JP2009071497A - 無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 無線通信において、適切な方位にアダプティブアンテナの方位を制御し、通信の途絶を防ぎ、通信品質を最適にできる無線通信装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、アダプティブアンテナを用いた、移動変化又は姿勢変化可能な無線通信装置に関する。そして、通信相手装置との通信の品質を評価する品質評価手段と、上記品質評価手段を確認しながら、上記アダプティブアンテナに設定する方位を探索する方位探索手段と、当該無線通信装置の移動変化又は姿勢変化を検出する移動・姿勢変化センサと、上記移動・姿勢変化センサの検出出力に応じ、上記方位探索手段が探索した方位を追尾する方位追尾手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は無線通信装置に関し、例えば、MIMO(Multi−Input−Multi−Output)技術を用いた大容量通信や、移動体同士での通信(アドホック通信網を含む)での通信品質(通信速度やビット誤り率)を向上させようとしたものである。
移動体通信では、反射波による干渉で受信特性が劣化するフェージングと呼ばれる現象がしばしば発生する。これに対処するため、電磁波の送信方向や受信時のアンテナの指向性を制御するスマートアンテナと呼ばれる技術が開発されている。また、この技術を発展させ、反射を積極的に用い、複数のアンテナから同一周波数で別系列の信号を送受信することで大容量通信を実現するMIMOと呼ばれる技術が開発されている。
移動体通信におけるスマートアンテナ技術では、従来、基地局側では移動体を追跡してその方向に電磁波の向きを変えたり雑音を抑えるために不惑方向を変えたりする高度な技術であるビームフォーミング等を用いており、一方、端末側ではダイバシティと呼ばれる比較的簡易な技術が用いられてきた。
その理由として、基地局は移動しないため、電磁波のビーム方向の制御は、端末の移動方向を追跡してその方向に向けるだけで良いため、比較的容易に実現できることが挙げられる。また、基地局は、稼働台数が端末に比べて遥かに少ないので、多少価格が高くても使えることも挙げられる。
一方で、端末は、移動するだけでなく、端末の向きが大きく変化する可能性がある。携帯電話端末で通話中に顔の向きを変える0.1秒〜0.5秒で90度アンテナの向きが変わることもしばしばある。従って、端末側でビ−ムフォーミングを行う場合、端末の×YZ方向への移動に伴う基地局の見かけ方位の変化への対応(この変化は比較的小さいために追跡が容易)だけでなく、端末のXYZ軸回転による基地局の見かけ方位の急激な変化への対応(これは困難)が必要になる。ビームフォーミングを用いて強い指向性を持たせたアンテナで送受信すると、話者が顔の向きを変えた途端、通信途絶に陥る可能性がある。また、電波が弱い場所やビル等の反射が複雑な場所で端末がXYZ軸回転して基地局方位が急激に変化した場合も同様に通信途絶になる可能性がある。
そこで、端末側でのフェージング対策では、例えば、複数個の異なる指向特性を持ったアンテナを内蔵し、受信状態の良いアンテナに切り替える受信ダイバシティという原始的なアレイアンテナ技術を用いる場合が多い。この方法では、基地局方位の追尾という高度な操作が不要であり、電波強度が最強のアンテナや、誤り率が最小のアンテナから受信した信号を用いれば良い。国内のPDC(Personal Digital Cellular)携帯電話端末の中には、受信ダイバシティのために、ホイップアンテナ、ヘリカルアンテナ、本体内部の平面逆F字アンテナ(PIFA)の3個のアンテナを持つ端末が存在する。
しかしながら、端末側であっても、高度なスマートアンテナ技術を用いれば、通信品質をより高めることができる。
例えば、移動量や回転量が少ないテレビジョン受像機用のアンテナでは、アンテナの指向方向をシフトさせて、最適な方向を探す技術が存在する(特許文献1)。また、基地局の向きを探すのに、アンテナの指向方向をシフトさせて走査・探索するのではなく、GPSを用いる方法が提案されている(特許文献2)。
また、最も高度なスマートアンテナであるMIMOを用いた移動体端末も販売されている。MIMO技術に関しては、特許庁のWEBサイト(非特許文献1)に標準技術として記載されている。これによると、ビーム制御や到来波方向の推定、ダイバシティといった技術の適用が検討されている。
特開2006−013930 特表2004−514357 http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/mimo/mokuji.htm
MIMOを用いた移動体端末は、具体的には、無線LANを用いたノートパソコンであり、ノートパソコンの場合には、使用しながら移動することは少ない。テレビジョン受像機用のアンテナは、通常の受信時においては、移動量や回転量がごくごく少ない。そのため、これらの技術を、携帯電話端末のような移動量や回転量の変化が大きい端末のスマートアンテナ技術に適用するのは困難である。
特許庁のWEBサイトに標準技術として記載されているMIMO技術も、必ずしも移動体端末用の技術ではなく、携帯電話端末のような移動量や回転量の変化が大きい端末のスマートアンテナ技術にそのまま適用するのは難しい。例えば、現在検討が進められている4G携帯通信方式では、移動時の通信速度が100Mb/s、静止時の通信速度を1Gb/s程度を目指すとされており、移動時に伝送速度が落ちることが前提となっている。このような通信速度の変化にも容易に対応できることが望ましい。
上述のような移動体と基地局間の通信だけでなく、アドホック移動通信網など、移動体同士でネットワークを構成する場合も、端末の向きに応じた制御技術が必要である。
そのため、移動体端末と基地局や、移動体端末同士の通信において、適切な方位にアダプティブアンテナの方位を制御し、通信の途絶を防ぎ、通信品質を最適にできる無線通信装置が望まれている。
第1の本発明は、アダプティブアンテナを用いた、移動変化又は姿勢変化可能な無線通信装置において、(1)通信相手装置との通信の品質を評価する品質評価手段と、(2)上記品質評価手段を確認しながら、上記アダプティブアンテナに設定する方位を探索する方位探索手段と、(3)当該無線通信装置の移動変化又は姿勢変化を検出する移動・姿勢変化センサと、(4)上記移動・姿勢変化センサの検出出力に応じ、上記方位探索手段が探索した方位を追尾する方位追尾手段とを有することを特徴とする。
ここで、当該無線通信装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、上記位置情報取得手段が取得した位置情報を含め、上記通信相手装置がアンテナ方位の制御に利用する情報を、上記通信相手装置に送出する通信相手アンテナ制御利用情報送出手段とを有することが好ましい。
第2の本発明は、位置情報取得手段及び通信相手アンテナ制御利用情報送出手段を有する第1の本発明の無線通信装置を通信相手としている無線通信装置において、(1)通信相手の無線通信装置から与えられることがあり得るアンテナ方位の制御に利用する情報に応じた、当該無線通信装置からの最適な指向方位を決定できる情報を予め格納しているデータベース手段と、(2)通信相手の上記無線通信装置からアンテナ方位の制御に利用する情報が与えられたときに、上記データベース手段を検索して、当該無線通信装置からの最適な指向方位を決定する指向方位決定手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、移動体端末と基地局や、移動体端末同士の無線通信において、適切な方位にアダプティブアンテナの方位を制御し、通信の途絶を防ぎ、通信品質を最適にできる無線通信装置を提供できる。
(A)第1の実施形態
以下、本発明による無線通信装置を、移動体通信システムに適用した第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態における移動体端末の詳細構成を含む移動体通信システムを示すブロック図である。
