[第1の実施の形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る第1の実施の形態について詳細に説明する。
本実施の形態に係る3次元測定システム1は、被測定物を測定する非接触測定機2と、被測定物を設計する3次元CAD装置3と、非接触測定機用プログラムの生成装置(以下、プログラム生成装置という)4と、非接触測定機用プログラムによる測定領域の確認装置(以下、測定領域確認装置という)5から構成される。
<非接触測定機2>
図2に示すように、非接触測定機2は、公知の非接触測定機から構成され、レーザ等の光ビームを照射するとともにその反射光を受光するセンサ201と、このセンサ201が一端に取り付けられ姿勢によって光ビームの照射方向を変化させるプローブヘッド202と、このプローブヘッド202の他端を支持しプローブヘッド202を3次元的に移動させるアーム(図示せず)等の移動機構の位置およびプローブヘッド202の姿勢をプログラム生成装置4により生成された測定プログラムに基づいて制御する制御部203と、センサ201から照射された光ビームの反射光から被測定物の表面形状を演算する演算部204と、プログラム生成装置4により生成された測定プログラム、測定した被測定物の形状に関するデータ、非接触測定機2を動作させるためのプログラム等を記憶する記憶部205とを有する。この記憶部205には、非接触測定機2の外形に関する測定機データ206、センサ201から出力される光ビームの光源の種類、光ビームの測定範囲等のセンサ201に関するセンサデータ207、プローブヘッド202の各回動軸に関するプローブヘッドデータ208も記憶されている。
このような非接触測定機2は、CPU等の演算装置、メモリ、HDD等の記憶装置、ネットワークを介してプログラム生成装置4と各種情報の送受を行うI/F装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)または有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置などを備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとを有しており、上記ハードウェア装置がプログラムによって制御されることによって、すなわちハードウェア資源とソフトウェアが協働することによって非接触測定機2の制御部203、演算部204および記憶部205を実現する。
<3次元CAD装置3>
3次元CAD装置3は、公知の3次元CAD装置から構成され、被測定物の3次元形状を示す設計データ(以下、被測定物データという)を生成する。この被測定物データには、被測定物の3次元空間上における座標のデータ、その座標における法線ベクトルのデータ等が含まれる。このような3次元CAD装置3は、CPU等の演算装置、メモリ、HDD等の記憶装置、ネットワークを介してプログラム生成装置4と各種情報の送受を行うI/F装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)または有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置などを備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとを有しており、上記ハードウェア装置がプログラムによって制御されることによって、すなわちハードウェア資源とソフトウェアが協働することによって3次元CAD装置3の各機能部を実現する。
<プログラム生成装置4>
プログラム生成装置4は、非接触測定機2および3次元CAD装置3から各種データを受信し、非接触測定機2の測定プログラムを生成する。具体的には、プログラム生成装置4は、非接触測定機2自身やセンサ201の形状等に関するデータや被測定物データに基づいて3次元の仮想空間内に被測定物および非接触測定機2が実際に測定を行う際と同様に配置された状態を構築し、センサ201の焦点範囲、計測幅、許容角度等に基づいて各測定領域の重なりができる限り最小になるようにセンサ201の測定パスや照射方向を設定した測定プログラムを生成する。
このようなプログラム生成装置4は、CPU等の演算装置、メモリ、HDD等の記憶装置、ネットワークを介して非接触測定機2および3次元CAD装置3と各種情報の送受を行うI/F装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)または有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置などを備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとからそれぞれ構成されており、上記ハードウェア装置がプログラムによって制御されることによって、すなわちハードウェア資源とソフトウェアが協働することによって、プログラム生成装置4の各機能部を実現する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、プログラム生成装置4により作成された測定プログラムPに基づいて非接触測定機2により被測定物を測定したときに、被測定物が正常に測定される領域を表示することにより、利用者がその測定領域を確認できるようにするものである。このような測定領域確認装置5は、図3に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、ベクトル算出部13と、角度算出部14と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18とを有する。
測定可能空間算出部11は、測定機データDB17およびCADデータDB18に基づいて3次元の仮想空間内に被測定物および非接触測定機2が実際に測定を行う際と同様に配置された状態を構築し、非接触測定機2を測定プログラムPにより動作させた際の非接触測定機2のセンサ201により測定可能な空間のデータ(以下、測定可能空間データという)を算出する。この測定可能空間データは、例えば、座標値等のデータから構成される。
