JP2009070444A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Masayoshi Shimizu
正義 清水
Masaru Furukawa
勝 古川
Reiko Arai
礼子 荒井
Mitsuhiro Shoda
光弘 正田
Yuji Ito
祐史 伊東
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Abstract

【課題】浅いスクラッチ耐性に優れ、記録再生特性及び耐食信頼性に優れた垂直磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】垂直磁気記録媒体は、基板11上に軟磁性下地層13、非磁性中間層15、垂直記録層16、保護層17が積層されて構成される。軟磁性下地層13は、第一の軟磁性層131と、第二の軟磁性層133と、第一の軟磁性層と第二の軟磁性層との間に形成された非磁性層132を有し、第一の軟磁性層と第二の軟磁性層が反強磁性的に結合した構造である。軟磁性下地層13のヤング率を非磁性中間層15及び垂直記録層16と同等以上にし、降伏応力を垂直記録層16の降伏応力より小さくすることにより、ヘッドの摺動や接触に対して垂直記録層16が変形するのを防ぐことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、大容量の情報記録が可能な磁気記録媒体に係わり、特に高密度磁気記録に好適な垂直磁気記録媒体に関するものである。
近年、パーソナルコンピュータのみならず家庭用の電気製品にも小型磁気記録装置が搭載されるようになり、記録装置の耐衝撃性向上が求められている。磁気記録媒体においては、スクラッチ耐性の向上が重要な課題となる。これは、振動や衝撃などによってヘッドが媒体表面と接触や摺動することにより媒体に傷や凹み(スクラッチ)が発生することを防ぎ、スクラッチが発生した場所に記録していた情報を失うことや、剥がれた膜を媒体とヘッドの間に巻き込んで、ヘッドの浮上を不安定にしたり、他の場所にスクラッチを生成したりするなどの問題を防ぐことである。
磁気ディスク装置に代表される磁気記録装置においては、さらなる記録密度の向上が求められている。このため、従来より用いられている面内記録方式媒体に代えて、記録膜の磁化方向が媒体面に対して垂直となる、所謂、垂直記録方式が幅広く研究され、実用化も始まっている。垂直記録方式においては、記録層としてディスク基板に垂直方向の磁気異方性を有する硬磁性材料を採用し、情報を磁化の上向き・下向きに対応させて記録することを特徴とする。各ビットの磁化がディスク面内方向を向いている面内記録方式に比べ、垂直記録方式では記録ビットから発生した磁束はビットの上部及び下部を通して閉磁路を形成するため、特にビットが小さくなったときに安定であり高密度記録に適していると考えられている。垂直磁気記録媒体は、ガラスあるいはアルミのような非磁性基板上に、軟磁性下地層、非磁性中間層、記録層及び保護膜が形成された多層構造となっている。
特許文献1には、超微小変位検出法により押し込み深さ10nm以下で測定した硬度及びヤング率がそれぞれ7GPa以上及び100GPa以上であり、且つ、ヤング率/硬度の比率が16未満であり、とくに保護層の成膜条件により12未満に最適化することで、外部からの衝撃による塑性変形が小さく、摩耗しにくい保護層を備えた磁気記録媒体が開示されている。
特許文献2には、磁気記録媒体の耐摺動強度が表面構造だけの問題にとどまらず、媒体下の内部構造に左右される可能性があるとの知見に基づき、下地層のヤング率が磁性層及び保護膜のヤング率より小さく、下地層の硬度あるいは降伏応力が磁性層及び保護膜の硬度あるいは降伏応力より同程度あるいは大きくすることによって、磁性層が摺動により破壊されるのを防止できることが開示されている。
特許文献3には、耐腐食性を向上し、かつ電磁変換特性を良好にするために、軟磁性裏打ち層がFeおよびCoを有し、さらにSi、Ni、Ta、Nb、Zr、Ti、Cr、MoまたはBの内のいずれか2種類以上の元素を有し、軟磁性裏打ち層の中心線平均粗さが0.2nm以上、0.8nm以下である垂直磁気記録媒体が開示されている。
特開平11−203661号公報 特開2001−266333号公報 特開2006−294090号公報
磁気記録媒体のスクラッチ耐性を向上するためには、前述のように保護膜などの機械特性を制御することが重要である。しかし、垂直磁気記録媒体で高記録密度を達成するためには、磁気ヘッドと記録層の距離を数ナノメートルにすることが求められ、保護膜を薄くする必要がある。このため、スクラッチ耐性を媒体の内部構造を制御することにより向上することが有効である。
