JP2009082900A - 超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法 - Google Patents

超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄対象の物品を低い消費電力で洗浄できる超音波洗浄装置を提供すること。
【解決手段】下記の式(i)を満たす厚みを持つ底板を備えた洗浄槽の前記底板の下面に、下記の式(ii)〜(iv)を満たす幅及び高さを有する複数個の圧電振動子を、下記の式(V)を満たす間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定した超音波洗浄器と、前記複数個の圧電振動子に電気的に接続された下記の式(vi)を満たす周波数の交流電圧を発生可能な電源からなる超音波洗浄装置:
(i)0.5mm<T<10mm
(ii)0.3<W/T<1.2
(iii)0.5<H/T<3.0
(iv)1<H/W
(V)1<S/W<3
(vi)0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
[但し、T:底板の厚み(単位:mm)、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、およびS:圧電振動子の間隔、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である]。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法に関する。
従来より、眼鏡や指輪などの日用品、カメラや時計に用いる精密機械部品、そして半導体素子の作製に用いるシリコンウエハなどの物品を、超音波洗浄装置を用いて洗浄する方法は知られている。
超音波洗浄装置は、その洗浄槽(容器)に洗浄液及び洗浄対象の物品を収容し、そして洗浄液に超音波振動子(例えば、圧電振動子)で発生させた超音波振動を付与することにより、前記物品に付着した汚れを取り除く装置である。前記の洗浄液としては、物品に付着した汚れの種類により、水、有機溶媒、酸性溶液もしくはアルカリ性溶液などが用いられる。
特許文献1には、洗浄槽の底板の下面に、複数個の圧電振動子を整列配置した状態で固定した構成の超音波洗浄装置が開示されている。この超音波洗浄装置は、例えば、洗浄槽の底板の厚みが2mmに、そして各々の圧電振動子の幅(W)、高さ(H)、そして長さ(L)が、それぞれ4.5mm、6.3mm、そして58mmに設定されている。そして同文献には、前記の超音波洗浄装置は、各々の圧電振動子の形状を所定の形状に設定することにより、各々の圧電振動子にてその高さ方向に振動する高エネルギーの超音波振動が発生し、この超音波振動を、底板に殆ど撓み振動を発生させることなく、その大部分を底板そして洗浄液を介して洗浄対象の物品に付与することができるため、優れた洗浄性を示すと記載されている。
特許文献2には、洗浄槽の底板の下面に、複数枚の平板状超音波振動素子を並べて配置した状態で固定した構成の超音波洗浄装置が開示されている。同文献には、洗浄槽の底面に、複数のスリット溝によって区画された、各々幅が1mmの複数個の振動素子が用いられている。同文献には、前記のように幅の小さな振動素子を複数個用いることにより、各々の振動素子にて洗浄液中に指向性の低い超音波振動が発生するため、洗浄対象の物品を均一に洗浄できると記載されている。
国際公開第06/095738号パンフレット(第1−4図) 特開2004−249212号公報(第1図)
前記の特許文献1の超音波洗浄器においては、複数個の圧電振動子が発生する超音波振動を、洗浄槽の底板での撓み振動の発生を抑制して(底板での振動エネルギーの損失を抑制して)洗浄液中に伝達することにより高い洗浄性を得ている。特許文献2の洗浄装置においては、幅の狭い振動素子を幅方向に高密度に(振動子の幅よりも小さな幅を持つスリットを介して)配置することにより、均一な洗浄性を得ている。
本発明の課題は、洗浄対象の物品を低い消費電力で洗浄することができる超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法を提供することにある。
本発明者は、前記の特許文献1の超音波洗浄装置の場合とは異なり、洗浄槽の底板を圧電振動子の幅方向に積極的に撓ませながら超音波振動させることにより、洗浄対象の物品の低消費電力での洗浄が実現できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、下記の式(i)の関係を満足する厚みを持つ底板を備えた洗浄槽の前記底板の下面に、底板の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する幅及び高さを有する、高さ方向に分極処理された複数個の圧電振動子を、下記の式(V)の関係を満足する間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定してなる超音波洗浄器と、前記の複数個の圧電振動子に電気的に接続された下記の式(vi)の関係を満足する周波数の交流電圧を発生可能な電源からなる超音波洗浄装置にある。
(i) 0.5mm<T<10mm
(ii) 0.3<W/T<1.2
(iii) 0.5<H/T<3.0
(iv) 1<H/W
(V) 1<S/W<3
(vi) 0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
[但し、T:底板の厚み、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、およびS:圧電振動子の間隔(各々の単位:mm)、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である。]
本発明の超音波洗浄装置の好ましい態様は、次の通りである。
1)圧電振動子の長さ及び幅が、下記の式(vii)の関係を満足する。
(vii) 2<L/W<200
[但し、L:圧電振動子の長さ(単位:mm)である。]
2)底板の厚みが、0.5mm<T<5mmの関係を満足する。
3)圧電振動子の幅及び底板の厚みが、0.5<W/T<0.8の関係を満足する。
