JP2009059574A - 導電ペースト及びこれを用いた多層配線基板 - Google Patents

導電ペースト及びこれを用いた多層配線基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガス発生やそれに伴う膨れの発生がなく、信頼性の高い層間接続を実現することが可能な導電ペーストを提供する。
【解決手段】 導電金属材料と樹脂材料とを含有する導電ペーストである。導電金属材料としては、高融点金属と低融点金属を含有し、且つ低融点金属としてSnを含有する。樹脂材料としては、熱可塑性のフェノキシ樹脂を含有する。溶剤としては、トリエチレングリコールジメチルエーテルを含む。Snの含有量は、導電金属材料全体の30質量%〜60質量%である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、高融点金属と低融点金属の合金化により導体形成を行う導電ペースト及びこれを用いた多層配線基板に関するものであり、特に、低融点金属としてSnを含む導電ペーストにおいて、ボイドの発生を抑制するための改良に関する。
複数の絶縁層を積層して多層配線基板を形成する場合、いわゆる層間接続を図る必要があり、表面に導体パターンが形成された絶縁層にビアホールを形成し、ここに導電ペーストを充填することでビアホール導体を形成することが広く行われている。例えば、有機絶縁材料により形成された絶縁層にレーザ等でビアホールを形成し、前記ビアホールに樹脂材料(バインダ)と導電金属材料を混合した導電ペーストを充填する。次いで、これら絶縁層を積層して基板とし、当該基板を加熱、加圧することにより、導体パターンの金属と導電ペースト中の金属とを相互拡散させて固体拡散層を形成する。得られる多層配線基板においては、この固体拡散層を介して各絶縁層に形成された導体パターン間の電気的接続が図られる。
前述のような多層配線基板に使用される導電ペーストとしては、様々なタイプのものが開発されており、導電金属材料として高融点金属粉を用いたもの、高融点金属と低融点金属を合金化するもの、樹脂材料として熱可塑性樹脂を用いたもの、熱硬化性樹脂を用いたもの等、多種多様である。
例えば、特許文献1には、偏平状導電粉や不定形導電粉等の導電粉と、フェノキシ樹脂等の熱可塑性合成樹脂と、溶剤を含む導電ペーストが開示されている。特許文献1記載の発明では、導電粉として、AgやCu、Ni等の融点の高い金属粉や合金粉等を用いており、導電粉同士の接触により電気的導通を図るようにしている。すなわち、特許文献1記載の導電ペーストでは、段落番号0020等にも記載されているように、熱可塑性合成樹脂の熱軟化により、固形物中に分散状態で固定化されていた導電粉が移動可能な状態になり、さらに加圧によって導電ペースト中の導電粉の距離が近くなり、導電粉同士の接触率が向上して導電性が付与される。
特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルムを厚み方向に貫通するビアに熱可塑性樹脂からなるバインダと導電物質とを混合した導電性ペーストが充填された層間接続基材と、導体パターンが形成された配線基材とを、導体パターンが熱可塑性樹脂フィルムを介して積層されるように複数積み重ねた状態で熱融着して積層一体化する多層プリント配線基板の製造方法が開示されており、熱可塑性樹脂フィルムを介して積層された導体パターンの各層の間をビアに充填された導電性ペーストによって層間接続することが開示されている。特許文献2記載の発明では、積層基材が複数積み重ねられた状態で圧縮されることで、導電性ペースト中の導電物質が緻密化され、導電性が付与される。
しかしながら、前述の特許文献1や特許文献2に開示されるような導電粉の接触や導電物質の緻密化により導電性を付与するタイプの導電ペーストでは、必ずしも十分な導電性を得ることができず、また、加熱条件や加圧条件等によって抵抗値が左右され、安定して良好な導電性を実現することが難しいという問題もある。
