JP2009082119A - 新規な部位特異的組換え酵素認識配列及びベクター - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の部位特異的組換え系の野生型認識配列と交差反応を起こさず、且つ、組換え効率に優れた新たな変異型認識配列の提供。また、この新たな認識配列を利用し、組換え効率に優れたベクターの提供。
【解決手段】部位特異的組換え酵素遺伝子が認識して作用し得る、特定の塩基配列を有するDNA、又は、当該DNAが少なくとも2個、所定の間隔を置き、且つ同一方向を向いて配されていることを特徴とするベクター。従来の部位特異的組換え系の野生型認識配列と交差反応を起こさないため、従来の部位特異的組換え系を用いて遺伝子導入が行われ、既に野生型認識配列が導入された宿主DNAに対して更に遺伝子導入を行うことができ、且つ優れた効率を示すので、複数の有用形質を持つ組換え体を効率良く作成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、部位特異的組換え酵素が認識するDNA、及びこのDNAを有する、植物、動物、微生物に所定の遺伝子を導入するためのベクターの発明に関する。
近年、遺伝子組換え技術の進歩は目覚しく、遺伝子導入方法が種々開発され、実用化されており、その成果を活用することで、例えば、農業の分野では、従来不可能であった新規な形質を付与した組換え農作物が作出され、野外で大規模に栽培されるようになっている。
しかし、現在一般的に用いられている遺伝子導入方法には、選抜マーカー遺伝子が残留することや、遺伝子導入効率が低い等の問題がある。これらの問題を解決する方法として、部位特異的組換え系を用いる方法が検討されている。
選抜マーカー遺伝子の残留を解決するために部位特異的組換え系を用いる方法として、図2に示すように、同方向を向いた2個の部位特異的組換え酵素認識配列(以下、単に認識配列とも言う。)の間に選抜マーカー遺伝子を挟んだベクターを用いて宿主に目的遺伝子を導入し、その後、部位特異的組換え酵素(以下、単に組換え酵素とも言う。)の働きで、選抜マーカー遺伝子を除去する方法が提案されている(非特許文献1、2、特許文献1)。
上記方法で、繰り返し種々の目的遺伝子を導入できれば、複数の有用形質を持つ遺伝子組換え体を作成できる。しかしながら、遺伝子導入の各ステージで用いた認識配列の間で、目的と異なる組換え反応(以下、交差反応と言う。)が起きるという問題がある。すなわち、種々の目的遺伝子を導入するため、上記した方法により遺伝子導入処理を繰り返し行う場合、たとえば、第1ステージの遺伝子導入処理によって認識配列が既に導入されている宿主DNAに、第2ステージの遺伝子導入処理によって同一の認識配列が導入されると、図3に示すように、既に宿主DNA導入されている認識配列と、次に導入された認識配列との間で組換え反応が起こり、目的と異なる組換え体が生じる可能性がある。
したがって、交差反応を防止するために、遺伝子組換えの各ステージにおいて、部位特異的組換え系を使い分け、異なる認識配列を用いるようにする必要があるが、部位特異的組換え系の種類にも限りがある。
そこで、天然に存在する認識配列(以下、野生型認識配列と言う。)だけでは足りず、この野生型認識配列を改変し、これと組換え反応が起きないようにした変異型の認識配列を利用することが検討されている。
また、特開平10−66587(特許文献2)には、R/RS部位特異的組換え系の認識配列であるRS配列を改変し、その逆向き反復配列の一部を欠失させた変異型RS配列を用いることにより、部位特異的組換え後に残存する配列がR遺伝子により認識されにくく、同じ組換え系を用いて複数回、宿主DNAに目的遺伝子を導入できる方法が開示されている。しかしながら、RS配列の一部に変異を加えることで、遺伝子組換え効率が野生型よりも低下することが課題となっている。
以上のように、一般的に認識配列の変異体は、野生型認識配列と比較して組換え頻度が低下することが知られている。
