JP2009058003A - 密封装置及び密封構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造性及び装着性が向上される密封装置及び密封構造を提供する。
【解決手段】軸孔を有するハウジングと軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置1であって、2部材のうちの他方の部材と摺動するシールリング2と、シールリング2と環状溝の溝底との間に装着される弾性リング3と、を備えた密封装置1において、シールリング2は、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、両端部23、24にそれぞれ周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部25、26を有し、鉤状凸部25、26の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部23、24が周方向に離れるのを規制された状態で装着されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】軸孔を有するハウジングと軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置1であって、2部材のうちの他方の部材と摺動するシールリング2と、シールリング2と環状溝の溝底との間に装着される弾性リング3と、を備えた密封装置1において、シールリング2は、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、両端部23、24にそれぞれ周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部25、26を有し、鉤状凸部25、26の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部23、24が周方向に離れるのを規制された状態で装着されていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、油圧シリンダ等の油圧機器に使用される密封装置及び密封構造、特に、一箇所で分離されている有端状のシールリングを備える密封装置及び密封構造に関するものである。
従来、油圧シリンダとピストンとの間には、図7に示すような密封装置が用いされている。図7は、従来技術に係る密封装置を説明する図であり、(a)は従来技術に係る密封装置の構成を示す図であって一部を断面で表した模式図であり、(b)は従来技術に係る密封装置のシールリングの模式的斜視図であり、(c)は従来技術に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。
密封装置100は、シリンダ200の内周面201とピストン300の外周面301との間の環状隙間を密封するものであり、ピストン300の外周面301に形成された環状溝302に装着される。密封装置100は、シリンダ200の内周面201に摺動接触する樹脂製のシールリング101と、シールリング101と環状溝302の溝底303との間に装着され、シールリング101に拡張力を付与する弾性リング102とから構成される。
このようなシールリング101は、装着性を向上するために、円周上の一箇所で分離されている有端状のものが一般的である。シールリング101の分離部の形状としては、図に示すような、ステップカットが知られている。
シールリング101の両端部は、それぞれ軸方向に段差のある形状(ステップカット形状)となっており、かかる段差部分が組み合わさることでシールリング100は環状に構成され、周方向に途切れることのないシール面が形成される。
なお、関連する技術としては以下の文献に開示されたものがある。
実開昭62−131162号公報
特開平6−213322号公報
特開平10−205621号公報
なお、関連する技術としては以下の文献に開示されたものがある。
密封装置100の組み付けは、予めピストン300の環状溝302に弾性リング102とシールリング101とを装着してから、ピストン300をシリンダ200内に挿入することで行われる。
このようなシールリング101の製造方法としては、環状に成形されたリング部材の円周上の一ヶ所を切削することでステップカット形状を形成する場合や、最初からステップカット状の分離部を備えた形状を金型によって成形する場合がある。
切削によって製造する場合には、図7(b)に示すように、加工代Mを設けてステップカット形状を形成するため、分離部が開いた形状(両端部が周方向に離れた状態)で製造されることになる。したがって、分離部が閉じたときが装着時の径寸法となるため、製造された時点の自然な状態においては、径寸法が装着状態の径寸法よりも大きくなる。
