JP2009069813A - 位相差フィルム、偏光板、及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

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JP2009069813A JP2008189544A JP2008189544A JP2009069813A JP 2009069813 A JP2009069813 A JP 2009069813A JP 2008189544 A JP2008189544 A JP 2008189544A JP 2008189544 A JP2008189544 A JP 2008189544A JP 2009069813 A JP2009069813 A JP 2009069813A
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謙一 福田
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Abstract

【課題】液晶表示装置の斜め方向に生じる色ずれの軽減に寄与し得る新規な位相差フィルム及び偏光板の提供、及び黒表示時の視角方向に依存した色ずれが軽減されたVAモードの液晶表示装置の提供。
【解決手段】ポリマーフィルムと、その上に、厚みが5μm以下の光学異方性層を有する位相差フィルムであって、波長550nmの面内レターデーションRe(550)が0〜10nmであり、同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が250〜450nmであり、かつ1.00≦Rth(450)/Rth(550)≦1.07を満たすことを特徴とする位相差フィルム;並びに該位相差フィルムを有する偏光板及び液晶表示装置である。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な位相差フィルム、偏光板及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
従来、IPS(In−Plane Switching)方式、OCB(Optically Compensatory Bend)方式、及びVA(Vertically Aligned)方式といった広視野角の液晶方式が提案され、近年の液晶テレビの需要増に伴い、そのシェアーを拡大している。各方式とも、表示品位について改善が図られているが、斜めから観察した際に生じる色ずれの問題は未だ解決されていない。
このような色ずれの問題を解決させるために、VA方式の液晶表示装置では、主に負のCプレート補償フィルム及び正のAプレート補償フィルムを用いた光学補償方式が開示されている。例えば、特許文献1には負のCプレート補償フィルムを使用した一般的なVA方式の液晶装置が開示されている。
しかしながら、負のCプレート補償フィルムを使用した一般的なVA方式の液晶表示装置では、黒表示状態の補償が完全になされないため、視野角によっては光漏れが生じるという問題があった。
これに対し、特許文献2には、負のCプレート補償フィルムと正のAプレート補償フィルムの両方を含む一般的なVA方式の液晶表示装置が開示されている。これにより、黒表示時の光漏れが更に改善された。
しかしながら、負のCプレート補償フィルムと正のAプレート補償フィルムの両方を含む一般的なVA方式の液晶表示装置でも、黒表示時の斜め方向の色味変化は充分なものではなかった。
米国特許第4,889,412号公報 米国特許第6,141,075号公報
本発明は、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、の光学補償に有用な、特に、斜め方向に生じる色ずれの軽減に寄与し得る、新規な位相差フィルム及び偏光板を提供することを課題とする。
また、本発明は、コントラストが改善され、黒表示時の視角方向に依存した色ずれが軽減された、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] ポリマーフィルムと、その上に、厚みが5μm以下の光学異方性層を有する位相差フィルムであって、波長550nmの面内レターデーションRe(550)が0〜10nmであり、同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が250〜450nmであり、かつ下記式(1)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
(1) 1.00≦Rth(450)/Rth(550)≦1.07
[2] 前記光学異方性層の波長550nmの面内レターデーションRe(550)が0〜10nmであり、同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が200〜400nmであり、かつ下記式(2)を満たすことを特徴とする[1]の位相差フィルム。
(2) 1.05≦Rth(450)/Rth(550)≦1.15
[3] 前記光学異方性層の波長550nmの厚さ方向のレターデーションRth(550)を前記光学異方性層の膜厚dで割った値、Rth(550)/dが0.080以上であることを特徴とする[1]又は[2]の位相差フィルム。
[4] 前記光学異方性層が重合性組成物から形成されることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの位相差フィルム。
[5] 前記重合性組成物が重合性基を有するディスコティック液晶性化合物を含む組成物であり、かつ前記光学異方性層において、該ディスコティック液晶化合物のディスコティック構造単位が層面に対して水平配向していることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの位相差フィルム。
[6] 前記ディスコティック液晶性化合物が、下記式(DI)で表される化合物であることを特徴とする[5]の位相差フィルム。
Figure 2009069813
[式中、Y11、Y12、及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
1、L2、及びL3は、それぞれ独立に単結合、又は二価の連結基を表し;
1、H2、及びH3は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−A)、又は下記一般式(DI−B)を表し;
Figure 2009069813
[一般式(DI−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;「*」は上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
「**」は上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。]
Figure 2009069813
[一般式(DI−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;「*」は、上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
「**」は、上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。]
1、R2、及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
Figure 2009069813
[上記一般式(DI−R)中、「*」は、一般式(DI)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し;
21は、単結合、又は二価の連結基を表し;
2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表し;
n1は、0〜4の整数を表し;
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−、又は**−C≡C−を表し、「**」は、Q2側と結合する位置を表し;
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;
1は、重合性基又は水素原子を表す。]
[7] 前記光学異方性層が、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも一種を含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの位相差フィルム。
[8] 前記ポリマーフィルムの波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(550)が30nm以上であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかの位相差フィルム。
[9] 前記ポリマーフィルムがセルロースアシレート系フィルムであることを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの位相差フィルム。
[10] 偏光膜と、[1]〜[9]のいずれかの位相差フィルムとを少なくとも有することを特徴とする偏光板。
[11] [1]〜[10]のいずれかの位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
[12] 互いに吸収軸が直交している一対の偏光膜、該偏光膜の間に配置される一対の基板、及び該基板間に挟持される液晶性分子からなる液晶層を有し、該液晶性分子は外部電界が印加されていない非駆動状態において前記基板に対し実質的に垂直な方向に配向することを特徴とする[11]の液晶表示装置。
[13] 更に第2の位相差フィルムを有し、第2の位相差フィルムは高分子延伸フィルムからなることを特徴とする[11]又は[12]の液晶表示装置。
[14] 前記第2の位相差フィルムは、波長550nmの面内レターデーションRe(550)及び同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が下記式(3)及び下記式(4)を満たすことを特徴とする[13]の液晶表示装置。
(3) 70nm≦Re(550)≦210nm
(4) −0.6≦Rth(550)/Re(550)≦−0.4
[15] 前記第2の位相差フィルムが、セルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム及びポリサルフォン系フィルムのいずれかであることを特徴とする[13]又は[14]の液晶表示装置。
[16] 前記第2の位相差フィルムが、その面内遅相軸と偏光膜の吸収軸とが直交する配置で、前記一対の偏光膜の一方に直接積層されている[13]〜[15]のいずれかの液晶表示装置。
本発明によれば、VAモード液晶表示装置の光学補償に有用な、特に、斜め方向に生じる色ずれの軽減に寄与し得る、新規な位相差フィルム及び偏光板を提供することができる。
また、本発明によれば、コントラストが改善され、黒表示時の視角方向に依存した色ずれが軽減された、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、光学特性等を示す数値や数値範囲については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値又は数値範囲であると解釈されるものとする。角度については、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。更に屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
また、本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)、及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)は、KOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値とを基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値は、その符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合には、フィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(I)及び式(II)よりRthを算出することもできる。
Figure 2009069813
数式(II)
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また、nxは、面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法により、Rth(λ)は算出される。
