JP2009077383A - 画像処理装置および方法、並びにプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】補間生成される画像の破綻を抑制する。
【解決手段】差分絶対値和計算部12aは、入力画像における注目画素の注目ブロックと、直前画像上の参照画素の参照ブロックとの対応する画素間の差分絶対値和を計算し、比較部12bは、差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求め、動きベクトル計算部12cは、差分絶対値和が最小となる参照画素と、注目画素とに基づいて、注目画素の動きベクトルを抽出し、動き補償処理部13は、入力画像上の各画素の画素値を、動きベクトルに基づいてMC画像上の画素の画素値とすることによりMC画像を生成し、累積部14aは、MC画像上の各画素に対応する、入力画像上の差分絶対値和を累積加算し、合成部14cは、累積加算結果に基づいて、入力画像における各画素と、対応するMC画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する。本発明は、画像処理装置に適用することができる。
【選択図】図1
【解決手段】差分絶対値和計算部12aは、入力画像における注目画素の注目ブロックと、直前画像上の参照画素の参照ブロックとの対応する画素間の差分絶対値和を計算し、比較部12bは、差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求め、動きベクトル計算部12cは、差分絶対値和が最小となる参照画素と、注目画素とに基づいて、注目画素の動きベクトルを抽出し、動き補償処理部13は、入力画像上の各画素の画素値を、動きベクトルに基づいてMC画像上の画素の画素値とすることによりMC画像を生成し、累積部14aは、MC画像上の各画素に対応する、入力画像上の差分絶対値和を累積加算し、合成部14cは、累積加算結果に基づいて、入力画像における各画素と、対応するMC画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する。本発明は、画像処理装置に適用することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、画像処理装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、破綻が生じ易い輝度変化の大きな画像における動きベクトルを用いた動き補償処理においても、補間生成される画像の破綻を抑制できるようにした画像処理装置および方法、並びにプログラムに関する。
ブロックマッチング手法により動きベクトル検出し、その動きベクトルを用いて動き補償処理を行うことにより、時間的に異なる前後の画像(フレーム)から新たな補間画像(補間フレーム)を作成する処理が一般に存在する。
しかしながら、シーンチェンジ、探索範囲外への動きの発生、またはフェードイン・フェードアウトなど輝度変化が激しい場合、動きベクトルがうまく求まらない、または動きベクトルの信頼度が低くなることがあり、結果として、動き補償処理を実行すると補間生成された画像が破綻してしまうことがあった。
そこで、シーンチェンジを検出する機能を設け、検出されたシーンチェンジに対応して動き補償処理を実行させるようにすることで、破綻を抑制する技術が提案されている(特許文献1参照)。
また、補間画像の空間的な相関関係を調べて、動き補償処理を実行させることにより、破綻を抑制させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、シーンチェンジを検出する機構が別途必要となってしまうため、装置コストが増大してしまう上、動きベクトル自体の信頼度が低い場合もそのままフレーム補間処理を行ってしまうため、必ずしも補間生成された画像の破綻を抑制できないことがあった。
また、特許文献2に記載されている技術では、エラー処理として、補間画像の空間的な相関関係は調べているものの、動きベクトルそのものの信頼度については調べていないため、必ずしも補間生成された画像の破綻を抑制することができないことがあった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、特に、補間画像を生成するに当たり、動きベクトルを用いた動き補償処理では破綻が生じ易い輝度変化の大きな画像においても、補間生成される画像の破綻を抑制できるようにするものである。
本発明の一側面の画像処理装置は、第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和を計算する差分絶対値和計算手段と、前記差分絶対値和計算手段により計算された前記差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求める比較手段と、前記比較手段により求められた前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルを抽出する動きベクトル抽出手段と、前記第1の画像上の各画素の画素値を、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とすることにより動き補償画像を生成する動き補償画像生成手段と、前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和を累積加算する累積加算手段と、前記累積加算手段により求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する補間画像生成手段とを含む。
前記累積加算結果の所定の最大値に対する、前記累積加算結果の割合により、前記累積加算結果を量子化する量子化手段をさらに含ませるようにすることができ、前記補間画像生成手段には、前記量子化手段により量子化された前記累積結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成させるようにすることができる。
前記補間画像生成手段には、前記量子化手段により量子化された前記累積結果が第1の所定の閾値よりも小さい画素については、前記第1の画像における画素を、そのまま使用して補間画像を生成させ、前記量子化手段により量子化された前記累積結果が第2の所定の閾値よりも大きい画素については、前記動き補償画像における各画素をそのまま使用して、補間画像を生成させるようにすることができる。
前記参照画素は、前記第2の画像上の、前記第1の画像上における前記注目画素に対応する近傍の範囲に設定されるようにすることができる。
前記第2の画像における累積加算結果より所定値を減算する減算手段と、前記減算手段により前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値と、前記第1の画像における累積加算結果とを比較し、前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値が前記第1の画像における累積加算結果よりも大きい場合、前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値を前記第1の画像における累積加算結果として置き換え、前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値が前記第1の画像における累積加算結果よりも大きくない場合、前記第1の画像における累積加算結果をそのまま出力する比較手段とをさらに含ませるようにすることができる。
前記第2の画像における累積加算結果が第1の所定の閾値より大きく、かつ、前記第2の画像における累積加算結果から前記第1の画像における累積加算結果の増加分が第2の所定の閾値より大きい場合、前記動きベクトル抽出手段によって抽出される前記動きベクトルを動き量が0である静止ベクトルにリセットするよう指示する指示手段をさらに含ませるようにすることができる。
前記指示手段による指示に基づいて、前記動きベクトル抽出手段によって抽出される前記動きベクトルを前記静止ベクトルにリセットするリセット手段をさらに含ませるようにすることができる。
本発明の一側面の画像処理方法は、第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和を計算する差分絶対値和計算ステップと、前記差分絶対値和計算ステップの処理により計算された前記差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求める比較ステップと、前記比較ステップの処理により求められた前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルを抽出する動きベクトル抽出ステップと、前記第1の画像上の各画素の画素値を、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とすることにより動き補償画像を生成する動き補償画像生成ステップと、前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和を累積加算する累積加算ステップと、前記累積加算ステップの処理により求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する補間画像生成ステップとを含む。
本発明の一側面のプログラムは、第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和を計算する差分絶対値和計算ステップと、前記差分絶対値和計算ステップの処理により計算された前記差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求める比較ステップと、前記比較ステップの処理により求められた前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルを抽出する動きベクトル抽出ステップと、前記第1の画像上の各画素の画素値を、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とすることにより動き補償画像を生成する動き補償画像生成ステップと、前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和を累積加算する累積加算ステップと、前記累積加算ステップの処理により求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する補間画像生成ステップとを含む処理をコンピュータに実行させる。
本発明のプログラム格納媒体には、請求項5に記載のプログラムが格納されているようにすることができる。
本発明の一側面の画像処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和が計算され、計算された前記差分絶対値和が比較され最小の差分絶対値和が求められ、前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルが抽出され、前記第1の画像上の各画素の画素値が、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とされることにより動き補償画像が生成され、前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和が累積加算され、求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とが合成されて、補間画像が生成される。
本発明の画像処理装置は、独立した装置であっても良いし、画像処理を行うブロックであっても良い。
本発明の一側面によれば、破綻が生じ易い輝度変化の大きな画像における動きベクトルを用いた動き補償処理においても、補間生成される画像の破綻を抑制することが可能となる。
図1は、本発明を適用した一実施の形態の構成を示す画像処理装置である。
図1の画像処理装置1は、所定のフレームレートの動画像を構成する入力画像より、補間画像を生成し、フレームレートの異なる動画像をLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部2に表示させる。
フレームメモリ11は、入力画像を一時的に記憶して、入力画像に対して、1フレーム分直前の画像(以降、直前画像と称するものとする)を動きベクトル抽出部12および動き補償処理部13に供給する。