特開平9−154580号公報 特開平10−66587号公報 デール(Dale)ら、"国立科学会誌(Proceedings of the National Academy of Science)"(米国)、1991年、第88巻、p10558−10562 ラッセル(Russel)ら、"分子及び一般発生学(Molecular and General Genetics)"(ドイツ)、1992年、第234巻、p49−59 グリーブ(Gleave)ら、"植物分子生物学(Plant Molecular Biology)"(オランダ)、1999年、第40巻、p223−235 ツォ(Zuo)ら、"自然生物工学(Nature Biotechnology)"(米国)、2001年、第19巻、p157−161
従って、本発明の目的は、従来の部位特異的組換え系の野生型認識配列と交差反応を起こさず、且つ、組換え効率に優れた新たな変異型認識配列を提供することにある。また、本発明の目的は、上記新たな変異型認識配列を利用し、組換え効率に優れたベクターを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、部位特異的組換え系の認識配列の1塩基を置換するだけで、従来の野生型認識配列より優れた組換え効率を示す変異型認識配列を見い出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、部位特異的組換え酵素が認識して作用し得る、配列番号1に示す塩基配列を有するDNA、又は、当該DNAが少なくとも2個、所定の間隔を置き、且つ同方向を向いて配されていることを特徴とするベクターに関する。
本発明の変異型認識配列によれば、従来の部位特異的組換え系の野生型認識配列と交差反応を起こさず、且つ、優れた組換え効率で組換え体を得ることができる。また、本発明のベクターによれば、従来の部位特異的組換え系を用いて遺伝子導入が行われ、既に野生型認識配列が導入された宿主DNAに対して更に遺伝子導入を行うことができ、且つ、優れた組換え効率を示すので、複数の有用形質を持つ組換え体を効率良く作成することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
部位特異的組換え酵素認識配列及び部位特異的組換え酵素遺伝子は、部位特異的組換え系の構成要素である。一般的に、部位特異的組換え系において、同一DNA分子内に2つの認識配列が同方向を向いて存在するときは、これらの認識配列を認識して働く組換え酵素の存在によって、2つの認識配列に挟まれているDNA領域が脱離する。また、同一DNA分子内に2つの認識配列が互いに逆方向を向いて存在するときは、2つの認識配列に挟まれているDNA領域が逆位を起こす。本発明の変異型認識配列(以下、RSSP1とも言う。)は、配列番号1に示す塩基配列を有するDNAからなり、この変異型認識配列RSSP1も、従来の部位特異的組換え系R/RS系の組換え酵素Rにより認識され、こうした組換え反応を起こす。しかし、その組換え効率は、同じく組換え酵素Rにより認識されて組換え反応を起こす野生型認識配列RS(以下、WRSと言う。)より高く、しかも、この野生型認識配列と交差反応を起こさない。本発明の変異型認識配列RSSP1は一般的DNA合成法で得ることができ、また、上記組換え反応を起こす認識配列として、いかなる生物においても用いることができる。
本発明のベクターは、上記したRSSP1が少なくとも2個、所定の間隔を置き、同一方向を向いて配されていることを特徴とする。
また、本発明では、これら2個のRSSP1に挟まれた内側に選抜マーカー遺伝子、及び/又は、RSSP1を認識して作用し得る部位特異的組換え酵素の遺伝子が配されたベクターを作成することができる。例えば、2個のRSSP1に挟まれた内側に選抜マーカー遺伝子、及び、RSSP1を認識して作用し得る部位特異的組換え酵素の遺伝子が配されたベクターを構築すれば、このベクターを用いて目的の生物に遺伝子を導入した場合、導入後、選抜マーカー遺伝子の発現を指標として、組換え体を効率よく選抜することができ、更に、部位特異的組換え酵素遺伝子が発現し、組換え酵素が作用することによって、選抜マーカー遺伝子を脱離させることができ、マーカーフリーの組換え体を得ることができる。