以下、図1〜図15を参照して本発明を適用した電子時計の実施の形態を詳細に説明する。
[全体構成]図1は、本発明における、電子時計の回路構成を示すブロック図である。まず、構成について説明する。
時計回路部10は、CPU(Central Processing Unit)101、発振回路102、時計回路103、表示部104、ブザー部105、スイッチ部106、ROM(Read Only Memory)107、RAM108、早送りパルス供給回路109および駆動回路110によって構成される。
CPU101は、ROM107に予め記憶されている各種プログラムを実行し、接続されている回路の動作制御を行う。CPU101には、時計回路103、表示部104、ブザー部105、スイッチ部106、ROM107、RAM108、電圧検出回路14、強負荷監視電圧検出回路15、標準電波受信回路17、傾斜スイッチ21およびELドライバ22が接続される。
発振回路102は、常に一定の周波数の信号を出力する回路であり、時計回路103は、発振回路102の信号を入力し、その信号を計数して計数値が1分に対応する値になると信号C1を、計数値が20秒に対応する値になると信号C2をCPU101に出力する。
表示部104は、液晶画面などで構成され、CPU101から送られたデータ、例えば現在時刻データ、日付データや電源電圧レベルメータなどを表示する。
ブザー部105は、ユーザによって設定されたタイマ機能などによって、CPU101から送られる信号に従って、アラーム音を発生する。
スイッチ部106は、ユーザによって各種スイッチのいずれかが操作された時、対応するスイッチ入力信号をCPU101に出力する。
ROM107は、回路全体の制御を行う各種プログラムが予め記憶されており、その他、本電子時計の機能を実現させるためのデータなどを記憶する。
RAM108は、CPU101がROM107に記憶されている各種プログラムを実行する際に、プログラムやデータを一時的に記憶するなど、CPU101の作業領域として使用される。
早送りパルス供給回路109は、アナログ式時計の指針を早送りする際に、CPU101から送られる信号を入力し、駆動回路110に転送する回路である。
駆動回路110は、CPU101、あるいは、早送りパルス供給回路109から送られる信号を入力し、アナログ式時計の指針を駆動するステップモータ18を制御するための回路である。
太陽電池11は、太陽の光エネルギーを吸収して電気に変えるエネルギー交換器であり、2次電池12は太陽電池11で発電した電気を充電して回路全体の電源回路を実現している。
電圧検出(Battery Level Detector:以下、「BLD」とする。)回路14は、設定電圧に対応するAS―1信号をCPU101から入力し、2次電池12の電圧を検出する。そして検出した電圧と設定電圧の比較を行い、その結果をBLD―1信号としてCPU101へ出力する。
強負荷監視電圧検出回路(以下、「強負荷監視BLD回路」とする。)15は、BLD回路14の電圧検出機能に加え、強負荷回路駆動時に2次電池の電圧が設定電圧より低下した場合、強負荷回路の駆動を停止する信号をCPU101および強負荷回路へ出力する。
標準電波受信回路16は、アンテナ17が受信した電波を電気信号に変換し、現在時刻コード、積算日コードおよび曜日コードなどの時計機能に必要なデータを含んだ信号をCPU101へ出力する回路である。
ステップモータ18は、駆動回路110から送られる信号に従って、アナログ式時計の指針を駆動する回路であり、輪列機構19を介して、指針20を駆動する。
傾斜スイッチ21は、本電子時計が所定の角度以上に傾いた時に、CPU101に信号を出力する。傾斜スイッチ21より送られた信号を受けて、CPU101はエレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下、「EL」とする。)ドライバ22に信号を送り、ELドライバ22はEL素子23を駆動する。これによりEL素子23は発光する。
図2は、ROM107のデータ構成について示した図である。ROM107は主に、システムプログラム21、電圧検出処理プログラム22、指針現在時刻復帰処理プログラム23、指針12時位置移動処理プログラム24、電波受信および時刻修正処理プログラム25を記憶する。
