JP2009067023A - 溶液流延製膜装置及び樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】各機能を有した光学用フィルムに併せて専用の溶液流延製膜装置を設置することなく、1台の溶液流延製膜装置により各機能を有した光学用フィルムの製造が可能な汎用性のある溶液流延製膜装置の提供。
【解決手段】溶媒に樹脂を溶解したドープを連続的に回動する無端支持体の上に流延ダイから流延し、樹脂フィルムを製造する溶液流延製膜装置において、前記無端支持体の前記ドープが流延される面が、凹凸形状を有する剥離可能な樹脂膜で被覆されていることを特徴とする溶液流延製膜装置。
【選択図】図5

Description

本発明は溶液流延製膜装置及び樹脂フィルムの製造方法に関する。
樹脂フィルムを製膜する一つの方法として、溶液流延法が知られている。溶液流延法は、原料の樹脂を溶媒に溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えて調製したドープを、水平式のエンドレスの金属ベルト支持体(無端ベルト支持体)又は回転するドラムなどの無端支持体の上に、ダイスより吐出し、流延した後、無端支持体上である程度まで溶媒を除去した後、無端支持体支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶媒を除去し製造する方法である。
これらの方法で製造された樹脂フィルムの用途の一つとして光学用フィルムが挙げられる。本発明では、液晶表示装置(以下、LCDとも言う)に使用する偏光板の保護フィルム、LCD等に用いられる位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム等の各種機能フィルム又有機ELディスプレイ等で使用される各種機能フィルム、プラスチック基板、写真用支持体、或いは動画用セルや光学フィルタ、更にはOHPフィルムを含め光学用フィルムと言う。
光学用フィルムの用途の一つであるLCDは、低電圧、低消費電力で、IC回路への直結が可能であり、特に薄型化が可能であることから、液晶TVやパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、携帯用端末、テレビジョン、更にはデジタルスチルカメラやムービーカメラ等の表示装置として広く採用されている。このLCDは、基本的な構成としては、例えば液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。
近年、LCDの高機能化が求められており、例えば、視認性向上のために反射防止フィルム、写り込みを防いだり、ギラツキの少ない表示性能を得るために表面を凹凸にして反射光を散乱させる防眩性フィルム、コントラストを付けるために位相差フィルムなどいろいろな機能を有した光学用フィルムが必要とされている。
これら、LCDに使用する光学用フィルムの製造方法として次の方法が知られている。例えば、溶液流延法により防眩性を有するトリアセチルセルロースフィルムを製造する際、ドープが流延される支持体面をケミカルエッチング法、フリスト法、サンドブラスト法などにより凹凸化させて、製膜と同時にフィルム面に凹凸を付与する製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。支持体上に反射防止層を設けた後に、エンボス加工して防眩性反射防止フィルムを得る方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。溶液流延法でドープを支持体上に流延し、支持体から剥離した後、凹凸面形成用鋳型ロールでフィルム表面に凹凸形状を形成する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献1〜特許文献3に記載の製造装置は、防眩性反射防止フィルムを製造するには適した装置であるが、専用機化されているため、例えば位相差フィルム、通常の平滑面を有した偏光板用の保護フィルムの製造には適していない。
溶液流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する際、無端支持体からウェブを剥離した後、テンターを使用し、幅方向の延伸率を調整しリターデーション値が安定した位相差フィルムを製造する装置が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、特許文献4に記載の製造装置は、位相差フィルムを製造するに適した装置であるが、専用機化されているため防眩性反射防止フィルムを製造する装置としては適していない。この様に、特許文献1〜特許文献4に記載の製造装置は何れも専用機であるため、各機能を有した光学用フィルムを製造する場合は製造する光学用フィルムの種類に合わせて製造ラインを持たなければならないと言った欠点を有している。この様な状況から、各機能を有した光学用フィルムに併せて溶液流延製膜装置を設置することなく、1台の溶液流延製膜装置により各機能を有した光学用フィルムの製造が可能な汎用性のある溶液流延製膜装置の開発が望まれている。
特開平10−119067号公報 特開2003−207602号公報 特開2005−156615号公報 特開2002−311245号公報
本発明は上記状況を鑑みなされたものであり、その目的は、各機能を有した光学用フィルムに併せて専用の溶液流延製膜装置を設置することなく、1台の溶液流延製膜装置により各機能を有した光学用フィルムの製造が可能な汎用性のある溶液流延製膜装置を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.溶媒に樹脂を溶解したドープを連続的に回動する無端支持体の上に流延ダイから流延し、樹脂フィルムを製造する溶液流延製膜装置において、前記無端支持体の前記ドープが流延される面が、凹凸形状を有する剥離可能な樹脂膜で被覆されていることを特徴とする溶液流延製膜装置。
2.前記無端支持体が樹脂膜で被覆されている時は、凹凸面を有する樹脂フィルムを製造し、該樹脂膜を剥離した後は、平滑面を有する樹脂フィルムの製造が可能となることを特徴とする前記1に記載の溶液流延製膜装置。
3.前記樹脂膜は、無端支持体の上に樹脂膜を形成した後、該樹脂膜に鋳型を押し当てて凹凸形状を形成したことを特徴とする前記1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
4.前記樹脂膜は、無端支持体の上に樹脂膜を形成した後、該樹脂膜に少なくとも2つの異なる中心線平均粗さRaを有する鋳型を押し当てて凹凸形状を形成したことを特徴とする前記1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
5.前記樹脂膜は、無端支持体の上に粒子材料を添加した樹脂膜形成用溶液を塗布し、該樹脂膜の表面に凹凸形状を形成したことを特徴とする前記1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
6.前記樹脂膜は、無端支持体の上に少なくとも2つの異なる平均粒子径を有する粒子材料を添加した樹脂膜形成用溶液を塗布し、該樹脂膜の表面に凹凸形状を形成したことを特徴とする前記1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
7.前記樹脂膜の表面に形成された凹凸形状は中心線平均粗さRaが3μm〜10μmであることを特徴とする前記1〜6の何れか1項に記載の溶液流延製膜装置。
8.前記樹脂フィルムが光学用フィルムであることを特徴とする前記1〜7の何れか1項に記載の溶液流延製膜装置。
9.前記1〜8の何れか1項に記載の溶液流延製膜装置を使用して樹脂フィルムを製造することを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
各機能を有した光学用フィルムに併せて専用の溶液流延製膜装置を設置することなく、1台の溶液流延製膜装置により各機能を有した光学用フィルムの製造が可能な汎用性のある溶液流延製膜装置を提供することが出来、コストを上げることなく市場の要求に対して迅速な対応が可能となった。
本発明の実施の形態を図1〜図5を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施の形態は樹脂フィルムの代表として光学用フィルムに付き説明する。
図1は溶液流延法による防眩性フィルムと保護フィルムとの製造が可能な製造装置の模式図である。図1(a)は無端支持体に無端ベルト支持体を使用した溶液流延法による防眩性フィルムと保護フィルムとの製造が可能な製造装置の模式図である。図1(b)は無端支持体に無端ドラム支持体を使用した溶液流延法による機能が異なる光学用フィルムの製造が可能な製造装置の模式図である。
本発明は、溶液流延法に使用する溶液流延製膜装置に関し、更に詳しくは機能が異なる光学用フィルムを1台で製造出来る溶液流延製膜装置に関するものである。
図1(a)の製造装置に付き説明する。
図中、1aは機能が異なる光学用フィルムの溶液流延法の製造装置を示す。製造装置1aは、流延工程101と、第1乾燥工程102と延伸工程103と、第2乾燥工程104と、巻き取り工程105とを有している。
流延工程101は、溶液流延製膜装置101aと加熱装置101bとを有している。溶液流延製膜装置101aは、ロール101a2とロール101a3とで保持され、回動(図中の矢印方向)が可能となっている無端支持体である無端ベルト支持体101a1と、ドープを無端ベルト支持体101a1の上に流延する流延ダイ101a4とを有している。
無端ベルト支持体101a1のドープ2を流延する表面は剥離可能な樹脂膜5(図2参照)で被覆されている。樹脂膜5(図2参照)の表面に凹凸形状が形成されている場合は、例えばLCDに使用する防眩性フィルムの製造が可能で、樹脂膜5(図2参照)を剥離した後は、例えば偏光板に使用する保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム等の通常の光学用フィルムの製造が可能となる。
使用する無端ベルト支持体101a1としては、表面を鏡面仕上げした金属ベルト支持体を基体とし、上に表面に凹凸形状が形成された樹脂膜が設けられている。
加熱装置101bは、無端ベルト支持体101a1の上に流延されたドープ2を無端ベルト支持体101a1から溶媒を除去し、剥離出来る状態のウェブ3にするために配設されている。加熱装置101bは、乾燥箱101b1と、乾燥箱101b1に配設された第1加熱風供給装置101b2と、第2加熱風供給装置101b3と、排気管101b4とを有している。101b5は第1加熱風供給装置101b2への加熱風供給管を示し、101b6は第2加熱風供給装置101b3への加熱風供給管を示す。
4は固化した状態のウェブを剥離する剥離ロールを示す。ウェブ3の厚さは、巻き取り工程105で回収された光学用フィルムの厚さが設定された膜厚になるように必要に応じて設定が可能となっている。
ドープ2は光学用フィルム用の樹脂材料を良溶媒と、貧溶媒とからなる混合溶媒を使用して作製されている。
第1加熱風供給装置101b2側の無端ベルト支持体101a1上のウェブ3の温度及び第2加熱風供給装置101b3側の無端ベルト支持体101a1上のウェブの温度は、剥離時の残留溶媒量、樹脂膜の表面に凹凸形状が形成されている場合は剥離した時のウェブ形成された凹凸形状の維持、溶媒の蒸発時間に伴う搬送速度、溶媒蒸発に伴う発泡等を考慮し、使用溶媒種類に応じて温度を設定することが好ましい。
第1加熱風供給装置101b2及び第2加熱風供給装置101b3から供給する加熱風の風圧は、溶媒蒸発の均一性を考慮し、50Pa〜5000Paが好ましい。