図1において、移動体通信システム1は、基地局2及び第1の実施形態の移動体端末3を有する。基地局2は、既存の基地局であって良く、第1の実施形態は、移動体端末3の詳細構成が従来のものと異なっている。
移動体端末3は、無線通信における物理層の最下層の機能として、アレイアンテナ4、送信機能部5、受信機能部6及び共通制御機能部7を有し、また、それよりも上位の処理を行う上位レイヤ機能部8を有する。
アレイアンテナ4は、複数本(図1では4本のように示しているが、この本数に限定されるものではない)のアンテナ素子を配置したものであり、後述するようなアンテナ素子毎の振幅、位相制御によって、その指向方位を制御できるアダプティブアンテナ(スマートアンテナ)を構成するものとなっているものである。アレイアンテナ4の構成要素である各アンテナ素子は、移動体端末3の複数の面(例えば正面、右面、背面、左面、上面、下面の6面)のそれぞれに付けておくと、不感方位がなくなるのでより好適である。
なお、図1では、アレイアンテナ4は送受共用のものであるが、送信用のアレイアンテナと受信用のアレイアンテナとが別個に設けられていても良い。また、アレイアンテナ4の指向方位を制御するのに代え、又は、アレイアンテナ4の指向方位を制御するのに加え、アレイアンテナ4の不感方位を制御するようにしても良い。本明細書では、指向方位及び不感方位の制御や、不感方位の制御をも、指向方位の制御と呼ぶことにする。
図1では、送信機能部5、受信機能部6及び共通制御機能部7の詳細構成については、アレイアンテナ4の方位制御に関係する構成だけを記載している。そのため、データの圧縮、解凍構成や、デジタル変調、復調構成などは省略している。
送信機能部5は、送信信号をアレイアンテナ4の素子数分だけ分配する分配器10と、分配された送信信号のそれぞれの位相を、後述する制御部50からの指示に応じて移相させる可変移相器11と、分配された送信信号のそれぞれの振幅を、後述する制御部50からの指示に応じて変化させる振幅調整器12とを有している。アレイアンテナ4、分配器10、可変移相器11及び振幅調整器12によって、制御部50からの指示に応じて指向方位を変化させる送信系のアダプティブアンテナ(スマートアンテナ)が構成されている。なお、図1では、可変移相器11が振幅調整器12より前段に設けられているものを示したが、可変移相器11が振幅調整器12の後段に設けられているものであっても良い。また、可変移相器11及び振幅調整器12が、ソフトウェア構成によって実現されていて、振幅調整と移相とを並行的に実行するものであっても良い。
受信制御部6は、アレイアンテナ4における各アンテナ素子からの受信信号のそれぞれの振幅を、後述する制御部50からの指示に応じて変化させる振幅調整器30と、アレイアンテナ4における各アンテナ素子からの受信信号のそれぞれの位相を、後述する制御部50からの指示に応じて移相させる可変移相器31と、可変移相器31から出力されたアレイアンテナ4の各アンテナ素子からの受信信号を統合(合成)する加算器32と、加算器32からの統合受信信号に基づいて通信品質を計測する品質評価器33とを有している。アレイアンテナ4、振幅調整器30、可変移相器31及び加算器32によって、制御部50からの指示に応じて指向方位を変化させる受信系のアダプティブアンテナ(スマートアンテナ)が構成されている。なお、図1では、振幅調整器30が可変移相器31より前段に設けられているものを示したが、振幅調整器30が可変移相器31の後段に設けられているものであっても良い。また、振幅調整器30、可変移相器31及び加算器32が、ソフトウェア構成によって実現されていて、振幅調整と移相と、統合とを並行的に実行するものであっても良い。
品質評価器33は、アダプティブアンテナの指向方位を評価できる通信品質の値(品質評価値)を計測するものであり、例えば、ビットエラーレート(BER)などの誤り率を計測するものである。また例えば、品質評価器33による評価は、受信した信号のフレーム毎やパケット毎に誤り訂正符号を用いて行うこともできる。品質評価器33による品質評価値の信号は、制御部50に与えられるようになされている。
共通制御機能部7は、送信機能部5の可変移相器11や振幅調整器12に与える制御信号や、受信制御部6の振幅調整器30や可変移相器31に与える制御信号を形成する制御部50と、加速度センサ51とを有する。
加速度センサ51は、当該移動体端末3について定まっているローカルなXYZ方向の各方向に沿った加速度を検出するセンサ部分と、XYZ軸の各軸を中心とした角加速度を検出するセンサ部分とを備え、計測した瞬時加速度や瞬時角加速度を出力したり、計測した瞬時加速度や瞬時角加速度から得られるXYZ方向の各方向の移動量やXYZ軸の各軸回りの回転量を出力したりするものである。
制御部50は、品質評価器33による品質評価値や、加速度センサ51の出力に応じて、上述した各種の制御信号を形成するものである。制御部50による制御については、動作説明の項で明らかにする。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態における移動体端末3の動作、特に、アダプティブアンテナの制御動作(第1の実施形態のアンテナ制御方法)について、図2を参照しながら説明する。図2は、制御部50によるアンテナ方位の制御動作の流れの概要を示すフローチャートである。
以下では、制御部50が、当該端末3における受信方位と送信方位とを同じ方位に制御する場合(基地局2の送信先2Dが発信元2Sと同一の方位の場合)を説明する。
但し、送信先2Dと発信元2Sとが異なる方位の場合にも、第1の実施形態の方法を適用できる。受信方位の制御方法は、受信方位と送信方位とを同じ方位に制御する後述する場合と同様な方法である。送信方位の制御方法は、品質評価値を基地局2から送信させる点を除けば、受信方位と送信方位とを同じ方位に制御する後述する場合と同様な方法である。
例えば、移動体端末3の電源がオンされると、制御部50は、図2に示す制御動作を開始する。そしてまず、初期時の1回目の最適なアンテナ方位(第1の初期方位)を探索すると共に(S100)、そのときのローカルな(移動体端末3における加速度センサ51が有する)XYZ座標系を基準座標系として設定する(S101)。例えば、基地局2は、自己の管轄エリア内に存在する移動体端末3を把握するために、移動体端末3との間で、制御チャンネルを通じた通信を周期的に繰り返し実行する。制御部50は、このような通信時における受信品質を評価しながら、初期時の最適なアンテナ方位を探索する。探索方法は、既存のいかなる方法を適用しても良い。
なお、移動体端末3がGPS受信機能部を備え、電源オン時におけるGPS受信機能部の検出位置や加速度センサによる姿勢(加速度センサ51のXYZ座標系の絶対座標系に対する向き)を基準として、その後の位置や姿勢を把握するようにしても良い。
その後、制御部50は、所定時間を待って、初期時の2回目の最適なアンテナ方位(第2の初期方位)を探索し(S102)、また、加速度センサ51の出力に基づき、第1及び第2の初期方位を得た時間差におけるXYZ方向の各方向の移動量やXYZ軸の各軸回りの回転量を認識する(S103)。その後、基準座標系における基地局2の位置を推定する(S104)。
基地局2の位置の推定方法を、図3を参照しながら説明する。第1の実施形態では3次元上で基地局2の位置を推定するが、説明を簡単化するため、2次元上で説明する。
ある位置P0に位置していた移動対端末3が得た第1の初期方位が、その位置を原点としたXY座標系(基準座標系)で捉えてθ0であったとする。この方位θ0の情報だけでは、基地局2の位置を特定することができない。第2の初期方位の探索時には、第1の初期方位の探索時に比較し、移動対端末3がX方向にDX、Y方向にDYだけ移動して位置P1に移動していたとする。また、第2の初期方位の探索時には、第1の初期方位の探索時に比較し、移動対端末3の姿勢(XY座標系)の向きがθだけ回転し、その姿勢(XY座標系)の向きから見て第2の初期方位がθ1であったとする。仮に、移動対端末3の姿勢の向きが変化しておらず、移動だけの場合であれば、第2の初期方位はθ1+θとして検出されていた。また、X方向及びY方向の移動量から、第2の初期方位の探索時における、基地局2の位置P1の基準座標系における座標を特定することができる。既知の位置(原点)P0から方位θ0の方向の直線と、既知の位置P1から方位θ1+θの方向の直線との交点に基地局2が存在することになり、基地局2の位置を演算によって求める(推定する)ことができる。
