JP2009053301A - 液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ライン反転駆動時における横電界による液晶配向の乱れを抑制し、高品位な表示を可能とした液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供する。
【解決手段】対向配置される第1の基板及び第2の基板と、該第1の基板及び第2の基板の間に挟持されたツイステッドネマティック液晶と、行列状に配置された複数の画素と、前記第1の基板に、前記画素に対応して設けられた画素電極と、該画素電極上に形成され、前記ツイステッドネマティック液晶を配向規制する配向膜と、を具備し、前記画素が、行方向に配列された前記画素電極群毎に反転駆動される液晶装置において、前記配向膜を、前記配向規制方向が、前記画素電極の列方向に対して、前記ツイステッドネマティック液晶の捩れ方向に所定の角度だけ傾斜するように構成する。
【選択図】図7

Description

本発明は、ツイステッドネマティック液晶を一対の基板間に挟持してなる液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器の技術分野に関する。
電気光学装置である液晶装置は、ガラス基板、石英基板等からなる一対の基板間に液晶が挟持されて構成されている。液晶装置は、例えば一方の基板に、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、TFTと称す)等のスイッチング素子及び画素電極をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極を配置して、両電極間に介在する液晶の配向を画像信号に応じて変化させることで、透過する光を変調し、画像表示を可能としている。
以下、いわゆるツイステッドネマティック(Twisted Nematic;以下、TNと称する)モードで動作する透過型の液晶装置の概略的な構成と動作を、図1、図2及び図9を参照して説明する。図1は、TFTアレイ基板を対向基板の側から平面視した部分拡大図である。図2は、図1のH−H’断面図である。図9は、ラビングの方向と液晶分子との関係を模式的に示す図である。
透過型の液晶装置は、透明な一対の基板であるTFTアレイ基板10、及び対向基板20との間に液晶層50が介装されて構成されている。図2に示すように、TFTアレイ基板10の液晶層50側には、ITO(IndiumTinOxide)等からなる透明導電層である画素電極9aがマトリクス状に配列されて形成されている。また、画素電極9aの下層には、マトリクス状に配列された複数の画素電極9aの縦横の境界に沿って、データ線、走査線等が形成されている。さらに画素電極9a上には、電圧無印加時の液晶分子の配列を規定するための配向膜16が設けられている。配向膜16は、ポリイミド等の有機材料からなる膜に、所定の第1の方向D1に沿ってラビング処理がなされている。
一方、対向基板20は、図示しないスペーサ及びシール材を介してTFTアレイ基板10に対し、略平行に所定の間隔だけ離間して配設されている。対向基板20の液晶層50側には、共通電極としてITOからなる透明導電層である対向電極21が形成されており、さらにその上に配向膜22が設けられている。配向膜22は、ポリイミド等の有機材料からなる膜に、所定の第2の方向D2に沿ってラビング処理がなされている。また、対向電極21の下層には、対向基板20の法線方向から見て、複数の画素電極9a間の間隙を覆うように、格子状の遮光膜23が形成されている。
また、TFTアレイ基板10及び対向基板20の液晶層50とは反対側には、それぞれ偏光軸がクロスニコル配置となるように偏光板が配設されている。
ここで、TFTアレイ基板10の配向膜16のラビング方向(第1の方向D1)と、対向基板20の配向膜22のラビング方向(第2の方向D2)とは、液晶装置を平面視した場合に、すなわち透過光に沿って液晶装置を見た場合に略直交し、かつそれぞれラビング方向は、両基板に配設された偏光板の偏光軸と平行になるように構成されている。
このように構成された液晶装置においては、画素電極9a及び対向電極21の間に電圧が印加されていない状態では、図9に示すように、配向膜16及び22のラビング処理によって、該配向膜16及び22に接する液晶分子501及び502は、長手方向がそれぞれのラビング方向に略平行となるように配列する。この状態において、液晶層50を構成する細長の液晶分子は、TFTアレイ基板10側から対向基板20側へ向かうにつれて、長軸方向が第1の方向D1から第2の方向D2へ連続的に変化し、ねじれるように配向する。
一方、画素電極9a及び対向電極21の間に電圧が印加されると、液晶層50中の液晶分子は、該電圧の値に応じて、TFTアレイ基板10及び対向基板20の液晶層50側の面に対して長軸方向が略直交する方向へ立ち上がるように配向する。
