JP2009070574A - 燃料電池システム及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】氷点下から確実に起動が行える燃料電池システムを提供する。
【解決手段】運転状態検出手段101は、燃料電池スタックの電圧、電流、温度、IV特性等の運転状態を検出する。上限発電電力相当目標電圧演算手段102は、101の結果に基づき、負荷が消費可能な上限発電電力を発電するための目標電圧を演算する。保水量制限目標電圧演算手段103は、101の結果に基づき燃料電池が内部に保持できる水分量が上限値を超えないための下限目標電圧を演算する。暖機中スタック目標電圧演算手段104は、101の結果に基づき燃料電池のIV特性が上昇中の目標電圧を演算する。目標スタック電圧演算手段105は、102、103、104の結果から少なくとも2つの最大値を選択して目標スタック電圧とする。スタック電圧制御手段106は、実スタック電圧が目標スタック電圧となるように制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】運転状態検出手段101は、燃料電池スタックの電圧、電流、温度、IV特性等の運転状態を検出する。上限発電電力相当目標電圧演算手段102は、101の結果に基づき、負荷が消費可能な上限発電電力を発電するための目標電圧を演算する。保水量制限目標電圧演算手段103は、101の結果に基づき燃料電池が内部に保持できる水分量が上限値を超えないための下限目標電圧を演算する。暖機中スタック目標電圧演算手段104は、101の結果に基づき燃料電池のIV特性が上昇中の目標電圧を演算する。目標スタック電圧演算手段105は、102、103、104の結果から少なくとも2つの最大値を選択して目標スタック電圧とする。スタック電圧制御手段106は、実スタック電圧が目標スタック電圧となるように制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、氷点下から起動可能な固体高分子型燃料電池システム及びその制御方法に関する。
従来の固体高分子型燃料電池を氷点下から起動する方法としては、燃料電池の負荷装置(補機負荷)への電力供給により、燃料電池の発電量をできるだけ増加して、自己発熱での温度上昇を図ることで、迅速な暖機を実現しようとしている(特許文献1)。
また、他の氷点下起動方法として、燃料電池スタックの熱容量の設計と、少なくとも放熱量を上回る発熱量を得るための最低限必要な電流以上を取り出すことで、生成水の凍結によって発電不能となる前に燃料電池温度を0℃以上に昇温するという技術が知られている(特許文献2)。
特表2000−512068号公報(第17頁、図4)
特開2005−085578号公報(第19頁、図20)
しかしながら、特許文献1に記載の起動方法では、生成水が非常に多く、保水量を超えて生成水が溢れ出し、凍結してガスの拡散を阻害し、発電継続ができない状態となってしまう可能性がある。また、特許文献2に記載の方法では、燃料電池スタックの放熱量を上回るぎりぎりの発熱量を生む電力以上で発電する方法を提案しており、生成水を凍結させないための下限の発電量について規定している。しかし、ぎりぎりで発電したのでは暖機時間がとても長くなり、また上限電力を規定していないために、暖機時間を短くするために発熱量が非常に大きい電力で発電すると、特許文献1と同様に生成水が凍結して安定した発電を継続できない状態となってしまう可能性があるという問題点があった。
本発明は、上記問題点を解決するために、固体高分子型の燃料電池スタックと、該燃料電池スタックのスタック温度、スタック電流および電流電圧特性のうち少なくとも1つを検出する運転状態検出手段と、該運転状態検出手段での検出値および燃料電池スタックの負荷装置が消費可能な最大電力である上限発電電力に相当する目標電圧を演算する上限発電電力相当目標電圧演算手段と、前記運転状態検出手段での検出値に基づいて燃料電池スタックに水を保持させるために満たすべき目標電圧を演算する保水量制限目標電圧演算手段と、前記運転状態検出手段での検出値に基づいて電流電圧特性が徐々に上昇していく暖機中の目標電圧を演算する暖機中スタック目標電圧演算手段と、前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と前記暖機中スタック目標電圧演算手段の演算結果との少なくとも2つから最大値を選択して最終的な目標スタック電圧を演算する目標スタック電圧演算手段と、前記燃料電池スタックの電圧が前記目標スタック電圧に一致するように電圧制御を行うスタック電圧制御手段と、を備えたことを要旨とする燃料電池システムである。
本発明によれば、目標スタック電圧は、上限発電電力相当の目標電圧と、保水量制限から決まる目標電圧と、暖機中の目標スタック電圧と、の少なくとも2つのうちの最大値を選択して目標スタック電圧として設定する構成であるため、燃料電池システムの零下起動時に、発電安定性の成立、強電部品の動作保証、迅速な暖機、生成水凍結による発電性能低下抑制、をすべて満足させながら、燃料電池システムを起動させることができるという効果がある。
次に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の基本構成を示す制御ブロック図である。同図において、運転状態検出手段101は、少なくとも燃料電池スタックの電圧、電流、温度、電流電圧特性(IV特性)を含む燃料電池システムの運転状態を検出する手段である。上限発電電力相当目標電圧演算手段102は、運転状態検出手段101の検出結果に基づいて、そのときに燃料電池システムが発電できる上限発電電力を発電するための目標スタック電圧を演算する手段である。保水量制限目標電圧演算手段103は、運転状態検出手段101の検出結果に基づいて燃料電池が内部に持つことができる水分量(保水量)が上限値を超えないための下限目標電圧を演算する手段である。
