JP2009053491A - ディスプレイ用フィルターの製造方法 - Google Patents

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慶二 岩永
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昌 鍬形
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Abstract

【課題】近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤の耐光性の向上と、表示パネルやガラス板に対する剥離性とを両立することができ、かつ耐衝撃性に有効な紫外線硬化型粘着剤層を積層してなるディスプレイ用フィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層を有するフィルター用部材に紫外線硬化型粘着剤層を積層してなるディスプレイ用フィルターの製造方法であって、下記(a)、(b)および(c)を少なくとも含有する紫外線硬化性組成物を別の基材に塗布し紫外線を照射して紫外線硬化型粘着剤層を形成する工程と、前記紫外線硬化型粘着剤層をフィルター用部材に貼合する工程とを少なくとも有することを特徴とする紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマー
(b)水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマー
(c)重合開始剤
【選択図】なし

Description

本発明は、密着性、剥離性および耐光性に優れた紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法に関する。
フラットパネルディスプレイとして、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが、家庭用ディスプレイや携帯電話用ディスプレイとして普及している。これらのディスプレイには、通常、表示パネルの保護や反射防止などを目的としたディスプレイ用フィルターが装着されている。
ディスプレイ用フィルターの他の目的として、表示パネルの色補正、表示パネルから発生する近赤外線や不要可視光の吸収がある。これらの機能をディスプレイ用フィルターに付与するために、近赤外線や可視光を吸収する吸収剤が用いられている。これらの吸収剤としては、有機系色素や有機系顔料などの有機系吸収剤、無機金属からなる無機系吸収剤が知られている。有機系吸収剤は少量で高い吸収性が得られるが、その反面、耐光性に劣るという問題がある。有機系吸収剤が劣化すると、ディスプレイ用フィルターの近赤外線や可視光の吸収特性が変化したり、ディスプレイ用フィルター自体の色調が変化するという不都合が生じる。
一方、ディスプレイ用フィルターに衝撃吸収性能を付与することが行われている。この一つの手段として、比較的厚みの大きい粘着剤層を用いることが知られている。この粘着剤層を介して表示パネルに直接にディスプレイ用フィルターを装着することによって表示パネルを保護するというものである。また、表示パネルにガラス板を介してディスプレイ用フィルターが装着される場合でも、ディスプレイ用フィルターに耐衝撃性を付与することによってガラス板の厚みを薄くできるという利点がある。
比較的厚みの大きい粘着剤層を形成する場合、溶剤系の粘着剤は塗工後の乾燥に多くの時間がかかるので生産性に不利である。これに対して紫外線硬化型粘着剤は無溶剤での塗工が可能であり、生産性に有利である。
ディスプレイ用フィルターに粘着剤層を積層する方法として、ディスプレイ用フィルターに直接に塗工して積層する方法、他の基材(離型フィルム)に一旦塗工し、ディスプレイ用フィルターに転写して積層する方法がある。
上記したように、近赤外線や可視光を吸収する有機系吸収剤を含有するディスプレイ用フィルターに紫外線硬化型粘着剤を直接に塗工して積層する方法は、塗工された粘着剤を硬化させるための紫外線が粘着剤を通してディスプレイ用フィルターに照射され、それによって有機系吸収剤の劣化が助長されることが判明した。すなわち、有機系吸収剤に比較的強い紫外線を一時的に照射すると、その後の時間経過によって劣化しやすくなることが分かった。
一方、後者の粘着剤層を転写して積層する方法は、前者の直接に塗工して積層する方法に比べて、ディスプレイ用フィルターと粘着剤層との接着性が劣ることが分かった。特にウレタン系の紫外線硬化型粘着剤はその傾向が強く現れる。
表示パネルやガラス板にディスプレイ用フィルターを接着した後、異物噛み込みや位置ズレなどによってディスプレイ用フィルターを剥離する必要が生じることがあるが、ディスプレイ用フィルターと粘着剤層の接着力が十分でないと、粘着剤が表示パネルやガラス板側に残留するという剥離性の問題が生じる。この剥離性の問題は、特に表示パネルに粘着剤が残留すると高価な表示パネルが再利用(リワーク性)できなくなるという不都合を招く。
ディスプレイ用フィルターの粘着剤として、ウレタン系アクリレート化合物を含む紫外線硬化型粘着剤を用いることが知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。しかしながら、これらの特許文献に開示されている技術では、上述した近赤外線や可視光を吸収する有機系吸収剤の耐光性と表示パネルやガラス板との剥離性とを十分に満足することはできなかった。
特開2000−63767号公報 特開2006−171261号公報 特開2007−156205号公報
したがって、本発明の目的は、近赤外線や可視光を吸収する有機系吸収剤の耐光性の向上と、表示パネルやガラス板に対する剥離性とを両立することができ、かつ耐衝撃性に有効な紫外線硬化型粘着剤層を積層してなるディスプレイ用フィルターの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
(1)近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層を有するフィルター用部材に紫外線硬化型粘着剤層を積層してなるディスプレイ用フィルターの製造方法であって、下記(a)、(b)および(c)を少なくとも含有する紫外線硬化性組成物を別の基材に塗布し紫外線を照射して紫外線硬化型粘着剤層を形成する工程と、前記紫外線硬化型粘着剤層をフィルター用部材に貼合する工程とを少なくとも有することを特徴とする、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマー
(b)水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマー
(c)重合開始剤
(2)前記紫外線硬化性組成物が、さらに(d)を含有することを特徴とする、前記(1)に記載の紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
(d)ポリエステルポリオールから合成され、かつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー
(3)前記紫外線硬化性組成物が、さらに(e)を、前記(b)成分100質量%に対して20〜500質量%含有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
(e)水酸基およびカルボキシ基を有しないアクリレートモノマー
(4)前記紫外線硬化型粘着剤層の厚みが50〜2000μmであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法により、近赤外線や可視光を吸収する有機系吸収剤の耐光性の向上、表示パネルやガラス板に対する剥離性の向上、および耐衝撃性の向上が図られる。
上述したように、近赤外線や可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層を有するフィルター用部材における、紫外線硬化型粘着剤層の積層には、転写積層方式が有効であることを見いだした。また、詳細は後述するが、ディスプレイ用フィルターに耐衝撃性を付与するためには、ある程度の厚み(例えば、後述するように好ましくは50μm以上)の粘着剤層を設けるのが好ましく、有機溶剤をあまり含まないでも比較的厚塗りすることができるという観点から、本発明はウレタンプレアクリレートプレポリマーを含有する紫外線硬化性組成物を用いる。
ウレタンアクリレートプレポリマーを合成するための原材料としては、原材料コストや合成コストの観点からポリエーテルポリオールが従来から一般的に用いられている。しかしながら、後述する実施例からも分かるように、ポリエーテルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマーを用いた紫外線硬化型粘着剤層は、フィルター用部材に直接に塗工して積層する方法では接着性の問題は起こらないが、転写積層方式ではフィルター用部材との接着力が十分に得られず、表示パネルやガラス板に粘着剤が残留することが分かった。
上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマーと、(b)水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマー、を組み合わせた紫外線硬化性組成物を、塗布・紫外線照射して得られる紫外線硬化型粘着剤層を用いることによって、フィルター用部材との接着力が向上し、表示パネルやガラス板に対する剥離性が改善することを見いだし、本発明を成すに至った。
