JP2002221092A - 可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン - Google Patents

可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン

Info

Publication number
JP2002221092A
JP2002221092A JP2001053115A JP2001053115A JP2002221092A JP 2002221092 A JP2002221092 A JP 2002221092A JP 2001053115 A JP2001053115 A JP 2001053115A JP 2001053115 A JP2001053115 A JP 2001053115A JP 2002221092 A JP2002221092 A JP 2002221092A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fan
pressure
ratio
thrust
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001053115A
Other languages
English (en)
Inventor
Isamu Nemoto
勇 根本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2001053115A priority Critical patent/JP2002221092A/ja
Publication of JP2002221092A publication Critical patent/JP2002221092A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)
  • Control Of Positive-Displacement Air Blowers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高バイパス比ターボファンの流量を制御し
て、巡航時の燃料消費率を低減することを目的としてい
る。 【構成】 ターボファンのコアのコンバージェント・ノ
ズルを可変機構にし、可変ジェットノズルを開閉するこ
とによりコアの流量を制御して、高圧系のみでなく低圧
系も、その回転数と流量を制御することを特徴としてい
る。 【効果】 亜音速飛行では、排気のジェット速度による
推力には抗力が働くが、圧力差スラストには抗力が働か
ない。従って高亜音速飛行時に、可変ジェットノズルを
開いて低圧タービン膨張比を増し、ファンの修正回転数
と圧力比を高めることによって、主ジェットの速度エネ
ルギの一部をバイパス流の圧力差スラストに変換する
と、推進効率を低下させずに推力を増せるので、巡航時
に燃料流量を減らして燃料消費率を低減することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は亜音速機に搭載される高
バイパス比ターボファン・エンジンに関するものであ
り、運航時間の長い巡航時の燃料消費率を、流量制御に
よって低減することを目的としている。
【0002】
【従来の技術】一般にターボファンは、燃料流量の増減
により高圧系回転数のみを制御する。低圧タービンはフ
リータービンであり、フリータービンは部分負荷でター
ビン全膨脹比を下げると、高圧側に比べて低圧側への仕
事配分が減少し、膨脹比が大きく低下する特性がある。
【0003】一方、巡航時は飛行によるラム圧力回復分
だけバイパスノズルの膨脹比が上昇し、バイパス空気量
が増加するため、飛行マッハ数の増加に伴ってバイパス
比が高まる傾向がある。部分負荷である巡航時は、フリ
ータービンの特性からファン駆動力が小さくなるので、
バイパス比が増すとファン圧力比が低下する。
【0004】またコンバージェント・ノズルを使用した
通常のターボファンは、高亜音速飛行時にバイパスノズ
ルがチョークする。チョークド・ノズル状態では圧力差
スラストは無視できない値を示す。圧力差スラストはノ
ズル内部の静圧と大気圧との圧力差がノズル断面積に作
用して生じる推力であり、高バイパス比エンジンではバ
イパスノズル面積が非常に大きいので、正味推力に強い
影響を及ぼす。しかしながら通常のターボファンは、前
述の理由から巡航時にファン圧力比が低下するため、ノ
ズル内部の静圧が低下し圧力差スラストを高めることが
できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、通常の高バイパス比ターボファンでは、低圧系を
