JP2009074029A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、熱安定性、剛性および寸法安定性に優れたバイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、充填材(B成分)1〜200重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
【化1】

【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、生物起源物質である糖質から誘導され得る部分を含有し、耐熱性と熱安定性のいずれも良好で、剛性および寸法安定性に優れ、各種成形材料やポリマーアロイ材料の素材として有用なポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
近年、石油資源の枯渇の懸念や、地球温暖化を引き起こす空気中の二酸化炭素の増加の問題から、原料を石油に依存せず、また燃焼させても二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルが成り立つバイオマス資源が大きく注目を集めるようになり、ポリマーの分野においても、バイオマス資源から生産されるバイオマスプラスチックが盛んに開発されている。
バイオマスプラスチックの代表例がポリ乳酸であり、バイオマスプラスチックの中でも比較的高い耐熱性、機械特性を有するため、食器、包装材料、雑貨などに用途展開が広がりつつあるが、更に、補強材を配合することによりその耐熱性や機械特性を高め、工業材料用途としての可能性も検討されるようになってきている。しかし、結晶性樹脂では寸法精度の高い成形品を得るのは困難であり、成形加工性などにも未だ課題が多い。
カメラ部品や各種OA機器用途などの高精度の寸法精度が要求される用途に向けては、非晶性樹脂の代表であり、耐熱性、機械特性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂に各種充填材を配合した材料の適用が盛んに検討されており、更に、金属を代替することにより、形状の自由度のみならず、部品や製品の軽量化にも寄与するということが、省電力効果による石油資源の使用量抑制につながることから、環境に配慮した材料設計面でも大きな注目を集めている。よって、芳香族ポリカーボネート樹脂に匹敵する特性、成型加工性を有するバイオマスプラスチックが開発されれば、原料面からの石油資源使用抑制のみならず、製品重量軽量化による省電力効果も加わり、環境保全において大きく貢献できることになる。
バイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂としては、糖質から製造可能なエーテルジオール残基から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂が検討されている。
例えば、下記式(a)
に示したエーテルジオールは、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(b)
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール(本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、下記式(c)
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローDーマンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、下記式(d)
に示す、1,4:3,6ージアンヒドローLーイジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれDーグルコース、Dーマンノース、Lーイドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、Dーグルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた。特許文献1では昇温速度10℃/分での示差熱量測定によるガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネートを報告しているが、充填材を混練押出し、更に射出成形を行うことを考えた場合、ガラス転移温度が高いため成形加工温度が高くなり、ポリマーの分解が促進されるなどの課題がある。このポリカーボネートはスズ触媒の存在下で製造されており、熱分解温度(5%重量減少温度)が300℃前後であり、熱安定性に改良の余地がある。また非特許文献1では、酢酸亜鉛を触媒として用いた溶融エステル交換法において、ガラス転移温度が166℃のホモポリカーボネートを得ているが、熱分解温度(5%重量減少温度)が283℃と熱安定性は充分でなく、押出混練や成形加工には不向きである。非特許文献2においては、イソソルビドのビスクロロフォーメートを用いた界面重合を用いてホモポリカーボネートを得ているが、ガラス転移温度が144℃と耐熱性が充分でない。
すなわち、バイオマス原料を用いたポリカーボネート樹脂系材料で、充填材の混練配合に適した熱安定性を有し、優れた耐熱性、寸法特性を発揮する樹脂成形品を提供できるものは、未だ得られていなかった。
国際公開第2007/013463号パンフレット "Journal of Applied Polymer Science",2002年, 第86巻, p.872〜880 "Macromolecules",1996年,第29巻,p.8077〜8082
したがって、本発明の主たる目的は、耐熱性、熱安定性、剛性および寸法安定性に優れたバイオマス資源を原料として使用されたポリカーボネート樹脂を提供することにある。
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究の結果、特定の構造を有するポリカーボネート樹脂に充填材を配合することにより、バイオマス資源を原料とし、耐熱性、熱安定性、剛性および寸法安定性に優れた樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明によれば、
1.下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、充填材(B成分)1〜200重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物、
2.B成分の充填材は、無機天然鉱物である前項1記載の樹脂組成物、
3.B成分の充填材は、植物由来物質である前項1記載の樹脂組成物、および
4.ポリカーボネート樹脂(A成分)は、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を重合触媒として使用し、下記式(a)で示されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、180℃〜280℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させて得られたものである前項1記載の樹脂組成物、
5.前項1記載の樹脂組成物から形成された成形品、
6.成形品が、電気・電子機器外装部品である前項5記載の成形品、および
7.成形品が、自動車部品である前項5記載の成形品、
が提供される。
以下、本発明について、順次具体的に説明する。
<A成分について>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、前記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂であり、全カーボネート構成単位中、前記式(1)で表わされる構成単位は60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上が特に好ましい。最も好適には、前記式(1)のカーボネート構成単位のみからなるホモポリカーボネート樹脂である。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、250℃におけるキャピラリーレオメータで測定した溶融粘度が、シェアレート600secー1の条件下で0.2×10〜4.0×10Pa・sの範囲にあるものであり、0.4×10〜3.0×10Pa・sの範囲にあることがより好ましく、0.4×10〜2.0×10Pa・sの範囲にあることがさらに好ましい。溶融粘度がこの範囲であると、ポリマーの分解が抑制される良好な条件にて射出成形でき、各種特性に優れた成形品を得ることができる。溶融粘度が下限より小さいと射出成形可能であっても機械特性が不良であり、上限を超えると溶融流動性に劣り、成形加工温度を上げるとポリマーの分解が促進されてしまう。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における比粘度としては0.14〜0.5のものを好ましく用いることができる。比粘度の下限は0.20以上がより好ましく、0.22以上がさらに好ましい。また上限は0.45以下がより好ましく、0.37以下がさらに好ましく、0.34以下が特に好ましい。また比粘度が0.14より低くなると本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物より得られた成形品に充分な機械強度を持たせることが困難となる。また比粘度が0.5より高くなると溶融流動性が高くなりすぎて、成形に必要な流動性を有する溶融温度が分解温度より高くなってしまう。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、そのガラス転移温度(Tg)の下限が145℃以上が好ましく、より好ましくは150℃以上であり、また上限は165℃以下が好ましい。Tgが145℃未満だと耐熱性(殊に吸湿による耐熱性)に劣り、165℃を超えると本発明に用いられるポリカーボネート樹脂を用いて成形する際の溶融流動性に劣り、ポリマー分解が少ない温度範囲で射出成形ができなくなる。TgはTA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定される。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その5%重量減少温度の下限が330℃以上が好ましく、より好ましくは340℃以上であり、さらに好ましくは350℃以上であり、また上限は400℃以下が好ましく、より好ましくは390℃以下であり、さらに好ましくは380℃以下である。5%重量減少温度が上記範囲内であると、本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物を用いて成形する際の樹脂の分解がほとんど無く好ましい。5%重量減少温度を上昇させるためには、後述の通り溶融重合触媒として好ましい化合物を選択することが有効である。5%重量減少温度はTA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定される。