さらに、2個のRSSP1に挟まれた内側に選抜マーカー遺伝子、及び/又は、RSSP1を認識して作用し得る部位特異的組換え酵素遺伝子が、外側に目的遺伝子が配されたベクターを作成することができる。例えば、2個のRSSP1に挟まれた内側に選抜マーカー遺伝子、及び、RSSP1を認識して作用し得る部位特異的組換え酵素の遺伝子が配された上記ベクターにおいて、RSSP1に挟まれた外側に目的遺伝子を配すれば、このベクターを用いて目的の生物に遺伝子を導入した場合、導入後、選抜マーカー遺伝子の発現を指標として、組換え体を効率よく選抜することができ、更に、部位特異的組換え酵素遺伝子が発現し、組換え酵素が作用することによって、選抜マーカー遺伝子を脱離させることができ、目的遺伝子のみが導入されたマーカーフリーの組換え体が得られる。
選抜マーカー遺伝子としては、本発明のベクター又は宿主DNAに組み込むことができ、宿主細胞において発現し、その発現又はその発現の消失が容易に検出できるものであれば、何でも使用することができる。例えば、植物の遺伝子導入に用いる際には、カナマイシン耐性(NPTII)遺伝子、ハイグロマイシンに対する耐性を植物に付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子等の抗生物質耐性遺伝子や、ビアラホス(bialaphos)に対する耐性を付与するホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(bar)遺伝子等の除草剤耐性遺伝子、緑色蛍光蛋白質(GFP)遺伝子などを挙げることができる。本発明においては、こうした選抜マーカー遺伝子を1以上使用することもできる。
さらに、選抜マーカー遺伝子として形態異常誘導遺伝子を用いれば、肉眼で組換え細胞の選抜が可能で、食品等に供した場合の安全性、社会的受容性が高い組換え体を作成することが可能となる(特許文献1参照)。形態異常誘導遺伝子とは、その発現によって、宿主細胞の増殖・分化の方向を狂わせて、通常とは異なる形態分化を引起こす遺伝子全般を意味する。かかる形態異常誘導遺伝子としては、例えば植物の場合では、宿主植物に矮化、頂芽優勢の崩壊、色素の変化、根頭癌腫、毛状根、葉の波打ち等を引起こす、植物ホルモン合成系遺伝子や植物ホルモンシグナルトランスダクション系遺伝子など、植物ホルモン関連遺伝子を使用することができる。
ここで、植物ホルモン合成系遺伝子とは、植物ホルモンの合成に関与するタンパク等をコードする遺伝子を意味し、植物病原菌であるアグロバクテリウム等に存在するipt(isopentenyltoransferase)遺伝子(A. C. Smigocki、L. D. Owens、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85:5131、1988)、iaaM(tryptophan monooxygenase)遺伝子(H. J. Klee et al.、GENES & DEVELOPMENT、1:86、1987)、gene5遺伝子(H. kerber et al.、EMBO Journal、10:3983、1991)、gene6b遺伝子(P. J. J. Hooyaas et al.、Plant Mol.Biol.、11:791、1988)、及びrolA〜Dのrol遺伝子群(F. F. White et al.、J. Bacteriol.、164:33、1985)等を始め、シュードモナス・シリンガエの亜種(Pseudomonas syringae subsp. savastanoi)に存在するiaaL(indoleacetic acid−lysine synthetase)遺伝子(A.Spena et al.、Mol.Gen.Genet.、227:205、1991)、更には、種々の植物のホメオボックス遺伝子やフィトクローム遺伝子等が知られている。
