以下、図面とともに本発明による無線通信システム及び無線通信方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1及び図2は、それぞれ、本発明の好適な一実施形態にかかる無線基地局10及び移動局30の概略構成図である。本実施形態にかかる無線通信システムは、複数の無線基地局10と複数の移動局30とを含んで構成されており、IEEE802.16eに準拠した直交周波数多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)を使用して、無線基地局10と移動局30との間で無線信号を送受信する通信システムである。OFDMAとは、送信キャリアの全帯域を周波数軸上でサブキャリアに分割し、無線信号を複数の狭帯域のサブキャリアの束として伝送するマルチキャリア伝送の一種である。送信キャリアの帯域幅としては、例えば5MHz、10MHz、20MHzが選択される。本実施形態にかかる無線通信システムおいては、送受信する無線信号の周波数帯域として互いに異なる2つのキャリア(例えば、中心周波数が2.550MHzで帯域幅が10MHzのキャリアと、中心周波数が2.560MHzで帯域幅が10MHzのキャリア)が許容されている。
まず、無線基地局10及び移動局30の機能構成について詳細に説明する。
図1に示すように、無線基地局10は、誤り訂正符号化部111〜11N、変調部121〜12N、多重化部(多重化手段)13、チャネル割当制御部(チャネル割当制御手段、チャネル割当解析手段)14、OFDM信号生成部15、送受信部(送信手段、受信手段)16、OFDM信号検出部17、分離部18、復調部191〜19N、及び誤り訂正復号部201〜20Nを有している。
複数の移動局30に送信する対象の送信情報(ダウンリンクユーザデータ)のそれぞれは、誤り訂正符号化部111〜11Nによって誤り訂正符号化処理が施され、それぞれの誤り訂正符号化部111〜11Nから出力された誤り訂正符号化処理後の冗長化ビット情報は、変調部121〜12N及び多重化部13を経由して時分割多重されたユーザデータとして生成される。多重化部13から出力されたユーザデータは、チャネル割当制御部14によって2つの無線フレーム内(詳細は後述する。)に設定され、それらの無線フレームは、OFDM信号生成部15によってOFDMA用の無線信号に変換される。そして、その無線信号は、送受信部16によって外部の移動局30に向けてOFDMAを用いて送信される。ここで、無線基地局10は、移動局30と無線通信可能なエリアであるセル毎に配置され、セル内の3つのセクタに対して別々の無線信号を送信可能とされている。
また、複数の移動局30から無線基地局10に向けて送信された受信情報(アップリンクユーザデータ)の設定された2つの無線フレームを含む無線信号は、OFDMAを用いて送受信部16によりセクタ毎に受信される。受信された無線信号は、OFDMA信号検出部17によって検出されることにより、無線信号から2つの無線フレームが取り出される。そして、チャネル割当制御部14により、2つの無線フレームの中からユーザデータが時分割多重されたデータに分離された後、そのデータは分離部18によりそれぞれの移動局30からのユーザデータに分離される。そして、それぞれのユーザデータは復調部191〜19Nによって復調された後、誤り訂正復号部201〜20Nによって誤り訂正復号処理が施されてそれぞれの移動局30からの受信情報に復元される。
次に、チャネル割当制御部14の機能について詳細に説明する。
チャネル割当制御部14は、2つのキャリア上のそれぞれで送受信される2つの無線フレームを、その無線フレーム内にチャネルを割り当てることにより送信先セクタ毎に設定する。図3(a)には、チャネル割当制御部14が設定する1つの無線フレームの時間軸上及び周波数軸上でのデータ配列を概念的に示す。チャネル割当制御部14は、同図に示すサブチャネル論理番号(Subchannel Logical Number)毎に所定の基準で複数組S,S+1,S+2,…のサブチャネルを割り当てて生成する。詳細には、無線基地局10が伝送可能な2つの周波数帯域のキャリアのうちのいずれかのキャリア上において周波数軸上に分散された複数のサブキャリアを束ねることにより、複数組のサブキャリア群を選択する。そして、その複数組のサブキャリア群毎にサブチャネル論理番号で識別されるサブチャネルを生成し、そのサブチャネルによって構成される無線フレームを生成する。
