JP2009061716A - 流体噴射ヘッド及び流体噴射装置 - Google Patents

流体噴射ヘッド及び流体噴射装置 Download PDF

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尚 赤地
Tatsuo Akatsu
竜男 赤津
Takuya Kudo
卓也 工藤
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Abstract

【課題】導電性の異物の付着に起因する流体の電気分解を防止することが可能な液体噴射ヘッド、及び流体噴射装置を提供する。
【解決手段】ノズル開口32が形成されたノズルプレート27と、ノズル開口32に連通する圧力室6が形成された流路形成基板28と、圧力室6の壁面を構成する振動板30と、圧力室6に対応して設けられ、振動板30を介して圧力室6の容積を変化させる圧電素子2と、圧電素子2を保持するとともに圧力室6へインクを供給するためのインク供給路18を有するケーシング12と、を少なくとも備え、振動板30は、インク供給路18に連通し、圧力室6側へインクを導入させるためのインク導入口45を有し、ケーシング12に接合される導電性の補強板36と、絶縁性の弾性フィルム38とを接合してなる複合材によって構成され、インク導入口45内に露出する補強板36の孔36bの内周面36Aが絶縁膜46Aによって覆われている。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体噴射ヘッド及び流体噴射装置に関するものである。
流体噴射装置として、記録ヘッド(噴射ヘッド)に形成されたノズルより記録媒体にインクを噴射するインクジェット式記録装置が知られている。このような流体噴射ヘッドの一種に、例えば、圧力室や圧電素子を備えたアクチュエータユニットと、ノズル開口や共通インク室を備えた流路ユニットとから構成され、圧電素子の駆動に応じて振動板を振動させることで液滴を噴射させるようにしたものがある。
圧力室の壁部は、振動板によって構成されており、駆動信号を供給して圧電素子を駆動させることで振動板が振動し、圧力室の容積を変化させて圧力室内に貯留されたインクに圧力変動を生じさせる。そして、この圧力変動を利用することでノズル開口からインク滴を噴射させる。
一般的に、振動板は、例えばステンレス鋼等の金属製の補強板上に弾性フィルムをラミネート加工したもので、ケーシングに補強板側を対向させた状態で接着等によって接合されている(例えば、特許文献1参照)。このような振動板には、インクリザーバ(共通インク室)に対応する部分に、ケーシング側の流体供給流路からのインクをインクリザーバに導入させるための流体導入口が、補強板と弾性フィルムとを貫通した状態で開設されている。また、振動板は、補強板の圧電素子が接合される部分を島部として残し、圧力室に対応する部分をエッチング等によって除去することで、圧力室に対応する部分が弾性膜のみで形成されている。
特開2000−33713号公報
ここで、振動板の島部は、補強板の他の部分と電気的に独立しているため、通常では、圧電素子に駆動信号を印加しても島部から他の部分に電流が流れることはない。ところが、島部は、ケーシングにおける圧電素子の収容室内に露出しているため、記録ヘッドのアライメント工程中に、加工屑等の異物が上記収容室内に入り込み、島部上に落下することがある。この異物が金属などの導電性を有するものである場合、島部と補強板の他の部分との間で短絡する虞がある。このような短絡が生じたとき、補強板全体が圧電素子の自由端部の先端面(圧電素子の最表層)と同電位(正電位)になる。