システムプログラム21は、本電子時計の基本動作を制御するプログラムである。電圧検出処理プログラム22は、2次電池12の出力電圧をBLD回路14が検出し、その検出結果に対応した制御を行うプログラムである。指針現在時刻復帰処理プログラム23は、指針20を停止している位置から、現在時刻の位置に移動させる時に実行されるプログラムである。指針12時位置移動処理プログラム24は、2次電池12の出力電圧がある設定電圧以下になった時、指針20を12時00分00秒の位置に移動するときに実行するプログラムである。電波受信および時刻修正処理プログラム25は、標準電波受信回路16から送られた信号から現在時刻、曜日および積算日を抽出し、内部計時時間を修正するために実行するプログラムである。
図3は、RAM108のデータ構成を示した図である。RAM108は主に、電圧レベル記憶領域31、強負荷駆動フラグ記憶領域32、計時カウンタ記憶領域33、アラーム時刻記憶領域34、移動パルス数記憶領域35、補正パルス数記憶領域36、現在時刻データ記憶領域37、曜日データ記憶領域38および日付データ記憶領域39で構成される。
電圧レベル記憶領域31は、電圧検出処理プログラム22が実行される際に、検出された電圧に対応する電圧レベルが記憶される領域である。強負荷駆動フラグ記憶領域32は、強負荷を持つ回路の通常動作あるいは動作停止の状態を記憶する領域である。計時カウンタ記憶領域33は、CPU101が電圧検出処理プログラム22を実行する際に、時間の計測を行うために使用する領域である。アラーム時刻記憶領域34は、ユーザによって設定されたアラーム時刻を記憶する領域である。移動パルス数記憶領域35は、CPU101が指針現在時刻復帰処理プログラム23および指針12時位置移動処理プログラム24を実行する際に、算出した移動パルス数を記憶する領域である。補正パルス数記憶領域36は、CPU101が指針現在時刻復帰処理プログラム23を実行する際に、算出した補正パルス数を記憶する領域である。現在時刻データ記憶領域37、曜日データ記憶領域38および日付データ記憶領域39は、CPU101が電波受信および時刻修正処理プログラム25を実行する際に、標準電波受信回路16より送られたデータから時刻データ、曜日データおよび日付データを抽出し、各データを記憶する領域である。
図4は、本電子時計の外観の例を示した図である。本電子時計は、主に、指針20、スイッチ部105、表示部104により構成される。
指針20は、時針、分針を備え、アナログ式時計として現在時刻を表示する。そして、例えば、20秒運針の電子時計の場合、20秒ごとに分針が1ステップ移動する。スイッチ部105は、時刻合わせやアラーム設定など、各種モードを実行する際に操作するものである。
図5は表示部104を拡大した図である。表示部104は液晶画面などで構成され、現在時刻あるいは日付表示部301、電波受信マーク302、曜日表示部303および電源電圧レベルメータ304で構成される。
現在時刻あるいは日付表示部301は、スイッチ部105の操作によって、現在時刻あるいは日付のどちらかを表示する。電波受信マーク302は、アナログ式およびデジタル式時計が正確な時間を示している間、点灯する。つまり、2次電池12の電圧低下によって運針が停止したときや、電波を受信して時刻などを修正している間は消灯する。
曜日表示部303は主に曜日を表示するが、他にも各種モードに対応した文字やマークなどを表示する。電源電圧レベルメータ304は、BLD回路14による2次電池12の検出電圧に応じてa、bおよびcを点灯し、電池残量を表示する。
[動作]次に本発明を適用した電子時計の動作について説明する。図6は本電子時計における2次電池12の充放電特性とその電圧レベルの設定範囲、および、各レベルに対応した電源電圧レベルメータ304の表示方法を示した図である。
BLD回路14によって検出される2次電池12の出力電圧をVとすると、電圧VがAS2以上の場合(V≧AS2)はレベル1を、AS3以上AS2未満(AS2>V≧AS3)の場合はレベル2を、AS4以上AS3未満(AS3>V≧AS4)で、放電により電圧下降(電圧VがAS3からAS4へ下降)している時はレベル3Dを、逆に充電により電圧上昇(電圧VがAS4からAS3へ上昇)している時はレベル3Uを、そしてAS4未満(V<AS4)の場合はレベル4をCPU101が判断し、RAM108の電圧レベル記憶領域31に記憶する。
図6において、電圧低下により電圧VがAS4未満になった場合、CPU101は強負荷駆動フラグをOFFとし、指針を所定の位置(例えば、12時)に移動して強負荷回路を停止する。つまり、運針も停止する。
