JP2009068974A - 金属錯体内包ゼオライト付加水晶振動子とその製造方法 - Google Patents
金属錯体内包ゼオライト付加水晶振動子とその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009068974A JP2009068974A JP2007237221A JP2007237221A JP2009068974A JP 2009068974 A JP2009068974 A JP 2009068974A JP 2007237221 A JP2007237221 A JP 2007237221A JP 2007237221 A JP2007237221 A JP 2007237221A JP 2009068974 A JP2009068974 A JP 2009068974A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- zeolite
- layer
- metal complex
- crystal resonator
- alumina
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
Abstract
【課題】水晶基板の表面に金属錯体内包ゼオライト層を形成し水晶振動子の電気的応答によるガスセンシング等が可能な素子体およびさらにその製造方法を提供する。
【解決手段】水晶振動子上の組成物層が金属錯体を内包するゼオライト粉末を含有する組成物層を形成した水晶振動子。ゼオライト粉末と高純度アルミナのスラリーから形成される水晶振動子の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】水晶振動子上の組成物層が金属錯体を内包するゼオライト粉末を含有する組成物層を形成した水晶振動子。ゼオライト粉末と高純度アルミナのスラリーから形成される水晶振動子の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明はガス成分を吸着する感応層と水晶振動子からなるガス検出装置において、無機質ゼオライトを主成分として金属錯体を内包する感応層を有するガス検出装置およびその製造方法に関するものである。
水晶振動子上にガス感応層を形成し、ガス吸着による共振周波数の変化を測定するセンサーでは、さまざまなガス成分に対して高感度かつ速い応答性能が求められる。すなわち、ガス成分の感応層には特定ガス成分が吸脱着するような性質をもつ層が求められる。
近年の臭気への関心から、におい物質などの検出装置が求められるが、その感応層としては、たとえば、特許文献1(特開平5-346384号公報)に記されたような有機高分子や脂質が一般的であり、炭化水素類の検出でも脂質、ポリマー混合膜などが提案されている。これらの有機質層は、高温環境では、融解もしくは蒸発、分解を起こし、その使用条件が限定される。一方、特許文献2(特開平5-281175号公報)号には、水晶基板の両面にゼオライト薄膜を形成させた感湿素子が記載されており、水晶振動子の振動特性を利用したセンサーが提案されている。また特許文献3(特開平9-289428号公報)には、ゼオライト層を高温高圧の水熱条件で合成して形成する水晶振動子の製造法が記載されている。しかし、この製造法では合成条件が水熱条件で、本発明で課題とする有機金属錯体内包ゼオライトの形成条件や安定とは相反するため、高機能が期待される錯体内包ゼオライト層を水晶振動子上に形成することがまったく困難である。ここでいう錯体内包セオライトとは例えば特許文献4(特開2006-76875)号に記載されるような調製手順を経て得られる高機能ゼオライトであるがもちろんこれに限定されず水熱条件処理に不適な有機質含有ゼオライトを広くさす。また、特許文献5(米国特許第3164004号)には、ゼオライト結晶粉末にセメント等の結合材を混合し、水晶振動子の表面に塗布することにより表面ゼオライト層形成水晶振動子が提案されている。しかし、結合材は化学活性であり吸着特性に悪影響を及ぼし本来のゼオライト基物質の性能を変化させる問題がある。
特開平5-346384号公報
特開平5-281175号公報
特開平9-289428号公報
特開2006-76875号公報
米国特許第3164004
