JP2009077718A - 哺乳動物の甘味およびアミノ酸のヘテロダイマー性の味覚レセプター - Google Patents

哺乳動物の甘味およびアミノ酸のヘテロダイマー性の味覚レセプター Download PDF

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Abstract

【課題】甘味またはアミノ酸の味覚レセプターの単離された核酸配列およびアミノ酸配列(感覚Gタンパク質共役型レセプターのT1Rファミリーに由来する2つの異種Gタンパク質共役型レセプターポリペプチドを含む)、そのようなレセプターに対する抗体、このような核酸およびレセプターを検出する方法、ならびに甘味およびアミノ酸の味覚レセプターのモジュレーターをスクリーニングする方法を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、T1R3ポリペプチドを含む単離された味覚レセプター。
【選択図】なし

Description

(関連出願に対する相互参照)
本願は、USSN 60/302,898(2001年7月3日付け出願)、USSN
09/927,315(2001年8月10日付け出願)、およびUSSN 60/358,925(2002年2月22日付け出願)に対する優先権を主張する。この各々は、その全体において、本明細書中で参考として援用される。
本願はまた、USSN 60/095,464(1998年7月28日付け出願);USSN 60/112,747(1998年12月17日付け出願);USSN 09/361,631(1999年7月27日付け出願);USSN 60/094,465(1998年7月28日付け出願);USSN 09/361,652(1999年7月27日付け出願);WO 00/06592;およびWO 00/06593に関連する。この各々は、その全体において、本明細書中で参考として援用される。
(政府に支援された研究および開発のもとでなされた発明に対する権利に関する陳述)
適用なし。
(発明の分野)
本発明は、甘味またはアミノ酸の味覚レセプターの単離された核酸配列およびアミノ酸配列(感覚Gタンパク質共役型レセプターのT1Rファミリーに由来する2つの異種Gタンパク質共役型レセプターポリペプチドを含む)、そのようなレセプターに対する抗体、このような核酸およびレセプターを検出する方法、ならびに甘味およびアミノ酸の味覚レセプターのモジュレーターをスクリーニングする方法を提供する。
(発明の背景)
味覚の感覚は、動物に、食物の品質および栄養価に関する貴重な情報を与える。哺乳動物は、糖類、塩類、酸、および広範な毒性物質を含む、化学的実体の多様なレパートリーを認識し得、そしてそれに応答し得る(例えば、Lindermann,Physiol.Rev.76:718−766(1996)を参照のこと)。我々の味覚の感覚は、甘味、苦味、酸味、塩味、および旨味(umami)刺激を検出し得、そしてそれに応答し得る(Lindemann,Physiol.Rev.76:718−766(1996))。この味覚の感覚はまた、種々の味覚の様相間を(例えば、トニック水の苦味からハチミツの甘みを;海洋の塩味から未成熟果実の酸味を)識別を担う。この識別能力が、有益な感覚のインプットを提供し:苦味レセプターは、有害物質に対する嫌悪挙動反応を誘発し、一方で、甘味レセプターは、高カロリー食物源の認識を可能にする。
本発明者らは、味覚のシグナル検出および情報のコード化に関する基本的な問題に関心を持ち、そして甘みおよび苦味の味覚レセプターをコードする遺伝子の単離および特徴付けに焦点を当てた。味覚レセプターの同定は、味覚レセプター細胞の機能のみならず、味覚のコード化に関する論理を研究するための強力な分子ツールを生み出す。例えば、レセプターレパートリーのサイズおよび多様性を規定することにより、どのくらい多数の化学感受性リガンドが認識され得るか(すなわち、分子多様性)に関する証拠が与えられ、一方で、レセプター発現のパターンの分析は、化学感受性の識別およびコード化に関する我々の理解に重要な洞察を与える。近年、本発明者らは、舌および口蓋の味覚レセプター細胞のサブセットにおいて発現される、2つの新規なGタンパク質共役型レセプターファミリー(GPCR)の単離を記載した(T1RおよびT2R;Hoonら,1999;Ad
lerら,2000)。これらのうちの1つであるT2Rは、約30個の異なる遺伝子のファミリーであり、これは、いくつかの機能的に確証された哺乳動物苦味味覚レセプターを含む(Adlerら,2000;Chandrashekarら,2000;Matsunamiら,2000)。ほぼすべてのT2R遺伝子は、苦味味覚レセプターとしてのその提唱される役割と一致して、ヒトおよびマウスにおいて、多様な苦味の味物質(tastant)に対する応答の制御に遺伝的に関与しているゲノム領域にクラスター形成されている(Adlerら,2000)。
特に、大半のT2Rは、味覚レセプター細胞の同じサブセットにおいて共発現される(Adlerら,2000)。このことは、これらの細胞が、広範な一連の苦味化合物に応答し得るが、それらの間を識別し得ないことを示唆する。つまり動物は、多くの有害味物質を認識しそしてそれに反応する必要があるが、必ずしもそれらの間を識別する必要はない(すなわち、我々は、ある味物質が、良くないものであることを知る必要はあるが、何がそれを良くないものとしているかは必ずしも知る必要がない)というのが、苦味のような感覚様相についての論理である。この解釈は、種々の苦味味物質の間における限られた識別を示す、げっ歯類およびヒトにおける行動的知見および精神物理的知見と一致する(McBurneyおよびGent,1979)。
どのようにして、甘味の味覚は特定されるのか?Gタンパク質共役型レセプターがまた、この味覚様相にも関与しているというかなりの証拠が存在する(Lindemann,1996)。苦味味覚とは対照的に、生物学的に関連する甘味の味物質の数は、さほど多くない。従って、本発明者らは、甘味レセプターファミリーが、かなり小さなものであると予期し得た。興味深いことに、精神物理的研究、行動的研究および電気生理学研究により、動物が種々の甘味味物質の間を識別し(Schiffmanら,1981;Ninomiyaら,1984;Ninomiyaら,1997)、このことがおそらく、甘味味覚系の異なる型の甘味レセプター細胞および経路への組織化を反映(そして、予測)していることが示唆されている。
甘味味覚に関する遺伝的研究により、マウスにおいて、種々の甘味物質への応答に影響を与える単一の主要な遺伝子座が同定された(Fuller,1974;Lush,1989)。Sacと名付けられたこの遺伝子座は、サッカリン含有溶液を水から識別するいくつかの系統の能力において、閾値的差異を決定する(Fuller,1974)。Sacのテイスター(taster)は、「甘味非感受性」Sac非テイスターマウスよりも、約1/5低濃度のサッカリンに応答し(Fuller,1974;CapelessおよびWhitney,1995);さらに、Sacは、スクロース、アセスルファーム−Kおよびズルチンに対する嗜好に影響を与える(Lush,1989)。近年、いくつかのグループによって、T1R関連遺伝子であるT1R3が、Sacをコードし得ることが報告された(Kitagawaら、2001;Maxら、2001;Montmayeurら、2001;Sainzら、2001)。本発明者らはここに、テイスター系統由来のT1R3のトランスジェニック発現が、甘味非感受性動物をテイスター動物へと形質転換し、T1R3をSac遺伝子として確認したことを実証する。次いで、本発明者らは、T1R(T1R2およびT1R3)が、機能的なヘテロダイマー性の甘味味覚レセプターをコードすることを証明するための細胞ベースのレポーター系を開発した。最後に、本発明者らは、T1Rの発現パターンが、少なくとも3つの異なる細胞型に限定されることを示す。
いくつかのアミノ酸は、ヒトに対して甘いまたは美味い(旨味)味があり、そしてげっ歯類および他の動物に対して誘因性である。この特徴は注目すべきである。なぜなら、L−アミノ酸は、タンパク質のビルディングブロックとして機能し、多くの生物学的関連低分子の生合成前駆体として機能し、そして代謝燃料として機能するからである。従って、
アミノ酸の検出に向けられた味覚経路を有することは、おそらく、重要な進化的意味を有した。本発明者らはここに、哺乳動物のアミノ酸味覚レセプターを同定し、そしてそれを特徴付ける。このレセプターは、T1RファミリーのT1R1 Gタンパク質共役型レセプターおよびT1R3 Gタンパク質共役型レセプターを含む、ヘテロダイマー性レセプターである。本発明者らは、T1R1およびT1R3が組み合わさって、L−アミノ酸センサーとして機能し、標準的な20個のアミノ酸の大半に応答するが、それはこれらのアミノ酸のD−エナンチオマーにも他の化合物にも応答しないことを実証する。
(発明の簡単な要旨)
本発明者らはここに、哺乳動物の甘味およびアミノ酸の味覚レセプターの特徴付けを報告する。第1に、トランスジェニックレスキュー(rescue)実験により、Sac遺伝子座が、T1R3(候補味覚レセプターのT1Rファミリーのメンバー)をコードすることを証明する。第2に、異種発現系を使用して、本発明者らは、T1R2およびT1R3が、同じ細胞において発現される場合に、甘味レセプターとして機能し、スクロース、サッカリン、ズルチンおよびアセスルファーム−Kのような多様な甘味の味がする分子ならびに本明細書中に記載される他の分子を認識することを実証する。従って、T1Rファミリーは、T1R2およびT1R3のようなポリペプチドを含むヘテロダイマー性甘味レセプターを形成する。
さらに、異種発現系を使用して、本発明者らは、T1R1およびT1R3が、同じ細胞において発現される場合に、ヘテロダイマー性のアミノ酸レセプターとして機能し、標準的なL−アミノ酸の大半を認識するが、それらのD−エナンチオマーは認識しないことを実証する。いくつかのアミノ酸は、ヒトに対して甘いまたは美味い(旨味)味があり、そしてげっ歯類および他の動物に対して誘因性である(Iwasakiら,Physiol.Behav.,34:531−542(1985))。この特徴は注目すべきである。なぜなら、L−アミノ酸は、タンパク質のビルディングブロックとして機能し、多くの生物学的関連低分子の生合成前駆体として機能し、そして代謝燃料として機能するからである。従って、それらの検出に向けられた味覚経路を有することは、おそらく、重要な進化的意味を有した。ここに本発明者らは、哺乳動物のアミノ酸味覚レセプターを同定し、そしてそれを特徴付ける。このレセプター(T1R1+3)は、味覚特異的なT1R1 Gタンパク質共役型レセプターおよびT1R3 Gタンパク質共役型レセプターのヘテロ二量体である。本発明者らは、T1R1およびT1R3が組み合わされて、標準的な20個のアミノ酸の大半に応答する広範に調整されるL−アミノ酸センサーとして機能するが、それはそれらのD−エナンチオマーにも他の化合物にも応答しないことを実証する。本発明者らはまた、種(ヒトおよびマウス)内および種間におけるT1Rレセプターの配列差異が、味覚応答の選択性および特異性に有意に影響を及ぼし得ることを示す。最後に、本発明者らは、T1RおよびT2Rの発現パターンに関する詳細な分析を示し、それにより、末梢での甘味、アミノ酸および苦味の味覚の提示に関する見解を与える。
従って、本発明は、初めて、T1R3ポリペプチドを含むヘテロマー性甘味味覚レセプター、およびT1R3ポリペプチドを含むヘテロマー性アミノ酸味覚レセプターを提供する。本発明は、T1R3ポリペプチドとT1Rファミリーの異種メンバー(例えば、T1R1またはT1R2)とを含む、甘味味覚レセプターおよびアミノ酸味覚レセプターを提供し、これらは、T1R3と、T1R1またはT1R2のいずれかとが同じ細胞において共発現される場合に、甘味および/またはアミノ酸の味覚リガンドに応答してシグナルを伝達する。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよび異種T1Rポリペプチドは、ヘテロダイマーを形成する。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドおよび異種T1Rポリペプチドは、非共有結合される。別の実施形態において、T1R3ポリペ
プチドおよび異種T1Rポリペプチドは、共有結合される。
1つの局面において、本発明は、T1R3ポリペプチドと異種ポリペプチドとを含む、甘味味覚レセプターおよび/またはアミノ酸味覚レセプターを提供し、このT1R3ポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列に対して約70%より高いアミノ酸配列同一性を含むか、または配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度もしくは高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる。
1つの実施形態において、T1R3含有レセプターは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30に対して生成されたポリクローナル抗体に特異的に結合する。別の実施形態において、このレセプターは、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、このレセプターは、ヒト由来、ラット由来またはマウス由来である。
1つの実施形態において、上記の異種ポリペプチドは、T1Rファミリーのメンバーである。別の実施形態において、この異種ポリペプチドは、T1R1またはT1R2である。1つの実施形態において、このT1R1ポリペプチドは、配列番号1、2、3もしくは27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列または配列番号4、5、6もしくは26のヌクレオチド配列に対して、中程度もしくは高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる。1つの実施形態において、T1R2ポリペプチドは、配列番号7、8、9もしくは28のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列または配列番号10、11、12もしくは28のヌクレオチド配列に対して、中程度または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドは、配列番号15、18、20、23、25、もしくは30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列または配列番号13、14、16、17、19、21、22、24もしくは29のヌクレオチド配列に対して、中程度または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる。1つの実施形態において、このレセプターは、生成されたポリクローナル抗体に特異的に結合する。別の実施形態において、このレセプターは、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30のアミノ酸配列を有する。別の実施形態において、このレセプターは、ヒト由来、ラット由来またはマウス由来である。
1つの実施形態において、上記のヘテロマー性レセプターは、T1R1およびT1R3を含み、そしてL−アミノ酸味覚リガンドを認識する。別の実施形態において、このヘテロマー性レセプターは、T1R2およびT1R3を含み、そして甘味味覚リガンド(例えば、スクロース、フルクトース、サッカリン、アセスルファーム−K、ズルチン、ならびにグアニジノ酢酸(guanidoinoacetic acid)1および2(GA−1およびGA−2))を認識する。別の実施形態において、このヘテロマー性レセプターは、T1R2およびT1R3を含み、そしてD−アミノ酸味覚リガンド(例えば、システイン、メチオニン、アルギニン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アスパラギン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびグリシン)を認識する。
1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1Rポリペプチドは、ヘテロダイマーを形成する。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R異種ポリペプチドは、非共有結合される。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R異種ポリペプチドは、共有結合される。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R1ポリペプチドは、ヘテロダイマーを形成する。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R1異種ポリペプチドは、非共有結合される。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R1異種ポリペプチドは、共有結合される。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R2ポリペプチドは、ヘテロダイマーを形成する。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R2異種ポリペプチドは、非共有結合される。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドおよびT1R2異種ポリペプチドは、共有結合される。
1つの局面において、本発明は、甘味および/またはアミノ酸のT1R3含有味覚レセプターの細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインを含む単離されたポリペプチドを提供し、この細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30の細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインに対して約70%より高いアミノ酸配列同一性を含む。別の実施形態において、この細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインは、配列番号15、20、23、25、または30のアミノ酸配列の細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインに対して、中程度または高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
1つの実施形態において、このポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30の細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインをコードする。別の実施形態において、この細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインは、異種ポリペプチドに共有結合されて、キメラポリペプチドを形成する。別の実施形態において、このキメラポリペプチドは、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する。
1つの局面において、本発明は、甘味および/またはアミノ酸の味覚レセプターに選択的に結合する抗体を提供し、このレセプターは、T1R3ポリペプチドおよび異種ポリペプチドを含み、この抗体は、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列に対して約70%より高いアミノ酸配列同一性を含むT1R3ポリペプチド、または配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドに対して、中程度もしくは高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R3ポリペプチドを含むレセプターに対して惹起される。1つの実施形態では、T1R3ポリペプチドは、共有結合または非共有結合のいずれかによってT1Rポリペプチドとヘテロダイマー性レセプターを形成し、このレセプターに対して、抗体が特異的に結合する。
別の局面では、本発明は、味覚細胞において甘味および/またはアミノ酸の味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する方法を提供する。この方法は、以下の工程:(i)化合物をT1R3ポリペプチドを含むレセプターと接触させる工程であって、このポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30の細胞外ドメインに対して約70%より高いアミノ酸配列同一性を含むか;または配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度もしくは高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、工程;および(ii)そのレセプターに対するその化合物の機能的効果を決定
する工程、を包含する。
1つの実施形態において、このレセプターは、T1R3を含み、ヘテロダイマー性レセプターであり、かつ共有結合または非共有結合のいずれかで異種ポリペプチドに結合されている。別の実施形態において、このレセプターは、T1R1およびT1R3を含む。別の実施形態では、このレセプターは、T1R2およびT1R3を含む。別の実施形態において、このポリペプチドは、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する。別の実施形態において、この機能的効果は、インビトロで決定される。別の実施形態において、このレセプターは、共有結合または非共有結合のいずれかで、固相に連結される。別の実施形態において、この機能的効果は、細胞内cAMP、IP3、またはCa2+の変化を測定することによって決定される。別の実施形態において、この機能的効果は、化学的効果または表現型的効果である。別の実施形態において、この機能的効果は、物理的効果である。別の実施形態において、この機能的効果は、レセプターの細胞外ドメインに対する化合物の結合を測定することによって決定される。別の実施形態では、このポリペプチドは組換え体である。別の実施形態では、このポリペプチドは、細胞または細胞膜において発現される。別の実施形態では、この細胞は、真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞))である。別の実施形態では、このレセプターは、甘味味覚リガンドを認識する。別の実施形態では、このレセプターは、アミノ酸味覚リガンド(例えば、D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸、ならびに天然には存在しないアミノ酸)を認識する。
1つの局面では、本発明は、T1R3ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供し、このポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列に対して、約70%より高いアミノ酸配列同一性を含む。
1つの実施形態において、この核酸は、配列番号14、配列番号19、配列番号22、配列番号24、または配列番号29のヌクレオチド配列を含む。別の実施形態では、この核酸は、配列番号14、配列番号19、配列番号22、配列番号24、または配列番号29に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズするプライマーによって増幅される。
別の局面では、本発明は、T1R3ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供し、ここでこの核酸は、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30をコードする核酸、または配列番号14、配列番号19、配列番号22、配列番号24、もしくは配列番号29の配列を有する核酸に対して、中程度もしくは高度にストリンジェントな条件で特異的にハイブリダイズする。
別の局面では、本発明は、T1R3ポリペプチドをコードする単離された核酸を提供し、このポリペプチドは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30の配列を有するポリペプチドに対して約70%より高いアミノ酸同一性を含み、ここでこの核酸は、配列番号14、配列番号19、配列番号22、配列番号24、または配列番号29のヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で選択的にハイブリダイズする。
別の局面では、本発明は、T1R3ポリペプチドの細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインをコードする単離された核酸を提供し、この細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインは、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、または配列番号30の細胞外ドメイン、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインに対して、約70%より高いアミノ酸配列同一性を有する。
別の局面では、本発明は、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号25、もしくは配列番号30のアミノ酸配列に対して約70%より高いアミノ酸配列同一性を含むポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターを提供する。別の局面では、本発明は、この発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。したがって、本発明は、以下をも提供する。
(1) T1R3ポリペプチドを含む単離された味覚レセプターであって、ここで該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、単離された味覚レセプター。
(2) 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、項1に記載の単離されたレセプター。
(3) 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列を有する、項1に記載の単離されたレセプター。
(4) 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号14、19、22、24または29のヌクレオチド配列によってコードされる、項1に記載の単離されたレセプター。
(5) 前記T1R3ポリペプチドが組換え体である、項1に記載の単離されたレセプター。
(6) 項5に記載の単離されたレセプターを含む、宿主細胞。
(7) 前記レセプターが、T1R3ポリペプチドと異種ポリペプチドとを含む、項1に記載の単離されたレセプター。
(8) 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、項7に記載の単離されたレセプター。
(9) 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、共有結合により結合されている、項7に記載の単離されたレセプター。
(10) 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、組換え体である、項7に記載の単離されたレセプター。
(11) 項10に記載の組換え体のレセプターを発現する、宿主細胞。
(12) 前記異種ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R1ポリペプチドである、項7に記載の単離されたレセプター。
(13) 前記異種ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R1ポリペプチドである、項7に記載の単離されたレセプター。
(14) 前記T1R1ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列を有する、項12に記載の単離されたレセプター。
(15) 前記T1R1ポリペプチドが、配列番号4、5、6または26のヌクレオチド配列によってコードされる、項12に記載の単離されたレセプター。
(16) 前記レセプターがアミノ酸味覚リガンドに結合する、項12に記載の単離されたレセプター。
(17) 前記味覚リガンドが、システイン、メチオニン、アルギニン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アスパラギン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、グルタミン、セリン、スレオニン、グリシン、グルタミン酸塩、グルタミン酸一ナトリウムおよびL−AP4からなる群より選択される、項16に記載の単離されたレセプター。
(18) 前記T1R3ポリペプチドおよび前記T1R1ポリペプチドが、組換え体である、項12に記載の単離されたレセプター。
(19) 項18に記載の組換え体のレセプターを発現する、宿主細胞。
(20) 前記異種ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R2ポリペプチドである、項7に記載の単離されたレセプター。
(21) 前記異種ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R2ポリペプチドである、項7に記載の単離されたレセプター。
(22) 前記T1R2ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列を有する、項20に記載の単離されたレセプター。
(23) 前記T1R2ポリペプチドが、配列番号10、11、12または28のヌクレオチド配列によってコードされる、項20に記載の単離されたレセプター。
(24) 前記レセプターが甘味味覚リガンドに結合する、項20に記載の単離されたレセプター。
(25) 前記甘味味覚リガンドが、スクロース、フルクトース、サッカリン、アセスルファーム−K、ズルチン、アスパルテーム、シクラミン酸塩、ならびにグアニジノ酢酸1およびグアニジノ酢酸2(GA−1およびGA−2)からなる群より選択される、項24に記載の単離されたレセプター。
(26) 前記レセプターがD−アミノ酸味覚リガンドに結合する、項20に記載の単離されたレセプター。
(27) 前記T1R3ポリペプチドおよび前記T1R2ポリペプチドが、組換え体である、項20に記載の単離されたレセプター。
(28) 項27に記載の組換え体のレセプターを発現する、宿主細胞。
(29) 前記レセプターが、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する、項1に記載の単離されたレセプター。
