JP2009083162A - 発熱印字体 - Google Patents
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Abstract
【効果】2枚の未加硫シリコーンゴムに電極を挟み込んで加硫し一体化した場合でも、加硫時に発生したガスが印字部と電極の界面に残留することがなく、接触面積が低下する現象が起こらないため、接触抵抗も高くならない。このように接触抵抗が高くならないと、ほぼ印面部のみピンポイントで発熱するため、捺印したとき印影部分以外を変色させるいわゆる腹付き現象を生じさせることなく、発熱捺印性が良好となる。また、上記の通り、ほぼ印面部のみピンポイントで発熱し、余分な部分で電力を消費していないので、電力の消費効率が高くなり経済的である。
【選択図】図3
Description
前記特許文献1、特許文献2とも、本願出願人が出願したものであり、印字部としてカーボン含有シリコーンゴムやカーボンナノチューブを含有したシリコーンゴムを採用し、印字部と基底部の間に電極を挟み込んで同時に加圧加熱すれば、一度に3者を一体化することもできる旨記載がある(特許文献1段落番号0006、特許文献2段落番号段落番号0008に記載)。
また、電極表面がフラットな場合、印字体と電極間の接触抵抗が高くなる傾向にある。ここで、接触抵抗とは、印字体と電極の接触面に起こる抵抗を意味している。接触抵抗が高くなると、印字体と電極の界面で消費される電力が大きくなるため、印字体の印面部での発熱効率が低下する。接触抵抗を下げるためには、印字部と電極界面の接触面積を大きくすることが好ましいが、2枚の未加硫シリコーンゴムに電極を挟み込んで加硫し一体化すると、加硫時に発生したガスが印字部と電極の界面に残留することで未接触部分が生じ、接触面積が低下する現象が起こる。接触面積が低下することで、接触抵抗が高くなり、印字体の印面部での発熱効率が低下する。また、印字体の印面部以外の部分も発熱するため、例えば感熱紙へ押印した際、印面部分以外も変色するいわゆる腹付き現象が生じ、使用に際して不具合が生じていた。
また、熱プレスで印字体と基底部を一体化した場合でも、樹脂がエアーを抱き込んで気泡を形成し、これが印字部と電極の界面に残留することで未接触部分が生じ、接触面積が低下する現象が起こり、前記と同様に接触抵抗が高くなり、印字体の印面部での発熱効率が低下する。そして、印字体の印面部以外の部分も発熱するため、前記と同様、印面部分以外も変色するいわゆる腹付き現象が生じていた。
また、第2の発明の発熱印字体は、印字部と基底部の間に電極を挟んで一体化した発熱印字体において、前記電極の表面に設けた孔もしくは突部と、これら孔もしくは突部に対応する前記印字体の位置に設けた突片もしくは凹み部とを、嵌め合わせたことを特徴とする。
また、2枚の未加硫シリコーンゴムに電極を挟み込んで加硫し一体化した場合でも、加硫時に発生したガスが印字部と電極の界面に残留することがなく、接触面積が低下する現象が起こらないため、接触抵抗も高くならない。
また、熱プレスで印字体と基底部を一体化した場合でも、樹脂がエアーを抱き込んで気泡を形成することがないため、印字部と電極の界面にエアーが残留することがなく、接触面積が低下する現象が起こらない。そのため、接触抵抗も高くならない。このように、ガスやエアーが残留しない現象は、電極に凹凸部等を設けることで印字部と電極界面にガス抜き用の流路が形成され、ガスやエアーが外部に排出されるためと推察される。
そして、上記のように接触抵抗が高くならないと、ほぼ印面部のみピンポイントで発熱するため、捺印したときいわゆる腹付き現象を生じさせることなく、発熱捺印性が良好となる。
また、上記の通り、ほぼ印面部のみピンポイントで発熱し、余分な部分で電力を消費していないので、電力の消費効率が高くなり経済的である。
本発明で使用する印字部1は、シリコーンゴム中に導電体を分散させてなるタイプの発熱印字体であって、特に前記導電体がカーボンやチューブ径0.4〜35nmのカーボンナノチューブを用いることができる。具体的には、未架橋シリコーンゴム、カーボンあるいはカーボンナノチューブ、架橋剤、その他必要に応じて添加剤を加え、均一に分散した混合物を架橋させて製造される。