その後、充電によって電圧Vが上昇し、AS3以上になった時、CPU101は強負荷駆動フラグをONにし、電波受信によって現在時刻を識別して指針を現在時刻の位置に移動するなど、時計機能の動作を復帰させる。以上が2次電池12の電圧低下時における基本動作である。
しかし、充電によって電圧VがAS4から上昇する時に、電圧VがAS3付近で揺らいだ場合、強負荷駆動フラグのONあるいはOFFの動作が繰り返されるという問題が発生する。これを解決するために、RAM108に計時カウンタ記憶領域33を設け、電圧VがAS4からAS3に上昇したとき、CPU101はAS3以上の状態にある時間をカウントし、例えば30分連続してAS3以上の状態であったならば、強負荷駆動フラグをONにし、時計機能の動作を復活させる処理を行う。
電源電圧レベルメータ304の表示方法について説明する。電圧レベルがレベル1の時、CPU101は電源電圧レベルメータ304のaおよびbを点灯させる。電圧レベルが2あるいは3Dの時、CPU101は電源電圧レベルメータ304のbを点灯させる。電圧レベルがレベル3Uあるいは4の時、CPU101は電源電圧レベルメータ304のcを点灯させる。
図7は、電源電圧レベルメータ304の表示方法に対応した各機能の動作状況を示した図である。BLD回路14によって検出される2次電池12の出力電圧がレベル1、レベル2、レベル3Dの何れかの時、本電子時計の主な機能である、表示、受信、報音、ライトおよび通常運針は通常動作する。一方、レベル3Uあるいはレベル4の時、表示においては電圧上昇時は点灯し、電圧下降時は消灯する。その他、受信、報音、ライト、通常運針の動作は停止する。
図8は、システムプログラム21の動作を示すフローチャートである。まず、本電子時計の電源投入と共に、CPU101は1分キャリ信号C1が時計回路103から入力されたか判断する(ステップS601)。CPU101に1分キャリ信号C1が入力された場合(ステップS601;Yes)、2次電池12の出力電圧をBLD回路14が検出し、電圧レベルに従って各動作を実行する電圧検出処理を行う(ステップS602:図9)。一方、CPU101に1分キャリ信号C1が入力されなかった場合(ステップS601;No)、2次電池12の電圧検出はせずに、ステップS603へ進む。
次にCPU101は、強負荷駆動フラグ記憶領域32のデータが“ON”あるいは“OFF”であるかを判断する(ステップS603)。強負荷駆動フラグ記憶領域32のデータが“ON”の場合(ステップS603;Yes)、強負荷回路の動作が可能であることを示しており、CPU101は次のステップの処理を行う。一方、強負荷フラグ記憶領域32のデータが“OFF”の場合(ステップS603;No)、2次電池12の電圧低下により強負荷回路の駆動が禁止されているため、運針や電波受信などの処理を行わず、ステップS613へ処理を移行する。
次にCPU101は、スイッチ部105の操作によるスイッチ入力信号があるかどうか判断し、入力信号があれば、対応するスイッチ処理を実行する(ステップS604)。
次にCPU101は、20秒キャリ信号C2が時計回路103から入力されたか判断する(ステップS605)。CPU101に20秒キャリ信号C2が入力された場合(ステップS605;Yes)、CPU101は駆動回路110に信号を送り、指針を1ステップ駆動させる(ステップS606)。一方、CPU101に20秒キャリ信号C2が入力されなかった場合(ステップS605;No)、指針駆動処理は行わず、ステップS607へ進む。
次にCPU101は、内部計時時間、即ち時計回路103が保持する現在時刻データが午前2時であるか比較する(ステップS607)。内部計時時間が午前2時の場合(ステップS607;Yes)、CPU101は電波受信マーク302が点灯しているかどうか判断する(ステップS608)。電波受信マーク302が点灯している場合(ステップS608;Yes)、電波受信マーク302を消灯する。一方、電波受信マーク302が点灯していない場合(ステップS608;No)、消灯処理は行わず、ステップS611へ進む。
また、ステップS607において、内部計時時間が午前2時でない場合(ステップS607;No)、CPU101は内部計時時間が午前4時であるか比較する(ステップS610)。内部計時時間が午前4時の場合(ステップS610;Yes)、ステップS611へ進む。一方、内部計時時間が午前4時でない場合(ステップS610;No)、電波受信による時刻修正処理は行わず、ステップS612へ進む。