動きベクトル抽出部12は、差分絶対値和計算部12a、比較部12b、および動きベクトル計算部12cを備えており、入力画像と直前画像とに基づいて、入力画像の各画素毎の動きベクトルを求める。より具体的には、差分絶対値和計算部12aは、入力画像の注目画素(処理対象となる画素)に対応する注目ブロックの画素と、直前画像の各画素(参照画素)について対応する参照ブロックの画素とを読み出し、それぞれ対応する画素位置の画素値の差分絶対値和を求める。比較部12bは、参照画素のそれぞれについて求められる差分絶対値和を比較し、最小となる差分絶対値和を取る参照画素を求め、動きベクトル計算部12cに供給する。動きベクトル計算部12cは、入力画像の注目画素と、差分絶対値和が最小となる参照画素とから動きベクトルを計算し、動き補償処理部13に供給する。
動き補償処理部13は、ベクトル解析部13a、画素生成部13b、およびMC(Motion Compensation)画像メモリ13cを備えており、入力画像、直前画像、および動きベクトルに基づいて、動き補償処理を実行し、MC画像(動き補償画像)を生成して、エラー処理部14に供給する。より具体的には、ベクトル解析部13aは、動きベクトル抽出部12より供給されてくる、入力画像の各画素における動きベクトルを解析することにより、MC画像における各画素の生成に必要とされる入力画像の画素、および、直前画像の画素を検索する。画素生成部13bは、ベクトル解析部13aにより検索された入力画像の画素、および直前画像の画素を用いて、動き補償画像における各画素を生成し、MC画像メモリ13cに記憶させる。尚、本実施例においては、ベクトル解析部13aは、入力画像の画素のみを検索するものとし、画素生成部13bは、入力画像の画素のみを用いて動き補償画像における各画素を生成するものとするが、当然のことながら、直前画像の画素も併せて検索し、入力画像の画素と直前画像の画素との両方を用いるようにしても良い。
エラー処理部14は、累積部14a、MEL(Mean Error Level)算出部14b、および合成部14cを備えており、動きベクトル抽出部12より供給されてくる各画素の動きベクトルに対応する差分絶対値和に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。より具体的には、累積部14aは、入力画像の各画素の動きベクトルを求める際に計算された、それぞれの最小となる差分絶対値和を累積加算して、MEL算出部14bに供給する。MEL算出部14bは、差分絶対値和の累積加算結果を量子化し、MC画像における平均エラーレベルMELを求めて合成部14cに供給する。合成部14cは、平均エラーレベルMELに基づいて、入力画像と、MC画像を合成し、表示部2に出力して表示させる。
次に、図2のフローチャートを参照して、画像処理について説明する。
ステップS11において、フレームメモリ11は、入力画像が供給されてきたか否かを判定し、入力されてきたと判定されるまで、その処理を繰り返す。ステップS11において、例えば、入力画像が存在した場合、ステップS12において、フレームメモリ11は、入力画像を一時的に記憶すると共に、直前のタイミングで記憶した入力画像を、直前画像として動きベクトル抽出部12および動き補償処理部13に供給する。この処理により、動きベクトル抽出部12、および動き補償処理部13には、入力画像および直前画像がそれぞれ供給され、エラー処理部14には、入力画像のみが供給される。尚、直前の画像がない場合、ステップS12において、入力画像を記憶した後、入力画像および直前画像を、動きベクトル抽出部12、および動き補償処理部13に供給できる状態となるまで、ステップS13以降の処理が実現できないので、処理は、ステップS11に戻る。
ステップS13において、動きベクトル抽出部12は、動きベクトル抽出処理を実行し、入力画像の各画素毎に動きベクトルを抽出して、動き補償処理部13に供給すると共に、動きベクトルが抽出される際に計算される差分絶対値和をエラー処理部14に供給する。
ここで、図3のフローチャートを参照して動きベクトル抽出処理について説明する。
ステップS31において、差分絶対値和計算部12aは、入力画像における未処理の画素を処理対象である注目画素p(i,j)に設定する。ここで、(i,j)は、入力画像上の画素の位置を示す座標である。
ステップS32において、差分絶対値和計算部12aは、直前画像における未処理の参照画素q(x,y)を、注目画素に対する参照範囲内に設定する。すなわち、例えば、図4の斜線部で示されるように、入力画像F1における注目画素p(i,j)に対する、直前画像F2上の参照画素q(x,y)を、注目画素p(i,j)に対応して設定される、図中の一点鎖線で示される参照範囲Z内に設定する。参照範囲Zは、注目画素p(i,j)が移動可能な範囲、すなわち、動きベクトルの起点となる注目画素p(i,j)から終点として成立しうる参照画素q(x,y)の範囲が設定される。尚、図4において、図中上部の画像F1が入力画像を示し、画像F2が直前画像を示している。また、画像F11は、生成されるMC画像を示している。また、各マス目は、画素を示しており、(x,y)は直前画像上の画素の位置を示す座標である。
ステップS33において、差分絶対値和計算部12aは、注目画素p(i,j)に対応する注目ブロックBと、参照画素に対応する参照ブロックB'を構成する各画素の画素値を抽出する。すなわち、図4の場合、注目画素p(i,j)に対応する注目ブロックBとは、入力画像F1上に太線で示される範囲の複数の画素からなるブロックであり、参照画素q(x,y)に対応する参照ブロックB'とは、直前画像F2上に太線で示される範囲の複数の画素からなるブロックである。図4においては、注目ブロックBおよび参照ブロックB'がそれぞれ15画素から構成されている。
ステップS34において、差分絶対値和計算部12aは、注目ブロックBおよび参照ブロックB'それぞれにおいて対応する位置の画素間の画素値の差分絶対値和を計算する。すなわち、図4の場合、差分絶対値和計算部12aは、以下の式(1)を計算することにより、注目画素p(i,j)に対する差分絶対値和ds(i,j)を求める。
ds(i,j,x,y)=Σ|p(i−a,j−b)−q(x−a,y−b)|
(a=−2,−1,0,1,2 b=−1,0,1)
・・・(1)
(a=−2,−1,0,1,2 b=−1,0,1)
・・・(1)
式(1)において、Σ|A|は、変数aを−2,−1,0,1,2に、変数bを−1,0,1にそれぞれ変化させた絶対値Aの総和を求めることを表している。すなわち、全15画素についてそれぞれの画素値の差分絶対値の総和を求めることを表している。
ステップS35において、差分絶対値和計算部12aは、参照範囲Z内に未処理の画素が存在するか否かを判定し、未処理の画素がある場合、処理は、ステップS32に戻る。すなわち、注目画素p(i,j)に対して設定された参照範囲Z内の全ての画素について、参照画素q(x,y)を設定し、全ての画素に対して差分絶対値和ds(i,j,x,y)を求めるまで、ステップS32乃至S35の処理が繰り返される。
そして、ステップS35において、参照範囲Z内に未処理の画素が存在しない、すなわち、参照範囲Z内の全ての画素に対して差分絶対値和が求められた場合、処理は、ステップS36に進む。
ステップS36において、比較部12bは、注目画素p(i,j)に対して求められた全ての差分絶対値和ds(i,j,x,y)を比較し、最小となる値を最小差分絶対値和dsmとして求めると共に、最小差分絶対値和を取る差分絶対値和dsmに対応する最小参照画素qm(x,y)を求める。すなわち、比較部12bは、例えば、図5で示されるように、横軸に参照画素q(x,y)を取り、縦軸に差分絶対値和dsを取る場合、差分絶対値和dsが最小となる参照画素q(x,y)を最小参照画素qm(x,y)とし、そのときの差分絶対値和を最小差分絶対値和dsmとする。尚、以降においては、この最小差分絶対値和dsmを入力画像の画素p(i,j)に対する差分絶対値和と称するものとする。
ステップS37において、動きベクトル計算部12cは、注目画素p(i,j)および最小参照画素qm(x,y)の情報に基づいて、動きベクトルv(i,j)を計算する。すなわち、動きベクトルは、以下の式(2)として求められることになる。
v(i,j)=(qmx−pi,qmy−pj)
・・・(2)
・・・(2)
尚、式(2)においては、qmxがqm(x,y)の水平方向の座標であり、qmyがqm(x,y)の垂直方向の座標であり、piがp(i,j)の水平方向の座標であり、pjがp(i,j)の垂直方向の座標であり、動きベクトルv(i,j)が、入力画像上の画素p(i,j)を起点とし、直前画像上の画素q(x,y)を終点とするベクトルであることが示されている。
ステップS38において、比較部12bは、最小差分絶対値和dsmを注目画素の差分絶対値和dsmとしてエラー処理部14に供給する。
ステップS39において、動きベクトル計算部12cは、計算した注目画素p(i,j)の動きベクトルv(i,j)を動き補償処理部13に供給する。
ステップS40において、差分絶対値和計算部12aは、入力画像に未処理の画素が存在するか否かを判定し、未処理の画素が存在する場合、処理は、ステップS31に戻る。すなわち、入力画像における全ての画素について動きベクトルおよび最小差分絶対値和が求められるまで、ステップS31乃至S40の処理が繰り返される。そして、ステップS40において、未処理の画素が存在しない、すなわち、入力画像の全ての画素について動きベクトルが求められた場合、処理は、終了する。
以上の処理により、入力画像の各画素について、設定される注目画素に対応する注目ブロックと、直前画像上の参照画素に設定される参照ブロックとのそれぞれの対応する位置の画素間の差分絶対値和が最小となる参照画素を動きベクトルの終点に設定して、注目画素の動きベクトルを求めることにより、入力画像の全画素について動きベクトルが求められる。また、動きベクトルが求められる際に求められる最小差分絶対値和が、入力画像における各画素の差分絶対値和dsmとしてエラー処理部14に供給される。
ここで、図2のフローチャートの説明に戻る。
ステップS13において、動きベクトル抽出処理が終了すると、ステップS14において、動き補償処理部13は、動き補償処理を実行して、MC画像を生成してエラー処理部14に供給する。
ここで、図6のフローチャートを参照して、動き補償処理について説明する。
ステップS51において、動き補償処理部13は、補間生成しようとするMC画像上の未処理の画素を注目画素P(s,t)に設定する。
ステップS52において、ベクトル解析部13aは、動きベクトル抽出部12より供給されてきた入力画像の動きベクトルを解析し、注目画素P(s,t)を通る動きベクトルを持つ入力画像上の画素p(i,j)を検索する。
すなわち、例えば、図7で示されるように、ベクトル解析部13aは、MC画像F11上の注目画素P(s,t)を通る動きベクトルv(i,j)を持つ、画素p(i,j)を検索する。尚、図7においては、図4を参照して説明したように求められた入力画像F1上の画素p(i,j)の動きベクトルv(i,j)のうち、MC画像F11上の注目画素P(s,t)を通るものを示している。
ステップS53において、画素生成部13bは、求められた入力画像F1上の画素p(i,j)の画素値を、注目画素P(s,t)の画素値として読み込み、MC画像メモリ13cに記憶させる。すなわち、この例においては、画素生成部13bは、動きベクトルv(i,j)の起点となる入力画像F1上の画素p(i,j)の画素をそのままMC画像F11上の対応する注目画素P(s,t)の画素値とすることにより、画素を生成しているが、動きベクトルv(i,j)に基づいて規定される画素を用いて生成される画素であればよく、例えば、動きベクトルv(i,j)の始点となる画素p(i,j)および終点となる直前画像上の画素q(x,y)の画素値の平均(=(p+q)/2:p,qは、それぞれ画素p(i,j)および画素q(x,y)の画素値)や、MC画像の入力画像と直前画像との時間的な距離による比率に基づいて重み付けした画素値の加重平均(=(w×p+(1−w)×q):p,qは、それぞれ画素p(i,j)および画素q(x,y)の画素値、w(0≦w≦1)は重み係数)などを用いるようにしても良い。