(30) 前記レセプターが、配列番号15、20、23、25または30に対して惹起された抗体に特異的に結合する、項1に記載の単離されたレセプター。
(31) T1R3ポリペプチドとT1R1ポリペプチドとを含む単離された味覚レセプターであって、ここで該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされ;そしてここで、該T1R1ポリペプチドは、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、単離された味覚レセプター。
(32) T1R3ポリペプチドとT1R2ポリペプチドとを含む単離された味覚レセプターであって、ここで該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされ;そしてここで、該T1R2ポリペプチドは、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、単離された味覚レセプター。
(33) 項1に記載の味覚レセプターに対して特異的に結合する、抗体。
(34) 前記抗体が、T1R1とT1R3とを含む味覚レセプターに対して特異的に結合する、項33に記載の抗体。
(35) 前記T1R1ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、項34に記載の抗体。
(36) 前記T1R1ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、共有結合により結合されている、項34に記載の抗体。
(37) 前記抗体が、T1R2とT1R3とを含む味覚レセプターに対して特異的に結合する、項33に記載の抗体。
(38) 前記T1R2ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、項37に記載の抗体。
(39) 前記T1R2ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、共有結合により結合されている、項37に記載の抗体。
(40) 味覚細胞において味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)T1R3ポリペプチドを含む味覚レセプターと該化合物を接触させる工程であって、ここで、該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる
、工程;および
(ii)該レセプターに対する該化合物の機能的効果を決定する工程であって、それにより味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する、工程
を包含する、方法。
(41) 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、項40に記載の方法。
(42) 前記レセプターが、T1R3ポリペプチドと異種ポリペプチドとを含む、項40に記載の方法
(43) 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、項41に記載の方法。
(44) 前記異種ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R1ポリペプチドである、項41に記載の方法。
(45) 前記異種ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R1ポリペプチドである、項41に記載の方法。
(46) 前記T1R1ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列を有する、項41に記載の方法。
(47) 前記異種ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R2ポリペプチドである、項41に記載の方法。
(48) 前記異種ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R2ポリペプチドである、項41に記載の方法。
(49) 前記T1R2ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列を有する、項41に記載の方法。
(50) 前記レセプターが組換え体である、項40に記載の方法。
(51) 前記レセプターが、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する、項40に記載の方法。
(52) 前記機能的効果がインビトロで測定される、項40に記載の方法。
(53) 前記機能的効果が物理的効果である、項52に記載の方法。
(54) 前記レセプターが固相に結合されている、項52に記載の方法。
(55) 前記機能的効果が、前記レセプターに対する化合物の結合を測定することによって決定される、項52に記載の方法。
(56) 前記機能的効果が、前記レセプターの細胞外ドメインに対する化合物の結合を測定することによって決定される、項55に記載の方法。
(57) 前記レセプターが、細胞または細胞膜において発現される、項40に記載の方法。
(58) 前記機能的効果が物理的効果である、項57に記載の方法。
(59) 前記機能的効果が、前記レセプターに対するリガンドの結合を測定することによって決定される、項58に記載の方法。
(60) 前記機能的効果が、前記レセプターの細胞外ドメインに対する化合物の結合を測定することによって決定される、項59に記載の方法。
(61) 前記機能的効果が、化学的効果または表現型的効果である、項57に記載の方法。
(62) 前記機能的効果が、細胞内cAMP、IP3またはCa 2+ における変化を測定することによって決定される、項61に記載の方法。
(63) 前記細胞が哺乳動物細胞である、項57に記載の方法。
(64) 前記細胞がヒト細胞である、項63に記載の方法。
(65) 味覚細胞において味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)T1R3ポリペプチドとT1R2ポリペプチドとを含む味覚レセプターを発現する細胞と該化合物を接触させる工程であって、ここで、該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされ;そしてここで、該T1R2ポリペプチドは、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、工程;および
(ii)該レセプターに対する該化合物の機能的効果を決定する工程であって、それにより味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する、工程
を包含する、方法。
(66) 前記T1R2ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、項65に記載の方法。
(67) 前記T1R2ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、共有結合により結合されている、項65に記載の方法。
(68) 味覚細胞において味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する方法であって、該方法は、以下の工程:
(i)T1R3ポリペプチドとT1R1ポリペプチドとを含む味覚レセプターを発現する細胞と該化合物を接触させる工程であって、ここで、該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされ;そしてここで、該T1R1ポリペプチドは、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、工程;および
(ii)該レセプターに対する該化合物の機能的効果を決定する工程であって、それにより味覚シグナル伝達を調節する化合物を同定する、工程
を包含する、方法。
(69) 前記T1R1ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、項68に記載の方法。
(70) 前記T1R1ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、共有結合により結合されている、項68に記載の方法。
(71) 配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
(72) 前記核酸が、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、項71に記載の核酸。
(73) 前記核酸が、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする、項71に記載の核酸。
(74) 前記核酸が、配列番号14、19、22、24または29のヌクレオチド配列を有する、項71に記載の核酸。
(75) 項71に記載の核酸を含む、発現ベクター。
(76) 項75に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
(77) 配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる、単離されたポリペプチド。
(78) 前記ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる、項77に記載のポリペプチド。
(79) 前記ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸によってコードされる、項77に記載のポリペプチド。
(80) 前記ポリペプチドが、配列番号14、19、22、24または29のヌクレオチド配列を有する核酸によってコードされる、項77に記載のポリペプチド。
(81) 項77に記載のポリペプチドに対して特異的に結合する、抗体。
(序論)
T1RおよびT2Rは、味覚レセプター細胞のサブセットにおいて選択的に発現されるGタンパク質共役型レセプター(GPCR)の2つのファミリーである:(Hoonら,Cell 96:541−551(1999);Adlerら,Cell 100:693−702(2000);Chandrashekarら,Cell 100:703−711(2000);Matsunamiら,Nature 404:601−604(2000);Nelsonら,Cell 106:381−390(2001);Kitagawaら,Biochem.Biophys.Res.Cummun.283:236−242(2001);Montmayeurら,Nature Neurosci.4:492−498(2001);Maxら,Nature Genet.28:58−63(2001);Sainzら,J.Neurochem.77:896−903(2001))。T2Rは、苦味の味覚検出に関与し(Adlerら,Cell 100:693−702(2000);Chandrashekarら,Cell,100:703−711(2000));T1R2およびT1R3は、組み合わされて、本明細書中に記載されるように、甘味味覚レセプターとして機能する(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001)もまた参考のこと);そしてT1R1およびT1R3は、組み合わされて、本明細書中に記載されるように、アミノ酸味覚レセプターとして機能する(Nelsonら,Nature,2002年2月24日;WO 01/66563)もまた参考のこと)。これらのヘテロダイマー性味覚レセプターは、以下に記載されるように、ヘテロダイマーの形態にある。
甘味味覚検出に関与する味覚レセプターを同定するために、本発明者らは、マウスにおけるSac遺伝子座が、T1R3(味覚レセプターのT1Rファミリーのメンバー)をコードすることを示すトランスジェニック実験を実施した。テイスター系統由来のT1R3のトランスジェニック発現は、甘味非感受性動物をテイスターへと形質転換する。異種発現系を使用して、本発明者らは、T1R2およびT1R3が組み合わされて、ヘテロダイマー性の甘味レセプターとして機能し、スクロース、サッカリン、ズルチン、およびアセスルファーム−Kのような甘味の味がする分子を認識することを実証した。アミノ酸検出に関与する味覚レセプターを同定するために、本発明者らは、苦味および甘味の味覚レセプターの特徴付けに使用されたストラテジーと同様の発現スクリーニングストラテジーを使用した。候補レセプターを、Gα16−GαおよびGα15の無差別なGタンパク質(Offermannsら、J.Biol.Chem.270:15175−15180(1995);Modyら、Mol.Pharmacol.57:13−23(2000))を含有するヒト胚性腎臓(HEK)細胞において発現させ、そして細胞内カルシウムにおける刺激により惹起された変化についてアッセイした。この系において、レセプターの活性化は、ホスホリパーゼCβの活性化を誘導する(PLC−βおよび内部貯蔵からのカルシウムの放出(これらは、カルシウム指示薬色素を使用して単一細胞レベルでモニターされ得る(Chandrashekarら,Cell 100:703−711(2000);Nelsonら,Cell 106:381−390(2001);Tsienら,Cell Calsium 6:145−157(1985))))。この発現系を使用して、本発明者らは、T1R1およびT1R3が組み合わされて、ヘテロダイマー性のアミノ酸レセプターとして機能することを示した。示差的にタグ化されたT1Rレセプターを用いた免疫沈降実験によって、T1R1およびT1R2が、T1R3とヘテロダイマー性レセプターを形成することが実証された。実験により、T1R3の非テイスター形
態が、T1R1およびT1R2の両方とのヘテロダイマー性レセプターへとアセンブルすることもまた示された。しかし、T1R3のテイスター対立遺伝子および非テイスター対立遺伝子を用いた実験により、Sac遺伝子座が、T1R2+3レセプターに選択的に影響を及ぼすことが示された。
本発明は、Gタンパク質共役型レセプターのT1Rファミリーのメンバーを含む甘味およびアミノ酸の味覚レセプターを提供する。好ましい実施形態において、本発明は、T1R3ポリペプチドと、第2の異種T1Rポリペプチド(例えば、T1R1またはT1R2)とを含む、甘味および/またはアミノ酸の味覚レセプターを提供する。これらの甘味およびアミノ酸の味覚レセプターは、味覚伝達経路のGPCR成分であり、そして同じ細胞において共発現される場合に、これらのポリペプチドは、甘味およびアミノ酸の味覚リガンドに応答してシグナルを伝達する。
これらのレセプターをコードするこれらの核酸およびタンパク質は、味覚細胞を同定するための有益なプローブを提供する。なぜなら、これらの核酸は、味覚細胞において特異的に発現されるからである。例えば、GPCRポリペプチドおよびGPCRタンパク質についてのプローブを使用して、葉状細胞、口蓋細胞および有郭細胞のような味覚細胞のサブセット、または特定の味覚レセプター細胞(例えば、甘味またはアミノ酸の味覚レセプター細胞)を同定し得る。以下に記載されるように、T1R1およびT1R3、ならびにT1R2およびT1R3は、特定の味覚レセプター細胞のサブセットにおいて共発現される。これらはまた、舌の味覚細胞と、脳の味覚中心へとつながる味覚感覚神経細胞との間の関係を解明する、味覚の局所解剖学的マップの作成のためのツールとして役立つ。さらに、核酸およびその核酸がコードするタンパク質をプローブとして使用して、味覚により誘導される行動を分析し得る。
本発明はまた、T1R3と、T1Rファミリーの別のメンバー(例えば、T1R1またはT1R2)とを含むこれらの新規な甘味およびアミノ酸の味覚レセプターのモジュレーター(例えば、アクチベーター、インヒビター、刺激物質、エンハンサー、アゴニスト、およびアンタゴニスト)をスクリーニングする方法を提供する。甘味および/またはアミノ酸の味覚伝達に関するこのようなモジュレーターは、甘味およびアミノ酸の味覚シグナル伝達経路の薬理学的調節および遺伝的調節のために、そして新規な甘味およびアミノ酸の味覚リガンドの発見のために有用である。これらのスクリーニング方法を使用して、甘味およびアミノ酸(旨味)味覚細胞活性の高親和性アゴニストおよびアンタゴニストを同定し得る。そうすると、これらの調節性化合物は、味をあつらえるために、食品産業および製薬産業において使用され得る。従って、本発明は、味覚調節のためのアッセイを提供し、ここでT1R3含有レセプターは、甘味およびアミノ酸の味覚伝達に対するモジュレーターの効果についての直接的または間接的なレセプター分子として作用する。GPCRは、例えば、インビトロ、インビボおよびエキソビボでの、リガンドの結合、Gタンパク質の結合、調節性分子の結合、イオン濃度、膜電位、電流、イオンフラックス、転写、シグナル伝達、レセプター−リガンド相互作用、神経伝達物質、およびホルモン放出;ならびに第2メッセンジャー濃度における変化を測定するためのアッセイにおいて使用され得る。1つの実施形態では、T1R3を含有するレセプターは、緑色蛍光タンパク質のような第2のリポーター分子への結合を通して、間接的なリポーターとして使用され得る(例えば、Mistili&Spector,Nature Biotechnology 15:961−964(1997)を参照のこと)。別の実施形態では、T1R3を含有するレセプターを細胞において組換え発現させて、GPCR活性を介した味覚伝達の調節が、Ca2+レベルの変化を測定することによってアッセイされる。
味覚伝達のモジュレーターについてアッセイする方法としては、以下が挙げられる:T1R3、その部分(例えば、細胞外ドメイン)またはT1R3の1つ以上のドメインを含
むキメラタンパク質を含むレセプターを使用した、インビトロリガンド結合アッセイ、および卵母細胞T1R3レセプター発現のようなインビボ(細胞ベースおよび動物での)アッセイ;組織培養細胞のT1R3レセプター発現;T1R3の転写活性化;GPCRのリン酸化および脱リン酸化;GPCRへのGタンパク質の結合;リガンド結合アッセイ;電圧、膜電位およびコンダクタンスの変化;イオンフラックスアッセイ;細胞内第2メッセンジャー(例えば、cAMPおよびイノシトール三リン酸)の変化;細胞内カルシウムレベルの変化;および神経伝達物質の放出。
(定義)
「T1Rファミリー味覚レセプター」は、Gタンパク質共役型レセプターのT1Rファミリーのなかの1つのメンバー(例えば、T1R1、T1R2、およびT1R3)またはそれらの任意の組み合わせを含むレセプターをいう。1つの実施形態において、T1Rファミリーレセプターは、T1R3(「T1R3含有味覚レセプター」または「T1R3含有甘味味覚レセプター」または「T1R3含有アミノ酸味覚レセプター」)およびT1Rファミリーの異種ポリペプチドを含む。1つの実施形態において、このレセプターは、T1R1およびT1R3を含む。別の実施形態において、このレセプターは、T1R2およびT1R3を含む。1つの実施形態において、T1R3含有レセプターは、これらのレセプターの2つのメンバー(例えば、T1R1およびT1R3、または、T1R2およびT1R3)が同じ細胞において共発現される場合に活性である。別の実施形態では、T1Rポリペプチドが、同じ細胞において共発現され、そしてヘテロダイマー性レセプターを形成し、ここでレセプターのT1Rポリペプチドは、非共有結合または共有結合されている。このレセプターは、例えば、本明細書中に記載されるような、甘味の味がする分子(例えば、スクロース、サッカリン、ズルチン、アセスルファーム−K)ならびに他の分子(例えば、D−アミノ酸および/またはL−アミノ酸(甘味および非甘味))を認識する能力を有する。これらの分子は、T1R3を含有する味覚伝達Gタンパク質共役型レセプターに対してリガンドとして作用することによって、「甘味およびアミノ酸の味覚シグナル伝達を調節する」化合物の例である。
用語「GPCR−B3またはT1R1」、「GPCR−B4またはT1R2」、および「T1R3」または、「GPCR−B3またはT1R1」をコードする核酸、「GPCR−B4またはT1R2」をコードする核酸、および「T1R3」をコードする核酸とは、Gタンパク質共役型レセプターのT1Rファミリーのメンバーである核酸およびポリペプチドの多型性改変体、対立遺伝子、変異体および種間ホモログをいい、そしてこれらは:(1)配列番号1、2、3、7、8、9、15、18、20、23、25、27、または30によってコードされるアミノ酸配列に対して、好ましくは、少なくとも約25アミノ酸、50アミノ酸、100アミノ酸、200アミノ酸、500アミノ酸、1000アミノ酸またはそれより多いアミノ酸の領域にわたって、約60%より高いアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有し;(2)配列番号1、2、3、7、8、9、15、18、20、23、25、27、または30によってコードされるアミノ酸配列およびそれらの保存的に改変された改変体を含む免疫原に対して惹起された抗体(例えば、ポリクローナル抗体)に結合し;(3)T1Rタンパク質をコードする核酸配列(例えば、配列番号4、5、6、10、11、12、13、14、16、17、19、21、22、24、26、28、または29)およびそれらの保存的に改変された改変体に対応するアンチセンス鎖に対して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズし;(4)配列番号4、5、6、10、11、12、13、14、16、17、19、21、22、24、26、もしくは28、または29に対して、好ましくは、少なくとも約25ヌクレオチド、50ヌクレオチド、100ヌクレオチド、200ヌクレオチド、500ヌクレオチド、1000ヌクレオチドまたはそれより多いヌクレオチドの領域にわたって、約
60%より高い配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれより高いヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列を有する。本発明のT1Rファミリーポリペプチド(例えば、T1R1、T1R2またはT1R3)またはT1R3含有レセプター(例えば、T1R1+3またはT1R2+3)はさらに、単独で、もしくは同じ細胞において共発現される場合に、または別のT1Rファミリーのメンバーとヘテロダイマーとして共発現される場合のいずれかで、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する。ヒト、ラットおよびマウスのT1R1、T1R2、およびT1R3のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列についての登録番号は、GenBankにおいて見出され得る(ヒトのT1R1アミノ酸配列については、例えば、登録番号DAA00012およびNP_619642を参照のこと;ヒトT1R1ヌクレオチド配列については、例えば、登録番号BK000153を参照のこと;ヒトT1R2アミノ酸配列については、例えば、登録番号DAA00019、AAM12239およびNP_619642.1を参照のこと;ヒトT1R2ヌクレオチド配列については、例えば、登録番号BK000151、NM_138697.1、AF458149S1−6を参照のこと;ヒトT1R3アミノ酸配列については、例えば、登録番号DAA00013を参照のこと;ヒトT1R3ヌクレオチド配列については、例えば、登録番号BK000152を参照のこと)。T1R1、T1R2およびT1R3のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列については、WO00/06592、WO00/06593およびWO01/66563もまた参照のこと。
T1Rタンパク質は、「Gタンパク質共役型レセプター活性」を有し、例えば、T1Rタンパク質は、リガンド結合(例えば、甘味リガンドまたはアミノ酸リガンド)のような細胞外刺激に応答してGタンパク質に結合し、そしてホスホリパーゼCおよびアデニル酸シクラーゼのような酵素の刺激を介して、IP3、cAMPおよびCa2+のような第2メッセンジャーの産生を促進する。このような活性は、Gタンパク質または無差別なGタンパク質(例えば、Gα15)およびPLCのような酵素のいずれかに、GPCR(または、キメラGPCR)をカップリングすること、そして、(Offermans&Simon,J.Biol.Chem.270:15175−15180(1995))を使用して、細胞内カルシウムの増加を測定することによって、異種細胞において測定され得る。レセプター活性は、例えば、蛍光性Ca2+−指示薬色素および蛍光定量的画像化を使用して、[Ca2+におけるリガンド誘導性の変化を記録することによって、効率的に測定され得る。
このようなGPCRは、当業者に公知の方法(例えば、疎水性ドメインおよび親水性ドメインを同定する配列分析プログラム(例えば、Kyte&Doolittle,J.Mol.Biol.157:105−132(1982)を参照のこと))を使用して、構造的に同定され得る膜貫通ドメイン、細胞外ドメインおよび細胞質ドメインを有する。このようなドメインは、キメラタンパク質を作製するために、および本発明のインビトロアッセイのために、有用である(例えば、WO94/05695および米国特許第5,508,384号を参照のこと)。
甘味味覚レセプターおよび/またはアミノ酸味覚レセプターあるいは本発明のタンパク質の活性(例えば、シグナル伝達)を調節する化合物を試験するためのアッセイの文脈における、句「機能的効果」は、間接的にまたは直接的に、GPCRまたは甘味および/もしくはアミノ酸の味覚レセプターの影響下にあるパラメーター(例えば、物理的効果、表現型的効果または化学的効果)(例えば、リガンド結合のような外部刺激に応答して細胞性シグナルを伝達する能力、またはリガンドを結合する能力)の測定を含む。これは、結合活性およびシグナル伝達を含む。「機能的効果」は、インビトロ活性、インビボ活性およびエキソビボ活性を含む。
「機能的効果を決定する」とは、間接的にまたは直接的に、T1R GPCRタンパク質、または1つ以上のT1R GPCRタンパク質を含む甘味および/もしくはアミノ酸の味覚レセプターの影響下にあるパラメーター(例えば、物理的効果、および化学的効果または表現型的効果)を増加または減少させる化合物についてアッセイすることを意味する。このような機能的効果は、当業者に公知の任意の手段(例えば、分光器的な特徴(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)における変化;流体力学(例えば、形状);クロマトグラフ;またはタンパク質に対する溶解度特性;誘導可能なマーカーまたはタンパク質の転写活性の測定;結合活性または結合アッセイ(例えば、抗体に対する結合)の測定;リガンドまたはそのアナログ(天然物または合成物のいずれか)の結合活性における変化の測定;細胞増殖の測定;細胞表面マーカー発現の測定、T1R関連配列についてタンパク質レベルでの変化の測定;RNAの安定性の測定;Gタンパク質結合;GPCRのリン酸化または脱リン酸化;シグナル伝達(例えば、レセプター−リガンド相互作用、第2メッセンジャー濃度(例えば、cAMP、cGMP、IP3、PIまたは細胞内Ca2+));神経伝達物質の放出;ホルモンの放出;電圧、膜電位およびコンダクタンスの変化;イオンフラックス;調節性分子の結合;例えば、化学発光性反応、蛍光性反応、比色反応、抗体結合および誘導可能なマーカーを介した、下流の遺伝子またはリポーター遺伝子の発現の同定(例えば、CAT、ルシフェラーゼ、β−gal、GFPなど))によって測定され得る。
T1Rファミリーのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列ならびにT1Rファミリーの味覚レセプターの「インヒビター」、「アクチベーター」および「モジュレーター」は、インビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して同定される、T1Rのポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列ならびにT1Rファミリー味覚レセプター(ヘテロダイマー性レセプターを含む)の活性化分子、阻害化分子、または調節分子をいうために使用される。インヒビターは、例えば、T1Rファミリーの味覚レセプター(例えば、T1R3ポリペプチドを含むレセプター)に、部分的にかまたは完全に、活性をブロックするか、減少させるか、妨げるか、活性化を遅延させるか、不活化するか、脱感受性化するかまたはその活性もしくは発現をダウンレギュレートするように結合する化合物(例えば、アンタゴニスト)である。「アクチベーター」は、T1Rファミリーの味覚レセプター(例えば、T1R3ポリペプチドを含むレセプター)を増加させるか、開放状態にするか、活性化するか、促進するか、活性化を増強するか、感受性化するか、アゴナイズするか、またはアップレギュレートする化合物(例えば、アゴニスト)である。インヒビター、アクチベーター、またはモジュレーターはまた、T1Rファミリーの味覚レセプターの遺伝的に改変されたバージョン(例えば、改変された活性を有するバージョン)、ならびに天然物または合成物のリガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、抗体、アンチセンス分子、リボザイム、化学低分子などを含む。インヒビターおよびアクチベーターについてのこのようなアッセイは、例えば、インビトロ、細胞もしくは細胞膜においてT1Rファミリーの味覚レセプターを発現させる工程、推定モジュレーター化合物を適用する工程、次いで、上記のようにして、活性に対する機能的効果を決定する工程を包含する。1つの実施形態において、T1R3ポリペプチドを含む味覚レセプターは、スクロース、サッカリン、ズルチン、アセスルファーム−Kのような甘味の味がする分子を認識する能力を有する。別の実施形態において、T1R3ポリペプチドを含む味覚レセプターは、本明細書中に記載されるような他の分子(例えば、D−アミノ酸およびL−アミノ酸)を認識する能力を有する。これらの分子は、このGタンパク質共役型レセプターに対する細胞外リガンドとして作用すること、そしてそのレセプターを活性化することによって、味覚シグナル伝達を調節する化合物の例である。他の実施形態において、味覚シグナル伝達を調節する化合物は、レセプターの細胞内リガンドとして作用するか、または細胞外リガンドの結合を阻害もしくは活性化するか、またはレセプターの細胞内リガンドの結合を阻害もしくは活性化する分子である。
T1Rファミリーの味覚レセプターを含むサンプルまたはアッセイは、可能性のあるアクチベーター、インヒビターまたはモジュレーターで処理され、そのインヒビター、アクチベーターまたはモジュレーターを伴わないコントロールサンプルと比較されて、阻害の程度を試験される。コントロールサンプル(インヒビターで処理されていない)に、100%の相対的タンパク質活性値を割り当てる。T1Rファミリーレセプターの阻害は、コントロールと比較した活性値が、約80%、好ましくは、50%、より好ましくは、25〜0%である場合に達成される。T1Rファミリーレセプターの活性化は、コントロール(アクチベーターで処理されていない)と比較した活性値が、110%、より好ましくは、150%、より好ましくは、200〜500%(すなわち、コントロールと比較して、2〜5倍高い)、より好ましくは、1000〜3000%高い場合に達成される。
