JP2009070533A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複雑な制御を行わずにトラッキング補正を正確に行うことが出来る光ピックアップの構成を提供すること。
【解決手段】レーザ光源から出射された光ビームの偏光状態を切り換える偏光回転子と、この偏光回転子と偏向ビームスプリッタとの間に配し、光ビームを3ビームに分割するための回折格子と、偏向ビームスプリッタから出射される一方の光ビームを、第1の光ディスクに集光する第1の対物レンズと、偏向ビームスプリッタから出射される他方の光ビームを、第2の光ディスクに集光する第2の対物レンズとを備え、上記回折格子が、第1の光ディスクのトラックピッチと、第1の対物レンズの開口数を考慮して設定された第1の回折格子と、当該第1の回折格子の回折方向と直交して設けられ、第2の光ディスクのトラックピッチと、第2の対物レンズの開口数を考慮して設定された第2の回折格子が、光ビームの光軸方向に重なる構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、トラックピッチの異なる光記録媒体への光学的な情報の記録・再生を行うための光ピックアップ装置に関し、特に、夫々の光記録媒体のトラックピッチ、光記録媒体にレーザ光を集光する対物レンズに対応した回折格子を備えることで、記録・再生時のトラッキング補正精度を向上させた光ピックアップ装置に関する。
現在、CDからDVD、次世代光記録媒体へと光記録媒体の進化への、記録内容の大容量化が進み、記録ピット・ランドが極小化することにより、トラッキング補正に用いるトラック間隔も極小化している。この次世代光記録媒体の規格には、保護層厚の違いから、保護層厚0.1μmのBlu−ray Disc(以後、BDとする。)と、保護層厚0.6μmのHD−DVD(以後、HDとする。)とがある。そして、今後BDとHDの互換性を併せたピックアップ装置と共に、正確な光ディスク読み取り技術が求められている。
光ピックアップ装置は、レーザ光源から出射された所定の波長の光ビームを光ディスクに集光し、この光ディスクから反射する光ビームの大きさを受光素子で検出することで光ディスクの情報を再生し、またはレーザ光源から出射される光量を変調した光ディスクに照射する光量を変化させることで、光ディスクの情報を記録する装置として使われる。
この光ピックアップ装置のディスク読み取り方法の一つとして、3ビーム法が知られている。この3ビーム法によれば、レーザ光源から出射した光ビームを、回折格子を用いて三本の光ビーム(メインビームと一対のサブビーム)に分離させ、光ディスクに対物レンズを用いて集光させることができる。これにより、光ディスク表面には、メインビーム(0次光)を中心とした三点の光が照射されることとなり、このメインビームにより光ディスクの情報を受光素子で読み取る。また、光ディスク表面におけるトラックに照射されるサブビームの明暗を受光素子で検出することで、光ディスクのトラッキング補正を行い、光ディスクに記録されたデータの読み取りを行うことができる様になっている。
上述した光ピックアップ装置のディスク読み取り方法は、光ディスク上の案内溝(トラック)を用いて行われる。光記録媒体であるCDとDVD、またはHDとBDは、3ビーム法によりトラッキング補正を行う場合、夫々トラックピッチが異なることにより、最適な光ビームスポット間隔で、かつ最適なスポット角度で光ディスク上に結像しなければならない。
そこで、3ビーム法により光ピックアップ装置のディスク読み取りを行う為に、光ディスクのトラッキング補正を行える様にした光ピックアップ装置が提案された(例えば、特許文献1参照のこと)。
この従来の光ピックアップの構成について詳細に説明する。図6は、従来の光ピックアップ装置の全体構成を示す図面である。図7は、従来の光ピックアップ装置に搭載されるグレーティング24の作用を示す図面である。
図6に示すように、従来の光ピックアップ装置200は、レーザ光源1から出射される往路光束210がグレーティング24を透過し、3本の光ビームを形成する。その後、コリメータレンズ2で平行光に変換され、偏光切換素子23aに入射してS偏光とP偏光に切り換えられる。そして、偏光切換素子23aから出射される往路光束210は、偏光ビームスプリッタ5に入射する。この時、偏光ビームスプリッタ5内の偏光分離膜5aは、