ここで使用できる未架橋シリコーンは特に限定されないが、GE東芝シリコーン(株)社製TSE221−5U、TSE221−6U、TSE2122−6U、TSE270−6U、TSE260−5U、TSE261−5U、TSE2323−5U等や、信越化学工業(株)社製KE931−U、KE941−U、KE951−U、KE953−U、KE961−U、KE971−U、KE981−U、KE765−U、KE540−U、KE552−U等や、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製SH745U、SH35U、SH52U、SH502UA.B、U、SH841U、SH851U、SE1120U、SE1185U、SE1602U、SE4706U、SE6749U等を例示することができる。
また、前記未架橋シリコーンゴム以外にも、本発明発熱印字体の使用温度(約100℃〜150℃)で耐熱性のあるゴムであれば特に制限はなく、例えば、フッ素ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)等の未加硫ゴムを採用可能である。また、前記ゴム以外にも、例えばナイロン、ポリイミド、ポリエステル等の合成樹脂を採用することも可能である。
カーボンは、粒径0.01〜0.3μmのものが好ましく用いられ、前記混合物中20〜60重量%の割合で配合される。なお、生シリコーンゴムにカーボンを分散させたシリコーンゴムとして市販されている、GE東芝シリコーン(株)社製YE3452UB、TCM5406U、TCM5407U、TCM5417U、XE23−A3228、XE23−B2484等や、信越化学工業(株)社製KE3603−U、KE3601SB−U、KE3611−U、KE3711−U、KE3801M−U等や、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製SE6758U、SE6765U、SE6770U、SRX539UT、DY38−008、DY32−408U等を用いてもよい。
また、カーボンナノチューブを配合する際は、チューブ径0.4〜35nmのものが好ましく用いられ、具体的には、チューブ径0.4〜35nm・チューブ長1〜100μm・チューブ層5〜50の多層カーボンナノチューブ(MWNT)、又は、チューブ径0.4〜35nm・チューブ長0.01〜100μmの単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用いることができる。当該カーボンナノチューブは、前記未架橋シリコーンゴム100重量部に対して、20〜80重量部の割合(20〜80phr)で配合される。配合量が少なすぎると十分に発熱しない発熱印字体となるし、配合量が多すぎると割れたり脆くなったり柔軟性が無くなったり物性的に劣る発熱印字体となるので好ましくない。
架橋剤は、公知のパーオキサイドが使用でき、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド、2,5ジメチル2,5ジターシャリーブチルパーオキシヘキサン、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーベンゾエートなどを用いることができ、前記混合物中1〜5重量%の割合で配合できる。
電極3は、導電性のものであれば何でもよいが、特に導電率の高い銅が好ましく用いられる。また、接触抵抗を下げるために印字部1との接触面積を大きくすることが好ましい。前記電極3には、孔32もしくは突部33を設ける。前記孔32は、前記電極3を貫通しており、その形状は、円形、楕円形、多角形等適宜採用可能である。前記突部33の形状も、円筒状、円錐状、角柱状、角錐状等適宜採用可能である。前記孔32もしくは突部33の個数は、単数、複数採用可能であり、孔32と突部33を組合わせて採用することも勿論可能である。
また、前記電極3の表面に凹凸部31を設けてもよい。前記凹凸部31は、前記電極3の表面全面に設けてもよいし、部分的に設けてもよい。前記凹凸部31を設けることにより、印字部1との接触面積を大きくすることができる。
ここで、前記孔32もしくは突部33、凹凸部31を設ける面は、印字部側だけでなく基底部側に設けてもよいものである。
まず、印字部1と基底部2の間に電極3を挟み込んで同時に加圧加熱すれば、一度に3者を一体化することができる。例えば、基底部2にシリコーンゴムを用いた場合は、カーボン含有シリコーンゴム混合物と未架橋シリコーンゴムをそれぞれシート状にして、その間に電極3を挟み込んで重ね合せた後、凹状の文字を彫った金型に入れ加圧加熱すればよい。この際、基底部に印字部より軟らかい硬度40〜70の生シリコーンゴムを用いれば均一な厚さの印字部が得られるので好ましい。この方法であれば、加圧加熱したとき、前記印字体1に突片11もしくは凹み部12が同時に成型されるため手間が省ける。電極3の表面に凹凸部31を設けたときも同様である。