Rth(λ)は、前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と、平均屈折率の仮定値、及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学補償フィルムのカタログの値を使用することができる。
また、平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学補償フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRは、nx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[位相差フィルム]
本発明の位相差フィルムは、ポリマーフィルム上に光学異方性層を少なくとも一層有する位相差フィルムである。本発明の位相差フィルムの面内レターデーションReは0〜10nmであり、0〜5nmであることが好ましく、0〜3nmであることが特に好ましい。厚さ方向のレターデーションRthは200〜450nmであり、230〜450nmであることがより好ましく、250〜400nmであることが特に好ましい。VAモードの液晶表示装置用位相差フィルムの態様では、位相差フィルムの波長分散性Rth(450)/Rth(550)は1.00〜1.07であり、1.00〜1.06であることがより好ましく、1.00〜1.05がさらに好ましく、1.01〜1.04がよりさらに好ましい。上記波長分散性の条件を満たすと、可視光全域にわたってVAモードの液晶表示素子を補償することが可能となる。
以下、本発明の位相差フィルムの要素である、ポリマーフィルム及び光学異方性層についてそれぞれ詳細に説明する。
[ポリマーフィルム]
本発明の位相差フィルムが有するポリマーフィルムは、下記式(11)〜(13)を満たすことが好ましい。
30nm≦Rth(550)≦250nm ・・・式(11)
Rth(450)/Rth(550)≦1.06 ・・・式(12)
0≦Re(550)≦10nm ・・・式(13)
式(11)においてRth(550)は30nm以上であることが好ましく、60nm以上であることがより好ましく、80nm以上であることが特に好ましい。ポリマーフィルムの厚み方向のレターデーションが大きいと光学異方性層の膜厚を薄くすることができ、塗布ムラの問題が生じ難い。Rth(550)の上限値については特に制限はないが、一般的にはポリマーフィルムのRthの上限値は250nm程度である。
式(12)において[Rth(450)/Rth(550)]は1.05以下であることが好ましく、1.03以下であることが好ましく、1.00以下であることが特に好ましい。また、[Rth(450)/Rth(550)]は、0.70以上であるのが好ましい。
式(13)においてRe(590)は0〜5nmであることが好ましい。
ポリマーフィルムの基材の厚さは、位相差等により適宜、決定しうるが、薄型化と偏光板のハンドリング性の観点から、10〜150μmが好ましく、20〜130μmがより好ましく、30〜100μmが特に好ましい。
前記ポリマーフィルムの材料については特に制限はなく、上記光学特性を満足する、様々な材料からなるポリマーフィルムを使用できる。中でも、原材料が安価であること及び偏光板加工適性の点から、セルロースアシレート系フィルムが好ましい。なお、本明細書において、「セルロースアシレート系フィルム」とは、フィルムを構成しているポリマー組成物のうち主成分、具体的には、フィルム総質量に対してセルロースアシレートが、例えば、70質量%以上、好ましくは、80質量%以上含まれていることを示す。本明細書において以下「主として含む」、「主成分」とは同様の意味を表すものとする。
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基の一部又は全部がアシル基で置換されたものである。セルロースアシレートの置換度とは、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
前記ポリマーフィルムの原料に使用するセルロースアシレートは、アシル置換度が2.90〜3.00であるセルロースアシレートが好ましい。前記アシル置換度は2.93〜2.97がさらに好ましい。
前記ポリマーフィルムの原料に使用する、他の好ましいセルロースアシレートは、総アシル置換度が2.70〜3.00の混合脂肪酸エステルである。さらに好ましくは総アシル置換度が2.80〜3.00であり、かつ炭素原子数が3〜4のアシル基を有する混合脂肪酸エステルである。前記混合脂肪酸エステルのアシル置換度は2.85〜2.97がさらに好ましい。また炭素原子数が3〜4のアシル基の置換度は0.1〜2.0が好ましく、0.3〜1.5がさらに好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70,000〜230,000の数平均分子量を有することが好ましく、75,000〜230,000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78,000〜120,000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
この方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖((β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフィルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、TD80UF 富士フイルム(株)製)そのものまたは、それを加熱延伸して、上記式(11)〜(13)を満足するセルロースアシレートフィルムを作製することができる。また、酢化度55.0〜62.5%程度のセルロースアシレートの溶液に、1,3,5−トリアジン環化合物等のレターデーション上昇剤を添加して調製したドープを、ドラム上等に流延し、上記式(11)〜(13)を満足するセルロースアシレートフィルムを作製することもできる。後述の方法に利用可能な溶液流延方法の諸条件、レターデーション上昇剤、セルロースアシレート原料については、特開2001−166144号公報等に詳細な記載があり、前記ポリマーフィルムの作製に利用することができる。
[光学異方性層]
本発明の位相差フィルムが有する光学異方性層の波長分散性を示すRth(450)/Rth(550)は、1.05〜1.15であることが好ましく、1.06〜1.14であることが好ましく、1.07〜1.13であることが特に好ましい。このような波長分散性を有すると、ポリマーフィルムの波長分散性と合わせて、位相差フィルムとして好ましい波長分散性を得ることができ、可視光全域にわたって液晶表示素子を補償することが可能となる。前記光学異方性層の面内レターデーションReは0〜10nmであるのが好ましく、より好ましくは0〜5nmである。
加えて、光学異方性層の厚さ方向のレターデーションRthを光学異方性層の膜厚dで割った値、Rth/dは、0.080以上であることが好ましく、0.090以上であることが更に好ましく、0.10以上であることがより好ましい。このような光学異方性層は長尺の支持体に連続塗布する際に、ムラを発生しにくいという利点を有する。Rth発現性に優れた液晶化合物、特に後述する一般式(DI)で表される液晶化合物、を利用することで、Rth/dが0.080以上の光学異方性層を容易に形成できる。Rth/dの上限値については特に制限はないが、一般的には0.20以下となる。
[液晶性化合物よりなる光学異方性層]
前記光学異方性層は重合性組成物から形成されることが好ましく、特に光学的に負の屈折率異方性を持ち、かつ重合性基を有する液晶性化合物を含む組成物から形成されることが好ましい。このような光学異方性層としては、カイラルネマチック(コレステリック)液晶性化合物を含む重合性組成物から形成された層、ディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成され、該ディスコティック液晶化合物由来のディスコティック構造単位が層面に対して水平配向している層が挙げられる。
カイラルネマチック(コレステリック)液晶性化合物とは該化合物を含む組成物がポリマー基材上に塗布された際にカイラルネマチック(コレステリック)液晶相を形成する化合物を意味し、そのような化合物としては棒状液晶性化合物又は高分子液晶性化合物が挙げられる。
棒状液晶性化合物をカイラルネマチック(コレステリック)配向させるためには、光学的に活性な棒状液晶性化合物を用いるか、あるいは棒状液晶性化合物と光学活性化合物の混合物を用いる。棒状液晶性化合物は、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましい。
該化合物を含む組成物をポリマーフィルム基材上に塗布し、後述のディスコティック液晶性化合物よりなる光学異方性層の作製方法と同様に配向状態を維持して固定化することができる。
また、光学異方性層は、コーティングした際に負の屈折率異方性を有し、かつフィルム面の法線方向に光軸を有する高分子材料を用いて形成することもできる。このような高分子材料としては、特開2000−190385号公報に提案されているような、少なくとも1種類以上の芳香族環を持つ成膜材料(ポリアミド、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリエステルあるいはポリエステルアミド等の各種ポリマー、又は、これらのポリマーを与え得る重合可能な低分子化合物等)は、コーティングした際に負の屈折率異方性を有し面の法線方向に光軸を有し、通常正波長分散性のレターデーションを有する。
[ディスコティック液晶性化合物よりなる光学異方性層]
本発明において、前記光学異方性層はディスコティック液晶性化合物を含む組成物から形成されることが好ましい。
ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem.Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655(1994))に記載されているものを広く採用することができる。ディスコティック液晶性化合物の重合については、例えば、特開平8−27284号公報に記載の方法を採用できる。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有することが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられる。また、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造がより好ましい。連結基を有する構造を採用すると、重合反応において配向状態を保つことがより容易になる。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記一般式(VI)で表わされる化合物が好ましい。
一般式(VI) D(−L−P)n
(一般式(VI)中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは2〜12の整数である。)
前記式(VI)中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)及び重合性基(P)は、例えば、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)をそれぞれ、用いることができる。
重合性基を有するディスコティック液晶性化合物の場合も、上述と同様に実質的に水平配向させる。この場合のディスコティック液晶性化合物の具体例としては、国際公開WO01/88574A1号公報の58頁6行〜65頁8行に記載されているものもまた好ましく挙げられる。
本発明では、ディスコティック液晶性化合物が下記一般式(DI)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2009069813
上記一般式(DI)中、Y11、Y12、及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。
11、Y12、及びY13がメチンの場合、メチンの水素原子は置換基によって置換されていてもよい。ここで、メチンとは、メタンから水素原子を3個除いて得られる原子団をいう。
メチンの炭素原子が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子及びシアノ基を好ましい例として挙げることができる。
これらの置換基の中では、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子及びシアノ基がより好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12アルコキシカルボニル基、炭素数2〜12アシルオキシ基、ハロゲン原子、及びシアノ基が更に好ましい。
11、Y12及びY13は、いずれもメチンであることがより好ましく、メチンは無置換であることが更に好ましい。
