JP2004130355A - 2次元バーコード印字方法および装置 - Google Patents

2次元バーコード印字方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ照射によるバーコード形成法において、バーあるいはセルの形状および形成状態を良好なものとし、さらに印字速度の高速化を図る。
【解決手段】レーザスポットをラスタスキャンすることで2次元バーコードを印字する方法において、当該バーコードにおけるL型部分のスキャンピッチを、当該バーコード中のその他の被印字部分におけるスキャンピッチと異ならせることとした。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、例えばCOレーザをマーカーとして用いて、被対象物に対してバーコードを印字する方法、および当該方法に対して好適に用いられる印字装置に関する。より詳細には、レーザ光を用いて、被対象物である電子部品、包装体等に対して、いわゆるData−matrixコード、QRコードといった2次元バーコードを印字する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザ光の照射位置を連続的に変化し得る光学系を有した装置を用いて、種々の素材から成る被対象物に対して、バーコードあるいは2次元バーコードの印字が行われている。当該装置においては、バーコードにおけるバー、あるいは2次元バーコードにおけるセル等の配置が、バーコードデータとして予め与えられ、このバーコードデータに基づいて個々のバー毎あるいはセル毎の印字が行われている。
【0003】
このような印字装置あるいは当該装置を用いた印字方法においては、得られたバーあるいはセルが所望の形状を正確に再現していることが求められると同時に、印字に要する時間の短縮等が求められている。本出願人は、このような要望に応えるために、これらバー等の印字をラスタースキャン方式にて行うことを提案し、これにより高速且つ安定した印字を行おうとしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
レーザ光による印字は、レーザ光の有するエネルギーによって、例えば被対象物表面を加熱し、その構成材料を熱変質させることによって行われる。このような熱変質を生じるために要するエネルギーとしてのしきい値は、被対象物の材質、厚さ、表面状態等に依存し、これらにばらつきが生じた場合には、このばらつきに応じてその値が変動してしまう。通常、レーザ光は、その光軸に対して垂直な平面における強度分布として、その最大値を1とした場合に、式(1−1/e)で現される分布を有している。このため、レーザ光を照射することで被対象物上に得られる熱変質領域の大きさは、この強度分布と前述のしきい値との相対的な関係に応じて、その都度変化する可能性がある。より具体的には、所定の幅および長さを有する線を複数本描いた場合であっても、異なる幅あるいは長さを有した線を描く可能性がある。
【0005】
通常、レーザ光を走査する装置に関しても、繰り返し走査における停止精度、ドリフト特性等によるばらつきが生じる可能性がある。また、被対象物を保持する側に関しても、位置決め精度、振動、被対象物自体のそり等に起因する種々のばらつき発生の要因が考えられる。本出願人が提唱するラスタ方式による印字方法においては、レーザ光によって形成される線状の熱変質領域を、複数本平行に形成することによって、一本のバーあるいは一つのセルを描画している。従って、これらばらつきが印字すべきバー等の形状、形成状態等におよぼすであろう影響は、これまでのレーザ光の走査方式と比較したばあい、平行線間のピッチ間隔の広いラスタ方式においてはより顕著になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記観点に鑑みて案出されたものである。具体的には、バーあるいはセルの形状、更にはその形成状態をより良好なものとすると共に、その印字速度を従来技術による場合に対してより高速化することを目的とする印字方法、あるいは印字装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るバーコードの印字方法は、被印字物表面にレーザ光を照射し且つその照射位置をX方向あるいはこれと直交するY方向の少なくとも一方の方向にスキャンすることによって、被印字物上にバーコードを印字するバーコードの印字方法であって、所与の文字列データをバーコードデータに変換する工程と、バーコードデータにおける被印字部分を、YあるいはX方向の何れか一方の方向に延在し且つ他方の方向に並べて平行に配列される線分データに変換する工程と、線分データに基づいて、XおよびY方向におけるレーザ光の照射位置、照射位置をスキャンする際のスキャン速度を含む印字データを演算する工程と、印字データを記憶する工程と、印字データに基づいてレーザ光の照射位置をラスタスキャンすることによりバーコードを被印字物上に印字する工程とを有し、被印字部分がある領域を形成し、領域が所定値以上の面積を有する、所定の形状を有する、あるいは所定の形状の組み合わせから構成される場合に、領域に対して用いられる印字データはその他の領域に対して用いられる印字データとは異なって設定されることを特徴とする。