本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、下記式(a)
で表されるエーテルジオールおよび炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。エーテルジオールとしては、具体的には下記式(b)、(c)および(d)
で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるDーグルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、カーボネート構成単位がイソソルビド(1,4:3,6ージアンヒドローDーソルビトール)由来のカーボネート構成単位を含んでなるポリカーボネート樹脂が好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
反応温度は、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃〜280℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは180℃〜260℃の範囲である。
また、反応初期にはエーテルジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、徐々に減圧にして反応後期には系を1.3×10ー3〜1.3×10ー5MPa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる方法が好ましい。反応時間は通常0.5〜4時間程度である。
炭酸ジエステルとしては、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基またはアラルキル基、もしくは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、mークレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでも反応性、コスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
炭酸ジエステルはエーテルジオールに対してモル比で1.02〜0.98となるように混合することが好ましく、より好ましくは1.01〜0.98であり、さらに好ましくは1.01〜0.99である。炭酸ジエステルのモル比が1.02より多くなると、炭酸ジエステル残基が末端封止として働いてしまい充分な重合度が得られなくなってしまい好ましくない。また炭酸ジエステルのモル比が0.98より少ない場合でも、充分な重合度が得られず好ましくない。
重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、二価フェノールのナトリウム塩またはカリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。なかでも、含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とを併用して使用することが好ましい。これらの触媒を用いて重合したものは、5%重量減少温度が十分高く保たれるため好ましい。
これらの重合触媒の使用量は、それぞれ炭酸ジエステル成分1モルに対し、好ましくは1×10ー9〜1×10ー3当量、より好ましくは1×10ー8〜5×10ー4当量の範囲で選ばれる。また反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。更に、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を加えてもよい。
また、本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、その特性を損なわない範囲で脂肪族ジオール類および/または芳香族ビスフェノール類との共重合としても良い。全ジオール成分中、該脂肪族ジオール類および/または芳香族ビスフェノール類の割合は40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、10モル%以下が特に好ましい。
脂肪族ジオールとしては、下記式(α)で表される脂肪族ジオールが好ましく用いられる。
(式中、mは1〜20の整数)
具体的にはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖状ジオール類や、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式アルキレン類などが挙げられ、中でも1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、およびシクロヘキサンジメタノールが好ましい。
芳香族ビスフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン等が挙げられる。
また、上記式(1)で表されるエーテルジオール、上記式(2)で表される脂肪族ジオールおよび芳香族ビスフェノールに加えて他のジオール残基を含むこともできる。その他のジオールとしてはジメタノールベンゼン、ジエタノールベンゼンなどの芳香族ジオールなどを挙げることができる。
上記のごとく反応を行う事により得られるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その末端構造はヒドロキシ基または、炭酸ジエステル残基となるが、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、その特性を損なわない範囲で別途末端基を導入しても良い。かかる末端基は、対応するモノヒドロキシ化合物を重合時に添加することにより導入することができる。該末端基としては下記式(2)または(3)で表される末端基が好ましい。
上記式(2),(3)中、Rは炭素原子数4〜30のアルキル基、炭素原子数7〜30のアラルキル基、炭素原子数4〜30のパーフルオロアルキル基、または下記式(4)
であり、好ましくは炭素原子数4〜20のアルキル基、炭素原子数4〜20のパーフルオロアルキル基、または上記式(4)であり、特に炭素原子数8〜20のアルキル基、または上記式(4)が好ましい。Xは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミノ結合およびアミド結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合が好ましいが、より好ましくは単結合、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合であり、なかでも単結合、エステル結合が好ましい。aは1〜5の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、特に1が好ましい。
また、上記式(4)中、R,R,R,R及びRは、夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のシクロアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数6〜10のアリール基及び炭素原子数7〜20のアラルキル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、好ましくは夫々独立して炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数6〜10のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、特に夫々独立してメチル基及びフェニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種の基が好ましい。bは0〜3の整数であり、1〜3の整数が好ましく、特に2〜3の整数が好ましい。cは4〜100の整数であり、4〜50の整数が好ましく、特に8〜50の整数が好ましい。本発明に用いるポリカーボネート樹脂(A成分)は、上記式(a)で表される再生可能資源のエーテルジオールから得られるカーボネート構成単位を主鎖構造に持つことから、これらのモノヒドロキシ化合物もまた植物などの再生可能資源から得られる原料であることが好ましい。植物から得られるモノヒドロキシ化合物としては、植物油から得られる炭素数14以上の長鎖アルキルアルコール類(セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)などが挙げられる。