制御しないため、巡航時にバイパスノズル出口での圧力
差スラストを充分利用できない点である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、コアのジェッ
トノズルを可変ノズルにしてコア流量を制御し、それに
よって低圧系も制御することを最も主要な特徴とする。
巡航時の燃料消費率を低減するという目的を、ファンの
修正回転数及び圧力比を高め、ファン空気量とバイパス
ノズル出口での圧力差スラストを増加することによって
実現した。巡航時にファンの回転数及び圧力比を高める
には、低圧タービンの吸収動力を増さねばならず、その
ためコアのジェット速度が低下する。しかし面積の大き
なバイパスノズル出口で圧力差スラストが増すので推力
は増大する。よって本発明はファン修正回転数を高め得
る範囲で、推力を増大させることができる。部分負荷で
の推力増加は、所要の推力を得る上で、それだけ燃料流
量を減少させることができるので燃料消費率の低減に結
び付く。
【0007】
【実施例】図1は、本発明の概念図である。図において
FANはファン、LPCは低圧圧縮機(ブースト段)、
HPCは高圧圧縮機、COMBは燃焼器、HPTは高圧
タービン、LPTは低圧タービン、VJNはコアの可変
ジェットノズル、BNはバイパスノズルである。
【0008】図1に基づいて本発明の作動を説明する。
巡航時に可変ジェットノズルVJNを前方に移動しノズ
ル面積を広げると、コアの流量が増加するのでHPT膨
脹比も僅かに上昇する。しかしHPCは流量とタービン
入口温度の関係から、回転数が下がり圧力比も低下す
る。HPT膨脹比が増すと、HPTとLPTの流量は等
しくHPT出口修正流量とLPT入口修正流量が等しい
という条件から、フリータービンであるLPTの膨脹比
はより大きく増加する。よってファンは修正回転数が増
し圧力比も高まる。尚ジェットノズル面積の可変化は、
ノズルを固定しテエルコーンを前後に移動してもよい。
【0009】
【記号】可変ジェットノズルVJNを閉じた場合と開い
た場合のサイクル計算を行い、本発明の優位性を論証す
る。計算式に用いた記号を以下に示す。 A:ノズル面積 Cp:定圧比熱(J/kg・K) BPRまたはμ:バイパス比 Fn:正味推力 f:燃料空気混合比 G:作動流体流量(kg/sec) GB:バイパス流量 Hu:燃料低位発熱量(kJ/kg) K:燃焼器の形状抵抗係数 K:燃焼器の燃焼抵抗係数 M:マッハ数 N:回転数(rpm) P:全圧力(kPa) p:静圧力(kPa) Ps:標準圧力(101.3kPa) R:ガス定数(J/kgK) T:全温度(K) t:静温度(K) TIT:タービン入口温度 Ts:標準温度(288.16K) SFC:燃料消費率 SLS:海面上静止状態 V:流速 V:バイパスジェット速度 V:主ジェット速度 VJE:平均ジェット速度 δ:P/Ps η:効率 θ:T/Ts κ:比熱比 m=(κ−1)/κ Comp. Cpc=1.005kJ/kgK、 κc=1.40 Turb. Cpt=1.156kJ/kgK、 κt=1.33 添字 数字:エンジンの各断面位置を表す b:燃焼器 c:圧縮機側 F:ファン e:出口 HC:高圧圧縮機 HT:高圧タービン i:入口 LC:低圧圧縮機 LT:低圧タービン N:ノズル t:タービン側 ()des:設計値
【0010】
【本発明の原理】本発明の概念を数式によって説明す
る。排気ノズル入口全圧の大気圧に対する比がノズルを
閉塞させる値以上の時、ノズルで完全膨張する場合と不
完全膨脹の場合では、得られる推力は前者の方が大き
い。しかしコンバージェント・ノズルを用いることによ
って起こる不完全膨張損失は、飛行マッハ数がM<1
の範囲では比較的小さい。ファンの修正回転数と圧力比
を高めることによって生じる不完全膨張損失より、その
ことによってもたらされる以下に示す利得の方が勝る。
本発明が巡航時のSFCを低減できる理論的根拠は、次
の三点である。
【0011】先ず第一点はファン空気量Gの増加であ
る(図7参照)。推力が同じ場合、流量を増して排気速
度を小さくする方がエンジン発生動力は小さく省エネル
ギである。これはターボファンの根本原理であり、よく
知られたことである。従って本発明では低圧系を制御す
ることによって巡航時にファン回転数を最大に保つ。第
二点は、速度エネルギの圧力エネルギへの変換である。
推進効率を数式1で定義し、チョークド・ノズル状態の
ターボファンの正味推力を数式2で与える。
【0012】
【数1】
【0013】
【数2】
【0014】機速V一定で正味推力Fnが同じ場合、
式2第2項の圧力項を減らし第1項の速度項を増すと式