【0008】
なお、上述のバーコードの印字方法においては、領域に対して用いられる印字データと他の領域に対して用いられる印字データとは、ラスタスキャンの際における個々のスキャンライン間の間隔において異なるデータであることが好ましい。また、当該領域に対して用いられる印字データは、他の領域に対して用いられる印字データとの相違点として、ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為されるレーザ光の照射位置のスキャンに関するするデータを含むものであっても良い。
【0009】
さらに、上述のバーコードデータの印字方法においては、スキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為されるレーザ光の照射位置のスキャンは、領域の外縁を形成する印字線に対して突出部分を形成しないように、スキャンの開始位置は領域の外縁より領域内に所定距離内側の位置に設定して印字データが演算されることが好ましい。また、ラスタスキャンによって為されるレーザ光の照射位置のスキャンは、領域におけるラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向の外縁部分を形成する印字線に対して突出部分を形成しないように、スキャンの開始位置は領域の外縁より領域内に所定距離内側の位置に設定して印字データが演算されることが好ましい。
【0010】
さらに、上述のバーコードデータの印字方法においては、領域が長方形状を有する複数の領域からなる場合、個々の領域に対してその延在方向とは異なる方向に対してレーザ光の照射部分をスキャンする印字操作が行われた後に延在方向に対するスキャンが行われる様に設定して印字データが演算されることが好ましい。また、長方形状からなる複数の領域において重複部分が存在すると見なせる場合、この重複部分を含むと見なせる長方形状の領域においてその延在方向にレーザ光の照射部分のスキャンが行われる際にのみ重複部分に対しての印字操作も行われるように設定して印字データが演算されることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るレーザ印字装置は、レーザ光を発信するレーザ発振器と、被印字物表面にレーザ光を照射し且つその照射位置をX方向あるいはこれと直交するY方向の少なくとも一方の方向にスキャンする照射位置スキャン手段とからなるレーザヘッドを有するレーザ印字装置であって、所与の文字列データをバーコードデータに変換するバーコードデータ生成手段と、バーコードデータにおける被印字部分を、YあるいはX方向の何れか一方の方向に延在し且つ他方の方向に並べて平行に配列される線分データに変換する線分データ演算手段と、線分データに基づいて、XおよびY方向におけるレーザ光の照射位置、照射位置をスキャンする際のスキャン速度を含む印字データを演算する印字データ演算手段と、印字データを記憶する記憶手段と、印字データに基づいてレーザ光の照射位置をラスタスキャンするようにレーザヘッドを制御してバーコードを被印字物上に印字する制御手段とを有し、被印字部分が集合してある領域を形成し、領域が所定値以上の面積を有する、所定の形状を有する、あるいは所定の形状の組み合わせから構成される場合に、領域に対して用いられる印字データはその他の領域に対して用いられる印字データとは異なって設定されることを特徴とする。
【0012】
なお、上述のレーザ印字装置においては、当該領域に対して用いられる印字データと他の領域に対して用いられる印字データとは、ラスタスキャンの際における個々のスキャンライン間の間隔において異なるデータであることが好ましい。また、当該領域に対して用いられる印字データは、他の領域に対して用いられる印字データとの相違点として、ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為されるレーザ光の照射位置のスキャンに関するするデータを含むことが好ましい。
【0013】
さらに、上述のレーザ印字装置においては、ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為されるレーザ光の照射位置のスキャンは、領域の外縁を形成する印字線に対して突出部分を形成しないように、スキャンの開始位置は領域の外縁より領域内に所定距離内側の位置に設定して印字データが演算されることが好ましい。また、ラスタスキャンによって為されるレーザ光の照射位置のスキャンは、領域におけるラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向の外縁部分を形成する印字線に額して突出部分を形成しないように、スキャンの開始位置は領域の外縁より領域内に所定距離内側の位置に設定して印字データが演算されることが好ましい。
【0014】