さらに、チャネル割当制御部14は、2つの無線フレーム内にダウンリンクユーザデータ、アップリンクユーザデータ、及び2つの無線フレーム内におけるユーザデータの設定に関する制御情報を割り当てるためのデータ領域を多重化して設定する。より詳細には、チャネル割当制御部14は、無線フレームに対して無線基地局10から移動局30に送信するデータを格納するダウンリンク部DLと移動局30から無線基地局10に送信するデータを格納するアップリンク部ULとに時間的に分離して割り当てる。このダウンリンク部DLには、受信側で無線フレームの同期をとるためのプリアンブル部DP、無線フレームにおけるセクタ毎のデータ読み出しを制御するための制御データ部DC、及び複数の移動局30向けのユーザデータを格納するユーザデータ部DU1が配列される。図3(b)には、無線フレームの制御データ部DCの時間軸上及び周波数軸上でのデータ配列をより詳細に示す概念図である。同図に示すように、制御データ部DCは、無線フレーム内のセクタ毎に使用するサブチャネルを特定するためのフレームコントロールヘッダ(FCH)DC1、FCHで指定されたサブチャネル中のユーザデータの設定領域を示すDL−MAP、UL−MAP等のマッピング情報DC2を含んでいる。
より具体的には、チャネル割当制御部14は、送受信する無線信号のキャリアとして周波数が異なる2つのキャリアSP1,SP2が許容されている場合は、セクタ毎の周波数分割割当方式としてPUSC(Pertial Usage of Sub Channels)を用いることにより、それぞれのキャリアSP1,SP2上で分散された複数のサブキャリアを、6つの論理的グループであるサブキャリア群f11〜f16及びサブキャリア群f21〜f26に分割する(図4参照)。さらに、チャネル割当制御部14は、サブキャリア群f11〜f16からサブキャリア群を2つずつ選択し、それぞれの2つのサブキャリア群を特定のセル内の3つの各セクタS01,S02,S03に割り当てる(図5参照)。同様に、チャネル割当制御部14は、サブキャリア群f21〜f26の中から2つのサブキャリア群を選択し、それぞれの2つのサブキャリア群を、サブキャリア群f11〜f16を割り当てたセルに隣接するセル内の3つの各セクタS04,S05,S06に割り当てる。このようにして、チャネル割当制御部14は、2つの隣接セル内の6つのセクタごとに2つのキャリアSP1,SP2上の全てのサブチャネル群を繰り返し割り当てるように動作する。
そこで、チャネル割当制御部14は、それぞれのキャリアSP1,SP2上で送受信される無線信号に設定される2つの無線フレームF1,F2を、送信先セクタに対応して設定する。無線フレームF1は、サブキャリア群f11〜f16に割り当てられたサブチャネルにより構成される無線フレームであり、無線フレームF2は、サブキャリア群f21〜f26に割り当てられたサブチャネルにより構成される無線フレームである。このとき、チャネル割当制御部14は、送信先セクタに対して割り当てたキャリアSP1,SP2に対応する1つの無線フレームF1,F2のみに、時分割多重により制御データ部DCを設定する。
図6及び図7は、チャネル割当制御部14が送信先セクタS01〜S06ごとに対応して設定する2つの無線フレームF1,F2のデータ配列を示す概念図である。例えば、チャネル割当制御部14は、送信先セクタS01に対応する2つの無線フレームF1,F2を作成する場合は、制御データ部DCをキャリアSP1上の無線フレームF1内のサブキャリア群f11,f14の領域に設定する(図6(a))。このとき、チャネル割当制御部14は、制御データ部DCを設定する際には、多重化部13から出力された情報をもとにフレームコントロールヘッダDC1、DL−MAP、UL−MAP等を含むマッピング情報DC2のサイズを見積もった後、格納先の領域の容量を決定し、制御データ部DCとユーザデータ部DU1との区切りの時間的位置を求める。そして、チャネル割当制御部14は、プリアンブル部DP内にフレームコントロールヘッダDC1の設定位置を指定する情報を埋め込み、フレームコントロールヘッダDC1中に送信先セクタに割り当てられた領域に属するサブキャリア群を特定する情報(第1の格納先情報)を埋め込むことで、移動局30側での制御データ部DCの取り出しを可能にする。