また、金型成形においても、分離部が開いた状態の形状で製造されるため、自然な状態
における径寸法は装着状態のときよりも大きくなる。
における径寸法は装着状態のときよりも大きくなる。
したがって、図7(c)に示すように、分離部が完全に閉じていないとシールリング101は環状溝302から大きくはみ出してしまい、このような状態でピストン300がシリンダ200に挿入されると、シールリング101がシリンダ200の開口部と干渉してしまう(図7(c)中の破線で囲った部分)。
そのため、シールリング101の製造においては、分離部が完全に閉じた状態が自然な状態となるように癖付けを行う必要がある。癖付けは、シールリングの成形後、分離部を完全に閉じた状態で内外周面を拘束してから高温の熱を与える等により行うことになる。したがって、シールリングの製造工程が増えることになり、製造コストも増加する。
また、シールリング101は、ピストン300の環状溝302への装着時には一旦分離部を開かなければならないため、癖付けが不十分な場合には、環状溝302に装着されたときに分離部が閉じた状態に戻らないことがある。
本発明は上記の従来技術の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、製造性及び装着性が向上される密封装置及び密封構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明における密封装置は、
軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置であって、
前記2部材のうちの他方の部材と摺動するシールリングと、
前記シールリングと前記環状溝の溝底との間に装着される弾性リングと、
を備えた密封装置において、
前記シールリングは、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、前記シールリングの両端部は、周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部をそれぞれ有し、
前記シールリングは、前記鉤状凸部の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部が周方向に離れるのを規制された状態で装着されていることを特徴とする。
軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置であって、
前記2部材のうちの他方の部材と摺動するシールリングと、
前記シールリングと前記環状溝の溝底との間に装着される弾性リングと、
を備えた密封装置において、
前記シールリングは、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、前記シールリングの両端部は、周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部をそれぞれ有し、
前記シールリングは、前記鉤状凸部の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部が周方向に離れるのを規制された状態で装着されていることを特徴とする。
これにより、シールリングの装着時に両端部が開いてしまうことが防止されるので、シールリングが環状溝から大きくはみ出すことがなくなり、軸をハウジングの軸孔に挿入するときに、シールリングがハウジングの軸孔開口部と干渉を生じるのが抑制される。
また、シールリングを両端部が開いた状態で製造する場合でも、両端部が閉じた状態となるように癖付けする必要がなくなり、製造工程及び製造コストの削減を図ることができる。
さらに、両端部が周方向に離れるのが規制されることで、両端部間の隙間が周方向に大きくなるのが抑制される。したがって、両端部間の周方向の隙間の変動によって弾性リングが両端部に挟まれて破損を生じたり、リーク量が変化するのが抑制される。
前記シールリングの前記鉤状凸部の前記先端部が互いに引っかかる面の軸方向の幅は、前記環状溝の軸方向の幅と前記シールリングの軸方向の幅との差よりも大きくてもよい。
シールリングの両端部が互いに軸方向に離れた状態となっても、シールリングの両端部が、環状溝の軸方向幅とシールリングの軸方向幅との差よりも大きく離れることはない。
したがって、鉤状凸部の先端部同士の引っかかり面の軸方向幅を係る差よりも大きくすれば、シールリングの装着状態にかかわらず鉤状凸部の先端部の引っかかり状態が維持され、シールリングの両端部が開いてしまうのが防止される。
したがって、鉤状凸部の先端部同士の引っかかり面の軸方向幅を係る差よりも大きくすれば、シールリングの装着状態にかかわらず鉤状凸部の先端部の引っかかり状態が維持され、シールリングの両端部が開いてしまうのが防止される。
