JP2009073239A - サスペンション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アクティブ・サスペンションの制御装置において、乗り心地の向上制御と接地性向上制御とを統合して、両者を高次元で両立させる。
【解決手段】制御手段10は、車体B及び各車輪3の、所定の外力を受けた状態における平衡状態をそれぞれ設定すると共に、その平衡状態と検出手段による検出結果とに基づき、所定の制御則に従って各アクチュエータ2を制御する。制御則は、車体Bの平衡状態からの振動エネルギ、車体Bの平衡状態が保持する弾性エネルギ、各車輪3の平衡状態からの振動エネルギ、及び、各車輪3の平衡状態が保持する弾性エネルギを最小にするようなフィードバック制御則とする。
【選択図】図3
【解決手段】制御手段10は、車体B及び各車輪3の、所定の外力を受けた状態における平衡状態をそれぞれ設定すると共に、その平衡状態と検出手段による検出結果とに基づき、所定の制御則に従って各アクチュエータ2を制御する。制御則は、車体Bの平衡状態からの振動エネルギ、車体Bの平衡状態が保持する弾性エネルギ、各車輪3の平衡状態からの振動エネルギ、及び、各車輪3の平衡状態が保持する弾性エネルギを最小にするようなフィードバック制御則とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、いわゆるアクティブ・サスペンションの制御装置に関する。
従来より、アクティブ・サスペンションの制御装置の一つとして、例えば特許文献1には、ダンパの減衰力を変更するサスペンションの制御装置が開示されている。この制御装置では、スカイフック制御に基づいてダンパの減衰力を変更しており、それによって車体の振動を抑制して乗り心地の向上を図らんとしている。
特開2006−69527号公報
しかしながら、従来のサスペンション制御装置は、基本的に乗り心地を向上させることを目的とする制御のみを行っており、車輪の接地性については考慮されていない。その理由の一つとして、乗り心地制御と接地性制御とは相反する制御であることが挙げられる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アクティブ・サスペンションの制御装置において、乗り心地制御と接地性制御とを統合して、両者を高次元で両立させることにある。
本発明の一側面によると、車両のサスペンション制御装置は、サスペンション部材を介して車体に連結された各車輪に対し、少なくとも上下方向の制御力を付与するアクチュエータと、車両の走行に関して各種の状態を検出する検出手段と、前記車体及び各車輪の、所定の外力を受けた状態における平衡状態をそれぞれ設定すると共に、その平衡状態と前記検出手段による検出結果とに基づき、所定の制御則に従って前記各アクチュエータを駆動制御する制御手段と、を備え、前記制御則は、バウンス、ロール及びピッチの3方向それぞれについての前記車体の平衡状態からの振動エネルギ及び前記車体の平衡状態が保持する弾性エネルギ、並びに、前記各車輪の平衡状態からの振動エネルギ及び各車輪の平衡状態が保持する弾性エネルギを最小にするようなフィードバック制御則である。
この構成によると、アクチュエータの制御則は、力学的エネルギの観点から設定されているため、相反する乗り心地制御と接地力制御とが合理的に統合する。具体的に、この構成におけるアクチュエータの制御則は、車体側及び車輪側のそれぞれについて、所定の外力を受けた状態における平衡状態を設定すると共に、バウンス、ロール及びピッチのそれぞれの方向についての車体の平衡状態からの振動エネルギ及び前記車体の平衡状態が保持する弾性エネルギ、並びに、前記各車輪の平衡状態からの振動エネルギ及び各車輪の平衡状態が保持する弾性エネルギ、を最小にするようなフィードバック制御則である。このように乗り心地向上と接地性向上とのために、低減すべき振動エネルギを分離した制御を行うことにより、乗り心地制御と接地性制御とが、矛盾することなく合理的に統合する。その結果、乗り心地の向上と接地性向上とが高次元で両立する。
また、前記の制御則は、平衡状態からの振動エネルギ及び平衡状態が保持する弾性エネルギに基づいているため、その車体又は車輪の平衡状態を適宜設定することによって、サスペンションの特性を調整することが可能であり、車両の走行状態等に応じたサスペンション特性にすることが可能になる。
前記制御手段は、前記各車輪の平衡状態を、当該各車輪に入力される路面変位に設定する、としてもよい。
こうすることで、各車輪は路面変位に応じた変位をするようになるため、各車輪の接地力が常に一定になる。これは、乗り心地制御及び接地性制御の内、接地性制御を相対的に強めたい場合に有効である。また、この制御では、例えば4輪の内の1輪に対して路面変位が入力したとしても、全ての車輪において同じ接地力が得られるため、接地力のアンバランスが防止されることになる。
前記制御手段は、前記検出手段が、前記車輪の接地性を高めるべき状況を検出したときには、前記フィードバック制御則において車輪に関係する制御ゲインを相対的に高める、としてもよい。
前述したフィードバック制御則では、車体側の制御に係る項と、車輪側の制御に係る項とが互いに独立しているため、その制御ゲインを調整することによって、いずれか一方の制御を他方の制御に比べて相対的に強めることが可能である。