4)圧電振動子の高さ及び底板の厚みが、0.75<H/T<1.25の関係を満足する。
5)圧電振動子の高さ及び幅が、1.2<H/W<2の関係を満足する。
6)圧電振動子の間隔及び幅が、1.5<S/W<2.5の関係を満足する。
7)交流電圧の周波数が、0.4×Vs/(2×T)<f<0.6×Vs/(2×T)の関係を満足する。
本発明はまた、下記の(1)〜(3)の工程を含む超音波洗浄方法にもある。
(1)下記の式(i)の関係を満足する厚みを持つ底板を備えた洗浄槽の前記底板の下面に、底板の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する幅及び高さを有する、高さ方向に分極処理された複数個の圧電振動子を、下記の式(V)の関係を満足する間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定してなる超音波洗浄器を用意する工程。
(i) 0.5mm<T<10mm
(ii) 0.3<W/T<1.2
(iii) 0.5<H/T<3.0
(iv) 1<H/W
(V) 1<S/W<3
[但し、T:底板の厚み、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、そしてS:圧電振動子の間隔(各々の単位:mm)である。]
(2)洗浄槽に洗浄液と洗浄対象の物品とを収容する工程。
(3)各々の圧電振動子に、前記の洗浄槽の底板の厚み及び底板の材料に固有の音速値に対して下記の式(vi)の関係を満足する周波数を持つ交流電圧を付与することにより、各々の圧電振動子を高さ方向に互いに同相で超音波振動させると共に、圧電振動子が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子の間の底板部分とを底板の厚み方向に互いに逆相で超音波振動させ、この底板の超音波振動を洗浄液を介して洗浄対象の物品に伝達させて前記物品を洗浄する工程。
(vi) 0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
[但し、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である。]
本発明の超音波洗浄方法の好ましい態様は、次の通りである。
1)圧電振動子の長さ及び幅が、下記の式(vii)の関係を満足する。
(vii) 2<L/W<200
[但し、L:圧電振動子の長さ(単位:mm)である。]
2)交流電圧の周波数が、底板の音速値及び厚みに対して、0.4×Vs/(2×T)<f<0.6×Vs/(2×T)の関係を満足する。
本発明の超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法を用いることにより、洗浄対象の物品を低い消費電力で超音波洗浄することができる。
先ず、本発明の超音波洗浄装置を、添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の超音波洗浄装置の構成例を示す一部切り欠き正面図であり、図2は、図1の超音波洗浄装置20の一部切り欠き左側面図であり、そして図3は、図1の超音波洗浄装置20の底面図である。図4は、図3に示す超音波洗浄装置20の複数個の圧電振動子15a、15b、15cと電源16との電気的接続方法を示す拡大斜視図である。
図1〜図4に示す超音波洗浄装置20は、下記の式(i)の関係を満足する厚みを持つ底板13を備えた洗浄槽12の底板13の下面に、この底板13の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する幅及び高さを有する、高さ方向に分極処理された複数個の圧電振動子15a、15b、15c、〜を、下記の式(V)の関係を満足する間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定してなる超音波洗浄器10と、前記の複数個の圧電振動子15a、15b、15c〜に電気的に接続された下記の式(vi)の関係を満足する周波数の交流電圧を発生可能な電源(図4:16)から構成されている。
(i) 0.5mm<T<10mm
(ii) 0.3<W/T<1.2
(iii) 0.5<H/T<3.0
(iv) 1<H/W
(V) 1<S/W<3
(vi) 0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
[但し、T:底板の厚み、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、およびS:圧電振動子の間隔(各々の単位:mm)、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である。]
後に詳しく説明するように、本発明の超音波洗浄装置20は、洗浄槽11の底板13の下面に固定された複数個の圧電振動子15a、15b、15c、〜に、電源(図4:16)にて発生した所定の周波数の交流電圧を付与することによって作動する。そして、前記の所定の周波数の交流電圧の付与により、複数個の圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々にて超音波振動が発生し、この超音波振動が底板13に伝達して底板13が超音波振動し、そして底板13の超音波振動が洗浄液17を介して洗浄対象の物品18に伝達して前記の物品18の洗浄が行なわれる。
図5は、超音波洗浄装置20を作動させることで超音波振動する底板13の振動変位を示す模式図である。図5に記入した破線は、底板13の振動変位を示している。
図5に示すように、本発明の超音波洗浄装置では、洗浄槽の底板13に、圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子(例えば、圧電振動子15a及び圧電振動子15b)の間の底板部分とが底板13の厚み方向に互いに逆相で超音波振動する特定の超音波振動を励起する。すなわち、本発明の超音波洗浄装置20においては、前記の特許文献1の超音波洗浄装置のように底板での撓み振動の発生を抑制するのではなく、これとは逆に洗浄槽の底板13を積極的に撓ませながら超音波振動させる。