近年の臭気への関心から、におい物質などの検出装置が求められるが、その感応層としては、たとえば、特許文献1(特開平5-346384号公報)に記されたような有機高分子や脂質が一般的であり、炭化水素類の検出でも脂質、ポリマー混合膜などが提案されている。これらの有機質層は、高温環境では、融解もしくは蒸発、分解を起こし、その使用条件が限定される。一方、特許文献2(特開平5-281175号公報)号には、水晶基板の両面にゼオライト薄膜を形成させた感湿素子が記載されており、水晶振動子の振動特性を利用したセンサーが提案されている。また特許文献3(特開平9-289428号公報)には、ゼオライト層を高温高圧の水熱条件で合成して形成する水晶振動子の製造法が記載されている。しかし、この製造法では合成条件が水熱条件で、本発明で課題とする有機金属錯体内包ゼオライトの形成条件や安定とは相反するため、高機能が期待される錯体内包ゼオライト層を水晶振動子上に形成することがまったく困難である。ここでいう錯体内包セオライトとは例えば特許文献4(特開2006-76875)号に記載されるような調製手順を経て得られる高機能ゼオライトであるがもちろんこれに限定されず水熱条件処理に不適な有機質含有ゼオライトを広くさす。また、特許文献5(米国特許第3164004号)には、ゼオライト結晶粉末にセメント等の結合材を混合し、水晶振動子の表面に塗布することにより表面ゼオライト層形成水晶振動子が提案されている。しかし、結合材は化学活性であり吸着特性に悪影響を及ぼし本来のゼオライト基物質の性能を変化させる問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、水晶基板の表面に金属錯体内包ゼオライト層を薄く形成し水晶振動子の電気的応答によるガスセンシング等が可能な素子体およびさらにその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、(1)金属錯体を内包するゼオライトを含有する組成物のスラリーを水晶振動子上に塗布、乾燥してなる水晶振動子で、(2)金属錯体はフタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)-オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、ゼオライトがX型もしくはY型であることを特徴とする層を付与した水晶振動子である。(3)水晶振動子上の層内に高純度アルミナがゼオライト粉末に混合された状態で付着しており、アルミナの純度が99.9重量%以上でありかつ一次粒径が30ナノメータ以下であり、(4)該錯体内包ゼオライトと該アルミナの全重量に対し錯体内包ゼオライトが50重量%以上で85重量%以下で、さらに水を含有するスラリーを水晶振動子に付け引き上げたのち室温もしくは120℃以下の温度で少なくとも1時間加熱することを特徴とするゼオライト層付加水晶振動子の製造方法に関するものである。
本発明は金属錯体内包ゼオライトを必須成分として含有する組成物層を水晶振動子上に形成する素子体とその製造方法を提供したものであり、本発明によるガスセンシング等に適する水晶振動子において、従来にない特性を有する金属錯体内包ゼオライトのガス吸着性を感知装置として最大限に生かすことのできる。また、本製造方法によれば上記組成物の混合効果を利用して水晶振動子素子を簡易かつ安価に製造することができる。
本発明において、ゼオライトは天然あるいは合成品のいずれでも使用でき、ただしX型もしくはY型がのぞましく、内包する金属錯体として、フタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)-オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体をあげることができる。これらの金属錯体は特異的にゼオライト細孔内に形成、合成され、また、その特性として脱臭性やガス吸着性があげられ、たとえば特許文献4において合成法やその利用形態が記載されている。これらの合成には多段の工程を要するので、上記の水晶振動子を用いたガスセンシングに利用する場合に結晶性ゼオライト層を形成したのち錯体形成をおこなうことは非効率、高コストとなり特異な性質を容易に活かせないが、本発明での製造法による素子においてはそれが可能になる。その層形成作用としては、高純度でかつ30ナノメータ以内の一次粒径を有するアルミナを金属錯体内包ゼオライトと混合したコート液を用いると容易に形成できる。すなわち、錯体を内包する微粒ゼオライトに対して30ナノメーターの一次粒子径で場合によりサブミクロン程度の凝集粒を形成する高純度アルミナが、ゼオライトが本来十分に有しない分散性と微小凹凸表面への付着性を発現せしめ、水晶振動子電極上へのゼオライトとアルミナ混合層を容易に形成する作用効果を実現する。ゼオライトとして上記錯体を内包しているモレキュラーシーブ性結晶などの市販品や石油化学の分野にて広く利用されている種々の組成のものを特に限定することなく利用できるが、ゼオライトを平均粒径0.3〜5μmの粉末状で使用する。
