以下、本発明の圧力制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、流体の圧力である制御圧を制御する圧力制御装置に関する。
本実施形態の三方電磁弁(圧力制御装置、図1の符号1参照)は、圧力室(制御圧流路、図1の符号R3参照)から圧力供給部(図1の符号31参照)に供給される作動油(流体)の圧力である制御圧を制御する。
三方電磁弁1は、増圧弁と減圧弁を有している。制御圧を増圧する場合には、増圧弁を開弁し、かつ減圧弁を閉弁する。制御圧を減圧する場合には、増圧弁を閉弁し、かつ減圧弁を開弁する。増圧弁は、増圧弁弁体(第一弁体、図1の符号20参照)と増圧弁弁座(増圧弁弁座、図1の符号26c参照)を含んで構成されており、高圧室(高圧流路、図1の符号R1参照)と圧力室R3との間を開閉する。
減圧弁は、軸部(図1の符号21参照)と押圧ピストン(駆動手段、図1の符号27参照)を含んで構成されている。軸部21と増圧弁弁体20とは移動方向において直列に配置され、かつ一体に連結されている。軸部21には、圧力室R3と減圧室(減圧流路、図1の符号R2参照)とを連通させる軸部流路(図1の符号24参照)が設けられている。減圧弁により、圧力室R3と減圧室R2との間が開閉される。
圧力室R3の圧力を増圧させる場合には、コイル(図1の符号28参照)に通電される。この場合、電磁力により押圧ピストン27がリターンスプリング(図1の符号25参照)の付勢力に抗して上方に移動し軸部21に当接する。これにより、軸部流路24が閉じられる、即ち減圧弁が閉弁される。更に押圧ピストン27が上方に移動すると、増圧弁弁体20が上方に移動して増圧弁弁座26cから離間して増圧弁が開弁される。これにより、高圧室R1から圧力室R3へ高圧の作動油が流入し、制御圧が増圧される。
圧力室R3の圧力を減圧させる場合には、コイル28への通電が停止される。発生する電磁力が減少して押圧ピストン27が下方に移動する。すると、押圧ピストン27が軸部21に当接して軸部流路24を遮断したままで、押圧ピストン27、軸部21、増圧弁弁体20が下方に移動し、まず増圧弁弁体20が増圧弁弁座26cに着座する。更に押圧ピストン27が下方に移動すると、押圧ピストン27が軸部21から離間して軸部流路24が開放される。
これにより、圧力室R3の作動油は、圧力室R3から軸部流路24を通って減圧室R2に流出する。この減圧時において、軸部21は、軸部流路24の第一流路(図1の符号24a参照)から減圧弁弁座(図1の符号21a参照)と減圧弁弁体(図1の符号27b参照)との隙間を通って減圧室R2へ流れる作動油の流体力により上方側に力を受ける。即ち、リターンスプリング25の付勢力が作用する自開側に流体力を受ける。従って、減圧時に、軸部21は、制御圧によらず第一流路24aを開放する位置に適正に位置決めされることとなり、圧力制御がばらつくことはない。よって、減圧時に排出される流体の流体力の影響による制御圧の制御性の低下を抑制することができる。
図1は、本実施形態に係わる装置の概略構成図である。
図1において、符号1は、本実施形態の圧力制御装置としてのポペット式の三方電磁弁を示す。三方電磁弁1は、ハウジング11を有する。ハウジング11は、円筒形状をなす上部ハウジング12と下部ハウジング13とから構成されている。上部ハウジング12の下部に下部ハウジング13が嵌合することで、両者が一体に固定されており、ハウジング11の内部が密閉状態となっている。
ハウジング11内には、上下方向に沿って上部から下部に向けて順に上部支持孔16、中部支持孔(第二連通部)18、下部支持孔17が設けられている。中部支持孔18により上部支持孔16と下部支持孔17が連通されている。中部支持孔18は、上部支持孔16及び下部支持孔17のいずれよりも小径に形成されている。
上部支持孔16には、外部ピストン26が上部支持孔16内を上下方向に移動自在に設けられている。外部ピストン26は、円筒形状をなす支持部26aと、支持部26aの上部に設けられた円柱形状をなす受圧部26bとから構成されている。支持部26aの下部には、支持部26aの内部と外部とを連通する第一連通部26dが形成されている。支持部26aには、第一連通部26dにおける支持部26aの内部側の開口部に沿って増圧弁弁座(第一弁座)26cが設けられている。
受圧部26bの中心部には、上下方向に沿って支持孔26eが設けられている。支持孔26eは、受圧部26bの下端面に開口部を有している。外部ピストン26と上部ハウジング12との間には、リターンスプリング23が設けられている。リターンスプリング23の付勢力により、外部ピストン26が上方に付勢支持されている。
上部ハウジング12の内部には、ピストン15が設けられている。ピストン15の上部には、増圧弁弁体(第一弁体)20が設けられている。ピストン15の下部には、軸部21が設けられている。ピストン15の軸部21は、上部ハウジング12の中部支持孔18に摺動可能に支持されている。ピストン15の増圧弁弁体20は、外部ピストン26の内部に配置されており、増圧弁弁体20の上部20bは外部ピストン26の支持孔26eに摺動可能に支持されている。ピストン15は、中部支持孔18と支持孔26eで支持されて上下方向に移動することができる。増圧弁弁体20の下部には、増圧弁弁座26cに着座する半球形の弁部20aが設けられている。本実施形態の増圧弁は、増圧弁弁体20と増圧弁弁座26cを含んで構成されている。