また、上記目的を達成するために、本発明における密封構造は、
軸孔を有するハウジングと、
前記軸孔に挿入される軸と、
前記ハウジング又は前記軸のうち一方の部材に設けられた環状溝に装着されて前記ハウジングと前記軸との間の環状隙間を密封する密封装置と、
を備えた密封構造であって、
前記密封装置が、前記ハウジング又は前記軸のうち他方の部材と摺動するシールリングと、前記シールリングと前記環状溝の溝底との間に装着される弾性リングと、を備える密封構造において、
前記シールリングは、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、前記シールリングの両端部は、周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部をそれぞれ有し、
前記シールリングは、前記鉤状凸部の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部が周方向に離れるのを規制された状態で装着されており、
前記シールリングの前記鉤状凸部の前記先端部が互いに引っかかる面の軸方向の幅は、前記環状溝の軸方向の幅と前記シールリングの軸方向の幅との差よりも大きいことを特徴とする。
軸孔を有するハウジングと、
前記軸孔に挿入される軸と、
前記ハウジング又は前記軸のうち一方の部材に設けられた環状溝に装着されて前記ハウジングと前記軸との間の環状隙間を密封する密封装置と、
を備えた密封構造であって、
前記密封装置が、前記ハウジング又は前記軸のうち他方の部材と摺動するシールリングと、前記シールリングと前記環状溝の溝底との間に装着される弾性リングと、を備える密封構造において、
前記シールリングは、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、前記シールリングの両端部は、周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部をそれぞれ有し、
前記シールリングは、前記鉤状凸部の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部が周方向に離れるのを規制された状態で装着されており、
前記シールリングの前記鉤状凸部の前記先端部が互いに引っかかる面の軸方向の幅は、前記環状溝の軸方向の幅と前記シールリングの軸方向の幅との差よりも大きいことを特徴とする。
以上説明したように、本発明により、製造性及び装着性が向上される。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
まず、図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係る密封装置の概略構成について説明する。図1は、本実施例に係る密封装置の構成を示す模式図であり、(a)は軸方向からみた様子を示しており、(b)は(a)のA矢視図であり一部断面を示している。図2は、本実施例に係る密封装置の装着状態を示す模式的半断面図であり、(a)は無圧時の状態を示し、(b)は加圧時の状態を示す。図3は、本実施例に係る密封装置のシールリングの分離部の構成を示す模式的斜視図である。図4は、シールリングの分離部の様子を示す模式図であり、(a)は油圧の作用によって両端部が軸方向一方側に押し込められている状態を示し、(b)は両端部が軸方向の離れた状態を示し、(c)は無圧時の装着状態を示している。図5は、本実施例に係る密封構造の各部の寸法関係を説明するための図であり、(a)は環状溝、(b)は密封装置、(c)はシールリングの分離部をそれぞれ示している。
まず、図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係る密封装置の概略構成について説明する。図1は、本実施例に係る密封装置の構成を示す模式図であり、(a)は軸方向からみた様子を示しており、(b)は(a)のA矢視図であり一部断面を示している。図2は、本実施例に係る密封装置の装着状態を示す模式的半断面図であり、(a)は無圧時の状態を示し、(b)は加圧時の状態を示す。図3は、本実施例に係る密封装置のシールリングの分離部の構成を示す模式的斜視図である。図4は、シールリングの分離部の様子を示す模式図であり、(a)は油圧の作用によって両端部が軸方向一方側に押し込められている状態を示し、(b)は両端部が軸方向の離れた状態を示し、(c)は無圧時の装着状態を示している。図5は、本実施例に係る密封構造の各部の寸法関係を説明するための図であり、(a)は環状溝、(b)は密封装置、(c)はシールリングの分離部をそれぞれ示している。
<密封装置の構成及び概要>
