JP2009080108A - 生物組織薄切切片からsem標本を作製する方法及びsem標本、並びに皮膚の状態を評価する方法 - Google Patents

生物組織薄切切片からsem標本を作製する方法及びsem標本、並びに皮膚の状態を評価する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】体積の少ない生物組織、及び/又は、パラフィン等によりブロック包埋された生物組織の薄切切片から、SEM標本を作製する。
【解決手段】生物組織薄切切片からSEM標本を作製する方法であって、a)生物組織凍結ブロックから薄切切片を切り出す工程、及び、b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程を含んで成る。
【選択図】図1

Description

本発明は生物組織のSEM(scanning electron microscope:走査型電子顕微鏡)観察用標本(以下「SEM標本」と略する)の作製方法と、かかる方法によって得られるSEM標本、並びに金コロイドで標識した抗体を目的タンパクと反応させて皮膚の状態を評価する方法に関する。
皮膚の弾性線維の主な構成成分はエラスチンとフィブリリンで、真皮結合組織では2〜3%とわずかにしか存在していないが、その伸展性の高さから皮膚の柔らかさや「はり」に重要な役割を果たすと考えられている(非特許文献1:Cay M. Kieltyら; Elastic Fibres J Cell Sci, 115 (14), 2817-2828, 2002)。正常皮膚では真皮乳頭層直下から真皮に向かって細かい線維が垂直に伸びているが、露光部皮膚では細かい弾性線維が凝集して真皮に沈着するという現象が発生し、これは日光弾性線維症(solar elastosis)と呼ばれる。弾性線維をSEMで観察するには、ギ酸による化学的消化(非特許文献2:平野 寛、宮澤七郎、「よくわかる電子顕微鏡技術」、99〜112、朝倉書店(1992))や高温高圧処理(非特許文献3:Tsuji T ; Scanning electron microscopy of dermal elastic fibres in transverse section British J Dermatol, 106, 545-550, 1982)を行うことによって弾性線維以外の皮膚構成成分を消化し、弾性線維を露出させる方法が知られている。しかしながら、皮膚では組織中に含まれる弾性線維の量が少なく、かかる線維を露出させる条件設定が難しいことから、ヒト皮膚の弾性線維の立体構造を詳細にSEMで観察した例はまだ少ないのが現状であった。皮膚の加齢に伴う弾性線維とコラーゲン線維の分布の変化や立体構造相関をSEMで観察することは、皮膚老化メカニズムを検証する上で非常に重要である。
生物組織の標準的なSEM標本作製方法は、まず初めに生体から切り出したばかりの新鮮な組織を5〜10mm角に細切し、2.5%グルタルアルデヒドあるいはKarnovsky液で前固定する。その後1〜2%四酸化オスミウムで後固定し、エタノール上昇系列で脱水し、酢酸イソアミル等で置換し、乾燥(臨界点乾燥あるいはt−ブチルアルコール凍結乾燥)し、そして金属膜コーティングを行いSEM観察に供する(非特許文献2:平野 寛、宮澤七郎、「よくわかる電子顕微鏡技術」、99〜112、朝倉書店(1992))。この方法では5〜10mm角以上の大きさの組織が必要であるが、実際はヒト組織など貴重な試料の場合は条件を満たす大きさの組織が得られないことが多い。あるいは得られた生物組織の光学顕微鏡(以下適宜「光顕」と略する)観察用のブロックしか作製しておらず、後からSEM観察を実施する必要性が出てきてもSEM観察を諦めざるを得ないのが現状であった。
少量の生物組織又は包埋した生物組織ブロックから薄切切片を作製することは容易であるが、切片だけでは試料瓶中でさまざまな薬液を施す最中に切片が折れ曲がったり、スポイトで吸収してしまう可能性があり現実的ではない。しかし光顕観察と同じようにスライドガラスに貼付しては、SEM観察のための処理は行うことができても、SEM用の標本台に載物することができない。
以上より、体積が小さいがために標本作製が難しいごく少量の生物組織の試料、及び/又は、すでに光顕観察用にパラフィン等によりブロック包埋してしまったために、通常のSEM標本の作製が不可能な生物組織の試料から、薄切切片を切り出して、SEM用の標本台に載せることができる形態にあるSEM標本を作製できれば、生物組織中の構成成分の分布や立体構造をSEM観察するのに有用であると考えられる。