S偏光を反射しP偏光を透過させる機能とする。そして、往路光束210のS偏光成分は、偏光ビームスプリッタ5により反射され、光路が変更されてS偏光往路光束220となり、λ/4板7で円偏光に変換され、対物レンズ29でその円偏光に変換されたS偏光往路光束220を第1の光ディスク11に集光する。この第1の光ディスク11から反射されるS偏光復路光束240は、対物レンズ29とλ/4板7を通過してP偏光となり、偏光ビームスプリッタ5を透過し、集光レンズ13とマルチレンズ15を介して、第1の光ディスク11からの復路光束260を受光素子14に集める。
また、往路光束210のP偏光成分は、偏光ビームスプリッタ5を透過し、P偏光往路光束230となって全反射ミラー6により反射され、λ/4板8と対物レンズ30を透過し、P偏光往路光束230を第2の光ディスク12に集光させる。そして、第2の光ディスク12から反射されるP偏光復路光束250は、対物レンズ30とλ/4板8を通過してS偏光となり、全反射ミラー6、偏光ブームスプリッタ5で反射されることにより、光路を変えて集光レンズ13とマルチレンズ15を介して、第2の光ディスク12からの復路光束260を受光素子14に集める。なお、対物レンズ30は、S偏光往路光束210の光路中に配した対物レンズ29の開口数とは異なる開口数を有するレンズである。
また、上述したグレーティング24は、図7に示す様に、レーザ光源1から出射した往路光束210を回折させて、偏光方向が同一の三本の光ビーム(メインビームである光ビーム210aと、一対のサブビームである光ビーム210b、210c)を形成する。その後、回折された三本の光ビーム210a〜210cは、図6に示したように、偏光切換素子23aと偏光ビームスプリッタ5によって、第1の光ディスク11の光路と第2の光ディスク12の光路に分離される。これらグレーティング24により回折された三本の光ビーム210a〜210cは、対物レンズ29、30に入射するまでは、偏光方向のみが異なる光ビームである。
また、上述した光ピックアップ装置の読み取り信号制御系は、図6に示す様に、受光素子14により検出した各光ビームに対応する信号を、プリアンプ部31に供給することで、アクチュエータ駆動信号やトラッキング補正信号の制御を行っている。
プリアンプ部31は、夫々の光ディスク毎に異なって検出される光ビームに対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号をサーボ制御回路32に送り、制御信号32aを通して対物レンズ29、30を駆動させることにより、フォーカシング制御とトラッキング制御を行っている。
また、プリアンプ部31は、受光素子14で検出した光ビームの信号31aをディスク判別部33に送り、夫々のディスクを検出し、液晶駆動信号33aを偏光切換素子23aに接続する液晶駆動回路23bに送り、この切換素子に入射する往路光束210に対する偏光の切り換えを行っている。
この様に、上記グレーティング24、偏光切換素子23a、第1と第2の光ディスク11、12に合わせた対物レンズ29、30と、トラッキング制御系をこの光ピックアップ装置200に搭載すれば、同一な波長で光ディスクの記録/再生を行うとともに、トラッキング補正も併せて行うことが出来る。
特開2007−4875号公報(第3−12頁、第1−2図)
特許文献1に記載の光ピックアップ装置は、同一波長の光ビームを用いて、異なるトラ
ックピッチに対応してディスクの読み書きをすることができ、光ディスクの互換(BDとHD互換等)を実現することが可能となっている。しかしながら、この光ピックアップ装置では、まだまだ複雑なトラッキング補正が必要であるという問題点を有している。その問題点について説明する。図8(a)は、3本の光ビームが光ディスクに照射される様子を示す図面であり、図8(b)は、この光ディスクに照射される3本の光ビームとトラックとの関係を示す図面である。
先に図6、図7にて説明したように、グレーティング24は、第1の光ディスク11のトラックピッチに沿うように設計される。これにより、図8(a)左図に示す様に、一方の往路光束に対しては、回折された三本の光ビーム220a、220b、220cが、対物レンズ29に入射して第1の光ディスク11上に集光される。この往路光束は、3ビーム往路光束となる光ビーム270a、270b、270cとなり、図8(b)左図に示す様に、第1の光ディスク11のトラックピッチ40に沿った光ビームスポット(メインスポット11a、サブスポット11b、11c)を形成する。これにより、対物レンズ29に搭載されるアクチュエータをトラッキング補正するために、わざわざ動作させる必要がない。
また、図8(a)右図に示す様に、他方の往路光束に対しては、回折された三本の光ビーム230a、230b、230cが、対物レンズ30により第2の光ディスク12に集光され、3ビーム往路光束280a、280b、280cとなり、第2の光ディスク12上にスポットを形成する。