本発明の超音波洗浄装置は、前記のように底板を積極的に撓ませながら超音波振動させるため(底板に前記の特定の超音波振動を励起し易くするため)、洗浄槽の底板の下面に、この底板の厚みに応じて所定のサイズに設定された複数個の圧電振動子を所定の間隔を介して幅方向に整列配置された状態で固定して構成された超音波洗浄器と、前記の各々の圧電振動子に所定の周波数の交流電圧を付与する電源とを備えていることに主な特徴がある。
次に、本発明の超音波洗浄装置20の構成の理解を容易とするため、この超音波洗浄装置20を用いて実施される超音波洗浄方法(本発明の超音波洗浄方法)について、添付の図1を参照しながら説明する。
本発明の超音波洗浄方法は下記の(1)〜(3)の工程を順に実施することからなる。
(1)下記の式(i)の関係を満足する厚みを持つ底板13を備えた洗浄槽11の底板13の下面に、底板13の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する幅及び高さを有する、高さ方向に分極処理された複数個の圧電振動子15a、15b、15c、〜を、下記の式(V)の関係を満足する間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定してなる超音波洗浄器10を用意する工程。
(i) 0.5mm<T<10mm
(ii) 0.3<W/T<1.2
(iii) 0.5<H/T<3.0
(iv) 1<H/W
(V) 1<S/W<3
[但し、T:底板の厚み、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、そしてS:圧電振動子の間隔(各々の単位:mm)である。]
(2)洗浄槽11に洗浄液17と洗浄対象の物品18とを収容する工程。
(3)各々の圧電振動子に、電源(図4:16)にて発生させた、前記の洗浄槽11の底板13の厚み及び底板の材料に固有の音速値に対して下記の式(vi)の関係を満足する周波数を持つ交流電圧を付与することにより、各々の圧電振動子を高さ方向に互いに同相で超音波振動させると共に、圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子(例えば、圧電振動子15a及び圧電振動子15b)の間の底板部分とを底板13の厚み方向に互いに逆相で超音波振動させ、この底板13の超音波振動を洗浄液17を介して洗浄対象の物品18に伝達させて前記物品18を洗浄する工程。
(vi) 0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
[但し、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である。]
以下、本発明の超音波洗浄装置、そして本発明の超音波洗浄方法に用いられる超音波洗浄器の構成を、図1から図4に示す超音波洗浄装置20が備える超音波洗浄器10を代表例として詳しく説明する。
超音波洗浄器10の洗浄槽11は、洗浄槽本体12、パッキン14、そして底板13をボルト19で締め付け固定することによって構成されている。洗浄槽11の構成は、その底板13を除き公知の洗浄槽と同様である。
本発明に用いる超音波洗浄器の底板は、下記の式(i)の関係を満足する厚み(T:単位mm)に設定される。底板の厚みが10mm以上であると、前記の特定の超音波振動を励起するために底板を撓ませすることが難しくなり、0.5mm以下であると、底板の機械的な強度が低下して、例えば、洗浄槽内に洗浄対象の物品が落下した場合に底板が破損し易くなる。
(i) 0.5mm<T<10mm
底板を撓み易くするため、底板の厚みは、0.5mm<T<5mmの関係を満足することが好ましい。
底板の材料は、公知の洗浄槽の場合と同様であり、その代表例としては、ステンレススチール(音速値Vs:5790m/秒)、チタン(音速値Vs:5990m/秒)、およびホウケイ酸ガラス(音速値Vs:5640m/秒)が挙げられる。
図1に示す超音波洗浄器10の底板13は、ステンレススチールから形成されており、その厚み(T)は、前記の式(i)の関係を満足するように3mmに設定されている。
底板の下面には、複数個の圧電振動子が固定される。本発明においては、前記の底板の厚みに応じて各々の圧電振動子のサイズを設定する。具体的には、各々の圧電振動子の幅(W:単位mm)及び高さ(H:単位mm)は、洗浄槽の底板の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する値に設定される。
(ii) 0.3<W/T<1.2
(iii) 0.5<H/T<3.0
(iv) 1<H/W
このように、本発明においては、洗浄槽の底板の下面に固定する各々の圧電振動子の幅(W)を、洗浄槽の底板の厚み(T)に対して、前記の式(ii)、すなわち0.3<W/T<1.2の関係を満足する値に設定する。
圧電振動子の幅と洗浄槽の底板の厚みとの比(W/T)が0.3以下の圧電振動子、すなわち底板の厚みに対して極端に幅が小さい圧電振動子を用いると、底板が、この底板に固定された圧電振動子に殆ど拘束されることなく自由に撓むことができるようになるため、底板に圧電振動子の配列とは無関係な様々な種類の超音波振動が励起し易くなる。その一方で、前記の比(W/T)が1.2以上の圧電振動子、すなわち底板の厚みに対して極端に幅が大きい圧電振動子を用いると、底板が、この底板に固定された圧電振動子に強く拘束されて撓み難くなるため、圧電振動子に付与する交流電圧の振幅の大きさ(圧電振動子に付与する電力の大きさ)に対して、底板に励起される前記の特定の超音波振動の振幅が小さくなる。すなわち、底板に前記の特定の超音波振動を効率良く励起することが難しくなる。
底板に圧電振動子の配列とは無関係な超音波振動が励起することを十分に抑制し、かつ底板に前記の特定の超音波振動を更に効率良く励起するため、圧電振動子の幅(W)及び底板の厚み(T)は、0.3<W/T<1.0(特に、0.5<W/T<0.8)の関係を満足することが好ましい。
図1に示す超音波洗浄器10の底板13の厚み(T)は3mmであり、そして複数個の圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々の幅(W)は、前記の式(ii)の関係を満足するように2mmに設定されている。すなわち、前記の比(W/T)の値は、0.67に設定されている。