また、SEMを用いた観察の難点として、類似の構造物が多数ある場合、白黒のSEM画像上で目的の構造物とそれ以外の構造物とを識別することが非常に困難であるという点が挙げられる。数種類の化合物から成る原料などの場合は識別が比較的容易であるが、生体試料の場合には、様々なタンパク質等の構造物が複雑に入り交じって巨大な組織を形成しているため、構造物の明確な識別がとりわけ難しい。上述のように、弾性線維やコラーゲン線維等のタンパク質の分布や立体構造の変化等、皮膚組織の変化に基づいて皮膚の老化等の状態を評価する場合、皮膚組織内の弾性線維やコラーゲン線維等のタンパク質を明確に識別し、その分布や立体構造を正確に検出することが求められるが、従来のSEM観察技術ではこのような正確な検出は極めて困難である。
J Cell Sci, 115 (14), 2817-2828, 2002 よくわかる電子顕微鏡技術、99〜112、朝倉書店(1992) British J Dermatol, 106, 545-550, 1982
本発明の課題は、体積の少ない生物組織、及び/又は、パラフィン等によりブロック包埋された生物組織の薄切切片から、SEM標本を作製するための方法と、それにより得られるSEM標本を提供することにある。
また、本発明の別の課題は、生物の皮膚組織の変化に基づいて皮膚の状態を評価する方法であって、皮膚組織中のタンパク質をより明確に識別することにより、皮膚組織の変化をより正確に検出し、ひいては皮膚状態のより適切な評価を可能とした方法を提供することにある。
本発明者らは、生物組織の薄切切片からSEM標本を作製するための方法を確立するべく様々な検討を行ったところ、生物組織凍結ブロックから切り出した薄切切片を、SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに貼付し、残りの作業については標準的な標本作製方法と同じ手順を採用することにより、切片が剥離することなくSEM標本が作製できることを見出した。
更に、本発明者らは、パラフィン包埋された生物組織についても検討を行ったところ、パラフィン包埋ブロックから切り出した薄切切片を、SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに貼付し、更に貼付した該薄切切片をキシレンで脱パラフィンし、残りの作業については標準的な標本作製方法と同じ手順を採用することにより、切片が剥離することなくSEM標本が作製できることを見出した。
本発明の方法で作製したSEM標本を用いて、ヒト皮膚組織中におけるエラスチンの分布をSEMで観察したところ、同一組織のSEM標本を抗ヒトエラスチンモノクローナル抗体で免疫染色した場合と同様のエラスチン分布が観察された(図1及び図2)。
また、正常ヒト皮膚(79才顎部位)の凍結切片から本発明の方法でSEM標本を作製し、SEM観察を行った。その結果、正常部位ではゆるくカーブした弾性線維が一本ずつ均一に真皮で分布している様子が観察された。
更に、本発明者等は、より適切な皮膚状態の評価方法を確立するべく鋭意検討したところ、金コロイド標識抗体を用いて免疫SEM観察を行なうことにより、皮膚組織内の弾性線維やコラーゲン線維等のタンパク質をより明確に識別することができることを見出した。更に、この免疫SEM観察を用いることにより、皮膚組織内におけるこれらのタンパク質の分布や立体構造の変化をより正確に検出することができ、ひいては皮膚状態のより適切な評価が可能となることを見出して、本発明を完成させた。
よって、本願は以下の発明を包含する:
〔1〕生物組織薄切切片からSEM(scanning electron microscope:走査型電子顕微鏡)標本を作製する方法であって、
a)生物組織凍結ブロックから薄切切片を切り出す工程、及び、
b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程を含んで成る方法。
〔2〕生物組織薄切切片からSEM標本を作製する方法であって、
a)生物組織パラフィン包埋ブロックから薄切切片を切り出す工程、
b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程、及び、
c)該薄切切片を有機溶媒で脱パラフィンする工程を含んで成る方法。
〔3〕前記薄切切片の剥離防止処理が、コーティング剤への浸漬又はコーティング剤の噴霧である、〔1〕又は〔2〕の方法。
〔4〕前記SEM標本が、生物組織中のタンパク質の分布及び/又は立体構造を観察するために使用される、〔1〕〜〔3〕のいずれかの方法。
〔5〕カバーグラスと、前記カバーグラスの少なくとも片面に貼付された生物組織薄切切片とを含んで成るSEM標本であって、
前記カバーガラスの少なくとも片面が前記薄切切片の剥離防止処理を施されてなり、前記生物組織薄切切片が前記の剥離防止処理を施された面上に貼付されてなる、SEM標本。
