JP2004234900A - 導電性粒子を用いた導電性ペースト、及び、これを用いた接続用シート - Google Patents

導電性粒子を用いた導電性ペースト、及び、これを用いた接続用シート Download PDF

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Abstract

【課題】プリント基板等のビアホールに導電性ペーストを充填する際に、未充填部分を発生することなく容易に充填可能な方法、さらには耐熱信頼性に優れた導電性粒子を用いた導電性ペーストを提供する。
【解決手段】複数の融点を持ち、導電性ペーストを基板に設けられた非貫通ビアホールに導電性ペーストを充填する際に、該非貫通ビアホール上に導電性ペーストを印刷し、真空圧縮成型機で加圧して該非貫通ビアホールへ導電性ペーストを充填し、さらなる導電性ペーストの印刷後に、真空加圧加熱により硬化させることにより空隙のない充填及び該充填された導電性ペーストによる高信頼性接続が可能になる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性粒子を用いた導電性ペースト、及び、これを用いた接続用シートに関し、特に、ビアホールの充填において高接続信頼性を示す合金粒子を用いた導電性ペースト、該導電性ペーストのビアホールへの充填方法、該導電性ペーストが充填されて両面プリント基板や多層プリント基板の製造に用いられる接続用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板の非貫通ビアホールや貫通ビアホール用の充填用導電性ペーストには、導電フィラーとして銀粉、銅粉、銀コート銅粉等が使用されている。しかし、これらの粒子は熱処理温度において溶融接続しないため強固な接続をすることなく、さらに充填密度が上がらない、充填時にボイドが発生する、導電性が悪い、耐熱信頼性が低い等の改良が必要であった。言い換えれば、次の(1)〜(3)項の要求を満たす導電性接続材料が望まれている。(1)耐熱信頼性を有すること、(2)接続安定性を有すること、(3)接続する電子部品などに悪影響を与えない程度の比較的低い温度(約250℃以下)での熱処理で強固な接続性を発揮すること、である。この3点についての改良粒子として、国際出願(出願番号:PCT/JP01/08687)では、合金粒子同士が熱処理で溶融接続し、且つ融点が変化する合金粒子を提案している。
【0003】
一般に、示差走査熱量測定吸収ピークを有する合金粉は共晶組成、或いは擬共晶組成(共晶組成合金に単一ピークの融点を示す範囲内に第3成分等を入れた合金組成)であるが、合金相図の固相線と液相線とが一致している場合は、合金は共晶組成であり、実質的に温度幅のない単一の融点を有する。したがって、そのような合金は融点において一様に融解する。たとえば、Sn/Pb共晶はんだの場合でいえば、Sn/Pb共晶はんだは融点である183℃において均一に融解する。合金相図の固相線と液相線とが一致しない場合は、温度幅のある融点を有する(解け始める温度と解け終わる温度とが異なる)ときと、複数の融点を有するときとがある。
【0004】
複数の融点を有する合金を用いた例としては、特許文献1及び特許文献2を挙げることができる。しかし、これらに示されるPbを含まないはんだ合金が有する複数の融点のうちの最高融点が、通常の熱処理温度である230〜250℃より低いので、このはんだ合金は、耐熱信頼性を有しない。
接続強度を向上させる目的で、特許文献3では、導電性ペーストによってバイアホール導体を形成する際に、Sn/In合金などからなる低融点合金層を一定の厚みで形成させている。この低融点合金層は、接続時における熱処理温度で溶融し、この溶融した低融点合金層と導電性ペースト内の高融点導電フィラーや電極とが金属間化合物を形成することにより、接続強度の向上が可能になる。しかし、上記低融点合金層は一定の融点を有する。このため、再接続や近接部分の接続等のための熱処理時、あるいは、当該融点を超える程度の温度が実装時に接続部品に加えられた場合においても、溶融してしまい、耐熱信頼性に劣る。
【0005】
このように、従来の技術では、上記(1)〜(3)項の要求を満たす導電性接続材料を得ることはできなかった。
なお、Sn/Pb共晶はんだを含め、Pbを含むはんだは次のような重大な欠点がある。はんだに含まれるPbは毒性が強いので人体に有害である。さらに、Pbはα線を出す性質があるため、Pbを含むはんだを半導体素子の極近傍に設置すると半導体素子を誤動作させる可能性があるので、実装場所に工夫を要する。
【0006】
一般的な合金粒子の製造方法としては、溶融金属を冷却された油中に滴下する方法、金属或いは合金を展延させ、切断後、型に入れて球状化する方法、溶融金属を噴射させ熱伝導性の良い高速回転体と接触させる方法、高温プラズマガス中に溶融金属を噴射させる高温プラズマ法、合金金属をミル等で粉砕する方法、メカニカルアロイニングなど目的の組成物を機械的に結合させる方法などが知られている。
【0007】
また、金属イオンを化学還元して得られる化学還元法、金属溶液中で電極上に金属結晶を析出させる電解析出法、或いは、先に化学還元法或いは電解析出法で得られた金属粒子、もしくは各種重合により得られたプラスチック粒子を電解或いは無電解めっきして合金粒子化する方法等が知られている。
充填用導電性ペースト中には導電フィラーとして、銅粉や銀粉、或いは銀めっき銅粉や銀/銅合金などが使用されることが多い。導電フィラーとしての金属或いは合金粒子には、導電性は勿論の事、高温・湿潤環境下での使用で問題となる耐イオンマイグレーション性(イオンマイグレーションを抑制する性質)に優れている事が要求されている。しかし、一般的にはAgは高価な材料である上に、耐イオンマイグレーション性に問題があり、Cuも耐イオンマイグレーション性に劣ることは、よく言われていることである。
【0008】
近年、電子機器の小型、軽量化が急速に進んでいる。それらに用いられている両面プリント配線板や多層プリント配線板における層間の電気的接続材料として、導電性ペーストが注目されている。これは、主に導電性粒子と熱硬化性樹脂からなる混合物であり、絶縁樹脂層に形成されたビアホールに充填することにより、従来の樹脂層上にめっき層を形成する方法では実現できなかった、ビアホールの上にビアホールを形成するビア・オン・ビア構造や、実装用のパッドをビア上に形成するパッド・オン・ビア構造が可能であり、小型化・軽量化に有効な材料である。
【0009】
一方、ビルドアッププリント配線板を作製する工法のひとつとして、樹脂付き銅箔法があり、最近急速に普及してきている。この工法は以下のように行われる。内層コア基板に樹脂付き銅箔を加熱プレスにより積層した後、銅箔面のビア部分をエッチングし、続いてレーザーで下の導電回路まで通じるビアホールを形成する。その表面に無電解めっき、続いて電解めっきを行う、またはビアホール内に導電性ペーストを充填し、その硬化物表面に電解めっきを施すといった方法で下の層と表面の層との電気的接続をとり、その後パターンエッチングする。
【0010】
上記工程を繰り返すことによりビルドアップ多層プリント配線板を製造する。この工法は樹脂部にガラスクロスがないためレーザーによるビア加工がしやすい、フォトビア法に比べて工程管理が容易である、銅箔とのピール強度が安定しやすいなどの特徴がある。
樹脂付き銅箔法で形成されるビアホールは、非貫通ビアホールである。このビアホールに導電性ペーストを空隙なく容易に充填する方法として、ビアホールの開口部よりも小さい孔径のメタルマスクでスクリーン印刷を行うことが知られている(例えば特許文献4参照)。
【0011】
さらに、近年は両面プリント基板および多層プリント基板における層間の電気的な接続にも導電性ペーストを用いる手法が盛んに取り入れられ注目されている。ビアホール内に導電性ペーストを充填することで層間接続する最も大きな長所は、めっき法などを用いる一般的なプリント配線板工法と比較して、簡便な工程でスタックド・ビア構造を形成できる点にあり、ひいては各層毎の任意の位置にビアホールを配置できるため回路設計上の自由度が増大し、配線密度や実装密度の大幅な向上に効果がある。
【0012】
さらに導電性ペーストをビアホールに充填した後に、加圧して硬化する際に導電性硬化物の緻密性を高め、硬化物全体の中の導電性粉末の体積分率を高める方法は、導電性を大幅に向上させるものとして既に特許文献5や特許文献6により知られている。
特許文献5に示される方法としては、離型性フィルムを備えた被圧縮性を有する多孔質基材に、レーザー等によりビアホール用貫通孔をあけ、次にこの貫通孔に導電性ペーストを印刷充填し、離型性フィルムを剥離後に多孔質基材両面に銅箔を重ねて加熱加圧して圧縮する。この際に、圧縮率の高い多孔質基材を用いることで、加圧後の基材厚みが加圧前より薄くなるとともにビアホールの体積が減少するため、導電性粒子が緻密化し、積層した銅箔とビアホール内で硬化した導電性ペーストが高い導電性で電気的に接続された両面銅張り積層基板が製造できる。この両面銅箔をパターンエッチングすることによりビアホール充填型両面プリント基板が製造できる。このようにして製造した両面プリント基板と多孔質基材に導電性ペーストを充填した中間基材とを交互に加圧積層することにより、多層回路基板が製造できる。
【0013】
特許文献6に示される方法としては、有機樹脂を含む絶縁基板に樹脂フィルムを接着してビアホール形成後、導電性ペーストを充填してフィルムを剥離除去し、導体端部を絶縁基板より突き出させ、これにあらかじめパターン化された配線層を重ね合わせて圧縮充填することで配線層を絶縁樹脂基板内に埋め込ませるとともに導体を圧縮充填させることでビアホールの低抵抗化を図るものである。
【0014】
これら方法は、導電性ペーストの流動性を悪化させることなくビアホールに印刷・充填でき、基材や導電性ペーストの圧縮性を高めることにより、低い抵抗値で層間接続できるという点や、多層回路基板の層数が増えても工程が増えないという点で、生産効率的にも優れている。
また、特許文献7では、上記問題点を解決するために、2種類の金属粒子を用いた層間接続用材料を提案している。この層間接続材料は、混合粒子系の層間接続用材料であるが、熱処理により金属粒子(A)の外周に金属粒子(B)の合金層を形成し、この熱処理を継続することによりさらに粒子同士接続や電極材料との合金化により電極を接続することを特徴としている。しかし、層間接続材料のペースト化の際の混練時、及び、充填時において金属粒子の分布が不均一となり、熱処理の際にペースト中の金属粒子(A)と(B)の合金層形成が粒子表面に均一に形成することが非常に困難であるという問題がある。このため、やはり前記(1)〜(3)項の要求を満たす導電性接続材料とは成り得ない。
【0015】
【特許文献1】
特開平9−174278号公報
【特許文献2】
特開平9−206983号公報
【特許文献3】
特開平11−214575号公報
【特許文献4】
特開2000−62136号公報
【特許文献5】
特許第02601128号公報
【特許文献6】
特開平10−275978号公報
【特許文献7】
特開2002−94242号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように導電性接続材料としての特性において、耐熱信頼性を有すること、接続安定性を有すること、接続する電子部品などに悪影響を与えない程度の比較的低い温度(約250℃以下)での加熱処理で強固な接続性を発揮すること、が必要であるにも関わらず、それらを満足できる材料はなかなか存在しない。
【0017】
すなわち、導電フィラーとしてAu、Ag、Cu、Ni等の金属や合金、或いはプラスチック粒子を核としてSn/Pb合金或いはAu、Ag、Cu、Ni等の金属を被覆した粒子を用いた場合では、充填後の熱硬化による導電フィラー同士の点接触により電気的接続がなされており、基材の伸びに対応して接触部分が離れるなど接続安定性及び耐熱信頼性の面では非常に改良すべき点があった。
【0018】