そこで、車輪の接地性を高めるべき状況、例えば低μ路を走行している場合(具体的にはスリップが検出されたり、ABSが作動したりした場合としてもよい)や、燃費重視の走行を行う場合(具体的には、燃費重視の走行モードに設定されたり、当該車両が蓄電手段(バッテリ、コンデンサ等)の電力により駆動する車両である場合は、その蓄電手段の蓄電残量が低下したり、その充放電効率が低下したりした場合等)には、駆動力、制動力、及びコーナリングフォースの低下を防止すべく、フィードバック制御則において車輪に関係する制御ゲインを相対的に高め、それによって車輪の接地性を相対的に高めるようにしてもよい。
前記制御手段は、車体の平衡状態として、路面の微少凹凸に起因する車体変位成分を差し引いた平衡状態を設定する、としてもよい。
路面の微少凹凸に係る車体変位成分が差し引かれた平衡状態となるように、車体の変位が制御されることで、路面凹凸に起因する車体の変位は生じなくなる。つまり、この制御では、乗り心地が向上することになるため、乗り心地制御を相対的に強めたい場合に有効である。
前記制御手段は、前記検出手段が、前記車両が旋回することを検出したときには、前記車体の平衡状態として、ロール方向成分を調整した平衡状態を設定する、としてもよい。
このサスペンション制御装置では、前述したように、平衡状態を調整することによってサスペンションの特性を変更することが可能であり、平衡状態におけるロール方向成分を調整することによって、車体に発生するロールを調整することが可能になる。このため、車両が旋回するときには、車体の平衡状態におけるロール方向成分を逆ロールとなる方向に適宜調整して車体に発生するロールを調整することによって、例えばコーナリングフォースを増大させることが可能になって、旋回性の向上が図られる。
前記制御手段は、前記検出手段が、前記車両が発進又は加速することを検出したときには、前記車体の平衡状態として、ピッチ方向成分を調整した平衡状態を設定する、としてもよい。
前記と同様に、平衡状態におけるピッチ方向成分を調整することによって、車体に発生するピッチを調整することが可能になる。このため、例えばFF車の発進時や加速時には、車体の平衡状態におけるピッチ方向成分を逆ピッチとなる方向に適宜調整して車体に発生するピッチを調整することによって、例えば前輪(駆動輪)の接地荷重を増大させることが可能になって、発進性及び加速性能が向上する。
以上説明したように、本発明によると、乗り心地向上と接地性向上とのために、低減すべき振動エネルギを分離した制御を行うことにより、乗り心地制御と接地性制御とを矛盾することなく合理的に統合させて、乗り心地の向上と接地性向上とを高次元で両立させることができる。また、車体又は車輪の平衡状態を適宜設定することによって、車両の走行状態等に応じた、サスペンションの特性を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(アクティブ・サスペンション・システムの概略構成)
図1には、本発明に係るアクティブ・サスペンション・システムSを搭載した自動車A(車両)を模式的に示し、この例では、前後左右4車輪のサスペンション1FR,1FL,1RR,1RLにそれぞれ電磁アクチュエータ2,2,…を設けている。各輪のサスペンション1FR,1FL,…は、タイヤ3a、ホイール3b及びそれらを支持するホイールサポート等のサスペンション部材(図示せず)を含めた所謂ばね下部材(車輪3)を、例えばコイルばね4(板ばねやトーションバー或いは空気ばね等でもよい)及びショックアブソーバ5を介して車体Bに連結するものであり、そのコイルばね4等と並列に車体Bとの間に設けた電磁アクチュエータ2によって、各輪に少なくとも上下方向の制御力を付与するようになっている。
図1には、本発明に係るアクティブ・サスペンション・システムSを搭載した自動車A(車両)を模式的に示し、この例では、前後左右4車輪のサスペンション1FR,1FL,1RR,1RLにそれぞれ電磁アクチュエータ2,2,…を設けている。各輪のサスペンション1FR,1FL,…は、タイヤ3a、ホイール3b及びそれらを支持するホイールサポート等のサスペンション部材(図示せず)を含めた所謂ばね下部材(車輪3)を、例えばコイルばね4(板ばねやトーションバー或いは空気ばね等でもよい)及びショックアブソーバ5を介して車体Bに連結するものであり、そのコイルばね4等と並列に車体Bとの間に設けた電磁アクチュエータ2によって、各輪に少なくとも上下方向の制御力を付与するようになっている。
図2(a)(b)に簡略化して示すように、各サスペンション1は、力学的には、タイヤ3a及びホイール3b等からなるばね下部材(車輪3)と、これにコイルばね4及びショックアブソーバ5によって連結されたばね上部材(車体B)とからなる2自由度の振動系とみなすことができる。図示のように、車輪3の質量をmwi、そのばね定数をkti、その減衰係数をcti、コイルばね4のばね定数をksi、ショックアブソーバ5の減衰係数をcsiとする(i=1,2,3,4であり、1は左前輪FL、2は右前輪FR、3は左後輪RL、4は右後輪RRをそれぞれ示す)。
また、車輪3の接地する路面の凹凸、即ち上下方向変位をqwi、車輪3の上下方向変位をqi、車体Bの上下方向変位をqbiとし、電磁アクチュエータ2に入力される制御力をfactiとする。