そしてCPU101は、内部計時時間が午前2時あるいは午前4時の時に電波受信による時刻修正処理を行い、内部計時時刻のズレを修正する(ステップS611:図12)。
次にCPU101は、内部計時時刻とアラーム時刻記憶領域34のデータを比較し、等しければ、ブザー部105に対して信号を出力し、アラームを発生させる(ステップS612)。
次にCPU101は表示部104においてデジタル表示が行われているかどうか判断する(ステップS613)。デジタル表示が行われている場合(ステップS613;Yes)、CPU101は内部計時時間を表示部104に出力し、デジタル式時計に現在時刻を表示する(ステップS614)。
一方、表示部104において、デジタル表示が行われていない場合(ステップS613;No)、およびステップS614の表示処理が終了した場合、CPU101はステップS601へ処理を移行する。
図9は、電圧検出処理プログラム22の動作を示すフローチャートである。まずCPU101は2次電池12の出力電圧Vが、図6におけるAS2以上(V≧AS2)かどうか判定する(ステップS701)。電圧VがAS2以上の場合(ステップS701;Yes)、CPU101は電圧レベル記憶領域31のデータが“1”かどうか判断する(ステップS702)。電圧レベル記憶領域31のデータが“1”ではない場合(ステップS702;No)、CPU101は電圧レベル記憶領域31に“1”を記憶し、電源電圧レベルメータ304のaおよびbを点灯する(ステップS704)。そして本処理を終了する。一方、ステップS702において、電圧レベル記憶領域31のデータが既に“1”の場合(ステップS702;Yes)、以降の処理は実行せずに本処理を終了する。
ステップS701において、電圧VがAS2未満の場合(ステップS701;No)、CPU101は電圧VがAS3以上AS2未満(AS2>V≧AS3)かどうか判定する(ステップS705)。電圧VがAS3以上AS2未満の場合(ステップS705;Yes)、CPU101は電圧レベル記憶領域31のデータが“2”かどうか判断する(ステップS706)。電圧レベル記憶領域31のデータが“2”ではない場合(ステップS706;No)、CPU101は電圧レベル記憶領域31に“2”を記憶し(ステップS707)、電源電圧レベルメータ304のbを点灯する(ステップS708)。一方、ステップS706において、電圧レベル記憶領域31のデータが既に“2”の場合(ステップS706;Yes)、CPU101はステップS709へ進む。
次にCPU101は、強負荷駆動フラグ記憶領域32のデータが“ON”あるいは“OFF”かどうか判断する(ステップS709)。強負荷駆動フラグ記憶領域32のデータが“OFF”の場合(ステップS709;Yes)、CPU101は2次電池12の電圧レベルが30分連続してAS3以上であるか判定する(ステップS710)。2次電池12の電圧レベルが30分連続してAS3以上である場合(ステップS710;Yes)、強負荷駆動フラグ記憶領域32のデータを“ON”にし(ステップS711)、指針現在時刻復帰処理を行う(ステップS712:図10)。
ステップS709において、強負荷駆動フラグ記憶領域32のデータが“ON”である場合(ステップS709;No)、あるいは、ステップS710において、電圧Vが30分以上連続してAS3以上ではない場合(ステップS710;No)、あるいは指針現在時刻復帰処理が終了した場合には、本処理を終了する。
ステップS705において、電圧VがAS3以上AS2未満でないと判定した場合(ステップS705;No)、CPU101は電圧VがAS4以上AS3未満(AS3>V≧AS4)かどうか判定する(ステップS713)。電圧VがAS4以上AS3未満の場合(ステップS713;Yes)、CPU101は電圧レベル記憶領域31のデータが“3D”あるいは“3U”のどちらか一方であるか判断する(ステップS714)。電圧レベル記憶領域31のデータが“3D”あるいは“3U”ではない場合(ステップS714;No)、次にCPU101は電圧レベル記憶領域31のデータが“2”あるいは“1”であるか判断する(ステップS715)。電圧レベル記憶領域31のデータが“2”あるいは“1”の場合(ステップS715;Yes)、CPU101は電圧Vがレベル2あるいは1から低下したと判断し、電圧レベル記憶領域31に“3D”を記憶し(ステップS716)、電源電圧レベルメータ304のbを点灯する(ステップS717)。そして本処理を終了する。また、ステップS714において、電圧レベル記憶領域31のデータが既に“3D”あるいは“3U”の場合(ステップS714;Yes)、以降の処理は行わず、本処理を終了する。
