以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における画像処理装置を有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の外観構成を示した斜視図である。このMFP1は、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種機能を有している。
また、MFP1には、人体などから放射される赤外線を検出して人体の存否を検出する人体検出回路20が設けられている。このMFP1は、人体検出回路20によって人体の動きを監視し、人体を検出した場合に、予め音声メモリ14b(図2参照)に記憶されている音声データを、スピーカ24(図2参照)によって放音(再生)させる装置である。このMFP1では、CPU11(図2参照)が、気温に応じて、人体検出回路20の人体の検出感度を適切に変更するので、人体検出回路20によって人体を精度良く検出することができる。
MFP1の筐体内部には、ファクシミリ機能、スキャナ機能、又は、コピー機能の実行時に原稿を読み取るためのスキャナ21と、記録用紙に画像を記録するための熱転写方式のプリンタ22とが内蔵されている。
プリンタ22は、複数の発熱素子が配設されるサーマルヘッド22a(図2参照)と、サーマルヘッド22aにより押圧されるインクリボン(図示しない)が内包されたインクリボンカートリッジ(図示しない)と、記録に使用されたインクリボンを巻き取るリボン巻取装置(図示しない)と、記録用紙を搬送する紙送り装置(図示しない)と、サーマルヘッド22aと共にインクリボン及び記録用紙を挟持するプラテン(図示しない)とを備え、モノクロ印刷を行う。
MFP1の上面後部に設けられた開口部に記録用紙が挿入されると、記録用紙は、紙送り装置によってサーマルヘッド22aとプラテンとの間に搬送され、インクリボンと共に挟持される。この状態でサーマルヘッド22aの発熱素子が通電され加熱されると、その加熱された部分のインクリボン上のインクが溶融し、その溶融したインクが記録用紙に転写されて、1ライン分の画像が形成される。この画像の形成および記録用紙の搬送を繰り返すことにより、記録用紙全体に画像が形成される。
サーマルヘッド22aの近傍には、温度によって抵抗値が変化するサーミスタ22a1(図2参照)が配設されている。CPU11は、入出力ポート27を介してサーミスタ22a1の抵抗値を読み取り、サーマルヘッド22aの温度を算出する。CPU11は、その算出された温度および記録用紙に記録する画像データに基づいて、各発熱素子の通電時間を制御して温度を制御する。すなわち、サーミスタ22a1により画像処理時の温度が検出され、その温度に基づいてインクの溶融量が制御されて、記録用紙に形成される画像の階調が制御される。
なお、発熱素子の抵抗値と温度との関係は、例えば、ROM12(図2参照)に、抵抗値を温度に変換する変換テーブルや変換式などが記憶されており、CPU11はそれらに基づいて温度を算出する。
MFP1の上面には、操作パネル6が設けられており、操作キー15、LCD16、マイクロフォン23(図2参照)、スピーカ24(図2参照)を具備する。操作キー15には、マイクロフォン23に入力される音声を記憶(録音)するための録音開始ボタン15aや、録音開始ボタン15aによって開始された音声の記憶を終了するための録音終了ボタン15bなどの各種ボタンが設けられている。
ユーザによって、録音開始ボタン15aが押下されると、マイクロフォン23に入力される音声が、(後述する)音声LSI25によってデジタル信号に変換され、変換されたデジタル信号が、音声データとして音声メモリ14b(図2参照)に記憶される(図5の音声録音処理)。なお、この処理は、ユーザによって録音終了ボタン15bが押下されるまで、繰り返し実行される。
また、ユーザは、操作キー15に設けられた各種キーを操作することによって、MFP1のスキャナ機能やコピー機能を利用することができる。LCD16には、操作手順や実行中の処理の状態が表示されると共に、操作キー15の押下に対応する情報が表示される。
次に、図2を参照して、MFP1の電気的構成について説明する。図2は、MFP1の電気的構成を示すブロック図である。MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、計時回路18、人体検出回路20、スキャナ21、プリンタ22、マイクロフォン23、スピーカ24、音声LSI25とを主に有している。
CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、計時回路18、人体検出回路20、スキャナ21、プリンタ22、マイクロフォン23、スピーカ24、音声LSI25、バスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
CPU11は、ROM12やRAM13やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラムに従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御するものである。
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。図5のフローチャートに示す音声録音処理、図6のフローチャートに示すメイン処理、図7のフローチャートに示す感度設定処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。
RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。RAM13には、MFP1が設置されている場所の気温が記憶される気温メモリ13aが設けられている。
この気温メモリ13aには、プリンタ22のサーマルヘッド22aに配設されるサーミスタ22a1の抵抗値に基づいて算出された温度が、MFP1が設置されている場所の気温として記憶される。通常、サーミスタ22a1は、サーマルヘッド22aの各発熱素子の温度を制御するために用いられているが、長時間記録動作が行われていなければ、サーマルヘッド22aの各発熱素子の温度や、サーミスタ22a1の温度は、気温と略等しい温度に安定している。
フラッシュメモリ14は書換可能な不揮発性のメモリであり、このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。フラッシュメモリ14には、MFP1に音声が記憶されているか否かを示す録音フラグメモリ14aと、マイクロフォン23に入力される音声が音声データとして記憶される音声メモリ14bとが設けられている。
録音フラグメモリ14aは、音声メモリ14bに音声データが記憶されているか否かを示す録音フラグが記憶されるメモリである。例えば、ユーザによって録音開始ボタン15aが押下され、音声メモリ14bに音声データが記憶された場合、録音フラグは「オン」(例えば、「1」)に設定され、音声メモリ14bに音声データが記憶されていない場合や、記憶されている全音声データがスピーカ24により放音された場合、録音フラグは「オフ」(例えば、「0」)に設定される。
