JP2009066649A - 銅合金連続鋳造鋳物からなる管材、及びこれを鋳造するための鋳型 - Google Patents

銅合金連続鋳造鋳物からなる管材、及びこれを鋳造するための鋳型 Download PDF

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Abstract

【課題】「ロール」、「連続鋳造用ロール」、「断熱管」、「熱交換器」、「軽量化シャフト」、「化学反応管路」、「結露防止をした冷媒供給管」、「弁部材」あるいは「殺菌機能を有する管路」に適用することができる、銅合金の連続鋳造鋳物からなる管材を提供すること。
【解決手段】銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材10であって、最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを有したこと。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅合金を連続鋳造した鋳物からなる管材、及びこれを鋳造するための鋳型に関するものである。
銅合金からなる鋳物は、強度があって耐薬品性も高く、軸受けや弁棒、あるいは種々な一般機械部品などとして使用され、近年ではなくてはならないものであるが、材料として提供される場合には、特許文献1にも記載されているような「棒材」として鋳造されるのが一般的である。
このような「棒材」は、上記特許文献1の段落0002以下の記載、及び図18にも示すように、「樋1内の溶湯2を、供給管4を通して鋳型7内の湯面が一定となるようにかつ均一に供給しながら、鋳型7内の溶湯2を連続的に冷却凝固」させて形成されているものである。また、この「棒材」である鋳塊9を得るために、図18に示したような従来技術では、「鋳型7内へ溶湯2を供給するに際しては、樋1と供給管4の間にネジ式の上下ストッパー3を設け、鋳込に従事する作業者がこの上下ストッパー3の開閉を手動制御することで、鋳型7内の湯面が一定となるように溶湯2を供給していた。また、鋳型7内に均一に溶湯2を供給するために、供給管4の出口に、垂直方向に溶湯2を供給する分配器5や、水平方向に溶湯2を供給する分配器6を設けていた。」ものである。
そして、この特許文献1では、「鋳型内に供給される銅及び銅合金の溶湯の湯面制御を自動化できると共に、溶湯の均一な供給を容易に行える自動鋳造方法及びその装置を提供する」ことを目的として、この目的を達成する「自動鋳造方法」が提案されているのである。
しかしながら、この特許文献1の「自動鋳造方法」では、「樋1内の溶湯2を供給管4を通して筒状の鋳型7内に供給し、その鋳型7の下方から冷却凝固しながら鋳塊30を引き下げて連続鋳造する」ものであるから、特許文献2に示されているような「連続鋳造用ロールの高熱伝導性中間層」を鋳造するものではない。
特許文献2は、「連続鋳造用ロールおよびその製造方法」に関する技術が示されてているが、この技術は、「連続鋳造用ロールの曲がり変形抵抗性等を高め、ロール寿命を改善する」ことを目的としてなされたもので、図19に示すような構成または構造を有しているものである。
すなわち、この特許文献2の「ロール」は、「熱間鍛圧品であるコアー1と、銅ないし銅合金の高熱伝導性中間層2と、13Cr系鋳鋼の円筒体である表層3とからなり、各層の界面は拡散接合により結合されている。このロールは、コアー部材に、表層となる13Cr系鋳鋼の中空円筒状鋳造品(表層円筒体)を同心円状に外装して直立姿勢とし、コアー部材と表層円筒体とで画成される環状空間V内に、中間層形成材料(銅ないし銅合金の粉末またはプレート)を装填し、脱気密封したうえ、中間層形成材料を加熱溶融し、その融液とコアー部材および表層円筒体との固−液界面に拡散接合を生じさせ、ついで該融液を冷却凝固させることにより製造される」ものである。
この特許文献2の「銅ないし銅合金の高熱伝導性中間層2」は、「環状空間V内に、中間層形成材料(銅ないし銅合金の粉末またはプレート)を装填し、脱気密封したうえ、中間層形成材料を加熱溶融し、その融液とコアー部材および表層円筒体との固−液界面に拡散接合を生じさせ、ついで該融液を冷却凝固させることにより製造される」ものであって、所謂連続鋳造鋳物ではない。つまり、「銅ないし銅合金の高熱伝導性中間層2」は、その中間層形成材料を加熱溶融して形成されるものであり、個々に製造されるものである。
また、特許文献3には、「鋼ストリップ鋳造用ア―バレス鋳造ロ―ル及び鋼ストリップ連続鋳造装置」が提案されており、この「鋳造ロ―ル」は、「中央の支持アーバがない新規な鋳造ロールの構造を提供する」ことを目的としてなされたもので、図20に示すように、「銅又は銅合金製の管状ロール体20と、該ロール体20壁内を長手方向に延びる一連の長い孔により周方向に等間隔で画成された長手方向水流通路26と、ロール体20の各壁端面に当接する周方向フランジ29,30とロール体20の各端部内側に嵌入する端形成部とを有する一対のスタブ軸21,22と、フランジ30を介し水流通路26を成す孔の少なくともいくつかの端に嵌挿されて軸21,22を管状ロール体20に対し共軸となるよう連結する固定ねじ71(留め具)と、個々の水流通路26に水が流出入するよう少くとも一方のスタブ軸21,22の端形成部に形成した半径方向通路35,36(水流ダクト)とにより中央の支持アーバがない鋳造ロール1を構成する」ことにより製造されるものである。
すなわち、この特許文献3の「鋳造ロ―ル」は、当該文献3の段落0018に記載されているように、「2つの鋳造ロール1は同一の構成で、本発明に従い形成される。それぞれを形成する銅又は銅合金製の管状ロール体20を一対のステンレス鋼製のスタブ軸21,22間に、該スタブ軸21,22と管状ロール体20とが共軸に固定されて鋳造ロール1を形成するように取付ける。管状ロール体20には一端から他端へと長い孔を穿設することにより一連の長手方向水流通路26を設け、孔の端は以下に述べる仕方で端栓41とスタブ軸固定ねじ71で本質的に閉じる」ことにより製造される。
換言すれば、この特許文献3の「鋳造ロ―ル」は、「鋳造する場合に使用されるロ―ル」であって、「鋳造されたロ―ル」ではなく、「銅又は銅合金製の管状ロール体20」から製造されるものである。