ヘッドが媒体表面と接触や摺動することにより起こるスクラッチの深さは、1nmから100nm程度であることが実際の磁気記録装置を用いた衝撃試験によってわかっている。その中で、1nm以上10nm以下の深さの浅いスクラッチは、記録層の凹みを伴っており傷ついた場所の記録層が変形し記録情報を失うという点で問題がある。一方、10nm以上の深さの深いスクラッチは、浅いスクラッチより大きな力でヘッドと媒体が接触した場合に膜の剥がれなどが起こることで発生し、媒体の浮上性の悪化や、剥がれた膜がヘッドと媒体の間に入りさらなるスクラッチを助長するなどして、スクラッチ箇所以外の記録情報の破壊へと繋がるという点で問題である。この中で浅いスクラッチは、わずか1nmであっても記録層の塑性変形を伴う場合があり、記録情報を失うことがある。この浅いスクラッチは専ら磁気記録装置に比較的小さい数百Gの衝撃を与えた場合に生成されるものであり、実際の使用時に発生するスクラッチとしては最も多いスクラッチであるといえる。したがって、この浅いスクラッチを抑制することは、磁気記録装置の耐衝撃性の向上に繋がるものである。
本発明の目的は、浅いスクラッチ耐性に優れ垂直磁気記録媒体を提供することである。
本発明の他の目的は、浅いスクラッチ耐性に優れ、記録再生特性及び耐食信頼性に優れた垂直磁気記録媒体を提供することである。
塑性学の一般的な見地から、凹みのようなスクラッチでは、スクラッチ深さの10倍の深さまでの機械特性がその塑性変形に影響することがわかっている。このため、深さ10nm以下の浅いスクラッチを抑制するためには、表面から100nm程度の部分の機械特性を制御することが重要となる。
一般的な垂直磁気記録媒体は、垂直記録層の下に配向制御用の非磁性中間層などを介して比較的厚い数十から数百nmの軟磁性下地層が形成されており、表面から100nm程度の深さの多くの部分を担っているため、軟磁性下地層の機械特性をかえることで表面から100nmの機械特性を制御することができる。
また、軟磁性下地層は、他の垂直記録層や非磁性中間層が結晶構造を有するのに対し、非晶質または微結晶層を用いるため添加元素によって機械特性を制御することが容易である。
以上の見地から、軟磁性下地層の機械特性のスクラッチ耐性に与える影響を調べたところ、特にヤング率と降伏応力の制御がスクラッチ耐性の抑制に重要であることを見出した。また、軟磁性下地層のヤング率と降伏応力の制御は、FeCoを基体とする軟磁性材料にBとZrを所定の割合添加することで容易に制御できることを見出した。
第1の発明は、基板上に、軟磁性下地層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、軟磁性下地層のヤング率を垂直記録層と同程度以上にするものである。
前記垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金であり、前記軟磁性下地層のヤング率は130GPa以上であることが望ましい。
前記軟磁性下地層は、FeCo合金にTaを含有し、さらにBを5at%以上含有するものであり、前記垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金であることが望ましい。
また、前記軟磁性下地層のFeとCoの組成比が、50:50〜80:20であることが望ましい。
さらに、前記軟磁性下地層の降伏応力が、前記垂直記録層の降伏応力以下であることが望ましい。
前記軟磁性下地層の降伏応力は、2.94GPa以下であることが望ましい。
また、前記軟磁性地層のFeCoの含有量が70at%以上であり、Zrを2at%以上含有することが望ましい。
さらに、前記軟磁性地層のTaZrの含有量が10at%以上であり、ZrBの含有量が20at%以下であることが望ましい。
第2の発明は、基板上に、軟磁性下地層、非磁性中間層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、軟磁性下地層のヤング率を非磁性中間層と同程度以上にするものである。
前記軟磁性下地層のヤング率が130GPa以上であることが望ましい。
また、前記軟磁性下地層の降伏応力が、前記垂直記録層の降伏応力以下であることが望ましい。
前記軟磁性下地層の降伏応力は、2.94GPa以下であることが望ましい。
