JP2009057432A - 粘着シート及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】位置合わせの際には、押圧変形が少ない一方、本位置合わせの際には、容易に押圧変形しやすい所定形状の点状物を備えた粘着シートおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】シート基材上に、相分離現象に由来した粘着剤層が設けてある粘着シートおよびその製造方法であって、粘着剤層として、上部表面に、平坦な縁部分を備えた点状物を、規則的または不規則に形成し、例えば、点状物が実質的に筒状であって、その内部に、空洞を有するとともに、その周囲壁の先端に、縁部分を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着シート及びその製造方法に関し、特に、使い勝手等に優れた粘着シート及びその製造方法に関する。
従来、装飾目的で、壁、看板、車両などに貼り付けて使用される比較的大型の粘着シートは、マーキングフィルムとして知られているが、その寸法が大きくなるほど、空気を巻き込みやすく、かつ、位置合わせが困難となることから、被着体への貼付性が低下することが知られている。
そこで、エンボスロールなどを用いて、粘着剤層の表面に、凹凸を形成することが行われている。
しかしながら、製造工程が増えるばかりか、エンボスロールの押圧力が変化しやすく、凹凸を安定的に形成することが容易でないという問題が見られた。また、粘着剤層の表面の凹凸に沿って基材が変形するため、粘着剤層の表面の凹凸が、基材側から認識されやすいという問題も見られた。
そこで、相分離現象を利用して、粘着シートの貼り付け位置を容易に調整できる一方、粘着剤層の凹凸パターンに影響されて、装飾的な商品価値が低下するおそれが少なく、製造容易な粘着シートが提案されている。
より具体的には、図7(a)に示すように、シート基材710の上に、粘着剤層722が設けてある粘着シート700であって、図7(b)に示すように、粘着剤層722が、混合溶媒から粘着剤を相分離させて形成した点状物722aから構成したものである(特許文献1参照。)。
特開2004−277534号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示された粘着シートの点状物は、断面形状が実質的に山状であって、高さがばらつきやすいとともに、押圧された場合に、先端部のみが被着体に接触するために、容易に変形しやすいという問題が見られた。
したがって、粘着シートを被着体の所望位置に、正しく貼り付けられなかった場合に、点状物が押圧変形しやすいことから、粘着シートを貼り直すことが困難になる場合が見られた。
また、熱硬化塗膜を製造する際に、貧溶媒として、主として水を用いているため、例えば、乾燥温度が80〜180℃と高く、そのために、粘着シートの基材が熱損傷しやすいばかりか、点状物を所定形状に安定的に形成することが困難になるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のいずれかの項目を主として考慮することにより、比較的大面積であっても、粘着剤層の上部表面に、平坦な縁部分を備えた所定形状の点状物を安定的に形成できることを見出し、本発明を完成した。
(1)粘着剤の溶解度パラメータと、非水系貧溶媒の溶解度パラメータとの差
(2)良溶媒の相対蒸発速度と、非水系貧溶媒の相対蒸発速度との差
(3)良溶媒の添加量と、非水系貧溶媒の添加量との重量比
(4)塗布液における粘着剤の固形分濃度
(5)塗布液における塗工厚さ
(6)乾燥温度
すなわち、本発明は、位置合わせの際には、押圧変形が少ない一方、本位置合わせの際には、容易に押圧変形しやすい所定形状の点状物を規則的または不規則的に備えることにより、使い勝手等に優れた粘着シートを提供すること、及びそのような粘着シートを効率的に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、シート基材上に、相分離現象に由来した粘着剤層が設けてある粘着シートであって、粘着剤層が、上部表面に、平坦な縁部分を備えた点状物であることを特徴とする粘着シートが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の粘着シートによれば、位置合わせのために、被着体に軽く貼り付けた場合には、点状物の先端に設けた小面積の縁部が、被着体に貼り付くことになる。それにより、粘着シートを被着体の所望位置に、正しく貼り付けられなかった場合には、点状物の所定形状を保持しつつ、粘着シートを容易に剥離することができることから、使い勝手が良好である。
一方、容易に押圧変形しやすい所定形状の点状物を規則的または不規則的に備えていることから、本位置合わせの際には、被着体に対して、粘着シートを強固に貼付することができる。
また、シート基材上に設けられた粘着剤層が、所定形状の点状物であるため、粘着シートと、被着体との間に外部への気体除去通路が形成されやすくなる。したがって、粘着シートと、被着体との間に巻き込まれた空気を効果的に外部に逃がすことができ、粘着シートを被着体に貼り付ける際に、いわゆる「ふくれ」を生じないようにすることができる。
また、本発明の粘着シートを構成することにより、点状物が実質的に筒状であって、その内部に、空洞を有するとともに、その周囲壁の先端に、縁部分を備えることが好ましい。