特願平9−174237号公報、要約、代表図 特願平8−103856号公報、要約、代表図 特願平11−314138号公報、要約、代表図
以上の現状からすると、銅合金からなる連続鋳造鋳物については、棒材については一般的に鋳造されてはいるものの、「管材」については、特許文献2や3のような個々のものは鋳造されてはいるが、「連続鋳造鋳物」としての管材は、本発明者等の調査によっても鋳造されていないと考えられる。
そこで、本発明者等は、銅合金からなる連続鋳造鋳物としての「管材」を鋳造するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、鋳型を工夫することによって実現できることを見出し、本発明を完成したのである。
すなわち、本発明の目的とするところは、銅合金の連続鋳造鋳物からなる管材と、これを鋳造するための鋳型を提供することにある。
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材10であって、
最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを有したことを特徴とする銅合金連続鋳造鋳物からなる管材10」
である。
すなわち、この管材10は、図1に示すように、最外管層11によって文字通り「管材」となっているものであるが、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12を有しているものである。換言すれば、この請求項1に係る管材10は、最外管層11と、この最外管層11の内側に一体的に形成したリブ層12とからなっているものであり、これらの最外管層11及びリブ層12は、図1の(a)にも示すように、その軸方向に長くなっているものである。
ここで、リブ層12の「外端」とは、当該リブ層12のみを取り出してみたときに、その一番端になる部分をいい、例えば図1の(b)で例示するように、当該リブ層12の最外管層11の内側面との境界部分に位置する箇所ということになる。また、リブ層12の端部に、図2の(a)や(b)に例示するように、リブ層12自体が位置する場合には、「リブ層12の外端」は他のリブ層12の内側面との境界部分に位置する箇所ということになる。
そして、この管材10については、図1の(b)にて示すように、外形が円形の最外管層11の場合、この最外管層11内であってリブ層12の周囲に、断面(当該管材10の引き抜き方向、つまり軸心方向に対して直交する平面で切った面)形状が半円状の貫通孔10aが2つ形成されることになる。
これらの貫通孔10aは、最外管層11によって外部と遮断されていることは勿論、リブ層12によって互いに独立するように区画されていて、気体や液体等の流体の通路として、また流体の収納場所として利用できるものである。
このような管材10を連続鋳造するための材料としては、「JIS H 5121」に詳しいが、具体的にするために、次の表1及び表2に例示する。この場合、表1では、主要成分を示し、表2では、残余成分を示すものである。
この請求項1に係る管材10は、請求項5に係る鋳型20を使用して鋳造されるものであるが、この請求項5に係る鋳型20の採った手段は、後述する最良形態中で使用する符号を付して、図5〜図7を使用して説明すると、
「最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを有した管材10を鋳造するための鋳型20であって、
冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなり、
この内型20Bの頸部20bに、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚25とを一体化するとともに、これら第1〜第3キャビティ21〜23に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第3注入口21a〜23aを形成したことを特徴とする鋳型20」
である。
すなわち、この請求項5に係る鋳型20は、図5に示すように、冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなるものであり、これらの外型20A及び内型20Bは、銅合金の溶湯温度(例えば1400℃〜1500℃)に耐えられる材料、例えば「黒鉛」によって形成したものである。
外型20Aは、請求項1に係る管材10を構成している最外管層11の外形に対応する内形を有する筒状もののであり、その溶湯が入ってくる側には、図6等に示したような段部20aが形成してある。この段部20aは、内型20B側の頸部20bを係合させて支持するものであり、当該外型20Aと内型20Bとの軸心を一致させた状態で、外型20A内に内型20Bを支持するようにするものである。
この外型20A内に支持される内型20Bの頸部20bには、図6及び図7に示すように、少なくとも2本の空隙形成脚25が一体的に形成してあり、当該内型20Bを外型20A内に組み入れたとき、図7に示すように、第1キャビティ21〜第3キャビティ23を、これらの空隙形成脚25の表面と外型20Aの内面とによって形成することになるのである。そして、この内型20Bの頸部20bには、上記第1キャビティ21〜第3キャビティ23に連通することになる第1注入口21a〜第3注入口23aが形成してあって、これらの第1注入口21a〜第3注入口23aから銅合金の溶湯が投入され、図7中の矢印にて示すように、第1キャビティ21〜第3キャビティ23に供給されるのである。
勿論、以上の鋳型20は、図5にも示すように、冷却器30内に収納されて銅合金を形成する炉に接続されるものであり、炉内にて生成された銅合金の溶湯を連続的に通す間に、冷却器30によって冷却固化して銅合金からなる連続鋳造鋳物、つまり管材10を連続鋳造するのである。
なお、この連続鋳造を行う最初には、従来の棒材の連続鋳造の場合と同様に、鋳型20内にダミーブロックが挿入されるものであり、このダミーブロックを図示しない引き出し装置によってある一定の速度と段階で引き抜くことにより、請求項1に係る管材10が連続鋳造できるのである。
以上の請求項5に係る鋳型20を採用すれば、図1に示すような請求項1に係る管材10が確実に鋳造できるのであるが、この請求項1の管材10は、図2に示すような種々な形態のものが考えられる。