暖機中スタック目標電圧演算手段104は、運転状態検出手段101の検出結果に基づいて燃料電池のIV特性が徐々に上昇している際の目標スタック電圧を演算する手段である。目標スタック電圧演算手段105は、上限発電電力相当目標電圧演算手段102、保水量制限目標電圧演算手段103および暖機中スタック目標電圧演算手段104の各演算結果のうち、少なくとも2つの演算結果の最大値を選択して最終的な目標スタック電圧を演算する手段である。スタック電圧制御手段106は、目標スタック電圧演算手段105で演算した目標スタック電圧と実スタック電圧が一致するように制御を行う手段である。
図2は、本発明に係る燃料電池システムの各実施例に共通のシステム構成図である。同図において、固体高分子型の燃料電池スタック1は、アノードに水素ガス、カソードに空気がそれぞれ供給され、以下に示す電極反応により直流電力を発電するものである。
アノード(水素極):H2 → 2H+ + 2e- …(化1)
カソード(酸素極):2H+ + 2e- + (1/2)O2 → H2O …(化2)
アノードへの水素供給は、水素タンク2から水素タンク元弁3、減圧弁4、水素供給弁5を通じてなされる。水素タンクから供給される高圧水素は、減圧弁4で機械的に所定の圧力まで減圧され、水素供給弁5で燃料電池スタックでの水素圧力が所望の水素圧に制御される。水素循環装置7は、アノードで消費されなかった水素を再循環させるために設置する。アノードの水素圧は、コントローラ30が圧力センサ6aで検出した水素圧力をフィードバックして水素供給弁5を駆動することによって制御される。水素圧を所望の目標圧力に制御することによって、燃料電池スタックが消費した分だけの水素が自動的に補われる。
カソード(酸素極):2H+ + 2e- + (1/2)O2 → H2O …(化2)
アノードへの水素供給は、水素タンク2から水素タンク元弁3、減圧弁4、水素供給弁5を通じてなされる。水素タンクから供給される高圧水素は、減圧弁4で機械的に所定の圧力まで減圧され、水素供給弁5で燃料電池スタックでの水素圧力が所望の水素圧に制御される。水素循環装置7は、アノードで消費されなかった水素を再循環させるために設置する。アノードの水素圧は、コントローラ30が圧力センサ6aで検出した水素圧力をフィードバックして水素供給弁5を駆動することによって制御される。水素圧を所望の目標圧力に制御することによって、燃料電池スタックが消費した分だけの水素が自動的に補われる。
パージ弁8は、次の(1)〜(3)の場合に開かれる。(1)水素循環機能を確保するために、水素系内に蓄積した窒素を排出する。(2)セル電圧を回復させるために、ガス流路に詰まった水詰まりを吹き飛ばす。(3)起動時に水素系を水素で置換するために水素系内のガスを排出する。
排水素処理装置9は、パージ弁8から排出される水素を可燃濃度未満の水素濃度になるように空気で希釈して車外へ排出するか、あるいは水素と空気を反応させて燃焼させることで排出水素濃度を下げる。
コンプレッサ10は、大気を吸入して圧縮空気を作る。加湿装置11は、コンプレッサで圧縮された空気を加湿してカソードへ供給する。カソードの空気圧は、コントローラ30が圧力センサ6bで検出した空気圧力をフィードバックして空気調圧弁12を駆動することによって制御される。
冷却水流路への冷却水は、冷却水ポンプ13により供給される。三方弁16は、冷却水の流路をラジエタ17方向とラジエタバイパス路19方向に切り替えたり、分流したりする。ラジエタファン18は、ラジエタ17へ風を通過させて冷却水を冷やす。冷却水の温度は、温度センサ14によって燃料電池スタック入口の温度、温度センサ15によって燃料電池スタック出口の温度を検出し、これらに基づいてコントローラ30が三方弁16とラジエタファン18を駆動することによって調整する。
また、燃料電池スタックからは出力が取り出され、図示しない負荷装置(車両を駆動するモータ等)へ電力を供給する。
コントローラ30は、各種センサの検出値を読み込み、内蔵されたソフトウェアによって各アクチュエータを駆動して、燃料電池システムの発電制御を行なう。
ここで、燃料電池スタック1は、複数のセル、またはそれぞれ複数セルが直列接続された複数のセル群から構成され、各セル(セル群)毎に図示しないセル(セル群)電圧センサが設けられ、各セル(セル群)の電圧値は、コントローラ30で読み取りが可能である。コントローラ30は、燃料電池システム全体を制御するとともに、図1に示した運転状態検出手段101、上限発電電力相当目標電圧演算手段102、保水量制限目標電圧演算手段103、暖機中スタック目標電圧演算手段104、目標スタック電圧演算手段105、及びスタック電圧制御手段106である。
コントローラ30は、特に限定されないが本実施例では、CPUと、プログラムROMと、作業用RAMと、入出力インタフェースと、を備えたマイクロプロセッサで構成され、その機能は、プログラムROMに格納されたプログラムをCPUが実行することにより実現されている。