前記非磁性中間層はRuあるいはRuにCo,Fe,Cr,B,Moの中から選択される1種以上の元素を含む層であり、前記軟磁性下地層は、FeCo合金にTaを含有し、さらにBを5at%以上含有するものであり、前記垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金であることが望ましい。
前記軟磁性地層のFeCoの含有量が70at%以上であり、Zrを2at%以上含有することが望ましい。
さらに、前記軟磁性地層のTaZrの含有量が10at%以上であり、ZrBの含有量が20at%以下であることが望ましい。
本発明によれば、スクラッチ耐力が良好な垂直磁気記録媒体を提供することができる。また、スクラッチ耐力が良好で、記録再生特性に優れ、かつ耐腐食性も併せ持った高密度垂直磁気記録媒体を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。図1に実施例による垂直磁気記録媒体の層構成を断面で示す。垂直磁気記録媒体は、基板11上に軟磁性下地層13、非磁性中間層15、垂直記録層16、保護層17がこの順序で形成されている。軟磁性下地層13は、第一の軟磁性層131と、第二の軟磁性層133と、第一の軟磁性層と第二の軟磁性層との間に形成された非磁性層132を有し、第一の軟磁性層と第二の軟磁性層が反強磁性的に結合した構造である。基板11と軟磁性下地層13の間には、密着層12が設けられている。また、軟磁性下地層13と非磁性中間層15の間には、シード層14が設けられている。
軟磁性下地層13のヤング率は、垂直記録層16あるいは非磁性中間層15と同等以上にするか、垂直記録層16および非磁性中間層15と同等以上にすることが望ましい。これは、ヘッドが接触した際の垂直記録層16の変形を最小限にするためである。軟磁性下地層13のヤング率が小さいと軟磁性下地層13の変形に伴って垂直記録層16の塑性変形が起こるためである。特に、深さ5nm以上の中程度の深さのスクラッチ抑制に効果がある。
軟磁性下地層13の降伏応力は、垂直記録層16の降伏応力よりも小さくすることが望ましい。軟磁性下地層13の降伏応力を垂直記録層16のそれよりも小さくすると、軟磁性下地層13が先に塑性変形することによって垂直記録層16の塑性変形を防ぐことができる。特に、深さ1nm以上3nm以下の非常に浅いスクラッチの抑制に効果がある。
一般的にヤング率と降伏応力は正の相関があるため、中程度の深さのスクラッチと非常に浅いスクラッチの両方を抑制するためには、垂直記録層16と同程度のヤング率と降伏応力にすると特にスクラッチ抑制効果がある。
次に各層に適した材料について説明する。基板11は、ガラスまたはアルミニウム合金基板等の非磁性基体を用いることができる。軟磁性下地層13と基板11との間には、密着層12を設けることが好ましい。密着層12の材料としては、表面平坦性に優れていれば特に限定するものではないが、非晶質材料や微結晶材料を用いて10nm以下にすることが望ましい。例えば、Ni, Al, Ti, Ta, Cr, Zr, Co, Hf, Si, Bの少なくとも二種以上の金属を含む合金で構成することが望ましい。より具体的には、NiTa, AlTi, AlTa, CrTi, CoTi, NiTaZr, CrTiAl等を用いることができる。
軟磁性層131及び133には、FeCoTaを主成分とし、これにZr、BおよびSiのうち少なくとも1種以上の元素を添加した表面平坦性に優れる非晶質合金または微結晶合金を用いることが望ましい。FeCoの組成比を65:35にすると、もっとも大きな飽和磁束密度を得ることができる。他の非磁性の添加元素を増やすことにより飽和磁束密度は減少するので、軟磁気特性を維持する観点から、FeCoの組成比(Fe:Co)は、50:50から80:20の間にすることが望ましい。
耐腐食性の観点から、Taを8at%以上で、かつTaとZrを合わせて10at%以上添加することが望ましい。これにより、電気化学的に安定で非晶質または微結晶な軟磁性膜とすることができる。
垂直記録層16に、CoCrPtを主成分とする連続膜及びグラニュラー膜を用いた場合、実施例に示した測定方法でのヤング率はおよそ130GPa、降伏応力及び降伏圧縮応力はおよそ2.94GPaであった。また、非磁性中間層15にRuを主成分とする膜を用いた場合、実施例に示した測定方法でのヤング率は成膜ガス圧により変化し、130〜135GPaであった。軟磁性材料のヤング率を130GPa以上、降伏応力及び降伏圧縮応力を2.94GPa以下の範囲にするには、以下の組成にすることが望ましい。