尚、電磁アクチュエータ2としては、一例としてリニアモータが用いられ、車輪3に連結したロッドには永久磁石が、また、それを囲むように車体側には駆動用コイルが配置されている。駆動用コイルへの給電制御によってロッドの進退駆動力が制御されて、車輪3、車体Bへそれぞれ制御力が付与される。勿論、ロッドをばね上に連結してもよい。
そして、各サスペンション1FR,1FL,…毎の電磁アクチュエータ2,2,…の駆動制御がコントローラ10によって行われる。図3に模式的に示すように、自動車Aの車体Bには、各車輪毎のサスペンション1FR,1FL,…の取付部位に対応して上下方向の加速度qbi″を検出する加速度センサ11,11,…と、サスペンション1のストロークqsi(qbi−qi)を検出するストロークセンサ12,12,…とが備えられ、さらに、後述するように、各種の車両の状態を検出するための車両状態検出センサ13も配設されている。
コントローラ10は、前記の各センサ11〜13からの信号を受けて各サスペンション1FR,1FL,…毎の電磁アクチュエータ2,2,…を制御し、それらの発生する制御力によってサスペンション1のストロークを積極的に変更する。それによって、互いに相反する乗り心地と接地性とを高次元で両立させる。
より具体的に、コントローラ10には、加速度センサ11,11,…及びストロークセンサ12,12,…からの信号に基づいて各サスペンション1FR,1FL,…毎の車輪3の上下方向変位qi、その速度qi′及び加速度qi″、並びに車体Bの上下方向変位qbi及びその速度qbi′、即ちサスペンション1の作動状態を表すサスペンション状態量や、車体Bのバウンス方向の加速度Z″、ロール方向の加速度Φ″、ピッチ方向の加速度Θ″等の車体Bの状態量や、詳しくは後述するが、車体B及び車輪3の平衡状態Z ̄(バー)、Φ ̄、Θ ̄、qi ̄を演算する状態量検出部10aと、加速度センサ11,11,…、ストロークセンサ12,12,…、及び車両状態検出センサ13からの信号を受けて、後述するように、例えば車両が旋回中であるか否か等の、車両の状態を検出する走行状態検出部10bと、が備えられている。
また、コントローラ10には、前記状態量検出部10aにより算出された各車輪3の速度qi′等に基づいて、自動車Aの走行する路面の変位状態(各車輪3に対する路面変位qri)を推定する路面変位推定部10cと、この路面変位qriや前記サスペンション及び車体の状態等に基づいて、電磁アクチュエータ2,2,…への制御出力(制御力facti)を演算する制御量演算部10dと、が備えられ、さらに、車両の走行状態等に応じて、状態量検出部10aや制御量演算部10dにおける演算の仕方等を設定するための平衡状態・ゲイン設定部10eも備えられている。
前記状態量検出部10a、走行状態検出部10b、路面変位推定部10c、制御量演算部10d、平衡状態・ゲイン設定部10eのそれぞれの機能は、コントローラ10のCPUによって所定のプログラムが実行されることにより、実現するものであり、その意味でコントローラ10は、前記各部10a〜10eをソフトウエア・プログラムの態様で備えている。特に制御量演算部10dには、電磁アクチュエータ2,2,…を制御するための、制御力factiの演算式が設定されている。
(制御則の導出)
次に、前記のようにコントローラ10の制御量演算部10dに設定されている制御力factiの演算式について詳細に説明する。
次に、前記のようにコントローラ10の制御量演算部10dに設定されている制御力factiの演算式について詳細に説明する。
先ず、サスペンション系の主要要求機能である乗り心地と接地性との両立を、力学的エネルギの観点から考察する。ここで、本構成のサスペンション制御装置における制御則の導出に際し、エネルギを用いる理由のひとつは、それが最適制御の考えとマッチすることによる。乗り心地と接地力との両立を目的とするサスペンション1の多目的制御には、LQ制御に代表される最適制御が有効である。
図4に示す車両振動モデルは、水平外振動を模擬するモデルであり、車体Bに対して各車輪3が弾性的に結合されている。この車両Aには、外力として、バウンス、ロール、ピッチの3方向の、車体重心に作用する車体慣性力と、各車輪3への路面変位と、が加わる。この車両Aはまた、基本振動モードとして、図5(a)〜(c)に示す、バウンス、ロール、ピッチの各方向のばね上振動モードと、図5(d)〜(g)に示す、各車輪3のばね下振動モードと、を有する。
このように、車両Aは7つの基本振動モードを持つため、エネルギは、それらのモード毎に考える必要がある。
また、前述したように、車両Aへの入力には車体慣性力と路面変位とがあり、車体B及び各車輪3のそれぞれの挙動は、1)振動(動的挙動)、2)慣性力による静的変位、3)路面変位による静的変位、の3つの成分を含む。このため、各振動モードのエネルギも、これら3成分について考える必要がある。
先ず、車体側(ばね上)のエネルギの各成分が低減すべきものか否かについては、以下のように考える。
(1)車体Bの振動エネルギは、乗り心地向上の観点から低減すべきエネルギである。