そこで、さらに従来、高融点金属と低融点金属とを合金化することで、ビアホール内にバインダ樹脂から相分離し一体化した導体を形成し、層間接続する技術が提案されている(例えば、特許文献3等を参照)。
特許文献3記載の発明では、ビアホール内に、高融点金属と低融点金属とバインダ樹脂を充填し、低融点金属の融点より高い温度で加熱及び所定の圧力で加圧する。これにより、導体パターンのビアの開口部の表面部分と低融点金属との合金層が形成されるが、この時、高融点金属と低融点金属は、この両金属の半溶融金属混合物と溶融したバインダ樹脂と、相分離を経由しながら合金化し、柱状の層間接続部を形成する。
前述のように、合金化により柱状の層間接続部を形成することで、金属粉の接触により導電性を付与するものに比べて抵抗値を大幅に低下することができ、加熱条件や加圧条件等によらず良好な導電性を得ることが可能である。
特開2003−331648号公報 特開2004−273575号公報 特開2006−165508号公報
ところで、特許文献3記載の発明のように高融点金属と低融点金属の合金化により柱状の層間接続部を形成する場合、低融点金属としてSn(錫)を用いることが好ましい。Snは、Ag(銀)やCu(銅)等の高融点金属と容易に合金化し、低融点化する。また、Snは入手が容易であり、低価格であり取り扱いも容易であるという利点を有する。
一方、バインダ樹脂としては熱可塑性樹脂を用いる必要があり、ポリエステル樹脂を用いるのが一般的である。例えば特許文献3には種々の熱可塑性樹脂が列挙されているが、具体例においては、物性や基材との密着性等の観点から、ポリエステル樹脂が用いられている。
しかしながら、本発明者らが種々の検討を重ねたところ、低融点金属としてSnを用い、バインダ樹脂としてポリエステル樹脂を用いた導電ペーストにおいては、ビア部を起点とする膨れが発生し、接続信頼性を大きく損なうことがわかってきた。特に、ビアホール同士のピッチが狭くなり、ビアホールが密集して存在するようになると、層間接続時の加熱、加圧や、リフロー等の熱衝撃が加わった際に、ビア部を起点として導体パターンとビアホール充填物間、さらには絶縁層(基材)に至る範囲に分離(膨れ)が発生し、接続信頼性が低下する。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、前述のような膨れの発生がなく、信頼性の高い層間接続を実現することが可能な導電ペーストを提供することを目的とし、さらには、接続信頼性の高い多層配線基板を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の導電ペーストは、導電金属材料と樹脂材料とを含有する導電ペーストであって、前記導電金属材料として高融点金属と低融点金属を含有し、且つ前記低融点金属としてSnを含有するとともに、前記樹脂材料として熱可塑性のフェノキシ樹脂を含有することを特徴とする。
また、本発明の多層配線基板は、複数の絶縁層が積層され、少なくとも1層の絶縁層にビアホールが形成されるとともに、当該ビアホールに導電ペーストが充填され層間接続用のビアホール導体が形成されてなる多層配線基板であって、前記導電ペーストは、導電金属材料と樹脂材料とを含有する導電ペーストであって、前記導電金属材料として高融点金属と低融点金属を含有し、且つ前記低融点金属としてSnを含有するとともに、前記樹脂材料として熱可塑性のフェノキシ樹脂を含有し、前記高融点金属と低融点金属が合金化することにより前記ビアホール導体が形成されていることを特徴とする。
例えば、熱硬化性樹脂を樹脂材料(バインダ樹脂)として用いた導電ペーストを使用すると、加熱加圧の過程で低分子量成分が揮発膨張し、膨れ(ボイド)の原因となっている。これに対して、高融点金属と低融点金属を合金化する導電ペーストでは、バインダ樹脂として熱可塑性樹脂を用いる必要があり、ポリエステル樹脂等を用いているので、熱硬化性樹脂を用いた場合と比べるとボイドの発生が抑えられている。しかしながら、熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂を用いた場合であっても、例えばビアホール間のピッチの狭い基板においては、ボイドの発生を十分に抑えることができず、これを解決することが大きな課題となっている。