また、チャネル割当制御部14は、制御データ部DCを設定した後に、多重化部13から出力されたダウンリンクユーザデータを、2つの無線フレームF1,F2に含まれる全てのサブチャネルS上に領域が定められたユーザデータ部DU1に、時分割多重によって格納する。ここで、無線フレームF2におけるユーザデータ部DU1の時間的な設定位置は、無線フレームF1と同一になるように設定する。さらに、チャネル割当制御部14は、2つの無線フレームF1,F2においてユーザデータ部DU1に対して時間的に後続する設定位置にアップリンク部ULを割り当てる。このアップリンク部ULは、2つの無線フレームF1,F2内の全てのサブチャネル上において割り当てられ、移動局30から無線基地局10に対して送信される各種制御信号を格納するための制御信号部DCTと、アップリンクユーザデータを格納するためのユーザデータ部DU2とが、時間的に区切られて設定されている。
同様にして、チャネル割当制御部14は、送信先セクタS02及び送信先セクタS03に対応する2つの無線フレームF1,F2を設定する際に、それぞれ、制御データ部DCをキャリアSP1上の無線フレームF1内のサブキャリア群f12,f15及びサブキャリア群f13,f16の該当領域にのみに設定する一方で、ユーザデータを2つの無線フレームF1,F2内の全てのサブチャンネルを含む領域に格納可能なようにユーザデータ部DU1,DU2を設定する(図6(b)〜(c))。さらに、チャネル割当制御部14は、送信先セクタS04,S05,S06に対応する2つの無線フレームF1,F2を作成する場合は、それぞれ、制御データ部DCをキャリアSP2上の無線フレームF2内のサブキャリア群f21,f24、サブキャリア群f22,f25、及びサブキャリア群f23,f26の該当領域にのみに設定する一方で、ユーザデータを2つの無線フレームF1,F2内の全てのサブチャンネルを含む領域に格納可能なようにユーザデータ部DU1,DU2を設定する(図7(a)〜(c))。
また、チャネル割当制御部14は、制御データ部DC内のマッピング情報DC2に含まれるDL−MAPに、移動局30に対するダウンリンクユーザデータの格納開始位置を示す情報(第2の格納先情報)と、無線フレームF1,F2内における移動局30に対するダウンリンクユーザデータの格納有無を示す格納種別情報とを予め設定し、これらの情報により移動局30側でのユーザデータの格納領域を特定可能にする。
具体的には、チャネル割当制御部14は、DL−MAPにダウンリンクユーザデータの格納開始位置Xと、周波数領域及び時間領域における格納データサイズ(Δt,ΔS)とを示すデータを設定するとともに、DL−MAPに無線フレームF1,F2内におけるユーザデータの格納有無を示す格納種別情報Frequencyを設定する。図8は、チャネル割当制御部14が設定するDL−MAPのデータ構成の一例を示す図である。同図に示す格納種別情報Frequencyは、無線フレームF1,F2内にダウンリンクユーザデータが格納されているか否かを示しており、例えば、無線フレームF2内のみにユーザデータが格納されている場合は(図9(a))、格納種別情報Frequency=“1”と設定され、無線フレームF1,F2の両方にユーザデータが格納されている場合は(図9(b))、各ユーザデータに対して図8の格納種別情報が設定され、格納種別情報Frequency=“0”及び格納種別情報Frequency=“1”の情報が設定される。このようにDL−MAPを設定して移動局30に通知することで、移動局30に送信するダウンリンクユーザデータを、無線フレームF2内のみに格納して送信したり(図9(a))、無線フレームF2,F2の両方に格納して送信したりしても(図9(a))、移動局30側でそのデータを安全に取り出すことができる。
また、チャネル割当制御部14は、制御データ部DC内のマッピング情報DC2に含まれるUL−MAPにも、アップリンクユーザデータの格納領域を示す情報と、無線フレームF1,F2内におけるアップリンクユーザデータの格納有無を示す格納種別情報とを予め設定し、これらの情報により移動局30側でのアップリンクユーザデータの格納領域を特定可能にする。図10は、チャネル割当制御部14が設定するUL−MAPのデータ構成の一例を示す図である。同図に示す格納種別情報Frequencyは、無線フレームF1,F2内にユーザデータが格納されているか否かを示している。
また、チャネル割当制御部14は、キャリアSP1,SP2の中心周波数をユーザデータ部DU1上で送信される制御信号DCD(DL Channel Descriptor)及びUCD(UL Channel Descriptor)に書き込むことにより、移動局30に2つのキャリアSP1,SP2を特定させる。図11(a)は、チャネル割当制御部14が設定するUCDのデータ構成の一例を示す図であり、図11(b)は、チャネル割当制御部14が設定するDCDのデータ構成の一例を示す図である。これらの図に示すように、UCD及びDCDには、2つのキャリアSP1,SP2の中心周波数を格納するためのメイン周波数Main frequency、及びサブ周波数Sub frequencyの格納領域が設けられている。