用語「試験化合物」または「薬物候補」または「モジュレーター」または文法上の等価物は、本明細書中で使用される場合、直接的または間接的に味覚を調節する能力について試験される、天然物または合成物のいずれかの任意の分子(例えば、タンパク質、オリゴペプチド(例えば、約5〜約25アミノ酸長、好ましくは、約10〜20アミノ酸長または12〜18アミノ酸長、好ましくは、12アミノ酸長、15アミノ酸長、または18アミノ酸長)、有機低分子、ポリサッカリド、脂質(例えば、スフィンゴリピド)、脂肪酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドなど)を記載する。試験化合物は、試験化合物のライブラリー(例えば、十分な範囲の多様性を提供する、コンビナトリアルライブラリーまたはランダム化ライブラリー)の形態であり得る。試験化合物は、必要に応じて、融合パートナー(例えば、標的化化合物、レスキュー化合物、ダイマー化化合物、安定化化合物、アドレス可能(addressable)化合物、および他の機能的な部分)に結合される。従来的に、有用な特性を有する新規な化学的実体が、いくらかの所望される特性または活性(例えば、阻害活性)を有する試験化合物(「リード化合物」と呼ばれる)を同定すること、このリード化合物の改変体を作製すること、そしてこれらの改変体化合物の特性および活性を評価することによって生成される。しばしば、ハイスループットスクリーニング(HTS)方法が、このような分析のために使用される。
「有機低分子」は、約50ダルトンより大きくかつ約2500ダルトン未満(好ましくは、約2000ダルトン未満)、好ましくは、約100〜約1000ダルトンの間、より好ましくは、約200〜約500ダルトンの間の分子量を有する、天然物または合成物のいずれかの有機分子をいう。
「生物学的サンプル」は、生検サンプルおよび剖検サンプルのような組織の切片、ならびに、組織学的目的のために採取された凍結切片を含む。このようなサンプルとしては、血液、痰、組織、培養細胞(例えば、初代培養物)、外植片、および形質転換された細胞、糞便、尿など挙げられる。生物学的サンプルは、代表的には、真核生物から、最も好ましくは、哺乳動物類(例えば、霊長類(例えば、チンパンジーまたはヒト);ウシ;イヌ;ネコ;げっ歯類(例えば、モルモット、ラット、マウス);ウサギ);または鳥類、爬虫類;または魚類から得られる。
「ヘテロダイマー」は、2つの異なる分子(例えば、2つの異なるポリペプチド)を含むダイマーであって、ここで、これらの分子は、共有結合(例えば、リンカーまたは化学的結合を通して)または非共有結合(例えば、イオン結合、ファン・デル・ワールス結合、静電的結合または水素結合)の結合のいずれかを介して結合される。本発明のT1R3含有レセプターは、同じ細胞において共発現される場合に、好ましくは、それらが共有結合または非共有結合のいずれかで結合されたヘテロダイマーを形成するように共発現される場合に、機能する。例えば、T1R1およびT1R3がヘテロマー性レセプターを形成し、ならびに、T1R2およびT1R3がヘテロマー性レセプターを形成する。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈における用語「同一」または%「同一性」は、同一であるか、あるいは、BLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを以下に記載されるデフォルトパラメーターで使用して測定される場合または手動の整列および視覚的検査(例えば、NCBIウェブサイトなどを参照のこと)によって、同一であるアミノ酸残基またはヌクレオチドの特定のパーセンテージを有する(すなわち、比較ウィンドウまたは指定領域にわたって最大一致のために比較および整列された場合に、特定された領域(例えば、配列番号1〜25のヌクレオチド配列)に対して約60%の同一性、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%またはそれより高い同一性である)、2つ以上の配列または部分配列をいう。このとき、このような配列は、「実質的に同一」であると言われる。この定義はまた、試験配列の相補体(compliment)をいうか、または試験配列の相補体に対して適用され得る。この定義はまた、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列を含む。以下に記載されるように、好ましいアルゴリズムは、ギャップなどを考慮し得る。好ましくは、同一性は、少なくとも約25アミノ酸長もしくは約25ヌクレオチド長の領域にわたって、またはより好ましくは、50〜100アミノ酸長もしくは50〜100ヌクレオチド長の領域にわたって存在する。
配列比較については、代表的に、1つの配列が参照配列として機能し、この参照配列に対して、試験配列が比較される。配列比較アルゴリズムを使用して、試験配列および参照配列がコンピューターに入力され、部分配列の座標が指定され、(必要ならば)そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。好ましくは、デフォルトプログラムパラメーターが使用され得るか、あるいはパラメーターが指定され得る。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の%配列同一性を算出する。
「比較ウィンドウ」は、本明細書中で使用される場合、20〜600、一般的には約50〜約200、より一般的には、約100〜約150からなる群より選択される数の連続位置のいずれか1つのセグメントであって、ここで配列が、2つの配列が最適に整列された後で、同数の連続位置の参照配列に対して比較され得る、セグメントに対する参照を含む。比較のための配列の整列の方法は、当該分野で周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch、J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci. USA 85:2444(1988)の類似性方法についての検索によって、これらのアルゴリズムのコンピューター化されたインプリメンテーション(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によって、または手動によるアラインメントおよび視覚的検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1995年、補遺)を参照のこと)によって、実施され得る。
%配列同一性および%配列類似性を決定するために適切なアルゴリズムの好ましい例は、BLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschulら、Nuc.Acids Res.25:3389−3402(1977)およびAltschulら、J.Mol.Biol.215:403−410(1990)に記載される。BLASTおよびBLAST2.0は、本明細書中に記載されるパラメーターを用いて使用され、本発明の核酸およびタンパク質についての%配列同一
性を決定する。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に利用可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列された場合に、一致するかまたはいくらかのポジティブ値の閾値Tを満たすかのいずれかである、クエリー配列におけるショートワードの長さWを同定することによって、高スコア配列対(HSP)をまず同定することを包含する。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前出)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見出すための検索を開始するためのシードとして作用する。このワードヒットを、累積アラインメントスコアが増大し得る限り、各配列に沿って両方向に伸長させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致した残基対の報酬(reward)スコア;常に0より大きい)およびN(一致しない残基のペナルティースコア;常に0より小さい)を用いて算出される。アミノ酸配列について、スコア付けマトリクスが、累積スコアを算出するために使用される。各方向におけるそのワードヒットの伸長は、以下の場合停止される:累積アラインメントスコアが、最大達成値から量Xだけ減少する場合;1つ以上の負のスコア残基アラインメントの蓄積に起因して、累積スコアが、ゼロ以下になる場合;または、いずれかの配列の末端に到達した場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長、10の期待値(E)、および50のBLOSUM62のスコア付けマトリクス(HenikoffおよびHenikoff、Proc.Natl.Acad.Sci.USA89:10915(1989)を参照のこと)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、および両鎖の比較を用いる。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーをいう。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然には存在しないアミノ酸ポリマーに対応して適用する。
用語「アミノ酸」とは、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、エナンチオマー(D−形態およびL−形態)およびアキラルアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣体をいう。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸、ならびに後に改変されたこれらのアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、およびO−ホスホセリン)である。アミノ酸アナログとは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素に結合されるα炭素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)をいう。そのようなアナログは、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたぺプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を有する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と類似した様式で機能する化学化合物をいう。
アミノ酸は、本明細書中で、それらの通常知られている三文字の記号またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される一文字の記号のいずれかで言及され得る。同様にヌクレオチドは、それらの一般的に受け入れられている一文字コードにより言及され得る。
「保存的に改変された改変体」は、アミノ酸および核酸の両方の配列に適用する。特定の核酸配列に関して、保存的に改変される改変体とは、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードするか、またはその核酸が本質的に同一な配列に対するアミノ酸配列をコードしない核酸をいう。遺伝コードの縮重性により、多数の機能的に同一な核酸が、任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUの全ては、アミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドンにより特定化されているあらゆる位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変更せずに、記載された任意の対応コドンに変更され得る。そのような核酸のバリエーションは、「サイレントなバリエーション」であり、これは保存的に改変されたバリエーションの1種である。本明細書中でポリペプチドをコードするすべての核酸配列はまた、核酸の全ての可能なサイレントなバリエーションを記載する。当業者は、核酸における各コドン(AUG(これは、通常メチオニンに対する唯一のコドンである)およびTGG(これは、通常、トリプトファンに対する唯一のコドンである)を除く)が改変されて、機能的に同一な分子を生じ得ることを認識する。従って、ポリペプチドをコードする核酸のそれぞれのサイレントなバリエーションは、実際のプローブ配列に関してではなく発現産物に関してそれぞれ記載された配列において含意される。
アミノ酸配列に関して、当業者は、核酸、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質の配列に対する、個々の置換、欠失または付加(これらは単一のアミノ酸もしくはコードされる配列中の少数の割合のアミノ酸を改変、付加または欠失する)が、「保存的に改変された改変体」であり、ここで、この改変が、化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換を生じることを理解する。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換に関する表は、当該分野において周知である。そのような保存的に改変された改変体は、本発明の多型性改変体、種間ホモログ、および対立遺伝子体に加えられ、そしてそれらを排除するものではない。
以下の8つの群の各々は、互いについての保存的置換体であるアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、スレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton、Proteins(1984)を参照のこと)。
ポリペプチド構造のような高分子構造は、組織化の種々のレベルで記載され得る。この組織化に関する一般的考察について、例えば、Albertsら、Molecular Biology of the Cell(第3版、1994)ならびにCantorおよびSchimmel、Biophysical Chemistry Part I:The Conformation of Biological Macromolecules(1980)を参照のこと。「一次構造」とは、特定のペプチドのアミノ酸配列をいう。「二次構造」とは局所的に整列されたポリペプチド内の三次元構造をいう。これらの構造は、ドメイン(例えば、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメイン)として一般的に公知である。ドメインは、ポリペプチドの緻密なユニットを形成し、かつ代表的には15〜350のアミノ酸長である、ポリペプチドの部分である。典型的なドメインは、β−シートおよびα−ヘリックスのストレッチのようなより小さい組織化の区画から構成される。「三次構造」とは、ポリペプチドモノマーの完全な三次元構造をいう。「四次構造」とは、独立した三次ユニットの非共有結合的会合により形成される三次元構造をいう。異方性に関する用語は、エネルギー用語としても公知である。
「核酸」とは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドでありかつ一本鎖ま
たは二本鎖のいずれかの形態であるそれらのポリマー、ならびに任意のそのような配列の相補体をいう。DNA、cDNA、RNA、ポリヌクレオチド、ヌクレオチドなどもまた含まれる。この用語は、公知のヌクレオチドアナログまたは改変された骨格残基もしくは結合を含む核酸(これらは、合成したもの、天然に存在するもの、および天然に存在しないものであり、参照核酸と類似した結合特性を有し、そして参照ヌクレオチドと類似した様式で代謝される)を含む。そのようなアナログの例としては、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド−核酸(PNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の核酸配列はまた、「スプライス改変体」を含意する。同様に、核酸によってコードされる特定のタンパク質は、その核酸のスプライス改変体によってコードされる任意のタンパク質を含む。「スプライス改変体」は、その名称が示唆するように、遺伝子の選択的スプライシングの生成物である。転写後、最初の核酸転写物は、スプライシングを受け得、その結果、異なる(代替的な)核酸スプライス生成物が異なるポリペプチドをコードする。スプライス改変体の生成に関するメカニズムは変動するが、これはエキソンの選択的スプライシングを含む。リードスルー転写によって同じ核酸から導き出される代替的なポリペプチドもまた、この定義によって包含される。スプライシング反応の任意の生成物(スプライス生成物の組換え形態を含む)が、この定義の中に含まれる。
「標識」または「検出可能な部分」は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、化学的、または他の物理的な手段によって検出可能な組成物である。例えば、有用な標識としては、32P、蛍光色素、電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて一般的に使用されるような)、ビオチン、ジゴキシゲニン、またはハプテン、および例えば、放射性標識をそのペプチドへ組込むことによって検出可能にされ得るか、またはそのペプチドと特異的に反応する抗体を検出するために使用されるタンパク質が挙げられる。
例えば、細胞または核酸、タンパク質、もしくはベクターを参照して使用される場合、用語「組換え」は、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種の核酸もしくはタンパク質の導入か、またはネイティブな核酸もしくはタンパク質の変更によって改変されていること、あるいはその細胞が、そのように改変された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組換え細胞は、細胞のネイティブ(非組換え)形態では見出されない遺伝子を発現するか、または他に異常なように発現されるか、過小発現されるか、もしくは全く発現されない天然の遺伝子を発現する。
核酸の部分を参照して使用される場合、用語「異種」とは、核酸が天然で互いに同じ関連で見出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば、新規の機能的核酸を作製するよう配置された関連の無い遺伝子由来の2つ以上の配列(例えば、1つの供給源に由来するプロモーターおよび別の供給源に由来するコード領域)を有する核酸が、代表的には組換え的に生成される。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が天然では互いに同じ関連では見出されない2つ以上の部分配列を含む(例えば、融合タンパク質)ことを示す。
句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」とは、プローブが代表的には核酸の複合混合物中のその標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、そして異なる状況において異なる。より高い温度であればあるほど、より長い配列が特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な指針が、Tijssen、Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes、「Overview of principles of hybridizati
on and the strategy of nucleic acid assays」(1993)において見出される。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度pHでの特定の配列についての熱融点(T)より約5〜10℃低くなるように選択される。このTは、標的に相補的なプローブの50%が、平衡状態(Tで標的配列が過剰に存在する場合、プローブの50%が平衡状態で占められる)で標的配列にハイブリダイズする温度(規定のイオン強度、pH、および核酸濃度の下)である。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドのような脱安定化剤の添加により達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションについて、ポジティブシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくは、バックグラウンドの10倍のハイブリダイゼーションである。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下のようなものあり得る:50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSで42℃でのインキュベーションまたは5×SSC、1%SDSで65℃でのインキュベーションと、0.2×SSCおよび0.1%SDS中で65℃での洗浄。
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合には、なお実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーが遺伝コードにより許容される最大のコドン縮重性を用いて作製される場合に生じる。そのような場合、核酸は、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で代表的にハイブリダイズする。例示的な「中程度のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、40%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDSの緩衝液中37℃でのハイブリダイゼーションと、1×SSC中45℃での洗浄とを含む。ポジティブハイブリダイゼーションは、バックグラウンドの少なくとも2倍である。当業者は、代替的なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件を利用して、類似したストリンジェンシーの条件を提供し得ることを容易に理解する。ハイブリダイゼーションのパラメーターを決定するためのさらなる指針は、多数の文献(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、Ausubelら編)に提供される。
PCRについて、約36℃の温度は、低いストリンジェンシーの増幅について代表的であるが、アニーリング温度は、プライマー長に依存して約32℃と約48℃との間で変動し得る。高ストリンジェンシーのPCR増幅について、約62℃の温度は代表的であるが、高いストリンジェンシーのアニーリング温度は、プライマーの長さおよび特異性に依存して、約50℃〜約65℃の範囲であり得る。高いストリンジェンシーの増幅および低いストリンジェンシーの増幅の両方について代表的なサイクル条件は、30秒間〜2分間にわたる90℃〜95℃の変性相、30秒間〜2分間続くアニーリング相、および1〜2分間にわたる約72℃の伸長相を含む。低いストリンジェンシーの増幅反応および高いストリンジェンシーの増幅反応についてのプロトコールおよび指針は、例えば、Innisら、PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications(1990)に提供される。
「抗体」は、抗原に特異的に結合および認識する免疫グロブリン遺伝子からのフレームワーク領域を含むポリペプチドまたはそのフラグメントをいう。認識される免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμの定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、κまたはλのいずれかとして分類される。重鎖は、γ、μ、α、δ、またはεとして分類され、これらは順にそれぞれ免疫グロブリンのクラスIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを規定する。代表的に、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性において最も重要である。
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含む。各テトラマーは、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、その各対は、1つの「軽」鎖(約25kD
a)および1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のN末端は、抗原の認識を主に担う約100〜110アミノ酸以上の可変領域を規定する。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)との用語はそれぞれ、これらの軽鎖および重鎖をいう。
抗体は、例えば、インタクトな免疫グロブリンとして、または種々のペプチダーゼを用いた消化により生成される十分に特徴付けられた多くのフラグメントとして存在する。従って、例えば、ペプシンは、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合のもとで抗体を消化し、F(ab)’を生成する。F(ab)’は、Fab自体がジスルフィド結合によりV−C1に結合された軽鎖であるFabのダイマーである。このF(ab)’は、ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を破壊するために穏かな条件下で還元され得、それによってF(ab)’ダイマーはFab’モノマーに変換される。Fab’モノマーは、ヒンジ領域の部分を有する本質的にFabである(Fundamental Immunology(Paul編、第3版、1993を参照のこと)。種々の抗体フラグメントがインタクトな抗体の消化の点において規定されるが、当業者は、そのようなフラグメントが化学的もしくは組換えDNA方法論を用いてのいずれかによりデノボで合成され得ることを理解する。従って、本明細書中で使用される場合、抗体との用語はまた、抗体全体の改変により生成される抗体フラグメントか、または組換えDNA方法論を用いてデノボで合成される抗体フラグメント(例えば、単鎖Fv)か、またはファージディスプレイラ
イブラリー(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552−554(1990)を参照のこと)を用いて同定される抗体フラグメントのいずれかを含む。
抗体(例えば、組換え抗体、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体)の調製のために、当該分野で公知の多くの技術が使用され得る(例えば、Kohler&Milstein、Nature 256:495〜497(1975);Kozborら、Immunology Today4:72(1983);Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(1985)の77〜96頁,Alan R.Liss,Inc.;Coligan,Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988);およびGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版,1986)を参照のこと)。単鎖抗体の生成のための技術(米国特許第4,946,778号)は、本発明のポリペプチドに対する抗体を生成するために適合され得る。また、トランスジェニックマウスまたは他の生物(例えば、他の哺乳動物)を使用して、ヒト化抗体を発現させ得る。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して、選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロマー性Fabフラグメントを同定し得る(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552〜554(1990);Marksら、Biotechnology 10:779〜783(1992)を参照のこと)。
「キメラ抗体」は、(a)定常領域またはその部分が、改変、置換または交換され、その結果、抗原結合部位(可変領域)が異なるかもしくは改変されたクラス、エフェクター機能および/または種の定常領域に連結されるか、またはキメラ抗体に新たな特性を付与する全く異なる分子(例えば、酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬物など)に連結されるか;あるいは(b)可変領域またはその部分が、異なるかまたは改変された抗原特異性を有する可変領域で改変、置換、または交換された、抗体分子である。
1つの実施形態において、抗体は、「エフェクター」部分に結合体化される。このエフェクター部分は、かなり多数の分子(放射性標識または蛍光性標識のような標識化部分を含む)であり得るか、または治療的部分であり得る。1つの局面において、この抗体は、タンパク質の活性を調節する。
抗体に「特異的に(または選択的に)結合する」、または「〜と特異的に(または選択的に)免疫反応性」との句は、タンパク質またはペプチドに対して言及される場合、しばしば、タンパク質および他の生物製剤の不均一集団において、そのタンパク質の存在に決定的である結合反応をいう。従って、指定されたイムノアッセイ条件下で、特定の抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、特定のタンパク質に結合し、そしてより代表的には、バックグラウンドの10〜100倍より高く特定のタンパク質に結合する。このような条件下での抗体への特異的な結合は、特定のタンパク質についてその特異性について選択された抗体を必要とする。例えば、配列番号1〜25の配列または配列番号1〜25によってコードされる配列を含む、T1Rタンパク質またはヘテロダイマー性T1R3含有味覚レセプター、多型性改変体、対立遺伝子、オルトログ、および保存的に改変された改変体またはスプライス改変体に対して惹起されたポリクローナル抗体、またはその部分は、T1Rタンパク質および/またはヘテロダイマー性T1R3含有味覚レセプターと特異的に免疫反応性のポリクローナル抗体のみを得、そして他のタンパク質と反応性のものは得ないように、選択され得る。1つの実施形態において、抗体は、ヘテロダイマー性T1R3含有味覚レセプターと反応性であるが、T1Rファミリーの個々のタンパク質メンバーとは反応性ではない。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を差し引くことによって達成され得る。種々のイムノアッセイ様式が、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために使用され得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために慣用的に使用される(特異的な免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ様式および条件の説明については、例えば、Harlow&Lane、Antibodies、A Laboratory Manual(1988)を参照のこと)。
