JP2008051838A - 光学補償フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示品位のみならず視野角特性が改善された液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1偏光膜と第1位相差層と第2位相差層と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を有し、黒表示時に液晶層中の液晶分子が平行に配向する液晶表示装置であって、第1及び第2位相差層の波長λにおける面内のレターデーションをRe(λ)、厚さ方向のレターデーションをRth(λ)とする場合、第1位相差層の波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)が波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)がRe/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍、Rth(550nm)が70nm〜400nm、且つRe(550nm)が20nm〜150nm、第2位相差層のRe(550nm)が略0となるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置、特に水平方向に配向した液晶分子に横方向の電界を印加することにより表示を行う、インプレーンスイッチングモードの液晶表示装置、及び液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与する光学補償フィルムに関する。
液晶表示装置としては、偏光軸を直交にして配置された二枚の偏光板の間に、ネマチック液晶がツイスト配列してなる液晶層を挟み、電界を基板に対して垂直な方向にかける方式、いわゆるTNモードが広く用いられている。この方式では、黒表示時に液晶が基板に対して立ち上がるために、斜めから見ると液晶分子による複屈折が発生し、光漏れが起こる。この問題に対して、液晶性分子がハイブリッド配向したフィルムを用いることで、液晶セルを光学的に補償し、この光漏れを防止する方式が実用化されている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、画面下方向での諧調反転が抑えきれないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードによる液晶表示装置や、誘電率異方性が負の液晶を垂直配向してパネル内に形成した突起やスリット電極によって配向分割した垂直配向(VA)モードが提案され、実用化されている。近年、これらのパネルはモニター用途に留まらず、TV用途として開発が進められており、それに伴って画面の輝度が大きく向上してきている。このため、これらの動作モードで従来問題とされていなっかった、黒表示時の対角位斜め入射方向での僅かな光漏れが表示品質の低下の原因として顕在化してきた。
この色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板との間に複屈折特性を有する光学補償材料を配置することがIPSモードにおいても検討されている。例えば、傾斜時の液晶層のレターデーションの増減を補償する作用を有する光軸を互いに直交した複屈折媒体を基板と偏光板との間に配置することで、白表示又は中間調表示を斜め方向から直視した場合の色付きが改善できることが開示されている(特許文献1参照)。
また、負の固有複屈折を有するスチレン系ポリマーやディスコチック液晶性化合物からなる光学補償フィルムを使用した方法(特許文献2、3、4参照)や、光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせる方法(特許文献5参照)、レターデーションが二分の一波長の二軸性の光学補償シートを使用する方法(特許文献6参照)、偏光板の保護膜として負のレターデーションを有する膜を使い、この表面に正のレターデーションを有する光学補償層を設ける方式(特許文献7参照)が提案されている。
特開平9−80424号公報 特開平10−54982号公報 特開平11−202323号公報 特開平9−292522号公報 特開平11−133408号公報 特開平11−305217号公報 特開平10−307291号公報
しかし、提案された方式の多くは、液晶セル中の液晶の複屈折の異方性を打ち消して視野角を改善する方式であるために、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れを十分に解決できないという問題がある。また、この光漏れを補償できるとされる方式でも、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。さらに、延伸複屈折ポリマーフィルムで光学補償を行うIPSモード液晶セル用光学補償シートでは、複数のフィルムを用いる必要があり、その結果、光学補償シートの厚さが増し、表示装置の薄形化に不利である。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがあった。
さらに、黒表示時の斜め方向からの光漏れが可視光領域で完全に抑えられてはおらず、視野角が十分に拡大していないという問題があった。さらに重要なことには、黒表示時の斜め方向では、可視光のすべての波長において完全な光漏れの補償をすることが難しく、そのため色ずれの方位角方向依存性が発生するという問題があった。特に、IPSモードに用いられている光学補償に関し、面内のレターデーションの波長分散と厚さ方向のレターデーション波長分散の違いについて十分に考慮されておらず、光りぬけを抑える効果は不十分であるという問題があった。
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角特性が改善された液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置を提供することを課題とする。また本発明は、液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与する光学補償フィルムを提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 光学異方性を示す第1位相差層と光学異方性を示す第2位相差層の少なくとも2層を有する光学補償フィルムであって、
第1及び第2位相差層の波長λにおける面内のレターデーションをRe(λ)、厚さ方向のレターデーションをRth(λ)とする場合、
第1位相差層の波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍であり、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、Re/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍であり、Rth(550nm)が70nm〜400nmであり、且つRe(550nm)が20nm〜150nmであり、及び
第2位相差層のRe(550nm)が略0、且つRth(550nm)が−80nm〜−400nmである光学補償フィルム。
[2] 少なくとも、第1偏光膜と、第1位相差層と、第2位相差層と、液晶層及び該液晶層を挟持ずる一対の基板を有する液晶セルとを含み、黒表示時に液晶層中の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、
第1及び第2位相差層の波長λにおける面内のレターデーションをRe(λ)、厚さ方向のレターデーションをRth(λ)とする場合、
第1位相差層の波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍であり、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、Re/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍であり、Rth(550nm)が70nm〜400nmであり、且つRe(550nm)が20nm〜150nmであり、
第2位相差層のRe(550nm)が略0、且つRth(550nm)が−80nm〜−400nmであり、及び
第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶層中の液晶分子の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
[3] 前記第1偏光膜、前記第1位相差層、前記第2位相差層及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差層の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行である[2]の液晶表示装置。
[4] 前記第1偏光膜、前記第2位相差層、前記第1位相差層及び前記液晶セルがこの順序で配置され、且つ前記第1位相差層の遅相軸が前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交である[2]の液晶表示装置。
[5] 前記第1偏光膜の透過軸と直交する透過軸を有する第2偏光膜をさらに有し、前記第1及び第2偏光膜との間に、前記第1位相差層、前記第2位相差層及び前記液晶セルが配置されている[2]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 前記第1偏光膜及び/又は第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜の厚み方向のレターデーションRthが40nm以下である[2]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
[7] 前記第1偏光膜及び/又は第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムである[2]〜[6]のいずれかの液晶表示装置。