増圧弁弁体20と外部ピストン26の受圧部26bとの間には、リターンスプリング(第一付勢手段)22が設けられている。リターンスプリング22の付勢力により、増圧弁弁体20と受圧部26bとが互いに離間する方向に付勢支持されている。増圧弁弁体20は、リターンスプリング22の付勢力により増圧弁弁座26cに着座することができる。
上部ハウジング12の下部には、鉄製のガイド19が設けられている。下部ハウジング13には、ピストン15を移動するための押圧ピストン(駆動手段)27が上下方向に沿って移動自在に支持されている。下部ハウジング13には、ガイド19及び押圧ピストン27に対向してその外側にコイル28が設けられている。押圧ピストン27のロッド27aは、ガイド19を貫通している。押圧ピストン27とピストン15の軸部21との間には、リターンスプリング(第二付勢手段)25が設けられている。リターンスプリング25の付勢力により、軸部21と押圧ピストン27とが互いに離間する方向に付勢支持されている。コイル28に電流を流すことで電磁力を発生させ、吸引力により押圧ピストン27を上方に移動することでピストン15を押圧し、ピストン15をリターンスプリング22の付勢力に抗して上方に移動することができる。
ハウジング11内には、外部ピストン26と増圧弁弁体20とによって囲まれる高圧室R1、上部ハウジング12と軸部21と押圧ピストン27のロッド27aとによって囲まれる減圧室R2、及び上部ハウジング12と外部ピストン26と軸部21とによって囲まれる圧力室R3がそれぞれ設けられている。
上部ハウジング12及び外部ピストン26には、高圧室R1と上部ハウジング12の外部とを連通する高圧ポートP1が設けられている。高圧ポートP1は、高圧ラインL1を介して高圧源29に連結されている。本実施形態の高圧流路は、高圧室R1、高圧ポートP1、及び高圧ラインL1を含む。上部ハウジング12には、減圧室R2と上部ハウジング12の外部とを連通する減圧ポートP2が設けられている。減圧ポートP2は、減圧ラインL2を介してリザーバタンク30に連結されている。本実施形態の減圧流路は、減圧室R2、減圧ポートP2、及び減圧ラインL2を含む。上部ハウジング12には、圧力室R3と上部ハウジング12の外部とを連通する制御圧ポートP3が設けられている。制御圧ポートP3は、制御ラインL3を介して圧力供給部31に連結されている。本実施形態の制御圧流路は、圧力室R3、制御圧ポートP3、及び制御ラインL3を含む。
ピストン15の軸部21には、圧力室R3と減圧室R2とを連通させる軸部流路24が形成されている。軸部流路24は、軸部21の移動方向(上下方向)に沿って設けられた第一流路24aを有する。軸部21における押圧ピストン27側の端部である下端部には、第一流路24aの開口部に沿って減圧弁弁座(第二弁座)21aが設けられている。押圧ピストン27のロッド27aの先端部には、減圧弁弁座21aに着座する減圧弁弁体27bが設けられている。押圧ピストン27がリターンスプリング25の付勢力に抗して上方に移動し、減圧弁弁体27bが減圧弁弁座21aに着座することにより、第一流路24aが遮断(閉塞)されることができる。本実施形態の減圧弁は、減圧弁弁体27bと減圧弁弁座21aを含んで構成されている。
外部ピストン26の支持孔26eには、受圧部26bと増圧弁弁体20とによって囲まれる圧力調整室R4が設けられている。受圧部26bには、受圧部26bを径方向に貫通する貫通孔26fが設けられている。貫通孔26fにより圧力調整室R4と受圧部26bの外部とが連通されている。上部ハウジング12における貫通孔26fに対応する位置には、上部ハウジング12を貫通する圧力調整ポートP4が設けられている。圧力調整ポートP4は、圧力調整ラインL4を介して減圧ラインL2に接続されている。
なお、上部ハウジング12と軸部21との間には、シール部材34が介装され、外部ピストン26と増圧弁弁体20との間にはシール部材35が介装され、上部ハウジング12と外部ピストン26との間にはシール部材36が介装されることでシール性が確保されている。また、ハウジング11は、図示しないケーシングに支持されており、上部ハウジング12とケーシングとの間には、シール部材41が介装されることでシール性が確保されている。
本実施形態の三方電磁弁1では、増圧弁を開弁するときに必要とされる駆動力が低減されるように各シール部の受圧面積が設定されている。増圧弁弁体20の弁部20aが外部ピストン26の増圧弁弁座26cに着座する第1シール部の受圧面積(第1受圧面積)A1と増圧弁弁体20が外部ピストン26の支持孔26eに摺動可能に支持される第2シール部の受圧面積(第2受圧面積)A2が概ね同じ値に設定されている。即ち、下記数式1に示すように各シール部の受圧面積が設定されている。
A1 ≒ A2 (1)
これにより、高圧室R1の圧力による影響を受けずにピストン15を上方に移動できる。このため、増圧弁弁座26cに着座した状態の増圧弁弁体20を上方に移動して増圧弁弁座26cから離間させるために必要な駆動力が低減される。
本実施形態では、高圧室R1(高圧流路)と圧力室R3(制御圧流路)とを連通させる第一連通部26dを開閉する増圧弁の増圧弁弁体20と圧力室R3と減圧室R2(減圧流路)とを連通させる中部支持孔18(第二連通部)に摺動可能に支持された軸部21とが移動方向に直列に設けられている。これにより、以下に説明するように、三方電磁弁1の摺動部における摺動抵抗が低減されることができる。