これらの末端基を導入することにより、該ポリカーボネート樹脂からなる自動車部品の耐吸湿性または表面エネルギー性(防汚性や摩耗耐性)等を向上させる効果が得られる。これらの末端基は好ましくはポリマー主鎖構造に対して0.3〜9.0重量%含まれており、より好ましくは0.3〜7.5重量%含まれており、特に好ましくは0.5〜6.0重量%含まれている。
<B成分について>
本発明の樹脂組成物において、(B)成分の充填材として、無機充填材及び/又は有機充填材が使用される。
無機充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ワラストナイト、カオリンクレー、天然マイカ、合成マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、酸化チタンウィスカーなど)等の各種無機充填材を挙げることができる。無機充填材の形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには繊維状またはフレーク状のものが好適である。
ガラス繊維は一般に樹脂の強化用に用いられるものであれば特に限定はない。例えば長繊維タイプ(ガラスロービング)や短繊維状のチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。またガラス繊維は集束剤(例えばポリ酢酸ビニル、ポリエステル集束剤等)、カップリング剤(例えばシラン化合物、ボロン化合物、チタン化合物等)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。通常、長繊維タイプのガラス繊維は樹脂とのブレンド前または後に所望の長さに切断されて用いられるが、この使用態様も本発明には有用である。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリルを原料としたPAN系またはピッチ系のものを用いることができる。この炭素繊維の形状は通常用いられる長繊維状でも短繊維状でもよいが、その繊維径は平均2〜20μmの範囲のものが好ましく、短繊維状のものは2000〜30000本を集束剤で束ねたものが好ましい。この炭素繊維に極性基を付与し、エポキシシラン系等のカップリング剤で処理したものが強度を向上させる上でも効果がある。
無機充填材として好適なものは、天然鉱物の粉砕物からなる無機充填材であり、より好適には珪酸塩の天然鉱物の粉砕物からなる無機充填材であり、さらにその形状の点からは、タルク、マイカ、およびワラストナイトである。
これらの無機充填材は、炭素繊維のような石油資源材料に比較して脱石油資源材料であり、更に主たる製造工程がエネルギー消費の少ない粉砕、分別のみであることから、環境負荷のより低い原料を用いることとなり、結果として環境負荷の小さいA成分を使用する意義がより高められるという効果を奏する。さらに、前記のより好適な無機充填材は、炭素繊維などに比較して良好な難燃性が発現するとの有利な効果を奏する。
本発明で使用できるタルクとは、層状構造を持った鱗片状の粒子であり、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO・3MgO・2HOで表され、通常SiOを56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、HO約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFeが0.03〜1.2重量%、Alが0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、KOが0.2重量%以下、NaOが0.2重量%以下などを含有しており、比重は約2.7、モース硬度は1である。
本発明で使用されるタルクの平均粒子径は0.5〜30μmが好ましい。該平均粒子径はJIS M8016に従って測定したアンドレアゼンピペット法により測定した粒度分布から求めた積重率50%時の粒子径である。タルクの平均粒子径は2〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましく、10〜20μmが最も好ましい。0.5〜30μmの範囲のタルクは射出成形品に剛性および低異方性に加えて、良好な表面外観および難燃性を付与する。
またタルクを原石から粉砕する際の製法に関しては特に制限はなく、軸流型ミル法、アニュラー型ミル法、ロールミル法、ボールミル法、ジェットミル法、および容器回転式圧縮剪断型ミル法等を利用することができる。さらに粉砕後のタルクは、各種の分級機によって分級処理され、粒子径の分布が揃ったものが好適である。分級機としては特に制限はなく、インパクタ型慣性力分級機(バリアブルインパクターなど)、コアンダ効果利用型慣性力分級機(エルボージェットなど)、遠心場分級機(多段サイクロン、ミクロプレックス、ディスパージョンセパレーター、アキュカット、ターボクラシファイア、ターボプレックス、ミクロンセパレーター、およびスーパーセパレーターなど)などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の成形品中に混入させない点で好ましい。
本発明で使用できるマイカの平均粒子径は走査型電子顕微鏡により観察し、1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出される数平均粒子径である。その数平均粒子径は10〜500μmが好ましく、より好ましくは30〜400μm、さらに好ましくは30〜200μm、最も好ましくは35〜80μmである。数平均粒子径が10μm未満となると衝撃強度が低下する場合がある。また500μmを超えると、衝撃強度は向上するが外観が悪化しやすい。
マイカの厚みとしては、電子顕微鏡観察により実測した厚みが0.01〜10μmのものを使用できる。好ましくは0.1〜5μmのものを使用できる。アスペクト比としては5〜200、好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴパイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、より好適な射出成形品が提供される。
また、マイカの粉砕法としては、マイカ原石を乾式粉砕機にて粉砕する乾式粉砕法と、マイカ原石を乾式粉砕機にて粗粉砕した後、水などの粉砕助剤を加えてスラリー状態にて湿式粉砕機で本粉砕し、その後脱水、乾燥を行う湿式粉砕法がある。本発明のマイカはいずれの粉砕法において製造されたものも使用できるが、乾式粉砕法の方が低コストで一般的である。一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であるがコストがかかる。マイカは、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよく、さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
また、本発明で使用できるワラストナイトは、実質的に化学式CaSiO3で表され、通常SiO2が約50重量%以上、CaOが約47重量%以上、その他Fe23、Al23等を含んでいる。ワラストナイトは、ワラストナイト原石を粉砕、分級した白色針状粉末で、モース硬度は約4.5である。使用するワラストナイトの平均繊維径は0.5〜20μmが好ましく、0.5〜10μmがより好ましく、1〜5μmが最も好ましい。該平均繊維径は走査型電子顕微鏡により観察し、0.1μm以上のものを抽出した合計1000個の数平均にて算出されるものである。
これら無機充填材の配合量は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部あたり、1〜200重量部であり、1〜100重量部が好ましく、3〜50重量部がより好ましい。かかる配合量が1重量部より小さい場合には、本発明の成形品の機械特性に対する補強効果が十分でなく、また200重量部を超えると、成形加工性や色相が悪化するため好ましくない。
なお、本発明の樹脂組成物において、繊維状無機充填材やフレーク状無機充填材を用いる場合、それらの折れを抑制するための折れ抑制剤を含むことができる。折れ抑制剤はマトリックス樹脂と無機充填材との間の密着性を阻害し、溶融混練時に無機充填材に作用する応力を低減して無機充填材の折れを抑制する。折れ抑制剤の効果としては(1)剛性向上(無機充填材のアスペクト比が大きくなる)、(2)靭性向上、(3)導電性の向上(導電性無機充填材の場合)などを挙げることができる。折れ抑制剤は具体的には、(i)樹脂と親和性の低い化合物を無機充填材の表面に直接被覆した場合の該化合物、および(ii)樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ無機充填材の表面と反応可能な官能基を有する化合物である。
樹脂と親和性の低い化合物としては各種の滑剤を代表的に挙げることができる。滑剤としては例えば、鉱物油、合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル、シリコーンゴムなど)、オレフィン系ワックス(パラフィンワックス、ポリオレフィンワックスなど)、ポリアルキレングリコール、フッ素化脂肪酸エステル、トリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレングリコールなどのフッ素オイルなどが挙げられる。
樹脂と親和性の低い化合物を無機充填材の表面に直接被覆する方法としては、(1)該化合物を直接、または該化合物の溶液や乳化液を無機充填材に浸漬する方法、(2)該化合物の蒸気中または粉体中に無機充填材を通過させる方法、(3)該化合物の粉体などを無機充填材に高速で照射する方法、(4)無機充填材と該化合物を擦り付けるメカノケミカル的方法などを挙げることができる。