[8] 前記第2位相差層が、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成された層を含み、前記層中において棒状液晶化合物の分子が実質的に垂直配向した状態に固定されている[2]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
本発明によれば、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角特性が改善された液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、液晶表示装置、特にIPS型液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与する光学補償フィルムを提供することができる。
発明の実施の形態
以下において、本発明の液晶表示装置の一実施形態及びその構成部材について順次説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「平行」、「直交」とは、厳密な角度±10゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±5゜未満であることが好ましく、±2゜未満であることがより好ましい。また、「実質的に垂直」とは、厳密な垂直の角度よりも±20゜未満の範囲内であることを意味する。この範囲は厳密な角度との誤差は、±15゜未満であることが好ましく、±10゜未満であることがより好ましい。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。さらに、レターデーション、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体を意味するものとする。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。測定波長λnmは可視光領域の範囲、具体的には、400〜800nmの範囲であれば、いずれの波長でもよいが、400〜750nmの範囲内であることが好ましく、400nm〜700nmの範囲内であることがさらに好ましい。本明細書においては特に断わらない限り、Re、Rthは、530〜600nmで測定した値(またはこの値をもとに算出される値)を意味するものとする。面内のレターデーション(Re)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される値である。測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRthは算出される。
Rthは前記Reを、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値(d)を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008051838
上記式中のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表す。
上記式中のnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRthは算出される。Rthは前記Reを、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値をもとにKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。この算出されたnx、ny及びnzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。なお、本明細書において、特に断らない限り、測定波長は590nmであり、25℃、60%RHにおける測定値とする。
ここで、本明細書においては、R、G、Bの波長として、Rは波長650nm、Gは波長550nm、Bは波長450nmを用いた。R、G、Bの波長は必ずしもこの波長で代表されるものではないが、本発明の効果を奏する光学特性を規定するのに適当な波長であると考えられる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1及び図3は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図である。また、図2は、本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す模式図である。
[液晶表示装置]
図1に示す液晶表示装置は、偏光膜8及び20と、第1位相差層10と、第2位相差層12と、基板13及び17と、該基板に挟持される液晶層15とを有する。偏光膜8及20は、それぞれ保護膜7aと7b及び19aと19bによって挟持されている。
図1の液晶表示装置では、液晶セルは、基板13及び17と、これらに挟持される液晶層15とを含む。液晶層15の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないIPS型では0.2〜0.4μmの範囲が最適値となる。この範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。基板13及び17の液晶層15に接触する表面には、配向膜(不図示)が形成されていて、液晶分子を基板13及び17の表面に対して略平行に配向させるとともに配向膜上に施されたラビング処理方向14及び18等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子配向方向が制御され、所定の方向に遅相軸16を有する。また、基板13又は17の内面には、液晶分子に電圧印加可能な電極(不図示)が形成されている。
図2に、液晶層15の1画素領域中の液晶分子の配向を模式的に示す。図2は、液晶層15の1画素に相当する程度の極めて小さい面積の領域中の液晶分子の配向を、基板13及び17の内面に形成された配向膜のラビング方向4、及び基板13及び17の内面に形成された液晶分子に電圧印加可能な電極2及び3とともに示した模式図である。電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った場合の、電圧無印加状態若しくは低印加状態での液晶分子配向方向は5a及び5bであり、この時に黒表示が得られる。電極2及び3間に印加されると、電圧に応じて液晶分子は6a及び6b方向へとその配向方向を変える。通常、この状態で明表示を行なう。
再び図1において、偏光膜8及び偏光膜20は、その透過軸9及び21を直交にして配置されている。第1位相差層10の遅相軸11は、偏光膜8の透過軸9及び黒表示時の液晶層15中の液晶分子の遅相軸方向16に平行である。
図1に示す液晶表示装置では、偏光膜8が二枚の保護膜7a及び7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。また、偏光膜20も二枚の保護膜19a及び19bに挟持されているが、液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。なお、図1の態様では、第1位相差層及び第2位相差層は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。
第1位相差層10及び第2位相差層は、液晶セルのレターデーションの光学補償に寄与する。第1位相差層10の波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)は、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍であり、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、Re/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍であり、Rth(550nm)が70nm〜400nmであり、且つRe(550nm)が20nm〜150nmである。一方、第2位相差層12のRe(550nm)は略0で、且つRth(550nm)は、−80nm〜−400nmである。本態様では、第1位相差層10は、その遅相軸11を、偏光膜8の透過軸9と平行にして配置される。
ここで、図1の構成の液晶表示装置において、第1及び第2位相差層によって得られる光学補償効果について、図4に示すポアンカレ球を用いて説明する。ここで、光は下側の偏光膜20側から入射し、光の伝播方向は方位角45度、極角34度の方向とした。図4では、ポアンカレ球をS2軸の正の方向から見ている。なお、「極角」とは、位相差層の層平面(光の入射面)をxy平面とした場合に、z軸方向の傾きをいい、極角=0°は層平面に平行で、極角=90°は層平面の法線方向に一致する。また、「方位角」とは、位相差層の面内の直交する軸の一方に対する傾きであり、例えば、位相差層の層平面に向って右側、水平方向をx軸+側とした場合の反時計回りのx軸となす角を意味する。
図4では、偏光膜20を通った光の偏光状態はA点に相当する。一方、偏光膜8の吸収軸方向すなわち偏光膜8で完全に吸収される偏光状態はB点に相当する。一般的に黒表示時に斜め方向におけるOFF AXISの光りぬけが生じるのは、このA点とB点がずれていることに起因する。光学補償フィルムの役割は、最初の偏光状態であるA点の偏光状態を、液晶層を通過することによる遷移も含めて、最終的にB点の偏光状態に変換することである。仮に、最終的に偏光状態がB点ではないB’点となった場合は、B’点のB点からの距離に比例した光り抜けが生じることになる。本態様では、所定の光学特性を示す第1及び第2位相差層を組み合わせて、所定の順番で配置することにより、最終的な偏光状態をB点として、黒表示時の斜め方向の光抜けを防止するとともに、視野角に依存した色ずれを抑制している。