本発明における製造方法では、ゼオライト含有アルミナおよび水組成物によるスラリーを用いる塗布工程を特徴とする。通常の工程で用いられる有機分散剤はさまざまあるがこれらを用いず、したがって通常では困難とされる無機粉末のみによる分散塗布効果を実現しているので、とくに選択するアルミナの性状が重要である。ゼオライトの分散、付着を容易にするため、ゼオライトにアルミナを添加した状態におけるスラリーの性能として、周波数分散粘弾性測定において1秒以上の遅い緩和時間が観測される分散系を形成することを特徴とする。これによって、本来結合力をもたないゼオライトに対して、30ナノメーター以下の粒子のなす高次構造を形成しながら流動性を示す塗布に適する水系スラリーを形成する。アルミナは温和な化学作用を有する金属酸化物でその特性は知られており錯体内包ゼオライトの特性を妨害することが少ない。
上記組成物に加えて無機物質として、シリカ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニアおよびそれらを誘導する化合物を含んでもよい。これらは、ガス種によっては活性を妨害せず、かつゼオライト塗布工程の条件を容易に拡げることができる。これらもまたこの組成物に適度の成形性を付与するとともに、これを介して錯体内包ゼオライト粉末を水晶振動子上の層内に保持する。これらの中ではコロイド形成能の高いシリカが好ましく用いられてもよいが、これら各成分の含有割合は固形分換算で、ゼオライトとアルミナの2成分合計100重量部に対して10重量%以下であれば加えてもよい。また、これに共存する水の量は詳細には指定されなくともよいが塗布工程上流動性を要することが必要である。
上記の素子を製造する本発明の方法では、前記の各成分を含有する組成物の水系スラリーを調製し塗布成形した後成形物を乾燥する。本発明の方法は基本的に水系スラリー塗布成形およぴ乾燥という安全で簡便な操作からなるものであり、従来の水晶振動子上の無機質層形成における高温高圧条件や各種活性元素を含む反応性無機化合物を用いる場合に比べて、工程が極めて簡易かつ安全性を保持して実行できるという特色を有する。
本発明において用いる組成物はゼオライト、アルミナ、水、その他の無機成分のほかに、pH調整のための硝酸、塩酸などに無機アニオン水溶液およぴアンモニア水などの無機カチオンを含む水溶液、および酢酸、クエン酸などの低分子有機酸水溶液をを適宜添加することができる。また必要に応じて少量の低分子ビニルアルコール等の有機結合剤を適宜添加することもできる。
本発明において組成物のスラリーの塗布成形法としては特に限定はなく、スラリー内からの引き上げ操作、水晶上への塗り付け、また流動するスラリーへの短時間の暴露、さらにスプレー式の塗布、各種転写法、転写紙による場合やスクリーンリー印刷など限定されるのものではなくいずれも所望の素子を得ることができる。
乾燥は普通の室温にて24時間程度の自然乾燥によるが、各種加熱装置により、またマイクロ波加熱装置などにより40〜150℃程度に加熱して乾燥してもよい。
このような工程で製造される水晶振動子素子は水晶自体のほかあらかじめ電極を施したものや端子、支持具などを付けた素子として完成に近い状態のものを用いることができる。水晶振動子の各部位に塗布することでそれぞれの素子構造による特性を向上させることができる。この工程により、錯体内包ゼオライトの性能を保持させ、その優れたガス吸着、感知特性を十分に発揮させるものである。
水晶振動子としては、汎用されるATカットのほか、各種の振動特性の素子でもよく、とくに限定されずまたその大きさや形状も振動子として機能すれば任意な選択が可能であり、電極面が露出して塗布できれば製造工程上問題もないのでいずれでもよい。振動周波数は4MHz以上のものが好んで用いられるが本発明の塗布層ではその厚みを調整することで高感度化できるため、周波数には必ずしも限定されない。このような水晶振動子の両面には適当な金属と白金または金が順次真空蒸着され積層電極を形成させるがこれらは既存の製造法で知られたもので十分で
以下、実施例をもとに木発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、ゼオライトは天然あるいは合成品のいずれでも使用でき、ただしX型もしくはY型がのぞましく、内包する金属錯体として、フタロシアニン金属錯体、ビス(サリチリデン)-オルトーフェニレンジアミジナト金属錯体および環状テトラピロール化合物を配位子とする金属錯体をあげることができる。これらの金属錯体は特異的にゼオライト細孔内に形成、合成され、また、その特性として脱臭性やガス吸着性があげられ、たとえば特許文献4において合成法やその利用形態が記載されている。これらの合成には多段の工程を要するので、上記の水晶振動子を用いたガスセンシングに利用する場合に結晶性ゼオライト層を形成したのち錯体形成をおこなうことは非効率、高コストとなり特異な性質を容易に活かせないが、本発明での製造法による素子においてはそれが可能になる。