ボイド発生の原因は、導電ペースト中のバインダ樹脂の熱劣化による分解であり、加熱により分解発生した成分がガス化し、その内圧でビアホール内側から導体パターンを押し上げ、導通信頼性を悪化させる。本発明者らは、研究を重ねた結果、ポリエステル樹脂が熱分解されることによって、低分子量成分が新たに発生し、前記メカニズムによるボイド発生の原因となることを見出すに至った。また、導通を担う導電金属材料のうちのSnが触媒のような働きをし、バインダ樹脂であるポリエステル樹脂の分解を促進していることもわかってきた。
本発明においては、前述の知見に基づいて、低融点金属としてSnを含有する導電ペーストにおいて、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いるようにしている。フェノキシ樹脂は、Snの存在下であっても熱分解性が低く、これをバインダ樹脂として用いることでボイドの発生が大幅に抑制される。
なお、フェノキシ樹脂に関しては、例えば前述の特許文献3において、バインダ樹脂の一例として開示されているが、Snとの組み合わせにおいて、特異的に熱分解性が低くボイドの解消に有効であることは全く認識されていない。また、特許文献1にも、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いることが開示されているが、特許文献1記載の発明は、基板表面の回路パターンの形成に用いられる導電ペーストを対象とし、なお且つ高融点金属粉同士の接触により導通を得るタイプの導電ペーストを対象とするものであり、当然のことながら、特定の金属(Sn)との組み合わせにおいて、特異的に熱分解性が低くボイドの解消に有効であることは全く認識されていない。
本願発明は、このような事実を把握した上で、低融点金属としてSnを含有する導電ペーストにおいて、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を使用可能としたものであり、特許文献1記載の発明や特許文献3記載の発明とは技術思想を大きく異にするものである。
本発明の導電ペーストによれば、バインダ樹脂の熱分解を抑制し、膨れの発生のない信頼性の高い層間接続を実現することが可能である。したがって、本発明の導電ペーストを用いることで、例えばビアホール間のピッチが狭くビアホールが密集して存在する多層配線基板においても、ビア部を起点とした分離や膨れが発生することがなく、接続信頼性の高い多層配線基板を提供することが可能である。逆に言えば、本発明の導電ペーストを用いることで、ビアホールのピッチを狭くすることができ、多層配線基板を高密度化する上で有効である。
以下、本発明を適用した導電ペーストの実施形態、及びこれを用いた多層配線基板の実施形態について説明する。
先ず、本発明の導電ペーストは、高融点金属と低融点金属の合金化により導体形成を行う導電ペーストであり、導電金属材料として高融点金属と低融点金属を含むものである。ここで、低融点金属としては、任意の低融点金属を使用することが可能であるが、少なくともSn(錫)を含んでいる必要がある。本発明の導電ペーストは、低融点金属としてSnを含むことを前提としており、導電金属材料としてSnを含む場合の膨れの発生を抑制するものだからである。
前記低融点金属は、Snのみを用いてもよいし、Snと他の低融点金属を組み合わせて用いても良い。また、Sn合金を用いることも可能である。Sn合金としては、各種はんだ合金を挙げることができ、例えばSnAgはんだ、SnCuはんだ、SnAgCuはんだ等を挙げることができる。これらはんだに、In(インジウム)やBi(ビスマス)、Zn(亜鉛)等を添加したものも使用可能である。なお、鉛はんだ等も使用可能であるが、環境汚染の観点等から、その使用は避けることが好ましい。前記高融点金属としては、任意の高融点金属を用いることができ、例えばAgやCu、Ni、Zn、さらにはこれらの合金等を使用することが可能である。中でも、AgやCuの使用が望ましく、これにより導電性に優れたビアホール導体の形成が可能である。