図4(A)は、移動体端末3の姿勢(XY座標系)の向きだけを変えた場合を示しており、図4(B)は、移動体端末3の姿勢の向きを変えずに移動した場合を示している。前者の場合には、基地局2の位置を知らずとも、加速度センサ51の出力に応じて、姿勢の向きの変化後における最適方位を変更することができる。一方、後者の場合には、移動体端末3の移動量が同じでも、基地局2に近いときと遠いときでは、最適方位の変更量が異なり、基地局2の位置を知らなければ、後述するような最適方位を追跡することができない。
以上のようにして基地局2の位置を推定すると、制御部50は、指向方位を見直す次のタイミングを決定し(S105)、そのタイミングになるのを待ち受ける(S106)。このような待機時には、移動体端末3の電源がオフ操作されたかをも監視する(S107)。
移動体端末3の電源がオフ操作されたときには、図2に示す一連の処理を終了する。
図2のフローチャートは、音声通信の実行有無に拘わらず、制御部50によるアンテナ方位の制御動作の流れの概要だけを示している。最初にステップS105に移行してきたときには、音声通信が開始されていない待機状態であり、後述するように、その後、繰り返しステップS105が実行され、ステップ105の実行時には、音声通信が並行して実行されている通話状態もあれば、音声通信が実行されていない待機状態もある。待機状態に関して、指向方位を見直す次のタイミングまでの予め定めている時間は、通話状態に関して、予め定めている時間より長くなっている。また、適用している移動体端末3が、静止状態と移動状態とで音声通信に係る通信速度を切り替えるものであれば、移動状態に関して、指向方位を見直す次のタイミングまでの予め定めている時間を、静止状態に関して、予め定めている時間より長くしておく。
指向方位を見直す次のタイミングになると、制御部50は、前回の見直しタイミング(S104からS105に移行してきたときにはS104が実行されたタイミング)から今回の見直しタイミングまでの加速度センサ51の出力などに基づき、新たなアンテナの指向方位を決定する(S108)。例えば、前回の見直しタイミングにおける当該移動体端末3の位置及び姿勢に対し、加速度センサ51の出力を反映させて、今回の見直しタイミングにおける当該移動体端末3の位置及び姿勢を決定し、決定した当該移動体端末3の位置及び姿勢と、ステップS104で推定された基地局2の位置とから、新たなアンテナの指向方位を決定する。
制御部50は、新たなアンテナの指向方位を中心とした狭い範囲で指向方位を変動させながら最適な指向方位を探索し、最適な指向方位が探索されたときに、指向方位の変動を終了させ、最適な指向方位に固定させる(S109)。その後、ステップS105に戻り、指向方位を見直す次のタイミングを決定する。
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、移動体端末が強い指向性を有するアダプティブアンテナを有し、加速度センサの出力をも利用して、常に、指向性を最適な方位に維持(追尾)し続けて通信を行うことが可能となり、よりノイズやフェージングに強い通信が可能となる。
また、第1の実施形態によれば、基地局側に新たな設備を追加する必要はなく、送受信のプロトコル等、上位レイヤに手を加える必要もなく、単に、移動体端末側のエアインタフェースにだけ機能を追加すれば良く、このような僅かな追加機能により、移動体端末及び基地局の双方の受信感度を上げて、良好な通信が可能となる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明による無線通信装置を、移動体通信システムに適用した第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
(B−1)第2の実施形態の構成
図5は、第2の実施形態における移動体端末の詳細構成を含む移動体通信システム1Aを示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
図5において、第2の実施形態における移動体端末3Aは、2つの方位に対して並行して送受信できるものであり、一方の方位との通信系が現用系であり、他方との通信系が待機系(探索系)であるものである。移動体端末3は、待機系(探索系)での通信品質が現用系での通信品質より良い状況になると、待機系及び現用系の切替を実行するものである。
第2の実施形態における移動体端末3Aも、アレイアンテナ4、送信機能部5、受信機能部6、共通制御機能部7及び上位レイヤ機能部8を有する。アレイアンテナ4及び上位レイヤ機能部8は、第1の実施形態のものと同様である。
第2の実施形態の送信機能部5は、2系統の分配器10−1、10−2、可変移相器11−1、11−2及び振幅調整器12−1、12−2を有し、さらに、ダミー信号発生器13、切替器14及び合波器15を有する。
以下では、分配器10−1、可変移相器11−1及び振幅調整器12−1の構成部分を第1系統の送信指向調整構成と呼び、分配器10−2、可変移相器11−2及び振幅調整器12−2の構成部分を第2系統の送信指向調整構成と呼ぶ。第1系統及び第2系統の送信指向調整構成はそれぞれ、第1の実施形態の分配器10、可変移相器11及び振幅調整器12と同様なものである。
ダミー信号発生器13は、その時点で待機系(探索系)となっている通信系に対するダミーの送信信号(ダミー信号)を発生して切替器14に与えるものである。
切替器14には、上位レイヤ機能部8が出力した本来の送信信号も与えられる。切替器14は、制御部50の制御下で、第1系統及び第2系統の送信指向調整構成のうち、その時点で現用系の方には上位レイヤ機能部8が出力した送信信号を与え、その時点で待機系の方にはダミー信号発生器13が発生したダミー信号を与えるものである。
第1系統の送信指向調整構成によって指向調整がなされた、アレイアンテナ4のアンテナ素子数分の送信信号(本来の送信信号又はダミー信号)も、第2系統の送信指向調整構成によって指向調整がなされた、アレイアンテナ4のアンテナ素子数分の送信信号(ダミー信号又は本来の送信信号)も、合波器15に与えられる。合波器15は、第1系統及び第2系統の送信指向調整構成から与えられたアンテナ素子毎の送信信号を合波し、アレイアンテナ4の各アンテナ素子に与えるものである。
図5では、現用系の通信相手も待機系の通信相手も同一のように示しているが、現用系の通信相手と待機系の通信相手とが異なっていても良い。
第2の実施形態の受信機能部6は、2系統の振幅調整器30−1、30−2、可変移相器31−1、31−2、加算器32−1、32−2及び品質評価器33−1、33−2を有し、さらに、切替器34を有する。
以下では、振幅調整器30−1、可変移相器31−1及び加算器32−1の構成部分を第1系統の受信指向調整構成と呼び、振幅調整器30−2、可変移相器31−2及び加算器32−2の構成部分を第2系統の受信指向調整構成と呼ぶ。
アレイアンテナ4による受信信号は2分岐され、一方の受信信号が第1系統の受信指向調整構成に入力され、他方の受信信号が第2系統の受信指向調整構成に入力される。第1系統及び第2系統の受信指向調整構成はそれぞれ、第1の実施形態の振幅調整器30、可変移相器31及び加算器32と同様なものである。
第1系統の受信指向調整構成は上述した第1系統の送信指向調整構成に対応し、第2系統の受信指向調整構成は上述した第2系統の送信指向調整構成に対応する。従って、例えば、第1系統の送信指向調整構成が現用系、第2系統の送信指向調整構成が待機系であれば、受信側も、第1系統の受信指向調整構成が現用系、第2系統の受信指向調整構成が待機系となる。
品質評価器33−1は、第1系統の受信指向調整構成から出力された受信信号を評価するものであり、品質評価器33−2は、第2系統の受信指向調整構成から出力された受信信号を評価するものであり、両評価値信号は、制御部50に与えられるようになされている。なお、品質評価器を1個だけ用意し、この1個の品質評価器に、第1系統及び第2系統の受信指向調整構成からの受信信号を切り替えて入力するようにしても良い。