さらに、上述のレーザ印字装置においては、領域が長方形状を有する複数の領域からなる場合、個々の領域に対してその延在方向とは異なる方向に対してレーザ光の照射部分をスキャンする印字操作が行われた後に延在方向に対するスキャンが行われる様に設定して印字データが演算されることが好ましい。また、長方形状からなる複数の領域において重複部分が存在すると見なせる場合、重複部分を含むと見なせる長方形状の領域においてその延在方向にレーザ光の照射部分のスキャンが行われる際にのみ重複部分に対しての印字操作が行われるように設定して前記印字データが演算されることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施の形態において用いられるバーコード印字用のレーザ装置について、図面を参照して説明する。図1は、レーザ印字装置におけるレーザヘッド10の構成に関して、その概略を示す斜視図である。図2は、レーザ印字装置の全体構成を示すブロック図である。レーザヘッド10は、レーザ発振器11、ビームエキスパンダ12、レーザ光の照射位置についてこれをX軸方向にスキャンするために用いられるX軸ガルバノミラー13、Y軸方向にスキャンするために用いられるY軸ガルバノミラー14、およびfθレンズ15を有している。また、被対象物である被印字物100は、X軸およびY軸を画定する不図示のステージにおけるXY平面上にて、これら軸に対して移動可能に保持されている。
【0016】
レーザ発振器11は、制御器40に配置された不図示のドライバに接続され、このドライバによって所定のタイミングにてオン・オフ駆動されて、例えばCOレーザ光を発振する。レーザ発振器11から発せられたレーザ光は、ビームエキスパンダ12を通過する際にそのスポット径が広げられると共に平行光とされる。平行光とされたレーザ光は、X軸ガルバノミラー13、Y軸ガルバノミラー14によって照射位置が制御された後にfθレンズ15に導かれる。レーザ光は、fθレンズ15によって収束され、所定のスポット径を有する状態で被対象物である被印字物100上に照射される。X軸ガルバノミラー13およびY軸ガルバノミラー14、さらにはfθレンズ15を含めて、照射位置スキャン手段が構成される。
【0017】
レーザ印字装置は入力装置20、出力装置30、制御器40、および前述のレーザヘッド10から構成されている。入力装置20は、当該印字装置に対して外部からデータ、コマンド等を入力するために用いられ、タッチパネル、キーボード等から構成される。入力されるデータとしては、印字すべき文字列等を示すデータ、印字速度、およびレーザ出力等の印字操作に関する諸設定についてのデータ、および被印字物の材質等の印字条件に関するデータ等が考えられる。出力装置30は、例えばレーザ印字装置の異常、印字操作の開始および終了、等を外部に出力する際に用いられる。出力装置30は、入力装置20と併せてパーソナルコンピュータ等から構成することとしても良い。
【0018】
制御器40は、レーザヘッド10の具体的な制御を実際に行い、演算処理部41、制御処理部42、および記憶部43から構成される。演算処理部41は、入力装置20より入力された諸データに基づく印字条件の設定処理、印字データをバーコード化あるいはセル化するエンコード処理、エンコード化されたデータをラスタデータ化する処理等が行われる。制御処理部42は、演算処理部41により求められた各データに基づき、X軸スキャナ18、Y軸スキャナ19を介してのX軸、Y軸ガルバノミラー13、14の駆動、およびレーザ発振器11におけるレーザ発振操作を行い、実際の印字プロセスを制御する。記憶部43は、得られたデータ、被印字物の材質に関するデータ等を記憶する。
【0019】
次に、本出願人が提唱するラスタスキャン方式による印字方法について簡単に述べる。まず、入力装置20を介して、制御部40がバーコード化して印字すべき英数字等の文字列からなる文字列データを取得する。これら文字列データは、演算処理部41においてエンコード化処理され、例えばQRコード等、所望の規格のバーコードデータに変換される。演算処理部41において当該操作を行う部分は、本発明においてバーコードデータ生成手段として定義される。
【0020】
演算処理部41は、得られたバーコードデータについてこれらをさらに線分データとし、ラスタスキャン可能なデータとする。ここで述べる線分データとは、所定幅を有した線分によって、印字領域を例えばX軸のような特定の方向に沿って描画した場合に、この線分上における印字位置および非印字位置となる部分を示す一方向に並置されたデータである。演算処理部41において当該操作を行う部分は、本発明において線分データ演算手段として定義される。
【0021】
これら線分データと共に、入力された印字速度、バーコードサイズ等のデータが記憶部43に記憶される。記憶部43は、本発明における記憶手段として定義される。記憶されたデータは、制御処理部42により読み出されてレーザヘッドを駆動する際の諸データと比較され、これら比較結果に基づいて実際の印字操作に関する印字データが演算される。制御処理部42において当該操作を行う部分は、本発明において印字データ演算手段として定義される。
【0022】