本実施例に係る密封装置1は、例えば、油圧シリンダにおけるピストン用の密封装置として用いられるものであり、シールリング2と弾性リング3とから構成されている。密封装置1は、軸穴を有するハウジング(シリンダ)4と該軸穴に挿入される軸(ピストンやロッド等)5との間の環状隙間6を密封すべく、軸5の外周面に設けられた環状溝50に装着される。
本実施例に係る密封装置1は、例えば、油圧シリンダにおけるピストン用の密封装置として用いられるものであり、シールリング2と弾性リング3とから構成されている。密封装置1は、軸穴を有するハウジング(シリンダ)4と該軸穴に挿入される軸(ピストンやロッド等)5との間の環状隙間6を密封すべく、軸5の外周面に設けられた環状溝50に装着される。
シールリング2は、断面略矩形の環状部材であり、環状溝50の開口部側に配置される。そして、シールリング2の外周面20がハウジング4の内周面40と摺動接触することでハウジング4に対するシール面が形成される。また、油圧OPがかかると、シールリング2が環状溝50の反油圧側に押し込められることにより、シールリング2の反油圧側の側面(端面)21が環状溝50の側面51に密着して、軸5に対するシール面が形成される。
シールリング2の材料としては、四フッ化エチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)等の樹脂材料が挙げられる。特に、高圧用途においては強度の高いポリアミド樹脂材が使用される。
弾性リング3は、二トリルゴム(NBR)、ポリウレタン(PU)等のゴム材料からなる断面略円形の環状部材であり、シールリング2と環状溝50の溝底52との間に圧縮して装着される。そして、弾性復元力によってシールリング2をハウジング4側に付勢し、シールリング2とハウジング4との間の密着性を高めている。なお、弾性リング3の断面形状は円形に限定されるものではなく、例えば矩形断面等、種々の形状を適宜採用し得る。
シールリング2は、円周上の一箇所に分離部22が設けられており、一方の端部23と他方の端部24とを備えた有端状の形状に構成されている。
<分離部の構成>
各端部23、24には、それぞれ周方向に突出する鉤状凸部25、26が設けられている。
各端部23、24には、それぞれ周方向に突出する鉤状凸部25、26が設けられている。
鉤状凸部25、26は、先端側が軸方向に屈曲した鉤状に形成されるとともに、鉤状に屈曲したそれぞれの先端が互いに向き合う対称的な構成となっており、互いに組み合わさって嵌合可能な形状を有している。シールリング2は、鉤状凸部25、26の嵌合によって分離部22がつながって環状に構成される。
<鉤状凸部の構成>
ここで、鉤状凸部25、26の構成について詳しく説明する。なお、鉤状凸部25、26は両者対称的な同一の形状に構成されているため、以下の説明は、鉤状凸部25の構成についての説明のみとし、鉤状凸部26の説明は省略する。
ここで、鉤状凸部25、26の構成について詳しく説明する。なお、鉤状凸部25、26は両者対称的な同一の形状に構成されているため、以下の説明は、鉤状凸部25の構成についての説明のみとし、鉤状凸部26の説明は省略する。
シールリング2の一方の端部23は、端面23aと、端面23aよりも周方向に突出する鉤状凸部25とが軸方向に並んだ構成となっている。鉤状凸部25は、端面23aの軸方向一方側に設けられており、周方向に突出する周方向突出部251と、周方向突出部251の先端部から軸方向他方側に向って突出する軸方向突出部252と、から構成されている。鉤状凸部25は、これら周方向突出部251及び軸方向突出部252により略L字の鉤状形状を呈している。
周方向突出部251の先端面251aと、軸方向突出部252の鉤状凸部25先端側の側面252aとは、それぞれ軸に平行かつ径方向に延びる面であり、同一平面上に形成されている。これらの面251a、252aにより鉤状凸部25の先端面25aが形成される。また、軸方向突出部252の先端面(軸方向に面した面)252bと、周方向突出部251の軸方向他方側の側面251bとは、互いに平行な面であり、軸に垂直的に延びている。
軸方向突出部252の側面252aとは反対側の側面252cと、端部23の端面23aとは、それぞれ軸に平行かつ径方向の延びる面であり、周方向に互いに対向している。これらの対向面と周方向突出部251の側面251bとにより、略コ字状に軸方向に凹んだ窪み部27が形成される。
鉤状凸部25、26の嵌合状態においては、鉤状凸部25の軸方向突出部252が、鉤状凸部26の軸方向突出部262と端面24aとの間に形成される窪み部28に嵌り込んだ状態になる。同様に、鉤状凸部26の軸方向突出部262も、鉤状凸部25の軸方向突出部252と端面23aとの間に形成される窪み部27に嵌り込んだ状態となる。