本発明の紫外線硬化性組成物は、(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマー、(b)水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマー、および(c)重合開始剤を少なくとも含有する。さらに、本発明の紫外線硬化性組成物は、上記(a)、(b)、(c)を含有する組成物に、さらに(d)ポリエステルポリオールから合成され、かつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー、を含有させるのが好ましく、さらには(e)水酸基およびカルボキシ基を有しないアクリレートモノマー、を含有させるのが好ましい。
以下、本発明の紫外線硬化性組成物に用いられる各成分について詳細に説明する。
本発明にかかる(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマーは、例えば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られた、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、さらにアクリレート化合物を反応させて、分子末端のイソシアネート基をアクリル変性することによって得られる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合型ポリエステルポリオール、付加重合ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。縮合型ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール、ダイマー酸ジオール、ポリエチレングリコールなどのジオール化合物と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸などの有機多塩基酸との縮合反応によって得られるものが挙げられる。付加重合ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールの直接ホスゲン化、ジフェニルカーボネートによるエステル交換法などによって合成されるものが挙げられる。本発明においては、縮合型ポリエステルポリオールが好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
ウレタンプレポリマーの分子末端のイソシアネート基をアクリル変性するために用いられるアクリレート化合物としては、アクリレート基もしくはメタクリレート基と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、もしくはアミド基などのイソシアネート基と反応しうる官能基とを有する化合物などが挙げられる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、特にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物が好ましく用いられる。
本発明に用いられる(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマーの分子量(重量平均分子量)は、耐衝撃性、粘度などの観点から1万〜5万の範囲のものが好ましい。上記範囲の分子量の(a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマーを用いることによって、耐衝撃性に優れ、塗布に好適な粘度の組成物が得られる。
上記(a)成分は、紫外線硬化性組成物100質量%に対して10〜80質量%の範囲の範囲で含有させることが好ましく、特に20〜70質量%の範囲が好ましい。
前記(b)成分の水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマーは、フィルター用部材や表示パネルなどの被着物との接着性向上に寄与する。したがって、フィルター用部材との接着性向上はもとより、表示パネルやガラス板に対しても適度な接着性を付与するという効果がある。また、上記(b)成分の水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマーとしては、単官能もしくは2官能のアクリレート化合物を用いることができるが、重合収縮の発生程度の軽減、および硬化物の硬度が高くなりすぎないように調整するという観点から、単官能のアクリレート化合物が好ましい。
上記(b)成分の水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、2−ヒドロキシブチルアクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマーの中でも、特にカルボキシ基を有するアクリレートモノマーが、フィルター用部材との接着性を向上させるという観点から好ましい。
上記(b)成分は、紫外線硬化性組成物100質量%に対して5〜70質量%の範囲で含有させることが好ましく、10〜60質量%の範囲で含有させるのがより好ましく、特に20〜50質量%の範囲が好ましい。
前記(c)成分の重合開始剤としては、市販のものを広く使用することができるが、以下に示すような重合開始剤が好ましく用いられる。例えば、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタールなどのアセトフェノン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチルなどのベンゾフェノン系、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンなどのヒドロキシアルキルフェノン系、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントンなどのチオキサントン系、トリエタノールアミン、4−ジメチル安息香酸エチルなどのアミン系が挙げられる。これらの(c)成分の重合開始剤は、単独でまたは2種類以上組合せて用いることができる。
上記(c)成分の重合開始剤は、紫外線硬化性組成物100質量%に対して0.1〜10質量%の範囲で含有させることが好ましく、特に0.3〜5質量%の範囲が好ましい。
本発明の紫外線硬化性組成物は、さらに(d)ポリエステルポリオールから合成され、かつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー、を含有するのが好ましい。上記の(d)成分のポリエステルポリオールから合成されかつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマーは、ディスプレイ用フィルターや表示パネルなどの被着物との接着性向上に寄与する。したがって、ディスプレイ用フィルターとの接着性向上はもとより、表示パネルやガラス板に対しても適度な接着性を付与するという効果がある。
上記(d)成分のポリエステルポリオールから合成されかつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマーは、上記(a)成分100質量%に対して10〜200質量%の範囲で含有させることが好ましく、20〜100質量%の範囲で含有させるのがより好ましい。
上記(d)成分のポリエステルポリオールから合成されかつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマーは、例えば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られた、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、さらに多価カルボン酸、オキシカルボン酸、あるいは多価アルコールなどを反応させることによって得られる。
上記(d)成分の合成に用いられるポリエステルポリオールおよびポリイソシアネート化合物は、前述の(a)成分の説明で例示したものが用いられる。上記の多価カルボン酸、オキシカルボン酸、および多価アルコールについて以下に説明する。
多価カルボン酸としては特に限定されないが、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ダイマー酸、エタン−1,1,2−トリカルボン酸、ヘキサン−2,3,5−トリカルボン酸などの有機酸が好適に用いられるが、他の成分との相溶性の面からジカルボン酸が好ましい。
オキシカルボン酸としては、乳酸、グリコール酸、トリオキシ酪酸、トリオキシ吉草酸、トリオキシヘキサン酸、グルコン酸などの有機酸が好適に用いられる。これらの酸は,溶剤または可塑剤などに溶解して使用しても良い。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールを好ましく用いることができる。中でも、他の成分との相溶性や吸水安定性の面から1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオールなどのジオールが特に好ましい。
上記の(d)成分であるポリエステルポリオールから合成されかつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、前述した(a)成分と同様な理由から、1万〜5万の範囲のものが好ましい。
また、上記した(a)成分を合成するに際し、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの分子末端のイソシアネート基を、アクリレート変性するときに、イソシアネート基の一部をカルボキシ基もしくは水酸基で変性することによって、(d)成分(分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー)を含む(a)成分のウレタンアクリレートプレポリマーを得ることができる。この(d)成分を含む(a)成分のウレタンアクリレートプレポリマーも、(a)成分として好ましく用いることができる。
