JP2009062577A - ニッケルめっき浴 - Google Patents
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Abstract
【課題】均一電着性に優れ、ホウ素を用いることが無く、めっきコストも低廉なニッケルめっき浴を提供する
【解決手段】本発明のニッケルめっき浴は、ニッケルイオン源としての塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルをニッケルイオン濃度換算で1g/L〜20g/L含み、クエン酸をクエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/L含み、pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されていることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のニッケルめっき浴は、ニッケルイオン源としての塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルをニッケルイオン濃度換算で1g/L〜20g/L含み、クエン酸をクエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/L含み、pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は均一電着性に優れたニッケルめっき浴及びニッケルめっき方法に関する。
従来より、実用化されているニッケルめっき浴として、ワット浴(硫酸ニッケル240〜300 g/L、塩化ニッケル45〜50 g/L、ホウ酸30〜40 g/Lの組成からなるニッケルめっき浴)やスルファミン酸浴(スルファミン酸ニッケル300〜450 g/L、塩化ニッケル0〜15 g/L、ホウ酸30〜40 g/Lからなるニッケルめっき浴)がある。ワット浴は電流効率に優れ、光沢剤や応力緩和剤についても開発が進んでいるため、装飾めっきとして好適に用いることができる。また、スルファミン酸浴は、めっき皮膜の応力が小さいという特徴があるため、電鋳等の厚いめっきを行う場合に、好適に用いることができる。
しかし、これらワット浴やスルファミン酸浴を用いたニッケルめっきは、均一電着性において問題が生じていた。例えば、深絞りのプレス製品などにニッケルめっきを施す場合には、ワット浴やスルファミン酸浴を用いた場合、深く絞られた内部までめっきが付き難く、ニッケルめっき皮膜が薄くなってしまい、耐食性が不十分となりやすい。その一方、被めっき物の凸部には電流が集中しやすく、めっきが厚くなりすぎて、寸法精度が悪くなる等の問題を生じていた。
ニッケルめっきの均一電着性を向上させるための方法として、深く絞られた内部に補助電極を挿入したり、凸部付近に遮蔽物を設置したりすることが行われている。しかし、補助電極や遮蔽物を設置するのは手間がかかることであり、生産性が低下し、ひいてはめっきにかかるコストの高騰化を招来することとなる。
この点、均一電着性に優れている無電解ニッケルめっき浴を用いれば、均一な膜厚のニッケルめっき層を形成させることができる。しかし、無電解ニッケルめっきのめっき速度は遅く、めっき浴に長い時間入れておかなければならないため、生産性が悪いという欠点を有する。また、ニッケルイオンを還元して金属とするためには、還元剤が必要となるため、めっきコストが高くなり、さらには、使用済みのめっき浴を廃棄するための、廃液処理も必要となるという問題がある。特に、還元剤として次亜リン酸を用いる場合には、廃液に多量のリンが含まれることとなり、河川や湖沼の富栄養化等、環境汚染の原因となるおそれがある。
このため、被めっき物の形状に関わらず、どの部分にも均一な厚さのニッケルめっき皮膜が得られるような、均一電着性に優れたニッケルめっき浴が求められていた。そして、そのようなめっき浴も提案されている(特許文献1)。
一方、近年、ホウ素に対する排水規制の強化に伴い、ホウ素を含まないニッケルめっき浴が求められている。ワット浴やスルファミン酸浴のようにホウ素を多量に含むニッケルめっき浴の代替浴として、ホウ素フリーのニッケルめっき浴が開発されている(特許文献2)。このニッケルめっき浴は、硫酸ニッケル240〜300g/L、塩化ニッケル45〜50 g/L、クエン酸17〜21 g/Lの組成であり、pHは3〜5に調整される。このクエン酸ニッケルめっき浴によれば、緻密なニッケルめっき皮膜ができ、皮膜中のニッケルの純度も高い。また、廃液処理においてホウ素の除去を行う必要がない。しかし、均一電着性については、問題が解決されていなかった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、均一電着性に優れ、ホウ素を用いることが無く、めっきコストも低廉なニッケルめっき浴を提供することを解決すべき課題としている。