一方、補強板とは流路形成基板を挟んで反対側に配置されているノズルプレートは、帯電防止のために接地電位(GND)に調整されている。これにより、補強板においてインクと接触する部分である流体導入口の内周面と、ノズルプレートのノズル開口周辺部とがあたかも電極のように作用して、これらの間のインクが電気分解される虞がある。この電気分解が進むと、流体導入口の周囲に顔料等のインクの含有成分が析出し、この析出物が流路を塞ぐ等して噴射不良の原因となることがあった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、導電性の異物の付着に起因する流体の電気分解を防止することが可能な液体噴射ヘッド及び流体噴射装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、流体を噴射させる複数のノズル開口が形成されたノズル形成基板と、複数のノズル開口に連通する複数の圧力室が形成された流路形成基板と、複数の圧力室の壁面を構成する振動板と、各圧力室に対応して設けられ、振動板を介して圧力室の容積を変化させる複数の圧電素子と、圧電素子を保持するとともに圧力室へ流体を供給するための流体供給流路を有するケーシングと、を少なくとも備え、振動板は、ケーシングに接合される導電性の補強板と、絶縁性の弾性膜とを接合してなる複合材によって構成され、且つ、流体供給流路に連通し、圧力室側へ流体を導入させるための流体導入口を有してなり、当該流体導入口内に露出する補強板の露出部が絶縁材によって覆われていることを特徴とする。
本発明の流体噴射ヘッドによれば、振動板の流体導入口内における補強板の露出部を絶縁材で覆う構成とすることで、ノズル形成基板と振動板(補強板)とを電気的に絶縁することができる。これにより、アセンブリ工程において、導電性の異物が補強板上に落下して圧電素子と補強板とが短絡した場合においても、補強板とノズル形成基板とが電気的に作用することを阻止することができる。その結果、振動板とノズル形成基板との間にある流体の電気分解を防止して、流体の電気分解に起因する、流体からの析出物による噴射不良を抑制することができるようになり、安定的な噴射が可能となる。
また、絶縁材が、ケーシングと補強板とを接合する接着材であることが好ましい。
このような構成によれば、ケーシングと補強板(振動板)とを接合する接着材を用いることにより、他の材料を用いることなく絶縁材を形成することができる。これにより、簡単且つ低コストで形成することができる。
また、流体導入口の開口面積が、流体供給流路の開口面積よりも大きいことが好ましい。
このような構成によれば、振動板のケーシングに接着する側の表面から、接着材を流体導入口内に回り込ませることができ、絶縁材を容易に形成することができる。
また、絶縁材によって覆われた部分の流体導入口の開口面積が、流体供給流路の開口面積よりも大きいことが好ましい。
このような構成によれば、流体導入口の絶縁性が確保されるとともに、インクの流動性が向上する。
本発明の流体噴射装置は、上記流体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、補強板への導電性異物の付着に起因する補強板とノズルプレートとの電気短絡を防いで、振動板とノズルプレートとの間にある流体の電気分解を防止した液体噴射ヘッドを備えているので、信頼性の高い噴射制御を安定的に行うことが可能となり、製品信頼性を長期的に確保可能とした流体噴射装置を得ることができる。
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
(記録装置の構成)
図1は本発明の液体噴射装置の実施の形態に係るインクジェット式記録装置(以下「記録装置」という)100を示す概略斜視図である。
図1に示すように、記録装置100は、キャリッジ101を有し、このキャリッジ101はキャリッジモータ102により駆動されるタイミングベルト103を介し、ガイド部材104に案内されてプラテン105の軸方向に往復移動されるように構成されている。
図1のキャリッジ101の記録用紙200に対向する側には、後述する流体噴射ヘッドである例えば、インクジェット式記録ヘッド(以下「記録ヘッド」という)1(図2参照)が搭載され、その上部には、記録ヘッド1に液体である例えば、インクを供給するブラックインクカートリッジ106及びカラー用インクカートリッジ107が着脱可能に装填されている。
そして、図1の記録用紙200は、印字等領域Pに配置されて、記録ヘッド1によってインクが噴射され、印字等される構成となっている。
また、図1に示すように、記録用紙200が配置されない非印字等領域である例えば、ホームポジションHには、キャップ部材や吸引手段等を有するクリーニング手段である例えば、キャッピング手段120、吸引ポンプ130、そしてワイピング部材140が配置されている。
(記録ヘッドの構成)