上記の(d)成分を含む(a)成分は、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、アクリレート化合物と、多価カルボン酸、オキシカルボン酸および多価アルコールから選ばれる少なくとも一種とを反応させることによって得られる。ここで、アクリレート化合物、多価カルボン酸、オキシカルボン酸および多価アルコールは、前述と同じものを用いることができる。
上記(d)成分を含む(a)成分のウレタンアクリレートプレポリマーにおいて、分子末端アクリレート比率は、全末端の50〜90%であるのが好ましく、かかる分子末端アクリレート比率は、アクリレート化合物と、多価カルボン酸、オキシカルボン酸および多価アルコールから選ばれる少なくとも一種の化合物との仕込み比率を調整することによって、あるいは仕込み順序と仕込み時間を調整することによって調整することができる。上記の分子末端アクリレート比率は、(d)成分を含む(a)成分のウレタンアクリレートプレポリマーの酸価もしくは水酸基価を滴定法などで求め、得られた酸価もしくは水酸基価と分子量から算出することができる。
本発明の紫外線硬化性組成物において、(b)成分の水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマーに加えて、(e)水酸基およびカルボキシ基を有しないアクリレートモノマーを含有させるのが好ましい。アクリレートモノマーとして上記(b)成分のみを用いた場合、組成物の粘度が上昇する傾向にあり、上記(e)成分を加えることによって粘度が適度に調整されやすく、良好な塗工性を確保しやすくなる。また、(e)成分のモノマーは、b)成分のモノマーによって表示パネルやガラス板との接着性が強くなりすぎるのを調整する効果がある。上記(e)成分の配合比率は、(b)成分100質量%に対して20〜500質量%の範囲で含有させることが好ましく、特に40〜400質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
上記(e)成分の水酸基およびカルボキシ基を有しないアクリレートモノマーとしては、例えば、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、シクロステアリル(メタ)アクリレート、シクロラウリル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
本発明の紫外線硬化性組成物には、必要に応じて可塑剤を加えることもできる。かかる可塑剤としては、安息香酸ベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチルベンジル、フタル酸ジオクチル、ブチルフタリルブチルグリコレートなどのフタル酸系化合物、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチルなどのアジピン酸系化合物、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸系化合物、リン酸トリエチレン、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルフェニルなどのリン酸化合物、ジオクチルセバケート、メチルアセチルリシノレートなどの脂肪酸系化合物、ジイソデシル−4,5−エポキシテトラヒドロフタレートなどのエポキシ系化合物、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリn−オクチル、トリメリット酸トリイソデシルなどのトリメリット酸系化合物、その他オレイン酸ブチル、塩素化パラフィン、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリブテン、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
さらに、本発明の紫外線硬化性組成物には必要に応じて各種の重合禁止剤を添加することもできる。かかる重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ベンゾキノン、p−t−ブチルカテコール、2,6−ジブチル−4−メチルフェノールなどを用いることができる。また、必要に応じて、上記以外の各種添加剤、たとえば、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色防止剤、顔料、染料などを用いることもできる。
本発明の紫外線硬化性組成物には、粘度の調整や重合開始剤などの固形物の分散および溶解のために、有機溶媒などの溶媒を用いても良いが、特に有機溶媒(有機溶剤)は作業者に対する有害性、火災の危険性、環境汚染、乾燥速度および溶剤の浪費などの観点から、その添加量は少ない方が好ましく、例えば、紫外線硬化性組成物100質量%に対して0質量%以上5質量%以下が好ましい。本発明においては、無溶媒であることが特に好ましい。
従来から、紫外線硬化性組成物としてアクリル系プレポリマーを用いることが知られている。かかる組成物を硬化せしめた硬化物(粘着剤)の弾性率を適度に高めて良好な耐衝撃性を得るためには、分子量の高い(例えば、分子量10万以上)アクリル系プレポリマーを用いる必要がある。しかしながら、高分子量のアクリル系プレポリマーは粘度が高く、該アクリル系プレポリマーを用いた組成物は高粘度になるので、該組成物に塗布適性を持たせるためには該組成物を比較的多量の溶剤で希釈して粘度を下げる必要がある。このような溶剤を含有する組成物を基材に塗布した後、紫外線を照射して硬化するには、事前に塗布物の溶剤を蒸発させなければならず、そのための乾燥工程が必要となり、その結果、製造設備の肥大化および生産効率の低下という不利益の要因となっていた。
これに対して、本発明のウレタン系プレポリマーは、比較的低分子量(上記したように、好ましくは1万〜5万)であっても適度に高弾性の硬化物が得られるという特長を持つ。したがって、かかるウレタン系プレポリマーを用いた本発明の紫外線硬化性組成物の粘度は、上記した従来から知られる高分子量のアクリル系プレポリマーを用いた組成物に比べて、組成物の粘度が大幅に低く、溶剤で希釈しなくとも塗布適性が得られるので、実質的に溶剤の乾燥工程は不要となる。また、塗布方式の種類、塗布速度、塗布膜厚などの条件によっては粘度調整の必要な場合が生じることが予想されるが、たとえ、粘度調整が必要な場合であっても、本発明のウレタン系プレポリマーを用いた組成物は、従来から知られるアクリル系プレポリマーを用いた組成物に比べて、少量の溶剤量で粘度調整が可能となるので、乾燥効率の点で有利である。
本発明にかかるディスプレイ用フィルターの製造方法は、予め近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層を有するフィルター用部材に対して紫外線硬化型粘着剤層を積層してなるディスプレイ用フィルターの製造方法であって、上記の紫外線硬化性組成物を別の基材に塗布し、紫外線を照射して、紫外線硬化型粘着剤層を形成する工程、前記紫外線硬化型粘着剤層を、フィルター用部材に貼合する工程を、少なくとも有する。
上述した本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法は、フィルター用部材に直接的な紫外線照射を行わずに、紫外線硬化型粘着剤層をフィルター用部材に積層することができるので、フィルター用部材に予め含有する近赤外線や可視光を吸収する有機系吸収剤の劣化を抑えることができる。
以下、本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法について詳細に説明する。
上記紫外線硬化性組成物を別の基材に塗布する方法としては、スリットダイコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、ロールコーターなどの塗布方式を用いることができるが、中でも厚み均一性の良い塗膜が得られるスリットダイコーターが適している。
紫外線硬化型粘着剤層の厚みは、良好な耐衝撃性を得るという観点から、50μm以上が好ましく、75μm以上がより好ましく、特に100μm以上が好ましい。厚みの上限は、紫外線硬化性組成物の塗布適性、硬化速度などの生産性を考慮して、2000μm以下が好ましく、1000μm以下がより好ましく、特に500μm以下が好ましい。また、紫外線硬化型粘着剤層の厚みが大きくなると、視認性が低下するので、上記の上限である2000μmの厚みより大きくしないのが好ましい。紫外線硬化型粘着剤層の厚みは、例えば、紫外線硬化型粘着剤層が積層されたディスプレイ用フィルターの5箇所の拡大断面写真からそれぞれの厚みを求め、それらを平均することで得られる。
上記の方法で別の基材に塗布されて形成された塗布膜(本発明の紫外線硬化性組成物を含有する層)に、紫外線を照射して光重合により硬化させる場合は、窒素ガスなどの不活性ガスで置換して酸素の無い雰囲気中で行うか、または紫外線透過性フィルムによる被覆で空気と遮断した状態で行うのが望ましい。本発明で用いられる紫外線は、好ましくは波長200〜400nmの範囲の紫外線を用いるため、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプなどの紫外線を発するランプを用いることができる。
本発明において、紫外線硬化性組成物が塗布される別の基材としては、離型フィルムを用いることができる。離型フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムを用いることができる。また、離型フィルムの表面には、粘着剤層からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの処理が施されていることが好ましい。