一方、植物ホルモンシグナルトランスダクション系遺伝子とは、ジベレリン、エチレン、オーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモンの存在を認識するセンサーや、そのセンサーからの情報を伝達していく、一連の情報伝達経路に関わるタンパクをコードする遺伝子を意味し、エチレン受容体遺伝子であるETR1遺伝子(C. Chang et al.、Science、262:539、1993)、サイトカイニン受容体遺伝子であると考えられているCKI1遺伝子(T. Kakimoto、Science、274:982、1996)とその変異体(ex.CKI2遺伝子)及びGCR1遺伝子(S. Plakidou−Dymock et al.、Current Biology、8:315、1998)の他、IBC6遺伝子及びIBC7遺伝子(I. Brandstatter、J. J. Kieber、The Plant Cell、10:1009、1998)等が知られている。
本発明を植物に適用する場合においては、これらの形態異常誘導遺伝子のいずれをも選抜マーカー遺伝子として使用することができるが、中でも特に、頂芽優勢の崩壊を引き起こすipt遺伝子や、毛状根の形成、及び毛状根から再生した植物の矮化や葉の波打ち等を引き起こすrol遺伝子群は、特徴的な形態の異常を引き起こし、植物個体の再分化を妨げることから、植物に用いる選抜マーカー遺伝子として好ましい。
本発明の目的遺伝子としては、遺伝子組換え体に優れた形質を付与できる遺伝子、遺伝子組換え体に優れた形質を付与するとは限らないが、遺伝子発現機構の研究に必要とされる遺伝子等、目的に応じて種々選択することができる。
本発明の変異型認識配列を含むベクターを宿主細胞へ遺伝子導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、ポリエチレングリコール法、融合法、高速バリスティックベネトレーション法等の物理的・化学的手法を、微生物、植物又は動物細胞への直接遺伝子導入法として使用することができる(I. Potrykus、Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol.、42:205、1991)。また、微生物や植物細胞に対しては、これらに感染するファージやウイルスや細菌を介して、間接的に遺伝子を導入することもできる。例えば植物細胞に対しては、ウイルスとしては、カリフラワーモザイクウイルス、ジェミニウイルス、タバコモザイクウイルス、ブロムモザイクウイルス等が使用でき、細菌としては、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(以下、A.ツメファシエンスと略す。)、アグロバクテリウム・リゾジェネス等が使用できる(I. Potrykus、Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol.、42:205、1991)。
本発明のベクターは、遺伝子工学的手法により遺伝子導入が可能な、いかなる生物においても用いることができる。
宿主細胞に導入された本発明のベクターは、下記の作用の項に詳説する機構により宿主DNAとの間で組換えを起こして、宿主DNAに目的遺伝子を導入する。このようにDNAが導入された宿主細胞を得、更に、この宿主細胞から組換え組織、組換え個体を得るには、本発明のベクターを用いて遺伝子導入処理を行った細胞を、適宜、目的遺伝子や選抜マーカー遺伝子による特定形質の発現又はその消失を指標として選抜を行いつつ、定法によって増殖させ、再分化させればよい。
「作用」
本発明の変異型認識配列によれば、従来の部位特異的組換え系の野生型認識配列と交差反応を起こさず、且つ、優れた組換え効率で組換え体を得ることができる。また、本発明のベクターによれば、従来の部位特異的組換え系を用いて遺伝子導入が行われ、既に野生型認識配列が導入された宿主DNAに対して更に遺伝子導入を行うことができ、且つ、優れた組換え効率を示すので、複数の有用形質を持つ組換え体を効率良く作成することができる。以下に、宿主細胞に導入された本発明のベクターと宿主DNAとの間で組換えが起こり、遺伝子が導入される機構を説明する。