また、従来の導電性ペーストを用いたスクリーン印刷のみによる充填方法では、樹脂付き銅箔のような平面方向の圧縮変化を生じない絶縁基材の場合、加圧加熱によって平面方向の圧縮変化が生じる、例えばガラスクロス入りのプリプレグのような多孔質基材に比べて、抵抗値ははるかに高かった。これは、導電性ペースト中の導電性フィラー同士の圧縮が十分でなく、電気的接続が取りにくいからである。
【0019】
この問題を解決するには、導電性ペーストを高圧縮に充填し、その状態を保持したまま硬化させることが必要不可欠であった。また、従来の方法ではビアホールの孔径が小さければ、メタルマスクの孔径はさらに小さくする必要があるため、位置合わせが困難になり、メタルマスクの作製も含め限界が生じた。
一方、ビアホール充填型両面基板においては、導電性ペーストの流動性を悪化させることなくビアホールに印刷・充填でき、基材や導電性ペーストの圧縮性を高めることにより、低い抵抗値で層間接続できるという点や、多層回路基板の層数が増えても工程が増えないという点で、生産効率的にも優れてはいる。
【0020】
しかし、多孔質基材を用いる方法では、適当な空孔率を得るための基材の選定に制約が生じ、多孔質を得るための特別な工程の追加や配慮が必要である。例えば、多層プリント基板の製造などにおいては、多孔質になりやすいクロスや不織布を用いずにプリプレグの形態をとらない絶縁基材や被圧縮性を有さない絶縁基材が要求されるため、多孔質基材を適用できず、汎用性を欠いていた。
【0021】
さらに、被圧縮性を有する多孔質基材の場合、厚みの変化を利用して導電性を高める工程を経るため、平面方向での寸法変化を維持するためにクロスや不織布を用いる工夫が必要となり、被圧縮性を有さない基材に比べて、より高密度な基板の製造には不利であった。
また、もう一方の絶縁基板に突き出た導電性ペーストに配線層を転写して埋め込む方法では、加圧する際に絶縁基板と配線層の隙間に導電性ペーストが滲みが発生し、ビア−ビア間やビア−配線間における短絡といった不安が否めなかった。
【0022】
さらに、これら両者の工法では絶縁樹脂に積層されたフィルムを剥離する際に、充填された導電性ペーストがフィルム側に持ち去られ、安定した圧縮充填性に欠ける点や、場合によっては充填された該導電性ペーストが絶縁基材より脱落してしまい、導電性の欠如といった致命的な欠陥が生じやすいという問題があった。ましてや、軽薄短小化の進む傾向の中で、絶縁層厚みやビアホール径はますます薄小化しており、充填された導電性ペーストの脱落問題の解消が強く望まれている。
【0023】
これらの課題に加えて、導電フィラーとして機能する金属あるいは合金粒子には、上述のように、耐イオンマイグレーション性に優れていることが要求される。ここで、イオンマイグレーションは、絶縁された二つの回路の間に水分が存在する状態で両回路の間に直流電圧を印加すると、陽極として使用している金属、或いは合金がイオンとして溶出して陰極に移行し、陰極部で析出した金属、或いは合金が最終的に両回路を短絡させる現象である。特に湿潤環境下で使用される電子機器ではイオンマイグレーションが大きな問題となり、電子部品の信頼性を損なうことになり、改良が望まれている。
【0024】
Agのイオンマイグレーションは、Ag/Pd合金、Ag/Cu合金、Ag−Cu混合粉末の使用等により抑制されることが知られている。しかし、Pdの触媒活性によるペースト未硬化状態の発生、該未硬化状態に対してAg含有量を増やすことによるイオンマイグレーションの発生、Ag含有量を抑えた場合のCu酸化問題による接続抵抗値の上昇等の各種問題がある。
【0025】
また、このイオンマイグレーションに関する問題を解決するために、Cu粒子表面にAgコーティング層を形成する方法が各種提案されている。Cu粒子の酸化抑制による電気抵抗値の上昇抑制、Cu粒子とAg層の界面に合金層が形成されることによる密着性の向上などが期待されている。しかし、微細空孔の存在やイオンマイグレーションメカニズムから考察すると、合金化効果が得られるためAgのイオンマイグレーションは改良されると考えられる。しかし、AgとCuの標準電極電位(イオン化電位)からのみでは実用性能を判断できず、また粒子表面酸化物層(含有酸素量とほぼ同義)や錯形成定数等からは耐イオンマイグレーション性はAgとCuの間になると判断される。また、AgとCuの拡散現象を利用しての合金化では、湿式法と熱処理法とからなる非常に複雑な製造プロセスとなり、拡散現象を精度良く制御することは容易ではない。
【0026】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、毒性の高いPbを実質的に含まず、従来の温度よりも低い温度での加熱処理で強固な接続性を発揮し、接続後の実装品を再度加熱処理に付しても接続部が溶融しない耐熱信頼性を有し、さらには耐イオンマイグレーション性に優れた導電性粒子を用いた導電性ペースト、及び、これを用いた接続用シートを提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1による導電性ペーストは、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂からなる有機バインダーと、有機バインダーの硬化剤と、導電性粒子と、を含み、
前記導電性粒子は、実質的にPbを含まず、示差走査熱量測定によって吸熱ピークが観測される温度として定義される複数の融点を示し、該示差走査熱量測定において少なくとも1つの発熱ピークを示し、少なくとも表面部分において、該複数の融点のうちの初期最低融点を示すものであることを特徴とする。
【0028】
複数相を形成し、発熱ピークとして観測される準安定相を有することにより、加熱後における融点変化がもたらされる。融点が上昇する導電性粒子を用いることにより、電子部品等に影響を与えない程度の比較的低い温度での熱処理により溶融し、熱処理後において容易に再溶融しない耐熱信頼性の高い導電性ペーストが構成可能になる。
【0029】
また、少なくとも粒子表面部分において初期最低融点を示すことにより、初期最低融点以上での熱処理によって少なくとも表面部分が溶融し、粒子同士の溶融接合する。これにより、強固な接続性、電気的な接続の安定性がもたらされる。
本発明の請求項2による導電性ペーストは、請求項1において、前記導電性粒子は、前記初期最低融点以上の温度で加熱すると、該初期最低融点を示すその表面部分が溶融し、該加熱後において初期最低融点より高い上昇最低融点を示すことを特徴とする。
【0030】
このような、導電性、融点変化、及び、溶融接続を行う導電性粒子は、合金粒子によって構成可能である。
本発明の請求項3による導電性ペーストは、前記上昇最低融点は、前記初期最低融点よりも2℃以上高いことを特徴とする請求項2に記載の導電性ぺースト。
本発明の請求項4による導電性ペーストは、請求項1〜3のいずれか1項において、前記初期最低融点は、40〜250℃の範囲にあることを特徴とする。
【0031】
初期最低融点が40〜250℃の範囲となるように導電性粒子を構成することにより、電子部品等に影響を与えることなく接続性を発揮することができる。
本発明の請求項5による導電性ペーストは、請求項1〜4のいずれか1項において、前記導電性粒子は、40〜250℃の範囲にある前記初期最低融点を示す最低融点相と、250℃を超える融点を示す高融点相と、を含み、
該最低融点相は、粒子表面から0.2r(rは粒子半径を表す)の距離までの範囲に、少なくとも存在することを特徴とする。
【0032】
このような構成とすると、初期最低融点以上の熱処理によって、表面部分が溶融するとともに、該表面部分よりも粒子の内側に位置する高融点相が溶融せずに残る。
本発明の請求項6による導電性ペーストは、請求項5において、前記導電性粒子は、前記加熱前において、40〜250℃の範囲にありかつ前記初期最低融点よりも高い初期融点を示す低融点相を、更に、有し、
該低融点相は、粒子表面から0.2r(rは粒子半径を表す)以内の距離にあることを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項7による導電性ペーストは、請求項1〜6のいずれか1項において、前記導電性粒子は、含有酸素量が0.1〜3.0%の範囲にあるものであることを特徴とする。
本発明の請求項8による導電性ペーストは、請求項1〜7のいずれか1項において、前記導電性粒子は、(1)〜(6)の条件を満たすものであることを特徴とする。
(1)第1金属種として、Cu及びSnを含有し、第2金属種として、Ag、Bi、In及びZnからなる群より選ばれる少なくとも2種を含有し、第3金属種として、Sb、Al、Ga、Au、Si、Ge、Co,W、Ta、Ti、Ni、Pt、Mg、Mn、Mo、Cr及びPからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。
(2)前記Cuの含有量が10〜90重量%であり、前記Snの含有量が5〜80重量%である。
(3)前記Agを含む場合は、該Agの含有量が0.5〜20重量%であり、
前記Biを含む場合は、該Biの含有量が0.5〜15重量%であり、
前記Inを含む場合は、該Inの含有量が0.5〜15重量%であり、
前記Znを含む場合は、該Znの含有量が1〜5重量%である。
(4)該第3金属種の合計含有量が0.01〜3重量%である。
(5)前記Cuと前記Snとの質量組成比Cu/Snが0.5以上である。
(6)前記Biと前記Inとの質量組成比Bi/Inが1以下であり、前記Biと前記Inとの含有量の和In+Biが50重量%以下である。
【0034】
本発明の請求項9によるビアホール充填用導電性ペーストは、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ペーストからなり、ビアホールの充填用に用いられることを特徴とする。
本発明の請求項10によるビアホール充填用導電性ペーストは、請求項9において、粘度が、シェアレート1s−1で3000ポイズ以上であり、かつチクソ比(シェアレート1s−1/10s−1の粘度比で表わす数値)が3以上であることを特徴とする。
【0035】
本発明の請求項11による接続用シートは、表面に空けられた非貫通ビアホール内に請求項9又は10に記載のビアホール充填用導電性ペーストが半硬化状態で充填されていることを特徴とする。
このように、導電性ペーストを後述する半硬化状態で充填しておくことにより、銅箔等の電極の接続時に加圧しても電極−接続用シート間のペーストの滲みを防いで高信頼性のある接続処理が可能になると共に、接続時の加圧においてペーストが流動することにより圧縮されて導電性の高い接続が可能になる。
【0036】
本発明の請求項12による接続用シートの製造方法は、請求項11に記載の接続用シートの製造方法であって、
非貫通ビアホールの開口部に前記ビアホール充填用導電性ペーストを印刷し、真空度1kPa未満、かつプレス圧力10MPa以下の条件下で真空加圧することにより前記非貫通ビアホールへ該印刷されたビアホール充填用導電性ペーストを充填する充填工程と、
更に、該非貫通ビアホール上に前記ビアホール充填用導電性ペーストを印刷して、真空度1kPa未満、温度300℃以下、かつプレス圧力25MPa以下の条件で真空加圧加熱を行い、該充填されたビアホール充填用導電性ペーストを半硬化状態にする追充填工程と、
を含むことを特徴とする。
【0037】
本発明の請求項13による接続用シートの製造方法は、請求項12において、前記充填工程においては、印刷時のスキージ速度(mm/s)×アタック角度(rad:スキージと前記接続用シートの印刷面とのなす角度)の数値が1000以下で、かつマスクと前記非貫通ビアホールとの孔径比(マスクの孔径/非貫通ビアホールの孔径)が1.1以上である条件で、前記印刷を行うことを特徴とする接続用シートの製造方法。
【0038】
本発明の請求項14による接続用シートの製造方法は、請求項12又は13において、前記充填工程においては、前記真空加圧後に、プレス圧力0MPaの条件下、真空度1kPa未満の状態から常圧になるまで急激に大気を導入することを特徴とする。
本発明の請求項15による接続用シートは、両面を貫くように空けられた貫通ビアホール内に請求項9又は10に記載のビアホール充填用導電性ペーストが半硬化状態で充填されていることを特徴とする。