そして、TNモードの液晶装置は、液晶分子の長軸方向と短軸方向との屈折率の差、つまり複屈折現象を利用して、入射光の偏光軸を変化させ、液晶層50へ入射した光の透過率を制御する。
例えば、画素電極9aと対向電極21との間に十分な電圧が印加されている場合、互いに直交する偏光方向を備えた一対の偏光板の一方を通過して液晶層50へ入射した直線偏光光は、液晶層50による複屈折を受けることがないため、他方の偏光板から出射されることがない(黒表示)。一方、画素電極9aと対向電極21との間に液晶分子が、TFTアレイ基板10の表面に対し略直交するほどの電圧が印加されていない場合、互いに直交する偏光方向を備えた一対の偏光版の一方を通過して液晶層50へ入射した直線偏光光は、液晶分子の傾斜角に応じた複屈折により偏光状態が変化し、他方の偏光板からこの偏光状態に応じた透過率で出射される。光の透過率は、画素電極9aと対向電極21との間に電圧が印加されていない状態(電圧無印加状態、図9に示した状態)で最大となる(白表示)。
このように、TNモードの液晶表示装置は、液晶層50への印加電圧を複数の各画素電極9a毎に異ならせて制御することで、各画素における光の透過率を変化させるのである。
ところで、液晶装置では、液晶に対する直流電圧の印加によって、例えば、液晶成分の分解、液晶中に混在する不純物による汚染、表示画像の焼き付き等の液晶の劣化が生じる。そこで、一般的には、各画素の駆動電圧の極性を例えば画像信号における1フレームや1フィールド等の一定周期で反転させる反転駆動が行われる。例えば一定周期で、駆動電圧の極性を、画素電極の行毎に反転させる1H反転駆動方式や画素電極の列毎に反転させる方式等のライン反転駆動方式が知られている。
しかしながら、ライン反転駆動方式の場合には、極性が相異なる電圧が印加される列方向又は行方向において、同一基板上の相隣接する画素電極間で電界(以下、横電界という)が生じてしまう。例えば1H反転駆動方式の場合、列方向に隣接する画素間における横電界の影響によって、画素電極の列方向の両端部において液晶分子の配向方向が乱れる。すなわち当該領域における透過光の偏光状態が乱れてしまい、表示(透過率)のむらが生じてしまう。この横電界の影響により生じる、画素周辺部における表示のむらは、一般にディスクリネーションと称される表示不良であり、コントラストの低下の原因となるものである。
このような、横電界によるディスクリネーションラインの発生を抑制する方法として、液晶装置内の電界強度の分布に応じてラビングの方向を決定する方法が、特開平5−241159号公報に開示されている。
特開平5−241159号公報
しかしながら、特開平5−241159号公報には、実験により最も効果的なラビング
の方向を求める方法しか開示されておらず、様々な形態を有する液晶装置すべてに、この技術を適用するのは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ライン反転駆動時における横電界による液晶配向の乱れを抑制し、高品位な表示を可能とした液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供することを目的とする。
本発明に係る液晶装置は、対向配置される第1の基板及び第2の基板と、該第1の基板及び第2の基板の間に挟持されたツイステッドネマティック液晶と、行列状に配置された複数の画素と、前記第1の基板に、前記画素に対応して設けられた画素電極と、該画素電極上に形成され、前記ツイステッドネマティック液晶を配向規制する配向膜と、を具備し、前記画素が、行方向に配列された前記画素電極群毎に反転駆動される液晶装置であって、前記配向膜は、前記配向規制方向が、前記画素電極の列方向に対して、前記ツイステッドネマティック液晶の捩れ方向に所定の角度だけ傾斜するように構成されることを特徴とする。
また、本発明に係る液晶装置の製造方法は、対向配置される第1の基板及び第2の基板と、該第1の基板及び第2の基板の間に挟持されたツイステッドネマティック液晶と、行列状に配置された複数の画素と、前記第1の基板に、前記画素に対応して設けられた画素電極と、該画素電極上に形成され、前記ツイステッドネマティック液晶を配向規制する配向膜と、を具備し、前記画素が、行方向に配列された前記画素電極群毎に反転駆動される液晶装置の製造方法であって、前記配向膜を、前記配向規制方向が、前記画素電極の列方向に対して、前記ツイステッドネマティック液晶の捩れ方向に所定の角度だけ傾斜するように形成することを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、前記液晶装置を具備してなることを特徴とする。
本発明のこのような構成によれば、列方向に沿った横電界によって液晶分子に働く力は、捩れ方向とは反対方向、すなわち液晶分子の捩れ角を大きくする方向に働く。液晶分子の捩れ角がより大きいほど、エネルギー状態はより高い状態であるため、液晶分子の配向を捩れ角をより大きくする方向に変化させる力には反発力が働く。