2個のRSSP1に挟まれた内側には、選抜マーカー遺伝子とこのRSSP1を認識して作用し得る部位特異的組換え酵素の遺伝子が、外側には目的遺伝子が配されたベクターの場合、これが第1ステージの遺伝子導入処理によって野生型認識配列が既に導入されている宿主細胞に導入されると、導入後、選抜マーカー遺伝子の発現により組換え体を選抜することができる。さらに、部位特異的組換え酵素遺伝子を発現させ、組換え酵素を作用させることによって、選抜マーカー遺伝子を脱離させることができ、2つめの目的遺伝子が導入されたマーカーフリーの組換え体が得られる。この際、第1ステージの遺伝子導入の際に使用された野生型認識配列と、本発明の変異型認識配列は、交差反応が起こらないため、複数の有用形質を持つマーカーフリー組換え体を作成することが可能となる(図4)。
以下、実施例に従って発明の詳細を説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、更に詳細な実験操作は、特に述べる場合を除き、Molecular Cloning (Sambrook et al.、1989)、又は製造業者の取り扱い説明書に従い行った。
[実施例1]
<ベクターの作成>
組換え酵素R遺伝子発現用プラスミドとして、プラスミドpACYC184((株)ニッポン・ジーンより購入)のEcoRI及びHindIII部位間に、LacZプロモーターとポリアデニル化シグナルに連結した部位特異的組換え酵素Rの構造遺伝子を導入し、プラスミドpACREを構築した。
次に、組換え検出用のプラスミドとして、プラスミドpUC18(宝酒造(株)より購入)のPstI部位に、クロラムフェニコール耐性遺伝子の両端に種々の認識配列を2つ、同方向を向けて連結した構造を含むプラスミドを構築した。用いた認識配列を表1に、2つの認識配列の組み合わせとベクター名を表2に示す。
Figure 2009082119
Figure 2009082119
<In vivoにおける組換え頻度の検討>
E.coli DH5α株(東洋紡績(株)より購入)にプラスミドpACYC184及び組換え検出用のプラスミドをそれぞれ導入し、テトラサイクリンとアンピシリンを含む寒天培地上で37℃、12時間培養した。選抜されたコロニーをそれぞれ、テトラサイクリンとアンピシリンを含むLB液体培地で12時間培養し、得られた菌体よりプラスミドを抽出した。得られたプラスミドを制限酵素BglII及びSphIで切断し、組換えが起きたことを示す断片の濃さを視覚的に判断することで、組換えの頻度を判定した。結果を表2に示す。
表2に示すとおり、pMSP1は野生型認識配列の組み合わせであるpMTRSより高い組換え頻度であった。一方、pMSP2、pMSP3、pMSM1、pMSM2では、pMTRSよりやや劣る組換え頻度が確認された。また、pMR1はpMTRSより顕著に組換え頻度が低く、pMR2では組換えが検出できなかった。さらに、変異型認識配列と野生型認識配列の組合せであるpWMSP1、pWMSP2及びpWMSP3においても組換えがほとんど検出できなかったことから、変異型認識配列RSSP1、RSSP2及びRSSP3は、それぞれの認識配列同士では組換えが起こるものの、野生型認識配列RSWとは組換えが起きないことが示された。
[実施例2]
<ベクターの作成>
プラスミドpMTRS、pMSP1及びpWMSP1のEcoRI及びHindIII部位間にCAMV−35Sプロモーターとポリアデニル化シグナルに連結した部位特異的組換え酵素Rの構造遺伝子(以下、CAMV−35SP/R/T遺伝子と略記する。)を導入し、プラスミドpMTRS35R及びpMSP135R、pWMSP35Rを構築した。
さらに、プラスミドpMTRS35R、pMSP135R及びpWMSP35Rから、2個の認識配列及びこれらの認識配列に挟まれたクロラムフェニコール耐性遺伝子とCAMV−35SP/R/T遺伝子を含む部分を、Sse8387I部位で切り出し、pBI121のSse8387I部位に連結して、プラスミドp121MTRS35R、p121MSP135R及びp121WMSP35Rを構築した。
<アグロバクテリウムへのベクターの導入>