【0039】
本発明の請求項16による接続用シートは、絶縁性シートと、該絶縁性シートに剥離可能に積層されるフィルムと、からなり、該絶縁性シートとフィルムとが積層された状態においてその両面を貫くように設けられた貫通孔には、請求項9又は10に記載のビアホール充填用導電性ペーストが半硬化状態で充填されており、かつ、
該貫通孔を形成するフィルムに空けられた貫通ビアホールの開口径Aと該貫通孔を形成する絶縁性シートに空けられた貫通ホールの開口径Bとの開口径比A/Bは、1.1以上のものであることを特徴とする。
【0040】
本発明の請求項17による接続用シートの製造方法は、請求項16に記載の接続用シートの製造方法であって、
前記絶縁性シートとフィルムとが積層された状態において形成された貫通孔の開口部に前記ビアホール充填用導電性ペーストを印刷し、充填する充填工程と、
真空度1kPa未満、温度300℃以下、かつプレス圧力25MPa以下の条件で真空加圧加熱を行い、該ビアホール充填用導電性ペーストを半硬化状態にする加圧加熱処理工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の請求項18による接続用シートの製造方法は、請求項17において、前記充填工程においては、前記接続用シートの印刷面の背面側の真空度が10KPa未満となる条件下において、印刷を行うことを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の合金粒子は、実質的にPbを含まない。Pbを実質的に含まないとは、Pbの含有量が0.01重量%以下であることを意味する。Pbの含有量は少ないほど好ましい。
【0042】
合金粒子の組成は、誘導結合型プラズマ発光分光分析装置(セイコーインスツルメント(株)製、SPS−1700HRV型)を用いて測定することができる。Pbの含有量もこれによって測定することができる。本実施の形態において、合金粒子は、後述する合金前駆体粒子、あるいは、本発明にかかる導電性粒子を意味する。
【0043】
融点の測定は、示差走査熱量測定(Differential Scannig Calorimetry、(株)島津製作所製、DSC‐50)を用いて、アルミナセル中に合金粒子を入れ、窒素ガス雰囲気中(流量50ml/分)で、昇温速度2℃/分、720℃まで昇温後10分間保持の条件で測定した。測定により得られた吸収ピーク(吸熱ピーク)の内、熱量が1J/g以上のピークは全て、合金相のピークとして定量している。また、発熱ピークについても吸熱ピークと同様に定量している。なお、1J/g以下の熱量を示すピークは分析精度の関係から定量していない。
【0044】
融点が上昇又は消失する事は、アルミナセル中に合金粒子を入れ、窒素リフロー炉で所定ピーク温度下で熱処理し、上記測定条件下での測定により観測した。初期最低融点が2℃以上上昇または消失した場合を最低融点合金相が変化したとしているが、これは測定装置の校正(インジウム融点156.6℃、亜鉛融点419℃の2点で校正している)結果と測定精度から判断した。
【0045】
なお、DSC測定終了後の冷却過程での合金粒子は窒素ガス雰囲気中(流量50ml/分)にあり、融点測定中の合金粒子の酸化は起こっていない事を、含有酸素量を測定して確認している。
DSCによって得られるDSCチャートは、合金粒子の吸熱ピーク及び発熱ピークを示すが、発熱ピーク温度は、融点とは考えない。
【0046】
融点の数は合金相の種類の数に対応すると考えられ、例えば、融点の数が3つであれば3種類の合金相が存在すると考えられる。本発明において、同じ種類の合金相が、複数存在していてもよく、また、同じ種類の合金相は、分散していてもよい。しかし、本発明においては、各導電性粒子は少なくとも表面部分において初期最低融点(a)を示す必要がある。本発明の導電性粒子は、表面部分において初期最低融点(a)を示すため、該初期最低融点(a)以上の温度で熱処理することにより該導電性粒子は各各の表面部分においてお互いに溶融接続する。この際、昇温速度などの測定条件によって、合金粒子が溶融接続する温度が多少変化する場合がある。
【0047】
したがって、初期最低融点(a)±20℃までは、「初期最低融点(a)と等しい温度」と考える。また、粒子表面同士が溶融接続しているかどうかは、走査型電子顕微鏡で観察することができる。
本発明の合金粒子において、各合金粒子を、その初期最低融点(a)又はそれ以上の温度で加熱し、それにより各合金粒子について初期最低融点(a)を示すその少なくとも表面部分を融解し、その後、各粒子を室温まで冷却させ、それによって各粒子の溶解している部分を固化させると、該熱処理を経た各粒子は初期最低融点(a)より高い最低融点、すなわち上昇最低融点(a’)を示す。
【0048】
最低融点の上昇は、次のようにして確認される。まず、熱処理前にDSCを行ってDSCチャート(以下、「第1チャート」と称する)を得る。次に、熱処理後にDSCを行ってDSCチャート(以下、「第2チャート」と称する)を得る。第1チャートの最低吸熱ピーク温度より第2チャートの最低吸熱ピーク温度の方が高ければ、最低融点の上昇が確認される。
【0049】
なお、第2チャートの吸熱ピークの数が第1チャートの吸熱ピークの数より少なくなることもある。このような場合でも、本発明においては、第1チャートの最低吸熱ピーク温度より第2チャートの最低吸熱ピーク温度の方が高ければよい。
本発明の導電性粒子において、上昇最低融点(a’)が、初期最低融点(a)より2℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがさらに好ましい。また、初期最低融点(a)が40〜250℃の範囲にあることが好ましい。
【0050】
本発明においては、各導電性粒子が、40〜250℃の範囲にある初期最低融点(a)を示す最低融点合金相(i)、及び、250℃を超える融点を示す高融点合金相(ii)を含み、該最低融点合金相(i)は粒子表面から0.2r(rは粒子の半径を表す)以内の距離にあることが好ましい。このような導電性粒子は、初期最低融点(a)以上、且つ250℃以下で加熱した場合、高融点合金相(ii)は溶融せずに残る。
【0051】
また、本発明の導電性粒子が、最低融点合金相(i)、及び高融点合金相(ii)に加えて、更に、該加熱前において、40〜250℃の範囲にあり且つ初期最低融点(a)よりも高い初期融点(b)を示す低融点合金相(i’)を有し、該低融点合金相(i’)は粒子表面から0.2r(rは粒子の半径を表す)以内の距離にあることが好ましい。
【0052】
導電性粒子は擬球状であるので、導電性粒子の表面から0.2r(rは粒子の半径を表す)までの領域の体積は、粒子の体積の49%である。このことは、次の式(1)から分かる。
[(4πr/3)−{4π(0.8r)/3}]/(4πr/3)=1−(0.8)=0.49 ・・・式(1)
導電性粒子の中の、粒子表面からの距離がt(tは粒子の半径rより小さい正の数)である領域をD(t)と定義すると、最低融点合金相(i)は、粒子に対して10〜40体積%の体積分率を有する領域D(t)に存在していることが好ましく、さらには粒子に対して15〜30体積%の体積分率を有する領域D(t)に存在していることが好ましい。
【0053】
本発明にかかる導電性粒子は、含有酸素量が0.1〜3.0%の範囲にある。
すなわち、イオンマイグレーションを抑制する因子として、金属或いは合金粒子の次に示す物理定数に着目した。イオンマイグレーション因子と一般的に考えられている、標準電極電位、イオン化エネルギーだけでなく、含有酸素量、酸化物の導電性或いは絶縁性、原子エネルギー、酸化物内殻エネルギー、電子親和力、錯形成定数、イオン半径、金属酸化物半径等がイオンマイグレーション性を左右する因子であると推定した。さらに、イオンマイグレーション性には、結晶構造(価数)、合金構造、金属間化合物構造、基板種、pH、電界、温度、含有イオン種、湿度、クラック、異物の有無等も関与していると考えられるので、イオンマイグレーション発生メカニズムは推定の域を出ることは出来ない。
【0054】
含有酸素量は、表面及び内部のトータル酸素量で、不活性ガスインパルス加熱融解法による酸素・窒素同時分析装置((株)堀場製作所製、EMGA650)で測定している。含有酸素量は導電性粒子のイオンマイグレーション性、導電性や充填時の接続安定性や有機バインダー中への分散性にも影響を与えると考えられる。含有酸素量が少なすぎると、導電性の面からは適当であるが、耐イオンマイグレーション性から考えれば好ましくない。逆に含有酸素量が多すぎると、導電性を示さなくなるので、適当な含有酸素量が必要である。好ましい範囲は、含有酸素量が0.2%〜2.5%の範囲であり、さらに好ましくは0.3%〜2.0%の範囲である。本発明による導電性粒子では、含有酸素量が1.2%程度でも導電性を発現しつつ、耐イオンマイグレーション性に優れているという結果を得たが、Sn粒子では1.0%程度でも導電性は発現出来なかった。
【0055】
合金粒子の平均粒径の測定は、レーザー回折型粒度分布測定装置((株)日本レーザー製、Helos&Rodos)を用いて行なった。測定値は体積基準の粒径分布を用い、平均粒径は体積積算基準で50%の値を用いた。粒子形状は、アルミ製試料台にカーボンテープで固定し、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−2700)で観察した。
【0056】
イオンマイグレーション性の評価は、各種金属或いは合金粉を用いてペースト化し、ガラスエポキシ基板上に1mmの間隔で印刷を行い、窒素リフロー炉で加熱硬化することにより、イオンマイグレーション測定用電極を形成した。電極間に脱イオン水(精製水)を滴下した後、電極間に直流電圧を印加して、電極間に電流が0.4mA流れるまでの時間を測定し、イオンマイグレーション開始時間として評価した。イオンマイグレーション開始時間が長いほど、耐イオンマイグレーション性に優れていることを示す。
【0057】
なお、イオンマイグレーション性評価ペーストは、以下の方法により体積固有抵抗率を測定した。ガラスエポキシ基板上に、膜厚50〜100μmを保って、幅1cm、長さ7cmに塗布し、窒素リフロー炉にて加熱硬化させ導体を得る。この導体1cmの抵抗値(R)をデジタルマルチメーターで、膜厚(t)を接触式膜厚計にて測定し、下記の式(2)に数値を代入することで算出した。
【0058】
体積固有抵抗率(Ω・cm)=R(Ω)×t(μm)×10−4 ・・・式(2)
測定抵抗値が無限大である場合、体積固有抵抗率は計算出来ない(つまり絶縁硬化物)ので、イオンマイグレーション試験を実施する試験試料とは成りえない。なお、接続材料として考えた場合、体積固有抵抗率は金属固有抵抗値に近い方が好ましいが、実際の用途では10−3Ω・cm以下の値であれば何の問題も無い。
【0059】
本発明の合金粒子は、Cu成分については、10重量%以下の場合では粒子表面層に低融点合金相を形成させる場合に少なすぎ、複数融点、複数合金相形成、融点の上昇又は消失といった本発明の導電性粒子にとっては好ましい範囲ではない。また、90重量%以上でも同様に粒子表面層に低融点合金相が十分に形成されず好ましくはない。したがって仕込みCu濃度は、好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。
【0060】
Sn成分は5重量%以下であると、粒子表面に存在するSnの割合が少なくなり、そのため他の金属との合金相ができにくくなり、粒子表面層に低融点合金相が形成されにくいと考えられる。また、Snが80重量%以上でも同様に合金相ができにくくなり、さらにSn単独相の存在は融点が若干高くなると考えられ好ましくない。したがって仕込みSn濃度は、好ましくは10〜60重量%で、さらに好ましくは20〜50重量%である。
【0061】
Ag成分については、特にSnと低融点合金相を形成しやすい金属であり、低融点合金相の融点を何℃に設計するかにより決定されるべきであるが、Agは貴金属であり高価であるので、0.5〜15重量%の範囲が好ましく、さらに好ましい範囲は5〜15重量%である。