音声メモリ14bは、録音開始ボタン15aが押下された場合に、マイクロフォン23に入力される音声が、音声LSI25によってデジタル信号に変換されて音声データとして記憶されるメモリである。計時回路18は、現在の日時を刻む時計機能を有する既知の回路である。
人体検出回路20は、詳細については後述するが、人体などから放射される赤外線を検出して人体の存否を検出するための回路である。人体検出回路20によって人体が検出された場合、予め音声メモリ14bに記憶されている音声データが、音声LSI25によって音声信号に変換され、スピーカ24に出力されて放音される(図6のメイン処理)。
マイクロフォン23は、入力された音声を音声信号(電気信号)に変換するものであり、また、スピーカ24は、音声信号を音声に変換して放音するものである。音声LSI25は、マイクロフォン23によって変換された音声信号が入力された場合に、デジタル信号に変換し、また、音声メモリ14bに記憶される音声データが入力された場合に、音声信号に変換するものである。
次に、図3を参照して人体検出回路20について説明する。図3は、人体検出回路20の回路図である。人体検出回路20は、人体などから放射される赤外線を検出して人体の存否を検出するための回路であり、人体を検出した場合に、CPU11のVIN端子へロウ電圧VL(ここでは、グランドGND電位に略等しい電圧)を出力するものである。
人体検出回路20は、赤外線検出回路Aと、増幅回路Bと、ウィンドウコンパレータ回路Cとを備えている。赤外線検出回路Aは、監視領域から放射される赤外線を検出するための回路である。赤外線検出回路Aは、焦電型赤外線センサSENと、フレネルレンズLENと、オペアンプOP1と、コンデンサC1とにより構成されている。
焦電型赤外線センサSENの電源端子は、電源回路(図示しない)に接続され電源電圧VCCが印加されている。焦電型赤外線センサSENの出力端子は、オペアンプOP1の非反転入力端子(以下、「プラス入力端子」と称する)に接続され、GND端子はグランドGNDに接続されている。オペアンプOP1の出力端子は、オペアンプOP1の反転入力端子(以下、「マイナス入力端子」と称する)とコンデンサC1の一端とにそれぞれ接続されている。なお、オペアンプOP1の正電源端子および負電源端子は、電源回路(図示しない)と接続され、正電源端子に正電圧V+が印加され、負電源端子に負電圧V−が印加されている。
焦電型赤外線センサSENは、受光している赤外線量が増加した場合に、増加量に応じてプラスの検出電圧を出力し、受光している赤外線量が減少した場合に、減少量に応じてマイナスの検出電圧を出力し、受光している赤外線量が変化しない場合は、検出電圧を出力しないセンサである。この焦電型赤外線センサSENには、監視領域から放射される赤外線を焦電型赤外線センサSENへ集光させるためのフレネルレンズLENが装着されている。
監視領域(例えば、壁など)から放射される赤外線は、フレネルレンズLENによって集光され、焦電型赤外線センサSENに入力される。その監視領域に人体が進入すると、焦電型赤外線センサSENに入力される赤外線量が増加するので、プラスの検出電圧が出力される。一方、監視領域から人体が退出すると、入力される赤外線量が減少するので、マイナスの検出電圧が出力される。
焦電型赤外線センサSENから出力された検出電圧は、バッファアンプとして機能するオペアンプOP1に入力される。バッファアンプは、焦電型赤外線センサSENの出力端子が、他の電子部品から電気的に影響を受けないようにするための増幅率が1の増幅器である。オペアンプOP1から出力された検出電圧は、コンデンサC1よって直流成分が除去される。
よって、赤外線検出回路Aは、直流成分が除去された検出電圧を出力することができる。このコンデンサC1の他端から出力される電圧を、出力電圧AOUTと称する。なお、出力電圧AOUTは、増幅回路Bに入力される。
増幅回路Bは、出力電圧AOUTを、CPU11からの指示に応じた増幅率で増幅させるための回路である。増幅回路Bは、抵抗R1,R2,R3,R4と、スイッチSW1,SW2と、オペアンプOP2とにより構成されている。抵抗R1の一端は、赤外線検出回路AのコンデンサC1の他端に接続されており、出力電圧AOUTが印加される。抵抗R1の他端は、オペアンプOP2のマイナス入力端子と抵抗R2の一端とにそれぞれ接続されている。
抵抗R2の他端は、スイッチSW1の一端と抵抗R3の一端とにそれぞれ接続されている。スイッチSW1の他端は、スイッチSW2の一端と抵抗R3の他端と抵抗R4の一端とにそれぞれ接続されている。スイッチSW2の他端は、抵抗R4の他端とオペアンプOP2の出力端子とにそれぞれ接続されている。スイッチSW1の制御端子は、CPU11のGAIN1端子に、スイッチSW2の制御端子はGAIN2端子にそれぞれ接続されている。また、オペアンプOP2のプラス入力端子は、ウィンドウコンパレータ回路Cの抵抗R6の一端と抵抗R7の一端とにそれぞれ接続されている。なお、オペアンプOP2の正電源端子および負電源端子は、電源回路(図示しない)と接続され、正電源端子に正電圧V+が印加され、負電源端子に負電圧V−が印加されている。
スイッチSW1は抵抗R3を、スイッチSW2は抵抗R4を短絡させるためのスイッチである。CPU11のGAIN1端子やGAIN2端子から、ハイ電圧VH(例えば、電源電圧VCC)が出力され、スイッチSW1,SW2の制御端子に入力されると、スイッチSW1,SW2の両端が短絡され、その結果、抵抗R3,R4が短絡させられる。逆に、制御端子にロウ電圧VL(例えば、グランドGND電位)が入力されると、スイッチSW1,SW2の両端が開放される。
なお、スイッチSW1,SW2の制御端子にハイ電圧VHが入力されている状態を、スイッチSW1,SW2がオンされていると称する。また、スイッチSW1,SW2の制御端子にロウ電圧VLが入力されている状態を、スイッチSW1,SW2がオフされていると称する。
CPU11の指示によってスイッチSW1,SW2が短絡または開放されると、オペアンプOP2に電気的に接続される抵抗値が変化するので、オペアンプOP2に入力される出力電圧AOUTの増幅率が変化する。
例えば、スイッチSW1,SW2がそれぞれオンされ、それぞれの両端が短絡されると、オペアンプOP2の増幅率は、増幅率G1=抵抗R2/抵抗R1となり最小となる。また、スイッチSW1がオフされ両端が開放され、スイッチSW2がオンされ両端が短絡されると、増幅率G2=(抵抗R2+抵抗R3)/抵抗R1となるので、増幅率G1よりも増幅率が大きくなる。但し、抵抗値は、抵抗R3<抵抗R4とする。また、スイッチSW1がオンされ両端が短絡され、スイッチSW2がオフされ両端が開放されると、増幅率G3=(抵抗R2+抵抗R4)/抵抗R1となるので、増幅率G2よりも増幅率が大きくなる。また、スイッチSW1,SW2がそれぞれオフされ、それぞれの両端が開放されると、増幅率G4=(抵抗R2+抵抗R3+抵抗R4)/抵抗R1となるので、増幅率が最大となる。すなわち、増幅率は、増幅率G1<増幅率G2<増幅率G3<増幅率G4という関係となる。