A.ツメファシエンス4404株を、10mlのYEB液体培地(ビーフエキス5g/l、酵母エキス1g/l、ペプトン1g/l、ショ糖5g/l、2mM MgSO、22℃でのpH7.2(以下、特に示さない場合、22℃でのpHとする。))に接種し、OD630が0.4から0.6の範囲に至るまで,28℃で培養した。培養液を、6900×g、4℃、10分間遠心して集菌した後、菌体を20mlの10mM HEPES(pH8.0)に懸濁して、再度6900×g、4℃、10分間遠心して集菌し、得られた菌体を200μlのYEB液体培地に懸濁して、これをプラスミド導入用菌液とした。
次いで、プラスミド導入用菌液50μlと、(1)で作成したプラスミドp121MTRS35R、p121MSP135R及びp121WMSP35Rの各3μlを0.5mlチューブ内で混合し、エレクトロポレーション(ジーンパルサーIIシステム[BIORAD社]を使用。)を行うことにより、A.ツメファシエンス4404株にこれらのベクターを導入した。エレクトロポレーション後の菌体は、200μlのYEB液体培地を加えて25℃で1時間振とう培養してから、50mg/lカナマイシン添加YEB寒天培地(寒天1.5w/v%、他の組成は上記に同じ。)に播種して、28℃で2日間培養を行った。
この培養の結果、菌コロニーを形成した菌について、更にYEB液体培地に移植して培養した後、アルカリ法でプラスミドを抽出し、これをEcoRI又はHindIIIで分解してポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、制限酵素分解物の長さを解析することにより、A.ツメファシエンス4404株へのp121MTRS35R及びp121MSP135R、p121WMSP35Rの導入を確認した。p121MTRS35Rの導入が確認された菌をLBA4404(p121MTRS35R)、p121MSP135Rの導入が確認された菌をLBA4404(p121MSP135R)、p121WMSP35Rの導入が確認された菌をLBA4404(p121WMSP35R)とした。
<タバコへのベクターの導入>
(2)で得られたLBA4404(p121MTRS35R)、LBA4404(p121MSP135R)及びLBA4404(p121WMSP35R)をタバコに感染させ、遺伝子導入した。遺伝子導入用の材料としては、培養容器内で成育させたタバコ(Nicotiana tabacum SR1、特に記載する場合を除き、以下同じ。)の葉から、中脈を取り除いて約8mm角となるようにカットして得られた葉片を用いた。
すなわち、上記のようにして得られた葉片20片を、LBA4404(p121MTRS35R)、LBA4404(p121MSP135R)及びLBA4404(p121WMSP35R)の菌液(OD630=0.25、YEB液体培地にて一夜培養後、滅菌水で稀釈して菌体濃度を調整。)に約1分間浸した後、滅菌した濾紙の上に置いて余分な菌液を除いてから、アセトシリンゴン50mg/lを添加した植物ホルモンを含まない(ホルモンフリー)MS寒天培地(T. Murashige and F. Skoog、Physiol. Plant.、15:473、1962、但し、寒天0.8w/v%を添加。)に、葉の裏が上になるように置床して、25℃、全明(特に記載されない限り、外植片及び植物組織の培養はこの条件で行った。)で3日間培養することで、これらの葉片にLBA4404(p121MTRS35R)、LBA4404(p121MSP135R)及びLBA4404(p121WMSP35R)を感染させた。
上記感染処理後の葉片は、6−ベンジルアミノプリン1mg/l、ナフタレン酢酸0.1mg/l、カルベニシリン500mg/l及びカナマイシン200mg/lを添加したMS寒天培地に移植して培養を行うことにより、不定芽を含むカルスを再分化させた。
<遺伝子導入されたタバコの分析>