(T1Rファミリーのメンバーをコードする核酸の単離)
本発明は、組換え遺伝学の分野における慣用的な技術による。本発明において使用される一般的方法を開示する基本的なテキストとしては、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(第2版、1989);Kriegler、Gene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1994)が挙げられる。
本明細書中に開示されるアミノ酸配列と実質的に同一であるT1R核酸、多型性改変体、オルトログ、および対立遺伝子は、スクリーニングライブラリーによって、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、T1R核酸プローブおよびオリゴヌクレオチドを使用することによって単離され得る。あるいは、発現ライブラリーは、ヒトT1Rまたはその部分に対して作製された抗血清または精製抗体を用いて免疫学的に発現ホモログを検出することによって、T1Rタンパク質、多型性改変体、オルトログ、および対立遺伝子をクローン化するために使用され得る。
cDNAライブラリーを作製するためには、T1R RNAの豊富な供給源(例えば、有郭、葉状、茸状および口蓋のような味蕾)を選択すべきである。次いで、mRNAは、逆転写酵素を使用してcDNAにされ、組換えベクターに連結され、そして増殖、スクリーニングおよびクローニングのために組換え宿主にトランスフェクトされる。cDNAライブラリーを作製およびスクリーニングする方法は、周知である(例えば、Gubler&Hoffman、Gene 25:263〜269(1983);Sambrookら、前出;Ausubelら、前出を参照のこと)。
ゲノムライブラリーについて、DNAは、組織から抽出され、そして約12〜20kb
のフラグメントを生じるように、機械的に剪断されるかまたは酵素的に消化されるかのいずれかである。次いで、フラグメントは、勾配遠心分離によって望ましくないサイズから分離され、そしてバクテリオファージλベクター中において構築される。これらのベクターおよびファージは、インビトロでパッケージングされる。組換えファージは、Benton&Davis、Science 196:180〜182(1977)に記載されるようなプラークハイブリダイゼーションによって分析される。コロニーハイブリダイゼーションは、一般に、Grunsteinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 72:3961〜3965(1975)に記載されるように実施される。
T1R核酸およびそのオルトログ、対立遺伝子、変異体、多型性改変体および保存的に改変された改変体を単離する代替的な方法は、合成オリゴヌクレオチドプライマーの使用と、RNAテンプレートまたはDNAテンプレートの増幅とを組み合わせたものである(米国特許第4,683,195号および同第4,683,202号;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innisら編、1990)を参照のこと)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびリガーゼ連鎖反応(LCR)のような方法は、mRNAから、cDNAから、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーから直接的にヒトT1Rの核酸配列を増幅するために使用され得る。縮重オリゴヌクレオチドは、本明細書で提供される配列を使用してT1Rホモログを増幅するように設計され得る。制限エンドヌクレアーゼ部位が、プライマーへ組み込まれ得る。ポリメラーゼ連鎖反応または他のインビトロ増幅方法もまた、例えば、発現されるべきタンパク質をコードする核酸配列をクローン化するために、生理学的サンプル中でmRNAをコードするT1Rの存在を検出するためのプローブとして使用するための核酸を作製するために、核酸の配列決定のために、または他の目的のために、有用であり得る。PCR反応によって増幅された遺伝子は、アガロースゲルから精製され得、そして適切なベクターにクローン化され得る。
T1Rの遺伝子発現はまた、当該分野で公知の技術(例えば、mRNAの逆転写および増幅、総RNAまたはポリARNAの単離、ノーザンブロッティング、ドットブロッティング、インサイチュハイブリダイゼーション、RNaseプロテクション、高密度ポリヌクレオチドアレイ技術などのような)によって分析され得る。
T1Rタンパク質をコードする核酸は、本発明において、高密度オリゴヌクレオチドアレイ技術(例えば、GeneChipTM)と共に使用されて、T1Rタンパク質、オルトログ、対立遺伝子、保存的に改変された改変体、および多型性改変体を同定し得る(例えば、Gunthandら、AIDS Res.Hum.Retroviruses 14:869〜876(1998);Kozalら、Nat.Med.2:753〜759(1996);Matsonら、Anal.Biochem.224:110〜106(1995);Lockhartら、Nat.Biotechnol.14:1675〜1680(1996);Gingerasら、Genome Res.8:435〜448(1998);Haciaら、Nucleic Acids Res.26:3865〜3866(1998)を参照のこと)。
T1Rについての遺伝子は、代表的に、複製および/または発現のために、原核生物細胞もしくは真核生物細胞への形質転換の前に、中間体ベクターへクローン化される。これらの中間体ベクターは、代表的に、原核生物ベクター(例えば、プラスミド)、またはシャトルベクターである。
(原核生物および真核生物における発現)
クローン化された遺伝子(例えば、T1Rタンパク質をコードするcDNA)の高レベルの発現を得るために、代表的には、T1Rを、転写を指示するための強力なプロモータ
ー、転写/翻訳ターミネーター、およびタンパク質をコードする核酸に対する場合には、翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクターへサブクローン化する。T1R核酸は、同じベクターまたは異なるベクターにおいて、共発現され得るかまたは別々に発現され得、好ましくは、共発現され得る。適切な細菌性プロモーターは、当該分野で周知であり、そして例えば、SambrookらおよびAusubelら(前出)に記載されている。T1Rタンパク質を発現するための細菌性発現系は、例えば、E.coli、Bacillus sp.およびSalmonellaにおいて利用可能である(Palvaら、Gene 22:229〜235(1983);Mosbachら、Nature302:543〜545(1983))。このような発現系についてのキットは市販されている。哺乳動物細胞、酵母、および昆虫細胞のための真核生物発現系は、当該分野で周知であり、そしてまた、市販されている。1つの好ましい実施形態において、レトロウイルス発現系が本発明において使用される。
異種核酸の発現を指示するために使用されるプロモーターの選択は、特定の適用に依存する。プロモーターは、好ましくは、それがその天然の設定における転写開始部位からの距離とほぼ同じである、異種転写開始部位からの距離に位置づけられる。しかし、当該分野で公知であるように、この距離におけるいくらかのバリエーションが、プロモーター機能を欠損させることなく適応され得る。
プロモーターに加えて、発現ベクターは、代表的に、宿主細胞においてT1Rをコードする核酸の発現のために必要とされるさらなるエレメントを全て含む転写単位または発現カセットを含む。従って、代表的な発現カセットは、T1Rをコードする核酸配列に作動可能に連結されたプロモーター、ならびに転写物の効率的なポリアデニル化に必要とされるシグナル、リボソーム結合部位、および翻訳終結部位を含む。カセットのさらなるエレメントとしては、エンハンサー、そしてゲノムDNAが構造遺伝子として使用される場合には、機能的スプライスドナー部位およびアクセプター部位を有するイントロンが挙げられ得る。
プロモーター配列に加えて、発現カセットはまた、効率的な終結を提供するために構造遺伝子の下流に転写終結領域を含むべきである。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得られてもよいし、または異なる遺伝子から得られてもよい。
遺伝情報を細胞へ輸送するために使用される特定の発現ベクターは、特に重要ではない。真核生物細胞または原核生物細胞における発現のために使用される任意の従来のベクターが、使用され得る。標準的な細菌性発現ベクターとしては、プラスミド(例えば、pBR322ベースのプラスミド、pSKF、pET23D)、および融合発現系(例えば、MBP、GSTおよびLacZ)が挙げられる。エピトープタグもまた、簡便な単離方法を提供するために組換えタンパク質に付加され得る(例えば、c−myc)。配列タグは、核酸レスキューのために発現カセットに含められ得る。蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質、β−gal、CATなどのようなマーカーが、ベクター導入のためのマーカーとしてベクター中に含められ得る。
真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、代表的に、真核生物発現ベクター(例えば、SV40ベクター、パピローマウイルスベクター、レトロウイルスベクター、およびエプスタイン−バーウイルス由来のベクター)において使用される。他の例示的な真核生物ベクターとしては、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、およびCMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリへドリン(polyhedrin)プロモーター、または真核生物細胞における発現のために有効
であると示されている他のプロモーターの指示下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが挙げられる。
真核生物ベクターからのタンパク質の発現はまた、誘導性プロモーターを使用して調節され得る。誘導性プロモーターでは、発現レベルは、プロモーターにこれらの因子の応答エレメントを組み込むことによって、誘導因子(例えば、テトラサイクリンまたはエクジソン)の濃度と関連付けられる。一般的には、高レベルの発現は、誘導因子の存在下においてのみ、誘導性プロモーターから得られる;基本的な発現レベルは、最少である。
1つの実施形態において、本発明のベクターは、調節性プロモーター(例えば、tet−調節系およびRU−486系(例えば、Gossen&Bujard,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 89:5547(1992);Oliginoら,Gene Ther.5:491−496(1998);Wangら,Gene Ther.4:432−441(1997);Neeringら,Blood 88:1147−1155(1996);およびRendahlら,Nat.Biotechnol.16:757−761(1998)を参照のこと))を有する。これらは、候補標的核酸の発現に対して低分子制御を与える。この有益な特徴を使用して、所望の表現型が、体細胞変異ではなくトランスフェクトされたcDNAによって引き起こされていることを決定し得る。
いくつかの発現系は、遺伝子増幅を提供するマーカー(例えば、チミジンキナーゼおよびジヒドロ葉酸レダクターゼ)を有する。あるいは、昆虫細胞におけるバキュロウイルスベクター(ポリへドリンプロモーターまたは他の強力なバキュロウイルスプロモーターの指示下にT1Rコード配列を有する)を使用するような、遺伝子増幅に関与しない高収率発現系もまた適切である。
代表的に発現ベクターに含まれるエレメントはまた、E.coli中で機能するレプリコン、組換えプラスミドを保有する細菌の選択を可能にするための抗生物質耐性をコードする遺伝子、および真核生物の配列の挿入を可能にするためのプラスミドの非必須領域中の特有の制限部位を含む。選択される特定の抗生物質耐性遺伝子は重要ではなく、当該分野で公知の多くの任意の耐性遺伝子が適切である。真核生物の配列は、好ましくは、それらが、必要に応じて真核生物細胞におけるDNAの複製を妨害しないように選択される。
標準的なトランスフェクション方法が、大量のT1Rタンパク質を発現する細菌細胞株、哺乳動物細胞株、酵母細胞株または昆虫細胞株を生成するために使用され、次いで、このタンパク質は、標準的な技術を使用して精製される(例えば、Colleyら、J.Biol.Chem.264:17619〜17622(1989);Guide to Protein Purification、Methods in Enzymology、第182巻(Deutscher編、1990)を参照のこと)。真核生物細胞および原核生物細胞の形質転換は、標準的な技術に従って実施される(例えば、Morrison、J.Bact.132:349〜351(1977);Clark−Curtiss&Curtiss、Methods in Enzymology 101:347〜362(Wuら編、1983)を参照のこと)。
外来ヌクレオチド配列を宿主細胞へ導入するための任意の周知の手順が使用され得る。これらとしては、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、微粒子銃、リポソーム、マイクロインジェクション、血漿ベクター、ウイルスベクター、およびクローン化されたゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来遺伝物質を宿主細胞へ導入するための任意の他の周知の方法(例えば、Sambrookら、前出を参照のこと)の使用が挙げられる。使用される特定の遺
伝子操作手順は、少なくとも1つの遺伝子を、T1Rを発現し得る宿主細胞へ首尾よく導入し得ることのみが必要とされる。
発現ベクターが細胞へ導入された後、トランスフェクトされた細胞は、T1Rの発現に有利な条件下で培養され、このT1Rは、以下で同定される標準的な技術を使用して培養物から回収される。
(T1Rポリペプチドの精製)
天然に存在するかまたは組換えのT1RポリペプチドまたはT1R3含有レセプターのいずれかは、機能的アッセイにおける使用のために精製され得る。天然に存在するT1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターは、例えば、ヒト組織から精製され得る。組換えT1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターは、任意の適切な発現系から精製され得る。T1Rポリペプチドは代表的に、T1R3含有レセプターを形成するように、同じ細胞中において共発現される。
T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターは、標準的な技術(硫酸アンモニウムのような物質を用いる選択的沈殿;カラムクロマトグラフィー、免疫精製方法などを含む)によって実質的に純粋となるまで精製され得る(例えば、Scopes、Protein Purification:Principles and Practice(1982);米国特許第4,673,641号;Ausubelら、前出;およびSambrookら、前出を参照のこと)。
多くの手順が、組換えT1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターが精製されている場合に利用され得る。例えば、確立された分子接着特性を有するタンパク質は、可逆的にT1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターに融合され得る。適切なリガンドを用いて、T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターは、選択的に精製カラムに吸着され得、次いで、比較的純粋な形態でカラムから遊離され得る。次いで、融合されたタンパク質は、酵素活性によって除去される。最終的に、T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターは、イムノアフィニティーカラムを使用して精製され得る。
(A.組換え細菌からのT1Rの精製)
組換えタンパク質は、大量に、代表的にはプロモーター誘導後に、形質転換された細菌によって発現される;しかし、発現は構成的であり得る。IPTGによるプロモーター誘導は、誘導性プロモーター系の一例である。細菌は、当該分野で標準的な手順に従って増殖される。新鮮な細菌細胞または凍結された細菌細胞が、タンパク質の単離のために使用される。
細菌において発現されるタンパク質は、不溶性の凝集物(「封入体」)を形成し得る。いくつかのプロトコルは、T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターの封入体の精製のために適切である。例えば、封入体の精製は、代表的に、細菌細胞の破壊による(例えば、50mM TRIS/HCL pH7.5、50mM NaCl、5mM MgCl、1mM DTT、0.1mM ATP、および1mM PMSFの緩衝液中でのインキュベーションによる)封入体の抽出、分離および/または精製を包含する。細胞懸濁物は、French Pressに2〜3回通過させて溶解され得るか、Polytron(Brinkman Instruments)を使用してホモジナイズされ得るか、または氷上で音波破砕され得る。細菌を溶解する代替的な方法は、当業者に明らかである(例えば、Sambrookら、前出;Ausubelら、前出を参照のこと)。
必要であれば、封入体は可溶化され、そして溶解された細胞懸濁物は、代表的に、望ましくない不溶性物質を除去するために遠心分離される。封入体を形成したタンパク質は、
適合性の緩衝液を用いて希釈または透析することによって再生され得る。適切な溶媒としては、尿素(約4M〜約8M)、ホルムアミド(少なくとも約80%、容量/容量基準)、およびグアニジン塩酸塩(約4M〜約8M)が挙げられるが、これらに限定されない。凝集物形成タンパク質を可溶化し得るいくつかの溶媒(例えば、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、70%ギ酸)は、免疫原性および/または活性の欠失に付随する、タンパク質の不可逆的変性があり得ることから、この手順での使用には不適切である。グアニジン塩酸塩および類似の薬剤は変性剤であるが、この変性は不可逆的ではなく、そして、変性剤の除去(例えば、透析による)または希釈によって、再生が生じ得、これにより免疫学的および/または生物学的に活性なタンパク質の再形成が可能となる。他の適切な緩衝液は、当業者に公知である。ヒトT1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターは、標準的な分離技術(例えば、Ni−NTAアガロース樹脂を用いる)によって、他の細菌性タンパク質から分離される。
あるいは、細菌ペリプラズムからのT1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターを精製することが可能である。細菌の溶解後、T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターが細菌のペリプラズムへ輸送される場合、この細菌のペリプラズムの画分は、当業者に公知の他の方法の他に、低温浸透圧ショックによって単離され得る。ペリプラズムから組換えタンパク質を単離するために、細菌細胞は、ペレットを形成するように遠心分離される。このペレットは、20%スクロースを含有する緩衝液中に再懸濁される。細胞を溶解するために、細菌は遠心分離され、そしてペレットは氷冷の5mM MgSO中に再懸濁され、そして約10分間氷浴中に置かれる。細胞懸濁液は遠心分離され、そして上清はデカントされそして保存される。この上清中に存在する組換えタンパク質は、当業者に周知の標準的な分離技術によって宿主タンパク質から分離され得る。
(B.T1Rタンパク質を精製するための標準的なタンパク質分離技術)
(溶解度分画)
しばしば最初の工程として、特に、タンパク質混合物が複合体である場合、最初の塩分画は、目的の組換えタンパク質から、望ましくない宿主細胞タンパク質(または細胞培養培地由来のタンパク質)の多くを分離し得る。好ましい塩は、硫酸アンモニウムである。硫酸アンモニウムは、タンパク質混合物中の水分量を効率的に減少させることによってタンパク質を沈殿させる。次いで、タンパク質は、これらの溶解度に基づいて沈殿される。タンパク質が疎水性になるにつれ、このタンパク質はより低い硫酸アンモニウム濃度で沈殿する確率が高まる。代表的なプロトコルとしては、結果として生じる硫酸アンモニウム濃度が、20〜30%の間であるように、タンパク質溶液に対して飽和硫酸アンモニウムを添加することを含む。この濃度は、ほとんどの疎水性のタンパク質を沈殿させる。次いで、沈殿物がデカントされ(目的のタンパク質が疎水性でないかぎり)、そして目的のタンパク質を沈殿させることが知られている濃度まで、硫酸アンモニウムをこの上清に添加する。次いで、沈殿物は、緩衝液中に可溶化され、そして、必要であれば、透析またはダイアフィルトレーションのいずれかによって、過剰な塩が除去される。タンパク質の溶解度に依存する他の方法(例えば、冷エタノール沈殿)は当業者に周知であり、そして複合体タンパク質混合物を分画するために使用され得る。
(サイズ差(size differential)濾過)
T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターの分子量は、異なる孔サイズの膜(例えば、Amiconの膜またはMilliporeの膜)を通す限外濾過を使用して、T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターを、より大きなサイズおよびより小さなサイズのタンパク質から単離するために利用され得る。第1工程として、タンパク質混合物は、目的のタンパク質の分子量よりも低分子量のカットオフを有する孔サイズを有する膜を通して限外濾過される。次いで、限外濾過の保持物(retentate)は、目的のタンパク質の分子量よりも大きな分子カットオフを有する膜に対して限外濾過される。組
換えタンパク質は、その膜を通過して濾液へと行く。次いで、この濾液が、以下で記載されるようにクロマトグラフィーされ得る。
(カラムクロマトグラフィー)
T1Rタンパク質またはT1R3含有レセプターはまた、そのサイズ、正味の表面電荷、疎水性、およびリガンドに対する親和性に基づいて他のタンパク質から分離され得る。さらに、タンパク質に対して惹起される抗体は、カラムマトリクスに結合体化され得、そしてタンパク質が免疫精製され得る。これらの方法の全ては、当該分野で周知である。クロマトグラフィー技術が任意のスケールで実施され得、そして多くの異なる製造業者(例えば、Pharmacia Biotech)からの装置を使用し得ることが、当業者に明らかである。
(T1Rタンパク質のモジュレーターについてのアッセイ)
(A.アッセイ)
T1R3含有味覚レセプターの調節、および味覚に関する対応する調節は、種々のインビトロアッセイおよびインビボアッセイを使用して評価され得る。このようなアッセイは、T1R3含有味覚レセプターのインヒビターおよびアクチベーター、そして結果として味覚のインヒビターおよびアクチベーターについて試験するために使用され得る。T1R3を含有する甘味および/またはアミノ酸の味覚レセプターのこのようなモジュレーターは、味覚シグナル伝達に関与する。T1R3含有味覚レセプターのモジュレーターは、組換えT1R3含有味覚レセプターまたは天然に存在するT1R3含有味覚レセプターのいずれか(好ましくは、ヒトレセプター)を使用して試験される。
好ましくは、T1R3含有味覚レセプターは、本明細書中に提供される配列またはその保存的に改変された改変体によってコードされるような配列を有する。あるいは、アッセイのT1R3含有味覚レセプターは、真核生物由来であり、かつ本明細書中に提供される配列に対してかなりのアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸部分配列を含むか、または本明細書中に記載されるようなヌクレオチド配列に対してストリンジェントな条件(中程度または高度)下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる。一般的に、このアミノ酸配列同一性は、少なくとも60%、好ましくは、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、または90%、最も好ましくは、少なくとも95%である。
組換え体または天然物のいずれかのT1R3含有味覚レセプターまたはT1R3含有味覚レセプターを発現する細胞における、甘味および/またはアミノ酸の味覚シグナル伝達の測定または甘味味覚シグナル伝達表現型の欠損の測定は、本明細書中に記載されるような、インビトロ、インビボおよびエキソビボの種々のアッセイを使用して実施され得る。活性または結合に影響を及ぼす適切な物理的変化、化学的変化または表現型的変化が、本発明のポリペプチドに対する試験化合物の効果を評価するために使用され得る。機能的効果をインタクトな細胞または動物を使用して決定する場合、当業者はまた、種々の影響(例えば、シグナル伝達の場合には、例えば、リガンドの結合、ホルモンの放出、既知の遺伝子マーカーおよび未だ特徴付けられていない遺伝子マーカーの両方に対する転写的変化(例えば、ノーザンブロット)、細胞代謝の変化(例えば、pH変化)、および細胞内第2メッセンジャー(例えば、Ca2+、IP3、cGMP、またはcAMP)の変化)を測定し得る。
(インビトロアッセイ)
T1R3含有味覚レセプター調節活性を有する化合物を同定するためのアッセイは、インビトロで実施され得る。このようなアッセイは、全長T1R3含有味覚レセプターもしくはその改変体、またはキメラを形成するように異種タンパク質に融合されたT1R3含
有味覚レセプターのフラグメント(例えば、細胞外ドメイン)を使用し得る。精製された組換えT1R3含有味覚レセプターまたは天然に存在するT1R3含有味覚レセプターは、本発明のインビトロ方法において使用され得る。精製されたT1R3含有味覚レセプターに加えて、組換えまたは天然に存在するT1R3含有味覚レセプターは、細胞溶解産物または細胞膜の部分であり得る。以下に記載されるように、結合アッセイは、固相または可溶性のいずれかであり得る。好ましくは、タンパク質または膜が、共有結合または非共有結合のいずれかによって固体支持体に結合される。しばしば、本発明のインビトロアッセイは、非競合的または競合的(本明細書中に記載されるような既知の細胞外リガンドとかまたは既知の細胞内リガンドGTPと)のいずれかである、リガンド結合アッセイまたはリガンド親和性アッセイである。他のインビトロアッセイは、タンパク質についての分光学的特徴(例えば、蛍光性、吸着度、屈折率)、流体力学特性(例えば、形状)、クロマトグラフィーの特性、または可溶度特性における変化の測定を含む。
1つの実施形態では、ハイスループット結合アッセイが実施され、ここでは、T1R3含有味覚レセプターまたはそのフラグメントを含むキメラを、潜在的なモジュレーターと接触させ、そして適切な量の時間にわたってインキュベートする。1つの実施形態では、潜在的なモジュレーターを固体支持体に結合し、そしてT1R3含有味覚レセプターを添加する。別の実施形態では、T1R3含有味覚レセプターを、固体支持体に結合させる。以下に記載されるように、広範な種々のモジュレーターが使用され得、これには、有機低分子、ペプチド、抗体、およびT1R3含有味覚レセプターリガンドアナログが挙げられる。広範な種々のアッセイが、T1R3含有味覚レセプター−モジュレーター結合を同定するために使用され得、これには、標識化タンパク質−タンパク質結合アッセイ、電気泳動移動度のシフト、イムノアッセイ、酵素的アッセイ(例えば、リン酸化アッセイ)などが挙げられる。いくつかの場合、候補モジュレーターの結合は、競合的結合アッセイの使用を通して決定され、ここでは、既知のリガンドの結合による干渉を、潜在的なモジュレーターの存在下において測定する。T1R3含有味覚レセプターに対するリガンドは、本明細書中に提供される。モジュレーターまたは既知のリガンドのいずれかがまず結合され、次いで、競合因子が添加される。T1R3含有味覚レセプターを洗浄した後に、潜在的なモジュレーターまたは既知のリガンドのいずれかの結合による干渉を決定する。しばしば、この潜在的なモジュレーターまたは既知のリガンドのいずれかは、標識化される。
(細胞ベースのインビボアッセイ)
別の実施形態において、T1R3含有味覚レセプターは、細胞において発現され(例えば、T1Rファミリーの2つの異種のメンバー(例えば、T1R1およびT1R3、または、T1R2およびT1R3)を共発現させることによって)、そして機能的(例えば、物理的および化学的または表現型的)な変化をアッセイして、T1R3含有味覚レセプターの味覚モジュレーターを同定する。T1R3含有味覚レセプターを発現する細胞はまた、結合アッセイにおいて使用され得る。任意の適切な機能的効果が、本明細書中に記載のようにして、測定され得る。例えば、リガンドの結合、Gタンパク質の結合およびGPCRシグナル伝達(例えば、細胞内Ca2+レベルの変化)はすべて、細胞ベースの系を使用して、潜在的なモジュレーターを同定するために適切なアッセイである。このような細胞ベースのアッセイのために適切な細胞は、本明細書中に記載されるような、初代細胞および細胞株の両方を含む。T1R3含有味覚レセプターは、天然物または組換え体であり得る。また、上記のように、GPCR活性を有するキメラT1R3含有味覚レセプターが、細胞ベースのアッセイにおいて使用され得る。例えば、T1Rタンパク質の細胞外ドメインが、異種タンパク質の膜貫通ドメインおよび/または細胞質ドメインに融合され得、好ましくは、異種GPCRに融合され得る。このようなキメラGPCRは、GPCR活性を有し、そして本発明の細胞ベースのアッセイにおいて使用され得る。
別の実施形態では、細胞のT1Rポリペプチドレベルを、タンパク質レベルまたはmR
NAレベルで測定することによって決定する。T1Rシグナル伝達に関連するT1Rタンパク質(1つまたは複数)のレベルは、T1R3含有味覚レセプターまたはそのフラグメントに選択的に結合する抗体を用いて、ウェスタンブロッティング、ELISAなどのようなイムノアッセイを使用して測定される。mRNAの測定のためには、増幅(例えば、PCR、LCRを使用する)またはハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、RNAseプロテクション、ドットブロッティング)が好ましい。タンパク質レベルまたはmRNAレベルは、本明細書中に記載されるように、直接的または間接的に標識された検出因子(例えば、蛍光標識された核酸または放射性標識された核酸、放射性標識された抗体または酵素的に標識された抗体など)を使用して、検出される。