Bi成分については、特にSn、Cu、Agと低融点合金相を形成しやすい金属であり、低融点合金相の融点を何℃に設計するかにより決定されるべきであるが、Biは硬くて脆い金属であるため、Biとして0.5〜15重量%の範囲が好ましく、さらに好ましい範囲は2〜10重量%である。
【0062】
In成分については、特にSn、Ag、Biと低融点合金相を形成しやすい金属であり、やはり低融点合金相の融点を何℃に設計するかにより決定されるべきであるが、InもAg同様に高価な金属であるため、Inとして0.5〜20重量%の範囲が好ましく、さらに好ましい範囲は2〜15重量%である。
その他の添加金属は、安定した合金相或いは低融点合金相を形成させるためには元素数は少なくした方がよいが、本発明によれば添加元素数としては3元素以下で、元素としてはAu、Ni、Pt、Co、Ga、Ge、Znが好ましく、添加金属の添加量の好ましい範囲は0.01〜1重量%の範囲が好ましい。
【0063】
低融点合金相は仕込み組成及びDSCピークより、In基合金或いはSn基合金が主合金相として形成され、単独或いは各々の相乗効果によるものと推定されるが、エレクトロニクス材料として使用する場合の実装温度を考慮し、低融点合金相の上限融点を249℃とした。また、下限融点は添加構成元素も含めた合金系を考え、40℃とした。つまり、低融点合金相としては40〜249℃の範囲の融点を持つ合金相とし、低融点合金相としては2相以上が好ましいと判断される。
【0064】
合金粒子を構成する金属組成においてCu/Sn質量組成比≧0.5であるが、融点が変化するために必須であり、上記発熱ピークを発現させる準安定合金相を形成させ、さらに熱硬化により粒子同士の溶融接続、或いは電極基材との金属間化合物形成のために必要な組成比を示している。Sn比率が高くなると融点変化現象が起こらず、Sn比率が低すぎると最低融点が上昇してしまう。Cu/Sn質量組成比は5以下、さらには2以下が好ましい。
【0065】
Bi/In質量組成比≦1においては、準安定合金相を形成するために制御が必要であるが、Bi量が多すぎると形成する合金相が脆くなり、少なすぎると準安定合金相が形成され難い。Bi/In質量組成比は0.5以下が好ましく、0.3以下がさらに好ましい。
In+Bi≦50重量%で規定される範囲である事も特徴とするが、各種金属を使用し複数の合金相を形成する場合、低融点合金相の形成し易いIn+Biがあまり多く存在すると、低融点合金相の擬共晶組成(あたかも共晶組成のような組成で融点は1つしかない)が形成されてしまう。Bi/In質量組成比とも深い関係があり、最適重量%は規定し難い。
【0066】
本実施の形態にかかる導電性粒子の製造方法は、急冷凝固法による粒子造粒工程と、その粒子の表面処理工程とからなる。金属融液を急冷凝固させることを特徴としているが、準安定合金相が形成されやすい急冷凝固法の冷却媒体として不活性ガスを用いる事が好ましい。さらに、不活性ガスとして露点が−20℃以下のヘリウムガスを含む不活性ガスを使用するガスアトマイズ法を用いる事が好ましい。露点が低い、つまりガス中の水分が少ないヘリウムガスを含む不活性ガスを用いる事により、粒子内に複数の合金相が形成されると考えられるが、詳しいメカニズムは良くわからないのが現状である。なお、水素ガス、一酸化炭素ガス、メタンガス、硫化水素ガス等の還元性ガスを微量含む不活性ガスを用いた場合でも発明の効果が得られる事は確認している。
【0067】
また、急冷凝固法は合金粒子内に複数の準安定合金相や安定合金相を形成させるには必須の要件であり、特に準安定合金相が存在する事が導電性粒子の初期融点上昇又は消失の特徴となっていると推定している。ちなみに徐冷法の場合、合金粒子内は複数の安定相として析出するので初期融点が上昇又は消失するという導電性粒子を得ることは出来ない。冷却速度としては500℃/s以上の速度が好ましいが、さらに好ましくは1000℃/s以上であり、本発明による複数融点、融点変化、融点消失の特徴を持つ導電性粒子を得るには必要な条件であると推測している。さらに、冷却速度が速く、乾式法であるので製造コストを抑えることができる量産プロセスにもなっている。
【0068】
さらに急冷凝固法により得られた粒子(以下、「合金前駆体粒子」と呼ぶ)を、めっき法、スパッタ法、蒸気法、スプレーコーティング法及びディップ法からなる群より選ばれる方法で表面処理することによって導電性粒子を得る。この表面処理工程は、熱処理により選択的に特定金属を熱拡散させるために行う。
めっき法の例として、無電解めっき方法、電解めっき法を挙げることができる。無電解めっき法の例として、置換めっき法を挙げることができる。
【0069】
また、表面処理を行う事を製造上の特徴としているが、表面処理法の前処理としての酸処理(還元処理)、拡散防止層の形成などの下地処理について発明の効果を損なわない事は確認している。
熱処理により選択的にある元素を熱拡散させるための表面処理法としてめっき法により製造する場合、置換Snめっき法などが適用でき、耐イオンマイグレーション性に優れた導電性粒子を得ることが出来る。置換Snめっき条件としては、液温40〜80℃、めっき液中の金属Sn濃度2〜30g/l程度が適当であろう。また、置換めっきの複合化も可能であるが、その場合下地金属との置換による減少分を考慮した金属組成にしなければならない。但し、置換めっき液がある種の構成金属と暴走反応をしたり、めっき液自身が金属により分解する場合は、粒子表面層の組成を制御する事が難しくなる場合があるので、好適なめっき液を選択する必要がある。
【0070】
置換めっきの複数化も可能であるが、その場合下地金属との置換による減少分を考慮した金属組成にしなければならない。但し、置換めっき液がある種の構成金属と暴走反応をしたり、めっき液自身が金属により分解したりする場合、導電性粒子の表面領域を構成する金属の組成を制御する事が難しくなることがあるので、好適なめっき液を選択する必要がある。
【0071】
一方、電解めっき法を用いるならば、陰極電流密度を0.01〜30A/dmで断続的に通電し電解めっきする事により、耐イオンマイグレーション性に優れた導電性粒子を得ることが出来る。陰極電流密度はめっき析出物の組成、均一性、粒子径、緻密性、めっき厚み、生産時数等に関係しているが、好ましい陰極電流密度は0.05〜10A/dmであり、さらに好ましくは0.1〜5A/dmである。合金系のめっき液では、めっき析出物の合金組成とめっき液中の各金属濃度を合わせるように液調整する事が好ましい。
【0072】
表面処理をスパッタ法で行う場合は、次のようにする。放電ガスを導入した真空下に上記合金前駆体粒子を置く。放電ガスの正イオンを真空下で加速し、金属または合金のターゲット材料に衝突させて該ターゲット材料から金属または合金を叩き出し、叩き出された金属または合金を合金前駆体粒子に薄膜として堆積させる。上記放電ガスとしては、Arガスなどのスパッタ率の大きい不活性ガスを用いることが好ましい。
【0073】
表面処理を蒸着法で行う場合は、次のようにする。真空下に上記合金前駆体粒子を置く。金属または合金を真空下で加熱することにより蒸発させ、蒸発した金属または合金を合金前駆体粒子の表面に被覆させる。加熱の方法としては、抵抗加熱法、高周派誘導加熱法、電子ビーム加熱法などがある。合金を蒸着させたいときは、成分元素に分解して蒸着することもできる。
【0074】
表面処理をスプレーコーティング法、例えば溶融スプレーコーティング法で行う場合は、次のようにする。金属または合金を加熱し、溶融物を得る。この溶融物をスプレーノズルから上記合金前駆体粒子に吹き付け、合金前駆体粒子の表面に被膜を形成する。
表面処理をディップ法で行う場合は、溶融した金属または合金を入れた槽の中に上記合金前駆体粒子を落下させ、合金前駆体粒子の表面に被膜を形成する。
なお、上記の各種の表面処理工程の前処理としての酸処理(還元処理)、拡散防止層の形成などの下地処理を行ってもよい。
【0075】
また、合金前駆体粒子を分級する工程を設けてもよい。分級する場合、平均粒径10μm以下になるように分級することが好ましい。また、分級機としては、たとえば気流式分級機を用いることができる。
粒子表面層に存在する低融点合金相の初期融点が上昇又は消失する構造は金属組成と合金系相図、金属の融点、拡散係数、結晶構造、結晶格子定数、表面エネルギー、合金系の自由エネルギー、イオン化傾向、標準酸化還元電位等、複雑に関係している事に由来するものと推察されるが、メカニズムは推定の域を出ない。
【0076】
次に本発明者らは前記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、複数の融点を持ち、熱処理によって融点が変化する特徴を持つ導電性粒子を導電フィラーとする導電性ペーストを塗布した非貫通ビアホールを熱硬化することにより、空隙を発生することがなく、導電性粒子が非常に密で粒子同士が相互に溶融接続し、さらに基板電極とも金属間化合物を形成する耐熱信頼性に優れる高圧縮充填工法を見出し、本発明に至った。
【0077】
つまり、本発明の非貫通ビアホールへの融点が変化する導電性粒子を導電フィラーとして用いた導電性ペーストの充填方法は、基板に設けられた非貫通ビアホールに導電性ペーストを充填する際に、該非貫通ビアホール上に導電性ペーストを印刷または塗布し、真空圧縮成型機で加圧して前記非貫通ビアホールへ前記導電性ペーストを充填硬化させる事を特徴としている。また、追充填として、硬化前にさらに前記非貫通ビアホール上に前記導電性ペーストを印刷または塗布して真空加圧加熱により硬化させることを特徴とする。
【0078】
非貫通ビアホール充填用導電性ペーストの特性及び充填時の特徴として、粘度はシェアレート1s−1で3000ポイズ以上、チクソ比(シェアレート1s−1/10s−1の粘度比で表わす数値)が3以上、スクリーン印刷時のスキージ速度(mm/s)×アタック角度(rad)の数値が1000以下、メタルマスク/非貫通ビアホールの孔径比が1.1以上である。導電性ペーストを充填する際には、該非貫通ビアホール上に導電性ペーストを印刷後、真空度1kPa未満、装置内温度50℃以下、プレス圧力10MPa以下の条件下の真空圧縮成型機で加圧して前記非貫通ビアホールへ前記導電性ペーストを充填し、さらに前記非貫通ビアホール上に前記導電性ペーストを印刷して、真空度1kPa未満、装置内温度300℃以下、プレス圧力25MPa以下の条件で真空圧縮成型機による真空加圧加熱により硬化させることを特徴とする充填方法である。
【0079】
なお、絶縁基板などの接続用シートに設けられた非貫通ビアホールの面に印刷を行う場合、融点が変化する導電性粒子を導電フィラーとして用いた導電性ペーストを印刷する方法としては、スクリーン印刷が一般的であるが、スクリーン版を用いずに直接刷り込む方法や、ディスペンサー法等もある。
スクリーン印刷の場合、用いるスクリーン版としては、例えばステンレスやポリエステル繊維からなるメッシュスクリーン版や、ステンレスシートをエッチングして作製されるメタルマスク版などが挙げられる。マスクの孔径は、ビアホールの孔径より大きいものが好ましい。印刷または塗布された融点が変化する導電性粒子を導電フィラーとして用いた導電性ペーストはビアホールの深さより厚く充填して、基板表面より盛り上がった状態としてもよい。この場合には、後において銅箔等電極の接続時に行う常温での加圧により、導電性ペーストが高圧縮充填されて、導電性を高めることが可能になる。
【0080】
充填用導電性ペーストの粘度はシェアレート1s−1で3000ポイズ以上であるが、好ましくは4500ポイズ以上である。また、チクソ比(シェアレート1s−1/10s−1の粘度比で表わす数値)に関しては3以上であるが、好ましくは3.5以上であるが、チクソ比の最適範囲は特に制限する必要はない。
スクリーン印刷時のスキージ速度(mm/s)×アタック角度(rad)の数値が1000以下と規定しているが、それぞれ単独での最適条件としてはスキージ速度の好ましい範囲は25mm/s以下であり、アタック角度の好ましい範囲は40゜以下である。この条件下で1000となるが、好ましくはスキージ速度20mm/s以下で、アタック角度30゜以下なので、600以下が好ましい範囲となる。
【0081】