ところが、この往路光束280a〜280cは、図8(b)右図に示す様に、第2の光ディスク12のトラックピッチ50に沿った設計となっていない為、光ビームスポット(メインスポット12a、サブスポット12b、12c)が、第2の光ディスク12のトラックピッチ50からずれてしまうこととなる。これにより、各往路光束280a〜280cに対して、第2の光ディスク12のトラックピッチ50に沿う様に、対物レンズ30に搭載されるアクチュエータ駆動を駆動させて、トラッキング補正をする必要がある。このアクチュエータは、この様にトラッキング補正をするだけでなく、フォーカシング制御として、光ディスクのトラックに追従してビームスポットが当てて、対物レンズを動作させる必要があるため、これら2つの機能をアクチュエータ装置に持たせることは、その制御が複雑となり、好ましくない。
この様に、単一のグレーティング24で、複数の光ディスクのトラッキング補正を行う光ピックアップ装置200では、複雑な制御によりアクチュエータを動作させなくてはならないという問題点を有していた。
そこで、本発明の光ピックアップの構成は上記の問題を解決し、複雑な制御を行わずにトラッキング補正を正確に行うことが出来る光ピックアップの構成を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の光ピックアップ装置は、基本的に下記記載の構成を有するものである。
本発明の光ピックアップ装置は、光ビームを出射するレーザ光源と、レーザ光源から出射された前記光ビームの偏光状態を切り換える偏光回転子と、偏光回転子から出射する光ビームの偏光状態により、異なる光路に出射する偏向ビームスプリッタと、偏光回転子と偏向ビームスプリッタとの間に配し、光ビームを3ビームに分割するための回折格子と、偏向ビームスプリッタから出射される一方の光ビームを、第1の光ディスクに集光する第
1の対物レンズと、偏向ビームスプリッタから出射される他方の光ビームを、第2の光ディスクに集光する第2の対物レンズとを備え、上記回折格子が、第1の光ディスクのトラックピッチと、第1の対物レンズの開口数を考慮して設定された第1の回折格子と、当該第1の回折格子の回折方向と直交して設けられ、第2の光ディスクのトラックピッチと、第2の対物レンズの開口数を考慮して設定された第2の回折格子が、光ビームの光軸方向に重ねて配置されて構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した第1と第2の回折素子が、一体にして形成されることを特徴とするものである。
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した第1、第2の回折素子に、偏光回転子がさらに一体化して形成されていることを特徴とするものである。
本発明の光ピックアップ装置によれば、アクチュエータの複雑な制御を行わずに正確なトラッキング補正を行うことができる。
本発明の光ピックアップの構成は、レーザ光源と偏光ビームスプリッタ間に偏光回転子と二枚の回折機能素子を配した構成としている。以下に、本発明の光ピックアップ装置について図面を用いて詳細に説明をする。
まず、本発明の光ピックアップ装置の構成と作用について説明する。図1は、本発明の光ピックアップ装置の構成および作用を説明するための図面である。
図1に示すように、本発明の光ピックアップ装置100は、レーザ光源1から出射される往路光束101が、コリメートレンズ2で平行光に変換され、偏光回転子3と回折機能素子4に入射する。そして、偏光回転子3と回折機能素子4から出射される往路光束101は楕円偏光となり、偏光ビームスプリッタ5を偏光分離膜5aにより、反射又は透過して往路光束102と、往路光束103とに分離される。そして、この往路光束102は、λ/4板7で光ビームを円偏光に変換され、対物レンズ9で円偏光に変換された光ビームを第1の光ディスク11に集光する。また、往路光束103は、全反射ミラー6を介してλ/4板8で光ビームを円偏光に変換され、対物レンズ9とは異なる開口数の対物レンズ10で円偏光に変換された光ビームを第2の光ディスク12に集光する。第1の光ディスク11から反射された復路光束104は、対物レンズ9とλ/4板7、偏光ビームスプリッタ5を透過し、集光レンズ13を介して、第1の光ディスク11からの復路光束106を、受光素子14に集める。また、第2の光ディスク12から反射された復路光束105は、対物レンズ10とλ/4板8、全反射ミラー6を介して、偏光ビームスプリッタ5により反射され、集光レンズ13を通過して、第2の光ディスク12からの復路光束107を、受光素子14に集める。