前記低融点金属や高融点金属は、それぞれ粒子状のもの(金属粒子)を用いるが、金属粒子としては、粒径が数μm〜数十μm程度のものを用いればよい。勿論、導電金属材料が金属粒子に限られるわけではなく、均等に混合可能であれば任意の形態のものを使用することが可能である。
前述の導電金属材料においては、低融点金属であるSnの含有量が、導電金属材料全体の30質量%〜60質量%であることが好ましい。Snの含有量が30質量%未満であると、高融点金属との合金化による低融点化が不十分になり、高抵抗となるおそれがある。また、本発明は低融点金属としてSnを用いた場合のバインダ樹脂の熱分解を問題にしており、Snを30質量%以上含む場合に効果が顕著である。一方、Snの含有量が60質量%を越えると、相対的に高融点金属の割合が低下し、形成される導体自体の信頼性や、層間接続における接続信頼性が低下するおそれがある。
高融点金属の含有量については、前記Snの含有量に応じて任意に設定することが可能であるが、高融点金属としてAgを用いる場合には注意を要する。高融点金属としてAgを用いた場合、バインダ樹脂として後述のフェノキシ樹脂を用いると、熱分解を促進してガスの発生量が多くなり、膨れ等の原因となるおそれがある。したがって、フェノキシ樹脂との組み合わせを考えた場合には、Agの含有量を一定のレベル以下とすることが好ましい。具体的には、導電金属材料において、高融点金属であるAgの含有量は、導電金属材料全体の60質量%以下であることが好ましい。Agの含有量が60質量%を越えると、フェノキシ樹脂の熱分解によるガスの発生及び膨れが問題になるおそれがある。
本発明の導電ペーストは、前述の導電金属材料の他、樹脂材料(バインダ樹脂)を含んでいる。ここで、本発明の導電ペーストにおいては、加熱によって高融点金属と低融点金属とが合金化し、合金化した半溶融金属混合物と溶融したバインダ樹脂とが相分離を起こすことによって、柱状の導体(ビアホール導体)を形成するものである。したがって、前記バインダ樹脂として熱可塑性樹脂を用いる必要がある。
ただし、バインダ樹脂として、代表的な熱可塑性樹脂であるポリエステル樹脂を用いると、熱分解により低分子量成分が新たに発生してガスが発生し、膨れ(ボイド)の原因となる。特に、導電金属材料にSnを使用した場合には、Snがポリエステル樹脂の熱分解を促進する触媒的な働きをし、ボイドの発生を助長する。
そこで、本発明においては、前記バインダ樹脂として、熱可塑性のフェノキシ樹脂を使用する。前記フェノキシ樹脂は、ビスフェノール骨格を主鎖中に有する高分子化合物であり、水酸基を有することから、例えば架橋剤を併用することで熱硬化性樹脂としても使用することができる。本発明においては、前述の通り、バインダ樹脂の熱可塑性を利用して相分離を行う必要があるので、架橋剤等を併用せず、熱可塑性樹脂として使用する。
ここで、導電金属材料とバインダ樹脂(樹脂材料)の配合比は、重量比で90.0:10.0〜99.5:0.5とすることが望ましく、95.0:5.0〜99.0:1.0とすることがより望ましい。バインダ樹脂の比率が重量比で0.5%未満であると、例えばビアホール内部への導電ペーストの充填状態が悪化し、ビアホール導体の抵抗値が上昇したり、歩留まりが悪化する等の問題が生ずるおそれがある。逆に、バインダ樹脂の比率が重量比で10.0%を越えると、相対的に導電金属材料の比率が減ることになり、導体形成に支障をきたすおそれが生ずるばかりでなく、ガス発生量が増えて膨れが発生するおそれも生ずる。本発明者らの実験によれば、導電ペースト中のバインダ樹脂配合量を少なくすることで、膨れが低減されることがわかった。
導電ペーストを調製するには、前述のバインダ樹脂(フェノキシ樹脂)を有機溶剤に溶解させ、得られた溶液に導電金属材料の粒子を加えて混合する。さらに、印刷充填に適した粘度に調整するために有機溶剤を適量加え、再度混合する。