このため、本発明によればライン反転駆動において、横電界の影響によって、画素の列方向の両端部において液晶分子の配向方向が乱れてしまうことがなく、ディスクリネーションの発生を抑制し、より高品位な表示を行うことができる。
本発明の実施形態に係る液晶装置の構成について、図1から図6を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示装置100を例にとる。液晶表示装置100は、いわゆるツイステッドネマティック(Twisted Nematic;以下、TNと称する)モードで動作するものである。なお、以下の説明に用いた各図においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせてある。また、同様に、以下の説明に用いた各図においては、各部材の角度の大小関係を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、角度を強調して表示している。
まず、本実施形態の液晶装置100の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1はTFTアレイ基板を、その上に構成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図である。図2は、図1のH−H’断面図である。
液晶装置100は、ガラスや石英等からなるTFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50を挟持してなり、液晶層50の配向状態を変化させることにより、画像表示領域10aに対向基板20側から入射する光を変調しTFTアレイ基板10側から出射することで、画像表示領域10aにおいて画像を表示するものである。
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されており、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には液晶層50が挟持されている。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔を所定値とするためのグラスファイバあるいはガラスビーズ等のギャップ材が散らばって配設されている。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。なお、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
また、本実施形態においては、前記の画像表示領域10aの周辺に位置する非表示領域が存在する。非表示領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び実装端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。図示しないが、TFTアレイ基板10の表面に露出して設けられた実装端子102にフレキシブルプリント基板等を接続することにより、液晶装置100と例えば電子機器の制御装置等の外部との電気的な接続が行われる。
また、走査線駆動回路104は、データ線駆動回路101及び実装端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、かつ額縁遮光膜53に覆われるように設けられている。また、TFTアレイ基板10の残る一辺、すなわちデータ線駆動回路101及び実装端子102が設けられたTFTアレイ基板10の一辺に対向する辺に沿って設けられ、額縁遮光膜53に覆われるように設けられた複数の配線105によって、二つの走査線駆動回路104は互いに電気的に接続されている。
また、対向基板20のコーナー部の少なくとも一箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との電気的な接続を行う上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらの上下導通材106に対応する領域において上下導通端子が設けられている。上下導通材106と上下導通端子を介して、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な接続が行われる。
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜16が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜22が形成されている。TFTアレイ基板10及び対向基板20のそれぞれ液晶層50と接する面に形成された配向膜16及び22は、ポリイミド等の有機材料によって構成され、詳しくは後述するが、所定のラビング軸A1及びA2に平行な方向にラビング処理が施された薄膜である。ラビング処理は、配向膜16及び22表面に細かい溝を形成して配向異方性の膜を形成するものであり、一定方向のラビング処理が施されることにより、配向膜16及び22は、液晶分子の配向を規定することが可能となる。