図3は、前記の燃料電池システムを含めた車両レベルでの電気的構成を表す図である。コントローラ30は図2と共通であり、各種センサ値の読み込み、アクチュエータの駆動信号の出力などを行う。燃料電池スタック1の発電電流は、逆流防止ダイオード23及び電流センサ24を通じて、強電補機21,DC/DCコンバータ40,INV&モータ50に分配される。電流センサ24で検出された燃料電池電流、電圧センサ25よって検出された燃料電池電圧は、それぞれコントローラ30に取り込まれ、各種の制御に用いられる。
DC/DCコンバータ40は、2次電池45のエネルギを出し入れすることができる双方性のコンバータである。DC/DCコンバータ40は、燃料電池システムの起動時には、2次電池45の電圧を昇圧して強電補機21へ供給し、また燃料電池スタック1の発電電力に余裕がある場合に燃料電池電圧を降圧して、2次電池45へ充電する。また、DC/DCコンバータ40は、電圧センサ25で読み込まれた燃料電池スタック1の電圧が目標スタック電圧値と一致するように制御を行う。2次電池45は、温度センサ46及び図示しない充電量センサを備え、検出された2次電池温度や充電量は、コントローラ30に読み込まれる。
INV&モータ50は、車両を走行させるモータとその駆動回路であるインバータであり、ドライバのアクセル操作量(図示しない)や、2次電池45の充電量、燃料電池スタック1の発電量などに基づいて、コントローラ30から駆動力を制御する。
また、図中の強電補機21は、図2で説明したコンプレッサ10や水素循環装置7などであり、燃料電池スタックの発電電圧が直接分配されるものである。弱電補機22は、2次電池45の電圧が分配される補機であり、水素タンク元弁3,水素供給弁5、パージ弁8,空気調圧弁12,ラジエタファン18,冷却水ポンプ13などである。ラジエタファン18及び冷却水ポンプ13は、強電補機に分類してもよい。
図4、図5は、本発明を適用しない比較例における燃料電池システムの氷点下起動時の(a)燃料電池出力、(b)スタック電圧、及び(c)スタック温度の時間変化をそれぞれ示す図である。
図4は、従来例の特許文献1相当の起動を行った場合であり、上限発電可能電力の範囲内で最大限の発電を行うことで暖機を促進しているが、途中で燃料電池が生成水を保水しきれず、高分子膜から溢れてしまい、そのときの燃料電池の温度が氷点下であることから、この溢れた水が凍結して、反応ガスの拡散を阻害してIV特性が低下してしまい、発電を継続できず、起動不能となる状況を示している。
図5は、従来例の特許文献2相当の起動を行った場合であり、放熱量を上回るだけの発熱量を生じる発電出力で燃料電池スタックの暖機を継続するため、スタック温度はゆっくりとではあるが確実に上昇し、発電による生成水が高分子膜から溢れるほどの量は生じていないため、発電を継続可能であり、最終的には燃料電池の温度を0℃まで到達可能であり、起動可能ではあるが暖機に長時間を要するという欠点がある。
図6は、本発明を適用した場合の一実施例における燃料電池システムの氷点下起動時の(a)燃料電池出力、(b)スタック電圧、及び(c)スタック温度の時間変化をそれぞれ示す図である。本発明によれば、燃料電池の負荷が消費可能な上限発電可能電力と、生成した水が高分子膜から溢れないための保水量制限電力との小さい方を選択するセレクトロー(指令電圧としては高い方を選択するセレクトハイとなる)によって目標出力を制限している。これにより、生成水が溢れて凍結するような状態を招くことなく、最大限の発電を行うことが可能であり、安定した発電を継続しながら短時間で燃料電池の温度を0℃以上まで昇温させ、起動を完了することが可能となる。
次に本発明に係る燃料電池システムの実施例1における起動時の制御を説明する。図17乃至図23は、実施例1におけるコントローラ30の動作を説明するフローチャートである。本実施例は、上限出力、保水上限値、瞬時吸収可能水分量、強電下限電圧に基づいて目標スタック電圧値を求める例であり、かつセル電圧のばらつきに応じて目標スタック電圧を補正し、目標スタック電圧の上げ側と下げ側での変化率を制限する場合の実施例である。
図17はゼネラルフローチャートであり、燃料電池システムの運転中に定期的(たとえば10ms毎)に実行される。図17において、まずステップ(以下、ステップをSと略す)1701では、今回のジョブが起動後初回かどうかを判断し、初回の場合はS1702で保水量の初期値を設定し、初回でない場合はS1703で前回ジョブでの保水量演算結果を現在値として代入する。S1704では、現在の燃料電池スタックのIV特性を推定し、S1705では補機負荷や2次電池の状態に応じて上限発電電力を演算し、その電力値に相当する目標スタック電圧を演算する。
S1706では、S1702あるいはS1703で演算した現在の保水量に基づいて、保水量制限から決まる燃料電池スタック電流値に対応する目標スタック電圧を演算する。S1707では、IV特性が電圧値の低い状態である間の暖機中の目標スタック電圧を演算し、S1708では、S1705、1706、1707の出力に基づいて目標スタック電圧を演算し、S1709では、スタック電圧が目標スタック電圧値となるように燃料電池スタックからの電力取り出しを制御する。
図18は、図17のS1702における保水量初期値設定の処理内容を示す詳細フローチャートである。図18において、まずS1801では燃料電池の出力指令(電圧指令でも電流指令でもどちらでも構わない)を出し、S1802では燃料電池スタックの実電流、実電圧を検出する。S1803では、燃料電池の膜抵抗を推定し、S1804では、図9の膜抵抗−保水量特性に基づいて膜抵抗から保水量を推定し、保水量の初期値として算出する。ここで、電流、電圧から膜抵抗を推定する方法は、特開2005−063946号公報や特開2002−352827号公報に開示されている方法により実現が可能である。