あるいは、T1R3含有レセプターの発現は、リポーター遺伝子系を使用して測定され得る。このような系は、リポーター遺伝子(例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ホタルルシフェラーゼ、細菌ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼ)に作動可能に連結されたT1Rタンパク質プロモーターを使用することにより工夫され得る。さらに、目的のタンパク質が、赤色蛍光タンパク質または緑色蛍光タンパク質のような第2リポーターへの結合を介して、間接的にリポーターとして使用され得る(例えば、Mistili&Spector,Nature Biotechnology 15:961−964(1997)を参照のこと)。リポーター構築物は代表的に、細胞にトランスフェクトされる。潜在的なモジュレーターで処理した後に、リポーター遺伝子の転写物、翻訳物または活性の量を、当業者に公知の標準的な技術によって測定する。
別の実施形態では、GPCRシグナル伝達に関連した機能的効果を測定し得る。活性化または阻害化されたT1R3含有G共役型タンパク質レセプターは、標的酵素、第2メッセンジャー、チャネルおよび他のエフェクタータンパク質の特性を変更する。この例としては、cGMPホスホジエステラーゼ、アデニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼC、IP3の活性化、およびGタンパク質による多様なチャネルの調節が挙げられる。ホスホリパーゼCによるジアシルグリセロールおよびIP3の生成、そして次ぐ、IP3によるカルシウム動員のような、下流の結果もまた試験され得る。活性化されたGPCRレセプターは、レセプターのC末端テイルを(そしておそらく、他の部位も)リン酸化するキナーゼの基質となる。従って、アクチベーターは、γ標識化GTPからレセプターへの32Pの転移を促進し、この転移が、シンチレーション計数器を用いてアッセイされ得る。C末端テイルのリン酸化は、アレスチン様タンパク質の結合を促進し、そしてGタンパク質への結合に干渉する。GPCRシグナル伝達およびシグナル伝達をアッセイする方法に関する一般的な概論については、例えば、Methods in Enzymology、第237巻および第238巻(1994)および第96巻(1983);Bourneら、Nature 10:349:117−27(1991);Bourneら、Nature
348:125−32(1990);Pitcherら、Annu.Rev.Biochem.67:653−92(1998)を参照のこと。
上記のように、いくつかのGタンパク質共役型レセプターの活性化は、ホスファチジルイノシトールのホスホリパーゼC媒介性加水分解を通して、イノシトール三リン酸(IP3)の形成を刺激する(Berridge&Irvine,Nature 312:315−21(1984))。次いで、IP3は、細胞内カルシウムイオン貯蔵物の放出を刺激する。従って、細胞質カルシウムイオンレベルにおける変化、または第2メッセンジャーレベル(例えばIP3)における変化が、Gタンパク質共役型レセプター機能を評価するために用いられ得る。このようなGタンパク質共役型レセプターを発現する細胞は、細胞内貯蔵物およびイオンチャネルの活性化経由の両方による寄与の結果として、増加した細胞質カルシウムレベルを示し得る。この場合、内部貯蔵物からのカルシウム放出から生
じる蛍光応答を区別するために、必要に応じて、キレート剤(例えば、EGTA)を補充したカルシウム非含有緩衝液においてこのようなアッセイを行うことが所望され得るが、これは必須ではない。
1つの例において、T1R3含有味覚レセプターのGPCR活性は、このレセプターをホスホリパーゼCシグナル伝達経路に結び付ける無差別なGタンパク質(Offermanns&Simon,J.Biol.Chem.270:15175−15180(1995)を参照のこと)を有する異種細胞においてT1R3含有味覚レセプターを発現させることによって測定される。シグナル伝達の調節は、T1R3含有味覚レセプターと関連する分子の投与を介したGPCRシグナル伝達経路の調節に応答して変化する、細胞内Ca2+レベルの変化を測定することによってアッセイされる。Ca2+レベルにおける変化は、必要に応じて、蛍光性Ca2+指示薬色素および蛍光定量的な画像化を用いて測定される。
別の例では、ホスファチジルイノシトール(PI)加水分解を、米国特許第5,436,128号(本明細書中で参考として援用される)に従って分析し得る。簡潔には、このアッセイは、48時間以上にわたるH−ミオイノシトールでの細胞の標識化を含む。この標識化細胞は、試験化合物を用いて1時間にわたり処理される。処理された細胞は、溶解され、そしてクロロホルム−メタノール−水において抽出され、その後、イノシトールリン酸は、イオン交換クロマトグラフィーによって分離され、そしてシンチレーション計数によって定量された。倍数刺激(fold stimulation)は、緩衝液コントロールの存在下でのcpmに対する、アゴニストの存在下でのcpmの比を計算することによって決定される。同様に、倍数阻害は、緩衝液コントロール(これは、アゴニストを含んでもよいし、含まなくてもよい)の存在下でのcpmに対する、アンタゴニストの存在下でのcpmの比を計算することによって決定される。
他のアッセイは、レセプターの活性を決定することを包含し得、このレセプターは、活性化された場合に、アデニル酸シクラーゼのような酵素を活性化または阻害化することによって、細胞内サイクリックヌクレオチド(例えば、cAMPまたはcGMP)のレベルにおける変化を生じる。レセプターの活性化がサイクリックヌクレオチドレベルにおける減少を生じる場合、アッセイにおいて細胞にレセプター活性化化合物を添加する前に、細胞内サイクリックヌクレオチドのレベルを増加させる因子(例えば、フォルスコリン)に細胞を曝露することが好適であり得る。
1つの例において、細胞内cAMPまたはcGMPにおける変化は、イムノアッセイを用いて測定され得る。Offermanns&Simon,J.Biol.Chem.270:15175−15180(1995)に記載される方法は、cAMPのレベルを決定するために用いられ得る。Felley−Boscoら、Am.J.Resp.Cell and Mol.Biol.11:159−164(1994)に記載される方法もまた、cGMPのレベルを決定するために用いられ得る。さらに、cAMPおよび/またはcGMPを測定するためのアッセイキットは、米国特許第4,115,538号(本明細書中で参考として援用される)に記載される。
1つの例において、Gタンパク質共役型レセプター活性についてのアッセイは、レセプター活性をリポートするためのイオン感受性色素または電圧感受性色素を負荷した細胞を含む。このようなレセプターの活性を決定するためのアッセイはまた、試験される化合物の活性を評価するために、ネガティブコントロールまたはポジティブコントロールとして、他のGタンパク質共役型レセプターに対する公知のアゴニストおよびアンタゴニストを使用し得る。調節性化合物(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト)を同定するためのアッセイにおいて、細胞質におけるイオンのレベルの変化または膜電圧の変化が、イオン感
受性、または膜電圧蛍光指示薬をそれぞれ用いてモニターされる。とりわけイオン感受性指示薬および電圧プローブの中でも用いられ得るのは、Molecular Probes1997カタログに開示されるものである。Gタンパク質共役型レセプターについて、無差別なGタンパク質(例えば、Gα15およびGα16)が、選り抜きのアッセイにおいて用いられ得る(Wilkieら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA
88:10049−10053(1991))。このような無差別なGタンパク質は、広範囲のレセプターのカップリングを可能にする。
(動物モデル)
味覚に関する動物モデル(例えば、本明細書中に記載されるような、Sacテイスターマウス系統および非テイスターマウス系統)はまた、味覚のモジュレーターについてのスクリーニングにおける用途を見出す。同様に、トランスジェニック動物技術(例えば、適切な遺伝子標的化ベクターを用いた相同組換えまたは遺伝子の過剰発現の結果としての遺伝子ノックアウト技術を含む)は、T1R3含有レセプターまたはその成分の発現の欠損または増加を引き起こす。所望される場合には、T1R3含有レセプターまたはその成分の組織特異的な発現またはノックアウトが必要とされ得る。このような方法によって作製されたトランスジェニック動物は、味覚の調節に関する動物モデルとしての用途を見出し、そして味覚調節のモジュレーターのためのスクリーニングにおいてさらに有用である。
(B.モジュレーター)
T1R3含有味覚レセプターのモジュレーターとして試験される化合物は、任意の有機低分子か、または生物学的実体(例えば、タンパク質(例えば、抗体またはペプチド)、糖、核酸(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザイム)または脂質)であり得る。あるいは、モジュレーターは、T1R3含有味覚レセプターの遺伝子改変されたバージョンであり得る。代表的には、試験化合物は、有機低分子、ペプチド、脂質および脂質アナログである。
本質的に任意の化学物質が、本発明のアッセイにおいて潜在的なモジュレーターまたはリガンドとして使用され得るが、最も頻繁には、水溶液または有機(特に、DMSO−ベース)溶液中に溶解され得る化合物が用いられる。このアッセイは、アッセイ工程を自動化し、そして任意の都合の良い供給源からアッセイに化合物を提供することによって大きな化学ライブラリーをスクリーニングするように設計される。これは、代表的には、並行して(例えば、ロボットアッセイにおいてマイクロタイタープレートにおけるマイクロタイター形式において)実行される。Sigma(St.Louis,MO)、Aldrich(St.Louis,MO)、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、Fluka Chemika−Biochemica Analytika(Buchs Switzerland)などを含む多くの化学物質の供給業者が存在することが理解される。
1つの好ましい実施形態において、ハイスループットスクリーニング方法は、多数の潜在的な治療用化合物(潜在的モジュレーターまたはリガンド化合物)を含むコンビナトリアル有機低分子ライブラリーまたはコンビナトリアルペプチドライブラリーを提供することを含む。次いで、このような「コンビナトリアル化学ライブラリー」または「リガンドライブラリー」は、本明細書中に記載されるような、1つ以上のアッセイにおいてスクリーニングされて、所望の特徴的な活性を提示するこれらのライブラリーのメンバー(特定の化学種またはサブクラス)が同定される。従って、同定された化合物は、従来の「リード化合物」として役割を果たし得るか、またはそれ自体が、潜在的もしくは実際の治療剤として用いられ得る。
コンビナトリアル化学ライブラリーは、化学合成かまたは生合成のいずれかにより、多
数の化学的「ビルディングブロック」(例えば、試薬)を組み合わせることによって生成される多様な化学物質の収集物である。例えば、線形コンビナトリアル化学ライブラリー(例えば、ポリペプチドライブラリー)は、所定の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物におけるアミノ酸の数)について可能なあらゆる様式において、一組の化学的ビルディングブロック(アミノ酸)を組み合せることによって形成される。何百万もの化学的化合物が、化学的ビルディングブロックのこのようなコンビナトリアル混合を通して合成され得る。
コンビナトリアル化学ライブラリーの調製およびスクリーニングは、当業者に周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーとしては、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka,Int.J.Pept.Prot.Res.37:487−493(1991)およびHoughtonら、Nature
354:84−88(1991)を参照のこと)が挙げられるが、これに限定されない。化学的に多様なライブラリーを作製するための他の化学もまた用いられ得る。このような化学としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ペプトイド(例えば、PCT公開番号WO91/19735)、コード化ペプチド(例えば、PCT公開番号WO93/20242)、ランダムバイオオリゴマー(例えば、PCT公開番号WO92/00091)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許第5,288,514号)、ダイバーソマー(diversomer)(例えば、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチド(Hobbsら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909−6913(1993))、ビニローグ(vinylogous)ポリペプチド(Hagiharaら、J.Amer.Chem.Soc.114:6568(1992))、グルコース骨格を有する非ペプチド性のペプチド模倣物(Hirschmannら、J.Amer.Chem.Soc.114:9217−9218(1992))、低分子化合物ライブラリーのアナログ有機合成(Chenら、J.Amer.Chem.Soc.116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Choら、Science 261:1303(1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら、J.Org.Chem.59:658(1994))、核酸ライブラリー(Ausubel,BergerおよびSambrook、全て前出、を参照のこと)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を参照のこと)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology,14(3):309−314(1996)およびPCT/US96/10287を参照のこと)、炭水化物ライブラリー(例えば、Liangら、Science,274:1520−1522(1996)および米国特許第5,593,853号を参照のこと)、有機低分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、BaumC&EN,1月18日、33頁(1993));イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および同第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号などを参照のこと)。
コンビナトリアルライブラリーの調製のためのデバイスは、市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech,Louisville KY,Symphony,Rainin,Woburn,MA、433A Applied Biosystems,Foster City,CA,9050 Plus,Millipore,Bedford,MAを参照のこと)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリーは、それ自体が市販されている(例えば、ComGenex,Princeton,N.J.,Asinex,Moscow,Ru,Tripos,Inc.,St.Louis,MO,ChemStar,Ltd,Moscow,RU,3D Pharmaceuticals,Exton,PA,Martek Biosc
iences,Columbia,MDなどを参照のこと)。
(C.固体および可溶性のハイスループットアッセイ)
1つの実施形態では、本発明は、天然物または組換え体のいずれかの、T1R3含有味覚レセプター、またはT1R3含有味覚レセプターを発現する細胞もしくは組織を用いる可溶性アッセイを提供する。別の実施形態では、本発明は、ハイスループット様式にある固相ベースのインビトロアッセイを提供し、ここでは、T1R3含有味覚レセプターを固相基材に結合させる。本明細書中に記載されるアッセイのいずれもが、ハイスループットスクリーニング(例えば、リガンドの結合、細胞増殖、細胞表面マーカーのフラックス(例えば、スクリーニング)、放射性標識GTPの結合、第2メッセンジャーのフラックス(例えば、Ca2+、IP3、cGMPまたはcAMP、サイトカイン生成など))のために適合され得る。
本発明のハイスループットアッセイでは、可溶性または固体のいずれかで、一日で数千までもの異なるモジュレーターまたはリガンドをスクリーニングすることが可能である。この方法論が、インビトロでT1R3含有味覚レセプターについて、または、T1R3含有味覚レセプターを含有する細胞ベースのアッセイもしくは膜ベースのアッセイについて、使用され得る。詳細には、マイクロタイタープレートの各ウェルを用いて、選択される潜在的モジュレーターに対して別々のアッセイを実行し得るか、または濃度もしくはインキュベーション時間の効果が観察されるべきである場合には、5〜10ウェルごとに1つのモジュレーターを試験し得る。従って、単一の標準的なマイクロタイタープレートは、約100個(例えば、96個)のモジュレーターをアッセイし得る。1536ウェルプレートが用いられる場合、単一のプレートは、約100〜約1500の異なる化合物を容易にアッセイし得る。一日当たり多くのプレートをアッセイすることが可能であり;約6,000、20,000、50,000までのまたは100,000より多くの異なる化合物についてのアッセイスクリーニングが、本発明の統合システム(integrated
system)を用いて可能である。
固体反応のために、目的のタンパク質もしくはそのフラグメント(例えば、細胞外ドメイン)、または目的のタンパク質もしくはそのフラグメントを融合タンパク質の部分として含む細胞もしくは膜が、固体成分に、直接的にかまたは間接的に、共有結合もしくは非共有結合を介して(例えば、タグを介して)結合され得る。このタグは、任意の種々の成分のものであり得る。一般に、タグを結合する分子(タグバインダー)は、固体支持体に固定され、そして目的のタグ化分子は、タグとタグバインダーとの相互作用によって固体支持体に結合される。
多数のタグおよびタグバインダーが、文献に十分に記載される公知の分子相互作用に基づいて用いられ得る。例えば、タグが天然のバインダー(例えば、ビオチン、プロテインA、またはプロテインG)を有する場合、それは、適切なタグバインダー(アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラビジン(neutravidin)、免疫グロブリンのFc領域など)との結合において用いられ得る。ビオチンのような天然のバインダーを有する分子に対する抗体はまた、広く入手可能であり、そして適切なタグバインダーである;SIGMA Immunochemicals 1998カタログ(SIGMA,St.Louis MOを参照のこと。
同様に、任意のハプテン化合物または抗原性化合物が、タグ/タグバインダー対を形成するために適切な抗体と組み合わせて用いられ得る。数千の特異的抗体が市販されており、そして多くのさらなる抗体が文献に記載されている。例えば、1つの共通の配置では、このタグは、一次抗体であり、そしてタグバインダーは、一次抗体を認識する二次抗体である。抗体−抗原相互作用に加えて、レセプター−リガンド相互作用もまた、タグとタグ
バインダーとの対として適切である。例えば、細胞膜レセプターのアゴニストおよびアンタゴニスト(例えば、トランスフェリン、c−kit、ウイルスレセプターリガンド、サイトカインレセプター、ケモカインレセプター、インターロイキンレセプター、免疫グロブリンレセプターおよび抗体、カドヘリンファミリー、インテグリンファミリー、セレクチンファミリーなどのような細胞レセプター−リガンド相互作用;例えば、PigottおよびPower,The Adhesion Molecule Facts Book I(1993)を参照のこと)。同様に、毒素および毒液、ウイルスエピトープ、ホルモン(例えば、アヘン剤、ステロイドなど)、細胞内レセプター(例えば、これは、ステロイド、甲状腺ホルモン、レチノイドおよびビタミンDを含む、種々の小さなリガンドの効果を媒介する;ペプチド)、薬物、レクチン、糖類、核酸(直鎖配置および環状ポリマー配置の両方)、オリゴサッカリド、タンパク質、リン脂質および抗体はすべて、種々の細胞レセプターと相互作用し得る。
合成ポリマー(例えば、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレア、ポリアミド、ポリエチレンイミン、ポリアリーレンスルフィド、ポリシロキサン、ポリイミド、およびポリアセテート)もまた、適切なタグまたはタグバインダーを形成し得る。多くの他のタグ/タグバインダー対がまた、この開示を見て当業者に明らかであるように、本明細書中に記載されるアッセイ系において有用である。
一般的なリンカー(例えば、ペプチド、ポリエーテルなど)もまた、タグとしての役割を果たし得、そしてこれは、ポリペプチド配列(例えば、約5〜200アミノ酸のポリgly配列)を含む。このような可撓性リンカーは、当業者に公知である。例えば、ポリ(エチレン(ethelyne)グリコール)リンカーは、Shearwater Polymers,Inc.Huntsville,Alabamaから入手可能である。これらのリンカーは、必要に応じて、アミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ官能性結合を有する。
タグバインダーは、現在利用可能な種々の方法のいずれかを用いて固体基材に固定される。固体基材は、タグバインダーの一部と反応性である表面に化学基を固定する化学試薬に、基材の全部または一部を曝露することによって、一般に誘導体化もしくは官能化される。例えば、より長い鎖の部分に結合させるために適切な基としては、アミン基、ヒドロキシル基、チオール基、およびカルボキシル基が挙げられる。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシランは、種々の表面(例えば、ガラス表面)を官能化するために用いられ得る。このような固相バイオポリマーアレイの構築は、文献に十分に記載されている。例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149−2154(1963)(例えば、ペプチド、の固相合成を記載する);Geysenら、J.Immun.Meth.102:259−274(1987)(ピン上での固体成分の合成を記載する);FrankおよびDoring,Tetrahedron 44:60316040(1988)(セルロースディスク上での種々のペプチド配列の合成を記載する);Fodorら、Science,251:767−777(1991);Sheldonら、Clinical Chemistry 39(4):718−719(1993);およびKozalら、Nature Medicine 2(7):753759(1996)(全てが、固体基材に固定されたバイオポリマーのアレイを記載する)を参照のこと。基材にタグバインダーを固定するための非化学的アプローチとしては、他の一般的方法(例えば、加熱、UV照射による架橋など)が挙げられる。
(T1R3含有レセプターの免疫学的検出)
T1R遺伝子の検出、および核酸ハイブリダイゼーション技術を使用する遺伝子発現に加えて、本発明のT1R3含有味覚レセプターを検出するために、イムノアッセイがまた使用され得る。このようなアッセイは、T1R3含有味覚レセプターのモジュレーターに
ついてスクリーニングするため、ならびに治療的適用および診断的適用のために、有用である。イムノアッセイは、T1R3含有味覚レセプターを定性的または定量的に分析するために使用され得る。適用可能な技術の一般的な概要は、Harlow&Lane、Antibodies:A Laboratory Manual(1988)に見出され得る。
(A.抗体の生成)
T1Rタンパク質およびT1R3含有味覚レセプターと特異的に反応するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を生成する方法は、当業者に公知である(例えば、Coligan、Current Protocols in Immunology(1991);Harlow&Lane、前出;Goding、Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(第2版、1986);ならびにKohler&Milstein、Nature 256:495〜497(1975)を参照のこと)。このような技術としては、ファージベクターまたは類似のベクターにおける組換え抗体のライブラリーからの抗体の選択による抗体の調製、ならびにウサギまたはマウスを免疫することによるポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の調製が挙げられる(例えば、Huseら、Science 246:1275〜1281(1989);Wardら、Nature 341:544〜546(1989)を参照のこと)。
T1Rタンパク質またはT1R3含有味覚レセプターの部分を含む多数の免疫原が、T1Rタンパク質特異的に反応する抗体を生成するために使用され得る。例えば、組換えT1Rタンパク質またはその抗原性フラグメントは、本明細書で記載されるようにして単離され得る。組換えタンパク質は、上記のように真核生物細胞または原核生物細胞において発現され得、そして一般に上記のように精製され得る。組換えタンパク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の生成のための好ましい免疫原である。あるいは、本明細書に開示される配列に由来し、そしてキャリアタンパク質に結合体化された合成ペプチドが、免疫原として使用され得る。天然に存在するタンパク質はまた、純粋な形態または不純な形態のいずれかにおいて使用され得る。次いで、この生成物は、抗体を生成し得る動物へ注射される。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかが、タンパク質を測定するためのイムノアッセイにおいて以後使用するために、生成され得る。
ポリクローナル抗体を生成する方法は、当業者に公知である。マウスの近交系系統(例えば、BALB/Cマウス)またはウサギを、標準的なアジュバント(例えば、フロイントアジュバント)および標準的な免疫プロトコールを使用して、このタンパク質で免疫する。免疫原性調製物に対する動物の免疫応答を、試験採血を行うことおよびβサブユニットに対する反応性の力価を測定することによってモニターする。この免疫原に対して適切な高力価の抗体が得られた場合、この動物から血液を収集し、そして抗血清を調製する。所望される場合には、タンパク質に対して反応性の抗体を富化させるために、抗血清のさらなる分画が実施され得る(HarlowおよびLane、前出を参照のこと)。
モノクローナル抗体は、当業者に周知の種々の技術によって得られ得る。簡潔には、所望される抗原で免疫された動物由来の脾臓細胞を、一般的には骨髄腫細胞との融合によって不死化する(KohlerおよびMilstein、Eur.J.Immunol.6:511−519(1976)を参照のこと)。不死化の代替の方法としては、エプスタイン−バーウイルス、オンコジーン、もしくはレトロウイルスでの形質転換、または当該分野において周知の他の方法が挙げられる。単一の不死化細胞から生じたコロニーを、抗原に対する所望の特異性および親和性を有する抗体の生成についてスクリーニングする。そしてこのような細胞によって生成されるモノクローナル抗体の収率は、種々の技術(脊椎動物宿主の腹膜腔内への注入を含む)によって増大され得る。あるいは、モノクローナ
ル抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列を、Huseら、Science 246:1275−1281(1989)によって概説された一般的プロトコールに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることによって単離し得る。
モノクローナル抗体およびポリクローナル血清は収集され、そしてイムノアッセイ(例えば、固体支持体に固定された免疫原を用いる固相イムノアッセイ)において、免疫原タンパク質に対して力価決定される。代表的には、10以上の力価を有するポリクローナル抗血清が選択され、そして競合的結合イムノアッセイを使用して、非T1Rタンパク質または非T1R3含有味覚レセプタータンパク質に対するそれらの交差反応性について試験される。特異的なポリクローナル抗血清およびモノクローナル抗体は、一般的には、少なくとも約0.1mM、より一般的には少なくとも約1μM、好ましくは、少なくとも約0.1μM以下、そして最も好ましくは、0.01μM以下のKで結合する。特定のT1R3含有味覚レセプターのオルトログ(例えば、ヒトT1R3含有味覚レセプター)に対してのみ特異的な抗体はまた、非ヒト哺乳動物のような種から他の交差反応性オルトログを差し引くことによって作製され得る。さらに、個々のT1Rタンパク質は、このレセプターおよび個々のT1Rタンパク質の両方に結合する抗体を差し引くために使用され得る。この様式において、ヘテロダイマー性レセプターにのみ結合する抗体が得られ得る。
一旦、T1R3含有味覚レセプターに対して特異的抗体が利用可能になると、このタンパク質は、種々のイムノアッセイ方法によって検出され得る。さらに、この抗体は、T1R3含有味覚レセプターのモジュレーターとして、治療的に使用され得る。免疫学的手順およびイムノアッセイ手順の概説については、Basic and Clinical Immunology(StitesおよびTerr編、第7版、1991)を参照のこと。さらに、本発明のイムノアッセイは、いくつかの立体配置のいずれでも実施され得る。この立体配置は、Enzyme Immunoassay(Maggio編、1980);およびHarlow&Lane(前出)に広範に概説される。
(B.免疫学的結合アッセイ)
T1R3含有味覚レセプターは、十分に容認された多くの免疫学的結合アッセイ(例えば、米国特許第4,366,241号;同第4,376,110号;同第4,517,288号;および同第4,837,168号を参照のこと)のいずれかを使用して、検出および/または定量化され得る。一般的なイムノアッセイの概説については、Methods in Cell Biology:Antibodies in Cell Biology、第37巻(Asai編、1993);Basic and Clinical