次に、図2に移って、移動局30は、送受信部(受信手段)31、OFDM信号検出部32、チャネル割当解析部(チャネル割当解析手段)33、復調部34、誤り訂正復号部35、誤り訂正符号化部36、変調部37、及びOFDM信号生成部38を有している。
送受信部31は、無線基地局10から送信された2つの無線フレームを含むOFDMA無線信号を受信し、受信された無線信号は、OFDM信号検出部32によって検出されることにより、無線信号から2つの無線フレームが取り出される。取り出された2つの無線フレームの中から、チャネル割当解析部33によって制御データ部DCが取り出された後、その制御データ部DCが解析されることによって、さらに無線フレームの中からダウンリンクユーザデータが取り出される。そして、ユーザデータは復調部34によって復調された後、誤り訂正復号部35によって誤り訂正復号処理が施されて移動局30宛の情報に復元される。
無線基地局10に送信するアップリンクユーザデータは、誤り訂正符号化部36によって誤り訂正符号化処理が施され、誤り訂正符号化部36から出力された誤り訂正符号化処理後の冗長化ビット情報は、変調部37によってデータ変調処理が為される。変調部37から出力されたアップリンクユーザデータは、チャネル割当解析部33によって2つの無線フレーム内に設定され、それらの無線フレームは、OFDM信号生成部38によってOFDMA用の無線信号に変換され、その無線信号は、送受信部31によって外部の無線基地局10に向けてOFDMAを用いて送信される。
チャネル割当解析部33は、OFDM信号検出部32から出力された2つの無線フレームF1,F2を、次のようにサブチャネルを割り当てることにより解析する。すなわち、チャネル割当解析部33は、サブチャネル論理番号毎に無線基地局10と同様の基準でサブチャネルを割り当てる。詳細には、無線基地局10のキャリア信号の2つ周波数帯域内においてキャリア上に分散された複数のサブキャリアから、複数組のサブキャリア群f11〜f16,f21〜f26を選択する(図4)。そして、その複数組のサブキャリア群毎にサブチャネル論理番号で識別されるサブチャネルを割り当てて2つの無線フレームF1,F2を解析する。
その後、チャネル割当解析部33は、2つの無線フレームF1,F2のいずれかからプリアンブル部DPを読み取り、そのプリアンブル部DPに書き込まれている情報に基づいて制御データ部DCのフレームコントロールヘッダDC1(図3(b))を取り出す。そして、フレームコントロールヘッダDC1に含まれる第1の格納先情報に基づいて、自機が位置するセクタに割り当てられた無線フレーム内の2つのサブキャリア群で構成される領域を特定して、無線フレームF1,F2のいずれかからその領域を分割する。例えば、移動局30がセクタS1に位置する場合は、無線フレームF1からサブキャリア群f11,f14を含む領域を分割する(図6(a))。そして、チャネル割当解析部33は、分割した領域からDL−MAP及びUL−MAPを含むマッピング情報DC2を取り出す。その後、チャネル割当解析部33は、DL−MAP及びUL−MAPのそれぞれから、ユーザデータの格納開始位置X及び格納データサイズ(Δt,ΔS)を示す情報と、2つの無線フレームF1,F2におけるユーザデータの格納有無を示す格納種別情報Frequencyの部分を読み取る。チャネル割当解析部33は、これらの情報からダウンリンクユーザデータ及びアップリンクユーザデータの2つの無線フレームF1,F2における格納領域を特定するとともに、ユーザデータが設定される無線フレームF1,F2を判断する。
さらに、チャネル割当解析部33は、制御データ部DCを解釈した後、2つの無線フレームF1,F2内の全てのサブチャネルを含む領域に設定されているユーザデータ部DU1から、移動局30向けのダウンリンクユーザデータを取り出して、復調部24に出力する。このとき、チャネル割当解析部33は、ユーザデータ部DU1中の移動局30向けのユーザデータの設定領域を、マッピング情報DC2に含まれるDL−MAPから特定することができる。その一方で、チャネル割当解析部33は、制御データ部DCを解釈することにより、2つの無線フレームF1,F2内のユーザデータ部DU2における移動局30用のアップリンクユーザデータの格納領域を決定する。そして、チャネル割当解析部33は、変調部37から出力されたアップリンクユーザデータをユーザデータ部DU2の該当領域に格納することにより無線フレームF1,F2を設定して、OFDM信号生成部38に出力する。