(2)車体Bに慣性力が作用すると車体Bが変位し、サスペンション1と車輪3との間に伸縮が生じて弾性エネルギが蓄積される。このエネルギは、慣性力が定常的であるか、過渡的であるかに拘わらず生じるため、振動エネルギとは区別すべきものである。車体Bの変位は乗員にとって不快であると同時に、接地荷重の偏りを生じて車両運動の不安定化の要因となる。このため、弾性エネルギは低減すべきエネルギと考える。
(3)路面変位により生じるエネルギは、以下の(a)(b)の2種類である。
(a)路面変位が定常的、又は、緩慢な変化を持つ場合:このような路面(具体的には坂道や緩やかな凹凸)に対して車体Bがスカイフック挙動することは不自然であり、車体Bが路面に追従して変位する挙動を取る方が望ましい。すなわち、これによる弾性エネルギは、低減すべきエネルギと考える。ただし、路面変位による弾性エネルギと車体慣性力による弾性エネルギとの違いは、車体慣性力の場合は慣性力が存在しない状態が復元すべき状態であるのに対し、路面変位の場合は、路面変位が存在する場合が復元すべき状態となる点である。
(b)路面変位が過渡的、又は、急峻な変化を持つ場合:このような路面では、車体Bはスカイフック挙動するべきである。従って、これによる弾性エネルギは低減すべきでない。スカイフック挙動によってサスペンションが路面変位を吸収し、車体Bへの振動伝達が防止されるので、乗り心地及び接地力の双方が改善される。ただし、この挙動は、後述するばね下振動エネルギを操作することによって得られるので、ばね上系では特に考慮する必要はない。
(1)車体Bの振動エネルギは、乗り心地向上の観点から低減すべきエネルギである。
(2)車体Bに慣性力が作用すると車体Bが変位し、サスペンション1と車輪3との間に伸縮が生じて弾性エネルギが蓄積される。このエネルギは、慣性力が定常的であるか、過渡的であるかに拘わらず生じるため、振動エネルギとは区別すべきものである。車体Bの変位は乗員にとって不快であると同時に、接地荷重の偏りを生じて車両運動の不安定化の要因となる。このため、弾性エネルギは低減すべきエネルギと考える。
(3)路面変位により生じるエネルギは、以下の(a)(b)の2種類である。
(a)路面変位が定常的、又は、緩慢な変化を持つ場合:このような路面(具体的には坂道や緩やかな凹凸)に対して車体Bがスカイフック挙動することは不自然であり、車体Bが路面に追従して変位する挙動を取る方が望ましい。すなわち、これによる弾性エネルギは、低減すべきエネルギと考える。ただし、路面変位による弾性エネルギと車体慣性力による弾性エネルギとの違いは、車体慣性力の場合は慣性力が存在しない状態が復元すべき状態であるのに対し、路面変位の場合は、路面変位が存在する場合が復元すべき状態となる点である。
(b)路面変位が過渡的、又は、急峻な変化を持つ場合:このような路面では、車体Bはスカイフック挙動するべきである。従って、これによる弾性エネルギは低減すべきでない。スカイフック挙動によってサスペンションが路面変位を吸収し、車体Bへの振動伝達が防止されるので、乗り心地及び接地力の双方が改善される。ただし、この挙動は、後述するばね下振動エネルギを操作することによって得られるので、ばね上系では特に考慮する必要はない。
尚、本実施形態のように4輪の車両では、バウンス、ロール及びピッチの3自由度の車体姿勢が、4つのサスペンションで拘束される。このため、路面変位が定常的、持続的な場合であっても、例えば1輪にのみ路面変位が加わると、車体に加わる捩りが他の車輪に伝わり、4輪全ての接地力が変化する過拘束状態となる。理論的には、このような定常変位が生じる可能性もあるが、一般的な4輪車両で、このような過拘束状態が定常的に発生することは考えられない。そのため、ここでは、前記の過拘束状況は常に過渡的現象として発生するものと考え、定常現象としては扱わないことにする。
以上に基づき、車体に関し、低減すべきエネルギを数式で定義する。パラメータは、図2に示す車両モデルで定義する。車体B(ばね上系)に関しては、前記(2)(3)により、慣性力が存在せず、路面変位が存在する平衡状態下での振動現象を考える。
路面変位をqri、平衡状態におけるバウンス、ロール角、ピッチ角をそれぞれ、Z ̄、Φ ̄、Θ ̄とすると、各車輪のサスペンション力fi(i=1,2,3,4)は、式(1)で記述することができる。
但し、lbxiは、車体重心位置を原点としたサスペンション取り付け位置のx座標、lbyiは、車体重心位置を原点としたサスペンション取り付け位置のy座標、ksiはコイルばね4のばね定数、ktiはタイヤのばね定数である。
また、バウンス、ロール及びピッチの各方向の力の釣り合いは、式(2)〜(4)で記述することができる。
但し、mbは、車体Bの質量、hbはロールセンタからの車体重心高さ、gは重力加速度である。
Z ̄、sinΦ ̄、sinΘ ̄について、式(1)(2)を整理して解くことにより、Z ̄、Φ ̄、Θ ̄が得られる(式(5)参照)。但し、F1,F2,F3は、路面変位がサスペンション1を介して車体Bに与える力である(式(6)参照)。尚、Ki,jは、式(7)で与えられる。
次に、バウンス、ロール、及びピッチの各方向の車体振動エネルギEZ、EΦ、EΘはそれぞれ式(8)〜(10)で表される。ここで、Z、Φ、Θは、それぞれ現在のバウンス、ロール角、ピッチ角であり、Ibx、Ibyは車体の慣性モーメントである。また、KZ、KΦ、KΘはそれぞれ、バウンス、ロール、ピッチ方向の車体変位剛性であり、それぞれ式(11)で表される。このように車体振動エネルギは、車体Bの平衡状態からの振動エネルギと、前記車体Bの平衡状態が保持する弾性エネルギと、の和によって表される。