その後、当該印字データに基づいて、X軸ガルバノミラー13およびY軸ガルバノミラー14の駆動、更にはレーザ発振器11のオンオフタイミングが制御され、実際の印字プロセスが実行される。このようなラスタスキャン方式を用いて印字操作を行うことによって、印字速度を大幅に短縮することが可能となる。しかしながら、前述したように、並置する線分間の間隔が広いラスタスキャン方式においては、例えば非印字物の材質等によって印字される線幅が変動することにより、バーコードの品質が低下する可能性がある。
【0023】
(第1の実施例)
例えば、マーク自身の汚れ、欠けに対しての誤り訂正機能に強いとされる2Dコードとも呼ばれるDataMatrixコードには、バーコードデータの読み取り基準となるL型部分が存在している。このL型部分は、その他のバーコード等を読み取る際の基準となることから、ガイド部分として外縁部が明瞭に且つ内部が確実に印字されていることが求められる。このようなL型部分は、レーザ光によって熱変質されるべき領域としては大きく、印字されるべき線分の長さも長くなる。このため、通常の印字領域においてはそれほど問題とならないレベルの印字線幅のブレも、バーコード読み取り時に認識される可能性が生じる。
【0024】
また、印字領域として他のバー等と比較して大きくなるため、当該領域における印字操作は、他の印字部分と比較してより長い時間連続して行われることとなる。この場合、被印字物に対して蓄積される熱量そのものが、他の印字部分と比較して大きくなる可能性がある。すなわち、通常のバー等を印字する際には問題とならない被印字物の熱膨張が、L型部分では問題となるレベルまで大きくなる可能性がある。
【0025】
このような状況に鑑み、本発明における第1の実施例においては、L型部分について行われるラスタスキャン時において、その印字ピッチを他の部分を印字する場合とは独立して設定し、当該領域の印字を行うこととしている。より具体的には、平行に印字される線分に関して、L型部分についてはその線分の間隔を他のセル等と比較して挟ピッチとすることとして、これらとは別個に印字操作を行っている。その他のセル等の印字に関しては、当該L型部分の印字終了後に、予め設定されたピッチに従ってその印字操作を行うこととしている。
【0026】
以上に述べた印字操作を、図3に模式的に示している。図中、左上には印字予定の2Dコード101を示しており、印字予定部分が黒く塗りつぶされている。当該2Dコード中のL型部分106およびセル部分110を拡大し、更に各々におけるレーザスキャン時の印字ピッチを示している。また、図中、L型部分106における印字ピッチ、すなわちレーザスポットを線状にスキャンして得られるライン状の熱変質領域に関して、その平行なスキャンライン107の中心間距離をdlとして示している。セル部分におけるスキャンライン111に関する同様の印字ピッチは、dcとして示され、dlよりもその幅が狭く(小さく)設定されている。
【0027】
なお、本実施例においては、L型部分における印字ピッチ、すなわちライン間隔のみを、その他の被印字部分とは独立して設定することとしている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、L型部分の印字に関して、印字速度、レーザ光発振時のオンオフタイミング、レーザ強度等の何れか、更には、印字ピッチを含めたこれらパラメータを複合した上で、他の部分とは独立して設定することとしても良い。すなわち、本実施例においては、L型部分に関する印字データを、その他の被印字部分あるいは印字領域に関する印字データと異ならせることとすれば良い。
【0028】
また、本実施の形態において、印字線幅のブレの影響が印字状態に対して最も顕著に現れる例として、2DコードにおけるL型部分を示した。しかしながら、このような状況は、例えば、印字されるべき線分の長さが所定値より大きい場合、一つのセルとして印字されるべき領域の面積が所定値以上の大きさとなった場合、あるいは印字されるべき領域の形状が所定の形状となったあるいは所定の径所IUの組み合わせとなった場合、等にも生じ得る。本発明は、こういった場合に好適に用いられる。すなわち、一つのセルとして印字すべき長さ、あるいは領域が所定値となった場合に、その領域における印字ピッチ等の印字データを他の領域とは独立して設定することとしても良い。また、この所定値あるいはその際の設定条件は、被印字物の材質、厚さ等に応じて変更されることが好ましい。
【0029】
(第2の実施例)
印字ピッチを狭くすることにより、平行に印字された線分間に印字のこり等が生じる可能性は減少する。しかしながら、挟ピッチ化することによって印字速度が低下する、あるいは挟ピッチ化によって被印字物に対して与えられる熱量が大きくなりすぎる等の要因から、ピッチの下限が制限される場合も考えられる。このようにピッチの下限が定められた場合、前述した種々の要因から生じる印字線幅のばらつきにより、印字のこり等を容易に防止しし得ない状況も考えられる。本実施例は、このような状況に鑑みて為されている。
【0030】