また使用するメタルマスク/非貫通ビアホールの孔径比が1.1以上であるが、好ましい範囲の制限は無い。本発明においては、メタルマスク上に導電性ペーストをのせ、スクリーン印刷により該導電性ペーストを非貫通ビアホール基板に押し出すことから、メタルマスクの孔径を非貫通ビアホールの孔径よりも大きくすることにより、より多くの導電性ペーストを印刷し、充填することができる。特に、導電性ペーストは硬化時に体積が小さくなることから充填量はビアホール容量よりも大きいことが望ましい。また、近年のプリント基板は軽薄短小の流れの中で非貫通孔の径も微小化している。しかし、対応するメタルマスクの加工精度では非貫通孔の径と同様に小さくすることは現状では不可能である。メタルマスク径が非貫通孔径より十分に大きくても、導電性ペースト特性、スクリーン印刷条件、本発明者らが提案している充填工法を用いれば非貫通孔にボイド無く充填ができる。
【0082】
融点が変化する導電性粒子を導電フィラーとして用いた導電性ペーストが印刷、または塗布された基板を真空圧縮成型機を用いて圧縮する場合には、真空度は1kPa未満、成型機の室内温度は10〜40℃、プレス圧力は3〜5MPa、加圧時間は5秒以上であることが好ましい。真空状態にすることにより、非貫通ビアホール内の空気が脱気され、導電性ペーストの充填経路を確保できる。加圧後、プレス圧力を0MPaにし、常圧になるまで急激にリークする。リークすることでビア上に存在する導電性ペーストがリークして導入された空気によりビア内へ押され、底部まで充填できる。以上、印刷と加圧を複数回繰り返すことにより、空隙なく導電性粒子同士が十分に接触した充填が可能である。
【0083】
ビアホールへ融点が変化する導電性粒子を導電フィラーとして用いた導電性ペーストを充填した後、さらにビアホール上に導電性ペーストを印刷または塗布する。これは真空圧縮成型機による加熱プレスの際に、ビアホール内の導電性ペーストの圧縮がより働いた状態で硬化されるため、抵抗値の低い電気的接続が可能になる。
【0084】
融点が変化する導電性粒子を導電フィラーとして用いた導電性ペーストの硬化は真空圧縮成型機により加圧加熱する。加熱温度は導電性ペーストで使用している樹脂バインダーや硬化剤の種類にもよるが、130〜250℃が一般的である。
プレス圧力の範囲は1〜25MPaが好ましい。1MPa未満であると、十分な導電性が発現せず、25MPaを超えると割れ等が発生するため、好ましくない。
【0085】
硬化された基板表面に残った過剰の導電性ペーストをバフロール等で除去することも必要に応じて可能である。
本発明で用いる基板としては、特に制限はないが、一般的に用いられる基材としては、例えば紙基材−フェノール基板、ガラス基材−エポキシ基板、無機粉末と高分子化合物よりなるコンポジット基板、金属コア基板などのリジッド基材などがあげられる。これらの基材を用いた両面板、片面板、多層板などを用いることができる。これらの製造方法は公知の方法で可能である。
【0086】
本発明に用いる非貫通ビアホールは例えば以下の方法で製造できる。
導体回路を有する絶縁基板上に、液状またはドライフィルム状の感光性樹脂をスプレーコートにより塗布または積層することにより、所望の厚さの絶縁樹脂層を形成する。その後、スルーホールの場所以外を露光、現像してビアホールを形成するなどである。感光性絶縁樹脂の代わりに非感光性絶縁樹脂を用いる場合には、レーザー照射により形成することができる。また、樹脂付き銅箔を真空プレス機で積層し、ビアホールの位置の銅をエッチングにより除去後、レーザー照射する方法や、また、銅箔をエッチアウト後レーザー照射による方法などがある。レーザーとしては、COレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどを用いることができる。
【0087】
本発明に用いられる導電性ペーストの樹脂バインダー組成は、熱硬化性で導電性が得られるものであれば特に制限はない。一般的なものとしては、各種の分子量のレゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、および1分子中に1個以上のグリシジル基を有する液状エポキシ化合物、例えばネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどと、アミン、酸無水物等からなるエポキシ硬化剤との組み合わせが好ましい。その他のバインダー樹脂として、メラミン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂などが挙げられる。また、必要に応じて熱可塑性樹脂や表面処理剤、分散剤などを添加することができる。
【0088】
導電性粒子の比率が高い等の理由で印刷に十分な流動性が得られない場合は粘度調整剤として有機溶剤を添加してもよい。この溶剤は加熱プレスによるペーストの硬化工程の際に蒸発するため、圧縮された導電性粒子の充填性がより緻密になり高導電性を誘起することが可能である。ただし、ペースト硬化物内にボイドが発生せず、また粘度も上記の範囲になるように、添加量を調節しなければならない。好適な添加量は、ペースト全体の3重量%以下である。
【0089】
さらに、絶縁性樹脂よりなる絶縁性シートの両面に剥離可能なフィルムが積層した多層シートを用いて、この多層シートを貫くように貫通孔が形成されており、該貫通孔において剥離可能なフィルムの開口径が絶縁性シートの開口径よりも大きいことを特徴とし、かつ該貫通孔内に導電性粒子と熱硬化性樹脂よりなる導電性ペーストを充填した後に半硬化することで、フィルム剥離後に絶縁性シート両面のビアホール部位に導電性ペースト半硬化物を脱落させることなく容易に突出させ、さらにこれに銅箔を張り合わせて加熱プレスし両面プリント基板を形成した際に、銅箔と絶縁シートの隙間にペーストが滲むことなくビアホール内に導電性粒子が圧縮されて緻密化し、高い導電性を有する層間接続が可能となり、この工程で製造した両面および多層プリント基板が上記課題を解決するものとして、本発明に至った。
【0090】
本発明に用いる絶縁性シートは、その材質、構造に関して特に限定されず、一般に公知の基板であれば、いずれを用いることも可能である。材質として代表的なものを例示すれば、ガラスエポキシ樹脂系、紙フェノール樹脂系、紙エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリエステル樹脂系、BTレジン樹脂系、ポリフェニレンサルファイド樹脂系、ポリフェニレンエーテル樹脂系、ポリエーテルケトン樹脂系、ポリエーテルイミド樹脂系、ポリスルホン樹脂系などの基材が使用可能であり、単独または複合材料として使用できる。構造については、これら絶縁性の樹脂単独で使用することも可能であるし、有機系繊維あるいは無機系繊維の織布または不織布との複合材料、あるいは有機系粉体または無機系粉体との複合材料、さらにはこれらを組み合わせた材料として使用できる。
【0091】
絶縁性シートは穴あけ加工性を考慮して材質あるいは構造を適宜選択することが好ましく、例えばレーザー加工による穴あけの場合は、ガラス転移温度の高い樹脂やクロスなどの織布の無い構造のものが好ましい。これらの絶縁性シートは、未硬化、半硬化または硬化したものが使用可能であり、多層プリント基板を製造するにあたり、これらの基材は必要に応じて同じものを使用しても良いし、異なっていても良い。さらに加圧プレス時の樹脂の流動を抑えるためにガラス転移温度の高い材料を選択することも、導電性ペースト硬化物の低抵抗化を図るための有効策となる。
【0092】
絶縁性シートの両面に接着剤層が形成されていてもいなくても構わないが、両面に銅箔を積層した後に絶縁性シートとの接着強度が充分得られるような基材を選択することが好ましい。絶縁性シートの厚さは自由に選択可能であるが、一般的には10μm以上300μm以下が適当である。
本発明に用いる剥離可能なフィルムの材質は、一般的に使用されているものであれば制限無く使用可能であり、例えばポリエステル系樹脂系、ポリエチレン樹脂系、塩化ビニル樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリプロピレン樹脂系、ポリフェニレンオキサイド樹脂系、セルロース樹脂系などが挙げられ、これらは単独あるいは複合材料として使用でき、必要に応じて同種あるいは異種の多層構造を形成していても良い。
【0093】
また、これら剥離可能なフィルム上の基材への貼り付け面に接着剤層が形成されていても良いし、プラズマ処理やコロナ処理、カップリング剤などによる離型あるいは接着のための表面処理が施されていても良い。いずれにしても先述の絶縁シートの材質やフィルムの剥離性を考慮した上で、フィルムの材質や絶縁シートに張り合わせる面の表面状態を選択することが好ましい。
【0094】
本発明に用いる剥離可能なフィルムの厚さとしては特に制限はないが、絶縁シートの厚さを越えない程度が望ましく、5μm以上200μm以下が好適である。このフィルム厚さは、剥離後に絶縁性シート両面の貫通孔部位に突出し残存する半硬化した導電性ペーストの突起高さに密接に関係し、ひいては、銅箔等の積層時における加熱プレス後の導電性ペースト硬化物の導電性粒子の緻密性、すなわち導電性に大きく影響する。このため、フィルムの厚さは、絶縁性シートの厚さ・圧縮率や導電性ペースト中の導電性粒子/有機バインダー比率を考慮して、適当な厚さを選択することが好ましい。例えば、絶縁性シートに全く圧縮しない基材を用い、導電性粒子/有機バインダー比率が7/3の導電性ペーストを用いる場合、半硬化したペースト体積の圧縮率が20〜50%となるようにフィルムの厚さを選択するのが望ましい。
【0095】
本発明における絶縁性シートと剥離可能なフィルムの積層方法に限定はないが、一般的な圧着プレス機やラミネーターなどのロールプレス機を用いることが可能である。この際、選択した絶縁基材やフィルムの材質に合わせて、真空下や加熱加圧などの条件を適宜選択することができる。また、フィルムを積層する工程は貫通孔をフィルムや絶縁性シートにそれぞれ設けた後に行うこともできるが、位置ずれなどの問題が生じてしまうため、積層後に貫通孔を設ける工法が有効である。
【0096】
本発明に用いられるフィルム積層型絶縁性シートには、導電性ペーストを充填するための貫通孔が設けられる。この貫通孔に関して、剥離可能なフィルム側の開口径が絶縁性シートの開口径よりも大きいことが望ましい。大きさの度合いに制限はないが、実用的には絶縁性シート開口径の1.05〜3倍の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.1〜2倍の範囲である。
【0097】
該貫通孔の形成方法としては、ドリル加工、パンチング加工、各種レーザー加工、座ぐり加工、エッチング加工等や、これらの組み合わせの中で、一般に用いられている方法であれば、制限無く使用可能である。レーザー加工の場合は、積層するフィルムの材質を適宜選択して、複数回の穴あけ処理でフィルム側の開口径を調節することも可能である。また、該貫通孔の孔径は、特に限定されるものではなく、上記加工法で実施可能な範囲であれば任意に設定することができる。範囲としては0.01〜3mm程度であり、好ましくは0.03〜2mm、さらに好ましくは0.05〜1.0mmである。
【0098】
本発明に用いる導電性ペーストは、導電性粒子の形状としては、球状、多面体状、鱗片状、フレーク状及びこれらの混合物として用いることができる。いずれの形状にしても、機械的に粉体を加工する公知の方法を用いることが可能である。また、該導電性粒子は、粒子サイズとして実質的に工業的に利用されている範囲ならば利用可能である。好ましい範囲としては、平均粒子サイズとして0.1〜30μmであり、より好ましくは0.5〜15μmである。
【0099】