切替器34は、制御部50の制御下で、第1系統及び第2系統の受信指向調整構成のうち、その時点で、現用系の受信指向調整構成の受信信号を選択して、上位レイヤ機能部8に与えるものである。
第2の実施形態の共通制御機能部7も、制御部50及び加速度センサ51を有する。加速度センサ51は、第1の実施形態のものと同様である。
制御部50は、品質評価器33−1の評価値信号及び加速度センサ51の検出信号に基づいて、第1系統の送受信方位を第1の実施形態と同様にして制御すると共に、品質評価器33−2の評価値信号及び加速度センサ51の検出信号に基づいて、第2系統の送受信方位を第1の実施形態と同様にして制御するものである。これに加え、第2の実施形態の制御部50は、現用系及び待機系の見直しをも行うものである。制御部50は、例えば、所定周期で、品質評価器33−1の評価値信号と、品質評価器33−2の評価値信号とに基づき、待機系の通信品質が現用系の通信品質より良くなったか否かを確認し、待機系の通信品質が現用系の通信品質より良くなっていれば、切替器14及び切替器34に切替制御信号を送出して、今までの現用系を待機系に、今までの待機系を現用系に切り替えるものである。
なお、図5では、第1系統及び第2系統がいずれも現用系及び待機系となり得るものを示したが、これに代え、現用系の系統と、待機系の系統とを固定化させても良い。この場合には、切替器14及び切替器34を省略し、現用系の方位と待機系の方位とを切り替える際には、各系統の可変移相器11−1、11−2及び振幅調整器12−1、12−2に与える制御信号や、各系統の振幅調整器30−1、30−2及び可変移相器31−1、31−2に与える制御信号を交換させることになる。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態における移動体端末3Aの動作、特に、アダプティブアンテナの制御動作(第2の実施形態のアンテナ制御方法)について、図5を参照しながら説明する。
移動体端末3Aの電源がオンされると、制御部50は、最適な(最善の)方位を探索し、予め定められている初期時に現用系となる系統(ここでは第1系統とする)に対し、探索された最適な方位を設定させる。
なお、このような初期時の探索では、第1系統及び第2系統を共に探索に利用するようにしても良く、この場合において、探索範囲を第1系統及び第2系統で半分ずつ担当し、探索を高速にできるようにしても良い。
最適な方位の設定により、現用系の第1系統の送信方位調整構成には切替器14を介して上位レイヤ機能部8からの送信信号が与えられ、制御部50の制御下で、第1系統の送信方位調整構成によって、最適方位を達成するための移相制御や振幅調整が実行され、アレイアンテナ4から送信される。また、最適方位から到来した信号(受信信号)は、アレイアンテナ4によって捕捉された後、その最適方位を受信方位とするように振幅調整や移相制御が行われている現用系の第1系統の受信方位調整構成によって抽出され、切替器34を介して上位レイヤ機能部8に与えられる。
これ以降、制御部50は、現用系に対し、最適方位の追尾動作を実行させる。この追尾動作は、第1の実施形態と同様な方法である。この追尾動作では、第1の実施形態において説明したような最適方位の微調整(最適方位を中心とした狭い範囲の探索)も行う。
初期時の探索が終了し、待機系として動作を開始した第2系統の送信方位調整構成には、ダミー信号発生器13が発生したダミー信号が切替器14を介して与えられ、制御部50の制御下で、次善方位を探索するための移相制御や振幅調整が実行され、アレイアンテナ4から送信される。また、待機系の送信方位調整構成(第2系統の送信方位調整構成)が探索動作している方位から到来した信号(受信信号)は、アレイアンテナ4によって捕捉された後、その次善探索方位を受信方位とするように振幅調整や移相制御が行われている待機系の第2系統の受信方位調整構成によって抽出される。すなわち、制御部50は、待機系の送信方位調整構成及び受信方位調整構成に対しては、現用系が利用している方位の次に好適な(次善の)方位の探索を常時行い、適宜、次善方位を追尾するように制御する。
現用系の受信信号は、現用系の受信方位調整構成(当初は第1系統の受信方位調整構成)に対応する品質評価器(33−1又は33−2)によって評価され、待機系の受信信号は、待機系の受信方位調整構成(当初は第2系統の受信方位調整構成)に対応する品質評価器(33−2又は33−1)によって評価され、両評価値が制御部50に入力される。これにより、制御部50は、最善方位と次善方位との関係が逆転したか否かを判別し、最善方位と次善方位との関係が逆転した場合には、現用系及び待機系間の切替を実行する。
以降、制御部50は、現用系を用いた最善方位の追尾を伴う本来の通信と、待機系による次善方位の探索追尾とを繰り返し実行する。
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、以下の効果を奏することができる。すなわち、第2の実施形態によれば、移動体端末において、アダプティブアンテナの指向方位を最善方位に向けているときに、並行して次善方位を探索して追尾し、最善方位が大きく変わり、最善方位でなくなったときには、次善方位を最善方位に切り替えるようにしたので、アダプティブアンテナの指向方位を、常に最適な方位に維持し続けて通信を行うことが可能となる。ここで、次善方位の追尾も、加速度センサ51の出力を利用しているので、高い追尾精度を実現できる。
例えば、送受信系統が1系統であっても、僅かに方位をシフトして、より良い方位を探索することもできる。しかしながら、移動体端末がビルの谷間などを移動するような場合では、指向方位を大きく変えた探索をしないと、受信状況が極めて悪くなることがある。指向方位を大きく変えた探索を現用系の送受信系統を用いて行うと、使用中の通信チャネルでの送受信ができなくなる。そのため、第2の実施形態のように、待機系を利用して探索することが好ましい。
(B−4)第2の実施形態の変形実施形態
上記説明では、待機系が1つの場合を示したが、待機系が2以上あっても良い。例えば、次善方位を探索する第1の待機系と、次々善方位を探索する第2の待機系を設け、第1の待機系に現用系に切り替えた後、今までの現用系が探索を完了しないときに切り替えられた現用系の通信品質が劣化したときに、それまでの第2の待機系を現用系に切り替えるようにしても良い。
また、上記説明では(図5の場合)、現用系も待機系も同じ基地局2と異なる経路(例えば一方が反射経路)に係る方位を探索、追尾するものを示したが、待機系が、現用系と異なる基地局に係る方位を探索、追尾するものであっても良い。
さらに、上記説明では、待機系での方位の探索、追尾のために用いる送信信号(又は受信信号)が、現用系における本来の信号とは異なるダミー信号であるものを示したが、待機系も、現用系と同じ信号を適用するようにしても良い。
さらにまた、上記説明では、次善方位(待機系)の通信品質が最善方位(現用系)の通信品質より良くなると、直ちに、系統の切替を行うものを示したが、待機系の通信品質が良くても、待機系と現用系の評価値差が閾値より小さい場合、又は、待機系の評価値が良くなっている時間が所定時間を越えるまで、しばらくそのまま現用系を使用するというヒステリシスを持った切替アルゴリズムとするようにしても良い。例えば、通信方式によっては、方位が切り替わると、基地局との距離が変わり、受信データの位相がずれてスリップを起こしたり同一データを2重に受信したりする可能性があるので、待機系と現用系の評価値差がさほどなければ、頻繁に切り替えるよりそのまま現用系を使った方が良い場合もあり、このような場合には、ヒステリシスを持った切替アルゴリズムを適用することが好ましい。
ヒステリシスを持った切替アルゴリズムの適用有無に拘らず、現用系及び待機系の切替を実行した際には、データのスリップやデータの2重受信などが発生する。そのため、移動体端末(若しくは基地局)にバッファメモリを設け、バッファメモリへの書込みや読出しを制御して系統間でスムーズな切替を行うようにすることが好ましい。