また、対向基板20の入射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
次に、図3から図6を参照して、上述した液晶装置の画素部の構成について説明する。図3は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。図4は、TFTアレイ基板における画素部の、構成の一例を概略的に示す概略構成図である。図5は、画素の配列方向と、配向膜のラビング軸の方向との関係を示す図である。図6は、TFTアレイ基板側の配向膜のラビング軸に平行かつTFTアレイ基板に直交する断面における液晶分子の配向の状態を示す図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態における液晶装置100は、互いに交差するように配設された複数の走査線11a及び複数のデータ線6aと、該複数の走査線11a及び複数のデータ線6aの交差に対応して配設された複数の画素に対応して設けられた画素電極9aと、該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とを具備している。
言い換えれば、マトリクス状に配設された光が透過する開口領域である画素電極9aを囲う辺縁領域に、スイッチング素子であるTFT30と、TFT30に電気的に接続された走査線11a、データ線6a及び容量線400が形成されている。TFT30のソースには、画像信号が供給されるデータ線6aが電気的に接続されている。
データ電駆動回路101がデータ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲート電極3aには走査線11aが電気的に接続されており、走査線駆動回路104は、所定のタイミングで走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。
画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、走査信号Gmを所定のタイミングでTFT30に供給し、一定期間だけそのTFT30をオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極9aに書き込まれる。
画素電極9aに書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。正の誘電率異方性を有する液晶層50は、印加される画像信号の電圧レベル(印加電圧)に応じて液晶分子がTFTアレイ基板10に沿うように倒れた状態から法線方向へ立ち上がるように配向することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置100からは画像信号に応じたコントラストを持つ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極が、定電位に固定された容量配線400に電気的に接続されている。
本実施形態の液晶装置100は、所定の周期で液晶層50に印加する印加電圧の極性を反転させる、いわゆる反転駆動を行うものであり、具体的には、同一フレーム内において奇数行に配列された画素電極9aと、偶数行に配列された画素電極9aとの間で印加電圧の極性を反対とし、さらに1フレーム毎に各画素電極9aの印加電圧の極性を反転する。このようなライン反転駆動方式は、一般に1H反転駆動方式と呼ばれるものである。例えば、ある1フレーム期間に着目した場合、図4に示すように、画素電極9aへの印加電圧は、極性が行列状に配列された画素電極9aの1行毎に反転する。すなわち、本実施形態の液晶装置100の画像表示領域10aに行列状に配列された画素は、各電極に対応して設けられた複数の画素電極9aの行方向に配列された画素電極群毎に反転駆動される。
ここで、図4に示すように、TFTアレイ基板10の液晶層50側の表面と平行な平面上において、互いに直行する2軸、x軸及びy軸を定義する。本実施形態ではx軸を走査線11aの延在方向と略平行とし、y軸をデータ線6aの延在方向と略平行なものとする。また、このx軸及びy軸と直交する軸、すなわちTFTアレイ基板10の液晶層50側の表面と平行な平面の法線と平行な軸をz軸と定義する。
そして、本実施形態の液晶装置100においては、図5に示すように、TFTアレイ基板10側の配向膜16のラビング方向と平行なラビング軸R1は、TFTアレイ基板10を対向基板20側から平面視した状態において、y軸に対して時計回りに数°から十数°の角度ψをなして交差している。すなわち、配向膜16のラビング軸R1は、液晶装置100を平面視した状態において、データ線6aに対して時計回り方向に角度ψだけ傾斜している。一方、対向基板20側の配向膜22のラビング方向と平行なラビング軸R2は、液晶装置100を平面視した状態において、上記ラビング軸R1に対して略直交する。