また、ここでは保水量の初期値として膜抵抗から推定した値を用いる方法について述べたが、これは前回の運転終了時の保水量を記憶しておき、その値を次回の起動時に初期値に代入するなどの方法によっても実現可能である。
図19は、図17のS1704におけるIV特性推定の処理内容を示す詳細フローチャートである。図19において、まずS1901では温度センサ15により燃料電池スタック1の温度を検出し、S1902では直前の所定時間での燃料電池スタック1の取り出し電流値の平均値を、S1903では同様の電圧値の平均値を演算する。S1904では、燃料電池温度と、電流平均値と、電圧平均値に基づいて、現在の燃料電池スタックのIV特性がおおよそどのような特性となっているかを推定する。この推定は、あらかじめ実験等によって調べてコントローラ30に記憶させてある、図11に示すような燃料電池温度毎のIV特性マップを検索することによりに実現される。図11に示した例では、燃料電池スタック温度Tがa[℃]、電流平均値が70[A]、電圧平均値が300[V]であった場合、IV3aで特定されるIV特性であると推定する。
ここでは、電流、電圧は所定時間の平均値としたが、この所定時間は燃料電池の過渡的な出力変化の速度に対して長すぎず、また検出値のノイズを抑制するには足る時間を設定することとする。また検出値のノイズが十分小さければ、平均値をとらずに検出値をそのまま使っても構わない。
図20は、図17のS1705における上限発電電力相当目標電圧演算の処理内容を示す詳細フローチャートである。図20において、まずS2001では空気を送るコンプレッサ10や冷却水ポンプ13などの補機負荷の消費電力を検出する。ここでこの検出は、電圧と電流から直接計算してもよいし、トルクと回転数から損失を考慮して演算するなどの方法でもよい。S2002では2次電池45の充電可能電力を検出する。ここで、2次電池の充電可能電力は、そのときの2次電池45の充電量や2次電池自体の温度などによっても変化するため、温度センサ46や充電量センサの検出値に基づいた値を時々刻々、計算して求めるものとする。
S2003では、S2001の演算結果である補機負荷の消費電力と、S2002の演算結果である2次電池充電可能電力とを加算して、そのときの燃料電池が発電しても電力の消費(充電)先が確保できる上限発電電力を演算する。S2004では、S1704で求めた現在のIV特性で上限発電電力を発電可能であるか否かを判断し、発電可能である場合はS2005で上限発電電力に相当する目標電圧Vpを演算し、発電可能でない、と判断した場合にはS2006にてVpにゼロを代入して終了する。
図21は、図17のS1706における保水量制限目標電圧演算における処理内容を示す詳細フローチャートである。図21において、まずS2101では燃料電池の温度を温度センサ15により検出し、S2102では検出した温度と、あらかじめ実験的に調べてコントローラ30に記憶させてある図7のような、温度に対する燃料電池スタックの膜電極接合体(MEA)の保水量上限値特性に基づいて、保水量の上限値を演算する。S2103では電流センサ24による直前の燃料電池スタック1からの取り出し電流値を検出する。次いで、S2104では取り出し電流値による単位時間当たりの生成水量を算出し、その単位時間当たりの生成水量に本ステップの前回の実行時刻と今回の実行時刻と差である処理時間間隔を乗じて保水量増分を演算し、この保水量増分を前回の保水量に加えた保水量の推定値を演算する。ここで、単位時間当たりの生成水量は、(化2)で示したカソードの電気化学反応式と、ファラデー定数(1モル当たりの電子の電荷量)から求めることができる。
次いで、S2105では、S2102で演算した保水量上限値とS2104で演算した現在の保水量推定値から、保水量上限値をあふれさせないための制限電流Iaを演算する。S2106では、あらかじめ実験的に調べてコントローラ30に記憶させてある、図8に示すような燃料電池の温度に対する瞬時水吸収可能量の特性に基づいて、燃料電池の膜が瞬時に吸収することが可能な水の量を演算する。次いでS2107では、S2106での演算結果に基づいて生成水を瞬時に吸収可能であるための燃料電池の制限電流Ibを演算する。S2108では保水のための制限電流Iwを、IaとIbの小さい方を選択して演算し、S2109では、S1704で推定した現在のIV特性に基づいてIwに相当する目標電圧Vwを演算する。
ここで、図7の「零下起動時にMEAが保持できる保水量上限値の温度特性」は、以下の方法によって求めることが可能である。
十分熱容量の大きい単セルで、相対湿度を変えたガスによって長時間パージすることにより、セル(MEA)の残留水量を設定する。これは、あらかじめ相対湿度を3〜5水準にふったガスで長時間パージしたときのセル残留水量を重さ・抵抗などから求めておくことで、ある相対湿度のガスによって所定の残留水量とすることが可能である。次に、その、とある残留水量でとある温度(例えば−20℃)まで冷却して、発電を行うと、その残留水量に応じた時間だけ、つまり、MEAが生成水を吸収できている時間だけ、セルは発電を継続する。その発電時間と負荷電流から生成水量が求まり、その量と初期の残留推量の総和がMEAが保水できる量ということになる。ここで、この関係は、発電する温度(前述した例では−20℃)によって異なるため、数水準の温度(例えば−30℃、−20℃、−10℃)で実施し、それぞれの温度での関係を求めることで、図7の特性が得られ、設定した温度の間の温度の場合は内挿によって求めることで実用が可能となる。