また他の方法として、カーボン含有シリコーンゴム混合物と未架橋シリコーンゴムをそれぞれシート状にして、その間に電極3を挟み込んで重ね合せて一定の圧力下で加熱して架橋させた後、彫刻機やレーザ加工機などで文字等を彫刻してもよい。この方法でも、前記と同様、加圧加熱したとき、前記印字体1に突片11もしくは凹み部12が同時に成型されるため手間が省ける。電極3の表面に凹凸部31を設けたときも同様である。
また、未架橋シリコーンゴム、カーボンあるいはカーボンナノチューブ、架橋剤、その他必要に応じて添加剤を加え、これを均一に分散した混合物をシート状に成形し、一定の圧力下で加熱して架橋させた後、彫刻機やレーザ加工機などで文字等を彫刻してもよい。
このようにして得られた印字部1を用いて本発明の発熱印字体を作製する場合は、印字部1と基底部2の間に電極3を挟み込んだ状態で、接着剤等により接着する方法や、クリップ等で挟着する方法や、支持体等で保持する方法で一体化し、前記発熱印字体を得ることができる。このとき、前記電極3に孔32もしくは突部33を設けた場合は、これらと対応する前記印字体1の位置に、突片11もしくは凹み部12を予め設けておけばよいし、前記電極3の表面に凹凸部31を設けた場合は、前記印字体1に突片や凹み部を設けることなく使用することができる。
次に、両シートの間に、表面全面に凹凸部を形成した銅箔を電極として挟み込んで重ね合わせ(図3参照)、1.0mmの凹状の文字を彫った金型に入れ、150kg/cm2、170℃で10分間加熱した。そして離型した後、さらに200℃で4時間、オーブンでアフターキュアを行った。
これを一辺10mmの角型に切断し、印字部の厚み0.5mm、発熱印字体の総厚み2.3mm、印面の文字高1.0mmの発熱印字体を作製し、実施例1とした。尚、実施例1の発熱印字体は、印字部の厚みが0.5mmと極めて薄いものであるが、加工性もよく、反りが生じたりもしなかった。また、強度も高く、使用に際して十分な耐久性を有していた。
捺印試験の結果から、実施例1、実施例2は、発熱捺印性が良好だったのに対し、比較例1は印影の周囲も変色していた。これは、電極の表面がフラットのために電極の界面にガスが残留し接触抵抗が高くなることで、印字体の印面部以外の部分も発熱するため、感熱紙へ押印した際、印影部分以外も変色する、いわゆる腹付き現象が生じたものと推察される。一方で、実施例1、実施例2は接触抵抗が低いため、ほぼ印面部のみピンポイントで発熱しており、印影部分以外を変色させるいわゆる腹付き現象が生じることはなく、発熱捺印性が良好であったと思われる。
これは、回路の電流値の測定結果からも明らかである。実施例1、実施例2と比較して、比較例1の電流値は低く、印面部の抵抗値以外に無視できない抵抗が存在するものと推察され、これが印字体と電極の間に生じる接触抵抗と思われる。これにより電力が分散し、印面部の温度が130℃まで到達する時間も、比較例1では10〜11秒と、実施例1、実施例2と比較して極端に遅くなっている。そして、捺印に必要な消費電力量、つまり、印面部の温度を130℃まで到達させるための消費電力量も108W・sとなり、実施例1、実施例2と比較して極端に電力の消費効率が悪いものである。
11 突片
12 凹み部
2 基底部
3 電極
31 凹凸部
32 孔
33 突部
Claims (2)
- 印字部と基底部の間に電極を挟んで一体化した発熱印字体において、前記電極の表面に凹凸部を設けたことを特徴とする発熱印字体。
- 印字部と基底部の間に電極を挟んで一体化した発熱印字体において、前記電極の表面に設けた孔もしくは突部と、これら孔もしくは突部に対応する前記印字体の位置に設けた突片もしくは凹み部とを、嵌め合わせたことを特徴とする発熱印字体。
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- 2007-09-28 JP JP2007252831A patent/JP2009083162A/ja active Pending
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