このように構成することにより、位置合わせのために、粘着シートを被着体に軽く貼り付けた場合や、粘着シートを再剥離する程度の変形圧力では、粘着剤層としての点状物が変形しにくい一方、粘着シートを所望位置で貼り付ける場合には、適当な押圧力でもって、容易に変形して、被着体に対して、強固に貼り付けることができる。
また、本発明の粘着シートを構成することにより、点状物の平面形状が、実質的に円形又は不定形状であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着力の制御が容易になるばかりか、シート基材に形成される凹凸パターンを、表裏側からとも、目立たないものとすることができる。
また、本発明の粘着シートを構成することにより、点状物の高さを5〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、粘着シートにおいて、点状物からなる凹凸パターンを目立たないようにすることができる。また、このように点状物の高さを制限することにより、所定の粘着力を確保することができる一方、粘着シートの再剥離についても容易となる。
また、本発明の粘着シートを構成することにより、点状物における縁部分の幅を0.5〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、粘着シートを被着体の所望位置に、正しく貼り付けられなかった場合には、点状物の所定形状を保持しつつ、粘着シートをさらに容易に剥離することができる。
また、本発明の粘着シートを構成することにより、粘着剤層が、その一部として、隣接する点状物の底部を実質的に連結する連続層を有することが好ましい。
このように構成することにより、位置合わせのために、粘着シートを被着体に軽く貼り付けた場合や、粘着シートを再剥離する程度の変形圧力では、粘着剤層としての点状物がさらに変形しにくくなる一方、粘着シートを所望位置に貼り付ける場合には、適当な押圧力でもって、容易に変形して、被着体に対して、強固に貼り付けることができる。
また、このように構成すると、点状物が、隣接する点状物同士で強固に固定されるため、全体として、粘着剤としての機械的強度を高めることができる。
また、本発明の別の態様は、シート基材上に、相分離現象に由来した粘着剤層が設けてある粘着シートの製造方法であって、粘着シートを構成する粘着剤と、この粘着剤の良溶媒及び非水系貧溶媒からなる混合溶媒であって、粘着剤に対する溶解度パラメータの差が3.5〜12の範囲である非水系貧溶媒を含み、かつ良溶媒の相対蒸発速度をV1とし、非水系貧溶媒の相対蒸発速度をV2としたときに、V1−V2>1.0の関係を満足する混合溶媒と、を含有する塗布液を、シート基材上に塗布する工程と、混合溶媒を乾燥温度を20〜70℃未満の範囲内で蒸発させるとともに、粘着剤を相分離させて、上部表面に、平坦な縁部分を備えた点状物を形成する工程と、を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
このように実施することにより、粘着剤と、混合溶媒と、の間の相分離現象を利用して、シート基材上の粘着剤層として容易に構成できるとともに、所定形状の点状物の形状、高さ、大きさ等も容易に制御することができる。
また、このような乾燥温度の条件下で実施すれば、基材が熱損傷するおそれが少ないばかりか、混合溶媒の乾燥速度が調整しやすくなり、それによって、所定形状の点状物を安定的に形成することができる。
従って、粘着シートを被着体に対して、所望位置に貼り付けられなかった場合であっても、所定形状の点状物により、容易に貼り直すことができる粘着シートを効率的かつ安定的に製造することができる。
なお、粘着剤の溶解度パラメータと、この粘着剤の良溶媒及び非水系貧溶媒の溶解度パラメータは、それぞれ文献値を使用することもできるが、その他、所定の溶解度パラメータに関する計算式から算出することも可能である。
また、良溶媒等の相対蒸発速度は、蒸発速度を測定し、酢酸n−ブチルの蒸発速度(温度20℃)を基準として、相対値として測定したり、算出したりすることもできるが、その他、相対蒸発速度としての良溶媒等の文献値をそのまま使用することも可能である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、図1(a)および(b)に例示されるように、シート基材104の上に、相分離現象に由来した粘着剤層102が設けてある粘着シート100であって、粘着剤層102が、上部表面に、平坦な縁部分102bを備えた点状物102aであることを特徴とする粘着シート100である。
なお、図1(a)が、粘着シート100の断面図であり、図1(b)が、粘着シート100の平面図である。
以下、適宜図面を参照しながら、第1の実施形態に係る粘着シートについて詳細に説明する。
1.シート基材
(1)種類
図1(a)および(b)に例示されるシート基材104としては、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等を主成分としたプラスチックフィルムや、紙類が好適である。
(2)厚さ
また、シート基材の厚さを10μm〜3mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、シート基材の厚さが10μm未満の値となると、機械的強度が著しく低下する場合があるためであり、一方、シート基材の厚さが3mmを超えると、剛性が高くなりすぎ、粘着シートの貼り付けが困難になる場合があるためである。
したがって、かかるシート基材の厚さを20μm〜1mmの範囲内の値とすることがより好ましく、25〜200μmの範囲内の値とすることがよりさらに好ましい。