これに対し、車輪側(ばね下)のエネルギの各成分が低減すべきものか否かについては、以下のように考える。
(1)車輪3の振動エネルギは、乗り心地及び接地性の双方の観点から、低減すべきエネルギである。
(2)車体慣性力により車体Bが変位すると、それに伴って車輪位置(高さ方向)も変化する。サスペンション1の制御によって車体Bの変位を復元し、サスペンション1の弾性エネルギを解放しても、車輪3の位置とタイヤの弾性エネルギは基本的に変化しない。すなわち、このタイヤ残存エネルギは、サスペンション制御による低減が不可能であるため、低減すべきエネルギに含めて考えない。
(3)路面変位が定常的、又は、緩慢である場合に、車体Bが路面に追従する制御が行なわれるならば、路面変位による車輪挙動の弾性エネルギ変化は発生せず、考える必要がない。路面変位が過渡的、又は、急峻である場合には、乗り心地の観点からは車輪3はスカイフック挙動し、接地性の観点からは車輪3はグラウンドフック挙動することが理想的である。ここでは、両方を折衷した挙動を得るために、前記弾性エネルギは最小化すべきと考える。
(1)車輪3の振動エネルギは、乗り心地及び接地性の双方の観点から、低減すべきエネルギである。
(2)車体慣性力により車体Bが変位すると、それに伴って車輪位置(高さ方向)も変化する。サスペンション1の制御によって車体Bの変位を復元し、サスペンション1の弾性エネルギを解放しても、車輪3の位置とタイヤの弾性エネルギは基本的に変化しない。すなわち、このタイヤ残存エネルギは、サスペンション制御による低減が不可能であるため、低減すべきエネルギに含めて考えない。
(3)路面変位が定常的、又は、緩慢である場合に、車体Bが路面に追従する制御が行なわれるならば、路面変位による車輪挙動の弾性エネルギ変化は発生せず、考える必要がない。路面変位が過渡的、又は、急峻である場合には、乗り心地の観点からは車輪3はスカイフック挙動し、接地性の観点からは車輪3はグラウンドフック挙動することが理想的である。ここでは、両方を折衷した挙動を得るために、前記弾性エネルギは最小化すべきと考える。
以上により、ばね下系では、車体慣性力と路面変位との双方が存在する平衡状態からの振動現象を考える。車輪側のエネルギは式(12)で与えられる。尚、ここでは、慣性力による定常変位は低減すべきエネルギに含めないことから、サスペンション1の取付け点の変位は、qbi ̄ではなく、qbiとする。
このように各車輪3の振動エネルギは、各車輪3の平衡状態からの振動エネルギと、各車輪3の平衡状態が保持する弾性エネルギと、の和によって表される。
前記式(8)〜(12)より、振幅低減しなければならない振動量は、次の8種類である。
次に、これら8種類の振動を低減するための制御計算について述べる。ここでは、これら8種類の振動が最小となるように、PID制御により、電磁アクチュエータ2の制御を行うとする。この場合、式(8)〜(12)より、アクチュエータ2が発揮すべき制御力factiは式(13)で与えられる。
尚、式(13)において、バウンス、ロール、ピッチ方向の制御力は、図6(a)(b)(c)に示すように各アクチュエータ2に振り分ける。つまり、正のバウンス制御力を発生させるには、4つ全てのアクチュエータ2に正(伸び)の力を発生させる。また、正のロール制御力を発生させるには、左前輪及び左後輪のアクチュエータ2に正の力を発生させ、右前輪及び右後輪のアクチュエータ2に負の力を発生させる。さらに、正のピッチ制御力を発生させるには、左右前輪のアクチュエータ2に正の力を発生させ、左右後輪のアクチュエータ2に負の力を発生させる。
また、式(13)における、k及びKは全て、別途、最適値を決定すべき制御ゲインである。表1に、制御ゲインの一覧を示す。
式(13)中の、平衡状態におけるバウンスZ ̄、ロール角Φ ̄、ピッチ角Θ ̄はそれぞれ、例えば式(5)より得られる。尚、詳しくは後述するが、この実施形態に係るサスペンションの制御装置では、平衡状態におけるバウンスZ ̄、ロール角Φ ̄、ピッチ角Θ ̄を算出する式は、車両の走行状態等に応じて適宜変更されるように構成されている。
また、前述したように、各センサ11,12,13の検出値に基づいて、車体上下加速度qbi″、車輪の加速度qi″、路面変位qri(路面変位の検出については後述する)が得られる。式(14)に示す、車体上下加速度qbi″と、バウンス、ロール角、ピッチ角の各加速度Z″、Φ″、Θ″の関係を最小二乗法で解くことにより、各加速度Z″、Φ″、Θ″が得られ、それによって、各速度Z′、Φ′、Θ′及び現在値Z、Φ、Θが得られることになる。
(アクティブ・サスペンション・システムの制御)
次に、図7〜図10に示すフローチャートを参照しながら、前記コントローラ10による電磁アクチュエータ2,2,…の制御について説明する。先ず図7は、コントローラ10によるアクチュエータ制御のメインフローであり、スタート後のステップS11では、状態量検出部10a及び走行状態検出部10bにより各センサ11,12,13の検出値の入力処理を実行し、続くステップS12では、路面変位推定部10cにより路面変位推定処理を行う。そうして、ステップS13で、制御量演算部10d及び平衡状態・ゲイン設定部10eによりアクチュエータ2,2,…の制御量を算出する処理を行う。