樹脂と親和性の低い構造を有し、かつ無機充填材の表面と反応可能な官能基を有する化合物としては、各種の官能基で修飾された前記の滑剤を挙げることができる。かかる官能基としては例えばカルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、エステル基、アミノ基、アルコキシシリル基などを挙げることができる。
好適な折れ抑制剤の1つは、炭素数5以上のアルキル基が珪素原子に結合したアルコキシシラン化合物である。かかる珪素原子に結合したアルキル基の炭素数は好ましくは5〜60、より好ましくは5〜20、さらに好ましくは6〜18、特に好ましくは8〜16である。アルキル基は1または2が好適であり、特に1が好ましい。またアルコキシ基としてはメトキシ基およびエトキシ基が好適に例示される。かかるアルコキシシラン化合物は、無機充填材表面に対する反応性が高く被覆効率に優れる点で好ましい。したがってより微細な無機充填材において好適である。
好適な折れ抑制剤の1つは、カルボキシル基、およびカルボン酸無水物基から選択された少なくとも1種の官能基を有するポリオレフィンワックスである。分子量としては重量平均分子量で500〜20,000が好ましく、より好ましくは1,000〜15,000である。かかるポリオレフィンワックスにおいて、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基の量としては、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基から選択される少なくとも1種の官能基を有する滑剤1g当り0.05〜10meq/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜6meq/gであり、さらに好ましくは0.5〜4meq/gである。折れ抑制剤中の官能基の割合は、カルボキシル基以外の官能基においても前記のカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の割合と同程度であることが好ましい。
折れ抑制剤として特に好ましいものとしてα−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体を挙げることができる。かかる共重合体は、常法に従いラジカル触媒の存在下に、溶融重合あるいはバルク重合法で製造することができる。ここでα−オレフィンとしてはその炭素数が平均値として10〜60のものを好ましく挙げることができる。α−オレフィンとしてより好ましくはその炭素数が平均値として16〜60、さらに好ましくは25〜55のものを挙げることができる。
前記折れ抑制剤は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当り0.01〜2重量部が好ましく、0.05〜1.5重量部がより好ましく、0.1〜0.8重量部がさらに好ましい。
有機充填材としてはアラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維や、ケナフ、麻、竹、ジュート、セルロースなどの植物由来の天然繊維が例示される。有機充填材についても、環境負荷の観点から、植物由来のものを用いることが好ましい。有機充填材の好ましい配合量は、無機充填材と同様である。
上述の充填材は、高い補強効果と溶融樹脂の流れ方向の成形収縮を抑制するためには繊維状のものを用いるのが好ましい。しかしながら、複雑な形状をした成形品のソリなどの変形を抑えつつ補強効果を得るには、板状の補強材を用いる方法、長さの比較的短い繊維状補強材を用いる、または長い繊維長のものと併用する方法、板状補強材と繊維状補強材を併用する方法が有効である。良好な寸法特性を得るための具体的な方法として、平均アスペクト比2〜15、好ましくは2〜10、更に好ましくは3〜8の繊維状補強材を用いる方法や、平均アスペクト比5〜100、好ましくは5〜80、更に好ましくは10〜50の板状補強材を用いる方法、更に上記2種類の補強材を併用して用いる方法が例示される。得られる樹脂成形品の特性としては、5000MPa以上の曲げ弾性率を有しながら、成形収縮率として、樹脂の流れに対して直角方向の値と流動方向の流れの比として、1〜3、好ましくは1〜2であるものが有効である。
<その他の成分について>
本発明の樹脂組成物においては、さらに良好な色相かつ安定した流動性を得るため、酸化防止剤を含有することが好ましい。殊に酸化防止剤としてリン系安定剤を用いる事が好ましい。リン系安定剤としては、各種ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物、およびホスホネイト化合物が挙げられる。
ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、およびトリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどが挙げられる。殊にホスファイト化合物としては、下記一般式(5)に示すペンタエリスリトール型ホスファイト化合物を配合することが好ましい。
[式中R21、R22はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基ないしアルキルアリール基、炭素数7〜30のアラルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数15〜25の2−(4−オキシフェニル)プロピル置換アリール基を示す。なお、シクロアルキル基およびアリール基は、アルキル基で置換されていてもよい。]
前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、より具体的には、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられ、中でも好適には、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトおよびビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができ、好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト等があげられ、テトラキス(ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
上記のリン系安定剤は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。リン系安定剤はポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当たり、好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部配合される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は離型剤を含むことが好ましい。かかる離型剤としては公知のものが使用できる。例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1−アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物(特にフェニル基およびメチル基などのアルキル基の双方を有するオルガノシロキサン化合物などに代表される)、フッ素オイル(ポリフルオロアルキルエーテルなどに代表される)、パラフィンワックス、並びに蜜蝋などを挙げることができる。
中でも脂肪酸エステルおよびシリコーン化合物が好ましく、特に脂肪酸エステルが、離型性、成形品の透明性およびハードコート層との密着性などの点から好ましく使用される。脂肪酸エステルとは、アルコールと脂肪酸とのエステルであるが、その中でも一価アルコールと脂肪酸とのエステルまたは多価アルコールと脂肪酸との部分エステルあるいは全エステルが好ましい。さらに、炭素原子数1〜20の一価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸とのエステル及び炭素原子数1〜25の多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の離型剤が好ましく使用される。
具体的に一価アルコールと飽和脂肪酸とのエステルとしては、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。
具体的に多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの全エステルまたは部分エステル等が挙げられる。
これらのエステルのなかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート等の部分エステルが好ましく、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレートがより好ましく、特に、ステアリン酸モノグリセリドが好ましい。かかる離型剤は、1種または2種以上の混合物であってもよい。
これら部分エステルは、そのエステル化率は特に制限されないものの、エステル化率は20%以上が好ましく、20〜80%がより好ましく、20〜50%が更に好ましい。エステル化率が上記範囲内であると、本発明の樹脂組成物の全光線透過率が高く、かつヘイズが低く保たれる。またエステル化率が低く、水酸基価が高い脂肪酸エステルはポリカーボネート樹脂を劣化させやすく、成形品の割れが生じやすくなる。
本発明で用いる離型剤の量はポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましく、0.01〜0.5重量部がより好ましく、0.03〜0.5重量部がさらに好ましく、0.03〜0.3重量部が特に好ましく、0.03〜0.2重量部が最も好ましい。離型剤がこの範囲内にあると、不透明化を抑制しつつ離型性の向上を達成することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は難燃剤を含むことが好ましい。難燃剤を配合すると、難燃性が付与され、火災に対する安全性が高まった成形品(好適には電気・電子機器外装部品)を得ることができるようになる。