まず、最外管層11の外形形状であるが、図1、図2の(a)及び(b)に示した円形は勿論、図2の(c)に示した楕円、図2の(d)に示した方形、図2の(e)及び(f)に示した三角形等種々な形状のものとして実施が可能である。これらの図2に示した最外管層11についての種々な形状は、鋳型20の外型20Aの内形を必要とする最外管層11の外形に合わせるとともに、空隙形成脚25の断面形状、つまり第1キャビティ21〜第3キャビティ23の断面形状を図2に示した各貫通孔10aの形状に合わせればよい。
また、リブ層12の数、あるいは断面(上述したように、当該管材10の軸心方向に直交する平面で切った面)形状についても、図1の(a)に示したような1本あるいは直線状にして実施してもよいが、図2の(a)あるいは(e)に示すように、3本あるいはY字状にしたり、図2の(b)に示すように、4本あるいは十字状にして実施してもよいものである。これらのリブ層12の位置や数を適宜選定することにより、最外管層11を内側から支えるものとしてのリブ層12の価値を高めることができるものである。
この図2の(a)〜(f)に示したように、リブ層12の数、あるいは断面形状を種々変えることにより、最外管層11と各リブ層12との間にできる貫通孔10aの数や形状についても、種々変更できるものである。なお、上記各例では、最外管層11の外形やリブ層12の形状について線対称または点対称のものとしているが、必ずしもこのようにする必要はなく、使用場所に応じた「異形」のものとして形成して実施してもよいことはいうまでもない。
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の銅合金連続鋳造鋳物からなる管材10について、
「少なくともリブ層12に膨出部12aを形成したこと」
である。
すなわち、この請求項2の管材10では、図3に示すように、少なくともリブ層12に膨出部12aを形成したものである。「少なくとも」とは、図3に示すように、膨出部12aをリブ層12の中央に形成する場合だけでなく、最外管層11の内面に膨出部11aを形成したり、図4の(a)、(b)あるいは(e)に示すように、リブ層12の交点に膨出部12aを形成する場合も含むことを意味する。
このリブ層12の中央に形成した膨出部12aには、図3の(b)中に点線で示したように、穿孔15やネジ穴を形成することが可能になる。この穿孔15を利用すれば、当該管材10を所定長さに切断して「ロール」あるいは「ローラ」にする場合の「回転軸」を取り付けたり、当該管材10の前後を密閉する「蓋」の固定部に利用できる。
また、上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の銅合金連続鋳造鋳物からなる管材10について、
「最外管層11の外面に、膨出部11aまたは溝部11bを形成したこと」
である。
すなわち、この請求項3の管材10は、図4の(c)、(d)、あるいは(f)に示すように、最外管層11の外面に、膨出部11aまたは溝部11bを形成したものである。これらの膨出部11aまたは溝部11bは、当然に管材10の軸方向に長く存在するものであり、当該管材10を所定長さに切断して部材や部品を形成したときに、この部品や部材の位置決めや別部品を取り付ける場所などに利用できるものであり、当該管材10の利用価値を高めることになるものである。
さらにまた、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の銅合金連続鋳造鋳物からなる管材10について、
「最外管層11の表面に、当該管材10の連続鋳造による加工縞14が形成されていること」
である。
すなわち、この請求項4の管材10は、図16及び図17に示す顕微鏡写真のように、その最外管層11の、特に外側表面にできている加工縞14によって、連続鋳造鋳物であることが証明されるものである。
上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、
「銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材10であって、
最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12と、このリブ層12の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層13とを有したことを特徴とする銅合金連続鋳造鋳物からなる管材10」
である。
この請求項6の管材10は、図8〜図10に示すものであり、最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを備えた点で、上記請求項1のそれと同様であるが、上記請求項1のそれと根本的に異なる点は、リブ層12の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層13を有したことである。
この内部管層13は、少なくとも1本のリブ層12によって、最外管層11に対してその内面にて一体化されるものである。内部管層13を最外管層11に対して一体化するリブ層12が「少なくとも1本」であるということは、図8に示すように1本の場合から、図9に示すように2本の場合、そして図10に示すように4本の場合の種々な場合があることを意味している。勿論、当該内部管層13自体も1本である必要はなく、必要に応じてその本数を増加することは可能である。
また、最外管層11や内部管層13の形状が種々変更できること、これらの最外管層11や内部管層13、そしてリブ層12に膨出部11aあるいは12a、溝部11bが形成できること、さらには、膨出部12aに穿孔15が形成できることは、上記請求項1のそれの場合と同様であるので、ここではその説明は省略する。
この請求項6に係る管材10を鋳造するには、それに応じた鋳型20を採用すればよく、この鋳型20の構成は請求項7にて規定されている。すなわち、請求項7に係る発明の採った手段は、
「最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12と、このリブ層12の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層13とを有した管材10を鋳造するための鋳型20であって、
冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなり、
この内型20Bの頸部20bに、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚25と、これらの空隙形成脚25間に配置されて内部管層13のための第4キャビティ24を形成するための中穴形成棒26とを一体化するとともに、
頸部20bに、第1〜第4キャビティ21〜24に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第4注入口21a〜24aを形成したことを特徴とする鋳型20」
である。
この請求項7に係る鋳型20は、図12〜図14に示すように、冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなること、及び、内型20Bの頸部20bに、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための空隙形成脚25とを有した点で、上記請求項5に係るそれと同様であるが、空隙形成脚25間に配置されて内部管層13のための第4キャビティ24を形成するための中穴形成棒26とを一体化したことが、上記請求項5に係るそれと異なる点である。
なお、この図12〜図14に示した鋳型20は、図10に示した管材10、つまり内部管層13を4本のリブ層12によって最外管層11に一体化した管材10を鋳造するものとしたものであり、そのために、空隙形成脚25は4本であるが、これに限るものではないことは言うまでもないと思われる。
従って、頸部20bに、第1〜第4の4種類のキャビティ21〜24に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第4の4種類の注入口21a〜24aを形成したことも、この請求項7に係る鋳型20の、上記請求項5に係るそれと異なる点となっているのである。
換言すれば、この請求項7の鋳型20において、請求項5の鋳型20にはない中穴形成棒26が存在することによって、この中穴形成棒26の周囲に内部管層13が形成されることになるのである。そして、この中穴形成棒26を筒状のものにして、この筒状の中穴形成棒26内にさらに別の棒状の中穴形成棒26を存在させることにより、内部管層13を二重のものとすることができ、同様に繰り返せば、三重の内部管層13とすることも可能である。勿論、二重あるいは三重の内部管層13とするには、別のキャビティが存在するように鋳型20を形成し、そのキャビティに注入口が連通するようにしなければならない。
この請求項7に係る鋳型20を構成している外型20Aは、請求項6に係る管材10を構成している最外管層11の外形に対応する内形を有する筒状もののであり、その溶湯が入ってくる側には、図12〜図14に示したような段部20aが形成してある。この段部20aは、請求項5の鋳型20の場合と同様に、内型20B側の頸部20bを係合させて支持するものであり、当該外型20Aと内型20Bとの軸心を一致させた状態で、外型20A内に内型20Bを支持するようにするものである。
この外型20A内に支持される内型20Bの頸部20bには、図12〜図14に示すように、少なくとも1本の空隙形成脚25が一体的に形成してあり、当該内型20Bを外型20A内に組み入れたとき、図14に示すように、第1キャビティ21〜第4キャビティ24を、これらの空隙形成脚25の表面と外型20Aの内面とによって形成することになるのである。そして、この内型20Bの頸部20bには、上記第1キャビティ21〜第4キャビティ24に連通することになる第1注入口21a〜第4注入口24aが形成してあって、これらの第1注入口21a〜第4注入口24aから銅合金の溶湯が投入され、第1キャビティ21〜第4キャビティ24に供給されるのである。
勿論、以上の鋳型20は、図15にも示すように、冷却器30内に収納されて銅合金を形成する炉に接続されるものであり、炉内にて生成された銅合金の溶湯を連続的に通す間に、冷却器30によって冷却固化して銅合金からなる連続鋳造鋳物、つまり管材10を連続鋳造するのである。
以上説明した通り、請求項1〜請求項4に係る発明においては、
「銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材10であって、
最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを有したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、銅合金の連続鋳造鋳物からなる管材10を提供することができるのである。
この請求項1〜請求項4に係る管材10は、最外管層11の内側に少なくとも1本のリブ層12を設けた連続状のものであるから、適宜寸法に切断して、これを例えばローラとすれば、耐熱性及び耐薬品性を備え、しかもリブ層12によって剛性が高いものとすることができて、あらゆる場所で使用できるローラとすることができる。
また、請求項5に係る発明においては、
「最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを有した管材10を鋳造するための鋳型20であって、
冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなり、
この内型20Bの頸部20bに、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚25とを一体化するとともに、これら第1〜第3キャビティ21〜23に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第3注入口21a〜23aを形成したことを特徴とする鋳型20」
にその構成上の特徴があり、上記の請求項1〜請求項4に係る管材10を簡単かつ確実に鋳造することができるのである。
さらに、請求項6に係る発明においては、
「銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材10であって、