〔6〕前記生物組織薄切切片の厚さが1μm以上、100μm以下である、〔5〕のSEM標本。
〔7〕前記生物組織薄切切片が、生物組織凍結ブロック又は生物組織パラフィン包埋ブロックに由来する薄切切片である、〔5〕又は〔6〕のSEM標本。
〔8〕生物の皮膚組織の変化に基づいて皮膚の状態を評価する方法であって、
皮膚組織中のタンパク質の分布及び/又は立体構造を、金コロイド標識抗体を用いて免疫SEM観察することにより、前記皮膚組織の変化を検出することを含んで成る方法。
〔9〕(1)生物の皮膚組織の薄切切片からSEM標本を作製する工程、
(2)工程(1)で得られたSEM標本の薄切切片中のタンパク質に金コロイド標識抗体を結合させ、免疫SEM標本を作製する工程、及び、
(3)工程(2)で得られた免疫SEM標本を用いて、薄切切片中のタンパク質の分布及び/又は立体構造をSEM観察し、前記皮膚組織の変化を検出する工程を含んで成る、〔8〕の方法。
〔10〕工程(1)が、
(1a)生物の皮膚組織の凍結ブロックから薄切切片を切り出す工程、及び、
(1b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程を含んで成る、〔9〕の方法。
〔11〕工程(1)が、
1a)生物の皮膚組織のパラフィン包埋ブロックから薄切切片を切り出す工程、
1b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程、及び、
1c)該薄切切片を有機溶媒で脱パラフィンする工程を含んで成る、〔9〕の方法。
〔12〕工程(2)が、
2a)工程(1)で得られたSEM標本を一次抗体と反応させ、皮膚組織内の観察対象タンパク質に一次抗体を結合させる工程、
2b)工程2a)で得られた一次抗体結合標本を金コロイド標識抗体と反応させ、皮膚組織内の観察対象タンパク質に一次抗体を介して金コロイド標識抗体を結合させる工程、及び、
2c)金コロイド標識抗体の金コロイドを可視化する工程を含んで成る、〔9〕〜〔11〕のいずれかの方法。
本発明のSEM標本作製方法によれば、生物組織の凍結ブロックや包埋ブロックから薄切切片を作製し、それを予め剥離防止処理を施した適切な形状のカバーガラスに貼付することにより、体積の小さい生物組織や、すでに光顕観察用にブロック包埋してしまった生物組織からも、SEM標本を簡便に作製することができる。
本発明のSEM標本作製方法を用いることにより、同一試料ブロックのSEM観察だけでなく、光顕用の各種染色やin situ ハイブリダイゼーションなど別の実験も実施することが可能となり、貴重な組織を有効活用することができる。
また、本発明のSEM標本作製方法を用いることにより、切片の厚さと組織片の面積から体積を算出し、たとえばコラーゲン線維やエラスチン線維などの組織中に含まれる各種マトリックスの量を定量することができる。
また、本発明のSEM標本作製方法を用いることにより、連続切片を作製し、各種染色法による像の光顕観察で得られた構造と、SEM観察で得られた立体構造との対比が可能となる。
また、本発明の皮膚状態評価方法によれば、金コロイド標識抗体を用いて免疫SEM観察を行なうことにより、皮膚組織中の弾性線維やコラーゲン線維等のタンパク質をより明確に識別することができるので、皮膚組織内におけるこれらのタンパク質の分布や立体構造をより正確に検出することができ、ひいては皮膚状態のより適切な評価が可能となる。
本発明の皮膚状態評価方法は、抗原性を残した形で保存されている生物組織(例えばAMeX(Acetone Methylbenzoate Xylene)固定パラフィン包埋ブロック、OCTコンパウンド(Optimal Cutting Temperature compound)包埋凍結ブロック等)であれば、任意の生物組織に対して適用することができ、また、特異性の高い抗体を選択すれば、皮膚状態の簡便且つ適切な評価が可能となる。
本明細書において使用される「試料」とは、SEM観察の対象となる生物組織の部分である。例えば、ヒトやその他の動物の皮膚組織、爪組織、毛髪組織、臓器組織、骨組織、血液組織、筋肉組織等の部分が挙げられる。
本発明においてSEM観察され得る構造物は、多種多様な生物組織中に局在する多種多様なタンパク質の複合体であってもよい。このようなタンパク質の複合体としては、制限されるものではないが、例えばエラスチン、フィブリリン、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲン、ビトロネクチン、テネイシン、フィブリノゲン、オステオポンチン、フォン・ビルブラント因子、骨シアロタンパク質等が挙げられる。中でも好適には、エラスチン又はコラーゲン等を含有する線維状タンパク複合体である。