難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなどのハロゲン系難燃剤、モノホスフェート化合物およびホスフェートオリゴマー化合物などのリン酸エステル系難燃剤、ホスフィネート化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物などのリン酸エステル系難燃剤以外の有機リン系難燃剤、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤などの有機金属塩系難燃剤、並びにシリコーン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム系難燃剤、トリアジン系難燃剤等が挙げられる。また別途、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)や滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)等を配合し、難燃剤と併用してもよい。
上述の難燃剤の中でも、塩素原子および臭素原子を含有しない化合物は、焼却廃棄やサーマルリサイクルを行う際に好ましくないとされる要因が低減されることから、環境負荷の低減をも1つの特徴とする本発明の成形品における難燃剤としてより好適である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、これら難燃剤を配合する場合には、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部当たり0.05〜50重量部の範囲が好ましい。0.05重量部未満では十分な難燃性が発現せず、50重量部を超えると成形品の強度や耐熱性などを損なう。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は弾性重合体を含むことが好ましい。弾性重合体を配合すると、耐衝撃性が付与され、衝突に対する安全性が高まった部品(好適には自動車部品)を得ることができるようになる。
弾性重合体の例としては、天然ゴムまたは、ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分に、芳香族ビニル、シアン化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、およびこれらと共重合可能なビニル化合物から選択されたモノマーの1種または2種以上が共重合されたグラフト共重合体を挙げることができる。より好適な弾性重合体は、ゴム成分のコアに前記モノマーの1種または2種以上のシェルがグラフト共重合されたコア−シェル型のグラフト共重合体である。
またかかるゴム成分と上記モノマーのブロック共重合体も挙げられる。かかるブロック共重合体としては具体的にはスチレン・エチレンプロピレン・スチレンエラストマー(水添スチレン・イソプレン・スチレンエラストマー)、および水添スチレン・ブタジエン・スチレンエラストマーなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに他の熱可塑性エラストマーして知られている各種の弾性重合体、例えばポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等を使用することも可能である。
衝撃改良剤としてより好適なのはコア−シェル型のグラフト共重合体である。コア−シェル型のグラフト共重合体において、そのコアの粒径は重量平均粒子径において0.05〜0.8μmが好ましく、0.1〜0.6μmがより好ましく、0.1〜0.5μmがさらに好ましい。0.05〜0.8μmの範囲であればより良好な耐衝撃性が達成される。弾性重合体は、ゴム成分を40%以上含有するものが好ましく、60%以上含有するものがさらに好ましい。
ゴム成分としては、ブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴム、イソブチレン−シリコーン複合ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−アクリルゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴムおよびこれらの不飽和結合部分に水素が添加されたものを挙げることができるが、燃焼時の有害物質の発生懸念という点から、ハロゲン原子を含まないゴム成分が環境負荷の面において好ましい。
ゴム成分のガラス転移温度は好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であり、ゴム成分としては特にブタジエンゴム、ブタジエン−アクリル複合ゴム、アクリルゴム、アクリル−シリコーン複合ゴムが好ましい。複合ゴムとは、2種のゴム成分を共重合したゴムまたは分離できないよう相互に絡み合ったIPN構造をとるように重合したゴムをいう。
ゴム成分に共重合するビニル化合物における芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等を挙げることができ、特にスチレンが好ましい。またアクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタアクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル等を挙げることができ、メタクリル酸メチルが特に好ましい。これらの中でも特にメタクリル酸メチルなどのメタアクリル酸エステルを必須成分として含有することが好ましい。より具体的には、メタアクリル酸エステルはグラフト成分100重量%中(コア−シェル型重合体の場合にはシェル100重量%中)、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上含有される。
ガラス転移温度が10℃以下のゴム成分を含有する弾性重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合のいずれの重合法で製造したものであってもよく、共重合の方式は一段グラフトであっても多段グラフトであっても差し支えない。また製造の際に副生するグラフト成分のみのコポリマーとの混合物であってもよい。さらに重合法としては一般的な乳化重合法の他、過硫酸カリウム等の開始剤を使用するソープフリー重合法、シード重合法、二段階膨潤重合法等を挙げることができる。また懸濁重合法において、水相とモノマー相とを個別に保持して両者を正確に連続式の分散機に供給し、粒子径を分散機の回転数で制御する方法、および連続式の製造方法において分散能を有する水性液体中にモノマー相を数〜数十μm径の細径オリフィスまたは多孔質フィルターを通すことにより供給し粒径を制御する方法などを行ってもよい。コア−シェル型のグラフト重合体の場合、その反応はコアおよびシェル共に、1段であっても多段であってもよい。
かかる弾性重合体は市販されており容易に入手することが可能である。例えばゴム成分として、ブタジエンゴム、アクリルゴムまたはブタジエン−アクリル複合ゴムを主体とするものとしては、鐘淵化学工業(株)のカネエースBシリーズ(例えばB−56など)、三菱レイヨン(株)のメタブレンCシリーズ(例えばC−223Aなど)、Wシリーズ(例えばW−450Aなど)、呉羽化学工業(株)のパラロイドEXLシリーズ(例えばEXL−2602など)、HIAシリーズ(例えばHIA−15など)、BTAシリーズ(例えばBTA−IIIなど)、KCAシリーズ、ローム・アンド・ハース社のパラロイドEXLシリーズ、KMシリーズ(例えばKM−336P、KM−357Pなど)、並びに宇部サイコン(株)のUCLモディファイヤーレジンシリーズ(ユーエムジー・エービーエス(株)のUMG AXSレジンシリーズ)などが挙げられ、ゴム成分としてアクリル−シリコーン複合ゴムを主体とするものとしては三菱レイヨン(株)よりメタブレンS−2001あるいはSRK−200という商品名で市販されているものが挙げられる。
弾性重合体の組成割合は、ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部あたり0.2〜50重量部が好ましく、1〜30重量部が好ましく、1.5〜20重量部がより好ましい。かかる組成範囲は、剛性の低下を抑制しつつ組成物に良好な耐衝撃性を与えることができる。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、他のポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、並びにフェノキシまたはエポキシ樹脂など)、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系など)、光安定剤(HALSなど)、離型剤(飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、フッ素化合物、パラフィンワックス、蜜蝋など)、流動改質剤(ポリカプロラクトンなど)、着色剤(カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、メタリック顔料など)、光拡散剤(アクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子など)、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、帯電防止剤、無機および有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤、並びにフォトクロミック剤紫外線吸収剤などを配合してもよい。これら各種の添加剤は、ビスフェノールAポリカーボネート等の熱可塑性樹脂に配合する際の周知の配合量で利用することができる。