その層形成作用としては、高純度でかつ30ナノメータ以内の一次粒径を有するアルミナを金属錯体内包ゼオライトと混合したコート液を用いると容易に形成できる。すなわち、錯体を内包する微粒ゼオライトに対して30ナノメーターの一次粒子径で場合によりサブミクロン程度の凝集粒を形成する高純度アルミナが、ゼオライトが本来十分に有しない分散性と微小凹凸表面への付着性を発現せしめ、水晶振動子電極上へのゼオライトとアルミナ混合層を容易に形成する作用効果を実現する。ゼオライトとして上記錯体を内包しているモレキュラーシーブ性結晶などの市販品や石油化学の分野にて広く利用されている種々の組成のものを特に限定することなく利用できるが、ゼオライトを平均粒径0.3〜5μmの粉末状で使用する。
本発明における製造方法では、ゼオライト含有アルミナおよび水組成物によるスラリーを用いる塗布工程を特徴とする。通常の工程で用いられる有機分散剤はさまざまあるがこれらを用いず、したがって通常では困難とされる無機粉末のみによる分散塗布効果を実現しているので、とくに選択するアルミナの性状が重要である。ゼオライトの分散、付着を容易にするため、ゼオライトにアルミナを添加した状態におけるスラリーの性能として、周波数分散粘弾性測定において1秒以上の遅い緩和時間が観測される分散系を形成することを特徴とする。これによって、本来結合力をもたないゼオライトに対して、30ナノメーター以下の粒子のなす高次構造を形成しながら流動性を示す塗布に適する水系スラリーを形成する。アルミナは温和な化学作用を有する金属酸化物でその特性は知られており錯体内包ゼオライトの特性を妨害することが少ない。
上記組成物に加えて無機物質として、シリカ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニアおよびそれらを誘導する化合物を含んでもよい。これらは、ガス種によっては活性を妨害せず、かつゼオライト塗布工程の条件を容易に拡げることができる。これらもまたこの組成物に適度の成形性を付与するとともに、これを介して錯体内包ゼオライト粉末を水晶振動子上の層内に保持する。これらの中ではコロイド形成能の高いシリカが好ましく用いられてもよいが、これら各成分の含有割合は固形分換算で、ゼオライトとアルミナの2成分合計100重量部に対して10重量%以下であれば加えてもよい。また、これに共存する水の量は詳細には指定されなくともよいが塗布工程上流動性を要することが必要である。
上記の素子を製造する本発明の方法では、前記の各成分を含有する組成物の水系スラリーを調製し塗布成形した後成形物を乾燥する。本発明の方法は基本的に水系スラリー塗布成形およぴ乾燥という安全で簡便な操作からなるものであり、従来の水晶振動子上の無機質層形成における高温高圧条件や各種活性元素を含む反応性無機化合物を用いる場合に比べて、工程が極めて簡易かつ安全性を保持して実行できるという特色を有する。
本発明において用いる組成物はゼオライト、アルミナ、水、その他の無機成分のほかに、pH調整のための硝酸、塩酸などに無機アニオン水溶液およぴアンモニア水などの無機カチオンを含む水溶液、および酢酸、クエン酸などの低分子有機酸水溶液をを適宜添加することができる。また必要に応じて少量の低分子ビニルアルコール等の有機結合剤を適宜添加することもできる。
本発明において組成物のスラリーの塗布成形法としては特に限定はなく、スラリー内からの引き上げ操作、水晶上への塗り付け、また流動するスラリーへの短時間の暴露、さらにスプレー式の塗布、各種転写法、転写紙による場合やスクリーンリー印刷など限定されるのものではなくいずれも所望の素子を得ることができる。
乾燥は普通の室温にて24時間程度の自然乾燥によるが、各種加熱装置により、またマイクロ波加熱装置などにより40〜150℃程度に加熱して乾燥してもよい。
このような工程で製造される水晶振動子素子は水晶自体のほかあらかじめ電極を施したものや端子、支持具などを付けた素子として完成に近い状態のものを用いることができる。水晶振動子の各部位に塗布することでそれぞれの素子構造による特性を向上させることができる。この工程により、錯体内包ゼオライトの性能を保持させ、その優れたガス吸着、感知特性を十分に発揮させるものである。
水晶振動子としては、汎用されるATカットのほか、各種の振動特性の素子でもよく、とくに限定されずまたその大きさや形状も振動子として機能すれば任意な選択が可能であり、電極面が露出して塗布できれば製造工程上問題もないのでいずれでもよい。振動周波数は4MHz以上のものが好んで用いられるが本発明の塗布層ではその厚みを調整することで高感度化できるため、周波数には必ずしも限定されない。このような水晶振動子の両面には適当な金属と白金または金が順次真空蒸着され積層電極を形成させるがこれらは既存の製造法で知られたもので十分で