本発明における導電性ペーストには、樹脂バインダーとして、熱硬化性の樹脂として公知のものが使用可能である。例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられ、好ましくはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂であり、さらに好ましくは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂である。また、場合によっては上記の熱硬化性の樹脂とともに熱可塑性の樹脂を適用することも可能である。この際、樹脂バインダーの組み合わせにより、印刷性や密着性などの特性を向上させることができる。以上の樹脂バインダーのうち、一種または二種以上の組み合わせが可能であり、該導電性ペーストの粘度、チクソ比や構造粘性指数を考慮して、また、絶縁性シートの材質等に合わせて組み合わせは適宜可能である。
【0100】
また、本発明における導電性ペーストに、流動特性の調整または/および加熱プレス後のビアホール内の導電性粒子の体積分率を向上させる目的で、有機溶剤等の希釈剤を用いることは好適である。この場合、充填したペーストを加熱して半硬化させる過程でペーストに含まれる有機溶剤が揮発するため、フィルム剥離後に銅箔を張り合わせて加熱プレスする際に、ビアホール内にボイドの発生が無く、ペースト中の有機成分が減少するため、圧縮された導電性粒子の緻密性が向上し、ひいては導電性の向上効果が得られるため好都合である。希釈剤としては、公知であり一般的に用いられているものであれば何でも良い。添加量としては5重量%以下が適当である。
【0101】
本発明における導電性ペーストの貫通孔への充填方法としては、スクリーン印刷法、バーコート法、ディスペンサー法などがあるが、スクリーン印刷法が一般的である。この場合、メッシュスクリーン版やメタルマスク版などを介した印刷・充填が可能であり、また、剥離可能なフィルムが汚染防止とともにマスクの役割をするため、スクリーン版を用いずに直接スキージなどで刷り込むことも可能である。スクリーン版を用いる場合は、充填する貫通孔の開口径にあわせて、適宜スクリーン版のパターン径を選択することが望ましい。
【0102】
貫通ビアホール充填用導電性ペーストの粘度はシェアレート1s−1で3000ポイズ以上、導電性ペーストのチクソ比(シェアレート1s−1/10s−1の粘度比で表わす数値)が3以上であるが、好ましくはシェアレート1s−1で4500ポイズ以上、導電性ペーストのチクソ比(シェアレート1s−1/10s−1の粘度比で表わす数値)が3.5以上であるチクソ比の最適範囲は特に制限する必要はない。
【0103】
スクリーン印刷時のスキージ速度(mm/s)×アタック角度(rad)の数値が1000以下と規定しているが、それぞれ単独での最適条件としてはスキージ速度の好ましい範囲は25mm/s以下であり、アタック角度の好ましい範囲は40゜以下である。この条件下で1000となるが、好ましくはスキージ速度20mm/s以下で、アタック角度30゜以下なので、600以下が好ましい範囲となる。
【0104】
スクリーン印刷面の背面(プリント基板裏面)より真空度10kPa未満で真空引きを行いスクリーン印刷するが、この際の真空度はプリント基板が固定され、導電性ペーストが若干でも吸引される程度の真空度で構わない。
上記各手法によって充填された導電性ペーストのフィルム表面貫通孔部位の滲みを除去したり、フィルム剥離後に絶縁性シート両面の貫通孔部位に突出する半硬化導電性ペーストの突起高さを均一にする目的で、充填後にフィルムの上からバフロール等を用いて過剰な導電性ペーストを払拭することも必要に応じて可能である。
【0105】
本発明における導電性ペーストは、フィルム積層型絶縁シートに充填された状態で半硬化されていることが必須である。ここでいう半硬化とは、島津製作所製のダイナミック超微小硬度計DUH−W201Sを用いた圧子押し込み試験において、試験力4mNの際の導電性ペースト変位量が2〜7μmの範囲内であることをいう。導電性ペーストが未硬化の場合、両面のフィルムを剥離した際に、導電性ペーストが剥離フィルム側に転写されて移動するか、あるいはフィルム側の貫通孔に導電性ペーストが詰まった状態で剥離されるため、絶縁性シート両面の貫通孔部位の導電性ペーストの盛り上がりが不均一になるとともに、銅箔と張り合わせてプレスした際に、流動性のある導電性ペーストが銅箔と絶縁層の間に流れ込み滲んでしまい、信頼性の悪化と導電性の低下を招いてしまう。したがって、充填された導電性ペーストは、流動性を抑えたある程度の硬さが必要になる。変位量が2μm以下であると銅箔を張り合わせて加熱プレスする際に、銅箔と絶縁性シートの間に導電性導電性ペーストが流動して入り込み滲んでしまうとともに、圧縮効果が得られず導電性の低い硬化物になってしまう。また、変位量が7μmを越えた場合、導電性ペーストの流動性がほとんど失われ、硬化物中の導電性粒子の緻密性が極端に減少し得られる導電性が低くなる。好ましい範囲としては3μm以上6μm以下であり、さらに好ましくは4μm以上5μm以下である。
【0106】
半硬化させる方法としては、どのような手段でも構わないが、加熱による硬化方法が一般的である。この場合、ボックス式熱風炉、連続式熱風炉、マッフル式加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、真空加熱プレスなどの公知の方法が可能である。この際の雰囲気として、酸素濃度が少ないかあるいは存在しない雰囲気、不活性ガス雰囲気、還元性雰囲気が望ましいが、空気中でも構わない。好適な半硬化温度は使用する樹脂バインダーや硬化剤にも依存するが、40〜130℃の範囲が一般的である。
【0107】
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
本発明について、実施例及び比較例により具体的に説明する。
[実施例1]
(1)導電性粒子の製造
Cu粒子6.5kg(純度99重量%以上)、Sn粒子1.5kg(純度99重量%以上)、Ag粒子1.0kg(純度99重量%以上)、Bi粒子0.5kg(純度99重量%以上)、In粒子0.5kg(純度99重量%以上)を黒鉛るつぼに入れ、高周波誘導加熱装置により1400℃まで加熱、融解した。雰囲気は99体積%以上のヘリウム中で行った。次に、この溶融金属をるつぼの先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、るつぼ先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%、圧力2.5MPaG)を噴出してアトマイズを行い、合金前駆体粒子を作製した。このときの冷却速度は2600℃/秒であった。得られた合金前駆体粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2700)で観察したところ球状であった。
【0108】
この合金前駆体粒子を気流式分級機(日清エンジニアリング製、TC−15N)を用いて、10μm以下に分級した。分級後の体積平均粒径は3.6μmであった。
この合金粒子を置換Snめっき液(奥野製薬工業製)にて、Sn濃度5g/l、50℃/15分間めっきを行い導電性粒子を作成した。めっき後の洗浄は水洗浄のみ実施した。水洗浄後の導電性粒子はエタノールで置換後、60℃乾燥機にて乾燥した。置換Snめっきメカニズムと元素分析の結果より計算される、Snめっき相当厚みは0.1μmであった。
【0109】
この導電性粒子を島津製作所製DSC‐50により窒素雰囲気下で吸熱ピーク温度(融点を示す)を測定した。その結果、146℃、438℃、499℃、566℃に吸熱ピークが存在し、複数の融点が存在する事が確認できた。また、特徴的に199℃、261℃に発熱ピークが存在していた。199℃発熱ピークは置換Snめっきにより発現したSn/Cu系の準安定合金相で、261℃は急冷凝固法である不活性ガスアトマイズと金属組成により発現したBi/Ag系の準安定合金相であると思われる。
【0110】
初期状態の導電性粒子の粒子表面層体積分率は16%で、低融点合金相は2相となっている。
さらに導電性粒子をアルミナ基板の上にのせ、ピーク温度270℃で窒素リフロー炉にて熱処理を行い、DSC測定を実施したところ、261℃、438℃、499℃、566℃に吸熱ピークが存在し、初期に観測された146℃の吸熱ピーク、199℃と261℃の発熱ピークは消失していた。また、熱処理後の導電性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2700)で観察したところ、粒子同士が溶解して接続している事が確認できた。
(2)導電性ペーストの作製
上記の導電性粒子100重量部に、ノボラック型フェノール樹脂5.4重量部と液状エポキシ樹脂3.6重量部、ステアリン酸0.3重量部を加え、プラネタリミキサーまたは三本ロールにて混練した。このペーストに潜在性硬化剤ノバキュアー(旭化成エポキシ(株))重量部を加えて撹拌して導電性ペーストを得た。粘度はシェアレート1s−1での値が4800ポイズで、チクソ比は3、揮発分は1.5%であった。
(3)導電性の評価方法
ガラスエポキシ基材上に銅回路パターンを形成後、樹脂つき銅箔(日立化成工業(株) MCF−6000、絶縁層厚み 60μm、銅箔厚み 18μm)を真空プレスで積層した。銅箔上にドライフィルムレジスト(旭化成(株) AQ−3036)をラミネートし、ビアの位置の銅箔が露出するようにパターンを形成し、露出した銅箔部分をエッチング液で完全に除去した。ドライフィルムレジストを剥離後、露出した絶縁樹脂部分をCOレーザーにて照射してビアホールを形成した(直径 50μm)。
【0111】
ビアホール上にスクリーン印刷機で100μm径のメタルマスクを介して導電性ペーストを印刷した。スクリーン印刷条件としては、スキージ速度10mm/s、アタック角度10゜でスキージ角度×アタック角度が100の条件で行った。ビアホール上に剥離可能なポリエステル樹脂系のフィルムを置き、真空プレス機にて室温、真空度を1.0kPa未満、プレス圧力を5MPaの条件で5秒間加圧した。ビアホール上にはみ出た導電性ペーストを拭き取り、上記手順を計3回行った。この後、さらにビアホール上に導電性ペーストを印刷し、真空プレス機を用いて加熱加圧硬化した。加熱硬化温度は230℃に設定した。表面をバフロールで研磨し、はみ出た導電性ペーストを除去した後、電解銅めっきで5μmの銅層を形成した。ドライフィルムレジストを用いてエッチングにより銅回路を形成し、プリント配線板を作製した。ビアホール1穴あたりの体積抵抗率は0.6×10−5Ω・cmであり、良好であった。光学顕微鏡により断面観察を行った結果、ビア内のボイドは認められず、導電性粒子同士、また電極Cu材との金属間化合物形成が観察できた。
[実施例2]
はんだペースト用フラックス(商品名:TASフラックス、荒川化学工業(株)製)、エポキシ樹脂(商品名:エポライト100MF、共栄社化学(株)製)、トリエタノールアミン(試薬)を重量比でフラックス:エポキシ樹脂:トリエタノールアミン=1:0.3:0.3で混合し有機バインダーとしたものと、実施例1で作製した導電性粒子を混ぜて、ペースト化した。この際、導電性粒子の含有量は88重量%とした(残り12重量%分が有機バインダーとなる)。使用した導電性粒子は、空気中にて気流式分級機(商品名:エルボージェットEJ−LABO、マツボー製)で最大粒子径が8μm程度になる条件下で再度分級を実施した。分級後の平均粒径は2.9μm、含有酸素量は12800ppmであった。ガラスエポキシ基板上に印刷し、窒素リフロー炉にてピーク温度230℃の条件下で加熱硬化を行なったが、体積固有抵抗率は2.3×10−3Ω・cmであった。別途ガラスエポキシ基板に1mmの間隔で印刷し、同一条件で加熱硬化したイオンマイグレーション測定用基板を用いて、印加電圧7Vで、電流値が0.4mAまで到達する時間を測定したが、360秒まで電流値は変化せず、イオンマイグレーションが起こらない事を確認した。
[実施例3]
(1)導電性ペーストの作成
実施例1の(1)で作成した導電性粒子100重量部に、ノボラック型フェノール樹脂1.4重量部とネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル2.5重量部と潜在性硬化剤(HX−3741、旭エポキシ(株))0.4重量部とベンジルアルコール1.9重量部を加え、脱泡混練機にて15分間攪拌し導電性ペーストを得た。