<樹脂組成物の製造方法について>
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機が好ましい。他に、各成分、並びに任意に他の成分を予備混合することなく、それぞれ独立に二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法も取ることもできる。溶融混練する際のシリンダー温度は220〜270℃の範囲で行うことが好ましく、230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、本発明に用いられるポリカーボネートの熱分解の進行が大きくなってくる。
<電気・電子機器外装部品の製造について>
本発明の樹脂組成物から形成される電気・電子機器外装部品は、シリンダー温度220〜270℃の範囲で射出成形して得ることができる。ポリマーの分解による着色や分子量低下を抑制するために、この温度範囲は230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、ポリマーの分解が大きく促進されてしまう。金型温度は40〜140℃の範囲で好ましく行うことができるが、成形サイクルを短縮し、樹脂の溶融滞留時間を短くするため、40〜120℃がより好ましく、さらに好ましくは40〜100℃の範囲である。
該電気・電子機器外装部品を得るための射出成形に関しては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
該電気・電子機器外装部品としては、デスクトップパソコン、ノートパソコンなどのパソコン類の外装部品、プリンター、コピー機、スキャナーおよびファックス(これらの複合機を含む)等のOA機器の外装部品、ディスプレー装置(CRT、液晶、プラズマ、プロジェクタ、および有機ELなど)の外装部品、マウスなどの外装部品、キーボードのキーや各種スイッチなどのスイッチ機構部品、ゲーム機(家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、およびパチンコ、およびスロットマシーンなど)の外装部品などが例示される。さらに本発明の樹脂組成物から形成される成形品は、その他幅広い用途に有用であり、例えば、携帯情報端末(いわゆるPDA)、携帯電話、携帯書籍(辞書類等)、携帯テレビ、記録媒体(CD、MD、DVD、次世代高密度ディスク、ハードディスクなど)のドライブ、記録媒体(ICカード、スマートメディア、メモリースティックなど)の読取装置、光学カメラ、デジタルカメラ、パラボラアンテナ、電動工具、VTR、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器、電子レンジ、ホットプレート、音響機器、照明機器、冷蔵庫、エアコン、空気清浄機、マイナスイオン発生器、およびタイプライター、時計など電気・OA機器、家庭用電化製品を挙げることができ、これらの外装材などの各種部品に本発明の成形品を適用することができる。
さらに該電気・電子機器外装部品には、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
<自動車部品の製造について>
本発明の樹脂組成物から形成される自動車部品は、シリンダー温度220〜270℃の範囲で射出成形して得られる。ポリマーの分解による着色や分子量低下を抑制するために、この温度範囲は230〜260℃の範囲がより好ましく、230〜250℃の範囲が更に好ましい。シリンダー温度が270℃を超えると、ポリマーの分解が大きく促進されてしまう。金型温度は40〜140℃の範囲で好ましく行うことができるが、成形サイクルを短縮し、樹脂の溶融滞留時間を短くするため、40〜120℃がより好ましく、さらに好ましくは40〜100℃の範囲である。
該自動車部品を得るための射出成形に関しては、通常のコールドランナー方式の成形法だけでなく、ホットランナー方式の成形法も可能である。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。
該自動車部品としては、車輌外装部品、車輌内装部品、駆動系機構部品、電子制御系電子・電気部品、電子制御系機構部品、内燃機関関連部品、排気系関連部品、各種表示装置部品、各種照明装置部品、などが挙げられる。具体的には、バックパネル、フェンダー、バンパー、フェーシャ、ドアパネル、サイドガーニッシュ、ピラー、ラジエータグリル、サイドプロテクター、サイドモール、リアプロテクター、リアモール、各種スポイラー、ボンネット、ルーフパネル、トランクリッド、デタッチャブルトップ、ウインドリフレクター、ヘッドランプレンズ、ミラーハウジング、アウタードアハンドル、ワイパー部品、ウィンドウォッシャーノズル、オートアンテナ部品、トリム、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、インストルメンタルパネル、センターコンソールパネル、ディフレクター部品、メーター部品、エアーフローメーター、アクチュエーター、イグニッションコイル、ディストリビューター部品、ガスキャップ、ヒューズケース、センサーハウジング、ハーネスコネクター、各種スイッチ類、各種リレー類、燃料配管部品、エンジンロッカーカバー、エンジンオーナメントカバー、タイミングベルトカバー、ベルトテンショナープーリー、チェインガイド、カムスプロケット、ジェネレーターボビン、エアクリーナーケース、吸気ダクト、サージタンク、燃料タンク、インテークマニホールド、燃料噴射部品、カーナビケーション部品、カーオーディオビジュアル部品、オートモバイルコンピュータ部品、などが好適に例示できる。
さらに該自動車部品には、表面改質を施すことによりさらに他の機能を付与することが可能である。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着等)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキ等)、塗装、コーティング、印刷等の樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。
本発明は、バイオマス資源を原料としたポリカーボネート樹脂に充填材を含有する樹脂組成物であって、良好な耐熱性、熱安定性、剛性および寸法安定性を有し、各種成形材料やポリマーアロイ材料の素材として有用であり、特に各種電子・電気機器外装部品、自動車部品に好適であり、その奏する産業上の効果は格別である。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]樹脂組成物および成形品の評価
下記の製造例に示す方法により、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)溶融粘度
(株)東洋精機製キャピラリーレオメータ(キャピログラフ 型式1D)を用い、キャピラリー長10.0mm、キャピラリー径1.0mm、測定温度250℃にて測定速度を任意に変更し測定した結果得られたShear Rate/Viscosityカーブより600sec−1での溶融粘度を読み取った。
(2)ガラス転移温度
TA Instruments社製 DSC (型式 DSC2910)により測定した。
(3)5%重量減少温度
TA Instruments社製 TGA (型式 TGA2950)により測定した。
(4)曲げ弾性率
曲げ試験をISO178に従って行った。なお、試験片は、日本製鋼所(株)製 JSWJ−75EIIIを用いてシリンダ温度250℃、金型温度90℃にて成形した(曲げ試験片形状:長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)。
(5)荷重たわみ温度(1.80MPa):上記(4)にて成形した曲げ試験片を用いてISO75−1および75−2で規定される高荷重下(1.80MPa)の荷重たわみ温度を測定した。
(6)成形収縮率:一方の短辺側に厚み1.5mmのフィルムゲートを有する短辺50mm、長辺100mm、厚み4mmの平板を成形し、23℃、50%RH、24時間状態調節したのち、平板の流動の流れ方向および直角方向の寸法を三次元測定機(三豊製作所(株)製 MICROPAK 550)を使用して測定し、流れ方向および直角方向の成形収縮率を求めた。
<製造例1:ポリカーボネートA−1成分の製造>
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2356重量部(11モル)とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを1.0重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して1×10−4モル)、および水酸化ナトリウムを1.1×10−3重量部(ジフェニルカーボネート成分1モルに対して0.25×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下常圧で180℃に加熱し溶融させた。
撹拌下、反応槽内を30分かけて徐々に減圧し、生成するフェノールを留去しながら13.3×10−3MPaまで減圧した。この状態で20分反応させた後に200℃に昇温し、次いで20分かけて徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで20分間反応させ、さらに、220℃に昇温し30分間、250℃に昇温し30分間反応させた。
次いで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に昇温し、最終的に250℃、6.66×10−5MPaで40分間反応させた。その結果、ガラス転移温度156℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が0.53×10Pa・s、5%重量減少温度360℃のポリマーが得られた。