一方、ステップS715において、電圧レベル記憶領域31のデータが“2”あるいは“1”ではない場合(ステップS715;No)、即ち電圧レベル記憶領域31のデータが“4”である場合、CPU101は電圧Vがレベル4から上昇したと判断して電圧レベル記憶領域31に“3U”を記憶し(ステップS718)、電源電圧レベルメータ304のcを点灯する(ステップS719)。続いてCPU101は、表示部104におけるデジタル表示を点灯し(ステップS720)、本処理を終了する。
ステップS713において、電圧VがAS4以上AS3未満でないと判定した場合(ステップS713;No)、CPU101は電圧レベル記憶領域31のデータが“4”であるか判断する(ステップS721)。電圧レベル記憶領域31のデータが“4”である場合(ステップS721;Yes)本処理を終了する。
一方、電圧レベル記憶領域31のデータが“4”ではない場合(ステップS721;No)、CPU101は電圧レベル記憶領域31に“4”を記憶し(ステップS722)、電源電圧レベルメータ304のcを点灯する(ステップS723)。続いてCPU101は、表示部104におけるデジタル表示を消灯し(ステップS724)、強負荷駆動フラグ記憶領域32にOFFを記憶する(ステップS725)。これにより、強負荷回路の動作が停止する。
次にCPU101は、指針12時位置移動処理を行い(ステップS726:図11)、指針を12時00分00秒の位置に移動する。そしてCPU101は、電波受信マーク302が点灯しているかどうか判断する(ステップS727)。電波受信マーク302が点灯している場合(ステップS727;Yes)、CPU101は電波受信マーク302を消灯し(ステップS728)、本処理を終了する。また、電波受信マークが点灯していない場合(ステップS727;No)も同様に、本処理を終了する。
図10は、指針現在時刻復帰処理プログラム23の動作を示すフローチャートである。まずCPU101は、標準電波受信回路16からの入力信号より現在時刻データを抽出し、12時の位置から現在時刻までの指針のステップ数、即ちパルス数を算出して、そのパルス数を移動パルス数記憶領域35に記憶する(ステップS801)。
ここで、指針位置を示す数値として、例えば12時00分00秒の位置を0メモリとし、本電子時計が20秒運針の場合、指針は20秒で1ステップ、即ち12時01分00秒の時、指針は3ステップ進む。これより、ステップS801において現在時刻が1時00分00秒の場合、CPU101は移動パルス数(=ステップ数)として正転のときは“180”、逆転のときは“1980”を移動パルス数記憶領域35に記憶する。
次にCPU101は、指針を現在時刻の位置に早送りしている間に経過する時間のパルス数(例えば、指針を12時00分00秒の位置から1時00分00秒の位置に180ステップ早送りさせるために必要な時間を20秒とすると、早送りしている間に経過する時間のパルス数は1パルスとなる。)を算出し、そのパルス数を補正パルス数記憶領域36に記憶する(ステップS802)。
続いてCPU101は、早送りパルス供給回路109に移動パルス数記憶領域35と補正パルス数記憶領域36のデータの合計を信号として出力し(ステップS803)、本処理を終了する。これにより早送りパルス供給回路109は駆動回路110へパルスを出力し、ステップモータ18および輪列機構19によって指針が現在時刻の位置へ移動される。
図11は、指針12時位置移動処理プログラム24の動作を示すフローチャートである。ここで、2次電池12の出力電圧の低下による指針停止位置を12時00分00秒としたが、例えば1時00分00秒とすることも、もちろん可能である。
まずCPU101は時計機能が停止した時刻から12時00分00秒の位置までのパルス数を算出し、移動パルス数記憶領域35に記憶する(ステップS901)。例えば、時計機能が停止する時刻が11時00分00秒の場合、12時00分00秒の位置まで移動すべきステップ数は正転で“180”であり、即ちパルス数も“180”となる。