(2)ペースト充填貫通孔付きフィルム積層型絶縁性シートの製造方法例
絶縁樹脂よりなる絶縁性シートに、剥離可能なフィルムをラミネーター等により積層する。レーザー加工やドリル加工などにより、所定の位置や大きさに貫通孔を設ける。スクリーン印刷機で貫通孔に導電性ペーストを充填し、必要に応じてバフロール等により余分な導電性ペーストを除去した後、オーブンにて、充填されたペーストを半硬化状態にする。この際、薄い基材を用いる場合は加熱プレスを用いて、予備プレスと半硬化処理を同時に行うことが望ましい。
(3)両面プリント基板の製造方法例
(2)で製造したペースト充填貫通孔付きフィルム積層型絶縁性シート両面の剥離可能なフィルムを、デラミネーター等により剥離する。この際、絶縁基材とフィルムの接着性を考慮し、適宜剥離スピードや角度、温度等を設定することが有効な策となる。フィルムが剥離され、貫通孔の両面に半硬化した導電性ペーストが突出し残存した絶縁性シート両面に、銅箔を重ねて、真空熱プレス機を使用して、絶縁基材や、存在する場合は絶縁基材両面に形成された接着剤層や半硬化した導電性ペーストを加熱硬化し、銅箔と密着させる。最後にプリント配線板のパターンエッチングの定法に従い、銅箔回路パターンを形成して両面プリント基板を製造する。
(4)多層プリント基板の製造方法例
絶縁性シート両面の貫通孔部位に半硬化した導電性ペーストが突出し残存しているシートと(3)で製造した両面プリント基板を交互に組み合わせて、真空プレス機により積層して多層プリント基板を製造する。
(5)試作基板の評価結果
上記(2)〜(4)の工程を以下の基材を用いて行った。厚さ24μmのポリスルホンシアノエステルシートに、厚さ9μmの同シートを真空プレス機により積層した。次に、レーザー加工機を用いて所定の位置に積層シートの両側から、複数回にわたってシート当たり576個の貫通孔をあけたところ、中心のシートの開口径は30μmであり、外側のシートの開口径は38μmであった。
【0112】
次に、メタルマスクを介したスクリーン印刷機を用いて導電性ペーストをこの貫通孔に充填した。真空熱プレス機を用いて1.5MPaで加圧しながら、80℃で60分間加熱を行い、充填した導電性ペーストを半硬化した。半硬化した導電性ペーストの圧子押し込み試験による変位量は4μmであった。
次に、積層された両面のフィルムを剥離したが、半硬化した導電性ペーストの脱落は全く認められなかった。両面に銅箔を重ね、真空熱プレス機により3.5MPaで加圧しながら230℃で60分間加熱を行い、両面銅張り基板を得た。ドライフィルムレジストを用いてパターンエッチングを行い、ビアホール試験サンプルを作成した。ビアホールの断面観察を行った結果、銅箔と絶縁基材の隙間に導電性ペーストの滲みは認められなかった。また、ビアホール1穴当たりの体積抵抗率は0.7×10−5Ω・cmと良好であった。
[実施例4]
実施例1の(1)で作製した導電性粒子を導電フィラーとして、実施例2の(1)と同じ組成にて導電性ペーストを作製した。
厚さ40μmの接着剤層付きポリイミドシートに、厚さ12μmのポリエステルフィルムを真空ラミネーターにて積層した。レーザー加工機を用いて所定の位置に576個の貫通孔を設けたところ、ポリイミドシートの開口径は48μmでありポリエステルフィルムの開口径は52μmであった。この貫通孔に、メタルマスクを介したスクリーン印刷機を用いて導電性ペーストを充填し、バッチ式オーブンを用いて、80℃で50分間、大気中にて加熱を行い、充填した導電性ペーストを半硬化した。半硬化した導電性ペーストの圧子押し込み変位量は5μmであった。
【0113】
積層された両面のフィルムを剥離したところ、導電性ペーストの脱落は全く認められなかった。次に、両面に銅箔を重ね、真空熱プレス機により3MPaで加圧しながら240℃で40分間加熱を行い、両面銅張り基板を作成した。ドライフィルムレジストを用いてパターンエッチングを行い、ビアホール試験サンプルを作成した。ビアホールの断面観察を行った結果、銅箔と絶縁基材の隙間に導電性ペーストの滲みは認められなかった。また、ビアホール1穴当たりの体積抵抗率は0.5×10−5Ω・cmと良好であった。
[比較例1]
(1)銅粒子の製造
Cuペレット10kg(純度99重量%以上)を黒鉛るつぼに入れ、高周波誘導加熱装置により1400℃まで加熱、融解した。雰囲気は99体積%以上のヘリウム中で行った。次に、この溶融金属をるつぼの先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、るつぼ先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%、圧力2.5MPaG)を噴出してアトマイズを行い、銅粒子を作製した。このときの冷却速度は2600℃/秒であった。得られた銅粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2700)で観察したところ球状であった。
【0114】
この銅粒子を気流式分級機(日清エンジニアリング製、TC−15N)を用いて、10μm以下に分級した。分級後の体積平均粒径は3.6μmであった。
この粒子を島津製作所製DSC‐50により窒素雰囲気下で吸熱ピーク温度(融点を示す)を測定した。しかし、測定上限温度が720℃であり、銅の融点は1083℃であるので、測定は出来なかった。
【0115】
さらに銅粒子をアルミナ基板の上にのせ、ピーク温度270℃で窒素リフロー炉にて熱処理を行い、DSC測定を実施したが、やはり測定は出来なかった。
また、熱処理後の銅粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2700)で観察したところ、粒子同士が溶解して接合している状態は観察出来なかった。
(2)導電性ペーストの作製及び評価
上記(1)で作製した銅粒子を用いて、実施例と同様の積層板と導電性ペースト組成物により、孔径50μmの非貫通ビアホールに100μm径のメタルマスクでスクリーン印刷を10回繰り返し行って充填した。使用した導電性ペーストの粘度はシェアレート1s−1での値が4500ポイズで、チクソ比は2、揮発分は1.5%であった。なお、スクリーン印刷条件としては、スキージ速度25mm/s、アタック角度40゜でスキージ角度×アタック角度が1000の条件で行った。抵抗値を測定した結果、完全にオープンであった。光学顕微鏡を用いた断面観察により、ビア内にボイドが認められ、粒子同士の接続も観察されなかった。
[比較例2]
(1)合金粒子の製造
Sn粒子9.23kg(純度99重量%以上)、Cu粒子0.05kg(純度99重量%以上)、Bi粒子0.3kg(純度99重量%以上)、Ag粒子0.32kg(純度99重量%以上)とIn粒子0.10kg(純度99重量%以上)を黒鉛るつぼに入れ、高周波誘導加熱装置により1100℃まで加熱、融解した。雰囲気は99体積%以上のヘリウム中で行った。次に、この溶融金属をるつぼの先端より、ヘリウムガス雰囲気の噴霧槽内に導入した後、るつぼ先端付近に設けられたガスノズルから、ヘリウムガス(純度99体積%以上、酸素濃度0.1体積%、圧力2.5MPaG)を噴出してアトマイズを行い、合金前駆体粒子を作製した。このときの冷却速度は2600℃/秒であった。得られた合金前駆体粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2700)で観察したところ球状であった。
この合金前駆体粒子を気流式分級機(日清エンジニアリング製、TC−15N)を用いて、10μm以下に分級した。分級後の体積平均粒径は3.7μmであった。
この合金前駆体粒子を島津製作所製DSC‐50により窒素雰囲気下で吸熱ピーク温度(融点を示す)を測定した。その結果208℃に吸熱ピークが存在し、融点が1点しかない事を確認した。
【0116】
さらに、この合金前駆体粒子を置換Snめっき液(奥野製薬工業製)にて、50℃/30分間めっきを行った。めっき後の洗浄は水洗浄のみ実施した。水洗浄後の合金粒子は有機溶剤で置換後、60℃乾燥機にて乾燥した。置換Snめっきメカニズムと元素分析の結果より計算される、Snめっき相当厚みは0.1μmであった。
【0117】
この合金粒子を島津製作所製DSC‐50により窒素雰囲気下で吸熱ピーク温度(融点を示す)を測定した。その結果、208℃に吸熱ピークが存在し、置換めっきによる表面相が形成されておらず、元々の単一融点しか存在しない事が確認できた。
初期状態の合金粒子の粒子表面相体積分率は16%で、低融点合金相は1相であった。
【0118】
さらに合金粒子をアルミナ基板の上にのせ、ピーク温度230℃で窒素リフロー炉にて熱処理を行い、DSC測定を実施したところ、208℃に吸熱ピークが存在し、融点は変化していなかった。また、熱処理後の合金粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−2700)で観察するまでもなく、粒子が完全に溶解し1つになっている事がわかり、実施例の場合とは明らかに熱処理後の形状が異なる事が確認できた。
(2)導電性ペーストの作製及び評価
上記(1)で作製した合金粒子を用いて、実施例と同様の積層板と導電性ペースト組成物により、孔径50μmの非貫通ビアホールに100μm径のメタルマスクでスクリーン印刷を10回繰り返し行って充填した。抵抗値を測定した結果、完全にオープンであった。光学顕微鏡を用いた断面観察により、ビア内にボイドが認められた。粒子同士の溶融接続は観察された。
[比較例3]
実施例2と同様に、はんだペースト用フラックス(商品名:TASフラックス、荒川化学工業(株)製)、エポキシ樹脂(商品名:エポライト100MF、共栄社化学(株)製)、トリエタノールアミン(試薬)を重量比でフラックス:エポキシ樹脂:トリエタノールアミン=1:0.3:0.3で混合し有機バインダーとしたものと、以下に示す各種金属或いは合金を混ぜて、ペースト化した。この際、粒子の含有量は88重量%とした(残り12重量%分が有機バインダーとなる)。但しAg粒子のみ、含有量88重量%ではペースト化出来なかったので、70重量%でペースト化した。使用した各粒子とペースト後の特性は次のようになった。なお、体積固有抵抗率測定用基板は実施例2同様に、ガラスエポキシ基板上に印刷し、窒素リフロー炉にてピーク温度230℃の条件下で加熱硬化を行なった。Ag粒子(商品名;AgC−A0、福田金属箔粉工業(株)製)は平均粒径14μm、含有酸素量2500ppm、体積固有抵抗率1.3×10−4Ω・cmであった。Cu粒子(弊社にて製造、気流式分級も実施)は平均粒径3.5μm、含有酸素量2500ppm、体積固有抵抗率2.0×10−4Ω・cmであった。Sn粒子は(弊社にて製造、気流式分級も実施)は平均粒径2.4μm、含有酸素量10800ppm、体積固有抵抗率は測定出来なかった。Ag−Cu合金粒子(Ag20wt%で弊社にて製造、気流式分級も実施)は平均粒径3.5μm、含有酸素量5800ppm、体積固有抵抗率7.9×10−4Ω・cmであった。別途ガラスエポキシ基板に1mmの間隔で印刷し、同一条件で加熱硬化したイオンマイグレーション測定用基板を用いて、印加電圧7Vで、電流値が0.4mAまで到達する時間を測定したが、Ag粒子は30秒、Cu粒子は225秒、Ag−Cu合金粒子は75秒となり、全ての粒子がイオンマイグレーションを起こし、耐イオンマイグレーション性が無いことが判った。なお、Sn粒子は絶縁体であり測定出来なかった。
[比較例4]
市販の高温はんだペースト(商品名;RX207−207BD0、ニホンハンダ(株)製)を用いて、体積固有抵抗率測定とイオンマイグレーション試験を実施した。使用している合金粒子はPb/Sn/Ag合金で、粒径分布は10〜40μm、含有酸素量は不明である。ガラスエポキシ基板上に印刷し、窒素リフロー炉にてピーク温度230℃の条件下で加熱硬化を行ない測定した体積固有抵抗率は2.6×10−4Ω・cmであった。また、別途ガラスエポキシ基板に1mmの間隔で印刷し、同一条件で加熱硬化したイオンマイグレーション測定用基板を用いて、印加電圧7Vで、電流値が0.4mAまで到達する時間を測定すると35秒であり、やはり耐イオンマイグレーション性が無いことが判った。
[比較例5]