最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12と、このリブ層12の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層13とを有したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、銅合金の連続鋳造鋳物からなる管材10を提供することができるのである。
この請求項6に係る管材10は、最外管層11の内側に、さらに少なくとも1本の内部管層13を設けた連続状のものであるから、例えば、内部管層13内を通る流体を周囲の貫通孔10a内に通す冷媒等によって優れた断熱効果を発揮する断熱管とすることができ、しかもこの断熱管を耐熱性及び耐薬品性を備え、しかもリブ層12によって剛性が高いものとすることができて、あらゆる場所で使用できることになる。
そして、請求項7に係る発明においては、
「最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12と、このリブ層12の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層13とを有した管材10を鋳造するための鋳型20であって、
冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなり、
この内型20Bの頸部20bに、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚25と、これらの空隙形成脚25間に配置されて内部管層13のための第4キャビティ24を形成するための中穴形成棒26とを一体化するとともに、
頸部20bに、第1〜第4キャビティ21〜24に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第4注入口21a〜24aを形成したことを特徴とする鋳型20」
にその特徴があり、これにより、上記請求項6に係る管材10を簡単かつ確実に鋳造することができるのである。
次に、以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態である管材10及び鋳型20について説明すると、図1には、請求項1に係る管材10の斜視図と端面図が示してあり、この管材10は、図5〜図7に示した冷却器30及び鋳型20を使用して連続鋳造鋳物として形成したものである。この管材10を連続鋳造鋳物として連続鋳造するには、まず、図示しない炉内で銅合金の溶湯を形成して、この溶湯を鋳型20内に通しながら、図示しない引き抜き機によって段階的に引き抜くことにより行われる。
さて、図1に示した管材10は、最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12とを有したものである。
最外管層11の外形形状は、図1、図2の(a)及び(b)に示した円形は勿論、図2の(c)に示した楕円、図2の(d)に示した方形、図2の(e)及び(f)に示した三角形等種々な形状のものとして実施することができる。これらの図2に示した最外管層11についての種々な形状は、図6及び図7に示した鋳型20の外型20Aの内形を必要とする最外管層11の外形に合わせるとともに、空隙形成脚25の断面形状、つまり第1キャビティ21〜第3キャビティ23の断面形状を図2に示した各貫通孔10aの形状に合わせればよい。
また、リブ層12の数、あるいは断面形状についても、図1の(a)に示したような1本あるいは直線状にして実施してもよいが、図2の(a)あるいは(e)に示すように、3本あるいは空隙形成脚25字状にしたり、図2の(b)に示すように、4本あるいは十字状にして実施してもよいものである。この図2の(a)〜(f)に示したように、リブ層12の数、あるいは断面形状を種々変えることにより、最外管層11と各リブ層12との間にできる貫通孔10aの数や形状についても、種々変更できる。
また、図1に例示した管材10については、図3に示したように、リブ層12に膨出部12aを形成して実施してもよい。さらには、図4にも示したように、最外管層11の外面に、膨出部11aまたは溝部11bを形成して実施してもよい。
すなわち、この管材10には、図4の(c)、(d)、あるいは(f)に示したように、最外管層11の外面に、膨出部11aまたは溝部11bを形成してもよいのである。これらの膨出部11aまたは溝部11bは、当然に管材10の軸方向に長く存在するものであり、当該管材10を所定長さに切断して部材や部品を形成したときに、この部品や部材の位置決めや別部品を取り付ける場所などに利用できるものであり、当該管材10の利用価値を高めることになるものである。
図5には、図1に示した管材10を連続鋳造するための鋳型20が、冷却器30に組み付けた状態で示してある。この鋳型20は、図6及び図7に示したように、冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとを有したものであり、これらの外型20A及び内型20Bは、銅合金の溶湯温度(例えば1400℃〜1500℃)に耐えられる材料、例えば「黒鉛」によって形成したものである。
この鋳型20は、図5にも示したように、冷却器30内に収納されて銅合金を形成する炉に接続されるものであり、炉内にて生成された銅合金の溶湯を連続的に通す間に、冷却器30によって冷却固化して銅合金からなる連続鋳造鋳物、つまり管材10を連続鋳造するものである。
内型20Bの頸部20bには、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚25とが一体化してあり、これら第1〜第3キャビティ21〜23に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第3注入口21a〜23aが形成してある。
外型20Aは、管材10を構成している最外管層11の外形に対応する内形を有する筒状もののであり、その溶湯が入ってくる側には、図6等に示したような段部20aが形成してある。この段部20aは、内型20B側の頸部20bを係合させて支持するものであり、当該外型20Aと内型20Bとの軸心を一致させた状態で、外型20A内に内型20Bを支持するようにするものである。