本発明に係る「切片」又は「薄切切片」とは、パラフィンやOCTコンパウンド(Optimal Cutting Temperature compound)などに包埋した生物組織のブロック(それぞれ「パラフィン包埋ブロック」「OCTコンパウンド包埋凍結ブロック」等という。)を、略均一の厚さに切った試料をいう。その厚さは制限されるものではないが、通常1μm以上、好適には3μm以上、より好適には10μm以上、また、通常300μm以下、好適には100μm以下、より好適には20μm以下の範囲である。切片を作製する手段としては、制限されるものではないが、ミクロトームやクリオスタット、ビブラトーム等が挙げられる。
本明細書において使用される「標本」とは、SEM観察に供するために、本発明に係る一連の処理が施され、SEM標本台載物面に載せることが可能になった状態にある試料をいう。
本発明において切片を貼付する「カバーガラス」とは、SEM標本台載物面と略同形、即ち、同一又は概ね同一の形状を有し、且つ、SEM標本台載物面と同サイズ以下、即ち、SEM標本台載物面のサイズと同一か又はそれより小さいサイズを有するカバーガラスであって、標本作製中における切片の剥離防止処理が施されたものである。その形状は、併用するSEM標本台載物面の形状に応じて異なるが、好適には略丸型又は略方型である。そのサイズも、SEM標本台載物面のサイズに応じて異なるが、好適には直径又は長径が通常1mm以上、中でも3mm以上、また、通常50mm以下、中でも32mm以下である。特に、直径15mm程度の丸型のカバーグラスが好適である。カバーガラスの厚みも制限されないが、通常0.05mm以上、中でも0.1mm以上、また、通常0.3mm以下、中でも0.2mm以下である。
本発明に係る「SEM標本台載物面」とは、SEM観察に際してSEM標本を載置する台(SEM標本台)における、SEM標本を載置する面をいう。SEM標本台は、通常は略円柱型又は略方柱型の台であり、その片側の略円形面又は略方形面がSEM標本台載物面を構成する。SEM標本台載物面の直径又は長径は、通常5mm以上、中でも10mm以上、また、通常50mm以下、中でも38mm以下である。SEM標本台として好ましくは、円柱型の直径10mm〜32mm程度の、アルミやカーボン、真鍮等から構成される台が用いられる。
本発明に係るカバーガラスの「剥離防止処理」とは、カバーガラスをコーティング剤に浸漬することによって、及び/又は、コーティング剤を噴霧することによって、その表面をコーティングする処理であり、コーティング剤と薄切切片との相互作用により薄切切片をカバーガラスにしっかり固定することを可能にする。ここでのコーティング剤は、液体又は固体状態の、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、及び/又は核酸等であってよく、好適には卵白アルブミン、牛血清アルブミン、脱脂粉乳等を含むタンパク質、デンプン、並びに酸性アミノ酸(アスパラギン酸及び/又はグルタミン酸等)及び/又は塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン及び/又はヒスチジン等)を含む高分子ポリペプチド等である。
本発明に係る「脱パラフィン」は、例えば、薄切切片を貼付けたカバーガラスを包埋カセットに入れ、ビーカー内でキシレン、アセトン等の有機溶媒によりパラフィンを除去することで達成し得る。
本発明に係るSEM標本の製造方法は、前記で定義した薄切切片への切り出しの工程及びカバーガラスへの貼付の工程(並びに、薄切切片がパラフィン包埋ブロック由来のものである場合は、脱パラフィンの工程)を有する。更に、本発明に係るSEM標本を、生物組織内のタンパク質(例えば、皮膚組織内の弾性線維やコラーゲン線維等のタンパク質)を観察する目的で使用する場合、その製造方法は、上に挙げた必須の工程に加えて、以下に挙げる公知の工程のうち、いずれか1つ又は2つ以上の工程を有することが好ましい。
(i)4%パラホルムアルデヒドまたは2%グルタールアルデヒド(0.1Mリン酸緩衝剤、pH7.4)による、12〜24時間の前固定工程。
(ii)注目のタンパク質を残すための消化処理工程。
(iii)1%四酸化オスミウムによる、4℃で1時間の後固定工程。
(iv)エタノール上昇系列による脱水工程。
(v)t−ブチルアルコールによる凍結乾燥工程。
以上の手順で作製された、本発明に係るSEM標本は、その後、SEM標本台載物面に載置され、所望によりパラジウム又はオスミウム蒸着等の処理を施された上で、SEM観察に供される。上述の前固定、消化処理、後固定、脱水、及び凍結乾燥の各工程の条件は、上に記載の条件のみならず、公知の他の条件に適宜変更して行なってもよい。また、別の工程を適宜追加してもよい。