(3)表面改質層
また、シート基材の表面に、プライマー層、微細凹凸層、および酸化物層等の表面改質層を設けることが好ましい。
この理由は、これらのプライマー層、微細凹凸層、および酸化物層等を設けることにより、シート基材と、点状物との間の密着力を向上させることができるためである。また、このような表面改質層を設けることにより、粘着剤の相分離現象を制御して、得られる点状物の高さや大きさの制御が容易となるためである。
ここで、プライマー層の構成材料としては、シランカップリング剤、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、微細凹凸層としては、例えば、0.01〜1μm程度の凹凸層が挙げられる。
さらに、酸化物層としては、コロナ放電処理層、クロム酸処理層、酸化炎処理層、プラズマ処理層、オゾン・紫外線照射処理層等が挙げられる。
2.粘着剤層
(1)種類
図1(a)および(b)に例示される粘着剤層102を構成する粘着剤の種類としては、公知のものを好ましく用いることができる。
例えば、アクリル系粘着剤、天然ゴム又は合成ゴムからなるゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤等があげられる。
なお、使用する粘着剤中には、粘着力を調整するため、粘着付与剤や架橋剤等を含有させてもよく、また、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を含有させてもよい。
(2)点状物
また、図1(a)および(b)に例示される点状物102aの高さを5〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる点状物の高さが5μm未満となると、粘着シートを被着体に貼り付ける際や貼り付けた後のふくれを十分防止することが困難になったり、粘着シートの貼り直しの作業性を十分に向上させることが困難になったりする場合があるためである。一方、点状物の高さが200μmを超えると、粘着シートの凹凸パターンが目立つ場合があるためである。
したがって、点状物の高さを8〜100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜80μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる点状物の高さは、シート基材の表面から、点状物102aの縁部分102bまでの高さと定義されるが、例えば、断面写真から測定することができる。
また、図1(a)および(b)に例示される点状物102aの平均直径(円相当径)を1〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる点状物の平均直径が1μm未満となると、所定の粘着力を確保することが困難になる場合があるためである。一方、点状物の平均直径が500μmを超えると、粘着シートにおいて、凹凸パターンが目立って、外観性を低下させる場合があるためである。
したがって、点状物の平均直径を3〜300μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜100μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図1(a)および(b)に例示される点状物102aにおいて、隣接する点状物間のピッチ(P)を50〜1,000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる隣接する点状物間のピッチが1,000μmを超えると、粘着剤層の粘着力が低下する場合があるためである。一方、かかる隣接する点状物間のピッチが50μm未満となると、粘着シートを被着体に貼り付ける際や貼り付けた後のふくれを十分防止するとともに粘着シートの貼り直しの作業性を向上させることが困難になる場合があるからである。
したがって、隣接する点状物間のピッチを80〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜300μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、点状物の平面形状は特に制限されるものではないが、例えば、図3〜図5に示すように、実質的に円形や不定形状とすることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、粘着力の制御が容易になるばかりか、シート基材に形成される凹凸パターンを、表裏側からとも、目立たないものとすることができるためである。
そして、かかる点状物の平面形状は、使用する粘着剤の種類、混合溶媒の種類および添加量、加熱温度等を適宜変更することにより、容易に制御することができる。すなわち、図3に示す点状物は、後述する実施例1に対応し、図4に示す点状物は、後述する実施例5に対応し、図5に示す点状物は、後述する実施例8に対応する。
なお、不定形状としては、星状、雲状、樹木状等が挙げられる。
また、点状物の上部表面に、平坦な縁部分を備えることを特徴とする。
すなわち、このような平坦な縁部分を備えることにより、粘着シートの位置合わせのために、被着体に対して軽く貼り付けた場合には、点状物の先端における小面積の縁部が、被着体に貼り付くことになる。
一方、このような平坦な縁部分を備えることにより、粘着シートが被着体の所望位置に、正しく貼り付けられなかった場合には、点状物の所定形状を保持しつつ、粘着シートを容易に剥離することができる。