なお、上述した偏光回転子3は、レーザ光源1から出射された往路光束101を、所望の偏光方向(S偏光光束である往路光束102又はP偏光光束である往路光束103)に切り換える。この偏光回転子3は、入射する往路光束101の偏光方向を、90度回転させる機能を有し、透明基板間に液晶層を挟持して構成された液晶パネルにより構成される。また、回折機能素子4は、回折機能によりこの往路光束101に対して、夫々の偏光方向に三本の光ビームを形成する。
回折機能素子4は、第1の光ディスク11に対応した回折格子と、第2の光ディスクに
対応した回折格子を、往路光束101の光軸に沿って積層して配置されている。この回折機能素子4は、2つのグレーティングを重ね合わせて配置した形態としても構わないが、本実施例では、2つの液晶回折素子を重ね合わせた形態を採用している。この様に回折素子に液晶回折素子を用いれば、多品種の光ディスクの読み込みと、書き込みの性能の両方の機能を向上させる。
この、回折機能素子4は、受光素子14で得られる光量信号15に基づき、マイコン16で生成される液晶駆動信号18により、回折機能により発現した3ビーム(メインビームと一対のサブビーム)を生成する。このとき積層して配置される2つの液晶回折素子は、この液晶駆動信号18により液晶駆動電圧が制御され、第1、第2の光ディスク11、12に集光する3ビーム(メインビームと一対のサブビーム)の回折効率を可変とすることが出来る。
この様に、本実施例では回折機能素子4を2つの液晶回折素子を積層して構成し、回折効率を可変にできる様にしたからこそ、第1の光ディスク11上の3ビームの内のメインビームに対する、一対のサブビームの光量比を選択的に変えて、第1、第2の光ディスク11、12を再生する時に比べて、記録する時にはサブビームに対するメインビームの光量比を向上させる様にすれば、光ディスクへの正確な記録を行うことができる様になる。
また、偏光ビームスプリッタ5は、偏光回転子3により設定された偏光方向によって光路を切り換えて、第1、第2の光ディスク11、12に向けて往路光束102、103を導出する。
この様にして、光ピックアップ装置100により記録/再生される光ディスクの種類により、往路光束101の偏光切り換えや、復路光束106、107の光量調整が出来る様に、このマイコン16が液晶駆動信号17又は18を生成して、偏光回転子3、回折機能素子4を制御する。
また、レーザ光源1は、青紫色を発光波長とする半導体レーザダイオードであり、発散角を持った単色の直線偏光光束である往路光束101を発生する。コリメートレンズ2は、この発散光束を平行光束にする。偏光回転子3と偏光ビームスプリッタ5は、この平行光束の光ビームを、液晶駆動信号17で所望の偏光方向に切り換え、平行光束である往路光束102、103に分離する。λ/4板7、8は、直線偏光である夫々の平行光束を、円偏光である平行光束に変換する。対物レンズ9、10は、この円偏光の平行光束を、第1、第2の光ディスク11、12に集光する。上述した発散光束と平行光束は、本図面における往路光束101、102、103に相当する。また、このレーザ光源1から発せられた光束の、第1、第2の光ディスク11、12に至るまでの光路を、以下「往路」と呼ぶ。
第1、第2の光ディスク11、12から反射された発散光束は、再び対物レンズ9、10に入射して平行光束になり、λ/4板7、8を透過して、円偏光から直線偏光の復路光束104、105に変換される。この直線偏光の偏光方向は、往路と直交しており、偏光ビームスプリッタ5は、このλ/4板7、8から出射される復路光束104、105の光路を90度回転し、復路光束106、107を、集光レンズ13によって受光素子14に集光する。この第1、第2の光ディスク11、12から反射された光束の、受光素子14に至るまでの光路を、以下「復路」と呼ぶ。
次に、上述した回折機能素子4の構成および作用について詳細に説明する。図2は、本発明に係る回折機能素子の構成を説明するための図面である。図3は、この回折機能素子の作用を示す図面である。
図2(a)に示す様に、回折機能素子4は、2つの液晶回折素子150と液晶回折素子160によって構成されている。そして、液晶回折素子150は、透明電極を有した透明基板111aと透明基板111b、およびシール材114aを介して両透明基板に挟持された液晶層115aを備えている。また、液晶回折素子160は、透明電極を有した透明基板111bと透明基板111c、およびシール材114bを介して両透明基板に挟持された液晶層115bを備えている。