図22は、図17のS1707における暖機中スタック目標電圧演算の処理内容を示す詳細フローチャートである。図22において、まずS2201では燃料電池スタックの発電電圧が直接分配される強電補機21の動作の可能な下限電圧値を読み込む。次いでS2202ではS2201で読み込んだ下限電圧値に基づいて、燃料電池スタック電圧が下限電圧を下回らないような目標電圧Vhを電圧センサ25の誤差などのマージンも考慮して決定する。
図23は、図17のS1708における目標スタック電圧演算の処理内容を示す詳細フローチャートである。図23において、まずS2301では図20のフローチャートで求めた目標電圧Vp、図21のフローチャートで求めた目標電圧Vw、図22のフローチャートで求めた目標電圧Vhの3者から、最大値を求めて目標スタック電圧Vf0として演算する。S2302では、そのときのセル電圧の分散値が許容上限値のβより小さいかどうかを判断し、小さい場合はS2303へ、小さくない場合はS2304へ進む。
S2303では電圧補正量ΔV(k)を前回値ΔV(k-1)から所定値γだけ減算し、S2304では所定値γだけ加算する。S2305では、S2301で求めた目標スタック電圧Vf0に補正量ΔV(k) を加えた値をVf1として算出し、S2306では前回の指令値Vout(k-1)を読み込む。
S2307では、S2306で読み込んだVout(k-1)とS2305で演算したVf1に基づいて、変化率制限値を考慮して最終的な目標スタック電圧値Vout(k)を演算する。ここで、Vout(k-1)<Vf1のときとVout(k-1)>Vf1のときで、変化率の制限値は変更し、前者よりも後者の変化率を小さく抑制することで、目標電圧を下げることで電流が過大に流れてしまうようなリスクを抑制する。
ここで、分散値Dcellは、次式によって求めればよい。
Dcell=Σ{Vcell(i)−Vcell_ave}^2/Ncell (i=1,2,…,Ncell) …(1)
ここでVcell(i) はi番目のセル電圧、Vcell_aveは平均セル電圧、Ncellは総セル数を表す。この実施例ではセル電圧ばらつきを分散値としたが、これは最大値と最小値の差でもよいし、標準偏差などのパラメータでもよく、ばらつきを表すパラメータであれば他の演算方法でも同様に実現可能である。
Dcell=Σ{Vcell(i)−Vcell_ave}^2/Ncell (i=1,2,…,Ncell) …(1)
ここでVcell(i) はi番目のセル電圧、Vcell_aveは平均セル電圧、Ncellは総セル数を表す。この実施例ではセル電圧ばらつきを分散値としたが、これは最大値と最小値の差でもよいし、標準偏差などのパラメータでもよく、ばらつきを表すパラメータであれば他の演算方法でも同様に実現可能である。
また、ばらつきの上限値も固定値βとしたが、これは温度や負荷などに基づいて可変に定められるパラメータであっても構わない。また、補正量も固定値γとしたが、これは温度や負荷などに基づいて可変に定められるパラメータであっても構わない。
図26は、図17のS1709におけるスタック電圧制御の様子を表す図であり、図3に示したDC/DCコンバータ40が燃料電池スタック1の電圧を所定値に保つように2次電池45から電力を出し入れすることで実現される。この方法によれば、設定した目標スタック電圧を保つような制御とするため、図26のIV特性曲線がIV0の状態で目標電圧Vout を維持するように制御している際に、膜が生成水を保持しきれずに溢れてきそうになり、その結果IV特性曲線がIV1まで低下すると、その結果燃料電池スタック1の取り出し電流が自動的にI0 からI1 へと低下し、自動的に生成水が減少して膜から生成水が溢れないような状態への移行することができる。このように、目標スタック電圧を維持する制御を行うことで、生成水が溢れることを抑制できるため、零下起動で生成水が溢れて凍結し、発電不可能な状態に至ることを防止することができる。
次に、実施例1の制御の様子を図12と図13に示す。図12、図13ともに(a)は、燃料電池スタック電流とスタック電圧との関係を示し、(b)は、燃料電池スタック電流と燃料電池出力(=スタック電流×スタック電圧)との関係を示す。図12(a)に示すように、零下起動を開始後、燃料電池スタック温度の上昇につれて、燃料電池のIV特性は、同一電流でも電圧が高くなる方向へ移動する。また図12(b)に示すように、零下起動を開始後、燃料電池スタック温度の上昇につれて、燃料電池の電流出力特性は、取り出し可能な最大出力が増加するとともに、最大出力時のスタック電流が増加する。
燃料電池システムの零下起動直後のIV特性が低く、負荷装置で吸収可能な最大電力である上限電力を発電できない状態では、図13のように強電補機の下限電圧に基づく目標スタック電圧を維持するように燃料電池スタック電圧を制御する。そして、暖機が進むにつれてIV特性が上昇して上限電力P1を発電できるようになったら、図12のように、補機と2次電池で吸収可能な最大電力である上限電力P1 に対応する目標電圧値を目標スタック電圧値として設定する。ここで、図12にのみ保水上限電流と水吸収可能上限電流とを図示しているが、この制限は図13の制御を行っている期間も同様に有効である。