この外型20A内に支持される内型20Bの頸部20bには、図6及び図7に示すように、少なくとも2本の空隙形成脚25が一体的に形成してあり、当該内型20Bを外型20A内に組み入れたとき、図7に示すように、第1キャビティ21〜第3キャビティ23を、これらの空隙形成脚25と外型20Aの内面とによって形成することになるのである。そして、この内型20Bの頸部20bには、上記第1キャビティ21〜第3キャビティ23に連通することになる第1注入口21a〜第3注入口23aが形成してあって、これらの第1注入口21a〜第3注入口23aから銅合金の溶湯が投入され、第1キャビティ21〜第3キャビティ23に供給されるのである。
図8には、請求項6に係る管材10が示してあるが、この管材10は、最外管層11と、この最外管層11の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層12と、このリブ層12の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層13とを有したものであり、この少なくとも1層の内部管層13を有していることが、図1に示した管材10と異なる点である。
このすくなくとも1層の内部管層13は、図8に示したように、1層のリブ層12によって最外管層11内に支持したり、図9に示したように、2層のリブ層12によって最外管層11内に支持したり、図10に示したように、4層のリブ層12によって最外管層11内に支持したりすることができ、これによって、最外管層11の内側に形成される加工縞14の数や大きさ、ひいては位置まで自由に設計できるものである。
勿論、内部管層13内には内部貫通孔10bが形成されるものであり、この内部貫通孔10bの形状や大きさ、位置までが、当該内部管層13を設計する際に自由に選定できる。
この内部管層13を有する管材10は、図12〜図14に示した鋳型20を、図15に示したように冷却器30に組み付けることによって連続鋳造できることは前述した通りである。
この図12〜図14に示した鋳型20は、冷却器30内に保持される外型20Aと、この外型20Aに形成した段部20aに支承される頸部20bを有して、外型20A内に挿入される内型20Bとからなること、及び、内型20Bの頸部20bに、リブ層12のための第1キャビティ21と、最外管層11のための第2及び第3キャビティ22及び23とを形成するための空隙形成脚25とを有した点で、図5〜図7に示した鋳型20と同様であるが、空隙形成脚25間に配置されて内部管層13のための第4キャビティ24を形成するための中穴形成棒26を一体化したことが異なるものである。また、頸部20bに、第1〜第4の4種類のキャビティ21〜24に連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型20内に注入するための第1〜第4の4種類の注入口21a〜24aを形成したことも、異なるものである。
換言すれば、この図12〜図14に示した鋳型20において、図5〜図7に示した鋳型20にはない中穴形成棒26が存在することによって、この中穴形成棒26の周囲に内部管層13が形成されることになるのである。そして、この中穴形成棒26を筒状のものにして、この筒状の中穴形成棒26内にさらに別の棒状の中穴形成棒26を存在させることにより、内部管層13を二重のものとすることができ、同様に繰り返せば、三重の内部管層13とすることも可能である。
この鋳型20を構成している外型20Aは、図10に示した管材10を構成している最外管層11の外形に対応する内形を有する筒状もののであり、その溶湯が入ってくる側には、図12〜図14に示したような段部20aが形成してある。この段部20aは、内型20B側の頸部20bを係合させて支持するものであり、当該外型20Aと内型20Bとの軸心を一致させた状態で、外型20A内に内型20Bを支持するようにするものである。
この外型20A内に支持される内型20Bの頸部20bには、図12〜図14に示すように、少なくとも1本の空隙形成脚25が一体的に形成してあり、当該内型20Bを外型20A内に組み入れたとき、図14に示すように、第1キャビティ21〜第4キャビティ24を、これらの空隙形成脚25と外型20Aの内面とによって形成することになるのである。そして、この内型20Bの頸部20bには、上記第1キャビティ21〜第4キャビティ24に連通することになる第1注入口21a〜第4注入口24aが形成してあって、これらの第1注入口21a〜第4注入口24aから銅合金の溶湯が投入され、第1キャビティ21〜第4キャビティ24に供給されるのである。
図16には、本発明に係る管材10の外形と表面状態を示した顕微鏡写真であり、管材10の表面には、当該管材10を連続鋳造したときにできる加工縞14が現れている。このような加工縞14ができる理由は、銅合金の溶湯が段階を追って鋳型20内にて硬化する際に、その段階でできる結晶構造に差異があるからである。本発明者は、この銅合金の硬化段階を「4段階」として捉えており、この硬化段階に応じて管材10の引き抜きを行うように、図示しない引き抜き機での制御を行っている。
図17には、この連続鋳造によって出来た管材10の断面の顕微鏡写真が示してあるが、これによっても、上記加工縞14の存在がはっきりと見て取れる。
以上のように連続鋳造した管材10は、次のような、「ロール」、「連続鋳造用ロール」、「断熱管」、「熱交換器」、「軽量化シャフト」、「化学反応管路」、「結露防止をした冷媒供給管」、「弁部材」あるいは「殺菌機能を有する管路」にすることができる可能性がある。それぞれについて、順次説明していく。
(ロールについて)
例えば、図1に示した管材10は、円形の最外管層11を有してその内側からリブ層12によって支持しているものであるから、所定の剛性を有するとともに、リブ層12の両側に位置する貫通孔10a内に、別に形成したチャックや回転軸を収納することにより、ベルトコンベアを支承するローラとするのに適したものとなっている。勿論、図3に示したように、リブ層12の中央部に膨出部12aを形成しておいて、この膨出部12aに穿孔15を形成して軸を通すようにすれば、より一層簡単にローラとすることができる。
