JP2009057955A - 超音速機用インタータービン・バイパス可変サイクルエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】
環境に適合した超音速機用エンジンであるアフターバーナーなしの可変サイクルエンジンを実現するには、バイパス比を従来になく大きくする必要がある。その方法として高/低圧タービン間から抽気し、低圧タービン(LPT)をバイパスして抽気を排気ダクトに再導入する方法が考えられる。しかし抽気ガスは、LPT出口ガス、ファンバイパス流より全圧が高いため混合が困難となり、損失が非常に大きくなる。本発明は三つの流れの混合を可能にして、インタータービン・バイパス可変サイクルエンジンを実現することを目的とする。
【解決手段】 混合方式の第一は、テールコーンを前後に移動し、コアの排気出口面積を可変にすることで、三つの流れを等しい静圧で混合するものである。第二の方式は、二重ローブ式ミキサを用い、二重ローブの間にLPT抽気をスポーク状に流し、互いの流れの接触表面積を拡大して大スケールの混合を実現するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音速輸送機(SST)推進用可変サイクルエンジンに関する。
空港騒音問題は、超音速機の主要な環境影響問題の一つである。従って離陸時は、低い排気速度が要求され、推力の増加は大きいがジェット騒音が増大するアフターバーナーを離陸時に使用することはできない。一方、超音速飛行時は比推力を高めるため高排気速度が要求される。次世代SSTにとって、この矛盾する二つの要求を満たすには、可変サイクルエンジン(VCE)が不可欠なエンジンとなる。
環境に適合したエンジンであるアフターバーナーなしのVCEを実現するためには、遷音速/超音速域で再燃せずに加速性能を高める必要がある。
造波抵抗が大きい遷音速領域を逸早く通過し、音の壁を突破するには、大きな加速度が必要である。然るに高空では大気密度が薄く、高亜音速ではラム圧縮の効果も小さいのでエンジン内の圧力は上がらず、低いタービン入口温度(TIT)でエンジンがマッチングし十分な推力が得られない。一方、超音速巡航時はラム効果によってファン入口温度が上昇、圧縮機出口温度(CDT)が高くなるため、材料の耐熱強度によって決まるタービン入口の許容最大ガス温度とCDTの差が狭まり、十分に燃料を供給できなくなる。或いは高い比推力を得るにはTITを著しく高めねばならない。
離陸時に空港騒音を抑え、アフターバーナーなしで遷音速/超音速域で大きな推力を得るには、バイパス比(BPR)の変化の量が大きなエンジンでなければならない。機構的な制約が少なくBPRの変化の量を大幅に増すことができるエンジンとして、高圧タービン(HPT)流量の一部を抽気し、低圧タービン(LPT)をバイパスさせるダブルバイパス・エンジンが提案されている(特許文献1参照)。
低圧タービン(LPT)をバイパスしてコア流量の一部を排気ダクトに再導入すると、低圧軸を過回転にすることなく高圧軸回転数を高めることができる。しかもこの方式は、圧縮機(HPC)を大流量化する方法であるためHPCサージの恐れがなく、BPRの変化の量を他の方式より増すことができる。よって遷音速/超音速域でBPRを下げ推力を高めることができる。
特許第3903270号
しかしこのダブルバイパス・エンジンのサイクル特性を十分活かすには、混合という問題を解決しなければならない。LPTバイパス流れ、即ちHPT出口流れは、ファンバイパス流れやLPT出口流れより全圧がかなり高いので、排気ダクトでの混合で圧力バランスを取るのが極めて難しい。大きな圧力差のまま排気ダクト(subsonic mixer)で混合すると、圧力が高いLPTバイパス流が他の流れをブロックしたり、逆流を起こす可能性がある。特許文献1では、全圧差を考慮してLPTバイパスをファンバイパスダクトに放出せずに、コアの排気ダクトに再導入しているが、三つの流れの圧力バランスを如何にして取るかという点が課題である。
ダブルバイパス・エンジンは、他にファンバイパスとコアバイパスを組み合わせたGEのInitial double−bypass VCEがあるので、以下本発明にはこの名称を用いず、インタータービン・バイパス可変サイクルエンジンと呼ぶことにする。
本発明は、LPTバイパスによって2軸直列フリータービンの回転数特性を変え、BPRの変化の量を増してもHPCサージの心配がないインタータービン・バイパス可変サイクルエンジンの混合方式を改善することによって、他のVCE方式では実現できない、以下の優れたサイクル特性を引き出し、実用化を促すことを目的とする。