よって、増幅回路Bは、出力電圧AOUTを、CPU11からの指示に応じた増幅率で増幅して出力することができる。このオペアンプOP2の出力端子から出力される増幅された電圧を、出力電圧BOUTと称する。なお、出力電圧BOUTは、ウィンドウコンパレータ回路Cに入力される。
ウィンドウコンパレータ回路Cは、出力電圧BOUTが、基準電圧V1より低いか、または、基準電圧V2より高いかを比較する回路である。出力電圧BOUTが、基準電圧V1より低い場合、または、基準電圧V2より高い場合にロウ電圧VL(ここでは、グランドGND電位に略等しい電圧)を出力する。なお、ロウ電圧VLが出力された場合、人体検出回路20によって、人体が検出されたことを意味する。
ウィンドウコンパレータ回路Cは、抵抗R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11と、コンパレータCP1,CP2と、トランジスタQ1とにより構成されている。コンパレータCP1のプラス入力端子は、増幅回路BのオペアンプOP2の出力端子とスイッチSW2の他端と抵抗R4の他端と、コンパレータCP2のマイナス入力端子とにそれぞれ接続されており、出力電圧BOUTが印加される。
コンパレータCP1のマイナス入力端子は、抵抗R5の一端と抵抗R6の他端とにそれぞれ接続されている。コンパレータCP1の出力端子は、抵抗R9の一端に接続されている。抵抗R5の他端は、電源回路(図示しない)に接続され正電源V+が印加されている。抵抗R6の一端は、増幅回路BのオペアンプOP2のプラス入力端子と抵抗R7の一端とにそれぞれ接続されている。
抵抗R7の他端は、抵抗R8の一端とコンパレータCP2のプラス入力端子とにそれぞれ接続され、抵抗R8の他端はグランドGNDに接続されている。コンパレータCP2の出力端子は、抵抗R10の一端に接続され、抵抗R10の他端は、抵抗R9の他端とトランジスタQ1のベース端子とにそれぞれ接続されている。
トランジスタQ1のコレクタ端子は抵抗R11の一端とCPU11のVIN端子とにそれぞれ接続され、エミッタ端子はグランドGNDに接続されている。このトランジスタQ1のコレクタ端子に印加される電圧を、出力電圧COUTと称する。抵抗R11の他端は、電源回路(図示しない)と接続され電源電圧VCCが印加されている。なお、コンパレータCP1,CP2の正電源端子および負電源端子は、電源回路(図示しない)と接続され、正電源端子に正電圧V+が印加され、負電源端子に負電圧V−が印加されている。
ウィンドウコンパレータ回路Cは、出力電圧BOUTが、基準電圧V1より低いか、または、基準電圧V2より高いかを比較するための回路である。2つの基準電圧V1,V2は、正電圧V+が抵抗R5,R6,R7,R8により分圧されて生成される。基準電圧V1,V2は、基準電圧V1=(正電圧V+)×(抵抗R8)/(抵抗R5+抵抗R6+抵抗R7+抵抗R8)と、基準電圧V2=(正電圧V+)×(抵抗R6+抵抗R7+抵抗R8)/(抵抗R5+抵抗R6+抵抗R7+抵抗R8)と決定される。
出力電圧BOUTが、基準電圧V1より低い場合、コンパレータCP2のマイナス入力端子には、基準電圧V1より低い電圧が入力されるので、コンパレータCP2の出力端子から正電圧V+が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作し、出力電圧COUTは、ロウ電圧VLとなる。
一方、出力電圧BOUTが、基準電圧V1より高い場合、コンパレータCP2のマイナス入力端子には、基準電圧V1より高い電圧が入力されるので、コンパレータCP2の出力端子から負電圧V−が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作しないので、出力電圧COUTは、ハイ電圧VHとなる。
同様に、出力電圧BOUTが、基準電圧V2より高い場合、コンパレータCP1のプラス入力端子には、基準電圧V2より高い電圧が入力されるので、コンパレータCP1の出力端子から正電圧V+が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作し、出力電圧COUTは、ロウ電圧VLとなる。
一方、出力電圧BOUTが、基準電圧V2より低い場合、コンパレータCP1のプラス入力端子には、基準電圧V2より低い電圧が入力されるので、コンパレータCP1の出力端子から負電圧V−が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作しないので、出力電圧COUTは、ハイ電圧VHとなる。
よって、ウィンドウコンパレータ回路Cは、出力電圧BOUTが、基準電圧V1より低い場合、または、基準電圧V2より高い場合にロウ電圧VLを出力することができる。
したがって、人体検出回路20は、監視領域から放射される赤外線を検出して人体の存否を検出することができ、人体を検出した場合に、CPU11のVIN端子へ人体を検出したことを意味するロウ電圧VLを出力することができる。
次に、図4を参照して人体検出回路20の動作について説明する。図4(a)は、増幅回路Bの出力電圧BOUTの一例を示したグラフであり、図4(b)は、ウィンドウコンパレータ回路Cの出力電圧COUTの一例を示したグラフである。
上述したように、監視領域に人体が進入すると、赤外線検出回路Aからプラスの検出電圧が出力され、その電圧が増幅回路Bによって増幅される。一方、監視領域から人体が退出すると、赤外線検出回路Aからマイナスの検出電圧が出力され、その電圧が増幅回路Bにより増幅される。図4(a)は、増幅回路Bの出力電圧BOUTの一例を示している。
次に、ウィンドウコンパレータ回路Cによって、出力電圧BOUTが、基準電圧V1より低いか、または、基準電圧V2をより高いかが比較される。図4(a),(b)に示すように、ウィンドウコンパレータ回路Cは、出力電圧BOUTが基準電圧V2より高ければ、監視領域に人体が進入したと判断し、ロウ電圧VLを出力する。同様に、基準電圧V1より低ければ、監視領域から人体が退出したと判断し、ロウ電圧VLを出力する。
また、出力電圧BOUTが、基準電圧V1より高く、且つ、基準電圧V2より低い場合は、人体以外(例えば、動物など)による赤外線の変化を検出したものと判断し、ハイ電圧VHを出力する。よって、監視領域に人体が進入したか、または、監視領域から人体が退出したかを精度良く検出することができる。
次に、図5を参照して、MFP1のCPU11により実行される音声録音処理について説明する。図5は、MFP1の音声録音処理を示すフローチャートである。この音声録音処理は、マイクロフォン23に入力される音声を音声データとして音声メモリ14bに記憶するための処理であり、録音開始ボタン15aが押下された場合に実行される処理である。
音声録音処理では、まず、マイクロフォン23に入力される音声を、音声LSI25によってデジタル信号に変換し(S1)、変換されたデジタル信号を音声データとして音声メモリ14bに記憶する(S2)。そして、録音終了ボタン15bが押下されたかを判定し(S3)、録音終了ボタン15bが押下されていない場合は(S3:No)、上述したS1およびS2の各処理を繰り返す。