本発明の導電ペーストは、真空下で印刷充填を行う必要があるため、前記有機溶剤としては、比較的沸点が高い有機溶剤を用いる必要がある。すなわち、微小なビアホールに導電ペーストを高密度に充填するには、真空下で印刷充填を行う必要があるが、真空下では導電ペースト中の有機溶剤が揮発し易くなるため、沸点の高い有機溶剤を使用する必要がある。例えば、1000Pa〜5000Pa程度の真空下で印刷充填を行う場合、有機溶剤の沸点は200℃以上であることが必要である。また、使用する有機溶剤は、バインダ樹脂であるフェノキシ樹脂を溶解するものである必要がある。さらに、印刷工程においては、導電ペーストに適度な流動性が求められ、前記流動性を付与し得る有機溶剤であることが求められる。このような条件を満たす有機溶剤として、化1に示すトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)を用いる。トリエチレングリコールジメチルエーテルの沸点は216℃であり、フェノキシ樹脂に対して良好な溶解性を示す。
Figure 2009059574
以上の構成を有する導電ペーストは、例えば、複数の絶縁層(基材)が積層され、少なくとも1層の絶縁層にビアホールが形成されるとともに、当該ビアホールに導電ペーストが充填され層間接続用のビアホール導体が形成されてなる多層配線基板において、ビアホール導体の形成に用いられる。そこで次に、多層配線基板の構成、及び前述の導電ペーストを用いたビアホール導体の形成について説明する。
多層配線基板は、図1に示すように、表面導体パターン2が形成された複数の基材1を重ね、一体化したものである。前記基材1としては、いわゆるガラスエポキシ基板や、エポキシ樹脂を含浸したアラミド基板、ポリイミド樹脂基板、液晶ポリマー基板、ポリアセタール樹脂基板、ポリアミド基板等、公知の基板材料のいずれも使用可能である。
前記各基材1には、それぞれ表面導体パターン2が形成され、所定の回路を形成するとともに、各基材1に形成されたビアホール導体3によって表面導体パターン2間が層間接続されている。これにより、各基材1の表面導体パターン2間が電気的に接続され、高密度に回路配線が形成された多層配線基板が実現される。
前述の多層配線基板において、ビアホール導体3の形成には導電ペーストが用いられ、導電ペーストとして、先に説明した導電ペーストを用いる。すなわち、導電金属材料として高融点金属及び低融点金属(Sn)を含み、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を含む導電ペーストを用いる。
ビアホール導体3の形成に際しては、各基材1の所定の位置にビアホールを形成する。ビアホールは、例えばレーザを用いて形成する。ビアホールの形成の後、導電ペーストを前記ビアホール内に印刷充填する。導電ペーストの印刷充填は、1000Pa〜5000Pa程度の真空下で行う。導電ペーストの充填の後、加圧しながら加熱を行い、基材1の積層及びビアホール導体の形成を行う。なお、基材1の積層は、1枚ずつ積層する逐次積層であってもよいし、複数の基材1を一括して積層する一括積層であってもよい。
ビアホールに導電ペーストを充填して加熱を行うと、導電ペーストに含まれる高融点金属と低融点金属が合金化し、合金化した半溶融金属混合物と溶融したバインダ樹脂とが相分離を起こすことによって、柱状の導体(ビアホール導体3)が形成される。図2は、前記ビアホール導体3の形成状態を示すものである。基材1に形成されたビアホール11内には前記導電ペーストが充填されるが、充填された導電ペーストは、バインダ樹脂相12と導電金属材料相13とに分離し、合金化した半溶融金属混合物が一体化することで形成された導電金属材料相13が前記ビアホール導体3として機能する。
本発明の導電ペーストを用いて前記ビアホール導体3を形成した場合、バインダ樹脂の熱分解によるガスの発生が抑制され、膨れの発生が低減される。したがって、極めて高密度(狭ピッチ)のビア配置に対しても膨れの発生の少ない多層配線基板を製造することが可能となる。
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明が前述の実施形態に限定されるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