次に、図7〜図10に示すフローチャートを参照しながら、前記コントローラ10による電磁アクチュエータ2,2,…の制御について説明する。先ず図7は、コントローラ10によるアクチュエータ制御のメインフローであり、スタート後のステップS11では、状態量検出部10a及び走行状態検出部10bにより各センサ11,12,13の検出値の入力処理を実行し、続くステップS12では、路面変位推定部10cにより路面変位推定処理を行う。そうして、ステップS13で、制御量演算部10d及び平衡状態・ゲイン設定部10eによりアクチュエータ2,2,…の制御量を算出する処理を行う。
路面変位推定処理は、図8に示すフローに従って行われる。このフローでは、アクチュエータの制御力factiを算出する際に必要となる路面変位qriを、車体B及び車輪3の挙動から推定するようにしている。
つまり、接地力friによる車輪3の挙動は、式(15)で記述できる。
また、サスペンション力fsusiと車輪3の挙動との関係は、式(16)で記述できる。
サスペンション力fsusiはまた、式(17)で記述できる。
路面変位qriは、式(15)〜(17)より得られる常微分方程式を解くことによって得られる。計算式の一例を式(18)に示す。この実施形態では、式(18)を用いて路面変位を算出する。
具体的に路面変位推定処理は、先ずステップS21で、前述したように、車体上下加速度センサ11及びサスペンションストロークセンサ12の検出値から得られる各車輪3の位置qiに基づいて、その積算値(∫qi)を算出する。続くステップS22では、車体上下加速度センサ11の検出値から得られる車体上下位置(サスペンション取付位部位の上下位置)qbiに基づいて、その積算値(∫qbi)を算出する。
ステップS23では、前回までの路面変位qriの積算値(∫qri)及び各アクチュエータ2の制御力factiの積算値(∫facti)をそれぞれ算出し、ステップS24では、前記ステップS21〜S23で算出した各値に基づいて、前述した式(18)により路面変位qriを算出する。
尚、路面変位の算出又は推定は、前記の手法に限るものではなく、適宜の手法を採用することが可能である。例えばセンシングによって路面変位を直接検出してもよいし、前記とは別の算出式を用いて路面変位を算出するようにしてもよい。
図9は、制御量算出処理のフローを示しており、先ずステップS31では、車両の各種の状態に従って、平衡状態・ゲイン設定部10eが、図10に示すフローチャートに従って、平衡状態の算出式、及び、制御則における制御ゲインの設定を行う。
具体的に、図10のフローにおけるステップS41では、車両状態検出センサ13としての舵角センサの検出値や、ヨーレートセンサの検出値等に基づいて、車両Aが旋回状態であるか否かを判定する。車両Aが旋回状態であるのYESのときにはステップS42に移行する一方、旋回状態でないのNOのときにはステップS43に移行する。
ステップS42では、車両Aの旋回状態時に、その車体に発生するロールを調整するために、車体Aの平衡状態の設定を、通常時における平衡状態の設定から変更する。具体的には式(19)によって、車体Bの平衡状態におけるバウンスZ ̄、ロールΦ ̄及びピッチΘ ̄をそれぞれ設定する。
ここで、MΦは車体のロール方向の慣性力である。つまり、平衡状態の算出式における外力項にロールモーメントを与える。また、c2は調整ゲインであり、このc2を適宜調整することによって、平衡状態におけるロール方向成分が調整される。このため、車体に発生するロールを制御することが可能になる。c2は、アクセル開度、スロットル開度、変速ギヤ比、車両前後加速度、及び舵角の少なくとも1に応じて設定すればよい。このように、旋回時に車体Bに発生するロールを制御することにより、コーナリングフォースを増大させることが可能になって、旋回性の向上を図ることができる。
尚、式(19)におけるZ〜(チルダ)、Φ〜、Θ〜はそれぞれ、路面凹凸等を考慮した補正項である(このことについては後述する)。尚、この補正項は省略することも可能である。
ステップS43では、発進時又は加速時であるか否かを判定する。発進時又は加速時であるのYESのときにはステップS44に移行する一方、発進時又は加速時でないのNOのときにはステップS45に移行する。
ステップS44では、発進時又は加速時に、その車体に発生するピッチを調整するために、式(20)によって、車体の平衡状態におけるバウンスZ ̄、ロールΦ ̄及びピッチΘ ̄をそれぞれ設定する。
MΘは車体のピッチ方向の慣性力であり、ここでは平衡状態の算出式における外力項にピッチモーメントを与える。また、c3は調整ゲインであり、このc3を適宜調整することによって、平衡状態におけるピッチ方向成分が調整される。c3は、アクセル開度、スロットル開度、変速ギヤ比、車両前後加速度、及び舵角の少なくとも1に応じて設定すればよい。c3を適宜調整することによって、車体Bに発生するピッチが制御されるため、例えばFF車の発進時や加速時には、前輪(駆動輪)の接地荷重を増大させることが可能になる。その結果、発進性及び加速性能を向上させることができる。