実施例3で使用したものと同じ積層シートに、比較例1の(1)で作製した合金粒子を用いて実施例3の(2)と同一組成で導電性ペーストを作製した。レーザー加工条件を変えて貫通孔をあけたところ、中心のシートも外側のシートも開口径が42μmであった。次に、メタルマスクを介したスクリーン印刷機を用いて導電性ペーストをこの貫通孔に充填した。真空熱プレス機を用いて1.5MPaで加圧しながら、80℃で60分間加熱を行い、充填した導電性ペーストを半硬化した。半硬化した導電性ペーストの圧子押し込み変位量は4μmであった。
【0119】
次に、積層された両面のフィルムを剥離したところ、576穴中で10穴において半硬化したペーストの脱落が認められた。次に、両面に銅箔を重ね、真空熱プレス機により3.5MPaで加圧しながら230℃で60分間加熱を行い、両面銅張り基板を得た。ドライフィルムレジストを用いてパターンエッチングを行い、ビアホール試験サンプルを作成した。ビアホールの断面観察を行った結果、銅箔と絶縁基材の隙間に導電性ペーストの滲みは認められなかった。抵抗値としては、ペーストの脱落が認められたビアホールについては、完全にオープンであった。
[比較例6]
実施例1で積層及びレーザー加工したものと同じ積層シートを用いて、比較例2の(1)で作製した合金粒子を用いて実施例3の(2)と同一組成で導電性ペーストを作製した。貫通孔に導電性ペーストを充填し、バッチ式オーブンを用いて、60℃で30分間、大気中にて加熱した。この際の導電性ペーストの圧子押し込み変位量は15μmであった。積層された両面のフィルムを剥離したところ、導電性ペーストの脱落は全く認められなかった。
次に、両面に銅箔を重ね、真空熱プレス機により3.5MPaで加圧しながら235℃で40分間加熱を行い、両面銅張り基板を作成した。ドライフィルムレジストを用いてパターンエッチングを行い、ビアホール試験サンプルを作成した。ビアホールの断面観察を行った結果、銅箔と絶縁基材の隙間に導電性ペーストの滲みが顕著に認められ、ビアホール1穴当たりの体積抵抗率は2.5×10−4Ω・cmと高かった。
[比較例7]
実施例1で積層及びレーザー加工したものと同じ積層シートを用いて、比較例2の(1)で作製した合金粒子を用いて実施例3の(2)と同一組成で導電性ペーストを作製した。貫通孔に導電性ペーストを充填し、バッチ式オーブンを用いて、150℃で20分間、大気中にて加熱したところ、導電性ペーストの圧子押し込み変位量は0.8μmであった。積層された両面のフィルムを剥離したところ、導電性ペーストの脱落は全く認められなかった。
【0120】
次に、両面に銅箔を重ね、真空熱プレス機により3MPaで加圧しながら230℃で60分間加熱を行い、両面銅張り基板を作成した。ドライフィルムレジストを用いてパターンエッチングを行い、ビアホール試験サンプルを作成した。ビアホールの断面観察を行った結果、銅箔と絶縁基材の隙間に導電性ペーストの滲みは認められなかったが、ビアホール1穴当たりの体積抵抗率は3.5×10−4Ω・cmと高かった。
【0121】
【発明の効果】
本発明による導電性粒子を用いることにより、電気的接続を行う導電性粒子の欠点、即ち、イオンマイグレーションが発生する事、接続後に衝撃や振動等で剥離しやすい事、Pbが放出するα線により半導体素子が誤動作を起こしやすい事、Pb自身が人体に対して毒性がある事、接続後の耐熱信頼性が低い事等を改善して、高信頼性の電気的接続が可能になった。
【0122】
また、基板上に作製した非貫通ビアホールに導電性ペーストを充填する際、ビアホール上にビアホール開口部の直径より大きい径を有するメタルマスクを用いてスクリーン印刷または直接塗布し、真空圧縮成型機で常温にて加圧することにより、未充填部分を発生することなく、容易に充填可能である。
また、本発明にかかる導電性ペーストを加熱加圧硬化する際、ビアホール上に導電性ペーストを更に印刷することにより導電性粒子同士が密に圧縮され、この状態において粒子同士が溶融接続することによって、高い導電性及び耐熱信頼性に優れた層間接続を得ることができる。
【0123】
さらに、本発明にかかる絶縁性シートにフィルムが積層された接続用シートを用いることにより、半硬化状態でペーストが充填されているためフィルム剥離時や工程中のペースト脱落や欠損を防止するとともに、フィルム剥離後に絶縁性シート両面のビアホール部位に導電性ペースト半硬化物を容易に突出残存させることができる。さらにこれに銅箔を張り合わせて加熱プレスして製造した両面プリント基板は、銅箔と絶縁シートの隙間にペーストが流動して滲むことなく、ビアホール内に機能性合金粒子が圧縮されて緻密化し、粒子同士の接続、或いは電極材料との金属間化合物形成により耐熱信頼性に優れ、さらに導電性を向上させることができる。
【0124】
すなわち、本発明によれば、絶縁性シートの材質や構造の制約を受けることなく、高い導電性を有する層間接続が可能となり、極小径ビアホールを有する両面プリント基板や多層プリント基板を生産効率高く製造可能とし、高密度なプリント基板を汎用性高く広範囲に実現可能とするものである。

Claims (18)

  1. 熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂からなる有機バインダーと、有機バインダーの硬化剤と、導電性粒子と、を含み、
    前記導電性粒子は、実質的にPbを含まず、示差走査熱量測定によって吸熱ピークが観測される温度として定義される複数の融点を示し、該示差走査熱量測定において少なくとも1つの発熱ピークを示し、少なくとも表面部分において、該複数の融点のうちの初期最低融点を示すものであることを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記導電性粒子は、前記初期最低融点以上の温度で加熱すると、該初期最低融点を示すその表面部分が溶融し、該加熱後において初期最低融点より高い上昇最低融点を示すことを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 前記上昇最低融点は、前記初期最低融点よりも2℃以上高いことを特徴とする請求項2に記載の導電性ぺースト。
  4. 前記初期最低融点は、40〜250℃の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  5. 前記導電性粒子は、40〜250℃の範囲にある前記初期最低融点を示す最低融点相と、250℃を超える融点を示す高融点相と、を含み、
    該最低融点相は、粒子表面から0.2r(rは粒子半径を表す)の距離までの範囲に、少なくとも存在することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  6. 前記導電性粒子は、前記加熱前において、40〜250℃の範囲にありかつ前記初期最低融点よりも高い初期融点を示す低融点相を、更に、有し、
    該低融点相は、粒子表面から0.2r(rは粒子半径を表す)以内の距離にあることを特徴とする請求項5に記載の導電性ペースト。
  7. 前記導電性粒子は、含有酸素量が0.1〜3.0%の範囲にあるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
  8. 前記導電性粒子は、(1)〜(6)の条件を満たすものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
    (1)第1金属種として、Cu及びSnを含有し、第2金属種として、Ag、Bi、In及びZnからなる群より選ばれる少なくとも2種を含有し、第3金属種として、Sb、Al、Ga、Au、Si、Ge、Co,W、Ta、Ti、Ni、Pt、Mg、Mn、Mo、Cr及びPからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する。
    (2)前記Cuの含有量が10〜90重量%であり、前記Snの含有量が5〜80重量%である。
    (3)前記Agを含む場合は、該Agの含有量が0.5〜20重量%であり、
    前記Biを含む場合は、該Biの含有量が0.5〜15重量%であり、
    前記Inを含む場合は、該Inの含有量が0.5〜15重量%であり、
    前記Znを含む場合は、該Znの含有量が1〜5重量%である。
    (4)該第3金属種の合計含有量が0.01〜3重量%である。
    (5)前記Cuと前記Snとの質量組成比Cu/Snが0.5以上である。
    (6)前記Biと前記Inとの質量組成比Bi/Inが1以下であり、前記Biと前記Inとの含有量の和In+Biが50重量%以下である。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性ペーストからなり、ビアホールの充填用に用いられることを特徴とするビアホール充填用導電性ペースト。
  10. 粘度が、シェアレート1s−1で3000ポイズ以上であり、かつチクソ比(シェアレート1s−1/10s−1の粘度比で表わす数値)が3以上であることを特徴とする請求項9に記載のビアホール充填用導電性ペースト。
  11. 表面に空けられた非貫通ビアホール内に請求項9又は10に記載のビアホール充填用導電性ペーストが半硬化状態で充填されていることを特徴とする接続用シート。
  12. 請求項11に記載の接続用シートの製造方法であって、
    非貫通ビアホールの開口部に前記ビアホール充填用導電性ペーストを印刷し、真空度1kPa未満、かつプレス圧力10MPa以下の条件下で真空加圧することにより該印刷されたビアホール充填用導電性ペーストを充填する充填工程と、
    更に、該非貫通ビアホール上に前記ビアホール充填用導電性ペーストを印刷して、真空度1kPa未満、温度300℃以下、かつプレス圧力25MPa以下の条件で真空加圧加熱を行い、該充填されたビアホール充填用導電性ペーストを半硬化状態にする追充填工程と、
    を含むことを特徴とする接続用シートの製造方法。
  13. 前記充填工程においては、印刷時のスキージ速度(mm/s)×アタック角度(rad:スキージと前記接続用シートの印刷面とのなす角度)の数値が1000以下で、かつマスクと前記非貫通ビアホールとの孔径比(マスクの孔径/非貫通ビアホールの孔径)が1.1以上である条件で、前記印刷を行うことを特徴とする接続用シートの製造方法。
  14. 前記充填工程においては、前記真空加圧後に、プレス圧力0MPaの条件下、真空度1kPa未満の状態から常圧になるまで急激に大気を導入することを特徴とする請求項13に記載の接続用シートの製造方法。
  15. 両面を貫くように空けられた貫通ビアホール内に請求項9又は10に記載のビアホール充填用導電性ペーストが半硬化状態で充填されていることを特徴とする接続用シート。
  16. 絶縁性シートと、該絶縁性シートに剥離可能に積層されるフィルムと、からなり、該絶縁性シートとフィルムとが積層された状態においてその両面を貫くように設けられた貫通孔には、請求項9又は10に記載のビアホール充填用導電性ペーストが半硬化状態で充填されており、かつ、
    該貫通孔を形成するフィルムに空けられた貫通ビアホールの開口径Aと該貫通孔を形成する絶縁性シートに空けられた貫通ホールの開口径Bとの開口径比A/Bは、1.1以上のものであることを特徴とする接続用シート。
  17. 請求項16に記載の接続用シートの製造方法であって、
    前記絶縁性シートとフィルムとが積層された状態において形成された貫通孔の開口部に前記ビアホール充填用導電性ペーストを印刷し、充填する充填工程と、
    真空度1kPa未満、温度300℃以下、かつプレス圧力25MPa以下の条件で真空加圧加熱を行い、該ビアホール充填用導電性ペーストを半硬化状態にする加圧加熱処理工程と、
    を含むことを特徴とする接続用シートの製造方法。
  18. 前記充填工程においては、前記接続用シートの印刷面の背面側の真空度が10KPa未満となる条件下において、印刷を行うことを特徴とする請求項16に記載の接続用シートの製造方法。
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