要素抽出部12は、測定可能空間データおよびCADデータDB18に基づいて、測定可能空間に存在する仮想空間内の被測定物の測定面のファセットを抽出する。ここで、ファセットとは、被測定物の測定面の一部であり、測定面を細分化した領域を意味する。
ベクトル算出部13は、測定機データDB17およびCADデータDB18に基づいて、非接触測定機2のセンサ201から要素抽出部12により抽出されたファセットに対して照射される光ビームのベクトル(以下、照射方向ベクトルという)、すなわち、光ビームの照射方向を算出する。
角度算出部14は、ベクトル算出部13により算出された照射方向ベクトルと、ファセットに対する法線ベクトルとの3次元空間における角度αを算出する。ここで、法線ベクトルは、後述するCADデータDB18に格納されている被測定物のCADデータから取得することができる。
判定部15は、角度算出部14により算出された角度に基づいて、測定プログラムPに基づいて非接触測定機2を動作させたときに、各ファセットが正常に測定されるか否かを判定する。
表示部16は、判定部15の判定結果を、表示装置の表示画面に表示させる。
測定機データDB17は、非接触測定機2自身やセンサ201の外形等に関する情報を格納したデータベースである。
CADデータDB18は、非測定物の3次元形状を表す設計データを格納したデータベースである。
このような測定領域確認装置5は、CPU等の演算装置、メモリ、HDD等の記憶装置、ネットワークを介してプログラム生成装置4と各種情報の送受を行うI/F装置、キーボード、マウス等の入力装置、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、FED(Field Emission Display)または有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置などを備えたコンピュータと、このコンピュータにインストールされたプログラムとを有しており、上記ハードウェア装置がプログラムによって制御されることによって、すなわちハードウェア資源とソフトウェアが協働することによって、測定可能空間算出部11、要素抽出部12、ベクトル算出部13、角度算出部14、判定部15、表示部16、測定機データDB17およびCADデータDB18等の測定領域確認装置5の各機能部を実現する。
<測定領域確認動作>
次に、図4を参照して、本実施の形態における測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間を算出する(ステップS101)。例えば、図5に示すように、被測定物の測定面101に対してセンサ201より光ビーム103が測定開始点104から測定終了点105まで照射する場合、センサ201の2次元または3次元の測定可能領域が領域106であると、測定可能空間Vは、点線で囲まれた領域として算出される。
測定可能空間Vが測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間Vに含まれる被測定物のファセットを測定データから抽出する(ステップS102)。このファセット抽出動作の詳細については後述する。
ファセットが抽出されると、ベクトル算出部13は、そのファセットに対する照射方向ベクトルV1を算出する(ステップS103)。この照射方向ベクトルV1は、抽出された全てのファセット(数量n)毎に算出され、例えばファセットの重心に対して算出される。
照射方向ベクトルV1が算出されると、測定領域確認装置5は、ファセット毎に、照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αを算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットFを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS104)。iが全ファセットの数量n以下であるならば(ステップ105:YES)、角度算出部14は、i番目のファセットFの法線ベクトルV2を抽出する(ステップS106)。
法線ベクトルV2を抽出すると、角度算出部14は、対応するファセットFにおける法線ベクトルV2と照射方向ベクトルV1の角度α(≦90°)を算出する(ステップS107)。例えば、図6に示すように、測定可能空間V内に存在する被測定物の測定面101上の任意のファセットFに対して、光ビーム103が照射されるとする。このとき、光ビームの照射方向ベクトルV1と、ファセットFの法線ベクトルV2との3次元空間における角度は、それらのベクトルで構成される角度αとして算出される。
照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αが算出されると、判定部15は、角度αに基づいて対応するファセットFの測定可能性を判定する。
一例として、まず、角度αが30°より小さいか否かを判定する(ステップS108)。角度αが0°に近ければ近いほど、ファセットFに対して垂直に光ビームが照射されるので、そのファセットFを正確に測定することができる。したがって、判定部15は、角度αが30°より小さい場合(ステップS108:YES)、そのファセットFを正確に測定できる測定可能領域として表示画面に青色で表示されるように設定する(ステップS111)。一方、角度αが30°以上でかつ60°より小さい場合(ステップS108:NO、ステップS109:YES)、判定部15は、そのファセットFを正確に測定できるか否か不確定である測定不確定領域として表示画面に黄色で表示されるように設定する(ステップS112)。また、角度αが60°より大きい場合(ステップS109:NO)、判定部15は、そのファセットFを正確に測定することは不可能である測定不可能領域として表示画面に赤色で表示されるように設定する(ステップS110)。
i番目のファセットFに表示画面上での色が設定されると、角度算出部14は、i=i+1と設定する(ステップS113)。これにより、次の順番のファセットに対して、上述したステップS105〜ステップS112の処理が行われる。