ステップS54において、動き補償処理部13は、補間生成しようとするMC画像上に未処理の画素が存在するか否かを判定し、例えば、未処理の画素が存在する場合、処理は、ステップS51に戻る。すなわち、補間生成しようとするMC画像上の全ての画素が、それぞれを通る、入力画像上の各画素の動きベクトルの起点となる画素の画素値で置き換えられるまで、ステップS51乃至S54の処理が繰り返される。そして、ステップS54において、未処理の画素が存在しない、すなわち、全ての画素がそれぞれを通る、入力画像上の各画素の動きベクトルの起点となる画素の画素値で置き換えられた場合、ステップS55において、動き補償処理部13は、MC画像メモリ13cに記憶されている、MC画像のデータを読み出して、エラー処理部14に供給する。
以上の処理により、動き補償処理により入力画像より動き補償が成されたMC画像が生成されて、エラー処理部14に供給される。
ここで、図2のフローチャートの説明に戻る。
ステップS14において、動き補償処理が実行されて、MC画像が生成されると、ステップS15において、エラー処理部14は、動きベクトル抽出部12より供給されてきた入力画像の各画素における動きベクトルを抽出する際に求められる、各画素の差分絶対値和に基づいて、エラー処理を実行し、入力画像、およびMC画像を合成して出力画像を生成し表示部2に表示する。
ここで、図8のフローチャートを参照して、エラー処理について説明する。
ステップS71において、累積部14aは、動きベクトル抽出部12より供給されてくる、動きベクトルの起点および終点における注目ブロックと参照ブロックとを構成するそれぞれの対応する位置の画素間の画素値の差分絶対値和(dsm)を累積加算し、例えば、最大値などにより除することにより正規化した後、dsm累積加算結果としてMEL算出部14bに供給する。
ステップS72において、MEL算出部14bは、dsm累積加算結果を所定の閾値th1と比較し、dsm累積加算結果が閾値th1よりも小さいか否かを判定する。例えば、dsm累積加算結果が閾値th1よりも小さい場合、ステップS73において、MEL算出部14bは、MC画像の平均エラーレベルMEL(Mean Error Level)を最小値に設定し、合成部14cに供給する。
一方、ステップS72において、例えば、dsm累積加算結果が閾値th1よりも小さくない場合、ステップS74において、MEL算出部14bは、dsm累積加算結果を所定の閾値th2(>th1)と比較し、dsm累積加算結果が閾値th2よりも大きいか否かを判定する。
ステップS74において、例えば、dsm累積加算結果が閾値th2よりも大きい場合、ステップS75において、MEL算出部14bは、MC画像の平均エラーレベルMELを最大値に設定し、合成部14cに供給する。
さらに、ステップS74において、例えば、dsm累積加算結果が閾値th2よりも大きくない場合、ステップS76において、MEL算出部14bは、dsm累積加算結果に基づいて、所定の係数を乗じた値を平均エラーレベルMELとして算出し設定した後、合成部14cに供給する。
すなわち、例えば、図9で示されるように、dsm累積加算結果が所定の閾値th1よりも小さい場合、平均エラーレベルMELは最小値の0に設定され、dsm累積加算結果が所定の閾値th2よりも大きい場合、平均エラーレベルMELは最大値のMELmaxに設定される。そして、dsm累積加算結果が所定の閾値th1よりも小さくなく、かつ、dsm累積加算結果が所定の閾値th2よりも大きくない場合、dsm累積加算結果に対応して線形的に変化する0乃至MELmaxのいずれかの値に設定される。
このように平均エラーレベルMELは、画素値の変化の大きさを示す差分絶対値和dsmの累積加算値であるdsm累積加算結果に比例した値が設定される。
例えば、シーンチェンジが発生しているか、画像内の被写体の動きが速すぎて、動きベクトルが連続する画像で追従できない画像の場合、図10で示されるように、dsm累積加算結果は、高い値を取る。一方、例えば、シーンチェンジがなく、フレーム内で被写体の動きが動きベクトルで追従できる画像の場合、図11で示されるように、dsm累積加算結果は、低い値を取る。すなわち、シーンチェンジがなく、フレーム内で被写体の動きが動きベクトルで追従できる画像の場合、図11で示されるように、フレームの変化に対して、dsm累積加算結果が200前後を推移しているが、シーンチェンジが発生しているか、画像内の被写体の動きが速すぎて、動きベクトルが連続する画像で追従できない画像の場合、図10で示されるように、dsm累積加算結果が1200前後を推移していることが示されている。尚、図10,図11においては、横軸がフレーム番号を示しており、縦軸がdsm累積加算結果を示している。また、図10,図11においては、dsm累積加算結果は、正規化で用いられる値を統一した場合の例である。
すなわち、動きベクトルが設定される画素間の画素値の差分絶対値和の最小値が大きく、入力画像と直前画像との差分が大きい場合、平均エラーレベルMELは大きくなるため、動きベクトルの信頼度も低いと考えることができ、平均エラーレベルが小さければ、動きベクトルが設定される画素間の画素値の差分絶対値の最小値が小さく、入力画像と直前画像との差分が小さくなるので、動きベクトルによる追従がある程度十分になされ、動きベクトルの信頼度も高いと考えることができる。
ステップS77において、合成部14cは、平均エラーレベルMELに基づいて、入力画像とMC画像とのそれぞれに対応する全ての画素を合成し、合成画像を生成する。すなわち、合成部14cは、以下の式(3)で示されるような演算により各画素を合成する。
Pe=(P(i,j)×(MELmax−MEL)+p(i,j)×MEL)/MELmax
・・・(3)
・・・(3)
上述した式(3)において、Peは、合成により生成される画素を示し、P(i,j)はMC画像の画素P(i,j)の画素値を、p(i,j)は入力画像の画素p(i,j)の画素値を、MELは平均エラーレベルを、MELmaxは平均エラーレベルMELの最大値をそれぞれ示している。
ステップS78において、合成部14cは、合成画像を出力画像として表示部2に出力する。
ここで、図2のフローチャートの説明に戻る。
ステップS16において、表示部2は、エラー処理部14より供給されてきた出力画像を表示し、処理はステップS11に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
尚、以上の処理においては、入力画像と直前画像とを用いた処理について説明してきたが、タイミングの異なる画像であれば、その他の画像であってもよく、例えば、入力画像と直後の画像であっても良いし、2フレーム前の画像と入力画像などであっても良い。また、入力画像と直前画像との2枚の画像を用いる例について説明してきたが、それ以上の数の画像を用いるようにしてもよく、例えば、入力画像、直前画像、および直後画像を用いた処理とするようにしても良いし、それ以上の数の画像を用いた処理としても良い。
以上の処理により、シーンチェンジがなく、被写体の動きがフレーム内であることにより、動きベクトルの信頼性の高い画像については、動き補償処理により生成されたMC画像を含む割合が高い画像が出力され、逆に、シーンチェンジが発生していたり、被写体の動きがフレーム外に及んでしまうため、被写体の動きを動きベクトルで追従できず、動きベクトルの信頼度が低い場合、入力画像を含む割合が高い画像が出力される。このため、動きベクトルの信頼性の高い画像については、動き補償処理に基づいた画像が高い割合で補間生成されて表示され、逆に、動きベクトルの信頼性の低い画像については、入力画像が高い割合で補間生成に用いられる。
結果として、補間画像を生成するに当たり、破綻が生じ易い輝度変化の大きな画像における動きベクトルを用いた動き補償処理を用いた補間生成処理においても、補間生成される画像の破綻を抑制することが可能となる。
以上においては、動きベクトルを抽出する際、動きベクトルの起点となる注目画素に対して、動きベクトルの終点として成立し得る範囲に参照画素を設定し、対応する注目ブロックと参照ブロックとの各画素間差分絶対値和を求めることにより、最小となる参照画素を動きベクトルの終点画素として求める2フレーム間でのブロックマッチングの例について説明してきたが、注目画素に対する参照画素の設定範囲を小さくすることにより、複数のフレームを巡回させて、徐々に正しい動きベクトルを求める、フレーム巡回型ブロックマッチングにおいても、同様の処理により補間生成される画像の破綻を抑制することができる。
図12は、フレーム巡回型ブロックマッチングにより動きベクトルを求めるようにした画像処理装置のその他の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図12の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図12の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、動きベクトル抽出部12およびエラー処理部14に代えて、巡回型動きベクトル抽出部111およびエラー処理部112を設けた点である。
巡回型動きベクトル抽出部111は、差分絶対値和計算部111a、比較部111b、および動きベクトル計算部111cを備えており、基本的に動きベクトル抽出部12と同様の処理を実行するが、上述したように動きベクトルを抽出する際、注目画素に対する参照画素の設定範囲を小さくし、注目画素の画素位置に対応する近傍の範囲としている。このため、巡回型動きベクトル抽出部111は、動きベクトル抽出部12と比べて、2フレームの画像で、正確な動きベクトルの終点となる参照画素を検出できる可能性が低いため、正しい動きベクトルを抽出できる可能性が低い。このため、巡回型動きベクトル抽出部111は、複数のフレーム間で、同様の処理を巡回的に繰り返すことにより、徐々に正しい動きベクトルを求める。
エラー処理部112は、累積部112a、MEL(Mean Error Level)算出部112b、比較部112c、加算器112d、および合成部112eを備えている。このうち、累積部112a、MEL(Mean Error Level)算出部112b、および合成部112eについては、エラー処理部14の累積部14a、MEL(Mean Error Level)算出部14b、および合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。ただし、以降の説明において、MEL算出部112bは、MEL算出部14bにおいて求められた平均エラーレベルMELの表現を、入力画像の平均エラーレベルMELcと表現するものとする。比較部112cは、直前画像における平均エラーレベルMELpより加算器112dで所定値mだけ減算された値(MELp−m)と、入力画像における平均エラーレベルMELcとを比較し、大きい方の値を入力画像の平均エラーレベルMELcとして合成部112eに出力すると共に、入力画像の平均エラーレベルMELcを直前画像の平均エラーレベルMELpとして記憶し、以降の処理において、記憶している直前画像の平均エラーレベルMELpを加算器112dに出力する。合成部112eは、入力画像の平均エラーレベルMELcに基づいて、入力画像と、MC画像を合成し、表示部2に出力して表示させる。
次に、図12の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図12の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理の動きベクトル抽出処理、およびエラー処理である。そこで、以降においては、図12の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理、およびエラー処理について説明する。
まず、図13のフローチャートを参照して、図12の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理について説明する。尚、図13のフローチャートにおけるステップS101,S106乃至S110の処理は、図3のフローチャートを参照して説明したステップS31,S36乃至S40の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