<製造例2:ポリカーボネートA−2成分の製造>
最終的に260℃、6.66×10−5MPaで60分間反応せしめた以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た、このポリマーのガラス転移温度は164℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度は1.7×10Pa・s、5%重量減少温度は362℃であった。
<製造例3:ポリカーボネートA−3成分の製造>
重合触媒として酢酸亜鉛を用い、最終的に220℃、6.66×10−5MPaで11時間反応させた以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た、このポリマーのガラス転移温度は158℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が0.59×10Pa・s、5%重量減少温度291℃のポリマーが得られた。
その他、原料としては、以下のものを用いた。
(B−1)ガラス繊維(日本電気硝子(株)製:ECS−03T−511、平均径13μm、カット長3mmのチョップドストランド)
(B−2)ミルドファイバー(日東紡績(株)製:PFE−301FB)
(B−3)ガラスフレーク(日本板硝子(株):REFG−101)
(B−4)炭素繊維(東邦テナックス(株)製:ベスファイト HTA−C6−U)
(B−5−1)タルク(林化成(株)製:HST−0.8)
(B−6)ワラストナイト(巴工業(株)製:NYGLOS−4)
(B−7)マイカ(林化成(株):MC−40)
(B−8)ケナフ繊維(オージー(株)製 カット長5mm)
(B−9)竹繊維(オージー(株)製 パルプ紙を粉砕して使用)
(PO)酸変性ポリオレフィンワックス(三菱化学(株)ダイヤカルナ 30M)
(AO)酸化防止剤:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)アデカ製 アデカスタブPEP−36)
(MR)離型剤:ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)リケマールS−100A)
[実施例1〜11、比較例1〜2]
表1および表2記載の樹脂組成物を以下の要領で作成した。表1および表2の割合の各成分を計量して、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ポリカーボネート樹脂に添加する添加剤はそれぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)テクノベル社製KZW15−25MG)を使用した。押出条件は吐出量14kg/h、スクリュー回転数250rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで250℃ とした。得られたペレットを100℃で12時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1および表2に示した。
[2]外装部品の評価
下記の製造例に示す方法により、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)溶融粘度
上記[1]と同様の方法により求めた。
(2)ガラス転移温度
上記[1]と同様の方法により求めた。
(3)5%重量減少温度
上記[1]と同様の方法により求めた。
(4)曲げ強度、曲げ弾性率
上記[1]と同様の方法により曲げ試験を行い、曲げ強度および曲げ弾性率を求めた。
(5)耐熱性(荷重たわみ温度)
上記[1]と同様の方法により求めた。
(6)燃焼性
米国アンダーライターラボラトリー社の定める方法(UL94)により、試験片厚さ1.6mmまたは3.2mmにおいて難燃性ランクを評価した。
(7)耐薬品性
各種電気・電子機器外装部品の模擬成形品から切削した成形品を、室温下、トルエン、キシレン、アセトン、トリクロロエタン中に24時間浸漬し、表面状態を観察した。
(8)耐加水分解性
各種電気・電子機器外装部品の模擬成形品から切削した成形品を、恒温恒湿槽中、80℃×90%相対湿度の条件にて10日間処理した後の分子量を、処理前の値に対する保持率で評価した。
(9)鉛筆引っかき値
JIS K5400中に定められた方法に従って、厚み1mmの平滑角板成形品を用い手かき法にて、鉛筆引っかき値を測定した。
<製造例1:ポリカーボネートA−1成分の製造>
上記[1]の製造方法で得られたポリカーボネートA−1成分を使用した。
<製造例2:ポリカーボネートA−4成分の製造>
イソソルビド1590重量部(10.88モル)、p−tert−ブチルフェノール36重量部(0.24モル)を温度計、撹拌機付き反応器にし込み、窒素置換した後、あらかじめよく乾燥したピリジン5500重量部、塩化メチレン32400重量部を加え溶解した。撹拌下25℃でホスゲン1400重量部(14.14モル)を100分要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後、約20分間そのまま撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈し、ピリジンを塩酸で中和除去後、導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで繰り返し水洗し、その後塩化メチレンを蒸発した。その結果、ガラス転移点172℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度が5.1×10Pa・s、5%重量減少温度362℃のポリマーが得られた。
<製造例3:ポリカーボネートA−5成分の製造>
イソソルビド1608重量部(11モル)とジフェニルカーボネート2427重量部(11.33モル)とした以外は製造例1と同様にしてポリマーを得た。このポリマーのガラス転移温度は138℃、シェアレート600sec−1における溶融粘度は0.13×10Pa・s、5%重量減少温度は355℃であった。
下記の実施例、比較例に示す方法により、電気・電子機器外装部品の製造を行った。また実施例中における各値は上記の方法で求めた。
A成分以外の成分は下記のものを用いた。
(B−5−2)タルク(巴工業(株)製:HiTalc Premium HTP ultra 5C)
(C−1)難燃剤:メラミン樹脂によりコーティングされたポリリン酸アンモニウム(クラリアント・ジャパン(株)製 EXOLIT AP−462)
(C−2)難燃剤:フィブリル形成能を有するPTFE(ダイキン工業(株)製 FA−500)
(添−1)酸化防止剤:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)アデカ製 アデカスタブPEP−36)
(添−2)離型剤:ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)製リケマールS−100A)
また、比較用樹脂としては、以下のものを用いた。
(比−1)ビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂:L−1250(帝人化成(株)製)
(比−2)ポリ−L−乳酸樹脂:LACEA H−100J(三井化学(株)製)
<実施例12、比較例3〜5>
表3に示す組成でポリカーボネート樹脂、および各種添加剤を、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]に供給し、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化した。
スクリュー構成はサイドフィーダー位置以前に第1段のニーディングゾーン(送りのニーディングディスク×2、送りのローター×1、戻しのローター×1および戻しニーディングディスク×1から構成される)を、サイドフィーダー位置以後に第2段のニーディングゾーン(送りのローター×1、および戻しのローター×1から構成される)を設けてあった。
得られたペレットを100℃で12時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)により、表3に示したシリンダー温度、金型温度90℃、成形サイクル180秒で、荷重たわみ温度、曲げ特性、難燃性試験用の試験片を成形した。
次に、乾燥後のペレットを用いてシリンダー内径50mmφの射出成形機(住友重機械工業(株)製ULTRA220−NIVA)を使用し、図1に示すノートパソコン外装部品模擬成形品を、シリンダー温度250℃、金型温度90℃にて成形し、中央部分よりサンプルを採取した。
また、乾燥後のペレットを用いて、射出成形機((株)日本製鋼所製J1300E−C5)を使用し、図4に示す大型OA機器外装部品模擬成形品を、シリンダー温度250℃、金型温度90℃にて成形し、中央部分よりサンプルを採取した。
さらに、乾燥後のペレットを用いて、射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)を使用し、図5に示す携帯電話外装部品模擬成形品を、シリンダー温度250℃、金型温度90℃にて成形し、中央部分よりサンプルを採取した。
なお、特性比較用のビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂は、シリンダー温度300℃、金型温度90℃、成形サイクル180秒にて、またポリ−L−乳酸は、シリンダー温度200℃、金型温度25℃、成形サイクル300秒にて成形した。
これらの成形品、サンプルを用いて、各特性を測定した。それらの射出成形性及び測定結果を表3〜7に示した。