本発明において、別の基材に形成された紫外線硬化型粘着剤層をフィルター用部材に貼合するための方法としては、公知の貼合方法を用いることができるが、特にニップロールを用いた加圧による貼合方法が好ましい。加圧による貼合を行うと貼合時に被着物と粘着剤層の間に気体を包み込むことなく貼合できるため、透光性を向上させることができる。本発明における貼合方法としては、上述の紫外線硬化型粘着剤層を形成した別の基材とフィルター用部材との貼合位置を調整し、二つのニップロール間にフィルター用部材と紫外線硬化型粘着剤が形成された別の基材とを通したのち、ニップロールで加圧しながら貼合する方法を用いることができる。
本発明において使用されるニップロールの材質としては、ゴムロール、ステンレススチール製研磨ロールおよびスポンジゴムロールが使用される。ゴムロールとしては、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)などからなり、その硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約60〜90度であるものが好ましく、より好ましくは約70〜80度のものであり、さらに、表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.1〜5Sであるものが好ましく、より好ましくは約0.5〜1であるものである。ステンレススチール製研磨ロールとしては、SUS304、SUS316などからなり、膜厚の均一化を図る上から、その表面粗さが、JIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約0.2〜1.0Sであるものが好ましく、またその動摩擦係数が約0.1〜0.4であるものが好ましく、より好ましくは約0.15〜0.35であるものである。本発明における動摩擦係数は、JIS K 7125の試験方法に準拠して、ポリビニルアルコール系フィルムと水中で測定した値で表す。スポンジゴムロールとしては、スポンジの硬度がJIS K 6301の試験方法で測定したJISショアCスケールで約20〜60度であるものが好ましく、より好ましくは約25〜50度のものであり、密度が約0.4〜0.6g/cm3 であるものが好ましく、より好ましくは約0.42〜0.57g/cm3 のものであり、および表面粗さがJIS B 0601(表面粗さ)の粗さ曲線の局部山頂の平均間隔Sで表して約10〜30Sであるものが好ましく、より好ましくは約15〜25Sであるものである。
本発明のディスプレイ用フィルターの製造方法において、フィルター用部材に紫外線硬化型粘着剤層が貼合される前に、フィルター用部材は予め可視光を選択的に吸収する有機系吸収剤を含有するものである。
本発明にかかる紫外線硬化型粘着剤層は、ディスプレイ用フィルターをディスプレイの表示パネルに直接、あるいはガラス板を介して装着するための粘着剤であり、ディスプレイ用フィルターの最表面に配置されるものである。ただし、紫外線硬化型粘着剤を保護するための離型フィルムなどは本発明のディスプレイ用フィルターの構成には含まれない。
通常、ディスプレイ用フィルターをディスプレイの表示パネルに直接、あるいはガラス板を介して装着するための粘着剤の積層は、ディスプレイ用フィルターの製造過程の最終工程で行われ、したがって、上記粘着剤が積層されるまでに、フィルター用部材(ここでフィルター用部材とは、ディスプレイ用フィルターを構成する各種機能、例えば、有機系吸収剤による近赤外線や可視光の吸収、後述する電磁波遮蔽機能、表面保護機能、光学機能などの機能を有する部材であり、ディスプレイ用フィルターにおいて紫外線硬化型粘着剤層を除いた部分を、言う。つまり本発明のディスプレイ用フィルターは、紫外線硬化型粘着剤層とフィルター用部材、で構成される。)には上記の各種機能が付与される。
本発明のディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)は、近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する。近赤外線吸収剤は、ディスプレイから発光される近赤外線を吸収するために含有し、可視光吸収剤は、ディスプレイから発光される不要発光を選択的に吸収して色純度や白色度を向上させるために、あるいは色補正のために含有する。
本発明における近赤外線の吸収については、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が5〜30%となるように有機系吸収剤の種類や含有量を調整するのが好ましい。近赤外線を吸収する有機系吸収剤としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物などの公知の有機系吸収剤を1種もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
可視光を吸収する有機系吸収剤としては、特に赤色発光の色純度を低下させるオレンジ光を遮蔽するために、波長580〜620nmの範囲に吸収を有する有機系吸収剤を含有することが好ましい。また、白色度を向上させるために波長480〜500nmに吸収を有する有機系吸収剤を含有するのも好ましく、また色調を調整するための色素を含有するのも好ましい。上記の可視光を吸収する有機系吸収剤として、公知の色素や顔料を用いることができる。例えば、シアニン系、オキソノール系、メチン系、テトラアザポルフィリン系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ピロメテン系、スクアリリウム系などの有機系色素や顔料などが挙げられる。
上記の有機系吸収剤の含有量は、例えば、580〜620nmの範囲に吸収を有する有機系吸収剤の場合は、上記波長範囲内における最大透過率が10〜40%となるように調整するのが好ましく、480〜500nmに吸収を有する有機系吸収剤の場合は、上記波長範囲内における最大透過率が20〜50%となるように調整するのが好ましい。
本発明において、近赤外線を吸収する有機系吸収剤あるいは可視光を吸収する有機系吸収剤は、それぞれ単独で用いることができるが、好ましくは両者の有機系吸収剤を組み合わせて用いることである。特に、近赤外線を吸収する有機系吸収剤と波長580〜620nmの範囲に吸収を有する有機系吸収剤とを併用するのが好ましい。
上記した有機系吸収剤をディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)に含有させる方法としては、以下の方法が挙げられる。
1)有機系吸収剤を分散あるいは溶解してアクリル樹脂などの樹脂と一緒に、ディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)を構成するプラスチックフィルム基材に塗工する方法、
2)ディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)が2枚のプラスチックフィルム基材からなる場合、例えば、後述する導電層を有するプラスチックフィルムと機能層を有するプラスチックフィルムとを粘着剤で貼合したディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)の場合、前記粘着剤に有機系吸収剤を含有させる方法、
3)ディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)を構成するプラスチックフィルム基材に直接に含有させる方法。
本発明のディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)は、基材として少なくとも1枚のプラスチックフィルム基材を用いるのが好ましい。本発明のディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)に用いられるプラスチックフィルム基材としては、以下に示すような樹脂からなるフィルムを用いることができる。かかる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂およびセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コストの観点およびディスプレイ用フィルターの剛性を確保するという観点から80〜250μmの範囲が特に好ましい。
本発明に用いられるプラスチックフィルムには、近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層、紫外線硬化型粘着剤層、あるいは後述する機能層、導電層などとの密着性(接着強度)を強化するための下引き層(プライマー層、易接着層)を設けることができる。ただし、本発明の紫外線硬化型粘着剤は、プラスチックフィルムに下引き層を設けなくとも十分な接着強度が得られる。
本発明のディスプレイ用フィルターには、さらに、表面保護機能および/または光学機能を有する機能層、導電層(電磁波遮蔽層)などを設けることができる。
表面保護機能を有する機能層としては、ハードコート層、防汚層などが挙げられ、光学機能を有する機能層としては、反射防止層、防眩層などが挙げられる。上記機能層は、単一層であっても複数層で構成されていてもよく、単一層で構成する場合は、上記した複数の機能を1つの層に付与してもよい。または、異なる複数の機能層を積層することもできる。以下にそれぞれの機能層について詳細に説明する。
表面保護機能を有する機能層の一つであるハードコート層は、傷防止のために設けられる層である。ハードコート層は硬度が高いことが好ましく、ハードコート層の表面硬度はJIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度で表すことができ、ハードコート層が設けられた側の表面(ハードコート層上に他の機能層を有する場合は他の機能層表面)を直接鉛筆で引っかくことによって鉛筆硬度を評価することができる。本発明におけるハードコート層が設けられた側の表面の鉛筆硬度は、1H〜9Hが好ましく、2H〜9Hがより好ましい。