以上説明した実施例1によれば、目標スタック電圧は、上限発電電力相当の目標電圧と、保水量制限から決まる目標電圧と、暖機中の目標スタック電圧と、の少なくとも2つうちの最大値を選択して目標スタック電圧として設定する構成であるため、燃料電池システムの零下起動時に、発電安定性の成立、強電部品の動作保証、迅速な暖機、生成水凍結による発電性能低下抑制、をすべて満足させながら、燃料電池システムを起動させることができるという効果がある。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例2を説明する。本実施例は、実施例1の暖機中スタック目標電圧演算の図22の代わりに、図24の詳細フローチャートを用いる場合であり、暖機中で上限出力を発電できない場合に、そのときのIV特性に基づいて最大の電力が発電できる動作点を選択して、目標スタック電圧を決定する場合の実施例である。本実施例は、暖機中スタック目標電圧演算以外は実施例1と同様であるので、図24についてのみ説明する。
図24において、まずS2401では、S1704で推定したそのときの燃料電池スタックのIV特性を読み込み、S2402ではそのときのIV特性に従って、燃料電池出力が最大となる目標スタック電圧を設定する。
ここで、実施例2の場合は、IV特性が低く上限電力を発電できない状態では、実施例1の図13の代わりに図14のようなその時のIV特性において燃料電池出力が最大となる燃料電池スタックの動作点に相当する目標スタック電圧を設定する。各IV特性の状態で出力がピークとなるような目標スタック電圧を設定して発電することで、2次電池への負担を最大限抑制しながら暖機運転を継続することが可能となる。
以上説明した実施例2によれば、暖機中の電流電圧特性が上昇していく過程での目標スタック電圧は、その時の電流電圧特性に基づいて発電電力が最大となる電圧及び電流の組み合わせ点での電圧値を目標電圧値として一旦演算し、目標スタック電圧は、上限発電電力相当の目標電圧と、保水量制限の目標電圧と、一旦演算した暖機中の目標スタック電圧との最大値を目標電圧値として設定する構成であるため、零下起動でのバッテリ電力の減少を抑制しながら、暖機運転を行うことができるという効果がある。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例3を説明する。本実施例は、暖機中スタック目標電圧演算において、実施例1の図22の代わりに図25のフローチャートを用いる場合であり、暖機中で上限出力を発電できない場合に、そのときのIV特性に基づいて取り出し可能な最大の電流を取り出す動作点を選択して、この動作点に相当する目標スタック電圧を設定する場合の実施例である。
図22以外は実施例1と同様であるので、図25についてのみ説明する。図25において、まずS2501では、S1704で推定したそのときの燃料電池スタックのIV特性を読み込み、S2502ではそのときのIV特性に従って、あらかじめ実験等によって調べてある上限電流を演算する。S2503では、S2504で求めた上限電流とそのときのIV特性から、上限電流相当の目標スタック電圧値を設定する。
ここで、実施例3の場合は、燃料電池温度が低くIV特性が低いために上限電力を発電できない状態では、実施例1の図13の代わりに図15のような動作点を選択して設定する。各IV特性の状態でセル電圧のばらつきなどを考慮して取り出せる上限の電流を設定し、その上限電流に対応するような目標電圧を設定し、発電することで、燃料電池の自己発熱を最大限促進し、暖機運転を継続することが可能となる。
以上説明した実施例3によれば、暖機中の電流電圧特性が上昇していく過程での目標スタック電圧は、その時の電流電圧特性に対して取り出し可能な最大電流が取り出されるような電圧値を一旦演算し、目標スタック電圧は、上限発電電力相当の目標電圧と、保水量制限の目標電圧と、一旦演算した暖機中の目標スタック電圧との最大値を目標電圧値として設定する構成であるため、零下起動での燃料電池の発熱を促進しながら、暖機運転を行うことができるという効果がある。
次に、本発明に係る燃料電池システムの実施例4を説明する。本実施例は、2次電池の充電状態などを考慮して、実施例2の2次電池の負担を考慮した暖機中スタック目標電圧Vh2と、実施例3の燃料電池の自己発熱を促進して暖機時間の短縮を図る暖機中スタック目標電圧Vh3と、の中間的な制御を行う実施例である。暖機中スタック目標電圧の演算以外は、実施例1と同様である。
図10は、2次電池の充電量に応じて、実施例2において図24のフローチャートで求めた目標スタック電圧Vh2と、実施例3において図25のフローチャートで求めた目標スタック電圧Vh3との内分点を設定する係数αを求めるテーブル例を表す。
本実施例における暖機中スタック目標電圧をVh4とすれば、Vh4は、係数αを用いて式(2)により算出する。
Vh4=αVh2+(1−α)Vh3 …(2)
Vh4=αVh2+(1−α)Vh3 …(2)
また、内分点は、実施例2の目標電圧と実施例3の目標電圧との内分点のみならず、実施例2で選択したIV特性上の動作点における発電出力Ph2と、実施例3で選択したIV特性上の動作点における発電出力Ph3とを内分する動作点におけるスタック電圧を目標電圧とすることもできる。
これにより、本実施例では、燃料電池スタックのIV特性が低く上限電力を発電できない状態では、実施例1の図13の代わりに図16のような動作点を選択して設定する。このように2次電池の充電状態に応じて内分点を決めて制御することで、2次電池の充電量が少ない場合は2次電池に負担を掛けないように、そのときのIV特性における燃料電池出力を重視した制御とし、充電量が比較的多く確保されている場合は、そのときのIV特性におけるスタック電流を重視して、燃料電池の自己発熱による暖機促進を図るような運転とすることが可能となる。