第1加熱風供給装置101b2による無端ベルト支持体101a1上のウェブ3へ供給する加熱風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ベルト支持体101a1の移動方向で数段階の温度に分けて供給しても構わない。又、第2加熱風供給装置101b3による無端ベルト支持体101a1上のウェブ3へ供給する加熱風の供給も同じである。
本図に示す加熱装置101bは加熱風を使用した場合を示しているが、加熱手段としては特に限定はなく、この他に、例えば無端ベルト支持体101a1上のウェブを赤外線ヒーターで加熱する方法、無端ベルト支持体101a1の裏面に温風を吹き付け裏面側から加熱する方法等が挙げられ、必要に応じて適宜選択することが可能である。
無端ベルト支持体101a1の上にドープを流延した後、無端ベルト支持体101a1からウェブ3を剥離までの間での時間は作製する光学用フィルムの種類、膜厚、使用溶媒によって異なり、無端ベルト支持体101a1からの剥離性を考慮し決めることが好ましい。
ウェブ3を無端ベルト支持体101a1より剥離する時のウェブ3の残留溶媒量は、無端ベルト支持体101a1からの剥離性、剥離した後の搬送性を考慮し30質量%〜80質量%が好ましい。
ドープ2の光学用フィルム形成用の樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、防眩性フィルム形成用の樹脂の濃度が高過ぎると濾過時の負荷の増加、濾過精度の低下等が発生する。これらを両立する濃度としては、10質量%〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15質量%〜25質量%である。
無端ベルト支持体101a1からウェブ3を剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってウェブ3はMD(Machine Direction)方向に延伸するため、本発明においては無端ベルト支持体101a1からウェブ3を剥離する際の剥離及び搬送張力は200N/m〜400N/mにすることが好ましい。
第1乾燥工程102は、乾燥風取り入れ口102bと排出口102cとを有する乾燥箱102aと、ウェブ3を搬送する上部の搬送ロール102dと下部の搬送ロール102eとを有している。第1乾燥工程102で延伸工程103に入る前のウェブ3に含まれる溶媒量の調整が行うことが可能となっている。
乾燥温度は、延伸工程に入る時のウェブの残留溶媒量により異なるが、溶媒の蒸発に伴うウェブの表面への露結、残留溶媒量、伸縮率の調整、溶媒の発泡等を考慮し、20℃〜80℃の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めればよく、一定の温度で乾燥してもよいし、数段階の温度に分けて乾燥しても構わない。
本図に示す製造装置1aの場合、無端ベルト支持体101a1より剥離し、延伸工程103で延伸開始時までのウェブ3のMD方向の伸縮率は、作製する光学用フィルムの機能に合わせ適宜設定することが好ましい。又、ウェブ4のTD(Transverse Direction)方向の伸縮率は、作製する光学用フィルムの機能に合わせ適宜設定することが好ましい。
延伸工程103は、乾燥風取り入れ口103bと排出口103cとを有する外箱103aと、外箱103aの中に入れられたテンター延伸装置103dとを有している。テンター延伸装置103dに使用するテンターは特に限定はなく、例えば、クリップテンター、ピンテンター等が挙げられ、必要に応じて選択し使用することが可能である。テンター延伸装置103dでは、ウェブ4の搬送方向(MD方向)、或いは搬送方向と直角方向(TD方向)に必要に応じて延伸することが可能となっている。
尚、乾燥風取り入れ口103bと排出口103cとは逆であってもよい。延伸工程103における溶媒除去手段としては加熱風を使用した場合を示しているが、溶媒除去手段としては特に限定はなく、この他に、例えば赤外線が挙げられる。
延伸工程103で延伸開始時のウェブの残留溶媒量は、スリキズ、収縮率、変形等を考慮し、10質量%〜30質量%にすることが好ましい。
第2乾燥工程104は、乾燥風取り入れ口104bと排出口104cとを有する乾燥箱104aと、ウェブ3を搬送する上部の搬送ロール104dと下部の搬送ロール104eとを有している。
第2乾燥工程104では加熱空気、赤外線等単独又は加熱空気と赤外線乾燥を併用しても構わない。簡便さの点で加熱空気で行うのが好ましい。本図は加熱空気を使用した場合を示している。乾燥温度は、乾燥工程に入る時のウェブの残留溶媒量により異なるが、表面の凹凸形状の安定性、乾燥時間、収縮ムラ、伸縮量の安定性等を考慮し、30℃〜180℃の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めればよく、一定の温度で乾燥してもよいし、3〜4段階の温度に分けて、数段階の温度に分けて乾燥しても構わない。
第2乾燥工程104での乾燥処理後の光学用フィルムの残留溶媒量は、乾燥工程の負荷、保存時の寸法安定性伸縮率等を考慮し、0.01質量%〜1.5質量%が好ましい。尚、本発明では流延工程で形成されたウェブが第2乾燥工程104で徐々に溶媒が除去され、全残留溶媒量が1.5質量%以下となったウェブを光学用フィルムと言う。
巻き取り回収工程105は、巻き取り装置(不図示)を有し、第2乾燥工程104で設定した残留溶媒量とした光学用フィルム6を必要量の長さに巻き芯に巻き取る。105aは巻き芯に巻き取られたロール状の光学用フィルムを示す。尚、巻き取る際の温度は、巻き取り後の収縮によるスリキズ、巻き緩み等を防止するために室温まで冷却することが好ましい。使用する巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることが出来る。
図1(b)の製造装置に付き説明する。図中、1a′は機能が異なる光学用フィルムの溶液流延法の製造装置を示す。製造装置1a′は、流延工程101′と、第1乾燥工程102と延伸工程103と、第2乾燥工程104と、巻き取り工程105とを有している。図1(a)に示される製造装置1aとの違いは、図1(a)の流延工程101が無端ベルト支持体を使用しているのに対して、図1(b)の場合は無端ドラム支持体を使用していることである。第1乾燥工程102と延伸工程103と、第2乾燥工程104と、巻き取り工程105とは全て図1(a)と同じであるので詳細の説明は省略する。
流延工程101′は、溶液流延製膜装置101′aと加熱装置101′bとを有している。溶液流延製膜装置101′aは、軸支され回動(図中の矢印方向)が可能となっている無端支持体である無端ドラム支持体101′a1と、ドープを無端ドラム支持体101′a1の上に流延する流延ダイ101′a2とを有している。
無端ドラム支持体101′a1のドープ2を流延する表面は図1(a)と同じ剥離可能な樹脂膜(不図示)で被覆されている。樹脂膜(不図示)の表面に凹凸形状が形成されている場合は、図1(a)と同じ様に、例えばLCDに使用する防眩性フィルムの製造が可能で、樹脂膜(不図示)を剥離した後は、図1(a)と同じ様に、例えば偏光板に使用する保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム等の通常の光学用フィルムの製造が可能となる。
使用する無端ドラムト支持体101′a1としては、表面を鏡面仕上げした金属ドラムを基体とし、上に表面に凹凸形状が形成された剥離可能な樹脂層が設けられており、図1(a)の無端ベルト支持体101a1と同じ構成となっている。
無端ドラム支持体101′a1の幅は1000mm〜3000mmが好ましい。流延する幅は、無端ドラム支持体101′aの幅に対して、80%〜95%とすることが好ましい。
3′は無端ドラム支持体101′a1にドープ2′が流延されたウェブを示す。4′は固化した状態のウェブを剥離する剥離ロールを示す。ウェブ3′の厚さは、巻き取り工程105で回収された光学用フィルムの厚さが設定された膜厚になるように必要に応じて設定が可能となっている。
加熱装置101′bは、無端ドラム支持体101′a1の上に流延されたドープ2を無端ドラム支持体101′a1から剥離出来る状態に溶媒を除去するために配設されている。加熱装置101′bは、乾燥箱101′b1と、乾燥箱101′b1に配設された加熱風供給装置101′b2と、排気管101′b3とを有している。101′b4は加熱風供給装置101′b2への加熱風供給管を示す。
無端ドラム支持体101′a上のウェブの温度は、剥離時の残留溶媒量、樹脂膜の表面に凹凸形状が形成されている場合は剥離した時のウェブ形成された凹凸形状の維持、溶媒の蒸発時間に伴う搬送速度、生産性、溶媒蒸発に伴う発泡等を考慮し、使用溶媒種類に応じて温度を設定することがこのましい。
加熱風供給装置から供給する加熱風の風圧は、溶媒蒸発の均一性を考慮し、50Pa〜5000Paが好ましい。
加熱風供給装置101′b2による無端ドラム支持体101′a1上のウェエブ3′へ供給する加熱風の温度は、一定の温度で乾燥してもよいし、無端ドラム支持体101′a1の回動方向で数段階の温度に分けて供給しても構わない。
本図に示す加熱装置101′bは加熱風を使用した場合を示しているが、加熱手段としては特に限定はなく、この他に、例えば無端ドラム支持体101′a1上のウェブを赤外線ヒーターで加熱する方法、無端ドラム支持体101′a1の内側から加熱する方法等が挙げられ、必要に応じて適宜選択することが可能である。
無端ドラム支持体101′a1の上にドープを流延した後、無端ドラムト支持体101′a1からウェブ3′を剥離までの間での時間は作製する光学用フィルムの膜厚、使用溶媒によって異なるが、無端ドラム支持体101′a1からの剥離性を考慮し、決めることが好ましい。無端ドラム支持体101′a1よりウェブ3′を剥離する時の残留溶媒量は、図1(a)に示される無端ベルト支持体101a1と同じである。その他の符号は図1(a)と同じである。
本図に示す製造装置1′aの場合、無端ドラム支持体より剥離し、第1乾燥工程102と延伸工程103と、第2乾燥工程104と、巻き取り工程105の各工程での残留溶媒量、延伸率、伸縮率等は図1(a)と同じである。
本発明に係わる残留溶媒量(質量%)の値は、一定の大きさのウェブ(防眩性フィルム)を115℃で1時間乾燥した時のウェブ(防眩性フィルム)の質量をBとし、乾燥前のウェブ(防眩性フィルム)の質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
図2は図1(a)に示す無端ベルト支持体の拡大概略図である。図2(a)は図1(a)のPで示される部分の拡大概略断面図である。図2(b)は図2(a)のPで示される部分の拡大概略図である。図2(c)は図1(a)に示す無端ベルト支持体の拡大概略平面図である。
図中、5は無端ベルト支持体101a1の上に設けられた剥離可能な樹脂膜を示す。501は樹脂膜5のドープ2(図1参照)を流延する表面を示し、表面501は防眩機能を考慮し、中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの凹凸形状を設けることが好ましい。
中心線平均粗さRaは、ミツトヨ(株)製小形表面粗さ測定機SJ−402を使用し、測定した値を示す。
尚、図1(b)に示される無端ドラム支持体101′a1の表面に形成される樹脂膜の表面も本図に示す樹脂膜と同じ中心線平均粗さRaを有している。
Eは樹脂膜5の厚さを示す。厚さEは、表面に設けられた凹凸形状の内、最大の高さの凸形状部の頂点から無端ベルト支持体101a1の表面までの厚さを示す。厚さEは、膜強度、耐用時間、熱伝導効率、乾燥時間等を考慮し、0.8mm〜1.5mmが好ましい。厚さEは、キーエンス(株)製CCDレーザー変位センサーLK−080を使用し測定した値を示す。
尚、図1(b)に示される無端ドラム支持体101′a1の表面に形成される樹脂膜の厚さも本図に示す樹脂膜の厚さと同じである。
Fは無端ベルト支持体101a1の幅を示す。幅Fは1700mm〜2700mmが好ましい。