図1の構成の液晶表示装置において、まず、偏光膜20を通過した光の偏光状態はA点となり、引き続き、光学異方性層の小さい保護膜19aを通過した後も、その偏光状態は、A点付近のままである。例えば、保護膜19aのレターデーションをほぼ0に設定すると、偏光状態はA点から全く動かない。その後、第2位相差層を通過すると、偏光状態が変化するが、第2位相差層12は、正の屈折率異方性を持ちほぼ垂直方向に光軸を持つことから、ポアンカレ球上では、第2位相差層を通過することによる偏光状態の遷移は、図4に示す通り、上から下への矢印で表されるような回転となる。その回転角度は、第2位相差層12の斜め方向からの実効的なレターデーションΔn’d’を波長で割った値Δn’d’/λに比例するが、このΔn’d’/λ値は、R光,G光及びB光のそれぞれの波長が異なるので、一定ではない。従って、第2位相差層12を通過した後の偏光状態は、図4に示す通り、R、G、Bでそれぞれ異なる点になる。本態様では、上記したR、G及びBにおけるRe/Rth値、Re(550nm)値及びRth(550nm)が所定の関係を満足する第1位相差層10を通過させることで、第2位相差層12を通過し、異なる偏光状態にあるR光、G光、及びB光を、同一の偏光状態であるB点に遷移させている。その結果、黒表示時に斜めから入射した光は、偏光膜8によって遮光され光抜けが軽減されるとともに、視野角に依存した色づきを解消することができる。
本態様では、第1位相差層10と第2位相差層12とは、一体的な部材である光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込まれていてもよいし、それぞれ単独の光学補償フィルムとして組み込まれていてもよい。また、偏光膜8、及びその保護膜7a、7bと一体化された楕円偏光板として液晶表示装置に組み込まれていてもよい。
本発明の他の実施形態を図3に示す。なお、図1と同一の部材については同一の番号を付し、詳細な説明は省略する。
図3の液晶表示装置は、第2位相差層12及び第1位相差層10の配置順序が逆転し、第2位相差層12が偏光膜8及び第1位相差層10の間に配置されている。図3に示す態様では、第1位相差層10は、その遅相軸11が、偏光膜8の透過軸9と黒表示時の液晶層15中の液晶分子の遅相軸方向16は直交に配置される。なお、図3の態様では、第1位相差層及び第2位相差層は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。
なお、図1の液晶表示装置と同様、偏光膜8の液晶層15に近い側の保護膜7bはなくてもよいし、また、偏光膜20の液晶層15に近い側の保護膜19aはなくてもよい。また、図1の液晶表示装置と同様、第1位相差層10と第2位相差層12とは、一体的な部材である光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込まれていてもよいし、それぞれ単独の光学補償フィルムとして組み込まれていてもよい。また、偏光膜8、及びその保護膜7a、7bと一体化された楕円偏光板として液晶表示装置に組み込まれていてもよい。
図3の構成の液晶表示装置の光学補償作用についても、ポアンカレ球を用いて、図1の構成の液晶表示装置と同様に説明することができる。
なお、図1及び図3には、上側偏光板及び下側偏光板を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一の偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよく、かかる場合は、液晶セル内の光路が2倍になることから、液晶層の最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。また、本発明に用いられる液晶セルはIPSモードに限定されることなく、黒表示時に液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であれば、いずれも好適に用いることができる。この例としては強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置、ECB型液晶表示装置がある。
また、本発明の液晶表示装置は、図1〜図3に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶層と偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、偏光膜の保護膜の表面に反射防止処理やハードコートを施してもよい。また、構成部材に導電性を付与したものを使用してもよい。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。この場合、バックライトの配置は図1及び図3の上側であっても下側であってもよい。また、液晶層とバックライトとの間に、反射型偏光板や拡散板、プリズムシートや導光板を配置することもできる。また、上記した様に、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を配置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。本発明は、TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材の好ましい光学特性や、その作製に用いられる材料、及び製造方法等について、詳細に説明する。
まず、第1及び第2位相差層について説明する。第1及び第2位相差層は、上記光学特性を単独で満足する一層の光学異方性層のみからなっていてもよいし、複数の層を組み合わせることによって上記光学特性を満足する複数の光学異方性層の積層体であってもよい。また、一以上の光学異方性層と一以上の光学等方性層との積層体であってもよい。
[第1位相差層]
本発明に利用される第1位相差層は、Rth(550nm)が70〜400nmであり、且つRe(550nm)が20〜150nmである。斜め方向の光漏れをより低減するためには、第1位相差層のRe(550nm)は、40nm〜115nmであるのがより好ましく、60nm〜95nmであるのがさらに好ましく、Rth(550nm)は、100〜400nmであるのが好ましく、200〜300nmであるのがより好ましい。さらに、前記第1位相差層は、波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍(好ましくは、0.5〜0.8倍)であり、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、Re/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍(好ましくは1.2〜1.6倍)である。Re/Rth(550nm)は0.1〜0.6であるのが好ましく、0.15〜0.4であるのがより好ましく、0.18〜0.3であるのがさらに好ましい。
また、第1位相差層のNz=(nx−nz)/(nx−ny)で定義されるNzは、1.5〜7であるのが好ましく、2.0〜5.5であるのがより好ましく、2.5〜4.5であるのがさらに好ましい。
前記第1位相差層は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜であってもよい。また、上記した通り、前記第1位相差層は積層体であってもよく、例えば、ポリマーフィルム等からなる支持体と、その上に高分子化合物の溶液又は溶融液を塗布して形成した膜とを有する積層フィルム、及びポリマーフィルム等かならる支持体と、その上に、低分子あるいは高分子液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層とを有する積層フィルム等、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。なお、前記第1位相差層が、液晶性組成物から形成された光学異方性層と、それを支持するポリマーフィルム等からなる支持体との積層体である態様では、前記支持体は、上記光学特性に寄与していてもよいし、寄与していなくてもよい。
特に本発明では、前記第1位相差層が、所定の波長分散特性を示すことが一つの特徴である。複屈折ポリマーの波長分散特性は、Reに関しては側鎖を延伸方向と直交方向に配向させる、リタデーション逆分散化する化合物を添加する、等の方法、Rthに関しては短波側のみRthを増加させる平面性の高い化合物を添加する等により調整して、所望の範囲にすることができる。また、液晶組成物から形成された光学異方性層の波長分散特性は、用いる液晶組成物の吸収波長を短波長側にずらす、等により調整して所望の範囲にすることができる。
複屈折ポリマーフィルムとしては、複屈折特性の制御性や透明性、耐熱性に優れるものが好ましい。この場合、用いる高分子材料としては均一な二軸配向が達成できる高分子であれば特に制限はないが、従来公知のもので溶液流延法や押出し成形方式で製膜できるもの好ましく、ノルボルネン系高分子、ポリカーボネート系高分子、ポリアリレート系高分子、ポリエステル系高分子、ポリサルフォン等の芳香族系高分子、セルロースアシレート、又は、それらポリマーの2種又は3種以上を混合したポリマーなどが挙げられる。中でも、ノルボルネン系高分子及びセルロースアシレートが好ましい。
前記第1位相差層は、二軸配向性である。二軸配向性の高分子フィルムは、押出し成形方式や流延製膜方式等の適宜な方式で製造した高分子(好ましくは熱可塑性樹脂)からなるフィルムを、例えばロールによる縦延伸方式、テンターによる横延伸方式や二軸延伸方式などにより、延伸処理することにより得られる。前記のロールによる縦延伸方式では加熱ロールを用いる方法や雰囲気を加熱する方法、それらを併用する方法等の適宜な加熱方法を採ることができる。またテンターによる二軸延伸方式では全テンター方式による同時二軸延伸方法や、ロール・テンター法による逐次二軸延伸方法などの適宜な方法を採ることができる。
また、配向ムラや位相差ムラの少ないものが好ましい。その厚さは、位相差等により適宜に決定し得るが、一般的には、薄型化の点より1〜300μmであるのが好ましく、10〜200μmであるのがより好ましく、20〜150μmであるのがさらに好ましい。
ノルボルネン系高分子としては、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレン及びその誘導体などのノルボルネン系モノマーを主成分とするモノマーの重合体であり、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体、及びの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物が最も好ましい。ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、又は環状共役ジエンの重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、フィルム(A)の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
セルロースアシレートのアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよく、総炭素数が22以下のエステル基が好ましい。これらの好ましいセルロースアシレートとしては、エステル部の総炭素数が22以下のアシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、バレル、ヘプタノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイルなど)、アリールカルボニル基(アクリル、メタクリルなど)、アリルカルボニルキ(ベンゾイル、ナフタロイルなど)、シンナモイル基を挙げることができる。これらの中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートベンゾエートなどであり、混合エステルの場合はその比率は特に限定されないが、好ましくはアセテートが総エステルの30モル%以上であることが好ましい。
これらの中でも、セルロースアシレートが好ましく、特に写真用グレードのものが好ましく、市販の写真用グレードのものは粘度平均重合度、置換度等の品質を満足して入手することができる。写真用グレードのセルローストリアセテートのメーカーとしては、ダイセル化学工業(株)(例えばLT−20,30,40,50,70,35,55,105など)、イーストマンコダック社(例えば、CAB−551−0.01、CAB−551−0.02、CAB−500−5、CAB−381−0.5、CAB−381−02、CAB−381−20、CAB−321−0.2、CAP−504−0.2、CAP−482−20、CA−398−3など)、コートルズ社、ヘキスト社等があり、何れも写真用グレードのセルロースアシレートを使用できる。また、フィルムの機械的特性や光学的な特性を制御する目的で、可塑剤、界面活性剤、レターデーション調節剤、UV吸収剤などを今後することができる(参考資料:特開2002−277632号公報、特開2002−182215号公報)
透明高分子をシート又はフィルム状に成形する方法は、例えば、加熱溶融成形法、溶液流延法のいずれも用いることができる。加熱溶融成形法は、さらに詳細に、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できるが、これらの方法の中でも、機械的強度、表面精度等に優れたフィルムを得るためには、押出成形法、インフレーション成形法、及びプレス成形法が好ましく、押出成形法が最も好ましい。成形条件は、使用目的や成形方法により適宜選択されるが、加熱溶融成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定される。上記シート又はフィルムの厚みは、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
上記シート又はフィルムの延伸は、該透明高分子のガラス転移温度をTgとするとき、好ましくはTg−30℃からTg+60℃の温度範囲、より好ましくはTg−10℃〜Tg+50℃の温度範囲にて、少なくとも一方向に好ましくは1.01〜2倍の延伸倍率で行う。延伸方向は少なくとも一方向であればよいが、その方向は、シートが押出成形で得られたものである場合には、樹脂の機械的流れ方向(押出方向)であることが好ましく、延伸方法は自由収縮一軸延伸法、幅固定一軸延伸法、二軸延伸法などが好ましい。光学特性の制御はこの延伸倍率と加熱温度を制御することによって行なうことができる。
本発明では、第1位相差層として、セルロースアシレートフィルムを用いるのが好ましい。セルロースアシレートフィルムのRe(550nm)を20〜150nmに、そしてRth(550んm)を70〜400nmに調節する。また、本発明では、第1位相差層は、450、550及び650nmにおけるRe/Rth比が上記関係を満足する。これらの光学特性の調整は、セルロースアシレートに芳香環を有する棒状化合物を添加することによって行うことができる。さらに、棒状化合物の種類、添加量及び延伸倍率を調整することにより、所望の光学特性のセルロースアシレートフィルムを作製することができる。
[セルロースアシレートフィルム]
セルロースアシレートの原料綿は、公知の原料を用いることができる(例えば、発明協会公開技法2001−1745参照)。また、セルロースアシレートの合成も公知の方法で行なうことができる(例えば、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)参照)。セルロースアシレートの粘度平均重合度は200〜700が好ましく250〜500が更に好ましく250〜350が最も好ましい。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.5〜5.0であることが好ましく、2.0〜4.5であることがさらに好ましく、3.0〜4.0であることがよりさらに好ましい。
該セルロースアシレートフィルムのアシル基は、特に制限は無いが、アセチル基、プロピオニル基を用いることが好ましく、特にアセチル基が好ましい。全アシル基の置換度は2.7〜3.0が好ましく、2.8〜2.95がさらに好ましい。本明細書において、アシル基の置換度とは、ASTM D817に従って算出した値である。
アシル基がアセチル基であることが最も好ましく、アシル基がアセチル基であるセルロースアセテートを用いる場合には、酢化度が59.0〜62.5%が好ましく、59.0〜61.5%がさらに好ましい。酢化度がこの範囲にあると、流延時の搬送テンションによってReが所望の値より大きくなることもなく、面内ばらつきも少なく、温湿度によってレターデーション値の変化も少ない。
6位のアシル基の置換度は、Re、Rthのばらつきを抑制する観点から、0.9以上が好ましい。
[レターデーション制御剤]
本発明では、少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物をレターデーション制御剤として用いるのが好ましい。該棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析又は分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造で主鎖の構成する角度が140度以上であることを意味する。
少なくとも二つの芳香族環を有する棒状化合物としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
一般式(I):Ar1−L1−Ar2
上記一般式(I)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子がさらに好ましい。芳香族性へテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N’−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
一般式(I)において、L1は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる基から選ばれる二価の連結基である。
アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロへキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8であり、最も好ましくは1〜6である。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、好ましくは2〜10であり、より好ましくは2〜8であり、さらに好ましくは2〜6であり、さらに好ましくは2〜4であり、最も好ましくは2(ビニレン又はエチニレン)である。アリーレン基は、炭素原子数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6〜16であり、さらに好ましくは6〜12である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
L−7:−O−CO−アリーレン基−CO−O−
L−8:−CO−O−アリーレン基−O−CO−
L−9:−O−CO−アリーレン基−CO−O−
L−10:−CO−O−アリーレン基−O−CO−
一般式(I)の分子構造において、L1を挟んで、Ar1とAr2とが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。棒状化合物としては、下記式一般式(II)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(II):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(II)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、一般式(I)のAr1及びAr2と同様である。
一般式(II)において、L2及びL3は、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる基より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することがさらに好ましい。
アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは1〜8であり、さらに好ましくは1〜6であり、さらに好ましくは1〜4であり、1又は2(メチレン又はエチレン)であることが最も好ましい。L2及びL3は、−O−CO−又はCO−O−であることが特に好ましい。
一般式(II)において、Xは、1,4−シクロへキシレン、ビニレン又はエチニレンである。以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2008051838