以上説明した実施例4によれば、暖機中の電流電圧特性が上昇していく過程での目標スタック電圧は、2次電池での充電状態に基づいて、発電電力が最大となる電圧、電流組み合わせ点での電圧値と電流電圧特性に対して取り出し可能な最大電流が取り出されるような電圧値との中間値を選択して一旦演算し、目標スタック電圧は、上限発電電力相当の目標電圧と、保水量制限の目標電圧と、一旦演算した暖機中の目標スタック電圧との最大値を目標電圧値として設定する構成であるため、零下起動でのバッテリ電力の減少の抑制と、燃料電池の発熱促進を両立しながら、暖機運転を行うことができるという効果がある。
以上の各実施例では、図20の上限発電電力相当の目標スタック電圧値を設定する際に、そのときの燃料電池スタックのIV特性に基づいて目標電圧を算出して設定する構成としてきたが、これは燃料電池スタックの実電圧、実電流から求まる燃料電池スタックの実電力が上限発電電力に近づくように目標スタック電圧値をフィードバック補正して求めるような構成としてもよい。
また、以上の各実施例では、図3に示すように負荷取り出しを制御するDC/DCコンバータ40が2次電池の出口に配置されているような構成としてきたが、これは燃料電池スタック1の出力端にDC/DCコンバータが配置されているような構成でも、同様の効果を得ることが可能である。
101 運転状態検出手段
102 上限発電電力相当目標電圧演算手段
103 保水量制限目標電圧演算手段
104 暖機中スタック目標電圧演算手段
105 目標スタック電圧演算手段
106 スタック電圧制御手段
102 上限発電電力相当目標電圧演算手段
103 保水量制限目標電圧演算手段
104 暖機中スタック目標電圧演算手段
105 目標スタック電圧演算手段
106 スタック電圧制御手段
Claims (15)
- 固体高分子型の燃料電池スタックと、
該燃料電池スタックのスタック温度、スタック電流および電流電圧特性のうち少なくとも1つを検出する運転状態検出手段と、
該運転状態検出手段での検出値および燃料電池スタックの負荷装置が消費可能な最大電力である上限発電電力に相当する目標電圧を演算する上限発電電力相当目標電圧演算手段と、
前記運転状態検出手段での検出値に基づいて燃料電池スタックに水を保持させるために満たすべき目標電圧を演算する保水量制限目標電圧演算手段と、
前記運転状態検出手段での検出値に基づいて電流電圧特性が徐々に上昇していく暖機中の目標電圧を演算する暖機中スタック目標電圧演算手段と、
前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と前記暖機中スタック目標電圧演算手段の演算結果との少なくとも2つから最大値を選択して最終的な目標スタック電圧を演算する目標スタック電圧演算手段と、
前記燃料電池スタックの電圧が前記目標スタック電圧に一致するように電圧制御を行うスタック電圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システム。 - 前記保水量制限目標電圧演算手段は、前記運転状態検出手段で検出したスタック温度に基づいて上限保水量を演算し、残留水量を初期値として前記運転状態検出手段が検出したスタック電流に基づいて保水量を逐次演算し、保水量が上限保水量に所定値以上近づかないような電流値を演算し、前記運転状態検出手段で検出した電流電圧特性に基づいて電流値から目標電圧値を演算する手段であり、
前記目標スタック電圧演算手段は、前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と、前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と、の最大値を目標スタック電圧値とすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記保水量制限目標電圧演算手段は、前記運転状態検出手段で検出したスタック温度に基づいて上限保水量を演算し、残留水量を初期値として、前記運転状態検出手段で検出したスタック電流に基づいて保水量を逐次演算し、保水量が上限保水量に所定値以上近づかないような電流値を演算し、また、前記スタック温度に基づいて単位時間に保水することができる上限生成水量をさらに演算し、その上限生成水量以下の生成水量となる上限電流を演算し、これら2つの電流の最小値と、前記運転状態検出手段で検出した電流電圧特性に基づいて電流値から目標スタック電圧値を演算する手段であことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記暖機中スタック目標電圧演算手段は、燃料電池スタックの発電電圧が供給される強電部品の動作下限電圧以上の電圧値を演算し、
前記目標スタック電圧演算手段は、前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と、前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と、前記暖機中スタック目標電圧演算手段の演算結果と、の最大値を目標スタック電圧値とすることを特徴とする請求項1項乃至請求項3の何れか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記暖機中スタック目標電圧演算手段は、前記運転状態検出手段で検出したその時の電流電圧特性に基づいて、発電電力が最大となる電圧と電流と組み合わせを選択し、そのときの電圧値を目標電圧値として演算し、