Immunology(StitesおよびTerr編、第7版、1991)もまた参照のこと。免疫学的結合アッセイ(すなわち、イムノアッセイ)は、代表的に、選択されたタンパク質または抗原(この場合、T1R3含有味覚レセプターまたはその抗原性部分配列)に特異的に結合する抗体を使用する。抗体(例えば、抗T1R3含有味覚レセプター)は、当業者に周知でありかつ上記のような多くの手段のいずれかによって生成され得る。
イムノアッセイはまた、しばしば、抗体および抗原によって形成される複合体に特異的に結合し、そしてそれを標識する標識化剤を使用する。この標識化剤は、それ自体が、抗体/抗原複合体を含む部分の1つであり得る。従って、標識化剤は、標識されたT1R3含有味覚レセプターまたは標識された抗T1R3含有味覚レセプター抗体であり得る。あるいは、標識化剤は、抗体/T1R3含有味覚レセプター複合体に特異的に結合する二次抗体のような第3の部分であり得る(二次抗体は、代表的に、一次抗体が由来する種の抗体に特異的である)。免疫グロブリンの定常領域に特異的に結合し得る他のタンパク質(例えば、プロテインAまたはプロテインG)もまた、標識化剤として使用され得る。これ
らのタンパク質は、種々の種由来の免疫グロブリン定常領域との強力な非免疫原性反応性を示す(例えば、Kronvalら、J.Immunol.111:1401−1406(1973);Akerstromら、J.Immunol.135:2589−2542(1985)を参照のこと)。標識化剤は、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)が特異的に結合し得る検出可能部分(例えば、ビオチン)で改変され得る。種々の検出可能部分が当業者に周知である。
アッセイ全体を通して、試薬の各配合の後に、インキュベーション工程および/または洗浄工程が必要とされ得る。インキュベーション工程は、約5秒間から数時間まで、必要に応じて、約5分間から約24時間まで変動し得る。しかし、インキュベーション時間は、アッセイの様式、抗原、溶液の容量、濃度などに依存する。通常、アッセイは、周辺温度にて実施されるが、これらは、一定範囲の温度(例えば、10℃〜40℃)にわたって実施され得る。
(非競合的アッセイ様式)
サンプル中のT1R3含有味覚レセプターを検出するためのイムノアッセイは、競合的または非競合的のいずれかであり得る。非競合的イムノアッセイとは、抗原の量を直接的に測定するアッセイである。1つの好ましい「サンドウィッチ」アッセイでは、例えば、抗T1R3含有味覚レセプター抗体を、固体基材に直接結合し得、この固体支持体上で抗体を固定する。次いで、これらの固定された抗体が、試験サンプル中に存在するT1R3含有味覚レセプターを捕捉する。次いで、このように固定されたT1R3含有味覚レセプターを、標識化剤(例えば、標識を保有する第2のT1R3含有味覚レセプター抗体)に結合させる。あるいは、二次抗体は標識を欠いてもよいが、これは、次いで、二次抗体が由来する種の抗体に対して特異的な標識化三次抗体に結合され得る。二次抗体または三次抗体は、代表的には、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)が特異的に結合する検出可能な部分(例えば、ビオチン)で改変されて、検出可能部分を提供する。
(競合的アッセイ様式)
競合的アッセイにおいては、サンプル中に存在するT1R3含有味覚レセプターの量は、サンプル中に存在する未知のT1R3含有味覚レセプターによって、抗T1R3含有味覚レセプター抗体から置換される(競合により取り除かれる(competed away))既知の添加された(外因性)T1R3含有味覚レセプターの量を測定することによって、間接的に測定される。1つの競合的アッセイにおいて、既知の量のT1R3含有味覚レセプターがサンプルに添加され、次いでこのサンプルを、T1R3含有味覚レセプターに特異的に結合する抗体と接触させる。この抗体に結合する外因性のT1R3含有味覚レセプターの量は、サンプル中に存在するT1R3含有味覚レセプターの濃度に反比例する。特に好ましい実施形態において、抗体は固体基材に固定される。抗体に結合するT1R3含有味覚レセプターの量は、T1R3含有味覚レセプター/抗体の複合体中に存在するT1R3含有味覚レセプターの量を測定することによって、あるいは残存している未複合体化タンパク質の量を測定することによってのいずれかで決定され得る。T1R3含有味覚レセプターの量は、標識されたT1R3含有味覚レセプター分子を提供することによって検出され得る。
ハプテン阻害アッセイは、別の好ましい競合的アッセイである。このアッセイでは、既知のT1R3含有味覚レセプターが固体基材に固定される。既知の量の抗T1R3含有味覚レセプター抗体がサンプルに添加され、次いでこのサンプルを、固定されたT1R3含有味覚レセプターと接触させる。既知の固定されたT1R3含有味覚レセプターに結合した抗T1R3含有味覚レセプター抗体の量は、サンプル中に存在するT1R3含有味覚レセプターの量と反比例する。同じく、固定された抗体の量は、抗体の固定された画分または溶液中に残存する抗体の画分のいずれかを検出することによって検出され得る。検出は
、直接的であり得るか(ここでは、抗体が標識される)、または上記のように抗体に特異的に結合する標識化部分の引き続く添加によって、間接的であり得る。
(交差反応性の測定)
競合的結合様式におけるイムノアッセイはまた、交差反応性の測定のために使用され得る。例えば、T1R3含有味覚レセプターが、固体支持体上に固定され得る。タンパク質(例えば、T1R3含有味覚レセプターおよびホモログ)は、この固定化された抗原への抗血清の結合について競合するアッセイに添加される。添加されたタンパク質が、固定されたタンパク質への抗血清の結合に対して競合する能力が、T1R3含有味覚レセプターがそれ自体と競合する能力と比較される。上記のタンパク質についての交差反応性の%は、標準的な計算を使用して算出される。上記に列挙される添加されたタンパク質の各々と10%未満の交差反応性を有する抗血清を選択し、そしてプールする。必要に応じて、交差反応性抗体は、考慮される添加されたタンパク質(例えば、遠縁のホモログ)での免疫吸着によって、プールされた抗血清から取り除かれる。
次いで、免疫吸着されそしてプールされた抗血清を、上記のような競合的結合イムノアッセイにおいて使用して、免疫原タンパク質に対して、おそらくT1R3含有味覚レセプターの対立遺伝子または多型性改変体と考えられる第2のタンパク質と比較する。この比較を行うために、2つのタンパク質は各々、広範な濃度でアッセイされ、そして固定されたタンパク質への抗血清の結合の50%を阻害するために必要とされる各タンパク質の量が決定される。結合の50%を阻害するために必要とされる第2のタンパク質の量が、結合の50%を阻害するために必要とされるT1R3含有味覚レセプターの量の10倍未満である場合、この第2のタンパク質はT1R3含有味覚レセプター免疫原に対して生成されたポリクローナル抗体に特異的に結合するといわれる。
(他のアッセイ様式)
ウェスタンブロット(イムノブロット)分析が、サンプル中のT1R3含有味覚レセプターの存在を検出および定量化するために使用される。この技術は一般に、以下の工程を包含する:分子量に基づいてゲル電気泳動によってサンプルのタンパク質を分離させる工程、分離されたタンパク質を適切な固体支持体(例えば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化されたナイロンフィルター)に転写する工程、およびT1R3含有味覚レセプターを特異的に結合する抗体とサンプルをインキュベートする工程。抗T1R3含有味覚レセプター抗体は、固体支持体上のT1R3含有味覚レセプターに特異的に結合する。これらの抗体は、直接標識され得るか、あるいは抗T1R3含有味覚レセプター抗体に特異的に結合する標識化抗体(例えば、標識されたヒツジ抗マウス抗体)を用いて、引き続き検出され得る。
他のアッセイ様式としては、リポソームイムノアッセイ(LIA)が挙げられ、これは特定の分子(例えば、抗体)に結合し、そしてカプセル化された試薬またはマーカーを放出するように設計されたリポソームを使用する。次いで、この放出される化学薬剤が、標準的技術によって検出される(Monroeら、Amer.Clin.Prod.Rev.5:34−41(1986)を参照のこと)。
(非特異的結合の低減)
当業者は、イムノアッセイにおいて非特異的結合を最小化することが多くの場合に所望されることを理解する。特に、アッセイが固体基材に固定化された抗原または抗体を含む場合、この基材への非特異的結合の量を最小化することが所望される。このような非特異的結合を低減する手段は、当業者に周知である。代表的には、この技術は、基板をタンパク質様組成物でコーティングすることを含む。特に、ウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉乳、およびゼラチンのようなタンパク質組成物が広範に用いられ、粉乳が最も好まし
い。
(標識)
このアッセイで使用される特定の標識または検出可能な基は、それがこのアッセイにおいて使用される抗体の特異的結合を有意に阻害しない限り、本発明の重要な局面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的特性または化学的特性を有する任意の物質であり得る。このような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野においてよく開発されており、そして一般的に、このような方法において有用な大半の任意の標識が、本発明に適用され得る。従って、標識は、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段、または化学的手段によって検出され得る任意の組成物である。本発明において有用な標識としては、以下が挙げられる;磁気ビーズ(例えば、DYNABEADSTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般的に使用される他の酵素)、および比色標識(例えば、金コロイド、または着色ガラスビーズもしくは着色プラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)。
標識は、当該分野において周知の方法に従って、アッセイの所望の成分に対して、直接的または間接的に結合され得る。上記のように、広範な種々の標識が使用され得、ここで標識の選択は、必要とされる感度、化合物との結合の容易さ、安定性の要件、利用可能な設備、および廃棄設備に依存する。
非放射能性標識は、しばしば、間接的手段によって結合される。一般的に、リガンド分子(例えば、ビオチン)が、この分子に共有結合される。次いで、このリガンドは、別の分子(例えば、ストレプトアビジン)に結合する。この別の分子は、固有に検出可能であるか、またはシグナル系(例えば、検出可能な酵素、蛍光性化合物、または化学発光化合物)に共有結合されるかのいずれかである。リガンドおよびそれらの標的は、T1R3含有味覚レセプターを認識する抗体、または抗T1R3含有味覚レセプターを認識する二次抗体との任意の適切な組み合わせにおいて使用され得る。
この分子はまた、シグナルを生成する化合物に直接的に結合体化され得る(例えば、酵素または発蛍光団と結合体化することによって)。標識としての目的の酵素は主に、加水分解酵素、特にホスファターゼ、エステラーゼ、およびグリコシダーゼ、またはオキシドレダクターゼ(oxidotase)、特にぺルオキシダーゼである。蛍光性化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロンなどが挙げられる。化学発光性化合物としては、ルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタラジンジオン(例えば、ルミノール)が挙げられる。使用され得る種々の標識系またはシグナル生成系の概説として、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
標識を検出する手段は、当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出のための手段は、オートラジオグラフィーにおける場合のようなシンチレーションカウンターまたは写真フィルムを含む。標識が蛍光標識である場合、これは適切な波長の光で蛍光色素を励起すること、および生じた蛍光を検出することによって検出され得る。蛍光は、写真フィルムを利用して、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管などのような電子検出器の使用によって、可視的に検出され得る。同様に、酵素標識は、その酵素に適切な基質を提供すること、および生じた反応産物を検出することによって検出され得る。最後に、単純な比色標識は、標識に関連する色を観察することによって単純に検出され得る。従って、種々のディップスティックアッセイにおいて、結合体化された金
はしばしばピンクのように見え、一方で種々の結合体化されたビーズは、そのビーズの色に見える。
いくつかのアッセイ様式は、標識された成分の使用を必要としない。例えば、凝集体化アッセイは、標的抗体の存在を検出するために使用され得る。この場合、抗原をコーティングされた粒子が、標的抗体を含有するサンプルによって凝集体化される。この様式においては、いかなる成分も標識される必要がなく、そして標的抗体の存在は、単純な可視的検査によって検出される。
(薬学的組成物および投与)
薬学的に受容可能なキャリアは、投与される特定の組成物(例えば、核酸、オリゴヌクレオチド、タンパク質、ペプチド、有機低分子、脂質、炭水化物、粒子、または形質導入された細胞)によって、およびこの組成物を投与するために用いられる特定の方法によって一部決定される。従って、本発明の薬学的組成物の広範な種々の適切な処方が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版、1989を参照のこと)。投与は、任意の都合の良い様式(例えば、注射、経口投与、吸入、経皮適用、または直腸投与による)であり得る。
経口投与のために適切な処方物は、(a)液体溶液(例えば、希釈剤(例えば、水、生理食塩水、またはPEG400)中に懸濁された有効量のパッケージングされた核酸);(b)液体、固体、顆粒またはゼラチンとして予め決められた量の活性成分を各々含む、カプセル剤、サシェ剤、または錠剤;(c)適切な液体中にある懸濁液;および(d)適切なエマルジョン、からなり得る。錠剤形態は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポテトスターチ、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、充填剤、バインダー、希釈剤、緩衝化剤、湿潤剤、防腐剤、風味剤、色素、崩壊剤、および薬学的に受容可能なキャリアのうちの1つ以上を含み得る。ロゼンジ形態は、風味における活性成分(例えば、スクロース)を含み得、そして錠剤(pastille)は、不活性基剤における活性成分を含む(例えば、活性成分の他に、当該分野で公知のキャリアを含む、ゼラチンとグリセリンとのまたはスクロースとアカシアとのエマルジョン、ゲルなど)を含み得る。
選択された化合物は、単独でかまたは他の適切な成分との組み合わせにおいて、吸入を介して投与されるエアロゾル処方物(すなわち、これらは、「噴霧」され得る)にされ得る。エアロゾル処方物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような、加圧された受容可能な噴霧剤のもとに配置され得る。
例えば、関節内(関節中)、静脈内、筋内、皮内、腹腔内、および皮下の経路によるような、非経口投与のために適切な処方物としては、水性および非水性の等張性滅菌注射溶液が挙げられ、これは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および処方物を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質、ならびに水性および非水性の滅菌懸濁液(これは、懸濁剤、可溶化剤、肥厚剤、安定化剤および防腐剤を含み得る)を含み得る。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注射によって、経口的に、局所的に、腹腔内に、膀胱内に、または髄腔内に投与され得る。非経口投与および静脈内投与が、好ましい投与方法である。推奨される処方物は、アンプルおよびバイアルのような、単回用量または複数回用量の密封された容器中に提示され得る。
注射溶液および懸濁液は、以前に記載された種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。エキソビボ治療のために核酸によって形質導入された細胞はまた、上記のように、静脈内投与され得るかまたは非経口投与され得る。
本発明の状況において、患者に投与される用量は、長期間にわたり患者において有利な治療応答をもたらすのに十分な量であるべきである。この用量は、用いられる特定のベクターの効果および患者の状態、ならびに処置される患者の体重または表面積によって決定される。用量のサイズはまた、特定の患者における特定のベクターまたは形質導入された細胞型の投与に伴う任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって決定される。
T1R3含有味覚レセプターの減少した発現または異常発現に起因する状態の処置または予防において投与されるベクターの有効量を決定する際に、医師は、ベクターの循環血漿レベル、ベクターの毒性、疾患の進行度、および抗ベクター抗体の生成を評価する。一般に、ベクター由来の裸の核酸の用量等価量は、代表的な70kgの患者に対して約1μg〜100μgであり、そしてベクター(これは、レトロウイルス粒子を含む)の用量は、治療用核酸の等価量を生じるように算出される。
投与について、本発明の化合物および形質導入細胞は、患者の体重および全体的な健康状態に適合するように、インヒビター、ベクターまたは形質導入細胞型のLD−50、および種々の濃度でのインヒビター、ベクターまたは細胞型の副作用によって決定される割合で投与され得る。投与は、単回用量または分割用量によって達成され得る。
(細胞のトランスフェクションおよび遺伝子治療)
本発明は、インビトロおよびインビボにおいて細胞をトランスフェクションするためのT1R3含有味覚レセプターの核酸を提供する。これらの核酸は、以下に記載されるような、標的細胞および生物体のトランスフェクションのための任意の多数の周知のベクターに挿入され得る。核酸は、ベクターと標的細胞との相互作用を通して、エキソビボまたはインビボで細胞にトランスフェクトされる。次いで、プロモーターの制御下にある核酸は、T1Rファミリーの2つのメンバーを共発現することによって、本発明のT1R3含有味覚レセプターを発現し、それにより、T1R3含有味覚レセプターの異常な影響、部分的な不活性化、または異常な発現を緩和する。この組成物は、患者において治療的な応答を誘発するために十分な量で、患者に投与される。これを達成するために十分な量を、「治療的に有効な用量または量」として規定する。
このような遺伝子治療手順を使用して、多くの状況下における後天性遺伝子欠損および遺伝性遺伝子欠損、ならびに他の疾患を矯正し得る。ヒトにおいて人工遺伝子を発現する能力は、他の治療による処置を受け入れなかった多くの疾患を含む、多くの重要なヒト疾患の予防および/または治癒を促進する(遺伝子治療手順の概説として、Anderson,Science 256:808−813(1992);Nabel&Felgner,TIBTECH 11:211−217(1993);Mitani&Caskey,TIBTECH 11:162−166(1993);Mulligan,Science 926−932(1993);Dillon,TIBTECH 11:167−175(1993);Miller,Nature 357:455−460(1992);Van Brunt,Biotechnology 6(10):1149−1154(1998);Vigne,Restorative Neurology and Neuroscience 8:35−36(1995);Kremer&Perricaudet,British Medical Bulletin 51(1):31−44(1995);Haddadaら,Current Topics in Microbiology and Immunology(Doerfler&Boehm編,1995);およびYuら,Gene Therapy 1:13−26(1994)を参照のこと)。
参考文献
(実施例)
以下の実施例を、例示のために提供するが、これは本願発明を制限するために提供されるのではない。
(実施例1:T1R2およびT1R3は、ヘテロダイマー性甘味味覚レセプターを形成する)
(結果)
(T1R3は、Sac遺伝子座によってコードされる)
以前の研究において、本発明者らは、舌および口蓋上皮の味覚レセプター細胞のサブセットにおいて選択的に発現されるT1Rファミリーの2つの新規なGタンパク質共役型レセプター(T1R1およびT1R2)を同定した(Hoonら,1999;Genbank登録番号AY032620−AY032623)。本発明者らはまた以前に、機能的な
苦味味覚レセプター遺伝子であるT2Rファミリーを同定した(Adlerら,2000;Chandrashekarら,2000)。T1R1およびT1R2は共に、最初は、第4染色体遠位端のSacの近位にマッピングされた(Hoonら、1999)。しかし、放射線ハイブリッド分析および高分解能遺伝子マッピングによって、これらのレセプターは、Sac遺伝子区画(Liら、2001)と分離され、これにより、候補Sac遺伝子としてそれらは排除された(図1)。近年、6つの独立したグループが、関連のレセプター遺伝子であるT1R3が、Sac遺伝子座と密接に連鎖していること(Kitagawaら,2001;Maxら,2001;Montmayeurら,2001;Sainzら,2001およびLiら,2001 Achems XXIII,Sarasota FL)、およびこのT1R3の多型性改変体が、Sacのテイスター対立遺伝子および非テイスター対立遺伝子と共分離することを報告した。この遺伝子連鎖は、T1R3が、Sac遺伝子に対応するという仮定を立てるために使用された。本発明者らはまた、T1R3を単離し、そしてT1R3を特徴付け、そして、Sacが実際にT1R3をコードするのであれば、この候補レセプターのテイスター対立遺伝子の導入が、Sac非テイスターマウスの味覚欠損をレスキューするはずであると考えた。
Sacテイスター系統(C57BL/6)由来のT1R3配列を含む15kbのゲノムクローンを使用して、トランスジェニックレスキュー構築物を操作した(図2a)。導入遺伝子 対 内因性のT1R3対立遺伝子の存在および発現を追跡するために、本発明者らは、その3’−UTRおよびポリアデニル化シグナルを、ウシ成長ホルモンのものと置き換えた。本発明者らのストラテジーは、T1R3非テイスター対立遺伝子についてホモ接合性であるがテイスター由来の導入遺伝子を保有した子孫を作製することであった。本発明者らは、4匹の初代(founder)マウスを得、そして2つの独立した系統を、その導入遺伝子の適切な発現について試験し、そしてスクロースおよびサッカリンの味覚に関する行動的なレスキューをアッセイした(Fuller、1974)。この導入遺伝子を欠く、年齢および性別の一致した同胞を、すべての実験においてコントロールとして使用した。図2bは、内因性T1R3レセプターを発現するすべての細胞が(そして、これらの細胞のみが)、この導入遺伝子を発現することを示す(同一の結果が、テイスターの遺伝的背景および非テイスターの遺伝的背景において得られた;データは示さず)。
T1R3テイスター対立遺伝子がSac非テイスターの味覚欠損をレスキューするのであれば、そのサッカリンおよびスクロースの用量応答は、Sacテイスター動物において観察される感度を再現するようにシフトするはずである(Fuller,1974;Bachmanovら,1997)。図2は、T1R3導入遺伝子が、Sac非テイスターの味覚欠損を完全にレスキューすることを示す。導入遺伝子を有さない動物は、非テイスター129/Svコントロールマウスと識別不可能である(図2cおよびd、塗り潰されていない黒円)。対照的に、同じSac非テイスター背景を有するが導入遺伝子を発現する同胞は、ここで、テイスターC57BL/6コントロールマウスと等価となる(図2cおよびd、赤色トレース)。この導入遺伝子の存在は、他の味覚様相には影響を有さず(図2e〜h)、テイスター系統の甘味感受性も改変しなかった(データは示さず)。等価な結果が、2つの独立したトランスジェニック系統で得られた。これらの結果は、Sac遺伝子座としてT1R3を確証付け、そしてT1R3が、甘味味覚レセプターとして機能し得ることを示唆する。
(T1Rの発現)
近年、T1R3は、種々の味覚乳頭にある味覚レセプター細胞のサブセットにおいて発現されることが示された(Kitagawaら,2001;Maxら,2001;Montmayeurら,2001;Sainzら,2001)。しかし、報告された発現パターンの間にはかなりの矛盾が存在し、結果は、舌の前方で発現があるとしてもほとんど無いというもの(茸状乳頭;Sainzら,2001)から、すべての味蕾でかなり発現す
るというもの(Kitagawaら,2001)までに及ぶ。本発明者らは、有郭、葉状、茸状および口蓋の味蕾におけるT1R3の発現を試験し、そしてT1R3が、すべての型の味蕾から、約30%の細胞において発現されることを見出した(図3;Montmayeurら,2001もまた参照のこと)。この局所解剖学的な発現パターンは、T1R1およびT1R2の発現の凝集と密接に近似し(図3、Hoonら、1999)、そしてT1R1とT1R3との、および、T1R2とT1R3との、共発現の可能性を示唆する。有郭乳頭(Maxら,2001;Montmayeurら,2001)および葉状乳頭(Montmayeurら,2001)におけるT1R2およびT1R3の共発現が近年、RT−PCRおよびインサイチュハイブリダイゼーションによって試験されたが、異なるクラスの味蕾における3つすべてのT1Rに関する包括的な研究は欠如していた。従って、本発明者らは、二色蛍光性インサイチュハイブリダイゼーションを使用して、二重標識化実験を実施した。本発明者らの結果は、T1R3が、すべての有郭、葉状および口蓋の味蕾においてT1R2と共発現され、すべてのT1R2ポジティブ細胞がT1R3も発現することを実証した(図4)。同様に、T1R1は、茸状および口蓋の味覚レセプター細胞においてT1R3と共発現される。しかし、茸状および口蓋の味蕾には、T1R3が重複せずに発現する細胞の画分が存在する。従って、本発明者らは、そのT1R発現プロフィールに基づいて、主要な3つのクラスの細胞型を規定し得る:T1R1およびT1R3(T1R1+3)、T1R2およびT1R3(T1R2+3)、およびT1R3。
(T1Rは、機能的な甘味味覚レセプターをコードする)
T1Rが甘味レセプターをコードするということを証明するには、機能的な確証が必要である。形質膜に対するレセプターのトランスロケーションをモニターするために、T1R1、T1R2およびT1R3に対する抗体を惹起し、そして、ネイティブおよびエピトープタグ化されたマウス、ヒトおよびラットのレセプターの、種々の組織培養細胞株における発現を試験した。本発明者らは、ラットのT1Rが効率的に発現されることを観察した;従って、本発明者らは、すべての異種発現の研究においてこのラット遺伝子を使用した。機能をアッセイするために、本発明者らは、T1Rを、Gα16−GzキメラおよびGα15(共に、Gs、Gi、Gqおよびガストデューシン連結型レセプターをホスホリパーゼCβに効率的に結合させる2つのGタンパク質αサブユニット)と共に発現させた(OffermannsおよびSimon、1995;Krautwurstら、1998;Chandrashekarら、2000;Modyら、2000)。この系において、レセプターの活性化は、細胞内カルシウム[Ca2+]iの増加を導き、この増加は、FURA−2カルシウム指示薬色素を使用して、単一細胞レベルでモニターされ得る(Tsienら、1985)。
T1R3と、T1R1またはT1R2との見かけ上の共発現に基づいて、本発明者らは、種々のラットT1Rを、単独および組み合わせ(共発現のために)において、無差別なGα15タンパク質およびGα16−Gzタンパク質を発現するHEK−293細胞にトランスフェクトした。FURA−2を細胞に負荷した後、本発明者らは、広範な甘味味物質(糖類、アミノ酸、および人工甘味料を含む)に対する応答についてアッセイした;本発明者らはまた、いくつかの苦味味物質を試験した(実験手順を参照のこと)。ラットT1R2およびT1R3を発現する細胞(T1R2+3)は、スクロース、フルクトース、サッカリン(しかし、非甘味サッカリン誘導体であるN−メチル−サッカリンではない)、アセスルファーム−K、ズルチン、および2つの新規な強度に甘味の化合物(Nagarajanら、1996、グアニジノ酢酸1および2(GA−1およびGA−2という);図5および6a)を含む、甘味化合物のサブセットに強力に応答した。この応答は、レセプター依存性およびGα依存性であった。なぜなら、これらの成分のいずれかを欠損する細胞は、非常に高濃度の味物質であっても、[Ca2+]iの変化を誘発しなかったからである(図5)。注目すべきことに、T1R2+3の活性化は、極めて選択的である。他方で、このレセプターの組み合わせは、グルコース、ガラクトース、マルトースおよび
アスパルテームを含む多数のモノサッカリドおよびジサッカリドならびに人工甘味料には応答しなかった(図6a)。他方、この応答は、T1R2およびT1R3の両方の存在に依存し;いずれかのレセプター単独では、その生物学的に適切な作用範囲を極端に超える濃度であっても、これらの研究においてアッセイされたいかなる化合物にも応答しなかった(データは示さず)。これらの結果により、T1R2およびT1R3が、同じ細胞において共発現される場合に、甘味味覚レセプターとして機能することが実証される。
ポリペプチドの結合またはヘテロマー化が、機能的なT1Rレセプターの形成に必要とされるという証拠が、ドミナントネガティブ性のT1Rの共発現によって得られた。C末端の短縮化を有するT1R2レセプターを用いた、野生型T1R2およびT1R3の共発現(Salahpourら、2000)は、T1R2+3の応答をほぼ無効にした(85%よりも大きな低下、データは示さず)。
T1R2+3の応答が、ネイティブの甘味レセプターの機能を反映するのであれば、本発明者らは、細胞ベースアッセイにおいて観察される感度閾値が、インビボにおけるこれらの甘味味物質の検出についての行動的閾値と対応するはずであると考えた。実際、図6bは、GA−2(インビボ閾値約2μM)、サッカリン(インビボ閾値約0.5mM)、アセスルファーム−K(インビボ閾値約0.5mM)およびスクロース(インビボ閾値約20mM)に対する用量応答を示し、これは、細胞ベースの応答と、その生物学的閾値との間の良好な一致を実証する。苦味味物質または旨味刺激のパネルに対しては、いかなる応答も検出されなかった。