本実施形態では、増圧弁を構成する増圧弁弁体20と減圧弁を構成する軸部21とが直列に設けられている。このため、増圧弁や減圧弁等を構成する各構成要素の径が小径とされることができる。例えば、増圧弁弁体20が小径とされて第1受圧面積A1が小さな値とされることができる。これに対応して、第2受圧面積A2が小さな値であることができる。よって、三方電磁弁1の摺動部における摺動抵抗が低減されることができる。
本実施形態では、増圧弁と減圧弁が同時に開いた状態とならないように、リターンスプリング22の付勢力がリターンスプリング25の付勢力よりも大きな値に設定されている。つまり、リターンスプリング22による増圧弁弁体20のセット荷重が、リターンスプリング25による軸部21のセット荷重よりも大きな荷重に設定されている。これにより、減圧制御から増圧制御へ移行する際の減圧弁弁体27bの減圧弁弁座21aへの着座動作と増圧弁弁体20の増圧弁弁座26cからの離間動作との順序、及び増圧制御から減圧制御へ移行する際の増圧弁弁体20の増圧弁弁座26cへの着座動作と、減圧弁弁体27bの減圧弁弁座21aからの離間動作の順序が規定されている。
また、本実施形態では、増圧弁弁体20と軸部21とが移動方向に直列に配置されるだけでなく、一体に構成されている。これにより、以下に説明する効果を奏することができる。
第一に、圧力室R3の制御圧が作用する各シール部の受圧面積を所定の関係を有するように設定することで、制御圧により増圧弁に対して適切に閉弁させる力を作用させておくことができる。増圧弁の閉弁時には、圧力室R3の制御圧により、増圧弁弁体20に対して、第1受圧面積A1に対応する上向きの力(開弁させる向きの力)が作用する。制御圧による力を受けて増圧制御を行う場合以外に増圧弁が自開してしまうことは望ましくないため、制御圧が変動した場合であっても、この開弁させる向きの力に抗して確実に増圧弁を閉弁させておく必要がある。そのために、例えば、リターンスプリング22の付勢力を制御圧の最大値に応じた大きな値に設定することが考えられる。しかしながら、この場合、制御圧が低圧となっている場合に増圧弁を開弁しようとすると、押圧ピストン27による駆動力を大きな力としなければならない。
本実施形態では、制御圧により増圧弁に適切に閉弁させる力を作用させることができるように、各シール部の受圧面積が設定される。具体的には、ピストン15の軸部21が中部支持孔18に摺動可能に支持される第3シール部の受圧面積(第3受圧面積)A3が、第1受圧面積A1よりも大きな値に設定される。これにより、制御圧により軸部21に対して下方に作用する力(第3受圧面積A3に対応)が、制御圧により増圧弁弁体20に対して上方に作用する力(第1受圧面積A1に対応)よりも大きな値となる。よって、制御圧により、増圧弁を閉弁させる力を作用させることができる。また、制御圧が変動した場合であっても、確実に増圧弁を閉弁させておくことができる。
第二に、圧力室R3の制御圧が作用する各シール部の受圧面積を所定の関係を有するように設定することで、コイル28に付与する電流値と制御圧の圧力特性との関係におけるヒステリシスを低減させることができる。制御圧による増圧弁を閉弁させる力と減圧弁を開弁させる力との差が少なくなるようにそれぞれの受圧面積の間の関係が設定される。
より具体的には、第3受圧面積A3から第1受圧面積A1を減じた値が、押圧ピストン27の減圧弁弁体27bが軸部21の減圧弁弁座21aに着座する第4シール部の受圧面積(第4受圧面積)A4とより近い値となるように設定されている。ここで、第3受圧面積A3から第1受圧面積A1を減じた値(A3−A1)は、制御圧により増圧弁を閉弁させる力に対応し、第4受圧面積A4は、制御圧により減圧弁を開弁させる力に対応する。第3受圧面積A3から第1受圧面積A1を減じた値(A3−A1)と第4受圧面積A4が近い値であるほど、ヒステリシスが低減される。本実施形態では、下記数式2に示すように各シール部の受圧面積が設定されている。
A3 − A1 ≒ A4 (2)
これにより、制御圧により増圧弁を閉弁させる力と減圧弁を開弁させる力の差が小さな値となるため、制御圧の作動油によってピストン15に作用する流体力は、上下方向でバランスすることができる。その結果、制御圧が変動したとしても、その制御圧の変動の影響を受けずにピストン15を移動させることが可能となる。制御圧による増圧弁を閉弁させる力と減圧弁を開弁させる力とがバランスしていない場合には、制御圧が高圧となるほどピストン15の挙動が制御圧の影響を大きく受けることとなる。例えば、増圧制御から減圧制御へ移行する際には、制御圧が高圧となっているため、減圧制御から増圧制御に移行する際に比べて制御圧の影響がより強くなり、ピストン15が上方または下方に大きな力を受けてしまう。よって、例えば、減圧弁を閉弁させる力(拘束力)が大きなものとなる。その結果、コイル28に付与する電流値と制御圧の圧力特性との関係におけるヒステリシスが増加してしまう。
本実施形態では、制御圧により増圧弁を閉弁させる力と減圧弁を開弁させる力の差が小さな値となるように各シール部の受圧面積が設定されているため、減圧弁に作用する拘束力等が低減される。よって、コイル28に付与する電流値と制御圧の圧力特性との関係におけるヒステリシスが低減されて高精度に制御圧が制御されることができる。また、コイル28に付与する電流値を増加させる際に減圧弁が閉弁する電流値と増圧弁が開弁する電流値との差、及びコイル28に付与する電流値を減少させる際に増圧弁が閉弁する電流値と減圧弁が開弁する電流値との差をそれぞれ小さな値とすることができる。これにより、制御圧の制御性が向上し、高精度に制御圧が制御されることができる。