すなわち、ステップS102において、差分絶対値和計算部111aは、直前画像における未処理の参照画素q(x,y)を、注目画素に対する巡回型参照範囲内に設定する。すなわち、巡回型参照範囲とは、例えば、図14の斜線部で示されるように、入力画像F1における注目画素p(i,j)に対する、直前画像F2上の参照画素q(x,y)が、注目画素p(i,j)に対応して設定される、図中の一点鎖線で示される参照範囲Z'である。巡回型参照範囲である参照範囲Z'は、注目画素p(i,j)が移動可能な範囲、すなわち、動きベクトルの起点となる注目画素p(i,j)から終点として成立しうる参照画素q(x,y)の範囲の一部であり、図4を参照し、比較してもわかるように、注目画素p(i,j)の画素位置に対して近傍の範囲として設定されている。すなわち、図14においては、注目画素p(i,j)の位置に対応する上下左右方向に2画素までの範囲が、巡回型参照範囲として設定されている。
尚、図14において、図中上部の画像F1が入力画像を示し、画像F2が直前画像を示している。また、画像F11は、生成されるMC画像を示している。また、各マス目は、画素を示しており、(x,y)は直前画像上の画素の位置を示す座標である。
ステップS103において、差分絶対値和計算部111aは、注目画素p(i,j)に対応する注目ブロックBと、参照画素に対応する参照ブロックB'を構成する各画素の画素値を抽出する。すなわち、図14の場合、注目画素p(i,j)に対応する注目ブロックBとは、入力画像F1上に太線で示される範囲の複数の画素からなるブロックであり、参照画素q(x,y)に対応する参照ブロックB'とは、直前画像F2上に太線で示される範囲の複数の画素からなるブロックである。図14においては、注目ブロックBおよび参照ブロックB'がそれぞれ15画素から構成されている。
ステップS104において、差分絶対値和計算部111aは、注目ブロックBおよび参照ブロックB'それぞれにおいて対応する位置の画素間の画素値の差分絶対値和を、上述した式(1)により計算する。
ステップS105において、差分絶対値和計算部111aは、参照範囲Z'内に未処理の画素が存在するか否かを判定し、未処理の画素がある場合、処理は、ステップS102に戻る。すなわち、注目画素p(i,j)に対して設定された参照範囲Z'内の全ての画素について、参照画素q(x,y)を設定し、全ての画素に対して差分絶対値和ds(i,j,x,y)を求めるまで、ステップS102乃至S105の処理が繰り返される。
以上の処理により、参照範囲内の全ての参照画素について注目画素との画素間差分絶対値和が求められ、この求められた画素間差分絶対値和が最小となる参照画素が、注目画素における動きベクトルの終点として求められる。そして、注目画素を起点とし、参照画素を終点とするベクトルが注目画素の動きベクトルとして求められる。
ただし、この処理においては、図14を参照して説明したように、参照範囲Z'が図4を参照して説明した参照範囲Zに対して小さな、注目画素の画素位置に対して近傍の範囲であるので、2フレーム間で求められる動きベクトルの精度は低いことが予想される。しかしながら、同様の処理が複数のフレームに対して巡回的に繰り返されていく中で、動きベクトルの終点となる参照画素の位置は、正しい動きベクトルの終点位置に近付いていくことになる。
次に、図15のフローチャートを参照して、図12の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図15のフローチャートにおけるステップS121乃至S126の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS71乃至S76の処理と同様であるので、その説明は省略する。ただし、図15のフローチャートのステップS123,S125,S126において求められる入力画像の平均エラーレベルMELcは、図8のステップS73,S75,S76において求められる入力画像の平均エラーレベルMELと同様のものである。
すなわち、ステップS123,S125,S126において、入力画像の平均エラーレベルMELcが求められると、ステップS127において、比較部112cは、直前画像の処理の際に記憶している、平均エラーレベルMELpより所定値mを減算した値(MELp−m)と入力画像の平均エラーレベルMELcとを比較し、直前画像の平均エラーレベルMELpより所定値mを減算した値(MELp−m)が入力画像の平均エラーレベルMELcよりも大きいか否かを判定する。
ステップS127において、例えば、直前画像の平均エラーレベルMELpより所定値mを減算した値(MELp−m)が入力画像の平均エラーレベルMELcよりも大きいと判定された場合、ステップS128において、比較部112cは、入力画像の平均エラーレベルMELcを、直前画像の平均エラーレベルMELpより所定値mを減算した値(MELp−m)に置き換えて合成部112eおよび加算器112dに出力する。
一方、ステップS127において、例えば、直前画像の平均エラーレベルMELpより所定値mを減算した値(MELp−m)が入力画像の平均エラーレベルMELcよりも大きくないと判定された場合、ステップS129において、比較部112cは、入力画像の平均エラーレベルMELcをそのまま合成部112eおよび加算器112dに出力する。
ステップS130において、合成部112eは、平均エラーレベルMELcに基づいて、入力画像とMC画像とのそれぞれに対応する全ての画素を、上述した式(3)で示されるような演算により合成し、合成画像を生成する。ただし、ステップS130においては、上述した式(3)の演算において、平均エラーレベルMELに代えて、平均エラーレベルMELcが用いられる。
ステップS131において、合成部112eは、合成画像を出力画像として表示部2に出力する。
ステップS132において、加算器112dは、供給されてきた入力画像の平均エラーレベルMELcを、以降における処理に用いる直前画像の平均エラーレベルMELpとして扱うと共に、所定値mを減算した値(MELp−m)を演算して比較部112cに供給して記憶させる。
以上の処理により、入力画像の平均エラーレベルが急激に大きくなり、安定するまでに時間がかかるような状況となっても、入力画像の平均エラーレベルMELcと、直前画像の平均エラーレベルより僅かに小さな値(MELp−m)との比較で、大きな方を取るようにすることで、入力画像の平均エラーレベルMELcが徐々に低下し、その状態が安定するまでは、入力画像の合成比を高めて、破綻が生じる可能性の高いMC画像の合成比を低減させることができる。
例えば、図16で示されるように、第1フレーム乃至第4フレームが連続的な画像であり、第5フレームにおいてシーンチェンジが発生するなどしても、第6フレーム乃至第13フレームにおいては、徐々に入力画像の平均エラーレベルMELcが低減されることになる。そして、さらに、第14フレーム乃至第16フレームにおいて、連続的な画像が入力され、例えば、第17フレームにて、動きベクトルの信頼性が低下するなどして、平均エラーレベルが上昇しても、第18フレーム乃至第21フレームにおいて、やはり段階的に入力画像の平均エラーレベルが低減し、第21フレーム以降においては入力画像の平均エラーレベルが安定していることが示されている。
特に、フレーム巡回型ブロックマッチングにより動きベクトルを求めるような場合、動きベクトルは、徐々に正解に近づくため、正しい動きベクトルに辿り着くまでに何フレーム分かの時間が必要となる。このため、シーンチェンジなどあった場合、そこから動きベクトルが安定するまでに時間がかかり、その間はMC画像に破綻が見えることになる。
そこで、上述したように、入力画像の平均エラーレベルの減衰を遅らせることにより、破綻したMC画像の合成比を徐々に低減させて、入力画像を表示することで、自然に画像を表示することが可能となる。
尚、所定値mの設定により、入力画像の平均エラーレベルMELcが安定するまでの時間を設定することができ、所定値mを大きくすれば、平均エラーレベルMELcの減衰は早いが、破綻したMC画像が表示される可能性が高まる。一方、所定値mを小さくすれば、平均エラーレベルMELcの減衰は遅いが、破綻したMC画像が表示される可能性が低減されることになる。このように、所定値mは、平均エラーレベルMELcの減衰率を決める時定数と考えることができるので、必要に応じて所定値mを設定することで、MC画像と入力画像との合成を制御するようにしても良い。
また、図1の画像処理装置1におけるエラー処理部14に代えて、エラー処理部112を設けるようにして、2フレーム間の画素間差分絶対値和を用いて動きベクトルを求める場合にも、平均エラーレベルの減衰を遅らせて、破綻する可能性の高いMC画像の合成比を低減させるようにしても良い。
いずれにおいても、結果として、補間画像を生成するに当たり、破綻が生じ易い輝度変化の大きな画像における動きベクトルを用いた動き補償処理を用いた補間生成処理においても、補間生成される画像の破綻を抑制することが可能になると共に、フレーム巡回型ブロックマッチングなどによる、動きベクトル抽出手法を用いるような、入力画像の平均エラーレベルが大きく変化する手法を用いても、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
以上においては、フレーム巡回型ブロックマッチングにおいて、特に、シーンチェンジなどの不連続な画像に対して、動きベクトルが正解の動きベクトルに辿り着くまでに時間がかかる場合でも、平均エラーレベルの減衰を遅らせることで、MC画像の破綻を抑制する例について説明してきたが、動きベクトルが正解の動きベクトルに辿り着くまでの時間を短縮することができる。
図17は、フレーム巡回型ブロックマッチングにより動きベクトルを求める画像処理装置であって、動きベクトルが正解の動きベクトルに辿り着くまでの時間を短縮するようにした画像処理装置の他の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図17の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図17の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、動きベクトル抽出部12およびエラー処理部14に代えて、巡回型動きベクトル抽出部131およびエラー処理部132を設けた点である。
巡回型動きベクトル抽出部131は、差分絶対値和計算部131a、比較部131b、動きベクトル計算部131c、および動きベクトルリセット部131dを備えている。このうち、差分絶対値和計算部131a、比較部131b、および動きベクトル計算部131cについては、図12で説明した画像処理装置の巡回型動きベクトル抽出部111の差分絶対値和計算部111a、比較部111b、および動きベクトル計算部111cとそれぞれ同様の処理を実行する。また、動きベクトルリセット部131dは、エラー処理部132からのリセット信号に基づいて、巡回的に抽出される動きベクトルをリセットする(動き量を0とした静止ベクトルとする)。すなわち、巡回型動きベクトル抽出部131は、基本的に巡回型動きベクトル抽出部111と同様の処理を実行すると共に、リセット信号に応じて、動きベクトルをリセットする。
エラー処理部132は、累積部132a,MEL算出部132b、合成部132c、閾値判定部132d、フレームメモリ132e、加算器132f、閾値判定部132g、およびリセット判定部132hを備えている。このうち、累積部132a,MEL算出部132b、合成部132cについては、エラー処理部14の累積部14a,MEL算出部14b、合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。すなわち、エラー処理部132は、巡回型動きベクトル抽出部131より供給されてくる各画素の動きベクトルに対応する差分絶対値和に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
また、エラー処理部132は、巡回型動きベクトル抽出部131からの差分絶対値和の累積加算結果と、平均エラーレベルMELとに基づいて、動きベクトルのリセットを指示するためのリセット信号を生成し、巡回型動きベクトル抽出部131に供給する。より具体的には、閾値判定部132dは、MEL算出部132bにより算出された平均エラーレベルMELが所定の閾値より大きいか否かを判定する。フレームメモリ132eは、差分絶対値和の累積加算結果を一時的に記憶して、1フレーム分直前の画像についての差分絶対値和の累積加算結果を加算器132fに供給する。加算器132fは、累積部132aからの差分絶対値和の累積加算結果と、フレームメモリ132eからの1フレーム分直前の差分絶対値和の累積加算結果とから、差分絶対値和の累積加算結果の増加量を求め、閾値判定部132gに供給する。閾値判定部132gは、加算器132fからの差分絶対値和の累積加算結果の増加量が所定の閾値より大きいか否かを判定する。リセット判定部132hは、閾値判定部132d,132gそれぞれの判定結果に基づいて、リセット信号を生成し、巡回型動きベクトル抽出部131に供給する。