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Figure 2008051838
Figure 2008051838
Figure 2008051838
Figure 2008051838
Figure 2008051838
Figure 2008051838
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具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2008051838
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
その他、好ましい化合物を以下に示す。
Figure 2008051838
Figure 2008051838
レターデーション制御剤として、溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を使用するのが好ましく、かかる特性の棒状化合物を二種類以上併用するのが好ましい。棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229ページ(1979年)、同89巻、93ページ(1982年)、同145巻、111ページ(1987年)、同170巻、43ページ(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349ページ(1991年)、同118巻、5346ページ(1996年)、同92巻、1582ページ(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420ページ(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年)を挙げることができる。レターデーション制御剤の添加量は、ポリマーの量の0.1〜30質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがさらに好ましい。
芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.01〜20質量部の範囲で使用する。芳香族化合物は、セルロースアシレート100質量部に対して、0.05〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲で使用することがさらに好ましい。二種類以上の化合物を併用してもよい。
[セルロースアシレートフィルムの製造]
ソルベントキャスト法により作製したセルロースアシレートフィルムを用いるのが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解して調製した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル及び炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及びCOO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが含まれる。
炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート及びペンチルアセテートが含まれる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1又は2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレートの溶液は、一般的な方法、具体的には、0℃以上の温度(常温又は高温)で調製できる。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法及び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧及び加熱条件下で攪拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、これを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒中にもセルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。冷却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。このように冷却すると、セルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。
加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧及び減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
なお、セルロースアシレート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアシレートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
次に、調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。
ドープは、ドラム又はバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラム又はバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延及び乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号、同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号、同62−115035号の各公報に記載がある。
ドープは、表面温度が10℃以下のドラム又はバンド上に流延することが好ましい。流延してから2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフィルムをドラム又はバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラム又はバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
セルロースアシレートフィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースアシレートの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤添加による効果が発現し、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)を抑制する観点から、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
[セルロースアシレートフィルムの延伸処理]
セルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーションを調整することができる。延伸倍率は、3〜100%であることが好ましい。
延伸方法としては、特に制限されず、既存の方法を用いることができるが、面内の均一性の観点から特にテンター延伸が好ましく用いられる。前記セルロースアシレートフィルムは少なくとも100cm以上の幅であることが好ましく、全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
また延伸処理は製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶剤量を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶剤量が2〜30%で好ましく延伸することができる。この際、フィルムを長手方向に搬送しながら長手方向と直交する方向に延伸して該フィルムの遅相軸が該フィルムの長尺方向に対して直交するようにすることが好ましい。
延伸温度は延伸時の残留溶剤量と膜厚によって適当な条件を選ぶことができる。残留溶剤を含む状態で延伸した場合には、延伸後に乾燥させることが好ましい。乾燥方法は前記フィルムの製膜に記載の方法に準じて行うことができる。
延伸後のセルロースアシレートフィルムの厚さは、110μm以下、好ましくは40〜110μmであり、より好ましくは60〜110μmであり、80〜110μmであることが好ましい。
[セルロースアシレートフィルムの表面処理]
前記第1位相差層がセルロースアシレートフィルムからなる場合は、該セルロースアシレートフィルムを偏光板の透明保護膜として利用してもよい。かかる場合は、セルロースアシレートフィルムを表面処理することが好ましい。
表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理を実施する。酸処理又はアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
本発明では、以上説明した少なくとも二つの芳香族環を有する直線的な構造を有する棒状化合物を含むセルロースアシレート組成物からなるフィルムを延伸し、、所望のレターデーション値Re、Rth、及びRe/Rth比を満たすセルロースアシレートフィルム(好ましくは、膜厚が40μm〜110μmのセルロースアシレートフィルム)を、第1位相差層として利用することができる。
なお、第1位相差層としてセルロースアシレートフィルムを用いる場合は、該セルロースアシレートフィルムは、第2位相差層の支持体を兼ねていてもよい。
[第2位相差層]
本発明の液晶表示装置が有する第2位相差層は、Re(550nm)が略0、Rth(550nm)が−80nm〜−400nmである。前記第2位相差層のRth(550nm)のより好ましい範囲は、他の光学部材の光学特性に応じて変動し、特に、より近くに位置する偏光膜の保護膜(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)のRthに応じて、大きく変動する。斜め方向の光漏れを効果的に低減するためには、第2位相差層のRth(550nm)は、−100nm〜−340nmであるのがより好ましく、−120nm〜−270nmであるのがさらに好ましい。一方、第2位相差層のRe(550nm)は、0近傍の値になる。具体的には、面内レターデーションRe(550nm)は、0〜50nmであるのが好ましく、0〜20nmであるのがより好ましい。