Gは無端ベルト支持体101a1の表面に形成された樹脂膜の幅を示す。幅Gは、無端ベルト支持体の反り、樹脂膜形成時の塗布幅安定性等を考慮し、無端ベルト支持体101a1の幅に対して、90%〜95%が好ましい。
尚、図1(b)に示される無端ドラム支持体101′a1の表面に形成される樹脂膜の幅は、無端ドラムト支持体101′a1の幅に対して90%〜95%が好ましい。Hは樹脂膜5の上に流延するドープの幅を示す。幅Hは樹脂膜5の幅に対して、10mm〜20mm狭いことが好ましい。
尚、図1(b)に示される無端ドラム支持体101′a1の表面に形成された樹脂膜の上に流延するドープの幅も樹脂膜の幅に対して本図に示す幅と同じである。
樹脂膜5に使用される樹脂としては、使用するドープの溶剤に対する耐性、ドープ中の溶媒を除去するための温度に対する耐性を有していれば特に限定はなく、熱可塑性樹脂、紫外線及び電子線照射等の活性光線照射処理、湿気硬化処理、2液混合或いは加熱処理の硬化型樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えばゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
活性線硬化型樹脂としては、1)エポキシ基を1分子内に2個以上含んだ化合物、2)10〜150℃の温度で光照射によりカチオンを発生する化合物を少なくとも含む樹脂を用いることが好ましい。カチオン重合により高分子化の起こるタイプ(主にエポキシタイプ)のエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマー、モノマーは、1分子内にエポキシ基を2個以上含有するプレポリマーを挙げることが出来る。この様なプレポリマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類及びエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることが出来る。これらのプレポリマーは、その一種を単独で使用することも出来るし、又、その二種以上を混合して使用することも出来る。又、活性線硬化性樹脂として、オキセタン基を有する化合物も挙げられる。
湿気硬化型としては、分子末端にイソシアネート基含有ウレタンポリマーを主成分とし、このイソシアネート基が水分と反応して架橋構造を形成するものがある。湿気硬化型樹脂としては、例えば住友スリーエム社製TE030、TE100、日立化成ポリマー社製ハイボン4820、カネボウエヌエスシー社製ボンドマスター170シリーズ、Henkel社製Macroplast QR 3460、積水化学工業社製エスダインシリーズ等が挙げられる。
熱硬化型樹脂としては、熱することにより硬化が進み硬化後の分子は一般に3次元の網状となるもので、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系、ポリエステル系、ポリアミド系、熱可塑性エラストマー系、ポリオレフィン系などが挙げられる。図1(b)に示す無端ドラム支持体101′a1の場合も、これらと同じ樹脂の使用が可能である。
図1(a)に示す無端ベルト支持体及び図1(b)に示す無端ドラムト支持体の表面に形成される樹脂膜の表面に凹凸形状を形成する方法としては、次の2通りの方法が挙げられる。1)無端ベルト支持体上に樹脂膜を形成し、形成した樹脂膜の表面に凹凸形状形成用の鋳型を押し当てて形成する方法。2)無端ベルト支持体上に樹脂膜を形成する際、樹脂中に粒子を混ぜた塗布液を無端ベルト支持体上に塗布し、乾燥することで形成する方法が挙げられる。以下に樹脂膜の表面に凹凸形状を形成する方法に付き説明する。
図3は図1(a)に示される無端ベルト支持体上の樹脂膜の表面に鋳型を使用し凹凸形状を形成する方法の概略フロー図である。
以下、フロー図に従って鋳型を使用し樹脂膜の表面に凹凸形状を形成する方法に付き説明する。
Step1では、ロール101a2とロール101a3とで保持され、回動(図中の矢印方向)が可能となっている無端ベルト支持体101a1に樹脂を塗設する樹脂供給装置7が配設される。樹脂供給装置7の配設する位置は特に限定はないが、流延ダイを設置する場所が新たな設備を付加する必要がないことから好ましい。樹脂供給装置7としては、ホッパー、ギーサー、キャスティングボックスなどと呼ばれる真鍮製V字型の箱が好ましい。又、塗設装置として通常使用する流延ダイや押し出しコーター等を使用してもよいが、新たに塗設用の送液配管や送液ポンプを設備化する必要が生じる。
Step2では、樹脂供給装置7に樹脂層形成用の樹脂溶液8が充填される。充填される量は、予め塗布幅と乾燥後の厚さと無端ベルト支持体101a1との長さから無端ベルト支持体101a1の一周分を塗設するのに必要な計算で求めた量を充填する。必要とする樹脂膜の厚さになる様に供給口701の高さを調整し、樹脂供給装置7から樹脂溶液8を自然流下させ無端ベルト支持体101a1の表面に塗設する。
Step3では、無端ベルト支持体101a1の一周分に樹脂溶液8が塗設される。この後、シーズヒーターと呼ばれる直管状のヒーター(不図示)を押し当てて塗設した塗膜の膜厚の修正が行われる。この段階では、塗膜は溶剤を含んだ状態となっている。
Step4では、ロール101a3の上に相当する位置に塗膜の表面に凹凸形状を付与する中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの形状を有する凹凸面形成用鋳型ロール9が配設し、塗膜の表面に押し当てながら金属ベルト支持体を一周動かし塗膜の表面に凹凸形状を転写する。転写することで塗膜の表面に中心線平均粗さRaが0.05μm〜10μmの凹凸形状が形成される。
押圧力は、線圧で5N/cm〜500N/cm、更に好ましくは30N/cm〜500N/cmから熱可塑性樹脂の種類、形成する凹凸の形状、温度等を考慮して適宜決定される。尚、凹凸面形成用鋳型ロールは少なくとも2つの中心線平均粗さRaが異なる鋳型を押し当てて塗膜の表面に中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの凹凸形状を形成することも可能である。
この後、使用した樹脂の種類に合わせ樹脂を硬化させ、凹凸形状を固定することで表面に中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの凹凸形状を有する樹脂膜5が形成される。樹脂を硬化する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂の場合は加熱し、紫外線硬化樹脂の場合は紫外線を照射、熱可塑性樹脂の場合は乾燥する方法が挙げられる。
無端支持体が図1(b)に示される無端ドラム支持体の場合も本図に示されるStep1〜Step4のフローに従って中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの凹凸形状を有する樹脂膜を形成することが可能である。
図4は図1(a)に示される無端ベルト支持体上の樹脂膜の表面に粒子を使用し凹凸形状を形成する方法の概略フロー図である。
以下、フロー図に従って粒子を使用し樹脂膜の表面に凹凸形状を形成する方法に付き説明する。
Step1では、ロール101a2とロール101a3とで保持され、回動(図中の矢印方向)が可能となっている無端ベルト支持体101a1に樹脂を塗設する樹脂供給装置7が配設される。樹脂供給装置7の配設する位置は特に限定はないが、流延ダイを設置する場所が新たな設備を付加する必要がないことから好ましい。樹脂供給装置としては、ホッパー、ギーサー、キャスティングボックスなどと呼ばれる真鍮製V字型の箱が好ましい。又、塗設装置として通常使用する流延ダイや押し出しコーター等を使用してもよいが、新たに塗設用の送液配管や送液ポンプを設備化する必要が生じる。
Step2では、樹脂供給装置7に粒子を分散した樹脂層形成用の樹脂溶液9が充填される。充填される量は、予め塗布幅と乾燥後の厚さと無端ベルト支持体101a1との長さから無端ベルト支持体の一周分を塗設するのに必要な計算で求めた量を充填する。
必要とする樹脂膜の厚さになる様に供給口701の高さを調整し、樹脂供給装置7から樹脂溶液9を自然流下させ無端金属ベルト支持体101a1の表面に塗設する。
使用する粒子の平均粒径は3μm〜10μmが好ましい。平均粒径は、日機装(株)製 マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300EXIIにより測定した値を示す。尚、使用する粒子は少なくとも2種類の平均粒子径の異なる粒子材料を添加してもよい。
樹脂溶液9の粒子固形分量は、使用する粒子径と樹脂膜厚により異なるが樹脂100質量部に対して5質量部〜40質量部が好ましい。
粒子の分散は次の方法で行った。上記微粒子を分散する分散機は通常の分散機が使用出来る。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作り出す装置である。
高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が10MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは20MPa以上である。又その際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)或いはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等を挙げることが出来る。
Step3では、無端ベルト支持体101a3の一周分に樹脂溶液9が塗設される。この後、シーズヒーターと呼ばれる直管状のヒーター(不図示)を押し当てて塗設した塗膜の膜厚の修正を行う。この後、使用した樹脂の種類に合わせ樹脂を硬化させることで表面に中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの凹凸形状を有する樹脂層5が形成される。樹脂を硬化する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂の場合は加熱し、紫外線硬化樹脂の場合は紫外線を照射、熱可塑性樹脂の場合は乾燥する方法が挙げられる。
無端支持体が図1(b)に示される無端ドラム支持体の場合も本図に示されるStep1〜Step3のフローに従って中心線平均粗さRaが3μm〜10μmの凹凸形状を有する樹脂膜を形成することが可能である。
樹脂溶液に分散する粒子は特に限定なく、無機微粒子又は有機微粒子が挙げられる。無機微粒子としては、例えば、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。これらは球状、平板状、無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
有機微粒子としては、例えば、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン系樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン系樹脂微粒子、ポリスチレン系樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン系樹脂微粒子、メラミン系樹脂微粒子、ポリオレフィン系樹脂微粒子、ポリエステル系樹脂微粒子、ポリアミド系樹脂微粒子、ポリイミド系樹脂微粒子、又はポリ弗化エチレン系樹脂微粒子等を挙げることが出来る。
図5は図1(a)に示す溶液流延製膜装置の無端ベルト支持体の表面から樹脂膜の剥離する状態を示す拡大概略フロー図である。
以下、フロー図に従って凹凸形状を有する樹脂膜を剥離する方法に付き説明する。
Step1では、ロール101a2とロール101a3とで保持され、回動(図中の矢印方向)が可能となっている表面に凹凸形状を有する樹脂膜を配設した無端ベルト支持体101a1が準備される。