以上説明したように、本実施形態では、増圧弁弁体20と軸部21とが移動方向に直列に配置され、かつ一体に構成されているため、圧力室R3の制御圧が作用する各シール部の受圧面積の設定により、制御圧によらず確実に増圧弁を閉弁させたり、コイル28に付与する電流値と制御圧の圧力特性との関係におけるヒステリシスを低減させたりすることが容易に実現できる。
なお、減圧弁の閉弁時に確実に閉弁状態を保つためには、減圧弁の閉弁状態において制御圧によって生じる力の和が減圧弁を開弁させる方向に作用しないことが望ましい。このため、第3受圧面積A3から第1受圧面積A1を減じた値が第4受圧面積A4よりも大きな値とされている。即ち、下記数式3に示すように各シール部の受圧面積が設定されている。
A3 − A1 > A4 (3)
また、押圧ピストン27によりピストン15を上方に移動して増圧弁を開弁させるために必要とされる駆動力を低減するためには、制御圧によりピストン15に作用する下方へ向かう力(増圧弁を閉弁させる力)が小さいほうが有利である。このため、第3受圧面積A3から第1受圧面積A1を減じた値(正の値)を小さな値とすることが望ましい。この場合、上記数式2からわかるように、第4受圧面積A4をより小さな値とすることが要求される。このために、例えば、第一流路24aの径が減圧時に排出する作動油の流量を必要最小限確保できるような小さな値に設定されることにより、第4受圧面積A4が低減されることができる。
三方電磁弁1には、ピストン15と押圧ピストン27との初期相対位置を調整する位置調整機構51が設けられている。
位置調整機構51において、ハウジング11(上部ハウジング12)の上部には、上部支持孔16に連通し、かつ上部支持孔16より大径な取付孔52、及び取付孔52に連通し、かつ取付孔52より大径なねじ孔53が形成されている。
ねじ孔53には、位置調整用円盤54がねじ止めされている。位置調整用円盤54には、外周部にねじ部54aが形成されると共に、下方に突出する環状部54bが一体に形成されている。位置調整用円盤54は、ねじ部54aがねじ孔53にねじ込まれており、環状部54bの外周面がシール部材55を介してハウジング11の取付孔52に嵌合すると共に、内周面がシール部材56を介して外部ピストン26の外周面に嵌合している。
外部ピストン26は、リターンスプリング22により上方に付勢支持されており、外部ピストン26の上面が位置調整用円盤54の下面に当接することで外部ピストン26の位置が規定されている。位置調整用円盤54を所定の工具により回動させることにより、ハウジング11に対して位置調整用円盤54を上下に移動させることができる。位置調整用円盤54を上下に移動することで、外部ピストン26の初期位置を調整することができる。位置調整用円盤54の中心部には、位置調整用円盤54を上下方向に貫通する外部圧力室R5が形成されている。外部圧力室R5は、外部圧力ラインL5を介して圧力変換部32及び入力部33に連結されている。
外部ピストン26には、制御圧ポートP3から制御ラインL3を介して圧力供給部31に供給される圧力である制御圧が圧力室R3から上向きの力として作用する。一方、外部圧力室R5には入力部33から圧力変換部32により外部圧力ラインL5を介して外部圧が導入され、この外部圧が外部ピストン26の受圧部26bに下向きの力として作用する。なお、本実施形態では、外部圧は制御圧と等しい圧力に設定されている。
外部ピストン26は、圧力室R3からの受圧面積が外部圧力室R5からの受圧面積以上となるように外径が設定されている。即ち、外部ピストン26において、支持部26aの外径が受圧部26bの外径以上の値とされている。これにより、圧力室R3の制御圧により外部ピストン26に作用する上向きの力の大きさが外部圧力室R5の外部圧により外部ピストン26に作用する下向きの力の大きさを下回ることが抑制される。その結果、通常時(コイル28の電源系や制御系が失陥していない場合)に外部ピストン26が外部圧により下方に移動されてしまうことが抑制されている。
ここで、三方電磁弁1による圧力制御について詳細に説明する。
三方電磁弁1において、コイル28が消磁状態にあるとき、ピストン15の増圧弁弁体20はリターンスプリング22の付勢力により弁部20aが増圧弁弁座26cに着座した位置にある。また、リターンスプリング25の付勢力により押圧ピストン27の減圧弁弁体27bは軸部21の減圧弁弁座21aから離間した位置にある。従って、高圧室R1と圧力室R3とが遮断され、かつ圧力室R3と減圧室R2とが連通している。
この状態から、コイル28に通電すると、発生する電磁力により押圧ピストン27がリターンスプリング25の付勢力に抗して上方に移動し、減圧弁弁体27bが減圧弁弁座21aに着座して第一流路24aを遮断する。更に押圧ピストン27が上方に移動すると、ピストン15をリターンスプリング22の付勢力に抗して上方に移動する。これにより、増圧弁弁体20の弁部20aが外部ピストン26の増圧弁弁座26cから離間する。