また、回折機能素子4における液晶回折素子150、160は、上述した様に、共通の透明基板111bと夫々透明基板111a、111c上に、ITO(インジウム錫酸化物)により形成された透明電極113a〜113dと配向処理が施された有機系ポリイミドからなる配向膜112a〜112dを有する。
なお、この液晶回折素子150、160の液晶層115a、115bの液晶材料には、ポジ型の液晶を用いている。さらに、各配向膜112a〜112dの配向方向は、ホモジニアス配向とするのがよい。
次に、液晶回折素子150、160内の回折格子からなる透明電極113a、113cについて図2(a)(b)を用いて説明する。
液晶回折素子150内の回折パターンは、ITOをパターニングすることにより、第1の光ディスク11のトラックピッチと、対物レンズ9の開口数に対応した回折格子からなる透明電極113a(以下、回折格子113aとする。)を作製することができる。また、液晶回折素子160内の回折パターンは、液晶回折素子150内に作製した回折格子113aの回折方向と直交した状態で、液晶回折素子150内の回折格子113aの作製方法と同様の方法により、第2の光ディスク12のトラックピッチと対物レンズ10の開口数に対応した回折格子からなる透明電極113c(以下、回折格子113cとする。)を作製することができる。なお、これら回折格子113a、113cと対向する透明電極113b、113dは、ともにベタ電極となっている。
この様に構成し、回折機能素子4への液晶駆動信号18を制御することにより、回折機能素子4は、図3に示す様に、S偏光の往路光束102又はP偏光の往路光束103である偏光成分に対して、夫々の偏光毎に三本の光ビームであり、S偏光メインビーム102a、S偏光サブビーム102b、102c、およびP偏光メインビーム103a、P偏光サブビーム103b、103cに分離させる様に機能させることができる。
この回折機能素子4は、往路では、偏光回転子3によって切り換えられた偏光方向(S偏光光束(紙面に垂直)の往路光束102は、回折格子113a、113cにより、夫々の入射偏光と同一な三本の光ビームである、S偏光の往路メインビーム102aと、S偏光の往路サブビーム102b、102cに、また、P偏光光束(紙面に平行)の往路光束103は、P偏光の往路メインビーム103aと、P偏光の往路サブビーム103b、103cに分けられる。
ここで、液晶回折素子150、160から出射される三本の光ビームは、液晶回折素子150、160内の回折格子113a、113cの設計パラメータである格子定数132a、132bにより、三本の光ビームの中のメインビームとサブビームの間に、ある所定の回折角度130a、130bを付けて出射させることになる。この格子定数132a、132bの設定についての説明は、後述する。
そして、図1に示す様に、回折機能素子4を出射した往路光束102、103は、それ
ぞれ第1の光ディスク11と第2の光ディスク12を集光し、第1、第2の光ディスク11、12を反射した復路光束104、105を、受光素子14へ導く。
この様にして受け取った往路光束104、105は、既に第1、第2の光ディスク11、12に対応した3つの光ビームが生成された信号を含んでいるので、受光素子14は、第1の光ディスク11のトラックピッチ、第2の光ディスク12のトラックピッチから反射された復路光束106、107を受け取って、第1、第2の光ディスク11、12に記録された正確な情報の読み取り、または正確な書き込みをすることができる。
また、第1、第2の光ディスク11、12のトラックに追随して対物レンズ9、10を動作(フォーカシング動作)させるために、受光素子14から発せられる補正信号19を、アクチュエータ制御部20により受けて、アクチュエータ駆動信号21を発する。さらに、受光素子14からの光量信号15を受けて、マイコン16により液晶駆動信号17で偏光回転子3を駆動させることで、現在セットされている光ディスクの種類を判別して偏光の切り換えを行って、往路光束102、103の切り換えを行う。このとき、回折機能素子4の液晶回折素子150と160は、偏光回転子3から出射される往路光束101の偏光方向に対して、その偏光と合ったどちらかの液晶回折素子の回折機能しか発現しない。
ここで、前述した液晶回折素子における回折格子の設計パラメータである回折定数の設定手法について説明する。図4は、本発明に係る光ディスクのトラックに対する光束の作用とトラックに対する作用を示す図面である。
前述した様に、液晶回折素子150内に形成された回折格子113a(図3参照)は、第1の光ディスク11のトラックに、往路光束102を集光する対物レンズ9の開口数を考慮した設計となっている。