前記第2位相差層は、前記光学特性を有する限り、その材料及び形態については特に制限されない。例えば、複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜であってもよい。また、上記した通り、前記第2位相差層は積層体であってもよく、例えば、ポリマーフィルム等からなる支持体と、その上に、低分子あるいは高分子液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層とを有する積層フィルム等、いずれも使用することができる。また、それぞれを積層して使用することもできる。なお、前記第2位相差層が、液晶性組成物から形成された光学異方性層と、それを支持するポリマーフィルム等からなる支持体との積層体である態様では、前記支持体は、上記光学特性に寄与していてもよいし、寄与していなくてもよい。
上記光学特性を満足する複屈折ポリマーフィルムからなる位相差膜は、高分子フィルムを膜の厚さ方向に延伸する方法や、ビニルカルバゾール系高分子を塗布して乾燥させる方法(特開2001−091746号公報)で容易に形成できる。
また、上記光学特性を満足する、液晶性組成物から形成された光学異方性層としては、キラル構造単位を含んだコレステリックディスコチック液晶化合物を含有する組成物を基板表面に塗布し、コレステリックディスコチック液晶化合物の分子を配向させて、その螺旋軸を基板に略垂直とした後、その配向状態に固定して形成した層;及び屈折率異方性が正の棒状液晶化合物を含有する組成物を、基板表面に塗布し、棒状液晶化合物の分子の長軸を基板表面に略垂直に配向させた後、固定して形成した層;などを例示することができる(例えば、特開平6−331826号公報や特許第2853064号等参照)。棒状液晶化合物は低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよい。さらに、一の光学異方性層のみならず複数の光学異方性層を積層して、上記光学特性を示す第2位相差層を構成することもできる。また、支持体と光学異方性層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差層を構成してもよい。用いる棒状液晶化合物としては、配向固定させる温度範囲で、ネマチック液晶相、スメクチック液晶相、リオトロピック液晶相状態をとるものが好適に用いられる。揺らぎの無い均一な垂直配向が得られるスメクチックA相、B相を示す液晶が好ましい。特にまた、添加剤の存在下において、適切な配向温度範囲で、上記液晶状態となる棒状液晶性化合物については、該添加剤と棒状液晶性化合物を含有する組成物を用いて層を形成するのも好ましい。
《棒状液晶性化合物》
本発明において、前記第2位相差層は、棒状液晶性化合物を含む組成物から形成してもよい。前記棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。液晶分子には活性光線や電子線、熱などによって重合や架橋反応を起こしうる部分構造を有するものが好適に用いられる。その部分構造の個数は1〜6個、好ましくは1〜3個である。
第2位相差層が、棒状液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層を含む場合は、該光学異方性層は、棒状液晶性化合物の分子を実質的に垂直配向させて、その状態に固定して形成した光学異方性層であるのが好ましい。実質的に垂直とは、層平面と棒状液晶性化合物の分子のダイレクターとのなす角度が70°〜90°の範囲内であることを意味する。これらの棒状液晶性分子を斜め配向させてもよいし、傾斜角が徐々に変化するように配向(ハイブリッド配向)させてもよい。斜め配向又はハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は70°〜90°であることが好ましく、80°〜90°がより好ましく、85°〜90°が最も好ましい。
棒状液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層は、棒状液晶性化合物、所望により、下記の重合性開始剤や空気界面垂直配向剤や他の添加剤を含む塗布液を、垂直配向膜の表面に塗布して、棒状液晶性分子を垂直配向させ、該配向状態を固定することで形成することができる。仮支持体上に形成した場合は、該光学異方性層を仮支持体上から支持体上に転写してもよい。さらに、一層の光学異方性層のみならず、複数の位相差層を積層して、上記光学特性を満足する第2位相差層を作製してもよい。また、支持体と光学異方性層との積層体全体で上記光学特性を満たすようにして、第2位相差層を構成してもよい。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
塗布液を表面(好ましくは垂直配向膜の表面)に塗布した後、所望により加熱等して、棒状液晶性分子を垂直配向させ、その配向状態を維持して固定するのが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基(P)の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。棒状液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。前記光学異方性層を含む第1位相差層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることがよりさらに好ましい。
《垂直配向膜》
液晶性化合物の分子を配向膜側で垂直に配向させるためには、配向膜の表面エネルギーを低下させることが重要である。具体的には、ポリマーの官能基により配向膜の表面エネルギーを低下させ、これにより液晶性化合物を立てた状態にする。配向膜の表面エネルギーを低下させる官能基としては、フッ素原子及び炭素原子数が10以上の炭化水素基が有効である。フッ素原子又は炭化水素基を配向膜の表面に存在させるために、ポリマーの主鎖よりも側鎖にフッ素原子又は炭化水素基を導入することが好ましい。含フッ素ポリマーは、フッ素原子を0.05〜80質量%の割合で含むことが好ましく、0.1〜70質量%の割合で含むことがより好ましく、0.5〜65質量%の割合で含むことがさらに好ましく、1〜60質量%の割合で含むことが最も好ましい。炭化水素基は、脂肪族基、芳香族基又はそれらの組み合わせである。脂肪族基は、環状、分岐状あるいは直鎖状のいずれでもよい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基であってもよい)又はアルケニル基(シクロアルケニル基であってもよい)であることが好ましい。炭化水素基は、ハロゲン原子のような強い親水性を示さない置換基を有していてもよい。炭化水素基の炭素原子数は、10〜100であることが好ましく、10〜60であることがさらに好ましく、10〜40であることが最も好ましい。ポリマーの主鎖は、ポリイミド構造又はポリビニルアルコール構造を有することが好ましい。
ポリイミドは、一般にテトラカルボン酸とジアミンとの縮合反応により合成する。二種類以上のテトラカルボン酸あるいは二種類以上のジアミンを用いて、コポリマーに相当するポリイミドを合成してもよい。フッ素原子又は炭化水素基は、テトラカルボン酸起源の繰り返し単位に存在していても、ジアミン起源の繰り返し単位に存在していても、両方の繰り返し単位に存在していてもよい。ポリイミドに炭化水素基を導入する場合、ポリイミドの主鎖又は側鎖にステロイド構造を形成することが特に好ましい。側鎖に存在するステロイド構造は、炭素原子数が10以上の炭化水素基に相当し、液晶性化合物を垂直に配向させる機能を有する。本明細書においてステロイド構造とは、シクロペンタノヒドロフェナントレン環構造又はその環の結合の一部が脂肪族環の範囲(芳香族環を形成しない範囲)で二重結合となっている環構造を意味する。
さらに液晶性化合物を垂直に配向させる手段として、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、又はポリイミドの高分子に有機酸を混合する方法を好適に用いることができる。混合する酸としてはカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸が好適に用いられる。
後述の空気界面配向剤の内、酸性を示すものを使用してもよい。また、4級アンモニウム塩類も好適に用いることができる。その混合量は高分子に対して、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
上記ポリビニルアルコールの鹸化度は、70〜100%が好ましく、80〜100%がさらに好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は100〜5000であることが好ましい。
棒状液晶性化合物の分子を配向させる場合、配向膜は、側鎖に疎水性基を官能基として有するポリマーからなるのが好ましい。具体的な官能基の種類は、液晶性分子の種類及び必要とする配向状態に応じて決定する。例えば、変性ポリビニルアルコールの変性基は、共重合変性、連鎖移動変性又はブロック重合変性により導入できる。変性基の例には、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、アンモニウム基、アミド基、チオール基等)、炭素数10〜100個の炭化水素基、フッ素原子置換の炭化水素基、チオエーテル基、重合性基(不飽和重合性基、エポキシ基、アジリニジル基等)、アルコキシシリル基(トリアルコキシ、ジアルコキシ、モノアルコキシ)等が挙げられる。これらの変性ポリビニルアルコール化合物の具体例として、例えば、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0022]〜[0145]、同2002−62426号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0022]に記載のもの等が挙げられる。