全てのファセットについて表示画面上での色が設定されると、表示部16は、表示画面上に被測定物をファセット毎に設定された色で表示する(ステップS114)。具体的には、表示部16は、表示画面上に被測定物を表示させるとともに、その被測定物の各ファセットを判定部15により設定された色で表示する。すなわち、測定可能領域には青色、測定不確定領域には黄色、測定不確定領域には赤色で表示する。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定可能領域、測定不確定領域、測定不可能領域を容易に識別することができる。また、測定不確定領域や測定不可能領域が存在する場合には、その測定不可能領域を解消できるように、再度測定プログラムPを生成させることが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
(ファセット抽出動作)
次に、図7を参照して、要素抽出部12によるファセット抽出動作について説明する。本実施の形態では、測定可能空間内に存在するファセットについて上述した表示部16による色表示を行うため、被測定対象を構成する任意のファセットが測定可能空間内に存在するか否かを確認する。
具体的には、まず、全n個のファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1と設定する(ステップS201)、iが全ファセットの数量n以下であるならば(ステップ202:YES)、要素抽出部12は、i番目のファセットの頂点が全て測定可能空間内に存在するか否かを確認する(ステップS203)。例えば、図8に示すように、被測定物の測定面101上の任意のファセットFが測定可能空間V内に存在するか否かは、ファセットFの頂点の座標が測定可能空間V内に存在するか否かにより確認することができる。頂点の数量は、三角ファセットの場合は3点、四角ファセットの場合は4点となる。
i番目のファセットの頂点が全て測定可能空間内に存在する場合(ステップS203:YES)、要素抽出部12は、そのファセットが色表示の対象として登録し(ステップS206)、図4を参照して説明した測定領域確認動作を行う。
一方、i番目のファセットの頂点が全て測定可能空間内に存在しない場合(ステップS203:NO、ステップS204:YES)、要素抽出部12は、i番目のファセットが色表示の対象とせず、図4を参照して説明した測定領域確認動作を行わない。
また、i番目のファセットの頂点の一部が測定可能空間内に存在する場合(ステップS203:NO、ステップS204:NO)、要素抽出部12は、その一部を色別表示の対象とするためにファセットを再計算し(ステップS205)、その一部に対応するファセットを色別表示の対象として登録し(ステップS206)、図4を参照して説明した測定領域確認動作を行う。例えば、図9(a)に示すように、ファセットFの一部が測定可能空間V内に存在する場合、測定空間VとファセットFの端部との交点107を算出し、図9(b)に示すように、交点107と測定可能空間V内に存在するファセットFの頂点とを含む新たなファセットF’を作成し、これを色表示の対象とする。
ファセットを登録すると、要素抽出部12は、i=i+1と設定する(ステップS113)。これにより、次の順番のファセットに対して、上述したステップS202〜ステップS206の処理が行われる。
これにより、測定可能空間Vの縁部に存在するファセットに対しても測定領域確認動作を実行することができる。
なお、本実施の形態において、1つのセンサ201により複数の光ビームを照射するようにしてもよい。この場合であっても、色別表示を行うことにより、測定可能領域や測定不可能領域等を視覚的に確認することが可能となる。
なお、本実施の形態において、判定部15による測定可能性を、角度αが、30°、30°以上でかつ60°より小さい、60°より大きいという3種類の指標で判断するようにしたが、その指標の数値は、適宜自由に設定することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、色別表示する対象を、第1の実施の形態のようなファセット毎ではなく、被測定物の測定面の断面線に対して行うものである。したがって、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、図3に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、ベクトル算出部13と、角度算出部14と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18とを有する。
要素抽出部12は、測定可能空間データおよびCADデータDB18に基づいて、測定可能空間に存在する被測定物の測定面の断面線を抽出する。この断面線は、複数の直線が接続されることにより構成される。
ベクトル算出部13は、測定機データDB17およびCADデータDB18に基づいて、非接触測定機2のセンサ201から要素抽出部12により抽出された断面線に対して照射される光ビームの照射方向のベクトルを算出する。
角度算出部14は、ベクトル算出部13により算出された照射方向ベクトルV1と、断面線110の頂点、すなわち断面線110を構成する各線分の端部における法線ベクトルとの3次元空間における角度αを算出する。ここで、法線ベクトルは、後述するCADデータDB18に格納されている被測定物のCADデータから取得することができる。
<測定領域確認動作>
次に、図10を参照して、本実施の形態における測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間Vを算出する(ステップS301)。
測定可能空間Vが測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間Vに含まれる被測定物の断面線110を算出する(ステップS302)。例えば、図11に示すように、センサ201が移動経路109に沿って移動しながら光ビーム103を照射することにより被測定物の測定を行う場合、センサ201が所定の距離移動する毎に、光ビーム103の測定可能領域106と被測定物の測定面101との交線を断面線110として作成する。
断面線110を抽出すると、要素抽出部12は、その断面線110を構成する複数の線分における頂点の全ての数量(n)を抽出する(ステップS303)。