従って、第一流路24aが遮断されることで減圧室R2と圧力室R3との連通が遮断される一方、増圧弁弁体20の弁部20aが外部ピストン26の増圧弁弁座26cから離間することで高圧室R1と圧力室R3とが連通される。このため、高圧源29から高圧ポートP1を通して高圧室R1に作用する圧力は、増圧弁弁体20の弁部20aと外部ピストン26の増圧弁弁座26cとの隙間を通って圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3により制御圧として圧力供給部31に供給されることとなる。
この状態から、コイル28に通電する電流値を低下させると、発生する電磁力が減少して押圧ピストン27が下方に移動する。すると、減圧弁弁体27bが減圧弁弁座21aに着座して第一流路24aを遮断したままで、ピストン15がリターンスプリング22の付勢力により下方に移動し、増圧弁弁体20の弁部20aが増圧弁弁座26cに着座する。更に押圧ピストン27が下方に移動すると、減圧弁弁体27bが減圧弁弁座21aから離間して第一流路24aを開放する。
従って、増圧弁弁体20の弁部20aが外部ピストン26の増圧弁弁座26cに着座することで高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、押圧ピストン27の減圧弁弁体27bが軸部21の減圧弁弁座21aから離間することで減圧室R2と圧力室R3とが連通する。このため、圧力室R3から制御圧ポートP3及び制御ラインL3を通して圧力供給部31に作用する制御圧は、軸部流路24から減圧弁弁座21aと減圧弁弁体27bとの隙間を通って減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク30に排出される。
この減圧時には、圧力供給部31に供給されている作動油が制御ラインL3から制御圧ポートP3に戻り、制御圧ポートP3から軸部流路24に流れ、減圧弁弁座21aと減圧弁弁体27bとの隙間を通って減圧室R2へ流れる。このとき、軸部21は、軸部流路24の第一流路24aから減圧弁弁座21aと減圧弁弁体27bとの隙間を通って減圧室R2へ流れる作動油の流体力により上方側に力を受ける。軸部21は、第一流路24aから作動油が流出する反力で、減圧弁弁座21aと減圧弁弁体27bとが離間する側、即ち、リターンスプリング25の付勢力が作用する自開側に流体力を受ける。従って、減圧時に、ピストン15の軸部21は、制御圧によらず第一流路24aを開放する位置に適正に位置決めされることとなり、圧力制御がばらつくことはない。また、押圧ピストン27は、第一流路24aから流出する作動油により、減圧弁弁座21aと減圧弁弁体27bとが離間する側、即ち、リターンスプリング25の付勢力が作用する自開側に流体力を受ける。
コイル28に連結された電源系や制御系が失陥した場合には、外部圧力室R5に供給される外部圧により外部ピストン26を介してピストン15が下方に移動され、圧力供給部31に制御圧が供給される。コイル28の電源系や制御系が失陥した場合には、圧力変換部32は作動油の圧力を制御圧よりも高圧の所定圧に変換して外部圧力室R5に供給する。これにより、外部ピストン26が下方に押圧され、外部ピストン26と共にピストン15が下方に移動する。すると、まず、減圧弁弁座21aが減圧弁弁体27bに当接して第一流路24aが遮断される。減圧弁弁座21aが減圧弁弁体27bに当接することで、ピストン15の下方への更なる移動が規制される。外部ピストン26が更に下方に移動すると、増圧弁弁体20の弁部20aが増圧弁弁座26cから離間して第一連通部26dが開放される。
従って、減圧室R2と圧力室R3との連通が遮断される一方、高圧室R1と圧力室R3とが連通し、高圧源29から高圧の作動油が圧力供給部31に制御圧として供給されることとなり、電源系や制御系が失陥した場合でも適正に圧力制御が実行されることができる。
(第2実施形態)
図2を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。
上記第1実施形態(図1)では、増圧弁弁体20と軸部21が一体とされてピストン15が構成されていた。これに代えて、本実施形態では、増圧弁弁体(図2の符号120参照)と軸部(図2の符号121参照)とが分離されてそれぞれ別な構成要素として設けられている。また、上記第1実施形態では、コイル28に電流を流すことで電磁力を発生させ、吸引力により押圧ピストン27を駆動していたが、これに変えて、本実施形態では、外部圧力室(図2の符号R5参照)に供給される油圧により押圧ピストン(図2の符号127参照)が駆動される。
図2は、本実施形態に係わる装置の概略構成図である。
図2において、符号101は、ポペット式の三方電磁弁を示す。三方電磁弁101のハウジング111は、円筒形状をなす外部ハウジング112と内部ハウジング113を有する。外部ハウジング112内には、上下方向に沿って上部から下部に向けて順に上部支持孔116、中部支持孔118、下部支持孔117、及び底部支持孔140が設けられている。中部支持孔118は、上部支持孔116及び下部支持孔117のいずれよりも小径に形成されている。底部支持孔140は、下部支持孔117よりも小径に形成されている。
内部ハウジング113は、外部ハウジング112の上部支持孔116に配置されている。内部ハウジング113の上部の外周部には、ねじ部113aが形成されている。ねじ部113aは、上部支持孔116の上部の内周部に設けられたねじ孔116aにねじ込まれている。よって、内部ハウジング113は、上記第1実施形態(図1)の位置調整機構51と同様の位置調整機構151により外部ハウジング112に対して上下に移動させることが可能とされている。