以下、図2及び図3を参照して記録ヘッドの構成について詳述する。図2は、記録ヘッドの一部を示す断面図である。
例示した記録ヘッド1は、複数の圧電素子2を有するアクチュエータユニット4、圧力室6やインクリザーバ8を含むインク供給路が形成された流路ユニット10、アクチュエータユニット4や流路ユニット10が固定されるケーシング12、及び、圧電素子2に駆動信号を供給するための信号ケーブル14等を備えて概略構成されている。
ケーシング12は、合成樹脂製の中空のブロック状部材であり、その内部にはアクチュエータユニット4を収容可能な収容室16と、インクカートリッジ側からのインクを流路ユニット10側に供給するインク供給路18とが形成されている。ケーシング12の収容室16は、流路ユニット取付面となるケーシング12の底面から、信号ケーブル14が挿入される上面側に亘って一連に形成されている。つまり、収容室16は、ケーシング12の高さ方向を貫通する貫通開口部として形成されている。
アクチュエータユニット4は、圧力発生手段としての圧電素子2と、この圧電素子2が接合される固定板20と、駆動信号を圧電素子2に供給する信号ケーブル14等から構成される。本実施形態における圧電素子2は、圧電体を電極で挟んで積層し、細長い櫛歯状に切り分けられた積層型の圧電素子である。そして、この圧電素子2は、縦方向に伸縮可能な縦振動型の圧電素子として構成されている。各圧電素子2は、固定端部を固定板20上に接合することにより、自由端部を固定板20の先端縁よりも外側に突出させて所謂片持ち梁の状態となっている。そして、各圧電素子2における自由端部の先端面は、後述するように、振動板30に形成されたダイヤフラム部40(図3参照)の島部41に接合される。
なお、圧電素子2が接合された固定板20は、接着材22によりケーシング12に固定されている。
上記の圧電素子2の表面には、個別外部電極24と共通外部電極26とが形成されている。個別外部電極24は、圧電素子2の先端面部と、圧電素子2における積層方向の一側面である配線接続面(信号ケーブル14が接続される面)とに一連に形成された電極であり、圧電素子2内部の個別内部電極(図示せず)と導通している。また、共通外部電極26は、圧電素子2の基端面部と、圧電素子2における積層方向の他側面である固定板20への取付面とに一連に形成された電極であり、圧電素子2内部の共通内部電極(図示せず)と導通している。これらの外部電極のうち、一方の個別外部電極24は信号ケーブル14の個別端子と電気的に接続され、他方の共通外部電極26は信号ケーブル14の接地端子と電気的に接続される。そして、信号ケーブル14からの駆動信号を個別外部電極24を通じて圧電素子2に印加すると、個別外部電極24(個別内部電極)と共通外部電極26(共通内部電極)との電位差により圧電体が変形する。これにより、圧電素子2を伸縮駆動することができる。
流路ユニット10は、ノズルプレート27、流路形成基板28、及び振動板30を有しており、流路形成基板28の一方の表面にノズルプレート27を配置し、ノズルプレート27とは反対側となる流路形成基板28の他方の表面に振動板30を配置して積層し、接着等により一体化することで構成されている。
記録ヘッド1の前面、すなわち、流路ユニット10において最下部に配設されるノズルプレート27は、図1の記録用紙200の幅方向に亘って列状に開設した多数のノズル開口32を有している。本実施形態のノズルプレート27は、例えばステンレス鋼等の金属で形成された板状の部材である。このノズルプレート27は、記録紙等から発生する静電気の帯電やノイズを防止する目的で、例えば図示しない金属製のカバーを通じて接地電位に調整される。
流路形成基板28は、例えば、シリコンウェハーから作製され、インクリザーバ8、インク導入路34、及び圧力室6からなる一連のインク流路となる流路基部が区画形成された板状部材である。
各ノズル開口32にそれぞれ連通する多数の圧力室6と、それらの圧力室6にインクを供給する共通のインクリザーバ8とが、インク導入路34を通じて繋がっている。
圧力室6は、ノズル開口32の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成され、インク導入路34は、圧力室6とインクリザーバ8との間を連通する流路幅の狭い狭窄部(オリフィス)として形成されている。