次に、本発明の具体的な実施例について、実験結果を基に説明する。
ポリエステル樹脂の熱分解に関する検証
表1に示すように、低融点金属(Sn)、高融点金属1(Cu)、高融点金属2(Ag)、バインダ樹脂(ポリエステル樹脂)、及び有機溶剤(トリグライム)からなる導電ペーストを調製し、ビアホール導体を形成した際の抵抗値及び膨れを評価した。膨れの評価においては、調製した導電ペーストをビアホールに充填し、ビアホール上に導体層を形成し、積層のための加熱、加圧を行った。得られた多層配線基板をオーブンで加熱した後、リフロー炉に投入し、膨れの程度(膨れの発生しない限界ピッチ)の違いを比較した。結果を表1に併せて示す。なお、表中の膨れ限界ピッチは、膨れが生じないビアホールの最小ピッチを目視にて確認したものである。ビアホールの形成ピッチが次第に小さくなり、ビアホールが高密度に形成されるようになると、ガス発生による膨れが発生し易くなる。したがって、前記膨れ限界ピッチが小さいほど導電ペーストのガス発生の影響が小さいと言うことができる。
Figure 2009059574
バインダ樹脂としてポリエステル樹脂を用いた場合、Snの含有量の増加に伴って膨れ限界ピッチの値が大きくなっている。このことから、ポリエステル樹脂は、Snの触媒的作用により熱分解が促進されているものと推測される。
バインダ樹脂の種類によるガス発生の相違に関する検証
前記実験により、ポリエステル樹脂をバインダ樹脂として用いた場合、Snの触媒的作用により熱分解し、膨れの原因となることがわかった。そこで次に、バインダ樹脂としてポリエステル樹脂を用いた導電ペーストと、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いた導電ペーストを作製し、加熱時に発生する加熱発生ガス量を比較した。なお、作製した導電ペーストにおいては、導電金属粉(Sn粉、Cu粉、Ag粉)の組成をSn粉:Cu粉:Ag粉=0.4:0.1:0.5(重量比)とし、バインダ樹脂の配合比は導電金属粉:バインダ樹脂=97.5:2.5(重量比)(すなわち、導電金属材料とバインダ樹脂との総量のうち、バインダ樹脂の比率が2.5wt%)とした。
また、加熱発生ガス量は、ガスクロマトグラフィーと質量分析法を組み合わせたGC/MS法により、0〜20分に検出したガス量を計測した。前記GC/MS法におけるガスクロマトグラフィー条件は下記の通りである。
ガスクロマトグラフィー条件(パージ&トラップガスクロマトグラフ)
試料:30mg
パージ条件:295℃、10分、He50ml/分
トラップ条件:−20℃、TenaxGR
カラム:DB1701(30M)
オーブン:40℃(5分保持)→280℃(5分保持)、昇温10℃/分
STD:テトラデカン1g/トルエン100ml
その結果、ポリエステル樹脂をバインダ樹脂として用いた導電ペーストにおけるガス発生量が105.5μg/gであったのに対して、フェノキシ樹脂をバインダ樹脂として用いた導電ペーストにおけるガス発生量は26.2μg/gであり、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いることで熱分解が大幅に低減されることがわかった。
そこで次に、導電金属粉に含まれるSn粉の比率を変えて前記ガス発生量を調べた。結果を表2に示す。
Figure 2009059574
Sn粉とフェノキシ樹脂との組み合わせにおいては、Sn粉の含有量の増加によって発生するガス量に増加傾向は認められず、したがって、フェノキシ樹脂の熱分解に対しては、Sn粉は触媒的な作用をしていないものと推測された。また、表2から、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いた場合には、Agの含有量が所定の値を越えるとガス発生量の増加が見られることもわかった。例えば、Sn粉:Cu粉:Ag粉=0.3:0.05:0.65(重量比)とした場合、バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いた場合にもガス発生量が34.7μg/gであり、Agの比率が少ない場合に比べてガス発生量が多くなった。したがって、フェノキシ樹脂をバインダ樹脂とする導電ペーストにおいては、Agの含有量を重量比で60%以下に抑えることが好ましいと言える。