ハードコート層としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、有機シリケート化合物、シリコーン系樹脂などを用いることができる。特に、硬度と耐久性などの点で、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂が好ましい。さらに、硬化性、可撓性および生産性の点で、活性エネルギー線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂からなるものが好ましい。
ハードコート層の厚みは、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μmである。ハードコート層の厚みが0.1μm未満の場合には十分硬化していても薄すぎるために、表面硬度が十分でなく、傷が付きやすくなる傾向にある。一方、ハードコート層の厚みが20μmを超える場合には、折り曲げなどの応力により、硬化膜にクラックが入りやすくなる傾向にある。
ハードコート層には、後述する反射防止層を構成する高屈折率層としての機能を付与することができる。ハードコート層の高屈折率化は、高屈折率の金属や金属酸化物の超微粒子を添加することにより図られる。
表面保護機能を有する機能層の一つである防汚層は、ディスプレイ用フィルターの表面を人が触ることによる油脂性物質の付着や環境からのごみや埃の付着を防止し、あるいは付着しても除去しやすくするための層である。防汚層としては、例えば、フッ素系コート剤、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤などが用いられる。防汚層の厚みは、1〜10nmの範囲が好ましい。
光学機能を有する機能層の一つである反射防止層は、ディスプレイの画像表示に影響を与える蛍光灯などの外光の反射や映り込みを防止するものである。反射防止層は、表面の視感反射率が5%以下であることが好ましく、4%以下がより好ましく、特に3%以下であることが好ましい。また、視感反射率に下限は特になく、0%であることが最も好ましいが、視感反射率は0.05%程度であれば十分である。ここで視感反射率は、分光光度計などを使用して可視領域波長(380〜780nm)の反射率を測定し、CIE1931システムに準じて計算された視感反射率(Y)である。
このような反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層とを低屈折率層が視認側になるように2層以上積層したものを用いることが好ましい。高屈折率層の屈折率は1.5〜1.7の範囲が好ましく、特に1.55〜1.69の範囲が好ましい。低屈折率層の屈折率は1.25〜1.49の範囲が好ましく、特に1.3〜1.45の範囲が好ましい。
高屈折率層を形成する材料としては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどを重合硬化させたもの、あるいはシリコーン系、メラミン系、エポキシ系の架橋性樹脂原料を架橋硬化させたものなどの有機系材料、酸化インジウムを主成分としこれに二酸化チタンなどを少量含ませたもの、あるいはAl2 3 、MgO、TiO2 などの無機系材料が挙げられる。これらの中でも、有機系材料が好ましく用いられる。
高屈折率層の厚みは、0.01〜20μmの範囲が好ましく、0.05〜10μmの範囲がより好ましい。
反射防止層を構成する低屈折率層は、含フッ素ポリマー、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル、含フッ素シリコーンなどの有機系材料、MgF2 、CaF2 、SiO2 などの無機系材料で構成することができる。低屈折率層の厚みは、0.01〜1μmの範囲が好ましく、0.02〜0.5μmの範囲がより好ましい。
光学機能を有する機能層の一つである防眩層は、画像のギラツキを防止するものであり、表面に微小な凹凸を有する膜が好ましく用いられる。防眩層としては、例えば、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂に粒子を分散させて支持体上に塗布および硬化させたもの、あるいは、熱硬化型樹脂または光硬化型樹脂を表面に塗布し、所望の表面状態を有する型を押し付けて凹凸を形成した後に硬化させたものなどが用いられる。防眩層は、ヘイズ値(JIS K 7136:2000年)が0.5〜20%であることが好ましい。防眩層の厚みは、0.01〜20μmの範囲が好ましい。
上記した反射防止機能と防眩機能はそれぞれ独立した層として設けても良く、また両者の機能を併せ持つ層として設けても良い。
前述したように、機能層は単一層であっても、複数層であってもよいが、単一層の場合は複数の機能を併せ持つのが好ましい。以下に複数の機能を併せ持った単一層を例示する。
a)反射防止性ハードコート層
b)防眩性ハードコート層
c)防眩性反射防止層
また、機能層を複数層で構成することも好ましく、以下に複数構成の機能層を例示する。なお、下記例示の複数構成においては、右側に記載の層が視認側に配置される(左側に記載の層が表示パネル側に配置される)。
d)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
e)高屈折率ハードコート層/低屈折率層
f)ハードコート層/防眩層
g)ハードコート層/防眩性反射防止層
h)ハードコート層/防汚層
i)ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層/防汚層
j)防眩性ハードコート層/防汚層
k)反射防止性ハードコート層/防汚層
導電層は、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するための層である。導電層の面抵抗値は、低い方が好ましく、10Ω/□以下が好ましく、5Ω/□以下がより好ましく、特に3Ω/□以下が好ましい。面抵抗値の下限値は0.01Ω/□程度である。導電層の面抵抗値は、4端子法により測定することができる。導電層としては、導電性薄膜あるいは導電性メッシュが用いられる。
導電性薄膜としては、金属薄膜や酸化物半導体膜、それらの積層体などを用いることができる。金属薄膜の材料としては、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などが用いられる。金属薄膜の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキなどの公知の方法を用いることができる。酸化物半導体膜の材料としては、亜鉛、チタン、インジウム、スズ、ジルコニウム、ビスマス、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウムなどの酸化物、硫化物、またはこれら酸化物の混合物などが用いられる。酸化物半導体の形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工などの公知の方法を用いることができる。
本発明に用いられる導電層としては、導電性メッシュが好ましい。導電性メッシュは、上記の金属薄膜に比べて、低い面抵抗値が得られるという利点がある。
導電性メッシュを得るための一つの方法として、銅箔などの金属膜をプラスチックフィルムに接着材を介して貼り合わせた金属膜積層フィルムを、フォトリソグラフ法、スクリーン印刷法などを利用してエッチングレジストパターン作製した後、金属膜をエッチングする方法がある。
フォトリソグラフ法は、金属膜積層フィルムの金属膜に紫外線などの照射により感光する感光層を設け、この感光層にフォトマスクなどを用いて像様露光し、現像してレジスト像を形成する方法である。
スクリーン印刷法は、金属膜積層フィルムの金属膜表面にエッチングレジストインクをパターン印刷し、硬化させてレジスト像を形成する方法である。
エッチングする方法としては、ケミカルエッチング法などがある。ケミカルエッチングとは、エッチングレジストで保護された導体部分以外の不要導体をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液などがある。
導電性メッシュを得るための他の方法としては、1)金属薄膜(上記の金属箔を積層する以外の方法で形成された金属薄膜)をエッチング加工する方法、2)印刷で直接メッシュパターンを形成する方法、3)感光性銀塩を用いる方法、4)印刷パターン上に金属膜積層後に現像する方法、および5)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法なども挙げられる。以下にそれぞれの方法を詳細に説明する。
上記1)の方法は、プラスチックフィルム上に粘着剤あるいは接着材からなる接着層を介さずに金属薄膜を形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフ法あるいはスクリーン印刷法などを利用してエッチングレジストパターンを作製した後、金属薄膜をエッチングする方法である。金属薄膜の形成は、金属(例えば、銀、金、パラジウム、銅、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金など)をスパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、あるいはメッキなどの公知の方法を用いて行うことができる。
上記2)の方法としては、プラスチックフィルムに導電性ペーストなどをメッシュパターンに印刷する方法や、プラスチックフィルムに触媒インクなどでメッシュパターンを印刷し、これに金属メッキを施す方法がある。後者の一つの方法として、パラジウムコロイド含有ペーストからなる触媒インクを用いてメッシュパターンに印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して導電性メッシュパターンを形成する方法がある。