具体的には、通常は一方向のみに対して為されるレーザ光のラスタスキャンを、当該スキャン方向とは異なる方向に対しても行うこととしている。すなわち、本実施例においては、前述のL型部分の様に一つの印字領域が所定値より大きくなる場合に、これまではX方向にのみ行われていたラスタスキャンを、その印字線の延在方向とは異なる、Y方向に対しても行うこととしている。さらに、その印字ピッチ等に関しても、X方向における諸条件とは独立して設定可能としている。Y方向に対するレーザ光のスキャンを追加することにより、印字のこり等を効率的に除去することが可能となり、より良好な印字状態が得られることとなる。
【0031】
以上に述べた印字操作を、図4に模式的に示している。本図中においては、特徴部分としての2Dコード中のL型部分106のみを拡大し、レーザスキャン時の印字ピッチを示している。第1の実施例においてレーザスキャンが行われるX方向のスキャンライン107に加え、これと垂直なY方向に描画されるY方向スキャンライン108が示されている。図中、スキャンライン107における印字ピッチに対して、スキャンライン108の印字ピッチは広く設定されている。これは、基本的な印字はスキャンライン107に沿って為されており、スキャンライン108に沿った印字はあくまで補助的なものであること、およびスキャンライン108に沿った印字操作を行うことによる印字処理時間の延長を最小限に抑えることを目的としている。
【0032】
なお、本実施例においては、当初ラスタスキャンが行われる方向をX方向とし、当該スキャン後に行われるレーザ光のスキャンの方向をY方向としている。本来X方向のみのレーザ光のスキャンによって残存した印字のこり等は、X方向と異なる方向に再度レーザ光のスキャンを行うことで消去可能である。しかしながら、本実施例においては、装置にとっての利便性、印字効率等を考慮して、X方向に対して垂直となるY方向のレーザ光のスキャンが最も好適であると判断し、Y方向におけるレーザ光のスキャンを追加することとしている。なお、印字ピッチに関しては、被印字物の材質、印字操作に許容される処理時間等に応じ、XY各々の方向について随時設定されることが望ましい。
【0033】
(第3の実施例)
レーザ光は、被印字物表面上のある位置に対して照射された場合、その照射中心から所定の範囲に対して熱変質領域等を形成する。この領域は、ライン状に印字される領域すなわち加工線の幅方向のみならず、そのスキャン方向にも広がっている。例えば、第2の実施例においては、X方向のレーザ光によるラスタスキャンを行った後に、Y方向のレーザ光スキャンを行っている。このような場合、このスキャン方向に広がる熱変質領域の存在によって、例えば、Y方向のスキャンにより形成された熱変質領域がX方向に形成された加工線上の熱変質領域から突出する場合が生じ得る。
【0034】
このような例として、L型部分106を拡大し、スキャンライン107に沿った印字線117と、スキャンライン108に沿った印字線118との交点となる部分を、図5に模式的に示している。通常、印字開始点121は印字線117の中心線であるスキャンライン107上に設定される。パルス照射されるレーザ光は、照射初期にその出力が設定出力より大きくなる場合がある。このような場合、レーザ光照射開始時、すなわち描画される加工線の印字端部において熱変質領域が広がり、印字開始点121におけるY方向についての熱変質領域dyがX方向に印字された加工線幅dxよりも大きくなる。その結果、図示の如く、Y方向の熱変質領域がX方向の加工線から突出する部分を形成し、L型部分の輪郭を不明瞭なものとする。本実施例は、このような状況に鑑みて為されている。
【0035】
具体的には、L型部分の輪郭を形成する外縁加工線(印字線117)に対して垂直な方向にレーザ光を照射し、スキャンライン108に沿ってスキャンする際に、その印字開始点121を、外縁の加工線中心から加工領域の内側に所定量ずらせることとしている。外縁加工線(印字線117)上により、これと垂直なY方向へのスキャンを行う場合であって、本実施例を適応した状態の模式図を図6に示す。図6は、図5における拡大部と同様の部位に関して本実施例を適用した場合を示している。
【0036】
図示の如く、Y方向の印字開始位置121は、印字線117の中心よりスキャンライン108に沿って印字領域の内側にずらしてある。なお、このずらし量は、レーザ光の照射条件、被印字物の材質等により変動することから、これら変動に応じて随時設定されることが好ましい。本出願人は、レーザ光のスポット径がこれらに条件の変動と対応して変動することから、レーザ光のスポット径を基準にずらし量を設定することとしている。具体的には、レーザ光のスポット径を予め求め、ずらし量をその半径の1/2とすることによって好適な結果が得られている。
【0037】