また、本発明においては、洗浄槽の底板の下面に固定する各々の圧電振動子の高さ(H)を、洗浄槽の底板の厚み(T)に対して、前記の式(iii)、すなわち0.5<H/T<3.0の関係を満足する値に設定する。
圧電振動子の高さと洗浄槽の底板の厚みとの比(H/T)が0.5以下の圧電振動子を用いると、圧電振動子に対する負荷(圧電振動子の上方の底板部分)が大きくなるため、底板が撓み難くなる。このため、圧電振動子に付与する交流電圧の振幅の大きさ(圧電振動子に付与する電力の大きさ)に対して、底板に励起される前記の特定の超音波振動の振幅が小さくなる。すなわち、底板に前記の特定の超音波振動を効率良く励起することが難しくなる。
一方、底板に励起する前記の特定の超音波振動は、図5に示すように、圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子(例えば、圧電振動子15a及び圧電振動子15b)の間の底板部分とが、互いにバランスしながら底板の厚み方向に逆相で振動する超音波振動である。このため、圧電振動子の高さと洗浄槽の底板の厚みとの比(H/T)が3.0以上の圧電振動子を用いると、前記の両者の底板部分の互いの質量の差が大きくなり両者の底板部分のバランスが崩れるため、底板に、前記の特定の超音波振動が励起し難くなり、これに代えて圧電振動子の配列とは無関係な超音波振動が励起し易くなる。よって、圧電振動子に付与する交流電圧の振幅の大きさ(圧電振動子に付与する電力の大きさ)に対して、底板に励起される前記の特定の超音波振動の振幅が小さくなる。すなわち、底板に前記の特定の超音波振動を効率良く励起することが難しくなる。
圧電振動子が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子の間の底板部分とを良好にバランスさせ、底板に前記の特定の超音波振動を効率良く励起するため、圧電振動子の高さ(H)及び底板の厚み(T)は、0.5<H/T<1.8(更には、0.5<H/T<1.5、特に、0.75<H/T<1.25)の関係を満足することが好ましい。
図1に示す超音波洗浄器10の底板13の厚み(T)は3mmであり、そして複数個の圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々の高さ(H)は、前記の式(iii)の関係を満足するように3mmに設定されている。すなわち、前記の比(H/T)の値は、1.0に設定されている。
また、本発明においては、洗浄槽の底板の下面に固定する各々の圧電振動子の幅(W)及び高さ(H)を、互いに前記の式(iv)、すなわち1<H/Wの関係を満足する値に設定する。
本発明においては、洗浄槽の底板の下面に固定された各々の圧電振動子をその高さ方向に超音波振動させる。各々の圧電振動子は、その高さ(H)及び幅(W)の各々に対応する共振周波数を持っている。そして圧電振動子は、その高さ(H)に対応する共振周波数と同一の周波数を持つ交流電圧を印加した場合に、圧電振動子に付与された電気エネルギーが効率良く機械エネルギー(超音波振動)に変換され、高さ方向に大きな振幅で超音波振動する。
前記のように、各々の圧電振動子は、前記の式(iv)に従い、その幅(H)よりも大きな高さ(H)を持っているため、その高さ方向の共振周波数(固有振動数)は、幅方向の共振周波数よりも低い値を示す。このため、前記のように各々の圧電振動子を高さ方向に超音波振動させた際に、圧電振動子は幅方向に機械的に共振し難い、すなわち幅方向に振動する超音波振動を発生し難い。従って、各々の圧電振動子に付与された交流電圧(電気エネルギー)は、圧電振動子の高さ方向(一部分は長さ方向)に振動する超音波振動(機械エネルギー)に効率良く変換される。すなわち、各々の圧電振動子は、その幅方向に振動する超音波振動の発生が抑制され、高さ方向に大きな振幅にて振動する超音波振動を発生する。
一方、圧電振動子の高さ(H)と幅(W)との比(H/W)が大きすぎると、圧電振動子の幅が小さくなり過ぎてその製造が難しくなる。このため、圧電振動子の高さ(H)と幅(W)は、1<H/W<3(特に、1.2<H/W<2)の関係を満足することが好ましい。
図1に示す超音波洗浄器10においては、前記の式(iv)の関係を満足するように、圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々の高さ(H)が3mmに、そして幅(W)が2mmに設定されている。すなわち、前記の比(H/W)の値が1.5に設定されている。
また、本発明においては、洗浄槽の底板の下面に、前記のように所定の形状に設定された複数個の圧電振動子を、前記の式(V)、すなわち1<S/W<3の関係を満足する間隔(S)を介して幅方向に整列配置した状態で固定する。その理由は、次の通りである。
図6は、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を0.5に設定した底板13及び複数個の圧電振動子15a、15b、15c〜(以下、複数個の圧電振動子が固定された底板を振動板と云う)の構成を示す模式図である。仮にこの振動板の底板13に前記の特定の超音波振動を励起させるなら、底板13が図6に破線で記入した振動変位を示す必要がある。この振動変位の節(N)の位置は、底板13の振動振幅が零である(底板が変位しない)ことを意味する。ところが、この振動変位の節(N)は、圧電振動子15aの上方に位置するため、底板13が図6に破線で記入した振動変位を示すことは困難である。このため、図6の振動板の底板13に前記の特定の超音波振動は極めて励起し難い。
図7は、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を1.0に設定した振動板の構成を示す模式図である。このように、圧電振動子の間隔(S)を幅(W)に対して次第に大きな値に設定し、そして前記の比(S/W)が1.0に達すると、図に破線で示す底板13の振動変位の節(N)が圧電振動子15aの幅方向の端部に配置される。すなわち、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)が1.0を超えると、底板13に前記の特定の超音波振動が励起し易くなることがわかる。