一方、録音終了ボタン15bが押下された場合は(S3:Yes)、録音フラグメモリ14aに記憶される録音フラグを「オン」に設定し(S4)、この音声録音処理を終了する。
この図5のフローチャートに示す音声録音処理により、ユーザによって、録音開始ボタン15aが押下された場合に、マイクロフォン23に入力される音声を音声データとして音声メモリ14bに記憶することができる。
次に、図6を参照して、MFP1のCPU11により実行されるメイン処理について説明する。図6は、MFP1のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、人体検出回路20によって人体の動きを監視し、人体を検出した場合に、予め音声メモリ14bに記憶されている音声データをスピーカ24により放音させるための処理である。また、メイン処理は、MFP1の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで繰り返し実行される処理である。
メイン処理では、まず、MFP1の主電源が投入された場合に、プリンタ22のサーマルヘッド22aに配設されるサーミスタ22a1の抵抗値を読み取り、気温を算出する(S11)。この時点では、プリンタ22のサーマルヘッド22aの各発熱素子は通電されていないので加熱されておらず、サーミスタ22a1の温度は、気温と略等しい温度に安定している。そして、算出した気温を気温メモリに記憶する(S12)。
上述したように、本実施形態では、サーマルヘッド22aに配設されたサーミスタ22a1を利用して気温を検出するので、新たに気温を検出する温度センサを設置する必要がなく、装置の原価を抑制することができる。また、新たにサーミスタを設置しないので、装置が大型化することを抑制することができる。
次に、録音フラグメモリ14aの録音フラグが「オン」であるかを判定し(S13)、録音フラグメモリ14aの録音フラグが「オフ」である場合は(S13:No)、録音フラグが「オン」になるまで待機する。一方、録音フラグが「オン」である場合は(S13:Yes)、人体検出回路20によって人体が検出されたかを判定する(S14)。
S14の処理において、人体検出回路20によって人体が検出されていない場合(S14:No)は、S13の処理に戻り、上述したS13およびS14の各処理を繰り返す。一方、人体検出回路20によって人体が検出された場合は(S14:Yes)、音声メモリ14bに記憶される音声データを、音声LSI25によって音声信号に変換する(S15)。そして、変換された音声信号をスピーカ24に出力して放音し(S16)、録音フラグメモリ14aに記憶される録音フラグを「オフ」に設定して(S17)、S13の処理に戻り、上述したS13〜S17の各処理を繰り返す。
この図6のフローチャートに示すメイン処理により、人体検出回路20によって人体の動きを監視し、人体を検出した場合に、予め音声メモリ14bに記憶されている音声データをスピーカ24により放音させることができる。
次に、図7を参照して、MFP1のCPU11により実行される感度設定処理について説明する。図7は、MFP1の感度設定処理を示すフローチャートである。この感度設定処理は、MFP1が設置された場所の気温に応じて、人体検出回路20の人体の検出感度を適切に変更するための処理であり、MFP1の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで、定期的(例えば、30秒ごと)に繰り返し実行される処理である。
感度設定処理では、まず、プリンタ22のサーマルヘッド22aが記録動作中であるか否かを判定し(S21)、記録動作中であれば(S21:Yes)、記録動作が終了するまで待機する。一方、記録動作中でなければ(S21:No)、サーマルヘッド22aに配設されるサーミスタ22a1の抵抗値を読み取り、温度を算出する(S22)。
次に、算出した温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔT(図8参照)が1度以内であるかを判定し(S23)、1度を超えている場合は(S23:No)、S21の処理に戻り、上述したS21〜S23の各処理を繰り返す。一方、1度以内であれば(S23:Yes)、算出した温度を、気温として気温メモリ13aに記憶する(S24)。
ここで、図8を参照して、記録動作により変化するサーミスタ22a1の温度について説明する。図8は、サーマルヘッド22aに配設されたサーミスタ22a1により検出される温度の一例を示したグラフである。
図8に示すように、サーマルヘッド22aは、長時間記録動作が行われていなければ、サーマルヘッド22aの各発熱素子の温度や、サーミスタ22a1の温度は、気温Tと略等しい温度に安定している。ここで、記録動作が行われると、各発熱素子が通電されて加熱されるので、各発熱素子およびサーミスタ22a1の温度が上昇することとなる。
本実施形態では、定期的(例えば、30秒ごと)にMFP1が設置された場所の気温を検出して、気温メモリ13aに記憶しているが、記録動作が行われサーミスタ22a1の温度が気温より上昇した場合、すなわち、サーミスタ22a1により検出される温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度超えた場合は、その検出された温度を気温として記憶することを禁止している。よって、気温メモリ13aに気温以外の温度が記憶されることが抑制されるので、気温に応じて、人体検出回路20の人体の検出感度を適切に変更することができる。したがって、人体検出回路20によって人体を精度良く検出することができる。
また、記録動作が終了すると通電が停止されるので、各発熱素子やサーミスタ22a1が有する熱は空気中へ徐々に放熱されていく。本実施形態では、サーマルヘッド22aによって記録動作が行われた場合でも、サーミスタ22a1の温度が気温に略等しくなった場合、すなわち、サーミスタ22a1により検出される温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内となった場合は、その検出された温度を気温として気温メモリ13aに記憶する。
よって、記録動作が行われサーミスタ22a1の温度が気温より上昇した場合でも、サーミスタ22a1の温度が気温に略等しくなれば、それ以後は、定期的にその検出された温度を気温として記憶するので、気温が変動しても、その気温に応じて人体検出回路20の人体の検出感度を適切に変更することができる。したがって、人体検出回路20によって人体をさらに精度良く検出することができる。
ここで、図7のフローチャートの説明に戻る。S24の処理が終了すると、次に、気温メモリ13aに記憶される気温が10度未満であるかを判定し(S25)、気温メモリ13aに記憶される気温が10度未満であれば(S25:Yes)、CPU11のGAIN1端子およびGAIN2端子からハイ電圧VHを出力し、スイッチSW1およびスイッチSW2をオンし、それぞれの両端を短絡させる(S26)。すなわち、増幅回路Bの増幅率を、増幅率G1(最小)に設定する。