上記一般式(DI)中、L1、L2、及びL3は、それぞれ独立に単結合、又は二価の連結基を表す。L1、L2、及びL3が、二価の連結基の場合、それぞれ独立に、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、−C≡C−、二価の環状基及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。
上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基、又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
1、L2、及びL3における二価の環状基とは、少なくとも1種類の環状構造を有する二価の連結基(以下、環状基ということがある)である。環状基は5員環、6員環、又は7員環を有することが好ましく、5員環、又は6員環を有することがより好ましく、6員環を有することが更に好ましい。環状基に含まれる環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることが好ましい。
また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。
脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。
複素環としては、ピリジン環、及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
環状基は、芳香族環、又は複素環がより好ましい。なお、環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい。
1、L2、及びL3で表される二価の環状基のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。
ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。
シクロヘキサン環を有する環状基としては、1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。
ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
1、L2、及びL3で表される二価の環状基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数が2〜16アルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル基で置換されたカルバモイル基、及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
1、L2、及びL3としては、単結合、*−O−CO−、*−CO−O−、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−、*−O−CO−二価の環状基−、*−CO−O−二価の環状基−、*−CH=CH−二価の環状基−、*−C≡C−二価の環状基−、*−二価の環状基−O−CO−、*−二価の環状基−CO−O−、*−二価の環状基−CH=CH−、及び*−二価の環状基−C≡C−が好ましい。
この中でも、単結合、*−CH=CH−、*−C≡C−、*−二価の環状基−O−CO−、*−CH=CH−二価の環状基−、及び*−C≡C−二価の環状基−がより好ましく、単結合が更に好ましい。
ここで、上記「*」は、一般式(DI)中のY11、Y12、及びY13を含む6員環側に結合する位置を表す。
1、H2、及びH3は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−A)、又は下記一般式(DI−B)を表す。
Figure 2009069813
一般式(DI−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YA1及びYA2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。XAは、酸素原子、硫黄原子、メチレン、又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
ここで、上記一般式(DI−A)中、「*」は上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、「**」は上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。また、前記イミノは、−NH−で表されるもの(Hが置換基で置換されているものを含む)をいう。
Figure 2009069813
上記一般式(DI−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表す。YB1及びYB2は、少なくとも一方が窒素原子であることが好ましく、両方が、窒素原子であることがより好ましい。
XBは、酸素原子、硫黄原子、メチレン又はイミノを表し、酸素原子が好ましい。
ここで、上記一般式(DI−B)中、「*」は、上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し、「**」は、上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。
1、R2、及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
Figure 2009069813
上記一般式(DI−R)中、「*」は、一般式(DI)におけるH1〜H3側と結合する位置を表す。
また、上記一般式(DI−R)中、L21は、単結合、又は二価の連結基である。L21が二価の連結基の場合、−O−、−S−、−C(=O)−、−NR7−、−CH=CH−、及びC≡C−、並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R7は炭素原子数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素原子数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
また、上記一般式(DI−R)中、L21は、単結合、並びに、***−O−CO−、***−CO−O−、***−CH=CH−、及び***−C≡C−(ここで、「***」は、一般式(DI−R)中の「*」側を表す)のいずれかが好ましく、単結合がより好ましい。
また、上記一般式(DI−R)中、Q2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表す。このような環状基としては、5員環、6員環、又は7員環を有する環状基が好ましく、5員環又は6員環を有する環状基がより好ましく、6員環を有する環状基が特に好ましい。上記環状基に含まれる環状構造は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
また、環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。
脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。
複素環としては、ピリジン環及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
環状基は、芳香族環又は複素環がより好ましい。なお、環状基は、環状構造のみ(但し、置換基を含む)からなる2価の連結基であることがより好ましい。
また、上記一般式(DI−R)中、Q2のうち、ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。
また、ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。
また、シクロヘキサン環を有する環状基としては、1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
また、ピリジン環を有する環状基としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。
また、ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、及び1,4−シクロへキシレン基が好ましい。
また、上記一般式(DI−R)中、Q2は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基、及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲンで置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
n1は、0〜4の整数を表す。n1としては、1〜3の整数が好ましく、1又は2が更に好ましい。
22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−、又は**−C≡C−を表し、「**」は、Q2側と結合する位置を表す。
22は、好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−CH2−、**−CH=CH−、**−C≡C−であり、より好ましくは、**−O−、**−O−CO−、**−O−CO−O−、**−CH2−である。
23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表す。
ここで、−NH−、−CH2−、及び−CH=CH−の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
このような置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲンで置換されたアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアシル基、炭素原子数1〜6のアルキルチオ基、炭素原子数2〜6のアシルオキシ基、炭素原子数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜6のアルキルで置換されたカルバモイル基、及び炭素原子数2〜6のアシルアミノ基が好ましい例として挙げられ、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基がより好ましい。
23は、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH=CH−、及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれることが好ましい。
23は、炭素原子を1〜20個含有することが好ましく、炭素原子を2〜14個を含有することがより好ましい。更に、L23は、−CH2−を1〜16個含有することが好ましく、−CH2−を2〜12個含有することが更に好ましい。
1は、重合性基又は水素原子を表す。本発明で用いる液晶性化合物を位相差が熱により変化しないものが好ましい光学補償フィルム等に用いる場合には、Q1は重合性基であることが好ましい。
重合反応は、付加重合(開環重合を含む)、又は縮合重合であることが好ましい。すなわち、重合性基は、付加重合反応、又は縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。当該重合性基の例を以下に示す。
Figure 2009069813
更に、重合性基は付加重合反応が可能な官能基であることが特に好ましい。そのような重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基、又は開環重合性基が好ましい。
重合性エチレン性不飽和基の例としては、下記の式(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
Figure 2009069813
式(M−3)、(M−4)中、Rは、水素原子又はアルキル基を表し、その中でも、水素原子、又はメチル基が好ましい。
本発明の重合性エチレン性不飽和基は、上記式(M−1)〜(M−6)の中では、(M−1)、又は(M−2)が好ましく、(M−1)がより好ましい。
開環重合性基は、環状エーテル基が好ましく、エポキシ基、又はオキセタニル基がより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物としては、下記一般式(DII)で表される液晶性化合物が特に好ましい。
Figure 2009069813
一般式(DII)中、Y31、Y32、及びY33は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し、一般式(DI)中の、Y11、Y12、及びY13と同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(DII)中、R31、R32、及びR33は、それぞれ独立に下記一般式(DII−R)を表す。