1)アフターバーナーなしで遷音速/超音速域における推力を増強できる。
2)亜音速では燃料消費率を低減、超音速では推力一定でTITを下げることができる。
上記目的を達成するための本発明の概念図を図1と図2に示す。図1は排気ダクトでの圧力バランスを取るため、コア排気ダクト出口の幾何形状(面積)を変化させる方式であり、図2は排気ダクトの幾何形状固定で混合を促進できる方式である。図においてFANはファン、HPCは圧縮機、COMBは燃焼器、HPTは高圧タービン、LPTは低圧タービンである。VABIはLPT入口と排気ダクトを結ぶLPTバイパス流路に設けたVariable Area Bypass Injector、CD Nozzleは末細−末広可変排気ノズルである。TCはテールコーンであり、図1の方式は可変機構を有し前後に移動する。図2の方式ではTCは固定されている。図2のLobe Mixerは通常のローブミキサとは異なり、図2のA−A断面図である図3に示す如く、二重ローブ式のミキサである。
このVCEは、離陸時にはVABIを閉じ、通常のターボファンと同様に運転される。高空ではVABIを開きLPTバイパスを行う。LPTバイパス、LPT排気、ファンバイパスの三つの流れを同時に混合すると、全圧が高いLPTバイパスの流速が音速に達し、等しい静圧で混合することができない。そこで図1の方式ではVABIの開閉により、先ずLPT排気とLPTバイパスの二つの流れをダクトの位置7〜9間で混合する。高温と低温の流れは同じ静圧で一緒に流れるのでマッハ数はそれぞれの温度には無関係になる。後述するサイクル計算では、LPT出口静圧p=混合側静圧pとなる位置8のマッハ数Mを算出した。
次にその混合ガスとファンバイパスを位置9〜10間で混合する。BPRの変化により両者の流量変化が非常に大きくなるので、可変テールコーンTCを前後に移動して位置9におけるコア側の出口面積を変化させ、両者の静圧を等しく保つ。
TCを出し入れして可変とする機構は、古くは1940年代にドイツのJumo004エンジン(Me262のエンジン)に採用されているが、これはターボジェットであり、BPRを可変とするためのものではない。また亜音速機用ターボファンのコアノズルに前後式の可変テールコーンTCを設けたものもある(例えば、特許文献2、3参照。)。
特開昭61−101658号(全文、全図) PCT/JP2005/001539(図1)
特許文献2、3は、それぞれ亜音速機用ターボファンのコア排気ノズル面積を可変にするためTCを前後に出し入れするものであり、超音速機用エンジンの排気ダクト面積を変化させて、等しい静圧で混合を行う本発明とは同一でない。
次に図2の混合方式を説明する。ファンバイパス流れは、ミキサローブを通して内側に転向され、LPT排気はミキサローブを通して外側に向けられる。二重ローブの間をLPTバイパスがスポーク状に流れ、互いの流れの接触表面積が大きくなって大スケールの混合が実現されるので、ほぼ完全な混合がミキサ下流で達成される。
以下、Inter−turbine Bypass Conceptのサイクル特性を理想サイクルにより詳述する。先ずファンバイパス比をBPRで表し、数1で定義する。LPTバイパスについてはファンバイパス比との混同を避けるため、ここからは用語として抽気を統一して用い、抽気率Qを数2で定義する。ここでは燃料流量は空気流量に比べて無視しうるとする。
Figure 2009057955
Figure 2009057955
BPRとQの関係は、数1と数2から数3で表される。
Figure 2009057955
数1〜数3からファン空気流量mとLPT流量mltを一定に維持し、抽気率Qを増すとコア流量mが増加しBPRが低下することが分かる。
次に全温を大気の静温で除したθと、エンジン要素前後の全温の比τを用い、本ターボファンの単位ファン空気流量当りの推力を理想サイクルで表すと数4となる。ここでは簡単のためバイパス空気、LPT排気、HPT/LPT間抽気の三つの流れをそれぞれ別々のノズルから排出するものとする。
Figure 2009057955
数4のそれぞれの根号に大気の音速aを乗じると、第一の根号はLPT排気のジェット速度、第二の根号は抽気のジェット速度、第三の根号はファンのジェット速度を表す。ここでLPTの温度比τltはファンに流れるパワーを考慮して、数5で示される。
Figure 2009057955
抽気率Qの定義域は0≦Q≦1であり、Q=0のとき数4は数6、数5は数7となる。
Figure 2009057955
Figure 2009057955