気温が10度未満であれば、監視領域(例えば、壁など)から放射される赤外線量が少なく、人体から放射される赤外線量との差が大きく開いているので、赤外線の変化量が増加し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが増加する。よって、人体検出回路20が人体を敏感に検出しないように、増幅回路Bの増幅率を増幅率G1(最小)に設定する。
S25の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が10度以上であれば(S25:No)、気温メモリ13aに記憶される気温が20度未満であるかを判定し(S27)、気温メモリ13aに記憶される気温が20度未満であれば(S27:Yes)、CPU11のGAIN1端子からロウ電圧VLを出力して、スイッチSW1をオフし両端を開放させ、GAIN2端子からハイ電圧VHを出力して、スイッチSW2オンし両端を短絡させる(S28)。すなわち、増幅回路Bの増幅率を、増幅率G2(2番目に小さい)に設定する。
気温が10度以上であり、20度未満であれば、監視領域から放射される赤外線量が若干増加し、人体から放射される赤外線量との差が小さくなるので、赤外線の変化量が減少し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが減少する。よって、出力電圧AOUTが減少しても、人体検出回路20が人体を検出できるように、増幅回路Bの増幅率を一段階高くし、増幅率G2に設定する。
S27の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が20度以上であれば(S27:No)、気温メモリ13aに記憶される気温が28度未満であるかを判定し(S29)、気温メモリ13aに記憶される気温が28度未満であれば(S29:Yes)、CPU11のGAIN1端子からハイ電圧VHを出力して、スイッチSW1をオンし両端を短絡させ、GAIN2端子からロウ電圧VLを出力して、スイッチSW2をオフし両端を開放させる(S30)。すなわち、増幅回路Bの増幅率を、増幅率G3(3番目に小さい)に設定する。
気温が20度以上であり、28度未満であれば、監視領域から放射される赤外線量と、人体から放射される赤外線量との差がさらに小さくなるので、赤外線の変化量がさらに減少し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTがさらに減少する。よって、出力電圧AOUTがさらに減少しても、人体検出回路20が人体を検出できるように、増幅回路Bの増幅率をもう一段階高くし、増幅率G3に設定する。
S29の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が28度以上であれば(S29:No)、気温メモリ13aに記憶される気温が38度未満であるかを判定し(S31)、気温メモリ13aに記憶される気温が38度未満であれば(S31:Yes)、CPU11のGAIN1端子およびGAIN2端子からロウ電圧VLを出力し、スイッチSW1およびスイッチSW2をオフし、それぞれの両端を開放させる(S32)。すなわち、増幅回路Bの増幅率を、増幅率G4(最大)に設定する。
気温が28度以上であり、38度未満であれば、監視領域から放射される赤外線量と、人体から放射される赤外線量との差が最も小さくなるので、赤外線の変化量が最も減少し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが最も減少する。よって、出力電圧AOUTが最も減少しても、人体検出回路20が人体を検出できるように、増幅回路Bの増幅率を増幅率G4(最大)に設定する。
S31の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が38度以上であれば(S31:No)、CPU11のGAIN1端子からハイ電圧VHを出力して、スイッチSW1をオンし両端を短絡させ、GAIN2端子からロウ電圧VLを出力して、スイッチSW2をオフし両端を開放させる(S33)。すなわち、増幅回路Bの増幅率を、増幅率G3(3番目に小さい)に設定する。
気温が38度以上になれば、逆に、監視領域から放射される赤外線量がさらに増加し、人体から放射される赤外線量との差が開き、赤外線の変化量が増加するので、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが増加する。よって、人体検出回路20が人体を敏感に検出しないように、増幅回路Bの増幅率を一段階低くし、増幅率G3(3番目に小さい)に設定する。
なお、S26の処理が終了した場合、S28の処理が終了した場合、S30の処理が終了した場合、S32の処理が終了した場合、S33の処理が終了した場合は、それぞれこの感度設定処理を終了する。
この図7のフローチャートに示す感度設定処理により、MFP1が設置された場所の気温に応じて、人体検出回路20の人体の検出感度を適切に変更することができる。
上述したように、第1の実施形態では、気温メモリ13aに記憶される気温に基づいて、人体検出回路20の増幅回路Bの増幅率が適切に設定される。よって、気温の変動により赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが変動しても、増幅回路Bによって適切に補正され、変動が軽減される。したがって、人体の検出距離の変動が抑制されるので、ウィンドウコンパレータ回路Cによって監視領域に人体が進入したか、または、監視領域から人体が退出したかを精度良く検出することができる。
次に、第2の実施形態であるMFP31について説明する。第1の実施形態におけるMFP1と同一な構成については、同一の符号を付してその説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態の人体検出回路20に代えて、人体検出回路30が設けられている。この人体検出回路30は、人体検出回路20と同様に、人体などから放射される赤外線を検出して人体の存否を検出するための回路である。
第1の実施形態は、CPU11が、気温に応じて、人体検出回路20の増幅回路Bの増幅率を変更して、人体検出回路20の人体の検出感度を適切に変更するものであるが、第2の実施形態は、気温に応じて、人体検出回路30に含まれる後述するウィンドウコンパレータ回路Eの基準電圧V3,V4を変更することで、人体検出回路30の人体の検出感度を適切に変更するものである。
次に、MFP31の電気的構成について説明する。MFP31は、図2に示すMFP1の電気的構成において、人体検出回路20を、人体検出回路30に置き換えたものである。また、ROM12には、図7のフローチャートに示す感度設定処理を実行するプログラムが格納されている。
次に、図9を参照して人体検出回路30について説明する。図9は、人体検出回路30の回路図である。人体検出回路30は、人体などから放射される赤外線を検出して人体の存否を検出するための回路であり、人体を検出した場合に、CPU11のVIN端子へロウ電圧VLを出力するものである。