配向膜を、主鎖に結合した架橋性官能基を有する側鎖を有するポリマー又は液晶性分子を配向させる機能を有する側鎖に架橋性官能基を有するポリマーを用いて形成し、その上に位相差膜を、多官能モノマーを含む組成物を用いて形成すると、配向膜中のポリマーと、その上に形成される位相差膜中の多官能モノマーとを共重合させることができる。その結果、多官能モノマー間だけではなく、配向膜ポリマー間及び多官能モノマーと配向膜ポリマーとの間にも共有結合が形成され、配向膜と位相差膜とが強固に結合される。従って、架橋性官能基を有するポリマーを用いて配向膜を形成することで、光学補償シートの強度を著しく改善することができる。配向膜ポリマーの架橋性官能基は、多官能モノマーと同様に、重合性基を含むことが好ましい。具体的には、例えば特開2000−155216号公報明細書中段落番号[0080]〜[0100]記載のもの等が挙げられる。
配向膜ポリマーは、上記の架橋性官能基とは別に、架橋剤を用いて架橋させることもできる。架橋剤としては、アルデヒド、N−メチロール化合物、ジオキサン誘導体、カルボキシル基を活性化することにより作用する化合物、活性ビニル化合物、活性ハロゲン化合物、イソオキサゾール及びジアルデヒド澱粉が含まれる。二種類以上の架橋剤を併用してもよい。具体的には、例えば特開2002−62426号公報明細書中の段落番号[0023]〜[024]記載の化合物等が挙げられる。反応活性の高いアルデヒド、特にグルタルアルデヒドが好ましい。
架橋剤の添加量は、ポリマーに対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がさらに好ましい。配向膜に残存する未反応の架橋剤の量は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このように調節することで、配向膜を液晶表示装置に長期使用、又は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、レチキュレーション発生のない充分な耐久性が得られる。
配向膜は、基本的に、配向膜形成材料である上記ポリマー及び架橋剤を含む組成物を透明支持体上に塗布した後、加熱乾燥(架橋させ)し、ラビング処理することにより形成することができる。架橋反応は、前記のように、透明支持体上に塗布した後、任意の時期に行なってよい。ポリビニルアルコールのような水溶性ポリマーを配向膜形成材料として用いる場合には、塗布液は消泡作用のある有機溶媒(例、メタノール)と水の混合溶媒とすることが好ましい。その比率は質量比で水:メタノールが0:100〜99:1が好ましく、0:100〜91:9であることがさらに好ましい。これにより、泡の発生が抑えられ、配向膜、更には位相差層表面の欠陥が著しく減少する。
配向膜を作製するのに利用する塗布方法は、スピンコーティング法、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法又はロールコーティング法が好ましい。特にロッドコーティング法が好ましい。また、乾燥後の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。加熱乾燥は、20℃〜110℃で行なうことができる。充分な架橋を形成するためには60℃〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。乾燥時間は1分〜36時間で行なうことができるが、好ましくは1分〜30分である。pHも、使用する架橋剤に最適な値に設定することが好ましく、グルタルアルデヒドを使用した場合は、pH4.5〜5.5で、特に5が好ましい。
配向膜は、透明支持体上に設けられることが好ましい。配向膜は、上記のようにポリマー層を架橋して使用する。棒状液晶性化合物の垂直配向にはラビング処理は行なわないことが好ましい。なお、配向膜上で液晶性分子を配向させ、その配向状態のまま液晶性分子を固定して光学異方性層を形成し、該光学異方性層のみをポリマーフィルム(支持体)上に転写してもよい。
《空気界面垂直配向剤》
通常、液晶性化合物は、空気界面側では傾斜して配向する性質を有するので、均一に垂直配向した状態を得るために、空気界面側において液晶性化合物を垂直に配向制御することが必要である。この目的のために、空気界面側に偏在して、その排除体積効果や静電気的な効果によって液晶性化合物を垂直に配向させる作用を及ぼす化合物を前記組成物中に含有させて、位相差膜を形成するのが好ましい。
空気界面垂直配向剤としては、特開2002−20363号公報、特開2002−129162号公報に記載されている化合物を用いることができる。また、特開2004−53981号公報(特願2002−212100号)明細書中の段落番号[0072]〜[0075]、特願2002−262239号明細書中の段落番号[0037]〜[0039]、特開2004−4688号公報(特願2003−91752号)明細書中の段落番号[0071]〜[0078]、特開2004−139015号公報(特願2003−119959号)明細書中の段落番号[0052]〜[0054]、[0065]〜[0066]、[0092]〜[0094]、特開2005−97357号公報(特願2003−330303号)明細書中の段落番号[0028]〜[0030]、特願2004−003804号明細書中の段落番号[0087]〜[0090]に記載される事項も本発明に適宜適用することができる。また、これらの化合物を配合することによって塗布性が改善され、ムラ又はハジキの発生が抑制される。
液晶塗布液への空気界面垂直配向剤の使用量は、0.05質量%〜5質量%であることが好ましい。また、フッ素系空気界面配向剤を用いる場合は、1質量%以下であることが好ましい。
《位相差層中の他の材料》
上記の液晶性化合物と共に、可塑剤、界面活性剤、重合性モノマー等を併用して、塗工膜の均一性、膜の強度、液晶性化合物の配向性等を向上させることができる。これらの素材は液晶性化合物と相溶性を有し、配向を阻害しないことが好ましい。
重合性モノマーとしては、ラジカル重合性もしくはカチオン重合性の化合物が挙げられる。好ましくは、多官能性ラジカル重合性モノマーであり、上記の重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。例えば、特開2002−296423号公報明細書中の段落番号[0018]〜[0020]記載のものが挙げられる。上記化合物の添加量は、円盤状液晶性分子に対して一般に1〜50質量%の範囲にあり、5〜30質量%の範囲にあることが好ましい。
界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられるが、特にフッ素系化合物が好ましい。具体的には、例えば特開2001−330725号公報明細書中の段落番号[0028]〜[0056]記載の化合物、特開2005−62673号公報(特願2003−295212号)公報明細書中の段落番号[0069]〜[0126]記載の化合物が挙げられる。
液晶性化合物とともに使用するポリマーは、塗布液を増粘できることが好ましい。ポリマーの例としては、セルロースエステルを挙げることができる。セルロースエステルの好ましい例としては、特開2000−155216号公報明細書中の段落番号[0178]記載のものが挙げられる。液晶性化合物の配向を阻害しないように、上記ポリマーの添加量は、液晶性分子に対して0.1〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.1〜8質量%の範囲にあることがより好ましい。
[支持体]
本発明では、液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層を、支持体上に形成し、支持体と光学異方性層との積層体を第2位相差層または第1位相差層として用いてもよい。
支持体は透明であるのが好ましく、具体的には、光透過率が80%以上であるのが好ましい。支持体は、波長分散が小さいのが好ましく、具体的には、Re400/Re700の比が1.2未満であることが好ましい。中でも、ポリマーフィルムが好ましい。透明支持体は第1位相差層、第2位相差層又は偏光板保護膜を兼ねることもできる。また、透明支持体と液晶組成物から形成された光学異方性層全体で、第1位相差層又は第2位相差層を構成していてもよい。支持体の光学異方性は小さいのが好ましく、面内レターデーション(Re)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがさらに好ましく、5nm以下であることが最も好ましい。
支持体となるポリマーフィルムの例には、セルロースエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのフィルムが含まれる。セルロースエステルフィルムが好ましく、アセチルセルロースフィルムがさらに好ましく、トリアセチルセルロースフィルムが最も好ましい。ポリマーフィルムは、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。透明支持体の厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜200μmであることがさらに好ましい。透明支持体とその上に設けられる層(接着層、垂直配向膜あるいは位相差層)との接着を改善するため、透明支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。透明支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。また、透明支持体や長尺の透明支持体には、搬送工程でのすべり性を付与したり、巻き取った後の裏面と表面の貼り付きを防止するために、平均粒径が10〜100nm程度の無機粒子を固形分重量比で5%〜40%混合したポリマー層を支持体の片側に塗布や支持体との共流延によって形成したものを用いることが好ましい。
[偏光膜用保護膜]