Figure 2009069813
一般式(DII−R)中、A31及びA32は、それぞれ独立に、メチン又は窒素原子を表し、少なくとも一方が、窒素原子であることが好ましく、両方が窒素原子であることが更に好ましい。X3は、酸素原子、硫黄原子、メチレン、又はイミノを表し、その中でも酸素原子が好ましい。
31は、6員環状構造を有する二価の連結基(以下、6員環環状基ということがある)を表す。
なお、この6員環は、縮合環であってもよい。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
また、6員環環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、及び複素環のいずれでもよい。芳香族環としては、ベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい例として挙げられる。
脂肪族環としては、シクロヘキサン環が好ましい例として挙げられる。
複素環としては、ピリジン環、及びピリミジン環が好ましい例として挙げられる。
31は、6員環状構造のみからなる二価の連結基(但し、置換基を有していてもよい)であることが好ましい。
31のうち、ベンゼン環を有する6員環環状基としては、1,4−フェニレン基、及び1,3−フェニレン基が好ましい。
ナフタレン環を有する環状構造としては、ナフタレン−1,5−ジイル基、及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。
シクロヘキサン環を有する環状構造としては、1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。
ピリジン環を有する環状構造としては、ピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。
ピリミジン環を有する環状構造としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。これらの中でも、特に、1,4−フェニレン基、及び1,3−フェニレン基がより好ましい。
31の環状構造は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数2〜16のアルケニル基、炭素原子数2〜16のアルキニル基、炭素原子数1〜16のハロゲン原子で置換されたアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアシル基、炭素原子数1〜16のアルキルチオ基、炭素原子数2〜16のアシルオキシ基、炭素原子数2〜16のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数2〜16のアルキル置換カルバモイル基、及び炭素原子数2〜16のアシルアミノ基が含まれる。
6員環環状基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン原子で置換されたアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のハロゲン原子で置換されたアルキル基がより好ましく、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、トリフルオロメチル基が更に好ましい。
n3は、1〜3の整数を表し、1又は2が好ましい。
31は、*−O−、*−O−CO−、*−CO−O−、*−O−CO−O−、*−S−、*−N(R)−、*−CH2−、*−CH=CH−、又は*−C≡C−を表す。
なお、「*」は、Q31側と結合する位置を表し、具体的には、一般式(DI−R)中のL22と同義であり、好ましい範囲も同義である。
32は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−、及びC≡C−、並びにこれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し、具体的には、一般式(DI−R)中のL23と同義であり、好ましい範囲も同義である。
また、一般式(DII−R)中のQ32は、重合性基、又は水素原子を表し、具体的には、一般式(DI−R)中のQ1と同義であり、好ましい範囲も同義である。
以下に、一般式(DI)で表される液晶性化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2009069813
Figure 2009069813
Figure 2009069813
Figure 2009069813
Figure 2009069813
本発明で用いる液晶性化合物は、良好なモノドメイン性を示す液晶相を発現することが望ましい。モノドメイン性を良好なものとすることにより、得られる構造が、ポリドメインとなり、ドメイン同士の境界に配向欠陥が生じ、光を散乱するようになるのを効果的に防ぐことができる。更に、良好なモノドメイン性を示すと、位相差板がより高い光透過率を有するため好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物が発現する液晶相としては、カラムナー相、及びディスコティックネマチック相(ND相)を挙げることができる。これらの液晶相の中では、良好なモノドメイン性を示し、かつ、ハイブリッド配向が可能なディスコティックネマチック相(ND相)が特に好ましい。
本発明で用いる液晶性化合物は異方性の波長分散性が小さいほどよい。具体的には液晶性化合物が発現する位相差(波長λにおける液晶層の面内レターデーション値(nm))をRe(λ)としたとき、Re(450)/Re(650)が1.25未満であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましく、1.15以下であることが特に好ましい。また、前記光学異方性層の厚みは、5μm以下である。ムラ等をより軽減し、平面平滑性のより高い層とするためには、0.5〜4.0μmであるのが好ましい。式(DI)で表される液晶性化合物は、特にRthの発現性に優れた化合物であり、前記光学異方性層を上記薄い膜厚で形成した場合にも、充分に高いRthを示すので好ましい。
本発明で用いる液晶化合物は、ポリマーフィルム(又はその上に設けられた配向膜)上で配向させるために、等方性転移温度Tisoが、100〜180℃であることが好ましく、100〜165℃であることがより好ましく、100〜150℃であることが特に好ましい。
前記光学異方性層は、ポリマーフィルムの表面、もしくはその上に形成されたポリビニルアルコール誘導体等からなる配向膜の表面に、前記液晶性化合物を含有する硬化性液晶組成物を塗布し、表面上で配向させた後、紫外線等を照射することで硬化反応を進行させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。前記硬化性組成物中には、塗布性の良化を目的として、及び/又は液晶性化合物の配向促進を目的として、種々の添加剤を添加させることができる。中でも、フルオロ脂肪族基含有ポリマーを添加すると、双方の効果が得られるので好ましい。利用可能なフルオロ脂肪族基含有ポリマーとしては、特開2006−267183号公報等に記載のポリマーが挙げられる。
[偏光板]
本発明は、偏光膜と、本発明の位相差フィルムとを有する偏光板にも関する。
本発明の偏光板において、前記位相差フィルムは、偏光膜の表面に接着剤を介して貼り合せられているのが好ましい。より具体的には、位相差フィルムのポリマーフィルムの裏面(光学異方性層が設けられていない側の表面)を偏光膜の表面に接着剤を介して貼り合せられているのが好ましい。偏光膜と位相差フィルムとの間に、他のポリマーフィルム等を配置する場合は、該フィルムは光学的に等方性であるのが好ましい。
貼り合わせは、接着剤を用いて行なうのが好ましい。接着剤については特に制限されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等を用いることができ、中でもPVA系樹脂が好ましい。
接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
貼り合せは、本発明の位相差フィルムを乾燥工程中、両端を保持した状態で行なってもよいし、乾燥後に、両端保持部から解除した後に、行なってもよい。貼り合せた後に耳きりをするのが好ましく、前者では、偏光膜と貼り合せた後両端を耳きりする、後者では、偏光膜と貼り合せる前に、両端を耳きりするのが好ましい。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。
貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、及び偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、40〜100℃がより好ましく、50〜90℃が更に好ましい。これらの工程は一貫のラインで製造されることが、性能上及び生産効率上更に好ましい。
前記位相差フィルムのポリマーフィルムの裏面に表面処理を行い、接着性を向上させてもよい。
表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。
ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。
プラズマ励起性気体とは、上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などが挙げられる。
これらについては、発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)p.30−32に詳細に記載されている。
なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1,000keV下で20〜500kGyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500keV下で20〜300kGyの照射エネルギーが用いられる。
前記偏光膜としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行ったものを用いることができる。延伸後、揮発分率を低下させる乾燥工程を実施してもよい。乾燥は、位相差フィルムもしくは他の保護フィルムを貼り合わせた後、加熱工程を実施して行なうのも好ましい。
偏光膜と本発明の位相差フィルムとの間に、他のポリマーフィルムが、偏光膜保護フィルムとして存在する場合は、該フィルムは実質的に等方的であることが好ましく、具体的には、面内レターデーションReが0〜10nmであることが好ましく、0〜7nmであることがより好ましく、0〜5nmであることがさらに好ましい。また、厚み方向のレターデーションRthは−25〜25nmであることが好ましく、−15〜15nmであることがより好ましく、−10〜10nmであることが特に好ましい。
また、等方的なフィルム上に本発明の位相差フィルムを貼合する場合、等方的な粘着剤を用いることが好ましい。前記等方性のフィルムは、セルロースアシレートフィルムであることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光膜の一方の表面上に本発明の位相差フィルムを有し、他の表面上にも保護フィルムを有しているのが好ましい。該保護フィルムは、セルロースアシレートフィルムであるのが好ましい。
本発明の偏光板の一態様は、偏光膜、本発明の位相差フィルム(偏光膜用保護フィルムを兼ねる)及び後述する第2の位相差フィルムである負のAプレートをこの順に有する態様である。
本発明の偏光板の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)と同等以上の性能を有することが好ましい。
具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2≧0.9995(但し、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間及び80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が、絶対値に基づいて3%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。また、偏光度の変化率は、絶対値に基づいて1%以下が好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
本発明の偏光板は、偏光板の少なくとも一方の側の保護膜の表面(視認側となる表面)に、ハードコート層、防眩層又は反射防止層の少なくとも一層を設けられたものであるのが好ましい。
すなわち、偏光板の液晶表示装置への使用時において、液晶セルと反対側に配置される保護膜には、反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましく、かかる機能性膜としては、ハードコート層、防眩層又は反射防止層の少なくとも一層を設けるのが好ましい。