Step2では、樹脂膜5のドープが流延されない端部に切り込み部Tを形成する。切り込み部Tは鋭利な刃物で樹脂膜5の上から無端ベルト支持体101a1の表面に達するまで行うことが好ましい。又、切り込み部Tの無端ベルト支持体101a1の幅方向の長さは、ドープが流延される領域に切り込みが達しないことが好ましい。ドープが流延される領域にまで切り込みを行うと、無端ベルト支持体101a1の表面に傷を付けてしまい、樹脂膜5を剥離した後に製造する樹脂フィルムに傷跡が転写し故障となるため好ましくない。切り込み部Tは両端に付けても構わない。本図は片側に切り込み部Tを付けた場合を示している。
Step3では、樹脂膜5に付けられ切り込み部Tの樹脂膜5の端部を持ち、樹脂膜5を引っ張ることで無端ベルト支持体101a1の表面から樹脂膜5が剥離される。樹脂膜5を剥離する方法は特に限定はなく、例えば次の方法が挙げられる。
1)無端ベルト支持体101a1を固定し、樹脂膜5の切り込み部の少なくとも一方の端部を把持し、剥離方向に引っ張ることで剥離する。
2)樹脂膜5の切り込み部の少なくとも一方の端部を固定し、無端ベルト支持体101a1を回動させることで剥離する。
3)樹脂膜5の切り込み部の少なくとも一方の端部を把持し、無端ベルト支持体101a1を回動させるのに合わせ、無端ベルト支持体101a1の回動方向と反対方向に引っ張ることで剥離する。
樹脂膜5を剥離する時の剥離速度、張力等の条件は、樹脂膜5の種類、厚さ等により変化するため決めることはは出来ないが、樹脂膜5が破断しない様に適宜条件を設定し行うことが好ましい。又、剥離の際、破断した場合は、破断した箇所の樹脂膜の端部を引っ張ることで剥離することが可能である。
樹脂膜5の剥離が終了し、無端ベルト支持体101a1の表面をメチレンクロライド,純水等で清掃した後、無端ベルト支持体101a1は通常の平坦な樹脂フィルムの製造に使用することが可能となる。又、表面に凹凸を有する樹脂フィルムを製造する場合は、図3又は図4のフローに従って無端ベルト支持体101a1の表面に樹脂膜を形成することで可能となる。
尚、無端支持体が図1(b)に示される無端ドラム支持体の場合も本図に示されるStep1〜Step3のフローに従って樹脂膜を剥離することが可能である。又、剥離した後、通常の平坦な樹脂フィルムの製造に使用することが可能となる。
図1〜図5に示す様に無端支持体の上に剥離可能な表面に凹凸形状を有する樹脂膜を形成した無端支持体を使用し樹脂フィルムを製造することで次の効果が得られる。
1)1台の流延装置で表面が平滑な樹脂フィルムと、表面に凹凸形状を有する樹脂フィルムの両方を製造することが可能であるため、機能に併せた流延装置の設置を必要としないため製造コストを抑えることが可能となった。
2)流延速度に合わせ表面に凹凸形状を有する樹脂フィルムの製造が可能であるため、生産効率の低下を防止することが可能となった。
3)必要とする凹凸形状に合わせ樹脂膜に凹凸形状を形成するのが容易であるため、樹脂フィルムの性能変更が容易であり、多機能の樹脂フィルムの生産が1台の流延装置で素早く行えることが可能となった。
次に、本発明の樹脂フィルムを製造に使用する材料に付き説明する。
(樹脂材料)
樹脂フィルムを形成する樹脂であれば特に限定はなく、例えば、セルロースジアセテート樹脂、セルローストリアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂等のセルロースエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、セロファン、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、シンジオタクティックポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ナイロン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂等を挙げることが出来る。中でも、セルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンを含む)系樹脂が好ましく、光学用フィルムとしては特にセルロースエステル系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート系樹脂が、製造上、コスト面、透明性、接着性等の観点から好ましく用いられる。
本発明に係わるセルロースエステル系樹脂に付き説明する。セルロースエステル系樹脂は、セルロースアセテート樹脂、セルロースプロピオネート樹脂、セルロースブチレート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂が好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートフタレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂が好ましく用いられる。
特にアセチル基の置換度をX、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、XとYが下記の範囲にあるセルロースの混合脂肪酸エステルを有するセルロースエステル系樹脂が好ましく用いられる。
式(I) 2.0≦X+Y≦2.6
式(II) 0.1≦Y≦1.2
更に2.4≦X+Y≦2.6、1.4≦X≦2.3のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)樹脂が好ましい。中でも2.4≦X+Y≦2.6、1.7≦X≦2.3、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート(総アシル基置換度=X+Y)樹脂が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらのセルロースエステル系樹脂は公知の方法で合成することが出来る。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することが出来る。
本発明の防眩性フィルムとして、セルロースエステル系樹脂を用いる場合、セルロースエステル系樹脂の原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることが出来る。又それらから得られたセルロースエステル系樹脂はそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。これらのセルロースエステル系樹脂は、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いてセルロース原料と反応させて得ることが出来る。
アシル化剤が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C37COCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には、特開平10−45804号に記載の方法等を参考にして合成することが出来る。又、本発明に用いられるセルロースエステル系樹脂は各置換度に合わせて上記アシル化剤量を混合して反応させたものであり、セルロースエステル系樹脂はこれらアシル化剤がセルロース分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度(モル%)と言う。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している(実際には2.6〜3.0)。
本発明に用いられるセルロースエステル系樹脂としては、前述のようにセルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、又はセルロースアセテートプロピオネートブチレート樹脂のようなアセチル基の他にプロピオネート基又はブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。尚、プロピオネート基を置換基として含むセルロースアセテートプロピオネート樹脂は耐水性に優れ、液晶画像表示装置用のフィルムとして有用である。
セルロースエステル系樹脂の数平均分子量は、40000〜200000が、成型した場合の機械的強度が強く、且つ、溶液流延法の場合は適度なドープ粘度となり好ましく、更に好ましくは、50000〜150000である。又、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.4〜4.5の範囲であることが好ましい。
本発明に係わるシクロオレフィン樹脂について説明する。本発明に用いられるシクロオレフィン樹脂は脂環式構造を含有する重合体樹脂からなるものである。好ましいシクロオレフィン樹脂は、環状オレフィンを重合又は共重合した樹脂である。環状オレフィンとしては、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これら環状オレフィンには置換基として極性基を有していてもよい。極性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられ、特に、エステル基、カルボキシル基又はカルボン酸無水物基が好適である。
好ましいシクロオレフィン樹脂は、環状オレフィン以外の単量体を付加共重合したものであってもよい。付加共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなどのエチレン又はα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどのジエン等が挙げられる。
環状オレフィンは、付加重合反応或いはメタセシス開環重合反応によって得られる。重合は触媒の存在下で行われる。付加重合用触媒として、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。開環重合用触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる重合触媒;或いは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる重合触媒などが挙げられる。重合温度、圧力等は特に限定されないが、通常−50℃〜100℃の重合温度、0〜490N/cm2の重合圧力で重合させる。
本発明に係わるシクロオレフィン樹脂は、環状オレフィンを重合又は共重合させた後、水素添加反応させて、分子中の不飽和結合を飽和結合に変えたものであることが好ましい。水素添加反応は、公知の水素化触媒の存在下で、水素を吹き込んで行う。水素化触媒としては、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウムの如き遷移金属化合物/アルキル金属化合物の組み合わせからなる均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金などの不均一系金属触媒;ニッケル/シリカ、ニッケル/けい藻土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/けい藻土、パラジウム/アルミナの如き金属触媒を担体に担持してなる不均一系固体担持触媒などが挙げられる。