また、液晶回折素子160内に形成された回折格子113cは、第2の光ディスク12のトラックに、往路光束103を集光する対物レンズ10の開口数を考慮した設計となっている。
ここで、上記した対物レンズ9は、ガラス又はプラスチックからなり、第1の光ディスク11に対応したものであり、開口数は0.85である。そして、この対物レンズ9は、レーザ光源1から出射された光ビームを第1の光ディスク11上に球面収差を補正する様に集光する。
また、対物レンズ10もガラス又はプラスチックからなり、第2の光ディスク12に対応したものであり、開口数は0.65である。そして、この対物レンズ10は、レーザ光源1から出射された光ビームを、第2の光ディスク12上に球面収差を補正する様に集光する。
そこで、図3(a)、図4(a)左図に示す様に、液晶回折素子150内の回折格子113aにより形成された三本の往路メインビーム102aと、往路サブビーム102b、102cは、格子定数132aで設定した回折角度130aによって対物レンズ9に入射する。この回折角度130aを変化させると、開口数0.85の対物レンズ9は、入射角度によって、三本の光ビームの光路を往路メインビーム102dと、往路サブビーム102e、102fへと変化し、図4(b)左図に示す、トラックピッチ40に設定された、第1の光ディスク11上のトラックに集光するメインビームスポット11aと、サブビームスポット11b、11cの間隔を変化させる。
同様に、図3(b)、図4(a)右図に示す様に、液晶回折素子160内の回折格子113cにより形成された三本の往路メインビーム103aと、往路サブビーム103b、103cは、格子定数132bで設定した回折角度130bによって、三本の光ビームの光路を往路メインビーム103dと、往路サブビーム103e、103fへと変化し、対物レンズ10に入射する。この回折角度130bを変化させると、開口数0.65の対物レンズ10は、入射角度によって、三本の光ビームの光路を往路メインビーム103dと、往路サブビーム103e、103fへと変化し、図4(b)右図に示す、トラックピッチ50に設定された、第2の光ディスク12上のトラックに集光するメインビームスポット12aと、サブビームスポット12b、12cの間隔を変化させる。
この様に、第1の光ディスク11上のトラックピッチ40と、対物レンズ9の開口数、第2の光ディスク12上のトラックピッチ50と、対物レンズ10の開口数に合わせた格子定数132a、132bを設計し、回折角度130a、130bを変化させることで、トラックピッチの異なる光ディスクのトラックへの位置合わせが容易に出来る。
以上のように、本実施の形態による回折機能素子4は、レーザ光源1からの出射光をトラックピッチの異なる第1、第2の光ディスク11、12のトラックへ正確に位置合わせが可能となる為、基本的には、トラッキング補正をするにあたってアクチュエータを動作させる必要がなくなる。また、これにより正確なトラッキング補正ができるので、光ディスクの高い読み取り精度、および高い書き込み精度を有する光ピックアップ装置となる。
次に、本発明の実施の形態2の光ピックアップ装置に係る、偏光回転子と回折機能素子の構成を図5を用いて説明する。図5は、本発明に係る回折機能素子の他の構成例を示す図面である。なお、この実施の形態2の説明において、上述の実施の形態1に示した偏光回転子と回折機能素子との同じ動作を示す箇所には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この実施の形態2に係る回折機能素子300は、図5で示すように、偏光回転子90と、液晶回折素子150、160を組み合わせて、一体の液晶素子として構成としている。この偏光回転子90は、実施の形態1に係る液晶回折素子150の透明基板111aの液晶層115aとは反対側の面に、ITO(インジウム錫酸化物)により形成された透明電極113fを配し、対向面にITOからなる透明電極113eを有した透明基板111d、およびシール材114cを介して透明基板111a、111dによって挟持された液晶層115cを備える。これにより、偏光回転子90と、液晶回折素子150、160を一体とした回折機能素子300とすることができる。
なお、この偏光回転子90の液晶層115cは、液晶材料にポジ型の液晶を用いて形成されている。また、配向膜112e、112fは、ポリイミドからなる配向膜112a〜112dと同様に、ホモジニアス配向に設定するのがよい。