次に、図17の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図17の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理の動きベクトル抽出処理、およびエラー処理である。そこで、以降においては、図17の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理、およびエラー処理について説明する。
まず、図18のフローチャートを参照して、図17の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図18のフローチャートにおけるステップS171乃至S176の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS71乃至S76の処理と同様であるので、その説明は省略する。
すなわち、ステップS173,S175,S176において、入力画像の平均エラーレベルMELが求められると、ステップS177において、閾値判定部132dは、平均エラーレベルMELが、所定の閾値aより大きいか否かを判定する。
ステップS177において、例えば、平均エラーレベルMELが、所定の閾値aより大きいと判定された場合、ステップS178において、閾値判定部132gは、加算器132fからの差分絶対値和の累積加算結果(dsm累積加算結果)の増加量が、所定の閾値bより大きいか否かを判定する。
ステップS178において、例えば、dsm累積加算結果の増加量が、所定の閾値bより大きいと判定された場合、ステップS179において、リセット判定部132hは、リセット信号を生成し、巡回型動きベクトル抽出部131に供給(出力)する。
一方、ステップS177において、平均エラーレベルMELが、所定の閾値aより小さいと判定された場合、または、ステップS178において、dsm累積加算結果の増加量が、所定の閾値bより小さいと判定された場合、処理は、ステップS180に進む。
ステップS180において、合成部132cは、平均エラーレベルMELに基づいて、入力画像とMC画像とのそれぞれに対応する全ての画素を合成し、合成画像を生成する。
ステップS181において、合成部132cは、合成画像を出力画像として表示部2に出力する。
次に、図19のフローチャートを参照して、図17の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理について説明する。尚、図19のフローチャートにおけるステップS203乃至S212の処理は、図13のフローチャートを参照して説明したステップS101乃至S110の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
すなわち、ステップS201において、動きベクトルリセット部131dは、リセット信号が供給されたか否かを判定する。
ステップS201において、リセット信号が供給されたと判定された場合、ステップS202において、動きベクトルリセット部131dは、巡回されていた動きベクトルv(i,j)を、動き量を0とした静止ベクトルにリセットする。
一方、ステップS201において、リセット信号が供給されていないと判定された場合、ステップS202をスキップし、処理は、ステップS203に進む。
以上の処理により、シーンチェンジなどの不連続な画像において、正しい動きベクトルとの動き量の差分が大きくなった動きベクトルを巡回させてしまうような場合でも、動きベクトルを一旦リセットすることで、正解の動きベクトルから遠ざかる動きベクトルを巡回させることを防ぐことができ、ひいては、動きベクトルが正解の動きベクトルに辿り着くまでの時間を短縮することができる。従って、より短時間でMC画像の破綻を抑制することが可能となる。
例えば、図20で示されるように、11フレーム目でシーンチェンジがある画像に対して、破線で示される従来の処理の場合、シーンチェンジ後に正しい動きベクトルが求まるまで時間がかかるため、dsm累積加算結果の減衰にも時間がかかる。一方、実線で示される本実施の形態の処理の場合、シーンチェンジ後に正しい動きベクトルが求まるまで、数フレーム分の時間しかかからないため、dsm累積加算結果も、速やかに小さくなる。尚、図20においては、横軸がフレーム番号を示しており、縦軸がdsm累積加算結果を示している。また、図20においては、dsm累積加算結果は、正規化で用いられる値を統一した場合の例である。
次に、図21のブロック図を参照して、フレーム巡回型ブロックマッチングにより動きベクトルを求める画像処理装置であって、動きベクトルが正解の動きベクトルに辿り着くまでの時間を短縮するようにした画像処理装置のさらに他の実施の形態の構成例について説明する。尚、図21の画像処理装置1においては、図17の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図21の画像処理装置1において、図17の画像処理装置1と異なるのは、エラー処理部132に代えて、エラー処理部151を設けた点である。
エラー処理部151は、累積部151a,MEL算出部151b、比較部151c、加算部151d、合成部151e、閾値判定部151f、フレームメモリ151g、加算器151h、閾値判定部151i、およびリセット判定部151jを備えている。このうち、累積部151a,MEL算出部151b、比較部151c、加算部151d、合成部151eについては、図12の画像処理部1のエラー処理部112の累積部112a,MEL算出部112b、比較部112c、加算部112d、および合成部112eとそれぞれ同様の処理を実行する。すなわち、エラー処理部151は、巡回型動きベクトル抽出部131より供給されてくる各画素の動きベクトルに対応する差分絶対値和に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
また、閾値判定部151f、フレームメモリ151g、加算器151h、閾値判定部151i、およびリセット判定部151jは、エラー処理部132の閾値判定部132d、フレームメモリ132e、加算器132h、閾値判定部132i、およびリセット判定部132jとそれぞれ同様の処理を実行する。すなわち、エラー処理部151は、巡回型動きベクトル抽出部131からの差分絶対値和の累積加算結果と、平均エラーレベルMELとに基づいて、リセット信号を生成し、巡回型動きベクトル抽出部131に供給する。
次に、図21の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図21の画像処理装置1の画像処理において、図17の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理のエラー処理である。そこで、図22のフローチャートを参照して、図21の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図22のフローチャートにおけるステップS221乃至S226、およびステップS230乃至S235の処理は、図15のフローチャートを参照して説明したステップS121乃至S126、およびステップS127乃至S132の処理と同様であるので、その説明は省略する。また、図21のフローチャートにおけるステップS227乃至S229の処理は、図18のフローチャートを参照して説明したステップS157乃至S159の処理と同様であるので、その説明は省略する。
従って、シーンチェンジなどの不連続な画像において、正しい動きベクトルとの動き量の差分が大きくなった動きベクトルを巡回させてしまうような場合でも、動きベクトルをリセットすることで、動きベクトルが正解の動きベクトルに辿り着くまでの時間を短縮することができる。
ところで、画像の一部の領域で、信頼度の低い動きベクトルが発生している場合、その一部の領域が、例えば、画像全体の半分など十分大きい領域であっても、画像全体のdsm累積加算結果が大きい値にはならないことがある。そこで、このような場合であっても、信頼度の低い動きベクトルの発生を検出する構成について説明する。
図23は、画面の一部の領域での信頼度の低い動きベクトルの発生を検出するようにした画像処理装置の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図23の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図23の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、エラー処理部14に代えて、エラー処理部211を設けた点である。
エラー処理部211は、領域分割部211a、累積部211b、乗算部211c,MEL算出部211d、および合成部211eを備えている。このうち、MEL算出部211d、合成部211eについては、エラー処理部14のMEL算出部14b、合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。領域分割部211aは、入力画像をn個の領域に均等に分割する。累積部211bは、n個に分割された入力画像の領域毎に、差分絶対値和を累積加算して、乗算部211cに供給する。乗算部211cは、累積部211bからの、領域毎に累積加算された差分絶対値和のうち、最大となるものをn倍して、MEL算出部211dに供給する。すなわち、エラー処理部211は、n個に分割された入力画像の領域毎の差分絶対値和に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
次に、図23の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図23の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理のエラー処理である。そこで、図24のフローチャートを参照して、図23の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図24のフローチャートにおけるステップS274乃至S280の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS72乃至S78の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
すなわち、ステップS271において、領域分割部211aは、入力画像をn個の領域に均等に分割する。例えば、領域分割部211aは、入力画像の各画素に対応する、動きベクトル抽出部12からの差分絶対値和を、入力画像を分割したn個の各領域を構成する画素でグループ分けして、累積部211bに供給する。
ステップS272において、累積部211bは、n個に分割された入力画像の領域毎に、差分絶対値和を累積加算して、乗算部211cに供給する。
ステップS273において、乗算部211cは、累積部211bからの、領域毎に累積加算された差分絶対値和のうち、最大となるものをn倍する。乗算部211cは、n倍した累積加算結果を、dsm累積加算結果として、MEL算出部211dに供給し、処理はステップS274に進む。
以上の処理により、画像の一部の領域で、信頼度の低い動きベクトルが発生している場合であっても、信頼度の低い動きベクトルの発生を検出することができる。従って、画像の一部に信頼度の低い動きベクトルが集中しているシーンにおいても、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
以上においては、画像の一部の領域における、信頼度の低い動きベクトルの発生を検出する例について説明してきたが、特に、画像の端部の領域においては、そもそも動きベクトルの信頼度は低い。すなわち、画像の端部の領域では、フレームの前後で、対応する画素が存在しない場合が多いので、正しい動きベクトルが求められず、また、誤った差分絶対値和dsmが求められてしまう。そこで、画像の端部の影響を除いて、MC画像を生成する構成について説明する。