インクリザーバ8は、ケーシング12のインク供給路18を通じて供給されるインクを一時的に貯留する室である。このインクリザーバ8に貯留されたインクは、インク導入路34を通じて対応する各圧力室6に分配供給される。
振動板30は、ステンレス鋼等の導電性を有する補強板36にPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の絶縁性を有する可撓性フィルムから作製された弾性フィルム38をラミネート加工した二重構造の複合板材であり、弾性フィルム38側の面が流路形成基板28に、補強板36側の面がケーシング12の底面に、それぞれ接合されるようになっている。
この振動板30は、図3に示すように、圧力室空部6a(圧力室6)の一方の開口面を封止してこの圧力室6の容積を変動させるためのダイヤフラム部40が形成されると共に、凹部8a(インクリザーバ8)の一方の開口面を封止するコンプライアンス部42が形成された部材である。ダイヤフラム部40は、圧電素子2の先端面を接合するための部分を島部41として各圧力室6に対応して複数残した状態で、その周囲の補強板36をエッチング加工によって除去して弾性フィルム38のみとすることで構成されている。この島部41は、圧力室6の平面形状と同様に、ノズル開口32の列設方向と直交する方向に細長いブロック状に形成されている。
図4(a)は、図2のA−A線に沿った補強板36の平面図である(なお、図2のヘッドの断面は、図4のB−B線に沿っている)。
図4(a)に示すように、補強板36には、複数の孔36a、36b、36cがエッチング法により形成されており、長方形の孔36aは圧力室6の配列領域に対応し、孔36aの内側に存在する多数の島部41はそれぞれ、個々の圧力室6の背面に位置している。また、補強板36中央の円形の孔36bは、インク供給路18のインクリザーバ8への出口18B(インクリザーバ8の中央部分)に対応し、孔36bの両側にあるウィング状の孔36cは、インクリザーバ8の中央以外の部分に対応している。
また、補強板36の孔36bの周囲部分36Bが、インクリザーバ8の中央部付近を覆っており、ケーシング12におけるインク供給路18の入口18Aの周囲部分と接合する。
図4(b)は、図2のA−A線に沿った弾性フィルム38の平面図である(なお、図2のヘッドの断面は図3のB−B線に沿っている)。
図4(b)に示すように、弾性フィルム38には、インク供給路18のインクリザーバ8への出口18Bに対応し、上記補強板36の孔36bと同径をなす孔37が穿設されている。弾性フィルム38は、インクリザーバ8及び圧力室6の壁面を構成すべく、流路形成基板28のノズルプレート27とは反対側の面に設けられる。
そして、図5に示すように、このような補強板36及び弾性フィルム38を、接着層44を介してラミネートした状態において、補強板36の孔36bと弾性フィルム38の孔37とによって、振動板30の厚さ方向を貫通するインク導入口45が構成される。このインク導入口45は、インク供給路18とインクリザーバ8とを連通させる機能を有し、インク供給路18からのインクをインクリザーバ8へと供給するための貫通孔である。
そして、このインク導入口45は、インク供給路18の孔径よりも拡径とされており、すなわち、インク導入口45の開口面積が上記インク供給路18(出口18B)の開口面積よりも大きくなっている。
本実施形態では、インク導入口45を構成する補強板36の孔36b及び弾性フィルム38の孔37の内周面36A,37A(露出部)を被覆するようにして、絶縁膜46A(絶縁材)が形成されている。この絶縁膜46Aは、ケーシング12と流路ユニット10とを接合する接着層46の形成材料を用いて形成された樹脂膜(絶縁性膜)である。補強板36の孔36b及び弾性フィルム38の孔37の開口面積を、インク供給路18の開口面積よりも大きくしておくことによって、製造時に接着層46の形成材料をインク導入口45内へまわし込みやすくなる。
ここで、絶縁膜46Aによって覆われた部分のインク導入口45の開口面積がインク供給路18の開口面積よりも大きくなっている。すなわち、インク導入口45の開口面積がインク供給路18の開口面積よりも大きくなるような厚さで、孔36及び孔37の内周面36A,37Aに絶縁膜46Aが形成されている。