頂点が抽出されると、ベクトル算出部13は、その頂点に対する照射方向ベクトルV1を算出する(ステップS304)。この照射方向ベクトルV1は、抽出された全ての頂点(数量n)毎に算出される。
照射方向ベクトルV1が算出されると、測定領域確認装置5は、頂点毎に、照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αを算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS305)。iが全頂点の数量n以下であるならば(ステップ306:YES)、ベクトル算出部13は、i番目の頂点の法線ベクトルV2を抽出する(ステップS307)。
法線ベクトルV2を抽出すると、角度算出部14は、その法線ベクトルV2と対応する頂点の照射方向ベクトルV1との角度αを算出する(ステップS308)。例えば、図12に示すように、測定可能空間V内に存在する被測定物の測定面101における任意の断面線110上の任意の頂点Cに対して、光ビーム103が照射されるとする。任意の頂点Cが光ビーム103の照射領域102にあるとき、光ビームの照射方向ベクトルV1と、ファセットFの法線ベクトルV2との3次元の角度は、それらのベクトルで構成される鋭角からなるαとして算出される。
照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αが算出されると、判定部15は、角度αに基づいて対応する頂点の箇所を正常に測定できるか測定可能性を判定する。
具体的には、まず、角度αが30°より小さいか否か判定する(ステップS309)。角度αが小さければ小さいほど、頂点に対して垂直に光ビームが照射されるので、その頂点に対応する箇所を正確に測定することができる。したがって、判定部15は、角度αが30°より小さい場合(ステップS309:YES)、その頂点を正確に測定できる測定可能領域として表示画面に青色で表示されるように設定する(ステップS312)。一方、角度αが30°以上でかつ60°より小さい場合(ステップS309:NO、ステップS310:YES)、判定部15は、その頂点を正確に測定できるか否か不確定である測定不確定領域として表示画面に黄色で表示されるように設定する(ステップS313)。また、角度αが60°より大きい場合(ステップS310:NO)、判定部15は、その頂点を正確に測定することは不可能である測定不可能領域として表示画面に赤色で表示されるように設定する(ステップS311)。
i番目の頂点に表示画面上での色が設定されると、角度算出部14は、i=i+1と設定する(ステップS314)。これにより、次の順番の頂点に対して、上述したステップS306〜ステップS313の処理が行われる。
全ての頂点について表示画面上での色が設定されると、表示部16は、表示画面上に被測定物を頂点毎に設定された色で表示する(ステップS415)。すると、表示画面上には、例えば図13に示すような、測定可能領域が青色、測定不確定領域が黄色、測定不確定領域が赤色で着色された被測定物の断面線が表示される。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定可能領域、測定不確定領域、測定不可能領域を容易に識別することができる。また、測定不確定領域や測定不可能領域が存在する場合には、プログラム生成装置4により再度測定プログラムPを生成させることにより、正確に測定することができる測定プログラムPを作成することが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、色別表示する対象を、第2の実施の形態のような曲線を構成する線分の頂点毎ではなく、その線分の中点に対して行うものである。したがって、本実施の形態において、第2の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、図3に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、ベクトル算出部13と、角度算出部14と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18とを有する。
要素抽出部12は、測定可能空間データおよびCADデータDB18に基づいて、測定可能空間に存在する被測定物の測定面の断面線を抽出する。
ベクトル算出部13は、測定機データDB17およびCADデータDB18に基づいて、非接触測定機2のセンサ201から要素抽出部12により抽出された断面線110に対して照射される光ビームのベクトル、すなわち光ビームの照射方向を算出する。
角度算出部14は、ベクトル算出部13により算出された照射方向ベクトルV1と、断面線110を構成する線分の1の頂点とこの頂点に隣接する頂点との中点における法線ベクトルV2との3次元空間における角度αを算出する。ここで、法線ベクトルV2は、後述するCADデータDB18に格納されている被測定物のCADデータから取得することができる。
<測定領域確認動作>
次に、図14を参照して、本実施の形態における測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間Vを算出する(ステップS401)。
測定可能空間Vが測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間Vに含まれる被測定物の断面線110を作成する(ステップS402)。例えば、図11に示すように、センサ201が移動経路109に沿って移動しながら光ビーム103を照射することにより被測定物の測定を行う場合、センサ201が所定の距離移動する毎に、光ビーム103の測定可能領域106と被測定物の測定面101との交線を断面線110として作成する。
断面線110を作成すると、要素抽出部12は、その曲線を構成する複数の線分における頂点の全ての数量(n)を抽出する(ステップS403)。
頂点Cが抽出されると、ベクトル算出部13は、その頂点に対する照射方向ベクトルV1を算出する(ステップS404)。この照射方向ベクトルV1は、抽出された全ての頂点(数量n)毎に算出される。