上述したように、人体検出回路30は、赤外線検出回路Aと、増幅回路Dと、ウィンドウコンパレータ回路Eとを備えている。赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTは、増幅回路Dに入力される。増幅回路Dは、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTを、所定の増幅率で増幅させるための回路である。
増幅回路Dは、抵抗R1,R2と、オペアンプOP2とにより構成されている。抵抗R1の一端には、赤外線検出回路AのコンデンサC1の他端が接続されており、出力電圧AOUTが印加される。抵抗R1の他端は、オペアンプOP2のマイナス入力端子と抵抗R2の一端とにそれぞれ接続されている。抵抗R2の他端は、オペアンプOP2の出力端子に接続されている。
オペアンプOP2のプラス入力端子は、ウィンドウコンパレータ回路Eの抵抗R6の一端と抵抗R7の一端とにそれぞれ接続されている。なお、オペアンプOP2の正電源端子および負電源端子は、電源回路(図示しない)と接続され、正電源端子に正電圧V+が印加され、負電源端子に負電圧V−が印加されている。オペアンプOP2の増幅率は、増幅率G1=抵抗R2/抵抗R1と決定されるので、増幅回路Dは、出力電圧AOUTを、増幅率G1で増幅して出力することができる。このオペアンプOP2の出力端子から出力される増幅された電圧を、出力電圧DOUTと称する。なお、出力電圧DOUTは、ウィンドウコンパレータ回路Eに入力される。
ウィンドウコンパレータ回路Eは、出力電圧DOUTが、基準電圧V3より低いか、または、基準電圧V4より高いかを比較する回路であり、出力電圧DOUTが、基準電圧V3より低い場合、または、基準電圧V4より高い場合にロウ電圧VL(ここでは、グランドGND電位に略等しい電圧)を出力する回路である。なお、ロウ電圧VLが出力された場合、人体検出回路30によって、人体が検出されたことを意味する。
ウィンドウコンパレータ回路Eは、抵抗R5,R6,R7,R8,R9,R10,R11と、コンパレータCP1,CP2と、トランジスタQ1と、DAコンバータD/Aにより構成されている。コンパレータCP1のプラス入力端子は、増幅回路DのオペアンプOP2の出力端子と抵抗2の他端と、コンパレータCP2のマイナス入力端子とにそれぞれ接続されており、出力電圧DOUTが印加される。
コンパレータCP1のマイナス入力端子は、抵抗R5の一端と抵抗R6の他端とにそれぞれ接続されている。コンパレータCP1の出力端子は、抵抗R9の一端に接続されている。抵抗R5の他端は、DAコンバータD/Aの出力端子に接続されている。DAコンバータD/Aの入力端子は、CPU11のPORT端子に接続されている。
抵抗R6の一端は、増幅回路DのオペアンプOP2のプラス入力端子と抵抗R7の一端とにそれぞれ接続されている。抵抗R7の他端は、抵抗R8の一端とコンパレータCP2のプラス入力端子とにそれぞれ接続され、抵抗R8の他端はグランドGNDに接続されている。コンパレータCP2の出力端子は、抵抗R10の一端に接続され、抵抗10の他端は、抵抗R9の他端とトランジスタQ1のベース端子とにそれぞれ接続されている。
トランジスタQ1のコレクタ端子は抵抗R11の一端とCPU11のVIN端子とに接続され、エミッタ端子はグランドGNDに接続されている。このトランジスタQ1のコレクタ端子に印加される電圧を、出力電圧EOUTと称する。抵抗R11の他端は、電源回路(図示しない)と接続され電源電圧VCCが印加されている。なお、コンパレータCP1,CP2の正電源端子および負電源端子は、電源回路(図示しない)と接続され、正電源端子に正電圧V+が印加され、負電源端子に負電圧V−が印加されている。
DAコンバータD/Aは、入力端子に入力されるデジタル信号に応じて、出力端子から所定の電圧値を出力するものである。入力端子に、CPU11のPORT端子からデジタル信号が入力されると、そのデジタル信号に応じた電圧値(例えば、0ボルトから正電圧+までの電圧値の何れか1つ)が出力される。このDAコンバータD/Aから出力される電圧値を、補正電圧VTHと称する。
ウィンドウコンパレータ回路Eは、出力電圧DOUTが、基準電圧V3より低いか、また、基準電圧V4より高いかを比較するための回路である。2つの基準電圧V3,V4は、DAコンバータD/Aから出力される補正電圧VTHが、抵抗R5,R6,R7,R8により分圧されて生成される。基準電圧V3,V4は、基準電圧V3=(補正電圧VTH)×(抵抗R8)/(抵抗R5+抵抗R6+抵抗R7+抵抗R8)と、基準電圧V4=(補正電圧VTH)×(抵抗R6+抵抗R7+抵抗R8)/(抵抗R5+抵抗R6+抵抗R7+抵抗R8)と決定される。
すなわち、補正電圧VTHが変更されると、人体を検出したかを比較するための基準電圧V3,V4が変更される。例えば、補正電圧VTHが低くなると、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値が互いに近づき、小さい出力電圧DOUTが入力されても人体が検出されることとなるので、人体の検出感度が上がる。また、補正電圧VTHが高くなると、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値が互いに離れ、大きい出力電圧DOUTが入力されないと人体を検出できなくなるので、人体の検出感度が下がる。
出力電圧DOUTが、基準電圧V3より低い場合、コンパレータCP2のマイナス入力端子には、基準電圧V3より低い電圧が入力されるので、コンパレータCP2の出力端子から正電圧V+が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作し、出力電圧EOUTは、ロウ電圧VLとなる。
一方、出力電圧DOUTが、基準電圧V3より高い場合、コンパレータCP2のマイナス入力端子には、基準電圧V3より高い電圧が入力されるので、コンパレータCP2の出力端子から負電圧V−が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作しないので、出力電圧EOUTは、ハイ電圧VHとなる。
同様に、出力電圧DOUTが、基準電圧V4より高い場合、コンパレータCP1のプラス入力端子には、基準電圧V4より高い電圧が入力されるので、コンパレータCP1の出力端子から正電圧V+が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作し、出力電圧EOUTは、ロウ電圧VLとなる。
一方、出力電圧DOUTが、基準電圧V4より低い場合、コンパレータCP1のプラス入力端子には、基準電圧V4より低い電圧が入力されるので、コンパレータCP1の出力端子から負電圧V−が出力され、トランジスタQ1のベース端子に印加される。よって、トランジスタQ1は動作しないので、出力電圧EOUTは、ハイ電圧VHとなる。
よって、ウィンドウコンパレータ回路Eは、出力電圧DOUTが、基準電圧V3より低い場合、または、基準電圧V4より高い場合にロウ電圧VLを出力することができる。
したがって、人体検出回路30は、監視領域から放射される赤外線を検出して人体の存否を検出することができ、人体を検出した場合に、CPU11のVIN端子へ人体を検出したことを意味するロウ電圧VLを出力することができる。