上記説明では、現用系に係る方位の信号を選択するものを示したが、複数系統の受信信号から、他の方法によって、上位レイヤ機能部8に与える信号を得るようにしても良い。例えば、複数の指向方位からの受信信号を合成する方法を適用でき、また例えば、複数の指向方位からの受信信号の多数決によって、上位レイヤ機能部8に与える信号を得るようにしても良い。
例えば、合成方法であれば、N個の指向方位からの受信信号の中から通信品質が良好な指向方位の受信信号だけを合成するようにしても良い。より具体的には、N個の指向方位からの受信信号の中から、その受信信号のフレームやパケット毎に信号系列のブロックで誤り率が小さいアナログ信号強度だけを足し合わせ、閾値を従来のN倍として、受信データが1か0かを判定する方法を適用できる。
多数決を利用する場合においては、N個の方位から受信したN系統の受信信号に係るビットの中で、L個の系統が1と判定し、M個の系統が0と判定したとき、L>Mならばそのビットを1と判定し、L<Mならばそのビットを0と判定する(但し、L=Mのときは1又は0のうち予め定められたビット値と判定する)。無線通信では、通常、誤り検出(又は誤り訂正)符号を用いているので、あるビット列が、あるいは、フレームの1つが、正しい/誤っていると判定されれば、誤りのないビット列、又は、フレームを用いるだけで、多数決の必要はないと考える人が多いであろう。ここで、全系列の受信信号で、誤り訂正符号を用いても完全な訂正ができなかった場合も同じように考える人が多いであろう。この変形実施形態では、例えば、3系統全ての受信信号のあるビット列、あるいは、フレームで、誤り訂正を用いて復号した結果が、A系列=10110100、B系列=11010010、C系列=11100001と受信され、どこかに誤りがあることが判定された場合、各ピットの多数決を取り、11110000と判定する。一般に、誤り訂正符号では、誤りの個数がa個以下の場合に訂正が可能で、誤りがa+1個からa<bなるb個までの場合、訂正はできないが、誤りが含まれているか否かを判定する機能がある。上の例では、a=1、b=2の誤り訂正符号の場合を示している。このような誤りの存在が判定された誤り訂正が適用できない場合には、多数決の方法は有効である。
(C)第3の実施形態
次に、本発明による無線通信装置を、移動体通信システムに適用した第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
第1及び第2の実施形態は、移動体端末が自己のアダプティブアンテナの指向方位を自律的に制御するものであったが、この第3の実施形態は、移動体端末及び基地局が相互に、他方のアダプティブアンテナの指向方位に利用できる情報を提供しようとしたものである。
(C−1)第3の実施形態の構成
図6は、第3の実施形態における移動体端末及び基地局の詳細構成を含む移動体通信システム1Bを示すブロック図であり、上述した第1の実施形態に係る図1との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
図6において、第3の実施形態における移動体端末3Bは、アレイアンテナ4、送信機能部5、受信機能部6、共通制御機能部7、上位レイヤ機能部8及びマンマシンインタフェース部(以下、MMIFと略する)9を有する。アレイアンテナ4は、第1の実施形態のものと同様なものである。第1及び第2の実施形態の移動体端末3、3Aも、MMIF9を有していたが、特徴と無関係であったため、図示及びその説明を省略していた。
第3の実施形態の場合、MMIF9は、基地局2Bとの本来の音声信号を捕捉したり、音声信号を発音出力したりする機能だけでなく、当該移動体端末3Bを継続して最適方位に向けたり、当該移動体端末3Bと基地局2Bとの継続した通信を確保したりするために必要な情報(データ信号)を、音声出力又は表示出力で利用者に提供したり、利用者の入力操作に係る情報(データ信号)を取り込んだりするものである。データ信号は、例えば、電子メールやWebデータなどである。
第3の実施形態の上位レイヤ機能部8は、本来の送信信号である音声信号に加え、基地局2Bにおけるアダプティブアンテナの指向方位の制御に必要なデータ信号をも、送信機能部5に与えるものである。上位レイヤ機能部8が送信機能部5に与えるデータ信号は、MMIF9からのデータ信号、あるいは、制御機能部7からのデータ信号である。
また、上位レイヤ機能部8は、受信機能部6から与えられた音声信号をMMIF9に発音出力させるために与え、受信機能部6から与えられたデータ信号をMMIF9や共通制御機能部7に与えたりするものである。
上位レイヤ機能部8は、送信信号や受信信号が音声信号かデータ信号であるかによって、上述したような入出力を変更するような処理を行うものである。また、上位レイヤ機能部8は、音声信号に対しては符号化や復号処理などを適宜行うものである。さらに、上位レイヤ機能部8は、送信信号や受信信号について、パケット又はフレームの組立てや分解などの処理を行うものである。
送信機能部5は、第1の実施形態と同様なものであり、送信方位の調整処理を実行するものである。
また、受信機能部5は、第1の実施形態と同様なものであり、受信方位の調整処理を実行するものである。
第3の実施形態の共通制御機能部7は、制御部50、加速度センサ51、気象環境検出センサ52、GPS受信機能部53及び位置通知機能部54を有する。
加速度センサ51は、第1の実施形態と同様なものである。但し、第3の実施形態の場合、GPS受信機能部53を有するので、加速度センサ51は、当該移動体端末3Bについて定まっているローカルなXYZ方向の各方向に沿った加速度を検出するセンサ部分を備えず、XYZ軸の各軸を中心とした角加速度を検出するセンサ部分だけを備えるものであっても良い。
気象環境検出センサ52は、気象や周囲環境を検出するセンサ又はセンサ群である。気象環境検出センサ52としては、気温センサ、湿度センサ及び気圧センサの3種類の全て又は一部を適用することができる。気象環境検出センサ52による検出信号も制御部50に与えられるようになされている。
GPS受信機能部53は、複数のGPS衛星の送信電波に基づき、当該移動体端末3Bの位置情報(経度・緯度・高度情報)を得るものである。位置通知機能部54は、GPS受信機能部53が得た位置情報を、対向する基地局2Bに通知するために位置情報に変換するものである。
なお、対向する基地局2Bに通知する位置情報として、GPS受信機能部53からの出力に基づいたものを適用するのに代え、ワイヤレスLANやワイヤレスPAN(personal area network)でのエリア情報も用いるようにしても良い。
制御部50は、第1の実施形態と同様に、送信方位や受信方位を調整するための、送信機能部5及び受信機能部6に対する制御信号を形成するものである。この第3の実施形態の場合、制御部50は、上位レイヤ機能部8から受信したデータ信号が与えられるようになされており、必要に応じて、そのデータ信号に基づいた情報を、上位レイヤ機能部8を介してMMIF9に与えて利用者に提示するものである。また、制御部50は、基地局2Bのアダプティブアンテナの指向方位を最適化するのに必要な情報を含むデータ信号を形成して、上位レイヤ機能部8を介して送信機能部5に与えるものである。制御部50の機能の詳細については、後述する動作説明の項で明らかにする。
第3の実施形態の場合、基地局2Bも、既存のものとは異なる詳細構成を有している。基地局2Bは、アレイアンテナ70、送信・受信機能部71、制御部72、データベース73及び上位レイヤ機能部74を有する。
アレイアンテナ70は、複数のアンテナ素子が所定位置に配置されたものであり、それら各アンテナ素子への送信信号の位相や振幅を制御したり、各アンテナ素子が捕捉した信号(受信信号)に対する振幅や位相を制御したりすることにより、送信方位や受信方位を調整可能なものである。
送信・受信機能部71は、送信機能部と受信機能部とでなり、送信機能部は、移動体端末3B側の送信機能部5と同様に、分配器、可変移相器及び振幅調整器を備えて、制御部72の制御下で送信方位を調整できるものであり、受信機能部は、移動体端末3B側の受信機能部6とほぼ同様に、振幅調整器、可変移相器、加算器及び品質評価器を備えて、制御部72の制御下で受信方位を調整できるものである。なお、受信機能部は、品質評価器を省略したものであっても良い。