なお、このような点状物の上部表面における平坦な縁部分は、顕微鏡写真をとることにより、容易に確認することができる。すなわち、平坦な縁部分は、所定の焦点深度で撮影した場合、通常、白筋として認識できるためである。
また、点状物が実質的に筒状であって、その内部に、空洞を有するとともに、その周囲壁の先端に、縁部分を備えることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、位置合わせのために、粘着シートを被着体に軽く貼り付けた場合や、粘着シートを再剥離する程度の変形圧力では、粘着剤層としての点状物が変形しにくい一方、粘着シートを所望位置で貼り付ける場合には、適当な押圧力でもって、容易に変形して、被着体に対して、強固に貼り付けることができるためである。
また、点状物における縁部分の幅を0.5〜10μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような縁部分の幅であれば、粘着シートを被着体の所望位置に、正しく貼り付けられなかった場合には、点状物の所定形状を保持しつつ、粘着シートをさらに容易に剥離することができるためである。
また、このような縁部分の幅であれば、位置合わせのために、粘着シートを被着体に軽く貼り付けた場合であっても、粘着シートを保持するだけの粘着力を発揮することができるためである。
したがって、点状物における縁部分の幅を0.8〜8μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図2に示すように、点状物202aは、底面において、連続層202dにより連結されていることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、点状物202aのシート基材への密着力を高め、貼り直し時の糊残りを防ぐことができるためである。
また、かかる連続層202dの厚さに関して、点状物202aの高さよりも薄くするとともに、通常、点状物202aの高さの1/10〜1/2の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、かかる点状物の底面における連続層は、使用する粘着剤の種類、混合溶媒の種類および添加量、加熱温度等を適宜変更することにより、制御することができる。
また、点状物は、混合溶媒から粘着剤を相分離させて形成することを特徴としている。
すなわち、後述するように、塗布液を加熱し、混合溶媒の一部(良溶媒)を蒸発させ、粘着剤と残留溶剤(貧溶媒)とを相分離させるとともに、シート基材に対してはじき現象を生じさせて、点状物を形成することを特徴としている。
この理由は、このように混合溶媒から相分離により形成された点状物であれば、空気の巻き込みが少なく一方、最終的に押圧して変形させる前であれば、被着体に対して点接触することができるためである。また、粘着剤層のみの形状変化であって、シート基材には影響しないことから、点状物が外部から認識されることが少なくなり、装飾性の観点から商品価値が低下することを有効に防止することができるためである。
なお、本発明において、混合溶媒からの相分離現象とは、相分離現象に特有の核成長から続くスピノーダル分解現象が観察される場合はもちろんのこと、かかるスピノーダル分解現象が観察されずに、あるいは単なるはじき現象が生じているような場合であっても、同等の点状物が得られる限り、混合溶媒からの相分離現象が生じていると認定することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、シート基材上に、相分離現象に由来した粘着剤層が設けてある粘着シートの製造方法であって、下記工程(1)および(2)を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法である。
(1)粘着シートを構成する粘着剤と、この粘着剤の良溶媒及び非水系貧溶媒からなる混合溶媒であって、粘着剤に対する溶解度パラメータの差が3.5〜12の範囲である非水系貧溶媒を含み、かつ良溶媒の相対蒸発速度をV1とし、非水系貧溶媒の相対蒸発速度をV2としたときに、V1−V2>1.0の関係を満足する混合溶媒と、を含有する塗布液を、シート基材上に塗布する工程(以下、単に、塗布調整工程と称する場合がある。)
(2)混合溶媒を蒸発させるとともに、粘着剤を相分離させて、表面に平坦な縁部分を備えた点状物を形成する工程(以下、単に、相分離工程と称する場合がある。)
すなわち、このように実施することにより、粘着剤と、混合溶媒と、の間の相分離現象を利用して、シート基材上の粘着剤層として容易に構成できるとともに、所定形状の点状物の形状、高さ、大きさ等も容易に制御することができる。
また、このような乾燥温度の条件下で実施すれば、基材が熱損傷するおそれが少ないばかりか、混合溶媒の乾燥速度が調整しやすくなり、それによって、所定形状の点状物を安定的に形成することができる。
従って、粘着シートを被着体に対して、所望位置に貼り付けられなかった場合であっても、容易に貼り直すことができる一方、所望位置に貼り付ける際には、容易に変形する点状物を備えた粘着シートを効率的に製造することができる。
1.塗布調整工程
まず、粘着剤等の配合材料を均一に混合し、粘着剤層形成用の塗布液を調製する。
ここで、粘着剤の種類としては、上記したように、公知のものを好ましく用いることができる。例えば、アクリル系粘着剤、天然ゴム又は合成ゴムからなるゴム系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等があげられる。