次に、図10を参照して、MFP31のCPU11により実行される感度設定処理について説明する。図10は、MFP31の感度設定処理を示すフローチャートである。この感度設定処理は、MFP31が設置された場所の気温に応じて、人体検出回路30の人体の検出感度を適切に変更するための処理であり、MFP31の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで、定期的(例えば、30秒ごと)に繰り返し実行される処理である。
感度設定処理では、まず、プリンタ22のサーマルヘッド22aが記録動作中であるか否かを判定し(S41)、記録動作中であれば(S41:Yes)、記録動作が終了するまで待機する。一方、記録動作中でなければ(S41:No)、サーマルヘッド22aに配設されるサーミスタ22a1の抵抗値を読み取り、温度を算出する(S42)。
次に、算出した温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内であるかを判定し(S43)、1度を超えている場合は(S43:No)、S41の処理に戻り、上述したS41〜S43の各処理を繰り返す。サーマルヘッド22aにより記録動作が行われると、各発熱素子が通電されて加熱されるので、各発熱素子およびサーミスタ22a1の温度が上昇することとなる。
本実施形態では、定期的にMFP31が設置された場所の気温を検出して、気温メモリ13aに記憶しているが、記録動作が行われサーミスタ22a1の温度が気温より上昇した場合、すなわち、サーミスタ22a1により検出される温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度超えた場合は、その検出された温度を気温として記憶することを禁止している。よって、気温メモリ13aに気温以外の温度が記憶されることが抑制されるので、気温に応じて、人体検出回路30の人体の検出感度を適切に変更することができる。したがって、人体検出回路30によって人体を精度良く検出することができる。
S43の処理において、算出した温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内であれば(S43:Yes)、算出した温度を、気温として気温メモリ13aに記憶する(S44)。サーマルヘッド22aによる記録動作が終了すると通電が停止されるので、各発熱素子やサーミスタ22a1の熱は空気中へ徐々に放熱されていく。
本実施形態では、サーマルヘッド22aによって記録動作が行われた場合でも、サーミスタ22a1の温度が気温に略等しくなった場合、すなわち、サーミスタ22a1により検出される温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内となった場合は、その検出された温度を気温として気温メモリ13aに記憶する。
よって、記録動作が行われサーミスタ22a1の温度が気温より上昇した場合でも、サーミスタ22a1の温度が気温に略等しくなれば、それ以後は、定期的にその検出された温度を気温として記憶するので、気温が変動しても、その気温に応じて人体検出回路30の人体の検出感度を適切に変更することができる。したがって、人体検出回路30によって人体をさらに精度良く検出することができる。
S44の処理が終了すると、次に、気温メモリ13aに記憶される気温が10度未満であるかを判定し(S45)、気温メモリ13aに記憶される気温が10度未満であれば(S45:Yes)、CPU11のPORT端子から所定のデジタル信号を出力し、DAコンバータD/Aから補正電圧VTH1を出力させる(S46)。
なお、本実施形態では、補正電圧VTH1〜VTH4を4種類設けており、それぞれの電圧値は、補正電圧VTH1>補正電圧VTH2>補正電圧VTH3>補正電圧VTH4という関係になっている。よって、S46の処理では、ウィンドウコンパレータ回路Eの人体の検出感度を、最小に設定する。
気温が10度未満であれば、監視領域(例えば、壁など)から放射される赤外線量が少なく、人体から放射される赤外線量との差が大きく開いているので、赤外線の変化量が増加し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが増加する。よって、人体検出回路30が人体を敏感に検出しないように、ウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値を互いに最も離し、人体の検出感度を最小に設定する。
S45の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が10度以上であれば(S45:No)、気温メモリ13aに記憶される気温が20度未満であるかを判定し(S47)、気温メモリ13aに記憶される気温が20度未満であれば(S47:Yes)、CPU11のPORT端子から所定のデジタル信号を出力し、DAコンバータD/Aから補正電圧VTH2を出力させる(S48)。すなわち、ウィンドウコンパレータ回路Eの人体の検出感度を、2番目に小さい設定にする。
気温が10度以上であり、20度未満であれば、監視領域から放射される赤外線量が若干増加し、人体から放射される赤外線量との差が小さくなるので、赤外線の変化量が減少し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが減少する。よって、出力電圧AOUT電圧が減少しても、人体検出回路30が人体を検出できるように、ウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値を互いに近づけ、人体の検出感度を一段階高くし、2番目に小さいに設定する。
S47の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が20度以上であれば(S47:No)、気温メモリ13aに記憶される気温が28度未満であるかを判定し(S49)、気温メモリ13aに記憶される気温が28度未満であれば(S49:Yes)、CPU11のPORT端子から所定のデジタル信号を出力し、DAコンバータD/Aから補正電圧VTH3を出力させる(S50)。すなわち、ウィンドウコンパレータ回路Eの人体の検出感度を、3番目に小さい設定にする。
気温が20度以上であり、28度未満であれば、監視領域から放射される赤外線量と、人体から放射される赤外線量との差がさらに小さくなるので、赤外線の変化量がさらに減少し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTがさらに減少する。よって、出力電圧AOUTがさらに減少しても、人体検出回路30が人体を検出できるように、ウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値を互いにさらに近づけ、人体の検出感度をもう一段階高くし、3番目に小さいに設定する。