上位レイヤ機能部74は、送信・受信機能部71から与えられた受信信号のうち、音声信号は、移動体端末3Bの通信相手に応じた装置に転送するものであり、移動体端末3Bの通信相手に応じた装置が送出し、当該基地局3Bに到来した音声信号を送信・受信機能部71に与えるものである。また、上位レイヤ機能部74は、送信・受信機能部71から与えられた受信信号のうち、データ信号を制御部72に引き渡すものであり、制御部72から与えられたデータ信号を送信・受信機能部71に引き渡すものである。
制御部72は、後述の動作説明の項で説明するようにして、データベース73の格納内容を参照しつつ、移動体端末3Bとの通信方位(送信方位及び受信方位)を決定して、その決定方位に応じた制御信号を送信・受信機能部71に応じて、決定した送信方位及び受信方位を実現させるものである。なお、制御部72は、端末位置・方位状況対応機能部80や気象環境対応機能部81を備え、端末位置・方位状況対応機能部80は、移動体端末3Bから通知された位置や方位の情報に対応した制御動作を行い、気象環境対応機能部81は、移動体端末3Bから通知された気象環境情報に応じた制御動作を行うものである。制御部72は、適宜、データベース73に対する格納動作も実行するものである。
データベース73は、後述するような情報(図8参照)を格納しているものであり、制御部72が当該基地局2Bの通信方位を決定する際に参照されるものであり、また、移動体端末3Bの将来的な通信方位に関係するデータ信号などを制御部72が形成する際に参照されるものである。
(C−2)第3の実施形態の動作
次に、第3の実施形態における移動体端末3B及び基地局2Bの動作、特に、アダプティブアンテナの制御動作について、図7のシーケンス図を参照しながら説明する。
移動体端末3Bは、本来の送信信号である音声信号に加え、基地局2Bにおけるアダプティブアンテナの制御動作(指向性の制御動作)に必要なデータ信号を、例えば、所定周期で基地局2Bに対して送信する(S200)。
ここで、送信するデータ信号は、GPS受信機能部53が得て位置通知機能部54が通知用に整理した移動体端末3Bの現在位置の情報(例えば、経度、緯度及び海抜からの高さでなる)、移動体端末3Bの制御部50が送信機能部5及び受信機能部7に指示している方位の情報(例えば、現在位置を原点とし、経度、緯度及び高さ方向をXYZ軸方向とした各軸に投影した角度でなる)、加速度センサ51が得た移動体端末3Bの移動方向の情報、気象環境検出センサ52が得た気象や周囲環境の情報(例えば、気温、湿度及び気圧)などが含まれる。なお、加速度センサ51が得た移動体端末3Bの姿勢(向き)の情報(例えば、経度、緯度及び高さ方向に沿ったXYZ軸方向を基準とした、加速度センサ51のXYZ方向との関係の情報)もデータ信号に含めるようにしても良い。
基地局2Bにおいては、このようなデータ信号は、上位レイヤ機能部74を介して制御部72に与えられる。
制御部72は、受信したデータ信号に応じた方位に、当該基地局3Bのアレイアンテナ70に指向性を制御する(S201)。例えば、当該基地局2Bの位置から、移動体端末3Bの通知された位置を直線的に結ぶ方位を指向させる。又は、移動体端末3Bが指向している方位の逆向きを指向させる。
また、受信したデータ信号の所定の項目情報を整理し、内蔵するタイマが計時した現在時刻も対応付けてデータベース73に格納させる(S202)。図8は、この場合の格納内容(1レコードの各フィールド)例の説明図である。1レコードは、移動体端末3Bの位置と、移動体端末3B側の指向方位、移動体端末3Bへのアレイアンテナ70の向き(当初は空白であり、ステップS203の処理によって書き込まれる)と、現在時刻(日時情報を含む)と、気象や周囲環境の情報と、品質評価値(当初は空白であり、ステップS203の処理によって書き込まれる)などでなる。
その後、制御部72は、受信したデータ信号に応じた方位が妥当か否かの見直しを行う(S203)。移動体端末3Bからの送信電波が、建物などによって1回以上反射されて当該基地局2Bに到達する方位を、移動体端末3Bが最適方位と判定していることがあり得る。従って、当該基地局2Bの位置から、移動体端末3Bの通知された位置を直線的に結ぶ方位や、移動体端末3Bが指向している方位の逆向きの方位が、基地局3Bからの最適方位とは限らず、受信したデータ信号に応じた方位が妥当か否かの見直しが必要となる。
制御部72は、例えば、移動体端末3Bの位置がほぼ同じ位置(例えば、距離が10m以内)で、移動体端末3Bの向きがほぼ同じで、格納された時刻がほぼ同様(前後30分程度)で、しかも、気象や周囲環境の情報も同様な(気温差などが所定範囲内)なレコードの情報を最新側から全て又は所定数だけ取り出し、それらレコードの移動体端末3Bへのアレイアンテナ70の向きの平均と、ステップS201による指向方位との一致性を判断する。相違が所定範囲内であれば、一致しているとして向きを変更することなく、データベース73の該当レコードにおける「移動体端末3Bへのアレイアンテナ70の向き」のフィールドにステップS201による指向方位を書き込み、そのときの品質評価値も取り込んでデータベース73の該当レコードの品質評価値のフィールドに書き込む。
これに対して、データベース73から取り出した蓄積レコードの移動体端末3Bへのアレイアンテナ70の向きの平均と、ステップS201による指向方位とが一致していない場合であれば、制御部72は、送信・受信機能部71を制御して、両方の向きを指向させながら品質評価値を取り込み、好ましい向きを確認する。そして、品質が良好な向きに方位を決定すると共に、その向きの情報を、「移動体端末3Bへのアレイアンテナ70の向き」のフィールドに書き込み、併せて、品質評価値も書き込む。
例えば、ビルが新たに建築されたりビルが取壊しされたりした場合などでは、電波環境が大きく変化する。この場合には、過去の向きの平均より、ステップS201による新しい指向方位が好適と判断されることが多くなる。この場合には、「移動体端末3Bへのアレイアンテナ70の向き」のフィールドにステップS201による新しい指向方位を書き込むだけでなく、データベース73から、平均に供した過去のレコードを消去するようにしても良く、また、消去するのではなく、平均を求める際に、小さな重み付けを付与するようにマークを付けるようにしても良い。
なお、上述したようにして、同様な状況の過去の蓄積レコードを取り出そうとしたが、該当する蓄積レコードがなければ、ステップS201による指向方位による品質評価値が閾値以上であることを確認し、確認できない場合に探索を行うようにする。
制御部72は、受信したデータ信号に応じた方位が妥当か否かの見直しを行った後には、移動体端末3Bに通知すべき情報があるか否かを確認し、移動体端末3Bに通知すべき情報があれば、移動体端末3Bに通知すべき情報を含むデータ信号を形成して上位レイヤ機能部74に引き渡して移動体端末3Bに送信させる(S204)。
移動体端末3Bに通知すべき情報としては、例えば、基地局2Bが、移動体端末3Bから通知された指向方位の逆向き以外の方位を最適方位とした場合において、その方位情報を挙げることができる。また例えば、現在位置から所定範囲(例えば半径50m以内)において品質評価値が最も高い位置を、データベース73の格納情報から検索し、その位置が、通信品質が良好な近傍位置であることを通知する情報を挙げることができる。また、データベース73に、通信評価値が非常に低い位置(レコード)や、ハンドオーバが過去に起こった位置(レコード)にマークを付与しておき、現在位置がそれら位置に近い場合や、現在位置と移動方向とを考慮すると、それら位置を通過する場合に、通信が低下したり途絶えたりする恐れがあることを通知する情報を挙げることができる。