次に、図12及び図13を参照して、無線基地局10及び移動局30を含む無線通信システムの動作について説明するとともに、併せて無線通信システムにおける無線通信方法について詳述する。図12は、無線通信システムにおいて無線基地局10から移動局30に向けてダウンリンクユーザデータを送信する際の動作を示すシーケンス図、図13は、移動局30から無線基地局10に向けてアップリンクユーザデータを送信する際の動作を示すシーケンス図である。
図12に示すように、まず、無線基地局10において無線通信ネットワークから移動局30に送信すべき送信情報が受信されると、無線基地局10の誤り訂正符号化部111〜11Nにより、その情報に誤り訂正符号化処理が施される(ステップS01)。誤り訂正符号化処理により生成された冗長化ビット情報は、変調部121〜12Nにより変調処理が施された後(ステップS02)、さらに多重化部13によりデータ多重化処理がなされて、時分割多重されたダウンリンクユーザデータとして生成される(ステップS03)。
次に、チャネル割当制御部14は、2つのキャリアから送信先セクタに対応して2つのサブキャリア群を選択する(ステップS04)。そして、チャネル割当制御部14は、多重化部13から出力された情報に基づいて、制御データ部DCのサイズを見積もる(ステップS05)。さらに、チャネル割当制御部14は、2つ無線フレームF1,F2のいずれかに割り当てられた制御データ部DC内に、フレームコントロールヘッダDC1及びマッピング情報DC2を格納する(ステップS06)。制御データ部DCを設定後、チャネル割当制御部14は、2つの無線フレームF1,F2の全てのサブチャネル上にダウンリンクユーザデータを格納する(ステップS07)。そうすると、OFDM信号生成部15によりOFDMA用の無線信号が生成されて、その無線信号は送受信部16によって移動局30に向けて送信される(ステップS08)。
これに対して、移動局30の送受信部31によって無線信号が受信され、この無線信号はOFDM信号検出部32によって検出されることにより、無線信号から2つの無線フレームF1,F2が取り出される(ステップS09)。チャネル割当解析部33は、この無線フレームF1,F2のいずれかから、プリアンブル部DP、制御データ部DC内のフレームコントロールヘッダDC1、及びマッピング情報DC2を順次抽出する(ステップS10)。その後、チャネル割当解析部33は、マッピング情報DC2のDL−MAPを解釈することにより、ダウンリンクユーザデータを無線フレームF1,F2内の全てのサブチャネルに展開されているユーザデータ部DU1から取り出す(ステップS11)。
このようにして取り出されたユーザデータは、復調部34によって時分割多重されたデータから冗長化ビット情報として復調される(ステップS12)。そして、冗長化ビット情報が、誤り訂正復号部35により誤り訂正復号処理が施されて、元の情報に復元される(ステップS13)。最後に、この情報に対して移動局30内のアプリケーションプログラム等により所望の処理が為される(ステップS14)。
図13に移って、移動局30において無線基地局10に送信すべき送信情報が発生すると、移動局30の誤り訂正符号化部36により、その情報に誤り訂正符号化処理が施される(ステップS21)。誤り訂正符号化処理により生成された冗長化ビット情報は、変調部37により変調処理が施されることによりアップリンクユーザデータとして生成される(ステップS22)。
次に、チャネル割当解析部33は、無線基地局10から送信された2つ無線フレームF1,F2の制御データ部DC内に格納されたマッピング情報DC2基づいて、アップリンクユーザデータの2つ無線フレームF1,F2内の格納領域を特定する(ステップS23)。そして、チャネル割当解析部33は、2つの無線フレームF1,F2の全てのサブチャネル上に割り当てられたユーザデータ部DU2の該当領域にアップリンクユーザデータを格納する(ステップS24)。その後、OFDM信号生成部38によりOFDMA用の無線信号が生成されて、その無線信号は送受信部31によって無線基地局10に向けて送信される(ステップS25)。