例えば、注目のタンパク質がエラスチンである場合、そのSEM標本は、上に挙げた必須の工程に加えて、例えば90%ギ酸水溶液を用いて、45℃で6〜12時間の消化処理を行うことにより作製することができる。また、注目のタンパク質がコラーゲンである場合、そのSEM標本は、上に挙げた必須の工程に加えて、例えば2N NaOH水溶液を用いて、室温で12〜24時間の消化処理を行うことにより作製することができる。ここで述べたエラスチン又はコラーゲンを残すための消化処理工程の条件は、公知の他の条件に適宜変更してもよく、また、別の工程を適宜追加してもよい。その他のタンパク質を観察するためのSEM標本を作製する場合も、同様に公知の消化処理を適宜施すことができる。
また、本発明は、生物の皮膚組織の変化に基づいて皮膚の状態を評価する方法にも関する。この方法は、皮膚組織中のタンパク質(以下適宜「観察対象タンパク質」という)の分布及び/又は立体構造を、金コロイド標識抗体を用いて免疫SEM観察することにより、前記皮膚組織の変化を検出することを含んで成る。
「生物」とは、通常はヒト又は非ヒト哺乳類、好ましくはヒトである。
「皮膚組織」とは、表皮、真皮、皮下組織を指す。皮膚組織としては、抗原性を残した形で保存されている皮膚組織(例えばAMeX(Acetone Methylbenzoate Xylene)固定パラフィン包埋ブロック、OCTコンパウンド(Optimal Cutting Temperature compound)に包埋した凍結ブロック等)であれば、任意の皮膚組織が使用できる。
「皮膚組織の変化」としては、特に、皮膚組織(特に真皮)中のタンパク質(例えば弾性線維やコラーゲン線維等)の分布や立体構造の変化が挙げられる。
「皮膚の状態」とは、皮膚の任意の状態をさすが、特に皮膚の老化や露光変化である。
「皮膚組織中のタンパク質」(観察対象タンパク質)は、評価する皮膚の状態に応じて異なるが、例えば皮膚の老化や露光変化を評価する場合、通常は線維状タンパク質である。線維状タンパク質としては、例えば弾性線維(エラスチン等)やコラーゲン線維が挙げられる。
「金コロイド標識抗体」とは、金コロイドで標識した抗体をいう。金コロイドの粒径は制限されないが、通常0.1nm以上、好ましくは0.5nm以上、通常40nm以下、好ましくは20nm以下である。かかる金コロイド標識抗体は公知であり、可視化対象となるタンパク質の種類や使用する免疫手法に応じて適宜選択される。
なお、金コロイド以外にフェリチン粒子やラテックス球などを使用してもよい。
「免疫SEM」とは、免疫学的手法を用いて観察対象を可視化した状態で行なうSEMをいう。
通常、本発明の皮膚の状態の評価方法は、以下の工程(1)〜(3)を有する。
(1)生物の皮膚組織の薄切切片からSEM標本を作製する工程。
(2)工程(1)で得られたSEM標本の薄切切片中のタンパク質に金コロイド標識抗体を結合させ、免疫SEM標本を作製する工程。
(3)工程(2)で得られた免疫SEM標本を用いて、薄切切片中のタンパク質の分布及び/又は立体構造をSEMにより観察し、前記皮膚組織の変化を検出する工程。
工程(1)としては、上述した本発明のSEM標本の作製方法が用いられる。但し、使用する生物の皮膚組織の薄切切片としては、観察対象となるタンパク質の抗原性が保持されたものを用いる必要がある。
工程(2)としては、SEM標本の薄切切片中の観察対象となるタンパク質に金コロイド標識抗体を結合させることができれば、公知の任意の手法を用いることができるが、好ましくは、以下の工程2a)〜2c)を有する手法で実施することが好ましい。
2a)工程(1)で得られたSEM標本を一次抗体と反応させ、皮膚組織内の観察対象タンパク質に一次抗体を結合させる工程。
2b)工程2a)で得られた一次抗体結合標本を金コロイド標識抗体と反応させ、皮膚組織内の観察対象タンパク質に一次抗体を介して金コロイド標識抗体を結合させる工程。
2c)金コロイド標識抗体の金コロイドを可視化する工程。
工程2a)の一次抗体としては、通常、観察対象タンパク質に結合し得るとともに、併用する金コロイド標識抗体にも結合可能な二価の抗体を用いる。かかる抗体としては様々なものが知られており、観察対象タンパク質の種類等の条件に応じて適宜選択すればよいが、エラスチンを観察対象とする場合、一次抗体の例としては抗ヒトエラスチン抗体10B8(Chemicon, USA)が挙げられる。一次抗体を結合させるための反応の条件も、観察対象タンパク質の種類等の各種条件に応じて適宜設定すればよい。
工程2b)の二次抗体としては、一次抗体に結合可能な金コロイド標識抗体を用いる。かかる抗体としても様々なものが知られており、一次抗体の種類等の条件に応じて適宜選択すればよいが、二次抗体の例としては0.8nm金コロイド標識抗マウス抗体(Aurion, Netherlands)が挙げられる。二次抗体を結合させるための反応の条件も、観察対象タンパク質や一次抗体の種類等の各種条件に応じて適宜設定すればよい。