ステップS45では、勾配変化が比較的緩やかで大きいか否かを判定する。勾配変化が大きいのYESのときにはステップS46に移行する一方、勾配変化が大きくないのNOのときにはステップS47に移行する。この判定は、車両状態検出センサ13としての前方レーダ、前方カメラ、道路情報及び地図情報等に基づいて行うことが可能である。
ステップS46では、路面変位の内、比較的緩やかな凹凸や長い斜面等の、緩慢な変化については、サスペンション1がその路面変位を吸収する挙動をするのではなく、その路面に追従する挙動を取るようにして、路面の小さい凹凸に起因する車体の姿勢変化のみを制御の対象となるようにする。
具体的には、式(21)によって、車体の平衡状態におけるバウンスZ ̄、ロールΦ ̄及びピッチΘ ̄をそれぞれ設定する。
但し、FZはバウンス方向の車体慣性力であり、MΦ、MΘはそれぞれ、前述したようにロール方向及びピッチ方向の車体慣性力である。尚、これらの車体慣性力の項は、省略することも可能である。
また、補正項Z〜、Φ〜、Θ〜は、路面の小さい凹凸成分による車体の姿勢変化に対応する項である。式(21)により、車体Bの平衡状態として、この補正項を差し引いた平衡状態を設定することにより、路面の微少な凹凸に起因する車体の変位は生じなくなる。つまり、乗り心地の向上が図られる。
ここで、補正項Z〜、Φ〜、Θ〜は、次のようにして設定すればよい。つまり、図11に示すように、前方レーダ、前方カメラ、道路情報及び地図情報の少なくとも1により、比較的緩やかな勾配変化(地形変化)を予測・推定したときには(ブロックB3,B4)、その勾配変化に起因する車体変位を推定する(ブロックB5)。この推定した車体変化を、実際の路面変位による車体変位(ブロックB1,B2)から差し引くことによって、路面の小さい凹凸成分による車体変位成分のみが抽出され、補正項Z〜、Φ〜、Θ〜を設定することができる(ブロックB6)。
また、これとは異なり、例えば図12に示すように、実際の路面変位による車体変位(ブロックB11)から、高周波成分を抽出する(B12)ことによって、路面の小さい凹凸成分を抽出し、その成分に起因する車体変位を推定する(B13)ことによって、補正項Z〜、Φ〜、Θ〜を設定するようにしてもよい(B14)。
図10のフローのステップS47では、車両の走行状態が接地性を重視すべき状況であるか否かが判定され、接地性を重視すべきのYESのときにはステップS48に移行する一方、接地性を重視する必要がないのNOのときにはステップS410に移行する。
例えば路面μが低下しているときや、走行モードの設定により燃費重視走行を行うとき(接地性向上によりスリップ率を低下させて燃費の改善を図る)に、接地性を重視すべき状況であると判定すればよい。
尚、路面μの低下は、例えばタイヤのスリップ(回転方向)を検出した、ABSの作動を検出した、タイヤの横滑りを検出した、適宜のセンサ(雨滴センサ等)や道路情報から路面の湿潤、積雪、凍結を判断した、道路情報や地図情報から、未舗装道路等であることを検出したこと等に基づいて判断することが可能である。
また当該車両が、例えば電気自動車のような蓄電手段(バッテリ、コンデンサ等)の電力によって駆動力を得る車両である場合には、蓄電手段の蓄電量が低下していることや、蓄電手段の充放電効率が低下していることを、接地性を重視すべき状況に含めてもよい。これは、接地性を重視することでスリップ率を低下させ、それによって、無駄な電力消費を低減したエネルギー効率の良い走行にするためである。
ステップS48では、車輪3の平衡状態qi ̄を、路面勾配qriそのものに設定する。こうすることで、車輪3は路面形状に常に追従することになり、接地性が向上する。また、各車輪3がそれぞれ独立で路面形状に追従するため、各車輪3は常に一定の接地力になる。それによって、例えば4輪の内の1輪に対して路面変位が入力したとしても、全ての車輪3において同じ接地力が得られるため、接地力のアンバランスを防止することができる。
続くステップS49では、式(13)に示すPID制御則において、車輪3に係る制御ゲイン(ばね下制御ゲイン)kkp、kkd、kki、kep、ked、keiを調整する。ここで、式(13)に示すように、この制御則は、車体制御に係る項と、車輪制御に係る項との足し合わせで表されるため、それぞれのゲインを調整することで、接地性重視制御と、乗り心地重視制御とを切り替えることが可能である。ばね下制御ゲインの調整は、例えば図13に一例を示すマップに従って行えばよい。つまり、接地力が低いほど、換言すれば接地力を高める必要があるほど、ばね下制御ゲインを高める。
ステップS410では、通常時の制御として、式(5)により、車体Bの平衡状態を設定する。
図9のフローに戻りステップS32では、設定した車体B及び車輪3の平衡状態(Z ̄、Φ ̄、Θ ̄、qi ̄)、及び、各センサ11,12,13の検出値に基づいて、式(13)に従いフィードバック制御量(各アクチュエータ2の制御力facti)を算出し、続くステップS33で、予めコントローラ10に記憶されていると共に、例えば図14に一例を示すマップに基づいて、算出した制御力factiを、電磁アクチュエータ2のリニアモータに供給するモータ電流に換算する。そうして図示省略のドライバ回路を介して、モータ電流を電磁アクチュエータ2に供給することによって、電磁アクチュエータ2を駆動する。