1から推進効率ηが低下する。逆に式2第1項の速度
項を減らし第2項の圧力項を増すと、式1からηが高
くなる。つまりバイパスノズルでの圧力差スラストを増
すと、高バイパス比エンジンでは、ノズル面積Aが非
常に大きいため正味推力Fnに貢献するが、圧力の超過
分によるこのスラストには式2から抗力が働かない。
【0015】J.L.ケルブロック著「ジェットエンジ
ン概論」によれば、p>pで亜音速飛行の場合、エ
ンジン位置8に垂直な面上で外部流れが飛行方向に平行
であれば、ポテンシャル流理論によりナセルの圧力抗力
はゼロである。超音速流れとは違い、このとき抗力はす
べてナセル表面上の粘性剪断力だけに帰せられる。よっ
て亜音速機では、排気の速度エネルギの一部を圧力エネ
ルギに変換し圧力差スラストを増すと、推力を維持した
まま推進効率を高めることができる。
【0016】第三点は、コアのジェット速度Vとバイ
パスジェット速度Vの関係である。森田光男氏らの論
文、日本航空宇宙学会誌第22巻、第251号「ファン
・エンジンの特性」によれば、SFCを最も低めるV
とVの関係は、数式3に示すように、その比がファン
断熱効率とLPT断熱効率の積に等しいことである。
【0017】
【数3】
【0018】但し、この論文では燃料消費率の逆数、推
力比を用いて説明している。推力比とは、ターボジェッ
トにファンを付加して得られる推力の、基のターボジェ
ットの推力に対する比で、式3は最大推力比を得られる
条件である。実際のターボファン・エンジンでは、ファ
ン騒音及び重量を減ずるためファンは1段であり、しか
も上空ではファン圧力比が低下するためVはVより
かなり高くなる。つまり式3の左辺は右辺よりかなり小
さい。ファンの修正回転数及び圧力比を高めるとV
の差が縮まり、左辺の値が右辺に近付き推力比が増
加する。
【0019】実際にはこうなる。バイパスノズルがチョ
ークすると、ファン圧力比を高めてもバイパスジェット
速度Vは音速のままでそれ以上にはならない。t
僅かな上昇によりVも微増する。一方主ジェット速度
は低下するが、高バイパス比エンジンではバイパス
流は大流量であり、コア流は小流量である。従って主ジ
ェット速度Vが低下してもVが微増するため、平均
ジェット速度VJEはほとんど変わらず、式1から推進
効率への影響は少ない。
【0020】またファンの修正回転数及び圧力比を高め
ると、ファン空気量Gが増し、バイパスノズル内部の
静圧pが上昇する。Vの低下は前述の理由から正味
推力に対する影響が少ないが、pの上昇はバイパス流
の圧力差スラストを増大させるので、Gの増加と相俟
って正味推力Fnを増加する。以上から本発明が成り立
つ理由は、航空機用エンジンに特有の推進効率に起因
し、また亜音速機だからである。速度が大きく推進効率
に関与する主ジェットの速度エネルギの一部を、推進効
率に関与しない圧力差スラストに変換することによっ
て、推進効率を低下させずに推力を増せるので、高亜音
速巡航時に従来のターボファンよりも燃料流量を減ら
し、SFCを低減することができるのである。
【0021】
【計算式と係数】森田光男、関根静雄両氏の論文、航空
宇宙技術研究所報告TR−347「多軸ターボファンエ
ンジンの設計点外性能」から計算式及び係数を引用す
る。 空気取入口;圧力回復係数ηを数式4で定義し、空気
取入口における温度比を数式5で与える。尚、η=1
と仮定する。
【0022】
【数4】
【0023】
【数5】
【0024】圧縮機及びファン;圧力比を修正回転数と
修正流量に関する多項式、数式6及び数式7で近似す
る。
【0025】
【数6】
【0026】
【数7】
【0027】ここでBn、j(n=0、1、2、j=
0、1、2、3、4)は圧縮機の特性を表す係数であ
る。圧縮過程での入口と出口の温度比は数式8で与えら
れる。
【0028】
【数8】
【0029】燃焼器;燃焼器内で生ずる圧力損失は、燃
焼器の形状によって決まるものと、燃焼によって決まる
ものとがあり、圧力損失を近似的に数式9で与える。
【0030】
【数9】
【0031】燃焼器の形状抵抗係数はK=0.02
6、燃焼抵抗係数はK=0.0037とする。また燃
焼効率は数式10で定義する。
【0032】
【数10】
【0033】タービン;タービンは楕円法則に従うもの
とし、流量特性を数式11で表す。指数mは3.53と
する。この値は稲垣詠一氏の論文「ガスタービンの動特
性とサージングに関する研究」より引用した。m=2で
は無限段タービンとなり、修正流量が小さ過ぎて、本エ
ンジンには適さない。
【0034】
【数11】
【0035】断熱効率は一般に、タービンの周速度U
と、熱落差を速度に換算したタービン理論速度Coとの
比、即ち速度比U/Coの関数で表される。ここでは数
式12で近似する。