Q=1のとき数5の始めの式からT−T=0、よって低圧系の仕事はなくBPR=0、故に数4は数8となる。
Figure 2009057955
数6はターボファンの推力を表し、数8はターボジェットの推力を表す。つまりHPT/LPT間抽気は、ターボファンエンジンのターボジェット化を意味する。但し、HPC回転数の制限からQ=1になることはない。ここで数4の導出を簡単のため数8によって説明する。θ/(θτ)=τ=T/T=t/t、tは排気ノズル最狭部静温、τは燃焼器温度比である。τを数8に代入すると数9を得る。
Figure 2009057955
ここでVは排気ジェット速度、Vは機速である。数4が示す重要なサイクル特性の第一は、抽気率Qを増すとBPRが減少、サイクルがターボジェットに近付き、TITつまりθ=T/t一定でも、同一エンジンで推力を増せること。第二は正味推力Fn一定で、つまり燃料流量一定で抽気率Qを増すとTITが下がることである。
次に、高/低圧軸の回転数に対する抽気の影響について説述する。圧縮機入力と回転数の三乗は比例関係にあり、圧縮機入力とタービン出力は等しいので、圧縮機の回転数Nを数10で表すことができる。
Figure 2009057955
数10から本エンジンの高圧軸回転数Nは、Tのみでなく抽気率Qによっても制御され、Tと同様に抽気率Qを増すとNを上昇させることができる。しかし超音速領域では、ラム効果によりHPC入口温度が上昇するので、本来は修正回転数を下げなければNが過大になってしまう。そこで高速飛行時にBPRの低下を狙う本エンジンは、高圧系の設計点を超音速巡航時とする必要がある。
通常のターボファンの回転数は、燃料流量の制御を通して高圧系のみが制御されるが、本エンジンでは抽気率Qによって低圧系も制御される。高圧系と同様、低圧軸回転数Nは数11で表される。
Figure 2009057955
数11からHPC流量mの増減に見合って抽気率Qを制御すれば、低圧軸回転数Nを所要の回転数に保つことができる。
実施例(計算例)
我が国で国際プロジェクトとして研究・開発されたHYPR(超音速輸送機用推進システムの研究開発)のターボ系エンジンは、低圧タービン静翼を可変機構にしてBPRを変化させている(非特許文献1参照)。HYPRのターボ系エンジンは一切再燃を行わず、離陸時の排気速度を550m/sに抑えた低バイパス比ターボファンに、ミキサエジェクタ排気ノズルを装着して、ICAO Annex16 Chapter3の騒音規制値をクリアすると同時に、離陸要求推力を満たしている。このエンジンはESPR(環境適合型次世代超音速機推進システムの研究開発)に引き継がれた(非特許文献2参照)。
竹生健二著、コンバインドサイクルエンジンの研究開発の現状、日本ガスタービン学会誌、Vol.20、No.77、1992年6月号、P.38〜43
特集「環境適合型次世代超音速推進システム(ESPR)」、日本ガスタービン学会誌、Vol.32、No.5、2003年9月号
インタータービン・バイパス可変サイクルエンジンの高空性能を計算するに際し、できるだけHYPRに倣って設計点の諸元を定めた。表1に固定サイクルエンジンの性能を示す。ここで燃料消費率sfcの単位はkg/h/kgfである。HYPRに関する非特許文献1によれば飛行マッハ数0.95の亜音速巡航での正味推力は離陸時に対し約31%。マッハ数2.5の超音速巡航時の離陸時に対する推力比は40.6%である。それに対し低圧タービン可変静翼(LPT−VG)を装備しない固定サイクルエンジンのドライ性能は、高空での推力が足りないことが、表1から分かる。
Figure 2009057955
次に表1のターボファンの高/低圧タービン間から抽気するインタータービン・バイパス可変サイクルエンジンの高空性能の計算結果を表2に示す。コンコルドのマッハ2における離陸時に対する推力比は約27%であるから、本計算では、高亜音速(M=0.9)、超音速(M=2.2)ともその推力比を約30%として計算した。またこの設計点外性能計算では、図1の方式により混合の計算を行った。
Figure 2009057955
次にファン特性マップを図4に、HPC特性マップを図5に示し、表2とマップを基にそれぞれの運転状態について説明する。
高亜音速巡航(2−0)
燃料流量を増しながら高/低圧タービン間からごく僅か抽気すると、ファン、HPCとも修正回転数と圧力比は2(白丸)から2−0(三角)に上昇する。抽気の効果によってHPCの作動変化がFANのそれより大きくなるのでBPRが低下し、固定サイクルでは1366KだったTITが1597Kに上昇、SLS(海面上静止状態)に対する推力比を30.5%に高めることができる。
高亜音速巡航(2−1)