そして、各インクカートリッジから供給されたインクは、インク供給路18の入口18Aからケーシング12内に流入する。インク供給路18の下端はインクリザーバ8に接続されており、インク供給路18の入口18Aから流入したインクは、インク供給路18を流れた後、出口18Bからインク導入口45を介してインクリザーバ8へと供給される。インクリザーバ8に供給されたインクは、インク導入路34を介して、各圧力室6に分配されるように供給される。
そして、信号ケーブル14を介して圧電素子2に駆動信号が入力されると、圧電素子2が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部41が圧力室6に近接する方向或いは離隔する方向に移動(変形)する。これにより、圧力室6の容積が変化し、インクを収容した圧力室6の圧力が変動する。この圧力の変動によって、ノズル開口32からインク滴が噴射される。
このように、本実施形態の圧電素子2は、ノズル開口32よりインクを噴射するために、入力される駆動信号に基づいて、ノズル開口32に接続された圧力室6の圧力を変動させる。そして、ノズル開口32から噴射されたインクによって図1の記録用紙200に所望の画像が形成される。
ここで、上記振動板30に関し、導電性を有する補強板36の一部である島部41は、圧電素子2の自由端部の先端面に形成されている個別外部電極24と接合されているので、圧電素子2と同電位となる。一方、振動板30とは流路形成基板28を間に挟んで反対側に配置されているノズルプレート27は、上述したように接地電位に調整されている。上記島部41は、補強板36の他の部分と電気的に独立しているため、通常では、圧電素子2に駆動信号を印加しても島部41から他の部分に電流が流れることはない。
ところが、図2に示すように、島部41はケーシング12の収容室16の底面開口内に露出しているため、記録ヘッド1の組み立て工程中に加工屑等の異物F(図4(a))がケーシング12の収容室16内に入り込み、ダイヤフラム部40とその周辺部を含む露出部55上に落下することがある。そして、この異物Fが金属等の導電性を有するものであって島部41と補強板36の他の部分との間に亘って付着した場合には、両者間が電気的に短絡する虞がある。このような短絡が生じたとき、補強板36のほぼ全体が圧電素子2の自由端部の先端面(個別外部電極24)と同電位(正電位)になる。
そのため、従来では、振動板の補強板においてインクと接触する部分であるインク導入口の内周面と、ノズルプレートのノズル開口周辺部とがあたかも電極として作用し、これらの間のインクが電気分解される場合があった。インクの電気分解が進むと、例えばインク導入口内に顔料等のインクの含有成分が析出し、この析出物がインク流路を塞ぐ等して噴射不良の原因となる。インクの電気分解はゆっくりと進行するため、記録ヘッドの製造時の検査段階では発見し難く、製品としてユーザの手に渡ってから不具合が生じる可能性がある。
このような事情に鑑みて、本発明に掛かる記録ヘッド1では、振動板30の孔36bの内周面36Aに絶縁膜46Aを設けている。インク導入口45を構成する補強板36の孔36bの内周面36Aを絶縁膜46Aで覆う構成とすることで、振動板30とインクとの接触が避けられるため、ノズルプレート27と振動板30(補強板36)とを電気的に絶縁することができる。これにより、万一、上記のような導電性の異物Fの付着によって、島部41と補強板36の他の部分とが短絡した場合(或いは、圧電素子2の個別外部電極24と補強板36とが短絡した場合)においても、補強板36とノズルプレート27とが電極として作用することが防止され、振動板30(補強板36)とノズルプレート27との間にあるインクの電気分解を防止することができる。その結果、インクの電気分解に起因するインクの噴射不良を抑制することが可能となり、長期的な使用が可能となる。そして、上記記録装置100は、上記構成の記録ヘッド1を搭載しているので、信頼性の高い噴射制御を行うことが可能となる。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ケーシング12と振動板30とを接合する接着層46の形成材料を用いて絶縁膜46Aを形成するのではなく、他の絶縁材料を用いて絶縁膜46Aを形成するようにしてもよい。