上記3)の方法は、ハロゲン化銀などの銀塩乳剤層をプラスチックフィルムにコーティングし、フォトマスク露光あるいはレーザー露光の後、現像処理して銀のメッシュを形成する方法である。形成された銀メッシュはさらに銅、ニッケルなどの金属でメッキするのが好ましい。この方法は、国際公開第04/7810号公報、特開2004−221564号公報、特開2006−12935号公報などに記載されており、参照することができる。
上記4)の方法は、プラスチックフィルム上に剥離可能な樹脂でメッシュパターンとは逆パターンの印刷を施し、その印刷パターン上に金属薄膜を上記1)と同様の方法で形成した後、現像して樹脂とその上の金属膜を剥離して金属のメッシュパターンを形成する方法である。剥離可能な樹脂として、水、有機溶剤あるいはアルカリに可溶な樹脂やレジストを用いることができる。この方法は、特開2001−185834号公報、特開2001−332889号公報、特開2003−243881号公報、特開2006−140346号公報、特開2006−156642号公報などに記載されており、参照することができる。
上記5)の方法は、上記1)と同様の方法でプラスチックフィルム上に形成された金属薄膜からレーザーアブレーション方式で金属メッシュを作製する方法である。レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用することで固体表面を加工することができる。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、レーザーアブレーション法により高い加工精度を得ることができる。
かかるアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いるこできる。例えば、ガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることができる。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることができる。
かかる固体レーザーの中でも、プラスチックフィルムを加工しないという観点から、波長が254nmから533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることができるが,加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅がns以下のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
また、この方法の場合、金属薄膜の上(視認側)にさらに0.01〜0.1μmの厚みの金属酸化物層を形成した後に、金属薄膜と金属酸化物層とをレーザーアブレーションするのが好ましい。金属酸化物としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、すずなどの金属酸化物を用いることができるが、価格や膜の安定性などの点から銅酸化物が好ましい。金属酸化物の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法などを用いることができる。
本発明に用いることができる導電性メッシュのメッシュパターンとしては、格子状パターン、5角形以上の多角形からなるパターン、円形パターン、あるいはこれらの複合パターンが挙げられ、さらにランダムパターンも好ましく用いられる。メッシュの線幅および線間隔(ピッチ)は、開口率が70%以上98%以下となるように設計するのが好ましく、線幅としては5〜40μmが好ましく、線間隔(ピッチ)は100〜500μmの範囲が好ましい。導電層の厚みは、0.1〜20μmの範囲が適当である。
本発明において、導電性メッシュは黒化処理するのが好ましい。黒化処理は、酸化処理や黒色印刷により行うことができる。例えば、特開平10−41682号公報、特開2000−9484号公報、特開2005−317703号公報などに記載の方法を用いることができる。黒化処理は、導電性メッシュの少なくとも視認側の表面と両側面を行うのが好ましく、さらには導電性メッシュの両面および両側面を黒化処理するのが好ましい。
また、ディスプレイ用フィルター(フィルター用部材)に用いられる粘着層、プラスチックフィルム、機能層、さらに導電層を含んだ積層体を連続生産ラインで効率よく製造するためには、導電層は連続メッシュであることが好ましい。連続メッシュとは、メッシュパターンが途切れることなく形成されたものであり、例えば、少なくとも導電層を有する積層体を長尺ロール状で製造した場合に、ロールの巻き方向にメッシュが連続的に形成されていることである。このような連続メッシュを用いることにより、該積層体ロールをカットしてシート状のディスプレイ用フィルターを製造するときに、歩留まりおよび生産性が向上する。また、連続メッシュは、いろんなサイズのディスプレイへの対応が容易であること、および、ディスプレイ用フィルターの製造過程において欠陥が発生した場合は、欠陥部分のみの限られた量の廃棄ですむことなどの利点がある。
本発明にかかるディスプレイ用フィルターは、特にプラズマディスプレイ用フィルターに適用するのが好ましい。プラズマディスプレイ用フィルターに適用する場合には、上記した機能層及び導電層を併せ持つのが好ましい。
プラズマディスプレイ用フィルターの構成としては、2枚のプラスチックフィルム基材からなる2枚基材フィルターと、1枚のみのプラスチックフィルム基材からなるモノフィルムフィルターが挙げられる。2枚基材フィルターの構成例として下記a)、b)が例示される。
a)紫外線硬化型粘着剤層/プラスチックフィルムA/導電層/粘着剤層/近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層/プラスチックフィルムB/機能層
b)紫外線硬化型粘着剤層/プラスチックフィルムA/導電層/粘着剤層(近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有)/プラスチックフィルムB/機能層
1枚のみのプラスチックフィルム基材からなるモノフィルムフィルターの構成例としては、プラスチックフィルムの一方の面に導電層と機能層とをこの順に有し、プラスチックフィルム基材の他方の面に近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層と紫外線硬化型粘着剤層とをこの順に有するものが挙げられる。
上記のモノフィルムフィルターは、材料コストおよび生産コストの点で有利である。しかし、その反面、紫外線硬化型粘着剤を直接にディスプレイ用フィルターに塗工形成する方式では、紫外線が直接に有機系吸収剤に照射されるのでその影響はさらに大きくなる。したがって、紫外線硬化型粘着剤を転写積層する本発明の製造方法は、上記のようなモノフィルムフィルターには特に好ましい。
上記の2枚基材フィルターの場合は、プラスチックフィルムAに紫外線吸収剤を含有させることによって、紫外線硬化型粘着剤を直接にディスプレイ用フィルターに塗工形成する方式での紫外線照射による影響は緩和されるが、依然として紫外線照射による有機系吸収剤への影響は大きく、したがって、上記構成a)、b)のような2枚基材フィルターの構成においても、本発明の効果を十分に享受できる。
以下に、実施例を具体的に挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
下記で合成したウレタンアクリレートプレポリマーおよびウレタンプレポリマーの分子量は以下のようにして測定した。
<分子量の測定>
GPCにより重量平均分子量、数平均分子量を測定した。測定にはWALTERS GPC−150C Plus(日本WALTERS社製)を用い下記条件にて測定した。
検出器:WALTERS 2410
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:HR4 2本、HR4E 1本(7.5mm×300mm)
温度:40℃
濃度:0.2%
注入量:100μl
流速:1.0m/m
n数:3
<ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートレポリマー(A)の合成>
先ず、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(f)を以下のようにして合成した。
<ウレタンプレポリマー(f)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに、ポリエステルポリオール((株)クラレ製の「クラレポリオールP−3050」(数平均分子量3000))97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。
次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート7.51質量部を加え、3時間攪拌しながら保温して30分ごとのGPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(f)を得た。
<ウレタンアクリレートプレポリマー(A)の合成>
上記のウレタンプレポリマー(f)を撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに200質量部仕込み、次に系内を80℃まで昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.69質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22質量部を加え、攪拌しながら保温(80℃)し、IR測定にてイソシアネート基が完全に消失したことを確認し反応を終了させてウレタンアクリレートプレポリマー(重量平均分子量24000)を得た。