以下、実施例をもとに木発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ATカット水晶振動子(振動周波数9MHz)の表裏両面に、真空蒸着法によって金積層電極を形成させた。感応層としてコバルトフタロシニアン1重量%を内包するX型ゼオライト(A)の2μmの粉末を用い、アルミナには純度99.9%、20ナノメータの粒子径をもつガンマ型アルミナ(B)を用いた。AとBをそれぞれ6.4gと2gをとり、水50mlを加えてよく攪拌混合してスラリーとした。水晶振動子の電極部両面以外を簡単にはがせるテープで覆い水系スラリー中に入れ引き上げて電極面上に層を塗布した。24時間風乾し、塗布量が2mgでほぼ平滑な面を有する錯体内包ゼオライト層付加水晶振動子を作製した。(図1)
実施例1と同様な操作により電極面を水系スラリー中に入れ引き上げて塗布するとき引き上げ速度と塗布回数を変えて、塗布層量の異なる水晶振動子を作製した。塗布膜量は1.2〜2.9mgの範囲で調整した。図2に、付与した層重量を精密天秤で測定した量と水晶振動子の周波数について、層が無添加の素子であらかじめ測定しておいた周波数値からの変化の値としてあらわした周波数の関係を示す。1959年のSauerberyらに始まるいくつかの研究から周知のように微少量の重量変化に対して振動子の周波数変化量は振動子上の重量増量と理論的な関係があることが知られている。図2から明らかなように本法による層付与量と周波数変化は相関し広い範囲の塗布が良好になされていることを示している。もし塗布層と電極面の隙間や割れがあったり塗布層内での結合性が不十分であると、振動子の振動に対して層全体が有効に影響せず図2のようなきれいな関係が得られない。本実施例で、本発明の製造方法が簡易にもかかわらず良好な感応層形成方法であることがわかる。図3に層の破断面の電子顕微鏡写真の例を示すが全体に一様な層となっており振動子特性を伝える膜質を保持している。
実施例1と同様な操作により電極面を水系スラリー中にいれ引き上げて塗布するとき、ゼオライトとアルミナ混合物の比を変えて実験を行った。コバルトフタロシニアンゼオライト(Aと称する、以下同様)を用い、アルミナには純度99.9%、20ナノメータの粒子径をもつガンマ型アルミナ(B)を用いた。混合組成中のゼオライトが62〜78重量%であるとき良好な膜が形成されていた。
実施例1と同様な操作により、3μmのコバルト銅フタロシニアン内包X型ゼオライト粉末(C)を用い、アルミナには純度99.9%、20ナノメータの粒子径をもつガンマ型アルミナ(B)を用いた場合でも、実施例1と同様良好な膜が形成された。
実施例1から5を表1にまとめた。
実施例1から5を表1にまとめた。
実施例1と同様な操作により電極面を水系スラリー中にいれ引き上げて塗布するとき、ゼオライトとアルミナ混合物の比を変えて実験を行った。コバルトフタロシニアンゼオライト(A)を用い、アルミナには純度99.9%、3μmのα型アルミナ(D)を用いた。混合組成におけるぜオライト量を50%から85%としても、十分な膜が形成されず付着量が少ないか乾燥後に剥離が起こったため水晶振動子として利用できなかった。
実施例1と同様な操作により、コバルトフタロシニアンゼオライト(A)を用い、アルミナには純度99.9%、20ナノメータの粒子径をもつガンマ型アルミナ(B)を用いて、AとBをそれぞれ表2に示すような重量をとり、水をを加えてよく攪拌混合してスラリーとした後同様に塗布して水晶振動子を作製しようとしたがともに付着性に劣り比較例1ほどではないが測定中の安定した発振が得られなかった。
水晶振動子センサ応答の評価のため、9MHzATカット水晶に実施例1による作製した振動子を自作LCR共振回路に接続しアジレント製HP6632A電源装置で直流電圧を印可した。素子の共振周波数をアジレント製HP5334B周波数カウンターで連続的に測定した。PID温度制御装置で温度コントロールされたガラス容器内に錯体内包ゼオライト層を持つ水晶振動子とともに金電極のみの振動子を設置し同様にして周波数をモニターしながら温度を120℃に保持した。周波数がゼオライト層を付与した水晶振動子で6.8MHz付近で安定したのち、容器内にトルエンを0.1体積%含む空気を導入して保持した。さらに温度を徐々に下げ100℃となったときこの間の周波数変化を観測したところ、無付加水晶振動子の周波数変化は320Hzであったのに対し、作製した素子は2940Hzの周波数変化を示し大きなガス感知特性が観測された。
本発明は、ガス検出の分野に利用可能である。
Claims (2)
- 金属錯体を内包するゼオライト粉末を含有する組成物層を形成した水晶振動子。