得られたLBA4404(p121MTRS35R)、LBA4404(p121MSP135R)及びLBA4404(p121WMSP35R)を導入したカルスを各10個分離し、染色体DNAをFast DNA Kit (BIO 101 Inc.)により抽出し、CAMV35Sプロモーターに結合する配列番号11に示すプライマー35at2(5’−tgatgagacctgctgcgtaa−3’)及びnptII遺伝子に結合する配列番号12に示すプライマーkm1(5’−agaggctattcggctatgac−3’)、GUS遺伝子に結合する配列番号13に示すプライマーG1(5’−gtggaattgatcagcgttgg−3’)及び配列番号14に示すプライマーG2(5’−gcaccgaagttcatgccagt−3’)を用い、以下のようにしてPCR分析を行った。この場合において、分析したDNA上に、p121MTRS35R、p121MSP135R及びp121WMSP35RのT−DNA領域が組込まれているときには、約2000bp(G1−G2)のDNA断片が増幅されることとなる。また、p121MTRS35R、p121MSP135R及びp121WMSP35Rに存在していた、2個の認識配列に挟まれたクロラムフェニコール耐性遺伝子とCAMV−35SP/R/T遺伝子部分が、部位特異的組換えの結果切り出された場合、約1000bp(35at2−km1)のDNA断片が増幅されることとなる。
DNA1μgは、プライマー各0.2μMを含む、10mMTris−HCl(25℃でのpH8.8)、50mM KCl、1.5mM MgCl、1w/v% TritonX−100、0.1mM dNTP、並びに1.25ユニットのTaqポリメラーゼ(CETUS社より購入)を混合したPCR緩衝液50μl中に溶解し、この混合液について、94℃で1分30秒間加温した後、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で2分の加温サイクルを30回繰り返すことによりPCR反応をい、得られたPCR反応物を、アガロースゲル電気泳動により分析した。
その結果、すべてのカルスから約2000bp(G1−G2)のDNA断片が増幅された。このことは、p121MTRS35R、p121MSP135R及びp121WMSP35Rがそれぞれ組込まれていることを示している。さらに、p121MTRS35Rのカルスから10個中8個、p121MSP135Rのカルスから10個中10個、約1000bp(35at2−km1)のDNA断片が増幅された。一方、p121WMSP35Rのカルスからは約1000bp(35at2−km1)のDNA断片が増幅されなかった。結果を表4に示す。
Figure 2009082119
表4に示すとおり、p121MSP135Rは野生型認識配列の組み合わせを持つ121MTRS35Rより高い組換え頻度であった。一方、p121WMSP35Rにおいては組換え体が得られなかったことから、変異型認識配列RSSP1は、野生型のRSWとは組換えが起きないことが示された。
部位特異的組換え系を用いた遺伝子導入方法を示す説明図である。 遺伝子導入における交差反応を示す説明図である。 変異型認識配列を用いた遺伝子導入方法を示す説明図である。 実施例2で用いたプライマーと宿主DNAの関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 部位特異的組換え酵素が認識して作用し得る、配列番号1に示す塩基配列を有するDNA。
  2. 部位特異的組換え酵素が、R/RS部位特異的組換え系における組換え酵素Rであることを特徴とする、請求項1に記載のDNA。
  3. 請求項1に記載のDNAが少なくとも2個、所定の間隔を置き、且つ同方向を向いて配されていることを特徴とするベクター。
  4. 請求項1に記載のDNAが少なくとも2個、所定の間隔を置き、且つ同方向を向いて配されており、また、これら2個のDNAに挟まれた内側には、選抜マーカー遺伝子及び/又は部位特異的組換え酵素遺伝子が配されていることを特徴とするベクター。
  5. 請求項1に記載のDNAが少なくとも2個、所定の間隔を置き、且つ同方向を向いて配されており、また、これら2個のDNAに挟まれた内側には、選抜マーカー遺伝子及び/又は部位特異的組換え酵素遺伝子が、外側には目的遺伝子が配されていることを特徴とするベクター。
  6. 部位特異的組換え酵素が、R/RS部位特異的組換え系における組換え酵素Rであることを特徴とする、請求項3、4、又は5に記載のベクター。
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