本発明のニッケルめっき浴は、ニッケルイオン源としての塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルをニッケルイオン濃度換算で1g/L〜20g/L含み、クエン酸をクエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/L含み、pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されていることを特徴とする。
本発明のニッケルめっき浴では、クエン酸がクエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/Lであり、従来のクエン酸ニッケルめっき浴(上記特許文献1に記載のクエン酸ニッケルめっき浴のクエン酸濃度は12g/L〜21g/L)と比較して、クエン酸が極めて大量に含まれている。また、めっき浴中のニッケルイオン濃度は1g/L〜20g/Lであり、上記特許文献1に記載されて従来のクエン酸ニッケルめっき浴中のニッケルイオン濃度(53.6g/L〜67g/L)と比較して、極めて少ない。さらには、pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されており、上記特許文献1に記載されて従来のクエン酸ニッケルめっき浴のpHが3〜5であるのに対して、高くされている。
このように、本発明のニッケルめっき浴と、従来のクエン酸ニッケルめっき浴とは、浴組成に大きな違いがある。このため、本発明のニッケルめっき浴に含まれているクエン酸の役割は、pH緩衝剤としてよりも、ニッケルイオンの錯化剤として機能していると考えられる。すなわち、従来のクエン酸ニッケルめっき浴では、クエン酸に対するニッケルイオンの濃度が高く、pHも低いため、クエン酸はニッケルイオンの錯化剤としてよりも、pH緩衝剤として添加されているといえる。これに対して、本発明のニッケルめっき浴では、ニッケルイオン濃度が低く、クエン酸の添加量が極めて多く、しかもpHが高くされているため、クエン酸がニッケルイオンの錯化剤として機能していると考えられる。また、本発明のニッケルめっき浴では、建浴時のpH調節にアンモニアが用いられているため、アンモニアが多量に含まれていることとなり、アンモニアもニッケルイオンを錯化剤としての役割を果たしていると考えられる。
このため、本発明のニッケルめっき浴では、ニッケルイオンが錯化された状態からのニッケルが析出することとなり、このことが、従来のクエン酸ニッケルめっき浴とは異なり、極めて均一電着性に優れたニッケルめっき皮膜が形成される要因となっているものと推定される。
このため、本発明のニッケルめっき浴では、ニッケルイオンが錯化された状態からのニッケルが析出することとなり、このことが、従来のクエン酸ニッケルめっき浴とは異なり、極めて均一電着性に優れたニッケルめっき皮膜が形成される要因となっているものと推定される。
また、本発明のニッケルめっきには、ホウ素がまったく含まれていないため、排水規制においてホウ素濃度が適用されていても、問題となることはない。さらには、従来のワット浴やスルファミン酸浴と同様、電気めっきによってニッケルを析出させるため、無電解ニッケルめっき浴のように、還元剤を添加する必要もない。また、補助電極や遮蔽物を設置しなくても、均一な厚みのニッケルめっき皮膜を形成することができる。このため、めっきコストも低廉なものとなる。
なお、本発明のニッケルめっき浴において、「pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されている」という意味は、所定の量の塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルと、所定の量のクエン酸とを溶解した液にアンモニア水を加えてpHを6.5〜10とすることのみならず、クエン酸の替わりにクエン酸アンモニウムを水に溶解した後、pHを調整することも含む意味である。
ニッケルイオン源としては、塩化ニッケルが好ましい。こうであれば、ニッケルめっき液中に塩素イオンが含まれることとなり、陽極にニッケルを用いた場合のニッケルの溶解性が良好となるからである。
また、本発明のニッケルめっき浴では、光沢剤及び/又は応力緩和剤が添加されていることも好ましい。光沢剤が添加されれば、広い電流密度の範囲で均質な外観のニッケルめっきとすることができるため、装飾用のニッケルめっきとして用いることができる。また、応力緩和剤を添加すれば、ニッケルめっき皮膜の応力が緩和され、割れ等の異常なめっきとなることを防止することができる。