図8は、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を2.0に設定した振動板の構成を示す模式図である。このように、前記の比(S/W)を1.0を超える値に設定することにより、圧電振動子が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子の間の底板部分とが底板の厚み方向に互いに逆相で超音波振動し、底板に前記の特定の超音波振動が励起する。
図9は、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を3.0に設定した振動板の構成を示す模式図である。このように、前記の比(S/W)を3.0以上の値に設定すると、底板13に前記の特定の超音波振動は励起するものの、底板13に更に図9に破線で示す高次の振動変位が生じ易くなる。このため、圧電振動子に付与する交流電圧の振幅の大きさ(圧電振動子に付与する電力の大きさ)に対して、底板13に励起される前記の特定の超音波振動の振幅が小さくなる。すなわち、底板13に前記の特定の超音波振動を効率良く励起することが難しくなる。更に、底板13の単位面積に対して固定される圧電振動子の数が少なくなり、複数個の圧電振動子によって底板13を十分に超音波振動させることが難しくなるため、洗浄対象の物品を洗浄する能力(洗浄力)が低下する。
底板に前記の特定の超音波振動を効率良く励起し、かつ十分な洗浄力を発揮させるため、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)は、1.5W<S<2.5Wの関係を満足することが好ましい。
図1に示す超音波洗浄器10の底板13には、各々幅(W)が2mmに設定された複数個の圧電振動子が、4mmの間隔(S)を介して幅方向に整列配置された状態で固定されている。すなわち、圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)の値は2.0に設定されている。
そして、本発明の超音波洗浄装置には、洗浄槽の底板の厚み(T:単位mm)及び底板の材料に固有の音速値(Vs:m/秒)に対して前記の式(vi)の関係、すなわち0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)を満足する周波数(f:単位kHz)の交流電圧を発生可能な電源(図4:16)が備えられている。そして、この電源が発生する所定の周波数を持つ交流電圧を各々の圧電振動子に付与することにより、洗浄槽の底板に前記の図5(あるいは図8)に破線で示すような振動変位が生じ、底板に前記の特定の超音波振動が励起する。
この式(vi)において、Vs/(2×T)は、底板の厚み方向の共振周波数(fp)を意味している。このような共振周波数(fp)と同一の周波数を持つ交流電圧を各々の圧電振動子に付与し、各々の圧電振動子にて前記の共振周波数(fp)にて振動する超音波振動を発生させると、この超音波振動が付与された底板が厚み方向に共振して、その厚みが拡大、次いで縮小する変位を繰り返しながら超音波振動する。
図10は、振動板の各々の圧電振動子に、底板の共振周波数(fp)と同じ周波数を持つ交流電圧を付与した場合の底板の振動変位を模式的に示す図である。図10に示す振動板の構成は、底板23の厚みが6mmに設定されていること以外は図1に示す洗浄装置20が持つ振動板と同様である。この底板23の材料であるステンレススチールの音速は5790m/秒であるため、この底板の共振周波数(fp)は、5790(m/秒)/2×6(mm)=482.5kHzである。従って、図10に示す振動板の複数個の圧電振動子15a、15b、15cの各々に、前記の共振周波数(fp)あるいはその近傍の周波数を持つ交流電圧を付与すると、底板が厚み方向に共振して図10に破線で示す振動変位を示すため、前記の特定の超音波振動は励起しない。
従って、本発明では、底板に図10に破線で示すような振動変位を生じさせないように、各々の圧電振動子に印加する交流電圧の周波数(f)を、底板の厚み方向の共振周波数fp(=Vs/(2×T))の0.8倍以下の値に設定する。一方、各々の圧電振動子に付与する交流電圧の周波数が低すぎると、各々の圧電振動子にて発生する超音波振動の波長が振動板のサイズ(底板の厚みや圧電振動子の間隔)に対して極端に長くなるため、底板に前記の特定の超音波振動が励起し難くなる(底板に圧電振動子の配列とは無関係な超音波振動が励起し易くなる)。また、洗浄液中に伝達する超音波振動の周波数が低くなるため、超音波洗浄を行なう際に洗浄液中でキャビテーションを生じて洗浄対象の物品にダメージが付与される場合もある。このため前記周波数(f)は、底板の厚み方向の共振周波数(fp)の0.2倍以上の値に設定する。
底板をその厚み方向に共振させることなく、かつ底板に圧電振動子の配列とは無関係な超音波振動が励起することを抑制するため、各々の圧電振動子に付与する交流電圧の周波数(f)は、底板の材料の音速値(Vs)及び厚み(T)に対して、0.3×Vs/(2×T)<f<0.7×Vs/(2×T)の関係、特に、0.4×Vs/(2×T)<f<0.6×Vs/(2×T))の関係を満足することが好ましい。
図1に示す超音波洗浄器10の底板13は、ステンレススチール(音速値Vs:5790m/秒)から形成されており、その厚み(T)は3mmに設定されている。従って、この超音波洗浄器の各々の圧電振動子には、前記の式(vi)の関係を満足する、周波数が430kHzの交流電圧が印加される。
そして、各々の圧電振動子に前記の式(vi)の関係を満足する周波数を持つ交流電圧を付与することにより、各々の圧電振動子が高さ方向に互いに同相で超音波振動すると共に、圧電振動子が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子の間の底板部分とが底板の厚み方向に互いに逆相で超音波振動し、この底板の超音波振動が洗浄液を介して洗浄対象の物品に伝達して前記物品の洗浄が行なわれる。
なお、図4に示すように、洗浄槽の底板13の下面に固定された各々の圧電振動子、例えば、圧電振動子15jは、圧電体21の頂面及び底面の各々に電極22a、22bが付設された構成を有している。各々の圧電振動子は、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤を用いて洗浄槽の底面13の下面に固定される。この接着剤により、各々の圧電振動子の頂面の電極22aと底板13とが互いに電気的に絶縁される。