照射方向ベクトルV1が算出されると、測定領域確認装置5は、1の頂点とこの頂点の次の順番の頂点との中点毎に、照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αを算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS405)。iが全頂点の数量n以下であるならば(ステップ406:YES)、ベクトル算出部13は、i番目の頂点とi+1番目の頂点の中点での法線ベクトルV2を抽出する(ステップS407)。
法線ベクトルV2を抽出すると、角度算出部14は、その法線ベクトルV2と対応する頂点の照射方向ベクトルV1との角度αを算出する(ステップS408)。例えば、図15に示すように、測定可能空間内に存在する被測定物の測定面101における任意の断面線110上の任意の中点Mに対して、光ビーム103が照射されるとする。任意の中点Mが光ビーム103の照射領域102にあるとき、光ビームの照射方向ベクトルV1と、ファセットFの法線ベクトルV2との3次元の角度は、それらのベクトルで構成される鋭角からなるαとして算出される。
照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αが算出されると、判定部15は、角度αに基づいて対応する頂点の箇所を正常に測定できるか測定可能性を判定する。
具体的には、まず、角度αが30°より小さいか否か判定する(ステップS409)。角度αが小さければ小さいほど、中点に対して垂直に光ビームが照射されるので、その頂点に対応する箇所を正確に測定することができる。したがって、判定部15は、角度αが30°より小さい場合(ステップS409:YES)、その中点を正確に測定できる測定可能領域として表示画面に青色で表示されるように設定する(ステップS412)。一方、角度αが30°以上でかつ60°より小さい場合(ステップS409:NO、ステップS410:YES)、判定部15は、その中点を正確に測定できるか否か不確定である測定不確定領域として表示画面に黄色で表示されるように設定する(ステップS413)。また、角度αが60°より大きい場合(ステップS410:NO)、判定部15は、その中点を正確に測定することは不可能である測定不可能領域として表示画面に赤色で表示されるように設定する(ステップS411)。
i番目の中点に表示画面上での色が設定されると、角度算出部14は、i=i+1と設定する(ステップS414)。これにより、次の順番の中点に対して、上述したステップS406〜ステップS413の処理が行われる。
全ての中点について表示画面上での色が設定されると、表示部16は、表示画面上に被測定物を中点に対応する2頂点間の線分毎に設定された色で表示する(ステップS415)。すると、表示画面上には、例えば図16に示すような、測定可能領域が青色、測定不確定領域が黄色、測定不確定領域が赤色で着色された被測定物の断面線が表示される。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定可能領域、測定不確定領域、測定不可能領域を容易に識別することができる。また、測定不確定領域や測定不可能領域が存在する場合には、プログラム生成装置4により再度測定プログラムPを生成させることにより、正確に測定することができる測定プログラムPを作成することが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
なお、第2,3の実施の形態において、曲線を構成する線分の頂点または中点に、図17に示すように、法線ベクトルV2の方向に沿った線分を描写し、この線分に色別表示をするようにしてもよい。このとき、角度αの大きさに応じて、線分の長さを可変とするようにしてもよい。例えば、角度αが0°に近づくほど線分を長くするようにしてもよい。さらに、図18に示すように、曲線を構成する線分の頂点または中点に、タイルを配置し、そのタイル毎に色別表示を行うようにしてもよい。この場合、図17の場合と同様、法線ベクトルの方向に沿った線分も併せて表示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定可能領域、測定不確定領域、測定不可能領域をより容易に識別することができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、図19に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18と、線分算出部21とを有する。
線分算出部21は、測定機データ17とCADデータ18に基づいて、各ファセットとセンサ201の光ビームの出力部、すなわち光ビームの出力位置とを結ぶ線分を算出する。この線分は、例えば2点の座標値等で表される。
判定部15は、線分算出部21により算出された線分とCADデータ18とに基づいて、線分算出部21により算出された線分上において、任意のファセットとセンサ201との間に他のファセットが存在するか否かを確認し、他のファセットが存在すると当該任意のファセットを測定不可能領域として判定する。
<測定領域確認動作>
次に、図20を参照して測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。なお、図20において、図4を参照して説明した第1の実施の形態と同等の処理については、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間Vを算出する(ステップS101)。
測定可能空間Vが測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間Vに含まれる被測定物のファセットを抽出する(ステップS102)。
ファセットが抽出されると、測定領域確認装置5は、ファセット毎に、センサ201の光ビームの出力位置と各ファセットとを結ぶ方向の線分を算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS104)。iが全ファセットの数量n以下であるならば(ステップ105:YES)、線分算出部21は、i番目のファセットの線分l1を算出する(ステップS501)。例えば、図21,図22に示すように、断面略Z字状の測定面101上に位置するファセットF1の場合、センサ201とファセットFとを結ぶ方向のl1が算出される。なお、線分l1は、照射方向ベクトルV1に沿って形成されることとなる。