2−1は2−0よりBPRを高めた場合である。抽気率を減じファン回転数を2−0から強度上許される範囲2−1(黒丸)に高める。図4ではファンの相対修正回転数を110%(相対機械回転数103%)としている。よって表2に示すようにファン吸込み空気流量が増加するため推力が上昇する。そこで燃料流量を減じてNを低め、HPC作動点を2−0から2−1へ下げて推力を一定に保つ。よってBPRが上昇し、僅かではあるがsfcを低減できる。これは陸上飛行時の燃料経済性を向上させる。抽気率は極めて微小であるが、抽気しないとファンはオーバースピードになる。
遷音速上昇(2−2)
燃料流量を大幅に増しながら抽気率を約15%に高めると、ファン回転数は上昇せず、HPC作動点が大きく上昇するので、HPC流量が増加しBPRが0.58と大幅に低下する。従って初期のHYPRのサイクル最高温度1873KまでTITを高めることができる。よってSLSに対する推力比は46.8%と高まり、音の壁を突破するために十分な加速度が得られる。
超音速巡航(3−0)
超音速では燃料流量を増加し、HPCの修正回転数と圧力比を3(白丸)から3−0(三角)に高める(但し、流量増加のためTITは作動点3と同じ)。このときファンが過回転にならないように13%の抽気を行い、ファンの作動点を3から3−0の上昇に抑制する。よってBPRは1.43(表1の3)から0.98に大幅に低下し、SLSに対する推力比を30.5%に高めることができる。
超音速巡航(3−1)
この作動は超音速巡航時のTITの低下を目的とする。抽気率を僅かに減少させると、ファンの修正回転数と圧力比が3−0から3−1(黒丸)に高まりファン空気量が増すので推力が上昇する。よって推力を一定に保つには燃料流量をごく僅か減らすことができる。その結果HPC流量の僅かな増加と相俟って(圧力比は微減)TITを51.5度低下させることができる。
超音速加速(3−2)
超音速域で最高速度(ここではマッハ2.2)に達するには、巡航時より高い推力が必要である。そのため抽気率は最も大きくなり、ファン作動点の上昇を抑えながら燃料流量を増しHPCを大流量化する(ファン、HPCとも相対機械回転数105%)。しかしラム抗力により正味推力は遷音速加速時(2−2)より低下し、推力比約36%で巡航速度に達する。図4、5から明らかなように、本サイクルでは高/低圧タービン間抽気により、ファン及びHPCは圧力比が修正流量の二乗に比例する通常の作動線上とは異なる作動点に移動する。
超音速におけるタ−ビンの作動を図6に示す。この図から本サイクルではHPTの作動がLPT無次元流量に拘束されないことが分かる。結果BPRの変化の量が大きくなる。
次に、BPRのグラフを図7に示す。固定サイクルエンジン、HYPR90−T、ESPR、本サイクル、これ等の機速によるBPRの変化を図7の(a)に示す。固定サイクルエンジンは機速が遅くなるとBPRが減少するのに対し、HYPR90−TはLPT−VGを採用することにより低速時のBPRを高めている。ESPRでは更に、先進材料及び先進空冷技術を適用してタービン冷却空気量を減少させることにより、離陸時のBPRを1.2にまで引き上げている。このことにより超音速巡航時のBPRも1.18と高くなり、高比推力を維持するためサイクル最高温度は1923Kと非常に高温になっている。それに対し高/低圧タービン間から抽気する本サイクルは、他に比べてBPRの変化の量が非常に大きいことが図から分かる。
離陸からマッハ2.2に達するまでの本サイクルのBPRの変化を実線で結ぶと図7の(b)に示す如くになる。図から本サイクルの場合、離陸から亜音速巡航まではESPRに近く、遷音速上昇からマッハ2.2に到達する飛行ではHYPR90−Tより寧ろBPRが低くなっている。この大きなBPRの変化は、サイクル最高温度に多大な影響を及ぼすことが容易に推察され、本サイクルの長所、即ち優位性となる。
LPT−VGは部分負荷においてLPTへの仕事の配分を増加する方法として古くから知られた技術である。この方式ではHPTとLPTの流量は等しいので、LPT膨張比を増すためLPT−VGを絞るとコアが小流量化しHPCサージを起こす恐れがある。この方式における作動ガスの混合はコア流れとファンバイパスの二つの流れの間で行なわれる。
一方、LPT入口から抽気する本発明は、抽気時にLPTとHPTの流量が異なるためHPCサージの恐れはない。しかし混合する流れが三つとなり難しくなる。