すなわち、本実施例においては、ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為されるレーザ光の照射位置のスキャンにおいて、被印字領域の外縁を形成する印字線に対して突出部分を形成しないことを目的としている。当該目的を達成するために、ラスタスキャンと異なる方向のスキャンラインにおけるスキャン開始位置は被印字領域の外縁より当該領域内に所定距離内側の位置に設定される。また、ラスタスキャンによって為されるレーザ光の照射位置のスキャンに関しても、被印字領域におけるラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向の外縁部分を形成する印字線に対して突出部分を形成しないために、ラスタスキャンの開始位置は被印字領域の外縁より当該領域内に所定距離内側の位置に設定することが好ましい。
【0038】
(第4の実施例)
例えば第2の実施例に従ってL型部分を印字する場合、X方向の印字操作を行った後にY方向の印字操作が行われる。この場合、Y方向に形成される印字線118の長さが短い部分に関しては、当該方向における印字線118間に印字のこり等が残存する場合が生ずることがある。これは、印字される領域が、他のY方向に長い部分と異なり、一回のレーザ光のスキャンによって被印字物等に与えられる熱量が相違することに起因すると思われる。このため、本実施例においては、L型部分の印字順序を考慮することにより、この印字のこり等を減少せしめている。
【0039】
具体的な印字手順を図7A〜7Dに示す。なお、これら図中においては、実施例の内容の理解を容易なものとするために、X方向およびY方向のスキャンライン107、108のみを示すこととしている。本実施例の説明に際し、L型部分106を、第1の領域106a、第2の領域106bおよび第3の領域106cに便宜上分割する。第1の領域106aは、L型部分106における、第2の領域106bを除いたY方向(縦方向)に延在する部分にあたる。第3の領域106cは、L型部分106における、第2の領域106bを除いたX方向(横方向)に延在する部分にあたる。第2の領域106bは、X方向およびY方向に延在する部分が交錯する部分にあたる。
【0040】
本実施例においては、図7Aに示す様に、まず第1の領域106aに対して、レーザ光を当該領域左側端部から右側端部へスキャンする操作、即ち図中矢印で示す方向にレーザ光をスキャンする操作を行う。この操作を、当該領域の上端部からした端部にかけて順次行っていく。これにより、図7Aに示すスキャンラインからなる印字パターンが形成される。続いて、図7Bに示す様に、第1の領域106aおよび第2の領域106bに対して、レーザ光を第1の領域106aの上端部から第2の領域106bの下端部へスキャンする操作、すなわち図中矢印で示す方向にレーザ光をスキャンする操作を行う。この操作を、これら領域の左側端部から右側端部にかけて順次行っていく。これにより、図7Bに示すスキャンラインからなる印字パターンが形成され、第1の領域106aに対する印字が終了する。
【0041】
次に、図7Cに示す様に、第3の領域106cに対して、レーザ光を当該領域の上端部から下端部にスキャンする操作、即ち図中矢印で示す方向にレーザ光をスキャンする操作を行う。この操作を、当該領域の左側端部から右側端部にかけて順次行っていく。これにより、図7Cに示すスキャンラインからなる印字パターンが形成される。更に、図7Dに示す様に、第2の領域106bおよび第3の領域106cに対して、レーザ光を第2の領域106bの左側端部から第3の領域106cの右側端部へスキャンする操作、すなわち図中矢印で示す方向にレーザ光をスキャンする操作を行う。この操作を、これら領域の上端部からした端部にかけて順次行っていく。これにより、図7Dに示すスキャンラインからなる印字パターンが形成され、第1〜第3の領域106a〜106cに対する印字、即ちL型部分106の印字が終了する。
【0042】
なお、本実施例においては、印字対象としてL型部分を例に挙げて説明したが本発明が適応されるべき印字パターンは当該形状に限定されない。本発明は、所定値以上の領域を有し且つ特定の方向に延在するいわゆる長方形である被印字形状、あるいは所定値以上の領域を有するXY方向に突出する部分を有する被印字形状等に対して適応されると好適である。
【0043】
実際の工程としては、被印字形状が特定方向に延在する長方形状の場合には、延在方向とは垂直な方向にまずレーザ光の照射位置をスキャンし、これを延在方向に平行に繰り返した後、延在方向へのスキャンを行い、これを延在方向とは垂直な方向に平行に繰り返せばよい。また、XY方向に突出する部分を有する被印字形状の場合には、被印字形状をXY何れかの方向に延在する複数の長方形に分割し、個々の長方形に対して前述の順序での印字を実施すればよい。その際、長方形状の交錯部分すなわち重複部分と見なせる領域に関しては、当該領域と隣接し且つこれを含むと見なし得る何れかの長方形状の領域に対する印字操作に変更を加える。
【0044】
具体的には、重複部分をその延在方向において含み得る長方形状の領域からなる被印字領域について、もとの長方形状の領域においてその延在方向にレーザ光の照射位置をスキャンする操作を行う際に、そのスキャン長さを延長して当該重複領域についてもスキャンを行うこととする。当該重複領域は他の方向に延在する長方形状の他の領域にも含まれる。従って、この他の被印字領域についてその延在方向への照射位置のスキャンを行う際に、再度そのスキャン長を延長して印字操作を行うことで、異なった方向にスキャンする印字操作が行われることとなる。