本発明の液晶表示装置では、第1及び第2偏光膜用保護膜としては、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。具体的には、面内のReが0〜30nmが好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmがよりさらに好ましい。さらに、厚み方向のレターデーションRthは0〜40nmであることが好ましく、0〜20nmがより好ましく、0〜10nmであることがよりさらに好ましい。この特性を有するフィルムであれば好適に用いることができるが、偏光膜の耐久性の観点からはセルロースアシレートやノルボルネン系のフィルムがより好ましい。セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、特願2003−379975号明細書に記載の方法などが挙げられる。また、セルロースアシレートフィルムの厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。第1及び第2偏光膜用保護膜としてのセルロースシレートフィルムの厚みは10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであるのがより好ましく、20〜45μmであることがさらに好ましい。
その他、本発明の液晶表示装置に用いられる部材は、公知の液晶表示装置、特に、公知のIPS型液晶表示装置、強誘電性液晶表示装置、反強誘電性液晶表示装置、ECB型液晶表示装置に用いられている種々の部材を、本発明の効果を損なわない範囲で利用することができる。
[光学補償フィルム]
本発明は、前記第1位相差層と第2位相差層とを有する光学補償フィルムにも関する。例えば、本発明の光学補償フィルムの一態様は、第1位相差層の光学特性を満足するポリマーフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)と、該フィルム上に、第2位相差層の光学特性を満足する、液晶組成物から形成された光学異方性層とを有する光学補償フィルムである。前記液晶組成物は、棒状液晶性化合物を含有しているのが好ましく、層中において棒状液晶性化合物の分子が垂直配向状態に固定されているのが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。これらの実施例は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示した構成の液晶表示装置について光学シミュレーションを実施し、効果の確認を行った。光学計算には、シンテック社製のLCD Master Ver6.08を用いた。液晶セルや電極、基板、偏光板等は、液晶ディスプレイ用に従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶材料にはLCD Masterに付属のZLI−4792を用いた。液晶セルの配向はプレチルト角0度でパラレル配向の水平配向とし、基板のセルギャップを3.04ミクロンとし、正の誘電率異方性を有する液晶材料で液晶のレターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(ミクロン)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を、300nmとした。偏光膜にはLCD Masterに付属のG1220DUを用いた。
第1位相差層のRe及びRthは、以下の表1に示す光学特性になるよう設定した。第2位相差層のRthは300nm、及びReは0nmに設定した。また下側偏光板の保護膜19aのRth及びReは、0nmとした。光源にはLCD Masterに付属のBacklight光源を用いた。
このようにして、図1と同一の構成で、且つ記表1に示す諸特性の液晶表示装置No.1〜6を構成した。
<液晶表示装置の漏れ光及び色度>
液晶表示装置No.1〜6のそれぞれについて、正面における透過率が最も小さくなる電圧、すなわち黒電圧を印加した時の、方位角0°且つ極角60°の視野角方向における黒表示透過率(%)、及び方位角0°且つ極角60°と、方位角180°且つ極角60°との色ずれΔxを求めた。結果は表1に示す。
Figure 2008051838
表1に示す結果から、波長λ=450nmにおけるReとRthの比であるRe/Rthが、波長λ=550nmにおけるRe/Rthの値の0.58倍で、且つ波長λ=650nmにおけるRe/Rthが、波長λ=550nmにおけるRe/Rthの値の1.5倍のときに透過率、正面との色ずれ共に、最小になっていることが理解できる。
液晶表示装置No.1は、第1位相差層の波長分散性が本発明の範囲外であり、これと比較すると、第1位相差層のλ=450nmにおけるReとRthの比であるRe/Rthが、λ=550nmにおけるRe/Rthの値の0.5〜0.9倍であり、且つλ=650nmにおけるRe/Rthが、λ=550nmにおけるRe/Rthの値の1.1〜1.6倍である液晶表示装置No.2〜6は、黒表示時の光漏れ及び視野角に依存した色ズレが軽減されていることが理解できる。
本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の画素領域例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の他の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一態様の光学補償作用をポアンカレ球を用いて説明するための図である。
符号の説明
1 液晶素子画素領域
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶化合物のダイレクター
7a,7b、19a,19b 偏光膜用保護膜
8、20 偏光膜
9、21 偏光膜の偏光透過軸
10 第1位相差層
11 第1位相差層の遅相軸
12 第2位相差層
13、17 セル基板
14、18 セル基板ラビング方向
15 液晶層
16 液晶層の遅相軸方向

Claims (8)

  1. 光学異方性を示す第1位相差層と光学異方性を示す第2位相差層の少なくとも2層を有する光学補償フィルムであって、
    第1及び第2位相差層の波長λにおける面内のレターデーションをRe(λ)、厚さ方向のレターデーションをRth(λ)とする場合、
    第1位相差層の波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍であり、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、Re/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍であり、Rth(550nm)が70nm〜400nmであり、且つRe(550nm)が20nm〜150nmであり、及び
    第2位相差層のRe(550nm)が略0、且つRth(550nm)が−80nm〜−400nmである光学補償フィルム。
  2. 少なくとも、第1偏光膜と、第1位相差層と、第2位相差層と、液晶層及び該液晶層を挟持する一対の基板を有する液晶セルとを含み、黒表示時に液晶層中の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して実質的に平行に配向する液晶表示装置であって、
    第1及び第2位相差層の波長λにおける面内のレターデーションをRe(λ)、厚さ方向のレターデーションをRth(λ)とする場合、
    第1位相差層の波長450nmにおけるReとRthの比Re/Rth(450nm)が、波長550nmにおけるRe/Rth(550nm)の0.4〜0.95倍であり、波長650nmにおけるRe/Rth(650nm)が、Re/Rth(550nm)の1.05〜1.93倍であり、Rth(550nm)が70nm〜400nmであり、且つRe(550nm)が20nm〜150nmであり、
    第2位相差層のRe(550nm)が略0、且つRth(550nm)が−80nm〜−400nmであり、及び
    第1偏光膜の透過軸が、黒表示時の液晶層中の液晶分子の遅相軸方向に平行である液晶表示装置。
  3. 前記第1偏光膜、前記第1位相差層、前記第2位相差層及び前記液晶セルが、この順序で配置され、且つ前記第1位相差層の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に平行である請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第1偏光膜、前記第2位相差層、前記第1位相差層及び前記液晶セルがこの順序で配置され、且つ前記第1位相差層の遅相軸が前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交である請求項2に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第1偏光膜の透過軸と直交する透過軸を有する第2偏光膜をさらに有し、前記第1及び第2偏光膜との間に、前記第1位相差層、前記第2位相差層及び前記液晶セルが配置されている請求項2〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1偏光膜及び/又は第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜の厚み方向のレターデーションRthが40nm以下である請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1偏光膜及び/又は第2偏光膜を挟んで配置された一対の保護膜を有し、該一対の保護膜のうち液晶層に近い側の保護膜がセルロースアシレートフィルム又はノルボルネン系フィルムである請求項2〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記第2位相差層が、棒状液晶化合物を含有する組成物から形成された層を含み、前記層中において棒状液晶化合物の分子が実質的に垂直配向した状態に固定されている請求項2〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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