勿論、この管材10は、内部の貫通孔10aによって軽量化が図られているから、この管材10を採用してローラとしたときには、その回転が円滑になる。また、この貫通孔10a内に水や空気等の冷却材を通すことによって、ロール表面の温度が高くなるのを防止することができることになる。
(連続鋳造用ロールについて)
図19に示した従来の連側鋳造用ロールは、「熱間鍛圧品であるコアー1と、銅ないし銅合金の高熱伝導性中間層2と、13Cr系鋳鋼の円筒体である表層3とからなる」ものであったが、「銅ないし銅合金の高熱伝導性中間層2」は所謂焼結させて形成しなければならないものであった。
この連続鋳造用ロールは、本発明に係る管材10を使用して、そのリブ層12を「コアー1」にしながら、その最外管層11を「銅ないし銅合金の高熱伝導性中間層2」とすることにより、簡単に鋳造することができる。しかも、本発明に係る管材10を使用して形成した連続鋳造用ロールは、その曲がり変形抵抗性等が高まり、寿命を改善することができる。
以上のことは、図20に示した「鋼ストリップ鋳造用ア―バレス鋳造ロ―ル」についても同様である。この場合には、図10に示した内部管層13を有する管材10を利用すれば、内部管層13そのものをスタブ軸とし、貫通孔10aを水通路とし、さらには、リブ層12を周方向フランジとすることができるからである。
(断熱管について)
本発明に係る管材10は、図1〜図4、あるいは図8〜図10に示すように、互いに区画された貫通孔10aあるいは内部貫通孔10bを内部に有するものであるから、例えば中心に位置する内部貫通孔10b内を、断熱したい流体の通路とし、その周囲にある貫通孔10a内を断熱材である空気を入れた断熱室とすることにより、流体の搬送を断熱しながら行える断熱管とすることができる。
この場合リブ層12が熱伝導部となるが、発明者等の実験によると、このリブ層12の厚さは2〜3mm程度にすることができ、しかも、場合によっては図8に示したように、1層のものとすることができる(内部管路13を片持ち支持できる)ため、このリブ層12が熱伝導部となることはそれ程問題にはならないと考えられる。むしろ、このリブ層12は、内部管層13を最外管層11に対して支持するものとして、また最外管層11の曲げ強度を高めるものとして役立つことになるものである。
また、過給器付エンジンのように、燃料を一定の温度にまで高める必要がある場合、燃料を1つの貫通孔10aまたは内部貫通孔10b内を通し、他の貫通孔10aに排気を通すようにすれば、この管材10は、過給器付エンジンのための燃料パイプとしても十分利用価値が高いものとなる。
(熱交換器について)
本発明に係る管材10を断熱管にするのとは逆の発想が熱交換器にすることである。例えば、ゴミ焼却炉からの排気中の熱を取り出す熱交換器として考えた場合には、貫通孔10aの一部あるいは内部貫通孔10bに排気を通すようにし、他の貫通孔10aに熱吸収材である水を通すようにすれば、排気中に含まれている潜熱によって水を温めることが、排気を遠くへ送りながらできることになる。
以上のことは、各種工場での排気管とする場合にも言えることであり、また、船舶エンジンの水冷装置の一部としても適用できることを意味することにもなる。
(軽量化シャフトについて)
そして、最も単純には、本発明に係る管材10は、銅合金の連続鋳造鋳物であるから剛性を有する棒材としての機能を有するだけでなく、貫通孔10aや内部貫通孔10bを内部に有して軽量化が図られたものであるから、軽量化されたシャフトとすることができる。
この管材10は、内部に少なくとも1層のリブ層12を有するものでもあるから、軽量化されているにも拘わらず曲げ強度が強いものとなっている。従って、船舶のスクリュー軸にすれば、耐熱性にも優れた軽量化されたものとすることができる。
(化学反応管路について)
複数の原料を混ぜ合わせるとともに、熱を加えながら化学反応させる場合を想定してみると、上流側から順に、図10に示した管材10、図9に示した管材10、そして図8に示した管材10を順に繋げれば、「化学反応管路」が形成できる。
この場合、内部管層13内に加熱のための流体を流すようにしながら、図10に示した管材10、図9に示した管材10、そして図8に示した管材10を順に繋ぐ。図10に示した管材10の各貫通孔10aには必要な原料を別々に供給し、図9に示した管材10に至ると貫通孔10aの数が減るから、その分原料が混合される。そして、内部管層13内を通っている加熱流体によって化学反応が促進され、図9に示した管材10内にて第1段階の化学反応が起きる。
次いで、図8に示した管材10に至ると貫通孔10aの数がさらに減るから、その分原料または反応物質がさらに混合される。そして、内部管層13内を通っている加熱流体によって化学反応が促進され、図8に示した管材10内にて第2段階の化学反応が起き、所定の物質が形成できる。
以上の「化学反応管路」は、化学物質の数や化学反応条件に応じて適宜変更できるものであり、しかも、管材10自体は耐薬品性に優れているのであるから、化学工業分野において利用価値が高いと考えられる。
(結露防止をした冷媒供給管について)
本発明に係る管材10は、上記のように熱交換器としても利用できるのであるが、結露防止をした冷媒供給管としても利用できるものと考えられる。すなわち、内部管層13内に冷媒を通すようにしながら、周囲の貫通孔10aを断熱層となるようにすれば、最外管層11の表面温度は室温程度に保つことができるものとなる。
つまり、この管材10の内部管層13内に冷媒を通しても、最外管層11の表面温度はそれ程低くならないから、「結露」を生ずることはない。従って、この管材10をエアーコンディショナー内の冷媒供給管とすれば、結露対策になることになる。
(弁部材について)
この管材10は、上述した「化学反応管路」の考え方を採用すれば、例えば湯水混合栓の弁部材とするのに適している。例えば、湯と水が別々に供給されてくる側の弁体として貫通孔10aが2つある管材10を選択し、混合された湯水が出る側の弁体として大きな貫通孔10aを有する管材10を選択する。勿論、これら2種類の弁体は適宜な厚さに切断されるし、中心に内部管層13を有するものとする。
そして、各内部管層13に挿通された軸にて両弁体を回転可能に支持して、それぞれの貫通孔10aを、給水側、給湯側、及び吐水側にそれぞれ連通させる。一方、どちらかの弁体を外部から回動できるようにハンドルを設ければ、湯水混合栓が完成する。