また、粘着剤における粘着性の制御のために、粘着付与樹脂や架橋剤を混合することも好ましい。
また、混合溶媒の種類としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、エチルセロソルブ、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等の二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらの溶剤のうち、粘着剤の良溶媒と、非水系貧溶媒と、からなる混合溶媒を使用することを特徴とする。
そして、粘着剤の良溶媒と、粘着剤に対する溶解度パラメータ(SP値)の差が3.5〜12の範囲である非水系貧溶媒と、を含む混合溶媒を使用することが好ましい。
すなわち、粘着剤の良溶媒を飛散させた後、粘着剤と、混合溶媒に含まれる非水系貧溶媒と、の間で生じる相分離現象を利用して、粘着シート上に、粘着剤層として、所定形状の点状物を容易に形成するためである。
したがって、粘着剤に対する溶解度パラメータの差が4〜10の範囲である非水系貧溶媒を含む混合溶媒を使用することがより好ましく、4.5〜9の範囲である非水系貧溶媒を含む混合溶媒を使用することがさらに好ましい。
また、粘着剤の良溶媒と、貧溶媒とからなる混合溶媒を使用するに際して、良溶媒の相対蒸発速度をV1とし、非水系貧溶媒の相対蒸発速度をV2としたときに、混合溶媒が、V1−V2>1.0の関係を満足することが好ましい。
この理由は、このように相対蒸発速度を考慮した混合溶媒を使用することにより、粘着剤層を構成する点状物の形状、高さ、大きさ等を容易に制御することができるためである。
但し、V1−V2の値が過度に大きくなると、使用可能な貧溶媒や非水系貧溶媒の種類が過度に制限される場合がある。
したがって、粘着剤の良溶媒と、貧溶媒とからなる混合溶媒を使用するに際して、混合溶媒が、3.5>V1−V2>1.1の関係を満足することがより好ましく、2.8>V1−V2>1.2の関係を満足することがさらに好ましい。
また、粘着剤の良溶媒と、貧溶媒とからなる混合溶媒を使用するに際して、粘着剤の固形分100重量部に対し、混合溶媒の添加量を50〜10,000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる混合溶媒の添加量が50重量部未満の値となると、加熱による混合溶媒の蒸発が速すぎて、粘着剤と、混合溶媒との間の相分離が不十分となり、所望の点状物を形成することが困難となる場合があるためである。
一方、かかる混合溶媒の添加量が10,000重量部を超えると、加熱による混合溶媒の蒸発に時間がかかりすぎて、粘着剤と、混合溶媒との間の相分離が不十分となり、所望の点状物を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、粘着剤100重量部に対して、混合溶媒の添加量を100〜5,000重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、150〜300重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、塗布液中に、所望により消泡剤やレベリング剤などの公知の添加剤を配合することができる。
また、塗布液における混合溶媒の添加量を、粘着剤と、混合溶媒(それに含まれる非水系貧溶媒)と、の間で生じる相分離現象との関係から定めることも好ましい。
すなわち、粘着剤の添加量をAとし、その良溶媒の添加量をBとし、非水系貧溶媒の添加量をCとしたときに、A/(A+B+C)で表される数値を、0.03〜0.18の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるA/(A+B+C)で表される数値が0.03未満の値になると、相分離現象自体は生じるものの、塗布液における固形分が過度に低下し、所定形状の点状物を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。
一方、かかるA/(A+B+C)で表される数値が0.18を超えた値になると、相分離現象が生じにくくなる場合があるためである。
したがって、A/(A+B+C)で表される数値が0.04〜0.15の範囲内の値となるように、塗布液における混合溶媒の添加量を定めることがより好ましく、0.05〜0.10の範囲内の値となるように、塗布液における混合溶媒の添加量を定めることがさらに好ましい。
さらに、混合溶媒における良溶媒の添加量と、非水系貧溶媒の添加量との比率を、相分離現象との関係から定めることも好ましい。
すなわち、粘着剤の良溶媒の添加量をBとし、非水系貧溶媒の添加量をCとしたときに、B/Cで表される数値を、0.08〜0.8の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるB/Cで表される数値が0.08未満の値になると、相分離現象自体は生じるものの、所定形状の点状物を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。
一方、かかるB/Cで表される数値が0.8を超えた値になると、相分離現象が生じにくくなる場合があるためである。
したがって、B/Cで表される数値が0.09〜0.6の範囲内の値となるように、混合溶媒における良溶媒の添加量と、非水系貧溶媒の添加量を定めることがより好ましく、0.1〜0.4の範囲内の値となるように、混合溶媒における良溶媒の添加量と、非水系貧溶媒の添加量を定めることがさらに好ましい。