なお、各層はそれぞれ別個の層として設ける必要はなく、例えば、反射防止層やハードコート層に防眩性の機能を持たせることにより、反射防止層及び防眩層の二層を設ける代わりに、防眩性反射防止層として機能させてもよい。
・ 反射防止層
本発明では、偏光板の保護膜上に、少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層されてなる反射防止層、又は保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に設けられる。以下にそれらの好ましい例を記載する。なお前者の構成では、一般的に鏡面反射率は1%以上となり、Low Reflection(LR)フィルムと呼ばれる。後者の構成では、鏡面反射率0.5%以下を実現するものが可能となり、Anti Reflection(AR)フィルムと呼ばれる。
・ LRフィルム
偏光板の保護膜上に、光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層(LRフィルム)の好ましい例について述べる。
光散乱層には、マット粒子が分散されているのが好ましく、光散乱層のマット粒子以外の部分の素材の屈折率は、1.50〜2.00の範囲にあることが好ましく、低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49の範囲にあることが好ましい。
本発明において、光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えており、一層でもよいし、複数層、例えば二層〜四層で構成されていてもよい。
反射防止層は、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.40μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均凹凸間距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均凹凸間距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5゜の面が10%以上となるように設計することで、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので好ましい。
また、C光源下での反射光の色味がa*値−2〜2、b*値−3〜3、380〜780nmの範囲内での反射率の、最小値と最大値の比0.5〜0.99であることで、反射光の色味がニュートラルとなるので好ましい。
更にC光源下での透過光のb*値が0〜3とすることで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減されるので好ましい。
更にまた、面光源上と反射防止層の間に120μm×40μmの格子を挿入して、フィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が20以下であると、高精細パネルに本発明の偏光板を適用したときのギラツキが低減されるので好ましい。
本発明で用いることができる反射防止層は、その光学特性として、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上、60゜光沢度70%以下とすることで、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。特に、鏡面反射率は1%以下がより好ましく、0.5%以下であることが更に好ましい。
また、ヘイズ20〜50%、内部ヘイズ/全ヘイズ値の比が0.3〜1、光散乱層までのヘイズ値から低屈折率層を形成後のヘイズ値の低下が15%以内、くし幅0.5mmにおける透過像鮮明度20〜50%、垂直透過光/垂直から2゜傾斜方向の透過率比が1.5〜5.0とすることで、高精細LCDパネル上でのギラツキ防止、文字等のボケの低減が達成されるので好ましい。
・ 低屈折率層
本発明で用いることができる低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49が好ましく、1.30〜1.44がより好ましい。更に、低屈折率層は下記数式(C)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(m/4)λ×0.7<nLL<(m/4)λ×1.3・・・・数式(C)
上記数式(C)中、mは正の奇数であり、nLは低屈折率層の屈折率であり、そして、dLは低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
本発明の位相差フィルムは、第2の位相差フィルムとともに、液晶表示装置の光学補償に用いるのが好ましい。第2の位相差フィルムとして負のAプレートを用い、負のAプレートとともに、VAモード液晶表示装置の光学補償に用いることがより好ましい。
本発明の位相差フィルムと組み合わせて用いる負のAプレートは、下記式(3)及び(4)を満足していることが好ましく、
(3) 70nm≦Re(550)≦210nm
(4) −0.6≦Rth(550)/Re(550)≦−0.4
下記式(3)’及び(4)’を満足していることがさらに好ましい。
(3)’100nm≦Re(550)≦180nm
(4)’ −0.57≦Rth(550)/Re(550)≦−0.43
下記式(3)”及び(4)”を満足していることがさらに好ましい。
(3)’120nm≦Re(550)≦160nm
(4)’ −0.55≦Rth(550)/Re(550)≦−0.45
[負のAプレート(第2の位相差フィルムの例)]
本発明の位相差フィルムと組合せて用いる負のAプレートについて、以下に詳細に説明する。
負のAプレートとは、一般的には、面内遅相軸を有し、波長550nmにおけるRth/Reが約−0.5である性質を有する位相差フィルムをいう。本発明では、「負のAプレート」については、必ずしもRth/Reが−0.5であることを要求するものではなく、上記式(3)及び(4)を満足するものはいずれも含むものとする。
負のAプレートとしては、ポリマーフィルムを用いることができ、例えば、セルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム及びポリサルフォン系フィルムのいずれを用いてもよい。
負のAプレートとしては、例えば、固有複屈折値が負である材料を含有する一層又は二層以上からなるフィルムを延伸することで作製することができる。
前記負のAプレートとして、実質的に溶剤を含まない溶融製膜法、及び溶剤を含む溶液流延法等、いずれの製膜法で製造されたポリマーフィルムを利用してもよい。前記フィルムが多層フィルムである場合は、溶融共押し出し法又は共流延法などを利用して製造することができる。前記フィルムの成形工程の後、連続して前記延伸・収縮処理を実施してもよい。例えば、溶液流延法によって製膜されたフィルムを用いる場合は、溶液流延法の乾燥工程の途中において実施する、湿式延伸の代替として、上記延伸・収縮処理を実施してもよい。また、溶融押し出し法により製膜されたフィルム、又は溶液製膜法により作製された乾燥後のフィルムに、連続的に上記延伸・収縮処理を施してもよい。また、勿論、一旦ロール状等に巻き取った後に、別途、上記延伸・収縮処理を実施することもできる。
前記負のAプレートの一例としては、固有複屈折値が負である材料を含む一層又は二層以上からなる層を有するフィルムが挙げられる。
材料の固有複屈折値Δn0は、式[1]により算出される値である。
Δn0=(2π/9)(Nd/M){(na+2)2/na}(α1−α2)・・・[1]
但し、πは円周率、Nはアボガドロ数、dは密度、Mは分子量、naは平均屈折率、α1は高分子の分子鎖軸方向の分極率、α2は高分子の分子鎖軸と垂直な方向の分極率である。
固有複屈折値が負である材料としては、ポリマー材料が好ましく、前記フィルムは負の固有複屈折のポリマー材料を主成分(固形分で50質量%以上のことをいうものとする)として含む一層又は二層以上からなっているのが好ましい。
前記固有複屈折値が負であるポリマーの例には、ビニル芳香族系重合体が含まれる。ビニル芳香族系重合体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン、又は、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ニトロスチレン、p−アミノスチレン、p−カルボキシスチレン、p−フェニルスチレンなどのビニル芳香族単量体と、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、酢酸ビニルなどのその他の単量体との共重合体などを挙げることができる。これらの中でも、ポリスチレン又はスチレンと無水マレイン酸との共重合体が好ましい。なお、負の固有複屈折性が損なわれない程度に、他のモノマーとの共重合として、ガラス転移温度や光弾性などの物性をコントロールして他の機能を付加してもよい。
また、前記固有複屈折値が負であるポリマーの他の例には、フルオレン骨格を有するポリカーボネートが含まれる。フルオレン骨格は延伸操作等により高分子主鎖に対して垂直に配向するため、大きな負の分極率を示す。
フルオレン骨格を有するポリカーボネートの好ましい例としては、下記式(I)で表される繰り返し単位を含有するポリマーが挙げられる。
Figure 2009069813
ここで、R1〜R8は、互いに独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の炭化水素基及び炭素数1〜6の炭化水素−O−基よりなる群から選ばれる基であり、そしてXは、下記式(1)−1:
Figure 2009069813
で表わされる基であり、R30及びR31は、互いに独立に、ハロゲン原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、そしてn及びmは互いに独立に、0〜4の整数である。
上記式(I)で表される繰返し単位を全繰返し単位の50〜95モル%含有するものが好ましく、より好ましくは60〜95モル%、さらに好ましくは70〜90モル%である。
これらのフルオレン骨格を有するポリカーボネートは、高いガラス転移点温度を示し、ハンドリングや延伸成形性等の点で優れた物性を有する。
より好ましいポリカーボネートの例は、上記式(I)で表される繰り返し単位と、下記式(II)で表される繰返し単位を含むポリマーである。
Figure 2009069813
上記式(II)中、R9〜R16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基であり、Yは下記式群のそれぞれで表わされる基:
Figure 2009069813
よりなる群から選ばれる少なくとも一種の基である。ここで、Y中のR17〜R19、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基、アリール基の如き炭素数1〜22の炭化水素基であり、R20及びR23はアルキル基、アリール基の如き炭素数1〜20の炭化水素基であり、また、Ar1〜Ar3は、それぞれ独立に、フェニル基の如き炭素数6〜10のアリール基である。
[液晶表示装置]
本発明は、本発明の位相差フィルム及び/又は本発明の偏光板を有する液晶表示装置にも関する。
本発明の液晶表示装置は、反射型、半透過型、透過型液晶表示装置等のいずれであってもよい。液晶表示装置は一般的に、偏光板、液晶セル、及び必要に応じて位相差フィルム、反射層、光拡散層、バックライト、フロントライト、光制御フィルム、導光板、プリズムシート、カラーフィルター等の部材から構成されるが、本発明においては本発明の偏光板を使用することを必須とする点を除いて特に制限はない。液晶セルとしては特に制限されず、電極を備える一対の透明基板で液晶層を狭持したもの等の一般的な液晶セルが使用できる。液晶セルを構成する前記透明基板としては、液晶層を構成する液晶性を示す材料を特定の配向方向に配向させるものであれば特に制限はない。具体的には、基板自体が液晶を配向させる性質を有していている透明基板、基板自体は配向能に欠けるが、液晶を配向させる性質を有する配向膜等をこれに設けた透明基板等がいずれも使用できる。また、液晶セルの電極は、公知のものが使用できる。通常、液晶層が接する透明基板の面上に設けることができ、配向膜を有する基板を使用する場合は、基板と配向膜との間に設けることができる。前記液晶層を形成する液晶性を示す材料としては、特に制限されず、各種の液晶セルを構成し得る通常の各種低分子液晶性化合物、高分子液晶性化合物及びこれらの混合物が挙げられる。また、これらに液晶性を損なわない範囲で色素やカイラル剤、非液晶性化合物等を添加することもできる。