或いは、シクロオレフィン樹脂として、下記のノルボルネン系樹脂も挙げられる。ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン骨格を繰り返し単位として有していることが好ましく、その具体例としては、例えば特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報、特開平5−2108号公報、特開平5−39403号公報、特開平5−43663号公報、特開平5−43834号公報、特開平5−70655号公報、特開平5−279554号公報、特開平6−206985号公報、特開平7−62028号公報、特開平8−176411号公報、特開平9−241484号公報、特開2001−277430号公報、特開2003−139950号公報、特開2003−14901号公報、特開2003−161832号公報、特開2003−195268号公報、特開2003−211588号公報、特開2003−211589号公報、特開2003−268187号公報、特開2004−133209号公報、特開2004−309979号公報、特開2005−121813号公報、特開2005−164632号公報、特開2006−72309号公報、特開2006−178191号公報、特開2006−215333号公報、特開2006−268065号公報、特開2006−299199号公報等に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、これらは、一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。具体的には、日本ゼオン(株)製ゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製アートン、三井化学(株)製アペル(APL8008T、APL6509T、APL6013T、APL5014DP、APL6015T)などが好ましく用いられる。
本発明に係わるシクロオレフィンポリマーの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、5000〜500000、好ましくは8000〜200000、より好ましくは10000〜100000の範囲である時に、成形体の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
又、シクロオレフィンポリマー100質量部に対して、低揮発性の酸化防止剤を0.01〜5質量部の割合で配合すると、成形加工時のポリマーの分解や着色を効果的に防止することが出来る。
本発明に係わるポリカーボネート系樹脂に付き説明する。ポリカーボネート系樹脂としては種々があり、化学的性質及び物性の点から芳香族ポリカーボネートが好ましく、特にビスフェノールA系ポリカーボネートが好ましい。その中でも更に好ましくはビスフェノールAにベンゼン環、シクロヘキサン環、叉は脂肪族炭化水素基などを導入したビスフェノールA誘導体を用いたものが挙げられるが、特に中央炭素に対して非対称にこれらの基が導入された誘導体を用いて得られた、単位分子内の異方性を減少させた構造のポリカーボネートが好ましい。例えばビスフェノールAの中央炭素の2個のメチル基をベンゼン環に置き換えたもの、ビスフェノールAのそれぞれのベンゼン環の1つの水素をメチル基やフェニル基などで中央炭素に対し非対称に置換したものを用いて得られるポリカーボネート樹脂が好ましい。具体的には、4,4′−ジヒドロキシジフェニルアルカン又はこれらのハロゲン置換体からホスゲン法又はエステル交換法によって得られるものであり、例えば4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルブタン等を挙げることが出来る。又、この他にも例えば、特開2006−215465号公報、特開2006−91836号公報、特開2005−121813号公報、特開2003−167121号公報等に記載されているポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
本発明に使用されるポリカーボネート樹脂よりなる防眩性フィルムはポリスチレン系樹脂或いはメチルメタクリレート系樹脂或いはセルロースアセテート系樹脂等の透明樹脂と混合して使用してもよいし、又セルロースアセテート系フィルムの少なくとも一方の面にポリカーボネート樹脂を積層してもよい。
本発明において使用されるポリカーボネート系樹脂よりなる防眩性フィルムはガラス転移点(Tg)が110℃以上であって、吸水率(23℃水中、24時間の条件で測定した値)が0.3%以下のものを使用するのがよい。より好ましくはTgが120℃以上であって、吸水率が0.2%以下のものを使用するのがよい。
(ドープ)
ドープを作製する際に使用される溶媒としては、上記樹脂を溶解出来る溶媒であれば何でもよく、又単独で溶解出来ない溶媒であっても他の溶媒と混合することにより、溶解出来るものであれば使用することが出来る。一般的には良溶媒と、貧溶媒からなる混合溶媒が用いられている。尚、使用する樹脂を単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するか又は溶解しないものを貧溶剤と定義している。例えばセルロースエステル系樹脂の場合、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。セルロースエステル系樹脂の場合、良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。
使用する樹脂により、良溶剤及び貧溶剤は異なってくるのでセルロースエステル系樹脂の場合に付き説明する。良溶媒としては、例えばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来るが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオキソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられる。
貧溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘクサン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることが出来、これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わせて用いることが出来る。
次にセルロースエステル系樹脂を使用したドープを調製方法に付き述べる。ドープを調製する時の、セルロースエステル系樹脂の溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。又、セルロースエステル系樹脂を貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。又、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステル系樹脂を溶解させることが出来る。
次に、このセルロースエステル系樹脂溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。又、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
(可塑剤)
可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来る。リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等が挙げられる。トリメリット酸系可塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等が挙げられる。ピロメリット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等が挙げられる。グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が挙げられる。クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等が挙げられる。ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグリコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸などを用いることが出来る。
グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコールなどを用いることが出来る。これらの二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。ポリエステルの分子量は重量平均分子量で500〜2000の範囲にあることが、セルロースエステルとの相溶性の点から好ましい。
又、本発明では特に200℃における蒸気圧が1333Pa未満の可塑剤を用いることが好ましく、より好ましくは蒸気圧666Pa以下、更に好ましくは1〜133Paの化合物である。不揮発性を有する可塑剤は特に限定されないが、例えばアリーレンビス(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレシル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、上記ポリエステル可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は単独或いは2種以上併用して用いることが出来る。
可塑剤の使用量は寸法安定性、加工性の点を考慮すると、セルロースエステル系樹脂に対して、1〜40質量%添加させることが出来、3〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、更に好ましくは4〜15質量%である。3質量%未満の場合は、スリット加工や打ち抜き加工した際、滑らかな切断面を得ることが出来ず、切り屑の発生が多くなる。
本発明の防眩性フィルムには酸化防止剤や紫外線吸収剤などを添加することが好ましい。上記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。又例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
又、この他、カオリン、タルク、けい藻土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。
本発明の製造方法で製造された防眩性フィルムは、偏光板又は液晶表示用部材等に使用することが可能であり、この場合、偏光板又は液晶等の劣化防止のため、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。具体的には380nmの透過率が10%未満であることが好ましく、特に5%未満であることがより好ましい。
好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。例えば、特開平10−182621号、特開平8−337574号、記載の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。又、特開平6−148430号、特開平12−273437号に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。或いは特開平10−152568号に記載されている紫外線吸収剤を加えてもよい。
これらの紫外線吸収剤の中では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましい紫外線吸として挙げられる。以下にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール(TINUVIN171、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートとの混合物(TINUVIN109、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