表3〜7の結果から明らかな通り、特定の溶融粘度、ガラス転移温度を有する本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、好適な温度範囲で射出成形した場合に良好な電気・電子機器の外装部品を得ることができ、その耐熱性、機械特性、および耐環境特性に優れ、表面硬度が高く、外装部品として優れた特性を保有していることがわかる。更に、最も代表的なエンジニアリングプラスチックであるビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂よりも優れた耐薬品性と、それに匹敵する耐加水分解性を有し、また最も代表的なバイオマス資源を原料とするプラスチックであるポリ−L−乳酸よりも優れた耐薬品性及び耐加水分解性を有することもわかり、その耐環境性も非常に高い水準にある。
[3]自動車部品の評価
下記の製造例に示す方法により、ポリカーボネート樹脂の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)曲げ強度、曲げ弾性率
上記[1]と同様の方法により曲げ試験を行い、曲げ強度および曲げ弾性率を求めた。
(2)耐熱性(荷重たわみ温度)
上記[1]と同様の方法により求めた。
(3)耐衝撃性
ISO179に準拠して、ノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。
(4)耐薬品性
ISO527−1および2に従って作成した厚さ3.2mmの試験片を、室温下、0.5%の曲げ歪みを与えた状態でエッソレギュラーガソリンに12時間浸漬し、その後の成形品外観を目視で観察、クラック発生の有無により判定した。試験片の取り付けの概要を図6に示す。
○:クラックの発生無し ×:クラック発生あり
なお、曲げ歪み(ε=0.005)は3点の内の両端の2点のスパンをL(100mm)、試験片の厚みをh(3.2mm)、および試験片を水平状態から持ち上げた高さをy(mm)としたとき、ε=(6hy)/Lの式より算出される値である。
(5)耐加水分解性
成形品(上記(4)で作成した試験片)を、恒温恒湿槽中、80℃×90%相対湿度の条件にて10日間処理した後の分子量を、処理前の値に対する保持率で評価した。
<製造例1:ポリカーボネートA−1成分の製造>
上記[1]の製造方法で得られたポリカーボネートA−1成分を使用した。
<製造例2:ポリカーボネートA−4成分の製造>
上記[2]の製造方法で得られたポリカーボネートA−4成分を使用した。
<製造例3:ポリカーボネートA−5成分の製造>
上記[2]の製造方法で得られたポリカーボネートA−5成分を使用した。
下記の実施例、比較例に示す方法により、成形品の製造を行った。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
原料としては、以下のものを用いた。
(B−1)ガラス繊維(日本電気硝子(株)製:ECS−03T−511、平均径13μm、カット長3mmのチョップドストランド)
(B−6)ワラストナイト(巴工業(株)製:NYGLOS−4)
(B−8)ケナフ繊維(オージー(株)製 カット長5mm)
(D−1)α−オレフィン/無水マレイン酸共重合体(呉羽化学工業(株)製 HIA15)
(添−1)酸化防止剤:ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト((株)アデカ製 アデカスタブPEP−36)
(添−2)離型剤:ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン(株)製リケマールS−100A)
また、比較用樹脂としては、以下のものを用いた。
(比−1)ビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂:L−1250(帝人化成(株)製)
(比−2)ポリ−L−乳酸樹脂:LACEA H−100J(三井化学(株)製)
<実施例13〜15、比較例6〜8>
表8に示す組成でポリカーボネート樹脂、およびその他成分を、径30mmφのベント式二軸押出機[(株)日本製鋼所製TEX30XSST]に供給し、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数150rpm、吐出量20kg/h、およびベント減圧度3kPaで溶融押出してペレット化した。
スクリュー構成はサイドフィーダー位置以前に第1段のニーディングゾーン(送りのニーディングディスク×2、送りのローター×1、戻しのローター×1および戻しニーディングディスク×1から構成される)を、サイドフィーダー位置以後に第2段のニーディングゾーン(送りのローター×1、および戻しのローター×1から構成される)を設けてあった。
得られたペレットを100℃で12時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後、射出成形機(日本製鋼所(株)製 JSWJ―75EIII)により、表8に示したシリンダー温度、金型温度90℃、成形サイクル180秒で、各種特性評価用の試験片を成形した。なお、ビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂は、シリンダー温度300℃、金型温度90℃、成形サイクル180秒にて、またポリ−L−乳酸は、シリンダー温度200℃、金型温度25℃、成形サイクル300秒にて成形した。これらの成形品を用いて各特性を測定した。それらの射出成形性及び測定結果を表8〜10に示した。
表8〜10の結果から明らかな通り、特定の溶融粘度、ガラス転移温度を有する本発明に用いられるポリカーボネート樹脂は、好適な温度範囲で射出成形した場合に良好な自動車部品を得ることができ、その耐熱性、機械特性に優れていることがわかる。更に、最も代表的なエンジニアリングプラスチックであるビスフェノールA−ポリカーボネート樹脂よりも優れた耐薬品性と、それに匹敵する耐加水分解性を有し、また最も代表的なバイオマス資源を原料とするプラスチックであるポリ−L−乳酸よりも優れた耐薬品性及び耐加水分解性を有することもわかり、その耐環境性も非常に高い水準にある。
実施例において使用したノートパソコンのハウジングを模した成形品の表側斜視概要図である(縦178mm×横245mm×縁の高さ10mm、厚み1.2mm)。 実施例において使用したノートパソコンのハウジングを模した成形品の表面側正面概要図であり、ゲート位置、および評価用サンプルの切り出し位置を示す。 実施例において使用したノートパソコンのハウジングを模した成形品の裏面側正面概要図であり、リブ付ボスがある様子を示す(艶消し面の部分は上下両側にリブがあるボスとなる)。 実施例において使用した大型OA機器外装部品を模した成形品の表面斜視概要図である(外形寸法:縦500mm、横600mm、厚み2.5mm)。 実施例において使用した携帯電話の外装部品を模した成形品表面斜視概要図である(外形寸法:縦100mm、横35mm、厚み1.5mm)。 上記実施例の評価項目の1つである耐薬品性の評価における3点曲げを行うジグの概要を示した斜視図である。
符号の説明
1.ノートパソコンのハウジングを模した成形品本体
2.艶消し表面部
3.鏡面部
4.ゲート(ピンゲート0.8mmφ、5個所)
5.耐薬品性、耐加水分解性測定用サンプル採取位置
6.リブ付ボス(鏡面部裏側に対応)
7.リブ付ボス(艶消し表面部裏側に対応)
8.成形品本体
9.ピンサイドゲート(サイドゲート部の幅5mm、ゲート厚み1.2mm、ゲートランド長さ6mm、サイドゲートのタブ:幅8mm×長さ15mm、タブ部へのピンゲートの直径1.8mm)
10.耐薬品性、耐加水分解性測定用サンプル採取位置
11.成形品本体
12.スプール及びランナー
13.ゲート
14.耐薬品性、耐加水分解性測定用サンプル採取位置
21.第1の固定棒(直径3.9mmφのステンレス鋼製)
22.試験片の中心部分(試験片の描く弧の頭頂部に位置するように設置)
23.歪負荷用の移動棒(直径3.9mmφのステンレス鋼製)
24.歪負荷用のスクリューネジ(台座57の裏面部に貫通。無負荷の試験片に接触させた位置から該スクリューネジを回しこみ、スクリューピッチに基づいて所定量の歪を試験片に負荷する)
25.試験片
26.第2の固定棒(直径3.9mmφのステンレス鋼製)
27.台座
28.第2の固定棒と歪負荷用の移動棒までの水平距離(50.0mm)
29.第1の固定棒と歪負荷用の移動棒までの水平距離(50.0mm)

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるカーボネート構成単位を含有するポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対して、充填材(B成分)1〜200重量部を含有してなるポリカーボネート樹脂組成物。
  2. B成分の充填材は、無機天然鉱物である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. B成分の充填材は、植物由来物質である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. ポリカーボネート樹脂(A成分)は、含窒素塩基性化合物、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物からなる群より選ばれた少なくとも一つの化合物を重合触媒として使用し、下記式(a)で示されるエーテルジオールと炭酸ジエステルとを、常圧で加熱反応させ、次いで減圧下、180℃〜280℃の温度で加熱しながら溶融重縮合させて得られたものである請求項1記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1記載の樹脂組成物から形成された成形品。
  6. 成形品が、電気・電子機器外装部品である請求項5記載の成形品。
  7. 成形品が、自動車部品である請求項5記載の成形品。
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