【0045】
L型部分の印字順序を本発明に従って行うことにより、L型部分の縦方向延在部分および横方向延在部分両方に対して、印字のこり等が存在しない良好な印字状態が得られる。また、本実施例において述べた順序にて印字を行うと共に、第3の実施例において述べた印字開始点を印字領域の内側にずらす操作を併用することにより、印字状態をより改善することが可能となる。
【0046】
【本発明の効果】
本発明の実施により、輪郭が明瞭且つ形成状態の良好なバーコードを得ることが可能となる。また、被印字物の材質、厚さ、表面状態等の条件、印字すべき形状、一回に印字可能な線幅、等の諸条件に依存することなく、明瞭なバーコードを形成することが可能となる。従って、得られるバーコードの読み取りマージンも向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザ印字装置におけるレーザヘッド10構成に関して、その概略を示す斜視図である。
【図2】レーザ印字装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例における印字状態およびスキャンピッチ等を示す概略図である。
【図4】本発明の第2の実施例におけるスキャンラインについての部分拡大図である。
【図5】横方向のスキャンラインに対して更に縦方向のスキャンラインを加えた場合における、印字領域端部の状態の概略を示す部分拡大図である。
【図6】本発明第3の実施例における印字領域端部の状態の概略を示す部分拡大図である。
【図7】
(A)本発明第4の実施例における印字手順を示す図である。
(B)本発明第4の実施例における印字手順を示す図である。
(C)本発明第4の実施例における印字手順を示す図である。
(D)本発明第4の実施例における印字手順を示す図である。
【符号の説明】
10:レーザヘッド
11:レーザ発振器
12:ビームエキスパンダ
13:X軸ガルバノミラー
14:Y軸ガルバノミラー
15:fθレンズ
18:X軸スキャナ
19:Y軸スキャナ
20:入力装置
30:出力装置
40:制御装置
41:演算処理部
42:制御処理部
43:記憶部
100:被印字物
101:2Dコード
106:L型部分
107:L型部スキャンライン
108:Y方向スキャンライン
110:セル部分
111:セル部用スキャンライン
117:X方向印字線
118:Y方向印字線
121:印字開始点

Claims (14)

  1. 被印字物表面にレーザ光を照射し且つその照射位置をX方向あるいはこれと直交するY方向の少なくとも一方の方向にスキャンすることによって、前記被印字物上にバーコードを印字するバーコードの印字方法であって、
    所与の文字列データをバーコードデータに変換する工程と、
    前記バーコードデータにおける被印字部分を、前記YあるいはX方向の何れか一方の方向に延在し且つ他方の方向に並べて平行に配列される線分データに変換する工程と、
    前記線分データに基づいて、前記XおよびY方向における前記レーザ光の照射位置、前記照射位置をスキャンする際のスキャン速度を含む印字データを演算する工程と、
    前記印字データを記憶する工程と、
    前記印字データに基づいて前記レーザ光の照射位置をラスタスキャンすることにより前記バーコードを前記被印字物上に印字する工程とを有し、
    前記被印字部分がある領域を形成し、前記領域が所定値以上の面積を有する、所定の形状を有する、あるいは所定の形状の組み合わせから構成される場合に、前記領域に対して用いられる印字データはその他の領域に対して用いられる印字データとは異なって設定されることを特徴とするバーコードの印字方法。
  2. 前記領域に対して用いられる印字データと前記他の領域に対して用いられる印字データとは、前記ラスタスキャンの際における個々のスキャンライン間の間隔において異なるデータであることを特徴とする請求項1記載のバーコードの印字方法。
  3. 前記領域に対して用いられる印字データは、前記他の領域に対して用いられる印字データとの相違点として、前記ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為される前記レーザ光の照射位置のスキャンに関するするデータを含むことを特徴とする請求項1または2記載のバーコードの印字方法。
  4. 前記スキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為される前記レーザ光の照射位置のスキャンは、前記領域の外縁を形成する印字線に対して突出部分を形成しないように、前記スキャンの開始位置は前記領域の外縁より前記領域内に所定距離内側の位置に設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項3記載のバーコード印字方法。