【0036】
【数12】
【0037】ここでX、X、Xはタービン断熱効
率を表す係数であり、X=1、X=1、X=−1
とする。膨脹過程における入口、出口の膨脹比及び温度
比は数式13及び数式14で与えられる。
【0038】
【数13】
【0039】
【数14】
【0040】バイパス及びジェットノズル;ノズルの流
量特性は、ノズルがチョークしていない場合は数式15
を、チョークしている場合は数式16を用いる。また臨
界状態の静圧pと静温tは数式17で与えられる。
【0041】
【数15】
【0042】
【数16】
【0043】
【数17】
【0044】高圧系の釣り合い;HPC、燃焼器、HP
Tのマッチング条件である流量、回転数、及びパワーの
バランスは、それぞれ数式18、19、20で表され
る。ここでηは回転系の機械効率である。
【0045】
【数18】
【0046】
【数19】
【0047】
【数20】
【0048】低圧系の釣り合い;先ずBPR(μ)を数
式21で定義する。ファン及びLPCとLPTの流量、
回転数及びパワーのバランスは、それぞれ数式22、2
3、24で表される。
【0049】
【数21】
【0050】
【数22】
【0051】
【数23】
【0052】
【数24】
【0053】全体性能;機速V、バイパスジェット速
度V、主ジェット速度Vは、数式25で表される。
正味推力は数式2で与えられ、燃料消費率は数式26で
表される。ここでGは燃料流量である。
【0054】
【数25】
【0055】
【数26】
【0056】
【設定値】計算に用いたFAN特性マップを図2に、L
PC特性マップを図3に、HPC特性マップを図4に示
す。本計算ではSLSでの設定値を次のように定めた。
FAN空気量1500kg/s、TITを1873K、
BPRを9。FANは修正回転数(比)を100%、圧
力比1.4、断熱効率を0.85。LPCは修正回転数
(比)を100%、圧力比1.8、断熱効率を0.8
6。HPCは修正回転数(比)を約102.5%、圧力
比18、断熱効率0.85。SLSにおけるFAN、L
PC、HPCの作動点は、それぞれ図2〜4のSであ
る。SLSにおけるエンジン性能を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【部分負荷の計算法】亜音速巡航は飛行高度10km、
飛行マッハ数を0.85とする。可変ジェットノズルV
JNを開いた場合の計算順序を説明する。先ず、FAN
機械回転数をSLSと同じ回転数にして、HPC圧力比
を指定する。次に、FAN修正流量とTIT(T)を
仮定する。式4、式5よりFAN入口圧力Pと入口温
度Tを求め、式7と式6からFAN圧力比を求めて、
式8よりFAN出口温度T2bを得る。FAN圧力比か
らP2bが得られるので式16よりバイパスノズル流量
GBを算出し、ファン空気量からこれを差し引いてLP
C流量を求める。よってLPC修正流量が得られる。
【0059】次に同軸の条件から式23よりLPC修正
回転数を求め、式7、式6を用いてLPC圧力比を算出
する。式8からTをLPC圧力比からPを求めて、
=GLCよりHPC修正流量を得る。HPC圧力
比よりP、式8よりTを求め、式9から燃焼器出口
圧力P、式10から燃空比fを計算する。次に、式1
2〜14及び式18〜20を用いて高圧系のマッチング
計算を行う。ここまでの計算手順で、始めに仮定したT
ITが自らその値を変え、タービン流量特性を表す式1
1から得られるTに収斂するように計算プログラムを
組むと、未知数を一つ消去できる。
【0060】低圧系については、式12〜14及び式2
1〜24を用いてマッチング計算を行い、この計算によ
って得られるLPT修正流量と、式11から得られるL
PT修正流量が一致するまで、始めに仮定したFAN修
正流量を変えて計算を繰り返す。後は式16よりVJN
面積を求め、計算を閉じてエンジン性能を求める。
【0061】一般のターボファンつまり主ジェットノズ
ル固定の場合は、A一定で式16より得られるノズル
流量がGLTと等しくなければならない。そこでFAN
修正流量のみでなく、FAN修正回転数もその値を変え
て繰り返し計算を行い、エンジン全体のマッチングを取
る。上に述べた計算式及び係数を用いた本計算方法では
主ジェットノズルの流量とGLTを完全に合致させるこ
とはできないが、近似値を得ることはできる。尚、特性
マップ図2〜4を基にしたこの計算法ではFAN、LP
C、HPCの断熱効率は、その都度図から読み取り修正
する必要がある。
【0062】
【計算結果】図2〜4においてC、C1、C2、C3は
巡航時である。Cは可変ジェットノズルVJNの面積が
一定の場合の一計算例であり、C1はノズル面積を1.