そして、鉤状凸部25の先端面25aと端部24の端面24a、鉤状凸部26の先端面26aと端部23の端面23a、軸方向突出部252の側面252cと軸方向突出部262の側面262c、がそれぞれ当接することにより、端部23、24の周方向の移動が規制される。
端部23、24は、図4(c)に示す油圧が作用していない無圧時の装着状態においては、軸方向突出部252の先端面252bと窪み部28の底面である周方向突出部261の側面261bとの間に隙間が形成された状態となる場合がある。この場合、軸方向突出部262の先端面262bと窪み部27の底面である周方向突出部251の側面251bとの間にも隙間が形成される。しかし、これらの隙間は、図4(a)に示すように、油圧によってシールリング2が低圧側に押し込まれて各面が互いに当接する状態となることで消滅する。
一方、鉤状凸部25の先端面25aと端部24の端面24aとの間及び鉤状凸部26の先端面26aと端部23の端面23aとの間には、油圧が作用していない無圧時の装着状態であっても、隙間が形成されないように各部の寸法が設定される。
本実施例に係るシールリング2は、両端部23、24が開いた状態で製造される。そのため、シールリング2の装着時において鉤状凸部25、26が嵌合した状態、すなわち、両端部23、24が閉じた状態においては、両端部23、24には常に周方向に互いに離れる向きの力が弾性的に作用している。しかし、両端部23、24が互いに離れる向きの移動は、軸方向突出部252の側面252cと軸方向突出部262の側面262cとの引っかかりによって規制される。一方、両端部23、24が互いに近付く向きの移動は、鉤状凸部25の先端面25aと端部24の端面24a及び鉤状凸部26の先端面26aと端部23の端面23aの当接によって抑制される。これにより、シールリング2の分離部22に周方向に開く隙間を生じるのが抑制され、弾性リング3の一部が係る隙間に挟まれることによる破損が抑制される。また、隙間の発生が抑制されることにより分離部22におけるリーク量の変化が抑制され、シール性が向上される。
なお、本実施例に係るシールリング2の製造方法としては、従来のように、環状に成形されたリング部材の円周上の一ヶ所を切削することで、鉤状凸部を備えた両端部を形成してよいし、金型によって初めから分離部を備えた形状に成形してもよい。
<密封構造の寸法関係>
軸方向突出部252の側面252cと軸方向突出部262の側面262cは、端部23、24が互いに離間する方向の移動を規制する規制面(引っかかり面)である。したがって、側面252cと側面262cの当接状態が維持されることにより、鉤状凸部25、26の引っかかり状態が維持され、分離部22が開いてしまうのが防止される。
軸方向突出部252の側面252cと軸方向突出部262の側面262cは、端部23、24が互いに離間する方向の移動を規制する規制面(引っかかり面)である。したがって、側面252cと側面262cの当接状態が維持されることにより、鉤状凸部25、26の引っかかり状態が維持され、分離部22が開いてしまうのが防止される。
例えば、図4(a)に示すように、通常の使用状態においては油圧によってシールリン
グ2は低圧側に押し込められている(両端部23、24が一方側に押し込められている)ため、側面252cと側面262cが当接して鉤状凸部25、26は引っかかった状態となっている。
グ2は低圧側に押し込められている(両端部23、24が一方側に押し込められている)ため、側面252cと側面262cが当接して鉤状凸部25、26は引っかかった状態となっている。
しかしながら、軸5の往復動方向が変わるときのようにシールリング2に作用する油圧に変化が生じたときには、図4(b)に示すように、シールリング2の端部23、24の位置が軸方向にずれた(両端部23、24が軸方向に離れた)状態となる場合がある。このような場合には、側面252cと側面262cの当接状態が維持されずに鉤状凸部25、26の引っかかりが解除され、分離部22が開いてしまうおそれがある。
したがって、このようにシールリング2の端部23、24が軸方向に離れた状態となっても、側面252c、262cの当接状態が維持されるように密封構造の各部の寸法を決定する必要がある。
本実施例においては、図5に示すように、軸5の環状溝50の軸方向の幅をW1、シールリング2の軸方向の幅をW2、側面252c、262cの当接面の軸方向の幅をW3とした場合に、次の関係が成り立つように密封構造の各部の寸法を決定する。
W3の最小値=W1の最大値−W2の最小値+かかり止め量
ここで、かかり止め量とは、図4(b)に示すように端部23、24が軸方向に離れた状態となった場合でも最低限確保される側面252c、262cの当接面幅であり、シール面の大きさや、弾性リングの付勢力等を考慮して任意に決定される量である。
また、W1の最大値とは、寸法公差を考慮した場合のW1の最大値であり、例えば、W1を7.2mm、寸法公差を+0.2mmとした場合には、W1の最大値は、7.2+0.2=7.4mmとなる。