<分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー(B)の合成>
上記のウレタンプレポリマー(f)を撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに200質量部仕込み、次に系内を70℃まで昇温し、窒素ガスを吹き込みながら1,3−ブタンジオール2.6質量部を加え、攪拌しながら保温(70℃)し、IR測定にてイソシアネート基が完全に消失したことを確認し反応を終了させて、ウレタンプレポリマー(d)(重量平均分子量24000)を得た。
<ポリエーテルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマー(C)の合成>
先ず、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(g)を以下のようにして合成した。
<ウレタンプレポリマー(g)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに、ポリエーテルポリオール(旭硝子ウレタン(株)製のポリプロピレングリコール「エクセノ−ル3020」(数平均分子量3200))97.98質量部、ジラウリル酸ジブチルすず0.11質量部を仕込んだ。
次に窒素ガスを吹き込みながら系内を70℃まで昇温し、均一に溶解した後、イソホロンジイソシアネート8.65質量部を加え、3時間攪拌しながら保温して30分ごとのGPC測定の結果、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5で一定であることを確認し反応を終了し、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(g)を得た。
<ウレタンアクリレートプレポリマー(C)の合成>
上記のウレタンプレポリマー(g)を撹拌機、温度計、還流冷却器および窒素導入管を装備したフラスコに200質量部仕込み、次に系内を80℃まで昇温し、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.69質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.22質量部を加え、攪拌しながら保温(80℃)し、IR測定にてイソシアネート基が完全に消失したことを確認し反応を終了させてウレタンアクリレートプレポリマー(重量平均分子量24000)を得た。
(実施例1)
<紫外線硬化性組成物の調製>
ウレタンアクリレートプレポリマー(A)を50質量部、カルボキシ基を有するアクリレートモノマー(a)として2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸を15質量部、水酸基およびカルボキシ基を有しないアクリレートモノマー(b)としてフェノキシエチルアクリレートを30質量部、可塑剤としてリン酸トリクレジル(以下TCPと表記)5質量部、重合開始剤としてヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュアー184、以下IC184と表記)を0.7質量部加えて均一に混合することにより紫外線硬化性組成物を調製した。
<紫外線硬化型粘着剤層の形成>
上記の紫外線硬化性組成物を厚み75μmの離型ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レフィルム加工(株)製の“セラピール”(登録商標)MD)上に、スリットダイコーターで塗布した後、メタルハライドランプを用いて積算光量1000mJ/cm2を照射して紫外線硬化型粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層の厚みは100μmであった。
<フィルター用部材の作成>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の一方の面に機能層、他方の面に近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層(有機系吸収剤含有層)を設けた光学フィルムと、PETフィルム上に導電層を設けた電磁波遮蔽フィルムとを粘着剤で貼合してフィルター用部材を作成した。詳細を以下に示す。
<光学フィルムの作製>
<機能層の形成>
厚みが100μmのPETフィルムの一方の面に、下記のハードコート層、高屈折率層、および低屈折率層を順次塗工した。市販のハードコート剤(JSR(株)製“デソライト”(登録商標)Z7528)をイソプロピルアルコールで固形分濃度30%に希釈した塗料を、マイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して硬化させ、厚み3μmのハードコート層を設けた。次に、錫含有酸化インジウム粒子(ITO)6質量部、多官能アクリレート2質量部、メタノール18質量部とポリプロピレングリコールモノエチルエーテル54質量部、イソプロピルアルコール20質量部の混合物を攪拌して塗膜屈折率1.67の高屈折率塗料を調製した。この塗料をハードコート層上にマイクログラビアコーターを用いて塗工、乾燥後、紫外線1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化させ、厚さ約0.1μmの高屈折率層を形成した。さらに、一次粒子径50nmの外殻を有する中空シリカ粒子(空隙率40%)144質量部、イソプロピルアルコール560質量部からなるシリカスラリーを準備し、メチルトリメトキシシラン219質量部、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン158質量部、上述シリカスラリー704質量部、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル713質量部を攪拌混合し、燐酸1質量部と水130質量部を配合して、30℃±10℃で攪拌しながら60分加水分解し、さらに温度を80℃±5℃に上げて60分攪拌しながら重合し、シリカ粒子含有ポリマーを得た。このシリカ粒子含有ポリマー1200質量部、イソプロピルアルコール5244質量部を攪拌混合した後、硬化触媒としてアセトキシアルミニウムを15質量部添加して再度攪拌混合し、屈折率1.35の塗料を調整した。この塗料を上記高屈折率層上に小径グラビアコーターで塗工、乾燥、硬化して、厚さ約0.1μmの低屈折率層を形成した。
<有機系吸収剤含有層の形成>
可視光を吸収する有機系吸収剤として約590nmに吸収極大を有するテトラアザポルフィリン系色素0.5質量部、近赤外線吸収剤としてフタロシアニン系色素1.5質量部とジイモニウム系色素2.5質量部、アクリル樹脂100質量部をメチルエチルケトン400質量部に溶解して、有機系吸収剤含有層用塗料を調整した。この塗料を乾燥膜厚が12μmとなるように、上記の機能層が形成されたPETフィルムの機能層とは反対面にバーコーターを用いて塗布・乾燥して、有機系吸収剤含有層を積層した。更に、光学フィルムと電磁波遮蔽フィルムとを貼合するための粘着剤(巴川製紙所社製アクリル粘着剤「TD43A」、粘着材厚み25μm)を、有機系吸収剤含有層の上に積層した。
<電磁波遮蔽フィルムの作製>
厚みが約10μmの銅箔が、厚みが約125μmのPETフィルムに接着剤層を介して積層された銅箔フィルムを、フォトリソグラフ法を利用したエッチングレジストパターン形成方法によって加工し、線幅が約15μm、線間隔が約300μmの格子状の導電性メッシュ(導電層)が形成された電磁波遮蔽フィルムを用意した。
<光学フィルムと電磁波遮蔽フィルムの貼合>
光学フィルムの有機系吸収剤層と電磁波遮蔽フィルムの導電層とが向き合うように、上記の光学フィルムに積層された粘着剤を介して貼合して、ディスプレイ用フィルターを作製した。
<紫外線硬化型粘着剤層のフィルター用部材への積層>
上記離型PETフィルム上に形成された紫外線硬化型粘着剤層と上記フィルター用部材の電磁波遮蔽フィルム側の裏面とが向き合うように、2本のニップロール(NBR製ゴムロールとステンレススチール製研磨ロール)に位置合わせしながら導き、線圧5〜10N/cmの範囲でラミネートし、6インチの樹脂製コアに巻き取った。巻き取ったディスプレイ用フィルターをトムソン刃型打ち抜き加工装置により所定のサイズに打ち抜き、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターを得た。
(実施例2〜3および比較例1〜3)
下記表1に記載の成分比率で調製した紫外線硬化性組成物を用いる以外は、実施例1と同様にして、それぞれのディスプレイ用フィルターを作製した。
なお、表1中のアクリレートモノマー(c)は、水酸基を有するアクリレートモノマー(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートである。
Figure 2009053491
(比較例4)
紫外線硬化型粘着剤層をフィルター用部材に直接に塗工形成する以外は、比較例3と同様にして、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターを得た。
詳細には、比較例3の紫外線硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして作製したフィルター用部材の電磁波遮蔽フィルム側の裏面に直接スリットダイコーターで塗布した後、メタルハライドランプを用いて積算光量1000mJ/cm2を照射して紫外線硬化型粘着剤層を形成し、さらに、厚み75μmの離型PETフィルム(東レフィルム加工(株)製“セラピール”(登録商標)MD)と上記ディスプレイ用フィルターを2本のニップロール(NBR製ゴムロールとステンレススチール製研磨ロール)に位置合わせしながら導き、線圧5〜10N/cmの範囲でラミネートし、6インチの樹脂製コアに巻き取った。巻き取ったディスプレイ用フィルターをトムソン刃型打ち抜き加工装置により所定のサイズに打ち抜き、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターを得た。