図25は、画像の端部の影響を除いて、MC画像を生成するようにした画像処理装置の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図25の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図25の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、エラー処理部14に代えて、エラー処理部311を設けた点である。
エラー処理部311は、領域除外部311a、累積部311b,MEL算出部311c、および合成部311dを備えている。このうち、MEL算出部311c、合成部311dについては、エラー処理部14のMEL算出部14b、合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。領域除外部311aは、入力画像の端部の領域を除外した領域を、エラー処理の対象領域とする。累積部311bは、対象領域に含まれる画素に対応する差分絶対値和を累積加算して、MEL算出部311cに供給する。すなわち、エラー処理部311は、入力画像の端部を除いた領域の差分絶対値和に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
次に、図25の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図25の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理のエラー処理である。そこで、図26のフローチャートを参照して、図25の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図26のフローチャートにおけるステップS373乃至S379の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS72乃至S78の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
すなわち、ステップS371において、領域除外部311aは、入力画像の端部の領域を除外し、残った領域をエラー処理の対象領域とする。例えば、領域除外部311aは、図27で示されるように、予め設定されたパラメータである上端除外ライン数、下端除外ライン数、左端除外画素数、および右端除外画素数で決定される端部の領域を除外する。
ステップS372において、累積部311bは、例えば、図27で示される対象領域に含まれる画素に対応する差分絶対値和を累積加算する。累積部311bは、累積加算の結果を、dsm累積加算結果として、MEL算出部311cに供給し、処理はステップS373に進む。
以上の処理により、画像の端部の領域で、正しい動きベクトルや差分絶対値和dsmが求められない場合であっても、画像の端部の影響を除いて、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
ところで、差分絶対値和dsmは、フレーム間での輝度値の差分に基づいているので、その値は、コントラストの高い画像では大きくなりやすく、また、コントラストの低い画像では小さくなりやすい。そのため、エラー処理において、コントラストの高い画像ではエラーの過検出が、また、コントラストの低い画像ではエラーの検出漏れが生じやすくなる。そこで、以下では、コントラストの高い画像でのエラーの過検出を抑制する例について説明する。
図28は、コントラストの高い画像でのエラーの過検出を抑制するようにした画像処理装置の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図28の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図28の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、エラー処理部14に代えて、エラー処理部411を設けた点である。
エラー処理部411は、累積部411a,MEL算出部411b、フレームディレイ(FD)411c,411d、変動量算出部411e、変動量判定部411f、および合成部411gを備えている。このうち、累積部411a,MEL算出部411b、合成部411gについては、エラー処理部14の累積部14a,MEL算出部14b、合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。FD411cは、累積部411aからのdsm累積加算結果を、1フレーム分遅延させ、FD411dおよび変動量算出部411eに供給する。FD411dは、FD411cからの、1フレーム分遅延したdsm累積加算結果を、さらに1フレーム分遅延させ、変動量算出部411eに供給する。変動量算出部411eは、累積部411aからの現在時刻でのdsm累積加算結果、FD411cからの1フレーム分前の時刻でのdsm累積加算結果、および、FD411dからの2フレーム分前の時刻でのdsm累積加算結果を基に、dsm累積加算結果の時間に対する変動量(時間変動量)を算出し、変動量判定部411fに供給する。変動量判定部411fは、変動量算出部411eからのdsm累積加算結果の変動量に基づいて、MEL算出部411bからの平均エラーレベルMELを調整して、合成部411gに供給する。すなわち、エラー処理部411は、dsm累積加算結果の時間変動量に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
次に、図28の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図28の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理のエラー処理である。そこで、図29のフローチャートを参照して、図28の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図29のフローチャートにおけるステップS471乃至S476、および、ステップS480,S481の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS71乃至S76、および、ステップS77,S78の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
なお、ステップS473,S475,S476において、MEL算出部411bは、設定した平均エラーレベルMELを、変動量判定部411fに供給する。
ステップS477において、変動量算出部411eは、累積部411aからの現在時刻でのdsm累積加算結果、FD411cからの1フレーム分前の時刻でのdsm累積加算結果、および、FD411dからの2フレーム分前の時刻でのdsm累積加算結果を基に、dsm累積加算結果の時間変動量を算出し、変動量判定部411fに供給する。
ステップS478において、変動量判定部411fは、時間変動量が所定の閾値より小さいか否かを判定する。
ステップS478において、時間変動量が所定の閾値より小さいと判定された場合、ステップS479において、変動量判定部411fは、MEL算出部411bから供給された平均エラーレベルMELを最小値に設定し、合成部411gに供給する。ここで、MEL算出部411bから供給された平均エラーレベルMELが既に最小値に設定されている場合(ステップS473)、変動量判定部411fは、平均エラーレベルMELを、そのまま合成部411gに供給する。
一方、ステップS478において、時間変動量が所定の閾値より小さくないと判定された場合、ステップS479をスキップして、処理は、ステップS480に進む。
以上の処理により、dsm累積加算結果の時間変動量に基づいて、平均エラーレベルMELを設定することができる。
一般に、動きベクトルの信頼度が高いほど、dsm累積加算結果の時間変動量は少ないとされる。従って、dsm累積加算結果の時間変動量が所定の閾値より小さい場合、正しい動きベクトルが求められていると判断することができ、平均エラーレベルMELを最小値に設定することができる。すなわち、高コントラスト時の差分絶対値和dsmに関わらず、エラーを検出することができる。
従って、コントラストの高い画像でのエラーの過検出が抑制されるので、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
以上においては、dsm累積加算結果の時間変動量に基づいて、エラーを検出する画像処理装置について説明してきたが、入力画像における動きと静止の割合に基づいて、エラーを検出するようにすることができる。
図30は、入力画像における動きと静止の割合に基づいて、エラーを検出するようにした画像処理装置の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図30の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図30の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、動きベクトル抽出部12およびエラー処理部14に代えて、動きベクトル抽出部511およびエラー処理部512を設けた点である。
動きベクトル抽出部511は、差分絶対値和計算部511a、比較部511b、動きベクトル計算部511c、および静止差分絶対値和計算部511dを備えている。このうち、差分絶対値和計算部511a、比較部511b、および動きベクトル計算部511cについては、動きベクトル抽出部12の差分絶対値和計算部12a、比較部12b、および動きベクトル計算部12cとそれぞれ同様の処理を実行する。静止差分絶対値和計算部511dは、入力画像の注目画素(処理対象となる画素)に対応する注目ブロックの画素と、直前画像において注目ブロックと同一配置の同一配置ブロックの画素とを読み出し、それぞれ対応する画素位置の画素値の差分絶対値和(以下、静止差分絶対値和という)を求める。
エラー処理部512は、静動比算出部512a、累積部512b,MEL算出部512c、および合成部512dを備えている。このうち、MEL算出部512c、および合成部512dについては、エラー処理部14のMEL算出部14b、合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。静動比算出部512aは、入力画像の各画素について、動きベクトル抽出部511からの差分絶対値和と、静止差分絶対値和との比を算出し、その算出結果であって、入力画像における動きと静止の割合を示すパラメータとしての静動比を、累積部512bに供給する。累積部512bは、入力画像の各画素についての静動比算出結果を、差分絶対値和dsmとして累積加算して、MEL算出部512cに供給する。すなわち、エラー処理部512は、入力画像の各画素の差分絶対値和と静止差分絶対値和との比に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
次に、図30の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図30の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理の動きベクトル抽出処理、およびエラー処理である。そこで、図31のフローチャートを参照して、図30の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理、およびエラー処理について説明する。そこで、以降においては、図30の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理、およびエラー処理について説明する。
まず、図31のフローチャートを参照して、図30の画像処理装置1による動きベクトル抽出処理について説明する。尚、図31のフローチャートにおけるステップS531乃至S539の処理は、図3のフローチャートを参照して説明したステップS31乃至S39の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
すなわち、ステップS540において、静止差分絶対値和計算部511dは、入力画像の注目画素(処理対象となる画素)に対応する注目ブロックの画素と、直前画像において注目ブロックと同一配置の同一配置ブロックの同一配置画素とを読み出し、それぞれ対応する画素位置の画素値の静止差分絶対値和を求める。
例えば、図32の斜線部で示されるように、入力画像F1における注目画素p(i,j)に対する、直前画像F2上の同一配置画素P(i,j)が、注目画素p(i,j)に対応して設定される。