FeCoTaを主成分とする軟磁性材料にBを添加することによりヤング率を大きくすることができる。特に5at%以上添加すると他の層と同等のヤング率が得られ、スクラッチ耐性が向上する。しかし、Bを添加すると降伏応力も大きくなるため、Zrを2at%以上添加する。Zrの添加により、降伏応力を小さくすることができるので、さらなるスクラッチ耐性の向上を図ることができる。Zrと同様の効果が、Siを添加しても得ることができる。また、Feの濃度をCoに代えて増やすことにより、非磁性元素を添加するよりも飽和磁束密度を維持してヤング率を大きくすることができる。
非磁性中間層15としては、非磁性で、非晶質もしくは六方最密格子構造や面心立方格子構造の合金を用いることができる。膜構成は単層膜でよいが、結晶構造の異なる材料を用いた積層膜でもよい。材料としては、Ru或いはRuを主成分として、これにCo, Fe, Cr, B, Moから選ばれる少なくとも1種以上の元素を添加したものを用いることができる。
非磁性中間層15の配向及び粒径を制御するために軟磁性下地層13と非磁性中間層15の間にシード層14を設けることもできる。材料としては、Cr, Ti, Ni, W, Al, Ta, Nb, Cu, Mo, Bから選ばれる単体もしくは、2種以上の元素からなる合金を用いることができる。シード層14は単層膜でも積層膜でもよい。
垂直記録層16としては、CoCrPt合金、CoCrPtB合金等のhcp−Co合金膜やCoCrPt-SiO等のグラニュラー膜、(Co/Pt)多層膜、(CoB/Pt)多層膜、(CoSi/Pt)多層膜等の人工格子膜を用いることができる。また、これらの単層膜でも積層膜でもよい。
垂直記録層16の保護層17としては、カーボンを主体とする2nm以上、5nm以下の膜を形成し、さらにパーフルオロアルキルポリエーテル等の潤滑層を用いることが好ましい。これにより、信頼性の高い垂直記録媒体が得られる。
次に上記垂直磁気記録媒体の製造方法を説明する。基板11には65mm型のガラス基板を用い、スパッタリング法により密着層12、第一軟磁性層131、非磁性層132、第二軟磁性層133、シード層14、非磁性中間層15、垂直記録層16、保護層17を順次形成した。図2に各層の作製に用いたターゲットの組成とArガス圧と膜厚及び実施例に示した測定方法でのヤング率と降伏応力を示す。
はじめに、基板11上に密着層12であるAlTi、第一軟磁性層131である軟磁性材料を形成した。次に、非磁性層132であるRu、第二軟磁性層133である軟磁性材料を形成した。軟磁性材料は、図3に示す材料について検討した。さらにヘリウムガスを用いて基板を70℃まで磁場中で冷却し、シード層14であるNiW、非磁性中間層15であるRuを形成した。その上に垂直記録層16であるCoCrPt−SiOのグラニュラー膜を形成し、CoCrPt合金膜を順に形成した。そして、保護層17であるカーボン膜を形成した。冷却中の磁界の大きさは基板中心で8kA/mである。その後、パーフルオロアルキルポリエーテル系の材料をフルオルカーボン材で希釈した潤滑剤を塗布し、表面にバニッシュをかけて垂直記録媒体を作製した。
図3にナノインデンテーション法を用いて測定した軟磁性材料のヤング率、降伏応力を示す。本測定は、Hysitron Inc.製の Tribo Indenterを用いて先端形状がR:300nmの球形圧子を用いて単一押し込み測定により評価した。評価サンプルは、ガラス基板上に40nmの膜厚の単層膜を上記媒体と同じ条件でスパッタリング法によって作製したものを用いた。ヤング率、降伏応力は、以下の式1に示すHertzの接触解から求めた。
Figure 2009070444
ここで、Pは押し込み荷重、Rは球形圧子の半径、hは押し込み深さ、Erは複合弾性率である。両辺を押し込み時の接触圧力(πRh)で割ることにより、接触圧力(Pm)とインデンテーション歪み(ε=(h/R)1/2)の関係が以下の式2にて得られる。
Figure 2009070444
また、Erは試料と圧子のヤング率(E)、ポアソン比(ν)が複合している弾性率であり、以下の式3の通りである。
Figure 2009070444
ヤング率は、弾性領域における圧入−除荷曲線から、降伏接触圧力(Py)は降伏をはじめたときの接触圧力であり、降伏接触圧力(Py)から降伏応力(τ)はTrescaの降伏条件よりτy=0.31Pyとなる。
つぎに、媒体の機械強度を定量的に調べるために3次元粗さ計を用いて、針の押し込み荷重を150及び300μNにして媒体表面にスクラッチを形成し、原子間力顕微鏡(AFM:Digital instruments Nanoscope3)を用いてスクラッチの深さを評価した。本評価をライトスクラッチ評価と呼ぶ。この結果は図3に併記した。