このように、本実施形態に係るサスペンション制御装置によると、アクチュエータ2の制御則を、車体側及び車輪側のそれぞれについて、所定の外力を受けた状態における平衡状態を設定すると共に、バウンス、ロール及びピッチのそれぞれの方向についての車体Bの平衡状態からの振動エネルギ及び前記車体Bの平衡状態が保持する弾性エネルギ、並びに、前記各車輪3の平衡状態からの振動エネルギ及び各車輪3の平衡状態が保持する弾性エネルギ、を最小にするようなフィードバック制御則にしている。これにより、乗り心地制御と接地性制御とを、矛盾することなく合理的に統合させることができ、その結果、乗り心地の向上と接地性向上とを高次元で両立させることができる。
また、前記の制御則は、平衡状態からの振動エネルギ及び平衡状態が保持する弾性エネルギに基づいているため、その車体B又は車輪3の平衡状態を適宜設定することによって、サスペンション1の特性を調整することが可能である。その結果、サスペンション1の特性を車両の走行状態等に応じた特性にすることが可能になり、車両の挙動を常に最適化することができる。
以上説明したように、本発明は、乗り心地制御と接地性制御とを統合して、両者を高次元で両立させることができるから、サスペンションの制御装置として有用である。
1 サスペンション
10 コントローラ(制御手段)
11 加速度センサ(検出手段)
12 ストロークセンサ(検出手段)
13 車両状態検出センサ(検出手段)
2 アクチュエータ
3 ばね下部材(車輪)
3a タイヤ(車輪)
3b ホイール(車輪)
A 自動車
B 車体
10 コントローラ(制御手段)
11 加速度センサ(検出手段)
12 ストロークセンサ(検出手段)
13 車両状態検出センサ(検出手段)
2 アクチュエータ
3 ばね下部材(車輪)
3a タイヤ(車輪)
3b ホイール(車輪)
A 自動車
B 車体
Claims (6)
- サスペンション部材を介して車体に連結された各車輪に対し、少なくとも上下方向の制御力を付与するアクチュエータと、
車両の走行に関して各種の状態を検出する検出手段と、
前記車体及び各車輪の、所定の外力を受けた状態における平衡状態をそれぞれ設定すると共に、その平衡状態と前記検出手段による検出結果とに基づき、所定の制御則に従って前記各アクチュエータを駆動制御する制御手段と、を備え、
前記制御則は、バウンス、ロール及びピッチの3方向それぞれについての前記車体の平衡状態からの振動エネルギ及び前記車体の平衡状態が保持する弾性エネルギ、並びに、前記各車輪の平衡状態からの振動エネルギ及び各車輪の平衡状態が保持する弾性エネルギを最小にするようなフィードバック制御則である車両のサスペンション制御装置。 - 請求項1に記載の車両のサスペンション制御装置において、
前記制御手段は、前記各車輪の平衡状態を、当該各車輪に入力される路面変位に設定する車両のサスペンション制御装置。 - 請求項1に記載の車両のサスペンション制御装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が、前記車輪の接地性を高めるべき状況を検出したときには、前記フィードバック制御則において車輪に関係する制御ゲインを相対的に高める車両のサスペンション制御装置。 - 請求項1に記載の車両のサスペンション制御装置において、
前記制御手段は、車体の平衡状態として、路面の微少凹凸に起因する車体変位成分を差し引いた平衡状態を設定する車両のサスペンション制御装置。 - 請求項1に記載の車両のサスペンション制御装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が、前記車両が旋回することを検出したときには、前記車体の平衡状態として、ロール方向成分を調整した平衡状態を設定する車両のサスペンション制御装置。 - 請求項1に記載の車両のサスペンション制御装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が、前記車両が発進又は加速することを検出したときには、前記車体の平衡状態として、ピッチ方向成分を調整した平衡状態を設定する車両のサスペンション制御装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11938779B2 (en) | 2021-09-27 | 2024-03-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Behavior control device for vehicle |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS62295714A (ja) * | 1986-06-13 | 1987-12-23 | Nissan Motor Co Ltd | 車両用サスペンシヨン |
JP2004168148A (ja) * | 2002-11-19 | 2004-06-17 | Denso Corp | 車両制御装置 |
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-
2007
- 2007-09-19 JP JP2007241813A patent/JP2009073239A/ja active Pending
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