尚、図32において、図中上部の画像F1が入力画像を示し、画像F2が直前画像を示している。また、画像F11は、生成されるMC画像を示している。また、各マス目は、画素を示しており、(x,y)は直前画像上の画素の位置を示す座標である。
静止差分絶対値和計算部511dは、注目画素p(i,j)に対応する注目ブロックBと、同一配置画素に対応する同一配置ブロックB''を構成する各画素の画素値を抽出する。すなわち、図32の場合、注目画素p(i,j)に対応する注目ブロックBとは、入力画像F1上に太線で示される範囲の複数の画素からなるブロックであり、同一配置画素P(i,j)に対応する同一配置ブロックB''とは、直前画像F2上に太線で示される範囲の複数の画素からなるブロックである。図32においても、図4同様、注目ブロックBが15画素から構成され、また、同一配置ブロックB''も15画素から構成されている。
また、図32において、注目画素p(i,j)を始点とし、同一配置画素P(i,j)を終点とする動きベクトルv0(i,j)は、動き量が0である、いわゆる静止ベクトルとなる。
そして、静止差分絶対値和計算部511dは、注目ブロックBおよび同一配置ブロックB''それぞれにおいて対応する位置の画素間の画素値の静止差分絶対値和sds(i,j)を計算し、エラー処理部512に供給する。
ステップS541において、差分絶対値和計算部511aは、入力画像に未処理の画素が存在するか否かを判定し、未処理の画素が存在する場合、処理は、ステップS531に戻る。すなわち、入力画像における全ての画素について動きベクトル,最小差分絶対値和、および静止差分絶対値和が求められるまで、ステップS531乃至S541の処理が繰り返される。そして、ステップS541において、未処理の画素が存在しない、すなわち、入力画像の全ての画素について動きベクトルが求められた場合、処理は終了する。
以上の処理により、入力画像の各画素について、最小差分絶対値和dsmと、静止差分絶対値和sdsが求められ、エラー処理部512に供給される。
次に、図33のフローチャートを参照して、図30の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図33のフローチャートにおけるステップS572乃至S579の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS71乃至S78の処理と同様であるので、その説明は省略する。
ステップS571において、静動比算出部512aは、入力画像の画素毎に、動きベクトル抽出部511からの差分絶対値和(dsm)と、静止差分絶対値和(sds)とに基づいて、入力画像における動きと静止の割合を示すパラメータとしての静動比を算出する。静動比算出部512aは、入力画像の画素毎の静動比を、差分絶対値和dsm’として累積部512bに供給する。
例えば、静動比算出部512aは、以下の式(4)を計算することにより、静動比を求める。尚、式(4)において、定数αは、0乃至1の値をとり、任意に調整される値である。
dsm’(i,j)=dsm(i,j)/{α×sds(i,j)}
・・・(4)
・・・(4)
また、例えば、入力画像における動きと静止の割合を示すパラメータとして、以下の式(5)を適用するようにしてもよい。尚、式(5)において、定数βは、0乃至1の値をとり、任意に調整される値である。
dsm’(i,j)=dsm(i,j)−β×sds(i,j)
・・・(5)
・・・(5)
ステップS571の後、ステップS572において、累積部512bは、入力画像の画素毎の静動比である差分絶対値和(dsm’)を累積加算し、これ以降の処理が実行される。
以上の処理により、最小差分絶対値和dsmと、静止差分絶対値和sdsとの比に基づいて、平均エラーレベルMELを設定することができる。
一般に、動きベクトルの信頼度が高いほど、差分絶対値和dsmは、静止差分絶対値和sdsに比べて小さい値になる。すなわち、動きベクトルの信頼度が高いほど、静止に対して、動きの割合が低くなる。例えば、図34で示されるように、正しい動きベクトルが求められる画像では、正方形(網掛け)のプロットで示されるsds累積加算結果に対して、菱形(塗りつぶし)のプロットで示されるdsm累積加算結果が十分小さくなっている。また、図35で示されるように、正しい動きベクトルが求められない画像では、正方形(網掛け)のプロットで示されるsds累積加算結果に対して、菱形(塗りつぶし)のプロットで示されるdsm累積加算結果は、図34で示されるほど小さくはなっていない。尚、図34においては、横軸がフレーム番号を示しており、縦軸がdsm累積加算結果およびsds累積加算結果を示している。
従って、式(4)で表される差分絶対値和dsm’としての静動比が小さい場合、正しい動きベクトルが求められていると判断することができ、平均エラーレベルMELを最小値に設定することができる。すなわち、コントラストの高低による差分絶対値和dsmの変動に関わらず、エラーを検出することができる。
従って、コントラストの高い画像でのエラーの過検出、および、コントラストの低い画面でのエラーの検出漏れが抑制されるので、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
以上においては、入力画像の画像全体の動きおよび静止に基づいて、エラーを検出する画像処理装置について説明してきた。しかしながら、画像内において静止している領域が、ある割合以上存在する場合、それ以外の領域で信頼度の低い動きベクトルが求まったとしても、画像全体の差分絶対値和dsmは大きい値にならない可能性がある。そこで、このような場合であっても、信頼度の低い動きベクトルが存在することを検出する例について説明する。
図36は、信頼度の低い動きベクトルが存在することを検出するようにした画像処理装置の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図36の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図36の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、動きベクトル抽出部12およびエラー処理部14に代えて、動きベクトル抽出部511およびエラー処理部611を設けた点である。また、動きベクトル抽出部511は、図30の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備えるので、その説明は省略するものとする。
エラー処理部611は、動領域判別部611a、カウンタ611b、動領域累積部611c、平均値算出部611d,MEL算出部611e、および合成部611fを備えている。このうち、MEL算出部611e、合成部611fについては、エラー処理部14のMEL算出部14b、合成部14cとそれぞれ同様の処理を実行する。動領域判別部611aは、動きベクトル抽出部511からの、入力画像の所定の大きさの領域(単位領域)毎の静止差分絶対値和sdsに基づいて、入力画像において動きのある領域(動領域)を判別する。カウンタ611bは、動領域判別部611aによって動領域であると判別された領域(単位領域)の数をカウントし、カウント数を平均値算出部611dに供給する。動領域累積部611cは、入力画像において、動領域であると判別された領域について、差分絶対値和を累積加算して、平均値算出部611dに供給する。平均値算出部611dは、カウンタ611bからのカウント数と、動領域累積部611cからのdsm累積加算結果とから、単位領域あたりの差分絶対値和であるdsm平均値を算出し、MEL算出部611eに供給する。すなわち、エラー処理部611は、入力画像における動領域の差分絶対値和に基づいて、MC画像と入力画像とを合成して、表示部2に出力し、表示させる。
ここで、エラー処理部611において、入力画像の動領域におけるdsm累積加算結果の平均値を算出しているのは、動領域でない領域(静止領域)の大きさに依存せずに、エラーを検出するためである。例えば、入力画像のほぼ半分の領域は静止領域で、かつ、それ以外の領域は、動きが複雑で正しい動きベクトルが求まらない動領域である場合、図37で示されるように、菱形(塗りつぶし)のプロットで示される画面全体でのdsm累積加算結果の平均値(dsm平均値)より、正方形(網掛け)のプロットで示される動領域のみでのdsm累積加算結果の平均値(dsm平均値)の方が大きくなる。尚、図37においては、横軸がフレーム番号を示しており、縦軸がdsm平均値を示している。
次に、図36の画像処理装置1による画像処理について説明する。尚、基本的な画像処理については、図2のフローチャートを参照して説明した処理と同様であるので、図2のフローチャートの説明については省略する。また、図36の画像処理装置1の画像処理において、図1の画像処理装置1による画像処理と異なるのは、図2のフローチャートにおける処理のエラー処理である。そこで、図38のフローチャートを参照して、図36の画像処理装置1によるエラー処理について説明する。尚、図38のフローチャートにおけるステップS675乃至S681の処理は、図8のフローチャートを参照して説明したステップS72乃至S78の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。ただし、図38のフローチャートのステップS676,S678,S679において処理されるdsm平均値は、図8のステップS72,S75,S76において処理されるdsm累積加算結果と同様に扱われるものである。尚、図38のフローチャートにおける処理では、単位領域を1画素として説明する。
すなわち、ステップS671において、動領域判別部611aは、例えば、入力画像の画素毎の静止差分絶対値和sdsに基づいて、入力画像の各画素のうちの、動きのある画素を、動領域として判別する。より具体的には、動領域では、静止差分絶対値和sdsは、比較的大きい値になるので、動領域判別部611aは、入力画像の各画素の静止差分絶対値和sdsが所定の閾値より大きい場合に、その画素を動領域であると判別する。
ステップS672において、カウンタ611bは、動領域判別部611aによって動領域であると判別された領域を構成する画素の画素数をカウントし、カウント数を平均値算出部611dに供給する。
ステップS673において、動領域累積部611cは、動領域判別部611aによって動領域であると判別された画素について、差分絶対値和dsmを累積加算して、平均値算出部611dに供給する。
ステップS674において、平均値算出部611dは、カウンタ611bからのカウント数と、動領域累積部611cからのdsm累積加算結果とから、動領域の1画素あたりの差分絶対値和であるdsm平均値を算出し、MEL算出部611eに供給し、処理はステップS675に進む。
以上の処理により、画像内において、静止領域がある割合以上存在する場合であっても、信頼度の低い動きベクトルが存在することを検出することができる。従って、画像内の静止領域が、ある割合以上存在するシーンにおいても、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
尚、図38のフローチャートにおける処理では、単位領域を1画素として説明してきたが、単位領域は、1画素に限らず、4画素など複数の画素からなるブロックであってもよい。
以上のように、MC画像の破綻を抑制するための構成について説明してきたが、上述した構成を組み合わせることができる。
図39は、上述した構成を組み合わせた画像処理装置の実施の形態の構成例を示す図である。尚、図39の画像処理装置1においては、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図39の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、動きベクトル抽出部12およびエラー処理部14に代えて、動きベクトル抽出部511およびエラー処理部711を設けた点である。また、動きベクトル抽出部511は、図30の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備えるので、その説明は省略するものとする。