本発明のニッケルめっき浴は、ニッケルイオン源としての塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルをニッケルイオン濃度換算で1g/L〜20g/L含み、クエン酸をクエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/L含み、pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されている。
ニッケルイオン源としては、塩化ニッケルや硫酸ニッケルやこれらを混合して用いることができる。ニッケル陽極の溶解性を良好とするためには、塩化ニッケルを用いることが好ましい。ニッケル塩の添加量は、ニッケルイオン濃度換算で1g/L〜20g/Lが好ましく特に好ましいのは2g/L〜20g/Lの範囲である。ニッケル塩の添加量がニッケルイオン濃度換算で2g/L未満となると、ニッケルイオン濃度の変動割合が大きくなりやすく、ニッケルイオン濃度のこまめな管理が必要となる。また、低電流密度領域で、めっきがなされない部分が生じる。
クエン酸は、クエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/L含むことが好ましい。クエン酸の添加量がクエン酸・一水和物換算で50g/L未満の場合には、ニッケルの錯体化が進まず、均一電着性が低下する。一方、クエン酸の添加量がクエン酸・一水和物換算で300g/Lを超えると、溶解度の限界に近づくため、冬場等において、クエン酸が溶解しきれずに、析出するおそれがある。
さらに、pHがアンモニアによって6.5〜10とすることが必要である。6.5以下では電流密度の小さい部分が正常なめっき皮膜ができずに、焦げたような外観となる。また、pHが10を超えるとアンモニアが遊離状態で存在することとなり、アンモニア臭によって作業環境が悪くなる。なお、本発明のニッケルめっき浴では、電気めっきを行うとpHが若干低下する傾向にあるが、pHを調節するために、水酸化ナトリウムなどアンモニア以外のアルカリを用いることも可能ある。
本発明に用いられる光沢剤としては、ブチンジオール等のアセチレン誘導体、サッカリン、ヘキシンジオール等が挙げられる。また、本発明に用いられる応力緩和剤としては、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。
本発明のニッケルめっき浴を用いてニッケルめっきを行う場合、陽極としてはニッケルを用いることが好ましい。こうであれば、めっき液中のニッケルイオンが、ニッケル陽極から補充され、変動し難くなる。また、めっき浴の浴温は適宜選択すればよいが、30〜50℃が好ましい。50℃を超えると、液の蒸発が促進され、エネルギーの消費量も多くなり、作業環境も悪くなる。また、30℃未満では、季節によって冷却装置が必要となる。
以下、本発明のニッケルめっき浴を具体化した実施例について、さらに詳述する。
(実施例1)
以下に示す手順に従ってニッケルめっき浴を建浴した。すなわち、水にクエン酸・一水和物を200g/L、塩化ニッケル・六水和物を10g/L添加して加温溶解し、放冷後、pHメータでpHを測定しながら濃アンモニア水を加え、pHを8となるように調節して実施例1のニッケルめっき液とした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で2.47g/Lのニッケルイオンが含まれている。
(実施例1)
以下に示す手順に従ってニッケルめっき浴を建浴した。すなわち、水にクエン酸・一水和物を200g/L、塩化ニッケル・六水和物を10g/L添加して加温溶解し、放冷後、pHメータでpHを測定しながら濃アンモニア水を加え、pHを8となるように調節して実施例1のニッケルめっき液とした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で2.47g/Lのニッケルイオンが含まれている。
(実施例2)
実施例2では、塩化ニッケルの濃度を20g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で4.94g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
実施例2では、塩化ニッケルの濃度を20g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で4.94g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
(実施例3)
実施例3では、塩化ニッケルの濃度を40g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で9.88g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
実施例3では、塩化ニッケルの濃度を40g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で9.88g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