これに対して、無線基地局10の送受信部16によって無線信号が受信され、この無線信号はOFDM信号検出部17によって検出されることにより、無線信号から2つの無線フレームF1,F2が取り出される(ステップS26)。チャネル割当制御部14は、移動局30からのアップリンクユーザデータを無線フレームF1,F2内の全てのサブチャネルに展開されているユーザデータ部DU1から分離する(ステップS27)。
このようにして取り出されたユーザデータは、復調部191〜19Nによって時分割多重されたデータから冗長化ビット情報として復調される(ステップS28)。そして、冗長化ビット情報が、誤り訂正復号部201〜20Nにより誤り訂正復号処理が施されて、元の情報に復元される(ステップS29)。復元された情報は、無線基地局10を含む移動通信システム内でデータ転送等の各種処理が施される(ステップS30)。
以上説明した無線基地局10及び移動局30によれば、2つのキャリア上のそれぞれにおいて複数組のサブキャリアが選択され、その複数組のサブキャリアから生成された複数のサブチャネルを含む2つの無線フレームF1,F2が構成され、その2つの無線フレームF1,F2内にユーザデータとそのユーザデータの2つの無線フレーム内における設定に関する制御データとが設定され、その2つの無線フレームF1,F2を含む無線信号が移動局30に向けて送信される。その際、2つの無線フレームF1,F2内のサブチャネルが送信先セクタ毎の領域に分割され、制御データは送信先セクタに対応する該当領域に格納され、ユーザデータは2つの無線フレームを跨った全てのサブチャネル上に格納可能にされる。これに対して、移動局30により無線基地局10から無線信号が受信され、受信された2つの無線フレームF1,F2内の分割されたサブチャネルの該当領域から制御データが分離され、2つの無線フレームF1,F2内の全てのサブチャネルからユーザデータが分離可能にされるので、セル間の干渉に起因する移動局側での制御データの欠落を防止してユーザデータに関する受信品質を確保すると同時に、ユーザデータを2つの無線フレームの帯域を有効に利用して受信することにより、ユーザデータの伝送時のスループットを効果的に向上させることができる。
また、無線基地局10が移動局30に対して、2つの無線フレームF1,F2内の分割領域における制御データの格納先を通知し、その制御データによってユーザデータの格納開始位置及び格納先の無線フレームF1,F2を通知するので、移動局30側で2つの無線フレームF1,F2内のサブチャネルの範囲から制御データとユーザデータとを確実に取り出すことができる。
また、無線基地局10は、2つの無線フレームF1,F2の中からアップリンクユーザデータをさらに分離するので、移動局30側からユーザデータを受信する際にも、2つの無線フレームF1,F2の帯域を有効に利用して送信することにより、ユーザデータの伝送時のスループットを効率的に向上させることができる。
また、無線基地局10のチャネル割当制御部14は、2つの無線フレームF1,F2の全てのサブチャネル上において、移動局30から無線基地局10に対して送信される各種制御信号を格納するための制御信号部DCTを割り当てている。これにより、ネットワーク接続の要求処理(InitialRanging)時に移動局30側から送信される制御信号や、適応変調処理のために移動局30から送信される通信品質情報、誤り訂正処理を制御するために移動局30から送信される制御情報等を、2つの周波数帯域に分散させることができる。これにより、各種制御処理の遅延時間を効率的に短縮することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、送受信する無線信号に割り当てられるキャリアとして2つの周波数帯のキャリアを用いているが、3つ以上のキャリアを用いて、それぞれのキャリア毎に生成されたサブチャネルを、3つ以上の無線フレームに割り当ててもよい。その際、チャネル割当制御部14によってマッピング情報DC2に設定されるユーザデータの格納先を示す情報としては、ユーザデータの格納有無を示す格納種別情報に代えて、格納先の無線フレームに対応する送信キャリアを識別するキャリア識別情報を設定してもよい。