また、図6(a)に示すように、シート基材604を準備した後、図6(b)に示すように、調整された粘着剤を含む塗布液602´を塗工することが好ましい。その場合、乾燥前の塗布厚さが50〜200μmとなるように塗工し、好ましくは30〜150μmになるように塗工することが好ましい。
この理由は、かかる乾燥前の塗布厚さが50μm未満となると、相分離現象が生じにくくなる場合があるためである。
一方、かかる乾燥前の塗布厚さが200μmを超えると、相分離現象自体は生じるものの、所定形状の点状物を安定的に形成することが困難になる場合があるためである。
また、塗布方法についても特に制限されるものではないが、公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などを用いることができる。
2.相分離工程
次いで、図6(c)に示すように、塗工した塗布液602´を加熱し、まず、混合溶媒の一部(良溶媒)を優先的に蒸発させる。それにより、粘着剤と、残留溶剤(貧溶媒)とを相分離させるとともに、点状物602aを形成することが好ましい。
すなわち、混合溶媒中の一部の溶剤を加熱して蒸発させるとともに、粘着剤と、残留溶剤としての非水系貧溶媒と、を非相溶状態となし、相分離させるとともに、粘着剤からなる点状物を形成するものである。
また、混合溶媒を蒸発させる際の乾燥温度を20〜70℃未満の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる加熱温度が20℃未満の値となると、混合溶媒の蒸発の制御が不十分となる場合があるためである。一方、かかる加熱温度が70℃以上になると、混合溶媒の蒸発速度が速すぎて、粘着剤の相分離が困難となる場合があるためである。
すなわち、このような乾燥温度の範囲内においては、加熱温度は、粘着剤と、残留溶剤としての非水系貧溶媒と、が非相溶状態となって、容易かつ安定的に相分離できるためである。
したがって、基材が熱損傷するおそれが少ないばかりか、混合溶媒の乾燥速度が調整しやすくなって、所定形状の点状物をさらに安定的に形成することができることから、加熱温度を25〜70℃未満の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜50℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、相分離工程における加熱温度は、多段階の条件とすることが好ましい。
具体的には、前期段階として、加熱温度を、30〜70℃未満の範囲内の値とし、所定時間を経過後、さらに、後期段階として、加熱温度を、80〜150℃の範囲内の値として、所定時間加熱することが好ましい。
この理由は、比較的蒸発しにくい溶剤を用いた場合であっても、粘着剤シートから、ほぼ完全に溶剤を除去することができるためである。
以下、実施例を参照しながら、本発明の粘着シートを詳細に説明する。但し、言うまでもなく、本発明の技術的範囲は、以下の実施例の記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.粘着シートの作成
粘着剤(A)として、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレート:アクリル酸=90:10(重量比)、SP値=9.2)と、良溶媒(B)(SP値=9.1、相対蒸発速度=4.2)として、酢酸エチル(相対蒸発速度=4.2)と、貧溶媒(C)として、エタノール(SP値=12.7、相対蒸発速度=1.5)と、エポキシ系架橋剤E−AX(綜研化学社製)を準備した。
次いで、容器内に、粘着剤(A)100重量部に対して、良溶媒(B)を194重量部と、貧溶媒(C)を1700重量部と、エポキシ系架橋剤1重量部を添加し、均一になるまで攪拌した。すなわち、A/(A+B+C)の重量比が、約0.05であり、かつB/Cの重量比が約0.11である塗布液を調整した。
次いで、得られた塗布液を、シート基材である厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、ナイフコート法により、ウエット状態の厚さが100μmとなるように塗布した。それを温度30℃、2分間の条件で、加熱乾燥して、粘着剤層として、所定形状の点状物(高さ:20μm、円筒形、縁部分の平均幅:約10μm)を備えた粘着シートを作成した。
2.粘着シートの評価
(1)相分離性(評価1)
粘着シートにおける粘着剤層を顕微鏡観察し、以下の基準に準拠して評価した。
◎:所定形状の点状物が、全面的かつ安定的に形成されている。
○:所定形状の点状物が、ほぼ全面的に形成されている。
△:所定形状の点状物が、部分的に形成されている。
×:所定形状の点状物が、ほとんど形成されていない。
(2)空気巻き込み防止性(評価2)
粘着シートを被着体(厚さ2mm、30cm×30cm角のガラス板)に貼り付ける際、粘着シートと被着体との間に巻き込まれた空気を外部に逃がすように粘着シートを貼り付けることができるか否かを、粘着シートの貼り付け状態を目視で観察することにより、以下の基準に準拠して評価した。
◎:空気の巻き込みが、全く観察されない。
○:空気の巻き込みが、ほとんど観察されない。
△:空気の巻き込みが、少々観察される。
×:空気の巻き込みが、顕著に観察される。
(3)ふくれ防止性(評価3)
粘着シートを軽く押圧して貼り付けた被着体(厚さ2mm、30cm×30cm角のアクリル板)を35℃に加熱した状態で長時間(7日間)放置した。その後、粘着剤層と被着体との間に発生したガスにより気泡が発生しているか否か、粘粘着シートの外観を目視で観察することにより、以下の基準に準拠して評価した。