(実施例4)
実施例4では、塩化ニッケルの濃度を60g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で14.8g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
実施例4では、塩化ニッケルの濃度を60g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で14.8g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
(実施例5)
実施例5では、塩化ニッケルの濃度を80g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で19.8g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
実施例5では、塩化ニッケルの濃度を80g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で19.8g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
(実施例6)
実施例6では、塩化ニッケルの濃度を100g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で24.7g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
実施例6では、塩化ニッケルの濃度を100g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で24.7g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
(比較例1)
比較例1では、塩化ニッケルの濃度を1g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で0.247g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
比較例1では、塩化ニッケルの濃度を1g/Lとした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で0.247g/Lのニッケルイオンが含まれている。その他は実施例1のニッケルめっき液と同じであり、説明を省略する。
(比較例2)
比較例2では、下記組成のワット浴である。
硫酸ニッケル・6水塩・・240g/L
塩化ニッケル・6水塩・・・45g/L
ホウ酸・・・・・・・・・・30g/L
pH・・・・・・・・・・ 4(塩基性炭酸ニッケルを加えてろ過後、希硫酸で調整)
比較例2では、下記組成のワット浴である。
硫酸ニッケル・6水塩・・240g/L
塩化ニッケル・6水塩・・・45g/L
ホウ酸・・・・・・・・・・30g/L
pH・・・・・・・・・・ 4(塩基性炭酸ニッケルを加えてろ過後、希硫酸で調整)
<均一電着性の評価>
均一電着性の評価はハルセル試験で行った。すなわち、図1に示すように、断面が台形形状の四角柱容器のめっき槽1を用い、図2に示すように、互いに非平行で対面する面2、面3のうち、幅が短い面2に接するようにニッケル陽極板4を挿入し、幅が長い面3に接するように黄銅板5を挿入する。黄銅板5は100mm×65mm、ニッケル陽極板4は63.5mmである。また、めっき槽1の互いに平行で対面する面の短辺側の幅Xは47.6mm、長辺側の幅Yは127mmである、深さDは63.5mmである。めっき槽1にめっき液を267mL入れた。めっき用電源として、定電流電源6を用意し、陽極側をニッケル陽極板4に接続し、陰極側を黄銅板5に接続した。
均一電着性の評価はハルセル試験で行った。すなわち、図1に示すように、断面が台形形状の四角柱容器のめっき槽1を用い、図2に示すように、互いに非平行で対面する面2、面3のうち、幅が短い面2に接するようにニッケル陽極板4を挿入し、幅が長い面3に接するように黄銅板5を挿入する。黄銅板5は100mm×65mm、ニッケル陽極板4は63.5mmである。また、めっき槽1の互いに平行で対面する面の短辺側の幅Xは47.6mm、長辺側の幅Yは127mmである、深さDは63.5mmである。めっき槽1にめっき液を267mL入れた。めっき用電源として、定電流電源6を用意し、陽極側をニッケル陽極板4に接続し、陰極側を黄銅板5に接続した。