この湯水混合栓においては、1つの貫通孔10aを有する弁体が他の弁体に対して相対回転することにより、1つの貫通孔10aが、他の弁体の2つの貫通孔10aの全てに対して連通する場合(混合状態)、2つの全てに連通しない場合(止水状態)、何れか一方にのみ連通する場合(水のみ、または湯のみしか出せない状態)に適宜選択できることになる。
(殺菌機能を有する管路)
この管材10は、「銅合金」を材料とするものであるから、「銅イオン」の発生が期待できる。銅イオンは、殺菌効果を有するから、この管材10を排水管路や浄化槽への管路とした場合に、水や排水中の殺菌や浄化が期待できる。
特に、この管材10を、鑑賞魚を飼育する水槽への循環水のための管路を形成した場合、鑑賞魚の病原菌を殺菌したり、水槽に付着する水ゴケの発生を抑制したりすることのできる管路とすることが期待できる。
請求項1に係る管材を示すもので、(a)は斜視図、(b)は端面図である。 図1に示した管材の他の例を示すもので、(a)〜(f)の6種類の端面図である。 請求項2に係る管材を示すもので、(a)は斜視図、(b)は端面図である。 図3に示した管材の他の例を示すもので、(a)〜(f)の6種類の端面図である。 請求項1に係る管材を鋳造する鋳型を冷却器に組み付けた状態を示す拡大断面図である。 図5に示した鋳型を示すもので、(a)は端面図、(b)は(a)中の1−1線に沿ってみた断面図である。 図5に示した鋳型を示すもので、図6中の2−2線に沿ってみた断面図である。 請求項6に係る管材を示すもので、(a)は斜視図、(b)は端面図である。 同管材の他の例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は端面図である。 同管材のさらに他の例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は端面図である。 図10に示した管材を連続鋳造する鋳型を示すもので、(a)は正面図、(b)は背面図である。 同鋳型を示す分解斜視図である。 同鋳型を示すもので、図11中の3−3線に沿ってみた断面図である。 同鋳型を示すもので、図11中の4−4線に沿ってみた断面図である。 請求項6に係る管材を鋳造する鋳型を冷却器に組み付けた状態を示す拡大断面図である。 本発明に係る管材の表面状態を示す2倍の顕微鏡写真である。 同管材の表面を示す800倍の顕微鏡写真である。 従来の技術を示す縦断面図である。 従来の他の技術を示す縦断面図である。 従来のさらに他の技術を示す縦断面図である。
符号の説明
10 管材
10a 貫通孔
10b 内部貫通孔
11 最外管層
11a 膨出部
11b 溝部
12 リブ層
12a 膨出部
13 内部管層
14 加工縞
15 穿孔
20 鋳型
20A 外型
20B 内型
20a 段部
20b 頸部
21 第1キャビティ
21a 第1注入口
22 第2キャビティ
22a 第2注入口
23 第3キャビティ
23a 第3注入口
24 第4キャビティ
24a 第4注入口
25 空隙形成脚
26 中穴形成棒
30 冷却器(クーラージャケット)

Claims (7)

  1. 銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材であって、
    最外管層と、この最外管層の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層とを有したことを特徴とする銅合金連続鋳造鋳物からなる管材。
  2. 少なくとも前記リブ層に膨出部aを形成したことを特徴とする請求項1に記載の銅合金連続鋳造鋳物からなる管材。
  3. 前記最外管層の外面に、膨出部または溝部を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銅合金連続鋳造鋳物からなる管材。
  4. 前記最外管層の表面に、当該管材の連続鋳造による加工縞が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の銅合金連続鋳造鋳物からなる管材。
  5. 最外管層と、この最外管層の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層とを有した管材を鋳造するための鋳型であって、
    冷却器内に保持される外型と、この外型に形成した段部に支承される頸部を有して、前記外型内に挿入される内型とからなり、
    この内型の前記頸部に、前記リブ層のための第1キャビティと、前記最外管層のための第2及び第3キャビティとを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚とを一体化するとともに、これら第1〜第3キャビティに連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型内に注入するための第1〜第3注入口を形成したことを特徴とする鋳型。
  6. 銅合金を連続的に鋳造した鋳物からなる管材であって、
    最外管層と、この最外管層の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層と、このリブ層の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層とを有したことを特徴とする銅合金連続鋳造鋳物からなる管材。
  7. 最外管層と、この最外管層の内側に外端を一体化した少なくとも1層のリブ層と、このリブ層の内端に一体化した少なくとも1層の内部管層とを有した管材を鋳造するための鋳型であって、
    冷却器内に保持される外型と、この外型に形成した段部に支承される頸部を有して、前記外型内に挿入される内型とからなり、
    この内型の前記頸部に、前記リブ層のための第1キャビティと、前記最外管層のための第2及び第3キャビティとを形成するための少なくとも2本の空隙形成脚と、これらの空隙形成脚間に配置されて前記内部管層のための第4キャビティを形成するための中穴形成棒とを一体化するとともに、
    前記頸部に、前記第1〜第4キャビティに連通して、銅合金の溶湯を当該鋳型内に注入するための第1〜第4注入口を形成したことを特徴とする鋳型。
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