内部ハウジング113の下部には、内部ハウジング113の内部と外部とを連通する第一連通部113dが形成されている。内部ハウジング113には、第一連通部113dにおける内部ハウジング113の内部側の開口部に沿って増圧弁弁座113cが設けられている。内部ハウジング113の上部には、上下方向に沿って支持孔113eが設けられている。
内部ハウジング113の内部には、増圧弁弁体120が内部ハウジング113内を上下方向に移動自在に設けられている。増圧弁弁体120の上部は、内部ハウジング113の支持孔113eに摺動可能に支持されている。増圧弁弁体120の下部には、増圧弁弁座113cに着座する半球形の弁部120aが設けられている。内部ハウジング113と増圧弁弁体120との間には、リターンスプリング(第一付勢手段)123が設けられている。リターンスプリング123の付勢力により、増圧弁弁体120が増圧弁弁座113c側(下方)に付勢支持されている。本実施形態の増圧弁は、増圧弁弁体120と増圧弁弁座113cを含んで構成されている。
中部支持孔118には、軸部121が中部支持孔118を上下方向に移動自在に設けられている。軸部121は、中部支持孔118に摺動可能に支持されている。軸部121の上部には、押圧部121bが設けられている。下部支持孔117には、押圧ピストン127が下部支持孔117を上下方向に移動自在に設けられている。押圧ピストン127の下部は、底部支持孔140に摺動可能に支持されている。押圧ピストン127と外部ハウジング112との間には、リターンスプリング(第二付勢手段)125が設けられている。リターンスプリング125の付勢力により、押圧ピストン127が下方に付勢支持されている。増圧弁弁体120、軸部121、及び押圧ピストン127はハウジング111の軸心方向(上下方向)に直列に配置されている。リターンスプリング123の付勢力は、リターンスプリング125の付勢力よりも大きな値に設定されている。
底部支持孔140には、外部ピストン126が底部支持孔140を上下方向に移動自在に設けられている。外部ピストン126は、底部支持孔140に摺動可能に支持されている。
ハウジング111内には、内部ハウジング113と増圧弁弁体120とによって囲まれる高圧室R1、外部ハウジング112と軸部121及び押圧ピストン127とによって囲まれる減圧室R2、外部ハウジング112と内部ハウジング113及び軸部121とによって囲まれる圧力室R3、内部ハウジング113と増圧弁弁体120の上端面とによって囲まれる第二圧力室R31、及び外部ハウジング112と押圧ピストン127及び外部ピストン126とによって囲まれる外部圧力室R5がそれぞれ形成されている。
外部ハウジング112及び内部ハウジング113には、高圧室R1と外部ハウジング112の外部とを連通する高圧ポートP1が設けられている。外部ハウジング112には、減圧室R2と外部ハウジング112の外部とを連通する減圧ポートP2、圧力室R3と外部ハウジング112の外部とを連通する制御圧ポートP3、及び外部圧力室R5と外部ハウジング112の外部とを連通する外部圧力ポートP5が設けられている。外部ハウジング112及び内部ハウジング113には、第二圧力室R31と制御圧ポートP3とを接続する第二制御圧ポートP31が設けられている。
高圧ポートP1は、高圧ラインL1を介して高圧源としての油圧ポンプ160及びアキュムレータ161に接続されている。減圧ポートP2は、減圧ラインL2を介してリザーバタンク130に接続されている。制御圧ポートP3は、制御ラインL3を介して圧力供給部としてのブレーキマスタシリンダ162の入力側に接続されている。なお、制御ラインL3には、圧力センサSが設けられている。
外部圧力ポートP5には、外部圧力ラインL5が接続されている。外部圧力ラインL5は、第一外部圧力ラインL51と第二外部圧力ラインL52に分岐されている。第一外部圧力ラインL51は、常時閉タイプの電磁弁163を介して油圧ポンプ160及びアキュムレータ161に接続されている。第二外部圧力ラインL52は、常時開タイプの電磁弁164を介してリザーバタンク130に接続されている。
外部ピストン126の下端部は、マスタ圧ラインL6を介して入力部(圧力制御部)としてのブレーキマスタシリンダ162の出力ポートに接続されている。
軸部121には、圧力室R3と減圧室R2とを連通させる軸部流路124が形成されている。軸部流路124は、軸部121の移動方向(上下方向)に沿って設けられた第一流路124aを有する。軸部121における押圧ピストン127側の端部である下端部には、第一流路124aの開口部に沿って減圧弁弁座(第二弁座)121aが設けられている。押圧ピストン127の上部には、減圧弁弁座121aに着座する半球形の減圧弁弁体127bが設けられている。外部圧力室R5に供給される外部圧により押圧ピストン127がリターンスプリング125の付勢力に抗して上方に移動し、減圧弁弁体127bが減圧弁弁座121aに着座することにより、第一流路124aが遮断されることができる。本実施形態の減圧弁は、減圧弁弁体127bと減圧弁弁座121aを含んで構成されている。