前記目標スタック電圧演算手段は、前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と、前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と、前記暖機中スタック目標電圧演算手段の演算結果と、の最大値を目標スタック電圧値とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記暖機中スタック目標電圧演算手段は、前記運転状態検出手段で検出したその時の電流電圧特性に基づいて、電流電圧特性に対して取り出し可能な最大電流が取り出されるような電圧値を演算し、
前記目標スタック電圧演算手段は、前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と、前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と、前記暖機中スタック目標電圧演算手段の演算結果と、の最大値を目標スタック電圧値とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記暖機中スタック目標電圧演算手段は、2次電池の充電状態に基づいて、燃料電池スタックの発電電力が最大となる電圧と電流との組み合わせ点での電圧値と、電流電圧特性に対して取り出し可能な最大電流が取り出されるような電圧値と、の中間値を選択する手段であり、
前記目標スタック電圧演算手段は、前記上限発電電力相当目標電圧演算手段の演算結果と、前記保水量制限目標電圧演算手段の演算結果と、前記暖機中スタック目標電圧演算手段の演算結果と、の最大値を目標スタック電圧値とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の燃料電池システム。 - 前記上限発電電力相当目標電圧演算手段は、上限発電電力以下の目標電力となるような目標電圧値を演算する際に、目標電力と、前記運転状態検出手段で演算した電流電圧特性とに基づいて、目標電圧を演算することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記上限発電電力相当目標電圧演算手段は、上限発電電力以下の目標電力となるような目標電圧値を演算する際に、実電圧と実電流から演算した実電力が目標電力と一致するように、目標電圧をフィードバック補正して演算することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記運転状態検出手段で演算する電流電圧特性は、あらかじめ零下起動からの暖機状態の過程で調べてある電流電圧特性と、直前の所定期間での少なくとも電圧と電流の組み合わせから、現在の電流電圧特性を推定することを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記保水量制限目標電圧演算手段で保水量を推定する際の初期値は、前回の運転終了時の保水量であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記保水量制限目標電圧演算手段で保水量を推定する際の初期値は、起動時に燃料電池の膜抵抗を電圧、電流から推定し、その膜抵抗に基づいて推定した保水量であることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記目標スタック電圧演算手段は、前記運転状態検出手段で検出したセル電圧のばらつきが予め設定された許容上限ばらつきよりも小さくなるように目標スタック電圧を上げる方向に補正することを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記目標スタック電圧演算手段は、目標スタック電圧を下げる速度は目標スタック電圧を上げる速度よりも遅くすることを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の燃料電池システム。
- 固体高分子型の燃料電池スタックを氷点下から起動する燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池スタックの温度、電流および電圧を検出する運転状態検出過程と、
該運転状態検出過程で検出した電流値及び電圧値に基づいて燃料電池スタックの電流電圧特性を推定する電流電圧特性推定過程と、
燃料電池スタックの暖機時に負荷装置が消費可能な最大電力である上限発電電力を演算する上限発電電力演算過程と、
前記上限発電電力に相当する目標スタック電圧を演算する上限発電電力相当目標電圧演算過程と、
前記運転状態検出過程で検出した温度値に基づいて燃料電池スタックの保水量を推定する保水量推定過程と、
前記保水量により制限されるスタック電流に基づいて目標スタック電圧を演算する保水量制限目標電圧演算過程と、
前記運転状態検出過程の検出値に基づいて電流電圧特性が徐々に上昇していく暖機中の目標スタック電圧を演算する暖機中スタック目標電圧演算過程と、
前記上限発電電力相当目標電圧演算過程の演算結果と前記保水量制限目標電圧演算過程の演算結果と前記暖機中スタック目標電圧演算過程の演算結果との少なくとも2つのうちの最大値を選択して最終的な目標スタック電圧とする目標スタック電圧演算過程と、
を備えたことを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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