工程2c)の金コロイドを可視化する手法としては、種々の手法が公知であるが、例えば、銀増感試薬による金コロイドの粒子径の増幅が挙げられる。
また、以上の工程2a)〜2c)のうち、一部を変更して行なってもよい。
例えば、工程2a)及び2b)の二段階抗体反応に代えて、金コロイド標識抗体を直接、観察対象タンパク質に結合させてもよい。
また、使用する金コロイド標識抗体の金コロイドが、SEM観察時に十分認識可能であれば、工程2c)の可視化処理は省略してもよい。
工程(3)では、金コロイド標識抗体で可視化した観察対象を、通常のSEMの方式(例えば二次電子モード)によりSEM観察すればよい。但し、金コロイドを特異的に検出する方式(例えば反射電子モード)でSEM観察すれば、比較的低い倍率でも金コロイドの局在を明確に確認することができ、観察対象タンパク質の分布や立体構造を正確に認識することが可能となる。
以上の手順で、皮膚組織中の観察対象タンパク質の分布及び/又は立体構造を免疫SEM観察し、その観察結果に基づいて皮膚組織の変化を検出すれば、皮膚の状態を評価することが可能となる。
例えば、上述のように、露光部皮膚では細かい弾性線維(エラスチン等)が凝集して真皮に沈着するという現象(日光弾性線維症)が見られる。本発明の皮膚状態の評価方法によれば、皮膚組織におけるエラスチン等の弾性線維の分布及び/又は立体構造を免疫SEM観察し、日光弾性線維症の存在を皮膚組織の変化として検出すれば、皮膚の光老化等に関する評価を行なうことが可能となる。
パラフィン包埋切片を用いたヒト正常皮膚における弾性線維の観察
本実験は弾性線維の立体構造をSEMで観察することを目的とする。82歳女性耳横部のAMeX固定皮膚から3μm又は12μmの薄切切片を作製した。3μmの切片はスライドガラスに載せ、脱パラフィン後、1000倍希釈の抗ヒトエラスチンモノクローナル抗体(Chemicon;アメリカ)を用いて免疫染色を行った。12μmの切片は直径15mmの丸型カバーガラス(松浪;大阪)に貼付した。カバーガラスとしては、切片貼付面に予め剥離防止処理(コーティング剤としてポリL−リシン(poly-L-lysine)を使用)したものを使用した。試料は24時間室温で乾燥させたのち、ユニ・カセット(サクラ・ファインテックジャパン;東京)に入れてキシレンで脱パラフィンし、PBS洗浄後4%パラホルムアルデヒドで12時間固定した。次に試料を2つに分け、一方は90%ギ酸(和光純薬;大阪)水溶液に45℃6時間浸漬し、弾性線維以外のマトリックスを消化した。もう一方は2N NaOH(和光純薬)に24時間浸漬し、コラーゲン線維以外のマトリックスを消化した。化学的消化終了後、試料を1%四酸化オスミウムで4℃1時間後固定し、エタノール上昇系列で脱水後、t−ブチルアルコールで凍結乾燥(JFD−300,日本電子;東京)し、イオンスパッタE−1010(日立ハイテク;東京)で金属コーティングを施した。観察には走査型電子顕微鏡S−3000(日立ハイテク)を用いた。
以上の手順で得られた免疫染色像を図1(a)に、弾性線維(エラスチン)を露出させた組織のSEM写真を図1(b)及び(c)に示す。これらはいずれもエラスチンの局在部である。観察に用いた皮膚組織は露光部のため重度の日光弾性線維症を呈し、変性したエラスチンの凝集塊が真皮全体に沈着していた(図1(a))。ギ酸処理した組織をSEM観察したところ、表皮や皮下組織は消化され、残存した部位は免疫染色におけるエラスチン染色部位と一致していた(図1(b))。このことからギ酸処理した組織で観察された構造物は、エラスチンを主成分とした弾性線維であると考えられた。正常皮膚の非露光部では直径約0.5〜2.5μmの枝状に分かれた線維が一本ずつ独立して分布しているが(Tsuji T ; Elastic fibres in the dermal papilla British J Dermatol, 102, 413-417, 1980)、本実験で用いた試料においては、凝集塊の部分では細い線維がまず平行に寄り集まって太い線維を形成し、さらに太い線維が複雑に絡み合って巨大な凝集塊となり、非露光部とは大幅に異なる構造をとっていることが明らかとなった(図1(c))。
次に、同じ組織をNaOHに浸漬し、コラーゲン線維を露出させた試料のSEM観察を行った。その結果を図1(d)に示す。通常、コラーゲン線維は真皮結合線維の90%を占めるとされているが(「皮膚科学」、上野賢一、金芳堂、1995)、日光弾性線維症皮膚ではコラーゲン量が大幅に減少していた。コラーゲン線維が大幅に減少し、変性したエラスチンが大量に増加することによって皮膚のやわらかさや伸びやすさ等の物性にも影響が及ぶ可能性が考えられた。