各電磁弁163,164に通電しないとき、第一外部圧力ラインL51が閉止され、かつ第二外部圧力ラインL52が開放されていることから、アキュムレータ161の油圧は外部圧力ラインL5に供給されない。このため、押圧ピストン127は、リターンスプリング125の付勢力により外部ハウジング112に当接した位置に位置決めされており、減圧弁弁体127bが減圧弁弁座121aから離間して第一流路124aが開放される。このとき、リターンスプリング123の付勢力により、増圧弁弁体120の弁部120aは、内部ハウジング113の増圧弁弁座113cに着座して第一連通部113dを遮断している。
各電磁弁163,164に通電すると、第一外部圧力ラインL51が開放され、かつ第二外部圧力ラインL52が閉止されることから、アキュムレータ161の油圧が第一外部圧力ラインL51及び外部圧力ラインL5を通って外部圧力室R5に供給される。このため、外部圧力室R5に供給された油圧により押圧ピストン127がリターンスプリング125の付勢力に抗して上方に移動する。すると、押圧ピストン127の減圧弁弁体127bが軸部121の減圧弁弁座121aに着座して第一流路124aを遮断することができる。押圧ピストン127が更に上方に移動すると、軸部121と一体となって上方に移動し、軸部121の押圧部121bが増圧弁弁体120の弁部120aを押圧する。すると、増圧弁弁体120がリターンスプリング123の付勢力に抗して上方に移動し、弁部120aが内部ハウジング113の増圧弁弁座113cから離間して第一連通部113dを開放することができる。
なお、外部ハウジング112と内部ハウジング113との間には、シール部材134が介装され、内部ハウジング113と増圧弁弁体120との間にはシール部材135が介装され、外部ハウジング112と軸部121との間にはシール部材136が介装され、外部ハウジング112と押圧ピストン127との間にはシール部材137が介装されることでシール性が確保されている。また、ハウジング111は、図示しないケーシングに支持されており、外部ハウジング112とケーシングとの間には、シール部材141が介装されることでシール性が確保されている。
本実施形態の三方電磁弁101では、増圧弁を開弁するときの駆動力が低減されるように各シール部の受圧面積が設定されている。増圧弁弁体120の弁部120aが内部ハウジング113の増圧弁弁座113cに着座する第1シール部の受圧面積(第1受圧面積)A11と増圧弁弁体120が内部ハウジング113の支持孔113eに摺動可能に支持される第2シール部の受圧面積(第2受圧面積)A12が概ね同じ値に設定されている。即ち、下記数式4に示すように各シール部の受圧面積が設定されている。
A11 ≒ A12 (4)
これにより、高圧室R1の圧力による影響を受けずに増圧弁弁体120を上方に移動できる。このため、増圧弁弁座113cに着座した状態の増圧弁弁体120を上方に移動して増圧弁弁座113cから離間させるために必要な駆動力が低減される。
さらに、本実施形態では、第二圧力室R31に制御圧が導入されることにより、増圧弁弁座113cに着座した状態の増圧弁弁体120を上方(開弁側)に移動して増圧弁を開弁させるために必要とされる力(開弁力)が制御圧の変動に伴って変動してしまうことが抑制される。第二圧力室R31の圧力(制御圧)により、増圧弁弁体120に対して圧力室R3の制御圧により作用する力と反対方向の力が加えられる。よって、制御圧が変動した場合であっても、増圧弁の開弁力が一定であることができる。この場合、第1受圧面積A11と第2受圧面積A12とが近い値であるほど、開弁力の変動が抑制される効果が高くなる。開弁力が安定することにより、制御圧の変動に起因する制御圧の制御性の低下が抑制される。なお、本実施形態では、第二圧力室R31に導入される圧力は制御圧とされたが、これに代えて、制御圧の変動に応じて変化する圧力が第二圧力室R31に導入されることができる。この場合、制御圧の変動に応じて変化する圧力は、制御圧に近い圧力であるほど増圧弁の開弁力の変動を抑制する効果が大きなものとなる。
また、本実施形態では、高圧室R1(高圧流路)と圧力室R3(制御圧流路)とを連通させる第一連通部113dを開閉する増圧弁の増圧弁弁体120と圧力室R3と減圧室R2(減圧流路)とを連通させる中部支持孔118(第二連通部)に摺動可能に支持され減圧弁を構成する軸部121とが移動方向に直列に設けられている。これにより、上記第1実施形態(図1)と同様に、第2受圧面積A12を小さな値とすることができる。よって、三方電磁弁101の摺動部における摺動抵抗が低減されることができる。
本実施形態の三方電磁弁101では、増圧時に減圧弁を確実に閉弁状態に保つために、以下のように各シール部の受圧面積が設定されている。具体的には、押圧ピストン127が底部支持孔140に摺動可能に支持される第4シール部の受圧面積A14は、押圧ピストン127の減圧弁弁体127bが軸部121の減圧弁弁座121aに着座する第5シール部の受圧面積(第5受圧面積)A15よりも大きな値に設定されている。即ち、下記数式5に示すように各シール部の受圧面積が設定されている。
A15 < A14 (5)
また、圧力室R5に供給される外部圧により確実に押圧ピストン127を上方に移動して増圧弁を開弁できるように、軸部121が中部支持孔118に摺動可能に支持される第3シール部の受圧面積(第3受圧面積)A13は、第4受圧面積A14よりも小さな値に設定されている。即ち、下記数式6に示すように各シール部の受圧面積が設定されている。
A13 < A14 (6)