エラー処理部711は、静動比算出部711a、累積部711b、領域分割部711c、乗算部711d,MEL算出部711e、FD711f,711g、変動量算出部711h、変動量判定部711i、および合成部711jを備えている。このうち、静動比算出部711a、累積部711bについては、図30のエラー処理部512の静動比算出部512a、累積部512bとそれぞれ同様の処理を実行する。領域分割部711c、乗算部711dについては、図23のエラー処理部211の領域分割部211a、乗算部211cとそれぞれ同様の処理を実行する。また、MEL算出部711e,FD711f,711g、変動量算出部711h、変動量判定部711i、合成部711jは、図28のエラー処理部411のMEL算出部411b,FD411c,411d、変動量算出部411e、変動量判定部411f、合成部411gとそれぞれ同様の処理を実行する。従って、これらの説明は省略するものとする。
以上の構成により、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
なお、図39の例における画像処理については、図39の画像処理装置を構成する各ブロックが行う処理について説明したフローチャートにおける処理と同様であるので、その説明は省略する。
図40は、上述した構成を組み合わせた画像処理装置の実施の形態の他の構成例を示す図である。尚、図40の画像処理装置1においても、図1の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図40の画像処理装置1において、図1の画像処理装置1と異なるのは、動きベクトル抽出部12およびエラー処理部14に代えて、動きベクトル抽出部511およびエラー処理部811を設けた点である。また、動きベクトル抽出部511は、図30の画像処理装置1に設けられたものと同様の機能を備えるので、その説明は省略するものとする。
エラー処理部811は、動領域判別部811a、カウンタ811b、動領域累積部811c、平均値算出部811d、静動比算出部811e、累積部811f,MEL算出部811g、FD811h,811i、変動量算出部811j、変動量判定部811k、および合成部811mを備えている。このうち、動領域判別部811a、カウンタ811b、動領域累積部811c、平均値算出部811dについては、図36の動領域判別部611a、カウンタ611b、動領域累積部611c、平均値算出部611dとそれぞれ同様の処理を実行する。静動比算出部811e、累積部811fについては、図30のエラー処理部512の静動比算出部512a、累積部512bとそれぞれ同様の処理を実行する。また、MEL算出部811g,FD811h,811i、変動量算出部811j、変動量判定部811k、合成部811mは、図28のエラー処理部411のMEL算出部411b,FD411c,411d、変動量算出部411e、変動量判定部411f、合成部411gとそれぞれ同様の処理を実行する。従って、これらの説明は省略するものとする。
以上の構成により、MC画像の破綻を抑制することが可能となる。
なお、図40の例における画像処理については、図40の画像処理装置を構成する各ブロックが行う処理について説明したフローチャートにおける処理と同様であるので、その説明は省略する。
ところで、上述した一連の情報処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、記録媒体からインストールされる。
図41は、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示している。このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1001を内蔵している。CPU1001にはバス1004を介して、入出力インタフェース1005が接続されている。バス1004には、ROM(Read Only Memory)1002およびRAM(Random Access Memory)1003が接続されている。
入出力インタフェース1005には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスよりなる入力部1006、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部1007、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブなどよりなる記憶部1008、LAN(Local Area Network)アダプタなどよりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部1009が接続されている。また、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、もしくは半導体メモリなどのリムーバブルメディア1011に対してデータを読み書きするドライブ1010が接続されている。
CPU1001は、ROM1002に記憶されているプログラム、または磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等のリムーバブルメディア1011から読み出されて記憶部1008にインストールされ、記憶部1008からRAM1003にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM1003にはまた、CPU1001が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
尚、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
1 画像処理装置, 11 フレームメモリ, 12 動きベクトル抽出部, 12a 12b 比較部, 12c 動きベクトル計算部, 13 動き補償処理部, 13a ベクトル解析部, 13b 画素生成部, 13c MC画像メモリ, 14 エラー処理部, 14a 累積部, 14b MEL算出部, 14c 合成部
Claims (10)
- 第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和を計算する差分絶対値和計算手段と、
前記差分絶対値和計算手段により計算された前記差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求める比較手段と、
前記比較手段により求められた前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルを抽出する動きベクトル抽出手段と、
前記第1の画像上の各画素の画素値を、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とすることにより動き補償画像を生成する動き補償画像生成手段と、
前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和を累積加算する累積加算手段と、
前記累積加算手段により求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する補間画像生成手段と
を含む画像処理装置。 - 前記累積加算結果の所定の最大値に対する、前記累積加算結果の割合により、前記累積加算結果を量子化する量子化手段をさらに含み、
前記補間画像生成手段は、前記量子化手段により量子化された前記累積結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記補間画像生成手段は、前記量子化手段により量子化された前記累積結果が第1の所定の閾値よりも小さい画素については、前記第1の画像における画素を、そのまま使用して補間画像を生成し、前記量子化手段により量子化された前記累積結果が第2の所定の閾値よりも大きい画素については、前記動き補償画像における各画素をそのまま使用して、補間画像を生成する
請求項2に記載の画像処理装置。 - 前記参照画素は、前記第2の画像上の、前記第1の画像上における前記注目画素に対応する近傍の範囲に設定される
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記第2の画像における累積加算結果より所定値を減算する減算手段と、
前記減算手段により前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値と、前記第1の画像における累積加算結果とを比較し、前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値が前記第1の画像における累積加算結果よりも大きい場合、前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値を前記第1の画像における累積加算結果として置き換え、前記第2の画像における累積加算結果より所定値が減算された値が前記第1の画像における累積加算結果よりも大きくない場合、前記第1の画像における累積加算結果をそのまま出力する比較手段とをさらに含む
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記第2の画像における累積加算結果が第1の所定の閾値より大きく、かつ、前記第2の画像における累積加算結果から前記第1の画像における累積加算結果の増加分が第2の所定の閾値より大きい場合、前記動きベクトル抽出手段によって抽出される前記動きベクトルを動き量が0である静止ベクトルにリセットするよう指示する指示手段をさらに含む
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記指示手段による指示に基づいて、前記動きベクトル抽出手段によって抽出される前記動きベクトルを前記静止ベクトルにリセットするリセット手段をさらに含む
請求項6に記載の画像処理装置。 - 第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和を計算する差分絶対値和計算ステップと、
前記差分絶対値和計算ステップの処理により計算された前記差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求める比較ステップと、
前記比較ステップの処理により求められた前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルを抽出する動きベクトル抽出ステップと、
前記第1の画像上の各画素の画素値を、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とすることにより動き補償画像を生成する動き補償画像生成ステップと、
前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和を累積加算する累積加算ステップと、
前記累積加算ステップの処理により求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する補間画像生成ステップと
を含む画像処理方法。 - 第1の画像における注目画素に対応した複数の画素からなる注目ブロックと、前記第1の画像と表示タイミングの異なる第2の画像上の参照画素に対応した、前記注目ブロックと同一配置の複数の画素からなる参照ブロックとのそれぞれ対応する画素間の画素値の差分絶対値和を計算する差分絶対値和計算ステップと、
前記差分絶対値和計算ステップの処理により計算された前記差分絶対値和を比較し最小の差分絶対値和を求める比較ステップと、
前記比較ステップの処理により求められた前記差分絶対値和が最小となる前記参照画素と、前記注目画素とに基づいて、前記注目画素の動きベクトルを抽出する動きベクトル抽出ステップと、
前記第1の画像上の各画素の画素値を、前記第1の画像の各画素の動きベクトルに基づいて対応する、動き補償画像上の画素の画素値とすることにより動き補償画像を生成する動き補償画像生成ステップと、
前記動き補償画像上の各画素に対応する、前記第1の画像上の各画素の動きベクトルが求められる際に計算された差分絶対値和を累積加算する累積加算ステップと、
前記累積加算ステップの処理により求められた累積加算結果に基づいて、前記第1の画像における各画素と、対応する前記動き補償画像における各画素とを合成して、補間画像を生成する補間画像生成ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。 - 請求項9に記載のプログラムが格納されているプログラム格納媒体。
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