<評価>
上記のようにして得られた実施例および比較例のディスプレイ用フィルターについて、剥離性、密着性および耐光性を評価した。その結果を表1に示す。
(1)剥離性
ディスプレイ用フィルターを50mm×100mmに切断し、これを厚さ2.8mmのガラス板に、環境温度25℃で貼り合わせたのち、5kgのゴムローラーを1往復させて圧着した。この状態で同環境下に1時間放置後、ガラス板からディスプレイ用フィルターを剥離した。剥離後の状態を下記の基準で評価した。
◎:ディスプレイ用フィルター側に粘着剤が均一な状態で残っており、ガラス面には粘着剤は全く付着していない。
○:ガラス面には粘着剤は全く付着していないが、ディスプレイ用フィルターから粘着剤が部分的に浮き上がっている。
×:剥離中にディスプレイ用フィルター側から粘着剤層が完全に剥がれてしまい、ガラス板に糊残りが見られた。
(2)密着性
ディスプレイ用フィルターを25mm×100mmに切断し、離型フィルムを剥離してガラス板に5kgのゴムローラーを1往復させて圧着したのち、テンシロンRTM−100(オリエンテック社製)を用いて環境温度25℃にて剥離速度300mm/分で180°剥離試験を行い、ガラス板と紫外線硬化型粘着剤層との間の密着強度を測定した。
(3)耐光性
ディスプレイ用フィルターを40mm×40mm角に切断し、下記の光による加速試験を実施し、CIE(1976)により規定されている色差表示法のL*、a*およびb*の座標のそれぞれの差ΔL*、Δa*およびΔb*を求める。そしてそれらから、次式により色差ΔE*abを求める。
色差:ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2
光による加速試験;ディスプレイ用フィルターの機能層側に、Xeフェードメーターにて900J/cm2照射した。
<評価結果>
表1の結果から、本発明の実施例はいずれも、表示パネルとの剥離性および密着性が良好であり、かつ耐光性も良好であることが分かる。
これに対して、比較例1〜3はフィルター用部材と紫外線硬化型粘着剤層との密着性が低いために、ガラス板からディスプレイ用フィルターを剥離するときに粘着剤層がフィルター用部材から剥がれ、ガラス板に糊残りが見られる。
比較例4は、剥離性は良好であるが、粘着剤層形成時の紫外線照射により有機系吸収剤の耐光性が低下している。
(実施例4)
<フィルター用部材(モノフィルムフィルター)の作製>
基材となるPETフィルムの一方の面に導電層および機能層を有し、PETフィルムの他方の面に有機系吸収剤を含有する層を有するフィルター用部材を以下の要領で作製した。
<導電層の形成>
厚み100μmのPETフィルムに、パラジウムコロイド含有ペーストを線幅30μm、線間隔250μmの格子状メッシュパターンを有するスクリーンを用いて印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して、無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して厚みが5μmのメッシュ状の導電層を形成した。
<機能層の塗工形成>
上記の導電層が形成されたPETフィルムの導電層上に、下記の防眩性ハードコート層用塗料をマイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、紫外線を1.0J/cm2を照射して、塗工層を硬化させ、厚みが8μmの防眩性ハードコート層を形成した。
<防眩性ハードコート層塗料>
市販のハードコート剤(JSR(株)製“オプスター”(登録商標)Z7534)をメチルエチルケトンで固形分濃度が50質量%になるように希釈し、更に平均粒子径が1.5μmのアクリル系微粒子(綜研化学製“ケミスノー”(登録商標)MXシリーズ)を上記ハードコート剤の固形分に対して1質量%添加して塗料を調製した。
<有機系吸収剤含有層の形成>
可視光を吸収する有機系吸収剤として約590nmに吸収極大を有するテトラアザポルフィリン系色素0.5質量部、近赤外線吸収剤としてフタロシアニン系色素1.5質量部とジイモニウム系色素2.5質量部、アクリル樹脂100質量部をメチルエチルケトン400質量部に溶解して、有機系吸収剤含有層用塗料を調整した。この塗料を乾燥膜厚が12μmとなるように、上記の機能層が形成されたPETフィルムの機能層とは反対面にバーコーターを用いて塗布・乾燥して、有機系吸収剤含有層を積層した。
<紫外線硬化型粘着剤層の形成>
実施例1と同様の紫外線硬化性組成物を用い、実施例1と同様にして離型PETフィルム上に紫外線硬化型粘着剤層を形成した。
<紫外線硬化型粘着剤層のフィルター用部材への積層>
上記離型PETフィルム上に形成された紫外線硬化型粘着剤層と、上記フィルター用部材の有機系吸収剤含有層とが向き合うように、2本のニップロール(NBR製ゴムロールとステンレススチール製研磨ロール)に位置合わせしながら導き、線圧5〜10N/cmの範囲でラミネートし、6インチの樹脂製コアに巻き取った。巻き取ったディスプレイ用フィルターをトムソン刃型打ち抜き加工装置により所定のサイズに打ち抜き、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターを得た。
(実施例5〜6および比較例5〜7)
下記表2に記載の成分比率で調製した紫外線硬化性組成物を用いる以外は、実施例4と同様にして、それぞれのディスプレイ用フィルターを作製した。
なお、表2中のアクリレートモノマー(c)は、水酸基を有するアクリレートモノマー(2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートである。
Figure 2009053491
(比較例8)
紫外線硬化型粘着剤層をフィルター用部材に直接に塗工形成する以外は、比較例7と同様にして紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターを得た。
詳細には、比較例7の紫外線硬化性組成物を用い、実施例4と同様にして作製したフィルター用部材の有機系吸収剤含有層の上に、直接スリットダイコーターで塗布した後、メタルハライドランプを用いて積算光量1000mJ/cm2を照射して紫外線硬化型粘着剤層を形成し、さらに、厚み75μmの離型PETフィルム(東レフィルム加工(株)製“セラピール”(登録商標)MD)と上記フィルター用部材を2本のニップロール(NBR製ゴムロールとステンレススチール製研磨ロール)に位置合わせしながら導き、線圧5〜10N/cmの範囲でラミネートし、6インチの樹脂製コアに巻き取った。巻き取ったディスプレイ用フィルターをトムソン刃型打ち抜き加工装置により所定のサイズに打ち抜き、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターを得た。
<評価>
上記のようにして得られた実施例および比較例のディスプレイ用フィルターについて、剥離性、密着性および耐光性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
<評価結果>
表2の結果から、本発明の実施例はいずれも、表示パネルとの剥離性および密着性が良好であり、かつ耐光性も良好であることが分かる。
これに対して、比較例5〜7はフィルター用部材と紫外線硬化型粘着剤層との密着性が低いために、ガラス板からディスプレイ用フィルターを剥離するときに粘着剤層がフィルター用部材から剥がれ、ガラス板に糊残りが見られる。
比較例8は、剥離性は良好であるが、粘着剤層形成時の紫外線照射により有機系吸収剤の耐光性が大きく低下している。

Claims (4)

  1. 近赤外線及び/または可視光を吸収する有機系吸収剤を含有する層を有するフィルター用部材に、紫外線硬化型粘着剤層を積層してなる、ディスプレイ用フィルターの製造方法であって、
    下記(a)、(b)および(c)を少なくとも含有する紫外線硬化性組成物を、別の基材に塗布し、紫外線を照射して、紫外線硬化型粘着剤層を形成する工程と、
    前記紫外線硬化型粘着剤層を、フィルター用部材に貼合する工程、とを少なくとも有することを特徴とする、紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
    (a)ポリエステルポリオールから合成されたウレタンアクリレートプレポリマー
    (b)水酸基またはカルボキシ基を有するアクリレートモノマー
    (c)重合開始剤
  2. 前記紫外線硬化性組成物が、さらに(d)を含有することを特徴とする、請求項1に記載の紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
    (d)ポリエステルポリオールから合成され、かつ分子末端に水酸基またはカルボキシ基を有するウレタンプレポリマー
  3. 前記紫外線硬化性組成物が、さらに(e)を、前記(b)成分100質量%に対して20〜500質量%含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
    (e)水酸基およびカルボキシ基を有しないアクリレートモノマー
  4. 前記紫外線硬化型粘着剤層の厚みが50〜2000μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化型粘着剤層を備えたディスプレイ用フィルターの製造方法。
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