以下にベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル系樹脂中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加することが好ましい。紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤としての効果、透明性等を考慮し、0.1質量%〜2.5質量%が好ましい。更に、好ましくは、0.8質量%〜2.0質量%%である。
又、セルロースエステル系樹脂フィルムには、フィルム同士の張り付きを防止したり、滑り性を付与したりして、ハンドリングしやすくするために、マット剤として微粒子を添加してもよい。微粒子としては、無機化合物の微粒子又は有機化合物の微粒子が挙げられる。無機化合物としては、珪素を含む化合物、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくは、珪素を含む無機化合物や酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステル積層フィルムの濁度を低減出来るので、二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の微粒子としては、例えばアエロジル株式会社製のAEROSIL−200、200V、300、R972、R972V、R974、R976、R976S、R202、R812,R805、OX50、TT600、RY50、RX50、NY50、NAX50、NA50H、NA50Y、NX90、RY200S、RY200、RX200、R8200、RA200H、RA200HS、NA200Y、R816、R104、RY300、RX300、R106などが挙げられる。これらの内、分散性や粒径を制御する点では、AEROSIL−200V、R972Vが好ましい。
酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用出来る。
有機化合物としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好ましく、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)等の商品名を有する市販品が使用出来る。
本発明に係る微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。
微粒子の、見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、又、本発明のように固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることが出来る。又例えばアエロジル200V、アエロジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することが出来る。
尚、見掛比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出した。
見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)÷二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に係る微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
《調製方法A》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
《調製方法B》
溶剤と微粒子を撹拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。ここで添加するセルロースエステルとして、本発明の固形物を添加することが特に好ましい。これに前記微粒子分散液を加えて撹拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
《調製方法C》
溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
セルロースエステルに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部が更に好ましく、0.08〜0.12質量部が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低く、凝集物も少ない点が優れている。
分散機は通常の分散機が使用出来る。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作り出す装置である。高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。又その際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
上記のような高圧分散装置にはMicrofluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)或いはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械(株)製UHN−01等が挙げられる。
又、これらの微粒子はフィルムの厚み方向で均一に分布していてもよいが、より好ましくは主に表面近傍に存在するように分布していることが好ましく、例えば、共流延法により、2種以上のドープを用いて、微粒子を主に表層側に配置されたドープに添加することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。好ましくは3種のドープを使用して表層側の2つのドープに主に微粒子を添加することが望ましい。
又、本発明の樹脂フィルムには導電性を有する物質を添加することで好ましいインピーダンスを有する防眩性フィルムを得ることも出来る。導電性物質としては特に限定はされないが、イオン導電性物質や導電性微粒子或いはセルロースエステルと相溶性を有する帯電防止剤などを用いることが出来る。
ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のことであるが、例えば、イオン性高分子化合物を挙げることが出来る。
イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号に見られるようなアニオン性高分子化合物、例えば特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などに見られるような、主鎖中に解離基を持つアイオネン型ポリマー、特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号に見られるような、側鎖中にカチオン性解離基を持つカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることが出来る。
又、導電性微粒子の例としては導電性を有する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いはこれらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2に対してはNb、Ta等の添加、又SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的である。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特に好ましい。
又、これらの導電性を有する金属酸化物粉体の体積抵抗率は107Ωcm以下特に105Ωcm以下であって、1次粒子径が10nm以上0.2μm以下で、高次構造の長径が30nm以上6μm以下である特定の構造を有する粉体を樹脂フィルム内の少なくとも一部の領域に体積分率で0.01%以上20%以下含んでいることが好ましい。
特に好ましくは、特開平9−203810号に記載されているアイオネン導電性ポリマー或いは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマーなどを含有することが望ましい。
架橋型カチオン性導電性ポリマーの特徴は、得られる分散性粒状ポリマーにあり、粒子内のカチオン成分を高濃度、高密度に持たせることが出来るため、優れた導電性を有しているばかりでなく、低相対湿度下においても導電性の劣化は見られず、粒子同志も分散状態ではよく分散されているにもかかわらず、塗布後造膜過程において粒子同志の接着性もよいため膜強度も強く、又他の物質、例えば基体にも優れた接着性を有し、耐薬品性に優れている。
架橋型のカチオン性導電性ポリマーである分散性粒状ポリマーは一般に約0.01μm〜0.3μmの粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05μm〜0.15μmの範囲の粒子サイズが用いられる。ここで用いている「分散性粒状ポリマー」の語は、視覚的観察によって透明又はわずかに濁った溶液に見えるが、電子顕微鏡の下では粒状分散物として見えるポリマーである。
帯電防止剤もしくはマット剤の添加は樹脂フィルムの表層部(表面から10μmの部分)に含まれていることが好ましく、共流延等の方法によって樹脂フィルムの表面に帯電防止剤及び/又はマット剤を含有させることが好ましい。具体的には、導電性物質及び/又はマット剤を含有するドープAと実質的にこれらを含有しないドープBを使用し、ドープBの少なくとも片側の面にドープAがあるように流延されることが好ましい。
必要に応じて、更に帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤、マット剤、その他添加剤を加えてもよい。
本発明の製造方法により製造された樹脂フィルムは、光学用フィルムとして使用することが可能である。無端支持体の上に凹凸形状を有する樹脂膜を形成した無端支持体を使用した作製した樹脂フィルムは防眩性フィルムとして使用することが可能である。又、防眩性フィルム上に少なくとも1層の反射防止層を設けることで防眩性反射防止フィルムとして使用することが可能であり、本発明の製造方法で作製された光学用フィルムは偏光板、液晶表示装置に用いることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図1(a)に示される製造装置を使用し、光学用フィルムとして防眩性フィルムと保護フィルムを次に示す方法で作製した。
(防眩性フィルム製造用の溶液流延製膜装置の準備)
(表面が凹凸面の樹脂膜で被覆された無端ベルト支持体の作製)
表面の中心線平均粗さRaが3μmの樹脂膜を有する図2(b)に示す無端ベルト支持体を図3に示すフローに従い作製した。
(基体の準備)
幅2000mmの表面が鏡面仕上げのステンレス製の図1(a)に示す2つの保持ロールで保持された無端ベルト状の基体を準備した。
(凹凸面形成用鋳型1ールの準備)
表面に中心線平均粗さRaが3μmの凹凸形状を有する、直径100mm、幅1800mmのステンレス製の凹凸面形成用鋳型ロールを準備した。
(樹脂膜形成用塗布液の塗布)
下記に示す樹脂膜形成用塗布液を樹脂供給装置としてホッパーを使用し、ダイスの設置位置にホッパーを無端ベルト表面から高さ3.3mmとなる様に設置した。この後、準備した基体の上に厚さ1.0mm、幅1800mm(基体の幅に対して90%とした)で一周を塗布し、塗布膜の厚さを一定にするためシーズヒーターで修正した。
樹脂膜形成用塗布液の調製
樹脂:ゼラチン 30質量部
溶媒:水 70質量部
硬膜剤:クロムミョウバン 0.3質量部
塗布条件
基体の回動速度を4m/min、温度を40℃とした。
(樹脂膜の表面への凹凸形状の形成)
基体の上に樹脂膜形成用塗布液を塗布し、厚さを均一にした後、準備した凹凸面形成用鋳型ロールを基体を保持しているロールの上に回転可能に設置し、押圧力は線圧で50N/cmとし、無端ベルト支持体を4m/minで動かし、一周分に凹凸形状を転写した。この後、温度90℃で加熱処理で樹脂塗膜を硬化し凹凸形状を固定化し、中心線平均粗さRaが3μmの凹凸形状を表面に形成し溶液流延製膜装置wとした。