また、W2の最小値とは、寸法公差を考慮した場合のW2の最小値であり、例えば、W2を6.96mm、寸法公差を±0.05mmとした場合には、W2の最小値は、6.96−0.05=6.91mmとなる。
そして、W3の最小値とは、寸法公差を考慮した場合のW3の最小値であり、上述の例においてかかり止め量を0.5mmとした場合には、W1の最大値(7.4mm)−W2の最小値(6.91mm)+かかり止め量(0.5mm)=0.99mmがW3の最小値となる。したがって実際の設計ではこの値に交差を加えた値にW3を設定することになる。例えば、交差を±0.05mmとした場合には、W3を1.04mmとして加工することになる。
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、シールリングの装着時に両端部が開いてしまうことが防止されるので、シールリングが環状溝から大きくはみ出すことがなくなり、軸をハウジングの軸孔に挿入するときに、シールリングがハウジングの軸孔開口部と干渉を生じるのが抑制される。
本実施例によれば、シールリングの装着時に両端部が開いてしまうことが防止されるので、シールリングが環状溝から大きくはみ出すことがなくなり、軸をハウジングの軸孔に挿入するときに、シールリングがハウジングの軸孔開口部と干渉を生じるのが抑制される。
また、シールリングを両端部が開いた状態で製造する場合でも、両端部が閉じた状態となるように癖付けする必要がなくなり、製造工程及び製造コストの削減を図ることができる。
さらに、両端部が周方向に離れるのが規制されることで、両端部間に周方向に隙間が生
じるのが抑制される。したがって、両端部間に周方向に隙間を生じることによって弾性リングが両端部に挟まれて破損を生じるのが抑制される。また、両端部の周方向の移動が抑制されることにより、分離部におけるリーク量の変化が抑制されシール性が向上される。
じるのが抑制される。したがって、両端部間に周方向に隙間を生じることによって弾性リングが両端部に挟まれて破損を生じるのが抑制される。また、両端部の周方向の移動が抑制されることにより、分離部におけるリーク量の変化が抑制されシール性が向上される。
また、密封構造の各部の寸法は、両端部が軸方向に離れても鉤状凸部の先端部の引っかかり状態が維持されるように決定されるので、シールリングの装着状態にかかわらず、シールリングの両端部が開いてしまうのが防止される。
したがって、有端状シールリングと弾性リングとを備えた密封装置及び密封構造の製造性及び装着性が向上される。
(変形例)
図6を参照して、本実施例の変形例に係る密封装置について説明する。図6(a)、(b)は、本実施例の各種変形例に係る密封装置のシールリングの分離部の様子を示す模式図である。
図6を参照して、本実施例の変形例に係る密封装置について説明する。図6(a)、(b)は、本実施例の各種変形例に係る密封装置のシールリングの分離部の様子を示す模式図である。
本実施例にシールリングの分離部の構成は、シールリングの装着時において分離部に周方向の隙間が生じず、かつ、両端部が周方向に離れるのを規制された状態となるものであれば、上記実施例で示したような構成に限られるものではない。
すなわち、両端部23、24が互いに隙間なく組み合わさる形状であって、周方向に離れるのを規制する引っかかり面252c、262cを備える形状であれば、図6(a)に示すように、鉤状凸部の側面の一部が傾斜面となっていてもよいし、図6(b)に示すように、両端部の当接面の数が少ない構成であってもよい。
なお、以上の説明においては、密封装置が軸の外周に設けられた装着溝に装着されて使用される場合を例として説明したが、これに限られるものではなく、ハウジングの軸孔に設けられた装着溝に装着されて、軸の外周面に摺動接触するものであってもよい。
1 密封装置
2 シールリング
20 外周面
21 側面
22 分離部
23、24 端部
25、26 鉤状凸部
251、261 周方向突出部
252、262 軸方向突出部
252c、262c 引っかかり面
3 弾性リング
4 ハウジング
40 内周面
5 軸
50 環状溝
51 側面
52 溝底
6 環状隙間
2 シールリング
20 外周面
21 側面
22 分離部
23、24 端部
25、26 鉤状凸部
251、261 周方向突出部
252、262 軸方向突出部
252c、262c 引っかかり面
3 弾性リング
4 ハウジング
40 内周面
5 軸
50 環状溝
51 側面
52 溝底
6 環状隙間
Claims (3)
- 軸孔を有するハウジングと前記軸孔に挿入される軸のうちの一方の部材に設けられた環状溝に装着されて、これら2部材間の環状隙間を密封する密封装置であって、
