに高い結果となった。この結果から、発泡部が同様の白色度を有する場合には、本発明のようにレーザ照射を2回行った方が、1回のみ行うよりも、発泡部の凸部の高さを顕著に低く抑えることができ、発泡部の強度を格段に向上させることができることが示唆された。
(クロスハッチングの効果)
次に、上述した本発明の第2の実施形態に係るレーザマーキング方法のように、1回目のレーザ照射の走査方向と2回目のレーザ照射の走査方向とを交差させるようなレーザ照射の走査方法を用いた場合の効果についての確認を行った実験結果について説明する。なお、本実施例では、印字データの外形線の塗りつぶしの方法としてハッチングを用い、2つのハッチングの軌道を交差させた(以下、「クロスハッチング」という。)。この実験の結果を図9に示す。図9は、レーザ照射を1回のみ行った場合のマーキング結果と、レーザ照射(クロスハッチング)を2回行った場合のマーキング結果を比較した写真である。
図9に示すように、レーザ照射を1回のみ行った場合のマーキング結果を見ると、図の左側の矢印のように、右上部分の白色度が不足して、全体としてムラが発生していた。この右上部分の白色度の低下は、当該部分におけるレーザ照射軌道の長さが長いため、レーザのパワーがかかりにくく、発泡量が不足したためと思われる。一方、レーザ照射を2回行った場合のマーキング結果を見ると、図の右側の矢印のように、右上部分も十分な白色度を有しており、全体としてムラのない印字データとなった。この結果から、本発明の第2実施形態に係るレーザマーキング方法のように、レーザ照射を2回行い、かつ、その走査方法をクロスハッチングとすることにより、ムラのない印字データを作成できることが示唆された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
発泡樹脂にレーザ光を照射した際の発泡の様子を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態に係るレーザマーキング方法の処理の流れを示す説明図である。 同実施形態に係るレーザマーキング方法を用いた場合の発泡部の構造を示す説明図である。 レーザ照射の走査方法の代表的な例を示す説明図である。 図4(b)の走査方法を用いてレーザマーキングを行った例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係るレーザ照射の走査方法を示す説明図である。 本発明の一実施例におけるレーザのパワーと、明るさ度合い(L*)及び発泡部の凸部の高さ(μm)との関係を示すグラフである。 本発明の一実施例における発泡部の凸部の高さ(μm)と明るさ度合いL*との関係を示すグラフである。 本発明の一実施例におけるレーザ照射を1回のみ行った場合のマーキング結果と、レーザ照射(クロスハッチング)を2回行った場合のマーキング結果を比較した写真である。
符号の説明
10 発泡樹脂
20 レーザ光
22 レーザ照射軌道
24 印字データ
30 発泡部
32 凸部
34 内層部

Claims (5)

  1. レーザ光の照射により発泡する樹脂にレーザ照射を行い、前記樹脂にマーキングを行うレーザマーキング方法であって、
    前記樹脂に1回目のレーザ照射を行い、
    当該照射により発泡した発泡部が硬化した後に、前記発泡部に向けて2回目のレーザ照射を行うことを特徴とする、レーザマーキング方法。
  2. 前記発泡部は、前記樹脂の表面から突出した凸部と、前記樹脂の内部の内層部とからなり、
    前記内層部側の前記発泡部の硬化後の体積が、前記1回目のレーザ照射後よりも前記2回目のレーザ照射後の方が大きくなるように、レーザ照射を行うことを特徴とする、請求項1に記載のレーザマーキング方法。
  3. 前記1回目のレーザ照射の走査方向と前記2回目のレーザ照射の走査方向とを所定角度で交差させるように、前記2回目のレーザ照射を行うことを特徴とする、請求項1に記載のレーザマーキング方法。
  4. 前記所定角度は、45°〜135°であることを特徴とする、請求項3に記載のレーザマーキング方法。
  5. 前記所定角度は、90°であることを特徴とする、請求項3に記載のレーザマーキング方法。
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