バインダ樹脂の配合比による抵抗値及び膨れの検証
表2に示すように、低融点金属(Sn)、高融点金属1(Cu)、高融点金属2(Ag)、バインダ樹脂(フェノキシ樹脂)、及び有機溶剤(トリグライム)からなる導電ペーストにおいて、バインダ樹脂の配合比を変え、抵抗値及び膨れを評価した。結果を表3に併せて示す。
Figure 2009059574
バインダ樹脂としてフェノキシ樹脂を用いていることから、膨れについてはいずれの配合比においても低いレベルに保たれており、膨れ限界ピッチも小さい。ただし、バインダ樹脂の配合比が重量比で10.0%を越えると、抵抗値が大きくなり、ビアホール導体の接続信頼性が低下することがわかる。
導電金属材料の組成による抵抗値及び膨れの検証
表3に示すように、低融点金属(Sn)、高融点金属1(Cu)、高融点金属2(Ag)、バインダ樹脂(フェノキシ樹脂)、及び有機溶剤(トリグライム)からなる導電ペーストにおいて、導電金属材料の組成比を変え、抵抗値(ビアホール導体の抵抗値及びリフロー後の抵抗値変化率)を評価した。結果を表4に併せて示す。
Figure 2009059574
表4から明らかなように、低融点金属であるSnの比率が少ない場合(Sn20質量%の場合)、抵抗値が急激に大きくなっている。逆に、低融点金属であるSnの比率が多すぎる場合(Sn70質量%の場合)、抵抗変化率が大きくなる傾向にある。これらの結果から、低融点金属であるSnの比率は、導電金属材料全体の30質量%〜60質量%が好ましいと言える。
多層配線基板の構成例を示す概略断面図である。 形成されるビアホール導体を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
1 基材、2 表面導体パターン、3 ビアホール導体、11 ビアホール、12 バインダ樹脂相、13 導電金属材料相

Claims (5)

  1. 導電金属材料と樹脂材料とを含有する導電ペーストであって、
    前記導電金属材料として高融点金属と低融点金属を含有し、且つ前記低融点金属としてSnを含有するとともに、
    前記樹脂材料として熱可塑性のフェノキシ樹脂を含有することを特徴とする導電ペースト。
  2. 溶剤としてトリエチレングリコールジメチルエーテルを含むことを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
  3. 前記Snの含有量が、導電金属材料全体の30質量%〜60質量%であることを特徴とする請求項1または2記載の導電ペースト。
  4. 高融点金属としてAgを含有しており、前記Agの含有量が、導電金属材料全体の60質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の導電ペースト。
  5. 複数の絶縁層が積層され、少なくとも1層の絶縁層にビアホールが形成されるとともに、当該ビアホールに導電ペーストが充填され層間接続用のビアホール導体が形成されてなる多層配線基板であって、
    前記導電ペーストは、導電金属材料と樹脂材料とを含有する導電ペーストであって、前記導電金属材料として高融点金属と低融点金属を含有し、且つ前記低融点金属としてSnを含有するとともに、前記樹脂材料として熱可塑性のフェノキシ樹脂を含有し、
    前記高融点金属と低融点金属が合金化することにより前記ビアホール導体が形成されていることを特徴とする多層配線基板。
JP2007225703A 2007-08-31 2007-08-31 導電ペースト及びこれを用いた多層配線基板 Ceased JP2009059574A (ja)

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