前記2部材のうちの他方の部材と摺動するシールリングと、
前記シールリングと前記環状溝の溝底との間に装着される弾性リングと、
を備えた密封装置において、
前記シールリングは、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、前記シールリングの両端部は、周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部をそれぞれ有し、
前記シールリングは、前記鉤状凸部の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部が周方向に離れるのを規制された状態で装着されていることを特徴とする密封装置。 - 前記シールリングの前記鉤状凸部の前記先端部が互いに引っかかる面の軸方向の幅は、前記環状溝の軸方向の幅と前記シールリングの軸方向の幅との差よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
- 軸孔を有するハウジングと、
前記軸孔に挿入される軸と、
前記ハウジング又は前記軸のうち一方の部材に設けられた環状溝に装着されて前記ハウジングと前記軸との間の環状隙間を密封する密封装置と、
を備えた密封構造であって、
前記密封装置が、前記ハウジング又は前記軸のうち他方の部材と摺動するシールリングと、前記シールリングと前記環状溝の溝底との間に装着される弾性リングと、を備える密封構造において、
前記シールリングは、一箇所で分離されている有端状の形状を有するとともに、前記シールリングの両端部は、周方向に突出するとともに先端側が軸方向に屈曲した鉤状凸部をそれぞれ有し、
前記シールリングは、前記鉤状凸部の軸方向に屈曲した先端部同士が互いに引っかかることによって両端部が周方向に離れるのを規制された状態で装着されており、
前記シールリングの前記鉤状凸部の前記先端部が互いに引っかかる面の軸方向の幅は、前記環状溝の軸方向の幅と前記シールリングの軸方向の幅との差よりも大きいことを特徴とする密封構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007224072A JP2009058003A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | 密封装置及び密封構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007224072A JP2009058003A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | 密封装置及び密封構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009058003A true JP2009058003A (ja) | 2009-03-19 |
Family
ID=40553931
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007224072A Withdrawn JP2009058003A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | 密封装置及び密封構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009058003A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103062407A (zh) * | 2012-12-29 | 2013-04-24 | 太仓市明宇密封件有限公司 | 方形同轴密封件 |
JP2017161026A (ja) * | 2016-03-10 | 2017-09-14 | 株式会社エクセディ | プーリ装置 |
EP3270013A4 (en) * | 2015-03-09 | 2018-04-11 | NOK Corporation | Sealing device |
-
2007
- 2007-08-30 JP JP2007224072A patent/JP2009058003A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103062407A (zh) * | 2012-12-29 | 2013-04-24 | 太仓市明宇密封件有限公司 | 方形同轴密封件 |
EP3270013A4 (en) * | 2015-03-09 | 2018-04-11 | NOK Corporation | Sealing device |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20101102 |