次にCPU101は、移動パルス数記憶領域35のデータを信号として出力し(ステップS902)、本処理を終了する。これにより早送りパルス供給回路109は駆動回路110へパルスを出力し、ステップモータ18および輪列機構19によって指針が12時00分の位置へ移動される。
図12は、電波受信および時刻修正処理プログラム25の動作を示すフローチャートである。まずアンテナ17は電波を受信し(ステップS1001)、標準電波受信回路16が受信した電波を信号に変換してCPU101へ出力する。CPU101はその信号から、現在時刻、曜日および積算日のデータを抽出するとともに(ステップS1002)、積算日データを日付データに変換して、各データをRAM108へ記憶する。
次にCPU101は、時計回路103が保持している内部計時時間、曜日データおよび日付データとRAM108内にある現在時刻データ記憶領域37、曜日データ記憶領域38および日付データ記憶領域39の各データの整合性を判断し(ステップS1003)、整合性があると判断した場合(ステップS1004;Yes)、ステップS1006へ進む。
一方、整合性がないと判断した場合(ステップS1004;No)、CPU101は時計回路103が保持している内部計時時間、曜日データおよび日付データをRAM108の各データに修正し(ステップS1005)、表示部104の電波受信マーク302を点灯し(ステップS1006)、本処理を終了する。
以上のように、2次電池12の出力電圧が低下した場合、CPU101は強負荷駆動フラグ記憶領域32の状態を“OFF”にすることによって、強負荷回路の動作を停止させるが、その際に指針を所定の位置に移動して停止させる。そして充電により、2次電池12の出力電圧が上昇し、ある一定期間の間AS3以上の電圧であった場合、CPU101は本電子時計の時計機能を復帰させる。
これにより、2次電池12の充電によって、所定の位置に停止していた指針を正確な時刻に移動させるとき、例えば、針位置検出回路等の複雑な回路を必要とせずに、指針位置を決定し、移動することができる。
[発電装置の配置方法]本発明を適用した電子時計において、文字盤に発電手段として太陽電池セル(以下、単に「セル」という。)を配置し、2次電池12の充電に必要な電圧を確保するために、それらのセルを直列に接続して動作させるとき、ある1つのセルの発電効率が悪いと、充電効率が悪化する。
そこで、2次電池12の出力電圧の低下によって運針が停止しているときなどに、短時間で充電を行うために、充電効率が最も良いセルの配置方法および指針の停止位置を検討する必要がある。
図13(a)、(b)および(c)は、2次電池12の出力電圧VがAS4以下に低下し、強負荷駆動フラグ記憶領域32の状態が“OFF”になったことにより、運針が停止した状態の指針位置および太陽電池セルの配置を示した図である。
図13(a)において、文字盤にはセル1101a、1102a、1103aおよび1104aの4つのセルが配置され、その上に時針1110aおよび分針1111aが存在する。図13(b)および(c)における文字盤の構成についても、同一の数字符号を持って説明し、添字bおよびcによって区別する。
図13(a)において、例えば本電子時計の文字盤が円形である場合、セル1101a〜1104aは文字盤の中心に中心角を置く扇形をしており、周方向に配置されるものとする。図13(b)および(c)も同様の構成とする。
図13(a)は、指針停止時において、時針1110aおよび分針1111aの停止位置を、例えば10時10分00秒など、それぞれ異なったセルの上部に設定した図である。1つのセルの上部に指針が集中した場合(例えば、1時10分00秒など)、そのセルの受光が指針によって遮られるため発電効率が悪化し、充電効率が低下する。したがって、時針1110aおよび分針1111aが同一セル上に位置しない時刻を停止位置とする。
この場合、図11の指針12時位置移動処理において、例えば指針停止位置を12時00分00秒としたが、この指針停止位置を10時10分00秒と設定する。そして、ステップS901において、2次電池12の出力電圧の低下により、運針が停止した時刻から指針を10時10分00秒の位置まで移動させるために必要なパルス数を算出し、時針1110aおよび分針1111aを移動する。
これにより、全てのセルにおいて発電効率を均等化にすることができ、充電効率を良くすることができる。