また、インク導入口45を構成する補強板36の孔36b及び弾性フィルム38の孔37における双方の内周面36A,37Aを覆うようにして絶縁膜46Aを形成したが、弾性フィルム38が導電性を有しない樹脂材料からなる場合には、少なくとも、補強板36の内周面36Aのみを覆うようにしてもよい。
また、補強板36において、孔36bの内周面36Aにのみ絶縁膜46Aを形成するとしたが、補強板36の孔36aを含む露出部55上にも絶縁膜46Aを形成してもよい。このような構成とすることにより、記録ヘッド1の組み立て工程中に異物Fがダイヤフラム部40とその周辺部を含む露出部55上に落下したとしても、島部41と補強板36の他の部分とが電気的に独立するので、島部41(圧電素子2)と補強板36との短絡を防止することができる。
また、本発明は、インクジェット式記録装置に限らず、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等の液体を噴射する流体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置等にも適用できる。
本発明の一実施形態に係る記録装置の概略構成図。 本発明の一実施形態に係る記録装置が備える記録ヘッドの概略構成を示す断面図。 本発明の一実施形態に係る流路ユニットの分解斜視図。 (a)は補強板の概略構成を示す平面図、(b)は弾性フィルムの概略構成を示す平面図。 本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの要部を拡大して示す断面図。
符号の説明
1…記録ヘッド(流体噴射ヘッド)、2…圧電素子、6…圧力室、8…インクリザーバ、12…ケーシング、18…インク供給路(流体供給流路)、27…ノズルプレート(ノズル形成基板)、28…流路形成基板、30…振動板、32…ノズル開口、36…補強板、36b…孔、36A…内周面(露出部)、37…孔、37A…内周面(露出部)、38…弾性フィルム(弾性膜)、45…インク導入口(流体導入口)、46…接着層、46A…絶縁膜(絶縁材)、100…記録装置(流体噴射装置)

Claims (5)

  1. 流体を噴射させる複数のノズル開口が形成されたノズル形成基板と、
    前記複数のノズル開口に連通する複数の圧力室が形成された流路形成基板と、
    前記複数の圧力室の壁面を構成する振動板と、
    前記各圧力室に対応して設けられ、前記振動板を介して前記圧力室の容積を変化させる複数の圧電素子と、
    前記圧電素子を保持するとともに前記圧力室へ前記流体を供給するための流体供給流路を有するケーシングと、を少なくとも備え、
    前記振動板は、前記ケーシングに接合される導電性の補強板と、絶縁性の弾性膜とを接合してなる複合材によって構成され、且つ、前記流体供給流路に連通し、前記圧力室側へ前記流体を導入させるための流体導入口を有してなり、当該流体導入口内に露出する前記補強板の露出部が絶縁材によって覆われていることを特徴とする流体噴射ヘッド。
  2. 前記絶縁材が、前記ケーシングと前記補強板とを接合する接着材であることを特徴とする請求項1記載の流体噴射ヘッド。
  3. 前記流体導入口の開口面積が、前記流体供給流路の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の流体噴射ヘッド。
  4. 前記絶縁材によって覆われた部分の前記流体導入口の開口面積が、前記流体供給流路の開口面積よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の流体噴射ヘッド。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の流体噴射ヘッドを備えたことを特徴とする流体噴射装置。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107379765A (zh) * 2016-03-31 2017-11-24 兄弟工业株式会社 液体喷射设备

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