図4にヤング率と荷重300μNにおけるスクラッチの深さの関係を示す。荷重300μNにおけるスクラッチの深さは、ヤング率と相関があり130GPa以上で減少することがわかる。このヤング率は、垂直記録層及び非磁性中間層のヤング率とほぼ等しく、軟磁性下地層のヤング率を他の層と同等以上に大きくすると効果的であることを示している。
図5に降伏応力と150μNにおけるスクラッチの深さの関係を示す。荷重150μNにおけるスクラッチの深さは、降伏応力と良い相関があり、降伏応力が2.94GPaより大きい場合に、スクラッチが急激に深くなっている。このスクラッチ深さの変化した降伏応力は、垂直記録層CoCrPt-SiOを40nmガラス基板上に成膜して上記測定法で得られた降伏応力2.94GPaとほぼ等しかった。
つぎに、実際にスピンスタンドを用いて媒体を回転させ、磁気ヘッドを摺動させることにより媒体にスクラッチを生成し、このスクラッチの数をOptical surface analyzer (Candela: OSA-6120)を用いて評価した。本評価をスクラッチテストと呼ぶ。本結果は、図3に併記した。ライトスクラッチ評価で低荷重および高荷重のスクラッチで傷がつきにくかった媒体は、スクラッチ数が15より小さく、スクラッチ耐性に優れていることがわかる。また、ライトスクラッチ評価で低荷重あるいは高荷重のスクラッチのみが抑制された媒体では、スクラッチ数はいずれも15を下回っておらず、高荷重、低荷重の両方を抑制することが効果的であることがわかる。
ライトスクラッチ評価で低荷重及び高荷重の両方で、スクラッチ深さを減らすためには、Feを多く含んだFeCoTaB合金若しくは、FeCoTaZrB合金とすることが効果的である。FeCoTaB合金では、軟磁性材料9に示すとおりFeとCoの比を75:15程度まで大きくすると良い。また、FeCoTaZrB合金では図3の軟磁性材料4〜7及び11、15〜17から読み取られるようにBを5at%以上添加することにより所望のヤング率を得ることができる。しかし、Bを添加すると、降伏応力も大きくなるため、Zrを2at%以上添加することにより降伏応力を低減できていることがわかる。また、軟磁性材料20,21が示すとおりSiを添加した場合でもZrと同様の効果が得られる。一方、Taは軟磁性材料11,18,19の結果が示すとおり機械特性にはほとんど影響がない。
次に、これらの媒体を用いて磁気記録装置を作製し、衝撃試験を行った。図6に記録再生で問題が発生した衝撃とスクラッチテストの結果の関係を示す。スクラッチ数の小さいものがより大きな衝撃にも耐えて記録再生できたことがわかる。
以上の結果から、軟磁性下地層のヤング率を垂直記録層あるいは非磁性中間層と同程度以上に大きくするか、垂直記録層および非磁性中間層と同程度以上に大きくし、降伏応力を垂直記録層の降伏応力と同程度にするとスクラッチ耐性が向上し、耐衝撃性の高い磁気記録装置に適した媒体を作製できることがわかった。
軟磁性下地層にFeCoTaZrB合金を用いた上記垂直磁気記録媒体において、FeCoTaZrB合金の組成をFeとCoの合計で60〜80at%、Taの含有量を5〜15at%、Zrの含有量を0〜10at%、Bの含有量を0〜10at%の間で変化させ、記録再生特性の評価を行った。評価に用いたヘッドは、シールドギャップ長60nm、トラック幅65nmの巨大磁気抵抗効果を利用した再生素子と、トラック幅90nmの単磁極書き込み素子からなる複合磁気ヘッドである。周速10m/s、スキュー角0度、磁気スペーシング約15nmの条件で再生出力とノイズを測定し、S/N特性は線記録密度2690fr/mmの信号を記録したときの孤立波再生出力と線記録密度26900fr/mmの信号を記録したときの積分ノイズの比として求めた。
その結果、軟磁性下地層の飽和磁束密度が0.9Tを下回ると、重ね書き特性の劣化に伴うS/N特性の劣化が見られた。飽和磁束密度が0.9Tを下回るのは、FeとCoの合計の含有量がBを10at%添加した場合では、70at%を下回る場合、Bを5at%添加した場合では、73at%を下回る場合であった。
次に、この媒体を摂氏65℃、湿度90%の高温高湿下にさらし耐食性試験を行ったところ、腐食性はTaとZrの含有量に依存することがわかり、Taの含有量が8at%を下回るかTaとZrの含有量の合計が10at%を下回ると腐食しやすくなることがわかった。