- 水晶振動子上の組成物層が金属錯体を内包するゼオライト粉末と高純度アルミナのスラリーから形成される水晶振動子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007237221A JP2009068974A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 金属錯体内包ゼオライト付加水晶振動子とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007237221A JP2009068974A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 金属錯体内包ゼオライト付加水晶振動子とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009068974A true JP2009068974A (ja) | 2009-04-02 |
Family
ID=40605391
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007237221A Pending JP2009068974A (ja) | 2007-09-12 | 2007-09-12 | 金属錯体内包ゼオライト付加水晶振動子とその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009068974A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010271224A (ja) * | 2009-05-22 | 2010-12-02 | Nagoya Institute Of Technology | 低濃度ガスの検出方法 |
JP2013044579A (ja) * | 2011-08-23 | 2013-03-04 | Nagoya Institute Of Technology | 金属錯体内包ゼオライトの疎水化方法およびそれによって得られたセンサー |
CN110759351A (zh) * | 2018-07-26 | 2020-02-07 | 中国科学院金属研究所 | 一种晶振表面分子筛膜材料及其制备方法和应用 |
-
2007
- 2007-09-12 JP JP2007237221A patent/JP2009068974A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010271224A (ja) * | 2009-05-22 | 2010-12-02 | Nagoya Institute Of Technology | 低濃度ガスの検出方法 |
US8365576B2 (en) | 2009-05-22 | 2013-02-05 | National University Corporation Nagoya Institute Of Technology | Method for detecting low concentration gas |
JP2013044579A (ja) * | 2011-08-23 | 2013-03-04 | Nagoya Institute Of Technology | 金属錯体内包ゼオライトの疎水化方法およびそれによって得られたセンサー |
CN110759351A (zh) * | 2018-07-26 | 2020-02-07 | 中国科学院金属研究所 | 一种晶振表面分子筛膜材料及其制备方法和应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Malik et al. | Cubic mesoporous Pd–WO 3 loaded graphitic carbon nitride (g-CN) nanohybrids: Highly sensitive and temperature dependent VOC sensors | |
TW460411B (en) | Process for the production of granular bodies made of zeolite LSX with a low level of inert binder | |
WO2014171634A1 (ko) | 크롬이 도핑된 산화니켈 나노구조체를 이용한 메틸벤젠 가스 센서 및 그 제조 방법 | |
Md Sin et al. | Fabrication of nanocubic ZnO/SnO 2 film-based humidity sensor with high sensitivity by ultrasonic-assisted solution growth method at different Zn: Sn precursor ratios | |
JP2002338211A (ja) | アモルファス状金属酸化物の薄膜材料 | |