17倍、C2は1.31倍、C3は1.50倍に広げた
時の各作動点である。図2のFANでは、巡航時におい
てVJN面積一定の場合(C点)、修正回転数は計算上
99.8%になる。従って機械回転数はSLSより低下
している。この場合は低圧系を制御していないので、F
AN圧力比は低下する。VJNを広げた場合、FAN機
械回転数を一定とすれば修正回転数は106.2%にな
る。VJNを広げるとFAN圧力比は高くなるが、開度
を大きくしても圧力比の変化は少ない。
【0063】図3のLPCはFANと同軸であるため、
C点では修正回転数、圧力比とも下がり、VJNを開く
と上昇する。図3からVJNの開度を増すと作動点がサ
ージラインに近付くのでVJNの開度には限界があるこ
とが分かる。図4のHPCはVJNを開くと修正回転
数、圧力比とも低下する。従って修正流量も減少するが
実流量はC点より多い。ただVJN開度を増して行くと
HPC圧力比が低下するため、実流量も減少する。
【0064】図5は巡航時におけるTIT及びBPRと
VJN面積比の関係、図6は主ジェット速度V、バイ
パスジェット速度V、平均ジェット速度VJEとVJ
N面積比の関係、図7はFAN空気量及びバイパスノズ
ルでの圧力差スラストとVJN面積比の関係、図8は正
味推力とSFCの関係を示したものである。
【0065】図5のC2、C3では、TITが降下して
いるにもかかわらずBPRが高い。その理由はVJNを
広げることによりLPTのタービン容量一定で膨張比を
増加しているからである。LPT膨張比を増す方法とし
て一般に用いられるのはLPT可変静翼である。部分負
荷でこれを絞ると、膨張比が増すと同時にコアが小流量
となってTITが上昇する。但し、LPT可変静翼を絞
るとLPCがサージングを起すので、ブースト段付きで
は使用できない。よって本発明ではコア流量を増加して
LPT膨張比を高めた。図5からC3ではC点よりBP
Rが高くなっているが、C2のBPRはC点とほとんど
変わらずC1では寧ろ低くなっている。よってBPRの
変化は本エンジンにおけるSFC低減の主な原因ではな
い。
【0066】次に図6では可変ジェットノズルVJNの
開度を増すと主ジェット速度Vは大きく低下するが、
バイパスジェット速度Vは僅かに増し、流量の違いに
より平均ジェット速度VJEはほとんど変化しない。た
だVJNの開度を増すとVJEは幾分低下する。それに
対し、図7のファン空気量Gとバイパスノズルでの圧
力差スラストA(p−p)は、VJNを広げるこ
とにより増加する。よって推力が増加するのでVJN開
度を増し、図5に示すようにTITを下げBPRを高め
ても推力を維持できる。その結果として、本発明は図8
に示すように巡航時のSFCを低減できる。図7と図8
を比較すると、バイパスノズルでの圧力差スラストが正
味推力に占める割合が如何に大きいかが分かる。高亜音
速飛行という条件下ではこの圧力差スラストに抗力が働
かないことに着目し、ターボファンのSFC改善を設計
点ではなく部分負荷で実現したことに本発明の新規性が
ある。
【0067】
【効果】民間用航空エンジンは常に性能向上が厳しく求
められており、SFC低減のため高温高圧化、BPRの
増大、要素効率の向上など多大な努力が積み重ねられて
きた。これ等の改善は技術的に極めて高度で且つ困難な
課題である。それに対し本発明は、コアのジェットノズ
ルを可変機構にするという比較的容易な技術により、図
8に示す如く高亜音速飛行時のSFCを低減できる。よ
って本発明は民間用旅客機の経済性を高め、省資源、地
球温暖化防止に貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】可変ジェットノズルVJNによりコアの流量を
制御する、本発明高バイパス比ターボファン・エンジン
の概念図。
【図2】本計算に用いたFAN特性マップ。
【図3】本計算に用いたLPC特性マップ。
【図4】本計算に用いたHPC特性マップ。
【図5】TIT及びBPRと可変ジェットノズルVJN
面積比の関係を示す図。
【図6】主ジェット速度V、バイパスジェット速度V
、平均ジェット速度VJEとVJN面積比の関係を示
す図。
【図7】FAN流量及びバイパスノズルでの圧力差スラ
ストとVJN面積比の関係を示す図。
【図8】正味推力とSFCの関係を示した図。
【符号の説明】
FAN ファン LPC 低圧圧縮機 HPC 高圧圧縮機 COMB 燃焼器 HPT 高圧タービン LPT 低圧タービン VJN 可変ジェットノズル BN バイパスノズル

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターボファンのコアのコンバージェント
    ・ノズルを可変機構にし、可変ジェットノズルを開閉す
    ることによりコアの流量を制御して、コア流量の増減に
    より高圧系のみでなく低圧系も、その回転数と流量を制
    御することを特徴とする可変ジェットノズル付き高バイ
    パス比ターボファン・エンジン。
JP2001053115A 2001-01-24 2001-01-24 可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン Pending JP2002221092A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001053115A JP2002221092A (ja) 2001-01-24 2001-01-24 可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001053115A JP2002221092A (ja) 2001-01-24 2001-01-24 可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002221092A true JP2002221092A (ja) 2002-08-09

Family