移動体端末3Bの制御部50は、上位レイヤ機能部8から、基地局2Bが送信したデータ信号が与えられると、そのデータ信号の内容に係る制御動作を実行する(S205)。例えば、基地局2Bが、移動体端末3Bから通知された指向方位の逆向き以外の方位を最適方位とした旨の通知を受信した場合には、その方位に対応するように指向方位を変更するようにしても良く、又は、当該移動体端末3Bが選択している方位と、基地局2Bから通知された方位の逆向き方位とのどちらが品質評価値が高いかを再度確認するようにしても良い。また、利用者向けの通知内容であれば、上位レイヤ機能部8を介してMMIF9を動作させて通知内容を利用者に通知する。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、以下の効果を奏することができる。すなわち、第3の実施形態によれば、基地局におけるアダプティブアンテナの方位を最適な方位に向けることができ、また、移動体端末も、基地局からの通知に基づいて、アダプティブアンテナの方位を見直すことができる。基地局から移動体端末に、良好な通信を行うための付近情報を通知し、アダプティブアンテナを好適な方位に設定することができる。さらに、通信状況が悪化しそうな場合に、これを回避させる情報を事前に利用者に提供することができる。
(C−4)第3の実施形態の変形実施形態
上記説明では、第1の実施形態をベースにし、第3の実施形態を説明したが、第2の実施形態の現用系に関し、第3の実施形態の技術思想を適用するようにしても良い。
移動体端末の位置情報の取得方法は上述したもので限定されず、既存のいかなる方法を適用しても良い。例えば、位置が既知の複数の基地局からの電波強度(距離に応じている)によって移動体端末の位置を推定するようにしても良い。
上記説明では、データベース73のデータが階層化やグループ化されていないものを示したが、階層化やグループ化を行っておくようにしても良い。例えば、移動体端末の姿勢によって、複数のグループに分け、与えられた移動体端末の姿勢によって検索するグループを決定した後、そのグループ内のレコードを対象として検索するようにしても良い。また、基地局に収容されている若しくは音声通信を実行している移動体端末の数でグループ化するようにしても良く、また、1セルを複数のサブエリアに分割したときのサブエリア毎の端末数の組み合わせでグループ化するようにしても良い。さらには、1個の基地局だけでなく、周辺の基地局における移動体端末数の情報も、グループ分けに利用するようにしても良い。すなわち、付近の移動体端末や基地局の配置などに応じて、基地局方位を決定することができ、移動体端末の方位に反映させるようにステップも良い。
上記説明とは異なり、移動体端末は、基地局から方位が通知されたときには、その方位に応じて、当該移動体端末の方位を制御するようにしても良い。
上記では、基地局が、データ信号を介して利用者に通知する情報を移動体端末に与えるものを示したが、予め通知用の音声信号を複数用意しておき、該当する音声信号を移動体端末に送信して利用者に通知するようにしても良い。通信が途絶える位置がすぐ近くにあることを、例えば、『通話が切れそうです。少し右に移動して下さい』と音声で通知するようにしても良い。また例えば、通信が途絶えた後でも、利用者が参照できるように情報を提供するようにしても良い。例えば、地図(地図データ)上に、通信を良好に実行できる箇所(データベース73の格納情報から得る)を示すマークや色分けを行った表示データ(例えば電子メール)を送信し、通信が途絶えた後でも、その表示データを再表示可能な形態で情報を提供するようにする。このような機能を設けた場合には、山間部や過疎地帯、ビルの内部や谷間、地下街等での移動体端末の利便性を高めることができる。
上記では、移動体端末から基地局へ、移動体端末の位置(及び移動方向)を通知するものを示したが、予定経路情報を通知するようにしても良い。例えば、移動体端末がナビゲーション機能を有する場合、利用者が、どこへどの経路で向かうのかを入力し、移動体端末は、その予定経路情報を基地局に送り、基地局は、移動体端末が、通信が途絶える地点を通過すると予想される場合には、事前に移動体端末にその情報を通知したり、通信の途絶えや品質劣化を防ぐ他の経路を指示したりするようにしても良い。また、これらの予定経路情報などをハンドオーバ制御に用い、通信品質が閾値以下となる地点の前の地点などでハンドオーバを実行させ、最適な通信環境を提供するようにしても良い。
上記では、データベースを基地局が有するものを示したが、複数の基地局が利用可能なように、基地局の上位局がデータベースを有し、基地局がそのデータベースをアクセスし、必要な情報を検索したり取り出したりするようにしても良い。また、移動体端末が基地局から通知された情報や、自己が過去に品質評価した際の情報などを格納したデータベースを備え、通信が途絶える地点にもうすぐ達するような警告情報を、このデータベースの格納内容に基づき、形成するようにしても良い。
(D)第4の実施形態
次に、本発明による無線通信装置を、移動体通信システムに適用した第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
既述した第1〜第3の実施形態は、移動体端末が基地局のみと通信し得るものであった。第4の実施形態は、図9に示すように、移動体端末MS1が他の移動体端末MS2とも通信できると共に、基地局BSとも通信できるものである。例えば、図10に示すような、移動体端末が、種々のネットワークの基地局と直接又は他の移動体端末を介して通信するようなネットワークに対し、第4の実施形態は適用可能である。なお、中継動作する端末又は基地局との通信相手の端末のうち、一方は固定端末であっても良い。
図11は、第4の実施形態における移動体端末及び基地局の機能的な構成を含む移動体通信システム1Cを示すブロック図であり、上述した第3の実施形態に係る図6との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。図11では、同様な構成を有する2つの移動体端末3C−1、3C−2に関し、一方の移動体端末3C−1を、基地局2Cとの通信相手として記載し、他方の移動体端末3C−2を、移動体端末3C−1及び基地局2C間の通信を中継するものとして記載している。
中継動作する移動体端末3C−2は、第3の実施形態で言及した構成に加え、情報転送機能部90及び端末間通信用アンテナ方位最適化機能部91を有する。また、基地局2Cの制御部72は、端末間通信最適化指示機能部82を有する。なお、第4の実施形態の場合、基地局2Cのデータベース73には、移動体端末3C−1及び3C−2の通信で、各端末のアンテナ方位を最適化するに必要な後述するような情報も格納されている。
移動体端末3C−1は、近傍の探索によって中継に用いる移動体端末3C−2を定めた場合や、基地局2Cが中継する移動体端末3C−2を定め、それを通知してきた場合には、第1の実施形態と同様にして、中継移動体端末3C−2との最適方位を探索し、追尾動作する。また、例えば、所定周期で、当該移動体端末3C−1の位置や姿勢などを含むデータ信号を、基地局2Cに向けて送信する。
なお、移動体端末3C−1は、移動体端末3C−2から、現在の位置、姿勢等を取得し、最適方位の決定に反映させるようにしても良い。例えば、当該移動体端末3C−1の現在位置から、移動体端末3C−2の現在位置を結ぶ方向を、初期方位として最適方位を探索するようにしても良い。
移動体端末3C−2は、複数のアレイアンテナを有して、あるアレイアンテナを移動体端末3C−1との通信に適用すると共に、他のアレイアンテナを基地局2Cとの通信に適用するものであっても良く、また、1つのアレイアンテナを有し、移動体端末3C−1との通信、及び、基地局2Cとの通信に、その1つのアレイアンテナを時分割で利用するものであっても良い。
情報転送機能部90は、移動体端末3C−1から到来した基地局2C宛ての信号(音声信号及びデータ信号)を基地局2Cに転送すると共に、基地局2Cから到来した移動体端末3C−1宛ての信号(音声信号及びデータ信号)を移動体端末3C−1に転送するものである。
中継動作する移動体端末3C−2は、基地局2Cに対する方位の制御として、第3の実施形態と同様な最適方位を実現する動作を行う。また、移動体端末3C−2の端末間通信用アンテナ方位最適化機能部91は、第1の実施形態と同様にして、移動体端末3C−2との通信における最適方位を探索し、追尾動作する。また、例えば、所定周期で、当該移動体端末3C−2の位置や姿勢などを含むデータ信号を形成する。移動体端末3C−2の端末間通信用アンテナ方位最適化機能部91は、移動体端末3C−1から与えられた移動体端末3C−1の位置や姿勢などを含むデータ信号と、移動体端末3C−2について形成したデータ信号とをまとめて基地局2Cに送信する。