甘味味覚応答を詳細に試験するために、T1R2+3でトランスフェクトされた細胞を、微小灌流チャンバーに配置し、そして種々の条件下で試験溶液を灌流した。図6cは、甘味味物質に対する応答が、刺激物の適用に密接に追随することを示す(潜時は1秒未満)。予期されたように、味物質が取り除かれた場合、[Ca2+]iはベースラインに戻った。甘味化合物に対する延長した曝露(10秒より長い)は、順応を生じた;[Ca2+]iの急速な増加に続いて、静止レベルへの迅速ではあるが不完全な低下。同様に、この味物質の連続的な適用は、脱感作化(Lefkowitzら,1992)を示す有意な応答の減少を導いたが、静止状態の期間延長(5分間より長い)が、完全な応答の回復に必要とされた。予期されたように、T1R2+3が、種々の甘味化合物(すなわち、GA−2、スクロースおよびアセスルファーム−K)に対する応答を媒介する場合、このパネルからの異なる味物質の連続的な適用は、完全な交差脱感作化へと導いた(図6c)が、このレセプター複合体を活性化しなかった甘味味物質(例えば、グルコースおよびシクラミン酸塩)は、応答の動態、振幅または時間経過に対して全く影響を有さなかった。まとめると、これらの結果は、甘味味覚レセプターとしてのT1R2+3を確証付ける。
本発明者らは、すべてのT1Rが、甘味レセプターをコードすることを提唱する;第1に、これらはすべて、同じレセプターファミリーのメンバーである。第2に、T1R1、T1R2、およびT1R3は、別々のサブセットの細胞において密接に共発現される。第3に、本明細書に提示されるデータは、3つのT1Rのうちの2つが組み合わされて、確証付けられた甘味レセプターとして機能することを実証している。
(T1RおよびT2Rの発現に関する空間的マップ)
他の味覚様相と絡めたT1Rの発現の研究によって、末梢における甘味味覚のコード化の提示に関する見解が与えられ得る。近年、本発明者らは、苦味味覚レセプターのT2Rファミリーのメンバーが、茸状味蕾において稀に発現されるが、有郭、葉状および口蓋のすべての味蕾の細胞では15〜20%で存在することを示した。T1Rもまた同じ味蕾において発現されることを考慮し、本発明者らは、T1Rを発現する細胞とT2Rを発現する細胞との間に重複が存在するか否かを試験した。T1RプローブおよびT2Rプローブ
の混合物を使用した二重標識化実験によって、T2Rが、T1Rファミリーのメンバーのいずれとも共発現しないことが示された(図7、Adlerら、2000もまた参照のこと)。これは、すべての味蕾において観察され、そして20個もの多いT2Rを含んだ混合物を用いて観察された。これらの2つのレセプターファミリーの発現プロフィールにおける強度の分離は、甘味および苦味が、異なる細胞型の活性化によってコードされるという、味蕾レベルでの味覚のコード化および識別の論理に関する重要な予測を築き上げた。
この研究の予測は、すべての味覚乳頭中の味蕾が甘味レセプター細胞を含み、そして口腔における甘味感受性の解剖学的な提示が、T1Rレセプターの発現の局所解剖学的な分布と一致するはずであるというものである。例えば、舌および口蓋の背面は、T1R2+3発現細胞のすべてを含み、そしてそのようにしてそれらは、このレセプターの組み合わせのリガンドに対して高い感受性を示す。逆に、舌の前面は、T1R1+3の組み合わせに対して応答するが、T1R2+3に特異的なレパートリーに対する応答は貧弱である。さらに、舌の前面および背面は、異なる神経節に由来する神経によって神経支配されているので(MistrettaおよびHill、1995)、本発明者らは、T1R2+3甘味細胞が、T1R1+3細胞の接続経路とは異なる接続経路を示すに違いないと結論付けた。興味深いことに、ラットは、舌の前面の刺激に対してよりも、舌および口蓋の背面に適用されたスクロースに対してより感受性が高いことが公知である(SmithおよびFrank、1993)。本発明者らの発現および機能に関する研究は、ここに、これらの知見に対する分子的な説明を与える。
(方法)
(T1R3の分子クローニング)
ヒトT1R3を、T1R1に対する相同性によって、BACクローンRP5−890O3のドラフト配列において同定した。ラットT1R3のフラグメントを、このヒト配列に基づいて設計された縮重PCRプライマーを使用して、ゲノムDNAから増幅した。PCRにより導き出されたプローブを使用して、有郭cDNAライブラリーから、全長ラットT1R3を同定し(Hoonら、1999)、そしてマウスのBACフィルターアレイ(Incyte Genomics and Research Genetics)を探索した。Sacテイスターマウス系統および非テイスターマウス系統(C57BL/6および129/Sv)のT1R3の配列を、ゲノムクローンから決定した。甘味感受性である他のマウス系統(SWR,ST,C57L,FVB/N)および甘味非感受性である他のマウス系統(DBA/lLac,DBA/2,C3H,AKR,BALB/c)の遺伝子のコード領域全体の配列を、増幅されたゲノムDNA(Jackson Laboratory)から決定した。SWRマウスについて、T1R3はまた、増幅された味覚組織cDNAからも配列決定された。11の近交系系統のなかで、本発明者らは、2つのテイスター対立遺伝子(テイスター1:C57BL/6,C57L,およびテイスター2:SWR,ST,FVB/N)、および1つの非テイスター対立遺伝子(DBA/lLac,DBA/2,C3H,AKR,BALB/c,129/Sv)を見出した。テイスター1対立遺伝子およびテイスター2対立遺伝子は、6つのアミノ酸位置(P61L、C261R、R371Q、S692L、I706T、G855E;このうちの1つであるG855Eは、(Kitagawaら、2001;Maxら、2001)では見逃された。これはおそらく、彼らの増幅反応に使用されたプライマー中にそれが含まれていたことに起因する)で、互いと異なる。非テイスターは、6つの残基(A55T、T60I、L61P、Q371R、T706I、E855G)でテイスター1対立遺伝子と異なり、そして4つのアミノ酸残基(A55T、T60I、R261C、L692S)でテイスター2と異なる。
マウスT1Rを、マウス/ハムスター放射線ハイブリッドパネル(Research Genetics)を使用してマッピングした。T1R3の物理的マッピングは、STS
−マーカーの存在に関するT1R3ポジティブBACクローンのPCRベースのタイピングを含んだ。
(インサイチュハイブリダイゼーション)
組織を、成体マウスから得た。発現パターンの性別特異的な差異は観察されなかった。従って、雄性動物および雌性動物を、交換可能に使用した。葉状切片について、乳頭間で発現パターンの差異は観察されなかった。新鮮凍結切片(16μm/切片)を、シラン処理したスライドに取り付け、そして以前に記載されたように(Hoonら、1999)、インサイチュハイブリダイゼーションのために調製した。すべてのインサイチュハイブリダイゼーションを、高ストリンジェンシー(ハイブリダイゼーション、5×SSC、50%ホルムアミド、65〜72℃;洗浄、0.2×SSC、72℃)で行った。単一標識検出のために、シグナルを、ジゴキシゲニンに対するアルカリホスファターゼ結合体化抗体および標準的な発色基質(Boehringer Mannheim)を使用して、顕色化した。センスプローブを用いたコントロールハイブリダイゼーションは、すべての味覚乳頭で、特異的なシグナルを生成しなかった。細胞を、以前に記載されたようにして(Boughterら,1997)、その核の位置に基づいてカウントした。二重標識蛍光性検出のために、プローブを、フルオレセインまたはジゴキシゲニンのいずれかで標識した。少なくとも3つの異なる動物由来の少なくとも50個の味蕾を、任意のプローブの組み合わせで分析した。アルカリホスファターゼ結合体化抗フルオレセイン抗体(Amersham)および西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗ジゴキシゲニン抗体を、ファストレッド(fast−red)およびチラミド(tyramide)の蛍光発生基質(Boehringer MannheimおよびNew England Nuclear)と組み合わせて使用した。共焦点画像を、アルゴン−クリプトンレーザーを使用して、Leica TSC共焦点顕微鏡により得た;1〜2μmの光学切片を記録し、すべての重複シグナルが単一の細胞に由来することを確実にした。
(T1R3トランスジェニックマウスの作製および行動アッセイ)
T1R3の6つのコードエキソンおよび開始ATGの上流の約12kbを含む約15kbのEcoRIフラグメントを、C57BL/6 BACクローンから単離した。このフラグメントは、T1R3コード配列の停止コドンを含むが、3’−UTRの大半を欠失する。15kbクローンの全体の配列を、テイスター系統および非テイスター系統から決定した。このフラグメントはまた、T1R3の約3kb上流に糖脂質トランスフェラーゼ様の遺伝子についての全長配列を含むが、Sacテイスター(SWR)系統間または非テイスター(129/Sv)系統間で、この遺伝子には、発現上の差異もアミノ酸配列上の差異も存在しない。導入遺伝子構築物において、pCDNA3.0(Invitrogen)由来のウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGH)シグナルを、T1R3遺伝子の3’末端に連結した。この改変により、マウスのPCRに基づく遺伝子型決定が可能となり、そして導入遺伝子由来のT1R3の発現と、通常の遺伝子由来の発現とを直接的に比較することが可能になる。トランスジェニックマウスを、FVB/N卵母細胞の前核注入によって作製した。本発明者らは、FVB/Nマウスが甘味味物質に感受性でありかつT1R3テイスター対立遺伝子を有することを決定したので、トランスジェニック初代動物を、129/SvJと交雑した。次いで、この導入遺伝子を有するF1マウスを、129/SvJに戻し交雑した。F2マウスを、BGHタグを使用して、導入遺伝子の存在についてタイピングし、そして、FVB/Nと129/SvJとの間のBsp120I制限多型性を使用して、内因性の非テイスターT1R3対立遺伝子のホモ接合性についてタイピングした(図2aを参照のこと)。4つすべての遺伝子群を、行動について試験した。マウスを3週間目に離乳させ、そして、試験を開始する前に、2本の水のボトルから飲むことに対して、7〜10日間訓練した。
行動アッセイのために、1ケージあたり2匹または3匹のマウスを飼育し;異なるトラ
ンスジェニック初代動物に由来する(ならびに雄性および雌性の)マウスを、別々に配置して、生データの比較を可能にした。アッセイに使用された群のサイズは、4以上のケージからなり、各々が最少で2匹の動物を有した。マウスは常に、まず低い濃度でアッセイされた(Fuller、1974)。すべての場合において、動物には、濃度シリーズの間に、少なくとも2日間の水を与えられた。各試験は、48時間の期間にわたる2本のボトルの選択アッセイからなり;ボトルの提供を24時間後に切り替えた。嗜好の比率を、総摂取量で試験溶液の消費量を除算することによって算出した。各ケージからのデータを個別に分析して、系統的な偏りを回避した。同じアッセイを使用して、129/Sv、C57BL/6およびFVB/Nコントロールマウスの味覚嗜好を分析した。
(T1Rの異種発現)
すべてのレセプターを、pEAK10哺乳動物発現ベクター(Edge Biosystems,MD)にクローン化した。改変されたHEK−293細胞(PEAKrapid細胞;Edge BioSystems,MD)を、5%ウシ胎仔血清、100μg/ml硫酸ゲンタマイシン(Fisher)、1μg/mlアンホテリシンBおよび2mM
GlutaMax I(Lifetechnologies)を補充されたUltra
Culture培地(Bio Whittaker)において、37℃にて増殖および維持した。トランスフェクションのために、細胞を、マトリゲルコーティングされた6ウェル培養プレート、24ウェル培養プレートまたは35mm記録チャンバーに播種した。37℃で24時間後に、細胞を、OptiMEM培地(Lifetechnologies)において洗浄し、そしてLipofectAMINE試薬(Lifetechnologies)を使用してトランスフェクトした。トランスフェクション効率を、GFPリポータープラスミドの同時トランスフェクションによって概算した。トランスフェクション効率は、代表的に、70%より高かった。活性アッセイを、24ウェル培養プレートおよび35mm記録チャンバーにおいてトランスフェクトされた細胞について、トランスフェクションから36〜48時間後に実施した;6ウェル培養プレートにおいてトランスフェクトされた細胞は、一晩増殖され、トリプシン処理され、96ウェル培養プレートに移され、そして再播種から36〜48時間後にアッセイされた。
(カルシウム画像化)
トランスフェクトされた細胞を、1mMピルビン酸ナトリウムおよび10mM HEPES、pH7.4(アッセイ緩衝液)を含むハンクス平衡塩溶液中で一旦洗浄し、そして室温で1時間にわたり2μM FURA−2 AM(Molecular Probes)を負荷した。負荷溶液を取り除き、そして24ウェルプレートの細胞を、1時間にわたり、250μlのアッセイ緩衝液と共に培養し(96ウェルプレートの細胞は、50μlと共に培養された)、AMエステルの切断を可能にした。24ウェル組織培養プレートにおいてT1RおよびGタンパク質(OffermannsおよびSimon,1995;Chandrashekarら,2000;Modyら,2000)を発現する細胞を、250μlの2×味物質溶液で刺激した(96ウェルプレートの細胞は、50μlの2×味物質溶液で刺激された)。Gα15およびGα16−Gzシグナル伝達についてのコントロールとして、1セットのプレートを、mGluR1およびμ−オピオイドレセプターで同時トランスフェクトし、そしてACPDおよびDAMGOに対する応答についてアッセイした。
2つの画像化ステーションのうちの1つを使用して、[Ca2+]iの変化を測定した。1つのシステムは、10×/0.5fluor対物レンズ、TILL画像化システム(T.I.L.L Photonics GmbH)および冷却CCDカメラを備えたNikon Diaphot 200顕微鏡を備える。これらの蛍光画像の取得および分析は、TILL−Visionソフトウェアを使用した。また、10×/0.5fluor対物レンズ、可変フィルターホイール(Sutter Instruments)および増
感CCDカメラ(Sutter Instruments)を備えたOlympus IX−70/FLA顕微鏡を利用した。VideoProbeソフトウェア(Instrutech)を、これらの蛍光画像の取得および分析のために使用した。一般的に、個々の応答は、60秒間測定された。F340/F380比を分析して、[Ca2+]iを測定した。
活性化および脱活性化の動態を、浴灌流システムを使用して測定した。細胞を、150μl微小灌流チャンバーに播種し、そして試験溶液を、picospritzer装置(General Valve,Inc.)を用いて圧力駆出した。流速を、4秒間で浴溶液が完全に交換されることを確実にするように調整した。応答を、80個の個別の応答細胞から測定した。
(味物質の一覧表)
以下の味物質を、以下の代表的な最大濃度で用いて、試験した:スクロース(250mM)、サッカリンナトリウム(25mM)、N−メチルサッカリン(5mM)、ズルチン(2mM)、アスパルテーム(2mM)、パラチノース(250mM)、シクラミン酸ナトリウム(15mM)、グアニジノ酢酸−1(1mM)、グアニジノ酢酸−2(1mM)、グアニジノ酢酸−3(1mM)、アセスルファーム−K(10mM)、グルコース(250mM)、マルトース(250mM)、ラクトース(250mM)、フルクトース(250mM)、ガラクトース(250mM)、キシリトール(250mM)、ラフィノース(250mM)、ソルビトール(250mM)、トレハロース(250mM)、タウマチン(0.1%)、モネリン(0.1%)、アラニン(20mM)、グリシン(20mM)、アルギニン(20mM)、グルタミン酸一ナトリウム(20mM)、シクロヘキシミド(5μM)、デナトニウム(10mM)、フェニル−チオカルバミド(2.5mM)。
(実施例2:T1R1およびT1R3は、ヘテロマー性のアミノ酸味覚レセプターを形成する)
(結果)
T1R味覚レセプターは、アミノ酸のグルタミン酸塩(Nakanishi,Science,258:597−603(1992))(向代謝性グルタミン酸塩レセプター,mGluR)、GABA(Kaupmannら,Nature,386:239−246(1997))(γ−アミノ酪酸;GABA−Bレセプター)およびアルギニン(Specaら,Neuron,23:487−498(1999))(R5−24レセプター)と別々に関連付けられるので、本発明者らは、T1Rファミリーのメンバーを試験することから始めた。T1Rの発現パターンは、少なくとも3つの異なる細胞型を規定する:T1R2およびT1R3を共発現する細胞(T1R2+3、甘味レセプター)、T1R1およびT1R3を共発現する細胞(例えば、T1R1+3)、およびT1R3のみを発現する細胞(Nelsonら,Cell,106:381−390(2001))。まず、本発明者らは、20種すべての標準的なアミノ酸および種々のD−アミノ酸に対するT1R2+3甘味味覚レセプターの応答をアッセイした。ヒトに甘味の味がし、そしてマウスに誘因性であるいくつかのD−アミノ酸は、T1R2+3甘味味覚レセプターの強力な活性化を誘発する(図1a、b)。しかし、試験されたL−アミノ酸はいずれも、このレセプターを活性化しない。
マウスT1R1およびT1R3を、単独または組み合わせにおいてトランスフェクトし、そしてL−アミノ酸による刺激について試験した。個々のレセプターは全く応答を示さなかった。対照的に、T1R1およびT1R3は組み合わされて、広範に調整されるL−アミノ酸レセプターとして機能し、甘味として感知されるアミノ酸(例えば、アラニン、グルタミン、セリン、スレオニン、およびグリシン(Iwasakiら,Physiol.Behav.,34:531−542(1985))の大半がT1R1+3を活性化す
る(図1)。この応答は、T1R1およびT1R3の組み合わされた存在に厳密に依存しており、そしてL−アミノ酸に対して高度に選択的である;D−アミノ酸ならびに他の天然甘味料および人工甘味料は、T1R1+3レセプターの組み合わせを活性化しなかった。これらの結果は、T1R1+3をL−アミノ酸についてのレセプターとして立証し、そしてサブユニットの組み合わせ配置によってその選択性を急激に改変するヘテロマー性GPCRレセプターの特筆すべき例を提供する。
T1R1+3が、インビボにおいて主要なL−アミノ酸味覚センサーとして機能する場合、本発明者らは、その細胞ベースの行動が、インビボレセプターのいくつかの生理的機能をまとめることを予期し得る。ラットにおける神経記録は、L−アミノ酸に対する味覚応答が、イノシン一リン酸(IMP)のようなプリンヌクレオチドによってかなり増強されることを示している(Yoshiiら、Brain Res.367:45−51(1986))。IMPの効果をアッセイするために、T1R1+3レセプターの組み合わせを発現するHEK細胞を、IMPの存在下または非存在下において、アミノ酸で刺激した、実際に、ほぼすべてのL−アミノ酸に対するT1R1+3応答は、低用量のIMPによって劇的に増強された(図1および2a);この効果は、0.1〜10mMの範囲にわたって増加した(図2b)。しかし、IMP単独では、本発明者らのアッセイにおいて試験された最高濃度でも応答を誘発せず、そしてこれは、T1R2+3によって媒介される応答に対して効果を有さなかった(甘味料に対して、またはL−アミノ酸もしくはD−アミノ酸に対してのいずれか;データは示さず)。
T1R1+3は、鼓索線維によって神経支配される茸状味蕾(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001))において顕著に発現される。従って、本発明者らは、IMPの存在下または非存在下において、種々のアミノ酸を用いて、舌の前面にあるマウス茸状乳頭を刺激し、そして鼓索線維からの味物質誘導性のスパイクを記録した。予期されたように、L−アミノ酸に対する神経応答は、IMPによって有意に増強された(Yoshiiら、Brain Res.367:45−51(1986))(図3)。しかし、IMPは、D−アミノ酸に対する応答にも、非アミノ酸刺激物に対する応答にも有意な効果を有さなかった。
甘味の味覚に関する遺伝的研究により、マウスにおいて、種々の甘味物質に対する応答に影響を与える単一の主要な遺伝子座が同定されている(Sac遺伝子座(Fuller,J.Hered.65,33−36(1974);Lush,Genet.Res.53:95−99(1989)))。Sac「テイスター」マウスは、Sac非テイスターよりも、スクロース、サッカリンおよび他の甘味料に対して約5倍高感度である。Sacは、T1R3(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001);Kitagawaら,Biochem.Biophys.Res.Cummun.283:236−242(2001);Montmayeurら,Nature Neurosci.4:492−498(2001);Maxら,Nature Genet.28:58−63(2001);Sainzら,J.Neurochem.77:896−903(2001);Bachmanovら,Chem.Senses,26:925−933(2001))をコードする。テイスター対立遺伝子および非テイスター対立遺伝子を規定する2つのアミノ酸差異が存在する(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001);Montmayeurら,Nature Neurosci.4:492−498(2001);Maxら,Nature Genet.28:58−63(2001))。これらの変化の1つであるI60Tは、レセプターのダイマー化を回避することによってレセプターの機能を排除することが提唱された潜在的なグリコシル化部位を導入する(Maxら,Nature Genet.28:58−63(2001))。これは謎を提起する。なぜなら、L−アミノ酸に対する応答は、Sac遺伝子座によって影響を受けないからである(Nelsonら,Cell 106:381−390(200
1);Bachmanovら,J.Nutr.130:9355−9415(2000))。従って、T1R3が、甘味レセプターおよびアミノ酸レセプターの共通のパートナーとして機能するならば、本発明者らは、T1R3非テイスター対立遺伝子は、T1R2+3の組み合わせに選択的に影響を与えるはずであると考えた。
本発明者らは、生化学的アッセイおよび機能的アッセイを使用して、T1R1およびT1R2に対するSac非テイスター対立遺伝子の効果を試験した。最初に、本発明者らは、共免疫沈降する示差的にタグ化されたT1Rレセプターによって、レセプターのヘテロマー化を試験した。要するに、HEK細胞を、T1R3のテイスター対立遺伝子および非テイスター対立遺伝子と、血球凝集素(HA)タグ化T1R1またはT1R2のいずれかとを同時トランスフェクトした。次いで、レセプター複合体を、抗HA抗体を使用して免疫沈降し、そして、T1R3との会合を、抗T1R3抗体を使用してアッセイした。他の結果により、T1R3の非テイスター形態が、そのテイスター対応物とほぼ同様に、T1R1およびT1R2とのヘテロマー性レセプターへとアセンブルすることが実証された(図4a)。これは、Sac非テイスター動物の甘味味覚欠損が、ヘテロマー性レセプターにアセンブルできないことから生じるとする可能性に対して異論を唱える。第2に、本発明者らは、T1R3のテイスター対立遺伝子または非テイスター対立遺伝子のいずれかを有する、T1R2+3(甘味)およびT1R1+3(アミノ酸)レセプターの機能的応答を試験した。T1R3のテイスター対立遺伝子および非テイスター対立遺伝子は、T1R1と組み合わされた場合には、機能的に類似したレセプターを生成するが、T1R2と組み合わされた場合に、非テイスター形態は、有意に欠損した応答を示す(図4b)。従って、L−アミノ酸に対する応答は、マウスにおいてSac遺伝子座によって影響を受けない。なぜなら、Sacは選択的に、T1R2+3レセプターの組み合わせに影響を与えるからである。
T1Rレセプターサブユニットの一方における多型性が、レセプター機能に示差的に影響を及ぼすという知見は、アミノ酸および甘味のレセプターにおける他の配列バリエーションが、味物質の感受性または選択性に有意に影響を及ぼし得ることを示唆する。例えば、ヒトは、げっ歯類が味わい得ない多数の人工甘味料(例えば、アスパルテーム、シクラミン酸塩、および種々の甘味タンパク質(Bachmanovら,Chem.Senses 26:905−913(2001)))を味わい得る。げっ歯類のT1RとヒトのT1Rとは、わずかに約70%同一である(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001))。従って、本発明者らは、ヒトおよびげっ歯類のT1Rサブユニットからなるヘテロマー性レセプターを作製し、そしてアミノ酸および人工甘味料による活性化についてアッセイした。実際に、ヒトのT1R1またはT1R2の存在は、アミノ酸甘味レセプターの感受性(図4c)および特異性(図4d)を著しく改変した。ヒトT1R1を発現する細胞は、他のアミノ酸に対するよりもグルタミン酸塩に対して、一桁より大きく高感度であり、そしてヒトT1R2を発現する細胞は、アスパルテーム、シクラミン酸塩、および強度に甘味のタンパク質に対して強く応答する(図4dおよび不載データ)。従って、固有のパートナーの性質が、レセプター複合体が甘味レセプターとして機能するかアミノ酸レセプターとして機能するかを決定し、そして種間または種内におけるT1Rの配列差異(例えば、Sacにおける多型性)が、甘味の知覚に著しく影響し得る。
ヒトにおいて、L−グルタミン酸一ナトリウム(MSG)は、旨味と呼ばれる固有の風味の良い味覚感覚を誘発する(Ikeda、J.Tokyo Chem.Soc.30:820−836(1909);Kuriharaら、Ann.NY Acad.Sci.855:393−397(1998))。旨味味覚の特質は、プリンヌクレオチドによるその増強およびmGluR−アゴニストであるL−AP4による活性化である(Kuriharaら、Ann.NY Acad.Sci.855:393−397(2000))。mGluR4スプライス改変体が、候補旨味レセプターとして近年同定された(Cha
udhariら、Nature Neurosci.3:113−119(2000))。本発明者の結果は、T1R1およびT1R3が組み合わされて、広範に調整されるアミノ酸レセプターとして機能することを実証する。注目すべきことに、T1R1+3は、L−AP4に応答し(図1)、MSGおよび他のアミノ酸は、プリンヌクレオチドによって著しく増強される。従って、本発明者らは、T1R1+3が、旨味レセプターの構成要素であることを提案する。苦味、甘味、そしてここでアミノ酸の味覚レセプターの同定は、種々の味覚様相の間の相互作用の解明、および末梢(味覚レセプター細胞)での事象と中枢神経系(認知および行動)との間の関係の解明の助けとなる強力な土台を提供する。
(方法)
(異種発現およびカルシウム画像化)
細胞を、全く以前に記載されたようにして(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001))、増殖し、維持し、そしてトランスフェクトした。トランスフェクション効率を、緑色蛍光タンパク質(GFP)リポータープラスミドでの同時トランスフェクションによって概算した。トランスフェクション効率は、代表的に、70%より高かった。FURA−2アセトメチルエステルを使用して、細胞内カルシウム濃度([Ca2+)を測定し、そしてアッセイ条件は、以前に記載された条件(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001))と同一であった。応答を、60秒間測定し、そして340nmおよび380nmの波長における蛍光比(F340/F380)を使用して、[Ca2+を測定した。データ分析のために、応答は、約300個のトランスフェクトされた細胞の視野において応答する細胞の数を言及する。細胞を、F340/F380が、味物質の添加後に0.27より上に上昇した場合に、応答動物としてカウントした。一般に、応答する細胞の90%より多くが、0.35より高いF340/F380を有した。用量応答関数を、記号論理式を使用して当てはめた。T1R3のテイスター対立遺伝子および非テイスター対立遺伝子に関する研究は、それぞれ、C57BL/6および129/Svマウス由来のT1R3についての相補的DNAコードの構築物を使用した(Nelsonら,Cell 106:381−390(2001);Kitagawaら,Biochem.Biophys.Res.Cummun.283:236−242(2001);Montmayeurら,Nature Neurosci.4:492−498(2001);Maxら,Nature Genet.28:58−63(2001);Sainzら,J.Neurochem.77:896−903(2001);Bachmanovら,Chem.Senses,26:925−933(2001))。
(免疫沈降)
T1R3に対する抗体を、マウスレセプターの残基824〜845に対応するペプチドを用いて作製した。PEAKrapid細胞(Edge Biosciences)に、HA−T1R1、HA−T1R2およびT1R3を種々の組み合わせでトランスフェクトし、そして50mM Tris−HCl(pH 7.5)、300mM NaCl、1%NP−40、0.5%(w/v)デオキシコール酸ナトリウムおよびプロテアーゼインヒビター(Roche)を含有する緩衝液中に集め、そして破壊した。溶解産物を、一晩4℃で、マウスモノクローナル抗HA抗体(Santa Cruz)と共にインキュベートし、そして免疫複合体を、タンパク質AG−アガロースビーズを用いて収集した。サンプルを、SDS−PAGEによって分画し、ニトロセルロース膜に移し、そして抗T1R3抗体を用いて探索した。相互作用の特異性についてのコントロールとして、本発明者らは、T1R3を発現する細胞由来の抽出物と、タグ化されたT1R1またはT1R2を発現する細胞由来の抽出物を人為的に混合したものが、複合体を生成しないことを示した。同様に、Rho−タグ化されたmGluR1レセプター(Nakanishi,Science,258:597−603(1992)の同時トランスフェクションは、T1R−GluR1複合体を生じない。
(神経記録)
舌の刺激および記録の手順を、以前に記載されたようにして(Dahlら,Brain
Res.,756:22−34(1997))実施した。神経シグナルを、Grass
P511 AC増幅器(Astro−Med)を使用して増幅し(2,000×)、Digidata 1200B A/Dコンバーター(Axon Instruments)を使用してデジタル化し、そして0.5秒の時間定数で積分した(r.m.s.電圧)。味覚刺激を、20秒間の間隔(提示の間に、2分間のリンスにより中断される)に4ml/分間の一定流速で提示する。すべてのデータ分析は、刺激適用直後の25秒間にわたる積分応答を使用した。各実験シリーズは、記録の安定性を保証するための0.1Mクエン酸の提示により一纏めにされる、6回の味物質の適用からなった。0.1Mクエン酸に対する応答平均を、各実験シリーズに対する応答を正規化するために使用した。