圧電体21の頂面に付設された電極22aは、複数個の圧電振動子を洗浄槽の底板13の下面に固定したのち、これらの圧電振動子を電源16と電気的に接続する作業を容易にするため、圧電体21の側面にまで延長して形成されている。
各々の圧電振動子の圧電体21は、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛系の圧電セラミックから形成され、図に記入した矢印が示す方向(圧電振動子の高さ方向)に分極処理されている。そして電極22a、22bの各々としては、例えば、厚みが5μm程度のリン青銅や銀などの金属材料から形成された薄膜が用いられる。
洗浄槽の底板13の下面に固定された複数個の圧電振動子は、例えば、電気配線24a、24bを介して互いに電気的に並列に接続された状態にて電源16に電気的に接続される。そして、この電源16にて発生する前記の(vi)式の関係を満足する周波数を持つ交流電圧を各々の圧電振動子に付与することにより、複数個の圧電振動子を高さ方向に互いに同相で超音波振動させることができる。
なお、複数個の圧電振動子のうち、幾つかの圧電振動子の圧電体が上向きに(図4に記入した矢印が示す方向)分極処理され、残りの圧電振動子の圧電体が下向きに分極処理されていてもよい。この場合、上向きに分極処理された圧電体を持つ複数個の圧電振動子と、下向きに分極処理された圧電体を持つ複数個の圧電振動子とに、それぞれ前記の式(vi)の関係を満足する互いに逆相の交流電圧を印加すれことにより、全ての圧電振動子を高さ方向に互いに同相で超音波振動させることができる。
また、本発明において、圧電振動子の長さ(L)及び幅(W)は、前記の式(vii)の関係、すなわち2<L/W<200を満足することが好ましい。このように、圧電振動子の長さを幅に対して大きな値に設定することにより、洗浄槽の底板が、複数個の圧電振動子により補強されて圧電振動子の長さ方向に撓み難くなる。このため、洗浄槽の底板が圧電振動子の幅方向にのみ撓み易くなり、底板に前記の特定の超音波振動が効率良く励起する。
次に、前記のように洗浄槽の底板に特定の超音波振動を励起することの利点について、各種の構成の振動板を作製して行なった実験結果に基づいて説明する。
先ず、幅及び長さの各々が100mmで、厚み(T)が2mmのステンレススチール製の底板の下面に、各々幅(W)が2mm、高さ(H)が3mm、そして長さが58mmの複数個の圧電振動子を、1mmの間隔(S)を介して幅方向に整列配置した状態にて固定して振動板を作製した。そして、圧電振動子の間隔(S)を、それぞれ2mm、3mm、4mm、そして5mmに設定すること以外は前記の振動板と同様にして振動板を作製した。すなわち、各々底板の厚みが2mmで、圧電振動子の間隔が異なる値に設定された合計で5枚の振動板を作製した。但し、複数個の圧電振動子が、各々の底板の下面の概ね同程度の領域に固定されるように、圧電振動子の間隔(S)の値を1mm、2mm、3mm、4mm、そして5mmに設定する場合には、それぞれ底板の下面に20個、15個、12個、10個、そして9個の圧電振動子を固定した。
次に、厚み(T)が3mmの底板を用いること以外は前記と同様にして、各々底板の厚みが3mmで、圧電振動子の間隔が異なる値に設定された合計で5枚の振動板を作製し、そして更に厚み(T)が6mmの底板を用いること以外は前記と同様にして、各々底板の厚みが6mmで、圧電振動子の間隔が異なる値に設定された合計で5枚の振動板を作製した。
図11は、作製した合計で15枚の振動板の共振周波数を示すグラフである。図11のグラフの横軸は圧電振動子の間隔(S)であり、そして縦軸は振動板(複数個の圧電振動子が固定された底板)の共振周波数(fx)である。
図11に示すように、底板の厚みが6mmの振動板の共振周波数(fx)は、圧電振動子の間隔(S)に依らずに概ね一定の値を示すことが分かる。これは、振動板の底板に、圧電振動子の配列とは無関係な超音波振動(例えば、底板が図10に破線で示す振動変位を示す超音波振動)が励起していることを意味している。これに対して、底板の厚みが2mm、そして3mmの振動板の共振周波数(fx)は、圧電振動子の間隔(S)に応じて変化していることが分かる。これは、底板に圧電振動子の配列と関係する超音波振動が励起していることを意味している。
次に、前記の各々の振動板の上面の振動速度を、レーザードップラー振動計を用いて測定した。
振動速度の測定は、底板の上面の19箇所の測定位置にて行なった。例えば、図3に示すように、底板の下面に幅が2mmの圧電振動子が4mmの間隔を介して整列配置されている振動板の場合には、図に記入したXで示す19箇所の位置に対応する底板の上面の測定位置にて振動速度の測定を行なった。
圧電振動子の間隔を4mm以外の値に設定した場合も、基本的には振動速度の測定位置は前記の場合と同様であるが、底板の下面に固定された圧電振動子の配置に応じて、測定位置が底板の下面に固定された圧電振動子の幅方向の中央の位置、あるいは圧電振動子の幅方向端部から圧電振動子の幅の1/2の長さ離れた位置に対応する位置に設定されるように、測定位置の微調整を行なった。
このように、各々の振動板の底板の上面の19箇所の測定位置にて測定された振動速度の絶対値を平均して平均振動速度を算出した。そして、各々の振動板の底板の上面の平均振動速度を、各々の振動板の複数個の圧電振動子に入力した電力で除すことにより、各々の振動板について、単位入力電力当たりの平均振動速度を算出した。
図12は、各々の振動板の底板の上面の単位電力当たりの平均振動速度を(Vx)を示すグラフである。図12のグラフの横軸は圧電振動子の間隔(S:単位mm)であり、そして縦軸は振動板の底板の上面の単位入力電力当たりの平均振動速度(Vx:単位m/秒/ワット)を示している。このVxの値が大きいほど、複数個の圧電振動子に入力する電力に対して、底板の上面を効率良く(より高い速度で)超音波振動させることが可能であることを意味している。
図12に示すように、底板に圧電振動子の配列と関係する超音波振動が励起している振動板(底板の厚みが2mm、3mmの振動板)は、底板に圧電振動子の配列と無関係の超音波振動が励起している振動板(底板の厚みが6mmの振動板)と比較して、底板の上面が効率良く(より高い速度で)超音波振動していることがわかる。このように、振動板の底板の上面の振動速度が高いと、底板から洗浄液中に伝達する超音波振動の速度(これに従い超音波振動の加速度)が増加するため、洗浄対象の物品を洗浄する能力が高くなる。