線分l1が算出されると、判定部15は、線分l1に干渉する他のファセットが存在するか否か確認する(ステップS502)。干渉するファセットF2が存在する場合(ステップS502:YES)、判定部15は、i番目のファセットF1を測定不可能領域として割り付ける(ステップS503)。一方、干渉するファセットが存在しない場合(ステップS502:NO)、判定部15は、i番目のファセットを測定不可能領域として割り付けない。
例えば、図21,図22に示すように、線分l1が算出された場合、センサ201とファセットF1との間には、ファセットF2が存在する。このとき、センサ201から照射される光ビームは、ファセットF2により遮られてしまう。したがって、このような場合には、ファセットF1は測定不可能領域として設定する。
判定部15による判定動作が行われると、線分算出部21は、i=i+1と設定する(ステップS113)。これにより、次の順番のファセットに対して、上述したステップS105〜ステップS503の処理が行われる。
全てのファセットについて判定部15により判定が行われると、表示部16は、表示画面上に被測定物をファセット毎に設定された色で表示する(ステップS114)。本実施の形態においては、表示画面上には、測定不確定領域が赤色で着色された被測定物が表示される。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定不可能領域を容易に識別することができる。このような測定不可能領域が存在する場合には、プログラム生成装置4により再度測定プログラムPを生成させることにより、正確に測定することができる測定プログラムPを作成することが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、各ファセットとセンサ201の受光位置とを結ぶ線分に基づいて、測定不可能領域を判定するものである。したがって、第4の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、図19に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、角度算出部14と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18と、線分算出部21とを有する。
線分算出部21は、測定機データ17とCADデータ18に基づいて、各ファセットとセンサ201の光ビームの受光部、すなわち光ビームの受光位置とを結ぶ線分を算出する。この線分は、例えば2点の座標値等で表される。
<測定領域確認動作>
次に、図23を参照して測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。なお、図23において、図19を参照して説明した第4の実施の形態と同等の処理については、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間を算出する(ステップS101)。
測定可能空間が測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間に含まれる被測定物のファセットを抽出する(ステップS102)。
ファセットが抽出されると、測定領域確認装置5は、ファセット毎に、センサ201の光ビームの受光位置と各ファセットとを結ぶ方向の線分を算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS104)。iが全ファセットの数量n以下であるならば(ステップ105:YES)、角度算出部14は、i番目のファセットの線分l2を算出する(ステップS601)。例えば、図24,図25に示すように、断面略L字状の測定面101上に位置するファセットF1の場合、センサ201の受光部111とファセットF1とを結ぶ方向の線分l2が算出される。
線分l2が算出されると、判定部15は、線分l2に干渉する他のファセットが存在するか否か確認する(ステップS602)。干渉するファセットが存在する場合(ステップS602:YES)、判定部15は、i番目のファセットを測定不可能領域として割り付ける(ステップS603)。一方、干渉するファセットが存在しない場合(ステップS602:NO)、判定部15は、i番目のファセットを測定不可能領域として割り付けない。
例えば、図24,図25に示すように、線分l2が算出された場合、センサ201の受光部111とファセットF1との間には、ファセットF2が存在する。このとき、センサ201から照射されファセットF1で反射した光ビームは、ファセットF2により遮られてしまう。したがって、このような場合には、ファセットF1は測定不可能領域として設定する。
判定部15による判定動作が行われると、線分算出部21は、i=i+1と設定する(ステップS113)。これにより、次の順番のファセットに対して、上述したステップS105〜ステップS603の処理が行われる。
全てのファセットについて判定部15により判定が行われると、表示部16は、表示画面上に被測定物をファセット毎に設定された色で表示する(ステップS114)。本実施の形態においては、表示画面上には、測定不確定領域が赤色で着色された被測定物が表示される。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定不可能領域を容易に識別することができる。このような測定不可能領域が存在する場合には、プログラム生成装置4により再度測定プログラムPを生成させることにより、正確に測定することができる測定プログラムPを作成することが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、図26に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、ベクトル算出部13と、角度算出部14と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18と、角度判定部31と、線分算出部32とを有する。