具体的には、チャネル割当制御部14は、2つの無線フレームF1,F2を用いる場合と同様に、予め移動局30に対して制御信号DCD,UCDを送信することにより、無線フレームに関する属性情報を通知しておく。図14は、チャネル割当制御部14によって送信される制御信号DCD,UCDのデータ構成を示す図であり、制御信号DCD,UCDには、制御信号DCD,UCDが送信された送信キャリアの中心周波数“Frequency”、その送信キャリア以外のキャリア数“No. other RF carriers”、制御信号DCD,UCDの送信キャリア以外のキャリアに対応する無線フレームの属性情報Data1が設定される。この属性情報Data1はキャリア数分繰り返し設定されており、“1”、“2”、“3”等の識別番号を含むキャリア識別情報“RF Carrier index”、キャリアの中心周波数“Frequency”、キャリアの帯域幅“Bandwidth”、無線フレームに割り当てられるサブキャリア数“FFT size”、無線フレームの時間軸上の長さ“Frame length”、及び無線フレーム内のダウンリンク部DLとアップリンク部ULのシンボル数の比“No. OFDMA symbols”が含まれている。
そして、チャネル割当制御部14は、マッピング情報DC2に含まれるDL−MAP及びUL−MAPにユーザデータの格納先の無線フレームに対応する送信キャリアを識別するキャリア識別情報“RF Carrier index”を埋め込む。図15は、DL−MAPのデータ構成を示す図であり、データ項目“RF Carrier index”により、ダウンリンクユーザデータの格納される無線フレームに割り当てられるキャリアが特定され、データ項目“OFDMA symbol offset”、“Subchannel offset”により、ダウンリンクユーザデータの格納開始位置(図9(a)のx0)が特定され、データ項目“No. OFDMA symbols”によりダウンリンクユーザデータの設定領域の時間軸上の長さ(図9(a)のΔt0)が特定され、データ項目“No. subchannels”によりダウンリンクユーザデータの設定領域に割り当てられるサブチャネル数(図9(a)のΔS0)が特定される。図16は、UL−MAPのデータ構成を示す図であり、データ項目“RF Carrier index”により、アップリンクユーザデータの格納される無線フレームに割り当てられるキャリアが特定され、データ項目“Offset Duration”により、アップリンクユーザデータの格納開始位置が特定され、データ項目“Duration”によりアップリンクユーザデータの設定領域のサイズが特定される。
このようにキャリア識別情報をDL−MAP、UL−MAPに設定することにより、3つ以上の周波数帯Sp11,Sp12,Sp13がそれぞれ別の無線フレームに割り当てられる場合(図17(a))であっても、移動局30と無線基地局10間で制御データとユーザデータとを確実にやり取りすることができる。また、無線フレームに割り当てられる周波数帯Sp21,Sp22,Sp23が離散的に分布している場合(図17(b))や、周波数帯Sp31,Sp33の帯域幅が異なる場合(図17(c))や、上り方向及び下り方向でそれぞれ異なる周波数帯Sp41及び周波数帯Sp42,Sp43が割り当てられる場合(図17(d))であっても、制御データとユーザデータとを確実にやり取りすることができる。
また、チャネル割当制御部14は、2つの無線フレームF1,F2にユーザデータを設定する際に、制御情報が割り当てられていない無線フレームの制御データ部DCに対応する時間領域内にも、ユーザデータを格納可能なように構成されていてもよい。
すなわち、チャネル割当制御部14は、送信先セクタS01〜S03のそれぞれに対して、図18(a)〜(c)に示すような構成の無線フレームF1,F2を設定する。具体的には、無線フレームF1における送信先セクタに対応するサブキャリア群f11,f14の時間領域ΔtCに制御データ部DCを設定し、送信先セクタS01に対応するサブキャリア群f11,f14を含まない無線フレームF2の時間領域ΔtCに対応する領域DU3にも、ダウンリンクユーザデータを設定する。同様に、送信先セクタS02に対応するサブキャリア群f12,f15を含まない無線フレームF2の時間領域ΔtCに対応する領域DU3にも、ダウンリンクユーザデータを設定し、送信先セクタS03に対応するサブキャリア群f13,f16を含まない無線フレームF2の時間領域ΔtCに対応する領域DU3にも、ダウンリンクユーザデータを設定する。これにより、無線フレームF2内の空き領域を使ってユーザデータを送信することにより無線リソースの有効利用を実現することができる。このとき、チャネル割当制御部14は、無線フレームF2の領域DU3にユーザデータを設定する際には、移動局30に直前に送付される無線フレーム中のDL−MAP等の制御情報を用いて、移動局30にデータ割り当ての変更を通知する。その結果、移動局30側で不要な領域DU3をバッファリングしておく必要が無くなり、ユーザデータを効率的に取り出すことができる。