前記液晶セルは、前記電極基板及び液晶層の他に、後述する各種の方式の液晶セルとするのに必要な各種の構成要素を備えていてもよい。前記液晶セルの方式としては、TN(Twisted Nematic)方式、STN(SuperTwisted Nematic)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式、IPS(In−Plane Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、MVA(Multidomain Vertical Alignment)方式、PVA(Patterned Vertical Alignment)方式、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式、HAN(Hybrid Aligned Nematic)方式、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)方式、ハーフトーングレイスケール方式、ドメイン分割方式、あるいは強誘電性液晶、反強誘電性液晶を利用した表示方式等の各種の方式が挙げられる。また、液晶セルの駆動方式も特に制限はなく、STN−LCD等に用いられるパッシブマトリクス方式、並びにTFT(Thin Film Transistor)電極、TFD(Thin Film Diode)電極等の能動電極を用いるアクティブマトリクス方式、プラズマアドレス方式等のいずれの駆動方式であってもよい。カラーフィルターを使用しないフィールドシーケンシャル方式であってもよい。
液晶セルのモードは特に限定されないが、VAモードであることが好ましい。
次に、図面を用いて、本発明の液晶表示装置の好ましい実施態様について説明する。なお、図1〜図3中、同一の部材には同一の番号を付した。
図1は、本発明のVAモードの液晶表示装置の実施態様の構成を示す模式図であり、本発明の位相差フィルムとともに、負のAプレートを搭載している。
図1の液晶表示装置は、吸収軸9及び2を直交にして配置された、一対の第1の偏光膜3及び第2の偏光膜8と、該一対の偏光膜3及び8との間に配置された液晶セル6とを有する。液晶セル6は、図中省略したが、一対の基板と、該一対の基板間に配置された液晶層とを有し、該液晶層中の液晶分子が黒表示時に基板に対して実質的に直交に配向する、いわゆる垂直配向モードの液晶セルである。第1及び第2の偏光膜3及び8の外側表面には、保護フィルムがそれぞれ配置されている。
図1の液晶表示装置は、さらに、第1の偏光膜3と液晶セル6との間に配置された、第1の位相差フィルム(本発明の位相差フィルム)11、及び第2の偏光膜8と液晶セル6との間に配置された第2の位相差フィルム12を有する。第1及び第2の位相差フィルム11及び12は、それぞれ、第1及び第2の偏光膜3及び8の液晶セル側の保護フィルムとしても機能している。
図1中、第2の位相差フィルム12は、その面内遅相軸が、第2の偏光膜8の吸収軸に平行であり、且つ前記式(3)及び(4)を満足する光学特性を有する。図1中、第1及び第2の偏光膜3及び8のいずれがバックライト側偏光膜であっても視認側偏光膜であってもよいが、第1の偏光膜3がバックライト側であることが好ましい。
なお、図1中、第1位相差フィルム11と、第1の偏光膜3と、保護フィルム1とからなる積層体が本発明の偏光板であり、バックライト側偏光板に用いるのが好ましい。
VAモードの液晶セル6は、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)であっても、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)のいずれであってもよい。
図2は、本発明の位相差フィルムとともに、負のAプレートを搭載した本発明のVAモードの液晶表示装置の他の実施態様の構成を示す模式図である。図1に示した構成に対し、第2の位相差フィルム12と第2の偏光膜8の間に第2の偏光板保護フィルム7が挿入されている。
本態様において、第2の偏光板保護フィルム7は光学的に実質的に等方的なフィルムであることが好ましい。実質的に等方的なフィルムとしては、面内のレターデーション(Re)は0〜20nmであることが好ましく、0〜10nmであることがさらに好ましく、0〜5nmであることが最も好ましい。また、厚さ方向のレターデーション(Rth)は−60nm〜60nmであることが好ましく、−40nm〜40nmであることが好ましく、−20nm〜20nmであることがよりさらに好ましい。波長分散は、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。
偏光板保護フィルム7は上記光学特性を満たすものであれば、材質は特に限定されないが、偏光板加工のし易さの観点でセルロースエステルフィルムであることが好ましい。
なお、本態様において、第1の位相差フィルム11および、第2の位相差フィルム12の光学特性の好ましい範囲は図1に示した構成の液晶表示装置と同一である。
図3は、VAモードの液晶表示装置の他の実施態様の構成を示す模式図である。
図3の液晶表示装置では、第1及び第2の位相差フィルム11及び12が積層され、第2の偏光膜8と液晶セル6との間に配置されている。
図3中、第1の位相差フィルム11は、本発明の位相差フィルムである。
また、図3中、第2の位相差フィルム12は、その面内遅相軸13が第2の偏光膜8の吸収軸9に平行であり、且つ前記式(3)及び(4)を満足する光学特性を有する。
図3中、第1及び第2の偏光膜3及び8のいずれがバックライト側偏光膜であっても視認側偏光膜であってもよいが、第1の偏光膜3がバックライト側であることが好ましい。
本発明の位相差フィルムと、負のAプレートとを搭載した本発明のVAモードの実施形態では、図1〜図3の構成のいずれも好ましく、中でも、図1の構成がより好ましい。
図4に、図1に示す構成のVAモード液晶表示装置の光学補償機構の一例を、ポアンカレ球上に示す。図4は、図1の第1の偏光膜3から入射した光の偏光状態Iが、第1の位相差フィルム(本発明の位相差フィルム)11、液晶セル6、及び第2の位相差フィルム12を通過して、斜め方向(45°)の消光点IIに達する軌跡を、ポアンカレ球上に示した図である。第1の位相差フィルム11として、本発明の位相差フィルムを用いているので、液晶セル6の複屈折性の波長依存性が、第1の位相差フィルム11を通過することによって相殺され、その後、第2の位相差フィルム12によって、R、G及びBのいずれの光についても、偏光状態を消光点IIに近づけることができる。その結果、斜め方向において光漏れがなく、しかも色ずれを軽減することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
初めに本発明の位相差フィルム、およびそれを用いた偏光板について説明し、引き続き、本発明の位相差フィルムと負のAプレートを搭載したVAモードの液晶表示装置の実施例について説明する。
[実施例1]
<セルロースアセテートフィルムの作製>
(セルロースアセテートフィルム(CAF1)の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
Figure 2009069813
Figure 2009069813
得られた内層用ドープ及び外層用ドープを、三層共流延ダイを用いて、0℃に冷却したドラム上に流延した。残留溶剤量が70質量%のフィルムをドラムから剥ぎ取り、両端をピンテンターにて固定して搬送方向のドロー比を110%として搬送しながら80℃で乾燥させ、さらに、残留溶剤量が10%となったところで、110℃で乾燥させた。その後、140℃の温度で30分乾燥し、残留溶剤が0.3質量%のセルロースアセテート(TR1)(外層:3μm、内層:74μm、外層:3μm)を製造した。作製したセルロースアセテートフィルムについて、光学特性を測定した。
得られたセルロースアセテートフィルムの幅は1340mmであり、厚さは、80μmであった。KOBRA 21ADHを用いて、波長550nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところ、2nmであった。また、波長550nmにおけるレターデーション値(Rth)を測定したところ、90nmであった。
(セルロースアセテートフィルム(CAF2)〜(CAF4)の作製)
上記で作製したセルロースアセテートフィルム(CAF1)に対し、内層の膜厚を表2のように変更し、セルロースアセテートフィルム(CAF2)〜(CAF4)を作製した。
Figure 2009069813
<位相差フィルム(F1)の作製>
市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、下記の組成のアルカリ溶液Aをバーコーターにより、14ml/m2塗布し、110℃に加熱したスチーム式遠赤外線ヒーター((株)ノリタケカンパニー製)の下に10秒間滞留させた後、同じくバーコーターを用いて純水を3ml/m2塗布した。このときのフィルム温度は40℃であった。次いでファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返して後に、70℃の乾燥ゾーンに2秒滞留させて乾燥した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<アルカリ溶液A組成>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム 4.7質量部
水 15.7質量部
イソプロパノール 64.8質量部
プロピレングリコール 14.9質量部
1633O(CH2CH2O)10H(界面活性剤) 1.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記作製した長尺状のセルロースアセテートフィルムの鹸化処理を施した面に、下記の組成の配向膜塗布液を#14のワイヤーバーで連続的に塗布した。60℃の温風で60秒、さらに100℃の温風で120秒乾燥し、配向膜を形成した。
――――――――――――――――――――――――――
配向膜塗布液の組成
――――――――――――――――――――――――――
下記の変性ポリビニルアルコール 10質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
――――――――――――――――――――――――――
Figure 2009069813
下記の組成のディスコティック液晶性化合物を含む塗布液(S1)を調製し、上記作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、120℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を90℃に保持して、高圧水銀灯を用いてUV光を500mJ/cm2照射し、液晶化合物の配向を固定化し、光学異方性層を形成し、位相差フィルム(F1)を作製した。
塗布液(S1)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディスコティック液晶化合物を含む塗布液(S1)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
下記のディスコティック液晶性化合物(I) 91質量部
エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製) 9質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
下記のフッ素系ポリマーA 0.4質量部
メチルエチルケトン 212質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2009069813
作製した位相差フィルム(F1)を自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。波長550nmで測定したReは2nmであり、Rthは370nmであった。
<位相差フィルム(F2)及び(F3)の作製>
位相差フィルム(F1)の作製に用いた市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、上記で作製したセルロースアセテートフィルム(CAF3)及び(CAF4)にそれぞれ変更、レターデーション値が表3の値になるように光学異方性層の膜厚を変更した以外は、位相差フィルム(F1)と同様にし、位相差フィルム(F2)及び(F3)をそれぞれ作製した。
作製した位相差フィルム(F2)及び(F3)について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。
<位相差フィルム(F4)の作製>
上記で作製した位相差フィルム(F1)の作製と同様の方法で市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)上に配向膜を形成した。
下記の組成のディスコティック液晶性化合物を含む塗布液(S2)を調製し、上記作製した配向膜上にワイヤーバーで連続的に塗布した。フィルムの搬送速度は20m/minとした。室温から80℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させ、その後、温度110℃の乾燥ゾーンで90秒間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。続いて、フィルムの温度を70℃に保持して、高圧水銀灯を用いてUV光を500mJ/cm2照射し、液晶化合物の配向を固定化し、光学異方性層を形成し、位相差フィルム(F4)を作製した。