角度判定部31は、ベクトル算出部13により算出された任意のファセットに対する照射方向ベクトルV1と、当該任意のファセットに対する法線ベクトルV2との間の角度αを比較し、この角度が所定の値であるか否かを判定する。
線分算出部32は、角度判定部31の判定結果に基づいて、照射方向ベクトルV1の延長線l3を算出する。
判定部15は、線分算出部32により算出された延長線l3線分とCADデータ18とに基づいて、延長線l3上において他のファセットが存在するか否かを確認し、他のファセットが存在するとこのファセットを測定不可能領域として判定する。
<測定領域確認動作>
次に、図27を参照して測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。なお、図27において、図4を参照して説明した第1の実施の形態と同等の処理については、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間を算出する(ステップS101)。
測定可能空間が測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間に含まれる被測定物のファセットF1を抽出する(ステップS102)。
ファセットF1が抽出されると、ベクトル算出部13は、そのファセットに対する照射方向ベクトルV1を算出する(ステップS103)。
照射方向ベクトルV1が算出されると、測定領域確認装置5は、ファセット毎に、照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αを算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS104)。iが全ファセットの数量n以下であるならば(ステップ105:YES)、ベクトル算出部13は、i番目のファセットの法線ベクトルV2を抽出する(ステップS106)。
法線ベクトルV2を抽出すると、角度算出部14は、その法線ベクトルV2と対応するファセットF1の照射方向ベクトルV1の延長線(半直線13)との角度αを算出する(ステップS107)。例えば、図28に示すように、測定可能空間V内に存在する被測定物の断面略Z字状の測定面101上における任意のファセットF1に対して、光ビーム103が照射されるとする。任意のファセットFが光ビーム103の照射領域106にあるとき、光ビームの照射方向ベクトルV1の延長線13と、ファセットF1の法線ベクトルV2との3次元の角度は、それらのベクトルで構成されるαとして算出される。
照射方向ベクトルV1と法線ベクトルV2との角度αが算出されると、角度判定部31は、角度αが所定の角度、例えば90°以下であるか否か判定する(ステップS701)。
角度αが90°以下ではない場合(ステップS701:NO)、i番目のファセットがセンサ201の方向を向くことになるので、角度判定部31は、そのファセットF1を正常に測定することができると判断し、ステップS113の処理に進む。
角度αが90°以下の場合(ステップS701:YES)、線分算出部32は、照射方向ベクトルの延長線l3を算出する(ステップS702)。
照射方向ベクトルの延長線l3が算出されると、判定部15は、その延長線l3と干渉するファセットが存在するか否か判定する(ステップS703)。
干渉するファセットが存在しない場合(ステップS703:NO)、判定部15は、ステップS113の処理に進む。
一方、干渉するファセットが存在する場合(ステップS703:YES)、判定部15は、そのファセットを正確に測定することは不可能である測定不可能領域として表示画面に表示されるように割り付ける(ステップS704)。例えば、図28,図29に示すように、照射方向ベクトルV1の延長線l3がファセットF2に干渉し、そのファセットF2が光ビーム103の照射領域106内にある場合、ファセットF2には、センサ201から照射された光ビーム103が遮断されて届かないものと見なすことができる。このような場合、図30に示すように、測定不可能領域として設定されたファセットF2には、例えば赤色など他のファセットと異なる着色を施して表示画面に表示されるようにする。
i番目のファセットに対する判定が行われると、角度算出部14は、i=i+1と設定する(ステップS113)。これにより、次の順番のファセットに対して、上述したステップS105〜ステップS704の処理が行われる。
全てのファセットについて測定不可能領域であるか否かの判定が行われると、表示部16は、表示画面上に被測定物をファセット毎に設定された色で表示する(ステップS114)。本実施の形態においては、表示画面上には、測定不確定領域が赤色で着色された被測定物が表示される。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定不可能領域を容易に識別することができる。このような測定不可能領域が存在する場合には、プログラム生成装置4により再度測定プログラムPを生成させることにより、正確に測定することができる測定プログラムPを作成することが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、各ファセットからセンサ201の受光位置への方向に基づいて、測定不可能領域を判定するものである。したがって、第6の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付し、適宜説明を省略する。
<測定領域確認装置5>
測定領域確認装置5は、図26に示すように、測定可能空間算出部11と、要素抽出部12と、ベクトル算出部13と、角度算出部14と、判定部15と、表示部16と、測定機データDB17と、CADデータDB18と、角度判定部31と、線分算出部32とを有する。
ベクトル算出部13は、測定機データDB17とCADデータDB18に基づいて、各ファセットから非接触測定機2のセンサ201の受光部に向かうベクトル(以下、受光方向ベクトルという)V3、すなわち各ファセットから受光部への方向を算出する。