また、図5に示すように、本実施形態の液晶層50は、液晶装置100を対向基板20側から平面視した場合に、該液晶層50を構成する液晶分子の配向が、TFTアレイ基板10側から対向基板20側に向けてz軸周りに時計回り方向(図5中の矢印T)に捩れるものである。
以下、この液晶層50を構成する液晶分子の配向がTFTアレイ基板10側から対向基板20側に向けてz軸周りに捩れる方向を捩れ方向Tと称し、液晶分子の配向がz軸周りに捩れる角度を捩れ角φと称するものとする。すなわち、この捩れ方向の定義に従えば、TFTアレイ基板10側の配向膜16のラビング軸R1は、液晶装置100を平面視した状態において、データ線6aに対して捩れ方向Tに角度ψだけ傾斜しているのであり、配向膜22のラビング軸R2は液晶装置100を平面視した状態において、走査線11aに対して捩れ方向Tに角度ψだけ傾斜しているのである。
また、本実施形態の液晶装置100では、液晶装置100を平面視した場合に、配向膜16に近接する液晶層50の液晶分子51の長軸方向はラビング軸R1と平行となり、配向膜22に近接する液晶層50の液晶分子52の長軸方向はラビング軸R2と平行となる。すなわち、z軸周りに液晶分子51と液晶分子52とは略直交するのであり、捩れ角φはおよそ90°となる。
また、図6に示すように、液晶装置100のラビング軸R1を含む断面上において、液晶層50の配向膜16に近接する液晶分子51は、長軸方向が配向膜16の表面に対して平行な方向からプレチルト角θだけ起上した状態に配向している。プレチルト角θは、周知のように、電圧印加時において液晶層50の液晶分子の傾斜角が変化する方向を全ての液晶分子間で一致させるために付与されているものである。なお、図5及び図6中において、液晶分子51及び52に付した三角形の印は、液晶分子の各図において液晶分子の配向の方向を識別するための指標である。
以下に、上述した構成を有する本実施形態の液晶装置100の作用及び効果を説明する。本実施形態の液晶装置100は、同一フレーム内において行列状に配列された画素電極9aに対して、1行ごとに反対の極性の印加電圧を与え、かつ1フレーム毎に各画素電極9aの印加電圧の極性を反転する、いわゆる1H反転駆動と称されるライン反転駆動を行う構成を有するものである。
このように、ライン反転駆動の液晶装置100においては、例えば図6に示すように、列方向(y方向)に交互に反対の極性の電圧が印加された画素電極9aが配列される。このため、列方向に隣接する画素電極9a同士の間には横電界が生じる(図7中の矢印E)。電界中の誘電率異方性を有する液晶分子には、電界の方向に沿う方向の力が働く。すなわち、本実施形態の画素電極9aの列方向の両端部においては、横電界の影響により、液晶層50中の画素電極9aに近接した液晶分子51に対して、該液晶分子51の長軸を列方向に沿わせるように配向させる力が働くのである。特に、この横電界の影響による力は、配向膜16に対してプレチルト角θだけ起上している液晶分子51の、配向膜16からより離間した側の端部(図6中の長軸方向の黒三角を付した端部側)に働く。
従来の1H反転駆動の液晶装置においては、列方向に隣接する画素間における横電界の影響によって、画素電極の列方向の両端部において液晶分子の配向方向が乱れる。すなわち当該領域における透過光の偏光状態が乱れてしまい、表示(透過率)のむらが生じてしまう。この横電界の影響により生じる、画素周辺部における表示のむらは、一般にディスクリネーションと称される表示不良であり、コントラストの低下の原因となるものである。
本実施形態の液晶装置100においては、従来と同様に列方向に隣接する画素間における横電界の影響によって、画素電極9aの列方向の両端部の領域において液晶分子51に対して該液晶分子51の長軸を列方向(y方向)に沿わせるように配向させる力が働く。ここで、本実施形態の液晶装置100においては、前述したように、画素電極9aに近接した液晶分子51の長軸は、平面視した状態において列方向(y方向)に対して、捩れ方向Tに所定の角度ψだけ傾斜している。
このため、本実施形態においては、列方向に沿った横電界によって、液晶分子51に働く力は、捩れ方向Tとは反対方向、すなわち液晶分子の捩れ角φを大きくする方向(液晶カイラルが開く方向)に働く。しかしながら、液晶分子の捩れ角φがより大きいほど、エネルギー状態はより高い状態であるため、液晶分子51の配向を捩れ角φをより大きくする方向に変化させる力には反発力が働く。
このため、本実施形態によれば、1H反転駆動においても、従来のように列方向に隣接する画素間における横電界の影響によって、画素の列方向の両端部において液晶分子の配向方向が乱れてしまうことがない。したがって、本実施形態の液晶装置100は、従来に比してディスクリネーションの発生を抑制し、コントラストが低下することがなく、より高品位な表示を行うことができるのである。