塗布液(S2)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディスコティック液晶化合物を含む塗布液(S2)の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
前記のディスコティック液晶性化合物D−524 100質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 3質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1質量部
上記フッ素系ポリマーA 0.4質量部
メチルエチルケトン 212質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
作製した位相差フィルム(F4)について、自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)社製)を用いて光学特性を測定した。
<位相差フィルム(F5)及び(F6)の作製>
位相差フィルム(F4)の作製に用いた市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、上記で作製したセルロースアセテートフィルム(CAF3)及び(CAF4)にそれぞれ変更し、レターデーション値が表3の値になるように光学異方性層の膜厚を変更した以外は位相差フィルム(F4)と同様にし、位相差フィルム(F5)及び(F6)をそれぞれ作製した。
<位相差フィルム(F7)〜(F9)の作製>
上記で作製した位相差フィルム(F4)で使用した塗布液(S2)に対し、ディスコティック化合物を、D−524からD−521に変更し、塗布液(S3)を調製した。
上記で作製した位相差フィルム(F4)〜(F6)に対し、塗布液(S3)を変更した以外は同様の方法で位相差フィルム(F7)〜(F9)を作製した。
<位相差フィルム(F10)〜(F12)の作製>
上記で作製した位相差フィルム(F3)で使用した塗布液(S2)に対し、ディスコティック化合物を、D−524からD−10に変更し、塗布液(S4)を調製した。
上記で作製した位相差フィルム(F4)〜(F6)に対し、塗布液(S4)に変更した以外は同様の方法で位相差フィルム(F10)〜(F12)を作製した。
<位相差フィルム(F13)の作製>
機械式攪拌装置、ディーンスターク装置、窒素導入管、温度計及び冷却管を取り付けた反応容器(500mL)内に2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物[クラリアントジャパン(株)製]17.77g(40mmol)及び2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル[和歌山精化工業(株)製]12.81g(40mmol)を加えた。続いて、イソキノリン2.58g(20mmol)をm−クレゾール275.21gに溶解させた溶液を加え、23℃で1時間攪拌して(600rpm)均一な溶液を得た。次に、反応容器をオイルバスを用いて反応容器内の温度が180±3℃になるように加温し、温度を保ちながら5時時間攪拌して黄色溶液を得た。更に3時間攪拌を行ったのち、加熱及び攪拌を停止し、放冷して室温に戻すと、ポリマーがゲル状となって析出した。
上記反応容器内の黄色溶液にアセトンを加えて上記ゲルを完全に溶解させ、希釈溶液(7質量%)を調製した。この希釈溶液を、2Lのイソプロピルアルコール中に攪拌を続けながら少しずつ加えると、白色粉末が析出した。この粉末を濾取し、1.5Lのイソプロピルアルコール中に投入して洗浄した。さらにもう一度、同様の操作を繰り返して洗浄した後、前記粉末を再び濾取した。これを60℃の空気循環式恒温オーブンで48時間乾燥した後、温度150℃で7時間乾燥して、ポリイミド粉末を得た(収率85%)。上記ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は124,000、イミド化率は99.9%であった。
上記ポリイミド粉末をメチルイソブチルケトンに溶解し、15質量%のポリイミド溶液を調製した(塗布液S5)。このポリイミド溶液を、トリアセチルセルロースを含有する高分子フィルム[富士フイルム(株)製 商品名「ZRF80S」(Re[550]=0.5nm、Rth[550]=1.0nm)]の表面に、ロッドコータにより一方向に塗工した。次に、温度135±1℃の空気循環式恒温オーブン内で5分間、次いで、温度150±1℃の空気循環式恒温オーブン内で10分間乾燥して溶剤を蒸発させ、ポリイミド層(厚み9.3μm)を備えた位相差フィルム(F13)を作製した。その特性を表3に示す。
上記で作製した位相差フィルム(F1)〜(F13)について、光学特性等を下記表3にまとめる。
位相差フィルム(F1)〜(F13)のうち、(F2)〜(F12)は本発明の位相差フィルムの実施例であり、(F1)及び(F13)はその比較例である。
なお、表3において位相差フィルムのムラを以下の方法で評価した。
(ムラの評価)
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板2枚、互いの吸収軸が直交するように起き、2枚の偏光板の間に上記で作製した位相差フィルムをおき、法線方向から60度の方向に1m離れたところから観て以下の基準に従ってムラを評価した。
◎ :ムラの発生は認められない。
○ :僅かにムラが発生している。
△ :一部にムラが見える。
× :全面にムラが見える。
Figure 2009069813
(偏光板(P1)の作製)
位相差フィルム(F1)に鹸化処理を行い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に、鹸化処理を行った位相差フィルム(F1)をロールtoロールで貼り付けた。
また、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の他方の面にロールtoロールで貼り付け、温度70℃で10分以上乾燥して、偏光板(P1)を作製した。
(偏光板(P2)〜(P13)の作製)
上記で作製した偏光板(P1)に対して位相差フィルム(F1)を位相差フィルム(F2)〜(F13)に代えた以外は偏光板(P1)と同様にして、偏光板(P2)〜(P13)を作製した。
(位相差フィルムF111(負のAプレート(A1))の作製)
ノルボルネン系重合体[日本ゼオン(株)、ゼオノア1020、ガラス転移温度105℃]からなる[1]層、スチレン−無水マレイン酸共重合体[ノヴァケミカルジャパン(株)、ダイラークD332、ガラス転移温度130℃、オリゴマー含有量3質量%]からなる[2]層及び変性エチレン−酢酸ビニル共重合体[三菱化学(株)、モディックAP A543、ビカット軟化点80℃]からなる[3]層を有し、[1]層(15μm)−[3]層(5μm)−[2]層(100μm)−[3]層(5μm)−[1]層(15μm)の構成の未延伸積層体フィルム101を共押出成形により得た。
次に、上記で得た長尺の未延伸積層体フィルム101を、連続した長尺フィルムをテンタークリップの長手方向の間隔が把持、搬送している間に狭くなる構造のテンターを用いて幅方向に延伸する機能を持っている延伸装置(市金工業社製 商品名「FITZ」)に送り出し、フィルム温度を140℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過した後に延伸を開始、フィルム長手方向は0.82倍に緩和収縮(収縮率18%)させ、テンタークリップにより幅方向を1.50倍延伸し(延伸率50%)、延伸後の膜厚が114μmである位相差フィルムF111を得た。
得られた位相差フィルムF111の波長550nmにおけるRe、及びRthを、先に述べた方法に従い、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)にて測定した。面内レターデーションRe(550)は150nm、厚さ方向レターデーションRth(550)は−75nmであり、面内遅相軸は長手方向に平行であり、そのばらつきは±0.05°であり、残留揮発成分含有量は0.01質量%以下であった。即ち、位相差フィルムF111は、面内遅相軸が長手方向に平行である、負のAプレートであった。
《偏光板の作製》
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、接着剤を用いて、該偏光膜の一方の面に、位相差フィルムF111をロールtoロールで貼り付けた。
また、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の他方の面にロールtoロールで貼り付け、温度70℃で10分間以上乾燥して、偏光板(P20)を作製した。
このとき、前記偏光膜の吸収軸と、位相差フィルムF111の遅相軸とが平行になるように配置されていた。
(位相差フィルムF113(負のAプレート(A2))の作製)
固有複屈折値が負である材料としては、フルオレン骨格を有する共重合ポリカーボネートを用いた。
ポリカーボネートの重合は公知のホスゲンを用いた界面重縮合法によって行われた。攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに下記構造を有するモノマー[A]と[B]とを86対14のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次に、これに塩化メチレンを加え、温度20℃でホスゲンを約60分間かけて吹き込んだ。さらに、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて、温度30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後、有機層を分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比は仕込み量比とほぼ同様であった。また、ガラス転移温度は235℃だった。この共重合体の、ウベローデ粘度管を用いて温度20℃で求めた、メチレンクロライド中の極限粘度は0.8であった。
Figure 2009069813
この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度18質量%のドープ溶液を調製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、厚さが75μmの長尺の未延伸フィルム103を得た。この未延伸フィルム中の残留溶媒量は0.9質量%であった。
上記で得た長尺の未延伸フィルム103を、連続した長尺フィルムをテンタークリップの長手方向の間隔が把持、搬送している間に狭くなる構造のテンターを用いて幅方向に延伸する機能を持っている延伸装置(市金工業社製 商品名「FITZ」)に送り出し、フィルム温度を245℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過した後に延伸を開始、フィルム長手方向に0.85倍に緩和収縮(収縮率15%)させ、テンタークリップにより幅方向を1.45倍延伸し(延伸率45%)、延伸後の膜厚62μmの位相差フィルム113を得た。
得られた位相差フィルムF113の波長550nmにおけるRe、及びRthを、先に述べた方法に従い、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)にて測定した。面内レターデーションRe(550)は136nm、厚さ方向レターデーションRth(550)は−68nmであり、面内遅相軸は長手方向に平行な方向であり、そのばらつきは±0.05°であり、残留揮発成分含有量は0.01質量%以下であった。即ち、位相差フィルムF113は、面内遅相軸が長手方向に平行である、負のAプレートであった。
《偏光板の作製》
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、接着剤を用いて、該偏光膜の一方の面に、位相差フィルムF113をロールtoロールで貼り付けた。
また、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、前記偏光膜の他方の面にロールtoロールで貼り付け、温度70℃で10分間以上乾燥して、偏光板(P30)を作製した。
このとき、前記偏光膜の吸収軸と、位相差フィルムF113の遅相軸とは平行になるように配置されていた。
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を作製し、接着剤を用いて、該偏光膜の両面に、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、ロールtoロールで貼り付け、温度70℃で10分間以上乾燥して、比較用偏光板(P10)を作製した。