角度判定部31は、ベクトル算出部13により算出された任意のファセットに対する受光方向ベクトルV3と、当該任意のファセットF1に対する法線ベクトルV2との間の角度αを比較し、この角度が所定の値であるか否かを判定する。
線分算出部32は、角度判定部31の判定結果に基づいて、受光方向ベクトルV3の延長線l4を算出する。
判定部15は、線分算出部32により算出された延長線l4とCADデータ18とに基づいて、延長線l4上において他のファセットが存在するか否かを確認し、他のファセットが存在するとこのファセットF2を測定不可能領域として判定する。
<測定領域確認動作>
次に、図31を参照して測定領域確認装置5による測定領域の確認動作について説明する。なお、図31において、図27を参照して説明した第6の実施の形態と同等の処理については、同じ符号を付して適宜説明を省略する。
プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPが入力されると、測定領域確認装置5は、測定可能空間算出部11により、測定可能空間Vを算出する(ステップS101)。
測定可能空間Vが測定されると、要素抽出部12は、測定可能空間に含まれる被測定物のファセットF1を抽出する(ステップS102)。
ファセットF1が抽出されると、ベクトル算出部13は、そのファセットF1に対する受光方向ベクトルV3を算出する(ステップS801)。
受光方向ベクトルV3が算出されると、測定領域確認装置5は、ファセット毎に、受光方向ベクトルV3と法線ベクトルV2との角度αを算出する。具体的には、全ファセットの中からi番目のファセットを選択する。なお、iの初期値は1とする(ステップS104)。iが全ファセットの数量n以下であるならば(ステップ105:YES)、ベクトル算出部13は、i番目のファセットの法線ベクトルV2を抽出する(ステップS106)。
法線ベクトルV2を抽出すると、角度算出部14は、その法線ベクトルV2と対応するファセットF1の受光方向ベクトルV3の延長線(半直線14)との角度αを算出する(ステップS802)。例えば、図32,図33に示すように、測定可能空間V内に存在する被測定物の断面略L字状の測定面101上における任意のファセットF1に対して、光ビーム103が照射されるとする。任意のファセットF1が光ビーム103の照射領域106にあるとき、光ビームの受光方向ベクトルV3の延長線l4と、ファセットF1の法線ベクトルV2との3次元の角度は、それらのベクトルで構成されるαとして算出される。
受光方向ベクトルV3と法線ベクトルV2との角度αが算出されると、角度判定部31は、角度αが所定の角度、例えば90°以下であるか否か判定する(ステップS803)。
角度αが90°以下ではない場合(ステップS803:NO)、i番目のファセットがセンサ201の方向を向くことになるので、角度判定部31は、そのファセットを正常に測定することができると判断し、ステップS113の処理に進む。
角度αが90°以下の場合(ステップS803:YES)、線分算出部32は、受光方向ベクトルの延長線l4を算出する(ステップS804)。
受光方向ベクトルV3の延長線l4が算出されると、判定部15は、その延長線l4と干渉するファセットが存在するか否か判定する(ステップS805)。
干渉するファセットが存在しない場合(ステップS805:NO)、判定部15は、ステップS113の処理に進む。
一方、干渉するファセットF2が存在する場合(ステップS805:YES)、判定部15は、そのファセットF2を正確に測定することは不可能である測定不可能領域として表示画面に表示されるように割り付ける(ステップS806)。例えば、図32,図33に示すように、受光方向ベクトルV3の延長線l4がファセットF2に干渉し、そのファセットF2が光ビーム103の照射領域106内にある場合、ファセットF2により反射される光ビームは、ファセットF1に遮断されて受光部111届かないものと見なすことができる。このような場合、図34に示すように、測定不可能領域として設定されたファセットF2には、例えば赤色など他のファセットと異なる着色を施して表示画面に表示されるようにする。
i番目のファセットに対する判定が行われると、角度算出部14は、i=i+1と設定する(ステップS113)。これにより、次の順番のファセットに対して、上述したステップS105〜ステップS806の処理が行われる。
全てのファセットについて測定不可能領域であるか否かの判定が行われると、表示部16は、表示画面上に被測定物をファセット毎に設定された色で表示する(ステップS114)。本実施の形態においては、表示画面上には、測定不確定領域が赤色で着色された被測定物が表示される。これにより、ユーザは、プログラム生成装置4により生成された測定プログラムPにより非接触装置2を動作させた際、測定不可能領域を容易に識別することができる。このような測定不可能領域が存在する場合には、プログラム生成装置4により再度測定プログラムPを生成させることにより、正確に測定することができる測定プログラムPを作成することが可能となる。したがって、従来のように、現場で被測定物の計測時に、プログラムを修正したり、非接触測定装置の教示のやり直し作業をしたりしなくてよいので、測定時間の短縮やコスト削減を実現することができる。また、作業の熟練者でなくとも測定可能領域と測定不可能領域とを確認することができる。
1…3次元測定システム、2…非接触測定機、3…3次元CAD装置、4…プログラム生成装置、11…測定可能空間算出部、12…要素抽出部、13…ベクトル算出部、14…角度算出部、15…判定部、16…表示部、17…測定機データDB、18…CADデータDB、21…線分算出部、31…角度判定部、32…線分算出部、101…測定面、102…センサ201、103…光ビーム、104…測定開始点、105…測定終了点、106…測定可能領域、107…交点、109…移動経路、110…断面線、C…頂点、F,F’,F1,F2…ファセット、P…測定プログラム、l1…線分、l2…線分、l3…延長線、l4…延長線、M…中点、V…測定可能空間、V1…照射方向ベクトル、V2…法線ベクトル、V3…受光方向ベクトル、α…角度。