本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示目的のみのためであること、そしてそれらに照らして、種々の改変または変更が当業者に示唆され、そして本願の意図および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中で引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、すべての目的のために、それらの全体において、本明細書中で参考として援用される。
(配列表)
















図1.Sac遺伝子座に対するT1R3のマッピング。(a)放射線ハイブリッドおよびSTSマッピングは、3つすべてのT1R遺伝子を第4染色体(chromosome)の遠位端(distal end)に位置づけた。T1R3遺伝子は、Sac遺伝子区画内のSTSマーカーであるD18346(Kitagawaら,2001;Liら,2001;Maxら,2001;Montmayeurら,2001;Sainzら,2001)と密接に連鎖する。(b)ヒト(h)T1Rとマウス(m)T1Rと関連レセプター(Nakanishi,1992;Brownら,1993;HerradaおよびDulac,1997;MatsunamiおよびBuck,1997;RybaおよびTirindelli,1997;Kaupmannら,1997;Hoonら,1999)との間における配列類似性を示す分岐図;マウスV2Rは、ヒト対応物を有さない。 図2.T1R3は、Sacをコードする。(a)T1R3遺伝子およびトランスジェニック構築物の構造を示す概略図。遺伝子型決定およびインサイチュハイブリダイゼーションのために使用される代替的な3’−UTRを、緑色および赤色で強調表示する。(b)インサイチュハイブリダイゼーションによって、T1R3導入遺伝子(赤色)および内因性遺伝子(緑色)の発現パターンにおける完全な一致が示された。破線は、選択された味蕾の輪郭を示し;切片を、図3に示される平面に対して垂直に切り出した。(c〜h)コントロール動物およびトランスジェニック動物の味覚嗜好(塗り潰された赤色円)を、標準的な2ボトル嗜好試験を使用して測定した。サッカリンおよびスクロースに対するT1R3導入遺伝子発現マウスの行動的応答(パネルcおよびd)は、コントロールテイスターマウス(C57BL/6;塗り潰されていない赤色円)と識別不可能であった。導入遺伝子を有さない同胞(塗り潰された黒色円)は、129/Sv非テイスターコントロールマウス(塗り潰されていない黒色円)のように挙動した。苦味、塩味、酸味、および旨味の刺激に対する応答(パネルe〜h)は、この導入遺伝子の存在によって影響を受けなかった。 図2.T1R3は、Sacをコードする。(a)T1R3遺伝子およびトランスジェニック構築物の構造を示す概略図。遺伝子型決定およびインサイチュハイブリダイゼーションのために使用される代替的な3’−UTRを、緑色および赤色で強調表示する。(b)インサイチュハイブリダイゼーションによって、T1R3導入遺伝子(赤色)および内因性遺伝子(緑色)の発現パターンにおける完全な一致が示された。破線は、選択された味蕾の輪郭を示し;切片を、図3に示される平面に対して垂直に切り出した。(c〜h)コントロール動物およびトランスジェニック動物の味覚嗜好(塗り潰された赤色円)を、標準的な2ボトル嗜好試験を使用して測定した。サッカリンおよびスクロースに対するT1R3導入遺伝子発現マウスの行動的応答(パネルcおよびd)は、コントロールテイスターマウス(C57BL/6;塗り潰されていない赤色円)と識別不可能であった。導入遺伝子を有さない同胞(塗り潰された黒色円)は、129/Sv非テイスターコントロールマウス(塗り潰されていない黒色円)のように挙動した。苦味、塩味、酸味、および旨味の刺激に対する応答(パネルe〜h)は、この導入遺伝子の存在によって影響を受けなかった。 図2.T1R3は、Sacをコードする。(a)T1R3遺伝子およびトランスジェニック構築物の構造を示す概略図。遺伝子型決定およびインサイチュハイブリダイゼーションのために使用される代替的な3’−UTRを、緑色および赤色で強調表示する。(b)インサイチュハイブリダイゼーションによって、T1R3導入遺伝子(赤色)および内因性遺伝子(緑色)の発現パターンにおける完全な一致が示された。破線は、選択された味蕾の輪郭を示し;切片を、図3に示される平面に対して垂直に切り出した。(c〜h)コントロール動物およびトランスジェニック動物の味覚嗜好(塗り潰された赤色円)を、標準的な2ボトル嗜好試験を使用して測定した。サッカリンおよびスクロースに対するT1R3導入遺伝子発現マウスの行動的応答(パネルcおよびd)は、コントロールテイスターマウス(C57BL/6;塗り潰されていない赤色円)と識別不可能であった。導入遺伝子を有さない同胞(塗り潰された黒色円)は、129/Sv非テイスターコントロールマウス(塗り潰されていない黒色円)のように挙動した。苦味、塩味、酸味、および旨味の刺激に対する応答(パネルe〜h)は、この導入遺伝子の存在によって影響を受けなかった。 図3.味覚レセプター細胞のサブセットにおけるT1Rの発現。ジゴキシゲニン標識化アンチセンスRNAプローブを用いたインサイチュハイブリダイゼーションによって、T1R3が、マウスの味覚レセプター細胞のサブセットにおいて発現されることが示された(上段パネル)。茸状(fungiform)、有郭、葉状(foliate)および口蓋の味蕾における約30%の細胞がT1R3を発現する。比較のために示された、T1R1およびT1R2で標識された切片は、類似しているが連続物ではない(中段および下段のパネル;Hoonら,1999および図4もまた参照のこと)。破線は、サンプル味蕾の輪郭を示す。T1R3の発現の選択性が、T1R1およびT1R2の発現の選択性と密接に類似していることに注目されたい。 図4.T1R発現パターンは、3つの細胞型を規定する。二重標識蛍光インサイチュハイブリダイゼーションを使用して、T1Rの細胞発現における重複を直接的に試験した。2チャネル蛍光画像(1〜2μmの光学切片)を、差異干渉対照画像(difference interference contrast image)に重ね合わせた。(a)T1R1(赤色)およびT1R3(緑色)の共発現を示す茸状乳頭。T1R1を発現する細胞のうち少なくとも90%が、T1R3も発現する;同様の結果が、口蓋において観察された。いくつかのT1R3ポジティブであるがT1R1ネガティブな細胞が存在することに注目されたい。(b)T1R2(緑色)およびT1R3(赤色)の共発現を示す有郭乳頭。すべてのT1R2ポジティブな細胞がT1R3を発現する。 図5.T1R2+3は、甘味の味物質に応答する。無差別(promiscuous)なGタンパク質ならびにラットのT1R2およびT1R3を共発現するHEK−293細胞を、種々の甘味化合物により刺激した。[Ca2+]iにおける強い増加が、250mMのスクロース(d、g)、180μMのGA−2(e、h)および10mMのアセスルファーム−K(f、i)の添加に際して観察された。パネルa〜cは、刺激を受ける前の細胞を示す。レセプターなし(パネルj)または無差別なGタンパク質(パネルk)では、応答は検出されなかった。グルコースおよびいくつかの他の甘味味物質(次の図面を参照のこと)は、このレセプターの組み合わせを活性化しなかった(パネルl);スケールは、FURA−2 F340/F380の比から決定される[Ca2+]i(nM)を示す。トレース線(g〜i)は、パネル(d〜f)からの代表的な細胞についての[Ca2+]i変化の動態を示す。バーは、刺激の時点および持続期間を示す。 図6.T1R2+3は、広範な甘味化合物に選択的に応答する。(a)T1R2+3のレセプターの組み合わせの応答は、スクロース、フルクトース、および5つの人工甘味料に特異的であった。以下の濃度を使用した:GA−1(500μM);GA−2(500μM);スクロース(250mM);フルクトース(250mM)、アセスルファーム−K(10mM);ズルチン(2mM)、サッカリンナトリウム(5mM);N−メチルサッカリン(5mM)、グルコース(250mM);マルトース(250mM);ラクトース(250mM);ガラクトース(250mM);パルチノース(250mM);タウマチン(0.1%);シクラミン酸ナトリウム(15mM);アスパルテーム(2mM)。カラムは、16個の独立した定量の最低値の平均±SEMを示す。(b)スクロース、サッカリン、アセスルファーム−KおよびGA−2に対するT1R2+3の用量応答。[Ca2+]iにおける相対的な変化を、各化合物の最高濃度について得られた応答に対して正規化されたFURA−2(F340/F380)の比として示す。各点は、20個のアッセイの最低値の平均±SEMを示す。(c)T1R2+3の甘味応答の動態および脱感受性。T1R2+3を発現する細胞を、甘味味物質の複数のパルスにより刺激した;GA−2(360μM)、スクロース(suc:250mM)、アセスルファーム−K(ace:10mM)、シクラミン酸塩(sic:15mM)、グルコース(glu:250mM)およびアスパルテーム(asp:2mM)。点および水平線は、刺激の時点および持続期間を示す。スクロース、GA−2およびアセスルファーム−Kは、強力な応答を誘発する;これらの味物質(例えば、GA−2)のいずれか1つによる反復刺激または延長刺激により、脱感受性を示す応答の減少が生じる。GA−2の直後にスクロースまたはアセスルファーム−Kで刺激することにより、弱められた応答が生じ、これは交差脱感受性を示唆する。トレースは、視野の中の80個の応答細胞より導き出した。 図6.T1R2+3は、広範な甘味化合物に選択的に応答する。(a)T1R2+3のレセプターの組み合わせの応答は、スクロース、フルクトース、および5つの人工甘味料に特異的であった。以下の濃度を使用した:GA−1(500μM);GA−2(500μM);スクロース(250mM);フルクトース(250mM)、アセスルファーム−K(10mM);ズルチン(2mM)、サッカリンナトリウム(5mM);N−メチルサッカリン(5mM)、グルコース(250mM);マルトース(250mM);ラクトース(250mM);ガラクトース(250mM);パルチノース(250mM);タウマチン(0.1%);シクラミン酸ナトリウム(15mM);アスパルテーム(2mM)。カラムは、16個の独立した定量の最低値の平均±SEMを示す。(b)スクロース、サッカリン、アセスルファーム−KおよびGA−2に対するT1R2+3の用量応答。[Ca2+]iにおける相対的な変化を、各化合物の最高濃度について得られた応答に対して正規化されたFURA−2(F340/F380)の比として示す。各点は、20個のアッセイの最低値の平均±SEMを示す。(c)T1R2+3の甘味応答の動態および脱感受性。T1R2+3を発現する細胞を、甘味味物質の複数のパルスにより刺激した;GA−2(360μM)、スクロース(suc:250mM)、アセスルファーム−K(ace:10mM)、シクラミン酸塩(sic:15mM)、グルコース(glu:250mM)およびアスパルテーム(asp:2mM)。点および水平線は、刺激の時点および持続期間を示す。スクロース、GA−2およびアセスルファーム−Kは、強力な応答を誘発する;これらの味物質(例えば、GA−2)のいずれか1つによる反復刺激または延長刺激により、脱感受性を示す応答の減少が生じる。GA−2の直後にスクロースまたはアセスルファーム−Kで刺激することにより、弱められた応答が生じ、これは交差脱感受性を示唆する。トレースは、視野の中の80個の応答細胞より導き出した。 図7.T1RおよびT2Rは、味覚レセプター細胞の異なる集団に分離される。二重標識蛍光インサイチュハイブリダイゼーションを使用して、甘味および苦味の味覚レセプターのT1RファミリーとT2Rファミリーとの間の重複程度を試験した。(a)T1R3(緑色)およびT2R(20個のレセプターの混合物、赤色)は決して共発現しない。(b)有郭乳頭を通る切片を、パネル(a)におけるように、(b)に示すが、葉状乳頭では、3つすべてのT1Rの混合物(緑色) 対 20個のT2Rであった。 図8A〜C:T1Rレセプターの組み合わせは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸に示差的に応答する。T1Rレセプターの組み合わせは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸に示差的に応答する。(a):無差別なGタンパクと、ヘテロマー性のマウスT1R2+3レセプターまたはT1R1+3レセプターとを共発現するHEK−293細胞を、L−アミノ酸およびD−アミノ酸で刺激した。T1R2+3甘味味覚レセプターは、甘味の味がするD−アミノ酸により活性化されるが、L−アミノ酸によっては活性化されない(左側)。対照的に、T1R1+3は、L−アミノ酸により活性化され、そして応答は、IMPにより増強される(右側)。アミノ酸は50mMであり、そしてIMPは2.5mMであった;色のスケールは、F340/F380比を示す(方法を参照のこと)。(b)(c):T1R2+3(b)およびT1R1+3(c)についてのアミノ酸応答の定量。アミノ酸は50mMであり、そしてIMPおよびL−AP4は2.5mMであった;コントロールは、2.5mM IMP単独を指す。各カラムは、少なくとも10個の独立した定量の平均±s.e.m.を示す。IMPは、T1R2+3に対して効果を有さなかった(データは示さず)。D−アミノ酸(IMPの存在下におけるD−Alaの例外を除く)および天然甘味料または人工甘味料は、T1R1+3を活性化しなかった。Trpは応答を誘発せず、そしてTyrは、高濃度で不溶性であったのでアッセイされなかった。アキラルなアミノ酸Glyが、両方のレセプター複合体を活性化することに注目されたい。すべてのカルシウム測定および定量を、方法およびNelsonら,Cell 106:381−390(2001)に記載のようにして実施した。 図8A〜C:T1Rレセプターの組み合わせは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸に示差的に応答する。T1Rレセプターの組み合わせは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸に示差的に応答する。(a):無差別なGタンパクと、ヘテロマー性のマウスT1R2+3レセプターまたはT1R1+3レセプターとを共発現するHEK−293細胞を、L−アミノ酸およびD−アミノ酸で刺激した。T1R2+3甘味味覚レセプターは、甘味の味がするD−アミノ酸により活性化されるが、L−アミノ酸によっては活性化されない(左側)。対照的に、T1R1+3は、L−アミノ酸により活性化され、そして応答は、IMPにより増強される(右側)。アミノ酸は50mMであり、そしてIMPは2.5mMであった;色のスケールは、F340/F380比を示す(方法を参照のこと)。(b)(c):T1R2+3(b)およびT1R1+3(c)についてのアミノ酸応答の定量。アミノ酸は50mMであり、そしてIMPおよびL−AP4は2.5mMであった;コントロールは、2.5mM IMP単独を指す。各カラムは、少なくとも10個の独立した定量の平均±s.e.m.を示す。IMPは、T1R2+3に対して効果を有さなかった(データは示さず)。D−アミノ酸(IMPの存在下におけるD−Alaの例外を除く)および天然甘味料または人工甘味料は、T1R1+3を活性化しなかった。Trpは応答を誘発せず、そしてTyrは、高濃度で不溶性であったのでアッセイされなかった。アキラルなアミノ酸Glyが、両方のレセプター複合体を活性化することに注目されたい。すべてのカルシウム測定および定量を、方法およびNelsonら,Cell 106:381−390(2001)に記載のようにして実施した。 図8A〜C:T1Rレセプターの組み合わせは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸に示差的に応答する。T1Rレセプターの組み合わせは、L−アミノ酸およびD−アミノ酸に示差的に応答する。(a):無差別なGタンパクと、ヘテロマー性のマウスT1R2+3レセプターまたはT1R1+3レセプターとを共発現するHEK−293細胞を、L−アミノ酸およびD−アミノ酸で刺激した。T1R2+3甘味味覚レセプターは、甘味の味がするD−アミノ酸により活性化されるが、L−アミノ酸によっては活性化されない(左側)。対照的に、T1R1+3は、L−アミノ酸により活性化され、そして応答は、IMPにより増強される(右側)。アミノ酸は50mMであり、そしてIMPは2.5mMであった;色のスケールは、F340/F380比を示す(方法を参照のこと)。(b)(c):T1R2+3(b)およびT1R1+3(c)についてのアミノ酸応答の定量。アミノ酸は50mMであり、そしてIMPおよびL−AP4は2.5mMであった;コントロールは、2.5mM IMP単独を指す。各カラムは、少なくとも10個の独立した定量の平均±s.e.m.を示す。IMPは、T1R2+3に対して効果を有さなかった(データは示さず)。D−アミノ酸(IMPの存在下におけるD−Alaの例外を除く)および天然甘味料または人工甘味料は、T1R1+3を活性化しなかった。Trpは応答を誘発せず、そしてTyrは、高濃度で不溶性であったのでアッセイされなかった。アキラルなアミノ酸Glyが、両方のレセプター複合体を活性化することに注目されたい。すべてのカルシウム測定および定量を、方法およびNelsonら,Cell 106:381−390(2001)に記載のようにして実施した。 図9A〜B:L−アミノ酸およびIMPに対するT1R1+3の用量応答。(a)塗り潰されていない記号を有する破線は、L−アミノ酸によるT1R1+3の用量応答を示す(四角、Ala;円、Glu;三角、Ser)。2.5mM IMPの存在(塗り潰された記号を有する直線)により、少なくとも1桁の大きさだけ左側に応答がシフトする。等価な結果が、大半のL−アミノ酸で得られた(図1bもまた参照のこと)。(b):IMPは、T1R1+3の応答を増強する。Ala(2mM、四角)、Glu(4mM、円)、Ser(2mM、三角)、Gly(4mM、菱形)およびIMP(逆三角)についての用量応答を示す。応答を、最高濃度での応答平均に対して正規化した。各点は、少なくとも10個のアッセイの平均±s.e.m.を示す。 図10A〜B:IMPは、マウスにおいて、アミノ酸に対する鼓索神経の応答を刺激する。IMPは、マウスにおいて、アミノ酸に対する鼓索神経の応答を刺激する。(a):Glu、SerおよびAla(それぞれ、30mM)に対するC57BL6マウスの統合的な神経応答を、0.5mMのIMPの存在下および非存在下において記録した。100mMクエン酸および0.5mM IMP単独に対する応答を、上段のトレースで示す。等価な結果が、大半のL−アミノ酸について得られた。(b):(a)において示される応答のような、統合的な神経応答を、100mMクエン酸の応答に対して正規化した。黒色のバー、味物質単独;灰色のバー、味物質+0.5mM IMP。値は、平均±s.e.m.(n=5)である。スクロースを、100mMで使用し、そして他のすべての味物質を30mMで使用した。アスタリスクは、統計的有意差(P<0.05)を示す。 図11A〜D:T1Rにおける多型性差異が、レセプターの機能に影響を与える。T1Rにおける多型的差異が、レセプターの機能に影響を与える。(a)免疫沈降およびウェスタンブロット分析によって、T1R3のSac非テイスター対立遺伝子およびテイスター遺伝子が、T1R1およびT1R2とヘテロマー性の複合体を形成することが示される。細胞を、示されるように、T1Rの組み合わせでトランスフェクトした。すべての抽出物を、抗HA抗体で免疫沈降し、そして生じたタンパク質複合体を抗T1R3抗体でプローブした。Mは、数千単位(K)での相対分子質量である。b〜dは、細胞ベースのカルシウム画像化アッセイの結果である。(b):Sac対立遺伝子は、T1R2+3ヘテロマー性レセプターに選択的に影響を及ぼす。応答を、テイスター対立遺伝子(黒色のバー)で得られた応答平均に対して正規化した。甘味化合物に対するT1R2+3の応答は、非テイスターT1R3対立遺伝子を使用する場合に有意に減少されたが、アミノ酸に対するT1R1+3の応答は、IMPの存在下であっても、影響を受けなかった。(c):ヒトT1R1は、L−グルタミン酸一ナトリウムに対する感受性に影響を及ぼす。低濃度のMSGは、ヒトT1R1を含むレセプターを強力に活性化し(塗り潰されていない円)、そしてIMPは、その応答を増強する(塗り潰された円)。Ala(四角)およびSer(三角)についての用量応答もまた比較のために示す。各シリーズについて、応答を、最高濃度での応答平均に対して正規化した。(d):マウスT1R2+3(黒色のバー)は、スクロースならびに他の天然甘味料および人工甘味料に応答するが、アスパルテームには応答しない。しかし、げっ歯類のT1R2+3レセプターにおいてマウスT1R2の代わりにヒトT1R2で置換すると(灰色のバー)、アスパルテーム感受性が与えられる。 図12は、hT1R1のヌクレオチド配列(配列番号26)を提供する。 図13は、hT1R1のアミノ酸配列(配列番号27)を提供する。 図14は、hT1R2のヌクレオチド配列(配列番号28)を提供する。 図14は、hT1R2のヌクレオチド配列(配列番号28)を提供する。 図15は、hT1R2のアミノ酸配列(配列番号9)を提供する。 図16は、hT1R3のヌクレオチド配列(配列番号29)を提供する。 図17は、hT1R3のアミノ酸配列(配列番号30)を提供する。

Claims (50)

  1. T1R3ポリペプチドを含む単離された味覚レセプターであって、ここで該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、単離された味覚レセプター。
  2. 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  3. 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  4. 前記T1R3ポリペプチドが、配列番号14、19、22、24または29のヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  5. 前記T1R3ポリペプチドが組換え体である、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  6. 請求項5に記載の単離されたレセプターを含む、宿主細胞。
  7. 前記レセプターが、T1R3ポリペプチドと異種ポリペプチドとを含む、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  8. 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  9. 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、共有結合により結合されている、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  10. 前記T1R3ポリペプチドおよび前記異種ポリペプチドが、組換え体である、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  11. 請求項10に記載の組換え体のレセプターを発現する、宿主細胞。
  12. 前記異種ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R1ポリペプチドである、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  13. 前記異種ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R1ポリペプチドである、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  14. 前記T1R1ポリペプチドが、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列を有する、請求項12に記載の単離されたレセプター。
  15. 前記T1R1ポリペプチドが、配列番号4、5、6または26のヌクレオチド配列によってコードされる、請求項12に記載の単離されたレセプター。
  16. 前記レセプターがアミノ酸味覚リガンドに結合する、請求項12に記載の単離されたレセプター。
  17. 前記味覚リガンドが、システイン、メチオニン、アルギニン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、プロリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アスパラギン、ヒスチジン、フェニルアラニン、トリプトファン、グルタミン、セリン、スレオニン、グリシン、グルタミン酸塩、グルタミン酸一ナトリウムおよびL−AP4からなる群より選択される、請求項16に記載の単離されたレセプター。
  18. 前記T1R3ポリペプチドおよび前記T1R1ポリペプチドが、組換え体である、請求項12に記載の単離されたレセプター。
  19. 請求項18に記載の組換え体のレセプターを発現する、宿主細胞。
  20. 前記異種ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R2ポリペプチドである、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  21. 前記異種ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされるT1R2ポリペプチドである、請求項7に記載の単離されたレセプター。
  22. 前記T1R2ポリペプチドが、配列番号7、8または9のアミノ酸配列を有する、請求項20に記載の単離されたレセプター。
  23. 前記T1R2ポリペプチドが、配列番号10、11、12または28のヌクレオチド配列によってコードされる、請求項20に記載の単離されたレセプター。
  24. 前記レセプターが甘味味覚リガンドに結合する、請求項20に記載の単離されたレセプター。
  25. 前記甘味味覚リガンドが、スクロース、フルクトース、サッカリン、アセスルファーム−K、ズルチン、アスパルテーム、シクラミン酸塩、ならびにグアニジノ酢酸1およびグアニジノ酢酸2(GA−1およびGA−2)からなる群より選択される、請求項24に記載の単離されたレセプター。
  26. 前記レセプターがD−アミノ酸味覚リガンドに結合する、請求項20に記載の単離されたレセプター。
  27. 前記T1R3ポリペプチドおよび前記T1R2ポリペプチドが、組換え体である、請求項20に記載の単離されたレセプター。
  28. 請求項27に記載の組換え体のレセプターを発現する、宿主細胞。
  29. 前記レセプターが、Gタンパク質共役型レセプター活性を有する、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  30. 前記レセプターが、配列番号15、20、23、25または30に対して惹起された抗体に特異的に結合する、請求項1に記載の単離されたレセプター。
  31. T1R3ポリペプチドとT1R1ポリペプチドとを含む単離された味覚レセプターであって、ここで該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされ;そしてここで、該T1R1ポリペプチドは、配列番号1、2、3または27のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、単離された味覚レセプター。
  32. T1R3ポリペプチドとT1R2ポリペプチドとを含む単離された味覚レセプターであって、ここで該T1R3ポリペプチドは、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされ;そしてここで、該T1R2ポリペプチドは、配列番号7、8または9のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に対して、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列によってコードされる、単離された味覚レセプター。
  33. 請求項1に記載の味覚レセプターに対して特異的に結合する、抗体。
  34. 前記抗体が、T1R1とT1R3とを含む味覚レセプターに対して特異的に結合する、請求項33に記載の抗体。
  35. 前記T1R1ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、請求項34に記載の抗体。
  36. 前記T1R1ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、共有結合により結合されている、請求項34に記載の抗体。
  37. 前記抗体が、T1R2とT1R3とを含む味覚レセプターに対して特異的に結合する、請求項33に記載の抗体。
  38. 前記T1R2ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、非共有結合により結合されている、請求項37に記載の抗体。
  39. 前記T1R2ポリペプチドおよび前記T1R3ポリペプチドが、共有結合により結合されている、請求項37に記載の抗体。
  40. 配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、単離された核酸。
  41. 前記核酸が、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項40に記載の核酸。
  42. 前記核酸が、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする、請求項40に記載の核酸。
  43. 前記核酸が、配列番号14、19、22、24または29のヌクレオチド配列を有する、請求項40に記載の核酸。
  44. 請求項40に記載の核酸を含む、発現ベクター。
  45. 請求項44に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  46. 配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる、単離されたポリペプチド。
  47. 前記ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸に対して、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる、請求項46に記載のポリペプチド。
  48. 前記ポリペプチドが、配列番号15、20、23、25または30のアミノ酸配列をコードする核酸によってコードされる、請求項46に記載のポリペプチド。
  49. 前記ポリペプチドが、配列番号14、19、22、24または29のヌクレオチド配列を有する核酸によってコードされる、請求項46に記載のポリペプチド。
  50. 請求項46に記載のポリペプチドに対して特異的に結合する、抗体。
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