なお、移動体端末3C−2も、移動体端末3C−1から、現在の位置、姿勢等を取得し、最適方位の決定に反映させるようにしても良い。例えば、当該移動体端末3C−2の現在位置から、移動体端末3C−1の現在位置を結ぶ方向を、初期方位として最適方位を探索するようにしても良い。
基地局2Cの端末間通信最適化指示機能部82は、データベース73の格納内容を参照しつつ、移動体端末3C−1における移動体端末3C−2との通信における最適方位と、移動体端末3C−2における移動体端末3C−1との通信における最適方位とを決定し、決定した最適方位を、それぞれの移動体端末3C−1、3C−2に通知する。
第3の実施形態の場合、データベース73の1レコードには1つの移動体端末の情報だけが含まれていたが、第4の実施形態の場合において、中継転送に係る1レコードには、2つの移動体端末の情報(位置や姿勢など)を含み、過去の蓄積レコードの参照は、今回の2つの移動体端末の情報を参照して検索され、最適方位の決定がなされる。その他は、第3の実施形態の場合とほぼ同様である。
移動体端末3C−2との通信における最適方位が通知された移動体端末3C−1は、第3の実施形態の、基地局との最適方位が通知された移動体端末と同様な動作を行い、移動体端末3C−1との通信における最適方位が通知された移動体端末3C−2(の端末間通信用アンテナ方位最適化機能部91)は、第3の実施形態の、基地局との最適方位が通知された移動体端末と同様な動作を行う。
なお、図10に示すように、移動体端末が多段に中継するものであっても良い。また、1つの移動体端末の中継を実行するものであっても良い(このような移動体端末は物理的に複数のアレイアンテナを備えていても良い)。
このような場合であっても、移動体端末間の最適方位の探索は、第1の実施形態と同様であり、最終的に、基地局がそれら移動体端末間の最適方位を決定する方法は、上述した通りである。
第4の実施形態によれば、既述した各実施形態と同様な効果に加え、端末間の通信においても最適なアンテナの指向方位をとることができ、良好な通信を維持することができる。また、各移動体端末が、複数の移動体端末又は基地局と通信することができ、大容量の通信方式を実現することができる。
第1の実施形態における移動体端末の詳細構成を含む移動体通信システムを示すブロック図である。 第1の実施形態の制御部によるアンテナ方位の制御動作の流れを示すフローチャートである。 第1の実施形態の移動体端末における基地局位置の推定方法を示す説明図である。 第1の実施形態の移動体端末が基地局位置を推定する必要がある理由の説明図である。 第2の実施形態における移動体端末の詳細構成を含む移動体通信システムを示すブロック図である。 第3の実施形態における移動体端末及び基地局の詳細構成を含む移動体通信システムを示すブロック図である。 第3の実施形態における移動体端末及び基地局のアンテナ制御動作を示すシーケンス図である。 第3の実施形態における基地局内のデータベースのレコード構成例を示す説明図である。 第4の実施形態における移動体端末、基地局の通信可能な関係の説明図である。 第4の実施形態を適用可能なネットワークの一例を示すブロック図である。 第4の実施形態における移動体端末及び基地局の詳細構成を含む移動体通信システムを示すブロック図である。
符号の説明
1、1A、1B、1C、1D…移動体通信システム、2、2B、2C…基地局、3、3A、3B、3C−1、3C−2…移動体端末、4…アレイアンテナ、5…送信機能部、6…受信機能部、7…共通制御機能部、8…上位レイヤ機能部、9…MMIF、70…アレイアンテナ、71…送信・受信機能部、72…制御部、73…データベース、74…上位レイヤ機能部、90…情報転送機能部、91…端末間通信用アンテナ方位最適化機能部。

Claims (11)

  1. アダプティブアンテナを用いた、移動変化又は姿勢変化可能な無線通信装置において、
    通信相手装置との通信の品質を評価する品質評価手段と、
    上記品質評価手段を確認しながら、上記アダプティブアンテナに設定する方位を探索する方位探索手段と、
    当該無線通信装置の移動変化又は姿勢変化を検出する移動・姿勢変化センサと、
    上記移動・姿勢変化センサの検出出力に応じ、上記方位探索手段が探索した方位を追尾する方位追尾手段と
    を有することを特徴とする無線通信装置。
  2. 上記アダプティブアンテナは、アレイアンテナと、上記アレイアンテナの各アンテナ素子に係る信号の振幅及び位相を制御するアンテナ素子信号制御部とでなることを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
  3. 上記品質評価手段、上記方位探索手段及び上記方位追尾手段でなる処理系統を複数備え、
    少なくとも1処理系統で通信させつつ、残る処理系統に、同一の通信相手装置との通信における、次善のアンテナの方位を探索させると共に、各処理系統の上記品質評価手段の出力に応じて、通信に供している少なくとも1処理系統を見直す複数系統制御手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
  4. 当該無線通信装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
    上記位置情報取得手段が取得した位置情報を含め、上記通信相手装置がアンテナ方位の制御に利用する情報を、上記通信相手装置に送出する通信相手アンテナ制御利用情報送出手段と
    を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無線通信装置。
  5. 上記通信相手アンテナ制御利用情報送出手段は、上記移動・姿勢変化センサが検出した情報をも、上記通信相手装置に送出することを特徴とする請求項4に記載の無線通信装置。
  6. 当該無線通信装置が移動体端末であり、上記通信相手装置が基地局であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無線通信装置。
  7. 当該無線通信装置が移動体端末であり、上記通信相手装置が移動体端末であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の無線通信装置。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の無線通信装置を通信相手としている無線通信装置において、
    通信相手の無線通信装置から与えられることがあり得るアンテナ方位の制御に利用する情報に応じた、当該無線通信装置からの最適な指向方位を決定できる情報を予め格納しているデータベース手段と、
    通信相手の上記無線通信装置からアンテナ方位の制御に利用する情報が与えられたときに、上記データベース手段を検索して、当該無線通信装置からの最適な指向方位を決定する指向方位決定手段と
    を備えることを特徴とする無線通信装置。
  9. 通信相手の上記無線通信装置からアンテナ方位の制御に利用する情報が与えられたときに、上記データベース手段をアクセスし、通信品質が高くなる位置情報を得て、通信相手の上記無線通信装置に通知する良好位置通知手段を備えることが特徴とする請求項8に記載の無線通信装置。
  10. 通信相手の上記無線通信装置からアンテナ方位の制御に利用する情報が与えられたときに、上記データベース手段をアクセスし、通信相手の上記無線通信装置が、通信が途絶える可能性が高い位置の近傍に位置していか否かを判別し、肯定の判別結果のときに、通信相手の上記無線通信装置に警告を送出する警告手段を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の無線通信装置。
  11. 上記警告手段は、通信が途絶えた後、通信を復活させる情報を警告に含めることを特徴とする請求項10に記載の無線通信装置。
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