また、従来、横電界の影響により発生するディスクリネーションによる表示むら及びコントラストの低下を防止するために、該ディスクリネーションが発生する領域を遮光膜により覆っていたものであるが、本実施形態によれば、この遮光膜を不要とし、より開口率を高めることができる。
なお、上述した実施形態の液晶装置100は、ライン反転駆動方式として、1行毎に画素電極に印加する電圧の極性を反転させているものであるが、極性の反転は複数行毎に行われるものであってもよい。また、1列又は複数列毎に画素電極に印加する電圧の極性を反転させるライン反転駆動方式であってもよいことは言うまでもない。
次に、以上詳細に説明した液晶装置100をライトバルブとして用いた電子機器である投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。図8は、投射型カラー表示装置の構成例を示す断面図である。図8において、本実施形態における電子機器の一例である液晶プロジェクタ1100は、液晶装置100を、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本実施形態の液晶装置100を具備して構成される液晶プロジェクタ1100は、従来よりもより明るく、コントラストの高い画像を表示することが可能である。
なお、本実施形態に係る電子機器は、図8を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型コンピュータ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末又はタッチパネル等の各種電子機器に適用可能である。
また、上述の実施形態では、TFTを用いたアクティブマトリクス駆動方式の透過型液晶パネルを液晶装置として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、正の誘電率異方性を有する液晶を用いた他の形式の液晶装置にも本発明を適用可能である。
また、液晶装置は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等であっても構わない。LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
TFTアレイ基板を、その上に構成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図である。 図1のH−H’断面図である。 液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。 TFTアレイ基板における画素部の、構成の一例を概略的に示す概略構成図である。 ラビング軸の方向と、液晶の捩れ方向を説明する図である。 プレチルト角を説明する図である。 液晶の配向方向と横電界の方向との関係を説明する図である。 投射型カラー表示装置の構成例を示す図である。 TNモードの液晶装置の概略を説明する図である。
符号の説明
6a データ線、 9a 画素電極、 10 TFTアレイ基板、 11a 走査線、 51 液晶分子(TFTアレイ基板側)、 52 液晶分子(対向基板側)、 R1 ラビング軸(TFTアレイ基板側)、 R2 ラビング軸(対向基板側)、 T 捩れ方向

Claims (3)

  1. 対向配置される第1の基板及び第2の基板と、
    該第1の基板及び第2の基板の間に挟持されたツイステッドネマティック液晶と、
    行列状に配置された複数の画素と、
    前記第1の基板に、前記画素に対応して設けられた画素電極と、
    該画素電極上に形成され、前記ツイステッドネマティック液晶を配向規制する配向膜と、を具備し、前記画素が、行方向に配列された前記画素電極群毎に反転駆動される液晶装置であって、
    前記配向膜は、前記配向規制方向が、前記画素電極の列方向に対して、前記ツイステッドネマティック液晶の捩れ方向に所定の角度だけ傾斜するように構成されることを特徴とする液晶装置。
  2. 対向配置される第1の基板及び第2の基板と、
    該第1の基板及び第2の基板の間に挟持されたツイステッドネマティック液晶と、
    行列状に配置された複数の画素と、
    前記第1の基板に、前記画素に対応して設けられた画素電極と、
    該画素電極上に形成され、前記ツイステッドネマティック液晶を配向規制する配向膜と、を具備し、前記画素が、行方向に配列された前記画素電極群毎に反転駆動される液晶装置の製造方法であって、
    前記配向膜を、前記配向規制方向が、前記画素電極の列方向に対して、前記ツイステッドネマティック液晶の捩れ方向に所定の角度だけ傾斜するように形成することを特徴とする液晶装置の製造方法。
  3. 請求項1に記載の液晶装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
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