本結果から、FeCoTaZrB合金軟磁性下地層は、FeCoの含有量を概ね70at%以上、TaとZrの含有量を10at%以上とすると記録再生特性と耐食性に優れることがわかり、スクラッチ耐性を高めるために添加するZrとBの含有量を、概ね20at%%まで添加できることがわかった。
本発明の実施例による垂直磁気記録媒体の層構成を示す断面図である。 各層の作製に用いたターゲットの組成とArガス圧および膜厚等を示す図である。 ナノインデンテーション法を用いて測定した軟磁性材料のヤング率、降伏応力を示す図である。 軟磁性下地層のヤング率と300μNでスクラッチしたスクラッチ深さの関係を示す図である。 軟磁性下地層の降伏応力と150μNでスクラッチしたスクラッチ深さの関係を示す図である。 150μNでスクラッチしたスクラッチ深さと磁気記録装置の最大耐衝撃値の関係を示す図である。
符号の説明
11…基板、12…密着層、13…軟磁性下地層、14…シード層、15…非磁性中間層、16…垂直記録層、17…保護層、131…第一軟磁性層、132…非磁性層、133…第二軟磁性層。

Claims (15)

  1. 基板上に、軟磁性下地層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性下地層のヤング率が前記垂直記録層と同程度以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金であり、前記軟磁性下地層のヤング率が130GPa以上であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記軟磁性下地層は、FeCo合金にTaを含有し、さらにBを5at%以上含有するものであり、前記垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金であることを特徴とする請求項1記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記軟磁性下地層のFeとCoの組成比が、50:50〜80:20であることを特徴とする請求項3記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記軟磁性下地層の降伏応力が、前記垂直記録層の降伏応力以下であることを特徴とする請求項1記載垂直磁気記録媒体。
  6. 前記軟磁性下地層の降伏応力が、2.94GPa以下であることを特徴とする請求項5記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 前記軟磁性下地層のFeCoの含有量が70at%以上であり、さらにZrを2at%以上含有することを特徴とする請求項3記載の垂直磁気記録媒体。
  8. 前記軟磁性下地層のTaZrの含有量が10at%以上であり、ZrBの含有量が20at%以下であることを特徴とする請求項7記載の垂直磁気記録媒体。
  9. 基板上に、軟磁性下地層、非磁性中間層を介して垂直記録層が形成された垂直磁気記録媒体において、前記軟磁性下地層のヤング率が前記非磁性中間層と同程度以上であることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  10. 前記軟磁性下地層のヤング率が130GPa以上であることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録媒体。
  11. 前記軟磁性下地層の降伏応力が、前記垂直記録層の降伏応力以下であることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録媒体。
  12. 前記軟磁性下地層の降伏応力が、2.94GPa以下であることを特徴とする請求項11記載の垂直磁気記録媒体。
  13. 前記非磁性中間層はRuあるいはRuにCo,Fe,Cr,B,Moの中から選択される1種以上の元素を含む層であり、前記軟磁性下地層は、FeCo合金にTaを含有し、さらにBを5at%以上含有するものであり、前記垂直記録層はCoCrPtを主成分とする合金であることを特徴とする請求項9記載の垂直磁気記録媒体。
  14. 前記軟磁性地層のFeCoの含有量が70at%以上であり、さらにZrを2at%以上含有することを特徴とする請求項13記載の垂直磁気記録媒体。
  15. 前記軟磁性地層のTaZrの含有量が10at%以上であり、ZrBの含有量が20at%以下であることを特徴とする請求項14記載の垂直磁気記録媒体。
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