Mekhemer et al. | Qualitative and quantitative assessments of acid and base sites exposed on polycrystalline MgO surfaces: Thermogravimetric, calorimetric, and in-situ FTIR spectroscopic study combination | |
Xue et al. | Mesoporous Ag/In2O3 composite derived from indium organic framework as high performance formaldehyde sensor | |
Dey et al. | Preparation of NaA zeolite membranes using poly (ethyleneimine) as buffer layer, and study of their permeation behavior | |
JP2009068974A (ja) | 金属錯体内包ゼオライト付加水晶振動子とその製造方法 | |
CN109224879A (zh) | 一种cha分子筛膜的制备方法 | |
Betke et al. | Micro‐Macroporous Composite Materials: SiC Ceramic Foams Functionalized With the Metal Organic Framework HKUST‐1 | |
JP5655723B2 (ja) | 金属クラスター担持触媒の製造方法 | |
Yang et al. | Tuning SnO2 architectures with unitary or composite microstructure for the application of gas sensors | |
EP0852574A1 (en) | A method of producing a composite, more precisely a nanoporous body and a nanoporous body produced thereby | |
JP4632285B2 (ja) | カーボンナノチューブの製造方法及びカーボンナノチューブ含有組成物 | |
Chowdhury et al. | Hierarchical bimetallic metal-organic frameworks with controllable assembling sub-units and interior architectures for enhanced ammonia detection | |
Barr et al. | Solution atomic layer deposition of smooth, continuous, crystalline metal–organic framework thin films | |
Lee et al. | Enhanced Gas Sensing Performance of Surface‐Activated MoS2 Nanosheets Made by Hydrothermal Method with Excess Sulfur Precursor | |
Shen et al. | Investigation on kinetic processes of zeolitic imidazolate framework-8 film growth and adsorption of chlorohydro-carbons using a quartz crystal microbalance | |
Jalani et al. | Highly ordered mesoporous silica film nanocomposites containing gold nanoparticles for the catalytic reduction of 4-nitrophenol | |
JP4803422B2 (ja) | 窒化ホウ素系多孔体およびその製造方法 | |
Huang et al. | MOF-decorated sea urchin-like In2O3 gas sensor with higher gas sensitivity to formaldehyde | |
JP5305393B2 (ja) | 低濃度ガスの検出方法 | |
JP2017128499A (ja) | 非晶質アルミニウムケイ酸塩及びその製造方法 | |
JP2004188390A (ja) | 金属ナノクラスター及びその製造方法、並びにそれを用いた空気汚染物質除去触媒 |