  5. 前記ラスタスキャンによって為される前記レーザ光の照射位置のスキャンは、前記領域における前記ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向の外縁部分を形成する印字線に対して突出部分を形成しないように、前記スキャンの開始位置は前記領域の外縁より前記領域内に所定距離内側の位置に設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項3または4記載のバーコードの印字方法。
  6. 前記領域が長方形状を有する複数の領域からなる場合、個々の領域に対してその延在方向とは異なる方向に対して前記レーザ光の照射部分をスキャンする印字操作が行われた後に前記延在方向に対する前記スキャンが行われる様に設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項3記載のバーコードの印字方法。
  7. 前記長方形状からなる複数の領域において重複部分が存在すると見なせる場合、前記重複部分を含むと見なせる長方形状の領域においてその延在方向に前記レーザ光の照射部分のスキャンが行われる際にのみ前記重複部分に対しての印字操作が行われるように設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項6記載のバーコードの印字方法。
  8. レーザ光を発振するレーザ発振器と、被印字物表面に前記レーザ光を照射し且つその照射位置をX方向あるいはこれと直交するY方向の少なくとも一方の方向にスキャンする照射位置スキャン手段とからなるレーザヘッドを有するレーザ印字装置であって、
    所与の文字列データをバーコードデータに変換するバーコードデータ生成手段と、
    前記バーコードデータにおける被印字部分を、前記YあるいはX方向の何れか一方の方向に延在し且つ他方の方向に並べて平行に配列される線分データに変換する線分データ演算手段と、
    前記線分データに基づいて、前記XおよびY方向における前記レーザ光の照射位置、前記照射位置をスキャンする際のスキャン速度を含む印字データを演算する印字データ演算手段と、
    前記印字データを記憶する記憶手段と、
    前記印字データに基づいて前記レーザ光の照射位置をラスタスキャンするように前記レーザヘッドを制御して前記バーコードを前記被印字物上に印字する制御手段とを有し、
    前記被印字部分が集合してある領域を形成し、前記領域が所定値以上の面積を有する、所定の形状を有する、あるいは所定の形状の組み合わせから構成される場合に、前記領域に対して用いられる印字データはその他の領域に対して用いられる印字データとは異なって設定されることを特徴とするレーザ印字装置。
  9. 前記領域に対して用いられる印字データと前記他の領域に対して用いられる印字データとは、前記ラスタスキャンの際における個々のスキャンライン間の間隔において異なるデータであることを特徴とする請求項8記載のレーザ印字装置。
  10. 前記領域に対して用いられる印字データは、前記他の領域に対して用いられる印字データとの相違点として、前記ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為される前記レーザ光の照射位置のスキャンに関するするデータを含むことを特徴とする請求項8または9記載のレーザ印字装置。
  11. 前記ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向に対して為される前記レーザ光の照射位置のスキャンは、前記領域の外縁を形成する印字線に対して突出部分を形成しないように、前記スキャンの開始位置は前記領域の外縁より前記領域内に所定距離内側の位置に設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項10記載のレーザ印字装置。
  12. 前記ラスタスキャンによって為される前記レーザ光の照射位置のスキャンは、前記領域における前記ラスタスキャンによるスキャンラインの延在方向とは異なる方向の外縁部分を形成する印字線に額して突出部分を形成しないように、前記スキャンの開始位置は前記領域の外縁より前記領域内に所定距離内側の位置に設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項10または11記載のレーザ印字装置。
  13. 前記領域が長方形状を有する複数の領域からなる場合、個々の領域に対してその延在方向とは異なる方向に対して前記レーザ光の照射部分をスキャンする印字操作が行われた後に前記延在方向に対する前記スキャンが行われる様に設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項10記載のレーザ印字装置。
  14. 前記長方形状からなる複数の領域において重複部分が存在すると見なせる場合、前記重複部分を含むと見なせる長方形状の領域においてその延在方向に前記レーザ光の照射部分のスキャンが行われる際にのみ前記重複部分に対しての印字操作が行われるように設定して前記印字データが演算されることを特徴とする請求項13記載のレーザ印字装置。
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