なお、チャネル割当制御部14は、移動局30向けのダウンリンクユーザデータを上記領域DU3に設定するか否かを、予め移動局30毎に取得された下り方向の通信品質情報、及び移動局30に提供されている通信サービスの種別に基づいて、以下の基準によって判断する。詳細には、移動局30毎に測定された受信キャリア信号対干渉雑音比(CINR:Carrierto Interference and Noise Ratio)が所定値以上であって、所定の通信品質を満たすと判断される場合に、該当する移動局30を送信先とするダウンリンクユーザデータを、上記領域DU3に設定する。または、上記条件に加えて、或いは上記条件に代えて、移動局30に提供されている通信サービスが音声通信等の低速な固定レートの通信サービスであると特定された場合に、該当する移動局30を送信先とするダウンリンクユーザデータを上記領域DU3に設定してもよい。これにより、キャリア間の干渉が生じる可能性が少ない送信先に対して無線フレーム内の空き領域を使ってユーザデータを送信することにより、ユーザデータの受信品質を維持しつつ、無線リソースの有効利用を実現することができる。
また、チャネル割当制御部14によってダウンリンクユーザデータが上記領域DU3に設定された場合には、領域DU3内のダウンリンクユーザデータの送信電力が、所定CINRを満たす範囲で、他の時間領域に設定されるユーザデータ部DU1,DU2の送信電力に比較して小さくなるように制御されてもよい。こうすれば、制御データ部DCを受信する際のキャリア間の干渉が低減され、移動局30側で無線フレーム内から制御データをより確実に取り出すことができる。
さらに、チャネル割当制御部14は、制御データ部DCを無線フレームF1,F2に設定する際には、2つの無線フレームF1,F2に同一データからなる制御データ部DCを設定することによって、周波数ダイバーシティを採用して制御信号を送信するようにしてもよい。このような場合には、チャネル割当制御部14は、周波数ダイバーシティを採用するか否かを、制御信号DCD,UCDによって予め移動局30に通知しておく。図19は、チャネル割当制御部14によって送信される制御信号DCD,UCDのデータ構成を示す図であり、制御信号DCD,UCDには、各無線フレームに割り当てられたキャリアを識別するキャリア識別情報“RF Carrier index”に対応付けて、その無線フレームに周波数ダイバーシティが採用されるか否かを示すフラグ情報“Freq. Div. Support”が設定される。
また、チャネル割当制御部14は、送信先セクタ毎に割り当てられる制御データ部DC用領域を含まない無線フレーム内にも制御データを分散して格納可能なように構成されていてもよい。すなわち、チャネル割当制御部14は、ダウンリンクユーザデータのトラフィック量が増大し、送信先セクタS01に対応する制御データ部DC内に設定される制御データサイズが大きくなった場合には、制御データ部DCを含まない無線フレームF2内の同一時間領域DC3にもDL−MAP等の制御データを追加して設定する(図20)。これにより、制御データを周波数帯域に分散することができるので、ユーザデータのトラフィックが増大してもユーザデータを効率的に送信することができる。
このとき、制御データを送信する送信キャリアの切り換えのタイミングは、無線基地局10から移動局30に下りの制御情報によって予め通知される。より詳細には、無線基地局10から移動局30に直前に送信される制御データ部DCに含まれる制御情報DL−MAPや、ユーザデータ部DU1内に設定される下り方向の制御情報Sub−DL−MAPによって、キャリア切り換えタイミングが通知される。図21は、この場合にDL−MAPに設定される情報要素を示す図であり、切り換え先キャリアを識別するためのキャリア識別情報“RF Carrier index”と、このDL−MAPが伝送された時刻を基準とした切り換えタイミングを特定するためのデータ“Switching Time”とが関連づけて設定される。このような構成のDL−MAPを受信することにより、移動局30が無線フレームから自局宛の制御情報を確実に取得することができる。
10…無線基地局、13…多重化部(多重化手段)、14…チャネル割当制御部(チャネル割当制御手段、チャネル割当解析手段)、16…送受信部(送信手段、受信手段)、30…移動局、31…送受信部(受信手段)、33…チャネル割当解析部(チャネル割当解析手段)。