ハルセル試験では、めっき槽1にニッケルめっき浴を267mL入れ、図示しない電気ヒータ及び温度調節装置により、浴温度を50℃とし、3Aの定電流により3分間電気めっきを行った。そして、蛍光X線膜厚計によってめっき皮膜の膜厚を測定した。測定箇所は、図2に示すA地点、B地点及びC地点の3箇所(端からの距離OA=5mm、OB=20mm、OC=81mm)とし、(B地点の膜厚)/(C地点の膜厚)及び(A地点の膜厚)/(C地点の膜厚)の値で、均一電着性を評価した。ハルセル試験においては、陽極と陰極との距離が短いほど電流密度が大きくなり、(B地点の膜厚)/(C地点の膜厚)及び(A地点の膜厚)/(C地点の膜厚)の値が1に近いほど均一電着性が良いことになる。ハルセル試験において、陰極側の黄銅板5の各地点からニッケル陽極板4までの距離をLとした場合、その地点での過電圧を考慮しない理論的な電流密度iは、全体の電流をIとした場合、
i=I(5.10−5.24logL)
で計算することができる。こうして計算された各地点の電流密度は、A地点で20.0A/dm2、B地点で10.5A/dm2、C地点で1.0A/dm2となる。
i=I(5.10−5.24logL)
で計算することができる。こうして計算された各地点の電流密度は、A地点で20.0A/dm2、B地点で10.5A/dm2、C地点で1.0A/dm2となる。
<結 果>
結果を表1に示す。この表から、実施例1〜実施例6では、ワット浴を用いた比較例2と比較して、B/C及びA/Cの値が小さく、ワット浴を用いたニッケルめきよりもはるかに均一電着性に優れていることが分かる。ただし、実施例1では、ニッケルイオン濃度が2.47g/Lと低いため、ニッケルイオン濃度ニッケルイオン濃度の管理を十分に行わなければならない。また、塩化ニッケルの濃度を1g/L(ニッケルイオン濃度換算で0.247g/L)とニッケルイオン濃度が低い比較例1では、均一電着性には優れているものの、低電流密度部分で一部めっきがなされない部分が生じることがわかった。
結果を表1に示す。この表から、実施例1〜実施例6では、ワット浴を用いた比較例2と比較して、B/C及びA/Cの値が小さく、ワット浴を用いたニッケルめきよりもはるかに均一電着性に優れていることが分かる。ただし、実施例1では、ニッケルイオン濃度が2.47g/Lと低いため、ニッケルイオン濃度ニッケルイオン濃度の管理を十分に行わなければならない。また、塩化ニッケルの濃度を1g/L(ニッケルイオン濃度換算で0.247g/L)とニッケルイオン濃度が低い比較例1では、均一電着性には優れているものの、低電流密度部分で一部めっきがなされない部分が生じることがわかった。
(実施例7〜12)
クエン酸の添加量の影響を調べるために、以下のニッケルめっき液を調製してハルセル試験による均一電着性の評価を行った。すなわち、塩化ニッケル・六水和物を40g/L(ニッケルイオン濃度換算で9.88g/L)とし、クエン酸・一水和物の濃度を、実施例7では50g/L、実施例8では100g/L、実施例9では150g/L、実施例10では200g/L、実施例11では250g/L、実施例12では300g/Lとした。
その結果、表2に示すように、クエン酸・一水和物の濃度が50〜300g/Lの範囲において、優れた均一電着性を有するニッケルめっき皮膜が得られることが分った。
クエン酸の添加量の影響を調べるために、以下のニッケルめっき液を調製してハルセル試験による均一電着性の評価を行った。すなわち、塩化ニッケル・六水和物を40g/L(ニッケルイオン濃度換算で9.88g/L)とし、クエン酸・一水和物の濃度を、実施例7では50g/L、実施例8では100g/L、実施例9では150g/L、実施例10では200g/L、実施例11では250g/L、実施例12では300g/Lとした。
その結果、表2に示すように、クエン酸・一水和物の濃度が50〜300g/Lの範囲において、優れた均一電着性を有するニッケルめっき皮膜が得られることが分った。
(実施例13〜16及び比較例3〜5)
pHの影響を調べるために、以下のニッケルめっき液を調製してハルセル試験による均一電着性の評価を行った。すなわち、塩化ニッケル・六水和物を40g/L(ニッケルイオン濃度換算で9.88g/L)、クエン酸・一水和物の濃度を200g/Lとし、pHをアンモニア水によって以下のように調製した。
実施例13・・・7.72、実施例14・・・8.57、実施例15・・・9.28、
実施例16・・・10.1、比較例3・・・・0.8、 比較例4・・・・4.02、
比較例5・・・・6.23
その結果、表3に示すように、実施例10〜16では優れた均一電着性を有する正常なニッケルめっき皮膜が得られることが分った。これに対し、比較例3〜5では、正常なニッケルめっき皮膜は得られず、膜厚も薄いものであった。
pHの影響を調べるために、以下のニッケルめっき液を調製してハルセル試験による均一電着性の評価を行った。すなわち、塩化ニッケル・六水和物を40g/L(ニッケルイオン濃度換算で9.88g/L)、クエン酸・一水和物の濃度を200g/Lとし、pHをアンモニア水によって以下のように調製した。
実施例13・・・7.72、実施例14・・・8.57、実施例15・・・9.28、