なお、外部圧力室R5の圧力と制御圧の圧力特性との関係におけるヒステリシスが低減されるためには、増圧制御や減圧制御における制御圧の影響の度合いが低減されることが望ましい。この場合、第3受圧面積A13と第4受圧面積A14とが近い値に設定されることが望ましい。また、第3受圧面積A13と第5受圧面積A15とが近い値に設定されることが望ましい。即ち、下記数式7及び下記数式8の少なくともいずれか一方を満たすように各シール部の受圧面積が設定されることが望ましい。
A13 ≒ A14 (7)
A13 ≒ A15 (8)
ここで、三方電磁弁101による圧力制御について詳細に説明する。
本実施形態の三方電磁弁101において、電磁弁163,164が消磁状態にあるとき、第一外部圧力ラインL51が閉止され、第二外部圧力ラインL52が開放される。外部圧力室R5に油圧が供給されないため、リターンスプリング125の付勢力により、押圧ピストン127は減圧弁弁体127bが減圧弁弁座121aから離間した位置にある。一方、増圧弁弁体120は、リターンスプリング123の付勢力により弁部120aが内部ハウジング113の増圧弁弁座113cに着座した位置にある。従って、高圧室R1と圧力室R3とが遮断され、圧力室R3と減圧室R2とが連通されている。
この状態から、各電磁弁163,164に通電すると、第一外部圧力ラインL51が開放され、第二外部圧力ラインL52が閉止される。アキュムレータ161の油圧が第一外部圧力ラインL51及び外部圧力ラインL5を通って外部圧力室R5に供給され、押圧ピストン127がリターンスプリング125の付勢力に抗して上方に移動する。すると、まず、押圧ピストン127の減圧弁弁体127bが軸部121の減圧弁弁座121aに着座して第一流路124aを遮断する。更に押圧ピストン127が上方に移動すると、次に、軸部121の押圧部121bが増圧弁弁体120を押圧しリターンスプリング123の付勢力に抗して上方に移動する。これにより、増圧弁弁体120の弁部120aが内部ハウジング113の増圧弁弁座113cから離間して第一連通部113dを開放する。
従って、押圧ピストン127の減圧弁弁体127bが軸部121の減圧弁弁座121aに着座することで減圧室R2と圧力室R3との連通が遮断される一方、増圧弁弁体120の弁部120aが内部ハウジング113の増圧弁弁座113cから離間することで高圧室R1と圧力室R3とが連通される。このため、アキュムレータ161の油圧が高圧ポートP1を通して高圧室R1に作用し、高圧の作動油が増圧弁弁体120の弁部120aと増圧弁弁座113cの隙間を通って圧力室R3に流れ、制御圧ポートP3から制御ラインL3を通って制御圧としてブレーキマスタシリンダ162に供給される。
この状態から、各電磁弁163,164に通電する電流値を低下させると、第一外部圧力ラインL51が閉止され、第二外部圧力ラインL52が開放される。外部圧力室R5の油圧が低下し、押圧ピストン127の押圧力が低下するため、リターンスプリング123の付勢力により増圧弁弁体120、軸部121、及び押圧ピストン127が下方に移動する。このとき、押圧ピストン127の減圧弁弁体127bが軸部121の減圧弁弁座121aに着座して第一流路124aを遮断した状態で増圧弁弁体120、軸部121、及び押圧ピストン127が下方に移動し、まず、増圧弁弁体120の弁部120aが増圧弁弁座113cに着座する。更に押圧ピストン127が下方に移動すると、リターンスプリング125の付勢力により、押圧ピストン127の減圧弁弁体127bが軸部121の減圧弁弁座121aから離間する。
従って、増圧弁弁体120が増圧弁弁座113cに着座することで高圧室R1と圧力室R3との連通が遮断される一方、減圧弁弁体127bが減圧弁弁座121aから離間することで減圧室R2と圧力室R3が連通される。このため、圧力室R3から制御圧ポートP3及び制御ラインL3を通してブレーキマスタシリンダ162に作用する制御圧の作動油は、第一流路124aから減圧弁弁体127bと減圧弁弁座121aの隙間を通って減圧室R2に流れ、減圧ポートP2から減圧ラインL2によりリザーバタンク130に排出される。
この減圧時には、ブレーキマスタシリンダ162に供給されている作動油が制御ラインL3から制御圧ポートP3に戻り、制御圧ポートP3から軸部流路124に流れ、減圧弁弁座121aと減圧弁弁体127bとの隙間を通って減圧室R2へ流れる。このとき、軸部121は、軸部流路124の第一流路124aから減圧弁弁座121aと減圧弁弁体127bの隙間を通って減圧室R2へ流れる作動油の流体力により上方側に力を受ける。軸部121は、第一流路124aから作動油が流出する反力で、減圧弁弁座121aと減圧弁弁体127bとが離間する側、即ち、リターンスプリング125の付勢力が作用する自開側に流体力を受ける。従って、減圧時に、軸部121は、制御圧によらず第一流路124aを開放する位置に適正に位置決めされることになり、圧力制御がばらつくことはない。また、押圧ピストン127は、第一流路124aから押圧ピストン127へ向けて流出する作動油により、減圧弁弁座121aと減圧弁弁体127bとが離間する側、即ち、リターンスプリング125の付勢力が作用する自開側に流体力を受ける。
各電磁弁に連結された電源系や制御系が失陥した場合には、ブレーキマスタシリンダ162からマスタ圧ラインL6を介して高圧の作動油が外部ピストン126の下端面に供給される。これにより、外部ピストン126が上方へ向かう力を受け、押圧ピストン127を押圧して上方に移動することができる。よって、外部圧力室R5にアキュムレータ161の圧力が供給される場合と同様に圧力制御を行うことができる。