(液晶表示装置の作製)
《垂直配向液晶セルの作製》
ポリビニルアルコール3質量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1質量%添加した。これを、ITO電極付きのガラス基板上にスピンコートし、温度160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるように実施した。セルギャップ(d)が約5.0μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.06)を注入し、垂直配向液晶セルAを作製した。Δnとdとの積は300nmであった。
上記の垂直配向液晶セルの上下ガラス基板に、上記で作製した偏光板(P1)、及び偏光板(P20)を、粘着剤を用いて貼り合せた。このとき、バックライト側の偏光板として、偏光板(P1)を配置し、視認側偏光板として、偏光板(P20)を配置し、偏光板(P1)に含まれる位相差フィルム(F1)がバックライト側にガラス基板に接するように、また、偏光板(P20)に含まれる位相差フィルムF111が視認側のガラス基板に接するように貼り合せた。
また、偏光板(P1)の吸収軸と偏光板(P20)の吸収軸とが直交するように配置した。
液晶表示装置(L1)は図1に示した構成であり、第1の偏光膜3がバックライト側偏光板であり、第1の位相差フィルム11が、位相差フィルム(F1)であり、第1の偏光膜3の保護フィルムを兼ねている。また第2の位相差フィルム12が位相差フィルムF111であり、第2の偏光膜8の保護フィルムを兼ねている。
液晶表示装置(L1)に対し、バックライト側及び視認側偏光板をそれぞれP0に変更し、液晶表示装置(L0)を作製した。
また、液晶表示装置(L1)に対し、バックライト側偏光板を下記表4に示したように変更し、液晶表示装置(L2)〜(L7)を作製した。
上記で作製した液晶表示装置(L0)〜(L7)に対し正面及び斜め漏れ光、正面及び斜めから見たときのカラーシフトを下記の方法で評価し、下記表4にまとめた。
なお、液晶表示装置(L7)は斜めから見たときのムラが非常に強く、斜め漏れ光と斜めカラーシフトは評価することができなかった。
(1)漏れ光(正面)
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせない状態で液晶セルを置き、法線方向に1m離れたところに設置された輝度計(分光放射輝度計CS−1000:ミノルタ(株)製)で輝度1を測定した。
次いで、上記と同じシャーカステン上に偏光板を貼り合わせた各液晶表示装置を置き、上記と同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する比率で表したものを正面漏れ光とした。
(2)漏れ光(斜め)
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせない状態で液晶セルを置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セルの法線方向から60度の方向に1m離れたところに設置された輝度計(分光放射輝度計CS−1000:ミノルタ(株)製)で輝度1を測定した。
次いで、上記と同じシャーカステン上に偏光板を貼り合わせた各液晶表示装置を置き、上記と同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する100分率で表したものを斜め漏れ光とした。
(3)黒表示時のカラーシフト(正面)
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせた状態で液晶セルを置き、法線方向において1m離れたところに設置されたところから液晶セルを観察し色味とその強度を下記のように評価した。カラーシフトの強度は下記の基準に従った。
○ :特定の色味が見えない
○△:特定の色味が僅かに見える。
△ :特定の色味が少し見える。
× :特定の色味がはっきり見える。
(4)黒表示時のカラーシフト(斜め)
暗室内に設定されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせた状態で液晶セルを置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セルの法線方向から60度の方向に1m離れたところから黒表示時のカラーシフトを上記(3)と同様の基準で評価した。
Figure 2009069813
表4の結果から以下のことが理解できる。
本発明の1.00≦Rth(450)/Rth(550)≦1.07の位相差フィルムを負のAプレートと組み合わせて用いたVAモードの液晶表示装置はムラもなく、斜め方向の光漏れ、および斜め方向のカラーシフト共に極めて良好であった。
特に、ディスコティック化合物D−524(一般式(DI)の液晶化合物)を含有する塗布液S2を用いて形成した光学異方性層を有する本発明の実施例の位相差フィルム(F4〜F6)を搭載したVAモードの液晶表示装置は、特に偏光板の厚みが薄く、ムラがなく、斜め方向の漏れ光が少なく、斜め方向のカラーシフトも少なく、特に優れていた。
本発明の液晶表示装置の実施形態の構成を示す模式図である。 本発明の液晶表示装置の他の実施形態の構成を示す模式図である。 本発明の液晶表示装置の他の実施形態の構成を示す模式図である。 図1に示す実施形態の液晶表示装置に入射した光の偏光状態の軌跡の一例をポアンカレ球上に示した図である。
符号の説明
1 第1の偏光膜保護フィルム(外側)
2 第1の偏光膜吸収軸方向
3 第1の偏光膜
4 第1偏光膜保護フィルム(セル側)
5 黒表示時の液晶セルの遅相軸方向
6 液晶セル
7 第2の偏光膜保護フィルム(セル側)
8 第2の偏光膜
9 第2の偏光膜吸収軸方向
10 第2の偏光膜保護フィルム(外側)
11 第1の位相差フィルム(本発明の位相差フィルム)
12 第2の位相差フィルム(負のAプレート)
13 第2の位相差フィルムの遅相軸方向

Claims (16)

  1. ポリマーフィルムと、その上に、厚みが5μm以下の光学異方性層を有する位相差フィルムであって、波長550nmの面内レターデーションRe(550)が0〜10nmであり、同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が250〜450nmであり、かつ下記式(1)を満たすことを特徴とする位相差フィルム。
    (1) 1.00≦Rth(450)/Rth(550)≦1.07
  2. 前記光学異方性層の波長550nmの面内レターデーションRe(550)が0〜10nmであり、同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が200〜400nmであり、かつ下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
    (2) 1.05≦Rth(450)/Rth(550)≦1.15
  3. 前記光学異方性層の波長550nmの厚さ方向のレターデーションRth(550)を前記光学異方性層の膜厚dで割った値、Rth(550)/dが0.080以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記光学異方性層が重合性組成物から形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 前記重合性組成物が重合性基を有するディスコティック液晶性化合物を含む組成物であり、かつ前記光学異方性層において、該ディスコティック液晶化合物のディスコティック構造単位が層面に対して水平配向していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  6. 前記ディスコティック液晶性化合物が、下記式(DI)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の位相差フィルム。
    Figure 2009069813
    [式中、Y11、Y12、及びY13は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;
    1、L2、及びL3は、それぞれ独立に単結合、又は二価の連結基を表し;
    1、H2、及びH3は、それぞれ独立に、下記一般式(DI−A)、又は下記一般式(DI−B)を表し;
    Figure 2009069813
    [一般式(DI−A)中、YA1及びYA2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;「*」は上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
    「**」は上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。]
    Figure 2009069813
    [一般式(DI−B)中、YB1及びYB2は、それぞれ独立にメチン又は窒素原子を表し;「*」は、上記一般式(DI)におけるL1〜L3側と結合する位置を表し;
    「**」は、上記一般式(DI)におけるR1〜R3側と結合する位置を表す。]
    1、R2、及びR3は、それぞれ独立に下記一般式(DI−R)を表す。
    Figure 2009069813
    [上記一般式(DI−R)中、「*」は、一般式(DI)におけるH1〜H3側と結合する位置を表し;
    21は、単結合、又は二価の連結基を表し;
    2は少なくとも1種類の環状構造を有する二価の基(環状基)を表し;
    n1は、0〜4の整数を表し;
    22は、**−O−、**−O−CO−、**−CO−O−、**−O−CO−O−、**−S−、*−N(R)−、**−CH2−、**−CH=CH−、又は**−C≡C−を表し、「**」は、Q2側と結合する位置を表し;
    23は、−O−、−S−、−C(=O)−、−NH−、−CH2−、−CH=CH−及びC≡C−、並びに、これらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基を表し;
    1は、重合性基又は水素原子を表す。]
  7. 前記光学異方性層が、フルオロ脂肪族基含有ポリマーの少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  8. 前記ポリマーフィルムの波長550nmにおける厚さ方向のレターデーションRth(550)が30nm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  9. 前記ポリマーフィルムがセルロースアシレート系フィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  10. 偏光膜と、請求項1〜9のいずれか1項に記載の位相差フィルムとを少なくとも有することを特徴とする偏光板。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
  12. 互いに吸収軸が直交している一対の偏光膜、該偏光膜の間に配置される一対の基板、及び該基板間に挟持される液晶性分子からなる液晶層を有し、該液晶性分子は外部電界が印加されていない非駆動状態において前記基板に対し実質的に垂直な方向に配向することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
  13. 更に第2の位相差フィルムを有し、第2の位相差フィルムは高分子延伸フィルムからなることを特徴とする請求項11又は12に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第2の位相差フィルムは、波長550nmの面内レターデーションRe(550)及び同波長の厚さ方向のレターデーションRth(550)が下記式(3)及び下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。
    (3) 70nm≦Re(550)≦210nm
    (4) −0.6≦Rth(550)/Re(550)≦−0.4
  15. 前記第2の位相差フィルムが、セルロースアシレートフィルム、ノルボルネン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエステル系フィルム及びポリサルフォン系フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項13又は14に記載の液晶表示装置。
  16. 前記第2の位相差フィルムが、その面内遅相軸と偏光膜の吸収軸とが直交する配置で、前記一対の偏光膜の一方に直接積層されている請求項13〜15のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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