中心線平均粗さRaはキーエンス(株)製CCDレーザー変位センサーLK−080を使用し測定した。
(防眩性フィルムの作製)
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製)) 11質量部
(1次粒子の平均径16nm、見掛比重90g/リットル)
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに下記セルロースエステル樹脂を添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を十分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.5、プロピオニル基置換度1.0、総アシル基置換度2.5) 4質量部
微粒子分散液 11質量部
〈主ドープの調製〉
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクに良溶媒としてメチレンクロライド、貧溶媒としてエタノールを添加した。溶媒の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートプロピオネート樹脂を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
主ドープを100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合しドープとした。
〈主ドープの組成〉
メチレンクロライド 390質量部
エタノール 80質量部
セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.5、プロピオニル基
置換度1.0、総アシル基置換度2.5) 100質量部
可塑剤:芳香族末端エステルサンプルNo.4 5質量部
可塑剤:トリメチロールプロパントリベンゾエート 5.5質量部
紫外線吸収剤:チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
1質量部
紫外線吸収剤:チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製)
1質量部
(防眩性フィルムの作製)
準備した中心線平均粗さRaが3μmの凹凸形状を表面に形成した無端ベルト支持体を有する溶液流延製膜装置wを使用した図1(a)に示す製造装置Wを使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に準備したドープを流延幅1780mmで流延した。剥離点でウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの延伸率(伸縮率)が−1.5%の防眩性フィルムを作製し試料No.101とした。
残留溶媒量(質量%)の値は、一定の大きさのウェブ(防眩性フィルム)を115℃で1時間乾燥した時のウェブ(防眩性フィルム)の質量をBとし、乾燥前のウェブ(防眩性フィルム)の質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
流延工程以降の乾燥条件を以下に示す。
第1乾燥工程の乾燥条件
無端ベルト支持体からの剥離張力は150N/mの設定値で行い、第1乾燥工程の乾燥温度50℃とした。
第2乾燥工程の乾燥条件
第2乾燥工程の乾燥温度110℃とした。
巻き取り工程
巻き取り機は、定テンション法を使用し、張力200N/mで巻き取った。
保護フィルムの製造
(保護フィルム製造用の溶液流延製膜装置の準備)
防眩性フィルム製造用として準備した溶液流延製膜装置wの無端ベルト支持体の上に形成された樹脂膜を図5に示すフローに従って次に示す条件で剥離した後、無端ベルト支持体の表面を純水で清掃し、表面が鏡面仕上げのステンレス製の無端ベルト支持体を有する溶液流延製膜装置xとした。
樹脂膜の端部に、無端ベルト支持体に到達する深さ(樹脂膜の厚さ分)で、樹脂膜の幅方向(回動方向と直角に交わる方向)に10mmの切り込み部を片側に設けた。この後、その切り込み部をきっかけとして幅方向に樹脂膜を剥離しながら切断した。樹脂膜の切断端部を手で保持し、樹脂膜が破断しないように、無端ベルト支持体を4m/minの速度で回動しながら手で巻き取り剥離した。
(保護フィルムの作製)
準備した表面が鏡面仕上げのステンレス製の無端ベルト支持体を有する溶液流延製膜装置xを使用した図1(a)に示す製造装置Xを使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に試料No.101と同じドープを流延幅1780mmで流延した。剥離点でウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの保護フィルムを作製し試料No.102とした。
残留溶媒量(質量%)の値は、一定の大きさのウェブ(防眩性フィルム)を115℃で1時間乾燥した時のウェブ(防眩性フィルム)の質量をBとし、乾燥前のウェブ(防眩性フィルム)の質量をAとした時、((A−B)/B)×100=残留溶媒量(質量%)で求めた値である。
流延工程以降の製造条件は試料No.101と同じ条件とした。
(ドープの調製)
試料No.101と同じドープを調製した。
評価
作製した試料No.101に付き防眩性について、試料No.102に付き平滑性を以下の方法で測定し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表1に示す。
防眩性の測定方法
各試料を平坦で水平な台に置き、40W蛍光灯(松下電器製FLR40S−EX−D/M)を5本並べて試料台に斜めから照らせるように高さ1.5mの高さに固定し、その写り込みを目視にて判定。
防眩性の評価ランク
○:蛍光灯の輪郭、及び外光がぼけて写り込みが全く気にならない
△:蛍光灯の輪郭、及び外光の写り込みが僅かに認められる
×:蛍光灯の輪郭、及び外光が分かり写り込みが気になる
平滑性の測定方法
平滑性についてミツトヨ(株)製小形表面粗さ測定機SJ−402を使用し測定した。
平滑性の評価ランク
○:中心線平均粗さRa 1μm未満
△:中心線平均粗さRa 1μm以上 1.5μm未満
×:中心線平均粗さRa 1.5以上
Figure 2009067023
本発明の試料No.101、試料No.102は溶液流延製膜装置の樹脂膜を剥離することで1台の製造装置で防眩性フィルムと保護フィルムとの製造が可能であり、生産効率が優れている。本発明の有効性が確認された。
実施例2
図1(a)に示される製造装置を使用し、光学用フィルムとして防眩性フィルムと保護フィルムを次に示す方法で作製した。
(防眩性フィルム製造用の溶液流延製膜装置の準備)
(表面が凹凸面の樹脂膜で被覆された無端ベルト支持体の作製)
表面の中心線平均粗さRaが3μmの樹脂膜を有する図2(b)に示す無端ベルト支持体pを図4に示すフローに従い作製した。
(基体の準備)
幅2000mmの表面が鏡面仕上げのステンレス製の図1(a)に示す2つの保持ロールで保持された無端ベルト状の基体を準備した。
(樹脂膜形成用塗布液の塗布)
下記に示す平均粒径が3μmの粒子を含んだ樹脂膜形成用塗布液を樹脂供給装置としてホッパーを使用し、ダイスの設置位置にホッパーを設置した。この後、準備した基体の上に厚さ1mm、幅1800mmで一周を塗布し、塗布膜の厚さを一定にするためシーズヒーターで修正した。
樹脂膜形成用塗布液の調製
樹脂:ゼラチン 30質量部
溶媒:水 70質量部
硬膜剤:クロムミョウバン 0.3質量部
粒子:シリカ 9質量部
粒子の分散は特殊機化工業(株)製のT.K.ホモミクサーMARKIIで撹拌し分散調製した。
塗布条件
基体の回動速度を4m/min、温度を40℃とした。
(樹脂膜の形成)
基体の上に樹脂膜形成用塗布液を塗布し、厚さを均一にした後、温度90℃で加熱処理で樹脂塗膜を硬化し、中心線平均粗さRaが3μmの凹凸形状の表面を有する樹脂膜を形成した。中心線平均粗さRaは実施例1と同じ方法で測定した。
(防眩性フィルムの作製)
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子分散液を調製した。
〈微粒子添加液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子添加液を調製した。
〈主ドープの調製〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ主ドープを調製した。
(防眩性フィルムの作製)
準備した中心線平均粗さRaが3μmの凹凸形状を表面に形成した無端ベルト支持体pを使用した図1(a)に示す製造装置Pを使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に準備したドープを幅1780mmで流延した。剥離点でウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの防眩性フィルムを実施例1と同じ条件で作製し試料No.201とした。
残留溶媒量(質量%)の値は、実施例1と同じ方法で測定した値を示す。流延工程以降の製造条件は実施例1と同じ条件とした。
保護フィルムの製造
(保護フィルム製造用の溶液流延製膜装置の準備)
防眩性フィルム製造用として準備した溶液流延製膜装置pの無端ベルト支持体の上に形成された樹脂膜を図5に示すフローに従って次に示す条件で剥離した後、無端ベルト支持体の表面を純水で清掃し、表面が鏡面仕上げのステンレス製の無端ベルト支持体を有する溶液流延製膜装置qとした。
樹脂膜の剥離条件
樹脂膜の端部に、無端ベルト支持体に到達する深さ(樹脂膜の厚さ分)で、樹脂膜の幅方向(回動方向と直角に交わる方向)に10mmの切り込み部を片側に設け、その切り込み部をきっかけとして幅方向に樹脂膜を剥離しながら切断した。この後、樹脂膜の切断端部を手で保持し、樹脂膜が破断しないように、無端ベルト支持体を4m/minの速度で回動しながら手で巻き取り剥離した。
(保護フィルムの作製)
準備した表面が鏡面仕上げのステンレス製の無端ベルト支持体を有する溶液流延製膜装置qを使用した図1(a)に示す製造装置Qを使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に実施例1の試料No.101と同じドープを流延幅1780mmで流延した。剥離点でウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの保護フィルムを作製し試料No.202とした。残留溶媒量(質量%)の値は、実施例1と同じ方法で測定した。流延工程以降の製造条件は試料No.101と同じ条件とした。
評価
作製した試料No.201に付き防眩性、試料No.202に付き平滑性を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。
Figure 2009067023
本発明の試料No.201、試料No.202は溶液流延製膜装置の樹脂膜を剥離することで1台の製造装置で防眩性フィルムと保護フィルムとの製造が可能であり、生産効率が優れている。本発明の有効性が確認された。
実施例3
(表面が凹凸面の樹脂層で被覆された無端ベルト支持体の作製)
表面の中心線平均粗さRaを変えた樹脂膜を有する図1(a)に示す無端ベルト支持体を図3に示すフローに従い作製した。
(基体の準備)
幅2000mmの表面が鏡面仕上げのステンレス製の図1(a)に示す2つの保持ロールで保持された無端ベルト状の基体を準備した。
(凹凸面形成用鋳型ロールの準備)
表面に中心線平均粗さRaが表3に示す様に変えた凹凸形状を有する、直径100mm、幅1800mmのステンレス製の凹凸面形成用鋳型ロールを準備しNo.3−a〜3−fとした。
Figure 2009067023
(樹脂層形成用塗布液の塗布)