さらに、この偏光回転子90の液晶層115cの液晶材料として、上述したポジ型の液晶に代えて、ネガ型の液晶を用いても良い。さらに、この有機材料からなる配向膜に代えて、無機配向膜を用い、この無機配向膜と液晶材料との組み合わせにより、ホメオトロピック配向としてもよい。
このように、この実施の形態2に係る回折機能素子300は、実施例1に示したと同様に、トラッキング補正時にアクチュエータを動作させる必要がなくなるだけでなく、従来の構成における部品点数の増加を抑えることにより、小型化且つレーザ光源1からの往路光束101の光軸に対して、容易な光軸調整を可能とした光ピックアップ装置とすること
が出来る。
本発明の光ピックアップ装置の構成を示す図面である。(実施例1) 本発明に係る回折機能素子の構成を示す図面である。(実施例1) 本発明に係る回折機能素子の作用を示す図面である。(実施例1) 本発明に係る光ディスクのトラックに対する光束の作用とトラックに対する作用を示す図面である。(実施例1) 本発明に係る回折機能素子の構成を示す図面である。(実施例2) 従来の光ピックアップ装置の構成を示す図面である。 従来のグレーティングの構成、および作用を示す図面である。 従来の光ディスクのトラックに対する光束の作用とトラックに対する作用を示す図面である。
符号の説明
1 レーザ光源
2 コリメートレンズ
3 偏光回転子
4 回折機能素子
5 偏光ビームスプリッタ
5a 偏光分離膜
6 全反射ミラー
7、8 λ/4板
9、10 対物レンズ
11 第1の光ディスク
12 第2の光ディスク
11a、12a メインビームスポット
11b、11c、12b、12c サブビームスポット
13 集光レンズ
14 受光素子
15 光量信号
19 補正信号
16 マイコン
17、18 液晶駆動信号
20 アクチュエータ制御部
21 アクチュエータ駆動信号
40、50 トラックピッチ
90 偏光回転子
100 光ピックアップ装置
101〜103 往路光束
102a、102d、103a、103d 往路メインビーム
102b、102c、102e、102f、103b、103c、103e、103f
往路サブビーム
104〜107 復路光束
111a〜111d 透明基板
112a〜112f 配向膜
113a〜113f 透明電極
114a〜114c シール材
115a〜115c 液晶層
130a、130b 回折角度
131a、131b 回転角度
132a、132b 格子定数
150、160 液晶回折素子
300 回折機能素子

Claims (4)

  1. 光ビームを出射するレーザ光源と、
    当該レーザ光源から出射された前記光ビームの偏光状態を切り換える偏光回転子と、
    当該偏光回転子から出射する光ビームの偏光状態により、異なる光路に出射する偏向ビームスプリッタと、
    前記偏光回転子と前記偏向ビームスプリッタとの間に配し、前記光ビームを3ビームに分割するための回折格子と、
    前記偏向ビームスプリッタから出射される一方の光ビームを、第1の光ディスクに集光する第1の対物レンズと、
    前記偏向ビームスプリッタから出射される他方の光ビームを、第2の光ディスクに集光する第2の対物レンズと、を備え、
    前記回折格子は、前記第1の光ディスクのトラックピッチと、第1の対物レンズの開口数を考慮して設定された第1の回折格子と、当該第1の回折格子の回折方向と直交して設けられ、前記第2の光ディスクのトラックピッチと、第2の対物レンズの開口数を考慮して設定された第2の回折格子とが、前記光ビームの光軸方向に重ねて配置されて構成されている、
    ことを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記第1と第2の回折素子は、2枚の透明基板の間に液晶層を挟持する液晶回折素子である
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記第1と第2の回折素子は、一体にして形成される
    ことを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記第1、第2の回折素子に、前記偏光回転子がさらに一体化して形成される
    ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7929398B2 (en) * 2008-03-14 2011-04-19 Ricoh Company, Ltd. Optical pickup and optical data processing device using the same

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