実施例16・・・10.1、比較例3・・・・0.8、 比較例4・・・・4.02、
比較例5・・・・6.23
その結果、表3に示すように、実施例10〜16では優れた均一電着性を有する正常なニッケルめっき皮膜が得られることが分った。これに対し、比較例3〜5では、正常なニッケルめっき皮膜は得られず、膜厚も薄いものであった。
(実施例17〜19)
光沢剤の影響を調べるため、実施例3のニッケルめっき液に市販のニッケルめっき用光沢剤を添加し、その効果を調べた。添加した光沢剤及び添加量は以下のとおりである。
実施例17・・・芳香族スルホン酸系光沢剤 5cc/L
実施例18・・・ジオール系光沢剤 2cc/L
実施例19・・・スルホンイミド系光沢剤 10cc/L
光沢剤の影響を調べるため、実施例3のニッケルめっき液に市販のニッケルめっき用光沢剤を添加し、その効果を調べた。添加した光沢剤及び添加量は以下のとおりである。
実施例17・・・芳香族スルホン酸系光沢剤 5cc/L
実施例18・・・ジオール系光沢剤 2cc/L
実施例19・・・スルホンイミド系光沢剤 10cc/L
その結果、表4に示すように、実施例17〜19のニッケルめっき液では、いずれも実施例3と同様、優れた均一電着性を示すことが分かった。さらに、実施例3のめっき皮膜の外観は、乳白色であったのに対し、実施例17〜19ではパール様の均質な外観のめっき皮膜が得られた。これらの中でも実施例18が特に外観の美しいパール様の均質な外観のめっき皮膜が得られ、装飾用のニッケルめっき液としても使用できることが分った。
(実施例20)
ニッケルめっきの連続操業の可能性を調べるために、実施例3のニッケルめっき液に、ジオール系光沢剤を5cc/L添加し、ハルセル試験を繰り返して11回行った。
ニッケルめっきの連続操業の可能性を調べるために、実施例3のニッケルめっき液に、ジオール系光沢剤を5cc/L添加し、ハルセル試験を繰り返して11回行った。
その結果、表5に示すように、11回目まで良好な均一電着性が保たれた。めっきの外観も常に正常なパール様のめっき皮膜が得られた。なお、pHは徐々に低下したが、希水酸化ナトリウムやアンモニア水で容易にpH調製を行うことができる程度であった。以上の結果から、pHの調整を適宜行うことによって、連続して操業することも充分可能であることが分った。
(実施例21)
実施例21では、ニッケルイオン源として、塩化ニッケル・六水和物の替わりに、硫酸ニッケル・六水和物を用いた。すなわち、水にクエン酸・一水和物を200g/L、硫酸ニッケル・六水和物を40g/L添加して加温溶解し、放冷後、pHメータでpHを測定しながら濃アンモニア水を加え、pHを8となるように調節して実施例21のニッケルめっき液とした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で8.94g/Lのニッケルイオンが含まれている。
実施例21では、ニッケルイオン源として、塩化ニッケル・六水和物の替わりに、硫酸ニッケル・六水和物を用いた。すなわち、水にクエン酸・一水和物を200g/L、硫酸ニッケル・六水和物を40g/L添加して加温溶解し、放冷後、pHメータでpHを測定しながら濃アンモニア水を加え、pHを8となるように調節して実施例21のニッケルめっき液とした。このめっき液にはニッケルイオン濃度換算で8.94g/Lのニッケルイオンが含まれている。
その結果、表6に示すように、良好な均一電着性が保たれた。この結果から、塩化ニッケルの替わりに、硫酸ニッケルを用いてもよいことが分った。
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本発明は、金属にニッケルめっきを施すために、好適に用いることができる。
1…めっき槽
4…ニッケル陽極板
5…黄銅板
6…定電流電源
4…ニッケル陽極板
5…黄銅板
6…定電流電源
Claims (3)
- ニッケルイオン源としての塩化ニッケル及び/又は硫酸ニッケルをニッケルイオン濃度換算で1g/L〜20g/L含み、クエン酸をクエン酸・一水和物換算で50g/L〜300g/L含み、pHがアンモニアによって6.5〜10に調節されていることを特徴とするニッケルめっき浴。
- ニッケルイオン源は塩化ニッケルであることを特徴とする請求項1記載のニッケルめっき浴。
- さらに光沢剤及び/又は応力緩和剤が添加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のニッケルめっき浴。
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- 2007-09-06 JP JP2007231095A patent/JP2009062577A/ja active Pending
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