ID=18913633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001053115A Pending JP2002221092A (ja) 2001-01-24 2001-01-24 可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002221092A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005069222A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 General Electric Co <Ge> 二重反転ファンを備えたfladeガスタービンエンジン
WO2005085620A1 (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Isamu Nemoto 亜音速機推進用可変サイクルエンジン
JP2007247648A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 General Electric Co <Ge> 連続式リアルタイムegtマージン制御方法及びシステム
CN114017200A (zh) * 2021-11-16 2022-02-08 中国航发沈阳发动机研究所 一种涡扇发动机进口总压重构方法及装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005069222A (ja) * 2003-08-25 2005-03-17 General Electric Co <Ge> 二重反転ファンを備えたfladeガスタービンエンジン
WO2005085620A1 (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Isamu Nemoto 亜音速機推進用可変サイクルエンジン
JP2007247648A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 General Electric Co <Ge> 連続式リアルタイムegtマージン制御方法及びシステム
CN114017200A (zh) * 2021-11-16 2022-02-08 中国航发沈阳发动机研究所 一种涡扇发动机进口总压重构方法及装置
CN114017200B (zh) * 2021-11-16 2022-09-30 中国航发沈阳发动机研究所 一种涡扇发动机进口总压重构方法及装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3938328A (en) Multicycle engine
US4085583A (en) Method for selectively switching motive fluid supply to an aft turbine of a multicycle engine
CN110083869B (zh) 一种评估模式变换对涡喷/涡扇变循环发动机稳定裕度影响的计算方法
RU2445490C2 (ru) Способ улучшения характеристик двухконтурного турбореактивного двигателя
US11884414B2 (en) Supersonic aircraft turbofan engine
JPWO2005085620A1 (ja) 亜音速機推進用可変サイクルエンジン
Chapman A study of large scale power extraction and insertion on turbofan performance and stability
Nascimento The selective bleed variable cycle engine
Hao et al. A new design method for mode transition control law of variable cycle engine
JP2009057955A (ja) 超音速機用インタータービン・バイパス可変サイクルエンジン
JP2002221092A (ja) 可変ジェットノズル付き高バイパス比ターボファン・エンジン
Kavvalos et al. A Modelling approach of variable geometry for low pressure ratio fans
JP2012251542A (ja) 可変サイクルエンジン
JP2002054503A (ja) 亜音速機用高バイパス比・可変サイクルエンジン
Whurr Propulsion system concepts and technology requirements for quiet supersonic transports
Li et al. Steady state calculation and performance analysis of variable cycle engine
Mirza-Baig et al. Off-design performance prediction of turbofans using gasdynamics
CN112417658A (zh) 双外涵变循环发动机设计点参数循环建模方法
CA1260277A (en) High mach number unducted fan engine
Cotter Integration of Inlet and Engine-An Engine Man’s Point of View
JP2000220524A (ja) 抽気法による可変サイクルエンジン
JPH0960557A (ja) ダブルバイパス・エンジン
JPH11303682A (ja) ダブルバイパス・エンジン
Zhang et al. Open Rotor Engine Cycle Modeling and Performance Assessment
JPH06317180A (ja) クロス・コンパウンド式ファン・エンジン