また、振動板の底板の上面の速度は、圧電振動子の間隔(S)が2mmの場合(すなわち前記の比S/Wが1である場合)に最低値を示し、さらに圧電振動子の間隔が小さくなると僅かに増加する。しかしながら、圧電振動子の間隔(S)が2mm以下の場合(前記の比S/Wが1以下である場合)には、底板に前記の特定の超音波振動が極めて励起し難い。従って、圧電振動子の間隔が2mm以下に設定された振動板の底板には、前記の特定の超音波振動とは別の超音波振動が励起していると理解される。
すなわち、作製した合計で15枚の振動板をそれぞれ備える超音波洗浄器を用いて、各々の圧電振動子に振動板の共振周波数fxと同じ周波数の交流電圧を持つ交流電圧を付与して超音波洗浄を行なう場合、厚みが2mm、そして厚みが3mmの底板を備え、かつ圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)が1を超える(Sが2mmを超える)振動板、すなわち合計で6枚の振動板を用いる場合が本発明の方法の実施に該当する。
なお、前記のように本発明の超音波洗浄装置及び超音波洗浄方法に用いる振動板の共振周波数は、複数個の圧電振動子の配列によって変化するが、実験により、圧電振動子が単独で示す共振周波数(図1に示す圧電振動子の場合には、463kHz)に近い値を示すことが確認されている。すなわち、前記の式(i)〜(V)の関係の全てを満たす振動板を備える超音波洗浄器を用意して、前記の式(vi)の関係を満足する周波数(更に好ましくは、実測により得られた振動板の共振周波数fxの±20%の範囲内の周波数)を持つ交流電圧を各々の圧電振動子に付与することにより、本発明の超音波洗浄方法を実施することができる。
次に、洗浄槽の底板に励起される超音波振動について更に詳細に検討する。図13は、本発明の超音波洗浄装置の別の構成例を示す底面図である。図13に示す超音波洗浄装置40の構成は、底板43がホウケイ酸ガラス(音速値Vs:5640m/秒)から形成され、その厚みが2mmに設定されていること以外は図3に示す超音波洗浄装置20と同様である。このように、洗浄槽の底板43をガラスから形成すると、底板43の上方から圧電振動子の位置を確認することができるため、底板43の上面の振動速度の測定位置を正確に設定することができる。
そして、前記のガラス製の底板43を備える振動板の圧電振動子15a、15b、15c、〜の各々に周波数が430kHzの交流電圧を付与し、この振動板の底板43の上面の振動速度を、図13に記入した複数本の二点鎖線の交点の各々に対応する底板43の上面の測定位置にて測定した。なお、底板43に励起される超音波振動を詳細に検討するため、圧電振動子に印加する交流電圧を観測しながら、底板43が上方に変位する場合の振動速度を正とし、下方に変位する場合の振動速度を負とした。
次いで、底板43の上面の圧電振動子の長さ方向に沿う11箇所の測定位置で測定された振動速度を平均することにより、底板43の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置における平均振動速度(Vy)を算出した。
図14は、図13に示す振動板の底板43(厚み:2mm)の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置における平均振動速度(Vy)を示すグラフである。なお、底板43の上面の幅方向の位置(P:単位mm)は、図13にて最も左側に記入した二点鎖線が示す測定位置を0mmとした。
図14のグラフから明らかなように、各々の圧電振動子が固定された底板部分と、隣接する圧電振動子の間の底板部分とは互いに逆相で超音波振動していることが確認できる。
次に、底板の厚みを3mmにすること以外は図13に示す振動板と同様の構成の振動板を作製した。図15は、この振動板の各々の圧電振動子に周波数が471kHzの交流電圧を付与した場合において、底板(厚み3mm)の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置(P)における平均振動速度(Vy)を示すグラフである。
図15のグラフから明らかなように、各々の圧電振動子が固定された底板部分と、隣接する圧電振動子の間の底板部分とは互いに逆相で超音波振動していることが確認できる。
更に、底板の厚みを6mmにすること以外は図13に示す振動板と同様の構成の振動板を作製した。図16は、この振動板の各々の圧電振動子に周波数が472kHzの交流電圧を付与した場合において、底板(厚み6mm)の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置(P)における平均振動速度(Vy)を示すグラフである。
図16に示すように、この振動板の底板は、その表面の全体が一方向に変位していることがわかる。これは、各々の圧電振動子に印加した交流電圧の周波数が、底板の厚み方向の共振周波数(470kHz)と概ね等しいため、底板が厚み方向に共振して、その厚みが拡大、次いで縮小する変位を繰り返しながら超音波振動していることを示している。
本発明の超音波洗浄装置の構成例を示す一部切り欠き正面図である。但し、超音波洗浄装置の電源は記入していない。 図1の超音波洗浄装置20の一部切り欠き左側面図である。 図1の超音波洗浄装置20の底面図である。 図3に示す超音波洗浄装置20の複数個の圧電振動子と電源16との電気的接続方法を示す拡大斜視図である。 図1の超音波洗浄装置20の洗浄槽11の底板13の振動変位を模式的に示す図である。 圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を0.5に設定した振動板の構成を示す模式図である。 圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を1.0に設定した振動板の構成を示す模式図である。 圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を2.0に設定した振動板の構成を示す模式図である。 圧電振動子の間隔(S)と幅(W)との比(S/W)を3.0に設定した振動板の構成を示す模式図である。 