図13(b)は、各セル間の全部または一部に所定間隔を設けて、時針1110bおよび分針1111bの停止位置をその所定間隔の上部に設定した図である。例えば、セルb1およびb4の間に所定間隔を設け、時針1110bおよび分針1111bがその所定間隔の上部に位置する時刻、即ち12時00分00秒を指針停止位置に設定する。ここで、セルb1、b2、b3およびb4は同一の面積を持って配置する。
これによりセル1101b、1102b、1103bおよび1104bの上部には受光を遮る指針が停止しないため、全てのセルにおいて発電効率を同じにすることができ、充電効率を良くすることができる。
図13(c)は、ある1つのセルの面積を他のセルより大きくして、指針停止時において、時針1110cおよび分針1111cの停止位置をその大きなセルの上部に設定した図である。例えば、セルc1を中心角120°の扇形とし、セルc2、c3およびc4は中心角80°の扇形とする。そして、時針1110cおよび分針1111cがセルc1の上部に位置する12時00分00秒の位置に指針停止位置を設定する。
これにより、全てのセルにおいて発電効率を同程度にすることができ、充電効率を良くすることができる。
[強負荷監視BLD回路]次に、強負荷監視BLD回路15について説明する。強負荷監視BLD回路15は、2次電池12の充電容量を有効に使用するために、2次電池12の出力電圧がCPU101の動作電圧を下回る前に、強負荷回路、例えばELドライバ22、ブザー部105などの回路動作を禁止する信号を出力する機能を備えた回路である。
図14は、強負荷監視BLD回路15と、それに接続されるデバイスについて説明するための回路図であり、CPU101、2次電池12、強負荷監視BLD回路15、コンデンサ1201および強負荷回路1202の接続関係を表している。
強負荷監視BLD回路15は、検出電圧に対応したAS―2信号をCPU101から入力し、2次電池12の出力電圧を検出して、その結果を信号b―2としてCPU101に出力する通常の電圧検出機能と、2次電池12の出力電圧がCPU101の動作電圧を下回る前に、CPU101および強負荷回路1202に対して強負荷禁止信号である信号b―1を出力する、強負荷監視機能を備える。
強負荷回路1202は、例えばELドライバ22、ブザー部105および駆動回路110などの、負荷の大きい回路を示す。強負荷監視BLD回路15から信号b―1、あるいはCPU101から強負荷制御信号である信号b―2が入力された場合、動作が停止する。
図15に、2次電池12の出力電圧低下時における回路動作を示す。ここでは、通常の電圧検出機能の説明は省略し、CPU101の動作電圧の保証方法と信号BLD―2および強負荷禁止信号b−1の動作タイミングについて説明する。
まず、図15において、グラフの波形や強負荷監視BLD回路15を制御する設定電圧について説明する。(a)の曲線は、2次電池12の出力電圧Vの波形を示す。(b)は、信号BLD―1を、(c)は信号b―1を示す。
ここで、CPU101の最低動作電圧を1.3[V]とし、CPU101の動作を保証する電圧を1.6[V]とする。従って、強負荷回路1202の動作を停止する制御を行う電圧を1.6[V]と設定する。
時間taは、強負荷監視BLD回路15において、電圧Vが1.6[V]であることを認識するまでにかかる時間であり、伝搬時間等のハードウェアに依存した時間である。
時間tbは、強負荷監視BLD回路15において、電圧Vが1.6[V]であることを認識してから、電圧VがCPU101の最低動作電圧である1.3[V]よりやや高い1.4[V]に低下するまでにかかる時間である。即ち、t=ta+tbとなり、時間tはコンデンサ1201の放電によって電圧Vが1.6[V]から1.4[V]に低下する場合にかかる時間である。尚、本実施の形態では、CPU101の最低動作電圧が1.3[V]であるため、最低動作保証電圧を1.4[V]として考えた。
次に動作タイミングについて説明する。電圧Vが1.6[V]に低下し、それから時間ta後に強負荷監視BLD回路15はCPU101に信号BLD―2としてLレベルを出力する。その後、電圧Vが1.4[V]に達するまでに時間tbかかり、この時間内に強負荷監視BLD回路15は信号b−1としてHレベルを出力する。これにより、強負荷回路1202はCPU101の最低動作電圧を下回る前に動作を停止する。強負荷回路1202の動作が停止すると、充電により電圧Vが上昇する。
したがって、電圧Vが1.6[V]以下に低下すると、強負荷回路1202は停止するが、負荷の小さい回路においては続けて動作するため、2次電池12の充電容量を有効に使用することができる。