下記に示す樹脂層形成用塗布液を樹脂供給装置としてホッパーを使用し、ダイスの設置位置に無端ベルト表面から高さ3.3mmとなる様に設置した。この後、準備した基体の上に厚さ1.0mm、幅1800mmで一周を塗布し、塗布膜の厚さを一定にするためシーズヒーターで修正した。
樹脂層形成用塗布液の調製
樹脂:ゼラチン 30質量部
溶媒:水 70質量部
硬膜剤:クロムミョウバン 0.3質量部
塗布条件
基体の回動速度を4m/min、温度を40℃とした。
(樹脂層の表面への凹凸形状の形成)
基体の上に樹脂層形成用塗布液を塗布し、厚さを均一にした後、準備した各凹凸面形成用鋳型ロールNo.3−a〜3−fを基体を保持しているロールの上に無端ベルト支持体の搬送方向と直角に、回転可能に順次設置し、押圧力50N/cm、無端ベルト支持体を4m/minで動かし、一周分に凹凸形状を転写した。この後、温度90℃で加熱処理で樹脂塗膜を硬化し凹凸形状を固定化し、表4に示す様な中心線平均粗さRaを有するの凹凸形状を表面に形成した無端ベルト支持体を作製しNo.3−1〜3−6とした。中心線平均粗さRaは実施例1と同じ方法で測定した。
Figure 2009067023
(防眩性フィルムの作製)
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子分散液を調製した。
〈微粒子添加液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子添加液を調製した。
〈主ドープの調製〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ主ドープを調製した。
(防眩性フィルムの作製)
準備した無端ベルト支持体No.3−1〜3−6を図1(a)に示す製造装置に使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に準備したドープを幅1780mmで流延した。剥離点でウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの防眩性フィルムを実施例1と同じ条件で作製し試料No.301〜306とした。
評価
作製した各試料No.301〜306に付き、防眩性を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価した結果を表5に示す。
Figure 2009067023
本発明の有効性が確認された。
実施例4
(表面が凹凸面の樹脂層で被覆された無端ベルト支持体の作製)
(基体の準備)
幅2000mmの表面が鏡面仕上げのステンレス製の図1(a)に示す2つの保持ロールで保持された無端ベルト状の基体を準備した。
(凹凸面形成用鋳型ロールの準備)
表6に示す様に直径100mm、長さ1800mmのステンレス製の中心線平均粗さRaが異なる2本の凹凸面形成用鋳型ロール1と凹凸面形成用鋳型ロール2とを準備し、表6に示す様に組み合わせ凹凸面形成用鋳型ロールNo.4−a〜4−eとした。
Figure 2009067023
(樹脂層形成用塗布液の塗布)
下記に示す樹脂層形成用塗布液を樹脂供給装置としてホッパーを使用し、ダイスの設置位置に無端ベルト表面から高さ3.3mmとなる様に設置した。この後、準備した基体の上に厚さ1.0mm、幅1800mmで一周を塗布し、塗布膜の厚さを一定にするためシーズヒーターで修正した。
樹脂層形成用塗布液の調製
樹脂:ゼラチン 30質量部
溶媒:水 70質量部
硬膜剤:クロムミョウバン 0.3質量部
塗布条件
基体の回動速度を4m/min、温度を40℃とした。
(樹脂層の表面への凹凸形状の形成)
基体の上に樹脂層形成用塗布液を塗布し、厚さを均一にした後、準備した2本で1組みの凹凸面形成用鋳型ロールNo.4−a〜4−eを基体を保持しているロールの上に無端ベルト支持体の搬送方向と直角に、回転可能に設置し、押圧力50N/cm、無端ベルト支持体を4m/minで動かし、一周分に凹凸形状を樹脂塗膜に転写した。この後、温度90℃で加熱処理して樹脂塗膜を硬化し凹凸形状を固定化し、表7に示す様な、表面の中心線平均粗さRaを有する樹脂膜で被覆された無端ベルト支持体を準備しNo.4−1〜4−5とした。中心線平均粗さRaは実施例1と同じ方法で測定した。
Figure 2009067023
(防眩性フィルムの作製)
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子分散液を調製した。
〈微粒子添加液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子添加液を調製した。
〈主ドープの調製〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ主ドープを調製した。
(防眩性フィルムの作製)
準備した無端ベルト支持体No.4−1〜4−5を使用し、図1(a)に示す製造装置を使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に準備したドープを幅1780mmで流延した。ウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの防眩性フィルムを実施例1と同じ条件で作製し試料No.401〜405とした。
評価
作製した各試料No.401〜405に付き、防眩性を実施例1と同じ方法で測定し、実施例1と同じ評価ランクに従って評価したた結果を表8に示す。
Figure 2009067023
本発明の有効性が確認された。
実施例5
(表面が凹凸面の樹脂層で被覆された無端ベルト支持体の作製)
(基体の準備)
幅2000mmの表面が鏡面仕上げのステンレス製の図1(a)に示す2つの保持ロールで保持された無端ベルト状の基体を準備した。
(粒子の準備)
表9に示す様な平均粒径が異なる2種類の粒子Aと粒子Bとを準備し、表9に示す様な割合で混合した混合粒子を準備しNo.5−a〜5−eとした。尚、粒子の混合の割合は樹脂層形成用塗布液を調製する時の混合比率%を示す。粒子はシリカを使用した。
Figure 2009067023
(樹脂層形成用塗布液の調製)
準備した混合粒子No.5−a〜5−eを使用し、下記に示す組成で樹脂層形成用塗布液を調製しNo.5−A〜5−Eとした。
樹脂層形成用塗布液の調製
樹脂:ゼラチン 30質量部
溶媒:水 70質量部
硬膜剤:クロムミョウバン 0.3質量部
粒子:混合粒子No.5−a〜e 9.0質量部
粒子の分散は実施例2と同じ方法で行った。
(樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した各樹脂層形成用塗布液No.5−A〜5−Eを樹脂供給装置としてホッパーを使用し、ダイスの設置位置に無端ベルト表面から高さ3.3mmとなる様に設置した。この後、準備した基体の上に厚さ1.0mm、幅1800mmで一周を塗布し、塗布膜の厚さを一定にするためシーズヒーターで修正した。
塗布条件
基体の回動速度を4m/min、温度を40℃とした。
(樹脂層の表面への凹凸形状の形成)
基体の上に各樹脂層形成用塗布液No.5−A〜5−Eを塗布し、厚さを均一にした後、温度90℃で加熱処理で樹脂塗膜を硬化し、表10に示す様な表面の中心線平均粗さRaを有する樹脂膜で被覆された無端ベルト支持体を準備しNo.5−1〜5−5とした。中心線平均粗さRaは実施例1と同じ方法で測定した。
Figure 2009067023
(防眩性フィルムの作製)
(ドープの調製)
〈微粒子分散液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子分散液を調製した。
〈微粒子添加液〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ微粒子添加液を調製した。
〈主ドープの調製〉
実施例1と同じ方法で実施例1と同じ主ドープを調製した。
(防眩性フィルムの作製)
準備した無端ベルト支持体No.5−1〜5−5を使用し、図1(a)に示す製造装置を使用し、流延工程で無端ベルト支持体の上に準備したドープを幅1780mmで流延し、剥離点でウェブを剥離する時の残留溶媒量を30質量%とし、第1乾燥工程、延伸工程、第2乾燥工程、巻き取り工程を経て、幅1500mm、厚さ80μmの防眩性フィルムを実施例1と同じ条件で作製し試料No.501〜505とした。
評価
作製した各試料No.501〜505に付き、防眩性を実施例1と同じ方法で測定した結果を表11に示す。
Figure 2009067023
本発明の有効性が確認された。
溶液流延法による防眩性フィルムと保護フィルムとの製造が可能な製造装置の模式図である。 図1(a)に示す無端ベルト支持体の拡大概略図である。 図1(a)に示される無端ベルト支持体上の樹脂膜の表面にい鋳型を使用し凹凸形状を形成する方法の概略フロー図である。 図1(a)に示される無端ベルト支持体上の樹脂膜の表面に粒子を使用し凹凸形状を形成する方法の概略フロー図である。 図1(a)に示す溶液流延製膜装置の無端ベルト支持体の表面から樹脂膜の剥離する状態を示す拡大概略フロー図である。
符号の説明
1a、1a′ 製造装置
101、101′ 流延工程
101a、101′a 溶液流延製膜装置
101a1 無端ベルト支持体
101′a1 無端ドラム支持体
101b、101′b 加熱装置
101a2、101a3 ロール
101a4、101′a2 流延ダイ
102 第1乾燥工程
103 延伸工程
104 第2乾燥工程
105 巻き取り工程
2、2′ ドープ
3、3′ ウェブ
5 樹脂膜
E 厚さ
F、G、H 幅

Claims (9)

  1. 溶媒に樹脂を溶解したドープを連続的に回動する無端支持体の上に流延ダイから流延し、樹脂フィルムを製造する溶液流延製膜装置において、
    前記無端支持体の前記ドープが流延される面が、凹凸形状を有する剥離可能な樹脂膜で被覆されていることを特徴とする溶液流延製膜装置。
  2. 前記無端支持体が樹脂膜で被覆されている時は、凹凸面を有する樹脂フィルムを製造し、該樹脂膜を剥離した後は、平滑面を有する樹脂フィルムの製造が可能となることを特徴とする請求項1に記載の溶液流延製膜装置。
  3. 前記樹脂膜は、無端支持体の上に樹脂膜を形成した後、該樹脂膜に鋳型を押し当てて凹凸形状を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
  4. 前記樹脂膜は、無端支持体の上に樹脂膜を形成した後、該樹脂膜に少なくとも2つの異なる中心線平均粗さRaを有する鋳型を押し当てて凹凸形状を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
  5. 前記樹脂膜は、無端支持体の上に粒子材料を添加した樹脂膜形成用溶液を塗布し、該樹脂膜の表面に凹凸形状を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
  6. 前記樹脂膜は、無端支持体の上に少なくとも2つの異なる平均粒子径を有する粒子材料を添加した樹脂膜形成用溶液を塗布し、該樹脂膜の表面に凹凸形状を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶液流延製膜装置。
  7. 前記樹脂膜の表面に形成された凹凸形状は中心線平均粗さRaが3μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の溶液流延製膜装置。
  8. 前記樹脂フィルムが光学用フィルムであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の溶液流延製膜装置。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の溶液流延製膜装置を使用して樹脂フィルムを製造することを特徴とする樹脂フィルムの製造方法。
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