◎:発生ガスによる気泡が、全く観察されない。
○:発生ガスによる気泡が、ほとんど観察されない。
△:発生ガスによる気泡が、少々観察される。
×:発生ガスによる気泡が、顕著に観察される。
(4)位置調整性(評価4)
粘着シートを被着体(厚さ2mm、30cm×30cm角のガラス板)に軽く貼り付け、その後この粘着シートを容易に剥離して貼り直すことができるか否かの位置調整性を、以下の基準に準拠して評価した。
◎:容易に位置調整することができる。
○:ほぼ容易に位置調整することができる。
△:容易ではないが、位置調整することができる。
×:位置調整するのが、困難である。
(5)外観性(評価5)
粘着シートを被着体(厚さ2mm、30cm×30cm角のガラス板)に押圧して貼り付けた際に、粘着シートを介して認識される粘着剤層の凹凸パターンが目立つか否かの外観性を、以下の基準に準拠して評価した。
◎:全く目立たない。
○:ほとんど目立たない。
△:少々目立つ。
×:顕著に目立つ。
[実施例2]
実施例2では、貧溶媒(C)として、エタノールの代わりに、メタノール(SP値=14.7、相対蒸発速度=1.9)を用いた以外は、実施例1と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[実施例3]
実施例3では、粘着剤(A)として、アクリル系粘着剤の代わりに、シリコーン系粘着剤(SP値=7.5)を用いた以外は、実施例1と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[実施例4]
実施例4では、良溶媒(B)である酢酸エチルを208重量部と、貧溶媒(C)であるエタノールを1220重量部と、を添加し、A/(A+B+C)の重量比が、約0.065であり、かつB/Cの重量比が約0.17である塗布液を調整した以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[実施例5]
実施例5では、良溶媒(B)である酢酸エチルを199重量部と、貧溶媒(C)であるエタノールを710重量部と、を添加し、A/(A+B+C)の重量比が、約0.099であり、かつB/Cの重量比が約0.28である塗布液を調整した以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[実施例6]
実施例6では、塗布液の乾燥温度を45℃とした以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[実施例7]
実施例7では、塗布液の乾燥温度を60℃とした以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[実施例8]
実施例8では、得られた塗布液を、ナイフコート法により、ウエット状態の厚さが150μmとなるように塗布した以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
[比較例1]
比較例1では、貧溶媒(C)として、エタノールの代わりに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM、SP値=10.5、相対蒸発速度=0.7)を用いた以外は、実施例1と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、粘着剤(A)と、貧溶媒(C)との間のSP値差が小さいためと思われるが、十分な相分離現象が発現せず、所定形状の点状物が形成されずに、均一な厚さの塗布膜となった。
[比較例2]
比較例2では、良溶媒(B)として、酢酸エチルの代わりに、トルエン(SP値=8.9、相対蒸発速度=2.0)を用いた以外は、実施例1と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、トルエンの相対蒸発速度が小さく、貧溶媒との蒸発速度差が小さいためと思われるが、十分な相分離現象が発現せず、そのため、所定形状の点状物が形成されずに、均一な厚さの塗布膜となった。
[比較例3]
比較例3では、良溶媒(B)として、酢酸エチルの代わりに、トルエン(SP値=8.9、相対蒸発速度=2.0)を用いた以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、トルエンの相対蒸発速度が小さく、貧溶媒との蒸発速度差が小さいためと思われるが、十分な相分離現象が発現せず、そのため、所定形状の点状物が形成されずに、均一な厚さの塗布膜となった。
[比較例4]
比較例4では、貧溶媒(C)として、エタノールの代わりに、水(SP値=23.4、相対蒸発速度=0.4)を用いた以外は、実施例1と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、粘着剤(A)とSP値が離れすぎているためと思われるが、混合溶媒を調合する段階で相分離現象が発生し、不均一な混合溶媒となった。よって、均一に塗工することができず、粘着シートとして評価をすることができなかった。
[比較例5]
比較例5では、良溶媒(B)である酢酸エチルを184重量部と、貧溶媒(C)であるメタノールを216重量部と、を添加し、A/(A+B+C)の重量比が、0.200であり、かつB/Cの重量比が約0.85である塗布液を調整した以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、粘着剤としての固形分が多いためと思われるが、十分な相分離現象が発現せず、そのため、所定形状の点状物がほとんど形成されずに、均一な厚さの塗布膜となった。