OCT包埋凍結切片を用いたヒト正常皮膚における弾性線維の観察
79歳女性顎皮膚をOCTコンパウンド(サクラファインテックジャパン)に包埋し、6μm及び16μmの凍結切片を作製した。6μm厚さの切片は抗エラスチン抗体を用いた免疫染色を行い、二次抗体にはAlexa fluor 555(インビトロジェン;アメリカ)を用いた。16μmの切片は実施例1と同様に予め剥離防止処理したカバーガラスに貼付し、45℃で6時間ギ酸処理して、エラスチン線維の構造をSEMで観察した。
以上の手順で得られた免疫染色像を図2(a)に示し、弾性線維(エラスチン)を露出させた組織のSEM写真を図2(b)及び(c)に示す。図2(a)において破線で示す部分がエラスチンの局在部位である。図1(a)の皮膚と比較して、日光弾性線維症の度合いが低いことが分かる。この皮膚をSEMで観察したところ、図2(b)で示すような細かい線維が一本ずつ独立して分布した正常部位と、図2(c)で示すような線維が寄り集まって複雑な凝集塊を形成した変性部位の両方の構造が混在していた。このことから、日光弾性線維症が進行する過程においては、真皮に分布する弾性線維が全体的に変性していくのではなく、部分的に異常な部位が生じ、異常部位が広がっていくというパターンで変性していく可能性が考えられた。
AMeX固定により抗原性を保持した25歳ヒト臀部皮膚(未露光部、ヒト正常皮膚)の組織ブロックから10μm厚の切片を作製し、SEM標本台載物面と同形のカバーガラスに貼付した。カバーガラスは、予め剥離防止処理(コーティング剤としてポリL−リシン(poly-L-lysine)を使用)を施したものを用いた。カバーガラス上で、組織を一次抗体である抗ヒトエラスチン抗体10B8(Chemicon, USA)と反応させ、次いで二次抗体として0.8nm金コロイド標識抗マウス抗体(Aurion, Netherlands)を用いて反応させた。続いて、銀増感試薬(Aurion, Netherlands)で金コロイドの粒子径を増幅し、金コロイドの可視化を行なった。得られた標本を、1%四酸化オスミウムで4℃1時間後固定し、エタノール上昇系列で脱水後、t−ブチルアルコールで凍結乾燥(JFD−300,日本電子;東京)し、イオンスパッタE−1010(日立ハイテク;東京)でパラジウム蒸着を施し、日立走査型電子顕微鏡S−3000Nで免疫SEM観察を行なった。
また、上述の皮膚組織を、上述の一次抗体及び二次抗体を用いて免疫染色することにより、免疫染色像を得た。
上記手順により得られた免疫染色像を図3(a)に、免疫SEM写真を図3(b)に示す。図3(a)において、茶色に染まっている部分がエラスチンである。図3(a)の免疫染色像によれば、真皮においてエラスチンが枝状に分布している様子が分かるが、コラーゲンとの相互局在については不明である。一方、図3(b)の免疫SEM写真によれば、免疫SEMの実施により多数の金コロイド粒子(図中矢印で示す)がエラスチン線維に特異的に付着し、コラーゲン線維との明確な識別に成功している。この免疫SEM写真から、エラスチン線維はところどころでコラーゲン線維と付着し、両方の線維がお互いに足場となりながら共存していることが分かる。
次に、老化皮膚におけるエラスチン線維構造の変化を観察するため、43歳ヒト頬部皮膚(露光部、ヒト老化皮膚)の10μm厚の切片を作製し、免疫SEM標本を作製した。免疫SEM標本の作製は、基本的に実施例3と同様の手順で行なったが、金コロイドの局在をさらに強調させるため、更にオスミウム蒸着(Filgen社、日本)を行った。得られた免疫SEM標本について、SEM観察時に金コロイドを特異的に検出する反射電子モードと、通常の形態観察に用いる二次電子モードという、2通りの方法で免疫SEM画像を取得した。
反射電子モードで得られた免疫SEM画像を図4(a)及び(b)に、二次電子モードで得られた免疫SEM画像を図4(c)及び(d)に示す。反射電子モードでは、光学顕微鏡と同程度の低倍率(×200、図4(a)参照)でも、金コロイドの局在をはっきりと認識することができた。さらに倍率を上げると(×500、図4(b)参照)、露光部皮膚では正常皮膚よりもエラスチンに付着する金コロイドの数が増え、エラスチン線維が凝集している様子が観察された。