振動板の各々の圧電振動子に、底板の共振周波数(fp)と同一の周波数を持つ交流電圧を付与した場合の底板の振動変位を模式的に示す図である。 振動板の構成と振動板の共振周波数(fx)との関係を示すグラフである。 振動板の構成と底板の上面の単位入力電力当たりの平均振動速度(Vx)との関係を示すグラフである。 本発明の超音波洗浄装置の別の構成例を示す底面図である。 厚みが2mmのガラス製の底板を用いて作製した振動板において、底板の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置における平均振動速度(Vy)を示すグラフである。 厚みが3mmのガラス製の底板を用いて作製した振動板において、底板の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置における平均振動速度(Vy)を示すグラフである。 厚みが6mmのガラス製の底板を用いて作製した振動板において、底板の上面の圧電振動子の幅方向に沿った各測定位置における平均振動速度(Vy)を示すグラフである。
符号の説明
10 超音波洗浄器
11 洗浄槽
12 洗浄槽本体
13 底板
14 パッキン
15a、15b、15c、〜、15i、15j 圧電振動子
16 電源
17 洗浄液
18 洗浄対象の物品
19 ボルト
20 超音波洗浄装置
21 圧電体
22a、22b 電極
23 底板
24a、24b 電気配線
40 超音波洗浄装置
43 底板
W 圧電振動子の幅
H 圧電振動子の高さ
L 圧電振動子の長さ
S 圧電振動子の間隔

Claims (11)

  1. 下記の式(i)の関係を満足する厚みを持つ底板を備えた洗浄槽の該底板の下面に、底板の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する幅及び高さを有する、高さ方向に分極処理された複数個の圧電振動子を、下記の式(V)の関係を満足する間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定してなる超音波洗浄器と、前記の複数個の圧電振動子に電気的に接続された下記の式(vi)の関係を満足する周波数の交流電圧を発生可能な電源からなる超音波洗浄装置:
    (i) 0.5mm<T<10mm
    (ii) 0.3<W/T<1.2
    (iii) 0.5<H/T<3.0
    (iv) 1<H/W
    (V) 1<S/W<3
    (vi) 0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
    [但し、T:底板の厚み、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、およびS:圧電振動子の間隔(各々の単位:mm)、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である]。
  2. 圧電振動子の長さ及び幅が、下記の式(vii)の関係を満足する請求項1に記載の装置:
    (vii) 2<L/W<200
    [但し、L:圧電振動子の長さ(単位:mm)である]。
  3. 底板の厚みが、0.5mm<T<5mmの関係を満足する請求項1に記載の装置。
  4. 圧電振動子の幅及び底板の厚みが、0.5<W/T<0.8の関係を満足する請求項1に記載の装置。
  5. 圧電振動子の高さ及び底板の厚みが、0.75<H/T<1.25の関係を満足する請求項1に記載の装置。
  6. 圧電振動子の高さ及び幅が、1.2<H/W<2の関係を満足する請求項1に記載の装置。
  7. 圧電振動子の間隔及び幅が、1.5<S/W<2.5の関係を満足する請求項1に記載の装置。
  8. 交流電圧の周波数が、0.4×Vs/(2×T)<f<0.6×Vs/(2×T)の関係を満足する請求項1に記載の装置。
  9. 下記の工程を含む超音波洗浄方法:
    (1)下記の式(i)の関係を満足する厚みを持つ底板を備えた洗浄槽の該底板の下面に、底板の厚みに対して下記の式(ii)及び(iii)の関係を満足し、かつ互いに下記の式(iv)の関係を満足する幅及び高さを有する、高さ方向に分極処理された複数個の圧電振動子を、下記の式(V)の関係を満足する間隔を介して幅方向に整列配置した状態で固定してなる超音波洗浄器を用意する工程
    (i) 0.5mm<T<10mm
    (ii) 0.3<W/T<1.2
    (iii) 0.5<H/T<3.0
    (iv) 1<H/W
    (V) 1<S/W<3
    [但し、T:底板の厚み、W:圧電振動子の幅、H:圧電振動子の高さ、そしてS:圧電振動子の間隔(各々の単位:mm)である];
    (2)洗浄槽に洗浄液と洗浄対象の物品とを収容する工程;および
    (3)各々の圧電振動子に、前記の洗浄槽の底板の厚み及び該底板の材料に固有の音速値に対して下記の式(vi)の関係を満足する周波数を持つ交流電圧を付与することにより、各々の圧電振動子を高さ方向に互いに同相で超音波振動させると共に、該圧電振動子が付設された底板部分と、互いに隣接する圧電振動子の間の底板部分とを底板の厚み方向に互いに逆相で超音波振動させ、この底板の超音波振動を洗浄液を介して洗浄対象の物品に伝達させて該物品を洗浄する工程
    (vi) 0.2×Vs/(2×T)<f<0.8×Vs/(2×T)
    [但し、Vs:音速値(単位:m/秒)、そしてf:周波数(単位:kHz)である]。
  10. 圧電振動子の長さ及び幅が、下記の式(vii)の関係を満足する請求項9に記載の方法:
    (vii) 2<L/W<200
    [但し、L:圧電振動子の長さ(単位:mm)である]。
  11. 交流電圧の周波数が、底板の音速値及び厚みに対して、0.4×Vs/(2×T)<f<0.6×Vs/(2×T)の関係を満足する請求項9に記載の方法。
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CN103492092A (zh) * 2011-04-28 2014-01-01 朗姆研究公司 改进的超声处理方法和装置

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