この困難な混合の問題を解決する手段として図1、2に示した混合方式は、タービン側からの抽気によってBPRの変化を増大させようという今までにない概念から生み出されたものであって、他の目的から容易にその構成や組み合せを類推できるものではなく、また当業者にとって自明のものでもない。図1または図2の混合方式により三つの流れの混合を促し、燃料流量とVABIの制御を連動することによって、上に縷々説明した先行技術を凌駕する効果を得ることができるのである。
混合損失を最小限にして、インタータービン・バイパス・コンセプトによるサイクル特性を実現する本発明は、最も飛行が不安定になる遷音速域で強力な推力を再燃なしで発揮し、また超音速巡航では、推力を維持したままTITを52度近く低下させることができる。タービン入口温度を10度下げるとエンジン寿命が倍違うと云われており、本発明はエンジンの信頼性、安全性及びエンジン寿命の向上に寄与できる。その上、推力を維持したままのTITの低下は、NOの削減にもつながる。
またBPRの変化の量が大きい本サイクルの特徴を活かして、離陸時のBPRを一層高め、ミキサエジェクタの二次空気量を減らし小型化を図れば(できれば取り除いて)、我が国の国家プロジェクトであるESPRの小型・軽量化に貢献できる可能性もある。本発明は、このように環境適合性に優れた次世代SST用エンジンを世に提供するものである。
テールコーンTCを前後移動する混合方式を用いた本発明インタータービン・バイパス可変サイクルエンジンの概念図 二重ローブ式ミキサによる混合方式を用いた本発明インタータービン・バイパス可変サイクルエンジンの概念図 図2のA−A断面図 ファン特性マップ HPC特性マップ 超音速飛行時におけるタービン作動特性 飛行マッハ数によるBPRの変化を比較した図
符号の説明
FAN:ファン HPC:圧縮機 COMB:燃焼器
HPT:高圧タービン LPT:低圧タービン TC:テールコーン
VABI:Variable Area Bypass Injector
CD Nozzle:末細−末広可変排気ノズル
Lobe Mixer:二重ローブ式ミキサ
図1、2における数字:エンジンの各断面位置を表す
図4〜7における数字
1:離陸時の作動点 2:固定サイクルエンジンの亜音速での作動点
3:固定サイクルエンジンの超音速での作動点
2−0〜2−2:本エンジンの亜音速及び遷音速域での作動点
3−0〜3−2:本エンジンの超音速域での作動点
:音速 BPR:バイパス比 CDT:圧縮機出口温度
Cp:定圧比熱 Fn:正味推力
LPT−VG:低圧タービン可変静翼 M:マッハ数
m:質量流量 N:回転数、或いはニュートン
p:静圧力 Q:抽気率 SLS:海面上静止状態
sfc:燃料消費率 T:全温度 TIT:タービン入口温度
Ts:標準温度 t:静温度 V:流速
η:効率 η:回転系の機械効率 θ:T/Ts
κ:比熱比 τ:要素前後の全温比
添え字
a:大気 b:燃焼器 c:圧縮機
f:ファン ht:高圧タービン lt:低圧タービン
J:ジェット n:ノズル t:タービン

Claims (2)

  1. 超音速機用低バイパス比ターボファンにおいて、低圧タービン(LPT)入口と排気ダクトを結ぶLPTバイパス流路を設け、その流路に抽気流量を制御するバリアブルエリアバイパスインジェクター(VABI)を備えて、テールコーン(TC)を前後に移動可能にし、遷音速や超音速飛行時にVABIを開いてコア流量の一部を抽気し、LPTをバイパスして排気ダクトに再導入して、LPT入口からの抽気とLPT排気を混合し、その混合ガスとファンバイパスを混合するとき、テールコーン(TC)を移動して排気ダクト出口面積を変化させることによって、三つの流れを等しい静圧で混合する混合方式を用いることにより、バイパス比の変化の量を大きくし、燃料流量とVABIおよびテールコーン(TC)の制御を連動することによって、亜音速巡航では燃料消費率を低減し、遷音速及び超音速での加速時には再燃なしで推力を高め、超音速巡航時には推力を維持しながらタービン入口温度を低めることを可能にするサイクルを実現するインタータービン・バイパス可変サイクルエンジン。
  2. 高/低圧タービン間から抽気し、LPTバイパスを行うことによってバイパス比の変化の量を増す請求項1記載の可変サイクルエンジンにおいて、テールコーン(TC)を固定し、二重ローブ式ミキサを設けて、ファンバイパス流れはミキサローブを通して内側に転向させ、LPT排気はミキサローブを通して外側に向け、LPTバイパスを二重ローブの間にスポーク状に流すことによって、瓦いの流れの接触表面積を拡大して、大スケールの混合を実現する混合方式を採用したインタータービン・バイパス可変サイクルエンジン。
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