パラフィン包埋切片を用いて得られた、ヒト正常皮膚組織における弾性線維(エラスチン)の免疫染色像(図1(a))、弾性線維(エラスチン)を露出させた同組織のSEM写真(図1(b)及び(c))、及び、コラーゲン線維を露出させた同組織のSEM写真(図1(d))である。 OCTコンパウンド包埋凍結切片を用いて得られた、ヒト正常皮膚組織における弾性線維(エラスチン)の免疫染色像(図2(a))、及び、弾性線維(エラスチン)を露出させた同組織のSEM写真(図2(b)及び(c))である。 AMeX固定切片を用いて得られた、ヒト正常皮膚におけるエラスチンの免疫染色像(図3(a))、及び、金コロイド標識抗体を用いてエラスチンを識別した同組織の免疫SEM写真(図3(b))である。 反射電子モード(図4(a)及び(b))及び二次電子モード(図4(c)及び(d))で得られた免疫SEM画像である。

Claims (12)

  1. 生物組織薄切切片からSEM(scanning electron microscope:走査型電子顕微鏡)標本を作製する方法であって、
    a)生物組織凍結ブロックから薄切切片を切り出す工程、及び、
    b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程を含んで成る方法。
  2. 生物組織薄切切片からSEM標本を作製する方法であって、
    a)生物組織パラフィン包埋ブロックから薄切切片を切り出す工程、
    b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程、及び、
    c)該薄切切片を有機溶媒で脱パラフィンする工程を含んで成る方法。
  3. 前記薄切切片の剥離防止処理が、コーティング剤への浸漬又はコーティング剤の噴霧である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記SEM標本が、生物組織中のタンパク質の分布及び/又は立体構造を観察するために使用される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. カバーグラスと、前記カバーグラスの少なくとも片面に貼付された生物組織薄切切片とを含んで成るSEM標本であって、
    前記カバーガラスの少なくとも片面が前記薄切切片の剥離防止処理を施されてなり、前記生物組織薄切切片が前記の剥離防止処理を施された面上に貼付されてなる、SEM標本。
  6. 前記生物組織薄切切片の厚さが1μm以上、100μm以下である、請求項5に記載のSEM標本。
  7. 前記生物組織薄切切片が、生物組織凍結ブロック又は生物組織パラフィン包埋ブロックに由来する薄切切片である、請求項5又は6に記載のSEM標本。
  8. 生物の皮膚組織の変化に基づいて皮膚の状態を評価する方法であって、
    皮膚組織中のタンパク質の分布及び/又は立体構造を、金コロイド標識抗体を用いて免疫SEM観察することにより、前記皮膚組織の変化を検出することを含んで成る方法。
  9. (1)生物の皮膚組織の薄切切片からSEM標本を作製する工程、
    (2)工程(1)で得られたSEM標本の薄切切片中のタンパク質に金コロイド標識抗体を結合させ、免疫SEM標本を作製する工程、及び、
    (3)工程(2)で得られた免疫SEM標本を用いて、薄切切片中のタンパク質の分布及び/又は立体構造をSEM観察し、前記皮膚組織の変化を検出する工程を含んで成る、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(1)が、
    (1a)生物の皮膚組織の凍結ブロックから薄切切片を切り出す工程、及び、
    (1b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ、該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程を含んで成る、請求項9に記載の方法。
  11. 工程(1)が、
    1a)生物の皮膚組織のパラフィン包埋ブロックから薄切切片を切り出す工程、
    1b)SEM標本台載物面と略同形及び同サイズ以下であり、且つ該薄切切片の剥離防止処理を施したカバーガラスに、該薄切切片を貼付する工程、及び、
    1c)該薄切切片を有機溶媒で脱パラフィンする工程を含んで成る、請求項9に記載の方法。
  12. 工程(2)が、
    2a)工程(1)で得られたSEM標本を一次抗体と反応させ、皮膚組織内の観察対象タンパク質に一次抗体を結合させる工程、
    2b)工程2a)で得られた一次抗体結合標本を金コロイド標識抗体と反応させ、皮膚組織内の観察対象タンパク質に一次抗体を介して金コロイド標識抗体を結合させる工程、及び、
    2c)金コロイド標識抗体の金コロイドを可視化する工程を含んで成る、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
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