S49の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が28度以上であれば(S49:No)、気温メモリ13aに記憶される気温が38度未満であるかを判定し(S51)、気温メモリ13aに記憶される気温が38度未満であれば(S51:Yes)、CPU11のPORT端子から所定のデジタル信号を出力し、DAコンバータD/Aから補正電圧VTH4を出力させる(S52)。すなわち、ウィンドウコンパレータ回路Eの人体の検出感度を、最大に設定にする。
気温が28度以上であり、38度未満であれば、監視領域から放射される赤外線量と、人体から放射される赤外線量との差が最も小さくなるので、赤外線の変化量が最も減少し、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが最も減少する。よって、出力電圧AOUTが最も減少しても、人体検出回路30が人体を検出できるように、ウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値を互いに最も近づけ、人体の検出感度を最大に設定する。
S51の処理において、気温メモリ13aに記憶される気温が38度以上であれば(S51:No)、CPU11のPORT端子から所定のデジタル信号を出力し、DAコンバータD/Aから補正電圧VTH3を出力させる(S53)。すなわち、ウィンドウコンパレータ回路Eの人体の検出感度を、3番目に小さい設定にする。
気温が38度以上になれば、逆に、監視領域から放射される赤外線量がさらに増加し、人体から放射される赤外線量との差が開き、赤外線の変化量が増加するので、赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが増加する。よって、人体検出回路30が人体を敏感に検出しないように、ウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、基準電圧V3と基準電圧V4との電圧値を互いに離し、人体の検出感度を一段階低くし、3番目に小さいに設定する。
なお、S46の処理が終了した場合、S48の処理が終了した場合、S50の処理が終了した場合、S52の処理が終了した場合、S53の処理が終了した場合は、それぞれこの感度設定処理を終了する。この図10のフローチャートに示す感度設定処理により、MFP31が設置された場所の気温に応じて、人体検出回路30の人体の検出感度を適切に変更することができる。
上述したように、第2の実施形態では、気温メモリ13aに記憶される気温に基づいて、人体検出回路30のウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、補正電圧VTH1〜VTH4が適切に設定される。よって、気温の変動により赤外線検出回路Aの出力電圧AOUTが変動しても、ウィンドウコンパレータ回路Eにおいて、基準電圧V3,V4が適切に設定されるので、人体の検出距離の変動が抑制される。したがって、監視領域に人体が進入したか、または、監視領域から人体が退出したかを精度良く検出することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、プリンタ22のサーマルヘッド22aに配設されたサーミスタ22a1を使用して気温を測定しているが、気温を測定するために新たに温度センサを設けても良い。そうすることによって、サーマルヘッド22aが記録動作中であっても、人体検出回路20,30の人体の検出感度を適切に変更することができる。例えば、気温の検出にサーミスタを用いれば、他の温度センサ(例えば、白金測温抵抗体)を用いる場合と比較して安価に気温を検出することができる。また、サーミスタは、他の温度センサと比較すると小型なので、装置を小型化することができる。
また、上記実施形態では、サーミスタ22a1の温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内であるかを判定し、1度以内であれば、サーミスタ22a1の温度を気温として気温メモリ13aに記憶しているが、サーマルヘッド22aによる記録が終了してから、所定時間(例えば、30分)を経過した場合に、サーミスタ22a1の温度を気温として気温メモリ13aに記憶するように構成しても良い。例えば、サーマルヘッド22aにより記録が行われる前後で気温に大きな差(1度を超える差)が生じたとしても、所定時間後は、定期的に気温を気温メモリ13aに記憶することができる。
また、上記実施形態では、人体を検出するセンサとして、焦電型赤外線センサを用いているが、人体(移動体)を検出可能な他のセンサ、例えば、他の赤外線センサや、光電センサや、距離測定センサ、振動センサなどの公知のセンサを使用しても良い。各センサの感度や出力電圧が気温によって変化する場合は、本発明を適用して各センサの検出感度を補正することができる。
また、上記実施形態では、監視領域(例えば、壁など)は、気温によって温められたり冷やされ、気温の温度に近づいて安定するので、気温を測定しているが、監視領域の温度を測定するように構成しても良い。例えば、非接触温度計によって監視領域の温度を測定すれば、人体検出回路20,30の人体の検出感度をより適切に変更することができるので、人体検出回路20,30によって人体をさらに精度良く検出することができる。
また、上記実施形態では、サーミスタ22a1の温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内であるかを判定し、1度以内であれば、サーミスタ22a1の温度を気温として気温メモリ13aに記憶しているが、例えば、直近の感度設定処理が実行された時のサーミスタ22a1の温度を記憶する直近温度メモリを設ける。そして、感度設定処理が実行される度に、直近温度メモリに記憶される温度と、現在のサーミスタ22a1の温度との差(変化量)を算出し、その変化量が所定の変化量以下となった場合に、サーミスタ22a1の温度を気温として気温メモリ13aに記憶するように構成しても良い。
サーマルヘッド22aによる記録動作が終了すると通電が停止されるので、各発熱素子やサーミスタ22a1が有する熱は空気中へ徐々に放熱され、各発熱素子やサーミスタ22a1の温度は、気温に近づく。また、サーミスタ22a1の温度の変化量も、気温に近づくにつれて減少する。よって、温度差記憶メモリに記憶される変化量が、所定の変化量以下となった場合は、サーミスタ22a1が気温を検出していると判断することができる。例えば、サーマルヘッド22aにより記録が行われる前後で気温に大きな差(1度を超える差)が生じたとしても、所定の変化量以下となった場合は、定期的に気温を気温メモリ13aに記憶することができる。したがって、人体検出回路20,30によって人体を精度良く検出することができる。
また、サーミスタ22a1の温度と、気温メモリ13aに記憶される気温との差ΔTが1度以内である場合、且つ、直近温度メモリに記憶される温度と、現在のサーミスタ22a1の温度との差(変化量)が、所定の変化量以下となった場合に、サーミスタ22a1の温度を気温として気温メモリ13aに記憶するように構成すれば、より確実にサーミスタ22a1が気温を検出していると判断することができる。したがって、人体検出回路20,30によって人体をさらに精度良く検出することができる。