[比較例6]
比較例6では、良溶媒(B)である酢酸エチルを189重量部と、貧溶媒(C)であるメタノールを3144重量部と、を添加し、A/(A+B+C)の重量比が、約0.029であり、かつB/Cの重量比が約0.06である塗布液を調整した以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、固形分が少なすぎるためと思われるが、所定高さを有し、かつ所定の縁部を備えた点状物がほとんど形成されなかった。
[比較例7]
比較例7では、乾燥温度を70℃とした以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、乾燥温度が高く、蒸発速度が速くなり、相分離時間が短くなったためと思われるが、十分な相分離現象が発現せず、そのため、所定形状の点状物がほとんど形成されなかった。
[比較例8]
比較例8では、得られた塗布液を、ナイフコート法により、ウエット状態の厚さが30μmとなるように塗布した以外は、実施例2と同様に、粘着シートを作成して、評価した。
しかしながら、塗布厚さが薄く、相分離時間が短くなったためと思われるが、十分な相分離現象が発現せず、そのため、所定形状の点状物がほとんど形成されなかった。
以上、詳述したように、本発明によれば、相分離現象を利用して、位置合わせの際には、押圧変形が少ない一方、本位置合わせの際には、容易に押圧変形しやすい所定形状の点状物を規則的または不規則的に備えた粘着シートおよびその製造方法を提供することができるようになった。
より具体的には、本発明の粘着シートによれば、粘着剤層が、混合溶媒からの相分離現象を利用してなる所定形状の点状物と構成することにより、空気の巻き込みが少ない一方、粘着シートの貼り付け位置を容易に調整することができ、しかも、粘着剤層の凹凸パターンに影響されて、装飾的な商品価値が低下するおそれが少ない粘着シートを提供できるようになった。
また、本発明の粘着シートの製造方法によれば、粘着剤層を、混合溶媒からの相分離現象を利用してなる所定形状の点状物と構成することにより、空気の巻き込みが少ない一方、粘着シートの貼り付け位置を容易に調整することができ、しかも、粘着剤層の凹凸パターンに影響されて、装飾的な商品価値が低下するおそれが少ない粘着シートを効率的に生産できるようになった。
よって、本発明によれば、使い勝手が良く、外観性に優れているばかりか、生産効率が高く、かつ、安価なマーキングフィルム等として、ウインドウ、建材、自動車、ディスプレイ機器、電気製品、機械装置などに、幅広く使用される粘着シートを提供することができる。
図1は、本発明の粘着シートの構造を示す図である。 図2は、本発明の別の粘着シートの構造を示す図である。 図3は、本発明の粘着シートの平面写真である(その1)。 図4は、本発明の粘着シートの平面写真である(その2)。 図5は、本発明の粘着シートの平面写真である(その3)。 図6は、本発明の粘着シートの製造方法を示す図である。 図7は、従来の粘着シートの構造を示す図である。
符号の説明
100、200:粘着シート
102、202:粘着剤層
102a、202a、602a:点状物
102b、202b、602b:縁部分
102c、202c、602c:空洞
104、604:シート基材
202d:連続層
602´:塗布液

Claims (7)

  1. シート基材上に、相分離現象に由来した粘着剤層が設けてある粘着シートであって、
    前記粘着剤層が、上部表面に、平坦な縁部分を備えた点状物であることを特徴とする粘着シート。
  2. 前記点状物が実質的に筒状であって、その内部に、空洞を有するとともに、その周囲壁の先端に、前記縁部分を備えることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記点状物の平面形状が、実質的に円形又は不定形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記点状物の高さを5〜200μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記点状物における縁部分の幅を0.5〜10μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 前記粘着剤層が、その一部として、隣接する点状物の底部を実質的に連結する連続層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
  7. シート基材上に、相分離現象に由来した粘着剤層が設けてある粘着シートの製造方法であって、
    前記粘着シートを構成する粘着剤と、この粘着剤の良溶媒及び非水系貧溶媒からなる混合溶媒であって、粘着剤に対する溶解度パラメータの差が3.5〜12の範囲である非水系貧溶媒を含み、かつ前記良溶媒の相対蒸発速度をV1とし、前記非水系貧溶媒の相対蒸発速度をV2としたときに、V1−V2>1.0の関係を満足する混合溶媒と、を含有する塗布液を、シート基材上に塗布する工程と、
    前記混合溶媒を乾燥温度を20〜70℃未満の範囲内で蒸発させるとともに、粘着剤を相分離させて、上部表面に、平坦な縁部分を備えた点状物を形成する工程と、を含むことを特徴とする粘着シートの製造方法。
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